JP7143628B2 - 樹脂成形体、及びその製造方法 - Google Patents
樹脂成形体、及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7143628B2 JP7143628B2 JP2018093260A JP2018093260A JP7143628B2 JP 7143628 B2 JP7143628 B2 JP 7143628B2 JP 2018093260 A JP2018093260 A JP 2018093260A JP 2018093260 A JP2018093260 A JP 2018093260A JP 7143628 B2 JP7143628 B2 JP 7143628B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- composite
- cellulose
- resin
- micronized
- flat metal
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02W—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
- Y02W90/00—Enabling technologies or technologies with a potential or indirect contribution to greenhouse gas [GHG] emissions mitigation
- Y02W90/10—Bio-packaging, e.g. packing containers made from renewable resources or bio-plastics
Landscapes
- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
微細化セルロースの適用例としては、例えば、基材と、その上に形成され、少なくとも微細化セルロース、無機層状化合物および水溶性高分子を含む層とを備え、酸素等のガスバリア性を有する包装材料が知られている(例えば、特許文献2参照)。
ことを特徴とする増粘発色抗菌剤を開示している。特許文献4では、少なくとも1種類以上の金属またはそれらの化合物からなる金属微粒子が、微細化セルロースと複合体を形成することで、近赤外領域において透過率が最小となることを特徴とする近赤外線遮蔽材料を開示している。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、特定の波長領域を吸収または反射する性質を有し、高い耐水性や耐湿性を有し、強度が高く、寸法安定性が良好で、抗菌性を有し、含水率により特異な光学特性を示す樹脂成形体、及びその製造方法、並びに樹脂組成物を提供することを目的とする。
そこで、上記課題を解決するため、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、平板状金属/微細化セルロース複合体(複合体)を樹脂と複合化する場合、複合体に結合する金属の密度が高いため、沈降係数が大きくなり、短時間で低い重力加速度で複合体を分離すると共に、複合体に結合する微細化セルロースを濃縮することが可能であり、効率よく樹脂と複合化して成形体を得ることが可能となることを知見した。
上記複合体は、平板状金属微粒子と、少なくとも一つ以上の微細化されたセルロースとが複合化された、平板状金属微粒子と微細化セルロースとの複合体であり、それぞれの微細化セルロースについて少なくとも一部又は全部が平板状金属微粒子に取り込まれており、残部があればその残部が平板状金属微粒子の表面に露出するように複合化されたものである。
上記樹脂成形体においては、その透過率スペクトルにおいて、400nm以上2500nm以下の波長領域で、透過率が極小となる極小波長を有してもよい。
上記樹脂成形体においては、その最大強度が40N/mm2以上で、且つ破断伸度が4%以上であってもよい。
上記樹脂成形体においては、その上記樹脂成形体中の微細化セルロースの含有量は、上記合成樹脂100質量部に対して5質量部以上200質量部以下の範囲内であってもよい。
上記樹脂成形体においては、水性ディスパージョン成分及び水性エマルジョン成分の少なくとも一方を有する合成樹脂と、親水性繊維とを少なくとも含み、
当該樹脂成形体の含水率が25%以上の当該樹脂成形体のヘイズをHZ1とし、
上記含水率が8%以下の当該樹脂成形体のヘイズをHZ2とした場合、HZ1とHZ2が以下の(1)式及び(2)式を満たすことが好ましい。
HZ1-HZ2≧15(%) ・・・(1)
HZ2≦5(%) ・・・(2)
上記樹脂成形体においては、上記平板状金属微粒子の厚みhの平均値が、1nm以上50nm以下の範囲であり、粒子径dの平均値、2nm以上1000nm以下の範囲であることが好ましい。
上記樹脂成形体においては、上記平板状金属微粒子の粒子径dの平均値が、当該平板状金属微粒子の厚みhの平均値の2倍以上であることが好ましい。
上記樹脂成形体においては、上記金属が金、銀、銅の少なくともいずれかを含むことが好ましいを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の樹脂成形体である。
上記樹脂成形体においては、上記微細化セルロースは、繊維状であり、かつ短軸の数平均軸径が1nm以上50nm以下、長軸の数平均軸径が0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。
上記樹脂成形体においては、上記微細化セルロースが、少なくとも一部のグルコピラノースがカルボキシメチル化されたカルボキシメチル化セルロースであってもよい。
上記樹脂成形体においては、上記微細化セルロースは、少なくとも一部のグルコピラノースのC6位のOH基が選択的に酸化されていてもよい。
上記樹脂成形体においては、上記微細化セルロースは、短軸の数平均軸径が1nm以上10nm以下、長軸の数平均軸径は0.2μm以上2μm以下であり、カルボキシ基量が0.1mmol/g以上3.0mmol/g以下であることが好ましい。
上記樹脂成形体においては、上記樹脂成形体の厚みは、1μm以上500μm以下の範囲内であることが好ましい。
また、上記課題を解決するための本発明の一態様に係る樹脂組成物は、水性ディスパージョン成分及び水性エマルジョン成分の少なくとも一方を有する合成樹脂と、複合体とを少なくとも含み、
上記複合体は、平板状金属微粒子と、少なくとも一つ以上の微細化されたセルロースとが複合化された、平板状金属微粒子と微細化セルロースとの複合体であり、それぞれの微細化セルロースについて少なくとも一部(一部分)又は全部が平板状金属微粒子に取り込まれており、残部が平板状金属微粒子の表面に露出するように複合化されたものである。
更に、本発明の一態様の樹脂成形体に含有させる複合体は、微細化セルロース単独と比較して濃縮しやすく、効率良く樹脂と混合や分散が可能となり、生産性よく強度が高く、寸法安定性の高い樹脂成形体を得ることができる。
図1は、本発明の実施形態に係る樹脂成形体の一例を模式的に示す図である。本実施形態の樹脂成形体は、水性ディスパージョン成分及び水性エマルジョン成分の少なくとも一方を有する合成樹脂と、平板状金属/微細化セルロース複合体(複合体)とを少なくとも含み、
上記複合体は、平板状の金属微粒子(平板状金属微粒子)と、少なくとも一つ以上の微細化されたセルロースとが複合化された、平板状金属微粒子と微細化セルロースとの複合体であり、それぞれの微細化セルロースについて少なくとも一部(一部分)又は全部が平板状金属微粒子に取り込まれており、残部が平板状金属微粒子の表面に露出するように複合化されたものであることを特徴とする樹脂成形体である。
なお、ここで言う樹脂成形体とは、水性ディスパージョンや水性エマルジョンを有する合成樹脂と複合体とを含有する樹脂組成物を用いて形成したフィルム状、シート状、構造体等の種々の形態を指す。また、樹脂組成物とは、合成樹脂と複合体とを含有するものであり、加熱や光による構造形成や反応をする前の状態を指すものとする。
[複合体]
本発明を適用した一実施形態である複合体について説明する。本発明者らは、金属微粒子と微細化セルロースとを有する複合体(以下、「金属/微細化セルロース複合体」と言う。)
図2は、本発明を適用した一実施形態である複合体の構成を模式的に示す図である。図2に示すように、本実施形態の複合体12は、平板状の金属微粒子(平板状金属微粒子)21と、少なくとも一つ以上の微細化されたセルロース22とが複合化された、平板状金属微粒子と微細化セルロースとの複合体であり、それぞれの微細化セルロース22について少なくとも一部(一部分)又は全部が平板状金属微粒子21に取り込まれており、残部が平板状金属微粒子21の表面23、裏面24、および側面25の少なくともいずれかより露出するように複合化されたものである。
更に、水性ディスパージョンや水性エマルジョンからなる合成樹脂11の疎水領域と含水による膨潤率が異なることにより、疎水領域間の界面上で入射光の散乱を生じさせることができる。また、合成樹脂11と適度な相互作用を有することにより、合成樹脂11の粒子の凝集サイズを調整したり、合成樹脂11の凝集界面同士を十分に結着させることである。
また、複合体12において、「不可分」の状態とは、例えば、遠心分離機等の物理的方法によって、金属微粒子21と微細化セルロース22とに分離することが不可能であることをいう。
微細化セルロース22は、その構造の少なくとも一辺がナノメートルオーダーであるセルロースであり、その調製方法については特に限定されない。通常、微細化セルロースは、ミクロフィブリル構造由来の繊維形状を有する。そのため、本実施形態の複合体12における微細化セルロースとしては、上述の繊維状のものが好ましい。繊維状の微細化セルロースを用いることにより、より形状や大きさが制御された複合体12となる。微細化セルロース22の詳細は後述する。
本実施形態の複合体を高速冷却遠心分離等により精製し、透過型電子顕微鏡用グリッドにキャストし、ウラニル染色して、透過型電子顕微鏡で観察することにより、図3に示すような透過型電子顕微鏡像が得られる。この透過型電子顕微鏡像によれば、平板状金属微粒子21と、その表面に露出している微細化セルロース22の他端部22bを観察することができる。
本実施形態の複合体を高速冷却遠心分離等により精製し、得られた複合体をシリコンウェハ板上にキャストし、白金蒸着処理を施した後、走査型電子顕微鏡(商品名:S-4800、日立ハイテクノロジーズ社製)で観察することにより、図4、図6に示すような走査型電子顕微鏡像が得られる。この走査型電子顕微鏡像によれば、平板状金属微粒子21と、その表面に露出している微細化セルロース22の他端部22bを観察することができる。
また、本実施形態の複合体を高速冷却遠心分離等により精製し、得られた複合体をグリッドにキャストし、非蒸着のまま、上記の走査型電子顕微鏡観察で観察した後、エネルギー分散型X線分析による元素マッピングを行い、平板状金属微粒子21と微細化セルロース22による炭素の検出により、平板状金属微粒子21と微細化セルロース22の複合化を確認できる。
このようにして得られた複合体12において、上記微細化セルロース22のそれぞれは、少なくとも一部又は全部が上記平板状金属微粒子21に取り込まれるとともに、残部が当該平板状金属微粒子21の表面に露出する。本実施形態の複合体は、分散安定性の面から、上記平板状金属微粒子21と上記微細化セルロース22とが不可分であることが好ましい。
複合体における金属微粒子の形状および粒子径を制御することで、その触媒活性や光学特性を制御することが可能である。金属微粒子の表面の自由電子は、光等の外部電場により集団的に振動を起こすことがある。電子は電荷を持った粒子であるため、電子が振動を起こすと周囲に電場を発生する。自由電子の振動を起こすことにより生じる電場と外部電場(光等)が共鳴する現象が起きる現象を局在表面プラズモン共鳴(Localized Surface Plasmon Resonance;LSPR)と言う。このLSPRにより、特定の波長域の光の吸収が起こる。共鳴波長域は、ロッド形状や平板形状であれば、長軸/短軸のアスペクト比に依存し、共鳴波長が大きく変化するため、金属微粒子を光学フィルター、遮熱フィルム、色材等に応用できる。
このような近赤外線吸収材料は、熱線を遮蔽できるため、付加価値の高い機能性材料である。例えば、建築物や自動車の窓に近赤外線吸収材料を含む層を設けることによって、遮熱効果をもたらすことが可能となる。すなわち、冷房効率上昇による節電効果が見込めるため、夏場の電力不足問題の改善にも貢献することができる。
ここで、図2に示すように、複合体12の平板状金属微粒子の表面23または裏面24の形状を、直径d(円相当径)の円形とする。なお、この直径dは、複合体12の粒子径である。複合体12の平板状金属微粒子の厚みhに対する直径dを、複合体12のアスペクト比(d/h)とする。複合体12の平板状金属微粒子の「平板状とは」、板状の粒子のことを示し、アスペクト比(d/h)の平均値は1.1以上である。
また、複合体12の表面23と裏面24は、どちらの面積が大きくもよく、両面は平行でなくてもよい。
光学特性を制御する観点から、平板状金属微粒子21の形状は平板であり、その粒子径d、厚みh、アスペクト比が以下の範囲内であることが好ましい。なお、平板状金属微粒子21の粒子径d、厚みhおよびアスペクト比は、複合体12の粒子径d、厚みhおよびアスペクト比と等しい。
平板状金属微粒子21の厚みhの平均値、すなわち表面23と裏面24の距離hの平均値は、1nm以上100nm以下であることが好ましく、5nm以上50nm以下であることがより好ましい。
なお、上記の平均値は、例えば、100個の粒子を測定して求める。
平板状金属微粒子21のアスペクト比(dの平均値/hの平均値)は、1.1以上であり、2.0以上であることが好ましく、2.0以上100以下であることがより好ましく、2.0以上50以下であることがさらに好ましい。
本実施形態における金属微粒子の形状、大きさの評価は、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、走査透過型電子顕微鏡を用いて行うことができる。
平板状の金属微粒子の粒子径dおよび厚みhの測定方法、並びに、アスペクト比の算出方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
複合体12を含む分散液を透過型電子顕微鏡観察用支持膜付き銅グリッド上にキャストして風乾した後、走査透過型電子顕微鏡で観察することにより、図5に示すような走査透過型電子顕微鏡像が得られる。この走査透過型電子顕微鏡像中の平板状金属微粒子を、円形で近似した際の径を、平面方向の粒子径として算出する。上記の平均値は、100個の粒子を測定して求める。
図7に示すように、複合体12を含む分散液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム26上にキャストして風乾し、包埋樹脂27で固定したものをミクロトームで断面方向に切削し、透過型電子顕微鏡で観察することにより、図7に示すような透過型電子顕微鏡像が得られる。なお、図7は、平板状金属微粒子21を透過型電子顕微鏡によって断面方向から観察した結果を示す図(透過型電子顕微鏡像)である。この透過型電子顕微鏡中の平板状金属微粒子の厚みを、平面方向と垂直な厚みとして算出する。上記の平均値は、100個の粒子を測定して求める。
上述のようにして求めた、平板状金属微粒子21の厚みhの平均値に対する直径d(円相当粒子径)の平均値、平板状金属微粒子21のアスペクト比(dの平均値/hの平均値)として算出する。
上述の平板状金属微粒子の粒子径および厚みの測定方法、並びに、アスペクト比の算出方法は一例であり、本実施形態における平板状金属微粒子の粒子径および厚みの測定方法、並びに、アスペクト比の算出方法は、特にこれらに限定されない。
微細化セルロースは、その構造の少なくとも一辺がナノメートルオーダーであればよく、その調製方法については特に限定されない。通常、微細化セルロースは、ミクロフィブリル構造由来の繊維形状を有するため、本実施形態の複合体の製造方法に用いられる微細化セルロースとしては、以下に示す範囲にある繊維状のものが好ましい。繊維状の微細化セルロースを用いることにより、より形状やサイズの制御された複合体を製造することができる。
更に、水性ディスパージョンや水性エマルジョンからなる合成樹脂11の疎水領域と含水による膨潤率が異なることにより、疎水領域間の界面上で入射光の散乱を生じさせることができる。また、合成樹脂11と適度な相互作用を有することにより、合成樹脂11の粒子の凝集サイズを調整したり、合成樹脂11の凝集界面同士を十分に結着させることである。また、微細化セルロースの短軸径が大きすぎると含水率に関わらず光の界面による散乱が生じ、樹脂成形体1のヘイズが上昇してしまうため、微細化セルロース22の短軸径は十分に小さいことが好ましい。
また、バクテリアセルロースも微細化セルロースとして用いることができる。さらに、各種天然セルロースを各種セルロース溶剤に溶解させた後、電解紡糸することによって得られる微細再生セルロース繊維を用いてもよい。
セルロースの化学変性方法は特に限定されないが、例えば、2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジン-N-オキシラジカル(以下、「TEMPO」と言う。)等のN-オキシル化合物を用いた酸化処理、希酸加水分解処理、酵素処理等を機械処理と併用して微細化する方法が挙げられる。
カルボキシメチル化セルロースは、少なくとも一部のグルコピラノースがカルボキシメチル化されていればよく、好ましくはカルボキシメチルセルロースの置換度が0.01以上0.60以下であることが好ましい。
このCSNFを用いれば、充分に形状や大きさの制御された複合体を製造できる。繊維状であり、短軸径が均一であるCSNFは、複合体の大きさや形状の制御に好適である。CSNFは、繊維表面に規則的にカルボキシ基を有する。このカルボキシ基は、複合体を製造する際、金属イオンが配位して複合体生成の起点となると考えられるため、複合体製造に好適である。
CSNFは、セルロースのミクロフィブリル表面のC6位の水酸基が選択的に酸化されるため、セルロースはI型結晶を維持し、結晶化度の低下がほとんどないため、セルロース本来の高い弾性率を維持することができる。また、TEMPO酸化反応条件により導入されるカルボキシ基量によってイオン性は制御できるため、また、TEMPO酸化反応条件により導入されるカルボキシ基量は制御できるため、樹脂成形体1に適用される合成樹脂11に応じてカルボキシ基に由来する電荷量を調整することが可能である。また、セルロースは、グルコースユニット当たり3つの水酸基を有し、ナノレベルまで解繊されることによりミクロフィブリル表面に多数の水酸基が露出された構造を取るため、高い親水性を有し、そのため水への膨潤率が極めて高くなる。
微細化セルロースの粘度特性は、次の通りであることが好ましい。微細化セルロースの0.5質量%分散液(25℃)が、せん断速度が1s-1のときに30mPa・s以上2000mPa・s以下、せん断速度が100s-1のときに20mPa・s以上200mPa・s以下であることが好ましい。より好ましくは、微細化セルロースの0.5質量%分散液の粘度(25℃)が、せん断速度が1s-1のときに100mPa・s以上1000mPa・s以下、せん断速度が100s-1のときに30mPa・s以上80mPa・s以下である。
微細化セルロースの短軸の数平均軸径が1nm未満では、高結晶性の剛直な微細化セルロース構造をとることができず、大きさや形状が十分に制御された複合体を得るのが難しくなる。また、高い強度、寸法安定性が良好な樹脂成形体1を得るのが難しくなる。一方、微細化セルロースの短軸の数平均軸径が50nmを超えると、微細化セルロースの分散液の粘度が高くなり操作性が悪くなり、後述する工程bにおいて、金属塩と微細化セルロースを均一に混ぜるのが難しくなり、工程cにおいて、均一に還元反応を進行させることができなくなり、大きさや形状が十分に制御された複合体を得るのが難しい。また、樹脂成形体1の強度も低下することがある。
微細化セルロースの短軸の数平均軸径は、透過型電子顕微鏡観察および原子間力顕微鏡観察により100本の繊維の短軸径(最小径)を測定し、その平均値として求められる。一方、微細化セルロースの長軸の数平均軸径は、透過型電子顕微鏡観察および原子間力顕微鏡観察により100本の繊維の長軸径(最大径)を測定し、その平均値として求められる。
微細化セルロースの結晶化度は、70%以上であることが好ましい。
微細化セルロースの結晶化度が70%未満では、剛直な微細化セルロース構造をとることができず、安定に複合体を製造するのが難しくなり、また、樹脂成形体1の強度が低下することがある。
微細化セルロースにおけるカルボキシ基量が0.1mmol/g未満では、分散性が悪く、0.1mmol/g以上であると、カルボキシ基による静電反発により分散安定性が良好となる。一方、微細化セルロースにおけるカルボキシ基量が3.0mmol/g以下であると、微細化セルロースの結晶構造が充分に保持され、形状制御性能が良好であると共に、樹脂成形体1の水分率により光学特性を制御しやすい。
微細化セルロースは、特に限定されないが、以下の方法で製造されたものを用いることができる。
微細化セルロースの原料として用いられる天然セルロースとしては、例えば、機械パルプ、化学パルプ、セミケミカルパルプ等の木材パルプが挙げられる。具体的には、漂白および未漂白クラフト木材パルプ、加水分解済みクラフト木材パルプ、亜硫酸木材パルプ等をはじめとして、古紙、バクテリアセルロース、バロニアセルロース、ホヤセルロース、綿セルロース、麻セルロース並びにこれらの混合物を用いることができる。また、これらを物理的、化学的処理した物質のいずれを用いてもよい。材料調達の容易さおよび価格の面から各種木材パルプを原料とすることが好ましい。
N-オキシル化合物を用いたセルロースの酸化方法としては、木材系天然セルロースを水中に分散させ、N-オキシル化合物の共存下で酸化処理する方法が挙げられる。このとき、N-オキシル化合物とともに、共酸化剤を併用することが好ましい。この場合、反応系内において、N-オキシル化合物が順次、共酸化剤により酸化されてオキソアンモニウム塩が生成し、そのオキソアンモニウム塩によりセルロースが酸化される。かかる酸化処理によれば、温和な条件でも酸化反応が円滑に進行し、カルボキシ基の導入効率が向上する。酸化処理を温和な条件で行うと、セルロースの結晶構造を維持しやすい。
共酸化剤の使用量は、セルロースの酸化反応を促進することができる量であればよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分の全量に対して、1質量%~200質量%程度である。
このような化合物としては、臭化ナトリウムまたは臭化リチウムが好ましく、コストや安定性から、臭化ナトリウムがより好ましい。
この化合物の使用量は、セルロースの酸化反応を促進することができる量であればよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分の全量に対して、1質量%~50質量%程度である。
pHが9以上であると、反応を効率よく進めることができる。上記pH領域の範囲外となると、N-オキシル化合物による酸化効率が大幅に低下することが知られている。上記酸化処理においては、酸化が進行するにつれて、カルボキシ基が生成することにより、反応系内のpHが低下してしまうため、酸化処理中、反応系のpHを9~11に保つことが好ましい。反応系のpHを9~11に保つ方法としては、pHの低下に応じてアルカリ水溶液を添加する方法が挙げられる。
セルロースの酸化反応の反応温度は、4℃以上50℃以下であることが好ましく、30℃以上50℃以下であることがより好ましい。
酸化処理後の反応液は、そのまま微細化工程に供してもよいが、N-オキシル化合物等の触媒、不純物等を除去するために、反応液に含まれる酸化セルロースを回収し、洗浄液で洗浄することが好ましい。酸化セルロースの回収は、ガラスフィルターや20μm孔径のナイロンメッシュを用いたろ過等の公知の方法により実施できる。酸化セルロースの洗浄に用いる洗浄液としては蒸留水が好ましい。
微細化工程は、酸化セルロースを軽微な機械処理によって解繊して、微細化セルロースの分散液を得る工程である。
セルロースを微細化する方法では、まず、セルロースに溶媒を加えて懸濁させる。
溶媒としては、特に限定されないが、微細化セルロースを分散させる溶媒と同様のものが用いることができ、これらの中でも水が特に好ましい。必要に応じて、セルロースや生成する微細化セルロースの分散性を向上するために、懸濁液のpHを調整してもよい。pHの調整に用いられるアルカリ水溶液としては、酸化セルロースの酸化工程の説明で挙げたアルカリ水溶液と同様のものが挙げられる。
続いて、懸濁液に物理的解繊処理を施して、セルロースを微細化する。
上記のようにして得られた微細化セルロースは、結晶構造が維持されているため、安定に複合体を製造できる。
微細化セルロースの分散液は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、セルロースおよびpHの調整に用いた成分以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、特に限定されず、用途に応じて、公知の添加剤のなかから適宜選択できる。他の成分としては、具体的には、アルコキシシラン等の有機金属化合物またはその加水分解物、無機層状化合物、無機針状鉱物、消泡剤、無機系粒子、有機系粒子、潤滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、磁性粉等が挙げられる。水性ディスパージョン成分及び水性エマルジョン成分を微細化セルロース分散液と混合してから複合体を製造してもよい。
本実施形態の複合体は、特に限定されないが、例えば以下の方法で製造することができる。
a)少なくとも1種類の微細化セルロースを含有する溶液または分散液を調製し、微細化セルロース含有液を準備する、微細化セルロース含有液準備工程と、
b)少なくとも1種類の金属塩と少なくとも1種類の微細化セルロースとを含有する溶液または分散液を調製し、金属塩および微細化セルロース含有液を準備する、金属塩および微細化セルロース含有液準備工程と、
c)上記金属塩および微細化セルロース含有液中の金属イオンを還元し、反応液を調製して複合体分散液を得る、反応液調製工程と、
を有する。
複合体製造に用いる微細化セルロースはアニオン変性された微細化セルロースであることが好ましい。アニオン変性により導入された官能基に金属イオンが配位した状態で金属イオンが還元され、それを基点に金属微粒子が生成するため、複合化及び形状制御をしやすくなる。
本実施形態の複合体の製造方法において、工程aでは、少なくとも1種類の微細化セルロース分散液を準備する。
少なくとも1種類の微細化セルロース分散液における微細化セルロース分散液の固形分濃度は、特に限定されないが、0.01質量%以上90質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
微細化セルロース分散液の固形分濃度が0.01質量%未満では、複合体の形状の制御が難しい。一方、微細化セルロース分散液の固形分濃度が90質量%を超えると、微細化セルロース分散液の粘度が高くなり、工程b(金属塩および微細化セルロース含有液準備工程)において、金属塩と微細化セルロースとを均一に混ぜるのが難しくなり、工程c(反応液調製工程)において、均一に還元反応を進行させることができなくなる。
金属微粒子および微細化セルロースの分散性の観点からは、溶媒としては、水や親水性溶媒を用いることが好ましい。親水性溶媒としては、特に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が好ましい。
少なくとも1種類の微細化セルロース分散液のpHは、特に限定されないが、pH2以上pH12以下であることが好ましい。
本実施形態の複合体の製造方法において、工程bでは、少なくとも1種類の金属塩と少なくとも1種類の微細化セルロースとを含有する溶液または分散液を調製し、金属塩および微細化セルロース含有液を準備する。
少なくとも1種類の金属塩と少なくとも1種類の微細化セルロースを含有する溶液または分散液を調製する方法は、特に限定されない。例えば、少なくとも1種類の微細化セルロースを含有する溶液または分散液(微細化セルロース分散液)と、少なくとも1種類の金属塩を含有する溶液(金属塩含有溶液)とを用意し、微細化セルロース分散液を攪拌しながら、微細化セルロース分散液に金属塩含有溶液を添加して調製することができる。また、微細化セルロース分散液に、直接、固体の金属塩を加えてもよく、金属塩含有溶液に微細化セルロース分散液を添加してもよい。
金属塩含有溶液を準備する場合、金属塩含有溶液に用いる溶媒は、金属塩が充分に分散または溶解するものであれば、特に限定されない。
環境への負荷の面からは、溶媒としては、水を用いることが好ましい。
また、金属塩含有溶液中の金属塩の濃度も特に限定されない。
金属塩および微細化セルロース分散液における金属塩の濃度は、特に限定されないが、0.002mmol/L以上20.0mmol/L以下であることが好ましい。特に、微細化セルロースとしてCSNFを用いる場合、繊維表面に存在するカルボキシ基に金属イオンが配位するため、金属塩の濃度(金属イオンの濃度)が、カルボキシ基量未満となるように調製することが好ましい。金属塩の濃度(金属イオンの濃度)が微細化セルロース表面に存在するカルボキシ基量を上回ってしまうとCSNFが凝集することがある。
環境への負荷の面からは、溶媒としては、水を用いることが好ましい。
複合体の分散性の観点からは、溶媒としては、水や親水性溶媒を用いることが好ましい。親水性溶媒としては、特に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が好ましい。
金属塩および微細化セルロース分散液における微細化セルロースの固形分濃度は、特に限定されないが、0.01質量%以上90質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
金属塩および微細化セルロース含有液の溶媒としては、微細化セルロースが充分に溶解または分散するものであれば、特に限定されない。
金属微粒子および微細化セルロースの分散性の観点からは、溶媒としては、水や親水性溶媒を用いることが好ましい。親水性溶媒としては、特に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が好ましい。
金属塩および微細化セルロース含有液のpHは、特に限定されないが、pH2以上pH12以下であることが好ましい。
また、金属塩および微細化セルロース含有液の温度は、特に限定されないが、溶媒に水を用いる場合には4℃以上100℃以下であることが好ましい。
本実施形態の複合体の製造方法において、工程cでは、金属塩および微細化セルロース含有液中の金属イオンを還元し、反応液を調製して複合体分散液を得る。
金属塩および微細化セルロース含有液中の金属イオンを還元させる方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、還元剤、紫外線、電子線、液中プラズマ等を用いる方法を採用することができる。金属イオンの還元に用いる還元剤としては、公知の還元剤を用いることができる。
金属塩および微細化セルロース含有液における還元剤の添加量(還元剤の濃度)は、特に限定されないが、金属塩および微細化セルロース含有液における金属塩の濃度と等量以上となるようにすることが好ましく、0.002mmol/L以上2000mmol/L以下であることがより好ましい。
還元剤を用いて、金属塩および微細化セルロース含有液中の金属イオンを還元させる場合の還元剤の添加方法は特に限定されないが、予め還元剤を水等の溶媒に溶解または分散させてから、その溶液または分散液を金属塩および微細化セルロース含有液に添加してもよい。
なお、本実施形態の複合体の製造方法は、特に限定されないが、上述の工程a、工程b、工程cを少なくとも含むことが好ましい。各工程の間に他の工程が入ってもよい。
複合体12は、さらに、他の金属あるいは金属酸化物で被覆して安定性を向上させてもよい。被覆に用いられる金属または金属酸化物は、特に限定されない。このような金属または金属酸化物としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、白金、亜鉛、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、金属塩、金属錯体およびこれらの合金、または酸化物、複酸化物が挙げられる。
微細化セルロースを遠心分離で濃縮する場合、超遠心分離機で濃縮する必要がある。しかし、平板状銀/微細化セルロース複合体(複合体)を樹脂と複合化する場合、密度の高い金属が結合しているため、沈降係数が高くなり、微細化セルロース分散液単独の場合より、非常に効率的に濃縮することが可能である。このため、樹脂と複合化する際に溶媒の割合を下げることが可能であり、効率よく成形体を得ることが可能となる。
本実施形態に係る樹脂成形体1は、水性ディスパージョン成分及び水性エマルジョン成分の少なくとも一方を有する合成樹脂11を含んでいる。ここで、水性ディスパージョンや水性エマルジョンはそれぞれ水性ディスパーションや水性エマルションと呼ばれることがあり、水を含む水性分散媒中に分散された水性樹脂であれば、本実施形態に含まれるものとする。また、水性ディスパージョンと水性エマルジョンの樹脂としての総称として合成樹脂11という表現を用いるものとする。
この水性ディスパージョンや水性エマルジョンは、主な分散媒として水を用い、ポリマーをサブミクロンから数ミクロンの粒径に分散させたものである。これらの分散媒を揮発させることによりポリマー同士が変形融合し、連続的な構造を形成する。
また、水性ディスパージョンや水性エマルジョンは、合成樹脂11の重合度は高いが合成樹脂11が個々に独立した微粒子を形成しているため、塗液としての粘度は低い。そのため、本実施形態の構成材料である複合体含有物が高い粘度を有していても良好な混合性を得ることができる。
水性ディスパージョンや水性エマルジョンからなる合成樹脂11としては、例えば、酢酸ビニル系、ウレタン系、アクリル系、スチレン系、フェノール系、アミノ系、アミド系、ポリエステル系、エチレン系、ポリビニルアルコール系が用いられる。また、これらは単独でもよく、共重合したものや二種類以上併せて用いたものであってもよい。また、反応性の合成樹脂11を用いても構わない。その場合、例えば、硬化剤や硬化触媒、光重合開始剤、連鎖移動剤等を併用することができる。ここで、樹脂成形体1を構成する合成樹脂11と複合体12との間での相分離により生じる脆性を良化するため、合成樹脂11としては柔軟性を有することが好ましく、ウレタン系がより好ましい。ウレタン系においては、ウレタン構造を構成するポリオールの種類によってポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系等が開発されており、いずれも用いることができる。
以下、本実施形態に係る樹脂成形体1の製造方法について説明する。
本実施形態における樹脂成形体1は、特に限定されないが、水性ディスパージョン成分及び水性エマルジョン成分の少なくとも一方を有する合成樹脂と、平板状金属/微細化セルロース複合体(複合体)とを少なくとも含み、上記複合体は、平板状金属微粒子と、少なくとも一つ以上の微細化されたセルロースとが複合化された、平板状金属微粒子と微細化セルロースとの複合体であり、それぞれの微細化セルロースについて少なくとも一部(一部分)又は全部が平板状金属微粒子に取り込まれており、残部が平板状金属微粒子の表面に露出するように複合化されたものである樹脂組成物により形成できる。
樹脂組成物は、溶媒として少なくとも水を含むが、更に水以外の公知の溶媒を含んでも構わない。複合体12と混合する観点から、溶媒としては、親水性溶媒を用いることが好ましい。親水性溶媒としては、特に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が好ましい。これらの溶媒の中でも、エタノールが好ましい。
塗工方法としては公知の方法を用いることができる。具体的には、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、フローコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコーティング法、グラビアロールコーティング法、エアドクターコーティング法、プレードコーティング法、ワイヤードクターコーティング法、ナイフコーティング法、リバースコーティング法、トランスファロールコーティング法、マイクログラビアコーティング法、キスコーティング法、キャストコーティング法、スロットオリフィスコーティング法、カレンダーコーティング法、ダイコーティング法等を用いることができる。
支持体上に塗工した樹脂組成物を乾燥させて、つまり、系内の余分な分散媒を除去することにより樹脂成形体1を形成することができる。さらに、樹脂成形体1の作製後に樹脂の反応進行やその他の特性向上を目的として、樹脂成形体1を追加熱してもよい。また、光反応性材料を用いる場合は、反応を進行させる波長の光を樹脂成形体1に照射しても構わない。
本実施形態で得られる樹脂成形体1の厚さTは、1μm以上500μm以下の範囲内が好ましく、10μm以上200μm以下の範囲内がより好ましく、20μm以上100μm以下の範囲内が特に好ましい。厚さTが1μm未満になると、樹脂成形体1の強度が極端に弱くなり、生産に不向きとなる。また、500μmを超えると乾燥速度に非常に時間がかかり生産性が極端に低下したり、樹脂成形体1の内部に余分な水分が残留するなどの問題が生じるため好ましくない。
樹脂成形体1を形成する支持体としては、視認性の向上などを目的として、金属光沢を有する層や様々な色を有する層を積層したものを用いても構わない。これらの金属光沢を有する層や様々な色を有する層は、支持体の樹脂成形体1を形成する側に予め形成しておくことが可能であり、または、支持体が透明である場合、支持体の樹脂成形体1を形成する側と反対側の面に形成することも可能である。
本実施形態では、樹脂成形体1に熱硬化性樹脂をさらに添加しても構わない。熱硬化性樹脂を用いると、塗工した樹脂組成物中に含まれた水等の分散媒を除去する工程と、合成樹脂11の粒子同士が融着する成形工程とを同時に進行させることができる。
また、樹脂成形体1に紫外線や電子線などの活性エネルギー線を照射することにより樹脂の硬化を選択的に進行させることが可能であることから、光硬化性樹脂をさらに添加しても構わない。なお、硬化反応の過程で溶剤の除去や反応性を向上させる目的などで加熱工程を入れても構わない。
また、耐水性や耐磨耗性を向上させるなどの目的により架橋構造を形成するため、樹脂成形体1は各種架橋剤を含んでもよい。加熱によって架橋構造を形成する架橋剤としては、限定されないが、例えば、オキサゾリン、ジビニルスルホン、カルボジイミド、ジヒドラジン、ジヒドラジド、エピクロルヒドリン、グリオキザール、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物などを用いることができる。また、それらの中の2種類以上を混合して用いることも可能である。これらの中で、カルボジイミドは大きなエネルギーを加えなくても効率的に架橋構造を形成することができるため好ましい。
また、合成樹脂11と複合体含有物とを混合した樹脂組成物に凝集や沈殿を生じない範囲において、粘度調整や乾燥速度の調整、異種材料との親和性向上等を目的として、付加したい機能に応じて、水をはじめ、様々な有機溶媒を混合させることができる。
また、樹脂成形体1はその他添加物として、金属等を含んでもよい。樹脂成形体1に含まれる金属としては、例えば、金、銀、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウムの白金族元素の他、鉄、鉛、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウムなどの金属またはこれらの合金、または酸化物、複酸化物、炭化物などを用いることができる。
樹脂成形体1は、成形性の向上や劣化抑制、光学材料の分散性の向上等の目的で、公知の添加剤を混合することができる。例えば、熱安定剤、安定化助剤、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤を含んでも構わない。
本実施形態である樹脂成形体1は、特定波長領域に吸収を有する複合体12を含むため、400nm以上2500nm以下の波長領域で、透過率が極小となる極小波長(λmax)を有することが好ましい。複合体12の効果により、特定波長を吸収または反射することができる。
透過スペクトルの測定方法は、特に限定されないが次のような方法で測定できる。リファレンスは空で測定をし、樹脂成形体の光線透過率を、波長220nmから2500nmまで分光光度計UV-3600(島津製作所製)にて測定した。得られた光線透過率から、光線透過率が極小となった波長を樹脂成形体のλmax(nm)とする。
最大強度と破断伸度は、特に限定されないが、例えば、次の方法で測定することができる。樹脂成形体1を15mm幅の短冊状に切り出し、小型卓上試験機EZ-LX(島津製作所社製)を用い、ロードセル1.000N、引張速度5mm/分の条件で、評価部50mmの間隔を空けて両端をチャックしながら長辺方向の伸度と強度を検出し、引張強度(N/mm2)及び破断伸び(%)を測定できる。樹脂成形体は測定1日以上前に23℃、47~50%RHの恒温恒湿室にて調湿し、測定も同環境で行う。
線膨張係数は、特に限定されないが、次の方法で測定することができる。樹脂成形体を15mmの長さで4mm幅の短冊状に切り出し、両端を50mNの張力でチャックしながら15~180℃まで5℃/分で加熱した際の長辺方向の伸びを、熱機械的装置TMA/SS-6000(セイコーインスツルメンツ製)を用いて測定し、Tg以上の140℃から160℃までのサンプル伸びから線膨張係数を算出する。
本実施形態の樹脂成形体は、含水率の変化による可逆的な透明度変化を利用して、目視可能な各種情報の書き込み及び消去が繰り返し可能となる。
より詳しくは、このような構成であれば、含水率の変化のみによって透明度を透明状態から白濁不透明状態まで可逆的に変化する。
本実施形態の樹脂成形体は、特に限定されないが、例えば、光学フィルター、遮熱フィルム、抗菌フィルム、パーソナルケア用品、化粧品、医療用材料等に応用できる。更に、含水率の変化による可逆的な透明度の変化を利用して、目視可能な各種情報書き込みおよび消去が繰り返し可能な標示材料を簡便かつ安価に提供することができる。
<実施例1>
(微細化セルロースの製造)
(試薬・材料)
・セルロース: 漂白クラフトパルプ(フレッチャー チャレンジ カナダ「MACHENZIE」)
・TEMPO: 市販品(東京化成工業社製、98%)
次亜塩素酸ナトリウム: 市販品(和光純薬社製、CL:5%)
・臭化ナトリウム: 市販品(和光純薬社製)
針葉樹クラフトパルプ70gを蒸留水3500gに懸濁し、懸濁液を調製した。
この懸濁液に、蒸留水350gにTEMPOを0.7g、臭化ナトリウムを7g溶解させた溶液を加え、20℃まで冷却した。
この溶液に、2mol/L、密度1.15g/mLの次亜塩素酸ナトリウム水溶液450gを滴下し、酸化反応を開始した。反応中の系内の温度を常に40℃に保った。また、反応中は系内のpHが低下するが、0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加することで、pH10に保ち続けた。
セルロースの質量に対して、水酸化ナトリウムが3.0mmol/gになった時点で、過剰量のエタノールを添加し、反応を停止させた。
その後、反応後の混合物をガラスフィルターでろ過した後、十分な水の量による水洗、ろ過を繰り返すことにより、酸化セルロースを得た。
TEMPO酸化で得られた酸化セルロース1gを蒸留水99gに分散させた。
そして、酸化セルロースを含む分散液に、高圧ホモジナイザーを用いて微細化処理を施し、微細化セルロースの含有量が1質量%の微細化セルロース水分散液を得た。
続いて、硝酸銀250mgを蒸留水50mLに溶解させ、硝酸銀水溶液を調製した。
水素化ホウ素ナトリウム250mgを蒸留水50mLに溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム水溶液を調製した。
上記の微細化セルロース水分散液0.2Lを容器に入れ、攪拌翼で攪拌しながら、硝酸銀水溶液2.4gを室温(25℃)で添加して、微細化セルロースと硝酸銀を含む分散液を調製した。続いて、微細化セルロースと硝酸銀を含む分散液に水素化ホウ素ナトリウム水溶液を添加して反応させ、複合体分散液を製造した。得られた複合体分散液中の複合体を複合体Aとする。
上記複合体A分散液を、200mLの遠心管に入れて希釈し、10,000×g(gは重力加速度)で遠心分離し、沈降した複合体を回収し、固形分濃度が10質量%の複合体A含有物を得た。
(1)樹脂組成物の作製
合成樹脂I(ポリウレタンディスパージョン ハイドラン HW171、DIC製)と上述した手順にて作製した複合体A含有物とが固形分質量比にてこの順に70:30となるようにスターラーにて一晩混合し、合成樹脂Iと複合体Aの樹脂組成物を調製した。尚、樹脂組成物中の銀の固形分率は0.05質量%であった。
(2)樹脂成形体1の作製
調製した上記の樹脂組成物をPETフィルム(ルミラーT60-75μm:東レ)にアプリケーターにて塗工してオーブンにて120℃で10分間乾燥した後にPETフィルムを剥離することで、50μm厚の樹脂成形体1を作製した。
実施例1にて、樹脂成形体の膜厚を20μm厚とした以外は実施例1と同様の条件にて樹脂成形体1を作製した。
<実施例3>
実施例1にて、樹脂成形体の膜厚を100μm厚とした以外は実施例1と同様の条件にて樹脂成形体1を作製した。
<実施例4>
合成樹脂Iと複合体A含有物とが固形分質量比にてこの順に90:10となるように調製した。その他は実施例1と同様の条件にて樹脂成形体1を作製した。
合成樹脂Iと複合体A含有物とが固形分質量比にてこの順に50:50となるように調製した。その他は実施例1と同様の条件にて樹脂成形体1を作製した。
<実施例6>
合成樹脂Iと合成樹脂II(ポリウレタンディスパージョン エバファノール HA560、日華化学製)と複合体A含有物とが固形分質量比にてこの順に40:40:20となるように調製した。その他は実施例1と同様の条件にて樹脂成形体1を作製した。
合成樹脂Iと合成樹脂III(ポリウレタンディスパージョン ハイドラン UV-100S、DIC製)と光重合開始剤I(Irgacure2959、BASF製)と複合体A含有物とが固形分質量比にてこの順に55:24:1:20となるように調製し、樹脂組成物をPETフィルム(ルミラーT60-75μm、東レ製)にアプリケーターにて塗工してオーブンにて120℃で10分間乾燥した後に、積算露光量500mJ/cm2にて紫外線硬化した。その他は実施例1と同様の条件にて樹脂成形体1を作製した。
<実施例8>
複合体製造において、硝酸銀水溶液4.8gを添加して複合体Bを調製し、複合体A含有物の代わりに同量の複合体B含有物を用いた。その他は実施例1と同様の条件にて樹脂成形体1を作製した。
組成物及び樹脂成形体1の作製において、複合体A含有物の代わりに同質量の水を用いた他は実施例1と同様の条件にて樹脂成形体1を作製した。
<比較例2>
複合体A含有物の代わりに同質量の水を用いた他は実施例6と同様の条件にて樹脂成形体1を作製した。
<比較例3>
複合体製造において、微細化セルロースの代わりに同質量の水溶性高分子であるゼラチンを用い、銀微粒子である生成物Cを得た他は実施例1と同様の条件にて樹脂成形体1を作製した。なお、この比較例3においては、ゼラチン水溶液中で銀微粒子を生成しているだけで、ゼラチンと銀が複合体を形成しているものではない。
実施例1~8及び、比較例1~3について、微細化セルロースの評価結果を表1、図8、図9に、複合体の評価結果を表2に、複合体Aと複合体BのSTEM像を図10、図11に、樹脂成形体1の作製条件を後述の表3に、樹脂成形体1の評価結果を表4に示した。
実施例1で得られた酸化セルロース、微細化セルロースについて、カルボキシ基量、結晶化度、長軸の数平均軸径、光線透過率およびレオロジーの測定や算出を次のように行った。得られた微細化セルロースの評価結果を表1、図8、図9に示す。
分散処理前の酸化セルロースについて、カルボキシ基量を以下の方法にて算出した。
酸化セルロースの乾燥質量換算0.2gをビーカーに採り、イオン交換水80mLを添加した。
そこに、0.01mol/L塩化ナトリウム水溶液5mLを加え、攪拌しながら、0.1mol/L塩酸を加えて、全体がpH2.8となるように調整した。
そこに、自動滴定装置(商品名:AUT-701、東亜ディーケーケー社製)を用いて、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を0.05mL/30秒で注入し、30秒毎の電導度とpH値を測定し、pH11まで測定を続けた。
得られた電導度曲線から、水酸化ナトリウムの滴定量を求め、カルボキシ基の含有量を算出した。
TEMPO酸化セルロースの結晶化度を算出した。
TEMPO酸化セルロースについて、試料水平型多目的X線回折装置(商品名:UltimaIII、Rigaku社製)を用い、X線出力:(40kv、40mA)の条件で、5°≦2θ≦35°の範囲でX線回折パターンを測定した。得られるX線回折パターンはセルロースI型結晶構造に由来するものであるため、下記の式(2)を用い、以下に示す手法により、TEMPO酸化セルロースの結晶化度を算出した。
結晶化度(%)=〔(I22.6-I18.5)/I22.6〕×100・・・(2)
ただし、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、I18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。
原子間力顕微鏡を用いて、微細化セルロースの長軸の数平均軸径を算出した。
まず、微細化セルロース水分散液を0.001%となるように希釈した後、マイカ板上に20μLずつキャストして風乾した。
乾燥後に原子間力顕微鏡(商品名:AFM5400L、日立ハイテクノロジーズ社製)を用い、DFMモードで微細化セルロースの形状を観察した。
微細化セルロースの長軸の数平均軸径は、原子間力顕微鏡による観察画像から100本の繊維の長軸径(最大径)を測定し、その平均値として求めた。
[微細化セルロース水分散液の光線透過率の測定]
微細化セルロース水分散液について、光線透過率を測定した。
石英製のサンプルセルの一方にはリファレンスとして水を入れ、もう一方には気泡が混入しないように微細化セルロース水分散液を入れ、光路長1cmにおける波長220nmから1300nmまでの光線透過率を分光光度計(商品名:NRS-1000、日本分光社製)にて測定した。
微細化セルロース0.5質量%の分散液のレオロジーをレオメータ(商品名:AR2000ex、ティー・エイ・インスツルメント社製)傾斜角1°のコーンプレートにて測定した。
測定部を25℃に温調し、せん断速度を0.01s-1から1000s-1について連続的にせん断粘度を測定した。せん断速度が1s-1と100s-1のときのせん断粘度を表1に示す。
実施例1~8の複合体含有物、比較例3の生成物Cについて、光線透過率を測定した。
石英製のサンプルセルにサンプルまたはリファレンスを入れ、光路長1cmにおける波長220nmから1300nmまでの光線透過率を分光光度計UV-3600(島津製作所製)にて測定した。複合体含有物は適宜水で希釈し、気泡が混入しないように石英セルに入れて測定を行った。得られた光線透過率から、光線透過率が極小となった波長を分散液のλmax(nm)とした。結果を表2に示す。
実施例1~8および比較例1、2の複合体を含む分散液を、支持膜付き銅グリッド上にキャストして風乾した後、走査型電子顕微鏡(商品名:S-4800、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、実施例1~8の複合体Aおよび複合体B、比較例3の生成物CをSTEMモードにて観察した。
実施例1~8の複合体含有物、比較例3の生成物Cの分散液を透過型電子顕微鏡観察用支持膜付き銅グリッド上にキャストして風乾した後、走査透過型電子顕微鏡で観察した。走査透過型電子顕微鏡像中の平板状金属微粒子を、円形で近似した際の面積から円相当粒子径を、平面方向の粒子径として算出する。上記の平均値は、100個の粒子を測定して求めた。
実施例1~8の複合体含有物、比較例3の生成物Cの平均アスペクト比は、上述のようにして求めた平均粒子径を平均厚みで割った値とした。試料を含む分散液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にキャストして風乾し、包埋樹脂で固定したものをミクロトームで断面方向に切削し、透過型電子顕微鏡で観察することにより、断面方向から観察した平板状金属微粒子の透過型電子顕微鏡像を得た。この透過型電子顕微鏡中の平板状金属微粒子の厚みを、平面方向と垂直な厚みとして算出し、平均値は、100個の粒子を測定して求めた。
上述のようにして求めた、平板状金属微粒子の厚みの平均値に対する直径d(円相当粒子径)の平均値、平板状金属微粒子21のアスペクト比(dの平均値/hの平均値)として算出した。
得られた樹脂成形体1を15mm幅の短冊状に切り出し、小型卓上試験機EZ-LX(島津製作所社製)を用い、ロードセル1.000N、引張速度5mm/分の条件で、評価部50mmの間隔を空けて両端をチャックしながら長辺方向の伸度と強度を検出し、最大強度(N/mm2)及び破断伸び(%)を測定した。尚、樹脂成形体は測定1日以上前に23℃、47~50%RHの恒温恒湿室にて調湿し、測定も同環境で行った。
樹脂成形体1を15mmの長さで4mm幅の短冊状に切り出し、両端を50mNの張力でチャックしながら15~180℃まで5℃/分で加熱した際の長辺方向の伸びを、熱機械的装置TMA/SS-6000(セイコーインスツルメンツ製)を用いて測定し、20℃から40℃の線膨張係数と、Tg以上の140℃から160℃のサンプル伸びから線膨張係数を算出した。
リファレンスは空で測定をし、樹脂成形体1の光線透過率を、波長220nmから2500nmまで分光光度計UV-3600(島津製作所製)にて測定した。得られた光線透過率から、光線透過率が極小となった波長を樹脂成形体1のλmax(nm)とした。
得られた樹脂成形体1について、水に1分間浸漬させた後に表面の水分を拭き取り、直後に樹脂成形体1の形成時にPETと反対側の面についてHaze Mater NDH200(日本電色製)を用いてヘイズを測定した。このときの値をHZ1とした。さらに、水に浸漬させたサンプルを60℃のオーブンにて30分間乾燥させた後に23℃、50%RHの恒温恒湿槽にて2日間調湿した後に、同様にヘイズを測定した。このときの値をHZ2とした。このとき、以下の式(1)、式(2)を満たす場合は、「○」、満たさない場合は「×」とした。
HZ1-HZ2≧15(%) ・・・(1)
HZ2≦5(%) ・・・(2)
ヘイズHZ2を測定したのと同様の条件下の樹脂成形体1について、水分を保持できる筆状の筆記具を用いて樹脂成形体1上に書き込みを行い、目視にて視認できるかを官能評価した。なお、視認性が極めて高かったものを「◎」、視認性が高かったものを「○」、使用できる程度に視認性が高かったものを「△」、視認性が低かったものを「×」として評価した。
[繰り返し耐久性]
樹脂成形体1を水への1分間の浸漬と60℃オーブンでの30分間の乾燥を100回繰り返した際の視認性を目視にて官能評価した。なお、上述した視認性の評価と同様に、視認性が極めて高かったものを「◎」、視認性が高かったものを「○」、使用できる程度に視認性が高かったものを「△」、視認性が低かったものを「×」として評価した。
表1、図8および図9の結果から、実施例1では、結晶性が高く、可視光領域で高い透過率を示し、低粘度の微細化セルロースを製造することができたことが分かった。
表2は、実施例1~実施例8で作製した複合体A、複合体B、及び比較例3で作製した生成物Cのλmaxと平均粒子径、平均厚み、平均アスペクト比を示した。
実施例1から実施例8においては、その組成により機械特性を制御し、且つ高い寸法安定性を示し、そのヘイズ特性、視認性から、含水率の変化による可逆的な透明度変化を利用して、目視可能な各種情報の書き込み及び消去が繰り返し可能となる。更に、複合体による特定波長領域を遮蔽する光学特性を示している。一方、比較例1から比較例3においては機械特性も良好でなく、ヘイズ特性、視認性も良好ではなかった。
11・・・合成樹脂
12・・・平板状金属/微細化セルロース複合体
21・・・平板状金属微粒子
22・・・微細化セルロース
22a・・・微細化セルロース(金属微粒子の内部に取り込まれている部分)
22b・・・微細化セルロース(金属微粒子表面に露出している部分)
23・・・表面
24・・・裏面
25・・・側面
26・・・PET層
27・・・包埋樹脂層
d・・・粒子径
h・・・粒子の厚み
Claims (12)
- 水性ディスパージョン成分及び水性エマルジョン成分の少なくとも一方を有する合成樹脂と、複合体とを少なくとも含み、
前記複合体は、平板状金属微粒子と、少なくとも一つ以上の微細化されたセルロースとが複合化された、平板状金属微粒子と微細化セルロースとの複合体であり、それぞれの微細化セルロースについて少なくとも一部又は全部が平板状金属微粒子に取り込まれており、残部があればその残部が平板状金属微粒子の表面に露出するように複合化されたものであり、
樹脂成形体の破断強度が40N/mm2以上で、且つ破断伸度が4%以上であることを特徴とする樹脂成形体。 - 水性ディスパージョン成分及び水性エマルジョン成分の少なくとも一方を有する合成樹脂と、複合体とを少なくとも含み、
前記複合体は、平板状金属微粒子と、少なくとも一つ以上の微細化されたセルロースとが複合化された、平板状金属微粒子と微細化セルロースとの複合体であり、それぞれの微細化セルロースについて少なくとも一部又は全部が平板状金属微粒子に取り込まれており、残部があればその残部が平板状金属微粒子の表面に露出するように複合化されたものであり、
樹脂成形体の線膨張係数が100×10-5/K以下であることを特徴とする樹脂成形体。 - 水性ディスパージョン成分及び水性エマルジョン成分の少なくとも一方を有する合成樹脂と、複合体とを少なくとも含み、
前記複合体は、平板状金属微粒子と、少なくとも一つ以上の微細化されたセルロースとが複合化された、平板状金属微粒子と微細化セルロースとの複合体であり、それぞれの微細化セルロースについて少なくとも一部又は全部が平板状金属微粒子に取り込まれており、残部があればその残部が平板状金属微粒子の表面に露出するように複合化されたものであり、
樹脂成形体の含水率が25%以上の当該樹脂成形体のヘイズをHZ1とし、
前記含水率が8%以下の当該樹脂成形体のヘイズをHZ2とした場合、HZ1とHZ2が以下の(1)式及び(2)式を満たすことを特徴とする樹脂成形体。
HZ1-HZ2≧15(%) ・・・(1)
HZ2≦5(%) ・・・(2) - 前記合成樹脂と混合される複合体含有物の固形分率が、1質量%以上50質量%以下であり、金属の固形分率が、0.01質量%以上、50.00質量%以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
- 前記樹脂成形体の透過率スペクトルにおいて、400nm以上2500nm以下の波長領域で、透過率が極小となる極小波長を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
- 前記樹脂成形体中の微細化セルロースの含有量は、前記合成樹脂100質量部に対して5質量部以上200質量部以下の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
- 前記水性ディスパージョン成分及び水性エマルジョン成分の少なくとも一方がアニオン性又はノニオン性であることを特徴とする請求項3に記載の樹脂成形体。
- 前記平板状金属微粒子の
厚みhの平均値が、1nm以上50nm以下の範囲であり、
粒子径dの平均値が、2nm以上1000nm以下の範囲である
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の樹脂成形体。 - 前記平板状金属微粒子の粒子径dの平均値が、当該平板状金属微粒子の厚みhの平均値の2倍以上であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
- 前記金属が金、銀、銅の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
- 前記樹脂成形体の厚みは、1μm以上500μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
- 複合体を準備する工程と、樹脂組成物調製工程と、樹脂成形体作製工程とを含み、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の樹脂成形体を、支持体上にウェット塗工により形成することを特徴とする樹脂成形体の製造方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017095937 | 2017-05-12 | ||
JP2017095937 | 2017-05-12 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018193551A JP2018193551A (ja) | 2018-12-06 |
JP7143628B2 true JP7143628B2 (ja) | 2022-09-29 |
Family
ID=64571567
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018093260A Active JP7143628B2 (ja) | 2017-05-12 | 2018-05-14 | 樹脂成形体、及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7143628B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7363120B2 (ja) * | 2019-06-14 | 2023-10-18 | Toppanホールディングス株式会社 | 化学物質吸着性複合粒子、化学物質吸着性複合粒子の製造方法、化学物質吸着性複合粒子を含む乾燥粉体、繊維シートおよび多孔体 |
US20230272557A1 (en) * | 2020-05-29 | 2023-08-31 | Lg Chem, Ltd. | Fibrillated Fiber And Method For Preparing The Same |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013010891A (ja) | 2011-06-30 | 2013-01-17 | Univ Of Tokyo | セルロースナノファイバー複合体とその製造方法 |
WO2015170613A1 (ja) | 2014-05-09 | 2015-11-12 | 凸版印刷株式会社 | 複合体、複合体の製造方法、分散液、分散液の製造方法および光学材料 |
JP2015219318A (ja) | 2014-05-15 | 2015-12-07 | 凸版印刷株式会社 | 赤外線遮蔽材料、コーティング組成物及び赤外線遮蔽フィルム |
JP2015218159A (ja) | 2014-05-21 | 2015-12-07 | 凸版印刷株式会社 | 抗菌性組成物、積層体、及び成形体 |
JP2018083863A (ja) | 2016-11-21 | 2018-05-31 | 凸版印刷株式会社 | 樹脂成形体及び樹脂成形体の製造方法 |
-
2018
- 2018-05-14 JP JP2018093260A patent/JP7143628B2/ja active Active
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013010891A (ja) | 2011-06-30 | 2013-01-17 | Univ Of Tokyo | セルロースナノファイバー複合体とその製造方法 |
WO2015170613A1 (ja) | 2014-05-09 | 2015-11-12 | 凸版印刷株式会社 | 複合体、複合体の製造方法、分散液、分散液の製造方法および光学材料 |
JP2015219318A (ja) | 2014-05-15 | 2015-12-07 | 凸版印刷株式会社 | 赤外線遮蔽材料、コーティング組成物及び赤外線遮蔽フィルム |
JP2015218159A (ja) | 2014-05-21 | 2015-12-07 | 凸版印刷株式会社 | 抗菌性組成物、積層体、及び成形体 |
JP2018083863A (ja) | 2016-11-21 | 2018-05-31 | 凸版印刷株式会社 | 樹脂成形体及び樹脂成形体の製造方法 |
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
アローベース,日本,ユニチカ株式会社,2022年03月22日,2022年3月22日検索,インターネット <https://www.unitika.co.jp/plastic/products/a-base/ab01.html> |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2018193551A (ja) | 2018-12-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7259218B2 (ja) | 光熱変換材料、光熱変換組成物、および光熱変換成形体 | |
Errokh et al. | Morphology of the nanocellulose produced by periodate oxidation and reductive treatment of cellulose fibers | |
Chen et al. | Highly transparent and hazy cellulose nanopaper simultaneously with a self-cleaning superhydrophobic surface | |
JP6446834B2 (ja) | 複合体の製造方法、及び微細セルロース繊維の分散液 | |
US9987686B2 (en) | Complex, method for producing complex, dispersion liquid, method for producing dispersion liquid, and optical material | |
JP6421455B2 (ja) | 複合体の製造方法、及び複合体 | |
Missoum et al. | Organization of aliphatic chains grafted on nanofibrillated cellulose and influence on final properties | |
Ifuku et al. | Synthesis of silver nanoparticles templated by TEMPO-mediated oxidized bacterial cellulose nanofibers | |
Fan et al. | TEMPO-mediated oxidation of β-chitin to prepare individual nanofibrils | |
JP6083165B2 (ja) | 金属/セルロース複合化微細繊維の製造方法、金属/セルロース複合化微細繊維を含む分散体および透明導電膜の製造方法 | |
Chauhan et al. | Use of nanotechnology for high performance cellulosic and papermaking products | |
JP6446829B2 (ja) | 赤外線遮蔽材料、コーティング組成物及び赤外線遮蔽フィルム | |
JP6819048B2 (ja) | 樹脂組成物、ならびに樹脂成形体及びその製造方法 | |
JP7143628B2 (ja) | 樹脂成形体、及びその製造方法 | |
Okahashi et al. | Nanocellulose-containing cellulose ether composite films prepared from aqueous mixtures by casting and drying method | |
Tian et al. | A facile approach for preparing nanofibrillated cellulose from bleached corn stalk with tailored surface functions | |
JP7167433B2 (ja) | 樹脂組成物および樹脂組成物の製造方法 | |
JP6303258B2 (ja) | 銀と微細化セルロース繊維の複合体の製造方法及び遮熱フィルムの製造方法 | |
Kondo | Cellulose nanofibrils pulverized from biomass resources: past, present, and future perspectives | |
JP7031144B2 (ja) | 樹脂成形体、樹脂成形体の製造方法、および樹脂組成物 | |
Zheng et al. | Oxidizing and nano-dispersing the natural silk fibers | |
JP6402454B2 (ja) | 光学材料及び光学フィルター | |
JP2019065409A (ja) | 乾燥固形物および乾燥固形物の製造方法 | |
JP6915261B2 (ja) | 樹脂成形体及び樹脂成形体の製造方法 | |
JP6638783B2 (ja) | 光学フィルター |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210421 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220323 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220405 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220602 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220614 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220802 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220816 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220829 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7143628 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |