JP2003315531A - 金属ナノロッド含有高分子フィルムと光学フィルター - Google Patents

金属ナノロッド含有高分子フィルムと光学フィルター

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Yoshiaki Takada
佳明 高田
Hirotsuyo Mizoguchi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可視光・近赤外光に対する吸収機能と電磁
波遮蔽機能とを有する高分子フィルムとこれによって形
成された光学フィルターを提供する。 【解決手段】 長軸が400nm未満であって、アスペク
ト比が1より大きいロッド状の金属ナノロッドを樹脂成
分に分散させたことを特徴とし、波長400nm〜200
0nmの可視光・近赤外光領域の特定波長に対して選択的
な吸収機能を有する高分子フィルムおよびこれによって
形成された光学フィルターであり、この高分子フィルム
および光学フィルターは可視光・近赤外光に対して優れ
た選択的吸収機能と電磁波遮蔽機能を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可視光・近赤外光
領域に属する特定波長に対して選択的な吸収機能および
電磁波遮蔽機能を有する金属ナノロッドを含有する高分
子フィルム、およびこの高分子フィルムによって形成し
た可視光・近赤外光に対して選択的な吸収機能および電
磁波遮蔽機能を有する光学フィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】金属の微粒子に光を照射するとプラズモ
ン吸収と呼ばれる共鳴吸収現象が生じる。この吸収現象
は金属の種類と形状によって吸収波長域が異なる。例え
ば、球状の金微粒子が水に分散した金コロイドは530
nm付近に吸収域を持つが、微粒子の形状を短軸10nmの
ロッド状にすると、ロッドの短軸に起因する530nm付
近の吸収の他に、ロッドの長軸に起因する長波長側の吸
収を有することが知られている(例えば、S-S.Chang et
al,Langmuir,1999,15.p701-709)。
【0003】
【発明の解決課題】従来、金属微粒子がこのようなプラ
ズモン吸収を示すことは知られているが、特定形状の金
属微粒子を含有し、可視光・近赤外光の特定波長に対す
る選択的な吸収効果を利用した高分子フィルムおよびこ
の効果を利用した光学フィルターはこれまで知られてい
ない。例えば、特開平11−80647号および特開平
11−319538号には、貴金属や銅のコロイド粒子
と高分子顔料分散剤を含むコロイド溶液が記載されてい
るが、これは塗料としての着色性や溶液の安定性を高め
ることを目的としたものであり、光学特性については全
く意識されていない。また、特表平9−506210号
には金属炭化物ナノ微粒子とその製造方法が記載されて
いるが、金属微粒子の短軸と長軸の比を特定して可視光
および近赤外光に対する吸収機能を高めることことは示
されておらず、これを光学材料に用いることは認識され
ていない。
【0004】一方、特開2000−28813号には、
金属微粒子を分散した樹脂フィルムを積層した電磁波遮
蔽機能を有する光学フィルターや、近赤外線遮蔽機能を
有する樹脂組成物を積層した光学フィルターが記載され
ている。また、特開平2000−56127号には電磁
波と近赤外線に対して遮蔽効果を有する光学フィルター
が記載されている。しかし、前者の近赤外線遮蔽機能を
有する樹脂組成物は不飽和二重結合を有する単量体、リ
ン原子や銅原子を含有する重合体などであり、また後者
は銀薄膜と酸化物薄膜とを交互に積層することによって
電磁波と近赤外線に対して遮蔽効果を有するようにした
ものであって、何れも金属ナノロッドを利用したもので
はない。
【0005】また、金属配線パターンを形成することを
目的として、固体表面に担持させたプラズモン吸収する
無機質微粒子を直径100nm未満およびアスペクト比1
以上に成長させた微細ロッドにして使用することが知ら
れている(特開2001−64794)。しかし、この
方法は、微細ロッドは固体表面に担持された状態で成長
するため、各種溶媒、バインダーに分散させることがで
きないので塗料化することができない。また、金属微粒
子のプラズモン吸収は合成過程における成長目的にのみ
利用されており、金属ナノロッドの長軸に起因する可視
光・近赤外光の特定波長の選択的な吸収に利用したもの
ではない。
【0006】
【課題を解決する手段】以上の従来技術に対して、本発
明は長軸の長さとアスペクト比を特定した金属ナノロッ
ドを用いることによって、波長400nm〜2000nmの
可視光・近赤外光に対して選択的な吸収機能を有すると
共に電磁波遮蔽機能を有する高分子フィルムと、この高
分子フィルムによって形成された光学フィルター等の用
途を提供するものである。
【0007】すなわち、本発明によれば以下の構成から
なる高分子フィルムおよび光学フィルターが提供され
る。 (1)長軸が400nm未満であって、アスペクト比が1
より大きいロッド状の金属微粒子(金属ナノロッド)を
樹脂成分中に分散させたことを特徴とする高分子フィル
ム。 (2)波長400nm〜2000nmの可視光・近赤外光領
域の特定波長に対して選択的な吸収機能を有する上記
(1)の高分子フィルム。 (3)電磁波遮蔽機能を有する上記(1)または(2)の高分
子フィルム。(4)表面抵抗値が2.5Ω/□以下の導電
性を有する上記(1)、(2)または(3)の高分子フィルム。 (5)上記(1)〜(4)の何れかの高分子フィルムによって
形成された波長400nm〜2000nmの可視光・近赤外
光に対する選択的な吸収機能を有する光学フィルター。 (6)上記(1)〜(4)の何れかの高分子フィルムによって
形成された電磁波遮蔽用フィルター。 (7)上記(1)〜(4)の何れかの高分子フィルムによって
形成されたプラズマディスプレー用の光学フィルター。 (8)上記(1)〜(4)の何れかの高分子フィルムを、透明
基材の表面に積層し、または透明な基材の間に介在させ
てなる光学フィルター。 (9)上記(1)〜(4)の何れかの高分子フィルムによって
形成されたカラーフィルター。 (10)上記(1)〜(4)の何れかの高分子フィルムによっ
て形成された熱線遮蔽フィルター。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施形態に基づい
て具体的に説明する。本発明の高分子フィルムは、長軸
が400nm未満であって、アスペクト比が1より大きい
ロッド状の金属微粒子(金属ナノロッド)を含有するこ
とを特徴とし、好適には、波長400nm〜2000nmの
可視光・近赤外光領域の特定波長に対して選択的な吸収
機能を有する高分子フィルムである。
【0009】さらに、本発明の高分子フィルムは、電磁
波遮蔽機能を有すると共に導電性を有し、好ましくは表
面抵抗値が2.5Ω/□以下である。
【0010】金属ナノロッドの金属種としては金、銀、
銅、およびそれらの合金などを用いることができる。本
発明に用いる金属ナノロッドは長軸が400nm未満であ
り、アスペクト比(長軸/短軸比)が1より大きいもので
ある。特に、アスペクト比は2〜10が好適である。な
お、長軸が400nm以上であると、これを溶媒に分散さ
せたときに安定なコロイド状の分散液が得られない。ま
た、アスペクト比(長軸/短軸比)が1の場合には、球
状の金属微粒子が溶媒に分散したコロイド状の分散液と
同じ吸収しか得られず、可視光および近赤外光の任意の
波長に対する選択的な吸収効果が得られない。
【0011】長軸が400nm未満であって、アスペクト
比が1より大きい金属ナノロッドを用いることにより、
金属ナノロッドの長軸による波長吸収能のため、波長4
00nm〜2000nmの可視光・近赤外光に対する選択的
な吸収効果を有することができる。なお、例えば金ナノ
ロッドは短軸の波長吸収能として530nm付近に吸収域
が存在するが、短軸の長さが2nm以下であればこの影響
は無視できる。また、本発明に用いる金属ナノロッドは
長軸が400nm未満であり、好ましくは200nm以下で
ある。これを溶媒に分散させたものは肉眼で粒子として
認識し難い。従って、可視光域に吸収帯がない金属ナノ
ロッドを分散させた高分子フィルムは透明性を有する。
【0012】さらに、この金属ナノロッドは導電性であ
るので電磁波に対する遮蔽機能を有する。従って、この
金属ナノロッドを含む高分子フィルムは波長400nm〜
2000nmの可視光・近赤外光に対して選択的な吸収機
能を有すると共に電磁波遮蔽機能を有する。
【0013】上記金属ナノロッドを樹脂に混合して分散
させ、フィルム状に成形することによって、可視光・近
赤外光に対する選択的な吸収機能を有する本発明の高分
子フィルムを得ることができる。また、この高分子フィ
ルムを利用して上記吸収機能を有する光学フィルターを
得ることができる。具体的には、上記高分子フィルムを
透明な基板上に積層し、あるいは複数の透明基板の間に
挟み込むことによってフィルター層を形成し、可視光・
近赤外光に対する選択的な吸収機能を有する本発明の光
学フィルターを得ることができる。なお、本発明の高分
子フィルムは金属ナノロッドを樹脂に練り込んだものに
限らない。薄い樹脂フィルムなどの表面に上記金属ナノ
ロッドが分散した液をコーティングしてフィルター層を
形成し、これを積層してフィルム状に形成したものでも
良い。
【0014】本発明の高分子フィルム、あるいは光学フ
ィルターのフィルター層は上記金属ナノロッドを含むも
のであればよく、特定の構造や製造方法に限定されな
い。さらにフィルター層は金属ナノロッドによって近赤
外光や電磁波に対して吸収機能ないし遮蔽機能を有すも
のであればよく、金属ナノロッドの含有量なども限定さ
れない。
【0015】本発明の高分子フィルターによって形成さ
れた光学フィルターは波長400nm〜2000nmの可視
光・近赤外光に対して選択的な吸収機能を有すると共に
電磁波遮蔽機能を有する。また、この高分子フィルター
を基材表面に設けたものは上記光吸収機能および電磁波
遮蔽機能と共に導電性を有し、例えば、表面抵抗値2.
5Ω/□以下の導電性を有する。この表面抵抗値以下の
導電性を有するものはプラズマディスプレーパネル(P
DP)の光学フィルターとして必要な近赤外光に対する
十分な光吸収性と電磁波遮蔽性を有するので、この高分
子フィルムを有するフィルターはPDP用の光学フィル
ターとして使用することができる。
【0016】上記高分子フィルムを用いることによっ
て、任意の可視光を遮蔽するカラーフィルターを得るこ
とができる。また、近赤外光などを遮蔽する熱線遮蔽フ
ィルターを形成することができる。
【0017】
【実施例】本発明を実施例によって具体的に示す。な
お、以下の実施例は金ナノロッドを用いた主に400nm
〜1800nmの波長域における光吸収機能ないし電磁波
遮蔽機能を示しているが、金属ナノロッドの種類や長
さ、組成化の条件などを変更することによって2000
nmまでの波長域における光吸収機能および電磁波遮蔽機
能を有することができる。
【0018】〔実施例1〕ヘキサデシルトリメチルアン
モニウムブロミド(CTAB)で表面を保護した金ナノロッ
ド(短軸の平均長さ10nm、長軸の平均長さ50nm)の
水分散液(固形分10質量%)を金ナノロッド含有量が8
0質量%になるようにアクリル樹脂エマルジョン(固形
分40質量%)と混合して塗料化した。この塗料を室温
下に3ヶ月以上放置したところ、変色や沈殿を生成せず
安定であった。また、この塗料を透明な基材の表面に乾
燥厚さ2μmになるように塗布して光学フィルターを形
成した。この光学フィルターに800nm〜1000nmの
光を照射し、分光光度計(日本分光株式会社製:V-57
0)によって透過率を測定したところ、この波長全域に
わたり透過率は15%以下であり、近赤外光に対して十
分な遮蔽効果を有することを確認した。さらに、この光
学フィルターの表面抵抗を4端針法により抵抗率計(三
菱化学株式会社製:ロレスターGP)を用いて測定したところ
2.5Ω/□以下であり、PDP用電磁波遮蔽フィルター
として使用可能な値を示した。
【0019】〔実施例2〕実施例1と同様に、金ナノロ
ッド水分散液をフッ素樹脂エマルジョン(固形分40質
量%)と混合して塗料化し、この塗料を透明な基材の表
面にコーティングして光学フィルターを形成した。この
光学フィルターを室温下に3ヶ月以上放置してもコーテ
ィング層の変色や沈殿を生成せず安定であった。また、
この光学フィルターの800nm〜1000nmの波長に対
する透過率は全域にわたり15%以下であり、表面抵抗
値は2.5Ω/□以下であった。
【0020】〔実施例3〕実施例1と同様の金ナノロッ
ド水分散液を、界面活性剤(アヒ゛シア社製品:ソルスハ゜ース24000
SC)を溶解したトルエン中に混合しながらアセトンを添
加し、1時間攪拌後、静置した。保護剤のCTABはア
セトンによって溶解し、金ナノロッドは界面活性剤(アヒ
゛シア社製品:ソルスハ゜ース24000SC)によって表面処理された。
静置した混合液は無色透明の水相と鮮やかな赤色のトル
エン相に分離した。その後、有機溶媒相のみを抽出し、
さらにエバポレータを用いて余剰のトルエンを除去し、
トルエンの金ナノロッド濃縮液(固形分50質量%)を得
た。この濃縮液は沈殿を生成せず、界面活性剤(アヒ゛シア
社製品:ソルスハ゜ース24000SC)で表面処理された金ナノロッ
ドが安定に分散していた。この濃縮液2gをアクリル樹
脂のトルエン溶液(固形分40質量%)0.625gと混
合して塗料化し、この塗料を透明な基材の表面にコーテ
ィングして光学フィルターを形成した。この光学フィル
ターを室温下に3ヶ月以上放置してもコーティング層は
変色せず安定であった。また、この光学フィルターの8
00nm〜1000nmの波長に対する透過率は全域にわた
り15%以下であり、表面抵抗値は2.5Ω/□以下であ
った。
【0021】〔実施例4〕実施例3と同様の方法で得た
トルエンの金ナノロッド濃縮液2gをウレタン樹脂のト
ルエン溶液(固形分40質量%)0.625gと混合して
塗料化した。この塗料を透明な基材の表面にコーティン
グして光学フィルターを形成した。この光学フィルター
を室温下に3ヶ月以上放置してもコーティング層は変色
せず安定であった。また、この光学フィルターの800
nm〜1000nmの波長に対する透過率は全域にわたり1
5%以下であり、表面抵抗値は2.5Ω/□以下であっ
た。
【0022】〔実施例5〕ヘキサデシルトリメチルアン
モニウムブロミド(CTAB)で表面を保護した金ナノロッ
ド(短軸の平均長さ10nm、長軸の平均長さ50nm)の
水分散液と界面活性剤(アヒ゛シア社製品:ソルスハ゜ース24000SC)
を溶解したトルエンを混合しながらエタノールを添加し
1時間静置した。静置後、混合液は無色透明の水相と鮮
やかな赤色のトルエン相に分離した。その後、トルエン
相のみを抽出し、さらにエバポレーターを用いて余剰の
トルエンを除去し、金ナノロッド濃縮液を得た。この濃
縮液をアクリル樹脂と混合してフィルムに成形した。こ
のフィルムに400nm〜1000mの光を照射して分光
光度計(日本分光株式会社製品:V-570)により吸光度を
測定したところ、900nm付近の近赤外光の領域にピー
クを持つ吸光度曲線を得た。
【0023】〔実施例6〕へキサデシルトリメチルアン
モニウムブロミド(CTAB)で表面を保護した金ナノロッ
ド(短軸の平均長さ10nm、長軸の平均長さ30nm)の
水分散液に実施例1と同様の操作を行って金ナノロッド
濃縮液を得た。この濃縮液をアクリルと混合してフィル
ムに形成した。このフィルムに400nm〜1000nmの
光を照射して分光光度計(日本分光株式会社製品:V-57
0)により吸光度を測定したところ、700nm付近の可
視光の領域にピークを持つ吸光度曲線を得た。
【0024】〔実施例7〕ヘキサデシルトリメチルアン
モニウムブロミド(CTAB)で表面を保護した金ナノロッ
ド(短軸の平均長さ10nm、長軸の平均長さ100nm)
の水分散液10g(金ナノロッド1g含有)をアクリル
樹脂エマルジョン(固形分40質量%)0.625gと混
合して塗料化した。この塗料を室温下に3ヶ月以上放置
したところ、変色や沈殿を生成せず安定であった。ま
た、この塗料を透明な基材(PETシート)に厚さ2μmに
塗布し乾燥してコーティング膜を形成した。この膜に4
00nm〜2000nmの光を照射し、分光光度計(日本分
光株式会社製品:V-570)によって透過率を測定したと
ころ、この1200nm〜1600nmの全域にわたり透過
率は15%以下であり、近赤外光に対して十分な遮蔽効
果を有することを確認した。さらに、このコーティング
膜(膜厚2μm)の表面抵抗を4端針法により抵抗率計
(三菱化学株式会社製品:ロレスターGP)を用いて測定したと
ころ2.5Ω/□以下であった。
【0025】〔実施例8〕実施例7と同様の金ナノロッ
ド(短軸の平均長さ10nm、長軸の平均長さ100nm)
の水分散液をフッ素樹脂エマルジョン(固形分40質量
%)と混合して塗料化した。この塗料について実施例1
1と同様の試験を行ったところ、室温下に3ヶ月以上放
置しても変色や沈殿を生成せず安定であった。また、こ
の塗料を用いたコーティング膜の1200nm〜1600
nmの波長に対する透過率は全域にわたり15%以下であ
り、表面抵抗値は2.5Ω/□以下であった。
【0026】〔実施例9〕実施例7と同様の金ナノロッ
ド(短紬の平均長さ10nm、長軸の平均長さ100nm)
の水分散液を界面活性剤(アヒ゛シア社製品:ソルスハ゜ース24000S
C)を溶解したトルエン中に分散しながらアセトンを添
加し、1時間攪拌後、静置した。保護剤のCTABはア
セトンによって溶解し、金ナノロッドは界面活性剤(アヒ
゛シア社製品:ソルスハ゜ース24000SC)によって表面処理され
た。静置した混合溶液は無色透明の水相と鮮やかな赤色
のトルエン層に分離した.その後、有機溶媒相のみを抽
出し、さらにエバポレーターを用いて余剰のトルエンを
除去し、トルエンの金ナノロッド濃縮液(固形分50質
量%)を得た。この濃縮液は沈殿を生成せず、界面活性
剤(アヒ゛シア社製品:ソルスハ゜ース24000SC)で表面処理された
金ナノロッドが安定に分散していた。この濃縮液2gを
アクリル樹脂のトルエン溶液(固形分40質量%)0.
625gと混合して塗料化した。この塗料は室温下に3
ヶ月以上放置しても変色や沈殿を生成せず安定であっ
た。また、この塗料を用いたコーティング膜(膜厚2μ
m)の1200nm〜1600nmの波長に対する透過率は
全域にわたり15%以下であり、表面抵抗値は2.5Ω/
□以下であった。
【0027】〔実施例10〕実施例7と同様の金ナノロ
ッド(短軸の平均長さ10nm、長軸の平均長さ100n
m)を実施例9と同様の方法で処理して得た金ナノロッ
ド濃縮液2gをウレタン樹脂のトルエン溶液(固形分4
0質量%)0.625gと混合して塗料化した。この塗
料は室温下に3ヶ月以上放置しても変色や沈殿を生成せ
ず安定であった。また、この塗料を用いたコーティング
膜(膜厚2μm)の1200nm〜1600nmの波長に対
する透過率は全域にわたり15%以下であり、表面抵抗
値は2.5Ω/□以下であった。
【0028】〔実施例11〕実施例7と同様の金ナノロ
ッド(短軸の平均長さ10nm、長軸の平均長さ100n
m)を実施例9と同様の方法で処理して得た金ナノロッ
ド濃縮液2gをラジカル重合性オリゴマーのトルエン溶
液(固形分40質量%)0.625gと混合して塗料化
した。この塗料は暗所の室温下に3ヶ月以上放置しても
変色や沈殿を生成せず安定であった。さらに、この塗料
を用いたコーティング膜(膜厚2μm)の1200nm〜
1600nmの波長に対する透過率は全域にわたり15%
以下であり、表面抵抗値は2.5Ω/□以下であった。
【0029】
【発明の効果】本発明の高分子フィルムは、波長400
nm〜2000nmの可視光・近赤外光の特定波長に対して
優れた選択的吸収機能と電磁波遮蔽機能を有する。従っ
て、本発明の高分子フィルムを用いることによって可視
光・近赤外光に対する選択的な光吸収機能と電磁波遮蔽
機能とを有する光学フィルターを得ることができる。さ
らに、本発明の高分子フィルムによって表面抵抗値2.
5Ω/□以下の導電性コーティング層を形成することが
でき、この導電性コーティング層を形成したフィルター
はプラズマディスプレーパネル(PDP)用の光学フィ
ルターとして利用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平田 寛樹 茨城県那珂郡那珂町向山1002番14号 三菱 マテリアル株式会社総合研究所那珂研究セ ンター内 (72)発明者 高田 佳明 茨城県那珂郡那珂町向山1002番14号 三菱 マテリアル株式会社総合研究所那珂研究セ ンター内 (72)発明者 溝口 大剛 茨城県ひたちなか市稲田321−1 Fターム(参考) 2H048 CA05 CA11 CA12 CA14 CA19 CA23 5E321 BB32 BB44 GG05 GH01

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】長軸が400nm未満であって、アスペクト
    比が1より大きいロッド状の金属微粒子(以下、金属ナ
    ノロッドと云う)を樹脂成分中に分散させたことを特徴
    とする高分子フィルム。
  2. 【請求項2】波長400nm〜2000nmの可視光・近赤
    外光領域の特定波長に対して選択的な吸収機能を有する
    請求項1の高分子フィルム。
  3. 【請求項3】電磁波遮蔽機能を有する請求項1または2
    の高分子フィルム。
  4. 【請求項4】表面抵抗値が2.5Ω/□以下の導電性を有
    する請求項1、2または3の高分子フィルム。
  5. 【請求項5】請求項1から4の何れかの高分子フィルム
    によって形成された波長400nm〜2000nmの可視光
    ・近赤外光に対する選択的な吸収機能を有する光学フィ
    ルター。
  6. 【請求項6】請求項1から4の何れかの高分子フィルム
    によって形成された電磁波遮蔽用フィルター。
  7. 【請求項7】請求項1から4の何れかの高分子フィルム
    によって形成されたプラズマディスプレー用の光学フィ
    ルター。
  8. 【請求項8】請求項1から4の何れかの高分子フィルム
    を、透明基材の表面に積層し、または透明な基材の間に
    介在させてなる光学フィルター。
  9. 【請求項9】請求項1から4の何れかの高分子フィルム
    によって形成されたカラーフィルター。
  10. 【請求項10】請求項1から4の何れかの高分子フィル
    ムによって形成された熱線遮蔽フィルター。
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