JP7257762B2 - 冷凍食肉加工食品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、冷凍食肉加工食品の製造方法に関する。
加熱した後に冷凍した食肉加工食品、例えば唐揚げは、従来から市場に広く流通している。例えば、唐揚げには、食塩、醤油など塩味をつけることが一般的に行われており、鶏肉に食塩および/または醤油を含む液体を浸漬することが広く行われている。
例えば、鶏肉に、食塩および/または醤油を含む液体を浸漬し、塩味を付け、加熱後に冷凍した唐揚げは、加熱後に冷凍していない唐揚げと比較すると、肉の繊維が結着して一体化し、繊維感が失われた肉食感になるという問題があった。また、唐揚げ以外の食肉加工食品においても、同様の問題があった。
これまでに、食味の改善された畜肉加工食品の製造方法として、アルギニンまたはその塩とトランスグルタミナーゼを用いることを特徴とする、物性や歩留まりおよび食味の改善された畜肉加工食品の製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、原料肉100gあたりアルギニン換算で0.0001g~10gのアルギニン又はその塩を添加することを特徴とする、歩留りや物性の良好な食塩含量0.01%~0.9%の畜肉練り製品の製造方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。さらに、アルギニンを0.75~1.5重量%、塩化ナトリウムに対しマグネシウムが0.025~0.7重量%含まれる焼き塩を1.0~2.75重量%、乳酸カルシウムを1.5~3.0重量%含有することを特徴とする容器詰め液状調味料が知られている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、食肉に好ましい塩味を付与することと、冷凍しても好ましい肉食感(例えば、繊維感)を付与することとを両立した冷凍食肉加工食品の製造方法はこれまでに全く知られていない。
特許5811098号公報 特許6048413号公報 特許6064587号公報
本発明者らは、驚くべきことに、食肉とアミノ酸とを接触させる工程、およびアミノ酸を接触させた食肉に塩味を付与する工程を含む冷凍食肉加工食品の製造方法を用いることにより、食肉に好ましい塩味を付与することと、冷凍しても好ましい肉食感を付与することとが両立した冷凍食肉加工食品を製造できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づくものである。
本発明は、食肉に好ましい塩味を付与することと、冷凍しても好ましい肉食感を付与することとが両立した冷凍食肉加工食品の製造方法等を提供することを目的とする。
本発明によれば以下の発明が提供される。
(1)食肉とアミノ酸とを接触させる工程、および
アミノ酸を接触させた食肉に塩味を付与する工程
を含む、冷凍食肉加工食品の製造方法。
(2)食肉とアミノ酸とを接触させる工程において、一価カチオンの濃度が食肉に対して0.05mol/L以下である、(1)に記載の製造方法。
(3)一価カチオンが、ナトリウムイオンおよび/またはカリウムイオンである、(2)に記載の製造方法。
(4)食肉とアミノ酸とを接触させる工程において、食肉に二価カチオンをさらに接触させる、(1)~(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)二価カチオンがカルシウムイオンまたはマグネシウムイオンである、(4)に記載の製造方法。
(6)アミノ酸がアルギニンおよび/またはセリンである、(1)~(5)のいずれかに記載の製造方法。
(7)食肉に塩味を付与する工程が、インジェクションにより行われる、(1)~(6)のいずれかに記載の製造方法。
(8)塩味を付与した食肉に加熱および/または冷凍する工程をさらに含む、(1)~(7)のいずれかに記載の製造方法。
(9)食肉に塩味を付与する工程と、食肉を加熱および/または冷凍する工程との間の時間間隔が60分以内である、(8)に記載の製造方法。
(10)食肉が、鶏肉、牛肉、豚肉、魚肉、およびエビからなる群から選択される1種または2種以上である、(1)~(9)のいずれかに記載の製造方法。
(11)(1)~(10)のいずれかに記載の製造方法により製造される、冷凍食肉加工食品。
(12)食肉とアミノ酸とを接触させ、アミノ酸を接触させた食肉に塩味を付与することを特徴とする、冷凍食肉加工食品の肉食感改良方法。
本発明の製造方法を用いることにより、食肉に好ましい塩味を付与することと、冷凍しても好ましい肉食感を付与することとが両立した冷凍食肉加工食品を製造できる点で有利である。
発明の具体的説明
冷凍食肉加工食品の製造方法
本発明によれば、食肉とアミノ酸とを接触させる工程、およびアミノ酸を接触させた食肉に塩味を付与する工程を含む冷凍食肉加工食品の製造方法が提供される。アミノ酸を接触させた食肉に塩味を付与する工程は、食肉とアミノ酸とを接触させる工程の後に行われる工程であり、時間的に後であれば特に限定されるものではない。
本発明の製造方法に用いられる食肉は、食すことができる肉であれば特に限定されるものではないが、好ましくは、鶏肉、牛肉、豚肉、魚肉、およびエビからなる群から選択される1種または2種以上であり、より好ましくは鶏肉である。
食肉とアミノ酸とを接触させる工程において、食肉とアミノ酸との接触方法は特に限定されるものではないが、静置しても、タンブリングしながら行ってもよいが、静置しながら接触させることが好ましい。タンブリングは、例えば真空タンブリングであってもよく、真空タンブラーによって行ってもよい。また、食肉とアミノ酸との接触方法は、アミノ酸を食肉へインジェクションすることにより行ってもよい。
食肉とアミノ酸とを接触させる工程において、食肉と接触させるアミノ酸の種類は特に限定されるものではないが、好ましくは、L-イソロイシン(L-Isoleucine)、グリシン(Glycine)、L-トレオニン(L-スレオニン)(L-Threonine)、L-バリン(L-Valine)、L-アラニン(L-Alanine)、L-アルギニン(L-Arginine)、L-グルタミン(L-Glutamine)、L-セリン(L-Serine)、L-ヒスチジン(L-Histidine)、L-ヒドロキシプロリン(L-Hydroxyproline)、L-プロリン(L-Proline)、L-ロイシン(L-Leucine)、DL-アラニン(DL-Alanine)、DL-トレオニン(DL-スレオニン)(DL-Threonine)、DL-メチオニン(DL-Methionine)、L-メチオニン(L-Methionine)、L-アスパラギン酸(L-Aspartic acid)、およびL-リシン(L-Lysine)からなる群から選択される1種または2種以上であり、より好ましくは、L-イソロイシン、グリシン、L-トレオニン、L-バリン、L-アラニン、L-アルギニン、L-グルタミン、L-セリン、L-ヒスチジン、L-ヒドロキシプロリン、L-プロリン、およびL-ロイシンからなる群から選択される1種または2種以上であり、さらに好ましくは、アルギニンおよび/またはセリンであり、さらに好ましくはアルギニンまたはセリンであり、特に好ましくはアルギニンである。
食肉とアミノ酸とを接触させる工程において、食肉と接触させるアミノ酸の濃度は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.1~5質量%であり、より好ましくは0.3~3質量%である。
食肉とアミノ酸とを接触させる工程において、一価カチオンの濃度が、アミノ酸と接触させる食肉に対して0.05mol/L以下であることが好ましく、0.02mol/L以下であることがより好ましく、0.002mol/L以下であることがさらに好ましい。ここで、一価カチオンは、特に限定されるものではないが、好ましくは、ナトリウムイオンおよび/またはカリウムイオンであり、より好ましくは、ナトリウムイオンである。
食肉とアミノ酸とを接触させる工程において、食塩の濃度が、アミノ酸と接触させる食肉に対して、好ましくは0.3質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0.01質量%以下である。
食肉とアミノ酸とを接触させる工程において、食肉に二価カチオンをさらに接触させることが好ましい。食肉とアミノ酸とを接触させる前に二価カチオンを接触させてもよいし、食肉とアミノ酸とを接触させた後に二価カチオンを接触させてもよいが、食肉と、アミノ酸と、二価カチオンとを同時に接触させることが好ましい。食肉と、アミノ酸と、二価カチオンとを同時に接触させる場合において、アミノ酸と、二価カチオンとを混合した混合液を、食肉と接触させてもよい。ここで、二価カチオンは、特に限定されるものではないが、好ましくは、カルシウムイオンまたはマグネシウムイオンであり、より好ましくは。カルシウムイオンである。食肉に二価カチオンをさらに接触させるために、乳酸カルシウムまたは乳酸カルシウム五水和物を用いることが好ましい。乳酸カルシウムの濃度は、アミノ酸と接触させる食肉に対して、好ましくは0.1~10.0質量%であり、より好まししくは0.5~5.0質量%であり、さらに好ましくは0.5~3.0質量%である。
本発明の製造方法において、アミノ酸を接触させた食肉に塩味を付与する工程は、アミノ酸を接触させた後の食肉に食塩を含む調味料を接触できればどのような工程であってもよく、例えば、注入、タンブリング、浸漬、混合、塗布、噴霧、散布などが挙げられ、好ましくは食肉に食塩を含む調味液を注入させることによって行ってもよい。ここで、食塩を含む調味液は、食塩自体や、食塩水、しょうゆ、ケチャップ、マヨネーズ、だし風味調味料、中濃ソース、その他ソース類、たれ類、エキス類などを含み、粉末状、液状など、その形態を問わない。
本発明の製造方法において、食肉に塩味を付与する工程は、好ましくはインジェクションにより行われる。インジェクションは、注射器や、インジェクターを用いて行ってもよい。
本発明の製造方法の好ましい態様によれば、食肉とアミノ酸を接触させた後、塩味を付与した食肉に加熱および/または冷凍する工程をさらに含む。塩味を付与した食肉の加熱は、食肉を加熱できればどのような態様でもよいが、例えば、高温の油で油ちょう、スチームオーブン、またはマイクロウェーブなどでの加熱方法が挙げられる。また、塩味を付与した食肉の冷凍は、食肉を冷凍できればどのような態様でもよいが、例えば、凍結庫または冷凍庫での冷凍などが挙げられ、具体的には、-30℃以下の冷凍庫で急速に冷凍することが挙げられる。加熱工程と、冷凍工程とはいずれを先に行ってもよく、またいずれかのみを行ってもよいが、加熱工程の後に冷凍工程を行うことが好ましい。また、食肉に塩味を付与する工程と、食肉を加熱および/または冷凍する工程との間の時間間隔は、食肉の種類や状態により変わりうるため特に限定されるものではないが、良好な食肉の食感を付与する効果をより引き出すために、この時間間隔が短くなるようにできるだけ速やかに行うことが好ましい。この時間間隔を例示すれば、60分以内であることが好ましく、30分以内であることがより好ましく、10分以内であることがさらに好ましい。これらの時間間隔は、鶏肉の場合により好ましく適用できる。
本発明の別の態様によれば、本発明の製造方法により製造される冷凍食肉加工食品が提供される。
本発明の別の態様によれば、食肉とアミノ酸とを接触させ、アミノ酸を接触させた食肉に塩味を付与することを特徴とする、冷凍食肉加工食品の肉食感改良方法が提供される。食肉とアミノ酸との接触における一価カチオンの濃度や、二価カチオンをさらに接触させる点、塩味を付与した食肉に加熱および/または冷凍させることが好ましい点などは、上記の本発明の製造方法と同様である。肉食感(繊維感)とは、筋肉の繊維が結着してハム様になった状態ではなく、筋肉の繊維がほぐれるような食感である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
実施例1:冷凍唐揚げの塩味および繊維感の検討(鶏モモ肉)
(1)未凍結唐揚げの作成
鶏モモ肉を25~30gとなるようにカットした。カットした鶏モモ肉と、混合溶解した一次浸漬液とを、ビニール袋に入れ、なるべく空気が入らぬよう封をし、一次浸漬液が肉にいきわたるよう、軽く揉んで混合した。一次浸漬に用いた溶液は、鶏肉100質量部に対して、水30質量部および食塩が1.5質量部を含む溶液である。封をしたビニール袋を+2℃の冷蔵庫に入れ、3時間静置して一次浸漬を行った。ビニール袋から取り出した鶏肉をザルに載せ、5分放置して液切りを行った。液切りした鶏肉に、薄力粉をまぶし、衣付を行った。衣付した鶏肉を165℃の油で4分油ちょうし、未凍結唐揚げを得て、これを例1とした。得られた唐揚げをそのまま検食に供した。
(2)従来法による凍結唐揚げの作成
上記の「(1)未凍結唐揚げの作成」と同様の手順で未凍結唐揚げを得た。得られた唐揚げを金属板に並べ、約-35℃の冷凍庫で1時間30分冷凍し、冷凍唐揚げを得て、これを例2とした。得られた冷凍唐揚げを-18℃に調温した後、165℃の油で3分30秒解凍調理し、検食に供した。
(3)本発明に係る製造方法による凍結唐揚げの作成
上記の「(1)未凍結唐揚げの作成」と同様に、鶏肉をカットし、一次浸漬(静置浸漬)を行い、液切りを行った。一次浸漬に用いた溶液(一次浸漬液)は、鶏肉100質量部に対して、水30質量部、アルギニン(協和発酵バイオ株式会社製、L-アルギニン協和)3質量部、および乳酸カルシウム(昭和化工株式会社製、DL-乳酸カルシウム5水和物)3質量部を含む溶液である。液切りした鶏肉に、注射器を用いて調味液を注入した。調味液は、鶏肉100質量部に対して、食塩が1.5質量部を含む食塩水である。この調味液を注入した鶏肉に、薄力粉をまぶし、衣付けを行った。衣付した鶏肉を、例1と同様に油ちょうし、得られた唐揚げを、例2と同様に冷凍し、冷凍唐揚げを得て、これを例3とした。注射器を用いて調味液を注入する工程と、油ちょう(加熱)するまでの時間間隔(調味液注入後の放置時間)は10分以内であった。得られた冷凍唐揚げを、例2と同様に調温、解凍調理し、検食に供した。
(4)上記(1)~(3)の作成方法に基づいて、例4~24の唐揚げを作成し、検食に供した。例4~24の唐揚げの作成の概要を以下に示し、浸漬液または調味液の配合を下記の表1に示した。
例4~24の唐揚げの作成の概要
例4、5、6、7:例2(従来法)と同様に作成し、検食に供した。
例8:例3(本発明に係る製造方法)と同様に作成し、検食に供した。
例9、10、11:例2(従来法)と同様に作成し、検食に供した。
例12、13:例3(本発明に係る製造方法)と同様に作成し、検食に供した。
例14:例3(本発明に係る製造方法であるが、一次浸漬に用いた溶液が例3の作成方法とは異なる)と同様に作成し、検食に供した。
例15:例3(本発明に係る製造方法)と同様(一次浸漬に用いた溶液にアルギニンのみを含み、乳酸カルシウムを含まない)。
例16、17:例3(本発明に係る製造方法であるが、調味液注入後の放置時間が異なる(例3は10分以内、例16は30分、例17は60分))と同様に作成し、検食に供した。
例18:例2(従来法)と同様に作成し、検食に供した。
例19、20、21:例3(本発明に係る製造方法であるが、例3とは食塩量が異なる)と同様に作成し、検食に供した(例19、20、21のアミノ酸と食肉(鶏モモ肉)とを接触させる工程において、加えた食塩(先入)から換算したナトリウムイオンの濃度は、それぞれ約0.017mol/L、約0.030mol/L、0.050mol/Lである)。
例22:例8と同じ配合で、例3(本発明に係る製造方法)と同様に作成(但し、一次浸漬は静置浸漬ではなくタンブリング(竹内食品機械社製VT-5を使用)で行った)した後に、検食に供した。具体的には以下の通りである。
カットした鶏モモ肉と、混合溶解した一次浸漬液を、ビニール袋に入れ、なるべく空気を入れて袋が膨らむように封をした。封をしたビニール袋をタンブラーに入れ、1分間に5回転となるよう速度を調整し、3時間タンブリングして一次浸漬を行った。ビニール袋から取り出した鶏肉をザルに載せ、5分放置して液切りを行った。液切りした鶏肉に、例3と同様に調味液を注入し、衣付、油ちょう、冷凍し、冷凍唐揚げを得た。
例23:例2(従来法)と同様(例18と同配合・同工程)に作成し、検食に供した。
例24:例2(従来法であるが、一次浸漬は静置浸漬ではなくタンブリング(竹内食品機械社製VT-5を使用)を行った)と同様に作成し、検食に供した。具体的には以下の通りである。
例22と同様に、タンブリングして一次浸漬を行い、液切りを行った。液切りした鶏肉を、例2(従来法)と同様に衣付、油ちょう、冷凍し、冷凍唐揚げを得た。
Figure 0007257762000001
※表中、「先入」とは従来法における一次浸漬液に入れることを意味し、鶏肉以外の成分が一次浸漬液に含まれる。「後入」とは本発明に係る方法における調味液に入れることを意味し、鶏肉および「食塩(後入)」以外の成分が一次浸漬液に含まれる。「先入」および「後入」については、以下の表においても同じ内容を意味する。表中、「TG」はトランスグルタミナーゼ製剤(味の素株式会社製のアクティバTG-S)を表す。
上記例1~24について、検食は熟練した8~10名の評価者により、下記の評価基準に従い評価した。評価者の評点の平均値を算出し、その評価結果を下記の表2に示す。評価者は塩味や繊維感について、評点が1点上がる毎にどの程度の違いがあるのかの基準を共有し、統一した(すなわち、加点や減点の幅を各評価者で統一した)。各評点間の基準を共有して統一することにより、実際の各評価者の評点のばらつきが少なくなり、各平均値を比較した評価結果がより客観的に合理的なものとなった。
評価基準
塩味
5点:4点に比べてより塩味が感じられ、例1の未凍結唐揚げの塩味と同等の塩味である。
4点:3点に比べてより塩味が感じられる。
3点:2点に比べてより塩味が感じられる。
2点:1点に比べてより塩味が感じられる。
1点:塩味が全く感じられない。
繊維感
5点:4点に比べてより繊維感が感じられ、例1の未凍結唐揚げの繊維感と同等の繊維感である。
4点:3点に比べてより繊維感が感じられる。
3点:2点に比べてより繊維感が感じられる。
2点:1点に比べてより繊維感が感じられる。
1点:筋肉の繊維が結着してハム様になっており、筋肉の繊維がほぐれない。
※繊維感とは、鶏肉を噛んだ際に、鶏肉の繊維が結着してハム様になった状態ではなく、鶏肉の繊維がほぐれるような食感であることを示す。
Figure 0007257762000002
例1~3の評価結果から、本発明に係る製造方法により製造した唐揚げ(例3)は、塩味および肉食感(繊維感)の点で、未凍結唐揚げ(例1)と同等であることが分かり、本発明に係る製造方法を用いることによって、未凍結唐揚げと同等の塩味および肉食感(繊維感)が両立した唐揚げを得ることができることが分かった。一方、従来法により作成した唐揚げ(例2)は、肉食感(繊維感)の点で本発明に係る製造方法により製造した唐揚げ(例3)に比べて劣ることが分かった。
例4~7の評価結果から、TG(トランスグルタミナーゼ)を添加しても、塩味および肉食感(繊維感)を両立できないことが分かった。また、食塩を加えていない唐揚げ(例4)に、従来法と同様の方法により食塩を加えても、また更に乳酸カルシウムを加えても、塩味および肉食感(繊維感)を両立できないことが分かった。
例8の評価結果から、例3で加えたアルギニンの1/10の0.3質量%のアルギニンを加えても、肉食感(繊維感)は例3に比べて若干は劣るものの、十分に塩味および肉食感(繊維感)の両立を図ることができることが分かった。
例9~13の評価結果から、乳酸カルシウムを加えない場合であっても、肉食感(繊維感)は例3に比べて若干は劣るものの、本発明に係る製造方法を用いることによって、十分に塩味および肉食感(繊維感)の両立を図ることができることが分かった。
例14および15の評価結果から、本発明に係る製造方法のように調味液に食塩を入れた場合であっても、アルギニンを接触させない場合には、塩味および肉食感(繊維感)の両立を図ることができないことが分かった。
例16~18の評価結果から、食肉に塩味を付与する工程と、食肉を加熱および冷凍する工程との間の時間間隔が短い方が良好な評価結果を示したが、該時間間隔が60分であっても十分に塩味および肉食感(繊維感)の両立を図ることができることが分かった。一方で、従来法の場合には、十分な塩味および肉食感(繊維感)の両立が図れないことが分かった。
例19~21の評価結果から、食肉とアミノ酸とを接触させる工程において、ナトリウムの濃度(食塩の濃度)は低い方が良好な結果を示すことが分かったが、0.05mol/L%以下(食塩の場合には0.3質量%以下)であれば、十分に塩味および肉食感(繊維感)の両立を図ることができることが分かった。
例22~24の評価結果から、食肉とアミノ酸とを接触させる工程において、タンブリングしたとしても、静置には肉食感(繊維感)の点で若干劣るものの十分に塩味および肉食感(繊維感)の両立を図ることができることが分かった。一方で、食肉とアミノ酸とを接触させる工程において、タンブリングしたとしても、従来法で行った場合には、十分な塩味および肉食感(繊維感)の両立を図れないことが分かった。
実施例2:冷凍唐揚げの塩味および繊維感の検討(鶏モモ肉)(塩化カリウム)
例25は、塩化カリウムを使用した以外は、実施例1の例3に準じて作成し、検食に供した。また、実施例1において作成した例21についても改めて作成し、同時に検食に供した。評価は上記実施例1に記載の評価基準に基づき塩味および繊維感を評価した。また、下記の実施例3~6に関しても、評価は上記実施例1に記載の評価基準に準じて塩味および繊維感を評価した。その評価結果を下記の表4に示す。使用した浸漬液または調味液の配合は下記の表3に記載の通りであった。
Figure 0007257762000003
*ナトリウムイオンまたはカリウムイオンの濃度は、アミノ酸と食肉(鶏モモ肉)とを接触させる工程において、加えた塩化カリウム(先入)または食塩(先入)から換算したナトリウムイオンまたはカリウムイオン濃度を表す。
Figure 0007257762000004
上記の結果から、食肉とアミノ酸とを接触させる工程において、一価カチオンの濃度(ナトリウムイオンまたはカリウムイオン)が食肉に対して0.05mol/L以下であれば、本発明に係る製造方法を用いることによって得られた鶏肉は、十分に塩味および肉食感(繊維感)の両立を図れることが分かった。
実施例3:冷凍唐揚げの塩味および繊維感の検討(鶏ムネ肉)
(1)未凍結唐揚げの作成
鶏ムネ肉を25~30gとなるようにカットした。カットした鶏ムネ肉と、混合溶解した一次浸漬液とを、ビニール袋に入れ、なるべく空気が入らぬよう封をし、一次浸漬液が肉にいきわたるよう、軽く揉んで混合した。一次浸漬に用いた溶液は、鶏肉100質量部に対して、水30質量部および食塩が1.5質量部を含む溶液である。封をしたビニール袋を+2℃の冷蔵庫に入れ、3時間静置して一次浸漬を行った。ビニール袋から取り出した鶏肉をザルに載せ、5分放置して液切りを行った。液切りした鶏肉に、あらかじめ混合しておいたバッターを添加し、混合した。バッターと混合した鶏肉を165℃の油で4分油ちょうし、室温で3分保持した後、再び165℃の油で3分油ちょうし、未凍結唐揚げを得て、これを例26とした。得られた唐揚げをそのまま検食に供した。
(2)従来法による凍結唐揚げ(未加熱)の作成
上記の「(1)未凍結唐揚げの作成」と同様の手順で鶏ムネ肉をカットし、浸漬し、液切りし、バッターと混合した。得られたバッター混合鶏肉を金属板に並べ、約-35℃の冷凍庫で1時間30分冷凍し、冷凍唐揚げ(未加熱)を得て、これを例27とした。得られた冷凍唐揚げ(未加熱)を-18℃に調温した後、165℃の油で5分油ちょうし、室温で3分保持した後、再び165℃の油で3分油ちょうし、検食に供した。
(3)本発明に係る製造方法による凍結唐揚げ(未加熱)の作成
上記の「(1)未凍結唐揚げの作成」と同様に、鶏肉をカットし、一次浸漬(静置浸漬)を行い、液切りを行った。一次浸漬に用いた溶液(一次浸漬液)は、鶏肉100質量部に対して、水30質量部、アルギニン(協和発酵バイオ株式会社製、L-アルギニン協和)0.46質量部を含む溶液である。液切りした鶏肉に、注射器を用いて調味液を注入した。調味液は、鶏肉100質量部に対して、食塩が1.5質量部を含む食塩水である。この調味液を注入した鶏肉を、「(2)凍結唐揚げ(未加熱)」と同様に、バッターと混合し、冷凍し、冷凍唐揚げ(未加熱)を得て、これを例28とした。注射器を用いて調味液を注入する工程と、冷凍するまでの時間間隔(調味液注入後の放置時間)は10分以内であった。得られた冷凍唐揚げ(未加熱)を、例27と同様に調温し、油ちょうし、検食に供した。
(4)従来法による凍結唐揚げ(未加熱)の作成2
上記の「(1)未凍結唐揚げの作成」と同様の手順で鶏ムネ肉をカットし、鶏肉100質量部に対して、水30質量部、アルギニン(協和発酵バイオ株式会社製、L-アルギニン協和)0.46質量部、および食塩1.5質量部を含む溶液で浸漬し、液切りし、バッターと混合した。得られたバッター混合鶏肉を金属板に並べ、約-35℃の冷凍庫で1時間30分冷凍し、冷凍唐揚げ(未加熱)を得て、これを例29とした。得られた冷凍唐揚げ(未加熱)を-18℃に調温した後、165℃の油で5分油ちょうし、室温で3分保持した後、再び165℃の油で3分油ちょうし、検食に供した。
Figure 0007257762000005
Figure 0007257762000006
鶏モモ肉を使用した場合と同様に、鶏ムネ肉を使用した場合でも、本発明に係る製造方法を用いることにより、従来法(アルギニンを含む場合および含まない場合)に比べて、十分に塩味および肉食感(繊維感)の両立を図ることができることが分かった。
実施例4:鮭塩焼きの塩味および繊維感の検討
(1)未凍結鮭塩焼きの作成
生の銀鮭(無塩)を、1枚80~90gの切り身にした。鮭切り身と、混合溶解した一次浸漬液とを、ビニール袋に入れ、なるべく空気が入らぬよう封をし、一次浸漬液が鮭全体にいきわたるよう、軽く揉んで混合した。一次浸漬に用いた溶液は、鮭100質量部に対して、水30質量部および食塩が1.5質量部を含む溶液である。封をしたビニール袋を+2℃の冷蔵庫に入れ、3時間静置して一次浸漬を行った。ビニール袋から取り出した鮭切り身をザルに載せ、1分放置して液切りを行った。液切りした鮭切り身を、温度200℃湿度80%に設定したコンベクションオーブンにて7分間加熱して、未凍結鮭塩焼きを得た。得られた鮭塩焼きをビニール袋に入れ真空包装し、これを例30とした。得られた鮭塩焼き(真空包装)を+2℃の冷蔵庫に保管した後、真空包装のまま弱沸騰水にて3分湯煎し、検食に供した。
(2)従来法による凍結鮭塩焼きの作成
上記の「(1)未凍結鮭塩焼きの作成」と同様の手順で未凍結鮭塩焼きを得た。得られた鮭塩焼きをビニール袋に入れ、真空包装し、金属板に並べ、約-35℃の冷凍庫で1時間30分冷凍し、冷凍鮭塩焼き(真空包装)を得て、これを例31とした。得られた冷凍鮭塩焼き(真空包装)を-18℃に調温した後、真空包装のまま弱沸騰水にて3分湯煎して解凍調理し、検食に供した。
(3)本発明に係る製造方法による凍結鮭塩焼きの作成
上記の「(1)未凍結鮭塩焼きの作成」と同様に、鮭を切り身にし、一次浸漬(静置浸漬)を行い、液切りを行った。一次浸漬に用いた溶液(一次浸漬液)は、銀鮭100質量部に対して、水30質量部、アルギニン(協和発酵バイオ株式会社製、L-アルギニン協和)0.46質量部を含む溶液である。液切りした鮭切り身の裏表に食塩を散布し、調味を行った。調味は、鮭切り身100質量部に対して、食塩が1.5質量部である。この調味した鮭切り身を、例30と同様にオーブン加熱し、得られた鮭塩焼きを、例31と同様にビニール袋に入れ、真空包装し、冷凍し、冷凍鮭塩焼きを得て、これを例32とした。鮭切り身の裏表に食塩を散布工程と、オーブン加熱するまでの時間間隔は10分以内であった。得られた冷凍鮭塩焼きを、例30と同様に調温、解凍調理し、検食に供した。
(4)従来法による凍結鮭塩焼きの作成2
上記の「(1)未凍結鮭塩焼きの作成」と同様の手順で未凍結鮭塩焼きを得た(一次浸漬液中には、鮭100質量部に対して、水30質量部、アルギニン(協和発酵バイオ株式会社製、L-アルギニン協和)0.46質量部、および食塩1.5質量部を含む)。得られた鮭塩焼きをビニール袋に入れ、真空包装し、金属板に並べ、約-35℃の冷凍庫で1時間30分冷凍し、冷凍鮭塩焼き(真空包装)を得て、これを例33とした。得られた冷凍鮭塩焼き(真空包装)を-18℃に調温した後、真空包装のまま弱沸騰水にて3分湯煎して解凍調理し、検食に供した。
Figure 0007257762000007
Figure 0007257762000008
鶏モモ肉を使用した場合と同様に、鮭を使用した場合でも、本発明に係る製造方法を用いることにより、従来法に比べて、十分に塩味および肉食感(繊維感)の両立を図ることができることが分かった。
実施例5:エビスチームの塩味および繊維感の検討
(1)未凍結蒸しエビの作成
冷凍エビ(ブラックタイガー(無塩))を解凍し、殻を剥き、背ワタと尾びれを除去した。エビと、混合溶解した一次浸漬液とを、ビニール袋に入れ、なるべく空気が入らぬよう封をし、一次浸漬液がエビにいきわたるよう、軽く揉んで混合した。一次浸漬に用いた溶液は、エビ100質量部に対して、水30質量部、および食塩が1.5質量部を含む溶液である。封をしたビニール袋を+2℃の冷蔵庫に入れ、3時間静置して一次浸漬を行った。ビニール袋から取り出したエビをザルに載せ、1分放置して液切りを行った。液切りしたエビを、温度100℃湿度100%スチームで3分30秒加熱し、未凍結蒸しエビを得て、これを例34とした。得られた蒸しエビをそのまま検食に供した。
(2)従来法による凍結蒸しエビの作成
上記の「(1)未凍結蒸しエビの作成」と同様の手順で未凍結蒸しエビを得た。得られた蒸しエビを金属板に並べ、約-35℃の冷凍庫で1時間30分冷凍し、冷凍蒸しエビを得て、これを例35とした。得られた冷凍蒸しエビを-18℃に調温した後、電子レンジでエビ9尾につき600W 2分30秒解凍調理し、検食に供した。
(3)本発明に係る製造方法による凍結蒸しエビの作成
上記の「(1)未凍結蒸しエビの作成」と同様に、冷凍エビを解凍し、一次浸漬(静置浸漬)を行い、液切りを行った。一次浸漬に用いた溶液(一次浸漬液)は、エビ100質量部に対して、水30質量部、アルギニン(協和発酵バイオ株式会社製、L-アルギニン協和)0.46質量部を含む溶液である。液切りしたエビに、食塩を混合し、調味した。調味は、エビ100質量部に対して、食塩が1.5質量部である。この調味したエビを、例34と同様にスチーム加熱し、得られた蒸しエビを、例35と同様に冷凍し、冷凍蒸しエビを得て、これを例36とした。エビに食塩を混合する工程とスチーム加熱するまでの時間間隔は10分以内であった。得られた冷凍蒸しエビを、例35と同様に調温、解凍調理し、検食に供した。
(4)従来法による凍結蒸しエビの作成2
上記の「(1)未凍結蒸しエビの作成」と同様の手順で未凍結蒸しエビを得た(一次浸漬液中には、エビ100質量部に対して、水30質量部、アルギニン(協和発酵バイオ株式会社製、L-アルギニン協和)0.46質量部、および食塩1.5質量部を含む)。得られた蒸しエビを金属板に並べ、約-35℃の冷凍庫で1時間30分冷凍し、冷凍蒸しエビを得て、これを例37とした。得られた冷凍蒸しエビを-18℃に調温した後、電子レンジでエビ9尾につき600W 2分30秒解凍調理し、検食に供した。
Figure 0007257762000009
Figure 0007257762000010
鶏モモ肉を使用した場合と同様に、エビを使用した場合でも、本発明に係る製造方法を用いることにより、従来法に比べて、十分に塩味および肉食感(繊維感)の両立を図ることができることが分かった。
実施例6:豚ヒレ肉(ヒレカツ)の塩味および繊維感の検討
(1)未凍結豚ヒレカツの作成
豚ヒレ肉を解凍し、50~60gとなるようにカットした。カットした豚ヒレ肉と、混合溶解した一次浸漬液とを、ビニール袋に入れ、なるべく空気が入らぬよう封をし、一次浸漬液が肉にいきわたるよう、軽く揉んで混合した。一次浸漬に用いた溶液は、豚肉100質量部に対して、水30質量部、および食塩1.5質量部を含む溶液である。封をしたビニール袋を+2℃の冷蔵庫に入れ、3時間静置して一次浸漬を行った。ビニール袋から取り出した豚肉をザルに載せ、5分放置して液切りを行った。液切りした豚肉を、15~20gとなるようにスライスした。スライスした豚肉に、打ち粉(原材料及び配合割合は下記表12参照)を1.5~2.0gまぶした後、100℃100%スチームで4分加熱した。加熱した打ち粉付き豚肉に、バッター(原材料及び配合割合は下記表13参照)を10~15g付着させ、パン粉(原材料及び配合割合は下記表14参照)を3~5g付着させ、衣付を行った。衣付した豚肉を165℃で1分30秒油ちょうし、未凍結豚ヒレカツを得て、これを例38とした。得られた豚ヒレカツをそのまま検食に供した。
(2)従来法による凍結豚ヒレカツの作成
上記の「(1)未凍結豚ヒレカツの作成」と同様の手順で未凍結豚ヒレカツを得た。得られたヒレカツを金属板に並べ、約-35℃の冷凍庫で1時間30分冷凍し、冷凍ヒレカツを得て、これを例39とした。得られた冷凍ヒレカツを-18℃に調温した後、電子レンジにてヒレカツ6個あたり600Wで3分加熱し、検食に供した。
(3)本発明に係る製造方法による凍結豚ヒレカツの作成
上記の「(1)未凍結豚ヒレカツの作成」と同様に、豚肉をカットし、一次浸漬(静置浸漬)を行い、液切りを行った。一次浸漬に用いた溶液(一次浸漬液)は、豚肉100質量部に対して、水30質量部、アルギニン(協和発酵バイオ株式会社製、L-アルギニン協和)0.46質量部を含む溶液である。液切りした豚肉に、注射器を用いて調味液を注入した。調味液は、豚肉100質量部に対して、食塩が1.5質量部を含む食塩水である。この調味液を注入した豚肉を、「(1)未凍結豚ヒレカツ」と同様に、打ち粉し、スチーム加熱し、バッター・パン粉を付着させ、油ちょうし、得られた豚ヒレカツを、例39と同様に冷凍し、冷凍豚ヒレカツを得て、これを例40とした。注射器を用いて豚肉に調味液を注入する工程と、スチーム加熱するまでの時間間隔(調味液注入後の放置時間)は10分以内であった。得られた冷凍豚ヒレカツを、例39と同様に調温し、電子レンジ加熱し、検食に供した。
(4)従来法による凍結豚ヒレカツの作成2
上記の「(1)未凍結豚ヒレカツの作成」と同様の手順で未凍結豚ヒレカツを得た(一次浸漬液中には、豚肉100質量部に対して、水30質量部、アルギニン(協和発酵バイオ株式会社製、L-アルギニン協和)0.46質量部、および食塩1.5質量部を含む)。得られたヒレカツを金属板に並べ、約-35℃の冷凍庫で1時間30分冷凍し、冷凍ヒレカツを得て、これを例41とした。得られた冷凍ヒレカツを-18℃に調温した後、電子レンジにてヒレカツ6個あたり600Wで3分加熱し、検食に供した。
Figure 0007257762000011
Figure 0007257762000012
パン粉はクラウン・フーヅ株式会社製であり、乾燥卵白No.5はキューピータマゴ株式会社製であり、スタビローズ1000は松谷化学工業株式会社製である。
Figure 0007257762000013
Figure 0007257762000014
Figure 0007257762000015
鶏モモ肉を使用した場合と同様に、豚ヒレ肉を使用した場合でも、本発明に係る製造方法を用いることにより、従来法に比べて、十分に塩味および肉食感(繊維感)の両立を図ることができることが分かった。
実施例7:食肉の力学測定について
本発明により得られる肉食感の特徴を抽出する目的で、貫入強度試験及び引張強度試験を実施した。各試験は、CREEP METER RE2-33005C(株式会社 山電社製)を用いて実施した。
貫入強度試験は、次のように実施した。
実施例1の例1、2、および3と同様に唐揚げを作成した後、作成した唐揚げの衣を剥ぎ肉塊を採取し、肉塊の品温が30℃以下となるまで静置した。
静置した後、採取した肉塊の繊維に対し垂直方向(最大荷重・破断歪率)にくさび型プランジャー(プランジャー No.64 P-64、株式会社山電社製)を貫入して各値の測定を行った。以下にそのデータを示す(表16および表17を参照)。
得られた測定データについては、一元配置分散分析及び多重比較検定(Tukey-Kramer法)により試験区間の比較を行った。
Figure 0007257762000016
*例2と例1との間(P値<0.05)、および例2と例3との間(P値<0.01)に有意差が存在した。
Figure 0007257762000017
**例2と例1との間(P値<0.05)に有意差が存在した。例2と例3との間はP値<0.08であった。
引張強度試験は、次のように実施した。
測定サンプルの厚さを一定とするため、大腿二頭筋(鶏もも肉サイ部皮直下の筋肉)を採取し、実施例1の例1、2、および3と同様の配合・工程で薄力粉をまぶす直前まで実施した後、袋に封入・蒸煮加熱・凍結を行った。冷凍して得られた引張強度試験用サンプルは、600Wの電子レンジにて50℃以上となるまで再加熱を行い、その後、中心温度が30℃以下となるまで静置した。
静置した後、3cm四方にカットし、繊維に対し並行および垂直方向に引張試験用プランジャー(プランジャー No15 P-15、株式会社山電社製)を用い各値の測定を行った。以下にそのデータを示す(表18および表19を参照)。
なお、引張試験用プランジャーの肉と接する箇所には、肉を引っ張る際に滑らないよう紙やすりを貼付し測定を行った。
得られたデータについては、貫入強度試験と同様の統計解析を実施した。
Figure 0007257762000018
*例2と例1との間(P値<0.05)に有意差が存在した。例2と例3との間はP値<0.06であった。
Figure 0007257762000019
*例2と例1との間(P値<0.05)、および例2と例3との間(P値<0.01)に有意差が存在した。
上記の貫入強度試験の結果から、最大荷重および破断歪率の点で、本発明に係る製造方法により製造した唐揚げ(例3)は、未凍結唐揚げ(例1)と同等であり、また従来法により作成した唐揚げ(例2)に対して有意差が存在するもしくはその傾向があることが分かった。すなわち、本発明に係る製造方法により製造した唐揚げ(例3)の方が、従来法により作成した唐揚げ(例2)に比べて大きな荷重に耐えることができ、かつより変形し得る物性である傾向があり、食肉の繊維がしっかりしていることが分かり、結果として、より繊維感を有することがこの客観的な力学データからも実証された。
また、上記の引張強度試験の結果から、筋肉繊維に対し垂直方向に引っ張った場合(もろさ歪率)には、本発明に係る製造方法により製造した唐揚げ(例3)と同様の配合工程にて処理を行った鶏もも肉は、(例1)と同様の配合工程にて処理を行った鶏もも肉と同等であるが、従来法である(例2)と同様の配合工程にて処理を行った鶏もも肉に対して有意な傾向が存在することが分かった。すなわち、本発明に係る製造方法により製造した鶏もも肉(例3)の方が、従来法により作成した鶏もも肉(例2)に比べて、繊維に対する垂直方向の引っ張りに強く、食肉の繊維がしっかりしていることが分かり、より繊維感を有することがこの客観的な力学データからも実証された。
さらに、上記の引張強度試験の結果から、筋肉繊維に対し並行方向に引っ張った場合(もろさ荷重)には、本発明に係る製造方法により製造した唐揚げ(例3)と同様の配合工程にて処理を行った鶏もも肉は、(例1)と同様の配合工程にて処理を行った鶏もも肉と同等であるが、従来法である(例2)と同様の配合工程にて処理を行った鶏もも肉に対して有意差が存在することが分かった。すなわち、本発明に係る製造方法により製造した鶏もも肉(例3)の方が、従来法により製造した鶏もも肉(例2)に比べて、繊維に対する垂直方向の引っ張りに強く、食肉の繊維がしっかりしていることが分かり、より繊維感を有することがこの客観的な力学データからも実証された。
以上から、食肉の力学的測定結果は、実施例1~6における評価基準に基づく結果を客観的に裏付けるものとなった。

Claims (11)

  1. 食肉とアミノ酸とを接触させる工程であって、その際の一価カチオンの濃度が食肉に対して0.05mol/L以下である、工程、および
    アミノ酸を接触させた食肉に塩味を付与する工程
    を含み、
    ここで、前記アミノ酸がアルギニンである、
    冷凍食肉加工食品の製造方法。
  2. 一価カチオンが、ナトリウムイオンおよび/またはカリウムイオンである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記アミノ酸を接触させた食肉に塩味を付与する工程が浸漬以外の方法により行われる、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記アミノ酸を接触させた食肉に塩味を付与する工程が、アミノ酸を接触させた後の食肉に1%未満の食塩を含む調味料を接触させる工程を含んでなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 食肉とアミノ酸とを接触させる工程において、食肉に二価カチオンをさらに接触させる、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 二価カチオンがカルシウムイオンまたはマグネシウムイオンである、請求項5に記載の製造方法。
  7. 食肉に塩味を付与する工程が、インジェクションにより行われる、請求項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 塩味を付与した食肉に加熱および/または冷凍する工程をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 食肉に塩味を付与する工程と、食肉を加熱および/または冷凍する工程との間の時間間隔が60分以内である、請求項8に記載の製造方法。
  10. 食肉が、鶏肉、牛肉、豚肉、魚肉、およびエビからなる群から選択される1種または2種以上である、請求項1~9のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. 食肉とアミノ酸とを接触させ、アミノ酸を接触させた食肉に塩味を付与することを特徴とする、冷凍食肉加工食品の肉食感改良方法であって、
    前記食肉とアミノ酸とを接触させる際の一価カチオンの濃度が食肉に対して0.05mol/L以下であり、かつ
    前記アミノ酸がアルギニンである、方法。
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