JP7254575B2 - ステアリングシャフト - Google Patents
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Description
本発明の一態様に係るステアリングシャフトは、後端部にステアリングホイールが連結されるシャフト本体と、前記シャフト本体の前端部に接続されるアッパシャフトと、前記アッパシャフトの下端部に前記アッパシャフトと同軸で設けられ、前記アッパシャフトに対して相対的に軸方向移動可能でかつ、前記アッパシャフトと一体に回転可能に構成されたロアシャフトと、前記アッパシャフトに設けられ、前記ロアシャフトと前記アッパシャフトとの間をシールするシール機構と、を備え、前記シール機構は、前記ロアシャフトの周囲を取り囲むとともに、前記ロアシャフトの外周面に摺動するリップ部と、前記リップ部の周囲を取り囲み、前記リップ部よりも下方に突出する庇部と、を備え、前記庇部は、軸方向の全長に亘って前記ロアシャフトの外周面から離間している。
また、リップ部に到達する水等を減少させることで、リップ部に作用する水圧を軽減できる。そのため、シール荷重(第1リップ部からロアシャフトの外周面に作用する荷重)を軽減した上で、シール性を確保できる。さらに、シール荷重を軽減することで、リップ部とロアシャフトとの間の摺動抵抗を軽減し、耐久性を向上させることができる。
本態様では、下方から第1リップ部に到達した水等を、第1リップ部においてより確実に塞き止めることができる。また、第1リップ部がロアシャフトに接近離間する向に撓み変形し易くなるので、シール荷重を軽減することができる。
しかも、本態様では、第1リップ部及び第2リップ部が上下方向に複数並ぶので、シール性の更なる向上を図ることができる。
ここで、第1リップ部及び第2リップ部の間を第1潤滑油収容部とすることで、各リップ部とロアシャフトとの間に潤滑油を供給し易くなる。そのため、各リップ部とロアシャフトとの間の摺動抵抗を軽減できる。また、各リップ部とロアシャフトとの間に潤滑油が供給されることで、各リップ部とロアシャフトとの間の隙間を潤滑油で埋めることができる。これにより、更なるシール性の向上を図ることができる。
本態様では、二重シール部の内側に潤滑油を収容できる。これにより、二重シール部とロアシャフトとの間に潤滑油を供給し易くなる。そのため、二重シール部とロアシャフトとの間の摺動抵抗を軽減できる。
本態様では、二重シール部の各リップ部が半円状に形成されている。そのため、ロアシャフトの上下両側への移動に対して各リップ部がロアシャフトの外周面に引っ掛かるのを抑制し、ロアシャフトをスムーズに移動させることができる。
本態様によれば、例えば庇部が下方に向かうに従い拡径する構成に比べ、ロアシャフトの外表面と庇部との間を通じてリップ部(ロアシャフトとアッパシャフトの嵌合部)に水等が到達するのを抑制できる。一方、例えば庇部が下方に向かうに従い縮径する構成に比べ、庇部の外周面上を下方に移動する水等がロアシャフトの外周面に付着するのを抑制できる。
(第1実施形態)
[ステアリング装置]
図1は、ステアリング装置1の斜視図である。
図1に示すように、ステアリング装置1は、車両に搭載されている。ステアリング装置1は、ステアリングホイール2の回転操作に伴って車輪の舵角を調整する。
アウタコラム21は、固定ブラケット13,14を介して車体に取り付けられている。
フロントブラケット13は、第1軸方向から見た正面視で下方に開口するU字状に形成されている。フロントブラケット13は、アウタコラム21の前端部を上方及び左右方向の両側から取り囲んだ状態で、アウタコラム21を支持している。
リヤブラケット14は、第1軸方向から見た正面視で下方に開口するU字状に形成されている。リヤブラケット14は、アウタコラム21の後方部を上方及び左右方向の両側から取り囲んだ状態で、アウタコラム21を支持している。
インタミシャフト15は、車室外(例えば、エンジンルーム等)において、シャフト本体12とステアリングギヤボックス(不図示)との間を接続している。インタミシャフト15は、シャフト本体12の前端部から前方に向かうに従い下方に延在している。
図2に示すように、インタミシャフト15は、アッパシャフト31と、ロアシャフト32と、を備えている。アッパシャフト31及びロアシャフト32は、上述した第1軸線O1に対して交差する第2軸線O2上に同軸で配置されている。したがって、以下の説明では、第2軸線O2の延びる方向を単に第2軸方向といい、第2軸線O2に直交する方向を第2径方向といい、第2軸線O2回りの方向を第2周方向という場合がある。また、以下の説明では、第2軸方向でステアリングホイール2に向かう方向を単に上方とし、ステアリングホイール2とは反対側に向かう方向を単に下方とする。
第1アッパヨーク41は、第1アッパベース51と、第1アッパアーム52と、を備えている。第1アッパベース51は、第2軸線O2と同軸に配置された環状とされている。第1アッパアーム52は、第1アッパベース51から上方に向けて二股で延在している。第1アッパアーム52には、アッパX字軸53を介して第2アッパヨーク55が接続されている。具体的に、各第1アッパアーム52は、アッパX字軸53が有する4つの回動軸のうち、2つの回動軸をそれぞれ回動可能に支持している。
第2アッパベース57は、上述したシャフト本体12の前端部に連結されている。
第2アッパアーム58は、第2アッパベース57から下方に向けて二股に延在している。第2アッパアーム58は、上述したアッパX字軸53が有する4つの回動軸のうち、他の2つの回動軸をそれぞれ回動可能に支持している。第1アッパヨーク41、アッパX字軸53及び第2アッパヨーク55によって、アッパ自在継手59を構成している。
軸部71は、第2軸線O2と同軸に配置された中実軸である。軸部71の上方部における外周面には、雄スプラインが形成されている。軸部71は、アッパシャフト31の雌スプラインに係合(噛合)した状態で、筒部43内に下方から挿入されている。軸部71は、第2周方向への回転が規制された状態で、アッパシャフト31に対して上下方向(第2軸方向)にスライド可能に構成されている。ロアシャフト32は、アッパシャフト31に対して上下方向に移動することで、車両走行時に発生する第2軸方向の変位を吸収し、ステアリングホイール2に伝わる変位や振動を抑制する。なお、軸部71のうち、アッパシャフト31から前方に突出した部分の外周面は、平滑面に形成されている。
第2ロアアーム81は、上述したロアX字軸78が有する4つの回動軸のうち、他の2つの回動軸をそれぞれ回動可能に支持している。
図3は、インタミシャフト15の拡大断面図である。
図3に示すように、シール機構44は、シールホルダ100と、シール部材101と、を備えている。
シールホルダ100は、保持筒110と、取付フランジ部111と、を備えている。
保持筒110内には、アッパシャフト31の小径部64が嵌合している。
取付フランジ部111は、保持筒110の下端縁から第2径方向の内側に突出している。取付フランジ部111は、ロアシャフト32の外周面に近接している。
第1リップ部121は、付け根部120から第2径方向の内側に突出している。第1リップ部121の先端部は、ロアシャフト32の外周面に密接している。本実施形態において、第1リップ部121は、第2径方向の内側に向かうに従い下方に向けて傾斜している。これにより、第1リップ部121は、第2径方向に撓み変形可能に構成されている。
庇部123の前端部は、第1リップ部121よりも前方に突出している。なお、庇部123は、シールホルダ100に一体に形成されていてもよい。
また、インタミシャフト15の側方からシール部材101に向けて飛散した水等は、庇部123に付着することで、第1リップ部121まで回り込むことなく滴下する。さらに、インタミシャフト15の下方からシール部材101に向けて飛散した液体についても、庇部123によって第1リップ部121が直接被水することを抑制できる。
インタミシャフト15に向けて飛散した水等が、仮に第1リップ部121まで到達したとしても、第1リップ部121によって塞き止められることで、ロアシャフト32とアッパシャフト31との間への進入が規制される。
この構成によれば、庇部123によって第1リップ部121が覆われることにより、第1リップ部121に到達する水等を減少させることができる。これにより、ロアシャフト32とアッパシャフト31との嵌合部への水等の進入を抑制できる。
また、第1リップ部121に到達する水等を減少させることで、第1リップ部121に作用する水圧を軽減できる。そのため、シール荷重(第1リップ部121からロアシャフト32の外周面に作用する荷重)を軽減した上で、シール性を確保できる。さらに、シール荷重を軽減することで、第1リップ部121とロアシャフト32との間の摺動抵抗を軽減し、耐久性を向上させることができる。これにより、アッパシャフト31及びロアシャフト32の軸方向移動が長期に亘ってスムーズに行われる。
この構成によれば、下方から第1リップ部121に到達した水等を、第1リップ部121においてより確実に塞き止めることができる。また、第1リップ部121が第2径方向に撓み変形し易くなるので、シール荷重を軽減することができる。
この構成によれば、リップ部121,122が上下方向に複数並ぶので、シール性の更なる向上を図ることができる。
しかも、リップ部121,122の間を潤滑油収容部124とすることで、リップ部121,122とロアシャフト32との間に潤滑油を供給し易くなる。そのため、リップ部121,122とロアシャフト32との間の摺動抵抗を軽減できる。また、リップ部121,122とロアシャフト32との間に潤滑油が供給されることで、リップ部121,122とロアシャフト32との間の隙間を潤滑油で埋めることができる。これにより、更なるシール性の向上を図ることができる。
この構成によれば、例えば庇部123が下方に向かうに従い拡径する構成に比べ、軸部71の外表面と庇部123との間を通じて第1リップ部121に水等が到達するのを抑制できる。一方、例えば庇部123が下方に向かうに従い縮径する構成に比べ、庇部123の外周面上を下方に移動する水等が軸部71の外周面に付着するのを抑制できる。
図4、図5は、変形例に係る図3に対応する断面図である。
上述した実施形態では、庇部123が直線状に形成された構成について説明したが、この構成に限られない。例えば図4に示すように庇部150が、周壁部151と、周壁部151の下端部から第2径方向の外側に張り出す返し部152と、を備える構成であってもよい。これにより、周壁部151の外周面上を伝った水が、返し部152によって第2径方向の外側に流れるので、水をリップ部121から離すことができる。
また、図5に示す庇部160のように、外周面に溝部161を形成してもよい。これにより、庇部160の外周面を伝う水を溝部161によって遮断できる。
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。図6は、第2実施形態に係るインタミシャフト200の断面図である。本実施形態では、筒状のロアシャフト201内に中実のアッパシャフト202が相対移動可能に挿入されている点で、上述した第1実施形態と相違している。以下の説明では、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
図6に示すインタミシャフト200において、ロアシャフト201は、第2軸線O2と同軸に配置された筒状に形成されている。ロアシャフト201の内周面には、雌スプラインが形成されている。なお、ロアシャフト201の外周面は、平滑面に形成されている。
軸部210は、第2軸線O2と同軸に配置された中実軸である。軸部210の外周面には、雄スプラインが形成されている。軸部210は、ロアシャフト201の雌スプラインに係合(噛合)した状態で、ロアシャフト201内に挿入されている。軸部210は、第2周方向への回転が規制された状態で、ロアシャフト201に対して上下方向(第2軸方向)に移動可能に構成されている。軸部210の上端部は、第1アッパヨーク41の第1アッパベース51内に嵌合されている。なお、第1アッパベース51の外周面には、第2径方向の外側に開口する周溝215が形成されている。
筒状部230は、変位吸収部221の下端縁から下方に連なっている。筒状部230は、ロアシャフト201の後端部の周囲を全周に亘って取り囲んでいる。
各リップ部241,242は、第2径方向の内側に向かうに従い下方に向けて傾斜している。なお、各リップ部241,242の傾斜角度は、適宜変更が可能である。
各リップ部244,245は、断面視で第2径方向の内側に凸の半円状に形成されている。なお、各リップ部244,245の断面視形状は、適宜変更が可能である。
例えば本実施形態では、シール機構222が第1シール部231よりも上方に第2シール部232を備えている。そのため、第2シール部232により画成された第2潤滑油収容部246内に潤滑油を収容できる。これにより、リップ部244,245とロアシャフト32との間に潤滑油を供給し易くなる。そのため、リップ部244,245とロアシャフト32との間の摺動抵抗を軽減できる。
しかも、第2シール部232のリップ部244,245が半円状に形成されている。そのため、ロアシャフト201の上下両側への移動に対してリップ部244,245がロアシャフト201の外周面に引っ掛かるのを抑制し、ロアシャフト201をスムーズに移動させることができる。
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれら実施例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
例えば、上述した実施形態では、インタミシャフトの上下両端部に自在継手が設けられた構成について説明したが、この構成に限られない。
上述した実施形態では、各シール部を二重シール構造に形成した場合について説明したが、この構成のみに限られない。すなわち、各シール部は、一つのリップ部により形成されていてもよい。
上述した実施形態では、ロアシャフト及びアッパシャフトが断面円形に形成された構成された構成について説明したが、この構成に限られない。ロアシャフト及びアッパシャフトの断面視形状は、多角形状等であってもよい。
上述した実施形態では、本発明に係るステアリングシャフトとして、シャフト本体12とステアリングギヤボックスとの間を接続するインタミシャフトを例にして説明したが、この構成に限られない。
2…ステアリングホイール
12…シャフト本体(ステアリングシャフト)
15…インタミシャフト
16…ステアリングシャフト
31…アッパシャフト
32…ロアシャフト
44…シール機構
121…第1リップ部(リップ部)
122…第2リップ部(リップ部)
123…庇部
124…潤滑油収容部(第1潤滑油収容部)
150…庇部
160…庇部
200…インタミシャフト
201…ロアシャフト
202…アッパシャフト
222…シール機構
232…第2シール部(二重シール部)
233…庇部
243…第1潤滑油収容部
244…ロアリップ部
245…アッパリップ部
246…第2潤滑油収容部
Claims (5)
- 後端部にステアリングホイールが連結されるシャフト本体と、
前記シャフト本体の前端部に接続されるアッパシャフトと、
前記アッパシャフトの下端部に前記アッパシャフトと同軸で設けられ、前記アッパシャフトに対して相対的に軸方向移動可能でかつ、前記アッパシャフトと一体に回転可能に構成されたロアシャフトと、
前記アッパシャフトに設けられ、前記ロアシャフトと前記アッパシャフトとの間をシールするシール機構と、を備え、
前記シール機構は、
前記ロアシャフトの周囲を取り囲むとともに、前記ロアシャフトの外周面に摺動するリップ部と、
前記リップ部の周囲を取り囲み、前記リップ部よりも下方に突出する庇部と、を備え、
前記庇部は、軸方向の全長に亘って前記ロアシャフトの外周面から離間しているステアリングシャフト。
- 前記リップ部は、
前記ロアシャフトの外周面に向かうに従い下方に向けて延在している第1リップ部と、
前記第1リップ部の上方において前記ロアシャフトの周囲を取り囲むとともに、前記ロアシャフトの外周面に摺動する第2リップ部と、を備え、
前記第1リップ部と前記第2リップ部との間に潤滑油が収容される第1潤滑油収容部が画成されている請求項1に記載のステアリングシャフト。 - 前記シール機構は、前記リップ部よりも上方に位置する部分に、前記ロアシャフトの外周面に摺動する二重シール部を備え、
前記二重シール部の内側は、潤滑油が収容される第2潤滑油収容部を構成している請求項1又は請求項2に記載のステアリングシャフト。 - 前記二重シール部は、前記ロアシャフトの外周面に摺動するロアリップ部及びアッパリップ部を備え、
前記ロアリップ部及び前記アッパリップ部の断面視形状は、前記ロアシャフトに向けて凸の半円形状に形成されている請求項3に記載のステアリングシャフト。 - 前記庇部は、前記アッパシャフト及び前記ロアシャフトの軸方向に沿って延在している請求項1から請求項4の何れか1項に記載のステアリングシャフト。
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