JP7250557B2 - トナー - Google Patents
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Description
こうした従来の現像剤補給カートリッジに用いられる現像剤補給容器としては、例えば、特許文献1に記載の装置では、現像剤補給容器に設けた蛇腹ポンプを用いて現像剤を排出する方式を採用している。具体的な方法としては、蛇腹ポンプを伸長させて現像剤補給容器内の気圧を大気圧よりも低い状態にすることで、現像剤補給容器内へ空気を取り込んで現像剤を流動化する。更に、蛇腹ポンプを収縮させて現像剤補給容器内の気圧を大気圧よりも高い状態にすることで、現像剤補給容器内外の圧力差により、現像剤を押し出して排出する。この2つの工程を交互に繰り返すことで、現像剤を安定排出する構成になっている。しかしながら、現像剤容器は、輸送時の振動等あるいは保管状態により容器内部で現像剤がタッピングされ過渡に圧密状態になる可能性があり、その際、上記の如き内圧変動により排出制御を行う方式では、一度に大量の現像剤が排出されるフラッシングと呼ばれる現象が発生する可能性がある。
一方、現像剤に用いるトナーにおいても、無機微粒子等を添加することによりの流動性を改善し、現像剤補給容器からの排出性を安定化させる提案もされている。
例えば、特許文献2においては、硫酸バリウム粒子等の無機微粒子をトナー表面に付着させる提案がされている。低抵抗物質により表面被覆した硫酸バリウムによりトナーの帯電特性を改善することが可能となるが、流動性の改善効果は少なく、更には、トナー表層に付着させるため、長期の使用においては、硫酸バリウム粒子が脱離し、画像形成装置内に他の部材を汚す等の弊害を引き起こし易い。
また、現像剤は、保管環境の温湿度により、その流動性の変動があり、如何なる環境下においても安定排出/高い補給精度を満足するためには、安定的な流動性を示すトナーが必要とされている。
該硫酸バリウム粒子は、一次粒子の個数平均粒径が50nm以上200nm以下であり、且つ、該トナーは、該硫酸バリウム粒子を、トナー粒子100質量部に対して、3.00質量部以上15.0質量部以下含有し、
且つ、該硫酸バリウム粒子は、該トナー粒子に対する固着率が、80%以上95%以下であり、
且つ、X線光電子分光分析により算出された該トナー粒子表面に対する該硫酸バリウム粒子の被覆率が10.2%以上50.0%以下であることを特徴とするトナーに関する。
且つ、該トナーは、該硫酸バリウム粒子を、トナー粒子100質量部に対して、0.10質量部以上15.0質量部以下含有し、
且つ、該硫酸バリウム粒子は、該トナー粒子に対する固着率が、80%以上95%以下であり、
且つ、X線光電子分光分析により算出された該トナー粒子表面に対する該硫酸バリウム粒子の被覆率が5.0%以上50.0%以下であることを特徴とする。
本発明のトナーに使用される結着樹脂としては、特に限定されず、下記の重合体又は樹脂を用いることが可能である。
本発明のトナーは、必要に応じワックスを含有することができる。本発明のトナーに用いられるワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸の如き脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如きアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m-キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。 これらのワックスの中でも、低温定着性、耐ホットオフセット性を向上させるという観点で、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス、もしくはカルナバワックスの如き脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。本発明においては、耐ホットオフセット性がより向上する点で、炭化水素系ワックスがより好ましい。
また、本発明におけるトナーでは、ワックスとして炭化水素系ワックスを含有する場合、ビニル系樹脂成分と炭化水素化合物が反応した構造を有する重合体を含有することがワックスを樹脂中に分散させるために好ましい。中でも、ビニル系樹脂にポリオレフィンがグラフトした構造を有するグラフト重合体又はポリオレフィンにビニル系モノマーがグラフト重合したグラフト重合体を更に含有することが好ましい。
メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きアミノ基含有α-メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体などのN原子を含むビニル系単位。
マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β-不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β-不飽和酸無水物、前記α,β-不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物、及びこれらのモノエステルなどのカルボキシル基を含むビニル系単位。
2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸エステル類、4-(1-ヒドロキシ-1-メチルブチル)スチレン、4-(1-ヒドロキシ-1-メチルヘキシル)スチレンなどの水酸基を含むビニル系単位。
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸-n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸-n-オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸-2-クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類などのアクリル酸エステルからなるエステル単位。
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸-n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-n-オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα-メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類などのメタクリル酸エステルからなるエステル単位
が挙げられる。
本発明のトナーに含有できる着色剤としては、以下のものが挙げられる。
本発明のトナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
本発明は、結着樹脂、着色剤及び硫酸バリウム粒子を有するトナーであるが、他の無機微粉体等の流動性向上剤を用いることができる。流動性向上剤としては、以下のものが挙げられる。フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ;これらのシリカをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、又はシリコーンオイル等により表面処理した処理シリカ。好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であり、乾式法シリカ又はヒュームドシリカである。
本発明では、流動性向上や摩擦帯電量調整のために、その他の外添剤が添加されていてもよい。当該外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸ストロンチウムの如き無機微粒子が好ましい。トナー粒子と外添剤との混合は、ヘンシェルミキサーの如き公知の混合機を用いることができるが、混合できればよく、特に装置は限定されるものではない。
本発明のトナーは、長期にわたり安定した画像が得られるという点で、磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として用いることが好ましい。
本発明のトナー製造方法は、トナーの原材料であるトナー組成物を溶融混練し、得られた混練物を粉砕することを特徴とする。製造方法の例を挙げて説明する。
硫酸バリウム粒子の固着率の測定方法は、水洗法を用い、硫酸バリウム粒子を含有したトナーを溶液に分散させて遠心分離を掛け、水洗前後における該硫酸バリウム量を測定することによって、該硫酸バリウム粒子の、トナー中の残存量を算出し、固着率とする。詳細を以下に示す。
(1)RO水100mlに特級スクロース粉末160gを加え、湯せんをしながら溶解させショ糖溶液を調製する。
(2)50ml遠心分離用チューブに(1)で作製したショ糖溶液24mlと、分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を6ml入れた後、トナー約1gを導入する。
(3)上記(2)で作製したチューブをシェイカーにセットし、振とう数6s-1、振とう時間20minの条件で振とうさせる。
(4)上記(3)で作製した振とう後の溶液を、50mlスイングローター用ガラスチューブに入れ、遠心分離機に回転数58s-1、回転時間30minの条件で遠心分離を掛け、トナーと溶液、及び遊離外添剤を分離する。
(5)トナーは最上層、溶液は中層、遊離外添剤は最下層に分離されるので、最上層のトナーを採取する。
(6)上記(5)で採取したトナーを減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥させる。
(7)上記(6)で乾燥させたトナー中のBa元素量と、初期トナー中のBa元素量を蛍光X線測定装置(XRF)で測定し、下記式(I)にて固着率を算出する。
式(I) 固着率[A]={1-(P1-P2)/P1}×100
〔式中、P1は初期のトナーの硫酸バリウム量「質量%」、P2はXRF測定による水洗後のトナーの硫酸バリウム量「質量%」である。トナーの硫酸バリウム量は、XRF測定で求められるトナーのBa元素強度から検量線を引き、算出した。〕
本発明において、トナー表面の硫酸バリウムによる被覆率は、X線光電子分光分析(ESCA)による表面組成分析を行い算出される。ESCAの装置及び測定条件は、下記の通りである。
使用装置:PHI社(Physical Electronics Industries, INC.)製、Quantum 2000 Scanning ESCA Microprobe
測定条件:
X線源;AlKα(100μ25W15KV)
Angle;45°
Pass Energy;58.70eV
式(II) 被覆率[B]=100×C1/C2
〔式中、C1はX線光電子分光分析算出のトナー中のBa存在比率[atomic%]、C2はX線光電子分光分析算出のトナー中のBa存在比率、C存在比率、O存在比率、Si存在比率、及びTi存在比率の和[atomic%]である。〕
硫酸バリウム粒子の体積抵抗率は、以下のようにして測定する。装置としてはケースレーインスツルメンツ社製6517型エレクトロメータ/高抵抗システムを用いる。直径25mmの電極を接続し、電極間に硫酸バリウム粒子を厚みが約0.5mmとなるように乗せて、約2.0Nの荷重をかけた状態で、電極間の距離を測定する。
硫酸バリウム粒子に1,000Vの電圧を1分間印加した時の抵抗値を測定し、以下の式を用いて体積抵抗率を算出する。
体積抵抗率(Ω・cm)=R×L
R:抵抗値(Ω)
L:電極間距離(cm)
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA-3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
ピーク分子量(Mp)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
装置 :HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム :Shodex KF-801、802、803、804、805、80 6、807の7連(昭和電工社製)
溶離液 :テトラヒドロフラン(THF)
流速 :1.0ml/min
オーブン温度 :40.0℃
試料注入量 :0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」、東ソ-社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
外添剤の個数平均粒径(D1)については、走査型電子顕微鏡(白金蒸着、印加電圧2.0kV、50,000倍)により、粒径1nm以上の粒子をランダムに500個以上抽出し、それぞれの粒子の長軸と短軸をデジタイザにより測定した。長軸と短軸の平均値を各粒子の粒径とし、500個以上の粒子の個数平均粒径(D1)を算出した。
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出した。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに該電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに該電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に該コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)上記(2)のビーカーを該超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)上記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ該電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した上記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した該(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の該専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418-82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、ワックスを10mg精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30以上200℃以下の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30℃以上200℃以下の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークを、ワックスの最大吸熱ピークとする。
(硫酸バリウム粒子の製造例1)
硫酸バリウム(製品名:W-1、竹原化学工業社製)と分散剤(商品名:エアロール(固形分濃度72.0%)、東邦化学工業株式会社製)とをイオン交換水に加えて撹拌し、高圧ホモジナイザ(製品名:nano3000、株式会社美粒社製)にて室温25℃、170MPaで微粒子化し、その後、塩酸でpH2に調整した。さらに、四塩化錫溶液を添加して撹拌し、水酸化ナトリウムを加えpHを11にした。ここで固形分を分離し、酸素欠損構造になるように酸素濃度を調節した環境下で焼成し、表面に酸素欠損構造を持った結晶性の低抵抗酸化錫で被覆した硫酸バリウムの微粉体を得た。該微粉体は母体に対して30質量%の低抵抗酸化錫で被覆されており、体積抵抗率は7.6×103Ω・cmであった。
硫酸バリウム粒子の製造例1において、高圧ホモジナイザでの微粒子化条件及び四塩化錫の添加量を調整し、表1に示す通りの硫酸バリウム粒子2乃至11を得た。
(結着樹脂製造例1)
ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン76.9部(0.167モル%)、テレフタル酸24.1部(0.145モル%)、及びチタンテトラブトキシド0.5部をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、180℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた(第1反応工程)。その後、無水トリメリット酸1.0部(0.010モル%)を添加し、160℃で1時間反応させ(第2反応工程)、結着樹脂1を得た。
ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン71.3部(0.155モル%)、テレフタル酸24.1部(0.145モル%)、及びチタンテトラブトキシド0.6部をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた(第1反応工程)。その後、無水トリメリット酸5.8部(0.030モル%)を添加し、180℃で10時間反応させ(第2反応工程)、結着樹脂2を得た。
・不飽和結合を1つ以上有するポリエチレン(Mw1400、Mn850、DSCによる吸熱ピークが100℃) 20部
・スチレン 59部
・アクリル酸-n-ブチル 18.5部
・アクリロニトリル 2.5部
上記原料をオートクレーブに仕込み、系内を窒素置換後、昇温撹拌しながら180℃に保持した。系内に、2質量%のジ-tert-ブチルパーオキシドのキシレン溶液50部を5時間連続的に滴下し、冷却後溶媒を分離除去し、ポリエチレンに共重合体がグラフトしたビニル系樹脂を得た。ビニル系樹脂のTHF可溶分のGPCによる分子量は、重量平均分子量(Mw)7400、数平均分子量(Mn)2800であり、軟化点(Tm)は110℃、ガラス転移温度(Tg)は64℃であった。
(トナー製造例1)
・結着樹脂1 70.0部
・結着樹脂2 30.0部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度90℃) 5.0部
・上記ビニル系樹脂 3.0部
・C.I.ピグメントブルー15:3 4.0部
・3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井鉱山社製)でよく混合した後、温度120℃に設定した二軸混練機(PCM-30型、池貝社製)で溶融混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。
トナー製造例1において、硫酸バリウム粒子の種類および添加量を、表2に示すとおりに変更する以外は同様にしてトナー2乃至10を得た。得られたトナーの物性を表2に示す。
製造例1で製造されたトナー粒子1 100部に、一次粒子の個数平均粒径が80nmの硫酸バリウム粒子5 5.5部と、ヘキサメチルジシラザン20質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径が10nmの疎水性シリカ微粒子0.8部を添加した。ヘンシェルミキサー(FM-75型、三井三池化工機(株)製)で回転数30s-1、回転時間2min混合して、比較トナー1を得た。得られたトナーの物性を表2に示す。
比較トナー製造例1において、表2に示すとおりに硫酸バリウム粒子の種類及び添加量に変更する以外は同様にして、比較トナー2乃至6を得た。得られたトナーの物性を表2に示す。
(二成分系現像剤の製造例1)
トナーの製造例1により作成したトナー1とシリコーン樹脂で表面被覆した磁性フェライトキャリア(個数平均粒径35μm)を、キャリア100.0部に対して、トナー1が10.0部になるようにV型混合機(V-10型:株式会社徳寿製作所)で0.5s-1、回転時間5minで混合して作製した現像剤1を得た。
現像剤の製造例2においてトナー1をトナー2乃至10及び比較トナー1乃至6に変更する以外は同様にして現像剤2乃至10及び比較現像剤1乃至6を得た。
<排出性試験>
(評価1)圧密状態からの排出性試験
本発明の、現像剤補給装置として、キヤノン製フルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C5560を用いて行った。
A:0.20未満 非常に優れている
B:0.21以上0.30未満 良好である
C:0.31以上0.40未満 本発明では問題ないレベルである
D:0.41以上 本発明では許容できない
上記現像剤補給カートリッジを用い、40℃/95%RH環境下で、200gの現像剤排出評価を行った後、評価環境を温度10℃/湿度10%RHに変更し同様の排出評価を行い同様に平均排出量、標準偏差を算出した。評価結果を表3に示す。
A:0.20未満 非常に優れている
B:0.20以上0.30未満 良好である
C:0.30以上0.40未満 本発明では問題ないレベルである
D:0.40以上 本発明では許容できない
(評価1)画像濃度安定性評価
キヤノン製フルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C5560のシアンステーションに上記現像剤1を入れ、FFH画像(ベタ部)のトナーの紙上への載り量が1.2mg/cm2となるように現像条件を適宜調整した。
まず、低温低湿環境下(15℃、10%RH)で、500枚連続通紙試験(A4横、80%印字比率、60枚/分)を行った。
次いで、画出し環境を、低温低湿環境下(15℃、10%RH)から、高温高湿環境下(30℃、80%RH)へ8時間かけて変更した後、同様にして、500枚連続通紙試験(A4横、80%印字比率、60枚/分)を行った。
次いで、高温高湿環境下(30℃、80%RH)に8時間以上放置し十分に使用環境に馴染ませたのち、同様に500枚の連続通紙を行った。
各環境にて画出しした500枚の通紙画像の全てのFFH画像部;ベタ部の画像濃度を測定し、最も高濃度ものと、最も低濃度のものの濃度差を各環境毎で算出し、各環境下での濃度安定性能として評価1-1及び評価1-3を、環境変動追従性能として評価1-2を、以下の基準で評価した。評価結果を表4に示す。
A:0.05未満 (非常に優れている)
B:0.05以上0.10未満 (良好である)
C:0.10以上0.20未満 (本発明では問題ないレベルである)
D:0.20以上 (本発明では許容できない)
現像剤1を、表2に示す現像剤2乃至10、比較現像剤1乃至6に変えるほかは実施例1と同様に評価を行い、評価結果を表3及び4に示す。
Claims (3)
- 結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と硫酸バリウム粒子とを含有するトナーであって、
該硫酸バリウム粒子は、一次粒子の個数平均粒径が50nm以上200nm以下であり、
該トナーは、該硫酸バリウム粒子を、トナー粒子100質量部に対して、3.00質量部以上15.0質量部以下含有し、
該硫酸バリウム粒子は、該トナー粒子に対する固着率が、80%以上95%以下であり、
X線光電子分光分析により算出された該トナー粒子表面に対する該硫酸バリウム粒子の被覆率が10.2%以上50.0%以下であることを特徴とするトナー。 - 該硫酸バリウム粒子は、表面に結晶性の酸化錫被膜を有する請求項1に記載のトナー。
- 該硫酸バリウム粒子の一次粒子の個数平均粒径が、50nm以上150nm以下である請求項1または2に記載のトナー。
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