JP7246718B2 - 貼り合わせ仮固定用光硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
[1]ラジカル重合反応性モノマー(A)、連鎖移動剤(B)及び光重合開始剤(C)を含有する、貼り合せ仮固定用光硬化性樹脂組成物であって、成分(A)が、分子内に1つ以上のOH基を持つラジカル重合反応性モノマー(A1)を含有することを特徴とする、貼り合せ仮固定用光硬化性樹脂組成物。
[2]さらに、水溶性可塑剤(d1)を含有する、[1]の光硬化性樹脂組成物。
[3]成分(d1)の重量平均分子量が50~500である、[2]の光硬化性樹脂組成物。
[4]さらに、水溶性フィラー(d2)を含有する、[1]~[3]のいずれかの光硬化性樹脂組成物。
[5]さらに、水溶性フィラー(d2)を含有するが、水溶性可塑剤(d1)を含まない、[1]の光硬化性樹脂組成物。
[6]成分(B)が、チオール基を持つ化合物又はα-メチルスチレンダイマーである、[1]~[5]のいずれかの光硬化性樹脂組成物。
[7]光硬化性樹脂組成物中の成分(B)の含有量が0.7~15重量%である、[1]~[6]のいずれかの光硬化性樹脂組成物。
[8]成分(d2)が、第1の水溶性フィラー(d2-1)及び第2の水溶性フィラー(d2-2)の組み合わせであり、ここで、成分(d2-1)及び成分(d2-2)の組み合わせは発泡性を有する、[4]~[7]のいずれかの光硬化性樹脂組成物。
[9][4]~[8]のいずれかの光硬化性樹脂組成物であって、第3の水溶性フィラー(d2-3)が溶解した水系溶剤が、光硬化性樹脂組成物の仮固定を解除するための水系溶剤として用いられ、光硬化性樹脂組成物に含まれる成分(d2)の少なくとも一部と前記成分(d2-3)との組み合わせは発泡性を有する、[4]~[8]のいずれかの光硬化性樹脂組成物。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方の意味を有する。
「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方の意味を有する。
「ラジカル重合反応性モノマー(A)」を「成分(A)」ともいう。「連鎖移動剤(B)」等についても同様である。
貼り合せ仮固定用光硬化性樹脂組成物(以下、単に「光硬化性樹脂組成物」ともいう)は、ラジカル重合反応性モノマー(A)、連鎖移動剤(B)及び光重合開始剤(C)を含有し、成分(A)が、分子内に1つ以上のOH基を持つラジカル重合反応性モノマー(A1)を含有する。
光硬化性樹脂組成物は、その硬化物が水への高い溶解性を有することから、水系溶剤を用いた場合において、光硬化性樹脂組成物によって固定された部材同士の剥離性に優れる。特に、低温(例えば、25~70℃)での水洗(水による洗浄、弱アルカリ性や弱酸性、中性の洗剤水溶液による洗浄、又は、クエン酸のような弱酸性水溶液による洗浄)にて、前記固定された部材同士を容易に剥離することができる。
ラジカル重合反応性モノマー(A)は、ラジカル重合反応性の官能基を有するものであれば特に限定されない。ラジカル重合反応性の官能基は、不飽和二重結合含有基であれば特に限定されないが、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)又は(メタ)アクリロイル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基が特に好ましい。
ラジカル重合反応性モノマー(A)は、分子内に1つ以上のOH基を持つラジカル重合反応性モノマー(A1)を含む。成分(A1)中のOH基の数は、1~5が好ましく、1~3がより好ましく、1が特に好ましい。よって、成分(A1)は、分子内に1~5のOH基を持つラジカル重合反応性モノマーを含むことが好ましく、分子内に1~3のOH基を持つラジカル重合反応性モノマーを含むことがより好ましく、分子内に1つのOH基を持つラジカル重合反応性モノマーを含むことが特に好ましい。
成分(A1)は、1種又は2種以上の組合せであってもよい。
成分(A1)以外のラジカル重合反応性モノマー(A2)は、成分(A1)以外のラジカル重合反応性の官能基を有するものであれば特に限定されない。成分(A2)としては、(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリルアミド基を有する(メタ)アクリルアミドモノマー等が挙げられる。なお、(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマーは、(メタ)アクリルアミド基を有する(メタ)アクリレートモノマーを含まない。
(メタ)アクリレートモノマーとしては、脂環式(メタ)アクリレートモノマー、芳香族(メタ)アクリレートモノマー、アルキル(メタ)アクリレートモノマー、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルの(メタ)アクリレートモノマー、ヘテロ環構造を有する(メタ)アクリレートモノマー等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミドモノマーとしては、例えば、下記式(1)で示される化合物が挙げられる。
R1は、水素原子又はメチル基であり、
R2及びR3は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、又は、非置換もしくはアルキル基で置換されているアリール基であるか、あるいは、
R2及びR3は、これらが結合するN原子と一緒になって、酸素原子を含むことができる脂環式基(好ましくは、モルホリノ基)を形成する〕
連鎖移動剤(B)は、連鎖移動反応を起こす成分である。ここで、連鎖移動反応とは、ラジカル重合において、成長ラジカルが重合系中の他の化学種と反応し、成長の停止、ラジカルの移動及び成長の再開始を伴う反応をいう。成分(B)としては、α-メチルスチレン、α-メチルスチレンダイマー;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール;アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類;四塩化炭素、クロロホルム等のハロゲン類;及び、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、ノルマルメルカプタン、チオグリコール酸、チオグリコール酸オクチル、チオグリセロール等のチオール基を持つ化合物からなる群から選ばれる一種以上が挙げられ、チオール基を持つ化合物又はα-メチルスチレンダイマーが好ましい。
成分(B)は、1種又は2種以上の組合せであってもよい。
光重合開始剤(C)は、エネルギー線の照射によりラジカルを発生する化合物であれば特に限定されない。成分(C)は、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、ベンゾフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン-1,2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-メチルチオ]フェニル]-2-モルホリノプロパンー1-オン、オリゴ[2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン]、オリゴ[2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン]、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、オリゴ2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノール、オリゴ2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノール、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、イソプロピルチオキサントン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、[4-(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタン、2,4-ジエチルチオキサントン、2ークロロチオキサントン、ベンゾフェノン、エチルアントラキノン、ベンゾフェノンアンモニウム塩、チオキサントンアンモニウム塩、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、1,4ジベンゾイルベンゼン、10-ブチル-2-クロロアクリドン、2,2’ビス(o-クロロフェニル)4,5,4’,5’-テトラキス(3,4,5-トリメトキシフェニル)1,2’-ビイミダゾール、2,2’ビス(o-クロロフェニル)4,5,4’,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、4-ベンゾイルジフェニルエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム、o-メチルベンゾイルベンゾエート、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエチルエステル、活性ターシャリアミン、カルバゾール・フェノン系光重合開始剤、アクリジン系光重合開始剤、トリアジン系光重合開始剤、ベンゾイル系光重合開始剤等が挙げられる。
成分(C)は、1種又は2種以上の組合せであってもよい。
光硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、更なる成分(D)を含むことができる。成分(D)として、水溶性可塑剤(d1)、水溶性フィラー(d2)、無機物を含むチキソ付与剤(d3)、水溶性高分子(d4)、非水溶性フィラー、シランカップリング剤、界面活性剤、スリップ剤、重合禁止剤、光増感剤、酸化防止剤、安定剤、着色剤、溶剤、成分(A)以外のラジカル重合反応性成分等が挙げられ、水溶性可塑剤(d1)、水溶性フィラー(d2)が好ましい。光硬化性樹脂組成物が水溶性可塑剤(d1)、水溶性フィラー(d2)及び/又は無機物を含むチキソ付与剤(d3)を含む場合、剥離性がより高まる。
成分(D)は、それぞれ、1種又は2種以上の組合せであってもよい。
水溶性可塑剤(d1)は、光硬化性樹脂組成物及びその硬化物の硬さ等の性質をコントロールする際に添加される成分である。水溶性可塑剤(d1)とは、高分子ではなく、水及び光硬化性樹脂組成物のいずれにも溶解する、ラジカル反応性のない材料をいう。成分(d1)としては、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体等のポリオキシアルキレン、ポリビニルアルコール;ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;澱粉分解物、ヒドロキシプロピルエーテル化澱粉、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、キサンタンガム等の多糖類;等が挙げられる。
成分(d1)は、1種又は2種以上の組合せであってもよい。
水溶性フィラー(d2)とは、光硬化性樹脂組成物には溶解しないが、水に溶解する、フィラーをいう。水溶性フィラー(d2)は、光硬化性樹脂組成物及びその硬化物の硬さ等の性質をコントロールする際に添加される成分である。水溶性フィラー(d2)としては、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム等の炭酸塩化合物系フィラー;過炭酸ナトリウム等の過炭酸塩化合物系フィラー;塩化ナトリウム、塩化アンモニウム等のハロゲン化物系フィラー;ポリリン酸アミド、ポリリン酸アンモニウム、リン酸メラミン等のリン酸塩化合物系フィラー;マグネシウム粉末、アルミニウム粉末等の軽金属系フィラー;水素化ホウ素ナトリウム、水素化ナトリウム等の水素化物系フィラー;クエン酸、酒石酸、ビタミンC(即ち、L-アスコルビン酸)等の有機酸系フィラー;等が挙げられる。
成分(d2)は、1種又は2種以上の組合せであってもよい。
無機物を含むチキソ付与剤(d3)は、少量の添加で増粘又はチキソ化効果の高いものであれば特に限定されない。成分(d3)に含まれる無機物としては、フュームドシリカ、炭酸カルシウム、カーボンブラック、カオリン、クレー、活性白土、ケイ砂、ケイ石、ケイ藻土、無水ケイ酸アルミニウム、含水ケイ酸マグネシウム、タルク、パーライト、ホワイトカーボン、マイカ微粉末、ベントナイト等が挙げられる。また、成分(d3)は、無機物のみからなっていてもよく、脂肪酸及び/又は樹脂酸で表面処理された無機物であってもよい。
成分(d3)は、1種又は2種以上の組合せであってもよい。
水溶性高分子(d4)は、ラジカル重合反応性の官能基を有さず、水及び光硬化性樹脂組成物のいずれにも溶解する性質を有する高分子であれば特に限定されない。成分(d4)としては、水溶性可塑剤(d1)で例示した成分が挙げられる。
成分(d4)は、1種又は2種以上の組合せであってもよい。
成分(A)以外のラジカル重合反応性成分としては、ラジカル重合反応性の官能基を有するものであれば特に限定されない。このような成分(A)以外のラジカル重合反応性成分としては、(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられ、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
光硬化性樹脂組成物は、水溶性可塑剤(d1)及び/又は水溶性フィラー(d2)を含むことが好ましい。また、光硬化性樹脂組成物は、水溶性フィラー(d2)を含む場合、水溶性可塑剤(d1)を含まないものであってもよい。
<粘度>
光硬化性樹脂組成物の粘度は、特に限定されないが、25℃で、100~100,000mPa・sであることが好ましい。光硬化性樹脂組成物の粘度が、前記範囲であることにより、ディスペンサーや各種印刷法等によってより簡便に塗付できる場合がある。粘度は、E型粘度計を用い、大気圧下、25℃で、適切なコーンプレートと回転速度を選定して測定できる。
光硬化性樹脂組成物において、成分(A)中、成分(A1)の含有量は、30~100重量%である。UV硬化性がより優れる観点から、成分(A)中の成分(A1)の含有量は、35~100重量%であることが好ましく、40~100重量%であることがより好ましく、80重量%~100重量%がさらに好ましく、100重量%が特に好ましい。
光硬化性樹脂組成物は、成分(A)、成分(B)、成分(C)及び任意成分である更なる成分(成分(D)等)を混合する工程を含む製造方法により得られる。
光硬化性樹脂組成物は、仮固定材として用いることができる。光硬化性樹脂組成物は、水晶振動子、ガラスレンズ、プラスチックレンズ及び光ディスクの加工における仮固定に適用可能である。
仮固定とは、一方の部材をもう一方の部材に、光硬化性樹脂組成物の硬化物を介して、一時的に接着させることをいう。光硬化性樹脂組成物の硬化物は、後に除去されて、これにより、一方の部材ともう一方の部材との光硬化性樹脂組成物の硬化物による接着性が失われ、仮固定が解除される。これにより、仮固定の目的を達成する。光硬化性樹脂組成物の硬化物は、水系溶剤により除去されることが好ましい。
光硬化性樹脂組成物を用いた部材の仮固定方法は、光硬化性樹脂組成物を用いて基材を貼り合わせる工程と、光硬化性樹脂組成物を硬化させて基材を接着して、仮固定する工程と、仮固定した基材を加工する工程と、加工した基材を水系溶剤と接触させて、硬化した光硬化性樹脂組成物を除去する工程とを含む。
(A)(a1)一方の基材に、光硬化性樹脂組成物を適用して、光硬化性樹脂組成物層を形成する工程と、(a2)光硬化性樹脂組成物層の上にもう一方の基材を貼り合わせて、積層体を得る工程と、
(B)工程(A)で得られる積層体にエネルギー線を照射して、接着体を得る工程と、
(C)接着体を加工して、粗加工体を得る工程と、
(D)粗加工体から、光硬化性樹脂組成物の硬化物を除去して、加工体を得る方法を含む。
有機酸は、カルボキシル基、スルホ基等の基を有する有機化合物の酸であり、クエン酸、酒石酸、乳酸、ビタミンC等が挙げられる。有機酸は、1種又は2種以上の組合せであってもよい。
界面活性剤は、非イオン性、陰イオン性、および陽イオン性からなるものが挙げられる。界面活性剤は、1種又は2種以上の組合せであってもよい。
親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、2-プロパノール、1,2-プロパンジオール等のアルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル;シクロヘキサノン等が挙げられる。親水性有機溶媒は、1種又は2種以上の組合せであってもよい。
水系溶剤は、水もしくは水と有機酸との混合溶媒であることが好ましい。特に、光硬化性樹脂組成物が炭酸塩化合物系フィラー(例えば、重炭酸ナトリウム)を含み、水系溶剤が有機酸(例えば、クエン酸)を含む場合は、粗加工体と水系溶剤との接触において、炭酸塩化合物と有機酸との接触によって発泡が生じ、光硬化性樹脂組成物の硬化物が効率的に除去できる。
<成分(A):ラジカル重合反応性モノマー>
<<成分(A1):分子内に1つ以上のOH基を持つラジカル重合反応性モノマー>>
HEAA:N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド(KJケミカル製)
HO-250:2-ヒドロキシエチルメタクリレート(共栄社化学製)
<<成分(A2):その他のラジカル重合反応性モノマー>>
IB:イソボルニルアクリレート(共栄社化学製)
<成分(B):連鎖移動剤>
MSD-100:α-メチルスチレンダイマー(三井化学製)
カレンズMT PE1:ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)(昭和電工製)
カレンズMT BD1:1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン(昭和電工製)
<成分(C):光重合開始剤>
イルガキュア1173:2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(BASF製)
<<成分(d1):水溶性可塑剤>>
精製グリセリン:グリセリン(阪本薬品工業製)(重量平均分子量(Mw):92)
PEG#300:ポリエチレングリコール(ライオン製)(重量平均分子量(Mw):300)
<<成分(d2):水溶性フィラー>>
重曹:重炭酸ナトリウム(トクヤマ製)
クエン酸:クエン酸(ミヨシ石鹸製)
<<成分(d3):チキソ付与剤>>
アエロジル200:ヒュームドシリカ(アエロジル製)
NKC130:ヒュームドシリカ(アエロジル製)
<<成分(d4):水溶性高分子>>
PEG#1000:ポリエチレングリコール(ライオン製)(重量平均分子量(Mw):1,000)
ペノンJE66:ヒドロキシプロピルエーテル化澱粉(日澱化学製)(重量平均分子量(Mw):16,000)
(1)固定性
2枚のスライドガラス基板を用意した。一枚のスライドガラス基板上に光硬化性樹脂組成物を30mg塗布してから、もう一枚のスライドガラスを貼り合わせ、厚みが100μmとなるように組成物を押しつぶした。メタルハライドランプ(アイグラフィックス製、M06-L31)にて3,000mJ/cm2のUVを照射した後、手で2枚のガラスそれぞれ持って動かし、剥がれないかどうかを確認した。
○:剥がれない
×:剥がれる
上記の「(1)固定性」を確認した試験片を2Lビーカーに入れ、50℃の水(実施例13及び14はクエン酸2wt%水溶液)を500g程度注いだ。そのビーカーを超音波洗浄器(エスエヌディー製、US-20PS)に入れて液温を50℃に保ったまま最も弱いレベル(5段階の1段目)の超音波をかけた。その後、どの程度の時間で組成物が溶解して2枚のガラスが剥がれるかを確認した。
◎:光硬化性樹脂組成物が20分以内で溶解し、ガラスが剥がれた
○:光硬化性樹脂組成物が40分以内で溶解し、ガラスが剥がれた
△:光硬化性樹脂組成物が1時間以内で溶解し、ガラスが剥がれた
×:光硬化性樹脂組成物が1時間以内ではガラス同士が剥がなかった
表1~表2に記載の配合比に従い、各成分を撹拌機付きフラスコで均一になるまで30分攪拌混合した。このうち、PEG#1000又はぺノンJE66を含むものに関しては60℃で加熱しながらさらに30分~1時間撹拌し、固体成分を溶解させることにより、実施例及び比較例の液状の光硬化性樹脂組成物を得た。
実施例8~9と実施例10との比較より、成分(D)が成分(d1)に加えて、成分(d3)を含む場合は、成分(D)が成分(d1)のみを含む場合と同様に、剥離性に優れていた。
実施例11と実施例8との比較より、成分(d2)が発泡剤である場合は、特に剥離性に優れていた。
実施例12と実施例8との比較より、成分(d2)が発泡剤に含まれる一部の水溶性フィラーのみである場合であっても、剥離性に優れていた。
実施例13と実施例11との比較より、水系洗浄液に含まれる第3の水溶性フィラー及び光硬化性樹脂組成物に含まれる水溶性フィラーの組み合わせが発泡性を有する場合は、これらの成分の両方が光硬化性樹脂組成物に含まれる場合と同様に、剥離性に特に優れていた。
実施例14と実施例1等との比較により、光硬化性樹脂組成物が成分(d2)を含むが成分(d1)を含まない場合であって、水系洗浄液に含まれる水溶性フィラーと、光硬化性樹脂組成物に含まれる水溶性フィラーとの組み合わせが発泡性を有する場合は、剥離性により優れていた。
一方、比較例1の組成物は、成分(B)を含まないため、剥離性が劣っていた。また、比較例2の組成物は、成分(A1)を含まないため、剥離性が劣っていた。
Claims (7)
- ラジカル重合反応性モノマー(A)、連鎖移動剤(B)及び光重合開始剤(C)を含有し、さらに、水溶性可塑剤(d1)及び/又は水溶性フィラー(d2)を含有する、貼り合せ仮固定用光硬化性樹脂組成物であって、成分(A)が、分子内に1つ以上のOH基を持つラジカル重合反応性モノマー(A1)を含有し、成分(A)中の成分(A1)の含有量が、80重量%~100重量%である、貼り合せ仮固定用光硬化性樹脂組成物。
- 成分(B)が、チオール基を持つ化合物又はα-メチルスチレンダイマーである、請求項1記載の光硬化性樹脂組成物。
- 光硬化性樹脂組成物中の成分(B)の含有量が0.7~15重量%である、請求項1又は2記載の光硬化性樹脂組成物。
- 成分(d2)を含有し、成分(d2)が、第1の水溶性フィラー(d2-1)及び第2の水溶性フィラー(d2-2)の組み合わせであり、ここで、成分(d2-1)及び成分(d2-2)の組み合わせは発泡性を有する、請求項1~3のいずれか一項記載の光硬化性樹脂組成物。
- 請求項1~4のいずれか一項記載の光硬化性樹脂組成物であって、光硬化性樹脂組成物は成分(d2)を含有し、第3の水溶性フィラー(d2-3)が溶解した水系溶剤が、光硬化性樹脂組成物の仮固定を解除するための水系溶剤として用いられ、光硬化性樹脂組成物に含まれる成分(d2)の少なくとも一部と前記成分(d2-3)との組み合わせは発泡性を有する、請求項1~4のいずれか一項記載の光硬化性樹脂組成物。
- 成分(d2)を含有するが、成分(d1)を含まない、請求項1~5のいずれか一項記載の光硬化性樹脂組成物。
- 成分(d1)を含有し、成分(d1)の重量平均分子量が50~500である、請求項1~5のいずれか一項記載の光硬化性樹脂組成物。
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