JP7243180B2 - 光架橋性重合体、絶縁層及びこれを含む有機トランジスタデバイス - Google Patents
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Description
(式(1)中、R1は水素またはCH3基を表し、R2は炭素数2~18のアルキル基を表す。)
以下に本発明を詳細に説明する。
上式(3)及び上式(4)で表される単量体のラジカル重合は溶液重合、乳化重合、懸濁重合、及び塊状重合等の公知の方法を用いることが出来る。溶液重合において用いる溶剤は上記の単量体、及び本発明の重合体が溶解する限り、何ら制限されず、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族溶剤、ジメチルフォルムアミド等のアミド系溶剤、テトラヒドロフラン等の環状エーテル溶剤等が挙げられ、これらの溶剤を混合して用いることも出来る。重合温度は用いる開始剤に依存して選択されるが、特に制限されない。開始剤としてはアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤の何れも用いることが出来る。反応時間は用いる開始剤の半減期に従い設定され、何ら制限はないが、経済性の観点から4~8時間である。
でき、また、必要に応じて光架橋(光環化)した架橋物として用いることができる。本発明では、該樹脂を光架橋して用いるとき、得られる絶縁層が架橋物を含有するものとなり、耐溶剤性の点で好適なものとなる。なお、本発明において該絶縁層を形成した後、光架橋せずに用いる場合には、該絶縁層を形成するのに用いる汎用溶剤には良好な溶解性を示し、更に、該絶縁層の上部に該汎用溶剤とは異なる溶剤を用いて有機半導体層を形成可能なことが必要となる。この際、該絶縁層が有機半導体溶液に対して耐溶剤性を持つとき、該絶縁層を形成した状態のままで用いることが出来る。
JNM-ECZ400S FT-NMR(日本電子(株)製)を用いて、ポリマーの重水素化クロロホルム溶剤の1H-NMR、13C-NMRを測定した。なお、ポリマーの化学構造決定は、前述の式(1)、及び式(2)で表される繰り返し単位の含有量(モル%)をそれぞれ、U1、及びU2として、1H-NMR測定により得られたピークの積分強度を用いて下記式(a)~(b)により求めた。
U1=1-U2 (b)
(ここで、I1はδ7.0~δ8.5ppmに存在するピークの積分値の総和を、I2はpδ3.5~4.5pmに存在するピークの積分値の総和を表す。)
<スピンコート>
ミカサ株式会社製オプティコートMS―A100を用いた。
<膜厚測定>
接触式表面プロファイラー(ブルカー社製、商品名Dektak XT-E)を用いて測定した。
<UV照射>
(株)ジーエス・ユアサ コーポレーション製UV-System、CSN-40A-2を用い、UV強度4.0kWの条件でUV照射した。
<光架橋性の評価方法>
UV照射前の膜厚をT1、及びUV照射後の膜をトルエンに20分間浸漬して可溶分を除去し、100℃×10分乾燥した後の膜厚をT2として、T2/T1×100(%)により残膜率を求め、残膜率95%以上を判断基準として、光架橋性を判定した。
<真空蒸着>
アルバック機工社製 小型真空蒸着装置VTR-350M/ERHを用いた。
<FET素子の評価>
有機トランジスタの一形態であるトップゲート・ボトムコンタクト(TGBC)型素子を作製し、ケースレー社製半導体パラメータアナライザー4200-SCSを用い、ソース・ドレイン間電圧をマイナス20ボルトとして、ゲート電圧を変化させることにより、移動度、漏洩電流、及び閾値電圧を評価した。
<樹脂の合成及び光架橋性の評価>
マグネティックスターラーチップを入れた20mLのシュレンクチューブにAOOMAを0.232g、NOMAを0.768g、AIBNを6.5mg、トルエンを3.9g仕込み、超音波洗浄機によりAIBNを溶解させて均一溶液とした。本溶液を液体窒素により凍結し、脱気した後に溶解させる操作を4回繰り返して、この溶液から酸素を除去した。その後、速やかにシュレンク管内に窒素を導入し、内容物を水浴で溶解させ、超音波洗浄機により析出物を溶解させた後、撹拌下、60℃で8h重合した時点でストッパー(BHTの塩化メチレン溶液)を添加した。撹拌下、200mLのヘキサンに反応溶液を注いで淡黄色のポリマーを沈殿させた。得られたポリマーを塩化メチレン5gに溶解させて、再度ヘキサン15mLに注いで再沈精製した。沈殿したポリマーをセルロースフィルターで吸引濾過し、ヘキサン洗浄ののち、40℃で減圧乾燥して0.3gの樹脂1を得た。
洗浄、乾燥した30×30mm2のガラス(基材)(コーニング社製Eagle XG)に樹脂1のトルエン溶液(5wt%)を500rpm×5秒、1000rpm×20秒の条件でスピンコートし、100℃で10分間乾燥した後、500mJ/cm2の紫外線を照射(室温)し、光架橋性を評価した。評価結果を表1に示す。
<有機トランジスタ素子の作製及び評価>
洗浄、乾燥した30×30mm2のガラス(基材)(コーニング社製Eagle XG)にジクロロジパラキシリレン(日本パリレン社製、商品名DPX-C)0.2gをラボコータ(日本パリレン社製、商品名PDS2010)を用いて真空蒸着し、ポリ(パラクロロキシリレン)の平坦化層を形成した。さらに平坦化層上に銀電極を真空蒸着し、厚み30nmの電極を形成した。その後、直ちにペンタフルオロベンゼンチオール30mmol/Lの2-プロパノール溶液に浸漬し、5分間経過した時点で取り出し、2-プロパノールで洗浄後、ブロー乾燥した。電極を形成した基材上に、2,7-ジ(n-ヘキシル)ジチエノベンゾジチオフェンの0.2wt%トルエン溶液をドロップキャストし、室温下(25℃)で自然乾燥させ有機半導体層を形成した。さらに有機半導体層上に樹脂1のn-ブタノール溶液(5wt%)を500rpm×5秒、1000rpm×20秒の条件でスピンコートし、100℃で10分間乾燥した後、500mJ/cm2の紫外線を照射(室温)して架橋し、膜厚590nmのゲート絶縁層を形成した。さらにゲート絶縁層上に銀電極を真空蒸着し、有機トランジスタの一形態であるトップゲート・ボトムコンタクト(TGBC)型素子を作製した。作製した有機トランジスタの評価結果等を表1に合わせて示す。
<樹脂の合成及び光架橋性の評価>
AOOMAを0.299g、NOMAを0.711g、AIBNを6.3mgに変え、重合時間を5時間とした以外は実施例1と同様の手法で樹脂2を0.31g得た。
樹脂1を樹脂2に変えた以外は実施例1と同様の手法で光架橋性を評価した。評価結果を表1に合わせて示す。
<有機トランジスタ素子の作製及び評価>
樹脂1を樹脂2に変えた以外は実施例1と同様の手法でトップゲート・ボトムコンタクト(TGBC)型の有機トランジスタを作製した。評価結果等を表1に合わせて示す。
<樹脂の合成及び光架橋性の評価>
AOOMAを0.189g、NOMAを0.811g、AIBNを6.7mgに変え、重合時間を5時間とした以外は実施例1と同様の手法で樹脂3を0.22g得た。
樹脂1を樹脂3に変えた以外は実施例1と同様の手法で光架橋性を評価した。評価結果を表1に合わせて示す。
<有機トランジスタ素子の作製及び評価>
樹脂1を樹脂3に変えた以外は実施例1と同様の手法でトップゲート・ボトムコンタクト(TGBC)型の有機トランジスタを作製した。評価結果等を表1に合わせて示す。
とを確認した。
<樹脂の合成及び光架橋性の評価>
AOOMAをADMAに変更し、その添加量を0.25g、NOMAを1.75g、AIBNを13.5mg、重合時間を8時間とした以外は実施例1と同様の手法で樹脂4を0.32g得た。
樹脂1を樹脂4に変えた以外は実施例1と同様の手法で光架橋性を評価した。評価結果を表1に合わせて示す。
<有機トランジスタ素子の作製及び評価>
樹脂1を樹脂4に変えた以外は実施例1と同様の手法でトップゲート・ボトムコンタクト(TGBC)型の有機トランジスタを作製した。評価結果等を表1に合わせて示す。
<樹脂の合成及び光架橋性の評価>
AOOMAをADMAに変更し、その添加量を0.182g、NOMAを1.818g、AIBNを13.8mg、重合時間を3時間とした以外は実施例1と同様の手法で樹脂5を0.25g得た。
樹脂1を樹脂5に変えた以外は実施例1と同様の手法で光架橋性を評価した。評価結果を表1に合わせて示す。
<有機トランジスタ素子の作製及び評価>
樹脂1を樹脂5に変えた以外は実施例1と同様の手法でトップゲート・ボトムコンタクト(TGBC)型の有機トランジスタを作製した。評価結果等を表1に合わせて示す。
<樹脂の合成及び光架橋性の評価>
マグネティックスターラーチップを入れた20mLのシュレンクチューブにNOMAを2.0g、AIBNを16.0mg、トルエンを6.0g仕込み、超音波洗浄機によりAIBNを溶解させて均一溶液とした。本溶液を液体窒素により凍結し、脱気した後に溶解させる操作を4回繰り返して、この溶液から酸素を除去した。その後、速やかにシュレンク管内に窒素を導入し、内容物を水浴で溶解させ、超音波洗浄機により析出物を溶解させた後、撹拌下、70℃で5h重合した時点でストッパー(BHTの塩化メチレン溶液)を添加した。撹拌下、200mLのヘキサンに反応溶液を注いで淡黄色のポリマーを沈殿させた。得られたポリマーを塩化メチレン5gに溶解させて、再度ヘキサン15mLに注いで再沈精製した。沈殿したポリマーをセルロースフィルターで吸引濾過し、ヘキサン洗浄ののち、40℃で減圧乾燥して0.3gのポリ(n-オクチルメタクリレート)(樹脂6)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ3.92(brs,-OCH2-)、δ1.9~0.9(m,-CH2-, -CH3)
樹脂1を樹脂6に変えた以外は実施例1と同様の手法で光架橋性を評価した。評価結果等を表1に合わせて示すが、樹脂6はトルエンに溶解し、光架橋しないことが確認された。
<有機トランジスタ素子の作製及び評価>
樹脂1を樹脂6に変えた以外は実施例1と同様の手法でトップゲート・ボトムコンタクト(TGBC)型の有機トランジスタを作製した。樹脂6は紫外線により架橋しないため、ソース電極、及びドレイン電極を真空蒸着する際の熱により膜表面の平坦性が失われていることが確認された。評価結果等を表1に合わせて示すが、作製した有機トランジスタは漏洩電流が大きく、低移動度である上、閾値電圧も高く、実施例1~5に比べ有機トランジスタ性能が劣っており、樹脂6は絶縁層として性能が不十分であることが確認された。
<樹脂の合成>
AOOMAをAMMAに変更し、その添加量を0.476g、NOMAを1.524g、AIBNを4.8mg、トルエン8g、重合時間を7.5時間とした以外は実施例1と同様の手法で樹脂7を0.13g得た。
<有機トランジスタ素子の作製及び評価>
樹脂7はn-ブタノールに溶解しなかったため、トルエン溶液として有機半導体層上に塗工したが、有機半導体層が溶解しトップゲート・ボトムコンタクト(TGBC)型の有機トランジスタを作製することが出来ず、TGBC用の絶縁層として用いることが出来ないことを確認した。
<樹脂の合成>
AOOMAをAMMAに変更し、その添加量を2.384g、NOMAを7.633g、AIBNを72.6mg、トルエン30g、重合時間を3.5時間とした以外は実施例1と同様の手法で樹脂8を1.9g得た。
<有機トランジスタ素子の作製及び評価>
樹脂8はn-ブタノールに溶解しなかったため、トルエン溶液として有機半導体層上に塗工したが有機半導体層が溶解し、トップゲート・ボトムコンタクト(TGBC)型の有機トランジスタを作製することが出来なかった。樹脂8はTGBC用の絶縁層として用いることが出来ないことを確認した。
(B):ボトムゲート-ボトムコンタクト型有機トランジスタ
(C):トップゲート-トップコンタクト型有機トランジスタ
(D):トップゲート-ボトムコンタクト型有機トランジスタ
1:有機半導体層
2:基板
3:ゲート電極
4:ゲート絶縁層
5:ソース電極
6:ドレイン電極
Claims (4)
- 請求項1に記載の樹脂の架橋物を含有することを特徴とする絶縁層。
- 請求項2に記載の絶縁層をゲート絶縁層として有することを特徴とする有機トランジスタ。
- 請求項3に記載の有機トランジスタを有することを特徴とする電子デバイス。
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