JP7243180B2 - 光架橋性重合体、絶縁層及びこれを含む有機トランジスタデバイス - Google Patents

光架橋性重合体、絶縁層及びこれを含む有機トランジスタデバイス Download PDF

Info

Publication number
JP7243180B2
JP7243180B2 JP2018241156A JP2018241156A JP7243180B2 JP 7243180 B2 JP7243180 B2 JP 7243180B2 JP 2018241156 A JP2018241156 A JP 2018241156A JP 2018241156 A JP2018241156 A JP 2018241156A JP 7243180 B2 JP7243180 B2 JP 7243180B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
insulating layer
organic transistor
organic
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018241156A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019112634A (ja
Inventor
史章 片桐
浩 山川
慎也 奥
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tosoh Corp
Original Assignee
Tosoh Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tosoh Corp filed Critical Tosoh Corp
Publication of JP2019112634A publication Critical patent/JP2019112634A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7243180B2 publication Critical patent/JP7243180B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/549Organic PV cells

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Thin Film Transistor (AREA)

Description

本発明は有機トランジスタデバイスに含まれる有機半導体層の上に溶液塗工可能な絶縁層形成用樹脂に関するものである。
トップゲート型の有機トランジスタデバイスの製造においては有機半導体層を形成した後に、該有機半導体層の上に高分子膜(絶縁層)を積層する必要がある。この場合、該高分子を有機溶剤に溶解させた高分子溶液が、既に形成されている有機半導体層に影響を与えないことが必須の条件となる。従って、該溶液は有機半導体層を溶解させてはならない。しかし、多くの有機半導体は溶解度の差はあるものの、種々の汎用有機溶剤により少なくとも部分的に溶解する場合が多い。
現状では有機半導体層の上面に絶縁層を形成する方法として、例えば蒸着によりポリパラキシリレン膜を形成する方法が知られている。この方法は溶剤を用いず、原料を加熱し、真空下で基材上に蒸着重合させてポリパラキシリレン薄膜を形成させる。従って、有機半導体層が溶剤との接触により溶解することを避けることが出来る。一方で、この方法では処理できる基材のサイズが制限される上、全印刷プロセスによる連続的な製造が難しく、更に、バッチプロセスのため経済性にも劣るという問題を有している。
また、別の方法として環状フッ素系エーテル樹脂をフッ素系溶剤に溶解させた溶液を有機半導体層の上面に塗工する方法が知られている。現在知られている有機半導体の多くはフッ素系溶剤には溶解しないため、この手法では有機半導体層に影響を与えずに該層の上に環状フッ素系エーテル樹脂の絶縁層を形成出来る。一方で、該フッ素樹脂、及び、該フッ素系溶剤は何れも経済性に問題が有り、更に、該フッ素樹脂溶液は有機半導体との親和性が低いため、該フッ素樹脂層と該有機半導体層との密着性が低いことから有機電界効果トランジスタデバイスの性能を低下させるという問題があった。
有機半導体層の上面に塗工しても広範な種類の有機半導体層を侵さず、汎用性が高い溶剤の一つに脂肪族アルコールがある。高沸点の脂肪族アルコールは絶縁層中に残存すると半導体性能を低下させるため、溶剤としては低沸点の低級脂肪族アルコールが好ましい。低級脂肪族アルコールに溶解する樹脂として、ブチラール樹脂、ポリビニルアルコール、特定の構造を有するアルキルメタクリレート等が知られている。しかし、ブチラール樹脂及びポリビニルアルコールは水酸基を有しており、この水酸基が電荷をトラップして半導体性能を低下させるため絶縁層を形成する高分子としては適さない。一方、ポリ(n-ブチルメタクリレート)、ポリ(n-オクチルメタクリレート)等のアルキルメタクリレートは低級脂肪族アルコールに溶解し(例えば、非特許文献1参照。)、水酸基を有さないため絶縁層材料として使用した際に電荷トラップの問題は生じにくい。しかし、これらの重合体は架橋性を有しておらず、絶縁層として用いた場合有機溶剤に対する耐溶剤性が発現しない。従って、絶縁層を形成した後、該絶縁層上に電極を形成するため金属インク溶液を塗工する際、金属インクに用いる溶剤には大きな制約が課せられる。
このような背景から、上述の樹脂は架橋可能なものであることが条件となるところ、樹脂の架橋としては熱または放射線による方法が一般に用いられる。このうち放射線による架橋(光架橋)を、有機半導体層の上部に形成された絶縁層に適用するとき、有機半導体が透明な絶縁層を通過した放射線により劣化する場合があるため、絶縁層を架橋する際の光照射量は出来る限り低くすることが好ましい。この観点から短時間で光架橋可能な絶縁層形成用の樹脂が求められている。
このような特性を有する光架橋性樹脂として、例えば、アントリル基を光架橋基として導入したポリマーとして、6-(アントラセン-9-イル)ヘキシルメタクリレートとフルオロアルキルメタクリレートとの共重合体(例えば、非特許文献2参照。)、ポリ(2-エチルヘキシルメタクリレート)とポリ(9-アントリルメチルメタクリレート)からなるジブロック共重合体(例えば、非特許文献3参照。)、6-(9-アントリロキシ)ヘキシルメタクリレート単独重合体(例えば、非特許文献4参照。)に関する技術が開示されている。しかし、これら文献には上記重合体の低級脂肪族アルコールへの溶解性について何らの言及もなく、実際、これらの重合体は低級脂肪族アルコールには溶解しない。
上述のようにこれまで低級脂肪族アルコールに溶解し、光架橋可能な絶縁層形成用の樹脂に関する技術は開示されておらず、これらの特性を併せ持つ絶縁層形成用の樹脂が求められていた。
ウィリー・インターサイエンス社刊、ポリマーハンドブック、第3版 ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス誌、2015年、53巻、1252頁 ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス誌、2016年、54巻、2302頁 ジャーナル・オブ・フォトサイエンス誌、2002年、9巻、3号、57頁
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、低級脂肪族アルコールに溶解し、光架橋可能な絶縁層形成用の樹脂を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の樹脂が低級脂肪族アルコールに溶解し、光架橋可能な絶縁層を形成出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は式(1)及び式(2)で表される反復単位を含む樹脂、該樹脂を用いた絶縁層、及び該絶縁層を用いてなる有機トランジスタに関するものである。
Figure 0007243180000001

(式(1)中、Rは水素またはCH基を表し、Rは炭素数2~18のアルキル基を表す。)
Figure 0007243180000002
(式(2)中、Rは水素またはCH基を表し、a、bはそれぞれ独立して1又は2を表し、cは0又は1を表す。mはn-2以上の整数を表し、nは式(1)中のRにおいて最も長いアルキル鎖の炭素数を表す。)
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の樹脂は、式(1)及び式(2)で表される反復単位を含む樹脂である。
式(1)中、Rは水素またはCH基を表す。
式(1)中、Rは炭素数2~18のアルキル基を表す。
としては、例えば、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、s-ペンチル基、2-エチルヘキシル基等の直鎖状アルキル基または分岐状アルキル基が挙げられる。
式(2)中、Rは水素またはCH基を表す。
式(2)中、a、bはそれぞれ独立して1又は2を表し、cは0又は1を表す。
式(2)中、mはn-2以上の整数を表し、nは式(1)中のRにおいて最も長いアルキル鎖の炭素数を表す。ここで、mがn-2未満の整数であるとき、樹脂の光架橋が困難になるものである。
本発明において、式(1)で表される反復単位は低級脂肪族アルコールへの優れた溶解性の観点から、その含有量は50~95モル%が好ましく、75~95モル%がさらに好ましい。
本発明において、式(2)で表される反復単位は光架橋基であり、光架橋の短時間化に好適であり、かつ、低級脂肪族アルコールへの優れた溶解性の観点から、その含有量は5~25モル%が好ましい。
そして本発明の樹脂は、式(1)で表される反復単位75~95モル%及び式(2)で表される反復単位5~25モル%を含む樹脂であることが好ましい。
本発明において、上式(1)、及び上式(2)の反復単位を有する樹脂の分子量には何ら制限はなく、例えば、5000~1,000,000(g/モル)である。樹脂の溶液粘度、及び力学強度の観点から、好ましくは10,000~500,000(g/モル)である。
本発明の樹脂の製造方法としては特に制限がなく、例えば、式(3)、及び式(4)で表される単量体を公知のラジカル重合により重合させることが挙げられる。
Figure 0007243180000003
(式(3)中、Rは水素またはCH基を表し、Rは炭素数2~18のアルキル基を表す。)
Figure 0007243180000004
(式(4)中、Rは水素またはCH基を表し、a、bはそれぞれ独立して1又は2を表し、cは0又は1を表す。mはn-2以上の整数を表し、nは式(1)中のRにおいて最も長いアルキル鎖の炭素数を表す。)
上式(3)及び上式(4)で表される単量体のラジカル重合は溶液重合、乳化重合、懸濁重合、及び塊状重合等の公知の方法を用いることが出来る。溶液重合において用いる溶剤は上記の単量体、及び本発明の重合体が溶解する限り、何ら制限されず、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族溶剤、ジメチルフォルムアミド等のアミド系溶剤、テトラヒドロフラン等の環状エーテル溶剤等が挙げられ、これらの溶剤を混合して用いることも出来る。重合温度は用いる開始剤に依存して選択されるが、特に制限されない。開始剤としてはアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤の何れも用いることが出来る。反応時間は用いる開始剤の半減期に従い設定され、何ら制限はないが、経済性の観点から4~8時間である。
本発明の樹脂は、溶剤に溶解させた溶液状態で種々の基材上に塗工又は印刷することが出来る。該溶剤としては、該樹脂を溶解する溶剤であれば何ら制限なく用いることができ、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノール、n-ペンタノール等の脂肪族アルコール類;ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル等のエーテル類;トルエン、キシレン、キュメン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;メチルイソブチルケトン、エチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、プロピオン酸プロピル等のエステル類;N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のグリコール類等が挙げられ、該樹脂が溶解する限り、単独または2種類以上の溶剤を併用してもよい。その中でも、有機半導体層の上に溶液塗工可能であることから、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノール、n-ペンタノール等の脂肪族アルコール類が好ましく、炭素数4以下の低級脂肪族アルコールがさらに好ましい。
塗工又は印刷方法には何ら制限はなく、例えば、スピンコーティング、ドロップキャスト、ディップコーティング、ドクターブレードコーティング、パッド印刷、スキージコート、ロールコーティング、ロッドバーコーティング、エアナイフコーティング、ワイヤーバーコーティング、フローコーティング、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、凸版反転印刷等を用いて印刷することが出来る。
本発明に係る樹脂を絶縁層として用いる場合、該絶縁層を形成した状態で用いることが
でき、また、必要に応じて光架橋(光環化)した架橋物として用いることができる。本発明では、該樹脂を光架橋して用いるとき、得られる絶縁層が架橋物を含有するものとなり、耐溶剤性の点で好適なものとなる。なお、本発明において該絶縁層を形成した後、光架橋せずに用いる場合には、該絶縁層を形成するのに用いる汎用溶剤には良好な溶解性を示し、更に、該絶縁層の上部に該汎用溶剤とは異なる溶剤を用いて有機半導体層を形成可能なことが必要となる。この際、該絶縁層が有機半導体溶液に対して耐溶剤性を持つとき、該絶縁層を形成した状態のままで用いることが出来る。
本発明に係る樹脂を光架橋して用いる場合、光架橋(光環化)には放射線が用いられ、例えば、波長245~350nmの紫外線が例示される。照射量は樹脂の組成により適宜変更されるが、例えば、100~1000mJ/cmが挙げられ、架橋度の低下を防止し、かつ、プロセスの短時間化(光架橋の短時間化)の観点から、好ましくは50~500mJ/cmである。紫外線の照射は通常大気中で行うが、必要に応じて不活性ガス中、または一定量の不活性ガス気流下で行うことも出来る。必要に応じて光増感剤を添加して光架橋反応を促進させることも出来る。用いる光増感剤には何ら制限はなく、例えば、ベンゾフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ニトロフェニル化合物等が例示されるが、本発明で用いられる樹脂との相溶性が高いベンゾフェノン化合物が好ましい。また、該増感剤は必要に応じて2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明の樹脂は紫外線により好適に架橋することが出来るが、必要に応じて加熱しても良い。紫外線照射に加えて加熱する場合の温度は特に制限されないが、用いる樹脂の熱変形を避けるため120℃以下の温度が好ましい。
また、本発明の樹脂は、短時間で効率良く架橋することができるものであり、架橋に要する時間を5分以内とすることができる。なお、架橋時間の制御に好適であることから、架橋に要する時間を1~2分以内とすることが好ましい。
本発明の樹脂は、有機トランジスタのゲート絶縁層として好適に用いることができる。該有機トランジスタは、基板上にゲート絶縁層を有するものである。更にこのゲート絶縁層の上に有機半導体層を成膜し、ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極を付設することにより得られる。また、本発明の樹脂は有機半導体層の保護層としても用いることが出来るが、この場合、本樹脂は未架橋または架橋された何れの状態でも使用出来る。
本発明の有機トランジスタは図1に示すボトムゲート-トップコンタクト型(A)、ボトムゲート-ボトムコンタクト型(B)、トップゲート-トップコンタクト型(C)、トップゲート-ボトムコンタクト型(D)のいずれの素子構造でもよい。ここで、1は有機半導体層、2は基板、3はゲート電極、4はゲート絶縁層、5はソース電極、6はドレイン電極を示す。
該有機トランジスタにおいて、用いることが出来る基材は素子を作製できる十分な平坦性を確保できれば特に制限されず、例えば、ガラス、石英、酸化アルミニウム、ハイドープシリコン、酸化シリコン、二酸化タンタル、五酸化タンタル、インジウム錫酸化物等の無機材料基板;プラスチック;金、銅、クロム、チタン、アルミニウム等の金属;セラミックス;コート紙;表面コート不織布等が挙げられ、これらの材料からなる複合材料又はこれらの材料を多層化した材料であっても良い。また、表面張力を調整するため、これらの材料表面をコーティングすることも出来る。
基材として用いるプラスチックとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリメチルペンテン-1、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、フッ素化環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリ(ジイソプロピルフマレート)、ポリ(ジエチルフマレート)、ポリ(ジイソプロピルマレエート)、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリアミドエラストマー、スチレンブロック共重合体等が例示される。また、上記のプラスチックを2種以上用いて積層して基材として用いることができる。
本発明で用いることが出来る有機半導体には何ら制限はなく、N型及びP型の有機半導体の何れも使用することができ、N型とP型を組み合わせたバイポーラトランジスタとしても使用できる。また、低分子及び高分子の有機半導体の何れも用いることができ、これらを混合して使用することも出来る。具体的な化合物としては、例えば式(F-1)~(F-11)等が例示される。
Figure 0007243180000005
Figure 0007243180000006
Figure 0007243180000007
Figure 0007243180000008
Figure 0007243180000009
Figure 0007243180000010
Figure 0007243180000011
Figure 0007243180000012
Figure 0007243180000013
Figure 0007243180000014
Figure 0007243180000015
本発明において、有機半導体層を形成する方法としては、有機半導体を真空蒸着する方法、または有機半導体を有機溶剤に溶解させて塗布、印刷する方法等が例示されるが、有機半導体層の薄膜を形成出来る方法であれば何らの制限もない。有機半導体層を有機溶剤に溶解させた溶液を用いて塗布、または印刷する場合の溶液濃度は有機半導体の構造及び用いる溶剤により異なるが、より均一な半導体層の形成及び層の厚みの低減の観点から、0.5~5重量%であることが好ましい。この際の有機溶剤としては有機半導体が製膜可能な一定の濃度で溶解する限り何ら制限はなく、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、デカリン、インダン、1-メチルナフタレン、2-エチルナフタレン、1,4-ジメチルナフタレン、ジメチルナフタレン異性体混合物、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン、メシチレン、イソプロピルベンゼン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、テトラリン、オクチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、1,3-ジクロロベンゼン、1,4-ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、1,2-ジメトキシベンゼン、1,3-ジメトキシベンゼン、γ-ブチロラクトン、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、ベンジルアルコール、グリセリン、シクロヘキサノールアセテート、3-メトキシブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アニソール、シクロヘキサノン、メシチレン、3-メトキシブチルアセテート、シクロヘキサノールアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、1,6-ヘキサンジオールジアセテート、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4-ブタンジオールジアセテート、エチルアセテート、フェニルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル-N-プロピルエーテル、テトラデカヒドロフェナントレン、1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロフェナントレン、デカヒドロ-2-ナフトール、1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフトール、α-テルピネオール、イソホロントリアセチンデカヒドロ-2-ナフトール、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、2,6-ジメチルアニソール、1,2-ジメチルアニソール、2,3-ジメチルアニソール、3,4-ジメチルアニソール、1-ベンゾチオフェン、3-メチルベンゾチオフェン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、ジオキサン、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセトフェノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、リモネン等が例示されるが、好ましい性状の結晶膜を得るためには有機半導体の溶解力が高く、沸点が100℃以上の溶剤が適しており、キシレン、イソプロピルベンゼン、アニソール、シクロヘキサノン、メシチレン、1,2-ジクロロベンゼン、3,4-ジメチルアニソール、ペンチルベンゼン、テトラリン、シクロヘキシルベンゼン、デカヒドロ-2-ナフトールが好ましい。また、前述の溶剤2種以上を適切な割合で混合した混合溶剤も用いることが出来る。
有機半導体層には必要に応じて各種有機・無機の高分子若しくはオリゴマー、又は有機・無機ナノ粒子を固体若しくは、ナノ粒子を水若しくは有機溶剤に分散させた分散液として添加でき、上記絶縁層上に高分子溶液を塗布して保護膜を形成出来る。更に、必要に応じて本保護膜上に各種防湿コーティング、耐光性コーティング等を行うことが出来る。
本発明で用いることが出来るゲート電極、ソース電極、又はドレイン電極としては、アルミニウム、金、銀、銅、ハイドープシリコン、ポリシリコン、シリサイド、スズ酸化物、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物、クロム、白金、チタン、タンタル、グラフェン、カーボンナノチューブ等の無機電極、又はドープされた導電性高分子(例えば、PEDOT-PSS)等の有機電極等の導電性材料が例示され、これらの導電性材料を複数、積層して用いることもできる。また、キャリアの注入効率を上げるために、これらの電極に表面処理剤を用いて表面処理を実施することもできる。このような表面処理剤としては、例えば、ベンゼンチオール、ペンタフルオロベンゼンチオール等を挙げることができる。
また、前記の基材、絶縁層または有機半導体層の上に電極を形成する方法に特に制限はなく、蒸着、高周波スパッタリング、電子ビームスパッタリング等が挙げられ、前記導電性材料のナノ粒子を水又は有機溶剤に溶解させたインクを用いて、溶液スピンコート、ドロップキャスト、ディップコート、ドクターブレード、ダイコート、パッド印刷、ロールコーティング、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、凸版反転印刷等の方法を採用することも出来る。
本発明の有機トランジスタは、有機トランジスタ素子の実用性の観点から、移動度が0.20cm/Vs以上であることが好ましい。
本発明の有機トランジスタは、有機トランジスタ素子の実用性の観点から、閾値電圧が-10.0V以上で0Vより小さいことが好ましい。
本発明の有機トランジスタは、有機トランジスタ素子の実用性の観点から、漏洩電流密度が10-9A/cm以下であることが好ましい。
本発明の有機トランジスタは、電子デバイスとして好適に用いることができる。
本発明によると、低級脂肪族アルコールに溶解し、光架橋可能な絶縁層形成用の樹脂の提供が可能となる。
;有機トランジスタの断面形状を示す図である。 ;実施例1で製造した樹脂のH-NMRチャートを示す図である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例において用いたn-デシルアクリレート、及びn-オクチルメタクリレート(NOMA)(下記式(A))はマクロモレキュールズ誌、2006年、39巻、14号、4726頁記載の方法により、9-アントリルメチルメタクリレート(AMMA)(下記式(B))はマクロモレキュールズ誌、1980年、13巻、289頁記載の方法により、アントリルデシルメタクリレート(ADMA)(下記式(C))はジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス誌、2015年、53巻、1252頁記載の方法により、アントリルオキシ-n-オクチルメタクリレート(AOOMA)(下記式(D))はジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー誌、1983年、48巻、2779頁、及び、テトラヒドロン誌、2016年、72巻、4303頁記載の方法により合成した。また、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)は東京化成製の試薬を、アゾイソブチロニトリル(AIBN)は和光純薬製の試薬を用いた。
Figure 0007243180000016
Figure 0007243180000017
Figure 0007243180000018
Figure 0007243180000019
<NMR>
JNM-ECZ400S FT-NMR(日本電子(株)製)を用いて、ポリマーの重水素化クロロホルム溶剤のH-NMR、13C-NMRを測定した。なお、ポリマーの化学構造決定は、前述の式(1)、及び式(2)で表される繰り返し単位の含有量(モル%)をそれぞれ、U、及びUとして、H-NMR測定により得られたピークの積分強度を用いて下記式(a)~(b)により求めた。
=2(1+c)I/{9+2(a+b)} (a)
=1-U (b)
(ここで、Iはδ7.0~δ8.5ppmに存在するピークの積分値の総和を、Iはpδ3.5~4.5pmに存在するピークの積分値の総和を表す。)
<スピンコート>
ミカサ株式会社製オプティコートMS―A100を用いた。
<膜厚測定>
接触式表面プロファイラー(ブルカー社製、商品名Dektak XT-E)を用いて測定した。
<UV照射>
(株)ジーエス・ユアサ コーポレーション製UV-System、CSN-40A-2を用い、UV強度4.0kWの条件でUV照射した。
<光架橋性の評価方法>
UV照射前の膜厚をT1、及びUV照射後の膜をトルエンに20分間浸漬して可溶分を除去し、100℃×10分乾燥した後の膜厚をT2として、T2/T1×100(%)により残膜率を求め、残膜率95%以上を判断基準として、光架橋性を判定した。
<真空蒸着>
アルバック機工社製 小型真空蒸着装置VTR-350M/ERHを用いた。
<FET素子の評価>
有機トランジスタの一形態であるトップゲート・ボトムコンタクト(TGBC)型素子を作製し、ケースレー社製半導体パラメータアナライザー4200-SCSを用い、ソース・ドレイン間電圧をマイナス20ボルトとして、ゲート電圧を変化させることにより、移動度、漏洩電流、及び閾値電圧を評価した。
(実施例1)
<樹脂の合成及び光架橋性の評価>
マグネティックスターラーチップを入れた20mLのシュレンクチューブにAOOMAを0.232g、NOMAを0.768g、AIBNを6.5mg、トルエンを3.9g仕込み、超音波洗浄機によりAIBNを溶解させて均一溶液とした。本溶液を液体窒素により凍結し、脱気した後に溶解させる操作を4回繰り返して、この溶液から酸素を除去した。その後、速やかにシュレンク管内に窒素を導入し、内容物を水浴で溶解させ、超音波洗浄機により析出物を溶解させた後、撹拌下、60℃で8h重合した時点でストッパー(BHTの塩化メチレン溶液)を添加した。撹拌下、200mLのヘキサンに反応溶液を注いで淡黄色のポリマーを沈殿させた。得られたポリマーを塩化メチレン5gに溶解させて、再度ヘキサン15mLに注いで再沈精製した。沈殿したポリマーをセルロースフィルターで吸引濾過し、ヘキサン洗浄ののち、40℃で減圧乾燥して0.3gの樹脂1を得た。
H-NMR(図2)による分析の結果、得られた樹脂1(下記式)(n=8)は式(1)、及び式(2)で表される構造単位をそれぞれ86.4モル%、及び13.6モル%有していることを確認した。
Figure 0007243180000020
H-NMR(400MHz,CDCl):δ8.27(brs,芳香族),δ8.20(brs,芳香族),δ7.45(brs,芳香族)、δ4.17(brs,-OCH-),δ3.92(brs,-OCH-)、δ2.2~0.7(m,-CH-,)、δ1.59(s,-CH
洗浄、乾燥した30×30mmのガラス(基材)(コーニング社製Eagle XG)に樹脂1のトルエン溶液(5wt%)を500rpm×5秒、1000rpm×20秒の条件でスピンコートし、100℃で10分間乾燥した後、500mJ/cmの紫外線を照射(室温)し、光架橋性を評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 0007243180000021
樹脂1は低いUV照射量で架橋し、光架橋性に優れることが確認された。
<有機トランジスタ素子の作製及び評価>
洗浄、乾燥した30×30mmのガラス(基材)(コーニング社製Eagle XG)にジクロロジパラキシリレン(日本パリレン社製、商品名DPX-C)0.2gをラボコータ(日本パリレン社製、商品名PDS2010)を用いて真空蒸着し、ポリ(パラクロロキシリレン)の平坦化層を形成した。さらに平坦化層上に銀電極を真空蒸着し、厚み30nmの電極を形成した。その後、直ちにペンタフルオロベンゼンチオール30mmol/Lの2-プロパノール溶液に浸漬し、5分間経過した時点で取り出し、2-プロパノールで洗浄後、ブロー乾燥した。電極を形成した基材上に、2,7-ジ(n-ヘキシル)ジチエノベンゾジチオフェンの0.2wt%トルエン溶液をドロップキャストし、室温下(25℃)で自然乾燥させ有機半導体層を形成した。さらに有機半導体層上に樹脂1のn-ブタノール溶液(5wt%)を500rpm×5秒、1000rpm×20秒の条件でスピンコートし、100℃で10分間乾燥した後、500mJ/cmの紫外線を照射(室温)して架橋し、膜厚590nmのゲート絶縁層を形成した。さらにゲート絶縁層上に銀電極を真空蒸着し、有機トランジスタの一形態であるトップゲート・ボトムコンタクト(TGBC)型素子を作製した。作製した有機トランジスタの評価結果等を表1に合わせて示す。
作製した有機トランジスタは漏洩電流が小さく、絶縁層が優れた絶縁性を有していることを確認した。
(実施例2)
<樹脂の合成及び光架橋性の評価>
AOOMAを0.299g、NOMAを0.711g、AIBNを6.3mgに変え、重合時間を5時間とした以外は実施例1と同様の手法で樹脂2を0.31g得た。
H-NMRによる分析の結果、得られた樹脂2(下記式)(n=8)は式(1)、及び式(2)で表される構造単位をそれぞれ78.1モル%、及び21.9モル%有していることを確認した。
Figure 0007243180000022
H-NMR(400MHz,CDCl):δ8.27(brs,芳香族),δ8.20(brs,芳香族),δ7.45(brs,芳香族)、δ4.17(brs,-OCH-),δ3.92(brs,-OCH-)、δ2.2~0.7(m,-CH-,)、δ1.59(s,-CH
樹脂1を樹脂2に変えた以外は実施例1と同様の手法で光架橋性を評価した。評価結果を表1に合わせて示す。
樹脂2は低いUV照射量で架橋し、光架橋性に優れることが確認された。
<有機トランジスタ素子の作製及び評価>
樹脂1を樹脂2に変えた以外は実施例1と同様の手法でトップゲート・ボトムコンタクト(TGBC)型の有機トランジスタを作製した。評価結果等を表1に合わせて示す。
作製した有機トランジスタは漏洩電流が小さく、絶縁層が優れた絶縁性を有していることを確認した。
(実施例3)
<樹脂の合成及び光架橋性の評価>
AOOMAを0.189g、NOMAを0.811g、AIBNを6.7mgに変え、重合時間を5時間とした以外は実施例1と同様の手法で樹脂3を0.22g得た。
H-NMRによる分析の結果、得られた樹脂3(下記式)(n=8)は式(1)、及び式(2)で表される構造単位をそれぞれ87.9モル%、及び12.1モル%有していることを確認した。
Figure 0007243180000023
H-NMR(400MHz,CDCl):δ8.27(brs,芳香族),δ8.20(brs,芳香族),δ7.45(brs,芳香族)、δ4.17(brs,-OCH-),δ3.92(brs,-OCH-)、δ2.2~0.7(m,-CH-,)、δ1.59(s,-CH
樹脂1を樹脂3に変えた以外は実施例1と同様の手法で光架橋性を評価した。評価結果を表1に合わせて示す。
樹脂3は低いUV照射量で架橋し、光架橋性に優れることが確認された。
<有機トランジスタ素子の作製及び評価>
樹脂1を樹脂3に変えた以外は実施例1と同様の手法でトップゲート・ボトムコンタクト(TGBC)型の有機トランジスタを作製した。評価結果等を表1に合わせて示す。
作製した有機トランジスタは漏洩電流が小さく、絶縁層が優れた絶縁性を有しているこ
とを確認した。
(実施例4)
<樹脂の合成及び光架橋性の評価>
AOOMAをADMAに変更し、その添加量を0.25g、NOMAを1.75g、AIBNを13.5mg、重合時間を8時間とした以外は実施例1と同様の手法で樹脂4を0.32g得た。
H-NMRによる分析の結果、得られた樹脂4(下記式)(n=8)は式(1)、及び式(2)で表される構造単位をそれぞれ87.5モル%、及び12.5モル%有していることを確認した。
Figure 0007243180000024
H-NMR(400MHz,CDCl):δ8.29(brs,芳香族),δ8.23(brs,芳香族),δ7.96(brs,芳香族)、δ7.44(brs、芳香族)、δ4.12(brs,-OCH-),δ3.53(brs,-OCH-)、δ2.0~0.7(m,-CH-,-CH
樹脂1を樹脂4に変えた以外は実施例1と同様の手法で光架橋性を評価した。評価結果を表1に合わせて示す。
樹脂4は低いUV照射量で架橋し、光架橋性に優れることが確認された。
<有機トランジスタ素子の作製及び評価>
樹脂1を樹脂4に変えた以外は実施例1と同様の手法でトップゲート・ボトムコンタクト(TGBC)型の有機トランジスタを作製した。評価結果等を表1に合わせて示す。
作製したOFETは漏洩電流が小さく、絶縁層が優れた絶縁性を有していることを確認した。
(実施例5)
<樹脂の合成及び光架橋性の評価>
AOOMAをADMAに変更し、その添加量を0.182g、NOMAを1.818g、AIBNを13.8mg、重合時間を3時間とした以外は実施例1と同様の手法で樹脂5を0.25g得た。
H-NMRによる分析の結果、得られた樹脂5(下記式)(n=8)は式(1)、及び式(2)で表される構造単位をそれぞれ95.0モル%、及び5.0モル%有していることを確認した。
Figure 0007243180000025
H-NMR(400MHz,CDCl):δ8.29(brs,芳香族),δ8.23(brs,芳香族),δ7.96(brs,芳香族)、δ7.44(brs、芳香族)、δ4.12(brs,-OCH-),δ3.53(brs,-OCH-)、δ2.0~0.7(m,-CH-,-CH
樹脂1を樹脂5に変えた以外は実施例1と同様の手法で光架橋性を評価した。評価結果を表1に合わせて示す。
樹脂5は低いUV照射量で架橋し、光架橋性に優れることが確認された。
<有機トランジスタ素子の作製及び評価>
樹脂1を樹脂5に変えた以外は実施例1と同様の手法でトップゲート・ボトムコンタクト(TGBC)型の有機トランジスタを作製した。評価結果等を表1に合わせて示す。
作製したOFETは漏洩電流が小さく、絶縁層が優れた絶縁性を有していることを確認した。
(比較例1)
<樹脂の合成及び光架橋性の評価>
マグネティックスターラーチップを入れた20mLのシュレンクチューブにNOMAを2.0g、AIBNを16.0mg、トルエンを6.0g仕込み、超音波洗浄機によりAIBNを溶解させて均一溶液とした。本溶液を液体窒素により凍結し、脱気した後に溶解させる操作を4回繰り返して、この溶液から酸素を除去した。その後、速やかにシュレンク管内に窒素を導入し、内容物を水浴で溶解させ、超音波洗浄機により析出物を溶解させた後、撹拌下、70℃で5h重合した時点でストッパー(BHTの塩化メチレン溶液)を添加した。撹拌下、200mLのヘキサンに反応溶液を注いで淡黄色のポリマーを沈殿させた。得られたポリマーを塩化メチレン5gに溶解させて、再度ヘキサン15mLに注いで再沈精製した。沈殿したポリマーをセルロースフィルターで吸引濾過し、ヘキサン洗浄ののち、40℃で減圧乾燥して0.3gのポリ(n-オクチルメタクリレート)(樹脂6)を得た。
H-NMR(400MHz,CDCl):δ3.92(brs,-OCH2-)、δ1.9~0.9(m,-CH-, -CH
樹脂1を樹脂6に変えた以外は実施例1と同様の手法で光架橋性を評価した。評価結果等を表1に合わせて示すが、樹脂6はトルエンに溶解し、光架橋しないことが確認された。
<有機トランジスタ素子の作製及び評価>
樹脂1を樹脂6に変えた以外は実施例1と同様の手法でトップゲート・ボトムコンタクト(TGBC)型の有機トランジスタを作製した。樹脂6は紫外線により架橋しないため、ソース電極、及びドレイン電極を真空蒸着する際の熱により膜表面の平坦性が失われていることが確認された。評価結果等を表1に合わせて示すが、作製した有機トランジスタは漏洩電流が大きく、低移動度である上、閾値電圧も高く、実施例1~5に比べ有機トランジスタ性能が劣っており、樹脂6は絶縁層として性能が不十分であることが確認された。
(比較例2)
<樹脂の合成>
AOOMAをAMMAに変更し、その添加量を0.476g、NOMAを1.524g、AIBNを4.8mg、トルエン8g、重合時間を7.5時間とした以外は実施例1と同様の手法で樹脂7を0.13g得た。
1H-NMRによる分析の結果、得られた樹脂7(下記式)(n=8)は式(1)、及び式(2)で表される構造単位をそれぞれ92.2モル%、及び7.8モル%有していることを確認した。
Figure 0007243180000026
H-NMR(400MHz,CDCl):δ8.49(brs,芳香族),δ8.39(brs,芳香族),δ8.31(brs,芳香族)、δ7.59(brs,芳香族)、δ7.49(brs、芳香族)、δ3.92(brs,-OCH-)、δ2.0~0.8(m,-CH-,-CH
<有機トランジスタ素子の作製及び評価>
樹脂7はn-ブタノールに溶解しなかったため、トルエン溶液として有機半導体層上に塗工したが、有機半導体層が溶解しトップゲート・ボトムコンタクト(TGBC)型の有機トランジスタを作製することが出来ず、TGBC用の絶縁層として用いることが出来ないことを確認した。
(比較例3)
<樹脂の合成>
AOOMAをAMMAに変更し、その添加量を2.384g、NOMAを7.633g、AIBNを72.6mg、トルエン30g、重合時間を3.5時間とした以外は実施例1と同様の手法で樹脂8を1.9g得た。
H-NMRによる分析の結果、得られた樹脂8(下記式)(n=8)は式(1)、及び式(2)で表される構造単位をそれぞれ74.6モル%、及び25.4モル%有していることを確認した。
Figure 0007243180000027
H-NMR(400MHz,CDCl):δ8.49(brs,芳香族),δ8.39(brs,芳香族),δ8.31(brs,芳香族)、δ7.59(brs,芳香族)、δ7.49(brs、芳香族)、δ3.92(brs,-OCH2-)、δ2.0~0.8(m,-CH-,-CH
<有機トランジスタ素子の作製及び評価>
樹脂8はn-ブタノールに溶解しなかったため、トルエン溶液として有機半導体層上に塗工したが有機半導体層が溶解し、トップゲート・ボトムコンタクト(TGBC)型の有機トランジスタを作製することが出来なかった。樹脂8はTGBC用の絶縁層として用いることが出来ないことを確認した。
プリンテッドエレクトロニクス技術により製造出来る高品質の有機トランジスタデバイス用の絶縁層形成に好適な樹脂を提供できる。
(A):ボトムゲート-トップコンタクト型有機トランジスタ
(B):ボトムゲート-ボトムコンタクト型有機トランジスタ
(C):トップゲート-トップコンタクト型有機トランジスタ
(D):トップゲート-ボトムコンタクト型有機トランジスタ
1:有機半導体層
2:基板
3:ゲート電極
4:ゲート絶縁層
5:ソース電極
6:ドレイン電極

Claims (4)

  1. 式(1)及び式(2)で表される反復単位を含み、式(1)で表わされる反復単位75~95モル%、式(2)で表わされる反復単位5~25モル%である樹脂。
    Figure 0007243180000028
    (式(1)中、Rは水素またはCH基を表し、Rは炭素数2~18の直鎖状アルキル基を表す。)
    Figure 0007243180000029
    (式(2)中、Rは水素またはCH基を表し、a、bは1を表し、cは0又は1を表す。mはn-2以上の整数を表し、nは式(1)中のRにおいて直鎖状アルキル基の炭素数を表す。)
  2. 請求項1に記載の樹脂の架橋物を含有することを特徴とする絶縁層。
  3. 請求項に記載の絶縁層をゲート絶縁層として有することを特徴とする有機トランジスタ。
  4. 請求項に記載の有機トランジスタを有することを特徴とする電子デバイス。
JP2018241156A 2017-12-25 2018-12-25 光架橋性重合体、絶縁層及びこれを含む有機トランジスタデバイス Active JP7243180B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017248214 2017-12-25
JP2017248214 2017-12-25

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019112634A JP2019112634A (ja) 2019-07-11
JP7243180B2 true JP7243180B2 (ja) 2023-03-22

Family

ID=67223552

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018241156A Active JP7243180B2 (ja) 2017-12-25 2018-12-25 光架橋性重合体、絶縁層及びこれを含む有機トランジスタデバイス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7243180B2 (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002088124A (ja) 2000-09-07 2002-03-27 Samsung Electronics Co Ltd 縮合環の芳香族環を含む保護基を有する感光性ポリマー及びこれを含むレジスト組成物
JP2007058236A (ja) 1996-10-07 2007-03-08 Rohm & Haas Electronic Materials Llc 染色されたフォトレジストとその方法及びそれからなる工業製品
JP2009040811A (ja) 2007-08-06 2009-02-26 Kawasaki Kasei Chem Ltd 重合性組成物及びその重合物
JP5591465B2 (ja) 2008-10-30 2014-09-17 丸善石油化学株式会社 濃度が均一な半導体リソグラフィー用共重合体溶液の製造方法
JP2015507212A (ja) 2011-12-15 2015-03-05 AzエレクトロニックマテリアルズIp株式会社 現像可能な下層反射防止膜形成用組成物
WO2017141932A1 (ja) 2016-02-18 2017-08-24 住友化学株式会社 高分子化合物、組成物、絶縁層および有機薄膜トランジスタ

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3854367B2 (ja) * 1997-06-04 2006-12-06 Azエレクトロニックマテリアルズ株式会社 光吸収性ポリマー、光吸収膜形成性組成物及び光吸収膜とそれを用いた反射防止膜

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007058236A (ja) 1996-10-07 2007-03-08 Rohm & Haas Electronic Materials Llc 染色されたフォトレジストとその方法及びそれからなる工業製品
JP2002088124A (ja) 2000-09-07 2002-03-27 Samsung Electronics Co Ltd 縮合環の芳香族環を含む保護基を有する感光性ポリマー及びこれを含むレジスト組成物
JP2009040811A (ja) 2007-08-06 2009-02-26 Kawasaki Kasei Chem Ltd 重合性組成物及びその重合物
JP5591465B2 (ja) 2008-10-30 2014-09-17 丸善石油化学株式会社 濃度が均一な半導体リソグラフィー用共重合体溶液の製造方法
JP2015507212A (ja) 2011-12-15 2015-03-05 AzエレクトロニックマテリアルズIp株式会社 現像可能な下層反射防止膜形成用組成物
WO2017141932A1 (ja) 2016-02-18 2017-08-24 住友化学株式会社 高分子化合物、組成物、絶縁層および有機薄膜トランジスタ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019112634A (ja) 2019-07-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2089442B1 (en) Photopolymer-based dielectric materials and methods of preparation and use thereof
JP5605668B1 (ja) 絶縁材料用樹脂組成物、絶縁インキ、絶縁膜及びそれを用いた有機電界効果トランジスタ
US9929345B1 (en) Curable polymeric materials and their use for fabricating electronic devices
CN102947359A (zh) 固化性组合物和固化膜的制造方法
JP6821991B2 (ja) 絶縁膜及びこれを含む有機電界効果トランジスタデバイス
TW201114084A (en) Solution processable passivation layers for organic electronic devices
JP2006295165A (ja) 薄膜トランジスタ及び薄膜トランジスタの作製方法
US8623745B2 (en) Composition for forming gate insulating film for thin-film transistor
JP6801374B2 (ja) 重合体、絶縁膜及びこれを含む有機電界効果トランジスタデバイス
Zhu et al. Enhanced dielectric and electrical energy storage capability of polymers with combined azobenzene and triphenylamine side groups by ring-opening metathesis polymerization
US11345778B2 (en) Organic dielectric materials and devices including them
JP2019178191A (ja) フッ素系樹脂
JP7243180B2 (ja) 光架橋性重合体、絶縁層及びこれを含む有機トランジスタデバイス
TWI573194B (zh) 半導體用絕緣膜及使用其的有機薄膜電晶體
JP6992546B2 (ja) 光架橋性重合体、絶縁膜、平坦化膜、親撥パターニング膜及びこれを含む有機電界効果トランジスタデバイス
JP7480484B2 (ja) 樹脂組成物
WO2019181954A1 (ja) 重合性化合物、光硬化型重合体、絶縁膜、保護膜、及び有機トランジスタデバイス
JP2018164030A (ja) 有機半導体素子、有機半導体組成物、有機半導体膜の製造方法、有機半導体膜、及びこれらに用いるポリマー
WO2023074606A1 (ja) 樹脂、絶縁膜及びこれを含む有機電界効果トランジスタデバイス
TWI761480B (zh) 有機半導體元件、有機半導體組成物、有機半導體膜的製造方法、有機半導體膜、以及用於其的化合物及聚合物
JP6992545B2 (ja) 光架橋性重合体、絶縁膜、親撥パターニング膜およびこれを含む有機トランジスタ
WO2018168676A1 (ja) 光架橋性重合体、絶縁膜、平坦化膜、親撥パターニング膜及びこれを含む有機電界効果トランジスタデバイス
JP7371334B2 (ja) 重合性化合物、光架橋性重合体、絶縁膜、及び有機トランジスタデバイス
JP2022067447A (ja) 光架橋性樹脂、絶縁層およびこれを備えた有機トランジスタ
JP6953986B2 (ja) 光架橋性重合体、絶縁膜及びこれを含む有機電界効果トランジスタデバイス

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211110

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220926

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221011

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221205

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230207

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230220

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7243180

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151