JP2019178191A - フッ素系樹脂 - Google Patents

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Shohei Yumino
翔平 弓野
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慎也 奥
智弥 下野
Tomoya Shimono
智弥 下野
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典久 近藤
Norihisa Kondo
典久 近藤
智大 白井
Tomohiro Shirai
智大 白井
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Abstract

【課題】環境面で問題となる炭素数8以上の長鎖のパーフルオロアルキルユニットを含まず、撥液性、感光性、パターニング性に優れる新規なフッ素系樹脂を提供する。【解決手段】(メタ)アクリル酸エステルからなる樹脂重合体であり、該重合体側鎖中に、直鎖状、分岐状または環状の炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基からなり、また該アルキレレン基は単数又は共役した二重結合を含む連結基に接続し、側鎖中末端には、末端がCF3である直鎖状、分岐状または環状の炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基からなる構造であり、該アルキレレン基は二重結合を含む連結基中には、存在しないか、またはCH2、OもしくはSである接続基からなり、及びおよび側鎖に光架橋性基を有するエチレン性不飽和単量体残基単位を含むことを特徴とするフッ素系樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、新規なフッ素系樹脂に関するものであり、さらに詳しくは、環境面で問題となる炭素数8以上の長鎖のパーフルオロアルキルユニットを含まず、撥液性、感光性、パターニング性に優れる新規なフッ素系樹脂に関するものである。
近年、有機薄膜トランジスタアレイの素子間の隔壁、カラーフィルターの画素間の隔壁、有機EL表示素子の画素間の隔壁等の永久膜を形成する材料として、光架橋性物質が注目されている。例えば、有機薄膜トランジスタ(OTFT)アレイを製造する際に、光架橋性物質を用いてフォトリソグラフィで隔壁パターンを形成した後に、スピンコート、有版印刷、インクジェット法等の印刷手法を用いて、有機半導体のインクを塗布し、OTFT素子を形成する方法が知られている。また、カラーフィルターを製造する際に、光架橋性物質を用いてフォトリソグラフィで隔壁パターン(ブラックマトリックスの役割を果たすこともある)を形成した後に、インクジェット法を用いて、R(レッド)、G(グリーン)およびB(ブルー)のインクを隔壁間の開口部に塗布し、画素を形成する方法が知られている。また、有機EL素子を製造する際に、光架橋性物質を用いてフォトリソグラフィで隔壁パターンを形成した後に、インクジェット法を用いて、正孔輸送材料、発光材料等の溶液を隔壁間の開口部に塗布し、正孔輸送層、発光層等を有する画素を形成する方法が知られている。
このようなOTFTアレイ、カラーフィルター、有機EL素子等を製造する際、隣接する素子または画素を区切る隔壁外にインクが流出することを防ぐために、隔壁はインクに対する撥液性を有する必要がある。
このような特性を得るために、感光性樹脂組成物にフルオロアルキル基を含有するモノマーまたはポリマーを用いることが提案されている。
例えば、フルオロアルキル基含有モノマー、架橋性モノマーおよび光重合開始剤の組成物を光重合する技術が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。また、フルオロアルキル基含有モノマーと架橋性官能基含有モノマーの共重合体、架橋性モノマーおよび光重合開始剤の組成物を光重合する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。これらの技術は撥液性の隔壁が親液性の領域上に形成されたパターン表面をフォトリソグラフィ法で作製するための表面処理剤として適用可能である。
しかし、これまで撥水性や撥油性を付与する機能製品に用いられてきた炭素数が8以上のパーフルオロアルキル基を有する化合物は、環境や人体への蓄積性、および有害性から使用を見直されており、そのため、炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基を有する化合物で代替する検討が行われてきている(例えば、特許文献2または特許文献3参照)。
しかしながら、特許文献2または特許文献3等の技術では、パーフルオロカーボンの炭素鎖が短くなればなるほど撥水性・撥油性の性能が従来の炭素数8以上のパーフルオロアルキル基を有する化合物に比べて劣るという問題があった。
このため、光架橋性物質であり、かつ、炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基を有する化合物でありながら、優れた撥水性・撥油性を示す物質が求められていた。
特開2003−300323号公報 特開2006−185869号公報 特開2014−006273号公報
J.Poly.Sci.Part A,37巻, 77頁(1999年)
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、優れた撥水および撥油効果を有し、かつ炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基を有する新規なフッ素系樹脂およびその硬化物と、これを用いた有機トランジスタ素子および電子デバイスを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下に示すフッ素系樹脂を用いることにより、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される残基単位、下記一般式(2)で表される残基単位、または下記一般式(3)で表される残基単位、および側鎖に光架橋性基を有するエチレン性不飽和単量体残基単位を含むことを特徴とするフッ素系樹脂に関するものである。
Figure 2019178191
Figure 2019178191
Figure 2019178191
(一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)中、Rは水素基、メチル基、ハロゲン、またはトリフルオロメチル基、Rfは、末端がCFである直鎖状、分岐状または環状の炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基であり、Rfは、直鎖状、分岐状または環状の炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基であり、Rfは、末端がCFである直鎖状、分岐状または環状の炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基であり、Rfは、直鎖状、分岐状または環状の炭素数1〜5のパーフルオロアルキレン基であり、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子であり、nは1〜5の整数であり、Xは存在しないか、またはCH、OもしくはSであり、Yは連結基である。)
以下、本発明のフッ素系樹脂について詳細に説明する。
本発明のフッ素系樹脂は、特定の一般式(1)、特定の一般式(2)、または特定の一般式(3)で表される残基単位、および側鎖に光架橋性基を有するエチレン性不飽和単量体残基単位を含むフッ素系樹脂である。そして本発明のフッ素系樹脂は、特定の一般式(1)、一般式(2)または一般式(3)で表される残基単位、および側鎖に光架橋性基を有するエチレン性不飽和単量体残基単位を含んでなることで、優れた光架橋性を有し、かつ、炭素数8以上のパーフルオロアルキル基を有さずとも優れた撥水性・撥油性を有することを特徴とするものである。また、光架橋により得られる硬化物もまた、特定の一般式(1)、一般式(2)または一般式(3)で表される残基単位を含むため、優れた撥水性・撥油性を有するものである。本発明では、撥液性に優れ、少ない光照射量で架橋することが可能となるため、一般式(1)で表される残基単位、一般式(2)で表される残基単位または一般式(3)で表される残基単位5〜90モル%、および側鎖に光架橋性基を有するエチレン性不飽和単量体残基単位を95〜10モル%を含むことが好ましく、一般式(1)、一般式(2)または一般式(3)で表される残基単位10〜80モル%、および側鎖に光架橋性基を有するエチレン性不飽和単量体残基単位を90〜20モル%を含むことがさらに好ましい。
本発明のフッ素系樹脂において一般式(1)または一般式(2)で表される残基単位中のRf基は末端がCFである直鎖状、分岐状または環状の炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基である。その構造としては、自己会合構造をとりやすくなるため、直鎖のパーフルオロアルキル基が好ましい。
また、Rf基は直鎖状、分岐状または環状の炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基である。その構造としては、直鎖のパーフルオロアルキレン基が好ましい。
一般式(1)および一般式(2)における、Rf−(CR=CR−X−Rf−の部分の具体的構造としては、例えば、C−CH=CH−C−、C−CH=CF−C−、C−CF=CH−C−、C−CF=CF−C−、C−(CH=CH−C−、C−(CH=CH−C−、C−CH=CH−C12−、C−CH=CH−C−、C−CH=CH−C12、C13−CH=CH−C−、C13−CH=CH−C12−、C−CH=CH−C−、CF−CF=CHCH−、CF−CF=CHCH12−、C−CF=CHCH−、C−CF=CHCH12−、C11−CF=CHCH−、CF11−CF=CHCH12−、C−CHCH=CF−C−、C−CHCH=CF−C10−、C−CHCH=CF−C−、C−CHCH=CF−C10−、C13−CHCH=CF−C−、C13−CHCH=CF−CF10−、C13−(CHCH=CF−C−、C13−(CHCH=CF−C−などが挙げられる。
一般式(1)および一般式(2)における、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子であり、nは1〜5の整数である。さらに、R及び/またはRが水素原子であることが好ましい。
一般式(1)および一般式(2)における、Xは、存在しないか、またはCH、OもしくはSである。すなわち、Xは、一般式(1)または一般式(2)で表わされる化合物であれば、存在しなくても、CH、OまたはSであっても高い撥液特性を与えることができるものである。
一般式(1)および一般式(2)における、Yは連結基である。本発明において、一般式(1)および一般式(2)における、上記のパーフルオロアルキル鎖に挟まれたオレフィン構造を有する機能性基は、スペーサー部でもある連結基Yを介して樹脂の主鎖と結合するものである。
本発明において、連結基Yは、容易に合成できるため、下記一般式(4)で示されることが好ましい。
Figure 2019178191
ここで一般式(4)中、lとmの合計は2〜6の整数であり、l及び/またはmが2以上のとき、−CHCH−の代わりに−CH=CH−構造を含んでもよい。
Qは、存在しないか、または、−OCONH−、−CONH−、−O−、−NH−、−CO−O−、−O−CO−、−NHCONH−もしくは−C−である。なお、Qが−C−の場合、オルト体、メタ体、パラ体が例示できるが、パラ体が好ましい。
本発明のフッ素系樹脂において一般式(3)で表される残基単位中のRf基は末端がCFである直鎖状、分岐状または環状の炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基である。その構造としては、自己会合構造をとりやすくなるため、直鎖のパーフルオロアルキル基が好ましい。
また、Rf基は直鎖状、分岐状または環状の炭素数1〜5のパーフルオロアルキレン基である。その構造としては、直鎖のパーフルオロアルキレン基が好ましい。
一般式(3)における、Rf−(CF=CR−CR=CF−Rf−の部分の具体的構造としては、例えば、CF−CF=CH―CH=CF−C−、CF−CF=CH―CH=CF−C10−、C−CF=CH―CH=CF−C−、C−CF=CH―CH=CF−C10−、C11−CF=CF―CH=CF−C10−、C11−CF=CH―CF=CF−C10−、C11−CF=CF―CF=CF−C10−、C11−CF=CH―CH=CF−C−、C11−CF=CH―CH=CF−C10−、CF−(CF=CH―CH=CF−C10−、C−(CF=CH―CH=CF−C10−、C11−(CF=CH―CH=CF−C10−などが挙げられる。
一般式(3)における、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子であり、nは1〜5の整数である。さらに、R及び/またはRが水素原子であることが好ましい。
Figure 2019178191
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具体的な一般式(2)に表される残基単位としては、例えば以下の構造が挙げられる。
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具体的な一般式(3)に表される残基単位としては、例えば以下の構造が挙げられる。
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本発明のフッ素系樹脂における側鎖に光架橋性基を有するエチレン性不飽和単量体残基単位において、光架橋性基とは、紫外線、可視光などの光が作用することによって、官能基間で架橋構造を形成しうる官能基のことを指す。本発明のフッ素系樹脂は、上記の光架橋性基を樹脂の側鎖に含むことで光照射を受けた部位のみが選択的に不溶化する。光架橋性基としては、例えば、光二量化反応性基;メタクリロイル基、アクリロイル基、芳香族ビニル基、ビニルエーテル基などのラジカル反応性基;エポキシ基、オキセタン基などのカチオン反応性基が挙げられ、光ラジカル発生剤や光カチオン発生剤を用いる必要がなく、膜とした際に長期安定性に優れることから、光二量化反応性基が好ましい。
光二量化反応性基としては、例えば、けい皮酸基、カルコン基、スチルベニル基、スチルバゾリル基、クマリニル基、アントラセニル基、ナフトキノニル基、アセナフチル基、マレイミジル基、フェニルシクロヘキセノニル基、テトラセニル基、ベンザゼピニル基、ナフタレノニル基等が挙げられる。これらのなかでも光架橋性、経済性が高く、官能基として導入のしやすいことから、下記一般式(5)、一般式(6)、一般式(7)、一般式(8)からなる群より選ばれる少なくとも一つの光二量化反応性基が好ましい。
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(式(5)中、Aは水素、ヒドロキシル基、アミノ基、C〜Cのアルキル基、C〜Cの1級または2級アルキルアミノ基、C〜Cのアルコキシ基または単結合を示し、Aは同一または異なって、水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、カルボキシアルキル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、C〜C18のアルキル基、フルオロアルキル基、シクロアルキル基または単結合を表す。Bは同一または異なって水素またはC〜Cのアルキル基、ハロゲン、シアノ基、アリール基を表す。但し、1つのAおよび5つのAのうち、ただ1つが単結合で他の置換基と結合していることを示すものとする。)
Figure 2019178191
(式(6)中、Aは同一または異なって、水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、カルボキシアルキル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、C〜C18のアルキル基、フルオロアルキル基、シクロアルキル基または単結合を表す。Bは同一または異なって水素またはC〜Cのアルキル基、ハロゲン、シアノ基、アリール基を表す。Lは存在しないかカルボニル基を表す。但し、10個のAのうち、ただ1つが単結合で他の置換基と結合していることを示すものとする。)
Figure 2019178191
(式(7)中、Aは同一または異なって、水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、カルボキシアルキル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、C〜C18のアルキル基、フルオロアルキル基、シクロアルキル基または単結合を表す。Bは同一または異なって水素またはC〜Cのアルキル基、ハロゲン、シアノ基、アリール基を表す。但し、4つのAのうち、ただ1つが単結合で他の置換基と結合していることを示すものとする。)
Figure 2019178191
(式(8)中、Aは同一または異なって、水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、カルボキシアルキル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、C〜C18のアルキル基、フルオロアルキル基、シクロアルキル基または単結合を表す。但し、10個のAのうち、ただ1つが単結合で他の置換基と結合していることを示すものとする。)
具体的な式(5)で表される光二量化反応性基としては、例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2019178191
Figure 2019178191
具体的な式(6)で表される光二量化反応性基としては、例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2019178191
Figure 2019178191
具体的な式(7)で表される光二量化反応性基としては、例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2019178191
具体的な式(8)で表される光二量化反応性基としては、例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2019178191
そして、具体的な側鎖に光架橋性基を有するエチレン性不飽和単量体残基単位としては、容易に合成が可能となることから、下記一般式(9)で残基単位が好ましい。
Figure 2019178191
(式(9)中、Bは同一または異なって、水素、C1〜C6のアルキル基、ハロゲン、シアノ基、またはアリール基を表す。Dは同一または異なって、水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、カルボキシアルキル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、C1〜C18のアルキル基、フルオロアルキル基、またはシクロアルキル基を表す。Mはハロゲンまたはアリールエーテル基を表す。)
本発明のフッ素系樹脂の製造方法としては、一般式(1)、(2)または(3)で表される残基単位および側鎖に光架橋性基を有するエチレン性不飽和単量体残基単位を含む共重合体が得られる限り如何なる製造方法をも用いることができる。具体的な製造方法としては、(i)光架橋性官能基を有するモノマーを予め合成し、それをフッ素系モノマーと共重合する方法、(ii)一旦、他の官能基を有するフッ素系ポリマーを合成してから、その官能基を光架橋性基に変換する方法が挙げられる。
(i)の場合、本発明の共重合体が得られる限り如何なる製造方法をも用いることができ、その中でも容易に製造可能であることから、前記した一般式(1)、一般式(2)または一般式(3)で表される残基単位を誘導するモノマーと、前記した側鎖に光架橋性基を有するエチレン性不飽和モノマーとをラジカル重合する方法が好ましく用いられる。
(ii)の場合、前記した一般式(1)、一般式(2)または一般式(3)で表される残基単位と、側鎖に後に化学変換可能な官能基を有する単量体から誘導される残基単位とを含む共重合体(以下、「前駆体樹脂」という)を製造する方法としては、前記の前駆体樹脂が得られる限り、如何なる製造方法をも用いることができ、その中でも容易に製造可能であることからラジカル重合する方法が好ましく用いられる。
具体的な一般式(1)を誘導するモノマーとしては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2019178191
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具体的な一般式(2)を誘導するモノマーとしては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2019178191
具体的な一般式(3)を誘導するモノマーとしては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2019178191
Figure 2019178191
前記ラジカル重合は公知の重合方法、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法のいずれも採用可能である。
ラジカル重合を行う際のラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーピバレート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系開始剤等が挙げられる。
そして、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法において使用可能な溶媒として特に制限はなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;シクロヘキサン;ジ
オキサン;テトラヒドロフラン;アセトン;メチルエチルケトン;ジメチルホルムアミド;酢酸イソプロピル;水等が挙げられ、これらの混合溶媒も挙げられる。
また、ラジカル重合を行う際の重合温度は、ラジカル重合開始剤の分解温度に応じて適宜設定することができ、反応の制御が容易であることから、一般的には30〜150℃の範囲で行うことが好ましい。
また、前記した前駆体樹脂に含まれる光架橋性基に変換可能な官能基としては、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、酸クロリド基、ヒドロキシル基、エポキシ基、オキセタニル基、アジド基、クロスカップリング反応が可能なハロゲン化アリール基、フリーデルクラフツ反応が可能な芳香族基、アミノ基およびカルボキシル基等と反応可能なイソシアネート基が挙げられ、優れた反応性を有し、ラジカル共重合を阻害しないことからエポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、酸クロリド基が好ましい。
前記の官能基を有する具体的な単量体としては、例えば、メタクリル酸、アクリル酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、こはく酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)、6−アクリルアミドヘキサン酸、4−ビニル安息香酸、アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3-ヒドロキシ−1−アダマンチル、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、エチレングリコールモノビニルエーテル、ビニルフェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N-(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、3−アミノスチレン、4−アミノスチレン、メタクリル酸2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル、アクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリド、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、アクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル、メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル、3−ヨードスチレン、4−ヨードスチレン、3−ブロモスチレン、4−ブロモスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、N−フェニルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ベンジルマレイミド、アクリル酸2−イソシアナトエチル、メタクリル酸2−イソシアナトエチル等が挙げられる。
前駆体樹脂に含まれる官能基を光架橋性基に変換する方法としては、本発明のフッ素系樹脂が得られる限り如何なる方法を用いてもよいが、例えば、側鎖にエポキシ基を有する前駆体樹脂に対して、光架橋性基を有するカルボン酸、エステル、アミン、酸クロリド(以下、「光架橋性化合物」という)を作用させる(以下、「エポキシ変性反応」という)ことで、本発明のフッ素系樹脂を得ることができる。このとき、エポキシの開環架橋反応によるゲル化が進行しにくいことからエステル、酸クロリドを用いることが好ましく、酸クロリドを用いることが特に好ましい。
具体的な光架橋性化合物としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2019178191
Figure 2019178191
エポキシ変性反応は、反応触媒を用いて実施することができる。本発明では公知の触媒であるアンモニウム塩、ホスホニウム塩、アミン、クラウンエーテル錯体等を反応触媒として使用することが出き、具体的な反応触媒としては、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムクロリド、18−クラウン6−エーテル/酢酸カリウム錯体、18−クラウン6−エーテル/フッ化カリウム錯体、18−クラウン6−エーテル/臭化カリウム錯体、18−クラウン6−エーテル/ヨウ化カリウム錯体等が挙げられる。触媒の添加量としては特に制限はないが、触媒の溶液への溶解性に限界があることや経済性の問題から前駆体樹脂が含有するエポキシ1モルに対し、0.01〜0.7モルが好ましく、0.1〜0.5モルが更に好ましい。
該エポキシ変性反応は、反応溶剤を用いて実施することができる。該反応溶剤はエポキシ変性反応に対して安定であれば何ら制限なく使用でき、反応に対し不活性である十分に脱水された脂肪族炭化水素溶剤、エーテル溶剤、含硫黄溶剤、アミド溶剤等が好適に用いられる。脂肪族炭化水素溶剤としてはシクロヘキサン等が、エーテル溶剤としてはジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール等が、含硫黄溶剤としては、テトラヒドロチオフェン1,1−ジオキシド、スルホンジメチルスルホキシド等が、アミド溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が例示される。
該エポキシ変性反応において、反応温度に特に制限はないが、反応時間低減の観点から50℃から150℃が好ましい。該エポキシ変性反応において、反応時間は特に制限はなく、例えば、1時間から30時間が挙げられる。反応率および経済性の観点から、好ましくは1時間から15時間である。
前記した(ii)(一旦、他の官能基を有するフッ素系ポリマーを合成してから、その官能基を光架橋性基に変換する方法)において、側鎖に後に化学変換可能な官能基を有する単量体から誘導される残基単位としてメタクリル酸グリシジルまたはアクリル酸グリシジルを用い、光架橋性化合物として前記したけい皮酸誘導体の酸クロリド(例えば、けい皮酸クロリド)またはけい皮酸誘導体のアリールエステルを用いて該エポキシ変性反応を行うことにより、一般式(9)で表される光架橋性基を有するエチレン性不飽和単量体残基単位を含む樹脂を合成することができる。
本発明のフッ素系樹脂には、本発明の目的を逸脱しない範囲において、他の単量体残基単位が含まれていても良く、他の単量体残基単位としては、例えば、エチレン残基、プロピレン残基、1−ブテン残基等のオレフィン類残基;アクリル酸メチル残基、アクリル酸エチル残基、アクリル酸ブチル残基等のアクリル酸アルキルエステル類残基;メタクリル酸メチル残基、メタクリル酸エチル残基、メタクリル酸ブチル残基等のメタクリル酸アルキルエステル類残基;スチレン残基、α−メチルスチレン残基等のビニル芳香族炭化水素類残基;酢酸ビニル残基、プロピオン酸ビニル残基、ピバル酸ビニル残基等のカルボン酸ビニルエステル類残基;メチルビニルエーテル残基、エチルビニルエーテル残基、ブチルビニルエーテル残基等のビニルエーテル類残基;N−メチルマレイミド残基、N−シクロヘキシルマレイミド残基、N−フェニルマレイミド残基等のN−置換マレイミド類残基;アクリロニトリル残基;メタクリロニトリル残基等が挙げられる。
本発明のフッ素系樹脂において、分子量に対しては何ら制限はなく、例えば、2000〜10,000,000(g/モル)のものを用いることが出来る。得られる樹脂の溶液粘度、および力学強度の観点から、好ましくは10,000〜1,000,000(g/モル)である。
本発明のフッ素系樹脂は隔壁として好適に用いることができる。
次に、本発明のフッ素系樹脂を用いた隔壁のパターン形成方法について説明する。
まず、公知の塗膜形成方法によって、基材の表面にフッ素系樹脂の塗膜を形成する。
基材としては、その材質は特に限定されるものではないが、例えば、各種ガラス板;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホン、ポリイミドの熱可塑性プラスチックシート;エポキシ樹脂;ポリエステル樹脂;ポリ(メタ)アクリル樹脂等の熱硬化性プラスチックシート等を挙げることができる。
塗膜の形成方法としては、例えば、スピンコーティング、ドロップキャスト、ディップコーティング、ドクターブレードコーティング、パッド印刷、スキージコート、ロールコーティング、ロッドバーコーティング、エアナイフコーティング、ワイヤーバーコーティング、フローコーティング、グラビア印刷、フレキソ印刷、スーパーフレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、凸版反転印刷等を用いることが出来る。
次に、塗膜は乾燥される。乾燥することによって、溶剤が揮発し、粘着性のない塗膜が得られる。乾燥条件は、用いる溶剤の沸点や配合割合などによっても異なるが、好ましくは50〜150℃、10〜2000秒間程度の幅広い範囲で使用できる。
塗膜形成時に、印刷手法を用いて所定のパターンを形成した際は、露光を行うことでパターンが光架橋し、固定化され、隔壁を形成できる。
塗膜形成時にパターンを形成しなかった場合は、フォトリソグラフィ技術を用いて、塗膜に所定パターンを形成できる。
フォトリソグラフィ技術を用いる場合、まず、乾燥された塗膜に所定パターンのマスクを介して露光し、光架橋させる。
本発明のフッ素系樹脂を光架橋により硬化させる際、紫外線、可視光等の放射線が用いられ、例えば、波長245〜350nmの紫外線が例示される。照射量は樹脂の組成により適宜変更されるが、例えば、150〜3000mJ/cmが挙げられ、架橋度の低下を防止し、かつ、プロセスの短時間化による経済性の向上のため、好ましくは100〜1000mJ/cmである。具体的な光照射装置または光源としては、例えば、殺菌灯、紫外線用蛍光灯、カーボンアーク、キセノンランプ、複写用高圧水銀灯、中圧又は高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ等が挙げられる。
紫外線の照射は通常大気中で行うが、必要に応じて不活性ガス中、または一定量の不活性ガス気流下で行うことも出来る。必要に応じて光増感剤を添加して光架橋反応を促進させることも出来る。用いる光増感剤には何ら制限はなく、例えば、ベンゾフェノン化合物、アントラセン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ニトロフェニル化合物等が例示されるが、本発明で用いられる樹脂との相溶性が高いベンゾフェノン化合物が好ましい。また、該増感剤は必要に応じて2種以上を組み合わせて使用できる。
その後、現像液により現像し、未露光部分を除去する。現像液としては、未硬化のフッ素系樹脂が溶解する溶剤であれば如何なるものでもよく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族溶剤;ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤等を用いることができる。
現像時間は、30〜300秒間が好ましい。また現像方法は液盛り法、ディッピング法などのいずれでもよい。現像後、溶剤で洗浄を行い、圧縮空気や圧縮窒素で風乾させることによって、基材上の溶剤を除去する。続いて、ホットプレート、オーブンなどの加熱装置により、好ましくは40〜150℃で、5〜90分間加熱処理をすることによって、パターンが形成される。
上記のフォトリソグラフィ工程を経て画素パターンの隔壁を形成させた後、画素内の基材表面の汚れを除去してもよい。例えば、低圧水銀灯やエキシマUV等の短波長紫外線の照射や、光アッシング処理等により基材表面を洗浄することが挙げられる。光アッシング処理とはオゾンガス存在下、短波長紫外線を照射する処理である。前記短波長紫外線とは、100〜300nmの波長にメインピークを有する光である。
このように、本発明のフッ素系樹脂は、それ自体は有機溶剤に可溶であり、光照射により、側鎖に有する光架橋性基が架橋され硬化し、有機溶剤によって光の照射されていない部分が除去されるネガ型レジストとして使用できる。
本発明のフッ素系樹脂を隔壁として用いる際、隔壁をまたいだインクの濡れ広がりを避けるため、隔壁のインクに対する接触角は50°以上であることが好ましい。
本発明のフッ素系樹脂は、優れた撥液特性を有し、有機トランジスタ素子、カラーフィルター、有機EL素子を製造する際の隔壁材料に用いることができる。また、本発明のフッ素樹脂は前記の有機トランジスタ素子、カラーフィルター、有機EL素子を含む電子バイスに用いることができる。
本発明のフッ素系樹脂を有機トランジスタに用いるとき、該有機トランジスタは、基板上にゲート絶縁層を有し、更にこのゲート絶縁層の上に有機半導体層を成膜し、ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極を付設することにより得られる。
本発明の有機トランジスタは図1に示すボトムゲート−トップコンタクト型(A)、ボトムゲート−ボトムコンタクト型(B)、トップゲート−トップコンタクト型(C)、トップゲート−ボトムコンタクト型(D)のいずれの素子構造でもよい。ここで、1は有機半導体層、2は基板、3はゲート電極、4はゲート絶縁層、5はソース電極、6はドレイン電極を示す。
該有機トランジスタにおいて、用いることが出来る基材は素子を作製できる十分な平坦性を確保できれば特に制限されず、例えば、ガラス、石英、酸化アルミニウム、ハイドープシリコン、酸化シリコン、二酸化タンタル、五酸化タンタル、インジウム錫酸化物等の無機材料基板;プラスチック;金、銅、クロム、チタン、アルミニウム等の金属;セラミックス;コート紙;表面コート不織布等が挙げられ、これらの材料からなる複合材料又はこれらの材料を多層化した材料であっても良い。また、表面張力を調整するため、これらの材料表面をコーティングすることも出来る。
基材として用いるプラスチックとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリメチルペンテン−1、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、フッ素化環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリ(ジイソプロピルフマレート)、ポリ(ジエチルフマレート)、ポリ(ジイソプロピルマレエート)、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリアミドエラストマー、スチレンブロック共重合体等が例示される。また、上記のプラスチックを2種以上用いて積層して基材として用いることができる。
本発明で用いることが出来る有機半導体には何ら制限はなく、N型およびP型の有機半導体の何れも使用することができ、N型とP型を組み合わせたバイポーラトランジスタとしても使用できる。また、低分子および高分子の有機半導体の何れも用いることができ、これらを混合して使用することも出来る。具体的な化合物としては、例えば式(F−1)〜(F−10)等が例示される。
Figure 2019178191
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本発明において、有機半導体層を形成する方法としては、有機半導体を真空蒸着する方法、または有機半導体を有機溶剤に溶解させて塗布、印刷する方法等が例示されるが、有機半導体層の薄膜を形成出来る方法であれば何らの制限もない。有機半導体層を有機溶剤に溶解させた溶液を用いて塗布、または印刷する場合の溶液濃度は有機半導体の構造および用いる溶剤により異なるが、より均一な半導体層の形成および層の厚みの低減の観点から、0.5%〜5重量%であることが好ましい。この際の有機溶剤としては有機半導体が製膜可能な一定の濃度で溶解する限り何ら制限はなく、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、デカリン、インダン、1−メチルナフタレン、2−エチルナフタレン、1,4−ジメチルナフタレン、ジメチルナフタレン異性体混合物、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、メシチレン、イソプロピルベンゼン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、テトラリン、オクチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、γ−ブチロラクトン、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ベンジルアルコール、グリセリン、シクロヘキサノールアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アニソール、シクロヘキサノン、メシチレン、3−メトキシブチルアセテート、シクロヘキサノールアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ブタンジオールジアセテート、エチルアセテート、フェニルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−N−プロピルエーテル、テトラデカヒドロフェナントレン、1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロフェナントレン、デカヒドロ−2−ナフトール、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトール、α−テルピネオール、イソホロントリアセチンデカヒドロ−2−ナフトール、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、2,6−ジメチルアニソール、1,2−ジメチルアニソール、2,3−ジメチルアニソール、3,4−ジメチルアニソール、1−ベンゾチオフェン、3−メチルベンゾチオフェン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセトフェノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、リモネン等が例示されるが、好ましい性状の結晶膜を得るためには有機半導体の溶解力が高く、沸点が100℃以上の溶剤が適しており、キシレン、イソプロピルベンゼン、アニソール、シクロヘキサノン、メシチレン、1,2−ジクロロベンゼン、3,4−ジメチルアニソール、ペンチルベンゼン、テトラリン、シクロヘキシルベンゼン、デカヒドロ−2−ナフトールが好ましい。また、前述の溶剤2種以上を適切な割合で混合した混合溶剤も用いることが出来る。
有機半導体層には必要に応じて各種有機・無機の高分子若しくはオリゴマー、又は有機・無機ナノ粒子を固体若しくは、ナノ粒子を水若しくは有機溶剤に分散させた分散液として添加でき、上記絶縁層上に高分子溶液を塗布して保護膜を形成出来る。更に、必要に応じて本保護膜上に各種防湿コーティング、耐光性コーティング等を行うことが出来る。
本発明で用いることが出来るゲート電極、ソース電極、又はドレイン電極としては、アルミニウム、金、銀、銅、ハイドープシリコン、ポリシリコン、シリサイド、スズ酸化物、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物、クロム、白金、チタン、タンタル、グラフェン、カーボンナノチューブ等の無機電極、又はドープされた導電性高分子(例えば、PEDOT−PSS)等の有機電極等の導電性材料が例示され、これらの導電性材料を複数、積層して用いることもできる。また、キャリアの注入効率を上げるために、これらの電極に表面処理剤を用いて表面処理を実施することもできる。このような表面処理剤としては、例えば、ベンゼンチオール、ペンタフルオロベンゼンチオール等を挙げることができる。
また、前記の基材、絶縁層または有機半導体層の上に電極を形成する方法に特に制限はなく、蒸着、高周波スパッタリング、電子ビームスパッタリング等が挙げられ、前記導電性材料のナノ粒子を水又は有機溶剤に溶解させたインクを用いて、溶液スピンコート、ドロップキャスト、ディップコート、ドクターブレード、ダイコート、パッド印刷、ロールコーティング、グラビア印刷、フレキソ印刷、スーパーフレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、凸版反転印刷等の方法を採用することも出来る。
本発明の有機トランジスタは、有機トランジスタ素子の実用性の観点から、移動度が0.20cm/Vs以上であることが好ましい。
本発明の有機トランジスタは、有機トランジスタ素子の実用性の観点から、オン電流/オフ電流比が10以上であることが好ましい。
本発明の有機トランジスタは、有機トランジスタ素子の実用性の観点から、ソース・ドレイン間電流のヒステリシスが無いことが好ましい。
本発明によれば、環境面で問題となる炭素数8以上の長鎖のパーフルオロアルキルユニットを含まず、優れた高い撥水および撥油効果を与え、感光性、パターニング性を有する新規なフッ素系樹脂およびその硬化物と、これを用いた有機トランジスタ素子ならびに電子デバイスを提供することができる。
;有機トランジスタの断面形状を示す図である。 ;実施例2で製造したフッ素系樹脂1のH−NMRチャートを示す図である。 ;実施例5で製造した有機薄膜トランジスタ素子においてゲート電圧(V)を変化させた際に観測されるソース−ドレイン間電流(I)およびソース−ドレイン間電流の1/2乗(I 1/2)をプロットした図である。
本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下に合成例により得られたフッ素系樹脂の評価・測定方法を示す。
<数平均分子量>
ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)装置(東ソー製、HLC−8320(カラムsuperHM−Hを装着))を用い、テトラヒドロフランを溶媒として、40℃で測定し、標準ポリスチレン換算として求めた。
<フッ素系樹脂の組成>
核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名JNM−ECZ400S)を用い、プロトン核磁気共鳴分光(H−NMR)スペクトル分析より求めた。
<スピンコート>
スピンコーター(ミカサ株式会社製、商品名オプティコートMS―A100)を用いて、回転数・時間を変えて膜厚を調整した。
<UV照射>
(株)ジーエス・ユアサ コーポレーション製UV−System、CSN−40A−2を用い、空気雰囲気下、UV強度、搬送速度を変えてUV照射量を調整した。
<光架橋(硬化)性の評価方法>
洗浄、乾燥した30×30mmのガラス(コーニング社製Eagle XG)にフッ素系樹脂の溶液(3wt%)を500rpm×5秒、1000rpm×20秒の条件でスピンコートした。UV照射を行った場合は、250mJ/cmの紫外線を照射した。その後、基板を溶剤に1分間浸漬させ、溶剤浸漬後の絶縁層の厚みを浸漬前の厚みで割った残膜率によって評価し、残膜率95%以上を判断基準として、光架橋(硬化)性を評価した以下、「光架橋性評価」という)。膜厚は接触式表面プロファイラー(ブルカー社製、商品名Dektak XT−E)を用いて測定した。また、試験はトルエンに1時間浸漬することで行った。
<撥液特性(撥水性・撥油性)の評価方法>
洗浄、乾燥した30×30mmのガラス(コーニング社製Eagle XG)にフッ素系樹脂の溶液(3wt%)を500rpm×5秒、1000rpm×20秒の条件でスピンコートした。UV照射を行った場合は、250mJ/cmの紫外線を照射した。基板をフッ素系樹脂の溶液に用いたものと同様の溶剤に1分間浸漬させ、続けてテトラヒドロフランの溶液に1分間浸漬させたあとで取り出し、窒素ガスでブローして乾燥させた。接触角計(協和界面化学社製、商品名DM−300)を使用して、θ/2法により水、酢酸2−メトキシ−1−メチルエチル(以下、「PGMEA」という)、m−キシレンに対する接触角を測定した(以下、「撥液特性評価」という)。
<有機トランジスタ素子性能の評価>
半導体パラメータアナライザー(ケースレー社製、商品名4200−SCS)を用い、ドレイン電圧(V=−20V)、ゲート電圧(V)を+10〜−20Vまで1V刻みで走査し、伝達特性(I-V)を取得し、移動度、閾値電圧、オン電流/オフ電流比、ソース・ドレイン間電流のヒステリシスの評価を行った。
実施例1
(フッ素系樹脂前駆体1の製造)
容量10mLのガラスアンプルに一般式(10)に表される化合物2.03g(26.3ミリモル)、メタクリル酸メチル0.37g(36.9ミリモル)およびメタクリル酸グリシジル0.60g(42.1ミリモル)、分子量調整剤として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン0.029g(0.12ミリモル)、重合開始剤としてパーヘキシルND(日油製)0.041g(過酸化物分子として0.11ミリモル)を入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを45℃の恒温槽に入れ、8時間保持することによりラジカル重合を行った。重合反応終了後、アンプルから重合物を取り出し、2−ブタノン15gで溶解させた。このポリマー溶液を、メタノール200mL中に滴下して析出させた後、メタノール200mLで2回洗浄した。さらに30℃で8時間真空乾燥することにより、フッ素系樹脂前駆体1を1.9g得た(収率:63%)。また、H−NMR測定により、共重合体組成は、一般式(11)に表される残基単位/メタクリル酸メチル残基単位/メタクリル酸グリシジル残基単位=21.3/31.8/46.9(モル%)であることを確認した。
Figure 2019178191
Figure 2019178191
(フッ素系樹脂1の製造)
容量20mLのシュレンク管を加熱乾燥後、窒素雰囲気下、フッ素系樹脂前駆体1を0.197g、けい皮酸クロリド0.068g、触媒としてテトラエチルアンモニウムクロリド0.023g、脱水テトラヒドロフラン2mL加え、活栓で密封した。フッ素系樹脂前駆体1が溶解するまで室温で攪拌した後、75℃のオイルバス中10時間攪拌した。得られた樹脂溶液を、メタノール100mL中に滴下して析出させた後、メタノール50mLで2回洗浄した。さらに30℃で4時間真空乾燥することにより、フッ素系樹脂1を0.175g得た。また、H−NMR測定により、原料のメタクリル酸グリシジル残基単位が減少し、一般式(12)に表される残基単位に変換されていることを確認した。その結果、H−NMR測定によりフッ素系樹脂1の共重合組成は、一般式(11)に表される残基単位/メタクリル酸メチル残基単位/一般式(12)に表される残基単位/メタクリル酸グリシジル残基単位=21.0/31.4/17.2/30.4(モル%)であることを確認した。
Figure 2019178191
実施例2
(フッ素系樹脂前駆体2の製造)
容量10mLのガラスアンプルに一般式(13)に表される化合物2.02g(26.6ミリモル)、メタクリル酸メチル0.38g(37.3ミリモル)およびメタクリル酸グリシジル0.61g(42.6ミリモル)、分子量調整剤として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン0.029g(0.12ミリモル)、重合開始剤としてパーヘキシルND(日油製)0.26g(過酸化物分子として0.11ミリモル)を入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを45℃の恒温槽に入れ、8時間保持することによりラジカル重合を行った。重合反応終了後、アンプルから重合物を取り出し、2−ブタノン15gで溶解させた。このポリマー溶液を、メタノール200mL中に滴下して析出させた後、メタノール200mLで2回洗浄した。さらに30℃で8時間真空乾燥することにより、フッ素系樹脂前駆体2を1.9g得た(収率:63%)。また、H−NMR測定により、共重合体組成は、一般式(14)に表される残基単位/メタクリル酸メチル残基単位/メタクリル酸グリシジル残基単位=20.7/33.5/45.8(モル%)であることを確認した。
Figure 2019178191
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(フッ素系樹脂2の製造)
容量20mLのシュレンク管を加熱乾燥後、窒素雰囲気下、フッ素系樹脂前駆体2を0.197g、けい皮酸クロリド0.087g、触媒としてテトラエチルアンモニウムクロリド0.034g、脱水テトラヒドロフラン2.5mL加え、活栓で密封した。フッ素系樹脂前駆体2が溶解するまで室温で攪拌した後、75℃のオイルバス中10時間攪拌した。得られた樹脂溶液を、メタノール150mL中に滴下して析出させた後、メタノール80mLで2回洗浄した。さらに30℃で4時間真空乾燥することにより、フッ素系樹脂2を0.225g得た。また、H−NMR測定により、原料のメタクリル酸グリシジル残基単位が減少し、一般式(12)に表される残基単位に変換されていることを確認した。その結果、H−NMR測定によりフッ素系樹脂2の共重合組成は、一般式(14)に表される残基単位/メタクリル酸メチル残基単位/一般式(10)に表される残基単位/メタクリル酸グリシジル残基単位=20.2/32.7/19.0/28.1(モル%)であることを確認した。
合成例1
(フッ素系樹脂前駆体3の製造)
容量75mLのガラスアンプルにアクリル酸1H,1H,2H,2H−デカフルオロヘキシル7.98g(19.1ミリモル)、メタクリル酸メチル2.68g(26.7ミリモル)、メタクリル酸グリシジル4.34g(30.5ミリモル)、連鎖移動剤として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン0.21g(0.88ミリモル)、重合開始剤としてパーヘキシルND(日油製)0.30g(過酸化物分子として0.76ミリモル)を入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを45℃の恒温槽に入れ、8時間保持することによりラジカル重合を行った。重合反応終了後、アンプルから重合物を取り出し、2−ブタノン25gで溶解させた。このポリマー溶液を、メタノール300mL中に滴下して析出させた後、メタノール300mLで3回洗浄した。さらに30℃で8時間真空乾燥することにより、フッ素樹脂前駆体3を9.8g得た(収率:65%)。
また、H−NMR測定により、共重合体組成は、アクリル酸1H,1H,2H,2H−デカフルオロヘキシル残基単位/メタクリル酸メチル残基単位/メタクリル酸グリシジル残基単位=28.3/31.2/40.5(モル%)であることを確認した。
(フッ素系樹脂3の製造)
容量50mLのシュレンク管を加熱乾燥後、窒素雰囲気下、フッ素系樹脂前駆体3を2.50g、けい皮酸クロリド0.977g、触媒としてテトラエチルアンモニウムクロリド0.323g、脱水ジエチレングリコールジメチルエーテル30mL加え、活栓で密封した。フッ素系樹脂前駆体3が溶解するまで室温で攪拌した後、100℃のオイルバス中10時間攪拌した。得られた樹脂溶液を、メタノール300mL中に滴下して析出させた後、メタノール300mLで3回洗浄した。さらに45℃で4時間真空乾燥することにより、フッ素系樹脂3を2.819g得た。H−NMR測定により、原料のメタクリル酸グリシジル残基単位が消失し、一般式(12)に表される残基単位に変換されていることを確認した。その結果、H−NMR測定によりフッ素系樹脂3の共重合組成は、アクリル酸1H,1H,2H,2H−デカフルオロヘキシル残基単位/メタクリル酸メチル残基単位/一般式(10)に表される残基単位=28.7/31.0/40.3(モル%)であることを確認した。
合成例2
(フッ素系樹脂前駆体4の製造)
容量75mLのガラスアンプルにメタクリル酸1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル8.97g(16.7ミリモル)、メタクリル酸メチル2.37g(23.3ミリモル)、メタクリル酸グリシジル3.79g(26.7ミリモル)、連鎖移動剤として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン0.18g(0.76ミリモル)、重合開始剤としてパーヘキシルND(日油製)0.26g(過酸化物分子として0.67ミリモル)を入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを45℃の恒温槽に入れ、8時間保持することによりラジカル重合を行った。重合反応終了後、アンプルから重合物を取り出し、2−ブタノン25gで溶解させた。このポリマー溶液を、メタノール300mL中に滴下して析出させた後、メタノール300mLで3回洗浄した。さらに30℃で8時間真空乾燥することにより、フッ素樹脂前駆体4を8.3g得た(収率:55%)。
また、H−NMR測定により、共重合体組成は、メタクリル酸1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシル残基単位/メタクリル酸メチル残基単位/メタクリル酸グリシジル残基単位=22.8/33.2/44.0(モル%)であることを確認した。
(フッ素系樹脂4の製造)
容量50mLのシュレンク管を加熱乾燥後、窒素雰囲気下、フッ素系樹脂前駆体4を2.10g、けい皮酸クロリド0.827g、触媒としてテトラエチルアンモニウムクロリド0.274g、脱水ジエチレングリコールジメチルエーテル25mL加え、活栓で密封した。フッ素系樹脂前駆体4が溶解するまで室温で攪拌した後、100℃のオイルバス中10時間攪拌した。得られた樹脂溶液を、メタノール300mL中に滴下して析出させた後、メタノール300mLで3回洗浄した。さらに45℃で4時間真空乾燥することにより、フッ素系樹脂4を2.519g得た。H−NMR測定により、原料のメタクリル酸グリシジル残基単位が消失し、一般式(12)に表される残基単位に変換されていることを確認した。その結果、H−NMR測定によりフッ素系樹脂4の共重合組成は、メタクリル酸1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル残基単位/メタクリル酸メチル残基単位/一般式(10)に表される残基単位=22.7/33.5/43.8(モル%)であることを確認した。
実施例3(光架橋性および撥液特性の評価)
実施例1で合成したフッ素系樹脂1の塗膜について、UV照射しなかった際の撥液特性評価をしたところ、PGMEAの接触角及びm−キシレンの接触角は共に5°未満であった(水の接触角:62°)。
フッ素系樹脂1の塗膜について、250mJ/cmでUV照射した際の光架橋性評価および撥液特性評価をした。結果を表1に示す。
Figure 2019178191
フッ素系樹脂1は優れた光架橋性を有することが確認された。また、光架橋後のフッ素系樹脂1について撥液特性評価をしたところ、PGMEAの接触角が59°、m−キシレンの接触角が61°であり(水の接触角:107°)、優れた撥液特性を有することが確認された。
実施例4(光架橋性および撥液特性の評価)
実施例2で合成したフッ素系樹脂2の塗膜について、UV照射しなかった際の撥液特性評価をしたところ、PGMEAの接触角及びm−キシレンの接触角は共に5°未満であった(水の接触角:64°)。
フッ素系樹脂2の塗膜について、250mJ/cmでUV照射した際の光架橋性評価および撥液特性評価をした。結果を表1にあわせて示す。
フッ素系樹脂2は優れた光架橋性を有することが確認された。また、光架橋後のフッ素系樹脂2について撥液特性評価をしたところ、PGMEAの接触角が57°、m−キシレンの接触角が60°であり(水の接触角:108°)、優れた撥液特性を有することが確認された。
比較例1(光架橋性および撥液特性の評価)
合成例1で合成したフッ素系樹脂3の塗膜について、250mJ/cmでUV照射した際の光架橋性評価および撥液特性評価をした。結果を表1にあわせて示す。
フッ素系樹脂3は優れた光架橋性を有することが確認された。しかし、光架橋後のフッ素系樹脂3について撥液特性評価をしたところ、PGMEAの接触角が35°、m−キシレンの接触角が49°であり(水の接触角:103°)、優れた撥液特性を有するものではなかった。
比較例2(光架橋性および撥液特性の評価)
実施例1で合成したフッ素系樹脂前駆体1の塗膜について、250mJ/cmでUV照射した際の光架橋性評価および撥液特性評価をした。結果を表1にあわせて示す。
フッ素系樹脂前駆体1は光架橋性を有さず、優れた撥液特性を有するものではなかった。
比較例3(光架橋性および撥液特性の評価)
実施例2で合成したフッ素系樹脂前駆体2の塗膜について、250mJ/cmでUV照射した際の光架橋性評価および撥液特性評価を評価した。結果を表1にあわせて示す。
フッ素系樹脂前駆体2は光架橋性を有さず、優れた撥液特性を有するものではなかった。
参考例1(光架橋性および撥液特性の評価)
合成例2で合成したフッ素系樹脂4の塗膜について、250mJ/cmでUV照射した際の光架橋性評価および撥液特性評価をした。結果を表1にあわせて示す。
フッ素系樹脂4は優れた光架橋性を有することが確認された。また、光架橋後のフッ素系樹脂4について撥液特性評価をしたところ、PGMEAの接触角が52°、m−キシレンの接触角が59°であり(水の接触角:105°)、優れた撥液特性を有することが確認された。
実施例5(有機トランジスタの製造と電気特性評価)
洗浄、乾燥した100×100mmのガラス(コーニング社製Eagle XG)に銀をスパッタ成膜し、厚み50nmのチャネル長10μm、電極幅10μmのソース電極およびドレイン電極を形成した。電極を形成した基材上にフッ素系樹脂1のPGMEA溶液(3wt%)を500rpm×5秒、1500rpm×20秒の条件でスピンコートし、50℃で1分間乾燥した。その後、20μm×20μmの正方形状の遮光部を有するマスクを、上記の遮光部の中心部が上記のソース電極およびドレイン電極間の中心部と合致するように位置合わせを行った後、基板と接触させ250mJ/cmの紫外線を照射することで上記遮光部以外の範囲を架橋させた。基板をPGMEAに1分間浸漬し、つづけてテトラヒドロフランに1分間浸漬した後、窒素ガスでブロー乾燥し、前記マスク遮光部に存在したフッ素系樹脂を除去し、隔壁を形成した。その後、ペンタフルオロベンゼンチオール30mmol/Lの2−プロパノール溶液に浸漬し、5分間経過した時点で取り出し、2−プロパノールで洗浄後、ブロー乾燥した。
有機半導体(ジ−n−ヘキシルジチエノベンゾジチオフェン)の0.6wt%トルエン溶液を500rpm×5秒、1000rpm×20秒の条件でスピンコートし、溶剤を揮発させ90℃で20分乾燥したところ、隔壁の内部に有機半導体膜が形成された。
続けて、Cytop(旭硝子製CTL−809M)を溶剤(旭硝子製CT−Solv.180)で希釈した固形分濃度7wt%の溶液を500rpm×5秒、1500rpm×30秒の条件でスピンコートし、80℃で30分間乾燥して絶縁膜を形成した。その後、銀を真空蒸着し、厚み50nmのゲート電極を形成し、有機トランジスタの一形態であるトップゲート・ボトムコンタクト(TGBC)型の素子を作製した。
上記の有機トランジスタ素子性能を評価した結果、移動度0.27cm/V・s、オン電流/オフ電流比は7×10、ソース・ドレイン間の電流にヒステリシスは見られず、有機トランジスタ素子として優れた性能を有することが確認された。
250mJ/cmで光架橋性を発現し、紫外線照射後の残膜率は95%を超えており、架橋後も高い撥液特性を示し、隔壁材料として優れることが確認された。また、隔壁を形成後、有機半導体をスピンコートすることによってチャネル部分に有機半導体膜がパターニングされ、有機トランジスタ素子性能を評価した結果、移動度は0.27cm/V・s、オン電流/オフ電流比は7×10、ソース・ドレイン間の電流にヒステリシスは見られず、有機トランジスタ素子として優れた性能を有することが確認された。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で表される残基単位、下記一般式(2)で表される残基単位、または下記一般式(3)で表される残基単位、および側鎖に光架橋性基を有するエチレン性不飽和単量体残基単位を含むことを特徴とするフッ素系樹脂。
    Figure 2019178191
    Figure 2019178191
    Figure 2019178191
    (一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)中、Rは水素基、メチル基、ハロゲン、またはトリフルオロメチル基、Rfは、末端がCFである直鎖状、分岐状または環状の炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基であり、Rfは、直鎖状、分岐状または環状の炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基であり、Rfは、末端がCFである直鎖状、分岐状または環状の炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基であり、Rfは、直鎖状、分岐状または環状の炭素数1〜5のパーフルオロアルキレン基であり、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子であり、nは1〜5の整数であり、Xは存在しないか、またはCH、OもしくはSであり、Yは連結基である。)
  2. Yが、下記一般式(4)で示される、請求項1に記載のフッ素系樹脂。
    Figure 2019178191
    (一般式(4)中、lとmの合計は2〜6の整数であり、l及び/またはmが2以上のとき、−CHCH−の代わりに−CH=CH−構造を含んでもよく、Qは、存在しないか、または、−OCONH−、−CONH−、−O−、−NH−、−CO−O−、−O−CO−、−NHCONH−もしくは−C−である。)
  3. 及び/またはRが水素原子であるか、またはR及び/またはRが水素原子である、請求項1または請求項2に記載のフッ素系樹脂。
  4. Xが、存在しないか、またはCHである、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のフッ素系樹脂。
  5. 側鎖に光架橋性基を有するエチレン性不飽和単量体残基単位が下記一般式(5)であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のフッ素系樹脂。
    Figure 2019178191
    (式(9)中、Bは同一または異なって、水素、C1〜C6のアルキル基、ハロゲン、シアノ基、またはアリール基を表す。Dは同一または異なって、水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、カルボキシアルキル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、C1〜C18のアルキル基、フルオロアルキル基、またはシクロアルキル基を表す。Mはハロゲンまたはアリールエーテル基を表す。)
  6. 一般式(1)で表される残基単位、一般式(2)で表される残基単位または一般式(3)で表される残基単位5〜90モル%、および側鎖に光架橋性基を有するエチレン性不飽和単量体残基単位を95〜10モル%を含むことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のフッ素系樹脂。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載のフッ素系樹脂の硬化物。
  8. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載のフッ素系樹脂および/または請求項7に記載の硬化物を用いてなる隔壁。
  9. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載のフッ素系樹脂および/または請求項7に記載の硬化物を含むことを特徴とする有機トランジスタ素子。
  10. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載のフッ素系樹脂および/または請求項7に記載の硬化物を含むことを特徴とする電子デバイス。
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