JP2022108813A - 保護膜形成用組成物 - Google Patents

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Junghwi LEE
翔平 弓野
Shohei Yumino
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Abstract

【課題】有機半導体へのダメージを与えることなく、性能の低下を防げる保護膜形成用組成物を提供する。【解決手段】特定の、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基、共役結合を含む二重結合を側鎖に有する(メタ)アクリレートの少なくとも一種を30モル%以上含むフッ素系樹脂とフッ素系溶剤を含む保護膜形成用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は有機半導体膜上に塗布成膜するのに好適な保護膜形成用組成物に関する。
近年、低コストで生産性が高い全印刷法による有機電子デバイスの製造に関する技術開発が積極的に行われている。電子デバイスとして、例えば有機トランジスタの開発も進められている。この有機トランジスタは多数の工程を経て製造されるが、樹脂よりなる保護膜が有機トランジスタを保護し、EL発光部のパターンを形成する工程も含まれている。このパターンは、例えば、ソース電極、ドレイン電極および有機半導体層またはポリマー層を覆うように設けられていて、EL発光部を形成するところである電極上には存在しないようになっている。
通常、EL発光部は、感光性物質(レジスト) を塗布した基板面をフォトマスクまたはレチクル等を介しパターンに露光し、露光された部位と露光されていない部位からなるパターンを形成する技術であるフォトリソグラフィを用い露光された部位と露光されていない部位からなるパターンを形成する技術であるフォトリソグラフィを用いて形成し、ドライエッチング法、または、ウエットエッチングによりEL発光部を開口している。
EL発光部の開口用材料として材料を溶解させたインクを塗布し、乾燥させた後、常温かつ短時間の露光で光架橋により溶剤に不溶化する性質を兼ね備えた、フォトリソグラフィでパターン形成が可能な材料が求められている。
このような材料として特許文献1の光反応性が高くパターニングが可能であるとともに、高く誘電特性に優れる被膜を形成できるネガ感光型樹脂組成物及びそれから製造される光硬化パターンが挙げられている。しかしながら、この樹脂はアルカリ可溶性ポリマーであり現像の際に水を使う必要がある。また、組成物の溶剤はキシレン、PGMEA(1―methoxy―2―propanol acetate)のような有機溶剤を使う必要がある。有機溶剤と水は電子デバイスの性能を低下する原因であり、電子デバイスの性能を低下する原因であり、フッ素溶剤での溶解性が必要である。
水、有機溶剤による電子デバイスの性能低下を防ぐため、特許文献2、非特許文献1のようにフッ素溶剤へ可溶なフッ素系樹脂を用いてパターンを形成する方法がある。しかしながらフッ素系樹脂は光架橋しない問題がある。
フッ素溶剤に溶解し、光架橋するフッ素系樹脂としてアントラセン架橋基を用いた非特許文献2のようなフッ素系樹脂が挙げられる。しかしながら、フッ素溶剤に可溶するためフッ素残基比率が高くて架橋性が低い問題がある。
フッ素溶剤への溶解性を上げるためには8以上のパーフルオロアルキル基を有する化合物を使用する方法があるが、環境や人体への蓄積性、および有害性から使用を見直されており、そのため、炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基を有する化合物で代替する検討が行われてきている。(例えば、特許文献3または特許文献4参照)。
上記の背景から、炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基を有する化合物でありながら、フッ素溶剤に高い可溶性を有してかつ露光量で光架橋させることにより溶剤に不溶化し、パターンを形成できるともに、電子デバイスの性能の低下を防げる組成物が求められていた。
特開2017―167513号公報 特許第6281427号 特開2006-185869号公報 特開2014-006273号公報
Appl. Phys. Express 7, 101602 (2014) J Polym Sci A Polym Chem 53、1252(2015)
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、有機半導体へのダメージを与えることなく、性能の低下を防げる保護膜形成用組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下に示す保護膜形成用組成物を用いることにより、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は式(1)で表される残基単位、式(2)で表される残基単位または式(3)で表される残基単位からなる群の少なくとも一種を30モル%以上含むことを特徴とするフッ素系樹脂とフッ素系溶剤を含む保護膜形成用組成物。
Figure 2022108813000001
Figure 2022108813000002
Figure 2022108813000003
(式(1)~(3)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基からなる群の1種を表す。Rfは、末端がCFである炭素数1~6の直鎖状のパーフルオロアルキル基、末端がCFである炭素数3~6の分岐状のパーフルオロアルキル基または末端がCFである炭素数3~6の環状のパーフルオロアルキル基からなる群の1種を表す。Rfは、炭素数1~6の直鎖状のパーフルオロアルキレン基、炭素数3~6の分岐状のパーフルオロアルキレン基または炭素数3~6の環状のパーフルオロアルキレン基からなる群の1種を表す。Rfは、末端がCFである炭素数1~5の直鎖状のパーフルオロアルキル基、末端がCFである炭素数3~5の分岐状のパーフルオロアルキル基または末端がCFである炭素数3~5の環状のパーフルオロアルキル基を表す。Rfは、炭素数1~5の直鎖状のパーフルオロアルキレン基、炭素数3~5の分岐状のパーフルオロアルキレン基または炭素数3~5の環状のパーフルオロアルキレン基を表す。R~Rは、それぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表す。nは1~5の整数を表す。Xは単結合、CH、酸素原子または硫黄原子からなる群の1種を表す。Lは連結基を表す。)
本発明によれば、フッ素溶剤に可溶で常温かつ低露光量で光架橋させることにより溶剤に不溶化し、パターンを形成できるともに、電子デバイスの性能の低下を防げる保護膜形成用組成物、及びこれを用いた電子デバイスを提供することができる。
;有機トランジスタの断面形状を示す図である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の保護膜形成用組成物は式(1)で表される残基単位、式(2)で表される残基単位または式(3)で表される残基単位からなる群の少なくとも一種を30モル%以上含むフッ素系樹脂及びフッ素系溶剤を含む。
本発明における保護膜形成用組成物は、式(1)で表される残基単位、式(2)で表される残基単位または式(3)で表される残基単位からなる群の少なくとも一種を30モル%以上含むフッ素系樹脂を含む。これにより、前記樹脂がフッ素系溶剤に溶解する。
本発明の保護膜形成用樹脂組成物はフッ素系溶剤を含む。これにより、有機半導体にダメージなくパターンが形成できる。
式(1)~(3)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基からなる群の1種を表す。Rfは、末端がCFである炭素数1~6の直鎖状のパーフルオロアルキル基、末端がCFである炭素数3~6の分岐状のパーフルオロアルキル基または末端がCFである炭素数3~6の環状のパーフルオロアルキル基からなる群の1種を表す。Rfは、炭素数1~6の直鎖状のパーフルオロアルキレン基、炭素数3~6の分岐状のパーフルオロアルキレン基または炭素数3~6の環状のパーフルオロアルキレン基からなる群の1種を表す。Rfは、末端がCFである炭素数1~5の直鎖状のパーフルオロアルキル基、末端がCFである炭素数3~5の分岐状のパーフルオロアルキル基または末端がCFである炭素数3~5の環状のパーフルオロアルキル基を表す。Rfは、炭素数1~5の直鎖状のパーフルオロアルキレン基、炭素数3~5の分岐状のパーフルオロアルキレン基または炭素数3~5の環状のパーフルオロアルキレン基を表す。R~Rは、それぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表す。nは1~5の整数を表す。Xは単結合、CH、酸素原子または硫黄原子からなる群の1種を表す。Lは連結基を表す。
式(1)~(3)で示される残基単位がフッ素原子を含むことで、当該フッ素系樹脂はフッ素溶剤との親和性が高くなる。また、式(1)、式(2)、式(3)が主鎖に隣接して、極性基であるエステル結合を有しているために、フッ素系樹脂を塗布成膜したフッ素系樹脂膜は柔軟性に富み、平坦でひび割れのないフッ素系樹脂膜を得ることができる。さらに、側鎖にフッ素化された炭化水素基を有するために、当該フッ素系樹脂はフッ素系溶剤への溶解性に優れる。
式(1)および式(2)における、Rf1-(CR3=CR2-X-Rf2)n-の部分の具体的構造としては、例えば、C2F5-CH=CH-C4F8-、C2F5-CH=CF-C4F8-、C2F5-CF=CH-C4F8-、C2F5-CF=CF-C4F8-、C2F5-(CH=CH-C4F8)2-、C2F5-(CH=CH-C4F8)3-、C2F5-CH=CH-C6F12-、C4F9-CH=CH-C4F8-、C4F9-CH=CH-C6F12、C6F13-CH=CH-C4F8-、C6F13-CH=CH-C6F12-、C2F5-CH=CH-C4F8-、CF3-CF=CHCH2C4F8-、CF3-CF=CHCH2C6F12-、C3F7-CF=CHCH2C4F8-、C3F7-CF=CHCH2C6F12-、C5F11-CF=CHCH2C4F8-、C5F11-CF=CHCH2C6F12-、C2F5-CH2CH=CF-C3F6-、C2F5-CH2CH=CF-C5F10-、C4F9-CH2CH=CF-C3F6-、C4F9-CH2CH=CF-C5F10-、C6F13-CH2CH=CF-C3F6-、C6F13-CH2CH=CF-C5F10-、C6F13-(CH2CH=CF-C3F6)2-、C6F13-(CH2CH=CF-C3F6)3-などが挙げられる。
本発明において、連結基Lは、容易に合成できるため、下記一般式(4)で示されることが好ましい。
Figure 2022108813000004
ここで式(4)中、lとmの合計は2~6の整数であり、l及び/またはmが2以上のとき、-CH2CH2-の代わりに-CH=CH-構造を含んでもよい。
Qは、単結合、-OCONH-、-CONH-、-O-、-NH-、-CO-O-、-O-CO-、-NHCONH-もしくは-C6H4-である。なお、Qが-C6H4-の場合、オルト体、メタ体、パラ体が例示できるが、パラ体が好ましい。
フッ素系樹脂において、式(3)で表される残基単位中のRf基は、末端がCFである炭素数1~5の直鎖状のパーフルオロアルキル基であることが好ましい。これにより、自己会合構造をとりやすくなる。Rf基は、炭素数1~5の直鎖状のパーフルオロアルキレン基が好ましい。
式(3)における、Rf3-(CF=CR5-CR4=CF-Rf4)n-の部分の具体的構造としては、例えば、CF3-CF=CH―CH=CF-C3F6-、CF3-CF=CH―CH=CF-C5F10-、C3F7-CF=CH―CH=CF-C3F6-、C3F7-CF=CH―CH=CF-C5F10-、C5F11-CF=CF―CH=CF-C5F10-、C5F11-CF=CH―CF=CF-C5F10-、C5F11-CF=CF―CF=CF-C5F10-、C5F11-CF=CH―CH=CF-C3F6-、C5F11-CF=CH―CH=CF-C5F10-、CF3-(CF=CH―CH=CF-C5F10)2-、C3F7-(CF=CH―CH=CF-C5F10)2-、C5F11-(CF=CH―CH=CF-C5F10)2-などが挙げられる。
式(3)におけるR4及び/またはR5は水素原子であることが好ましい。
具体的な式(1)に表される残基単位としては、例えば以下の構造が挙げられる。
Figure 2022108813000005
Figure 2022108813000006
Figure 2022108813000007
具体的な式(2)に表される残基単位としては、例えば以下の構造が挙げられる。
Figure 2022108813000008
具体的な式(3)に表される残基単位としては、例えば以下の構造が挙げられる。
Figure 2022108813000009
Figure 2022108813000010
Figure 2022108813000011
本発明の保護膜形成用組成物が含むフッ素系樹脂は、式(1)~(3)で表わされる繰り返し単位の1種または2種以上を含む。加えて、式(1)~(3)で表わされる以外の構造の繰り返し単位を含んでもよい。
本発明の保護膜形成用組成物が含むフッ素系樹脂は、十分なフッ素系溶剤への溶解性を持つために式(1)~(3)で表わされる繰り返し単位を30モル%以上、より好ましくは40モル%以上含む。
本発明の保護膜形成用組成物が含むフッ素系溶剤は、前述のフッ素系樹脂を溶解させるものであればよい。
フッ素系溶剤のフッ素含有量に特に制限は無いが、速やかに溶解させるには、フッ素系溶剤の全質量に対して、50質量%以上、90質量%以下、より好ましくは60質量%以上80質量%以下、より好ましくは65質量%以上、80質量%以下である。90質量%を超えると前述のフッ素系樹脂が十分溶解しなくなる。また、50質量%より少ないと、有機半導体膜上に塗布または印刷する際、有機半導体膜の表面を溶解または膨潤することがある。発明の保護膜形成用組成物が含むフッ素系溶剤として、以下に示す含フッ素炭化水素、含フッ素エーテルまたは含フッ素アルコールを好ましく用いることができる。
含フッ素炭化水素はオゾン破壊係数が低く、本発明の保護膜形成用組成物が含むフッ素系溶剤として好ましい。特に、炭素数4~8の、直鎖状、分岐鎖状または環状の炭化水素で、水素原子の少なくとも1個がフッ素原子で置換されているようなものは塗布しやすく好ましい。
このような含フッ素炭化水素として具体的には、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタンまたはシクロヘキサンの水素原子の少なくとも1個がフッ素原子で置換されたものを例示することができる。具体的に示せば、例えば、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-トリデカフルオロヘキサン、2H,3H-デカフルオロペンタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-トリデカフルオロオクタン、ヘキサフルオロシクロペンタン、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンの含フッ素炭化水素を例示することができる。
含フッ素炭化水素の沸点は、保護膜形成用組成物を塗布する際の基板温度よりも高い必要があり、好ましくは基板温度より20℃以上、さらに好ましくは50℃以上さらに好ましくはである。含フッ素炭化水素の沸点が、保護膜形成用組成物を塗布する際の基板温度より低いと、塗布作業中に含フッ素炭化水素が急速に揮発し、形成されるフッ素系樹脂膜に十分な平坦性を得難い。また、用いられる含フッ素炭化水素は、沸点が60℃以上、200℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは80℃以上、180℃以下である。含フッ素炭化水素の沸点が60℃以上、200℃以下であると、保護膜形成用組成物を塗布形成したフッ素系樹脂膜から、加熱により含フッ素炭化水素を蒸発除去しやすい。
前記含フッ素炭化水素のうち、特に好ましい沸点を有する例として、以下を例示することができる。
2H,3H-デカフルオロペンタン、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-トリデカフルオロオクタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-トリデカフルオロヘキサンを例示することができる。
また、オゾン破壊係数の低さから、フッ素系溶剤として含フッ素エーテルを使用することができる。特に、含フッ素エーテルの沸点は、保護膜形成用組成物を塗布する際の基板温度よりも高い必要があり、好ましくは基板温度より20℃以上、さらに好ましくは50℃以上高い。含フッ素エーテルの沸点が、保護膜形成用組成物を塗布する際の基板温度より低いと、塗布作業中に含フッ素脂肪族エーテルが急速に揮発し、形成されるフッ素系樹脂膜に十分な平坦性を得難い。また、用いられる含フッ素エーテルは、沸点が200℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは180℃以下である。含フッ素エーテルの沸点が200℃以下であると、保護膜形成用組成物を塗布形成したフッ素系樹脂膜から、加熱により含フッ素エーテルを蒸発除去しやすい。
好ましい含フッ素エーテルの例として、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-1-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)プロパン、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-1-(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロポキシ)プロパン、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-1-(2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ)プロパンまたは2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)プロパン、1,1,1,2,2,3,3-ヘプタフルオロ-3-メトキシプロパン、メチルパーフルオロブチルエーテル、エチルノナフルオロブチルエーテル、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5-デカフルオロ-3-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)ペンタン、2-(トリフルオロメチル)-3-エトキシドデカフルオロヘキサン、(1,1,1,2,3,3-ヘキサヘキサフルオロプロポキシ)ペンタン、1,1,2,2-テトラフルオロエチル2,2,2-トリフルオロエチルエーテル、メトキシパーフルオロヘプテンを例示することができる。
好ましい沸点を有する含フッ素エーテルとしてはエチルノナフルオロブチルエーテル、メチルパーフルオロブチルエーテル、エチルノナフルオロブチルエーテル、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5-デカフルオロ-3-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)ペンタン、2-(トリフルオロメチル)-3-エトキシドデカフルオロヘキサン、(1,1,1,2,3,3-ヘキサヘキサフルオロプロポキシ)ペンタン等、1,1,2,2-テトラフルオロエチル2,2,2-トリフルオロエチルエーテル、メトキシパーフルオロヘプテンを例示することができる。
また、スピンコート等の塗布方法で平坦に塗布できることから、フッ素系溶剤として含フッ素アルコールを使用することができる。特に、含フッ素アルコールの沸点は、保護膜形成用組成物を塗布する際の基板温度よりも高い必要があり、好ましくは基板温度より20℃以上、さらに好ましくは50℃以上高い。含フッ素アルコールの沸点が、保護膜形成用組成物を塗布する際の基板温度より低いと、塗布作業中に含フッ素脂肪族アルコールが急速に揮発し、形成されるフッ素系樹脂膜に十分な平坦性を得難い。また、用いられる含フッ素アルコールは、沸点が200℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは180℃以下である。含フッ素アルコールの沸点が200℃以下であると、保護膜形成用組成物を塗布形成したフッ素系樹脂膜から、加熱により含フッ素アルコールを蒸発除去しやすい。
好ましい含フッ素アルコールの例として、1H,1H―トリフルオロエタノール、1H1H-ペンタフルオロプロパノール、1H,1H-へプタフルオロブタノール、2-(パーフルオロブチル)エタノール、3-(パーフルオロブチル)プロパノール、2-(パーフルオロヘキシル)エタノール、3-(パーフルオロヘキシル)プロパノール、1H,1H,3H-テトラフルオロプロパノール、1H,1H,5H-オクタフルオロペンタノール、1H,1H,7H-ドデカフルオロヘプタノール、2H-ヘキサフルオロ-2-プロパノール、1H,1H,3H-ヘキサフルオロブタノールを例示することができる。
前記フッ素系溶剤は溶解性と半導体上にダメージなく塗布するために、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-トリデカフルオロオクタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-トリデカフルオロヘキサン、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン、エチルノナフルオロブチルエーテル、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5-デカフルオロ-3-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)ペンタン、2-(トリフルオロメチル)-3-エトキシドデカフルオロヘキサン、メトキシパーフルオロヘプテン、1H1H-ペンタフルオロプロパノール、1H,1H-へプタフルオロブタノール、2-(パーフルオロブチル)エタノール、1H,1H,3H-テトラフルオロプロパノール、1H,1H,5H-オクタフルオロペンタノール1H,1H,7H-ドデカフルオロヘプタノールが好ましく、より好ましくは1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-トリデカフルオロオクタン、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5-デカフルオロ-3-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)ペンタン、メトキシパーフルオロヘプテン、1H,1H,3H-テトラフルオロプロパノール、1H,1H,5H-オクタフルオロペンタノール1H,1H,7H-ドデカフルオロヘプタノールが好ましい。
さらに、塗布した膜を平坦にするためにフッ素溶剤を2種類以上含んでいてもよく、好ましくは前記含フッ素炭化水素と前記含フッ素アルコール、または、前記含フッ素エーテルと前記含フッ素アルコールの混合溶剤が好ましい。
本発明のフッ素系樹脂とフッ素系溶剤の保護膜形成用組成物は、フッ素系樹脂を1wt%以上50wt%以下含み、かつ、前記のフッ素系溶剤を50wt%以上99wt%以下含むことが好ましく、より好ましくはフッ素系樹脂を1wt%以上30wt%以下含み、かつ、前記のフッ素系溶剤を70wt%以上99wt%以下含む保護膜形成用組成物である。
本発明の保護膜形成用組成物が含むフッ素系樹脂における側鎖に光架橋性基を有するエチレン性不飽和単量体残基単位において、光架橋性基とは、紫外線、可視光などの光が作用することによって、官能基間で架橋構造を形成しうる官能基のことを指す。本発明のフッ素系樹脂は、上記の光架橋性基を樹脂の側鎖に含むことで光照射を受けた部位のみが選択的に不溶化する。光架橋性基としては、例えば、光二量化反応性基;メタクリロイル基、アクリロイル基、芳香族ビニル基、ビニルエーテル基などのラジカル反応性基;エポキシ基、オキセタン基などのカチオン反応性基が挙げられ、光ラジカル発生剤や光カチオン発生剤を用いる必要がなく、膜とした際に長期安定性に優れることから、光二量化反応性基が好ましい。
光二量化反応性基としては、例えば、けい皮酸基、カルコン基、スチルベニル基、スチルバゾリル基、クマリニル基、アントラセニル基、ナフトキノニル基、アセナフチル基、マレイミジル基、フェニルシクロヘキセノニル基、テトラセニル基、ベンザゼピニル基、ナフタレノニル基等が挙げられる。これらのなかでも光架橋性、経済性が高く、官能基として導入のしやすいことから、下記一般式(5)、一般式(6)、一般式(7)、一般式(8)からなる群より選ばれる少なくとも一つの光二量化反応性基が好ましい。
Figure 2022108813000012
(式(5)中、Aは水素、ヒドロキシル基、アミノ基、C~Cのアルキル基、C~Cの1級または2級アルキルアミノ基、C~Cのアルコキシ基または単結合を示し、Aは同一または異なって、水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、カルボキシアルキル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、C~C18のアルキル基、フルオロアルキル基、シクロアルキル基または単結合を表す。Bは同一または異なって水素またはC~Cのアルキル基、ハロゲン、シアノ基、アリール基を表す。但し、1つのAおよび5つのAのうち、ただ1つが単結合で他の置換基と結合していることを示すものとする。)
Figure 2022108813000013
(式(6)中、Aは同一または異なって、水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、カルボキシアルキル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、C~C18のアルキル基、フルオロアルキル基、シクロアルキル基または単結合を表す。Bは同一または異なって水素またはC~Cのアルキル基、ハロゲン、シアノ基、アリール基を表す。Lは存在しないかカルボニル基を表す。但し、10個のAのうち、ただ1つが単結合で他の置換基と結合していることを示すものとする。)
Figure 2022108813000014
(式(7)中、Aは同一または異なって、水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、カルボキシアルキル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、C~C18のアルキル基、フルオロアルキル基、シクロアルキル基または単結合を表す。Bは同一または異なって水素またはC~Cのアルキル基、ハロゲン、シアノ基、アリール基を表す。但し、4つのAのうち、ただ1つが単結合で他の置換基と結合していることを示すものとする。)
Figure 2022108813000015
(式(8)中、Aは同一または異なって、水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、カルボキシアルキル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、C~C18のアルキル基、フルオロアルキル基、シクロアルキル基または単結合を表す。但し、10個のAのうち、ただ1つが単結合で他の置換基と結合していることを示すものとする。)
具体的な式(5)で表される基としては、例えば、以下のものが挙げられる。式中、*は側鎖と結合する部分である。
Figure 2022108813000016
Figure 2022108813000017
具体的な式(6)で表される基としては、例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2022108813000018
Figure 2022108813000019
具体的な式(7)で表される基としては、例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2022108813000020
具体的な式(8)で表される光二量化反応性基としては、例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2022108813000021
本発明の保護膜形成用組成物が含むフッ素系樹脂におけるアクリル系樹脂残基単位は、側鎖に式(5)で表される基を有することが好ましい。そして、残基単位の原料となる単量体がより容易に合成が可能となることから、式(5)で表される残基単位は、下記式(9)で表される残基単位であることが好ましい。
Figure 2022108813000022
(式(9)中、Rは水素原子またはメチル基のいずれかを表す。Bは同一または異なって、水素、C~Cのアルキル基、ハロゲン、シアノ基、またはアリール基を表す。Dは同一または異なって、水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、カルボキシアルキル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、C~C18のアルキル基、フルオロアルキル基、またはシクロアルキル基を表す。Mはハロゲンまたはアリールエーテル基を表す。)
式(9)中、Rは水素原子またはメチル基のいずれかを表し、好ましくはメチル基である。
式(9)中、Bは同一または異なって、水素原子、C~Cのアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、またはアリール基からなる群の1種を表し、好ましくは水素原子またはC~Cのアルキル基のいずれかであり、さらに好ましくは水素原子である。
式(9)中、Dは同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシアルキル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、C~C18のアルキル基、フルオロアルキル基、またはシクロアルキル基からなる群の1種を表し、好ましくは水素原子またはC~C18のアルキル基のいずれかであり、さらに好ましくは水素原子である。
式(9)中、Mはハロゲン原子またはアリールエーテル基のいずれかを表し、好ましくはハロゲン原子である。
本発明の保護膜形成用組成物は光増感剤を含んでもよい。ここで光架橋性基の架橋反応を促進させるものであれば良い。光増感剤を含む場合、本発明のフッ素樹脂と光増感剤との保護膜形成用組成物であってもよく、また、前述した本発明の溶液にさらに光増感剤を含んでいてもよい。
光増感剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエ─テル、ベンゾインイソプロピルエ─テル、ベンゾインイソブチルエ─テルなどのアシロイン類;アントラキノン、2─メチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、1─クロロアントラキノン、シクロヘキサノンなどのカルボニル類;ジアセチル、ベンジルなどのジケトン類;ジフェニルモノサルファイド、ジフェニルジサルファイド、テトラメチルチウラムジサルファイドなどの有機サルファイド類;アセトフェノン、ベンゾフェノン、4,4’─ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’─ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、o─メトキシベンゾフェノン、2,4,6─トリメトキシベンゾフエノンなどのフェノン類;p─トルエンスルホニルクロライド、I─ナフタレンスルホニルクロライド、1,3─ベンゼンスルホニルクロライド、2,4─ジニトロベンゼンスルホニルブロマイド、p─アセトアミドベンゼンスルホニルクロライドなどのスルホニルハライド類;5-ニトロフルオレン、5-ニトロアセナフテン、N-アセチル-4-ニトロ-1-ナフチルアミン、ビクラミド等の芳香族ニトロ化合物類;7-ジエチルアミノ-3-テノイルクマリン、3,3′―カルボニルビス(7―ジエチルアミノクマリン)などのクマリン類;四塩化炭素、ヘキサブロモエタン、1,1,2,2─テトラブロモエタンなどのハロゲン化炭化水素類;ジアゾメタン、アブビスイソブチロニトリル、ヒドラジン、トリメチルベンジルアンモニウムクロライドなどの窒素誘導体;エチオニン、チオニン、メチレンブル─などの色素類などがあげられる。光増感剤を添加することでより低露光量で本発明のフッ素系樹脂を架橋(不溶化)することができる。また、該増感剤は必要に応じて2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明の保護膜形成用組成物がさらに光増感剤を含む場合、フッ素系樹脂を1wt%以上50wt%以下、フッ素系溶剤を50wt%以上99wt%以下、増感剤を0.001wt%以上5wt%以下含むことが好ましく、フッ素系樹脂を1wt%以上30wt%以下、フッ素系溶剤を70wt%以上99wt%以下、増感剤を0.01wt%以上3wt%以下含むことが好ましい。
以下に本発明の一態様であるフッ素系樹脂で構成されるパターンについて説明する。
本発明の保護膜形成用組成物が含むフッ素系樹脂はパターンを形成することができる。
まず、本発明の保護膜形成用組成物を用いたパターン形成方法について説明する。
最初に、公知の塗膜形成方法によって、基材の表面にフッ素系樹脂の塗膜を形成する。
基材としては、例えば、各種ガラス板;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホン、ポリイミドの熱可塑性プラスチックシート;エポキシ樹脂;ポリエステル樹脂;ポリ(メタ)アクリル樹脂等の熱硬化性プラスチックシート等を挙げることができる。
塗膜の形成方法としては、例えば、スピンコーティング、ドロップキャスト、ディップコーティング、ドクターブレードコーティング、パッド印刷、スキージコート、ロールコーティング、ロッドバーコーティング、エアナイフコーティング、ワイヤーバーコーティング、フローコーティング、グラビア印刷、フレキソ印刷、スーパーフレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、凸版反転印刷、反転オフセット印刷、付着力コントラスト印刷等を用いることが出来る。
次に、塗膜は乾燥される。乾燥することによって、溶剤が揮発し、粘着性のない塗膜が得られる。乾燥条件は、用いる溶剤の沸点や配合割合などによっても異なるが、好ましくは50~150℃、10~2000秒間程度の幅広い範囲で使用できる。
塗膜形成時に、印刷手法を用いて所定のパターンを形成した際は、露光を行うことでパターンが光架橋し、固定化され、パターンを形成できる。
一方、塗膜形成時にパターンを形成しなかった場合は、フォトリソグラフィ技術を用いて、塗膜に所定パターンを形成できる。フォトリソグラフィ技術を用いる場合、まず、乾燥された塗膜に所定パターンのマスクを介して露光し、光架橋させる。
本発明の保護膜形成用組成物が含むフッ素系樹脂を光架橋により硬化させる際、紫外線、可視光等の放射線が用いられ、例えば、波長245~435nmの紫外線が例示される。照射量は樹脂の組成により適宜変更されるが、例えば、10~5000mJ/cmが挙げられ、架橋度の低下を防止し、かつ、プロセスの短時間化による経済性の向上のため、好ましくは100~4000mJ/cmである。具体的な光照射装置または光源としては、例えば、殺菌灯、紫外線用蛍光灯、カーボンアーク、キセノンランプ、複写用高圧水銀灯、中圧又は高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ等が挙げられる。
紫外線の照射は通常大気中で行うが、必要に応じて不活性ガス中、または一定量の不活性ガス気流下で行うことも出来る。必要に応じて前記の光増感剤を添加して光架橋反応を促進させることも出来る。その後、現像液により現像し、未露光部分を除去する。現像液としては、未硬化のフッ素系樹脂が溶解する溶剤であれば如何なるものでもよく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族溶剤;ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤等を用いることができる。
現像時間は、30~300秒間が好ましい。また現像方法は液盛り法、ディッピング法などのいずれでもよい。現像後、溶剤で洗浄を行い、圧縮空気や圧縮窒素で風乾させることによって、基材上の溶剤を除去する。続いて、ホットプレート、オーブンなどの加熱装置により、好ましくは40~150℃で、5~90分間加熱処理をすることによって、パターンが形成される。
上記のフォトリソグラフィ工程を経て画素パターンを形成させた後、画素内の基材表面の汚れを除去してもよい。例えば、低圧水銀灯やエキシマUV等の短波長紫外線の照射や、光アッシング処理等により基材表面を洗浄することが挙げられる。光アッシング処理とはオゾンガス存在下、短波長紫外線を照射する処理である。前記短波長紫外線とは、100~300nmの波長にメインピークを有する光である。
このように、本発明の保護膜形成用組成物が含むフッ素系樹脂は、それ自体はフッ素系溶剤または有機溶剤に可溶であり、光照射により、側鎖に有する光架橋性基が架橋され硬化し、フッ素系溶剤または有機溶剤に不溶化する。この性質を利用し、本発明の保護膜形成用組成物が含むフッ素系樹脂を光照射により架橋した際に、フッ素系溶剤または有機溶剤によって光の照射されていない部分が除去されるネガ型レジストとして使用できる。
本発明の保護膜形成用組成物が含むフッ素系樹脂をパターニングした後、フッ素系樹脂が架橋して残っている部分(パターン外部)は有機溶剤の濡れ広がりを避けるため、有機溶剤に対する接触角は50°以上であることが好ましい。
本発明の保護膜形成用組成物が含むフッ素系樹脂は、優れた撥液特性を有し、有機トランジスタ素子、カラーフィルター、有機EL素子を製造する際のパターン材料に用いることができる。また、本発明のフッ素樹脂は前記の有機トランジスタ素子、カラーフィルター、有機EL素子を含む電子バイスに用いることができる。
以下に本発明の一態様である電子デバイスについて詳細に説明する。
本発明の保護膜形成用組成物は、電子デバイスに使用できる。電子デバイスとして、有機半導体へのダメージが少ないことから有機トランジスタを挙げることができる。
本発明の保護膜形成用組成物を有機トランジスタに用いるとき、該有機トランジスタは、基板上にゲート絶縁層を有し、更にこのゲート絶縁層の上に有機半導体層を成膜し、ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極を付設することにより得られる。
本発明の有機トランジスタは図1に示すボトムゲート-トップコンタクト型(A)、ボトムゲート-ボトムコンタクト型(B)、トップゲート-トップコンタクト型(C)、トップゲート-ボトムコンタクト型(D)のいずれの素子構造でもよい。ここで、1は有機半導体層、2は基板、3はゲート電極、4はゲート絶縁層、5はソース電極、6はドレイン電極を示す。
該有機トランジスタにおいて、用いることが出来る基材は素子を作製できる十分な平坦性を確保できれば特に制限されず、例えば、ガラス、石英、酸化アルミニウム、ハイドープシリコン、酸化シリコン、二酸化タンタル、五酸化タンタル、インジウム錫酸化物等の無機材料基板;プラスチック;金、銅、クロム、チタン、アルミニウム等の金属;セラミックス;コート紙;表面コート不織布等が挙げられ、これらの材料からなる複合材料又はこれらの材料を多層化した材料であっても良い。また、表面張力を調整するため、これらの材料表面をコーティングすることも出来る。
基材として用いるプラスチックとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリメチルペンテン-1、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、フッ素化環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリ(ジイソプロピルフマレート)、ポリ(ジエチルフマレート)、ポリ(ジイソプロピルマレエート)、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリアミドエラストマー、スチレンブロック共重合体等が例示される。また、上記のプラスチックを2種以上用いて積層して基材として用いることができる。
本発明の保護膜形成用組成物は有機半導体上に塗布した際、有機半導体膜を溶解または膨潤し浸すことがないので、有機半導体膜上に上へ湿式成膜し塗膜を形成できる。且つ当該フッ素樹脂膜は、フォトリソグラフィ、印刷またはインプリントを用いてパターン加工し、次いで有機半導体膜をウエットエッチングする際、炭化水素系溶剤または芳香族系溶剤等のエッチャントに浸されることなく有機半導体膜をパターン加工することができる。
本発明の保護膜形成用組成物は水および有機溶剤敏感性である有機半導体または有機発光材料上に塗布できるので、これらの材料を水および有機溶剤から保護する保護層として使用できる。
本発明で用いることが出来る有機半導体には何ら制限はなく、N型およびP型の有機半導体の何れも使用することができ、N型とP型を組み合わせたバイポーラトランジスタとしても使用できる。また、低分子および高分子の有機半導体の何れも用いることができ、これらを混合して使用することも出来る。具体的な化合物としては、例えば式(F-1)~(F-11)等が例示される。
Figure 2022108813000023
Figure 2022108813000024
Figure 2022108813000025
Figure 2022108813000026
本発明において、有機半導体層を形成する方法としては、有機半導体を真空蒸着する方法、または有機半導体を有機溶剤に溶解させて塗布、印刷する方法等が例示されるが、有機半導体層の薄膜を形成出来る方法であれば何らの制限もない。有機半導体層を有機溶剤に溶解させた溶液を用いて塗布、または印刷する場合の溶液濃度は有機半導体の構造および用いる溶剤により異なるが、より均一な半導体層の形成および層の厚みの低減の観点から、0.5%~5重量%であることが好ましい。この際の有機溶剤としては有機半導体が製膜可能な一定の濃度で溶解する限り何ら制限はなく、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、デカリン、インダン、1-メチルナフタレン、2-エチルナフタレン、1,4-ジメチルナフタレン、ジメチルナフタレン異性体混合物、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン、メシチレン、イソプロピルベンゼン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、テトラリン、オクチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、1,3-ジクロロベンゼン、1,4-ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、1,2-ジメトキシベンゼン、1,3-ジメトキシベンゼン、γ-ブチロラクトン、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、ベンジルアルコール、グリセリン、シクロヘキサノールアセテート、3-メトキシブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アニソール、シクロヘキサノン、メシチレン、3-メトキシブチルアセテート、シクロヘキサノールアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、1,6-ヘキサンジオールジアセテート、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4-ブタンジオールジアセテート、エチルアセテート、フェニルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル-N-プロピルエーテル、テトラデカヒドロフェナントレン、1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロフェナントレン、デカヒドロ-2-ナフトール、1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフトール、α-テルピネオール、イソホロントリアセチンデカヒドロ-2-ナフトール、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、2,6-ジメチルアニソール、1,2-ジメチルアニソール、2,3-ジメチルアニソール、3,4-ジメチルアニソール、1-ベンゾチオフェン、3-メチルベンゾチオフェン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、ジオキサン、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセトフェノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、リモネン等が例示されるが、好ましい性状の結晶膜を得るためには有機半導体の溶解力が高く、沸点が100℃以上の溶剤が適しており、キシレン、イソプロピルベンゼン、アニソール、シクロヘキサノン、メシチレン、1,2-ジクロロベンゼン、3,4-ジメチルアニソール、ペンチルベンゼン、テトラリン、シクロヘキシルベンゼン、デカヒドロ-2-ナフトールが好ましい。また、前述の溶剤2種以上を適切な割合で混合した混合溶剤も用いることが出来る。
有機半導体層には必要に応じて各種有機・無機の高分子若しくはオリゴマー、又は有機・無機ナノ粒子を固体若しくは、ナノ粒子を水若しくは有機溶剤に分散させた分散液として添加でき、上記絶縁層上に高分子溶液を塗布して保護膜を形成出来る。更に、必要に応じて本保護膜上に各種防湿コーティング、耐光性コーティング等を行うことが出来る。
本発明で用いることが出来るゲート電極、ソース電極、又はドレイン電極としては、アルミニウム、金、銀、銅、ハイドープシリコン、ポリシリコン、シリサイド、スズ酸化物、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物、クロム、白金、チタン、タンタル、グラフェン、カーボンナノチューブ等の無機電極、又はドープされた導電性高分子(例えば、PEDOT-PSS)等の有機電極等の導電性材料が例示され、これらの導電性材料を複数、積層して用いることもできる。また、キャリアの注入効率を上げるために、これらの電極に表面処理剤を用いて表面処理を実施することもできる。このような表面処理剤としては、例えば、ベンゼンチオール、ペンタフルオロベンゼンチオール等を挙げることができる。
また、前記の基材、絶縁層または有機半導体層の上に電極を形成する方法に特に制限はなく、蒸着、高周波スパッタリング、電子ビームスパッタリング等が挙げられ、前記導電性材料のナノ粒子を水又は有機溶剤に溶解させたインクを用いて、溶液スピンコート、ドロップキャスト、ディップコート、ドクターブレード、ダイコート、パッド印刷、ロールコーティング、グラビア印刷、フレキソ印刷、スーパーフレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、凸版反転印刷等の方法を採用することも出来る。
本発明の有機トランジスタは、有機トランジスタ素子の実用性の観点から、移動度が0.20cm/Vs以上であることが好ましい。
本発明の有機トランジスタは、有機トランジスタ素子の実用性の観点から、オン電流/オフ電流比が10以上であることが好ましい。
本発明の有機トランジスタは、有機トランジスタ素子の実用性の観点から、ソース・ドレイン間電流のヒステリシスが無いことが好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない
実施例において、樹脂の組成、スピンコート、膜厚測定、UV照射、光架橋(硬化)性の評価方法、パターン形成については、以下に示す条件・装置で実施した。
<フッ素系樹脂の組成>
核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名JNM-ECZ400S)を用い、プロトン核磁気共鳴分光(H-NMR)スペクトル分析より求めた。
<フッ素系溶剤への溶解性>
前記フッ素系樹脂と、比較例のための樹脂を各フッ素溶剤に10wt%となるように加えて100℃まで加熱しながら混合し、常温まで温度を下げて不溶解分または析出分があるかを目視にて確認した。以下、「溶解性評価」という。
<スピンコート>
ミカサ株式会社製MS―A100を用いた。
<平坦性>
後述するフッ素系樹脂を各フッ素溶剤に10wt%なるように調整して、洗浄、乾燥した30×30mmのガラス基材(コーニング社製EagleXG)上に500rpm5秒→1000rpm20秒の条件でスピンコートし、90℃で1分間乾燥後、レーザーテック社製レーザーマイクロスコープ、OPTELICS(登録商標) HYBRIDでスピンコートした膜の表面を確認した。以下、「平坦性評価」という。
<膜厚測定>
ブルカー社製DektakXTスタイラスプロファイラーを用いて測定した。
<UV照射>
ウシオライティング(株)製UVマスクアライナ、UPE-1605MAを用い、UV強度13.0mW/cmの条件で、搬送速度を変えてUV照射時間を調整した。
<光架橋(硬化)性の評価方法>
洗浄、乾燥した30×30mmのガラス基材(コーニング社製EagleXG)上に、スピンコータ―を用いてフッ素系樹脂または保護膜形成用組成物の溶液を乾燥後の膜厚が2000nm以上となるようにスピンコート製膜し、十分に乾燥させた。このフッ素系樹脂に500mJ/cmの紫外線を照射して保護膜形成用組成物膜を光架橋した。この膜の厚みをブルカー社製DektakXTスタイラスプロファイラーにより測定し、Tとした。次に、この光架橋した保護膜形成用組成物膜がコーティングされたガラス板を保護膜形成用組成物の良溶剤であるAE-3000(AGC社製)に1分浸漬後、取り出してホットプレート用いて100℃で1分乾燥した後の膜厚を測定してTとした。これらの膜厚測定値を用いて、残膜率(R)を下記の式により算出した。
R=T/T×100(%)
残膜率が残膜率95%以上を架橋の判断基準として、光架橋(硬化)性を評価した。以下、「光架橋性評価」という)。また、残膜率95%以上に達する紫外線を照射が低いほど光架橋性が高い(早い)ことを示す。
実施例において、フッ素系樹脂の合成、フッ素系溶剤への溶解性評価、耐溶剤性とパターン形成についての評価を以下の条件で実施し、結果を得た。
実施例1
容量75mLのガラスアンプルに一般式(10)に表される化合物25.3g、およびメタクリル酸グリシジル4.7g、重合開始剤としてパーヘキシルND(日油製)1.3g、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン(日本ゼオン製)70gを入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを45℃の恒温槽に入れ、24時間保持することによりラジカル重合を行った。重合反応終了後、アンプルからポリマー溶液を取り出し、このポリマー溶液を、メタノール300mL中に滴下して析出させた後、メタノール200mLで2回洗浄した。さらに30℃で8時間真空乾燥することにより、フッ素系樹脂前駆体1を27g得た(収率:90%)。また、H-NMR測定により、共重合体組成は、一般式(11)に表される残基単位/メタクリル酸グリシジル残基単位=48/52(モル%)であることを確認した。
Figure 2022108813000027
Figure 2022108813000028
容量200mLのシュレンク管を加熱乾燥後、窒素雰囲気下、フッ素系樹脂前駆体1を8g、けい皮酸クロリド4.73g、触媒としてテトラエチルアンモニウムクロリド1.25g、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン72g加え、活栓で密封した。フッ素系樹脂前駆体1が溶解するまで室温で攪拌した後、80℃のオイルバス中8時間攪拌した。得られた樹脂溶液を、ヘキサン500mL中に滴下して析出させた後、メタノール300mLで2回洗浄した。さらに40℃で6時間真空乾燥することにより、フッ素系樹脂1を9.75g得た。また、H-NMR測定により、原料のメタクリル酸グリシジル残基単位が減少し、式(12)に表される残基単位に変換されていることを確認した。その結果、H-NMR測定によりフッ素系樹脂1の共重合組成は、一般式(11)に表される残基単位(フッ素系単位)/式(12)に表される残基単位(光硬化性基単位)=52/48(モル%)の式(13)であることを確認した。
Figure 2022108813000029
Figure 2022108813000030
合成したフッ素系樹脂1に対して、以下のフッ素系溶剤を用いて溶解性評価を行った。
溶剤1 : メトキシパーフルオロヘプテン
溶剤2 : 1,1,1,2,3,4,4,5,5,5-デカフルオロ-3-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)ペンタン
溶剤3 : 1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-トリデカフルオロヘキサン
フッ素系樹脂1は、フッ素系溶剤1~3に対して溶解し、優れた溶解性を示した。結果を表1示す。
<平坦性評価>
合成したフッ素系樹脂1に対して、以下のフッ素系溶剤を用いて平坦性評価を行った。
溶剤1 : メトキシパーフルオロヘプテン
溶剤4 : 1H,1H,5H-オクタフルオロペンタノール
溶剤5 : メトキシパーフルオロヘプテン及び1H,1H,5H-オクタフルオロペンタノールを体積比 7:3で混合
溶剤6 : メトキシパーフルオロヘプテン及び1H,1H,5H-オクタフルオロペンタノールを体積比 5:5で混合
フッ素系樹脂1は、フッ素系溶剤1ではフッ素系樹脂膜の表面にうねりが生じ、平坦でなかった。フッ素系溶剤4~6の溶液を用いて、得られたフッ素系樹脂膜の表面はうねりがなく平坦であることを確認した。
<光硬化性評価>
合成したフッ素系樹脂1に、増感剤として4,4′-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンを加え、1H,1H,5H-オクタフルオロペンタノール溶剤に溶解させ溶液を調製した。(フッ素系樹脂1:15wt%、増感剤:0.2wt%)調製した溶液を光硬化性評価結果、残膜率95%以上であり、光硬化を確認した。
<パターン形成>
パターン形成のため、フッ素系樹脂1に、増感剤として4,4′-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンを加え、メトキシパーフルオロヘプテン溶剤に溶解させ溶液を調製した。(フッ素系樹脂2:3wt%、増感剤:0.1wt%)
10cm×10cmのガラス基材に、一辺が50ミクロンの正方形を縦に10個、横に10個配列した形状をクロムでパターニングしたマスク(パターン形成用マスク)を用いた。基材上に前記の溶液をスピンコートして膜上にマスクを配置し紫外線を照射した後、未架橋部分をアサヒクリンAE―3000(AGC社製)で洗浄除去することにより、膜上に50×50μmサイズの穴が100個空いた形状のパターンを形成した。
<有機半導体へのダメージ評価>
洗浄、乾燥した100×100mmのガラス(コーニング社製Eagle XG)にアルミニウムを真空蒸着し、厚み50nmゲート電極形成した後、絶縁膜としてパリレンCを化学気相蒸着を用いて成膜した。その後、銀をスパッタ成膜し、厚み50nmのチャネル長10μm、電極幅500μmのソース電極およびドレイン電極を形成した。その後、ペンタフルオロベンゼンチオール30mmol/Lの2-プロパノール溶液に浸漬し、5分間経過した時点で取り出し、2-プロパノールで洗浄後、ブロー乾燥した。
有機半導体(ジ-n-ヘキシルジチエノベンゾジチオフェン)の0.8wt%テトラリン溶液をチャネル部にインクジェット印刷し、溶剤を揮発させ90℃で20分乾燥した。その後、有機トランジスタ素子特性を評価した結果、移動度0.30cm/V・sであった。続けて、フッ素系樹脂1に、増感剤として4,4′-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンを加え、メトキシパーフルオロヘプテン溶剤に溶解させ溶液(フッ素系樹脂1:3wt%、増感剤:0.1wt%)を前記の有機トランジスタ上に500rpm×5秒、1000rpm×20秒の条件でスピンコートし、50℃で乾燥した。その後、有機トランジスタ素子特性を評価した結果、移動度0.30cm/V・sであり、移動度の劣化がないことが確認された。
比較例1
容量75mLのガラスアンプルに一般式(10)に表される化合物5.71g、およびメタクリル酸グリシジル4.28g、重合開始剤としてパーヘキシルND(日油製)0.29g、脱水酢酸ブチル23.3gを入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを45℃の恒温槽に入れ、24時間保持することによりラジカル重合を行った。重合反応終了後、アンプルからポリマー溶液を取り出し、このポリマー溶液を、メタノール300mL中に滴下して析出させた後、メタノール200mLで2回洗浄した。さらに30℃で8時間真空乾燥することにより、フッ素系樹脂前駆体3を9.4g得た(収率:94%)。また、H-NMR測定により、共重合体組成は、一般式(11)に表される残基単位/メタクリル酸グリシジル残基単位=20/80(モル%)であることを確認した。
容量200mLのシュレンク管を加熱乾燥後、窒素雰囲気下、フッ素系樹脂前駆体3を8g、けい皮酸クロリド6.02g、触媒としてテトラエチルアンモニウムクロリド1.60g、酢酸ブチル72g加え、活栓で密封した。フッ素系樹脂前駆体1が溶解するまで室温で攪拌した後、100℃のオイルバス中8時間攪拌した。得られた樹脂溶液を、ヘキサン500mL中に滴下して析出させた後、メタノール300mLで2回洗浄した。さらに40℃で6時間真空乾燥することにより、フッ素系樹脂3を9.5g得た。また、H-NMR測定により、原料のメタクリル酸グリシジル残基単位が減少し、式(12)に表される残基単位に変換されていることを確認した。その結果、H-NMR測定によりフッ素系樹脂2の共重合組成は、一般式(11)に表される残基単位(フッ素系単位)/式(12)に表される残基単位=21/79(モル%)の式(15)であることを確認した。
Figure 2022108813000031
合成したフッ素系樹脂2に対して、実施例1と同様にして溶解性評価を行った。フッ素系樹脂1は、すべてのフッ素系溶剤で不溶であった。結果を表1示す。
Figure 2022108813000032

Claims (6)

  1. 式(1)で表される残基単位、式(2)で表される残基単位または式(3)で表される残基単位からなる群の少なくとも一種を30モル%以上含むフッ素系樹脂
    及びフッ素系溶剤を含む保護膜形成用組成物。
    Figure 2022108813000033
    Figure 2022108813000034
    Figure 2022108813000035
    (式(1)~(3)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基からなる群の1種を表す。Rfは、末端がCFである炭素数1~6の直鎖状のパーフルオロアルキル基、末端がCFである炭素数3~6の分岐状のパーフルオロアルキル基または末端がCFである炭素数3~6の環状のパーフルオロアルキル基からなる群の1種を表す。Rfは、炭素数1~6の直鎖状のパーフルオロアルキレン基、炭素数3~6の分岐状のパーフルオロアルキレン基または炭素数3~6の環状のパーフルオロアルキレン基からなる群の1種を表す。Rfは、末端がCFである炭素数1~5の直鎖状のパーフルオロアルキル基、末端がCFである炭素数3~5の分岐状のパーフルオロアルキル基または末端がCFである炭素数3~5の環状のパーフルオロアルキル基を表す。Rfは、炭素数1~5の直鎖状のパーフルオロアルキレン基、炭素数3~5の分岐状のパーフルオロアルキレン基または炭素数3~5の環状のパーフルオロアルキレン基を表す。R~Rは、それぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表す。nは1~5の整数を表す。Xは単結合、CH、酸素原子または硫黄原子からなる群の1種を表す。Lは連結基を表す。)
  2. フッ素系溶剤が含フッ素炭化水素、含フッ素エーテルまたは含フッ素アルコールからなる群の少なくとも1種である請求項1に記載の保護膜形成用組成物。
  3. フッ素系樹脂が側鎖に光架橋性基を有するエチレン性不飽和単量体残基単位を含む請求項1または2に記載の保護膜形成用組成物。
  4. 側鎖に光架橋性基を有するエチレン性不飽和単量体残基単位が下記式(4)である請求項3項に記載の保護膜形成用組成物。
    Figure 2022108813000036
    (ここで、Rは水素原子またはメチル基のいずれかを表す。Bは、同一または相異なって、水素原子、C~Cのアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、またはアリール基からなる群の1種を表す。Dは同一または相異なって、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシアルキル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、C~C18のアルキル基、フルオロアルキル基、またはシクロアルキル基からなる群の1種を表す。Mはハロゲン原子またはアリールエーテル基のいずれかを表す。)
  5. 光増感剤を含む請求項1乃至4いずれか一項に記載の保護膜形成用組成物。
  6. 有機半導体膜上に請求項1乃至5いずれか一項に記載の保護膜形成用組成物を用いてフッ素系樹脂膜を形成する有機半導体デバイスの製造方法。
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