JP2022067447A - 光架橋性樹脂、絶縁層およびこれを備えた有機トランジスタ - Google Patents

光架橋性樹脂、絶縁層およびこれを備えた有機トランジスタ Download PDF

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Abstract

【課題】有機トランジスタの絶縁層として利用可能な、汎用溶剤へ溶解し、低温かつ短時間で架橋する絶縁性に優れた樹脂を提供する。【解決手段】下記式(1)で表される反復単位を含む光架橋性樹脂。JPEG2022067447000047.jpg3031{式(1)中、R1は水素原子またはC1~C6のアルキル基のいずれかを表す。L1は2価の連結基を表す。Ar1はC6~C19のアリール基を表す。Zは特定の不飽和基を表す。pは0から20の整数を表し、pが2以上の場合L1は互いに同じであっても異なっていてもよい。}【選択図】なし

Description

本発明は汎用溶剤に溶解し、低温かつ短時間で架橋する絶縁性に優れた絶縁層形成用の樹脂に関するものである。
有機トランジスタは一般的に3つの電極(ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極)、絶縁層、及び有機半導体層からなる構造を有する。近年、印刷によって有機トランジスタを製造する技術の開発が進められており、絶縁層には汎用溶剤に溶解可能で絶縁性に優れる樹脂の使用が提案されている。
有機トランジスタ用の絶縁層としては、これまでにポリパラキシリレン(PPX)、ベンゾシクロブテン(BCB)重合体、ポリビニルフェノール(PVP)組成物、及びフッ素系環状エーテル(FCE)重合体の利用が提案されている。PPXは絶縁性には優れているが、汎用溶剤に溶解せず、上記の印刷プロセスには適用できない。BCB重合体、及びPVP組成物は架橋温度がそれぞれ150℃ 、及び250℃と高く、架橋時間も長い。このため、ロールTOロール方式での連続製造プロセスへの適用が難しい。特に、プラスチックを基材とした有機トランジスタの製造においては、架橋時の加熱によって基材のプラスチックが変形を起こすため、耐熱性に優れたポリイミド等のエンプラフィルム以外の使用は困難である。一方、FCE重合体はパーフルオロトリブチルアミン等特定のフッ素系溶剤に溶解するが汎用の有機溶剤には溶解しない。FCE重合体は表面張力が小さく、該重合体膜上に有機半導体層溶液を印刷する際、溶液が濡れ広がらず均一な印刷も難しい。更に、該重合体、及び該溶剤は何れも高価であり経済性にも劣っていた。
上記の背景から、低温かつ短時間で架橋が可能な光架橋性重合体が注目されている。例えば、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)等の水酸基を有するポリマーに光架橋性を有するシンナモイル基を導入した重合体(例えば、特許文献1参照)、及びフェノール基を側鎖に有するポリマーに光架橋性を有するクマリンを導入した重合体(例えば、特許文献2参照)が提案されている。しかしながら、これらの重合体には未反応の水酸基が残存しており、この水酸基が絶縁破壊強度を低下させ絶縁層としての性能に劣るという問題があった。特許文献1では、未反応の水酸基を無水トリフルオロ酢酸と反応させて残存水酸基量を低減させる技術も開示しているが、この手法によって水酸基を完全に消失させることは極めて難しかった。
また、光架橋性のシンナモイル基を有するビニル単量体、及び含フッ素ビニル単量体との共重合体も提案されている(例えば、特許文献3参照)。本技術の重合体は汎用溶剤に溶解し、低温で光架橋可能であるものの、半導体製造プロセスで一般的に用いられる光源(光源波長365nm以上)では光架橋に必要な露光量が大きく、架橋に長時間を要するため、より短時間で架橋可能な材料が求められていた。
このような背景から、汎用溶剤へ溶解し、低温かつ短時間で架橋する絶縁性に優れた樹脂及び該樹脂を含む絶縁層が求められていた。
特許第5148624号 特許第5960202号 特許第5938192号
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、有機トランジスタの絶縁層として利用可能な、汎用溶剤へ溶解し、低温かつ短時間で架橋する絶縁性に優れた樹脂を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の樹脂が汎用溶剤への高い溶解性を示し、低温かつ短時間で架橋可能であり、該架橋体が耐溶剤性及び絶縁性に優れて、有機トランジスタの絶縁層として好適に用いることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記式(1)で表される反復単位を含む光架橋性樹脂、該樹脂を用いた絶縁層、及び該絶縁層を備えた有機トランジスタに関するものである。
Figure 2022067447000001
{式(1)中、Rは水素原子またはC1~C6のアルキル基のいずれかを表す。Lは2価の連結基を表す。ArはC6~C19のアリール基を表す。Zは下記式(A)または(B)のいずれかの有機基を表す。pは0から20の整数を表し、pが2以上の場合Lは互いに同じであっても異なっていてもよい。
Figure 2022067447000002
Figure 2022067447000003
(式(A)または(B)中、ArはC6~C19のアリール基を表す。R~Rはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、またはC1~C6のアルキル基からなる群の1種を表す。)}
本発明により、有機トランジスタの絶縁層として利用可能な、汎用溶剤へ溶解し、低温かつ短時間で架橋する絶縁性に優れた樹脂を提供できる。
;有機トランジスタの断面形状を示す図である。 ;実施例1で製造した樹脂1-bのH-NMRチャートを示す図である。 ;実施例1で製造した有機トランジスタ素子においてゲート電圧(VGS)を変化させた際に観測されるソース-ドレイン間電流(ISD)(実線)にヒステリシスが見られず、漏洩電流値(I)(破線)が0.01nA以下と極めて小さいことを示す図である。
以下、本発明の一態様である光架橋性樹脂について詳細に説明する。
本発明の樹脂は、下記式(1)の反復単位を含む。
Figure 2022067447000004
{式(1)中、Rは水素原子またはC1~C6のアルキル基のいずれかを表す。Lは2価の連結基を表す。ArはC6~C19のアリール基を表す。Zは下記式(A)または(B)のいずれかの有機基を表す。pは0から20の整数を表し、pが2以上の場合Lは互いに同じであっても異なっていてもよい。
Figure 2022067447000005
Figure 2022067447000006
(式(A)または(B)中、ArはC6~C19のアリール基を表す。R~Rはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、またはC1~C6のアルキル基からなる群の少なくとも1種を表す。)}
本発明の重合体における、式(1)で表される反復単位について説明する。
式(1)中、Rは水素原子またはC1~C6のアルキル基のいずれかを表す。
式(1)中のRにおけるC1~C6のアルキル基としては特に制限がなく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基等を挙げることができ、好ましくはメチル基またはエチル基を挙げることができる。
式(1)中、Lは2価の連結基を表す。
式(1)中のLにおける2価の連結基としては、放射線で容易に構造変化を起こさない2価の有機基であれば特に制限がなく、例えば、酸素原子、硫黄原子、置換アルキレン基、置換アリーレン基、カルボニル基、アルキルアミノ基等を挙げることができ、好ましくは酸素原子、置換アルキレン基、置換アリーレン基からなる群の一種を挙げることができる。
式(1)中、pは0から20の整数を表し、pが2以上の場合Lは互いに同じであっても異なっていてもよい。pは好ましくは0から8である。
式(1)中、ArはC6~C19のアリール基を表す。
式(1)中のArにおけるC6~C19のアリール基としては特に制限がなく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基等を挙げることができ、好ましくはフェニル基またはナフチル基を挙げることができる。
式(1)中、Zは式(A)または(B)のいずれかの有機基を表す。Zは、Ar1の芳香族炭素原子と結合する基である。
式(A)または(B)中、ArはC6~C19のアリール基を表す。R~Rはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、またはC1~C6のアルキル基からなる群の1種を表す。
式(A)または(B)中のArにおけるC6~C19のアリール基としては特に制限がなく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基等を挙げることができ、好ましくはフェニル基またはナフチル基を挙げることができる。
式(A)または(B)中のR~Rにおけるハロゲン原子としては特に制限がなく、例えば、塩素原子、フッ素原子等が挙げられる。
式(A)または(B)中のR~RにおけるC1~C6のアルキル基としては特に制限がなく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基等を挙げることができ、好ましくはメチル基またはエチル基を挙げることができる。
具体的な式(A)で表される有機基としてはシンナミリデンケトン基が挙げられ、例えば、下記式(A-1)から(A-6)で表されるものを挙げることが出来る。
Figure 2022067447000007
具体的な式(B)で表される有機基としてはジベンジリデンアセトン基やジベンジリデンシクロヘキサノン基が挙げられ、例えば、下記式(B-1)から(B-6)で表されるものを挙げることが出来る。
Figure 2022067447000008
式(1)におけるZとしては、合成の容易さの観点から、シンナミリデンケトン基の一種であることが好ましい。
本発明の樹脂における式(1)で表される反復単位としては、例えば、下記式(1-1)から(1-3)で表されるシンナミリデンアセトフェノン基を含むモノマー由来の反復単位;下記式(1-4)から(1-6)で表されるジベンジリデンアセトン基を含むモノマー由来の反復単位;下記式(1-7)から(1-9)で表されるジベンジリデンシクロヘキサノン基を含むモノマー由来の反復単位等が挙げられる。その中でも、合成の容易さの観点から、シンナミリデンアセトフェノン基を含むモノマー由来の反復単位が好ましい。
Figure 2022067447000009
また、本発明の樹脂は、汎用溶剤への溶解性および絶縁性向上の観点から、上記式(1)の反復単位に加えて、下記式(2)の反復単位を含むことが好ましい。
Figure 2022067447000010
(式(2)中、Rは水素原子またはC1~C6のアルキル基のいずれかを表す。ArはC6~C19のアリール基を表す。)
本発明の樹脂における式(2)で表される反復単位について説明する。
式(2)中、Rは水素原子またはC1~C6のアルキル基のいずれかを表す。
式(2)中のRにおけるC1~C6のアルキル基としては特に制限がなく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基等を挙げることができ、好ましくはメチル基またはエチル基を挙げることができる。
式(2)中、ArはC6~C19のアリール基を表す。
式(2)中のArにおけるC6~C19のアリール基としては特に制限がなく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基等を挙げることができ、好ましくはフェニル基またはナフチル基を挙げることができる。
本発明の樹脂における式(2)で表される反復単位としては、例えば、スチレン残基、α-メチルスチレン残基、2-クロロスチレン残基、2-ブロモスチレン残基、2-フルオロスチレン残基、3-クロロスチレン残基、3-ブロモスチレン残基、3-フルオロスチレン残基、4-クロロスチレン残基、4-ブロモスチレン残基、4-フルオロスチレン残基、4-クロロメチルスチレン残基、3,5-トリフルオロメチルスチレン残基、4-トリフルオロスチレン残基、2,3,4,5,6-ペンタフルオロスチレン残基等のスチレン類残基;1-ビニルナフタレン残基、2-ビニルナフタレン残基、6-メトキシ-1-ビニルナフタレン残基、7-メトキシ-1-ビニルナフタレン残基等のビニルナフタレン類残基;2-ビニルアントラセン残基、9-ビニルアントラセン残基等のビニルアントラセン類残基;2-ビニルビフェニル残基、3-ビニルビフェニル残基、4-ビニルビフェニル残基等のビニルビフェニル類残基等を挙げることができ、好ましくはスチレン類残基またはビニルナフタレン類残基を挙げることができる。
さらに、式(1)で表される反復単位として、より具体的には下記式(3)または下記式(4)のいずれかで表される反復単位であることが好ましい。
Figure 2022067447000011
{式(3)中、R、Ar、Zは式(1)におけるR、Ar、Zと同義である。A~Aはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C1~C18のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオエーテル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、フルオロアルキルチオエーテル基、フルオロアリール基、シクロアルキル基、シクロヘテロアルキル基からなる群の1種を表す。Lは2価の連結基を表す。qは0から19の整数を表し、qが2以上の場合Lは互いに同じであっても異なっていてもよい。}
Figure 2022067447000012
(式(4)中、R、Ar、Zは式(1)におけるR、Ar、Zと同義である。Lは2価の連結基を表す。rは0から18の整数を表し、rが2以上の場合Lは互いに同じであっても異なっていてもよい。)
式(3)中、A~Aはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C1~C18のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオエーテル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、フルオロアルキルチオエーテル基、フルオロアリール基、シクロアルキル基、シクロヘテロアルキル基からなる群の1種を表す。
式(3)中のA~Aにおけるハロゲン原子としては特に制限がなく、例えば、塩素原子、フッ素原子等が挙げられる。
式(3)中のA~AにおけるC1~C18のアルキル基としては特に制限がなく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、s-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基2-エチルヘキシル基等の直鎖状アルキル基または分岐状アルキル基等を挙げることができ、好ましくはメチル基またはエチル基を挙げることができる。
式(3)中のA~Aにおけるアルコキシ基としては特に制限がなく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等を挙げることができ、好ましくはメトキシ基またはエトキシ基を挙げることができる。
式(3)中のA~Aにおけるアルキルチオエーテルの基としては特に制限がなく、例えば、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、イソプロピルスルファニル基、n-プロピルスルファニル基、n-ブチルスルファニル基、イソブチルスルファニル基、sec-ブチルスルファニル基等を挙げることができ、好ましくはメチルスルファニル基またはエチルスルファニル基を挙げることができる。
式(3)中のA~Aにおけるアルキルアミノ基としては特に制限がなく、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n-プロピル)アミノ基、メチルエチルアミノ基、メチル-n-プロピルアミノ基等を挙げることができ、好ましくはジメチルアミノ基またはジエチルアミノ基を挙げることができる。
式(3)中のA~Aにおけるアリール基としては特に制限がなく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基等を挙げることができ、好ましくはフェニル基またはナフチル基を挙げることができる。
式(3)中のA~Aにおけるアリールエーテル基としては特に制限がなく、例えば、フェニルエーテル基、ナフチルエーテル基、アントリルエーテル基、ビフェニルエーテル基等を挙げることができ、好ましくはフェニルエーテル基またはナフチルエーテル基を挙げることができる。
式(3)中のA~Aにおけるアリールチオエーテル基としては特に制限がなく、例えば、フェニルスルファニル基、ナフチルスルファニル基、アントリルスルファニル基、ビフェニルスルファニル基等を挙げることができ、好ましくはフェニルスルファニル基またはナフチルスルファニル基を挙げることができる。
式(3)中のA~Aにおけるフルオロアルキル基としては特に制限がなく、例えば、ペルフルオロメチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロブチル基、1H,1H-ペンタフルオロプロピル基、1H,1H,2H,2H-ペンタフルオロブチル基、1H,1H-ヘプタフルオロブチル基、4,4,4-トリフルオロブチル基等を挙げることができ、好ましくはペルフルオロメチル基を挙げることができる。
式(3)中のA~Aにおけるフルオロアルコキシ基としては特に制限がなく、例えば、ペルフルオロメトキシ基、ペルフルオロプロポキシ基、ペルフルオロブトキシ基、1H,1H-ペンタフルオロプロポキシ基、1H,1H,2H,2H-ペンタフルオロブトキシ基、1H,1H-ヘプタフルオロブトキシ基、4,4,4-トリフルオロブトキシ基等を挙げることができ、好ましくはペルフルオロメトキシ基を挙げることができる。
式(3)中のA~Aにおけるフルオロアルキルチオエーテル基としては特に制限がなく、例えば、ペルフルオロメチルスルファニル基、ペルフルオロプロピルスルファニル基、ペルフルオロブチルスルファニル基、1H,1H-ペンタフルオロプロピルスルファニル基、1H,1H,2H,2H-ペンタフルオロブチルスルファニル基、1H,1H-ヘプタフルオロブチルスルファニル基、4,4,4-トリフルオロブチルスルファニル基等を挙げることができ、好ましくはペルフルオロメチルスルファニル基を挙げることができる。
式(3)中のA~Aにおけるフルオロアリール基としては特に制限がなく、例えば、4-フルオロフェニル基、2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル基、1-フルオロナフチル基、オクタフルオロナフチル基、1-フルオロアントリル基、2-フルオロアントリル基、9-フルオロアントリル基、2-フルオロビフェニル基、4-フルオロビフェニル基等を挙げることができ、好ましくは4-フルオロフェニル基または1-フルオロナフチル基を挙げることができる。
式(3)中のA~Aにおけるシクロアルキル基としては特に制限がなく、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等を挙げることができ、好ましくはシクロペンチル基またはシクロヘキシル基を挙げることができる。
式(3)中のA~Aにおけるシクロヘテロアルキル基としては特に制限がなく、例えば、2-フリル基、3-フリル基、1-チアシクロヘキサン-4-イル、テトラヒドロチオフェン-2-イル、テトラヒドロチオフェン-3-イル、テトラヒドロチオフェン-4-イル、テトラヒドロピラン-4-イル、テトラヒドロピラン-3-イル、テトラヒドロピラン-2-イル等を挙げることができ、好ましくは2-フリル基、3-フリル基、テトラヒドロチオフェン-2-イル、テトラヒドロチオフェン-3-イル、テトラヒドロチオフェン-4-イルからなる群の1種を挙げることができる。
式(3)中、Lは2価の連結基を表す。2価の連結基としては、放射線で容易に構造変化を起こさない2価の有機基であれば特に制限がなく、例えば、酸素原子、硫黄原子、置換アルキレン基、置換アリーレン基、カルボニル基、アルキルアミノ基等を挙げることができ、好ましくは酸素原子、置換アルキレン基、置換アリーレン基からなる群の1種を挙げることができる。
式(3)中、qは0から19の整数を表し、qが2以上の場合Lは互いに同じであっても異なっていてもよい。qは好ましくは0から7である。
式(4)中、Lは2価の連結基を表す。2価の連結基としては、放射線で容易に構造変化を起こさない2価の有機基であれば特に制限がなく、例えば、酸素原子、硫黄原子、置換アルキレン基、置換アリーレン基、カルボニル基、アルキルアミノ基等を挙げることができ、好ましくは酸素原子、置換アルキレン基、置換アリーレン基からなる群の1種を挙げることができる。
式(4)中、rは0から18の整数を表し、rが2以上の場合Lは互いに同じであっても異なっていてもよい。rは好ましくは0から6である。
上記式(1)および(2)の反復単位の比率は式(1)、(2)の反復単位の合計を100モル%とした場合に、式(2)で表される反復単位の比率が好ましくは80モル%以下、さらに好ましくは70モル%以下、さらに好ましくは50モル%以下である。これにより、より短い時間での架橋が可能になり、かつ、耐溶剤性に優れた絶縁膜を得ることができる。特に式(2)で表される反復単位の比率は70モル%以下であることが好ましい。これにより、本発明の樹脂を絶縁層として備えた有機トランジスタにおいてより高い移動度を発現する。
本発明の光架橋性樹脂は、本発明の目的を逸脱しない範囲において、他の単量体残基単位が含まれていても良く、他の単量体残基単位としては、例えば、アクリル酸メチル残基、アクリル酸エチル残基、アクリル酸ブチル残基、アクリル酸トリフロオロエチル残基等のアクリル酸エステル残基;メタクリル酸メチル残基、メタクリル酸エチル残基、メタクリル酸ブチル残基、アクリル酸トリフロオロエチル残基等のメタクリル酸エステル残基;酢酸ビニル残基、プロピオン酸ビニル残基等のビニルエステル残基;エチレン残基、プロピレン残基等のオレフィン残基等が挙げられる。
本発明の光架橋性樹脂はランダム共重合体、ブロック共重合体のどちらでもよいが、通常ランダム共重合体である。
本発明の光架橋性樹脂の分子量に対しては何ら制限なく、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)により測定した溶出曲線より得られる標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)で500~10,000,000(g/モル)のものを用いることが出来る。得られる樹脂の溶液粘度、及び力学強度の観点から、好ましくは10,000~1,000,000(g/モル)である。
本発明の樹脂は、汎用溶剤に溶解する樹脂が得られる限り特に制限されないが、例えば、下記式(5-1)で表される単量体の重合体と下記式(6-1)で表される化合物のアルドール縮合反応、または、下記式(5-2)で表される単量体の重合体と下記式(6-2)で表される化合物のアルドール縮合反応により合成することができる。
Figure 2022067447000013
Figure 2022067447000014
{式(5-1)および(5-2)中、R~R、L、Ar、pは式(1)、式(A)、式(B)で定義したものと同様である。}
Figure 2022067447000015
Figure 2022067447000016
{式(6-1)および(6-2)中、R~R、Arは式(A)、式(B)で定義したものと同様である。}
式(5-1)の単量体の重合体と式(6-1)の化合物の反応、および式(5-2)の単量体の重合体と式(6-2)の化合物の反応において、得られる樹脂の汎用溶剤に対する溶解性を高めるため、式(6-1)または式(6-2)の化合物の反応溶液中の濃度は0.3~2.0モル/リットルであることが好ましく、さらに好ましくは0.5~1.0モル/リットルである。
本発明において、具体的な式(5-1)で表される単量体としては、式(7-1)で表される4-(4-ビニルベンジルオキシ)アセトフェノンの他、例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2022067447000017
Figure 2022067447000018
Figure 2022067447000019
Figure 2022067447000020
本発明の式(5-1)で表される単量体は公知の方法を利用して製造することが出来る。例えば、4-(4-ビニルベンジルオキシ)アセトフェノンは、DMF中で炭酸水素ナトリウムを用いて、4-クロロメチルスチレンと4´-ヒドロキシアセトフェノンを反応させることで製造できる。
本発明において、具体的な式(5-2)で表される単量体としては、式(7-2)で表される4-(4-ビニルベンジルオキシ)ベンズアルデヒドの他、例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2022067447000021
Figure 2022067447000022
Figure 2022067447000023
Figure 2022067447000024
本発明の式(5-2)で表される単量体は公知の方法を利用して製造することが出来る。例えば、4-(4-ビニルベンジルオキシ)ベンズアルデヒドは、DMF中で炭酸カリウムを用いて、4-クロロメチルスチレンと4´-ヒドロキシベンズアルデヒドを反応させることで製造できる。
本発明において、具体的な式(6-1)で表される化合物としては、式(8-1)で表されるシンナムアルデヒドの他、例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2022067447000025
Figure 2022067447000026
本発明において、具体的な式(6-2)で表される化合物としては、式(8-2)で表されるベンザルアセトンの他、例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2022067447000027
Figure 2022067447000028
Figure 2022067447000029
本発明の樹脂が式(1)の反復単位に加えて式(2)の反復単位を含む場合、上記式(5-1)または上記式(5-2)の単量体と、下記式(9)で表される単量体をラジカル共重合し共重合体を得た後、上記式(6-1)または上記式(6-2)の化合物を反応させることで該樹脂を得ることができる。
Figure 2022067447000030
{式(9)中、Rは、Arは式(2)で定義したものと同様である。}
本発明において、具体的な式(9)で表される単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、2-クロロスチレン、2-ブロモスチレン、2-フルオロスチレン、3-クロロスチレン、3-ブロモスチレン、3-フルオロスチレン、4-クロロスチレン、4-ブロモスチレン、4-フルオロスチレン、4-クロロメチルスチレン、3,5-トリフルオロメチルスチレン、4-トリフルオロスチレン、2,3,4,5,6-ペンタフルオロスチレン等のスチレン類;1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、6-メトキシ-1-ビニルナフタレン、7-メトキシ-1-ビニルナフタレン等のビニルナフタレン類;2-ビニルアントラセン、9-ビニルアントラセン等のビニルアントラセン類;2-ビニルビフェニル、3-ビニルビフェニル、4-ビニルビフェニル等のビニルビフェニル類を挙げることができ、好ましくはスチレン類またはビニルナフタレン類を挙げることができる。
式(9)で表される単量体と、式(5-1)あるいは式(5-2)で表される単量体をラジカル共重合する際、該ラジカル共重合には溶液重合、乳化重合、懸濁重合、及び塊状重合等の公知の方法を用いることが出来る。
溶液重合において用いる溶剤は上記の単量体、及び重合体が溶解する限り、何ら制限されず、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル等が挙げられ、これらの溶剤を混合して用いることも出来る。
重合温度は用いる開始剤に依存して選択されるが、特に制限されない。開始剤は特に制限されず、アゾイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、ジ(t-ブチル)パーオキサイド等の過酸化物系開始剤が例示される。反応時間は何ら制限されず、用いる開始剤の半減期に従い設定されるが、経済性の観点から4~24時間が好ましい。
本発明の光架橋性樹脂は、溶剤に溶解させた溶液を用いて種々の基材上に塗工又は印刷することができる。
該溶液中の樹脂濃度としては、簡便な成膜方式に好適であることから、樹脂溶液100wt%に対して、50~99wt%が好ましく、80~97wt%がさらに好ましい。
該溶液の溶液粘度としては塗工可能であれば特に制限はないが、絶縁層の塗工性の面から1~10,000mPa・sが好ましい。
該溶剤としては、該樹脂を溶解する溶剤であれば何ら制限なく用いることができ、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、n-ペンタノール等の脂肪族アルコール類;ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル等のエーテル類;トルエン、キシレン、キュメン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;メチルイソブチルケトン、エチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、プロピオン酸プロピル等のエステル類、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類;ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエステル類等が挙げられ、単独または2種類以上の溶剤を併用してもよい。好ましくは芳香族炭化水素類、ケトン類、エステル類、グリコールエステル類からなる群の1種を挙げることができる。
本発明に係る樹脂は、例えば、スピンコーティング、ドロップキャスト、ディップコーティング、ドクターブレードコーティング、パッド印刷、スキージコート、ロールコーティング、ロッドバーコーティング、エアナイフコーティング、ワイヤーバーコーティング、フローコーティング、スリットダイコーティング、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、凸版反転印刷等を用いて印刷することが出来る。なお、本発明の絶縁層はこれらの方法を用いて形成されるものであるため、本発明の絶縁層は汎用溶剤に対する溶解性に優れることが必要となる。
本発明の樹脂を絶縁層として用いる場合、該絶縁層を形成した状態、または必要に応じて光架橋(光環化)した架橋物として用いることができる。なお、本発明において該絶縁層を形成した後、光架橋せずに絶縁層として用いる場合には、該絶縁層を形成するのに用いる汎用溶剤には良好な溶解性を示し、更に、該絶縁層の上部に該汎用溶剤とは異なる溶剤を用いて有機半導体層を形成可能なことが必要となる。この際、該絶縁層が有機半導体溶液に対して耐溶剤性(耐クラック性)を持つとき、該絶縁層を形成した状態のままで絶縁層として用いることが出来る。なお、耐溶剤性(耐クラック性)に優れるものではない場合、印刷法による製膜ができず、印刷法に比べ経済性に劣る蒸着法等の方法により製膜する必要がある。
本発明の樹脂を絶縁層として用いる場合、光架橋(光環化)には放射線が好適に用いられる。放射線としては、例えば、波長245~450nmの紫外線が挙げられる。放射線の照射量は樹脂の組成により適宜変更されるが、例えば、100~2000mJ/cmが挙げられ、架橋度の低下を防止し、かつ、プロセスの短時間化による経済性向上のため、好ましくは50~1000mJ/cmである。紫外線を照射する際の環境は特に制限されず、大気中、不活性ガス中、または一定量の不活性ガス気流下で行うことができる。必要に応じて光増感剤を添加して光架橋反応を促進させることも出来る。用いる光増感剤は絶縁性および有機トランジスタ性能に影響を与えない限り何ら制限はなく、例えば、ベンゾフェノン化合物、アントラセン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ニトロフェニル化合物等が例示される。また、該増感剤は必要に応じて2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明の樹脂は紫外線により架橋出来るが、必要に応じて加熱しても良い。紫外線照射に加えて加熱する場合の温度は特に制限されないが、用いる樹脂の熱変形を避けるため120℃以下の温度が好ましい。
また、本発明の樹脂は、短時間で効率良く架橋することができるものであり、架橋に要する時間を5分以内とすることができる。なお、架橋時間の制御に好適であることから、架橋に要する時間を1~2分以内とすることが好ましい。
本発明の樹脂が架橋していることは該樹脂の薄膜を良溶剤に浸漬した際の溶解性により判断可能であり、その架橋度は後述の残膜率を測定することにより定量的に評価できる。具体的には、ガラス板上に形成した該樹脂膜を架橋させていない状態で良溶剤に浸漬させると該樹脂膜は全て溶解してしまう。一方、十分に架橋した該樹脂膜は良溶剤に溶解せず、固体状態を維持し、膜の厚みに変化はない。また、架橋が不十分な場合には、該樹脂膜は固体状態を維持しているが、一部の樹脂が溶解するため、その膜厚は小さくなる。従って、溶剤浸漬前後の膜厚を測定することで樹脂がどの程度架橋したかを定量的に判断出来る。
架橋後の樹脂の構造は、熱重量・質量分析装置(TG-MS)、赤外線吸収スペクトル(IR)を用いた方法により同定することができる。
次に、本発明の一態様である絶縁層について、詳細に説明する。
本発明の光架橋性樹脂は、架橋させることにより絶縁層として好適に用いることができる。また、本発明の樹脂は、該絶縁層をゲート絶縁層として備えた有機トランジスタに好適に用いることができる。
本発明の樹脂から得られる絶縁層を、有機トランジスタのゲート絶縁層として用いる場合、実用性の観点から、残膜率が95%以上であることが好ましい。
本発明の樹脂から得られる絶縁層を、有機トランジスタのゲート絶縁層として用いる場合、有機トランジスタ素子としての実用性の観点から、絶縁破壊強度が2.5MV/cm以上であることが好ましい。
次に、本発明の一態様である有機トランジスタについて、詳細に説明する。
本発明の樹脂が有機トランジスタに用いられるとき、有機トランジスタの構造として、図1に示すボトムゲート-トップコンタクト型(A)、ボトムゲート-ボトムコンタクト型(B)、トップゲート-トップコンタクト型(C)、トップゲート-ボトムコンタクト型(D)を例示することができる。図1中、1は有機半導体層、2は基板、3はゲート電極、4はゲート絶縁層、5はソース電極、6はドレイン電極を示す。
該有機トランジスタにおいて、用いることが出来る基板は素子を作製できる十分な平坦性を確保できれば特に制限されず、例えば、ガラス、石英、酸化アルミニウム、ハイドープシリコン、酸化シリコン、二酸化タンタル、五酸化タンタル、インジウム錫酸化物等の無機材料基板;プラスチック;金、銅、クロム、チタン、アルミニウム等の金属;セラミックス;コート紙;表面コート不織布等が挙げられ、これらの材料からなる複合材料又はこれらの材料を多層化した材料であっても良い。また、表面張力を調整するため、これらの材料表面をコーティングすることも出来る。
基板として用いるプラスチックとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリメチルペンテン-1、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、フッ素化環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリ(ジイソプロピルフマレート)、ポリ(ジエチルフマレート)、ポリ(ジイソプロピルマレエート)、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリアミドエラストマー、スチレンブロック共重合体等が例示される。また、上記のプラスチックを2種以上用いて積層して基材として用いることができる。
本発明で用いることが出来る導電性のゲート電極、ソース電極、又はドレイン電極としては、金、銀、アルミニウム、銅、チタン、白金、クロム、ポリシリコン、シリサイド、インジウム・錫・オキサイド(ITO)、酸化錫等の導電性材料が例示される。また、これらの導電材料を複数、積層して用いることもできる。電極の形成方法としては特に制限はなく、蒸着、高周波スパッタリング、電子ビームスパッタリング等が挙げられ、前記導電性材料のナノ粒子を水又は有機溶剤に溶解させたインクを用いて、溶液スピンコート、ドロップキャスト、ディップコート、ドクターブレード、ダイコート、パッド印刷、ロールコーティング、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、凸版反転印刷等の方法を採用することも出来る。また、必要に応じて電極上にフルオロアルキルチオール、フルオロアリルチオール等を吸着させる処理を行っても良い。
本発明で用いることが出来る有機半導体には何ら制限はなく、N型およびP型の有機半導体の何れも使用することができ、N型とP型を組み合わせたバイポーラトランジスタとしても使用できる。また、低分子および高分子の有機半導体の何れも用いることができ、これらを混合して使用することも出来る。具体的な化合物としては、例えば式(C-1)~(C-11)等が例示される。
Figure 2022067447000031
本発明において、有機半導体層を形成する方法としては、有機半導体を真空蒸着する方法、または有機半導体を有機溶剤に溶解させて塗布、印刷する方法等が例示されるが、有機半導体層の薄膜を形成出来る方法であれば何らの制限もない。有機半導体層を有機溶剤に溶解させた溶液を用いて塗布、または印刷する場合の溶液濃度は有機半導体の構造および用いる溶剤により異なるが、より均一な半導体層の形成および層の厚みの低減の観点から、0.5%~5重量%であることが好ましい。この際の有機溶剤としては有機半導体が製膜可能な一定の濃度で溶解する限り何ら制限はなく、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、デカリン、インダン、1-メチルナフタレン、2-エチルナフタレン、1,4-ジメチルナフタレン、ジメチルナフタレン異性体混合物、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン、メシチレン、イソプロピルベンゼン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、テトラリン、オクチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、1,3-ジクロロベンゼン、1,4-ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、1,2-ジメトキシベンゼン、1,3-ジメトキシベンゼン、γ-ブチロラクトン、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、ベンジルアルコール、グリセリン、シクロヘキサノールアセテート、3-メトキシブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アニソール、シクロヘキサノン、メシチレン、3-メトキシブチルアセテート、シクロヘキサノールアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、1,6-ヘキサンジオールジアセテート、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4-ブタンジオールジアセテート、エチルアセテート、フェニルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル-N-プロピルエーテル、テトラデカヒドロフェナントレン、1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロフェナントレン、デカヒドロ-2-ナフトール、1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフトール、α-テルピネオール、イソホロントリアセチンデカヒドロ-2-ナフトール、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、2,6-ジメチルアニソール、1,2-ジメチルアニソール、2,3-ジメチルアニソール、3,4-ジメチルアニソール、1-ベンゾチオフェン、3-メチルベンゾチオフェン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、ジオキサン、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセトフェノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、リモネン等が例示されるが、好ましい性状の結晶膜を得るためには有機半導体の溶解力が高く、沸点が100℃以上の溶剤が適しており、キシレン、イソプロピルベンゼン、アニソール、シクロヘキサノン、メシチレン、1,2-ジクロロベンゼン、3,4-ジメチルアニソール、ペンチルベンゼン、テトラリン、シクロヘキシルベンゼン、デカヒドロ-2-ナフトールが好ましい。また、前述の溶剤2種以上を適切な割合で混合した混合溶剤も用いることが出来る。
有機半導体層には必要に応じて各種有機・無機の高分子若しくはオリゴマー、又は有機・無機ナノ粒子を固体若しくは、ナノ粒子を水若しくは有機溶剤に分散させた分散液として添加でき、上記絶縁層上に高分子溶液を塗布して保護膜を形成出来る。更に、必要に応じて本保護膜上に各種防湿コーティング、耐光性コーティング等を行うことが出来る。
本発明の有機トランジスタは、有機トランジスタ素子の実用性の観点から、移動度が0.20cm/Vs以上であることが好ましい。
本発明の有機トランジスタは、有機トランジスタ素子の実用性の観点から、閾値電圧が0を超えて2.0V以下、または-2.0V以上で0Vより小さいことが好ましい。
本発明の有機トランジスタは、有機トランジスタ素子の実用性の観点から、閾値電圧が-10.0V以上で0Vより小さいことが好ましい。
本発明の有機トランジスタは、有機トランジスタ素子の実用性の観点から、オン電流/オフ電流比が10以上であることが好ましい。
本発明の有機トランジスタは、有機トランジスタ素子の実用性の観点から、漏洩電流密度が0.01nA以下であることが好ましい。
本発明の有機トランジスタは、有機トランジスタ素子の実用性の観点から、ソース・ドレイン間電流のヒステリシスが無いことが好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例において用いた有機半導体(ジ-n-ヘキシルジチエノベンゾジチオフェン)は、特開2015-224238号公報の製造方法に従って合成した。また(式(7-1)で表される4-(4-ビニルベンジルオキシ)アセトフェノンは日本写真学会誌、57巻、6号、439頁(1994年)記載の方法に従って合成した。スチレン、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、酢酸、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、メタノール、エタノール、2-プロパノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、プロビレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロペンタノンは和光純薬製の試薬を、4-クロロメチルスチレン、4′-ヒドロキシアセトフェノン、シンナムアルデヒドは東京化成工業製の試薬を用いた。
実施例において、NMR、スピンコート、UV照射、膜厚測定、真空蒸着、樹脂の溶解性、残膜率、絶縁破壊強度、有機トランジスタ素子の評価は、以下に示す条件・装置で実施した。
<NMR>
JNM-ECZ400S FT-NMR(日本電子(株)製)を用いて測定した。なお、樹脂の組成は、樹脂の重水素化クロロホルム溶剤中でのプロトン核磁気共鳴分光(H-NMR)スペクトル分析より求めた。
<数平均分子量の測定>
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製、商品名HLC-802A)を用い、THF(テトラヒドロフラン)を溶剤とし標準ポリスチレン換算値として求めた。
<スピンコート>
スピンコーター(ミカサ株式会社製、商品名オプティコートMS-A100)を用いた。
<UV照射>
(株)ジーエス・ユアサ コーポレーション製UV-System、CSN-40A-2を用い、UV強度4.0kWの条件で、搬送速度を変えてUV照射時間を調整した。
<膜厚測定>
ブルカー社製DektakXTスタイラスプロファイラーを用いて測定した。
<真空蒸着>
アルバック機工社製 小型真空蒸着装置VTR-350M/ERHを用いた。
<樹脂の溶解性>
テスト溶剤をシクロペンタノンとし、シクロペンタノンに溶解した場合に「溶解」、溶解しない場合には「不溶」と評価した。
<残膜率>
洗浄、乾燥した30×30mmのガラス(コーニング社製Eagle XG)上に、スピンコーターを用いて樹脂の溶液を乾燥後の膜厚が500nmとなるようにスピンコート成膜し、十分に乾燥させた。この絶縁層に所定の露光量となるように光源主波長405nmの紫外線を照射して絶縁層を光架橋した。この時点の膜厚を測定しTとした。次に、この光架橋した絶縁層がコーティングされたガラス板をトルエンに60分浸漬後取り出し、ホットプレート上で加熱して溶剤を揮発させ、その膜厚を測定しTとした。これらの膜厚測定値を用いて、残膜率を下記の式により算出し、残膜率95%以上で十分に架橋したと判断した。
残膜率=T/T×100(%)
<絶縁破壊強度>
洗浄、乾燥した30×30mmのガラス(コーニング社製Eagle XG)に銀を真空蒸着し、厚み30nmの電極を形成した。その後、電極を形成した基材上に残膜率測定と同様の条件で絶縁層を成膜し、絶縁層上に金電極を真空蒸着してMIMコンデンサを作製した。銀-金電極間に電圧をかけて、絶縁破壊により電流が絶縁層内部を流れ始める電圧を測定し、絶縁層の膜厚で割った値を絶縁破壊強度とした。
<有機トランジスタ素子の評価>
有機トランジスタの一形態であるボトムゲート・ボトムコンタクト(BGBC)型素子を作製し、ケースレイ社製半導体パラメータアナライザーSCS4200を用い、ソース・ドレイン間電圧をマイナス20ボルトとして、ゲート電圧を変化させることにより、移動度、閾値電圧、オン電流/オフ電流比、漏洩電流、ソース・ドレイン間電流のヒステリシスを評価した。
以下に実施例を示すが、ポリマーの合成反応、精製、乾燥は全てイエローライト下、または遮光下で行った。なお、実施例において、イエローライト下又は遮光下で行ったのは、前述の単量体、及び該単量体が導入された重合体の光架橋反応を防ぐためである。
参考例1
<4-(4-ビニルベンジルオキシ)アセトフェノン(4-VBzAp)の合成>
300mLの3口反応器に、4-クロロメチルスチレン29g、4′-ヒドロキシアセトフェノン26g、炭酸水素ナトリウム16g、DMF110mLを仕込み、上部に冷却管、三方コックを取り付け、窒素置換した。上記反応液をオイルバスで100℃に加熱し、4時間撹拌し反応させた。反応液を室温まで冷却した後、1Lの水に注ぎ入れ反応物を沈殿させた。沈殿物を濾過し、水で2回洗浄した後乾燥させて白色固体を得た。得られた固体をエタノールにより再結晶して目的とする4-(4-ビニルベンジルオキシ)アセトフェノン(4-VBzAp)38gを得た。
H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.94(d,芳香族,2H),7.41(q,芳香族,4H),7.00(d,芳香族,2H),6.73(dd,芳香族,1H), 5.76(d,CH2=C<,1H),5.27(d,CH2=C<,1H), 5.12(s,Ph-CH2-O-,2H),2.55(s,Ph-C(=O)-CH3,3H)
実施例1
<樹脂の合成>
容量75mLのガラスアンプルに、スチレン1.3g、4-VBzAp4.7g、DMF20g、およびAIBN13mgを入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを60℃の恒温槽に入れ、20時間保持することによりラジカル重合を行った。重合反応終了後、アンプルから重合物を取り出し、200mLのメタノール中に滴下して樹脂を沈殿させた。沈殿物を濾過し、メタノールで2回洗浄した後、50℃で6時間真空乾燥することにより、2.7gの樹脂1-a(下記式)を得た。1H-NMR測定により、得られた樹脂1-aの共重合体組成は、4-VBzAp残基単位/スチレン残基単位=79/21(モル%)であることを確認した。なお、樹脂1-aの数平均分子量は41,000であった。
Figure 2022067447000032
さらに、100mLのビーカーに樹脂1-aを0.4g、シンナムアルデヒド0.7g、DMF9mL、THF9mLを仕込み、室温、撹拌下で溶解させた。ビーカーを氷水で冷却し、2モル/Lメタノール性水酸化カリウム溶液1mLを1分かけて滴下した。滴下とともに反応液の色は赤紫色に着色した。滴下終了後、氷浴下3分反応させた。反応液に酢酸0.2mLを添加して系内の水酸化カリウムを中和した後、反応液を150mLのメタノール中に滴下して樹脂を沈殿させた。沈殿物を濾過し、メタノールで2回洗浄した後、50℃で6時間真空乾燥することにより、0.6gの樹脂1-b(下記式)を得た。1H-NMR測定により、得られた樹脂1-bの共重合体組成は、式(1)で表される残基単位/スチレン残基単位=79/21(モル%)であることを確認した。また、樹脂1-bの数平均分子量は47,000であった。なお、得られた樹脂1-bの1H-NMRチャートを図2に示す。
Figure 2022067447000033
H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.89(brs,芳香族), 7.54(brs,Ph-C(=O)-CH=CH-), 7.47(brs,芳香族), 7.31(brs,芳香族),7.21~6.10(m,芳香族, -CH=CH-CH=CH-Ph),4.87(brs, Ph-CH2-O-),2.40~0.80(bm,-CH-)
<有機トランジスタ素子の作製及び評価>
洗浄、乾燥した30×30mmのガラス(基材)(コーニング社製Eagle XG)に銀を真空蒸着し、厚み50nmのゲート電極を形成した。電極が形成された基材の上に、得られた樹脂1-bのシクロペンタノン溶液(8wt%)を500rpm×5秒、2500rpm×20秒の条件でスピンコートし、90℃で3分間乾燥した後、紫外線を照射して架橋したゲート絶縁層を形成した。ゲート電極及びゲート絶縁層が形成された基材上に金を真空蒸着して厚み50nm、チャンネル長100μm、電極幅500μmのソース電極、及びドレイン電極を形成した。その後、直ちにペンタフルオロベンゼンチオール30mmol/Lの2-プロパノール溶液に浸漬し、5分間経過した時点で取り出し、2-プロパノールで洗浄後、ブロー乾燥した。その後、有機半導体(ジ-n-ヘキシルジチエノベンゾジチオフェン)の0.2wt%トルエン溶液をドロップキャストし、室温下(25℃)で自然乾燥させ有機半導体層を形成し、ボトムゲート・ボトムコンタクト(BGBC)型の有機トランジスタ素子を作製した。作製した有機トランジスタ素子性能の評価結果等を表1に示す。なお、ヒステリシスが見られないことについては、図3に示した。
Figure 2022067447000034
実施例2
<樹脂の合成>
容量75mLのガラスアンプルに、スチレン2.3g、4-VBzAp3.7g、DMF20g、およびAIBN15mgを入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを60℃の恒温槽に入れ、20時間保持することによりラジカル重合を行った。重合反応終了後、アンプルから重合物を取り出し、200mLのメタノール中に滴下して樹脂を沈殿させた。沈殿物を濾過し、メタノールで2回洗浄した後、50℃で6時間真空乾燥することにより、2.8gの樹脂2-a(下記式)を得た。1H-NMR測定により、得られた樹脂2-aの共重合体組成は、4-VBzAp残基単位/スチレン残基単位=42/58(モル%)であることを確認した。なお、樹脂2-aの数平均分子量は83,000であった。
Figure 2022067447000035
さらに、100mLのビーカーに樹脂2-aを0.4g、シンナムアルデヒド0.7g、DMF9mL、THF9mLを仕込み、室温、撹拌下で溶解させた。ビーカーを氷水で冷却し、2モル/Lメタノール性水酸化カリウム溶液1mLを1分かけて滴下した。滴下とともに反応液の色は赤紫色に着色した。滴下終了後、氷浴下3分反応させた。反応液に酢酸0.2mLを添加して系内の水酸化カリウムを中和した後、反応液を150mLのメタノール中に滴下して樹脂を沈殿させた。沈殿物を濾過し、メタノールで2回洗浄した後、50℃で6時間真空乾燥することにより、0.6gの樹脂2-bを得た。1H-NMR測定により、得られた樹脂2-bの共重合体組成は、式(1)で表される残基単位/スチレン残基単位=42/58(モル%)であることを確認した。なお、樹脂2-bの数平均分子量は66,000であった。
Figure 2022067447000036
H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.89(brs,芳香族), 7.54(brs,Ph-C(=O)-CH=CH-), 7.47(brs,芳香族), 7.31(brs,芳香族),7.21~6.10(m,芳香族, -CH=CH-CH=CH-Ph),4.87(brs, Ph-CH2-O-),2.40~0.80(bm,-CH-)
<有機トランジスタ素子の作製及び評価>
樹脂2-bを用いた以外は実施例1と同様にして、絶縁層を形成後、有機トランジスタ素子を作製した。作製した有機トランジスタ素子性能の評価結果を表1に合わせて示す。実施例1と同様にゲート絶縁層、有機トランジスタ素子として優れた性能を有することが確認された。
実施例3
<樹脂の合成>
容量75mLのガラスアンプルに、スチレン4.1g、4-VBzAp3.9g、DMF20g、およびAIBN23mgを入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを60℃の恒温槽に入れ、20時間保持することによりラジカル重合を行った。重合反応終了後、アンプルから重合物を取り出し、200mLのメタノール中に滴下して樹脂を沈殿させた。沈殿物を濾過し、メタノールで2回洗浄した後、50℃で6時間真空乾燥することにより、3.1gの樹脂3-a(下記式)を得た。1H-NMR測定により、得られた樹脂3-aの共重合体組成は、4-VBzAp残基単位/スチレン残基単位=33/67(モル%)であることを確認した。なお、樹脂3-aの数平均分子量は55,000であった。
Figure 2022067447000037
さらに、100mLのビーカーに樹脂3-aを1.5g、シンナムアルデヒド3.0g、DMF37mL、THF37mLを仕込み、室温、撹拌下で溶解させた。ビーカーを氷水で冷却し、2モル/Lメタノール性水酸化カリウム溶液4mLを2分かけて滴下した。滴下とともに反応液の色は赤紫色に着色した。滴下終了後、氷浴下3分反応させた。反応液に酢酸0.9mLを添加して系内の水酸化カリウムを中和した後、反応液を350mLのメタノール中に滴下して樹脂を沈殿させた。沈殿物を濾過し、メタノールで2回洗浄した後、50℃で6時間真空乾燥することにより、2.0gの樹脂3-bを得た。1H-NMR測定により、得られた樹脂3-bの共重合体組成は、式(1)で表される残基単位/スチレン残基単位=33/67(モル%)であることを確認した。なお、樹脂3-bの数平均分子量は57,000であった。
Figure 2022067447000038
H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.89(brs,芳香族), 7.54(brs,Ph-C(=O)-CH=CH-), 7.47(brs,芳香族), 7.31(brs,芳香族),7.21~6.10(m,芳香族, -CH=CH-CH=CH-Ph),4.87(brs, Ph-CH2-O-),2.40~0.80(bm,-CH-)
<有機トランジスタ素子の作製及び評価>
樹脂3-bを用いた以外は実施例1と同様にして、絶縁層を形成後、有機トランジスタ素子を作製した。作製した有機トランジスタ素子性能の評価結果を表1に合わせて示す。実施例1と同様にゲート絶縁層、有機トランジスタ素子として優れた性能を有することが確認された。
実施例4
<樹脂の合成>
容量75mLのガラスアンプルに、スチレン3.7g、4-VBzAp2.3g、DMF20g、およびAIBN21mgを入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを60℃の恒温槽に入れ、20時間保持することによりラジカル重合を行った。重合反応終了後、アンプルから重合物を取り出し、200mLのメタノール中に滴下して樹脂を沈殿させた。沈殿物を濾過し、メタノールで2回洗浄した後、50℃で6時間真空乾燥することにより、2.4gの樹脂4-a(下記式)を得た。1H-NMR測定により、得られた樹脂4-aの共重合体組成は、4-VBzAp残基単位/スチレン残基単位=23/77(モル%)であることを確認した。なお、樹脂4-aの数平均分子量は71,000であった。
Figure 2022067447000039
さらに、100mLのビーカーに樹脂4-aを0.4g、シンナムアルデヒド0.7g、DMF9mL、THF9mLを仕込み、室温、撹拌下で溶解させた。ビーカーを氷水で冷却し、2モル/Lメタノール性水酸化カリウム溶液1mLを1分かけて滴下した。滴下とともに反応液の色は赤紫色に着色した。滴下終了後、氷浴下3分反応させた。反応液に酢酸0.2mLを添加して系内の水酸化カリウムを中和した後、反応液を150mLのメタノール中に滴下して樹脂を沈殿させた。沈殿物を濾過し、メタノールで2回洗浄した後、50℃で6時間真空乾燥することにより、0.4gの樹脂4-bを得た。1H-NMR測定により、得られた樹脂4-bの共重合体組成は、式(1)で表される残基単位/スチレン残基単位=23/77(モル%)であることを確認した。なお、樹脂4-bの数平均分子量は59,000であった。
Figure 2022067447000040
H-NMR(400MHz,CDCl):δ7.89(brs,芳香族), 7.54(brs,Ph-C(=O)-CH=CH-), 7.47(brs,芳香族), 7.31(brs,芳香族),7.21~6.10(m,芳香族, -CH=CH-CH=CH-Ph),4.87(brs, Ph-CH2-O-),2.40~0.80(bm,-CH-)
<有機トランジスタ素子の作製及び評価>
樹脂4-bを用いた以外は実施例1と同様にして、絶縁層を形成後、有機トランジスタ素子を作製した。作製した有機トランジスタ素子性能の評価結果を表1に合わせて示す。実施例1と同様にゲート絶縁層、有機トランジスタ素子として優れた性能を有することが確認された。
比較例1
樹脂1-aを用いた以外は実施例1と同様にして、溶解性、架橋性、絶縁性を評価した。樹脂1-aはUV照射により架橋せず、トルエンに対する残膜率は0であった。
<有機トランジスタ素子の作製及び評価>
樹脂1-aを用いた以外は実施例1と同様にして、絶縁層を形成後、有機トランジスタ素子を作製した。作製した有機トランジスタ素子性能の評価結果を表1に合わせて示す。該樹脂は有機半導体の成膜時に絶縁層が溶解し、良好な性状の有機半導体膜が形成されず、有機トランジスタ素子が動作しなかった。
プリンテッドエレクトロニクス技術により製造出来る高品質の有機トランジスタに好適な樹脂を提供できる。

Claims (7)

  1. 下記式(1)で表される反復単位を含む光架橋性樹脂。
    Figure 2022067447000041
    {式(1)中、Rは水素またはC1~C6のアルキル基のいずれかを表す。Lは2価の連結基を表す。ArはC6~C19のアリール基を表す。Zは下記式(A)または(B)のいずれかの有機基を表す。pは0から20の整数を表し、pが2以上の場合Lは互いに同じであっても異なっていてもよい。)
    Figure 2022067447000042
    Figure 2022067447000043
    (式(A)または(B)中、ArはC6~C19のアリール基を表す。R~Rはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、またはC1~C6のアルキル基からなる群の1種を表す。)}
  2. 下記式(2)で表される反復単位を含む請求項1に記載の光架橋性樹脂。
    Figure 2022067447000044
    {式(2)中、Rは水素原子またはC1~C6のアルキル基のいずれかを表す。ArはC6~C19のアリール基を表す。}
  3. 式(1)で表される反復単位が、下記式(3)または下記式(4)のいずれかで表される反復単位である請求項1または2に記載の光架橋性樹脂。
    Figure 2022067447000045
    (式(3)中、R、Ar、Zは式(1)におけるR、Ar、Zと同義である。A~Aはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C1~C18のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオエーテル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、フルオロアルキルチオエーテル基、フルオロアリール基、シクロアルキル基、シクロヘテロアルキル基からなる群の1種を表す。Lは2価の連結基をを表す。qは0から19の整数を表し、qが2以上の場合Lは互いに同じであっても異なっていてもよい。)
    Figure 2022067447000046
    (式(4)中、R、Ar、Zは式(1)におけるR、Ar、Zと同義である。Lは2価の連結基を表す。rは0から18の整数を表し、rが2以上の場合Lは互いに同じであっても異なっていてもよい。)
  4. 架橋処理された請求項1乃至3いずれか一項に記載の光架橋性樹脂。
  5. 請求項1乃至4いずれか一項に記載の光架橋性樹脂を含有する絶縁層。
  6. 請求項5に記載の絶縁層をゲート絶縁層として備えた有機トランジスタ。
  7. 請求項6に記載の有機トランジスタを備えた電子デバイス。
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