以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されており、同符号の部位について適宜説明を省略する。
本実施形態に係るパネル取り付け構造の一構成例について、図1~図16を参照しながら説明する。
まず、図1及び図2を参照しながら、本実施形態に係るパネル取り付け構造の一構成例を概略的に説明する。図1は、本実施形態に係るパネル取り付け構造の一構成例を示す斜視図で、図2は、図1の構造において、パネルの取り付けを補助する機構の一例を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係るパネル取り付け構造(以下、本構造)1は、一対の支柱11,12の間にパネル20を取り付ける構造であり、後述するようにパネル20を支柱11,12の間に嵌めて固定することによってパネル20が取り付けられる。
支柱11,12は、例えばH鋼とすることができ、それぞれの下部に土台部13,14が取り付けられている。支柱11,12は互いに平行に設置しておくことができる。土台部13,14の形状は問わず、また備えなくても直接地面等に支柱11,12を固定することは可能である。
例示するパネル20は、本体21、その下側の枠(下フレーム22)、上側の枠(上フレーム23)を備えることができ、左右(両側面)には、左側のフランジ部25、右側のフランジ部26を備えることができる。本体21の機能は、遮音、遮蔽、発電など、どのようなものであってもよい。なお、左右のフランジ部25,26と本体21との間には、図示するように左右の枠を備えることもできる。
フランジ部25は上側の孔25a及び下側の孔25bを備えることができ、フランジ部26は上側の孔26a及び下側の孔26bを備えることができる。これらの孔25a,25b、孔26a,26bはそれぞれ、パネル20を支柱11、支柱12に固定するために用いることができ、また後述するガイド部31を貫通させてパネル20の取り付け方向を定めるために用いることができる。つまり、パネル20のフランジ部25,26は、予め締結孔としての孔25a,25b,26a,26bを有し、これらの孔には後述するガイド部31を貫通できるように形成しておくことができる。そのため、パネル20において、孔25a,25bはそれぞれ孔26a,孔26bと同じ高さになるように形成されることができる。
孔25a,25b,26a,26bの形状は問わないが、後述するガイド部31が緩挿できるような形状としておく。また、孔25a,26aのセットと孔25b,26bのセットとのいずれか一方のセットは設けなくてもよく、3セット以上の孔が設けられていてもよい。
また、本構造1は、その主たる特徴の一つとして、一対の支柱11,12の一方にガイド部材が取り付けられる。そして、パネル20は、一対の支柱11,12を取り付ける両端のうちのガイド部材が設けられた側に対応する部位に、ガイド部材を挿入する孔(以下、孔25a)が設けられている。この例では、上記のガイド部材は、孔25aを挿入する部分としてガイド部31を有する。このガイド部材は、ガイド部31がパネル20の孔25aに挿入された状態で、パネル20の取り付け軌道を変更するように、パネル20をガイドする方向を変更する機構を有する。この機構の例については後述する。
また、支柱11,12には、ガイド部31が突出するようにガイド部材を取り付けられるが、それぞれ、そのガイド部31を突出可能なように挿入する孔11a,11b,11c,11d、孔12a,12b,12c,12dが設けられている。ここでは支柱毎に4箇所の孔が設けられた例を挙げるが、1箇所設けておけば上述したような形態でのガイド部材の取り付けは可能である。無論、孔11a~11d及び孔12a~12dは設けなくても、パネル20の孔25aにガイド部31が挿入できるように、支柱11,12にガイド部材が取り付けることができる構造であればよい。
但し、支柱11,12には、パネル20の孔(孔25a等)の数に応じた数を設けておくことで、パネル20を支柱11,12に固定する際に利用することができる。また、支柱11,12には、パネル20の孔(孔25a等)の数に応じた数より多くの孔を設けておくことで、パネル20を支柱11,12に固定する高さを、変えることもできる。
また、図2に示すように、パネル20は、それを持ち上げる機材100により持ち上げて、孔25aにガイド部31を挿入して取り付け作業を行うことができる。機材100は、図示しないクレーンを有し、そのクレーンは、クレーンフック101に引っかけた部材を昇降させること、並びにその部材の位置を移動させることが可能となっている。
クレーンフック101には、天秤棒103の上側両端に接続されたワイヤ102が引っかけられ、天秤棒103の下側両端部にはワイヤを介してチェーンブロック105,106が取り付けられている。チェーンブロック105,106は、それぞれ、フック109,110が先端に取り付けられたチェーン107,108を出し入れすることが可能に構成されており、パネル20の傾きを調整することが可能となっている。
そして、パネル20には、フック109を引っかけるための孔27を有する部材(吊り金具等)を取り付けておくことができ、同じくフック110を引っかけるための孔28を有する部材(吊り金具等)を取り付けておくことができる。このような機材100を用い、フック109,110をそれぞれ孔27,28に引っかけることで、パネル20を水平に持ち上げて位置の移動を行い、支柱11,12に対する位置を移動させることができる。
また、一対の支柱11,12を長くし、支柱11,12の間には、図2の縦方向に複数枚のパネル20を配置することもできる。また、3本以上の支柱を等間隔に配置し、それらの間にパネル20を設置することもできる。また、パネル20を設置する機材は、例示した機材100に限ったものではなく、またクレーン以外の重機を用いることもできる。パネル20が軽いものであれば手作業のみで行うことも可能である。
次に、図3~図13を併せて参照しながら、図1の構造の詳細、並びにその構造を形成する手順の例について説明する。
まず、上述のガイド部材について説明する。図3は、図1の構造におけるガイド部材の一例を示す斜視図である。図4は、図1の構造において、支柱11に図3のガイド部材を取り付ける様子を部分的に示す図で、図5は、図3のガイド部材を支柱11に取り付けた様子を示す上面図である。
上述したガイド部材は、図3で例示するガイド部材30のように、ガイド部31と、ガイド部31を軸方向に垂直に回動可能な状態で挿入する軸受け部32と、を備えることができる。つまり、例示するガイド部材30は、ガイド部31と軸受け部32とに分解することが可能に構成されている。上記軸方向は軸受け部32に挿入する側の軸を指す。
ガイド部31は、図示したように、ガイドし易いように断面を円形又は楕円形とすることができ、ガイドピンと称することができる。また、ガイド部31は屈曲部を有することができる。この屈曲部を備え且つガイド部31が軸受け部32に対して回動可能とする機構により、ガイド部31がパネル20の孔25aに挿入された状態で、パネル20の取り付け軌道を変更するように、パネル20をガイドする方向を変更することを可能にする。
また、ガイド部材30の本体は、軸受け部32に固定されたマグネット部33を備えることができる。マグネット部33は切替レバー34の回転により支柱11,12に磁力で固定することができ、逆回転により支柱11,12から切り離すことができるように構成されている。
ガイド部材30の支柱11への固定は、図4に示すように、まずガイド部材30の本体(軸受け部32及びマグネット部33)を、軸受け部32におけるガイド部31を挿入する孔32aと孔11aとの位置が合うように支柱11に取り付ける(図4上段)。ガイド部材30の本体は、支柱11の奥側に(H鋼の奥側フランジの手前側の面に)取り付けられる。取り付け位置において切替レバー34を切り替えることでマグネット部33を磁化させ、マグネット部33及びそれに固定された軸受け部32が支柱11に磁力で固定(吸着)される。
次いで、ガイド部31を孔11a及びクリップナット11eの孔に挿入し(図4中段)、その後、ガイド部31を孔32aから軸受け部32に差し込む(図4下段)。クリップナット11eは、フランジ部25と支柱11との締結用のナットであり、図5に示すように支柱11における手前側フランジの奥側の面にナット部分が配されるように、手前側フランジに取り付けられる。
このようにしてガイド部31を有するガイド部材30を支柱11に設置することができる。このように固定した状態は、図5の上面図のようになる。ここで、ガイド部31の屈曲部31aの屈曲角度は、例えば20度などとしておくことができるが、この角度はこれに限ったものではない。この例では、ガイド部31は、軸受け部32に差し込まれた状態で、支柱11の手前側フランジよりやや手前側で、20度程度屈曲している。また、ガイド部31の軸受け部32側が支柱11と垂直に取り付けられることを前提にして説明しているが、垂直でなく角度をもって取り付けられてもよい。その場合、その角度を考慮して上述の屈曲角度を設定しておけばよい。
なお、図3~図5では、ガイド部31をガイド部材30の本体側から取り外して支柱11に取り付けた例を挙げたが、ガイド部31を本体側から取り外し不能な構成を採用してもよい。いずれの場合であっても、ガイド部31がガイド部材30の本体側に取り付けられた状態で、支柱11にガイド部材30を取り付けることが可能に構成することもできる。
次に、パネル20について説明する。図6は、図1の構造におけるパネル20の一例を示す上面図で、図7は、図6のパネル20の一例を示す正面図である。図6及び図7に示すように、パネル20は、本体21、下フレーム22、及び上フレーム23を備えるとともに、それらの両端にフランジ部25,26を備えることができる。本体21、下フレーム22、及び上フレーム23で形成される部分は、直方体の形状を有することができる。つまり、パネル20は、その機能部分の形状が正面方向から見て矩形をなすことができる。
フランジ部25,26は、支柱のフランジ部とボルト等で固定されることができ、孔25a,25b,26a,26bはその固定のための孔として機能する。この固定は、例えば、支柱11の孔11a,11bにクリップナット11eを差し込み、それぞれパネル20の取り付け孔となる孔25a,25bからボルトで締結することができる。支柱12に対するパネル20の固定も同様である。
さらに、本体21の外側(この例ではフランジ部25,26を本体21に取り付けた部分の外側で例示)にはそれぞれ凸部(突出部)29,24が設けられている。凸部29,24は、それぞれ支柱11,12の凹部に挿入し、パネル20の落下防止のために用いられる。そのため、パネル側部にある凸部29,24の部分の長さは、支柱11,12の間隔よりも広くなっている。また、凸部29,24は、内部にパネルに電力を供給する電線等、様々なものを内包しておくことができる。
次に、パネル20にガイド部材30を挿入する様子について説明する。図8は、図6及び図7のパネル20に図3のガイド部材30を挿入する様子を部分的に示す斜視図である。また、図9及び図10は、図6及び図7のパネル20に図3のガイド部材30を挿入する一連の流れを示す上面図である。
図8に示すように、パネル20は、フランジ部25の孔25aにおいてガイド部材30のガイド部31が挿入される。図8では、挿入途中の様子を示しているが、具体的には、図9及び図10に示すような手順で挿入がなされ、支柱11,12に対するパネル20の位置が決定されることになる。
図9上段に示すが、上述したように凸部29,24を含めたパネル20の長さW1は、支柱11,12の間隔W2よりも広くなっている。まず、図9の上段に示すように、パネル20のフランジ部25(実際には孔25a)にガイド部31を通す。この位置(初期位置とする)から、図9の中段に示すように、パネル20を平行に所定位置まで移動させる(孔25aにガイド部31を差し込む)。パネル20のこの移動の軌道は、ガイド部31に沿ったものとすることができる。
次いで、図9の下段に示すように、ガイド部31を矢視の方向に回転させる。これにより、凸部29が支柱11の凹み(H鋼の凹み)に入り込む。このとき、回転と同時にパネル20の自重で滑りながら入り込ませることができる。次いで、図10の上段に示すように、ガイド部31がある側とは反対側の支柱12側において、パネル20の凸部24を支柱11,12の間に入れる。このとき、支柱12の面(H鋼の手前側フランジの手前側の面)と凸部24とが干渉せずに、凸部24を支柱11,12の間に入れることができる。
次いで、図10の中段に示すように、パネル20の左右端を結ぶ面が支柱11,12を結ぶ面に平行になるようにする(左右を真っ直ぐにする)。そして、図10の下段に示すように、フランジ部25,26の支柱11,12側の面を、それぞれ支柱11,12の面(H鋼の手前側フランジの手前側の面)に合わせる。
この後、軸受け部32からガイド部31を抜き、軸受け部32を支柱11から取り外す。なお、この状態は、クレーン等の機材100によりパネル20が吊された状態である。
最終的にパネル20は支柱11,12に固定されるが、その様子について説明する。図11、図12、及び図13は、それぞれ、図6及び図7のパネルを図5における支柱に固定した様子を示す上面図、部分斜視図、正面図である。
図11及び図12に示すように、クリップナット11eにフランジ部25の孔25aからボルト25cが締結される。また、同様のクリップナット12eにフランジ部26の孔26aからボルト26cが締結される。図13に示すように、フランジ部25の孔25b及びフランジ部26の孔26bについても、同様にそれぞれクリップナット(図示せず)とボルト25d,26dとを用いて締結されることができる。
但し、ガイド部31を引き抜く前に、支柱11,12のフランジにパネル20を合わせた状態で、ガイド部31の入っていた締結孔25a以外の孔25b,26a,26bでボルト締結することもできる。その後、ガイド部31を手前に引き抜いて、ガイド部31の入っていた締結孔25aでもボルト締結を行えばよい。このような手順で締結する方が、支柱11,12に対するパネル20の位置がずれなくて済むため、好ましいと言える。
次に、図14~図16を参照しながら、本構造1の特徴とその効果について説明する。
図14、図15は、それぞれ、図6及び図7のパネル20に図3のガイド部材30を挿入する様子の特徴的な部分を抽出して説明するための上面図、正面図である。また、図16は、本構造の効果を説明するための比較例に係るパネル取り付け構造において、パネルを支柱に取り付ける一連の流れを示す上面図である。
本実施形態に係るパネル取り付け構造は、一対の支柱11,12の間にパネル20を嵌めて固定することによってパネル20を取り付ける構造である。この構造は、一対の支柱11,12の一方にガイド部材が取り付けられる。ガイド部材は、孔25aに挿入しパネル20をガイドする部位であるガイド部31を有することができる。
パネル20は、一対の支柱11,12を取り付ける両端のうちのガイド部材が設けられた側に対応する部位に、ガイド部材(ここではその一部をなすガイド部31)を挿入する孔25aが設けられている。ガイド部材は、ガイド部材がパネル20の孔25aに挿入された状態で、パネル20の取り付け軌道を変更するように、パネル20をガイド(案内)する方向を変更する機構を有する。
この機構の例として、ガイド部材はパネル20をガイドする部分において屈曲部を有するとともに、その部分が回動可能とする機構が挙げられる。ここでは、ガイド部31が軸受け部32に対して回動可能とする機構で例示しているが、これに限らない。例えば、ガイド部31は、回動によりその先端部が左右に移動するように軸受け部32に取り付けられた例を挙げているが、回動を伴わない移動であってもよい。
このパネル取り付け構造は、上述のように、一対の支柱11,12の一方にガイド部材30が取り付けられるとともに、パネル20における支柱取り付け両端の内のガイド部材30が設けられた側に対応する部位にガイド部材30を通す孔25aが設けられる。そして、この構造では、ガイド部材30がパネル20の孔25aに挿入された状態でガイド部材30の形状や位置変化に沿ってパネル20の取り付け軌道が案内されることによって、パネル20が支柱11,12の固定位置に案内される。ここで、ガイド部材30の形状や位置変化としては、例えば、上述したような回動のほか、折り曲り変形等が挙げられる。折り曲がり変形の例については後述する。
そして、パネル20の取り付けに際し、例えば、図14及び図15に示すように、まず支柱11から出ている屈曲したガイド部31をパネル20の締結孔25aに差し込む。そして、パネル20を支柱11に対して斜め手前に傾斜させて入れる。所定の位置まで差し込んだら、ガイド部31を例えば180度、パネル20と反対側に移動させる。ガイド部31の移動に伴い、パネル20の凸部29が支柱11の内側へ入り込む。最終的に、支柱11,12のフランジにパネル20を合わせて、ボルト締結し、ガイド部31を手前に引き抜いて、ガイド部31の入っていた締結孔25aでも締結する。
一方で、図16に示す比較例では、まず、パネル220をH鋼211,212の手前に合わせ(図16の第1段)、パネル220を斜めにして、一方のフランジ部226側の凸部224を一方のH鋼212に嵌め込み、片側に寄せる(図16の第2段)。次いで、もう一方のフランジ部225もH鋼211に寄せ、パネル220をH鋼211,212間に対して真っ直ぐにする(図16の第3段)。最後に、パネル220を中央に寄せ、締結面に合わせて固定する。
この比較例との比較でも明らかなように、本実施形態では次のような効果を奏する。即ち、本実施形態では、ガイド部材30によりパネル20の取り付け軌道を変更しながらパネル20を支柱11,12に取り付けることができる。よって、支柱11に対する固定位置に案内されたパネル20を仮位置決めし、その後、他方の支柱12に対する位置決めも行い、これらの位置でパネル20を支柱11,12に固定することができる。したがって本実施形態によれば、支柱11,12にその前方又は後方からパネル20を取り付ける場合の作業者負担を低減することが可能となる。また、本実施形態では、前方又は後方からパネル20を取り付けられるため、支柱11,12の裏側から手が入らないような状況や狭い場所であっても、パネル20の取り付け作業が可能になる。
また、パネルの内側の凸部を支柱のフランジを避けながら入れ込む作業は、パネルのフランジ部で凸部等が隠れてしまうため、正面から目視して作業ができないことがある。例えば、パネルの機能の一部を両端から突出させた場合は特に、支柱に対して斜めに差し込み、パネルの位置を微調整しながら差し込む必要がある。パネルは2m、3m、4mと大きいことが想定されるため、微調整を目視で確認しながら作業が難しい。一方で目視がし易いような構造で正面からパネルを取り付けようとすると、パネルに搭載できる機能の面積が減ってしまう。
しかし、本実施形態では、ガイド部31を有するようなガイド部材30に沿って、入れ込み、ガイド部材30を移動させることでパネル20の凸部29,24がそれぞれ支柱11,12側に入り込む。よって、本実施形態では、目視しながら位置を微調整することなく、パネル20を設置位置まで移動させることができる。
また、特許文献1に記載のような構造では、パネル幅が支柱間隔よりも狭い必要があり、パネルの有効面積が減ってしまうだけでなく、パネルを高い位置まで移動させる必要がある。これに対し、本実施形態では、パネル20の有効面積を最大限広げること(十分な有効面積を確保すること)ができ、またパネル20を高い位置まで移動させる必要がなくなり、高い位置での難しい位置微調整を行う必要もなくなる。
また、本実施形態に係るパネル取り付け構造は、例えば、道路、鉄道等の遮音や発電のため、側部にて等間隔に並んだH鋼等の支柱に防音パネルや太陽光パネル等のパネル部材を取り付ける工事において、好適に利用することができる。
以上、本実施形態におけるパネル取り付け構造について説明したが、これに限ったものではなく、例えば支柱、パネル、及びガイド部材の形状や構造は例示したものに限らない。特に本実施形態の特徴の一つであるガイド部材について、様々な例を挙げる。
例えば、ガイド部材は、図17~図19で例示するような構造を採用することもできる。図17は、図1の構造に適用できるガイド部材の他の例を示す斜視図である。また、図18は、図17のガイド部材におけるガイド方向の変更機構を示す、正面上方から見た図である。図19は、図1の構造において、支柱に図17のガイド部材を取り付ける途中の様子を示す斜視図である。
図17で示すガイド部材40は、ガイド部材30と同様に、ガイド部41と、ガイド部41を軸方向に垂直に回動可能な状態で挿入する軸受け部42と、を備えることができる。ガイド部41は、ガイド部31と同様に、ガイドし易いように断面を円形又は楕円形とすることができ、ガイドピンと称することができる。ガイド部41は、図17の上段に示すように、後述の突起部41aを有する側から軸受け部42の開口部42aを経て孔42bに挿入され、図17の下段のように軸受け部42に取り付けられる。
さらに、ガイド部材40は、軸受け部42にガイド部41の先端を挿入する孔42bだけでなく、軸受け部42の開口部42aにおいて、ガイド部41の回動を規制するような形状を有する。この形状は、ガイド部41の先端側に設けられた突起部41aにより回動を規制するものとなっており、突起部41aとともにストッパーを構成する。なお、突起部41aは回動を規制する鍵(キー)として機能することができる。
図18の上段と下段とで示すように、この回動の範囲は、例えば180度に規制しておくことができ、ガイド部41は、パネル20の自重により左右2つの動作端で保持されることができる。ここで、図18の上段は、図9の上段及び中段で説明したような、パネル20の挿入時のガイド部41の位置の例である。図18の下段は、図9の下段及び図10で説明したような、パネル20の凸部29を嵌め入れてからフランジ部25,26をそれぞれ支柱11,12に取り付ける時のガイド部41の位置の例である。
また、パネル20の取り付け作業において、ガイド部41の位置がパネル20の移動に依らずに定まることで、パネル20の孔25aへのガイド部41の挿入の軌跡(つまりパネル20の移動の軌跡)が安定して再現できる。また、図19に示すように、ガイド部41の突起部41aは、クリップナット11eの孔よりも小さく、抜き差しが可能となっている。
なお、ガイド部材40の本体は、マグネット部33と同様の、軸受け部42に固定されたマグネット部43を備えることができる。マグネット部43は切替レバー44の回転により支柱11,12に磁力で固定することができ、逆回転により支柱11,12から切り離すことができるように構成されている。また、軸受け部42は、取り付け部42cを備えることができ、これにより、例えば、前側から軸受け部42を支柱11に設置する際に、補助部材を一時的に固定するなどして、設置を容易にすることができる。
また、上述した様々な例では、支柱11の凹み(H鋼の凹み部分)にガイド部材の軸受け部を設置していたが、ガイド部材は、支柱11に対するパネル20の取り付け面とは反対側のフランジに取り付けることができる。
具体的には、ガイド部材は、図20~図23で例示するような構造を採用することもできる。図20は、図1の構造に適用できるガイド部材の他の例を示す斜視図で、図21は、図20のガイド部材の模式図である。また、図22は、図1の構造において、支柱に図20のガイド部材を取り付けた様子を示す斜視図で、図23は、図22の状態から図20のガイド部材におけるガイド方向を変更させた様子を示す斜視図である。
図20で例示するガイド部材50は、ガイド部31と同様のガイド部51と、ガイド部51を軸方向に垂直に回動可能な状態で挿入する軸受け部52と、を備えることができる。軸受け部52は、ラチェット機構部52bを備え、これによりガイド部51の角度を段階的に変えることができるようになっている。また、ラチェット機構部52bとガイド部51とは連結して位置を固定するため、ラチェット機構部52bの手前側に連結部分(クランプ部分)を有することになる。
また、軸受け部52は、フランジ部52aを備え、フランジ部52aにおいて支柱11の奥側フランジの裏面に取り付け可能となっている。また、軸受け部52は、延長軸部52cを備える。ガイド部材50は、延長軸部52cの後方に、ガイド部51を回転させるためのハンドル53が設けられている。なお、図示しないが、ガイド部51は軸受け部52から取り外し可能としておくことができる。
図21に示すように、ガイド部51の先端はラチェット機構部52bに接続されており、ハンドル53を回転させることで、延長軸部52cを介して、ガイド部51の他方の先端側の角度を所望する角度になるまで回転させることができる。また、ラチェット機構部52bにより、自重がある程度掛かる場合でも逆方向への回転を防止することができる。なお、図21では、図20のガイド部材50において、フランジ部52aから連なるカバーを取り付けた状態を示している。
図22及び図23に支柱11への取り付け例を示すように、このようなガイド部材50は、フランジ部52aにおいて、支柱11に対するパネル20の取り付け面とは反対側のフランジにも同軸に孔11fを形成して取り付けることができる。つまり、パネル20の取り付け側とは背面側に軸受け部52を有するように、支柱11にガイド部材50を取り付けることができる。
なお、図22は、図9の上段及び中段で説明したような、パネル20の挿入時のガイド部51の位置の例である。図23は、図9の下段及び図10で説明したような、パネル20の凸部29を嵌め入れてからフランジ部25,26をそれぞれ支柱11,12に取り付ける時のガイド部51の位置の例である。図22の状態から図23の状態へは、ハンドル53を回転させることで移行させることができる。
さらに、ガイド部材は、図24及び図25で例示するような構造を採用することもできる。図24及び図25で示す例は、折り曲がり変形の一例である。図24は、図1の構造に適用できるガイド部材の他の例を示す斜視図で、図25は、図24のガイド部材におけるガイド方向を変更させる様子を示す斜視図である。
図24で示すガイド部材60は、ガイド部材40のガイド部41と同様のガイド部61と、ガイド部61を固定する固定部62と、を備えることができる。但し、ガイド部61は、ガイド部41と異なり、途中で折れ曲がる折れ曲げ部61aを備える。よって、ガイド部61の固定位置では、固定部62に対して動かないようになっている。なお、それ以外の点において、ガイド部61はガイド部41と同様であり、突起部41aと同様の突起部を有することができ、この突起部は固定部62に対してガイド部61が回動しないように固定する機能を有する。
また、この突起部は、ガイド部61は、図25の上段に示すように、固定部62の開口部62aを経て取り付けることができる。なお、開口部62aの形状は問わないが、この例では、図17で例示したガイド部41の突起部41aのような突起部を通すための形状を示している。無論、ガイド部61は、固定部62に対して回動しないように固定できれば、ガイド部31で例示したように突起部を有しないものとすることもできる。
図25の上段と下段とで示すように、ガイド部61は、折れ曲げ部61aを中心として先端側を左右に移動させることが可能になっている。ここで、図25の上段は、図9の上段及び中段で説明したような、パネル20の挿入時のガイド部61の位置の例である。図25の下段は、図9の下段及び図10で説明したような、パネル20の凸部29を嵌め入れてからフランジ部25,26をそれぞれ支柱11,12に取り付ける時のガイド部61の位置の例である。
なお、ガイド部材60の本体は、マグネット部43と同様の、固定部62に固定されたマグネット部63を備えることができる。マグネット部63は切替レバー64の回転により支柱11,12に磁力で固定することができ、逆回転により支柱11,12から切り離すことができるように構成されている。
以上に、本実施形態について説明したが、上記実施形態は、以下の特徴を有する。
即ち、上記実施形態に係るパネル取り付け構造は、一対の支柱11,12の間にパネル20を嵌めて固定することによってパネル20を取り付ける構造である。この構造は、一対の支柱11,12の一方にガイド部材が取り付けられる。パネル20は、一対の支柱11,12を取り付ける両端のうちのガイド部材が設けられた側に対応する部位に、ガイド部材を挿入する孔25aが設けられている。ガイド部材は、ガイド部材がパネル20の孔25aに挿入された状態で、パネル20の取り付け軌道を変更するように、パネル20をガイドする方向を変更する機構を有する。
上記のパネル取り付け構造は、ガイド部材によりパネルの取り付け軌道を変更しながらパネルを支柱に取り付けることができるため、支柱にその前方又は後方からパネルを取り付ける場合における作業者の負担を低減することが可能となる。