JPH0446436Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は建物用PCパネルを建物躯体に取付け
る際に用いられる取付治具に関する。

〈従来の技術及びその問題点〉 Ｈ型鋼梁等の建物躯体にPCパネルを取付ける
には、通常PCパネルを玉掛けワイヤー等を介し
てクレーンにより吊り上げ、所定位置まで搬送し
て各フアスナーをハイテンシヨンボルト等により
取付ける。通常建物用PCパネルの四周面には目
地の防水機能を果すガスケツト材が貼設されてい
る。一方建込むPCパネルは隣接する既設のPCパ
ネルや下階のPCパネルに側面及び下面を当接さ
せながらフアスナー相互を整合させるので、側面
及び下面に貼設されているガスケツト材は、建込
むPCパネルが面外方向に移動すればガスケツト
材がズレ、又は変形することとなる。一旦ガスケ
ツト材が変形するとその修正作業も難しく、その
ままの状態で取付けられた場合には、PCパネル
間の目地部における防水性能を著しく低下させる
ことになる。更にこの防水性能の低下を防ぐ為変
形等の箇所をコーキイング処理する場合は、高所
における作業となつて施工手間と高い危険性を伴
うことになる。

〈問題点を解決するための手段〉 本考案は上記問題点に鑑み案出されたもので、
基部とガイド部とから成る取付治具であつて、ガ
イド部のガイド軸を所定方向に屈曲させて形成
し、このガイド軸にPCパネル側のフアスナーを
嵌挿してPCパネルを所定方向に誘導し、建物躯
体のフアスナーとPCパネル側のフアスナーを整
合させるものである。よつて建込むPCパネル自
体を既設のPCパネルと平行な方向、所謂面内方
向に誘導するので側面及び下面に貼設したガスケ
ツト材も同様に移動する結果、最終的にフアスナ
ー相互を整合する位置までガスケツト材を変形さ
せることがない。しかもこの取付治具によれば
PCパネルの取付け手順が標準化されるので、PC
パネルの目地等は常に一定となり極めて納まりの
良いPCパネルの壁面構成を達成できる。

〈実施例〉 以下図面に基づき本考案の建物用PCパネルの
取付治具を詳細に説明する。

第１図は取付治具Ａを説明する分解斜視図であ
る。すなわち取付治具Ａは基部１とガイド部２か
ら成る。この基部１はＨ型鋼等の建物躯体（図示
せず）に取付けられた台座３にベース１１を溶着
する。このベース１１には受体１２が立設されて
いる。受体１２は軸体を為しその上面１３には溝
１４が形成されている。一方ガイド部２は装着体
２１の上部に所定方向（建込まれるPCパネルの
取付面に沿つて）に屈曲したガイド軸２２が一体
的に形成されたものである。装着体２１は筒体を
為しその下部には孔２３が設けられ、この孔２３
の上部、所謂装着体２１の内部上方に突片２４を
形成したものである。又ガイド軸２２は、例えば
ガイド片２２ａ，２２ｂ，２２ｃ，２２ｄにより
断面略十字形に形成されている。斯かるガイド部
２はその装着体２１の孔２３を受体１２に嵌合す
る。この嵌合の際には上記溝１４内に突片２４が
嵌め入れられる。これによりガイド軸２２は常に
所定方向、所謂建込まれるPCパネルの取付面に
沿つた方向に向けられる。しかも突片２４が溝１
４に嵌合されている為ガイド軸２２自体の回動が
阻止されて常にPCパネルと平行な方向に向けら
れた状態に維持される。

上記構成の取付治具Ａを用いて建物躯体上に
PCパネルを建込む施工について説明する。

第２図は建込み状態を説明する図である。建物
躯体Ｈ上には既にPCパネル４ａが立設されてお
り、このPCパネル４ａに対し、連設して他のPC
パネル４ｂを建込む。PCパネル４ｂが取付けら
れる建物躯体Ｈ上には予め取付治具Ａ，Ａを定着
させておく。すなわち上述した如く台座３に基部
１のベース１１を溶着する。この際ガイド軸２２
をPCパネル４ａの取付面に平行で且つPCパネル
４ｂの搬送される方向（第２図では右側方向）に
向けられる様にする。

一方PCパネル４ｂは取付治具Ａ，Ａに対応し
た位置の内面側に固定フアスナー５，５が設けら
れている。斯かるPCパネル４ｂを玉掛けワイヤ
ー等を介してクレーンで所定位置まで搬送し、第
３図の一部省略斜視図で示す様に、固定フアスナ
ー５，５に設けられた孔５１，５１内に取付治具
Ａのガイド軸２２，２２を嵌挿する。すると第４
図の一部省略側断面図で示す様に、PCパネル側
の固定フアスナー５はガイド軸２２の上方（イの
位置）から装着体２１の位置（ロの位置）まで下
降し、更にその装着体２１の下端（ハの位置）ま
で下る。すなわちPCパネル４ｂは第２図で示す
如く既設のPCパネル４ａの取付面と略平行に搬
送設置されることになる。この際にPCパネル４
ｂの側面と下面も同様に平行に移動する為、ガス
ケツト材（図示せず）とは最終の取付位置に至る
まで当接することなく、よつて変形が生じない。
尚孔５１，５１にガイド軸２２，２２の先端を挿
入させる場合は、例えば第３図で示す様に、孔５
１に誘導パイプ６を嵌め入れ、誘導パイプ６の下
方からガイド軸２２の先端を嵌め入れれば円滑に
嵌挿を行うことができる。又PCパネル４ｂの高
さ位置を調整する為、ベース１１とPCパネル側
の固定フアスナー５の間に所定厚のスペーサ７を
介装することも可能である。第５図は取付治具の
他の実施例を示すもので、基部８のベース８１に
筒体から成る受体８２を固定し、ガイド部９と一
対的に設けた軸体から成る装着体９１を受体８２
に嵌入するものである。ガイド部９のガイド軸９
２は取付治具Ａのガイド軸２２と同様に向けられ
ており、又同様に受体８２に設けた溝８３にガイ
ド部９の突片９３を嵌入させてガイド軸９２の回
動を阻止する構造となつている。尚ガイド部９は
ガイド軸９２を中空材若しくは無垢材で一体的に
形成されたものである。

上記の各取付治具は、PCパネルを建込み所定
位置に取付けた後、そのガイド部基部から取り外
して他の取付位置で再使用、所謂転用することが
可能である。

〈考案の効果〉 以上の様に本考案の建物用パネルの取付治具を
用いてPCパネルを建物躯体上に取付けると、PC
パネルの側面及び下面に設けられたガスケツト材
を変形させることなく、よつてPCパネル相互の
目地間における防水性能を低下させない。しかも
目地処理自体の施工精度が向上する。又目地のコ
ーキイング修正等が不要となる為、高層建物にお
ける外壁施工作業の安全性を向上させ得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に係る取付治具を示す分解斜
視図、第２図は、本考案に係る取付治具を用いて
PCパネルを建込む状態を示す図、第３図は、PC
パネルの固定フアスナーを取付治具Ａに嵌挿させ
る状態を示す一部省略斜視図、第４図は、PCパ
ネルの誘導状態を説明する側断面概略図、第５図
は、取付治具の他の実施例を示す説明図である。 Ａ……取付治具、１……基部、１１……ベー
ス、１２……受体、１４……溝、２……ガイド
部、２１……装着体、２２……ガイド軸、２４…
…突片、３……台座、４，４ａ，４ｂ……PCパ
ネル、５，５……固定フアスナー、８……基部、
８１……ベース、８２……受体、９……ガイド、
９１……装着体、９２……ガイド軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 建物躯体のフアスナーに取付けられる基部と、
   PCフアスナーを介して該PCパネルを所定方向に
   誘導するガイド部とから成る取付治具であつて、
   前記基部は台座に定着するベースと該ベース上に
   立設した受体により形成され、前記ガイド部は前
   記受体に嵌合する装着体と該装着体上で所定方向
   に屈曲したガイド軸とにより形成されるととも
   に、前記受体に設けた溝に、前記装着体に設けた
   突片を嵌合したことを特徴とする建物用パネルの
   取付治具。