I.定義
本明細書で使用される「約」という用語は、当業者に容易に理解されるそれぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(かつ説明する)。
本明細書における目的のための「アクセプターヒトフレームワーク」とは、以下で定義されるように、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに由来する軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワークまたは重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレーム「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含み得るか、またはアミノ酸配列変化を含み得る。いくつかの実施形態では、アミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、または2以下である。いくつかの実施形態では、VLアクセプターヒトフレームワークは、配列の点でVLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列またはヒトコンセンサスフレームワーク配列と同一である。
「親和性」とは、分子(例えば、抗体)とその結合パートナー(例えば、抗原)との単一結合部位間の非共有結合相互作用の合計の強度を指す。別途指示されない限り、本明細書で使用されるとき、「結合親和性」とは、結合対のメンバー(例えば、抗体及び抗原)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子XのそのパートナーYに対する親和性は、一般に、解離定数(Kd)で表され得る。親和性は、本明細書に記載の方法を含む当該技術分野で既知の一般的な方法によって測定され得る。結合親和性を測定するための具体的な例証的及び例示的な実施形態が以下に記載される。
「親和性成熟」抗体とは、改変を有しない親抗体と比較して、1つ以上の超可変領域(HVR)及び/またはフレームワーク領域(FR)に1つ以上の改変を有し、かかる改変により抗体の抗原に対する親和性の改善がもたらされる抗体を指す。
「血管内皮成長因子」または「VEGF」という用語は、配列番号47によって例示される血管内皮成長因子タンパク質Aを指す(Swiss Prot受入番号P15692、遺伝子ID(NCBI):7422も参照のこと)。「VEGF」という用語は、配列番号47のアミノ酸配列を有するタンパク質、ならびにその相同体及びアイソフォームを包含する。「VEGF」という用語は、既知のアイソフォーム、例えば、VEGFのスプライスアイソフォーム、例えば、VEGF111、VEGF121、VEGF145、VEGF165、VEGF189、及びVEGF206も、その天然に存在する対立遺伝子形態及びプロセシングされた形態とともに包含し、これらには、Ferrara Mol.Biol.Cell.21:687(2010)、Leung et al.,Science,246:1306(1989)、及びHouck et al.,Mol.Endocrin.,5:1806(1991)に記載される、VEGF165のプラスミン切断によって生成される110個のアミノ酸のヒト血管内皮細胞成長因子が含まれる。「VEGF」という用語は、マウス、ラット、または霊長類等の非ヒト種由来のVEGFも指す。特定の種由来のVEGFは、例えば、ヒトVEGFの場合はhVEGF、マウスVEGFの場合はmVEGF等の用語によって示されることもある。「VEGF」という用語も、165個のアミノ酸のヒト血管内皮細胞成長因子のアミノ酸8~109または1~109を含むポリペプチドの切断形態を指すために使用される。VEGFのいずれのかかる形態への言及も、本出願において、例えば、「VEGF109」、「VEGF(8-109)」、「VEGF(1-109)」または「VEGF165」によって特定され得る。「切断型」天然VEGFのアミノ酸位置は、天然VEGF配列に示されるように番号付けされる。例えば、切断型天然VEGFにおけるアミノ酸17位(メチオニン)は、天然VEGFでも17位(メチオニン)である。切断型天然VEGFは、KDR及びFlt-1受容体に対して天然VEGFと同等の結合親和性を有する。本明細書で使用される「VEGFバリアント」という用語は、天然VEGF配列に1つ以上のアミノ酸突然変異を含むVEGFポリペプチドを指す。任意に、1つ以上のアミノ酸突然変異は、アミノ酸置換(複数可)を含む。本明細書に記載のVEGFバリアントを簡潔に表記するために、数字が、推定上の天然VEGF(Leung et al.(上記参照)及びHouck et al.(上記参照)で提供される)のアミノ酸配列に沿ったアミノ酸残基の位置を指すことに留意する。別途特定されない限り、本明細書で使用される「VEGF」という用語は、VEGF-Aを示す。
「抗VEGF抗体」、「VEGFに結合する抗体」、及び「VEGFに特異的に結合する抗体」という用語は、抗体がVEGFを標的とする際に診断薬及び/または治療薬として有用であるように、十分な親和性でVEGFに結合することができる抗体を指す。一実施形態では、抗VEGF抗体の無関係の非VEGFタンパク質への結合の程度は、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定される、抗体のVEGFへの結合の約10%未満である。ある特定の実施形態では、VEGFに結合する抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下、または0.001nM以下(例えば10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(Kd)を有する。ある特定の実施形態では、抗VEGF抗体は、異なる種由来のVEGF間で保存されるVEGFのエピトープに結合する。
本明細書における「抗体」という用語は、最も広義に使用され、それらが所望の抗原結合活性を呈する限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を含むが、これらに限定されない様々な抗体構造を包含する。
「抗体断片」とは、インタクト抗体が結合する抗原に結合するインタクト抗体の一部分を含むインタクト抗体以外の分子を指す。抗体断片の例としては、Fv、Fab、Fab’、Fab-C、Fab’-SH、F(ab’)2、ダイアボディ、直鎖状抗体、一本鎖抗体分子(例えば、scFv)、及び抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの例では、抗体断片の例としては、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、ダイアボディ、直鎖状抗体、一本鎖抗体分子(例えば、scFv)、及び抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
抗体のパパイン消化により、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片と、容易に結晶化する能力を反映して表記される1つの残留「Fc」断片とが産生される。Fab断片は、重(H)鎖の可変領域ドメイン(VH)とともに全軽(L)鎖、及び1つの重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)からなる。抗体のペプシン処理により、単一の大きいF(ab’)2断片が産出され、これは、概して、二価の抗原結合活性を有する2つのジスルフィド結合Fab断片に対応し、依然として抗原に架橋することができる。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域由来の1つ以上のシステインを含むCH1ドメインのカルボキシ末端にさらに数個の残基を有する点でFab断片とは異なる。Fab-C分子は、配列が第1のヒンジシステインで切断されるように発現したFab分子であり、発現時に直接遊離システインを有するFabをもたらす(例えば、Shatz et al.Mol.Pharmaceutics 2016;PubMed identifier(PMID)27244474を参照のこと)。例えば、Fab-C分子は、重鎖のCys227位に遊離システインを有し得る。他の例では、Fab-C分子は、重鎖のCys229位に遊離システインを有し得る。Fab’-SHとは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を持つFab’の本明細書における表記である。F(ab’)2抗体断片は、元来、間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として産生されたものであった。抗体断片の他の化学的結合も既知である。
本明細書における「Fc領域」という用語は、定常領域の少なくとも一部分を含む免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。この用語は、天然配列Fc領域及びバリアントFc領域を含む。一実施形態では、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226から、またはPro230から、重鎖のカルボキシル末端まで伸長する。しかしながら、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は、存在する場合もあれば、存在しない場合もある。本明細書で別途特定されない限り、Fc領域または定常領域におけるアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991)に記載されるEU指数とも呼ばれるEU番号付けシステムに従う。
「Fv」は、密接な非共有結合にある1つの重鎖可変領域ドメイン及び1つの軽鎖可変領域ドメインの二量体からなる。これらの2つのドメインの折り畳みから、抗原結合のためのアミノ酸残基に寄与し、かつ抗体に抗原結合特異性を付与する6つの超可変ループ(H鎖及びL鎖から各々3つのループ)が生じる。しかしながら、多くの場合、全結合部位よりも低い親和性であるが、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的なHVRを3つしか含まないFvの半分)でさえも、抗原を認識してそれに結合する能力を有する。
「sFv」または「scFv」とも省略される「一本鎖Fv」は、単一のポリペプチド鎖に結合したVH抗体ドメイン及びVL抗体ドメインを含む抗体断片である。好ましくは、sFvポリペプチドは、sFvが抗原結合に望ましい構造を形成することを可能にするポリペプチドリンカーをVHドメインとVLドメインとの間にさらに含む。sFvの概説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg、及びMoore eds.,Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994)を参照されたい。
「ダイアボディ」という用語は、鎖内ではなく鎖間のVドメイン対合が達成され、二価断片、すなわち、2つの抗原結合部位を有する断片がもたらされるように、VHドメインとVLドメインとの間に短いリンカー(約5~10個の残基)を用いてsFv断片(前の段落を参照のこと)を構築することによって調製された小さい抗体フラグメントを指す。二重特異性ダイアボディは、2つの抗体のVHドメイン及びVLドメインが異なるポリペプチド鎖上に存在する2つの「交差」sFv断片のヘテロ二量体である。ダイアボディについては、例えば、EP404,097、WO93/11161、及びHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444-6448(1993)にさらに詳述されている。
「遮断」抗体または「アンタゴニスト」抗体とは、それが結合する抗原の生物学的活性を阻害または低減する抗体である。ある特定の遮断抗体またはアンタゴニスト抗体は、抗原の生物学的活性を実質的にまたは完全に阻害する。
参照抗体と「同じエピトープに結合する抗体」とは、競合アッセイにおいて参照抗体のその抗原への結合を50%以上遮断する抗体を指し、逆に、参照抗体は、競合アッセイにおいて抗体のその抗原への結合を50%以上遮断する。例示的な競合アッセイが本明細書で提供される。
「キメラ」抗体という用語は、重鎖及び/または軽鎖の一部分が特定の源または種に由来する一方で、重鎖及び/または軽鎖の残りが異なる源または種に由来する抗体を指す。
抗体の「クラス」とは、その重鎖が有する定常ドメインまたは定常領域の種類を指す。抗体には5つの主要なクラス、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMが存在し、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2にさらに分類され得る。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
「システイン操作抗体」または「システイン操作抗体バリアント」とは、抗体の1つ以上の残基がシステイン残基で置換されている抗体である。ある特定の例では、システイン操作抗体は、THIOMAB(商標)抗体またはThioFab抗体と称され得る。システイン操作抗体のチオール基(複数可)は、他の部分、例えば、ポリマー(例えば、単分散HAポリマーを含むHAポリマー)にコンジュゲートされ得る。具体的な実施形態では、置換された残基は、抗体の到達可能な部位で生じる。それらの残基をシステインで置換することによって、反応性チオール基は、それにより抗体の到達可能な部位に位置付けられ、抗体をポリマー(例えば、HAポリマー)等の他の部分にコンジュゲートするために使用され得る。例えば、システイン操作抗体は、軽鎖における非システイン天然残基のシステインへの単一突然変異(例えば、Kabat番号付けによるLC-G64C、LC-I106C、LC-R108C、LC-R142C、もしくはLC-K149C)、または重鎖における非システイン天然残基のシステインへの単一突然変異(例えば、Kabat番号付けによるHC-D101C、HC-V184C、もしくはHC-T205C、またはEU番号付けによるHC-T114C、HC-A140C、HC-L174C、HC-L179C、HC-T187C、HC-T209C、HC-V262C、HC-G371C、HC-Y373C、HC-E382C、HC-S424C、HC-N434C、及びHC-Q438C(すなわち、Kabat番号付けによるHC-A136Cは、EU番号付けによるHC-A140Cである))を有する抗体であり得る(図13A及び図13Bを参照のこと)。具体的な例では、システイン操作抗体は、HC-A118C、HC-A140C、及びHC-L174C(EU番号付け)からなる群から選択される重鎖におけるシステイン突然変異、またはLC-V205C及びLC-K149C(Kabat番号付け)からなる群から選択される軽鎖におけるシステイン突然変異を含み得る。いくつかの例では、システイン操作抗体は、各全長抗体(すなわち、2つの重鎖及び2つの軽鎖を有する抗体)が2つの操作システイン残基を有し、各Fab断片が1つの操作システイン残基を有するように、重鎖または軽鎖のいずれかに単一システイン突然変異を有する。他の例では、システイン操作抗体は、1つより多くのシステイン突然変異(例えば、2、3、4、または5つのシステイン突然変異)を有する。
「遊離システインアミノ酸」とは、親抗体に操作されており、チオール官能基(-SH)を有し、かつ分子内または分子間ジスルフィド架橋として対合していないシステインアミノ酸残基を指す。
「チオール反応性値」という用語は、遊離システインアミノ酸の反応性の定量的特徴付けである。チオール反応性値は、チオール反応性試薬と反応する遊離システインアミノ酸のシステイン操作抗体における割合であり、最大値1に変換される。例えば、100%の収率でビオチン-マレイミド試薬等のチオール反応性試薬と反応してビオチン標識抗体を形成するシステイン操作抗体上の遊離システインアミノ酸は、1.0のチオール反応性値を有する。90%の収率でチオール反応性試薬と反応する同じまたは異なる親抗体に操作された別のシステインアミノ酸は、約0.9のチオール反応性値を有する。80%の収率でチオール反応性試薬と反応する同じまたは異なる親抗体に操作された別のシステインアミノ酸は、約0.8のチオール反応性値を有する。70%の収率でチオール反応性試薬と反応する同じまたは異なる親抗体に操作された別のシステインアミノ酸は、約0.7のチオール反応性値を有する。60%の収率でチオール反応性試薬と反応する同じまたは異なる親抗体に操作された別のシステインアミノ酸は、約0.6のチオール反応性値を有する。50%の収率でチオール反応性試薬と反応する同じまたは異なる親抗体に操作された別のシステインアミノ酸は、約0.5のチオール反応性値を有する。40%の収率でチオール反応性試薬と反応する同じまたは異なる親抗体に操作された別のシステインアミノ酸は、約0.4のチオール反応性値を有する。30%の収率でチオール反応性試薬と反応する同じまたは異なる親抗体に操作された別のシステインアミノ酸は、約0.3のチオール反応性値を有する。20%の収率でチオール反応性試薬と反応する同じまたは異なる親抗体に操作された別のシステインアミノ酸は、約0.2のチオール反応性値を有する。10%の収率でチオール反応性試薬と反応する同じまたは異なる親抗体に操作された別のシステインアミノ酸は、約0.1のチオール反応性値を有する。チオール反応性試薬と全く反応することができない同じまたは異なる親抗体に操作された別のシステインアミノ酸は、0のチオール反応性値を有する。特定のシステインのチオール反応性値の決定は、ELISAアッセイ(例えば、本明細書に記載のPHESELECTORアッセイ)、質量分析、液体クロマトグラフィー、オートラジオグラフィー、または他の定量的分析試験によって行われ得る。
「親抗体」とは、1つ以上のアミノ酸残基が1つ以上のシステイン残基によって置換されたアミノ酸配列を含む抗体である。親抗体は、天然配列または野生型配列を含み得る。親抗体は、抗体の他の天然、野生型、または修飾形態と比較して、既存のアミノ酸配列修飾(付加、欠失、及び/または置換等)を有し得る。親抗体は、目的とする標的抗原、例えば、VEGF等の生物学的に重要なポリペプチドを対象とするものであり得る。本明細書に記載の抗体(例えば、抗VEGF抗体)のうちのいずれも親抗体であり得る。
「エフェクター機能」とは、抗体のアイソタイプによって異なる抗体のFc領域に起因する生物学的活性を指す。抗体エフェクター機能の例としては、C1q結合及び補体依存性細胞傷害性(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)、食作用、細胞表面受容体(例えばB細胞受容体)の下方調節、及びB細胞活性化が挙げられる。
「フレームワーク」または「フレームワーク領域」または「FR」とは、超可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、一般に、4つのFRドメイン:FR1、FR2、FR3、及びFR4からなる。
「全長抗体」、「インタクト抗体」、及び「全抗体」という用語は、天然抗体の構造と実質的に同様の構造を有するか、または本明細書で定義されるFc領域を含む重鎖を有する抗体を指すために本明細書で同義に使用され得る。
「ヒト抗体」とは、ヒトもしくはヒト細胞によって産生された抗体、またはヒト抗体レパートリーもしくは他のヒト抗体コード配列を利用する非ヒト源に由来する抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有するものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を明確に除外する。
「ヒトコンセンサスフレームワーク」とは、ヒト免疫グロブリンVLまたはVHフレームワーク配列の選択において最も一般に存在するアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVLまたはVH配列の選択は、可変ドメイン配列の下位群からである。一般に、配列の下位群は、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,NIH Publication 91-3242,Bethesda MD(1991),vols.1-3.にあるような下位群である。一実施形態では、VLの場合、下位群は、Kabat et al.(上記参照)にあるような下位群カッパIである。一実施形態では、VHの場合、下位群は、Kabat et al.(上記参照)にあるような下位群IIIである。
非ヒト(例えば、齧歯類)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト抗体に由来する最小限の配列を含むキメラ抗体である。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域由来の残基が、所望の抗体特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類等の非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域由来の残基によって置換される、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの例では、ヒト免疫グロブリンのFR残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見られない残基を含み得る。これらの修飾は、抗体の能力をさらに洗練するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、超可変ループの全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応し、FRの全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のFRである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むであろう。ヒト化抗体は、任意に、免疫グロブリンの定常領域(Fc)、典型的には、ヒト免疫グロブリンのFcの少なくとも一部分も含むであろう。さらなる詳細については、Jones et al.,Nature 321:522-525(1986)、Riechmann et al.,Nature 332:323-329(1988)、及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992)を参照されたい。
「可変」という用語は、可変ドメインのある特定のセグメントの配列が抗体間で広範囲にわたって異なるという事実を指す。可変または「V」ドメインは、抗原結合を媒介し、特定の抗体のその特定の抗原に対する特異性と定義する。しかしながら、可変性は、可変ドメインの全長にわたって均等には分布していない。代わりに、V領域は、各9~12アミノ酸長の「超可変領域」と呼ばれる極度の可変性のより短い領域によって分離された15~30アミノ酸のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる比較的不変の一続きからなる。「超可変領域」または「HVR」という用語は、本明細書で使用されるとき、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、一般に、例えば、VLでは残基約24~34(L1)、50~56(L2)、及び89~97(L3)、VHでは残基約26~35(H1)、49~65(H2)、及び95~102(H3)(一実施形態では、H1は、残基約31~35である)(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991))由来のアミノ酸残基、及び/または「超可変ループ」(例えば、VLでは残基26~32(L1)、50~52(L2)、及び91~96(L3)、VHでは26~32(H1)、53~55(H2)、及び96~101(H3)(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987))由来の残基を含む。天然重鎖及び軽鎖の可変ドメインは各々、ベータシート構造を連結し、かついくつかの場合にはその一部を形成するループを形成する、3つの超可変領域によって連結されたベータシート配置を主に採用する4つのFRを含む。各鎖における超可変領域は、FRによって近接近して一緒に保持され、他方の鎖由来の超可変領域とともに、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991)を参照のこと)。したがって、HVR及びFR配列は、概して、VH(またはVL)において以下の配列に出現する:FR1-H1(L1)-FR2-H2(L2)-FR3-H3(L3)-FR4。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関与しないが、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)への抗体の関与等の様々なエフェクター機能を呈する。
「Kabatにあるような可変ドメイン残基番号付け」または「Kabatにあるようなアミノ酸位置番号付け」という用語、及びそれらの変形は、Kabat et al.(上記参照)における抗体の編集の重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインに使用される番号付けシステムを指す。この番号付けシステムを使用して、実際の直鎖状アミノ酸配列は、可変ドメインのFRまたはHVRの短縮またはそれへの挿入に対応するより少ないアミノ酸または追加のアミノ酸を含み得る。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後に単一のアミノ酸挿入(Kabatによる残基52a)、及び重鎖FR残基82の後に挿入された残基(例えば、Kabatによる残基82a、82b、及び82c等)を含み得る。残基のKabat番号付けは、抗体の配列の相同性領域での「標準の」Kabatにより番号付けされた配列との整列によって所与の抗体について決定され得る。
Kabat番号付けシステムは、一般に、可変ドメイン内の残基(およそ軽鎖の残基1~107及び重鎖の残基1~113)を参照するときに使用される(例えば、参照により全体が本明細書に組み込まれる、Kabat et al.,Sequences of Immunological Interest.5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)を参照のこと)。「EU番号付けシステム」または「EU指数」は、一般に、免疫グロブリン重鎖定常領域内の残基を参照するときに使用される(例えば、Kabat et al.(上記参照)で報告されているEU指数)。「KabatにあるようなEU指数」とは、ヒトIgG1 EU抗体の残基番号付けを指す。本明細書に別途述べられない限り、抗体の可変ドメイン内の残基番号への言及は、Kabat番号付けシステムによる残基番号付けを意味する。本明細書に別途述べられない限り、抗体の定常ドメイン内の残基番号への言及は、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載される、EU指数とも呼ばれるEU番号付けシステムによる残基番号付けを意味する。
別途示されない限り、可変ドメイン内のHVR残基及び他の残基(例えば、FR残基)は、Kabat et al.(上記参照)に従って本明細書で番号付けされる。
「単離された抗体」という用語は、本明細書に開示される様々な抗体を説明するために使用されるとき、抗体が発現した細胞または細胞培養物から特定され、かつそれから分離及び/または回収された抗体を意味する。その天然環境の混入成分は、典型的にはポリペプチドの診断的または治療的使用を妨害する材料であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性または非タンパク質性溶質を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)またはクロマトグラフ(例えば、イオン交換または逆相HPLC)によって決定される、95%または99%を超える純度に精製される。抗体純度の評価法の概説については、例えば、Flatman et al.,J.Chromatogr.B 848:79-87(2007)を参照されたい。好ましい実施形態では、抗体は、(1)スピニングカップシークエネーター(spinning cup sequenator)を使用してN末端もしくは内部アミノ酸配列の少なくとも15個の残基を得るのに十分な程度まで、または(2)クマシーブルー染色もしくは好ましくは銀染色を使用して非還元条件もしくは還元条件下でSDS-PAGEによって均質になるまで精製される。単離された抗体には、組換え細胞内のインサイツの抗体が含まれるが、これは、ポリペプチド天然環境の少なくとも1つの成分が存在しないためである。しかしながら、通常、単離されたポリペプチドは、少なくとも1つの精製ステップによって調製される。
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、同一である、及び/または同じエピトープに結合するが、例えば、天然に存在する突然変異を含むか、またはモノクローナル抗体調製物の産生中に生じる可能なバリアント抗体を除き、かかるバリアントは、一般に、少量で存在する。典型的には異なる決定基(エピトープ)を対象とする異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基を対象とする。したがって、「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同種の抗体集団から得られるという抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全てまたは一部を含むトランスジェニック動物を利用する方法を含むが、これらに限定されない様々な技法によって作製され得、モノクローナル抗体を作製するためのかかる方法及び他の例示的な方法が、本明細書に記載される。
「多重特異性抗体」という用語は、最も広義に使用され、重鎖可変ドメイン(VH)-軽鎖可変ドメイン(VL)ユニットがポリエピトープ特異性を有する(すなわち、1つの生物学的分子上の2つの異なるエピトープに、または異なる生物学的分子上の各エピトープに結合することができる)、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体を具体的に網羅する。かかる多重特異性抗体には、全長抗体、2つ以上のVL及びVHドメインを有する抗体、抗体断片、例えば、Fab、Fab’、Fab-C、Fv、dsFv、scFv、ダイアボディ、二重特異性ダイアボディ及びトリアボディ、共有結合または非共有結合した抗体断片が含まれるが、これらに限定されない。「ポリエピトープ特異性」とは、同じまたは異なる標的(複数可)上の2つ以上の異なるエピトープに特異的に結合する能力を指す。「デュアル特異性(dual specificity)」または「二重特異性(bispecificity)」とは、同じまたは異なる標的(複数可)上の2つの異なるエピトープに特異的に結合する能力を指す。しかしながら、二重特異性抗体とは対照的に、デュアル特異性抗体は、アミノ酸配列が同一である2つの抗原結合アームを有し、各Fabアームは、2つの抗原を認識することができる。デュアル特異性により、抗体が高い親和性で単一のFabまたはIgG分子として2つの異なる抗原と相互作用することが可能になる。一実施形態によれば、IgG1形態の多重特異性抗体は、5μM~0.001pM、3μM~0.001pM、1μM~0.001pM、0.5μM~0.001pM、または0.1μM~0.001pMの親和性で各エピトープに結合する。「単一特異性」とは、1つのエピトープのみに結合する能力を指す。
「天然抗体」とは、異なる構造を有する天然に存在する免疫グロブリン分子を指す。例えば、天然IgG抗体は、ジスルフィド結合している2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖から構成される、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端まで、各重鎖は、可変重ドメインまたは重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)を有し、その後に3つの定常ドメイン(CH1、CH2、及びCH3)が続く。同様に、N末端からC末端まで、各軽鎖は、可変軽ドメインまたは軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)を有し、その後に定常軽(CL)ドメインが続く。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つのタイプの一方に割り当てられ得る。
抗体の標的分子への結合に関して、特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド標的上のエピトープへの「特異的結合」またはそれ「に特異的に結合する」またはそれ「に特異的な」という用語は、非特異的相互作用とは測定可能に異なる結合を意味する。特異的結合は、例えば、分子の結合を対照分子の結合と比較して決定することによって測定され得る。例えば、特異的結合は、標的と同様の対照分子、例えば、過剰な非標識標的との競合によって決定され得る。この場合、特異的結合は、標識標的のプローブへの結合が過剰な非標識標的によって競合的に阻害される場合に示される。本明細書で使用される特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド標的上のエピトープへの「特異的結合」またはそれ「に特異的に結合する」またはそれ「に特異的な」という用語は、例えば、10-4M以下、あるいは10-5M以下、あるいは10-6M以下、あるいは10-7M以下、あるいは10-8M以下、あるいは10-9M以下、あるいは10-10M以下、あるいは10-11M以下、あるいは10-12M以下の標的に対するKd、または10-4M~10-6Mまたは10-6M~10-10Mまたは10-7M~10-9Mの範囲のKdを有する分子によって示され得る。当業者に理解されるように、親和性及びKd値は、反比例する。抗原に対する高い親和性は、低いKd値によって測定される。一実施形態では、「特異的結合」という用語は、分子が、いずれの他のポリペプチドまたはポリペプチドエピトープにも実質的に結合することなく、特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド上のエピトープに結合する結合を指す。
「抗VEGF抗体をコードする核酸」とは、抗体重鎖及び軽鎖(またはその断片)をコードする1つ以上の核酸分子を指し、これには、単一のベクターまたは別個のベクター中のかかる核酸分子(複数可)、及び宿主細胞中の1つ以上の位置に存在するかかる核酸分子(複数可)が含まれる。
本明細書で使用される「ベクター」という用語は、それが結合している別の核酸を伝播することができる核酸分子を指す。この用語には、自己複製核酸構造としてのベクター、ならびにそれが導入されている宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターが含まれる。ある特定のベクターは、それらが作動可能に連結された核酸の発現を誘導することができる。かかるベクターは、本明細書で「発現ベクター」と称される。
「宿主細胞」、「宿主細胞株」、及び「宿主細胞培養物」という用語は、同義に使用され、外因性核酸が導入されている細胞(かかる細胞の子孫を含む)を指す。宿主細胞としては、「形質転換体」及び「形質転換細胞」が含まれ、これらには、初代形質転換細胞及び継代の数にかかわらずそれに由来する子孫が含まれる。子孫は、核酸含有量が親細胞と完全に同一ではない場合があるが、突然変異を含み得る。最初に形質転換された細胞についてスクリーニングまたは選択されたものと同じ機能または生物学的活性を有する変異子孫が、本明細書に含まれる。
参照ポリペプチド配列に対する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、最大配列同一性パーセントを達成するように、配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入した後の、いずれの保存的置換も配列同一性の一部と見なさない、参照ポリペプチド配列内のアミノ酸残基と同一の候補配列内のアミノ酸残基のパーセンテージと定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するための整列は、当該技術分野の技術の範囲内の様々な方法で、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェア等の公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成され得る。当業者であれば、比較される配列の全長にわたって最大整列を達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列を整列させるための適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、本明細書における目的のために、アミノ酸配列同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用して生成される。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.が作成したものであり、ソースコードは、米国著作権局(Washington D.C.,20559)にユーザ文書とともに申請されており、米国著作権登録番号TXU510087で登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech,Inc.,South San Francisco Californiaから公的に入手可能であるか、またはソースコードからコンパイルされ得る。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIX V4.0Dを含むUNIXオペレーティングシステムでの使用のためにコンパイルされるべきである。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定されており、変動しない。
ALIGN-2がアミノ酸配列比較のために用いられる状況下では、所与のアミノ酸配列Aの、所与のアミノ酸配列Bへの、所与のアミノ酸配列Bとの、または所与のアミノ酸配列Bに対するアミノ酸配列同一性%(あるいは、これは、所与のアミノ酸配列Bへの、所与のアミノ酸配列Bとの、または所与のアミノ酸配列Bに対するある特定のアミノ酸配列同一性%を有するか、または含む所与のアミノ酸配列Aと表現され得る)は、以下のように計算される:100×分数X/Y(式中、Xが、配列整列プログラムALIGN-2によってA及びBのそのプログラムの整列において完全な一致とスコア化されるアミノ酸残基の数であり、Yが、B内のアミノ酸残基の総数である)。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、AのBに対するアミノ酸配列同一性%は、BのAに対するアミノ酸配列同一性%と等しくないことが理解される。別途具体的に述べられていない限り、本明細書で使用される全てのアミノ酸配列同一性%値は、直前の段落に記載されるようにALIGN-2コンピュータプログラムを使用して得られる。
本明細書で使用されるとき、「投与する」とは、化合物(例えば、本発明の抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)もしくは抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート))または組成物(例えば、薬学的組成物、例えば、本発明の抗体もしくは抗体コンジュゲートを含む薬学的組成物)のある投薬量を対象に与える方法を意味する。本明細書に記載の方法で利用される組成物は、例えば、硝子体内(例えば、硝子体内注射により)、点眼薬により、筋肉内、静脈内、皮内、経皮(percutaneously)、動脈内、腹腔内、病巣内、頭蓋内、関節内、前立腺内、胸膜内、気管内、髄腔内、鼻腔内、膣内、直腸内、局所、腫瘍内、腹膜、皮下、結膜下、小胞内、粘膜、心膜内、臍内、眼内、眼窩内、経口、局所、経皮(transdermally)、吸入により、注射により、埋め込みにより、注入により、持続注入により、局所灌流浴により標的細胞に直接、カテーテルにより、洗浄により、クリーム剤で、または脂質組成物で投与され得る。本明細書に記載の方法で利用される組成物は、全身または局所投与される場合もある。投与方法は、様々な要因(例えば、投与される化合物または組成物及び治療される状態、疾患、または障害の重症度)によって異なり得る。
「血管新生」とは、新たな血管が既存の血管から生じる過程を指す。血管新生は、中胚葉細胞前駆体由来の内皮細胞のデノボ形成である脈管形成とは異なる。病理学的血管新生に関連する障害は、本発明の組成物及び方法によって治療され得る。例示的な病理学的血管新生に関連する障害には、眼状態が含まれるが、これらに限定されない(非限定的な眼状態には、例えば、増殖性糖尿病性網膜症を含む網膜症、脈絡膜血管新生(CNV)、加齢性黄斑変性症(AMD)、糖尿病性及び他の虚血関連網膜症、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、病理学的近視、フォン・ヒッペル・リンドウ病、眼ヒストプラスマ症、網膜静脈閉塞症(網膜中心静脈(CRVO)型及び網膜分岐静脈(BRVO)型を含む)、角膜血管新生、網膜血管新生、未熟児網膜症(ROP)、家族性滲出性硝子体網膜症(FEVR)、コーツ病、ノリエ病、骨粗鬆症偽網膜膠腫症候群(OPPG)、結膜下出血、ルベオーシス、眼血管新生疾患、血管新生緑内障、及び高血圧性網膜症が含まれる)。さらなる眼障害が、以下に記載される。
本明細書で使用される「眼障害」という用語は、病理学的血管新生に関連する任意の眼障害(本明細書で同義に「眼状態」とも称される)を含む。眼障害は、新たな血管の網膜または角膜等の眼組織の構造への改変されたまたは制御されていない増殖及び/または浸潤を特徴とし得る。非限定的な眼障害には、例えば、AMD(例えば、滲出型AMD、乾燥AMD、中等度AMD、進行性AMD、及び地図状萎縮(GA))、黄斑変性症、黄斑浮腫、DME(例えば、中心窩に及ばない限局性DME及び中心窩に及ぶびまん性DME)、網膜症、糖尿病性網膜症(DR)(例えば、増殖性DR(PDR)、非増殖性DR(NPDR)、及び高所DR)、他の虚血関連網膜症、ROP、網膜静脈閉塞症(RVO)(例えば、網膜中心静脈(CRVO)型及び網膜分岐静脈(BRVO)型)、CNV(例えば、近視性CNV)、角膜血管新生、角膜血管新生に関連する疾患、網膜血管新生、網膜/脈絡膜血管新生に関連する疾患、病理学的近視、フォン・ヒッペル・リンドウ病、眼ヒストプラスマ症、FEVR、コーツ病、ノリエ病、OPPG、結膜下出血、ルベオーシス、眼血管新生疾患、血管新生緑内障、網膜色素変性症(RP)、高血圧性網膜症、網膜血管腫増殖、黄斑毛細血管拡張症、虹彩血管新生、眼内血管新生、網膜変性、類嚢胞黄斑浮腫(CME)、血管炎、乳頭浮腫、網膜炎、結膜炎(例えば、感染性結膜炎及び非感染性(例えば、アレルギー性)結膜炎)、レーバー先天性黒内障(別名、レーバー先天性黒内障またはLCA)、ブドウ膜炎(感染性及び非感染性ブドウ膜炎を含む)、脈絡膜炎(例えば、多巣性脈絡膜炎)、眼ヒストプラスマ症、眼瞼炎、ドライアイ、外傷性眼損傷、シェーグレン病、及び疾患または障害が、眼血管新生、血管漏出、及び/または網膜浮腫に関連する他の眼疾患が含まれる。さらなる例示的な眼障害には、ルベオーシス(角度血管新生)に関連する疾患、及び増殖性硝子体網膜症の全ての形態を含む線維血管性組織または線維性組織の異常増殖によって引き起こされる疾患が含まれる。
例示的な角膜血管新生に関連する疾患には、流行性角結膜炎、ビタミンA欠乏症、コンタクトレンズ過剰装着、アトピー性角膜炎、上縁角膜炎、翼状片乾燥角膜炎、シェーグレン症候群、酒さ性座瘡、フリクテン症、梅毒、マイコバクテリア感染症、脂質変性、化学熱傷、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純ヘルペス感染症、帯状ヘルペス感染症、原虫感染症、カポジ肉腫、モーレン潰瘍、テリエン辺縁変性、辺縁角質溶解、リウマチ性関節炎、全身性狼瘡、多発動脈炎、外傷、ヴェグナーサルコイドーシス、強膜炎、スティーブンス・ジョンソン症候群、類天疱瘡放射状角膜切除術、及び角膜移植片拒絶反応が含まれるが、これらに限定されない。
例示的な網膜/脈絡膜血管新生に関連する疾患には、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、鎌状赤血球貧血、サルコイド、梅毒、弾性線維性仮性黄色腫、パジェット病、静脈閉塞、動脈閉塞、頸動脈閉塞性疾患、慢性ブドウ膜炎/硝子体炎、マイコバクテリア感染症、ライム病、全身性紅斑性狼瘡、未熟児網膜症、網膜色素変性症、網膜浮腫(黄斑浮腫を含む)、イールズ病、ベーチェット病、網膜炎または脈絡膜炎(例えば、多巣性脈絡膜炎)を引き起こす感染症、推定眼ヒストプラスマ症、ベスト病(卵黄様黄斑変性症)、近視、視窩、スタルガルト病、扁平部炎、網膜剥離(例えば、慢性網膜剥離)、過粘稠度症候群、トキソプラズマ症、外傷、及びレーザー術後合併症が含まれるが、これらに限定されない。
「血管新生因子または血管新生剤」とは、血管の発生を刺激する、例えば、血管新生、内皮細胞成長、血管の安定性、及び/または脈管形成等を促進する成長因子である。例えば、血管新生因子には、例えば、VEGF及びVEGFファミリーメンバー、PlGF、PDGFファミリー、線維芽細胞成長因子ファミリー(FGF)、TIEリガンド(アンジオポエチン)、エフリン、Del-1、線維芽細胞成長因子(酸性(aFGF)及び塩基性(bFGF))、ホリスタチン、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、肝細胞成長因子(HGF)/散乱因子(SF)、インターロイキン-8(IL-8)、レプチン、ミッドカイン、胎盤成長因子、血小板由来内皮細胞成長因子(PD-ECGF)、血小板由来成長因子、特にPDGF-BBまたはPDGFR-ベータ、プレイオトロフィン(PTN)、プログラニュリン、プロリフェリン、形質転換成長因子成長因子-アルファ(TGF-アルファ)、形質転換成長因子-ベータ(TGF-ベータ)、腫瘍壊死因子-アルファ(TNF-アルファ)、血管内皮成長因子(VEGF)/血管透過因子(VPF)等が含まれるが、これらに限定されない。これには、創傷治癒を促進する因子、例えば、成長ホルモン、インスリン様成長因子-I(IGF-I)、VIGF、表皮成長因子(EGF)、CTGF及びそのファミリーメンバー、ならびにTGF-アルファ及びTGF-ベータも含まれる。例えば、Klagsbrun and D’Amore,Annu.Rev.Physiol.,53:217-39(1991)、Streit and Detmar,Oncogene,22:3172-3179(2003)、Ferrara & Alitalo,Nature Medicine 5(12):1359-1364(1999)、Tonini et al.,Oncogene,22:6549-6556(2003)(例えば、既知の血管新生因子を列記する表1)、及びSato,Int.J.Clin.Oncol.,8:200-206(2003)を参照されたい。
「抗血管新生剤」または「血管新生阻害剤」とは、血管新生、脈管形成、または望ましくない血管透過を直接的または間接的のいずれかで阻害する、低分子量物質、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、単離されたタンパク質、組換えタンパク質、抗体、またはそれらのコンジュゲートもしくは融合タンパク質を指す。抗血管新生剤には、血管新生因子またはその受容体に結合し、それらの血管新生活性を遮断する薬剤が含まれることを理解されたい。例えば、抗血管新生剤は、上で定義される血管新生剤に対する抗体または他のアンタゴニスト、例えば、VEGFアンタゴニスト(例えば、VEGF-AまたはVEGF-A受容体(例えば、KDR受容体またはFlt-1受容体)に対する抗体)、PDGFアンタゴニスト(例えば、GLEEVEC(商標)(Imatinib Mesylate)等の抗PDGFR阻害剤)である。抗血管新生剤には、天然血管新生阻害剤、例えば、アンギオスタチン、エンドスタチン等も含まれる。例えば、Klagsbrun and D’Amore,Annu.Rev.Physiol.,53:217-39(1991)、Streit and Detmar,Oncogene,22:3172-3179(2003)(例えば、悪性黒色腫における抗血管新生療法を列記する表3)、Ferrara & Alitalo,Nature Medicine 5(12):1359-1364(1999)、Tonini et al.,Oncogene,22:6549-6556(2003)(例えば、既知の抗血管新生因子を列記する表2)、及びSato Int.J.Clin.Oncol.,8:200-206(2003)(例えば、臨床試験に使用される抗血管新生剤を列記する表1)を参照されたい。
本明細書で使用される「VEGFアンタゴニスト」という用語は、VEGFに結合するか、VEGF発現レベルを低減するか、またはVEGF生物学的活性(1つ以上のVEGF受容体へのVEGF結合、VEGFシグナル伝達、ならびにVEGF媒介血管新生及び内皮細胞生存もしくは増殖を含むが、これらに限定されない)を中和、遮断、阻害、抑制、低減、もしくは妨害することができる分子を指す。例えば、VEGF生物学的活性を中和、遮断、阻害、抑制、低減、または妨害することができる分子は、1つ以上のVEGF受容体(VEGFR)(例えば、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、膜結合型VEGF受容体(mbVEGFR)、または可溶性VEGF受容体(sVEGFR))への結合によってその効果を発揮することができる。本発明の方法に有用なVEGFアンタゴニストとして、VEGFに特異的に結合するポリペプチド、抗VEGF抗体及びその抗原結合断片、VEGFに特異的に結合し、それにより、1つ以上の受容体へのその結合を隔離する受容体分子及び誘導体、融合タンパク質(例えば、VEGF-Trap(Regeneron))、及びVEGF121-ゲロニン(Peregrine)が含まれる。VEGFアンタゴニストには、VEGFポリペプチドのアンタゴニストバリアント、VEGFポリペプチドをコードする核酸分子の少なくとも1つの断片に相補的なアンチセンス核酸塩基オリゴマー、VEGFポリペプチドをコードする核酸分子の少なくとも1つの断片に相補的な小RNA、VEGFを標的とするリボザイム、VEGFに対するペプチボディ、及びVEGFアプタマーも含まれる。VEGFアンタゴニストには、VEGFRに結合するポリペプチド、抗VEGFR抗体及びその抗原結合断片、ならびにVEGFRに結合し、それにより、VEGF生物学的活性(例えば、VEGFシグナル伝達)を遮断、阻害、抑制、低減、または妨害する誘導体、または融合タンパク質も含まれる。VEGFアンタゴニストには、VEGFまたはVEGFRに結合し、VEGF生物学的活性を遮断、阻害、抑制、低減、または妨害することができる非ペプチド小分子も含まれる。したがって、「VEGF活性」という用語は、VEGFのVEGF媒介生物学的活性を具体的に含む。ある特定の実施形態では、VEGFアンタゴニストは、VEGFの発現レベルまたは生物学的活性を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上低減または阻害する。いくつかの実施形態では、VEGF特異的アンタゴニストによって阻害されるVEGFは、VEGF(8-109)、VEGF(1-109)、またはVEGF165である。
本明細書で使用されるとき、VEGFアンタゴニストには、抗VEGFR2抗体及び関連分子(例えば、ラムシルマブ、タニビルマブ、アフリベルセプト)、抗VEGFR1抗体及び関連分子(例えば、イクルクマブ、アフリベルセプト(VEGF Trap-Eye、EYLEA(登録商標))、及びジブ-アフリベルセプト(VEGF Trap、ZALTRAP(登録商標)))、二重特異性VEGF抗体(例えば、MP-0250、バヌシズマブ(VEGF-ANG2)、及びUS2001/0236388に開示される二重特異性抗体)、抗VEGF、抗VEGFR1、及び抗VEGFR2アームのうちの2つの組み合わせを含む二重特異性抗体、抗VEGF抗体(例えば、ベバシズマブ、セバシズマブ、及びラニビズマブ)、及び非ペプチド小分子VEGFアンタゴニスト(例えば、パゾパニブ、アキシチニブ、バンデタニブ、スチバーガ、カボザンチニブ、レンバチニブ、ニンテダニブ、オランチニブ、テラチニブ、ドビチニグ、セジラニブ、モテサニブ、スルファチニブ、アパチニブ、フォレチニブ、ファミチニブ、及びチボザニブ)が含まれ得るが、これらに限定されない。さらなるVEGFアンタゴニストが、以下に記載される。
薬剤、例えば、薬学的製剤の「有効量」とは、必要な投薬量で必要な期間にわたって所望の治療的または予防的結果を達成するのに有効な量を指す。
「個体」または「対象」は、哺乳動物である。哺乳動物には、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、及びウマ)、霊長類(例えば、ヒト及びサル等の非ヒト霊長類)、ウサギ、及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、個体または対象は、ヒトである。「対象」は、「患者」であり得る。
「障害」とは、本抗体での治療から恩恵を受けるであろう任意の状態である。例えば、異常な血管新生(過度の、不適切な、または制御不能な血管新生)に罹患しているか、またはそれに対する予防を必要とする哺乳動物。これには、哺乳動物を問題の障害にかかりやすくする病理学的状態を含む慢性及び急性障害または疾患が含まれる。本明細書で治療される障害の非限定的な例としては、病理学的血管新生に関連する障害(例えば、眼障害)が挙げられる。
「添付文書」という用語は、適応症、用法、投薬量、投与、併用療法、禁忌、及び/または治療製品の使用に関する警告についての情報を含む、かかる治療製品の商用パッケージに習慣的に含まれる使用説明書を指すために使用される。
「薬学的に許容される担体」とは、対象に非毒性の活性成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体には、緩衝液、賦形剤、安定剤、または防腐剤が含まれるが、これらに限定されない。
「薬学的製剤」という用語は、中に含まれる活性成分(例えば、抗体コンジュゲート)の生物学的活性が有効になるような形態であり、かつ製剤が投与される対象に許容できない程度に毒性のさらなる成分を含まない調製物を指す。
本明細書で使用されるとき、「治療」(及び「治療する」または「治療すること」等のその文法的変形)とは、治療される個体の自然経過を変化させるための臨床的介入を指し、予防のために、または臨床病理学の経過中のいずれかで行われ得る。望ましい治療効果には、疾患の発生または再発の予防、症状の緩和、疾患のいずれの直接的または間接的病理学的帰結の軽減、疾患進行速度の低下、病状の改善または苦痛緩和、及び寛解または予後改善が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本発明の抗体コンジュゲートまたは本発明の抗体コンジュゲートを含む他の組成物(例えば、薬学的製剤)は、疾患の発症を遅延させるか、または疾患の進行を遅らせるために使用される。
「単離された」核酸分子とは、核酸の天然源において通常会合している少なくとも1つの混入核酸分子から特定及び分離される核酸分子である。単離された核酸分子は、天然に見られる形態または状況以外のものである。したがって、単離された核酸分子は、天然細胞に存在する核酸分子と区別される。しかしながら、単離された核酸分子には、例えば、核酸分子が天然細胞の染色体位置とは異なる染色体位置にある抗体を通常発現する細胞に含まれる核酸分子が含まれる。
「制御配列」という表現は、特定の宿主生物における作動可能に連結されたコード配列の発現に必要なDNA配列を指す。原核生物に好適な制御配列には、例えば、プロモーター、任意にオペレーター配列、及びリボソーム結合部位が含まれる。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、及びエンハンサーを利用することで知られている。
核酸は、別の核酸配列と機能的な関係に置かれたときに「作動可能に連結される」。例えば、プレ配列または分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現したときにポリペプチドのDNAに作動可能に連結されるか、プロモーターまたはエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼしたときにコード配列に作動可能に連結されるか、またはリボソーム結合部位は、翻訳を促進するように位置付けられたときにコード配列に作動可能に連結される。一般に、「作動可能に連結される」とは、連結されるDNA配列が隣接しており、分泌リーダーの場合、隣接しており、かつリーディング段階にあることを意味する。しかしながら、エンハンサーは隣接している必要はない。連結は、簡便な制限部位でのライゲーションによって達成される。かかる部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーが従来の慣例に従って使用される。
本明細書で使用されるとき、「細胞」、「細胞株」、及び「細胞培養物」という表現は、同義に使用され、全てのかかる表記は、子孫を含む。したがって、「形質転換体」及び「形質転換細胞」という語は、移入の数にかかわらず、初代対象細胞及びそれに由来する培養物を含む。意図的または偶発的な突然変異により、全ての子孫のDNA含有量が正確に同一ではない場合があることも理解される。最初に形質転換された細胞においてスクリーニングされた機能または生物学的活性と同じ機能または生物学的活性を有する突然変異体子孫が含まれる。別個の表記が意図される場合、それは文脈から明確になるであろう。
出発または参照ポリペプチド(例えば、参照抗体またはその可変ドメイン(複数可)/HVR(複数可))の「バリアント」または「突然変異体」とは、(1)出発または参照ポリペプチドのアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を有し、(2)天然突然変異誘発または人工(人為的)突然変異誘発のいずれかにより出発または参照ポリペプチドから導かれたポリペプチドである。かかるバリアントには、例えば、本明細書で「アミノ酸残基改変」と称される、目的とするポリペプチドのアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/またはそれへの挿入、及び/またはその置換が含まれる。したがって、バリアントHVRとは、出発または参照ポリペプチド配列(供給源抗体または抗原結合断片のもの等)に対してバリアント配列を含むHVRを指す。アミノ酸残基改変は、この文脈では、出発または参照ポリペプチド配列(参照抗体またはその断片のもの等)における対応する位置のアミノ酸とは異なるアミノ酸を指す。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせを行って、最終バリアントまたは突然変異体構築物に到達することができるが、但し、最終構築物が所望の機能的特性を有することを条件とする。グリコシル化部位の数または位置の変化等のアミノ酸変化も、ポリペプチドの翻訳後プロセスを改変することができる。
「野生型(WT)」もしくは「参照」配列または「野生型」もしくは「参照」タンパク質/ポリペプチドの配列、例えば、参照抗体のHVRまたは可変ドメインは、バリアントポリペプチドが突然変異の導入により導かれる参照配列であり得る。一般に、所与のタンパク質の「野生型」配列は、自然界で最も一般的な配列である。同様に、「野生型」遺伝子配列は、自然界で最も一般的に見られる遺伝子の配列である。突然変異は、天然プロセスまたは人為的手段のいずれかにより「野生型」遺伝子(ひいてはそれがコードするタンパク質)に導入され得る。かかるプロセスの産物は、最初の「野生型」タンパク質または遺伝子の「バリアント」または「突然変異体」形態である。
「等電点(pI)」とは、分子(例えば、抗体等のタンパク質)が正味電荷を帯びていないpHを意味し、当該技術分野で「pH(I)」または「IEP」とも称される。
本明細書で使用されるとき、「抗体コンジュゲート」とは、1つ以上のポリマーに共有結合した抗体である。任意の好適なポリマーが、抗体、例えば、親水性ポリマー(例えば、ヒアルロン酸(HA)もしくはポリエチレングリコール(PEG))または疎水性ポリマー(例えば、乳酸グリコール酸コポリマー(PLGA))にコンジュゲートされ得る。具体的な実施形態では、ポリマーは、HAである(本明細書で「HAコンジュゲート」とも称される)。
本明細書で使用されるとき、「ポリマー」という用語は、直鎖状、環状、分岐状、架橋、またはデンドリマー様式、またはそれらの組み合わせで、化学結合によって結合された繰り返し構造単位(すなわち、単量体)を含む分子を意味する。ポリマーは、合成であるか、天然に存在するか、またはそれらの組み合わせであり得る。「ポリマー」という用語が、2つ以上の異なる単量体を含むポリマーであるコポリマーを包含することを理解されたい。ポリマーは、一種類の単量体のみを含むポリマーであるホモポリマーでもあり得る。
「多分散性指数(PDI)」という用語は、ポリマーの分子量分布の幅広さの程度を指す。PDIは、当該技術分野で「分散性指数」、「不均一性指数」、または
とも称される。ポリマー試料のPDIは、
を使用して計算され得、式中、M
wは、重量平均モル質量であり、M
nは、数平均モル質量である。別途示されない限り、PDIは、等式(I)に従って計算される。
ポリマー試料は、「単分散」(当該技術分野で別名「均一」)または「多分散」(当該技術分野で別名「不均一」)と見なされ得る。本明細書で使用されるとき、HAポリマーまたはHAコンジュゲート試料に関して「単分散」という用語は、HAポリマーまたはHAコンジュゲート試料が、約1.1以下のPDI、例えば、約1.001、約1.02、約1.03、約1.04、約1.05、約1.06、約1.07、約1.08、約1.09、または約1.1のPDIを有することを意味する。例えば、単分散HAポリマーまたはHAコンジュゲート試料は、1.0~約1.1(例えば、1~約1.1、1~約1.09、1~約1.08、1~約1.07、1~約1.06、1~約1.05、1~約1.04、1~約1.03、1~約1.02、1~約1.01、1~約1.005、約1.001~約1.1、約1.001~約1.1、約1.001~約1.09、約1.001~約1.08、約1.001~約1.07、約1.001~約1.06、約1.001~約1.05、約1.001~約1.04、約1.001~約1.03、約1.001~約1.02、約1.001~約1.01、約1.001~約1.005、約1.001~約1.004、約1.001~約1.003、約1.001~約1.002、約1.0001~約1.1、約1.0001~約1.09、約1.0001~約1.08、約1.0001~約1.07、約1.0001~約1.06、約1.0001~約1.05、約1.0001~約1.04、約1.0001~約1.03、約1.0001~約1.02、約1.0001~約1.01、約1.0001~約1.005、約1.0001~約1.004、約1.0001~約1.003、約1.0001~約1.002、または約1.0001~約1.005)のPDIを有し得る。
対照的に、「多分散」という用語は、HAポリマーまたはHAコンジュゲート試料が、1.1を超えるPDI、例えば、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、またはそれ以上のPDIを有することを意味する。例えば、いくつかの実施形態では、多分散HAポリマーまたはHAコンジュゲート試料は、約1.3~約2、約1.4~約2、約1.5~約2、約1.6~約2、約1.7~約2、約1.8~約2、または約1.9~約2のPDIを有する。
本明細書で同義に使用される「ヒアルロン酸」、「ヒアルラノン(hyaluranon)」、及び「HA」という用語は、N-アセチルグルコサミン及びグルクロン酸の繰り返し二糖単位を含むポリマーグリコサミノグリカン(GAG)を指す。HAは、例えば、細胞外マトリックス(例えば、眼の硝子体内)、結合組織、上皮組織、及び神経組織に見られ得るアニオン性非硫酸化GAGである。
本明細書で使用される「ポリエチレングリコール」または「PEG」という用語は、その分子量に応じて、ポリエチレンオキシド(PEO)またはポリオキシエチレン(POE)としても既知のポリエーテル化合物を指す。PEGは、H-(O-CH2-CH2)n-OHの構造を有し得、式中、nは、任意の好適な整数である。PEGは、分岐状PEG、星状PEG、または櫛状PEGであり得る。PEGは、例えば、PEG四量体、PEG六量体、またはPEG八量体であり得る。
本明細書で使用される「クリアランス」という用語は、単位時間当たりの区画(例えば、眼(例えば、硝子体))から排除された物質(例えば、抗VEGF抗体、抗体コンジュゲート、融合タンパク質(例えば、Fab融合タンパク質)、またはポリマー製剤)の体積を指す。
「半減期」という用語は、物質(例えば、抗VEGF抗体、抗体コンジュゲート、融合タンパク質(例えば、Fab融合タンパク質)、またはポリマー製剤)の濃度がインビボ(例えば、眼(例えば、硝子体)内)またはインビトロで半減するのに必要な時間を指す。
II.組成物及び方法
本発明は、抗体(例えば、本明細書に記載のいずれの抗VEGF抗体も含む抗VEGF抗体)に結合したポリマー(例えば、単分散HAポリマーを含む単分散ポリマー)を含む抗体コンジュゲート、例えば抗体コンジュゲートの調製に使用され得るシステイン操作抗体、抗体コンジュゲートを含む組成物(例えば、薬学的組成物)、ならびに例えば治療的使用(例えば、眼障害の治療)のためにそれを作製及び使用する方法を提供する。
A.本発明のコンジュゲートに使用するための例示的な抗体
本発明は、ポリマー(例えば、単分散ポリマー)に共有結合した抗体(例えば、抗VEGF抗体)を含む抗体コンジュゲートを提供する。任意の好適な抗体(例えば、抗VEGF抗体)が使用され得る。例えば、抗体は、VEGF、インターロイキン-1ベータ(IL-1β)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-6受容体(IL-6R)、インターロイキン-13(IL-13)、IL-13受容体(IL-13R)、PDGF(例えば、PDGF-BB)、アンジオポエチン、アンジオポエチン2(Ang2)、Tie2、S1P、インテグリンαvβ3、αvβ5、及びα5β1、ベータセルリン、アペリン/APJ、エリスロポエチン、補体D因子、TNFα、HtrA1、VEGF受容体(例えば、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、膜結合型VEGF受容体(mbVEGFR)、または可溶性VEGF受容体(sVEGFR))、ST-2受容体、ならびに加齢性黄斑変性症(AMD)リスクと遺伝的に関連するタンパク質(例えば、補体経路成分C2、B因子、H因子、CFHR3、C3b、C5、C5a、及びC3a、HtrA1、ARMS2、TIMP3、HLA、インターロイキン-8(IL-8)、CX3CR1、TLR3、TLR4、CETP、LIPC、COL10A1、ならびにTNFRSF10A)からなる群から選択される抗原に特異的に結合し得る。かかる抗体は、例えば、血管新生の低減、及び/または病理学的血管新生に関連する障害(例えば、眼障害)の治療もしくはその進行の遅延に有用であり得る。本発明の抗体コンジュゲートに使用され得る例示的かつ非限定的な抗VEGF抗体は、以下にさらに記載される。
いくつかの例では、抗VEGF抗体は、(a)DYWIH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)GX1TPX2GGX3X4X5YX6DSVX7X8(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2(式中、X1がIleまたはHisであり、X2がAlaまたはArgであり、X3がTyrまたはLysであり、X4がThrまたはGluであり、X5が、Arg、Tyr、Gln、またはGluであり、X6がAlaまたはGluであり、X7がLysまたはGluであり、X8がGlyまたはGluである)、(c)FVFFLPYAMDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQX1VSTAVA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1(式中、X1がAspまたはArgである)、(e)X1ASFLYS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2(式中、X1がSerまたはMetである)、及び(f)X1QGYGX2PFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3(式中、X1が、Gln、Asn、またはThrであり、X2が、Ala、Asn、Gln、またはArgである)から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVR、または上記のHVRのうちの1つ以上の組み合わせ及び配列番号1~6のうちのいずれか1つと少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有する1つ以上のそれらのバリアントを含み得る。
例えば、抗VEGF抗体は、(a)DYWIH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)GITPAGGYTRYADSVKG(配列番号7)、GITPAGGYEYYADSVKG(配列番号21)、またはGITPAGGYEYYADSVEG(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)FVFFLPYAMDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQDVSTAVA(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)SASFLYS(配列番号9)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QQGYGAPFT(配列番号10)またはQQGYGNPFT(配列番号23)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVR、または上記のHVRのうちの1つ以上の組み合わせ及び配列番号1、3、7~10、または21~23のうちのいずれか1つと少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有する1つ以上のそれらのバリアントを含み得る。
例えば、いくつかの例では、抗VEGF抗体は、(a)DYWIH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)GITPAGGYTRYADSVKG(配列番号7)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)FVFFLPYAMDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQDVSTAVA(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)SASFLYS(配列番号9)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QQGYGAPFT(配列番号10)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVR、または上記のHVRのうちの1つ以上の組み合わせ及び配列番号1、3、または7~10のうちのいずれか1つと少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有する1つ以上のそれらのバリアントを含み得る。具体的な例では、いくつかの例では、抗VEGF抗体は、以下の6つのHVR:(a)DYWIH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)GITPAGGYTRYADSVKG(配列番号7)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)FVFFLPYAMDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQDVSTAVA(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)SASFLYS(配列番号9)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QQGYGAPFT(配列番号10)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
いくつかの例では、前述の抗VEGF抗体のいずれも、以下の重鎖可変ドメインフレームワーク領域(FR):(a)EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTIS(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H1、(b)WVRQAPGKGLEWVA(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H2、(c)RFTISADTSKNTAYLQMRSLRAEDTAVYYCAR(配列番号15)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び(d)WGQGTLVTVSS(配列番号16)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含み得る。
いくつかの例では、前述の抗VEGF抗体のいずれも、以下の軽鎖可変ドメインFR:(a)DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号17)のアミノ酸配列を含むFR-L1、(b)WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号18)のアミノ酸配列を含むFR-L2、(c)GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDAATYYC(配列番号19)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び(d)FGQGTKVEIK(配列番号20)のアミノ酸配列を含むFR-L4のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含み得る。
例えば、いくつかの例では、抗VEGF抗体は、以下の6つのHVR:(a)DYWIH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)GITPAGGYTRYADSVKG(配列番号7)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)FVFFLPYAMDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQDVSTAVA(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)SASFLYS(配列番号9)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QQGYGAPFT(配列番号10)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、以下の4つの重鎖可変ドメインFR:(a)EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTIS(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H1、(b)WVRQAPGKGLEWVA(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H2、(c)RFTISADTSKNTAYLQMRSLRAEDTAVYYCAR(配列番号15)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び(d)WGQGTLVTVSS(配列番号16)のアミノ酸配列を含むFR-H4を含む。さらなる例では、抗VEGF抗体は、以下の4つの軽鎖可変ドメインFR:(a)DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号17)のアミノ酸配列を含むFR-L1、(b)WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号18)のアミノ酸配列を含むFR-L2、(c)GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDAATYYC(配列番号19)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び(d)FGQGTKVEIK(配列番号20)のアミノ酸配列を含むFR-L4を含む。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、(a)配列番号11のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
例えば、いくつかの例では、抗VEGF抗体は、(a)DYWIH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)GITPAGGYEYYADSVEG(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)FVFFLPYAMDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQDVSTAVA(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)SASFLYS(配列番号9)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QQGYGNPFT(配列番号23)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVR、または上記のHVRのうちの1つ以上の組み合わせ及び配列番号1、3、8、9、22、または23のうちのいずれか1つと少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有する1つ以上のそれらのバリアントを含み得る。具体的な例では、いくつかの例では、抗VEGF抗体は、以下の6つのHVR:(a)DYWIH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)GITPAGGYEYYADSVEG(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)FVFFLPYAMDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQDVSTAVA(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)SASFLYS(配列番号9)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QQGYGNPFT(配列番号23)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
いくつかの例では、前述の抗VEGF抗体のいずれも、以下の重鎖可変ドメインフレームワーク領域(FR):(a)EEQLVEEGGGLVQPGESLELSCAASGFEIS(配列番号29)またはEEQLVEEGGGLVQPGESLRLSCAASGFEIS(配列番号52)のアミノ酸配列を含むFR-H1、(b)WVRQEPGEGLEWVA(配列番号30)のアミノ酸配列を含むFR-H2、(c)RFTISADTSENTAYLQMNELRAEDTAVYYCAR(配列番号31)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び(d)WGQGELVTVSS(配列番号32)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含み得る。
いくつかの例では、前述の抗VEGF抗体のいずれも、以下の軽鎖可変ドメインFR:(a)DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号17)のアミノ酸配列を含むFR-L1、(b)WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号18)のアミノ酸配列を含むFR-L2、(c)GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号24)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び(d)FGQGTKVEIK(配列番号20)のアミノ酸配列を含むFR-L4のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含み得る。
例えば、いくつかの例では、抗VEGF抗体は、以下の6つのHVR:(a)DYWIH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)GITPAGGYEYYADSVEG(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)FVFFLPYAMDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQDVSTAVA(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)SASFLYS(配列番号9)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QQGYGNPFT(配列番号23)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、以下の4つの重鎖可変ドメインFR:(a)EEQLVEEGGGLVQPGESLELSCAASGFEIS(配列番号29)のアミノ酸配列を含むFR-H1、(b)WVRQEPGEGLEWVA(配列番号30)のアミノ酸配列を含むFR-H2、(c)RFTISADTSENTAYLQMNELRAEDTAVYYCAR(配列番号31)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び(d)WGQGELVTVSS(配列番号32)のアミノ酸配列を含むFR-H4を含む。さらなる例では、抗VEGF抗体は、以下の4つの軽鎖可変ドメインFR:(a)DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号17)のアミノ酸配列を含むFR-L1、(b)WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号18)のアミノ酸配列を含むFR-L2、(c)GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号24)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び(d)FGQGTKVEIK(配列番号20)のアミノ酸配列を含むFR-L4を含む。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、(a)配列番号33のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号38のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
いくつかの例では、抗VEGF抗体は、以下の6つのHVR:(a)DYWIH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)GITPAGGYEYYADSVEG(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)FVFFLPYAMDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQDVSTAVA(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)SASFLYS(配列番号9)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QQGYGNPFT(配列番号23)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、以下の4つの重鎖可変ドメインFR:(a)EEQLVEEGGGLVQPGESLRLSCAASGFEIS(配列番号52)のアミノ酸配列を含むFR-H1、(b)WVRQEPGEGLEWVA(配列番号30)のアミノ酸配列を含むFR-H2、(c)RFTISADTSENTAYLQMNELRAEDTAVYYCAR(配列番号31)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び(d)WGQGELVTVSS(配列番号32)のアミノ酸配列を含むFR-H4を含む。さらなる例では、抗VEGF抗体は、以下の4つの軽鎖可変ドメインFR:(a)DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号17)のアミノ酸配列を含むFR-L1、(b)WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号18)のアミノ酸配列を含むFR-L2、(c)GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号24)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び(d)FGQGTKVEIK(配列番号20)のアミノ酸配列を含むFR-L4を含む。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、(a)配列番号51のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号38のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
例えば、いくつかの例では、抗VEGF抗体は、(a)DYWIH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)GITPAGGYEYYADSVEG(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)FVFFLPYAMDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQDVSTAVA(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)SASFLYS(配列番号9)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QQGYGAPFT(配列番号10)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVR、または上記のHVRのうちの1つ以上の組み合わせ及び配列番号1、3、8~10、または22のうちのいずれか1つと少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有する1つ以上のそれらのバリアントを含み得る。具体的な例では、いくつかの例では、抗VEGF抗体は、以下の6つのHVR:(a)DYWIH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)GITPAGGYEYYADSVEG(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)FVFFLPYAMDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQDVSTAVA(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)SASFLYS(配列番号9)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QQGYGAPFT(配列番号10)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
いくつかの例では、前述の抗VEGF抗体のいずれも、以下の重鎖可変ドメインフレームワーク領域(FR):(a)EEQLVEEGGGLVQPGESLELSCAASGFEIS(配列番号29)またはEEQLVEEGGGLVQPGESLRLSCAASGFEIS(配列番号52)のアミノ酸配列を含むFR-H1、(b)WVRQEPGEGLEWVA(配列番号30)のアミノ酸配列を含むFR-H2、(c)RFTISADTSENTAYLQMNELRAEDTAVYYCAR(配列番号31)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び(d)WGQGELVTVSS(配列番号32)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含み得る。
いくつかの例では、前述の抗VEGF抗体のいずれも、以下の軽鎖可変ドメインFR:(a)DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号17)、DIQMTQSPESLSASVGDEVTITC(配列番号25)、またはDIQMTQSPSSLSASVGDEVTITC(配列番号26)のアミノ酸配列を含むFR-L1、(b)WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号18)またはWYQQKPGEAPKLLIY(配列番号27)のアミノ酸配列を含むFR-L2、(c)GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDAATYYC(配列番号19)またはGVPSRFSGSGSGTDFTLTIESLQPEDAATYYC(配列番号28)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び(d)FGQGTKVEIK(配列番号20)のアミノ酸配列を含むFR-L4のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含み得る。
例えば、いくつかの例では、抗VEGF抗体は、以下の6つのHVR:(a)DYWIH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)GITPAGGYEYYADSVEG(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)FVFFLPYAMDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQDVSTAVA(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)SASFLYS(配列番号9)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QQGYGAPFT(配列番号10)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、以下の4つの重鎖可変ドメインFR:(a)EEQLVEEGGGLVQPGESLELSCAASGFEIS(配列番号29)のアミノ酸配列を含むFR-H1、(b)WVRQEPGEGLEWVA(配列番号30)のアミノ酸配列を含むFR-H2、(c)RFTISADTSENTAYLQMNELRAEDTAVYYCAR(配列番号31)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び(d)WGQGELVTVSS(配列番号32)のアミノ酸配列を含むFR-H4を含む。さらなる例では、抗VEGF抗体は、以下の4つの軽鎖可変ドメインFR:(a)DIQMTQSPESLSASVGDEVTITC(配列番号25)のアミノ酸配列を含むFR-L1、(b)WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号18)のアミノ酸配列を含むFR-L2、(c)GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDAATYYC(配列番号19)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び(d)FGQGTKVEIK(配列番号20)のアミノ酸配列を含むFR-L4を含む。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、(a)配列番号33のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号34のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
例えば、他の例では、抗VEGF抗体は、以下の6つのHVR:(a)DYWIH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)GITPAGGYEYYADSVEG(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)FVFFLPYAMDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQDVSTAVA(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)SASFLYS(配列番号9)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QQGYGAPFT(配列番号10)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、以下の4つの重鎖可変ドメインFR:(a)EEQLVEEGGGLVQPGESLELSCAASGFEIS(配列番号29)のアミノ酸配列を含むFR-H1、(b)WVRQEPGEGLEWVA(配列番号30)のアミノ酸配列を含むFR-H2、(c)RFTISADTSENTAYLQMNELRAEDTAVYYCAR(配列番号31)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び(d)WGQGELVTVSS(配列番号32)のアミノ酸配列を含むFR-H4を含む。さらなる例では、抗VEGF抗体は、以下の4つの軽鎖可変ドメインFR:(a)DIQMTQSPSSLSASVGDEVTITC(配列番号26)のアミノ酸配列を含むFR-L1、(b)WYQQKPGEAPKLLIY(配列番号27)のアミノ酸配列を含むFR-L2、(c)GVPSRFSGSGSGTDFTLTIESLQPEDAATYYC(配列番号28)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び(d)FGQGTKVEIK(配列番号20)のアミノ酸配列を含むFR-L4を含む。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、(a)配列番号33のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号35のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
例えば、他の例では、抗VEGF抗体は、以下の6つのHVR:(a)DYWIH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)GITPAGGYEYYADSVEG(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)FVFFLPYAMDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQDVSTAVA(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)SASFLYS(配列番号9)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QQGYGAPFT(配列番号10)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、以下の4つの重鎖可変ドメインFR:(a)EEQLVEEGGGLVQPGESLRLSCAASGFEIS(配列番号52)のアミノ酸配列を含むFR-H1、(b)WVRQEPGEGLEWVA(配列番号30)のアミノ酸配列を含むFR-H2、(c)RFTISADTSENTAYLQMNELRAEDTAVYYCAR(配列番号31)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び(d)WGQGELVTVSS(配列番号32)のアミノ酸配列を含むFR-H4を含む。さらなる例では、抗VEGF抗体は、以下の4つの軽鎖可変ドメインFR:(a)DIQMTQSPSSLSASVGDEVTITC(配列番号26)のアミノ酸配列を含むFR-L1、(b)WYQQKPGEAPKLLIY(配列番号27)のアミノ酸配列を含むFR-L2、(c)GVPSRFSGSGSGTDFTLTIESLQPEDAATYYC(配列番号28)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び(d)FGQGTKVEIK(配列番号20)のアミノ酸配列を含むFR-L4を含む。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、(a)配列番号51のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号35のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
例えば、さらに他の例では、抗VEGF抗体は、以下の6つのHVR:(a)DYWIH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)GITPAGGYEYYADSVEG(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)FVFFLPYAMDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQDVSTAVA(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)SASFLYS(配列番号9)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QQGYGAPFT(配列番号10)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、以下の4つの重鎖可変ドメインFR:(a)EEQLVEEGGGLVQPGESLELSCAASGFEIS(配列番号29)のアミノ酸配列を含むFR-H1、(b)WVRQEPGEGLEWVA(配列番号30)のアミノ酸配列を含むFR-H2、(c)RFTISADTSENTAYLQMNELRAEDTAVYYCAR(配列番号31)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び(d)WGQGELVTVSS(配列番号32)のアミノ酸配列を含むFR-H4を含む。さらなる例では、抗VEGF抗体は、以下の4つの軽鎖可変ドメインFR:(a)DIQMTQSPESLSASVGDEVTITC(配列番号25)のアミノ酸配列を含むFR-L1、(b)WYQQKPGEAPKLLIY(配列番号27)のアミノ酸配列を含むFR-L2、(c)GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDAATYYC(配列番号19)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び(d)FGQGTKVEIK(配列番号20)のアミノ酸配列を含むFR-L4を含む。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、(a)配列番号33のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号36のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
例えば、なおさらなる例では、抗VEGF抗体は、以下の6つのHVR:(a)DYWIH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)GITPAGGYEYYADSVEG(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)FVFFLPYAMDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQDVSTAVA(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)SASFLYS(配列番号9)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QQGYGAPFT(配列番号10)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、以下の4つの重鎖可変ドメインFR:(a)EEQLVEEGGGLVQPGESLELSCAASGFEIS(配列番号29)のアミノ酸配列を含むFR-H1、(b)WVRQEPGEGLEWVA(配列番号30)のアミノ酸配列を含むFR-H2、(c)RFTISADTSENTAYLQMNELRAEDTAVYYCAR(配列番号31)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び(d)WGQGELVTVSS(配列番号32)のアミノ酸配列を含むFR-H4を含む。さらなる例では、抗VEGF抗体は、以下の4つの軽鎖可変ドメインFR:(a)DIQMTQSPSSLSASVGDEVTITC(配列番号26)のアミノ酸配列を含むFR-L1、(b)WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号18)のアミノ酸配列を含むFR-L2、(c)GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDAATYYC(配列番号19)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び(d)FGQGTKVEIK(配列番号20)のアミノ酸配列を含むFR-L4を含む。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、(a)配列番号33のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号37のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
他の例では、抗VEGF抗体は、以下の6つのHVR:(a)DYWIH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)GITPAGGYEYYADSVEG(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)FVFFLPYAMDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQDVSTAVA(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)SASFLYS(配列番号9)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QQGYGAPFT(配列番号10)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、以下の4つの重鎖可変ドメインFR:(a)EEQLVEEGGGLVQPGESLRLSCAASGFEIS(配列番号52)のアミノ酸配列を含むFR-H1、(b)WVRQEPGEGLEWVA(配列番号30)のアミノ酸配列を含むFR-H2、(c)RFTISADTSENTAYLQMNELRAEDTAVYYCAR(配列番号31)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び(d)WGQGELVTVSS(配列番号32)のアミノ酸配列を含むFR-H4を含む。さらなる例では、抗VEGF抗体は、以下の4つの軽鎖可変ドメインFR:(a)DIQMTQSPSSLSASVGDEVTITC(配列番号26)のアミノ酸配列を含むFR-L1、(b)WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号18)のアミノ酸配列を含むFR-L2、(c)GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDAATYYC(配列番号19)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び(d)FGQGTKVEIK(配列番号20)のアミノ酸配列を含むFR-L4を含む。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、(a)配列番号51のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号37のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
例えば、他の例では、抗VEGF抗体は、以下の6つのHVR:(a)DYWIH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)GITPAGGYEYYADSVEG(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)FVFFLPYAMDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQDVSTAVA(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)SASFLYS(配列番号9)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QQGYGAPFT(配列番号10)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、以下の4つの重鎖可変ドメインFR:(a)EEQLVEEGGGLVQPGESLELSCAASGFEIS(配列番号29)のアミノ酸配列を含むFR-H1、(b)WVRQEPGEGLEWVA(配列番号30)のアミノ酸配列を含むFR-H2、(c)RFTISADTSENTAYLQMNELRAEDTAVYYCAR(配列番号31)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び(d)WGQGELVTVSS(配列番号32)のアミノ酸配列を含むFR-H4を含む。さらなる例では、抗VEGF抗体は、以下の4つの軽鎖可変ドメインFR:(a)DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号17)のアミノ酸配列を含むFR-L1、(b)WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号18)のアミノ酸配列を含むFR-L2、(c)GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDAATYYC(配列番号19)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び(d)FGQGTKVEIK(配列番号20)のアミノ酸配列を含むFR-L4を含む。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、(a)配列番号33のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
他の例では、抗VEGF抗体は、以下の6つのHVR:(a)DYWIH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)GITPAGGYEYYADSVEG(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)FVFFLPYAMDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQDVSTAVA(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)SASFLYS(配列番号9)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QQGYGAPFT(配列番号10)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、以下の4つの重鎖可変ドメインFR:(a)EEQLVEEGGGLVQPGESLRLSCAASGFEIS(配列番号52)のアミノ酸配列を含むFR-H1、(b)WVRQEPGEGLEWVA(配列番号30)のアミノ酸配列を含むFR-H2、(c)RFTISADTSENTAYLQMNELRAEDTAVYYCAR(配列番号31)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び(d)WGQGELVTVSS(配列番号32)のアミノ酸配列を含むFR-H4を含む。さらなる例では、抗VEGF抗体は、以下の4つの軽鎖可変ドメインFR:(a)DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号17)のアミノ酸配列を含むFR-L1、(b)WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号18)のアミノ酸配列を含むFR-L2、(c)GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDAATYYC(配列番号19)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び(d)FGQGTKVEIK(配列番号20)のアミノ酸配列を含むFR-L4を含む。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、(a)配列番号51のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
いくつかの例では、抗VEGF抗体は、(a)配列番号11、40、もしくは42のうちのいずれか1つと、またはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号12、41、もしくは46のうちのいずれか1つと、またはその配列と少なくとも90%の配列(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン、または(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。例えば、いくつかの例では、抗体は、配列番号11のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号12のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例では、抗体は、配列番号40のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号12のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例では、抗体は、配列番号42のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号12のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例では、抗体は、配列番号42のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号41のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例では、抗体は、配列番号11のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号46のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
いくつかの例では、前述の抗VEGF抗体のいずれも、以下の重鎖可変ドメインフレームワーク領域(FR):(a)EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTIS(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H1、(b)WVRQAPGKGLEWVA(配列番号14)またはWVRQEPGKGLEWVA(配列番号39)のアミノ酸配列を含むFR-H2、(c)RFTISADTSKNTAYLQMRSLRAEDTAVYYCAR(配列番号15)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び(d)WGQGTLVTVSS(配列番号16)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含み得る。
いくつかの例では、前述の抗VEGF抗体のいずれも、以下の軽鎖可変ドメインFR:(a)DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号17)またはDIQMTQSPSSLSASVGDRVTIDC(配列番号45)のアミノ酸配列を含むFR-L1、(b)WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号18)のアミノ酸配列を含むFR-L2、(c)GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDAATYYC(配列番号19)、GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDSATYYC(配列番号44)、またはGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYC(配列番号54)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び(d)FGQGTKVEIK(配列番号20)またはFGQGTKVEVK(配列番号55)のアミノ酸配列を含むFR-L4のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含み得る。
いくつかの例では、抗体は、配列番号11のアミノ酸配列を含むVHドメイン及びDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCQQGYGNPFTFGQGTKVEIK(配列番号59)のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
いくつかの例では、抗体は、配列番号33のアミノ酸配列を含むVHドメイン及びDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCQQGYGNPFTFGQGTKVEIK(配列番号59)のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
いくつかの例では、抗体は、配列番号40のアミノ酸配列を含むVHドメイン及びDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCQQGYGNPFTFGQGTKVEIK(配列番号59)のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
いくつかの例では、抗体は、配列番号42のアミノ酸配列を含むVHドメイン及びDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCQQGYGNPFTFGQGTKVEIK(配列番号59)のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
いくつかの例では、抗体は、配列番号51のアミノ酸配列を含むVHドメイン及びDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCQQGYGNPFTFGQGTKVEIK(配列番号59)のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
いくつかの例では、抗体は、配列番号11のアミノ酸配列を含むVHドメイン及びDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCQQGYGAPFTFGQGTKVEIK(配列番号60)のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
いくつかの例では、抗体は、配列番号33のアミノ酸配列を含むVHドメイン及びDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCQQGYGAPFTFGQGTKVEIK(配列番号60)のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
いくつかの例では、抗体は、配列番号40のアミノ酸配列を含むVHドメイン及びDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCQQGYGAPFTFGQGTKVEIK(配列番号60)のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
いくつかの例では、抗体は、配列番号42のアミノ酸配列を含むVHドメイン及びDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCQQGYGAPFTFGQGTKVEIK(配列番号60)のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
いくつかの例では、抗体は、配列番号51のアミノ酸配列を含むVHドメイン及びDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCQQGYGAPFTFGQGTKVEIK(配列番号60)のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。例えば、いくつかの例では、抗VEGF抗体は、(a)配列番号11と、またはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン、(b)配列番号11と、またはその配列と少なくとも90%の配列(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン、または(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、(a)DYWIH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)GITPAGGYTRYADSVKG(配列番号7)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)FVFFLPYAMDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQDVSTAVA(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)SASFLYS(配列番号9)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QQGYGAPFT(配列番号10)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み得る。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、以下の重鎖フレームワーク領域:(a)EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTIS(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H1、(b)WVRQAPGKGLEWVA(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H2、(c)RFTISADTSKNTAYLQMRSLRAEDTAVYYCAR(配列番号15)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び(d)WGQGTLVTVSS(配列番号16)のアミノ酸配列を含むFR-H4を含む。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、以下の軽鎖フレームワーク領域:(a)DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号17)のアミノ酸配列を含むFR-L1、(b)WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号18)のアミノ酸配列を含むFR-L2、(c)GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDAATYYC(配列番号19)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び(d)FGQGTKVEIK(配列番号20)のアミノ酸配列を含むFR-L4を含む。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、(a)配列番号11のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む結合ドメインを含む。いくつかの例では、例示的な抗VEGFは、N94A.F83A.N82aR.Y58R(G6.31 AARRまたはG6.31.AARRとも称される)である。
いくつかの例では、抗VEGF抗体は、(a)配列番号33または51と、またはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン、(b)配列番号12、34、35、36、37、または38のうちのいずれか1つと、またはその配列と少なくとも90%の配列(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン、または(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。例えば、いくつかの例では、抗体は、配列番号33のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号12のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例では、抗体は、配列番号33のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号34のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例では、抗体は、配列番号33のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号35のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例では、抗体は、配列番号33のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号36のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例では、抗体は、配列番号33のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号37のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例では、抗体は、配列番号33のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号38のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例では、抗体は、配列番号51のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号38のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例では、抗体は、配列番号51のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号35のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例では、抗体は、配列番号51のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号37のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例では、抗体は、配列番号51のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号12のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
いくつかの例では、前述の抗VEGF抗体のいずれも、以下の重鎖可変ドメインフレームワーク領域(FR):EEQLVEEGGGLVQPGESLELSCAASGFEIS(配列番号29)またはEEQLVEEGGGLVQPGESLRLSCAASGFEIS(配列番号52)のアミノ酸配列を含むFR-H1、(b)WVRQEPGEGLEWVA(配列番号30)またはWVRQEPGKGLEWVA(配列番号39)のアミノ酸配列を含むFR-H2、(c)RFTISADTSENTAYLQMNELRAEDTAVYYCAR(配列番号31)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び(d)WGQGELVTVSS(配列番号32)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含み得る。
いくつかの例では、前述の抗VEGF抗体のいずれも、以下の軽鎖可変ドメインFR:(a)DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号17)、DIQMTQSPESLSASVGDEVTITC(配列番号25)、またはDIQMTQSPSSLSASVGDEVTITC(配列番号26)のアミノ酸配列を含むFR-L1、(b)WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号18)またはWYQQKPGEAPKLLIY(配列番号27)のアミノ酸配列を含むFR-L2、(c)GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDAATYYC(配列番号19)、GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号24)、またはGVPSRFSGSGSGTDFTLTIESLQPEDAATYYC(配列番号28)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び(d)FGQGTKVEIK(配列番号20)のアミノ酸配列を含むFR-L4のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含み得る。
いくつかの例では、本発明は、(a)配列番号48のアミノ酸配列を含む重鎖及び/または(b)配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗体を提供する。ある特定の実施形態では、この抗体は、Fab型式で表現されるG6.31 AARRである。
いくつかの例では、本発明は、(a)配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖及び/または(b)配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗体を提供する。ある特定の実施形態では、この抗体は、抗ヒトIgGに対する反応性を欠くG6.31 AARRのバリアントバージョンである。
さらなる態様では、上記の実施形態のいずれかに従う抗体(例えば、抗VEGF抗体)は、以下の第1節~第8節に記載の特徴のうちのいずれかを、単独または組み合わせで組み込み得る。
1.抗体親和性
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下、または0.001nM以下(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(Kd)を有する。例えば、いくつかの例では、本明細書で提供される抗体は、約10nM以下のKdで抗原(例えば、ヒトVEGF(hVEGF))に結合する。いくつかの例では、本明細書で提供される抗体は、約5nM以下のKdで抗原(例えば、hVEGF)に結合する。いくつかの例では、本明細書で提供される抗体は、約2nM以下のKdでhVEGFに結合する。例えば、いくつかの例では、抗体は、約25pM~約2nM(例えば、約25pM、約50pM、約75pM、約100pM、約125pM、約150pM、約175pM、約200pM、約225pM、約250pM、約275pM、約300pM、約325pM、約350pM、約375pM、約400pM、約425pM、約450pM、約475pM、約500pM、約525pM、約550pM、約575pM、約600pM、約625pM、約650pM、約675pM、約700pM、約725pM、約750pM、約775pM、約800pM、約825pM、約850pM、約875pM、約900pM、約925pM、約950pM、約975pM、約1nM、約1.1nM、約1.2nM、約1.3nM、約1.4nM、約1.5nM、約1.6nM、約1.7nM、約1.8nM、約1.9nM、または約2nM)のKdで抗原(例えば、hVEGF)に結合する。いくつかの例では、抗体は、約75pM~約600pM(例えば、約75pM、約100pM、約125pM、約150pM、約175pM、約200pM、約225pM、約250pM、約275pM、約300pM、約325pM、約350pM、約375pM、約400pM、約425pM、約450pM、約475pM、約500pM、約525pM、約550pM、約575pM、約600pM)のKdで抗原(例えば、hVEGF)に結合する。いくつかの例では、抗体は、約75pM~約500pMのKdで抗原(例えば、hVEGF)に結合する。いくつかの例では、抗体は、約75pM~約400pMのKdで抗原(例えば、hVEGF)に結合する。いくつかの例では、抗体は、約75pM~約300pMのKdで抗原(例えば、hVEGF)に結合する。いくつかの例では、抗体は、約75pM~約200pMのKdで抗原(例えば、hVEGF)に結合する。いくつかの例では、抗体は、約75pM~約150pMのKdで抗原(例えば、hVEGF)に結合する。いくつかの例では、抗体は、約75pM~約125pMのKdで抗原(例えば、hVEGF)に結合する。いくつかの例では、抗体は、約75pM~約100pMのKdで抗原(例えば、hVEGF)に結合する。いくつかの例では、抗体は、約80pMのKdで抗原(例えば、hVEGF)に結合する。いくつかの例では、抗体は、約60pMのKdで抗原(例えば、hVEGF)に結合する。いくつかの例では、抗体は、約40pMのKdで抗原(例えば、hVEGF)に結合する。
一実施形態では、Kdは、放射性標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。一実施形態では、RIAは、目的とする抗体及びその抗原のFabバージョンを用いて行われる。例えば、抗原に対するFabの溶液結合親和性は、Fabを、非標識抗原の滴定系列の存在下で、最小濃度の(125I)標識抗原で平衡化し、その後、結合した抗原を抗Fab抗体コーティングプレートで捕捉することによって測定される。(例えば、Chen et al.,J.Mol.Biol.293:865-881(1999)を参照のこと)。このアッセイのための条件を確立するために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)が50mM炭酸ナトリウム(pH9.6)中5μg/mLの捕捉抗Fab抗体(Cappel Labs)で一晩コーティングされ、その後、室温(およそ23℃)で2~5時間にわたってリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中2w/v%ウシ血清アルブミン(BSA)で遮断される。非吸着プレート(Nunc番号269620)中で、100pMまたは26pM[125I]-抗原が目的とするFabの連続希釈液と混合される(例えば、Presta et al.,Cancer Res.57:4593-4599(1997)における抗VEGF抗体Fab-12の評価と一貫する)。その後、目的とするFabが一晩インキュベートされるが、このインキュベーションは、平衡に到達することを確実にするために、より長い期間(例えば、約65時間)にわたって継続し得る。その後、室温での(例えば、1時間にわたる)インキュベーションのために、混合物が捕捉プレートに移される。その後、溶液が除去され、プレートがPBS中0.1%ポリソルベート20(TWEEN-20(登録商標))で8回洗浄される。プレートが乾燥した時点で、150μL/ウェルのシンチラント(MICROSCINT-20(商標)、Packard)が添加され、プレートがTOPCOUNT(商標)ガンマ計数器(Packard)で10分間にわたって計数される。20%以下の最大結合をもたらす各Fabの濃度が、競合的結合アッセイにおける使用のために選択される。
別の実施形態によれば、Kdは、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイを使用して測定される。例えば、BIACORE(登録商標)-2000またはBIACORE(登録商標)-3000(BIAcore,Inc.、Piscataway,NJ)を使用したアッセイは、約10の応答単位(RU)で固定化抗原CM5チップを用いて25℃で行われる。一実施形態では、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIAcore,Inc.)は、供給業者の指示に従って、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化される。抗原が10mM酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/mL(約0.2μM)に希釈された後、5μL/分の流量で注入して、およそ10の応答単位(RU)のカップリングされたタンパク質を達成する。抗原注入後、1Mエタノールアミンが注入されて、未反応基を遮断する。動態測定のために、Fabの2倍連続希釈液(0.78nM~500nM)が、25℃の0.05%ポリソルベート20(TWEEN-20(商標))界面活性剤を有するPBS(PBST)中におよそ25μL/分の流量で注入される。会合速度(kon)及び解離速度(koff)が、会合センサグラムと解離センサグラムを同時にフィッティングすることによって、単純1対1ラングミュア結合モデル(BIACORE(登録商標)評価ソフトウェアバージョン3.2)を使用して計算される。平衡解離定数(Kd)が、koff/kon比として計算される。例えば、Chen et al.,J.Mol.Biol.293:865-881(1999)を参照されたい。上記の表面プラズモン共鳴アッセイによるon速度が106M-1s-1を超える場合、on速度は、ストップフローを装備した分光光度計(Aviv Instruments)または撹拌キュベットを備えた8000シリーズSLM-AMINCO(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)等の分光計で測定される、増加濃度の抗原の存在下で25℃のPBS(pH7.2)中20nM抗抗原抗体(Fab形態)の蛍光発光強度(励起295nm、発光340nm、帯域通過16nm)の増加または減少を測定する蛍光消光技法を使用することによって決定され得る。
2.抗体安定性
いくつかの例では、本発明の抗体コンジュゲートまたはその組成物に使用される抗体は、例えば、抗VEGF抗体、例えば、G6.31と比較して、向上した安定性を有する(例えば、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,758,859号及び国際出願公開第WO2005/012359号を参照のこと)。抗体の安定性は、当該技術分野で既知のいずれかの方法、例えば、示差走査蛍光定量法(DSF)、円偏光二色性(CD)、内在性タンパク質蛍光、示差走査熱量測定、分光法、光散乱(例えば、動的光散乱(DLS)及び静的光散乱(SLS)、自己相互作用クロマトグラフィー(SIC)を使用して決定され得る。抗VEGF抗体は、例えば、抗VEGF抗体、例えば、G6.31と比較して、向上した融解温度(Tm)、凝集温度(Tagg)、または安定性の他の測定基準を有し得る。
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、約80℃以上(例えば、約81℃、約82℃、約83℃、約84℃、約85℃、約86℃、約87℃、約88℃、約89℃、約90℃、約91℃、約92℃、または約93℃)のTmを有する。例えば、いくつかの例では、抗VEGF抗体は、約83.5℃以上(例えば、約83.5℃、約84℃、約85℃、約86℃、約87℃、約88℃、約89℃、約90℃、約91℃、約92℃、または約93℃)のTmを有する。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、約82℃~約92℃(例えば、約82℃、約83℃、約84℃、約85℃、約86℃、約87℃、約88℃、約89℃、約90℃、約91℃、または約92℃)のTmを有する。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、約82℃のTmを有する。いくつかの例では、抗VEGF抗体の前述のTm値のうちのいずれも、DSFを使用して決定される。いくつかの実施形態では、抗VEGF抗体のTm値は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際特許出願第PCT/US2016/053454号の実施例1に記載されるように決定される。
3.抗体断片
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、抗体断片である。抗体断片には、Fab、Fab’、Fab-C、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、及びscFv断片、ならびに以下に記載の他の断片が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の抗体断片の概説については、Hudson et al.,Nat.Med.9:129-134(2003)を参照されたい。scFv断片の概説については、例えば、Pluckthun(The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,(Springer-Verlag,New York),pp.269-315(1994))を参照されたく、WO93/16185、ならびに米国特許第5,571,894号及び同第5,587,458号も参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、かつ増加したインビボ半減期を有するFab及びF(ab’)2断片の議論については、米国特許第5,869,046号を参照されたい。
ダイアボディは、二価または二重特異性であり得る2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、EP404,097、WO1993/01161、Hudson et al.,Nat.Med.9:129-134(2003)、及びHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448(1993)を参照されたい。トリアボディ及びテトラボディもHudson et al.,Nat.Med.9:129-134(2003)に記載されている。
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全てまたは一部分または軽鎖可変ドメインの全てまたは一部分を含む抗体断片である。ある特定の実施形態では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis,Inc.,Waltham,MA、例えば、米国特許第6,248,516B1号を参照のこと)。
抗体断片は、本明細書に記載されるように、インタクト抗体のタンパク質消化、ならびに組換え宿主細胞(例えば、E.coliまたはファージ)による産生を含むが、これらに限定されない様々な技法によって作製され得る。
4.キメラ及びヒト化抗体
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、キメラ抗体である。ある特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号、及びMorrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855(1984)に記載されている。一例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、またはサル等の非ヒト霊長類に由来する可変ドメイン)及びヒト定常ドメインを含む。さらなる例では、キメラ抗体は、クラスまたはサブクラスが親抗体のクラスまたはサブクラスから変化した「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合断片を含む。
ある特定の実施形態では、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体は、親非ヒト抗体の特異性及び親和性を保持しながらヒトに対する免疫原性を低減するようにヒト化される。一般に、ヒト化抗体は、HVR、例えば、CDR(またはその一部分)が非ヒト抗体に由来し、かつFR(またはその一部分)がヒト抗体配列に由来する1つ以上の可変ドメインを含む。ヒト化抗体は、任意に、ヒト定常領域の少なくとも一部分を含む。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体におけるいくつかのFR残基は、例えば、抗体特異性または親和性を回復させるか、または改善するために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)由来の対応する残基で置換される。
ヒト化抗体及びそれらを作製する方法は、例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)に概説されており、例えば、Riechmann et al.,Nature 332:323-329(1988)、Queen et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 86:10029-10033(1989)、米国特許第5,821,337号、同第7,527,791号、同第6,982,321号、及び同第7,087,409号、Kashmiri et al.,Methods 36:25-34(2005)(特異性決定領域(SDR)グラフティングについて記載する)、Padlan,Mol.Immunol.28:489-498(1991)(「リサーフェイシング」について記載する)、Dall’Acqua et al.,Methods 36:43-60(2005)(「FRシャフリング」について記載する)、ならびにOsbourn et al.,Methods 36:61-68(2005)及びKlimka et al.,Br.J.Cancer,83:252-260(2000)(FRシャフリングへの「誘導選択」アプローチについて記載する)にさらに記載されている。
ヒト化のために使用され得るヒトフレームワーク領域には、「最良適合」法を使用して選択されるフレームワーク領域(例えば、Sims et al.,J.Immunol.151:2296(1993)を参照のこと)、軽鎖または重鎖可変領域の特定の下位群のヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992)、及びPresta et al.,J.Immunol.,151:2623(1993)を参照のこと)、ヒト成熟(体細胞突然変異した)フレームワーク領域またはヒト生殖細胞系列フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)を参照のこと)、及びFRライブラリのスクリーニングに由来するフレームワーク領域(例えば、Baca et al.,J.Biol.Chem.272:10678-10684(1997)及びRosok et al.,J.Biol.Chem.271:22611-22618(1996)を参照のこと)が含まれるが、これらに限定されない。
5.ヒト抗体
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当該技術分野で既知の様々な技法を使用して産生され得る。ヒト抗体は、概して、van Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.5:368-74(2001)及びLonberg,Curr.Opin.Immunol.20:450-459(2008)に記載されている。
ヒト抗体は、抗原曝露に応答してインタクトヒト抗体またはヒト可変領域を有するインタクト抗体を産生するように修飾されたトランスジェニック動物に免疫原を投与することによって調製され得る。かかる動物は、典型的には、内因性免疫グロブリン遺伝子座を置き換えるか、あるいは染色体外に存在するか、または動物の染色体にランダムに組み込まれるヒト免疫グロブリン遺伝子座の全てまたは一部分を含む。かかるトランスジェニックマウスにおいて、内因性免疫グロブリン遺伝子座は、一般に、不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の概説については、Lonberg,Nat.Biotech.23:1117-1125(2005)を参照されたい。例えば、XENOMOUSE(商標)技術について記載する米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584号、HUMAB(登録商標)技術について記載する米国特許第5,770,429号、K-M MOUSE(登録商標)技術について記載する米国特許第7,041,870号、ならびにVELOCIMOUSE(登録商標)技術について記載する米国特許出願公開第US2007/0061900号も参照されたい。かかる動物によって生成されたインタクト抗体由来のヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることによってさらに修飾され得る。
ヒト抗体は、ハイブリドーマに基づく方法によっても作製され得る。ヒトモノクローナル抗体の産生のためのヒト骨髄腫及びマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株について記載されている(例えば、KozborJ.Immunol.,133:3001(1984)、Brodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51-63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987)、及びBoerner et al.,J.Immunol.,147:86(1991)を参照のこと)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術により生成されたヒト抗体についても、Li et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557-3562(2006)に記載されている。さらなる方法には、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIgM抗体の産生について記載する)及びNi,Xiandai Mianyixue,26(4):265-268(2006)(ヒト-ヒトハイブリドーマについて記載する)に記載の方法が含まれる。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)についても、Vollmers and Brandlein,Histology and Histopathology,20(3):927-937(2005)、及びVollmers and Brandlein,Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology,27(3):185-91(2005)に記載されている。
ヒト抗体は、ヒト由来のファージディスプレイライブラリから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することによっても生成され得る。その後、かかる可変ドメイン配列は、所望のヒト定常ドメインと組み合わせられ得る。抗体ライブラリからヒト抗体を選択するための技法が、以下に記載される。
6.ライブラリ由来の抗体
本発明の抗体は、所望の活性(複数可)を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリをスクリーニングすることによって単離され得る。例えば、ファージディスプレイライブラリを生成し、所望の結合特性を有する抗体についてかかるライブラリをスクリーニングするための様々な方法が当該技術分野で既知である。かかる方法は、例えば、Hoogenboom et al.,in Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2001)に概説されており、例えば、McCafferty et al.,Nature 348:552-554、Clackson et al.,Nature 352:624-628(1991)、Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1992)、Marks and Bradbury,in Methods in Molecular Biology 248:161-175(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003)、Sidhu et al.,J.Mol.Biol.338(2):299-310(2004)、Lee et al.,J.Mol.Biol.340(5):1073-1093(2004)、Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467-12472(2004)、及びLee et al.,J.Immunol.Methods 284(1-2):119-132(2004)にさらに記載されている。
ある特定のファージディスプレイ法において、VH及びVL遺伝子のレパートリーがポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別々にクローニングされ、ファージライブラリ内でランダムに組換えられ、その後、Winter et al.,Ann.Rev.Immunol.,12:433-455(1994)に記載されるように、抗原結合ファージについてスクリーニングされ得る。ファージは、典型的には、一本鎖Fv(scFv)断片またはFab断片のいずれかとして抗体断片をディスプレイする。免疫化源由来のライブラリは、ハイブリドーマの構築を必要とすることなく、高親和性抗体を免疫原に提供する。あるいは、Griffiths et al.,EMBO J,12:725-734(1993)によって説明されるように、ナイーブレパートリーがクローニングされて(例えば、ヒト由来)、いかなる免疫化も伴うことなく、単一の抗体源を、様々な非自己抗原に提供し、かつ自己抗原にも提供することができる。最後に、Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381-388(1992)によって説明されるように、ナイーブライブラリは、幹細胞由来の再編成されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、かつランダム配列を含むPCRプライマーを使用して、高度可変CDR3領域をコードし、インビトロでの再編成を達成することによっても合成的に作製され得る。ヒト抗体ファージライブラリについて記載する特許公報には、例えば、米国特許第5,750,373号、ならびに米国特許公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/0160598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号、及び同第2009/0002360号が含まれる。
抗体または抗体断片は、国際特許出願第PCT/US2016/053454号に記載のファージライブラリに由来し得る。
ヒト抗体ライブラリから単離された抗体または抗体断片は、本明細書においてヒト抗体またはヒト抗体断片と見なされる。
7.多重特異性抗体
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。ある特定の実施形態では、結合特異性の一方は、VEGFに対し、他方は、任意の他の抗原(例えば、第2の生物学的分子、例えば、インターロイキン-1ベータ(IL-1β)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-6受容体(IL-6R)、インターロイキン-13(IL-13)、IL-13受容体(IL-13R)、PDGF(例えば、PDGF-BB)、アンジオポエチン、アンジオポエチン2(Ang2)、Tie2、S1P、インテグリンαvβ3、αvβ5、及びα5β1、ベータセルリン、アペリン/APJ、エリスロポエチン、補体D因子、TNFα、HtrA1、VEGF受容体(例えば、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、膜結合型VEGF受容体(mbVEGFR)、または可溶性VEGF受容体(sVEGFR))、ST-2受容体、ならびに加齢性黄斑変性症(AMD)リスクと遺伝的に関連するタンパク質、例えば、補体経路成分C2、B因子、H因子、CFHR3、C3b、C5、C5a、及びC3a、HtrA1、ARMS2、TIMP3、HLA、インターロイキン-8(IL-8)、CX3CR1、TLR3、TLR4、CETP、LIPC、COL10A1、及びTNFRSF10Aに対する。したがって、二重特異性抗体は、VEGF及びIL-1β、VEGF及びIL-6、VEGF及びIL-6R、VEGF及びIL-13、VEGF及びIL-13R、VEGF及びPDGF(例えば、PDGF-BB)、VEGF及びアンジオポエチン、VEGF及びAng2、VEGF及びTie2、VEGF及びS1P、VEGF及びインテグリンαvβ3、VEGF及びインテグリンαvβ5、VEGF及びインテグリンα5β1、VEGF及びベータセルリン、VEGF及びアペリン/APJ、VEGF及びエリスロポエチン、VEGF及び補体D因子、VEGF及びTNFα、VEGF及びHtrA1、VEGF及びVEGF受容体(例えば、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、mbVEGFR、またはsVEGFR)、VEGF及びST-2受容体、VEGF及びC2、VEGF及びB因子、VEGF及びH因子、VEGF及びCFHR3、VEGF及びC3b、VEGF及びC5、VEGF及びC5a、VEGF及びC3a、VEGF及びARMS2、VEGF及びTIMP3、VEGF及びHLA、VEGF及びIL-8、VEGF及びCX3CR1、VEGF及びTLR3、VEGF及びTLR4、VEGF及びCETP、VEGF及びLIPC、VEGF及びCOL10A1、またはVEGF及びTNFRSF10Aに対する結合特異性を有し得る。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体は、VEGFの2つの異なるエピトープに結合し得る。二重特異性抗体は、VEGFを発現する細胞に細胞傷害性剤を局在化させるために使用され得る。二重特異性抗体は、全長抗体または抗体断片(例えば、Fab、Fab’、またはFab-C断片)として調製され得る。
いくつかの例では、二重特異性抗体は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第US2014/0017244号に開示される二重特異性抗VEGF/抗アンジオポエチン2(Ang2)抗体である。例えば、抗VEGF/抗Ang2二重特異性抗体は、VEGF(例えば、本明細書に記載の抗VEGF抗体のいずれか)に結合する第1の結合ドメインと、Ang2に結合し、かつ(a)GYYMH(配列番号62)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)WINPNSGGTNYAQKFQG(配列番号63)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)SPNPYYYDSSGYYYPGAFDI(配列番号64)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)GGNNIGSKSVH(配列番号65)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)DDSDRPS(配列番号66)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QVWDSSSDHWV(配列番号67)のアミノ酸配列を含むHVR-L3、または上記のHVRのうちの1つ以上の組み合わせ及び配列番号62~67のうちのいずれか1つと少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有する1つ以上のそれらのバリアントを含む第2の結合ドメインとを含み得る。
いくつかの例では、抗VEGF/抗Ang2二重特異性抗体は、VEGF(例えば、本明細書に記載の抗VEGF抗体のいずれか)に結合する第1の結合ドメインと、Ang2に結合し、かつ(a)配列番号68と、またはその配列と少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン、(b)配列番号69と、またはその配列と少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン、または(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む第2の結合ドメインとを含み得る。いくつかの例では、抗VEGF/抗Ang2二重特異性抗体は、VEGF(例えば、本明細書に記載の抗VEGF抗体のいずれか)に結合する第1の結合ドメイン及びAng2に特異的に結合する第2の結合ドメインを含み得、第2の結合ドメインは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際特許出願公開第WO2010/069532号に記載のいずれかの抗体結合ドメイン、またはそれらのバリアントである。
他の例では、抗VEGF/抗Ang2二重特異性抗体は、国際特許出願公開第WO2016/073157号に記載のいずれかの抗VEGF/抗Ang2二重特異性抗体である。
いくつかの例では、二重特異性抗体は、二重特異性抗VEGF/抗IL-6抗体である。いくつかの例では、抗VEGF/抗IL-6二重特異性抗体は、VEGF(例えば、本明細書に記載の抗VEGF抗体のいずれか)に結合する第1の結合ドメイン及びIL-6に結合する第2の結合ドメインを含み得る。第2の結合ドメインは、当該技術分野で既知のいずれかの抗IL-6抗体の結合ドメイン、例えば、EBI-031(Eleven Biotherapeutics、例えば、参照により全体が本明細書に組み込まれるWO2016/073890を参照のこと)、シルツキシマブ(SYLVANT(登録商標))、オロキズマブ、クラザキズマブ、シルクマブ、エルシリモマブ、ゲリリムズマブ、OPR-003、MEDI-5117、PF-04236921、またはそれらのバリアントであり得る。
いくつかの例では、二重特異性抗体は、二重特異性抗VEGF/抗IL-6R抗体である。いくつかの例では、抗VEGF/抗IL-6R二重特異性抗体は、VEGF(例えば、本明細書に記載の抗VEGF抗体のいずれか)に結合する第1の結合ドメイン及びIL-6Rに結合する第2の結合ドメインを含み得る。第2の結合ドメインは、当該技術分野で既知のいずれかの抗IL-6R抗体の結合ドメイン、例えば、トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標))(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO1992/019579を参照のこと)、サリルマブ、ボバリリズマブ(ALX-0061)、SA-237、またはそれらのバリアントであり得る。
多重特異性抗体を作製するための技法には、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の組換え共発現(Milstein and Cuello,Nature 305:537(1983))、WO93/08829、及びTraunecker et al.,EMBOJ.10:3655(1991)を参照のこと)、及び「ノブ・イン・ホール」操作(例えば、米国特許第5,731,168号を参照のこと)が含まれるが、これらに限定されない。多重特異性抗体は、静電ステアリング効果を操作して抗体Fc-ヘテロ二量体分子を作製すること(WO2009/089004A1)、2つ以上の抗体または断片を架橋すること(例えば、米国特許第4,676,980号、及びBrennan et al.,Science,229:81(1985)を参照のこと)、ロイシンジッパーを使用して二重特異性抗体を産生すること(例えば、Kostelny et al.,J.Immunol.,148(5):1547-1553(1992)を参照のこと)、二重特異性抗体断片を作製するための「ダイアボディ」技術を使用すること(例えば、Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444-6448(1993)を参照のこと)、及び一本鎖Fv(sFv)二量体を使用すること(例えば、Gruber et al.,J.Immunol.,152:5368(1994)を参照のこと)、及び三重特異性抗体を調製する(例えば、Tutt et al.,J.Immunol.147:60(1991)に記載されるように)ことによっても作製され得る。
「オクトパス抗体」を含む3つ以上の機能的抗原結合部位を有する操作された抗体も、本明細書に含まれる(例えばUS2006/0025576A1を参照のこと)。
本明細書における抗体または断片は、VEGF、ならびに別の異なる抗原に結合する抗原結合部位を含む「二重作用FAb」または「DAF」も含む(例えば、US2008/0069820を参照のこと)。
8.抗体バリアント
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体のアミノ酸配列バリアント(例えば、1つ以上のアミノ酸残基改変を含む抗体バリアント)が企図される。例えば、抗体の結合親和性及び/または他の生物学的特性を改善することが望ましくあり得る。抗体のアミノ酸配列バリアントは、抗体をコードするヌクレオチド配列に適切な修飾を導入することによって、またはペプチド合成によって調製され得る。かかる修飾には、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/またはそれへの挿入、及び/またはその置換が含まれる。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせを行って、最終構築物に到達することができるが、但し、最終構築物が所望の特性、例えば、抗原結合を有することを条件とする。
a)置換、挿入、及び欠失バリアント
ある特定の実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換を有する抗体バリアントが提供される。置換突然変異誘発の目的とする部位には、HVR及びFRが含まれる。保存的置換は、表1の「好ましい置換」という見出しの下に示される。より実質的な変化は、表1の「例示的な置換」という見出しの下に提供され、アミノ酸側鎖クラスを参照して以下にさらに記載される。アミノ酸置換は、目的とする抗体に導入され得、産物は、所望の活性、例えば、保持/改善された抗原結合、低減された免疫原性、または改善されたADCCもしくはCDCについてスクリーニングされ得る。
表1
アミノ酸は、一般的な側鎖特性に従って分類され得る。
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln
(3)酸性:Asp、Glu
(4)塩基性:His、Lys、Arg
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーの別のクラスとの交換を伴う。
一種の置換バリアントは、親抗体(例えば、ヒト化またはヒト抗体)の1つ以上の超可変領域残基及び/またはFR残基の置換を伴う。一般に、さらなる研究のために選択される結果として得られたバリアント(複数可)は、親抗体と比較してある特定の生物学的特性の修正(例えば、改善)(例えば、増加した親和性、増加した安定性、増加した発現量、変化したpI、及び/または低減された免疫原性)を有し、及び/または親抗体の実質的に保持されたある特定の生物学的特性を有する。例示的な置換バリアントは、例えば、本明細書に記載の技法等のファージディスプレイに基づく親和性成熟技法を使用して簡便に生成され得る親和性成熟抗体である。簡潔には、1つ以上のHVR残基が突然変異し、バリアント抗体がファージ上にディスプレイされ、特定の生物学的活性(例えば結合親和性)についてスクリーニングされる。
改変(例えば、置換)は、例えば、抗体親和性を改善するために、HVRで行われ得る。かかる改変は、HVR「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟過程中に高頻度で突然変異を経るコドンによってコードされた残基(例えば、Chowdhury,Methods Mol.Biol.207:179-196(2008)を参照のこと)、及び/または抗原と接触する残基で行われ得、結果として得られたバリアントVHまたはVLが、結合親和性について試験される。二次ライブラリの構築及びそれからの再選択による親和性成熟は、例えば、Hoogenboom et al.,in Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,(2001))に記載されている。親和性成熟のいくつかの実施形態では、様々な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャフリング、またはオリゴヌクレオチド指向性突然変異誘発)のうちのいずれかによって、多様性が、成熟のために選択された可変遺伝子に導入される。その後、二次ライブラリが作成される。その後、ライブラリがスクリーニングされて、所望の親和性を有するいずれの抗体バリアントも特定する。多様性を導入する別の方法は、いくつかのHVR残基(例えば、一度に4~6個の残基)がランダム化されるHVR指向性アプローチを伴う。抗原結合に関与するHVR残基は、例えば、アラニンスキャニング突然変異誘発またはモデリングを使用して、具体的に特定され得る。特にCDR-H3及びCDR-L3が、多くの場合、標的とされる。
ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、かかる改変が抗原に結合する抗体の能力を実質的に低下させない限り、1つ以上のHVR内に生じ得る。例えば、結合親和性を実質的に低減しない保存的改変(例えば、本明細書で提供される保存的置換)がHVRで行われ得る。かかる改変は、例えば、HVR内の抗原接触残基の外側であり得る。上で提供されるバリアントVH及びVL配列のある特定の実施形態では、各HVRは、改変されていないか、または1つ、2つ、もしくは3つ以下のアミノ酸置換を含むかのいずれかである。
ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、かかる改変が抗原に結合する抗体の能力を実質的に低下させない限り、1つ以上のFR内で生じ得る。かかる改変は、例えば、抗体親和性及び/または安定性(例えば、上昇した融解温度によって評価される)を改善し得る。
突然変異誘発の標的とされ得る抗体の残基または領域の特定に有用な方法は、Cunningham and Wells(1989)Science,244:1081-1085によって説明される「アラニンスキャニング突然変異誘発」と呼ばれる。この方法では、標的残基の残基または基(例えば、Arg、Asp、His、Lys、及びGlu等の荷電残基)が特定され、中性または負に荷電したアミノ酸(例えば、アラニンまたはポリアラニン)によって置換されて、抗体と抗原との相互作用に影響が及ぼされたかを決定する。さらなる置換は、最初の置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸位置に導入され得る。あるいは、または加えて、抗原-抗体複合体の結晶構造は、抗体と抗原との間の接触点を特定する。かかる接触残基及び隣接する残基は、置換の候補として標的とされ得るか、または排除され得る。バリアントがスクリーニングされて、それらが所望の特性を有するかを決定することができる。
アミノ酸配列挿入には、長さが1残基から100残基以上を含むポリペプチドの範囲であるアミノ末端及び/またはカルボキシル末端融合、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入バリアントには、抗体のN末端またはC末端の、抗体の血清半減期を増加させる酵素(例えば、ADEPTのための)またはポリペプチドへの融合が含まれる。
b)グリコシル化バリアント
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、抗体がグリコシル化される程度を増加または減少させるように改変される。グリコシル化部位の抗体への付加または欠失は、1つ以上のグリコシル化部位が作製または除去されるようにアミノ酸配列を改変することによって簡便に達成され得る。
抗体がFc領域を含む場合、それに結合した炭水化物が改変され得る。哺乳類細胞によって産生された天然抗体は、典型的には、一般にN結合によってFc領域のCH2ドメインのAsn297に結合される分岐状の二分岐オリゴ糖を含む。例えば、Wright et al.,TIBTECH 15:26-32(1997)を参照されたい。オリゴ糖には、様々な炭水化物、例えば、マンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸、ならびに二分岐オリゴ糖構造の「幹」におけるGlcNAcに結合したフコースが含まれ得る。いくつかの実施形態では、本発明の抗体におけるオリゴ糖の修飾が、ある特定の改善された特性を有する抗体バリアントを作製するために行われ得る。
一実施形態では、Fc領域に(直接的または間接的に)結合したフコースを欠く炭水化物構造を有する抗体バリアントが提供される。例えば、かかる抗体中のフコースの量は、1%~80%、1%~65%、5%~65%または20%~40%であり得る。フコースの量は、例えば、WO2008/077546に記載されるように、MALDI-TOF質量分析によって測定される、Asn297に結合した全ての糖構造(例えば、複合体、ハイブリッド、及び高マンノース構造)の合計に対する、Asn297における糖鎖内のフコースの平均量を計算することによって決定される。Asn297は、Fc領域内の約297位(Fc領域残基のEu番号付け)に位置するアスパラギン残基を指すが、しかしながら、Asn297は、抗体内のわずかな配列変異のため、297位から約±3アミノ酸上流または下流、すなわち、294位と300位との間に位置する場合もある。かかるフコシル化バリアントは、改善されたADCC機能を有し得る。例えば、米国特許公開第US2003/0157108、同第US2004/0093621号を参照されたい。「脱フコシル化」または「フコース欠損」抗体バリアントに関する刊行物の例としては、US2003/0157108、WO2000/61739、WO2001/29246、US2003/0115614、US2002/0164328、US2004/0093621、US2004/0132140、US2004/0110704、US2004/0110282、US2004/0109865、WO2003/085119、WO2003/084570、WO2005/035586、WO2005/035778、WO2005/053742、WO2002/031140、Okazaki et al.,J.Mol.Biol.336:1239-1249(2004)、Yamane-Ohnuki et al.,Biotech.Bioeng.87:614(2004)が挙げられる。脱フコシル化抗体を産生することができる細胞株の例としては、タンパク質フコシル化を欠損しているLec13 CHO細胞(Ripka et al.,Arch.Biochem.Biophys.249:533-545(1986)、米国特許出願第US2003/0157108A1号(Presta,L)、及びWO2004/056312A1(Adams et al.、特に実施例11))、及びノックアウト細胞株、例えば、アルファ-1,6-フコシル化トランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane-Ohnuki et al.,Biotech.Bioeng.87:614(2004)、Kanda et al.,Biotechnol.Bioeng.,94(4):680-688(2006)、及びWO2003/085107を参照のこと)が挙げられる。
例えば、抗体のFc領域に結合した二分岐オリゴ糖がGlcNAcによって二分される、二分されたオリゴ糖を有する抗体バリアントがさらに提供される。かかる抗体バリアントは、低減されたフコシル化及び/または改善されたADCC機能を有し得る。かかる抗体バリアントの例は、例えば、WO2003/011878、米国特許第6,602,684号、及びUS2005/0123546(Umana et al.)に記載されている。オリゴ糖内の少なくとも1つのガラクトース残基がFc領域に結合した抗体バリアントも提供される。かかる抗体バリアントは、改善されたCDC機能を有し得る。かかる抗体バリアントは、例えば、WO1997/30087、WO1998/58964、及びWO1999/22764(Raju,S.)に記載されている。
c)Fc領域バリアント
ある特定の実施形態では、1つ以上のアミノ酸修飾は、本明細書で提供される抗体のFc領域に導入され、それにより、Fc領域バリアントを生成することができる。Fc領域バリアントは、1つ以上のアミノ酸位置にアミノ酸残基改変(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 Fc領域)を含み得る。ある特定の実施形態では、本発明は、全てではないが、いくつかのエフェクター機能を有し、それにより、抗体のインビボでの半減期が重要であるが、ある特定のエフェクター機能(補体及びADCC等)が不要または有害である用途の望ましい候補になる、抗体バリアントを企図する。インビトロ及び/またはインビボ細胞傷害性アッセイを行って、CDC及び/またはADCC活性の低減/欠乏を確認することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを行って、抗体がFcγR結合を欠く(故に、ADCC活性を欠く可能性が高い)が、FcRn結合能力を保持することを確実にすることができる。ADCCを媒介するための初代細胞であるNK細胞がFcγRIIIのみを発現する一方で、単球は、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIを発現する。造血細胞におけるFcR発現は、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457-492(1991)の464貢の表3に要約されている。
目的とする分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号に記載されている(例えば、Hellstrom et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 83:7059-7063(1986)及びHellstrom,I et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 82:1499-1502(1985)、米国特許第5,821,337号、ならびにBruggemann et al.,J.Exp.Med.166:1351-1361(1987)を参照のこと)。あるいは、非放射性アッセイ法が用いられ得る(例えば、フローサイトメトリーのためのACTI(商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View,CA、及びCYTOTOX 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega,Madison,WI)を参照のこと)。かかるアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。あるいは、または加えて、目的とする分子のADCC活性は、インビボで、例えば、動物モデル、例えば、Clynes et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 95:652-656(1998)に開示される動物モデルにおいて評価され得る。C1q結合アッセイを実行して、抗体がC1qに結合することができず、故にCDC活性を欠くことを確認することもできる。例えば、WO2006/029879及びWO2005/100402におけるC1q及びC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評価するために、CDCアッセイが行われ得る(例えば、Gazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163(1996)、Cragg et al.,Blood 101:1045-1052(2003)、及びCragg et al.,Blood 103:2738-2743(2004)を参照のこと)。FcRn結合及びインビボクリアランス/半減期決定も、当該技術分野で既知の方法を使用して行われ得る(例えば、Petkova et al.,Int’l.Immunol.18(12):1759-1769(2006)を参照のこと)。
低下したエフェクター機能を有する抗体には、Fc領域残基238、265、269、270、297、327及び329のうちの1つ以上の置換を有するものが含まれる(米国特許第6,737,056号)。かかるFc突然変異体には、残基265及び297のアラニンへの置換を有するいわゆる「DANA」Fc突然変異体を含む、アミノ酸265位、269位、270位、297位、及び327位のうちの2つ以上での置換を有するFc突然変異体を含む(米国特許第7,332,581号)。
FcRへの結合が改善または低減されたある特定の抗体バリアントが記載されている(例えば、米国特許第6,737,056号、WO2004/056312、及びShields et al.,J.Biol.Chem.9(2):6591-6604(2001)を参照のこと)。
ある特定の実施形態では、抗体バリアントは、ADCCを改善する1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の298位、333位、及び/または334位(残基のEU番号付け)での置換を有するFc領域を含む。
いくつかの実施形態では、例えば、米国特許第6,194,551号、WO99/51642、及びIdusogie et al.,J.Immunol.164:4178-4184(2000)に記載されるように、C1q結合及び/または補体依存性細胞傷害性(CDC)の改変(すなわち、改善または低減のいずれか)をもたらす改変が、Fc領域で行われる。
増加した半減期、及び母体IgGの胎児への移行に関与する新生児Fc受容体(FcRn)への改善された結合を有する抗体(Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976)及びKim et al.,J.Immunol.24:249(1994))が、US2005/0014934A1(Hinton et al.)に記載されている。それらの抗体は、Fc領域のFcRnへの結合を改善する1つ以上の置換を内部に有するFc領域を含む。かかるFcバリアントには、Fc領域残基238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424、または434のうちの1つ以上での置換、例えば、Fc領域残基434の置換を有するものが含まれる(米国特許第7,371,826号)。Fc領域バリアントの他の例に関して、Duncan & Winter,Nature 322:738-40(1988)、米国特許第5,648,260号、米国特許第5,624,821号、及びWO94/29351も参照されたい。
d)システイン操作抗体バリアント
本発明は、野生型または親抗体(例えば、本明細書に記載のいずれの抗VEGF抗体も含む抗VEGF抗体)の1つ以上のアミノ酸がシステインアミノ酸(すなわち、「操作システイン」)で置き換えられる(すなわち、「置換される」または「突然変異する」)システイン操作抗体を提供する。抗体のいずれの形態もそのように操作され得る、すなわち、突然変異し得る。例えば、親モノクローナル抗体が操作されて、「THIOMAB(商標)抗体」を形成し得る。THIOMAB(商標)抗体の一例は、操作システインを有する抗体断片(すなわち、Fab)である。このFab THIOMAB(商標)抗体は、「ThioFab」とも称され得る。単一部位突然変異によりThioFabに単一の操作システイン残基が生じる一方で、IgG抗体の二量体性質のため、単一部位突然変異により、THIOMAB(商標)抗体に2つの操作システイン残基が生じることに留意されたい。
操作システイン(Cys)残基を有する突然変異体は、新たに導入された操作システインチオール基の反応性について評価され得る。チオール反応性値は、0~1.0の範囲の相対的数値であり、任意のシステイン操作抗体について測定され得る。本発明のシステイン操作抗体のチオール反応性値は、0.0~1.0の範囲である。具体的には、本発明のシステイン操作抗体のチオール反応性値は、0.1~1.0の範囲である。ある特定の実施形態では、本発明のシステイン操作抗体のチオール反応性値は、0.0~0.1、0.1~0.5、0.1~0.6、0.1~0.7、0.1~0.8、0.1~0.9、または0.1~1.0の範囲である。ある特定の実施形態では、本発明のシステイン操作抗体のチオール反応性値は、0.2~1.0、0.3~1.0、0.4~1.0、0.5~1.0、0.6~1.0、0.7~1.0、または0.8~1.0の範囲である。ある特定の実施形態では、本発明のシステイン操作抗体のチオール反応性値は、0.6~1.0の範囲である。ある特定の実施形態では、本発明のシステイン操作抗体のチオール反応性値は、0.7~1.0の範囲である。ある特定の実施形態では、本発明のシステイン操作抗体のチオール反応性値は、0.8~10の範囲である。ある特定の実施形態では、本発明のシステイン操作抗体のチオール反応性値は、0.5~0.8の範囲である。ある特定の実施形態では、本発明のシステイン操作抗体のチオール反応性値は、0.5~0.9の範囲である。ある特定の実施形態では、本発明のシステイン操作抗体のチオール反応性値は、0.5~0.7の範囲である。ある特定の実施形態では、本発明のシステイン操作抗体のチオール反応性値は、0.5~1.0の範囲である。
本発明は、求電子性官能基と反応するシステイン操作抗体を産生するための設計、選択、及び調製方法を提供する。これらの方法は、例えば、ポリマー部分が指定され設計された選択的な部位でコンジュゲートされる抗体-ポリマーコンジュゲート等の抗体コンジュゲート化合物をさらに可能にする。抗体表面の反応性システイン残基により、マレイミドまたはハロアセチル等のチオール反応性基を介してポリマーに特異的にコンジュゲートすることが可能になる。マレイミド基に対するCys残基のチオール官能基の求核反応性は、リジン残基のアミノ基またはN末端アミノ基等のタンパク質中の任意の他のアミノ酸官能基と比較して、約1000倍高い。ヨードアセチル及びマレイミド試薬中のチオール特異的官能基は、アミン基と反応し得るが、より高いpH(9.0超)及びより長い反応時間が必要とされる(Garman,1997,Non-Radioactive Labelling:A Practical Approach,Academic Press,London)。
本発明のシステイン操作抗体は、好ましくは、それらの野生型親抗体対応物の抗原結合能力を保持する。したがって、システイン操作抗体は、抗原に、好ましくは特異的に、結合することができる。例示的かつ非限定的な抗原には、VEGF、IL-1β、IL-6、IL-6R、IL-13、IL-13R、PDGF(例えば、PDGF-BB)、アンジオポエチン、アンジオポエチン2(Ang2)、Tie2、S1P、インテグリンαvβ3、αvβ5、及びα5β1、ベータセルリン、アペリン/APJ、エリスロポエチン、補体D因子、TNFα、HtrA1、VEGF受容体(例えば、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、mbVEGFR、またはsVEGFR)、ST-2受容体、ならびにAMDリスクと遺伝的に関連するタンパク質(例えば、補体経路成分C2、B因子、H因子、CFHR3、C3b、C5、C5a、及びC3a、HtrA1、ARMS2、TIMP3、HLA、IL-8、CX3CR1、TLR3、TLR4、CETP、LIPC、COL10A1、及びTNFRSF10A)が含まれる。
本明細書に記載の抗体のいずれか(例えば、上述の抗VEGF抗体のいずれか)は、システイン操作抗体を生成するために使用される親抗体であり得る。本明細書に記載の例示的な方法が、本明細書に記載の設計ステップ及びスクリーニングステップの適用により、概して、抗体の特定及び産生に適用され得る。
本発明のシステイン操作抗体は、チオール反応性試薬と部位特異的かつ効率的にカップリングされ得る。チオール反応性試薬は、例えば、クリアランス改変剤、例えば、ポリマー(例えば、ポリエチレングリコールのHAポリマーもしくは様々な異性体)、第3の成分に結合するペプチド、または別の炭水化物もしくは親油性薬剤、多官能性リンカー試薬、捕捉、すなわち、親和性標識試薬(例えば、ビオチン-リンカー試薬)、検出標識(例えば、フルオロフォア試薬)、固相固定化試薬(例えば、SEPHAROSE(商標)、ポリスチレン、またはガラス)、または薬物-リンカー中間体であり得る。チオール反応性試薬の一例は、N-エチルマレイミド(NEM)である。例示的な実施形態では、THIOMAB(商標)抗体のビオチン-リンカー試薬との反応により、ビオチン化THIOMAB(商標)抗体が提供され、それにより、操作システイン残基の存在及び反応性が検出及び測定され得る。THIOMAB(商標)抗体の多官能性リンカー試薬との反応により、ポリマー、薬物部分試薬、または他の標識とさらに反応し得る官能化リンカーを有するTHIOMAB(商標)抗体が提供される。THIOMAB(商標)抗体の薬物-リンカー中間体との反応により、THIOMAB(商標)抗体-薬物コンジュゲートが提供される。ある特定の実施形態では、THIOMAB(商標)抗体は、ThioFabである。
システイン操作抗体は、反応基が、例えば、マレイミド、ヨードアセトアミド、ピリジルジスルフィド、または他のチオール反応性コンジュゲーションパートナーである、チオール反応性剤にコンジュゲートされ得る(例えば、Haugland,2003,Molecular Probes Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals,Molecular Probes,Inc.、Brinkley,1992,BioconjugateChem.3:2、Garman,1997,Non-Radioactive Labelling:A Practical Approach,Academic Press,London、Means(1990)BioconjugateChem.1:2、Hermanson,G.in Bioconjugate Techniques(1996)Academic Press,San Diego,pp.40-55,643-671を参照のこと)。パートナーは、細胞傷害性剤(例えば、ドキソルビシンまたは百日咳毒素等の毒素)、フルオレセインもしくはローダミンのような蛍光色素等のフルオロフォア、イメージング用キレート剤もしくは放射線治療用金属、ペプチジルまたは非ペプチジル標識もしくは検出タグ、またはクリアランス改変剤、例えば、ポリマー(例えば、ポリエチレングリコールのHAポリマーもしくは様々な異性体)、第3の成分に結合するペプチド、または別の炭水化物もしくは親油性薬剤であり得る。
PHESELECTOR(反応性チオールの選択のためのファージELISA)アッセイにより、ELISAファージ型式での抗体中の反応性システイン基の検出が可能になる。参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,521,541号及び米国特許公開第2011/0301334号を参照されたい。具体的には、PHESESLECTORアッセイは、目的とするタンパク質(例えば、抗体)をウェル表面でコーティングし、続いて、ファージ粒子とインキュベートし、その後、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識二次抗体とインキュベートして、吸光度を検出するプロセスを含む。ファージ上にディスプレイされた突然変異タンパク質が、迅速かつロバストなハイスループット様式でスクリーニングされ得る。システイン操作抗体のライブラリが生成され、同じアプローチを使用して結合選択に供されて、抗体または他のタンパク質のランダムタンパク質-ファージライブラリから、遊離Cys組み込みの適切に反応性の部位を特定することができる。この技法は、ファージ上にディスプレイされたシステイン突然変異タンパク質を、チオール反応性でもある親和性試薬またはレポーター基と反応させることを含む。
ある特定の実施形態では、PHESELECTORアッセイは、以下のステップを含む。(1)ウシ血清アルブミン(BSA)、標的タンパク質(例えば、VEGF)の一部または全部、及びストレプトアビジン(2μg/mLの100μL)がMAXISORB(登録商標)96ウェルプレート上に別々にコーティングされ、(2)0.5%TWEEN(登録商標)-20(PBS中)で遮断した後、ビオチン化及び非ビオチン化THIOMAB(商標)抗体-ファージ(2×1010個のファージ粒子)が室温で1時間インキュベートされ、(3)ファージとインキュベートした後に、HRP標識二次抗体(抗M13ファージコーティングタンパク質、pVIIIタンパク質抗体)とインキュベートし、(4)標準HRP反応が実行され、吸光度が450nmで測定され、(5)チオール反応性値1がシステインチオールの完全なビオチン化を示すように、チオール反応性が、ストレプトアビジンのOD450/標的タンパク質(例えば、VEGF)のOD450比を計算することによって測定される。
システイン操作抗体をコードするDNAは、従来の手技を使用して(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離及び配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、かかるDNAの源として機能する。単離されると、DNAは、発現ベクター内に配置され得、その後、DNAは、抗体タンパク質をさもなければ産生しない宿主細胞、例えば、E.coli細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HEK293T細胞、または他の哺乳類宿主細胞、例えば、骨髄腫細胞(米国特許第5,807,715号、US2005/0048572、US2004/0229310)にトランスフェクトされて、組換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の合成が達成される。多くの場合、システイン操作抗体の収率は、野生型抗体と同様である。
設計及び選択後、反応性の高い不対Cys残基を有するシステイン操作抗体、例えば、THIOMAB(商標)抗体が、(i)細菌系、例えば、E.coli系、または哺乳類細胞培養系(WO01/00245)、例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはHEK293細胞(例えば、HEK293T細胞)での発現、及び(ii)一般的なタンパク質精製技法を使用した精製(例えば、Lowman et al(1991)J.Biol.Chem.266(17):10982-10988)によって産生され得る。特定の実施形態では、THIOMAB(商標)抗体は、哺乳類細胞発現系で発現する。特定の実施形態では、哺乳類細胞発現系は、HEK293T細胞である。
重鎖及び軽鎖の操作Cys残基の構造位置は、順次番号付けシステムに従って番号付けされ得る。この順次番号付けシステムは、図13A及び図13Bの4D5抗体についてKabat番号付けシステム(Kabat et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.)と相関している。Kabat番号付けシステムを使用して、実際の直鎖状アミノ酸配列は、可変ドメインのFRもしくはCDRの短縮、またはそれへの挿入に対応するより少ないまたは追加のアミノ酸を含み得る。システイン操作重鎖バリアント部位及び軽鎖バリアント部位は、図13A及び図13Bの順次番号付け及びKabat番号付けによって特定される。
チオール反応性は、軽鎖定常ドメイン(CL)及び重鎖定常ドメイン、CH1、CH2、及びCH3等の抗体のある特定のドメインに一般化される場合もある。約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、及び0.95以上のチオール反応性値をもたらすシステイン置換は、それぞれ、インタクト抗体IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM(IgGサブクラスIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2を含む)の重鎖定常ドメインα、δ、ε、γ、及びμで行われ得る。
システイン操作抗体は、例えば、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,521,541号または国際特許公開第WO2006/034488号に記載されるように生成され得る。いくつかの実施形態では、システイン操作抗体バリアントは、米国特許第7,521,541号または国際特許公開第WO2006/034488号に記載のシステイン操作抗体バリアントである。いくつかの例では、システイン操作抗体バリアントは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、国際特許出願公開第WO2011/156328号または米国特許第9,000,130号に記載のシステイン操作抗体バリアントである。いくつかの実施形態では、システイン操作抗体バリアントは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際特許出願公開第WO2016/040856号、例えば、同第WO2016/040856号の表1~4に記載のシステイン操作抗体バリアントである。
例えば、ある特定の実施形態では、システイン突然変異は、HC-I195C、HC-S420C、HC-Y432C、及びLC-G64C(Kabat番号付けによる)からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、システイン突然変異は、HC-Y432C及びLC-G64C(Kabat番号付けによる)からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、システイン突然変異は、重鎖突然変異であり、Y33C、G162C、V184C、I195C、S420C、Y432C、及びQ434C(Kabat番号付けによる)からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、システイン突然変異は、重鎖突然変異であり、R19C、E46C、T57C、Y59C、A60C、M100cC、W103C、G162C、I195C、V258C、S420C、H425C、及びN430C(Kabat番号付けによる)からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、システイン突然変異は、重鎖突然変異であり、Y33C、G162C、V184C、及びI195C(Kabat番号付けによる)からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、システイン突然変異は、重鎖突然変異であり、R19C、E46C、Y59C、A60C、M100cC、W103C、V258C、H425C、及びN430C(Kabat番号付けによる)からなる群から選択される。
ある特定の実施形態では、システイン突然変異は、軽鎖突然変異であり、Y55C、G64C、T85C、T180C、及びN430C(Kabat番号付けによる)からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、システイン突然変異は、軽鎖突然変異であり、T31C、S52C、G64C、R66C、A193C、及びN430C(Kabat番号付けによる)からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、システイン突然変異は、軽鎖突然変異であり、G64C、T85C、T180C、及びN430C(Kabat番号付けによる)からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、システイン突然変異は、軽鎖突然変異であり、S52C、G64C、R66C、A193C、及びN430C(Kabat番号付けによる)からなる群から選択される。特定の実施形態では、軽鎖におけるシステイン突然変異は、LC-I106C、LC-R108C、LC-R142C、及びLC-K149C(Kabat番号付けによる)を含むシステイン突然変異の群から選択される(図13A、表2を参照のこと)。具体的な実施形態では、軽鎖におけるシステイン突然変異は、LC-K149C(Kabat番号付けによる)である(図13Aを参照のこと)。具体的な実施形態では、軽鎖におけるシステイン突然変異は、LC-V205C(Kabat番号付けによる)である。
表2:例示的な軽鎖システイン突然変異
具体的な実施形態では、重鎖におけるシステイン突然変異は、HC-T114C、HC-A140C、HC-L174C、HC-L179C、HC-T187C、HC-T209C、HC-V262C、HC-G371C、HC-Y373C、HC-E382C、HC-S424C、HC-N434C、及びHC-Q438C(EU番号付けによる)からなるシステイン突然変異の群から選択される(図13B、表3を参照のこと)。具体的な実施形態では、重鎖におけるシステイン突然変異は、Kabat番号付けによるHC-A143C(すなわち、EU番号付けによるHC-A140C)である(図13B、表3を参照のこと)。具体的な実施形態では、重鎖におけるシステイン突然変異は、EU番号付けによるHC-A174Cである(図13B、表3を参照のこと)。具体的な実施形態では、重鎖におけるシステイン突然変異は、EU番号付けによるHC-A118C(すなわち、Kabat番号付けによるHC-A114C)である。
具体的な実施形態では、本明細書に記載のいずれのシステイン操作抗体も、以下のシステイン突然変異:Kabat番号付けによるLC-K149C及びEU番号付けによるHC-A140C(表2及び表3ならびに図13A及び図13Bを参照のこと)のうちの1つを有する。
表3:例示的な重鎖システイン突然変異
ある特定の実施形態では、以下の残基のうちのいずれか1つ以上:軽鎖のV205(Kabat番号付け)、重鎖のA118(EU番号付け)、及び重鎖Fc領域のS400(EU番号付け)が、システインで置換され得る。
ある特定の実施形態では、システイン操作抗体は、V2C、L4C、V5C、L11C、R19C、F27C、I29C、T32C、Y33C、Q39C、A40C、K43C、L45C、E46C、T53C、G55C、T57C、R58C、Y59C、A60C、T68C、N76C、Y79C、Q81C、W95C、G96C、D101C、W103C、T116C、K117C、T135C、N155C、A158C、G162C、G174C、L175C、T183C、V184C、I195C、N199C、S203C、F239C、M248C、E254C、V258C、N272C、V278C、L305C、T331C、S333C、R340C、Q343C、K356C、E384C、S399C、K410C、Q414C、G416C、N417C、Y432C、T433C、K435C、S438C、L439C、M100cC、及びN82aC(Kabat番号付けによる)からなる群から選択される1つ以上の重鎖システイン突然変異を含み得る。国際特許出願第WO2016/040856号の表3も参照されたい。
ある特定の実施形態では、システイン操作抗体は、S12C、S14C、G16C、R18C、T22C、R24C、Q27C、T31C、A32C、Q38C、K39C、G41C、K42C、P44C、Y49C、S50C、S52C、F53C、L54C、Y55C、S63C、G64C、R66C、D70C、T72C、T74C、S76C、Q79C、T85C、H91C、Y92C、P95C、T97C、F98C、K103C、E105C、K107C、P119C、K126C、T129C、S131C、Q147C、W148C、A153C、Q155C、S156C、S159C、Q160C、S162C、Q166C、T172C、T180C、V191C、A193C、E195C、V205C、T206C、及びN210C(Kabat番号付けによる)からなる群から選択される1つ以上の軽鎖システイン突然変異を含み得る。国際特許出願第WO2016/040856号の表4も参照されたい。
ある特定の実施形態では、システイン操作抗体は、HC-I195C、HC-S420C、HC-Y432C、及びLC-G64C(Kabat番号付けによる)からなる群から選択される1つ以上のシステイン突然変異を含み得る。国際特許出願第WO2016/040856号の表5も参照されたい。
ある特定の実施形態では、システイン操作抗体は、LC-T22C、LC-K39C、LC-Y49C、LC-Y55C、LC-T85C、LC-T97C、LC-I106C、LC-R108C、LC-R142C、LC-K149C、及びLC-V205C(Kabat番号付けによる)からなる部位の群から選択される軽鎖システイン突然変異を含む。
システイン操作抗体は、任意の好適な数の操作システイン残基、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個、またはそれ以上の操作システイン残基を含み得る。いくつかの実施形態では、システイン操作抗体は、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、または1~10個の操作システイン残基を含み得る。いくつかの実施形態では、システイン操作抗体は、1個の操作システイン残基を含み得る。いくつかの実施形態では、システイン操作抗体は、2個の操作システイン残基を含み得る。いくつかの実施形態では、システイン操作抗体は、3個の操作システイン残基を含み得る。
前述の実施形態のいずれにおいても、システイン操作抗体は、上述のシステイン突然変異のうちのいずれかと同等の位置に操作システインを含み得る。例えば、抗体が天然セリンを118位(EU番号付け)に含む場合、セリンは、システインに突然変異して、S118C突然変異を形成することができる。
例えば、本発明は、HC-A118C、HC-A140C、及びHC-L174C(EU番号付け)からなる群から選択される重鎖におけるシステイン突然変異、またはLC-V205C及びLC-K149C(Kabat番号付け)からなる群から選択される軽鎖におけるシステイン突然変異を含むシステイン操作抗VEGF抗体を提供し、抗VEGF抗体は、本明細書に記載のいずれかの抗VEGF抗体、例えば、表8~10に記載のいずれかの抗VEGF抗体である。いくつかの実施形態では、抗VEGF抗体は、N94A.F83A.N82aR.Y58R(G6.31 AARR)である。いくつかの実施形態では、抗VEGF抗体は、G6.31 WTである。いくつかの実施形態では、抗VEGF抗体は、LC-N94Aである。いくつかの実施形態では、抗VEGF抗体は、LC-N94A.LC-F83Aである。いくつかの実施形態では、抗VEGF抗体は、LC-N94A.LC-F83Aである。いくつかの実施形態では、抗VEGF抗体は、HC-A40E.HC-T57E(G6.31 AAEE)である。いくつかの実施形態では、抗VEGF抗体は、HCcomboである。いくつかの実施形態では、抗VEGF抗体は、HCLC2である。いくつかの実施形態では、抗VEGF抗体は、HCLC4である。いくつかの実施形態では、抗VEGF抗体は、HCLC5である。いくつかの実施形態では、抗VEGF抗体は、HCLC3である。いくつかの実施形態では、抗VEGF抗体は、HCLC1である。いくつかの実施形態では、抗VEGF抗体は、R19HCcomboである。いくつかの実施形態では、抗VEGF抗体は、R19HCLC2である。いくつかの実施形態では、抗VEGF抗体は、R19HCLC4である。いくつかの実施形態では、抗VEGF抗体は、R19HCLC5である。
具体的な例では、本発明は、HC-A118C、HC-A140C、及びHC-L174C(EU番号付け)からなる群から選択される重鎖におけるシステイン突然変異、またはLC-V205C及びLC-K149C(Kabat番号付け)からなる群から選択される軽鎖におけるシステイン突然変異を含むシステイン操作抗VEGF抗体を提供し、この抗体は、以下の6つのHVR、(a)DYWIH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)GITPAGGYTRYADSVKG(配列番号7)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)FVFFLPYAMDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQDVSTAVA(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)SASFLYS(配列番号9)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QQGYGAPFT(配列番号10)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。いくつかの例では、システイン操作抗VEGF抗体は、以下の4つの重鎖可変ドメインFR:(a)EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTIS(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H1、(b)WVRQAPGKGLEWVA(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H2、(c)RFTISADTSKNTAYLQMRSLRAEDTAVYYCAR(配列番号15)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び(d)WGQGTLVTVSS(配列番号16)のアミノ酸配列を含むFR-H4を含む。さらなる例では、システイン操作抗VEGF抗体は、以下の4つの軽鎖可変ドメインFR:(a)DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号17)のアミノ酸配列を含むFR-L1、(b)WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号18)のアミノ酸配列を含むFR-L2、(c)GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDAATYYC(配列番号19)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び(d)FGQGTKVEIK(配列番号20)のアミノ酸配列を含むFR-L4を含む。いくつかの例では、システイン操作抗VEGF抗体は、(a)配列番号11のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例では、親抗体は、G6.31 AARRである。いくつかの実施形態では、システイン突然変異は、HC-A118Cである。他の実施形態では、システイン突然変異は、HC-A140Cである。さらに他の実施形態では、システイン突然変異は、HC-L174C(EU番号付け)である。他の実施形態では、システイン突然変異は、LC-V205C(Kabat番号付け)である。他の実施形態では、システイン突然変異は、LC-K149C(Kabat番号付け)である。
いくつかの例では、本発明は、(a)配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖及び/または(b)配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗体を提供する。
いくつかの例では、本発明は、(a)配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖及び/または(b)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗体を提供する。
いくつかの例では、本発明は、(a)配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖及び/または(b)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗体を提供する。
e)抗体誘導体
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、当該技術分野で既知であり、かつ容易に入手可能な追加の非タンパク質性部分を含むようにさらに修飾され得る。抗体の誘導体化に好適な部分には、水溶性ポリマーが含まれるが、これらに限定されない。水溶性ポリマーの非限定的な例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1、3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのいずれか)、及びデキストランまたはポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレングリコールホモポリマー、プロリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性のため、製造に有利であり得る。ポリマーは、任意の分子量のものであり得、分岐状であっても非分岐状であってもよい。抗体に結合しているポリマーの数は異なり得、1つより多くのポリマーが結合している場合、それらは、同じ分子であっても異なる分子であってもよい。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数及び/または種類は、改善されるべき抗体の特定の特性または機能、抗体誘導体が定義された条件下である療法に使用されるか等を含むが、これらに限定されない考慮すべき事項に基づいて決定され得る。さらなる抗体コンジュゲートが、本明細書、例えば、以下のG節ならびに実施例1及び実施例2に記載される。
別の実施形態では、放射線への曝露によって選択的に加熱され得る抗体及び非タンパク質性部分のコンジュゲートが提供される。一実施形態では、非タンパク質性部分は、カーボンナノチューブである(Kam et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102:11600-11605(2005))。放射線は、任意の波長のものであり得、通常の細胞に害を及ぼさないが、抗体-非タンパク質性部分の近位の細胞が死滅する温度まで非タンパク質性部分を加熱する波長が含まれるが、これに限定されない。
f)等電点バリアント
本発明は、改変された等電点を有する抗体バリアントを提供する。例えば、本発明は、例えば、抗VEGF抗体、例えば、G6.31と比較して、低下した等電点(pI)を有する抗体バリアントを提供する。いくつかの例では、表面電荷は、生理学的pHで減少する。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、約8以下(例えば、約8、約7、約6、約5、または約4)のpIを有する。いくつかの例では、抗体は、約4~約8(例えば、約4、約5、約6、約7、または約8)のpIを有する。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、約5~約7(例えば、約5、約6、または約7)のpIを有する。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、約5~約6(例えば、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、または約6)のpIを有する。
本発明の抗体は、例えば、所与の位置の野生型アミノ酸残基をより低いpIを有するアミノ酸で置換することによって、低下したpIを有するように操作され得る。アミノ酸のpIは、当該技術分野で既知のアミン(-NH2)、カルボン酸(-COOH)、及びアミノ酸の側鎖のpKa値に基づいて決定され得る。いくつかの実施形態では、表面露出アミノ酸残基が置換されて、抗体のpIを低下させることができる。一実施形態では、表面露出アミノ酸残基は、グルタミン酸(E)で置換され得る。一実施形態では、表面露出アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)で置換され得る。
B.組換え方法及び組成物
本明細書に記載の抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体を含む抗VEGF抗体)のいずれも、例えば、米国特許第4,816,567号に記載の組換え方法及び組成物を使用して産生され得る。一実施形態では、本明細書に記載の抗VEGF抗体をコードする単離された核酸が提供される。かかる核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列及び/またはVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖及び/または重鎖)をコードし得る。さらなる実施形態では、かかる核酸を含む1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。さらなる実施形態では、かかる核酸を含む宿主細胞が提供される。1つのかかる実施形態では、宿主細胞は、(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、または(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクター及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクターを含む(例えば、それで形質転換されている)。一実施形態では、宿主細胞は、真核細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、またはリンパ球系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。一実施形態では、抗VEGF抗体を作製する方法が提供され、この方法は、上で提供される抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を抗体の発現に好適な条件下で培養することと、任意に、抗体を宿主細胞(または宿主細胞培養培地)から回収することとを含む。
抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体を含む抗VEGF抗体)の組換え産生のために、抗体、例えば、上述の抗体をコードする核酸が単離され、宿主細胞でのさらなるクローニング及び/または発現のために1つ以上のベクターに挿入される。かかる核酸は、従来の手技を使用して(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離及び配列決定され得る。
抗体をコードするベクターのクローニングまたは発現に好適な宿主細胞には、本明細書に記載の原核細胞または真核細胞が含まれる。例えば、抗体は、特にグリコシル化及びFcエフェクター機能が必要とされない場合に、細菌中で産生され得る。抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5,648,237号、同第5,789,199号、及び同第5,840,523号を参照されたい。E.coliでの抗体断片の発現について記載するCharlton,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ,2003),pp.245-254も参照されたい。発現後、抗体は、可溶性画分中の細菌細胞ペーストから単離され得、さらに精製され得る。
原核生物に加えて、糸状菌または酵母等の真核微生物は、グリコシル化経路が「ヒト化」されており、部分的または完全なヒトグリコシル化パターンを有する抗体の産生をもたらす菌及び酵母株を含む、抗体をコードするベクターに好適なクローニングまたは発現宿主である。Gerngross,Nat.Biotech.22:1409-1414(2004)、及びLi et al.,Nat.Biotech.24:210-215(2006)を参照されたい。
グリコシル化抗体の発現に好適な宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)にも由来する。無脊椎動物細胞の例としては、植物細胞及び昆虫細胞が挙げられる。特にSpodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションのために昆虫細胞と併せて使用され得る多数のバキュロウイルス株が特定されている。
植物細胞培養も宿主として利用され得る。例えば、米国特許第5,959,177号、同第6,040,498号、同第6,420,548号、同第7,125,978号、及び同第6,417,429号(トランスジェニック植物において抗体を産生するためのPLANTIBODIES(商標)技術について記載する)を参照されたい。
脊椎動物細胞も宿主として使用され得る。例えば、懸濁液中で成長するように適合された哺乳類細胞株が有用であり得る。有用な哺乳類宿主細胞株の他の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7)、ヒト胚腎臓株(例えば、Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977)に記載の293または293細胞)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980)に記載のTM4細胞)、サル腎臓細胞(CV1)、アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76)、ヒト子宮頸癌細胞(HELA)、イヌ腎臓細胞(MDCK、バッファローラット肝細胞(BRL 3A)、ヒト肺細胞(W138)、ヒト肝細胞(Hep G2)、マウス乳房腫瘍(MMT 060562)、例えば、Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982)に記載のTRI細胞、MRC 5細胞、及びFS4細胞である。他の有用な哺乳類宿主細胞株には、DHFR-CHO細胞(Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980))を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ならびにY0、NS0、及びSp2/0等の骨髄腫細胞株が含まれる。抗体産生に好適なある特定の哺乳類宿主細胞株の概説については、例えば、Yazaki and Wu,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ),pp.255-268(2003)を参照されたい
C.アッセイ
抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体を含む本明細書に記載の抗VEGF抗体)、ならびに抗体コンジュゲート(例えば、抗VEGF抗体(例えば、本明細書で提供されるいずれかの抗VEGF抗体)を含む抗体コンジュゲート)は、当該技術分野で既知の様々なアッセイによって特定されるか、それらの物理的/化学的特性及び/または生物学的活性についてスクリーニングされるか、または特徴付けられ得る。
1.結合アッセイ及び他のアッセイ
一態様では、抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体を含む抗VEGF抗体)またはその抗体コンジュゲートは、例えば、既知の方法、例えば、ELISA、ウエスタンブロット等によって、その抗原結合活性について試験される。
別の態様では、競合アッセイを使用して、抗原(例えば、VEGF)への結合において本明細書に記載の抗体またはその抗体コンジュゲートと競合する抗体を特定することができる。ある特定の実施形態では、かかる競合抗体は、本明細書に記載の抗体によって結合される同じエピトープ(例えば、直鎖状または立体配座エピトープ)に結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な例示的な方法が、Morris(1996)“Epitope Mapping Protocols,”in Methods in Molecular Biology vol.66(Humana Press,Totowa,NJ)で提供されている。
例示的な競合アッセイでは、固定化VEGFが、VEGFに結合する第1の標識抗体と、VEGFへの結合において第1の抗体と競合するその能力について試験される第2の非標識抗体とを含む溶液中でインキュベートされる。第2の抗体は、ハイブリドーマ上清中に存在し得る。対照として、固定化VEGFが、第1の標識抗体を含むが、第2の非標識抗体を含まない溶液中でインキュベートされる。第1の抗体のVEGFへの結合に許容的な条件下でインキュベートした後、過剰な非結合抗体が除去され、固定化VEGFと会合した標識の量が測定される。試験試料における固定化VEGFと会合した標識の量が対照試料と比較して実質的に減少した場合、それは、第2の抗体がVEGFへの結合において第1の抗体と競合していることを示す。同様のアッセイが他の抗原に行われ得る。Harlow and Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual ch.14(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY)を参照されたい。
2.活性アッセイ
一態様では、生物学的活性を有する抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体を含む抗VEGF抗体)またはその抗体コンジュゲートを特定するためのアッセイが提供される。生物学的活性には、例えば、インビボ、インビトロ、またはエクスビボのいずれかでの抗原(例えば、VEGF(例えば、血流中のVEGF))またはそのペプチド断片への結合が含まれ得る。ある特定の実施形態では、生物学的活性には、抗原の遮断または中和が含まれ得る。例えば、ある特定の実施形態では、生物学的活性には、VEGFの遮断もしくは中和、またはVEGFのリガンド、例えば、KDRもしくはFlt-1等の受容体への結合の阻止が含まれ得る。インビボ及び/またはインビトロでかかる生物学的活性を有する抗体またはその抗体コンジュゲートも提供される。ある特定の実施形態では、本発明の抗体またはその抗体コンジュゲートは、かかる生物学的活性について試験される。
3.安定性アッセイ
一態様では、抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体を含む抗VEGF抗体)またはその抗体コンジュゲートの安定性(例えば、熱安定性)を決定するためのアッセイが提供される。例えば、抗体またはその抗体コンジュゲートの安定性は、当該技術分野で既知の任意の方法、例えば、示差走査蛍光定量法(DSF)、円偏光二色性(CD)、内在性タンパク質蛍光、示差走査熱量測定、分光法、光散乱(例えば、動的光散乱(DLS)及び静的光散乱(SLS)、自己相互作用クロマトグラフィー(SIC)を使用して決定され得る。抗体またはその抗体コンジュゲートの安定性は、本明細書に記載されるように、例えば、国際特許出願第PCT/US2016/053454号の実施例1及び実施例2に記載されるように、例えば、DSFを使用して決定され得る。いくつかの例では、抗体コンジュゲートの安定性は、例えば、実施例1に記載されるように、屈折率及び多角度光散乱検出器(SEC-RI-MALS)を連結したサイズ排除クロマトグラフィーによって決定され得る。
D.薬学的製剤
本明細書で提供される抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体を含む抗VEGF抗体)またはその抗体コンジュゲートの薬学的製剤は、所望の純度を有するかかる抗体または抗体コンジュゲートを、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で、1つ以上の任意の薬学的に許容される担体(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))と混合することによって調製される。薬学的に許容される担体は、一般に、用いられる投薬量及び濃度ではレシピエントに非毒性であり、これらには、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、及び他の有機酸緩衝液等の緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、またはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール、及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジン;単糖、二糖、及び他の炭水化物、例えば、グルコース、マンノース、またはデキストリン;キレート剤、例えば、EDTA;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース、またはソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体)、及び/または非イオン性界面活性剤、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)が含まれるが、これらに限定されない。本明細書における例示的な薬学的に許容される担体は、介在性薬物分散剤、例えば、可溶性中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、ヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)をさらに含む。rHuPH20を含むある特定の例示的なsHASEGP及び使用方法が、米国特許公開第2005/0260186号及び同第2006/0104968号に記載されている。一態様では、sHASEGPは、コンドロイチナーゼ等の1つ以上の追加のグリコサミノグリカナーゼと組み合わせられる。
例示的な凍結乾燥抗体製剤が、米国特許第6,267,958号に記載されている。水性抗体製剤には、米国特許第6,171,586号及びWO2006/044908に記載のものが含まれ、後者の製剤は、ヒスチジン酢酸緩衝液を含む。
本明細書における製剤は、治療される特定の適応症のために必要に応じて1つより多くの活性化合物、好ましくは、互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有する活性化合物も含有し得る。例えば、免疫抑制剤をさらに提供することが望ましくあり得る。かかる分子は、意図される目的に有効な量で、組み合わせで好適に存在する。
活性成分は、例えば、液滴形成技法または界面重合によって調製されたマイクロカプセル(例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)中、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子、及びナノカプセル)中、またはマクロエマルション中に封入され得る。かかる技法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
インビボ投与に使用される製剤は、一般に、滅菌である。滅菌は、例えば、滅菌濾過膜を通した濾過によって容易に達成され得る。
ある特定の実施形態では、薬学的製剤は、1つ以上の追加の化合物を含む。ある特定の実施形態では、追加の化合物は、IL-1β、IL-6、IL-6R、IL-13、IL-13R、PDGF、アンジオポエチン、アンジオポエチン2、Tie2、S1P、インテグリンαvβ3、αvβ5、及びα5β1、ベータセルリン、アペリン/APJ、エリスロポエチン、補体D因子、TNFα、HtrA1、VEGF受容体、ST-2受容体、ならびに加齢性黄斑変性症(AMD)リスクと遺伝的に関連するタンパク質、例えば、補体経路成分C2、B因子、H因子、CFHR3、C3b、C5、C5a、及びC3a、HtrA1、ARMS2、TIMP3、HLA、IL-8、CX3CR1、TLR3、TLR4、CETP、LIPC、COL10A1、ならびにTNFRSF10Aからなる群から選択される第2の生物学的分子に結合する。ある特定の実施形態では、追加の化合物は、抗体またはその抗原結合断片である。
例えば、いくつかの例では、追加の化合物は、二重特異性抗体(例えば、抗VEGF/抗Ang2二重特異性抗体、例えば、RG-7716、またはWO2010/069532もしくはWO2016/073157に開示されるいずれかの二重特異性抗VEGF/抗Ang2二重特異性抗体である。
別の例では、いくつかの例では、追加の化合物は、抗IL-6抗体、例えば、EBI-031(Eleven Biotherapeutics、例えば、WO2016/073890を参照のこと)、シルツキシマブ(SYLVANT(登録商標))、オロキズマブ、クラザキズマブ、シルクマブ、エルシリモマブ、ゲリリムズマブ、OPR-003、MEDI-5117、PF-04236921、またはそれらのバリアントである。
なおさらなる例では、いくつかの例では、追加の化合物は、抗IL-6R抗体、例えば、トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標))(例えば、WO1992/019579を参照のこと)、サリルマブ、ボバリリズマブ(ALX-0061)、SA-237、またはそれらのバリアントである。
E.治療法及び組成物
本明細書で提供される抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体を含む抗VEGF抗体)またはその抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)のいずれも、治療法で使用され得る。
一態様では、薬剤として使用するための抗VEGF抗体(例えば、操作システイン抗VEGF抗体)が提供される。別の態様では、薬剤として使用するための抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)が提供される。さらなる態様では、本発明は、病理学的血管新生に関連する障害の治療に使用するための抗VEGF抗体(例えば、操作システイン抗VEGF抗体)を提供する。別の態様では、本発明は、病理学的血管新生に関連する障害の治療に使用するための抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)を提供する。いくつかの実施形態では、病理学的血管新生に関連する障害は、眼障害である。いくつかの例では、眼障害は、AMD(例えば、滲出型AMD、乾燥AMD、中等度AMD、進行性AMD、または地図状萎縮(GA))、黄斑変性症、黄斑浮腫、DME(例えば、中心窩に及ばない限局性DMEまたは中心窩に及ぶびまん性DME)、網膜症、糖尿病性網膜症(DR)(例えば、増殖性DR(PDR)、非増殖性DR(NPDR)、または高所DR)、他の虚血関連網膜症、ROP、網膜静脈閉塞症(RVO)(例えば、網膜中心静脈(CRVO)型及び網膜分岐静脈(BRVO)型)、CNV(例えば、近視性CNV)、角膜血管新生、角膜血管新生に関連する疾患、網膜血管新生、網膜/脈絡膜血管新生に関連する疾患、病理学的近視、フォン・ヒッペル・リンドウ病、眼ヒストプラスマ症、FEVR、コーツ病、ノリエ病、OPPG、結膜下出血、ルベオーシス、眼血管新生疾患、血管新生緑内障、網膜色素変性症(RP)、高血圧性網膜症、網膜血管腫増殖、黄斑毛細血管拡張症、虹彩血管新生、眼内血管新生、網膜変性、類嚢胞黄斑浮腫(CME)、血管炎、乳頭浮腫、網膜炎、結膜炎(例えば、感染性結膜炎及び非感染性(例えば、アレルギー性)結膜炎)、レーバー先天性黒内障、ブドウ膜炎(感染性及び非感染性ブドウ膜炎を含む)、脈絡膜炎(例えば、多巣性脈絡膜炎)、眼ヒストプラスマ症、眼瞼炎、ドライアイ、外傷性眼損傷、またはシェーグレン病である。
別の態様では、治療法に使用するための抗VEGF抗体(例えば、操作システイン抗VEGF抗体)が提供される。別の態様では、治療法に使用するための抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)が提供される。ある特定の例では、本発明は、個体に抗VEGF抗体の有効量を投与することを含む、病理学的血管新生に関連する障害を有する対象を治療する方法に使用するための抗VEGF抗体(例えば、操作システイン抗VEGF抗体)を提供する。本発明は、個体に抗体コンジュゲートの有効量を投与することを含む、病理学的血管新生に関連する障害を有する対象を治療する方法に使用するための抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)も提供する。いくつかの例では、病理学的血管新生に関連する障害は、眼障害である。いくつかの例では、眼障害は、AMD(例えば、滲出型AMD、乾燥AMD、中等度AMD、進行性AMD、または地図状萎縮(GA))、黄斑変性症、黄斑浮腫、DME(例えば、中心窩に及ばない限局性DMEまたは中心窩に及ぶびまん性DME)、網膜症、糖尿病性網膜症(DR)(例えば、増殖性DR(PDR)、非増殖性DR(NPDR)、または高所DR)、他の虚血関連網膜症、ROP、網膜静脈閉塞症(RVO)(例えば、網膜中心静脈(CRVO)型及び網膜分岐静脈(BRVO)型)、CNV(例えば、近視性CNV)、角膜血管新生、角膜血管新生に関連する疾患、網膜血管新生、網膜/脈絡膜血管新生に関連する疾患、病理学的近視、フォン・ヒッペル・リンドウ病、眼ヒストプラスマ症、FEVR、コーツ病、ノリエ病、OPPG、結膜下出血、ルベオーシス、眼血管新生疾患、血管新生緑内障、網膜色素変性症(RP)、高血圧性網膜症、網膜血管腫増殖、黄斑毛細血管拡張症、虹彩血管新生、眼内血管新生、網膜変性、類嚢胞黄斑浮腫(CME)、血管炎、乳頭浮腫、網膜炎、結膜炎(例えば、感染性結膜炎及び非感染性(例えば、アレルギー性)結膜炎)、レーバー先天性黒内障、ブドウ膜炎(感染性及び非感染性ブドウ膜炎を含む)、脈絡膜炎(例えば、多巣性脈絡膜炎)、眼ヒストプラスマ症、眼瞼炎、ドライアイ、外傷性眼損傷、またはシェーグレン病である。
いくつかの例では、本発明は、対象における血管新生の低減または抑制に使用するための抗VEGF抗体(例えば、操作システイン抗VEGF抗体)を提供する。別の態様では、対象における血管新生の低減または抑制に使用するための抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)が提供される。ある特定の実施形態では、本発明は、個体に抗VEGF抗体の有効を投与して、血管新生を低減または抑制することを含む、対象における血管新生を低減または抑制する方法に使用するための抗VEGF抗体(例えば、操作システイン抗VEGF抗体)を提供する。本発明は、個体に抗体コンジュゲートの有効量を投与することを含む、対象における血管新生を低減または抑制する方法に使用するための抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)も提供する。上記の使用のいずれかによる「対象」は、ヒトであり得る。
本発明は、薬剤の製造または調製における抗VEGF抗体(例えば、操作システイン抗VEGF抗体)の使用を提供する。本発明は、薬剤の製造または調製における抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)の使用も提供する。例えば、一例では、薬剤は、病理学的血管新生に関連する障害の治療のためのものである。さらなる例では、薬剤は、病理学的血管新生に関連する障害を有する対象に薬剤の有効量を投与することを含む、病理学的血管新生に関連する障害を治療する方法に使用するためのものである。いくつかの例では、病理学的血管新生に関連する障害は、眼障害である。いくつかの例では、眼障害は、AMD(例えば、滲出型AMD、乾燥AMD、中等度AMD、進行性AMD、または地図状萎縮(GA))、黄斑変性症、黄斑浮腫、DME(例えば、中心窩に及ばない限局性DMEまたは中心窩に及ぶびまん性DME)、網膜症、糖尿病性網膜症(DR)(例えば、増殖性DR(PDR)、非増殖性DR(NPDR)、または高所DR)、他の虚血関連網膜症、ROP、網膜静脈閉塞症(RVO)(例えば、網膜中心静脈(CRVO)型及び網膜分岐静脈(BRVO)型)、CNV(例えば、近視性CNV)、角膜血管新生、角膜血管新生に関連する疾患、網膜血管新生、網膜/脈絡膜血管新生に関連する疾患、病理学的近視、フォン・ヒッペル・リンドウ病、眼ヒストプラスマ症、FEVR、コーツ病、ノリエ病、OPPG、結膜下出血、ルベオーシス、眼血管新生疾患、血管新生緑内障、網膜色素変性症(RP)、高血圧性網膜症、網膜血管腫増殖、黄斑毛細血管拡張症、虹彩血管新生、眼内血管新生、網膜変性、類嚢胞黄斑浮腫(CME)、血管炎、乳頭浮腫、網膜炎、結膜炎(例えば、感染性結膜炎及び非感染性(例えば、アレルギー性)結膜炎)、レーバー先天性黒内障、ブドウ膜炎(感染性及び非感染性ブドウ膜炎を含む)、脈絡膜炎(例えば、多巣性脈絡膜炎)、眼ヒストプラスマ症、眼瞼炎、ドライアイ、外傷性眼損傷、またはシェーグレン病である。さらなる例では、薬剤は、対象における血管新生を低減または抑制するためのものである。さらなる例では、薬剤は、対象に薬剤の有効量を投与して、血管新生を低減または抑制することを含む、対象における血管新生を低減または抑制する方法に使用するためのものである。薬剤の前述の使用のいずれにおいても、方法は、個体に、例えば、以下に記載の少なくとも1つの追加の治療薬の有効量を投与することを含み得る。
本発明は、病理学的血管新生に関連する障害を治療するための方法を提供する。一実施形態では、方法は、病理学的血管新生に関連する障害を有する個体に、抗VEGF抗体(例えば、操作システイン抗VEGF抗体)の有効量を投与することを含む。別の例では、方法は、病理学的血管新生に関連する障害を有する個体に、抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)の有効量を投与することを含む。いくつかの例では、病理学的血管新生に関連する障害は、眼障害である。いくつかの例では、眼障害は、AMD(例えば、滲出型AMD、乾燥AMD、中等度AMD、進行性AMD、または地図状萎縮(GA))、黄斑変性症、黄斑浮腫、DME(例えば、中心窩に及ばない限局性DMEまたは中心窩に及ぶびまん性DME)、網膜症、糖尿病性網膜症(DR)(例えば、増殖性DR(PDR)、非増殖性DR(NPDR)、または高所DR)、他の虚血関連網膜症、ROP、網膜静脈閉塞症(RVO)(例えば、網膜中心静脈(CRVO)型及び網膜分岐静脈(BRVO)型)、CNV(例えば、近視性CNV)、角膜血管新生、角膜血管新生に関連する疾患、網膜血管新生、網膜/脈絡膜血管新生に関連する疾患、病理学的近視、フォン・ヒッペル・リンドウ病、眼ヒストプラスマ症、FEVR、コーツ病、ノリエ病、OPPG、結膜下出血、ルベオーシス、眼血管新生疾患、血管新生緑内障、網膜色素変性症(RP)、高血圧性網膜症、網膜血管腫増殖、黄斑毛細血管拡張症、虹彩血管新生、眼内血管新生、網膜変性、類嚢胞黄斑浮腫(CME)、血管炎、乳頭浮腫、網膜炎、結膜炎(例えば、感染性結膜炎及び非感染性(例えば、アレルギー性)結膜炎)、レーバー先天性黒内障、ブドウ膜炎(感染性及び非感染性ブドウ膜炎を含む)、脈絡膜炎(例えば、多巣性脈絡膜炎)、眼ヒストプラスマ症、眼瞼炎、ドライアイ、外傷性眼損傷、またはシェーグレン病である。さらなる例では、方法は、個体に、以下に記載の少なくとも1つの追加の治療薬の有効量を投与することをさらに含む。上記の方法のいずれかによる「対象」は、ヒトであり得る。
本発明の抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)を使用して、哺乳動物を治療することができることが企図される。一実施形態では、抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)は、例えば、前臨床データを得るために、非ヒト哺乳動物に投与される。治療される例示的な非ヒト哺乳動物には、前臨床研究が行われる非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、齧歯類(例えば、マウス及びラット)、ならびに他の哺乳動物が含まれる。かかる哺乳動物は、抗体で治療される疾患の確立された動物モデルであり得るか、または目的とする抗体の毒性もしくは薬物動態を研究するために使用され得る。これらの実施形態の各々では、用量漸増試験が哺乳動物に行われ得る。抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)は、例えば、固形腫瘍モデルで宿主齧歯類に投与され得る。抗体または抗体コンジュゲートは、例えば、硝子体内投与(例えば、硝子体内注射)によって、またはポート送達デバイスを使用して、眼薬物動態研究のために宿主(例えば、齧歯類、例えば、ウサギ)に投与され得る。
さらなる態様では、本発明は、例えば、上記の治療法のいずれかに使用するための、本明細書で提供される抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)のうちのいずれかを含む薬学的製剤を提供する。一実施形態では、薬学的製剤は、本明細書で提供される抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)のうちのいずれかと、薬学的に許容される担体とを含む。別の実施形態では、薬学的製剤は、本明細書で提供される抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)のうちのいずれかと、例えば、以下に記載の少なくとも1つの追加の治療薬とを含む。ある特定の実施形態では、薬学的製剤は、1つ以上の追加の化合物を含む。ある特定の実施形態では、追加の化合物は、IL-1β、IL-6、IL-6R、IL-13、IL-13R、PDGF、アンジオポエチン、Ang2、Tie2、S1P、インテグリンαvβ3、αvβ5、及びα5β1、ベータセルリン、アペリン/APJ、エリスロポエチン、補体D因子、TNFα、HtrA1、VEGF受容体、ST-2受容体、ならびに加齢性黄斑変性症(AMD)リスクと遺伝的に関連するタンパク質、例えば、補体経路成分C2、B因子、H因子、CFHR3、C3b、C5、C5a、及びC3a、HtrA1、ARMS2、TIMP3、HLA、インターロイキン-8(IL-8)、CX3CR1、TLR3、TLR4、CETP、LIPC、COL10A1、ならびにTNFRSF10Aからなる群から選択される第2の生物学的分子に結合する。ある特定の実施形態では、追加の化合物は、抗体またはその抗原結合断片である。例えば、いくつかの例では、追加の化合物は、二重特異性抗体(例えば、抗VEGF/抗Ang2二重特異性抗体、例えば、RG-7716、またはWO2010/069532もしくはWO2016/073157に開示されるいずれかの二重特異性抗VEGF/抗Ang2二重特異性抗体、またはそれらのバリアントである。別の例では、いくつかの例では、追加の化合物は、抗IL-6抗体、例えば、EBI-031(Eleven Biotherapeutics、例えば、WO2016/073890を参照のこと)、シルツキシマブ(SYLVANT(登録商標))、オロキズマブ、クラザキズマブ、シルクマブ、エルシリモマブ、ゲリリムズマブ、OPR-003、MEDI-5117、PF-04236921、またはそれらのバリアントである。なおさらなる例では、いくつかの例では、追加の化合物は、抗IL-6R抗体、例えば、トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標))(例えば、WO1992/019579を参照のこと)、サリルマブ、ボバリリズマブ(ALX-0061)、SA-237、またはそれらのバリアントである。
抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)は、単独でまたは他の薬剤と組み合わせてのいずれかで、療法に使用され得る。例えば、抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)は、少なくとも1つの追加の治療薬と同時投与され得る。ある特定の実施形態では、追加の治療薬は、別の抗体、抗血管新生剤、免疫抑制剤、サイトカイン、サイトカインアンタゴニスト、コルチコステロイド、制吐薬、がんワクチン、鎮痛剤、またはそれらの組み合わせである。
例えば、ある特定の実施形態では、前述の方法のいずれかは、1つ以上の追加の化合物を投与することをさらに含む。ある特定の実施形態では、抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)は、追加の化合物(複数可)と同時に投与される。ある特定の実施形態では、抗体または抗体コンジュゲートは、追加の化合物(複数可)の前または後に投与される。ある特定の実施形態では、追加の化合物は、IL-1β、IL-6、IL-6R、IL-13、IL-13R、PDGF、アンジオポエチン、Ang2、Tie2、S1P、インテグリンαvβ3、αvβ5、及びα5β1、ベータセルリン、アペリン/APJ、エリスロポエチン、補体D因子、TNFα、HtrA1、VEGF受容体、ST-2受容体、ならびにAMDリスクと遺伝的に関連するタンパク質、例えば、補体経路成分C2、B因子、H因子、CFHR3、C3b、C5、C5a、及びC3a、HtrA1、ARMS2、TIMP3、HLA、インターロイキン-8(IL-8)、CX3CR1、TLR3、TLR4、CETP、LIPC、COL10A1、ならびにTNFRSF10Aからなる群から選択される第2の生物学的分子に結合する。ある特定の実施形態では、追加の化合物は、抗体またはその抗原結合断片である。
上の実施形態のいずれかに従う(またはいずれかに適用される)ある特定の実施形態では、眼障害は、増殖性網膜症、脈絡膜血管新生(CNV)、加齢性黄斑変性症(AMD)、糖尿病性及び他の虚血関連網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、病理学的近視、フォン・ヒッペル・リンドウ病、眼ヒストプラスマ症、CRVO及びBRVOを含む網膜静脈閉塞症(RVO)、角膜血管新生、網膜血管新生、及び未熟児網膜症(ROP)からなる群から選択される眼内血管新生疾患である。例えば、いくつかの例では、追加の化合物は、二重特異性抗体(例えば、抗VEGF/抗Ang2二重特異性抗体、例えば、RG-7716、またはWO2010/069532もしくはWO2016/073157に開示されるいずれかの二重特異性抗VEGF/抗Ang2二重特異性抗体、またはそれらのバリアントである。別の例では、いくつかの例では、追加の化合物は、抗IL-6抗体、例えば、EBI-031(Eleven Biotherapeutics、例えば、WO2016/073890を参照のこと)、シルツキシマブ(SYLVANT(登録商標))、オロキズマブ、クラザキズマブ、シルクマブ、エルシリモマブ、ゲリリムズマブ、OPR-003、MEDI-5117、PF-04236921、またはそれらのバリアントである。なおさらなる例では、いくつかの例では、追加の化合物は、抗IL-6R抗体、例えば、トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標))(例えば、WO1992/019579を参照のこと)、サリルマブ、ボバリリズマブ(ALX-0061)、SA-237、またはそれらのバリアントである。
いくつかの例では、本発明の抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)は、眼障害、例えば、本明細書に記載の眼障害(例えば、AMD(例えば、滲出型AMD)、DME、DR、またはRVO)の治療のための少なくとも1つの追加の治療薬と組み合わせて投与され得る。眼障害を治療するための併用療法のための例示的な追加の治療薬には、抗血管新生剤、例えば、VEGFアンタゴニスト(例えば、抗VEGF抗体(例えば、抗VEGF Fab LUCENTIS(登録商標)(ラニビズマブ))、可溶性受容体融合タンパク質(例えば、組換え可溶性受容体融合タンパク質EYLEA(登録商標)(アフリベルセプト、別名、VEGF Trap Eye、Regeneron/Aventis))、アプタマー(例えば、抗VEGFペグ化アプタマーMACUGEN(登録商標)(ペガプタニブナトリウム、NeXstar Pharmaceuticals/OSI Pharmaceuticals))、及びVEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(例えば、4-(4-ブロモ-2-フルオロアニリノ)-6-メトキシ-7-(1-メチルピペリジン-4-イルメトキシ)キナゾリン(ZD6474)、4-(4-フルオロ-2-メチルインドール-5-イルオキシ)-6-メトキシ-7-(3-ピロリジン-1-イルプロポキシ)キナゾリン(AZD2171)、バタラニブ(PTK787)、セマキサミニブ(SU5416、SUGEN)、及びSUTENT(登録商標)(スニチニブ))を含む)、トリプトファニル-tRNAシンテターゼ(TrpRS)、スクアラミン、RETAANE(登録商標)(デポー懸濁液用のアネコルタブ酢酸、Alcon,Inc.)、コンブレタスタチンA4プロドラッグ(CA4P)、MIFEPREX(登録商標)(ミフェプリストン-ru486)、テノン嚢下トリアムシノロンアセトニド、硝子体内結晶性トリアムシノロンアセトニド、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤(例えば、Prinomastat(AG3340、Pfizer))、フルオシノロンアセトニド(例えば、フルオシノロン眼内インプラント、Bausch & Lomb/Control Delivery Systems)、リノミド、インテグリンβ3機能阻害剤、アンギオスタチン、ならびにそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。本発明の抗体コンジュゲートと組み合わせて投与され得るこれら及び他の治療薬は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第US2014/0017244号に記載されている。
眼障害(例えば、AMD、DME、DR、またはRVO)を治療するために本発明の抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)と組み合わせて使用され得る追加の治療薬のさらなる例としては、VISUDYNE(登録商標)(ベルテポルフィン、典型的には非熱的レーザーを用いた光線力学療法と併せて使用される光活性化薬物)、PKC412、Endovion(NS 3728、NeuroSearch A/S)、神経栄養因子(例えば、グリア由来神経栄養因子(GDNF)及び毛様体神経栄養因子(CNTF))、ジルチアゼム、ドルゾラミド、PHOTOTROP(登録商標)、9-シス-レチナール、目薬(例えば、ヨウ化ホスホリン、エコチオフェート、または炭酸脱水酵素阻害剤)、ベオバスタット(veovastat)(AE-941、AEterna Laboratories,Inc.)、Sirna-027(AGF-745、Sima Therapeutics,Inc.)、ニューロトロフィン(例えば、ほんの一例として、NT-4/5、Genentech)、Cand5(Acuity Pharmaceuticals)、INS-37217(Inspire Pharmaceuticals)、インテグリンアンタゴニスト(例えば、Jerini AG及びAbbott Laboratories製のもの)、EG-3306(Ark Therapeutics Ltd.)、BDM-E(BioDiem Ltd.)、サリドマイド(例えば、EntreMed,Inc.によって使用されるもの)、カルジオトロフィン-1(Genentech)、2-メトキシエストラジオール(Allergan/Oculex)、DL-8234(Toray Industries)、NTC-200(Neurotech)、テトラチオモリブデート(University of Michigan)、LYN-002(Lynkeus Biotech)、微細藻類化合物(Aquasearch/Albany、Mera Pharmaceuticals)、D-9120(Celltech Group plc)、ATX-S10(Hamamatsu Photonics)、TGF-ベータ2(Genzyme/Celtrix)、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、Allergan、SUGEN、またはPfizer製のもの)、NX-278-L(NeXstar Pharmaceuticals/Gilead Sciences)、Opt-24(OPTIS France SA)、網膜細胞神経節神経保護剤(Cogent Neurosciences)、N-ニトロピラゾール誘導体(Texas A&M University System)、KP-102(Krenitsky Pharmaceuticals)、シクロスポリンA(光線力学療法に使用される治療薬)(例えば、VISUDYNE(登録商標)、受容体標的PDT(Bristol-Myers Squibb,Co.)、PDTでの注射用ポルフィマーナトリウム、ベルテポルフィン(QLT Inc.)、PDTでのロスタポルフィン(Miravent Medical Technologies)、PDTでのタラポルフィンナトリウム(Nippon Petroleum)、及びモテキサフィンルテチウム(Pharmacyclics,Inc.))、アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、一例として、Novagali Pharma SAによって試験された製品及びISIS-13650、Isis Pharmaceuticals)、ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)は、例えば、レーザー光凝固術(例えば、汎網膜光凝固術(PRP))、ドルーゼンレーザー処置、黄斑円孔手術、黄斑移動手術、埋め込み型小型望遠鏡、PHI運動血管造影(別名、マイクロレーザー療法及びフィーダー血管治療)、陽子ビーム療法、微小刺激療法、網膜剥離及び硝子体手術、強膜バックル、黄斑下手術、経瞳孔温熱療法、光化学系I療法、RNA干渉(RNAi)の使用、体外レオフェレーシス(別名、膜分別濾過及びレオセラピー)、マイクロチップ埋め込み、幹細胞療法、遺伝子置換療法、リボザイム遺伝子療法(低酸素応答要素に対する遺伝子療法(Oxford Biomedica)、Lentipak(Genetix)、及びPDEF遺伝子療法(GenVec)を含む)、光受容体/網膜細胞移植術(移植可能な網膜上皮細胞(Diacrin,Inc.)、網膜細胞移植片(Cell Genesys,Inc.)を含む)、鍼療法、及びそれらの組み合わせを含む、眼障害(例えば、AMD、DME、DR、またはRVO)の治療のための療法または外科的手技と組み合わせて投与され得る。
いくつかの例では、本発明の抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)は、眼障害(例えば、AMD、DME、DR、またはRVO)の治療のための抗血管新生剤と組み合わせて投与され得る。Carmeliet et al.Nature 407:249-257,2000に列記されるものを含むが、これらに限定されない任意の好適な抗血管新生剤が、本発明の抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲートと組み合わせて使用され得る。いくつかの実施形態では、抗血管新生剤は、抗VEGF抗体(例えば、抗VEGF Fab LUCENTIS(登録商標)(ラニビズマブ)、RTH-258(以前のESBA-1008、抗VEGF一本鎖抗体断片、Novartis)、または二重特異性抗VEGF抗体(例えば、抗VEGF/抗アンジオポエチン2二重特異性抗体、例えば、RG-7716(Roche))、可溶性組換え受容体融合タンパク質(例えば、EYLEA(登録商標)(アフリベルセプト))、VEGFバリアント、可溶性VEGFR断片、VEGFを遮断することができるアプタマー(例えば、ペガプタニブ)またはVEGFR、中和抗VEGFR抗体、VEGFRチロシンキナーゼ小分子阻害剤、抗VEGF DARPin(登録商標)(例えば、アビシパルペゴル)、VEGFまたはVEGFRの発現を阻害する低分子干渉RNA、VEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(例えば、4-(4-ブロモ-2-フルオロアニリノ)-6-メトキシ-7-(1-メチルピペリジン-4-イルメトキシ)キナゾリン(ZD6474)、4-(4-フルオロ-2-メチルインドール-5-イルオキシ)-6-メトキシ-7-(3-ピロリジン-1-イルプロポキシ)キナゾリン(AZD2171)、バタラニブ(PTK787)、セマキサミニブ(SU5416(SUGEN))、及びSUTENT(登録商標)(スニチニブ))、ならびにそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されないVEGFアンタゴニストである。いくつかの例では、二重特異性抗VEGF抗体は、IL-1β、IL-6、IL-6R、PDGF(例えば、PDGF-BB)、アンジオポエチン、アンジオポエチン2、Tie2、S1P、インテグリンαvβ3、αvβ5、及びα5β1、ベータセルリン、アペリン/APJ、エリスロポエチン、補体D因子、TNFα、HtrA1、VEGF受容体(例えば、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、mbVEGFR、またはsVEGFR)、ST-2受容体、ならびに加齢性黄斑変性症(AMD)リスクと遺伝的に関連するタンパク質、例えば、補体経路成分C2、B因子、H因子、CFHR3、C3b、C5、C5a、及びC3a、HtrA1、ARMS2、TIMP3、HLA、IL-8、CX3CR1、TLR3、TLR4、CETP、LIPC、COL10A1、ならびにTNFRSF10Aを含むが、これらに限定されない第2の生物学的分子に結合する。例えば、いくつかの例では、追加の化合物は、二重特異性抗体(例えば、抗VEGF/抗Ang2二重特異性抗体、例えば、RG-7716、またはWO2010/069532もしくはWO2016/073157に開示されるいずれかの二重特異性抗VEGF/抗Ang2二重特異性抗体、またはそれらのバリアントである。
眼障害(例えば、AMD、DME、DR、またはRVO)の治療のために本発明の抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)と組み合わせて投与され得る他の好適な抗血管新生剤には、コルチコステロイド、アンギオスタチックステロイド、アネコルタブ酢酸、アンギオスタチン、エンドスタチン、チロシンキナーゼ阻害剤、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)阻害剤、インスリン様成長因子結合タンパク質3(IGFBP3)、ストロマ細胞由来因子(SDF-1)アンタゴニスト(例えば、抗SDF-1抗体)、色素上皮由来因子(PEDF)、ガンマ-セクレターゼ、デルタ様リガンド4、インテグリンアンタゴニスト、低酸素誘導因子(HIF)-1αアンタゴニスト、タンパク質キナーゼCK2アンタゴニスト、血管新生部位への幹細胞(例えば、内皮前駆細胞)ホーミングを阻害する薬剤(例えば、抗血管内皮カドヘリン(CD-144)抗体及び/または抗SDF-1抗体)、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
さらなる例では、いくつかの例では、本発明の抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)は、眼障害(例えば、AMD、DME、DR、またはRVO)の治療のための血管新生に対する活性を有する薬剤、例えば、抗炎症薬、哺乳類ラパマイシン標的(mTOR)阻害剤(例えば、ラパマイシン、AFINITOR(登録商標)(エベロリムス)、及びTORISEL(登録商標)(テムシロリムス))、シクロスポリン、腫瘍壊死因子(TNF)アンタゴニスト(例えば、抗TNFα抗体またはその抗原結合断片(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、及びゴリムマブ)または可溶性受容体融合タンパク質(例えば、エタネルセプト))、抗補体剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、またはそれらの組み合わせと組み合わせて投与され得る。
なおさらなる例では、いくつかの例では、本発明の抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)は、神経保護的であり、かつ乾燥AMDから滲出型AMDへの進行を軽減する可能性のある薬剤、例えば、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)(商標名PRASTERA(商標)及びFIDELIN(登録商標))、硫酸デヒドロエピアンドロステロン、ならびに硫酸プレグネノロン等の薬物を含む「ニューロステロイド」と呼ばれる薬物のクラスと組み合わせて投与され得る。
任意の好適なAMD治療薬は、眼障害(例えば、AMD、DME、DR、またはRVO)の治療のために、VEGFアンタゴニスト、例えば、抗VEGF抗体(例えば、LUCENTIS(登録商標)(ラニビズマブ)、RTH-258(以前のESBA-1008、抗VEGF一本鎖抗体断片、Novartis)、または二重特異性抗VEGF抗体(例えば、抗VEGF/抗アンジオポエチン2二重特異性抗体、例えば、RG-7716、Roche)、可溶性VEGF受容体融合タンパク質(例えば、EYLEA(登録商標)(アフリベルセプト))、抗VEGF DARPin(登録商標)(例えば、アビシパルペゴル、Molecular Partners AG/Allergan)、または抗VEGFアプタマー(例えば、MACUGEN(登録商標)(ペガプタニブナトリウム))、血小板由来成長因子(PDGF)アンタゴニスト、例えば、抗PDGF抗体、抗PDGFR抗体(例えば、REGN2176-3)、抗PDGF-BBペグ化アプタマー(例えば、FOVISTA(登録商標)、Ophthotech/Novartis)、可溶性PDGFR受容体融合タンパク質、または二重PDGF/VEGFアンタゴニスト(例えば、小分子阻害剤(例えば、DE-120(Santen)もしくはX-82(TyrogeneX))、または二重特異性抗PDGF/抗VEGF抗体))、光線力学療法と組み合わせたVISUDYNE(登録商標)(ベルテポルフィン)、抗酸化剤、補体系アンタゴニスト、例えば、補体因子C5アンタゴニスト(例えば、小分子阻害剤(例えば、ARC-1905、Opthotech)または抗C5抗体(例えば、LFG-316、Novartis)、プロパージンアンタゴニスト(例えば、抗プロパージン抗体、例えば、CLG-561、Alcon)、または補体D因子アンタゴニスト(例えば、抗補体D因子抗体、例えば、ランパリズマブ、Roche))、視覚サイクル修正剤(例えば、エミクススタト塩酸塩)、スクアラミン(例えば、OHR-102、Ohr Pharmaceutical)、ビタミン及びミネラル補助剤(例えば、加齢性眼疾患研究1(AREDS1、亜鉛及び/または抗酸化剤)及び加齢性眼疾患研究2(AREDS2、亜鉛、抗酸化剤、ルテイン、ゼアキサンチン、及び/またはオメガ-3脂肪酸)に記載のもの)、細胞に基づく療法、例えば、NT-501(Renexus)、PH-05206388(Pfizer)、huCNS-SC細胞移植(StemCells)、CNTO-2476(Janssen)、OpRegen(Cell Cure Neurosciences)、またはMA09-hRPE細胞移植(Ocata Therapeutics)、組織因子アンタゴニスト(例えば、hI-con1、Iconic Therapeutics)、アルファ-アドレナリン作動性受容体アゴニスト(例えば、酒石酸ブリモニジン)、ペプチドワクチン(例えば、S-646240、Shionogi)、アミロイドベータアンタゴニスト(例えば、抗ベータアミロイドモノクローナル抗体、例えば、GSK-933776)、S1Pアンタゴニスト(例えば、抗S1P抗体、例えば、iSONEP(商標)、Lpath Inc)、ROBO4アンタゴニスト(例えば、抗ROBO4抗体、例えば、DS-7080a、Daiichi Sankyo)、エンドスタチン及びアンギオスタチンを発現するレンチウイルスベクター(例えば、RetinoStat)、ならびにそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない追加の治療薬として、本発明の抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)と組み合わせて投与され得る。いくつかの例では、AMD治療薬(前述のAMD治療薬のいずれも含む)が共製剤化され得る。例えば、抗PDGFR抗体REGN2176-3は、アフリベルセプト(EYLEA(登録商標))と共製剤化され得る。いくつかの例では、かかる共製剤は、本発明の抗体と組み合わせて投与され得る。いくつかの例では、眼障害は、AMD(例えば、滲出型AMD)である。
本発明の抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)は、眼障害(例えば、AMD、DME、DR、またはRVO)の治療のために、LUCENTIS(登録商標)(ラニビズマブ)と組み合わせて投与され得る。LUCENTIS(登録商標)(ラニビズマブ)は、例えば、硝子体内注射により0.3mg/眼または0.5mg/眼で、例えば、毎月投与され得る。いくつかの例では、眼障害は、AMD(例えば、滲出型AMD)である。
本発明の抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)は、眼障害(例えば、AMD、DME、DR、またはRVO)の治療のために、EYLEA(登録商標)(アフリベルセプト)と組み合わせて投与され得る。EYLEA(登録商標)(アフリベルセプト)は、例えば、硝子体内注射により2mg/眼で、例えば、4週間毎(Q4W)に、または最初の3ヶ月間にわたってQ4Wに、その後、維持のために注射により2ヶ月毎に投与され得る。いくつかの例では、眼障害は、AMD(例えば、滲出型AMD)である。
本発明の抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)は、眼障害(例えば、AMD、DME、DR、またはRVO)の治療のために、MACUGEN(登録商標)(ペガプタニブナトリウム)と組み合わせて投与され得る。MACUGEN(登録商標)(ペガプタニブナトリウム)は、例えば、0.3mg/眼で硝子体内注射により6週間毎に投与され得る。いくつかの例では、眼障害は、AMD(例えば、滲出型AMD)である。
本発明の抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)は、眼障害(例えば、AMD、DME、DR、またはRVO)の治療のために、光線力学療法と組み合わせたVISUDYNE(登録商標)(ベルテポルフィン)と組み合わせて投与され得る。VISUDYNE(登録商標)は、例えば、静脈内注入により、任意の好適な用量(例えば、6mg/m2(体表面積))で投与され、3ヶ月毎に送達され得る(例えば、10分間にわたる注入)。いくつかの例では、眼障害は、AMD(例えば、滲出型AMD)である。
本発明の抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)は、眼障害(例えば、AMD、DME、DR、またはRVO)の治療のために、PDGFアンタゴニストと組み合わせて投与され得る。本発明の抗体と組み合わせて使用され得る例示的なPDGFアンタゴニストには、抗PDGF抗体、抗PDGFR抗体、小分子阻害剤(例えば、スクアラミン)、抗PDGF-Bペグ化アプタマー、例えば、FOVISTA(登録商標)(E10030、Ophthotech/Novartis)、または二重PDGF/VEGFアンタゴニスト(例えば、小分子阻害剤(例えば、DE-120(Santen)もしくはX-82(TyrogeneX))、または二重特異性抗PDGF/抗VEGF抗体)が含まれる。例えば、FOVISTA(登録商標)は、本発明の抗体の補助療法剤として投与され得る。FOVISTA(登録商標)は、任意の好適な用量で、例えば、0.1mg/眼~2.5mg/眼、例えば、0.3mg/眼または1.5mg/眼で、例えば、硝子体内注射により、例えば、4週間毎(Q4W)に投与され得る。OHR-102(乳酸スクアラミン点眼液、0.2%)は、点眼薬により、例えば、1日2回投与され得る。OHR-102は、LUCENTIS(登録商標)またはEYLEA(登録商標)等のVEGFアンタゴニストと組み合わせて投与され得る。いくつかの実施形態では、本発明の抗体コンジュゲートは、OHR-102、LUCENTIS(登録商標)、及び/またはEYLEA(登録商標)と組み合わせて投与され得る。いくつかの例では、眼障害は、AMD(例えば、滲出型AMD)である。
本発明の抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)は、眼障害(例えば、AMD、DME、DR、またはRVO)の治療のために、RTH-258と組み合わせて投与され得る。RTH-258は、例えば、硝子体内注射または眼注入により投与され得る。硝子体内注射の場合、RTH-258は、任意の好適な用量(例えば、3mg/眼または6mg/眼)で、例えば、負荷量として最初の3ヶ月間にわたって4週間毎(Q4W)に、その後、維持のために注射により12週間毎(Q12W)または8週間毎(Q8W)に投与され得る。いくつかの例では、眼障害は、AMD(例えば、滲出型AMD)である。
本発明の抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)は、眼障害(例えば、AMD、DME、DR、またはRVO)の治療のために、アビシパルペゴルと組み合わせて投与され得る。アビシパルペゴルは、例えば、硝子体内注射により投与され得る。アビシパルペゴルは、任意の好適な用量(例えば、1mg/眼、2mg/眼、3mg/眼、4mg/眼、または4.2mg/眼)で、例えば、負荷量として最初の3ヶ月間にわたって4週間毎(Q4W)に、その後、維持のために注射により12週間毎(Q12W)または8週間毎(Q8W)に投与され得る。いくつかの例では、眼障害は、AMD(例えば、滲出型AMD)である。
VEGFアンタゴニスト(例えば、LUCENTIS(登録商標)もしくはEYLEA(登録商標))、コルチコステロイド(例えば、コルチコステロイドインプラント(例えば、OZURDEX(登録商標)(デキサメタゾン硝子体内インプラント)もしくはILUVIEN(登録商標)(フルオシノロンアセトニド硝子体内インプラント))、または硝子体内注射による投与のために製剤化されたコルチコステロイド(例えば、トリアムシノロンアセトニド))、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない任意の好適なDME及び/またはDR治療薬が、眼障害(例えば、AMD、DME、DR、またはRVO)の治療のために、本発明の抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)と組み合わせて投与され得る。いくつかの例では、眼障害は、DME及び/またはDRである。
本発明の抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)は、DME及び/またはDR(例えば、NPDRまたはPDR)の治療のために、LUCENTIS(登録商標)(ラニビズマブ)と組み合わせて投与され得る。LUCENTIS(登録商標)(ラニビズマブ)は、例えば、硝子体内注射により0.3mg/眼または0.5mg/眼で、例えば、4週間毎(Q4W)に投与され得る。
本発明の抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)は、DME及び/またはDR(例えば、NPDRまたはPDR)の治療のために、EYLEA(登録商標)(アフリベルセプト)と組み合わせて投与され得る。EYLEA(登録商標)(アフリベルセプト)は、例えば、硝子体内注射により2mg/眼で、例えば、4週間毎(Q4W)に、または最初の5ヶ月間にわたってQ4Wに、その後、維持のために注射により8週間毎(Q8W)に投与され得る。
本発明の抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)は、DME及び/またはDRの治療のために、OZURDEX(登録商標)(デキサメタゾン硝子体内インプラント)と組み合わせて投与され得る。OZURDEX(登録商標)は、最長6ヶ月毎に投与され得る0.7mgデキサメタゾン硝子体内インプラントとして投与され得る。
本発明の抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)は、DME及び/またはDRの治療のために、ILUVIEN(登録商標)(デキサメタゾン硝子体内インプラント)と組み合わせて投与され得る。OZURDEX(登録商標)は、0.25μg/日の速度で溶出し得、かつ最長約36ヶ月間持続し得る0.19mgフルオシノロンアセトニド硝子体内インプラントとして投与され得る。
いくつかの場合、TAO/PRN治療レジメンまたはTAE治療レジメンが、AMD治療薬(例えば、ラニビズマブまたはアフリベルセプト)を本発明の抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)と組み合わせて投与するために使用され得る。TAO/PRNレジメンの場合、4週間毎(Q4W)の(典型的には、約3ヶ月間にわたる)最初の硝子体内注射後、対象は、月1回または2ヶ月毎に(またはさらにより長い間隔で)監視され、注射は、疾患活動性の証拠(例えば、光コヒーレンストモグラフィー(OCT)での視力低下または体液減少)が見られた際に投与される。TAEレジメンの場合、対象は、4週間毎(Q4W)に治療され、その後、その後の各々の来診について、最長間隔(例えば、6週間毎、8週間毎、10週間毎、または12週間毎)まで固定週数(例えば、+2週間)だけ治療間隔を長くしてもよい。疾患活動性の証拠が見られなくても、来診する度に眼(複数可)は観察され、治療され得る。黄斑が湿って見える(例えば、OCTにより)場合、注射間隔は、黄斑が再び乾燥して見えるようになるまで、短くされてもよい(例えば、-2週間)。いくつかの例では、眼障害は、AMD(例えば、滲出型AMD)である。
上述のかかる併用療法は、併用投与(この場合、2つ以上の治療薬が同じまたは別個の製剤中に含まれている)、及び別個の投与(この場合、本発明の抗体または抗体コンジュゲートの投与が、追加の治療薬または薬剤の投与前に、投与と同時に、及び/または投与後に起こる)を包含する。一実施形態では、抗体または抗体コンジュゲートの投与及び追加の治療薬の投与は、各々の投与の約1、2、3、4、もしくは5ヶ月以内、または約1、2、もしくは3週間以内、または約1、2、3、4、5、もしくは6日以内に起こる。
眼疾患または状態の予防または治療のための本発明の抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)(及び任意の追加の治療薬)は、点眼薬及び/または軟膏の形態で、例えば、眼、眼内、及び/または硝子体内注射、及び/または強膜近傍注射、及び/またはテノン嚢下注射、及び/または脈絡膜上注射、及び/または局所投与を含むが、これらに限定されない任意の好適な手段によって投与され得る。かかる抗体または抗体コンジュゲートは、様々な方法によって、例えば、Intraocular Drug Delivery,Jaffe,Jaffe,Ashton,and Pearson,editors,Taylor & Francis(March 2006)等の参考文献に記載のものを含む、化合物の硝子体内への持続放出を可能にするデバイス及び/またはデポーとして硝子体内に送達され得る。一例では、デバイスは、長期間にわたって化合物を放出する小型ポンプ及び/またはマトリックス及び/または受動拡散系及び/またはカプセル化細胞の形態であり得る(Intraocular Drug Delivery,Jaffe,Jaffe,Ashton,and Pearson,editors,Taylor & Francis(March 2006)。使用され得るさらなるアプローチが、以下のG節に記載される。
眼、眼内、または硝子体内投与のための製剤は、当該技術分野で既知の方法によって、かつ当該技術分野で既知の賦形剤を使用して調製され得る。効率的な治療に重要な特徴は、眼への適切な浸透である。薬物が局所送達され得る眼の前部の疾患とは異なり、網膜疾患は、典型的には、より部位特異的なアプローチから恩恵を受け得る。点眼薬及び軟膏は眼の後部にはほとんど浸透せず、血液-眼関門が全身投与された薬物の眼組織への浸透を妨げる。したがって、AMD及びCNV等の網膜疾患を治療するための薬物送達の選択方法は、典型的には、直接硝子体内注射である。硝子体内注射は、通常、患者の状態、ならびに送達される薬物の特性及び半減期に依存する間隔で繰り返される。使用され得るさらなるアプローチが、以下のG節に記載される。
特定の眼障害または状態の治療に有効な抗体または抗体コンジュゲートの量は、障害または状態の性質に依存し、標準の臨床技法によって決定され得る。可能な場合、ヒトにおいて試験する前に、最初にインビトロで、その後、有用な動物モデル系において、用量反応曲線及び本発明の薬学的組成物を決定することが望ましい。
追加の好適な投与手段には、非経口、肺内、及び鼻腔内が含まれ、局所治療が所望される場合、病巣内投与が含まれる。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与が含まれる。投薬は、投与が短期間であるか長期間であるかに部分的に応じて、任意の好適な経路、例えば、静脈内注射または皮下注射等の注射によるものであり得る。単回投与または様々な時点にわたる複数回投与、ボーラス投与、及びパルス注入を含むが、これらに限定されない様々な投薬スケジュールが、本明細書で企図される。いくつかの例では、本発明の抗体コンジュゲートは、静脈内、筋肉内、皮内、経皮(percutaneously)、動脈内、腹腔内、病巣内、頭蓋内、関節内、前立腺内、胸膜内、気管内、髄腔内、鼻腔内、膣内、直腸内、局所、腫瘍内、腹腔内、腹膜、脳室内、皮下、結膜下、小胞内、粘膜、心膜内、臍内、眼窩内、経口、局所、経皮(transdermally)、吸入により、注射により、埋め込みにより、注入により、持続注入により、局所灌流浴により標的細胞に直接、カテーテルにより、洗浄により、クリーム剤で、または脂質組成物で投与され得る。
疾患の予防または治療について、本発明の抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)の適切な投薬量(単独でまたは1つ以上の他の追加の治療薬と組み合わせて使用される場合)は、治療される疾患の種類、抗体の種類、疾患の重症度及び経過、抗体が予防目的または治療目的のために投与されるか、以前の療法、患者の病歴、及び抗体への応答、ならびに主治医の裁量に依存する。抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)は、一度に、または一連の治療にわたって患者に好適に投与される。疾患の種類及び重症度に応じて、例えば、1回以上の別個の投与であるか、持続注入によるかにかかわらず、約1μg/kg~15mg/kg(例えば、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.4mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、または10mg/kg)の抗体または抗体コンジュゲートが、患者への投与のための初期候補投薬量であり得る。いくつかの実施形態では、使用される抗体または抗体コンジュゲートは、約0.01mg/kg~約45mg/kg、約0.01mg/kg~約40mg/kg、約0.01mg/kg~約35mg/kg、約0.01mg/kg~約30mg/kg、約0.01mg/kg~約25mg/kg、約0.01mg/kg~約20mg/kg、約0.01mg/kg~約15mg/kg、約0.01mg/kg~約10mg/kg、約0.01mg/kg~約5mg/kg、または約0.01mg/kg~約1mg/kgである。抗体コンジュゲートの場合、投薬は、コンジュゲートの抗体成分の重量に基づき得る。1つの典型的な1日投薬量は、上述の要因に応じて、約1μg/kg~100mg/kg以上の範囲であり得る。数日間またはそれ以上にわたる繰り返し投与の場合、状態に応じて、治療は、一般に、所望の疾患症状抑制が生じるまで維持される。
いくつかの実施形態では、方法は、追加の療法をさらに含み得る。追加の療法は、放射線療法、手術、化学療法、遺伝子療法、DNA療法、ウイルス療法、RNA療法、免疫療法、骨髄移植、ナノ療法、モノクローナル抗体療法、または前述の組み合わせであり得る。追加の療法は、アジュバント療法またはネオアジュバント療法の形態であり得る。いくつかの実施形態では、追加の療法は、小分子酵素阻害剤または抗転移剤の投与である。いくつかの実施形態では、追加の療法は、副作用制限剤(例えば、治療の副作用の発生を減少させ、及び/または重症度を低減するよう意図された薬剤、例えば、制嘔吐剤等)の投与である。いくつかの実施形態では、追加の療法は、放射線療法である。いくつかの実施形態では、追加の療法は、手術である。いくつかの実施形態では、追加の療法は、放射線療法と手術との組み合わせである。いくつかの実施形態では、追加の療法は、ガンマ照射である。いくつかの実施形態では、追加の療法は、上述の治療薬のうちの1つ以上の別個の投与であり得る。
上記の製剤または治療法のいずれも、抗VEGF抗体の代わりに、またはそれに加えて、本発明のイムノコンジュゲートを使用して実行され得ることが理解される。
上記の製剤または治療法のいずれも、本発明の抗体コンジュゲート(例えば、本明細書、例えば、以下のG節に記載のいずれのもの)を使用して実行され得ることが理解される。
F.製品
本発明の別の態様では、上述の障害の治療及び/または予防に有用な材料を含む製品が提供される。製品は、容器と、容器上のまたは容器に関連するラベルまたは添付文書とを含む。好適な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、IV溶液バッグ等が含まれる。容器は、ガラスまたはプラスチック等の様々な材料から形成され得る。容器は、単独で、または別の組成物と組み合わせで、状態の治療、予防、及び/または診断に有効な組成物を保持し、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、静脈注射用溶液バッグまたは皮下注射針によって穿孔可能な栓を有するバイアルであり得る)。組成物中の少なくとも1つの活性薬剤は、本発明の抗体組成物(例えば、抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)またはその抗体コンジュゲート)である。ラベルまたは添付文書は、組成物が選択される状態を治療するために使用されることを示す。さらに、製品は、(a)組成物を内部に収容する第1の容器(この組成物は、本発明の抗体またはその抗体組成物を含む)と、任意に(b)組成物を内部に収容する第2の容器(この組成物は、追加の治療薬を含む)とを含み得る。本発明のこの実施形態における製品は、組成物(複数可)が特定の状態を治療するために使用され得ることを示す添付文書をさらに含み得る。あるいは、または加えて、製品は、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンガー溶液、及びデキストロース溶液等の薬学的に許容される緩衝液を含む第2(または第3)の容器をさらに含み得る。製品は、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む、商業的観点及び使用者の観点から望ましい他の材料をさらに含み得る。
上記の製品のいずれも、本明細書に記載の抗体またはその抗体コンジュゲート及び/または任意の追加の治療薬のうちのいずれかを含み得ることが理解される。
G.眼長時間作用型送達アプローチ
本発明は、抗体(例えば、抗VEGF抗体(G6.31 AARR等の本明細書に記載のいずれの抗VEGF抗体も含む))の眼への長時間作用型送達のために使用され得る眼障害の治療のための組成物を提供する。例えば、本発明は、本明細書に記載の抗VEGF抗体を含む抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)(例えば、Fab、Fab-C、またはシステイン操作抗体(例えば、ThioFab)コンジュゲート)を提供する。本発明は、本明細書に記載の抗体または抗体コンジュゲートの眼投与のために使用され得るデバイスも提供する。本発明は、本明細書に記載の抗体または抗体コンジュゲートを含む薬学的組成物をさらに提供する。これらの組成物は、本明細書に記載の治療法、例えば、眼障害(例えば、AMD(例えば、滲出型AMD)、DME、DR(例えば、NPDRもしくはPDR)、またはRVO(例えば、CRVOもしくはBRVO))を治療する方法のいずれでも使用され得る。
1.抗体コンジュゲート
本発明は、抗体(例えば、抗VEGF抗体)及び抗体に共有結合した単分散ポリマーを含む抗体コンジュゲートを提供する。抗体(例えば、抗VEGF抗体)は、不可逆的様式または可逆的様式で単分散ポリマーに共有結合していてもよい。本明細書に記載のものまたは当該技術分野で既知の他のものを含む任意の好適な単分散ポリマーが使用され得る。
本発明は、抗体及び抗体に共有結合した単分散ポリマー(例えば、単分散HAポリマー)を含む抗体コンジュゲートを提供する。ポリマーは、約1.1以下の多分散性指数(PDI)を有し得る。PDI値が、抗体コンジュゲートを調製するために使用されるポリマーのPDI値を指し得ることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、ポリマーは、1.0~約1.1(例えば、1~約1.1、1~約1.09、1~約1.08、1~約1.07、1~約1.06、1~約1.05、1~約1.04、1~約1.03、1~約1.02、1~約1.01、1~約1.005、約1.001~約1.1、約1.001~約1.1、約1.001~約1.09、約1.001~約1.08、約1.001~約1.07、約1.001~約1.06、約1.001~約1.05、約1.001~約1.04、約1.001~約1.03、約1.001~約1.02、約1.001~約1.01、約1.001~約1.005、約1.001~約1.004、約1.001~約1.003、約1.001~約1.002、約1.0001~約1.1、約1.0001~約1.09、約1.0001~約1.08、約1.0001~約1.07、約1.0001~約1.06、約1.0001~約1.05、約1.0001~約1.04、約1.0001~約1.03、約1.0001~約1.02、約1.0001~約1.01、約1.0001~約1.005、約1.0001~約1.004、約1.0001~約1.003、約1.0001~約1.002、または約1.0001~約1.005)のPDIを有する。
例えば、いくつかの実施形態では、単分散ポリマー(例えば、単分散HAポリマー)は、1.001、約1.0001、約1.00001、約1.000001、約1.0000001以下のPDIを有する。いくつかの実施形態では、単分散ポリマー(例えば、単分散HAポリマー)は、1.0、約1.001、約1.002、約1.003、約1.004、約1.005、約1.006、約1.007、約1.008、約1.009、約1.01、約1.011、約1.012、約1.013、約1.014、約1.015、約1.016、約1.017、約1.018、約1.019、約1.02、約1.021、約1.022、約1.023、約1.024、約1.025、約1.026、約1.027、約1.028、約1.029、約1.03、約1.031、約1.032、約1.033、約1.034、約1.035、約1.036、約1.037、約1.038、約1.039、約1.04、約1.041、約1.042、約1.043、約1.044、約1.045、約1.046、約1.047、約1.048、約1.049、約1.05、約1.051、約1.052、約1.053、約1.054、約1.055、約1.056、約1.057、約1.058、約1.059、約1.06、約1.061、約1.062、約1.063、約1.064、約1.065、約1.066、約1.067、約1.068、約1.069、約1.07、約1.071、約1.072、約1.073、約1.074、約1.075、約1.076、約1.077、約1.078、約1.079、約1.08、約1.081、約1.082、約1.083、約1.084、約1.085、約1.086、約1.087、約1.088、約1.089、約1.09、約1.091、約1.092、約1.093、約1.094、約1.095、約1.096、約1.097、約1.098、約1.099、または約1.1のPDIを有する。いくつかの実施形態では、ポリマー(例えば、HAポリマー)は、約1.001のPDIを有する。
単分散ポリマーは、親水性ポリマーまたは疎水性ポリマーであり得る。親水性ポリマーは水溶性ポリマーであり得ることを理解されたい。任意の好適な親水性ポリマー、例えば、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、国際特許出願公開第WO2011/066417号及び/またはPelegri-O’Day et al.J.Am.Chem.Soc.136:14323-14332,2014に記載の親水性ポリマーが使用され得る。使用され得る例示的かつ非限定的な親水性ポリマーには、ヒアルロン酸(HA)、ポリエチレングリコール(PEG、別名、ポリ(エチレングリコール))(例えば、直鎖状PEG、分岐状PEG、櫛状PEG、及び樹枝状PEG)、ポリ[エチレンオキシド)-コ-(メチレンエチレンオキシド)]、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート)(pPEGMA)、アガロース、アルギン酸塩、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、セルロース、セルロース誘導体、キトサン、コンドロイチン硫酸、コラーゲン、デルマタン硫酸、デキストラン、硫酸デキストラン、フィブリン、フィブリノゲン、フィブロネクチン、フコイダン、ゼラチン、グリコサミノグリカン(GAG)、糖ポリマー、ヘパリン、ヘパリン硫酸、高度分岐多糖(例えば、ガラクトースデンドリマー)、ケラタン硫酸、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリ(N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド)(pHPMA)、ペクチン、ペクチン誘導体、ペントサン多硫酸、デンプン、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、スチレン、ビトロネクチン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アミン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(カルボキシベタイン)(PCB)、高分子電解質、ポリ(グルタミン酸)(PGA)、ポリ(グリセロール)(PG)(例えば、直鎖状、中程度官能性(midfunctional)、超分岐状、または直鎖状超分岐状PG)、ポリ(マレイン酸)、ポリ(2-オキサゾリン)(POZ)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン、ポリシアル酸(PSA)、ポリスチレン、ポリスチレン誘導体(例えば、荷電ポリスチレン誘導体)、ポリ(スチレンスルホン酸-コ-PEGMA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)(pNAcM)、及びそれらのコポリマーが含まれる。いくつかの例では、ポリマーは、疎水性ポリマー、例えば、乳酸グリコール酸コポリマー(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、及びポリグリコリド(PGA)である。ポリマーは、生分解性及び/または生体適合性であり得る。具体的な実施形態では、ポリマーは、HAである。
一例として、単分散ポリマー(例えば、HAポリマー)は、任意の好適な数の単量体、例えば、2~約1×104個の単量体(例えば、約10、約50、約100、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約900、約1000、約2000、約3000、約4000、約5000、約6000、約7000、約8000、約9000、または約1×104個の単量体)、またはそれ以上の単量体を含み得る。例えば、ポリマー(例えば、HAポリマー)は、約50~約250個の単量体、約50~約500個の単量体、約50~約1000個の単量体、約50~約2000個の単量体、約50~約3000個の単量体、約50~約4000個の単量体、約50~約5000個の単量体、約50~約6000個の単量体、約50~約7000個の単量体、約50~約8000個の単量体、約50~約9000個の単量体、約50~約10000個の単量体、約100~約250個の単量体、約100~約500個の単量体、約100~約1000個の単量体、約100~約2000個の単量体、約100~約3000個の単量体、約100~約4000個の単量体、約100~約5000個の単量体、約100~約6000個の単量体、約100~約7000個の単量体、約100~約8000個の単量体、約100~約9000個の単量体、約100~約10000個の単量体、約250~約500個の単量体、約250~約1000個の単量体、約250~約2000個の単量体、約250~約3000個の単量体、約250~約4000個の単量体、約250~約5000個の単量体、約250~約6000個の単量体、約250~約7000個の単量体、約250~約8000個の単量体、約250~約9000個の単量体、約250~約10000個、約500~約1000個の単量体、約500~約2000個の単量体、約500~約3000個の単量体、約500~約4000個の単量体、約500~約5000個の単量体、約500~約6000個の単量体、約500~約7000個の単量体、約500~約8000個の単量体、約500~約9000個の単量体、または約500~約10000個の単量体の単量体を含み得る。いくつかの例では、ポリマー(例えば、HAポリマー)は、約500個の単量体を含み得る。
本発明は、単分散HAポリマーに共有結合した抗体(例えば、G6.31 AARR等の抗VEGF抗体)を含む抗体コンジュゲートを提供する。かかる抗体コンジュゲートは、本明細書で「単分散HAコンジュゲート」と称されることもある。単分散HAポリマーは、約1.1以下の多分散性指数(PDI)を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、単分散HAポリマーは、1.0~約1.1(例えば、1~約1.1、1~約1.09、1~約1.08、1~約1.07、1~約1.06、1~約1.05、1~約1.04、1~約1.03、1~約1.02、1~約1.01、1~約1.005、約1.001~約1.1、約1.001~約1.1、約1.001~約1.09、約1.001~約1.08、約1.001~約1.07、約1.001~約1.06、約1.001~約1.05、約1.001~約1.04、約1.001~約1.03、約1.001~約1.02、約1.001~約1.01、約1.001~約1.005、約1.001~約1.004、約1.001~約1.003、約1.001~約1.002、約1.0001~約1.1、約1.0001~約1.09、約1.0001~約1.08、約1.0001~約1.07、約1.0001~約1.06、約1.0001~約1.05、約1.0001~約1.04、約1.0001~約1.03、約1.0001~約1.02、約1.0001~約1.01、約1.0001~約1.005、約1.0001~約1.004、約1.0001~約1.003、約1.0001~約1.002、または約1.0001~約1.005)のPDIを有する。
例えば、いくつかの実施形態では、単分散HAポリマーは、1.001、約1.0001、約1.00001、約1.000001、約1.0000001以下のPDIを有する。いくつかの実施形態では、単分散HAポリマーは、1.0、約1.001、約1.002、約1.003、約1.004、約1.005、約1.006、約1.007、約1.008、約1.009、約1.01、約1.011、約1.012、約1.013、約1.014、約1.015、約1.016、約1.017、約1.018、約1.019、約1.02、約1.021、約1.022、約1.023、約1.024、約1.025、約1.026、約1.027、約1.028、約1.029、約1.03、約1.031、約1.032、約1.033、約1.034、約1.035、約1.036、約1.037、約1.038、約1.039、約1.04、約1.041、約1.042、約1.043、約1.044、約1.045、約1.046、約1.047、約1.048、約1.049、約1.05、約1.051、約1.052、約1.053、約1.054、約1.055、約1.056、約1.057、約1.058、約1.059、約1.06、約1.061、約1.062、約1.063、約1.064、約1.065、約1.066、約1.067、約1.068、約1.069、約1.07、約1.071、約1.072、約1.073、約1.074、約1.075、約1.076、約1.077、約1.078、約1.079、約1.08、約1.081、約1.082、約1.083、約1.084、約1.085、約1.086、約1.087、約1.088、約1.089、約1.09、約1.091、約1.092、約1.093、約1.094、約1.095、約1.096、約1.097、約1.098、約1.099、または約1.1のPDIを有する。いくつかの実施形態では、単分散HAポリマーは、約1.001のPDIを有する。
いくつかの例では、単分散HAポリマーは、約2.5メガダルトン(MDa)以下(例えば、約2.5MDa以下、約2.4MDa以下、約2.3MDa以下、約2.2MDa以下、約2.1MDa以下、約2.0MDa以下、約1.9MDa以下、約1.8MDa以下、約1.7MDa以下、約1.6MDa以下、約1.5MDa以下、約1.4MDa以下、約1.3MDa以下、約1.2MDa以下、約1.1MDa以下、約1.0MDa以下、約900kDa以下、約800kDa以下、約700kDa以下、約600kDa以下、約500kDa以下、約400kDa以下、約300kDa以下、約200kDa以下、または約100kDa以下)の分子量を有する。いくつかの例では、HAポリマーは、約1MDa以下(例えば、約1.0MDa以下、約900kDa以下、約800kDa以下、約700kDa以下、約600kDa以下、約500kDa以下、約400kDa以下、約300kDa以下、約200kDa以下、または約100kDa以下)の分子量を有する。いくつかの例では、HAポリマーは、約25kDa~約2.5MDa(例えば、約25kDa~約2.5mDa、約25kDa~約2MDa、約25kDa~約1.5MDa、約25kDa~約1MDa、約25kDa~約900kDa、約25kDa~約800kDa、約25kDa~約700kDa、約25kDa~約600kDa、約25kDa~約500kDa、約100kDa~約2.5mDa、約100kDa~約2MDa、約100kDa~約1.5MDa、約100kDa~約1MDa、約100kDa~約900kDa、約100kDa~約800kDa、約100kDa~約700kDa、約100kDa~約600kDa、約100kDa~約500kDa、約250kDa~約2.5MDa、約250kDa~約2MDa、約250kDa~約1.5MDa、約250kDa~約1MDa、約250kDa~約900kDa、約250kDa~約800kDa、約250kDa~約700kDa、約250kDa~約600kDa、約250kDa~約500kDa、約500kDa~約2.5MDa、約500kDa~約2MDa、約500kDa~約1.5MDa、約500kDa~約1MDa、約500kDa~約900kDa、約500kDa~約800kDa、約500kDa~約700kDa、約500kDa~約600kDa、約1MDa~約2.5MDa、約1MDa~約2MDa、約1MDa~約1.5MDa、約1MDa~約1.25MDa、約1.25MDa~約2.5MDa、約1.25MDa~約2MDa、約1.25MDa~約1.5MDa、約1.5MDa~約2.5MDa、約1.5MDa~約2MDa、約1.5MDa~約1.75MDa、または1.75MDa~約2.5MDa)の分子量を有する。
いくつかの例では、単分散HAポリマーは、約25kDa~約500kDa(例えば、約25kDa~約500kDa、約25kDa~約450kDa、約25kDa~約400kDa、約25kDa~約350kDa、約25kDa~約300kDa、約25kDa~約300kDa、約25kDa~約250kDa、約25kDa~約200kDa、約25kDa~約150kDa、約25kDa~約100kDa、約25kDa~約50kDa、約40kDa~約500kDa、約40kDa~約450kDa、約40kDa~約400kDa、約40kDa~約350kDa、約40kDa~約300kDa、約40kDa~約300kDa、約40kDa~約250kDa、約40kDa~約200kDa、約40kDa~約150kDa、約40kDa~約100kDa、約40kDa~約50kDa、約50kDa~約500kDa、約50kDa~約450kDa、約50kDa~約400kDa、約50kDa~約350kDa、約50kDa~約300kDa、約50kDa~約300kDa、約50kDa~約250kDa、約50kDa~約200kDa、約50kDa~約150kDa、約50kDa~約100kDa、約50kDa~約75kDa、約100kDa~約500kDa、約100kDa~約450kDa、約100kDa~約400kDa、約100kDa~約350kDa、約100kDa~約300kDa、約100kDa~約300kDa、約100kDa~約250kDa、約100kDa~約200kDa、約100kDa~約150kDa、約150kDa~約500kDa、約150kDa~約450kDa、約150kDa~約400kDa、約150kDa~約350kDa、約150kDa~約300kDa、約150kDa~約300kDa、約150kDa~約250kDa、約150kDa~約200kDa、約175kDa~約500kDa、約175kDa~約450kDa、約175kDa~約400kDa、約175kDa~約350kDa、約175kDa~約300kDa、約175kDa~約300kDa、175 200kDa~約250kDa、約175kDa~約225kDa、約200kDa~約500kDa、約200kDa~約450kDa、約200kDa~約400kDa、約200kDa~約350kDa、約200kDa~約300kDa、約200kDa~約300kDa、約200kDa~約250kDa、または約200kDa~約225kDa)の分子量を有する。
いくつかの例では、単分散HAポリマーは、約100kDa~約250kDa(例えば、約100kDa、約110kDa、約120kDa、約130kDa、約140kDa、約150kDa、約160kDa、約170kDa、約180kDa、約190kDa、約200kDa、約210kDa、約220kDa、約230kDa、約240kDa、または約250kDa)の分子量を有する。具体的な例では、HAポリマーは、約200kDaの分子量を有する。
前述の分子量のいずれも、重量平均分子量(別名、重量平均モル質量)であり得る。
いくつかの例では、前述の単分散HAポリマーのいずれも、直鎖状である、すなわち、架橋していない。
他の例では、本発明は、単分散PEGポリマーに共有結合した抗体(例えば、G6.31 AARR等の抗VEGF抗体)を含む抗体コンジュゲートを提供する。かかる抗体コンジュゲートは、本明細書で「PEGコンジュゲート」と称されることもある。任意の好適な単分散PEGポリマーが使用され得る。単分散PEGポリマーが、単分散HAポリマーと比較して異なるPDI値を有し得ることを理解されたい。例えば、市販のPEGポリマーは、1.1未満のPDIを有し得、それ故に、単分散PEGポリマーは、単分散HAポリマーと比較して異なる範囲のPDI値によって定義されるであろう。例えば、単分散PEGポリマーは、約1~約1.02のPDI(例えば、1、約1.001、約1.002、約1.003、約1.004、約1.005、約1.006、約1.007、約1.008、約1.009、約1.01、約1.011、約1.012、約1.013、約1.014、約1.015、約1.016、約1.017、約1.018、約1.019、または約1.02のPDI)を有し得る。PEGは、分岐状PEG、星状PEG、または櫛状PEGであり得る。PEGポリマーは、例えば、PEG四量体、PEG六量体、またはPEG八量体であり得る。いくつかの例では、抗体コンジュゲートは、PEGデンドリマーに共有結合した抗VEGF抗体(例えば、G6.31 AARR等の本明細書に記載の抗VEGF抗体)を含む。PEGポリマーは、例えば、JenKem Technology、Quanta BioDesign、NOF America Corporation、及び他の業者から市販されている。
いくつかの例では、単分散PEGポリマーは、約1kDa~約500kDa(例えば、約1kDa~約500kDa、約1kDa~約450kDa、約1kDa~約400kDa、約1kDa~約350kDa、約1kDa~約300kDa、約1kDa~約300kDa、約1kDa~約250kDa、約1kDa~約200kDa、約1kDa~約150kDa、約1kDa~約100kDa、約1kDa~約50kDa、約10kDa~約500kDa、約10kDa~約450kDa、約10kDa~約400kDa、約10kDa~約350kDa、約10kDa~約300kDa、約10kDa~約300kDa、約10kDa~約250kDa、約10kDa~約200kDa、約10kDa~約150kDa、約10kDa~約100kDa、約10kDa~約50kDa、約20kDa~約500kDa、約20kDa~約450kDa、約20kDa~約400kDa、約20kDa~約350kDa、約20kDa~約300kDa、約20kDa~約300kDa、約20kDa~約250kDa、約20kDa~約200kDa、約20kDa~約150kDa、約20kDa~約100kDa、約20kDa~約75kDa、約30kDa~約500kDa、約30kDa~約450kDa、約30kDa~約400kDa、約30kDa~約350kDa、約30kDa~約300kDa、約30kDa~約300kDa、約30kDa~約250kDa、約30kDa~約200kDa、約30kDa~約150kDa、約40kDa~約500kDa、約40kDa~約450kDa、約40kDa~約400kDa、約40kDa~約350kDa、約40kDa~約300kDa、約40kDa~約300kDa、約40kDa~約250kDa、約40kDa~約200kDa、約50kDa~約500kDa、約50kDa~約450kDa、約50kDa~約400kDa、約50kDa~約350kDa、約50kDa~約300kDa、約50kDa~約300kDa、50 200kDa~約250kDa、または約50kDa~約225kDa)の分子量を有する。
いくつかの例では、単分散PEGポリマーは、約5kDa~約250kDa(例えば、約1kDa、約5kDa、約10kDa、約15kDa、約20kDa、約25kDa、約30kDa、約35kDa、約40kDa、約50kDa、約60kDa、約70kDa、約80kDa、約90kDa、100kDa、約110kDa、約120kDa、約130kDa、約140kDa、約150kDa、約160kDa、約170kDa、約180kDa、約190kDa、約200kDa、約210kDa、約220kDa、約230kDa、約240kDa、または約250kDa)の分子量を有する。具体的な例では、PEGポリマーは、約20kDaの分子量を有する。他の例では、PEGポリマーは、約40kDaの分子量を有する。
前述の分子量のいずれも、重量平均分子量(別名、重量平均モル質量)であり得る。
いくつかの例では、単分散PEGポリマーは、PEG四量体である。PEG四量体、例えば、NOF America SUNBRIGHT(登録商標)PTE-400MA、PTE-200MA、PTE-100MA、及びJenKem Technology USA 4アームPEGマレイミド(カタログ番号4ARM-MAL)が市販されている。いくつかの例では、PEG四量体は、ペンタエリスリトールコアを有する。例えば、いくつかの例では、PEG四量体は、式(I)(式中、nが、独立して、任意の好適な整数である)の構造を含む。
式I:
別の例では、いくつかの例では、単分散PEGポリマーは、PEG六量体である。PEG六量体、例えば、JenKem Technology USA 6アームPEGアミン(カタログ番号6ARM(DP)-NH2HCl)、またはQuanta BioDesignのPEG六量体が市販されている。いくつかの例では、PEG六量体は、ジペンチルエリスリトールコアを含む。
いくつかの例では、単分散PEGポリマーは、PEG八量体である。PEG八量体、例えば、NOF America SUNBRIGHT(登録商標)HGEOシリーズまたはJenKem Technology USA 8アームPEGマレイミド(カタログ番号8ARM(TP)-MAL)が市販されている。いくつかの例では、PEG八量体は、トリペンタエリスリトールコアを含み得る。例えば、いくつかの例では、PEG八量体は、式(II)(式中、nが、独立して、任意の好適な整数である)の構造を含む。
式II:
さらに別の例では、いくつかの例では、PEG八量体は、トリペンタエリスリトールコアを含む。
本明細書に記載のもの及び当該技術分野で既知の他のものを含む任意の好適なコンジュゲーションアプローチが、本発明の抗VEGF抗体を単分散ポリマーにコンジュゲートするために使用され得ることを理解されたい。例えば、単分散ポリマーは、第一級アミン基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、またはカルボニル基を含む任意の好適なタンパク質官能基にコンジュゲートされ得る。任意の好適な化学反応基を使用して、タンパク質官能基、例えば、カルボジイミド(例えば、EDC)、NHSエステル、イミドエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、ヒドロキシメチルホスフィン、マレイミド、ハロアセチル(例えば、ブロモアセチルもしくはヨードアセチル)、ピリジルジスルフィド、チオ硫酸塩、ビニルスルホン、ヒドラジン、アルコキシアミン、ジアジリン、アリールアジド、イソシアン酸塩、または当該技術分野で既知の他のものを標的とすることができる。例えば、Hermanson,Bioconjugate Techniques,3rd Edition,2013を参照されたい。具体的な実施形態では、HA(例えば、単分散HA)がマレイミド基で修飾され(HA-マレイミド)、次いで、例えば、実施例1に記載されるように、システイン上に遊離チオールを含む抗体(例えば、Fab-Cまたはシステインバリアント(例えば、THIOMAB(商標)またはThioFab))がHA-マレイミドと反応して、共有結合的HA-Fabコンジュゲートを形成する。
前述の抗体コンジュゲートのいずれも、約5nm~約200nm(例えば、約5nm、約10nm、約20nm、約30nm、約40nm、約50nm、約60nm、約70nm、約80nm、約90nm、約100nm、約110nm、約120nm、約130nm、約140nm、約150nm、約160nm、約170nm、約180nm、約190nm、または約200nm)の流体力学的半径を有し得る。いくつかの例では、抗体コンジュゲートは、約5nm~約150nm(例えば、約5nm、約10nm、約20nm、約30nm、約40nm、約50nm、約60nm、約70nm、約80nm、約90nm、約100nm、約110nm、約120nm、約130nm、約140nm、または約150nm)の流体力学的半径を有する。いくつかの例では、抗体コンジュゲートは、約5nm~約100nm(例えば、約5nm、約10nm、約20nm、約30nm、約40nm、約50nm、約60nm、約70nm、約80nm、約90nm、または約100nm)の流体力学的半径を有する。いくつかの例では、抗体コンジュゲートは、約5nm~約60nm(例えば、約5nm、約10nm、約20nm、約30nm、約40nm、約50nm、または約60nm)の流体力学的半径を有する。いくつかの例では、抗体コンジュゲートは、約25nm~約35nm(例えば、約25nm、約26nm、約27nm、約28nm、約29nm、約30nm、約31nm、約32nm、約33nm、約34nm、または約35nm)の流体力学的半径を有する。いくつかの例では、流体力学的半径は、約28nmである。
いくつかの例では、抗体コンジュゲートは、約10nm~約200nm、約10nm~約180nm、約10nm~約160nm、約10nm~約140nm、約10nm~約120nm、約10nm~約100nm、約10nm~約80nm、約10nm~約60nm、約10nm~約50nm、約10nm~約40nm、約10nm~約30nm、約20nm~約200nm、約20nm~約180nm、約20nm~約160nm、約20nm~約140nm、約20nm~約120nm、約20nm~約100nm、約20nm~約80nm、約20nm~約60nm、約20nm~約50nm、約20nm~約40nm、約20nm~約30nm、約30nm~約200nm、約30nm~約180nm、約30nm~約160nm、約30nm~約140nm、約30nm~約120nm、約30nm~約100nm、約30nm~約80nm、約30nm~約60nm、約30nm~約50nm、約30nm~約40nm、約40nm~約200nm、約40nm~約180nm、約40nm~約160nm、約40nm~約140nm、約40nm~約120nm、約40nm~約100nm、約40nm~約80nm、約40nm~約60nm、約40nm~約50nm、約50nm~約200nm、約50nm~約180nm、約50nm~約160nm、約50nm~約140nm、約50nm~約120nm、約50nm~約100nm、約50nm~約80nm、約50nm~約60nm、約60nm~約200nm、約60nm~約180nm、約60nm~約160nm、約60nm~約140nm、約60nm~約120nm、約60nm~約100nm、または約60nm~約80nmの流体力学的半径を有する。
前述の抗体コンジュゲートのいずれかにおいても、抗体は、VEGFに結合する抗体断片、例えば、VEGFに結合する本明細書に記載の抗VEGF抗体の抗体断片であり得る。いくつかの例では、抗VEGF抗体は、本明細書に記載のシステイン操作抗VEGF抗体である(例えば、上の第1節(8)(d)を参照のこと)。いくつかの例では、抗体断片は、Fab、Fab’、Fab-C、Fab’-SH、Fv、scFv、及び(Fab’)2断片からなる群から選択される。具体的な例では、抗体断片は、Fab、Fab’、またはFab-Cである。いくつかの例では、抗体断片は、Fab-Cである。
前述の抗体コンジュゲートのいずれも、ポリマー(例えば、親水性ポリマー)に共有結合していない参照抗体と比較して増加した眼半減期を有し得る。いくつかの例では、眼半減期は、参照抗体と比較して少なくとも約2倍(例えば、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約12倍、約14倍、約16倍、約18倍、約20倍、またはそれ以上)増加する。いくつかの例では、眼半減期は、参照抗体と比較して少なくとも約4倍増加する。いくつかの例では、眼半減期は、硝子体半減期である。いくつかの例では、参照抗体は、抗体コンジュゲートの抗体と同一である。他の場合には、参照抗体は、抗体コンジュゲートの抗体と同一ではない。
前述の抗体コンジュゲートのいずれも、ポリマー(例えば、親水性ポリマー)に共有結合していない参照抗体と比較して減少した眼クリアランスを有し得る。いくつかの例では、クリアランスは、参照抗体と比較して少なくとも約2倍(例えば、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約12倍、約14倍、約16倍、約18倍、約20倍、またはそれ以上)減少する。いくつかの例では、クリアランスは、参照抗体と比較して少なくとも約4倍減少する。いくつかの例では、クリアランスは、硝子体からのクリアランスである。いくつかの例では、参照抗体は、抗体コンジュゲートの抗体と同一である。他の場合には、参照抗体は、抗体コンジュゲートの抗体と同一ではない。
いくつかの例では、前述の抗体コンジュゲート(例えば、HAコンジュゲート)のうちのいずれかの2つの眼内投与(例えば、硝子体内注射による)間の期間は、少なくとも1ヶ月、例えば、少なくとも1ヶ月、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも11週間、少なくとも12週間、少なくとも13週間、少なくとも14週間、少なくとも15週間、少なくとも16週間、少なくとも20週間、少なくとも24週間、少なくとも28週間、少なくとも32週間、少なくとも36週間、少なくとも40週間、少なくとも44週間、少なくとも48週間、少なくとも52週間、またはそれ以上である。いくつかの場合、2つの眼内投与間の最長期間は、4年未満、例えば、3年未満、2年未満、または1年未満である。抗体コンジュゲートは、例えば、2~12ヶ月毎、例えば、4~10ヶ月毎に投与され得る。いくつかの例では、抗体コンジュゲートは、6ヶ月毎に投与される。
本発明は、上述の抗体コンジュゲートのうちのいずれかを含む組成物(例えば、薬学的組成物)も提供する。ある特定の実施形態では、組成物は、1つ以上の追加の化合物を含む。ある特定の実施形態では、追加の化合物は、IL-1β、IL-6、IL-6R、PDGF、アンジオポエチン、アンジオポエチン2、Tie2、S1P、インテグリンαvβ3、αvβ5、及びα5β1、ベータセルリン、アペリン/APJ、エリスロポエチン、補体D因子、TNFα、HtrA1、VEGF受容体、ST-2受容体、ならびに加齢性黄斑変性症(AMD)リスクと遺伝的に関連するタンパク質、例えば、補体経路成分C2、B因子、H因子、CFHR3、C3b、C5、C5a、及びC3a、HtrA1、ARMS2、TIMP3、HLA、インターロイキン-8(IL-8)、CX3CR1、TLR3、TLR4、CETP、LIPC、COL10A1、ならびにTNFRSF10Aからなる群から選択される第2の生物学的分子に結合する。ある特定の実施形態では、追加の化合物は、抗体またはその抗原結合断片である。例えば、いくつかの例では、追加の化合物は、二重特異性抗体(例えば、抗VEGF/抗Ang2二重特異性抗体、例えば、RG-7716、またはWO2010/069532もしくはWO2016/073157に開示されるいずれかの二重特異性抗VEGF/抗Ang2二重特異性抗体、またはそれらのバリアントである。別の例では、いくつかの例では、追加の化合物は、抗IL-6抗体、例えば、EBI-031(Eleven Biotherapeutics、例えば、WO2016/073890を参照のこと)、シルツキシマブ(SYLVANT(登録商標))、オロキズマブ、クラザキズマブ、シルクマブ、エルシリモマブ、ゲリリムズマブ、OPR-003、MEDI-5117、PF-04236921、またはそれらのバリアントである。なおさらなる例では、いくつかの例では、追加の化合物は、抗IL-6R抗体、例えば、トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標))(例えば、WO1992/019579を参照のこと)、サリルマブ、ボバリリズマブ(ALX-0061)、SA-237、またはそれらのバリアントである。
本発明は、上述の抗体コンジュゲートのうちのいずれか及び追加のVEGFアンタゴニストを含む組成物(例えば、薬学的組成物)をさらに提供する。
2.デバイス
本明細書に記載の抗体(例えば、システイン操作抗VEGF抗体)または抗体コンジュゲート(例えば、単分散HAコンジュゲート)のいずれも、ポート送達デバイスを使用して眼に投与され得る。ポート送達デバイスは、数ヶ月間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月間、またはそれ以上)にわたって治療薬(例えば、抗VEGF抗体コンジュゲート)を放出することができる埋め込み型の再充填可能なデバイスである。使用され得る例示的なポート送達デバイスには、例えば、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、国際特許出願公開第WO2010/088548号、同第WO2015/085234号、同第WO2013/116061号、同第WO2012/019176号、同第WO2013/040247号、及び同第WO2012/019047号に記載される、ForSight Labs、LLC、及び/またはForSight VISION4のデバイスが含まれる。
例えば、本発明は、本明細書に記載の抗体または抗体コンジュゲートのうちのいずれかを収容するリザーバを含むポート送達デバイスを提供する。ポート送達デバイスは、近位領域、リザーバと流体連通している近位領域に連結された管状本体、及びリザーバと流体連通しており、かつ組成物を眼内に放出するように構成された1つ以上の出口をさらに含み得る。管状本体は、約0.5mm以下の眼内の切開または開口部を通じて挿入されるように構成された外径を有し得る。デバイスは、約1mm~約15mm長(例えば、約1mm、約2mm、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約9mm、約11mm、約13mm、または約15mm長)であり得る。リザーバは、任意の好適な体積を有し得る。いくつかの例では、リザーバは、約1μL~約100μL(例えば、約1μL、約5μL、約10μL、約20μL、約50μL、約75μL、または約100μL)の体積を有する。デバイスまたはその構成部品は、任意の好適な材料、例えば、ポリイミドで作製され得る。
いくつかの例では、ポート送達デバイスは、本明細書に記載の抗体または抗体コンジュゲートのうちのいずれか及び1つ以上の追加の化合物を収容するリザーバを含む。ある特定の実施形態では、追加の化合物は、IL-1β、IL-6、IL-6R、PDGF、アンジオポエチン、アンジオポエチン2、Tie2、S1P、インテグリンαvβ3、αvβ5、及びα5β1、ベータセルリン、アペリン/APJ、エリスロポエチン、補体D因子、TNFα、HtrA1、VEGF受容体、ST-2受容体、ならびにAMDリスクと遺伝的に関連するタンパク質、例えば、補体経路成分C2、B因子、H因子、CFHR3、C3b、C5、C5a、及びC3a、HtrA1、ARMS2、TIMP3、HLA、IL-8、CX3CR1、TLR3、TLR4、CETP、LIPC、COL10A1、ならびにTNFRSF10Aからなる群から選択される第2の生物学的分子に結合する。ある特定の実施形態では、追加の化合物は、抗体またはその抗原結合断片である。例えば、いくつかの例では、追加の化合物は、二重特異性抗体(例えば、抗VEGF/抗Ang2二重特異性抗体、例えば、RG-7716、またはWO2010/069532もしくはWO2016/073157に開示されるいずれかの二重特異性抗VEGF/抗Ang2二重特異性抗体、またはそれらのバリアントである。別の例では、いくつかの例では、追加の化合物は、抗IL-6抗体、例えば、EBI-031(Eleven Biotherapeutics、例えば、WO2016/073890を参照のこと)、シルツキシマブ(SYLVANT(登録商標))、オロキズマブ、クラザキズマブ、シルクマブ、エルシリモマブ、ゲリリムズマブ、OPR-003、MEDI-5117、PF-04236921、またはそれらのバリアントである。なおさらなる例では、いくつかの例では、追加の化合物は、抗IL-6R抗体、例えば、トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標))(例えば、WO1992/019579を参照のこと)、サリルマブ、ボバリリズマブ(ALX-0061)、SA-237、またはそれらのバリアントである。
いくつかの例では、ポート送達デバイスは、本明細書に記載の抗体または抗体コンジュゲートのうちのいずれか及び追加のVEGFアンタゴニストを含む。
以下は、本発明の方法及び組成物の実施例である。上で提供される概要を考慮して、様々な他の実施形態が実施され得ることが理解される。
実施例1:改善された安定性のために単分散HAから調製された直鎖状ヒアルロン酸(HA)抗体コンジュゲート
Fabのバイオポリマーヒアルロン酸(HA)へのコンジュゲーションは、例えば、Fabの拡散を遅らせ、それにより、硝子体液からのクリアランスを遅らせることによって、眼内でのFabの保持時間を著しく改善することができる。HA-Fabコンジュゲート産生のために、最初に、市販のHAをマレイミド基で修飾し(HA-マレイミド)、次いで、Fab-C(システイン上に遊離チオールを有するFab)をHA-マレイミドと反応させて、共有結合的HA-Fabコンジュゲートを形成する二段階プロセスが用いられている。
典型的な手段で産生された場合、HA-タンパク質コンジュゲートは、2つの直交変動成分を有する。第1の変動源は、多分散性であり、HA骨格の多分散性によって寄与される(図1A)。第2の源は、不均一性であり、所与のHA鎖に結合したFab分子の数の差によって寄与される。この第2の変動源は、HAコンジュゲーションプロセスの第1のステップにおけるHA鎖のマレイミド修飾の確率的性質によって決定付けられる。図1Bは、200kDaのHA鎖の各酸基にマレイミド含有リンカーと反応する5%の機会を与え、1000個の独立したHA鎖で繰り返したモンテカルロシミュレーションの結果を示す。結果は、シミュレーションにわたる1つのHA鎖当たりのマレイミドの平均数が24.7の期待値であったが、絶対範囲は11~42であったことを示唆する。
抗体コンジュゲート(例えば、直鎖状HA及び抗VEGF抗体G6.31 AARRを含む抗体コンジュゲート、本明細書でHA-G6.31.AARR抗体コンジュゲートと称される)の物理的及びコロイド安定性を水相中及び硝子体液中で維持することが望ましくあり得る。上述のシミュレーションに部分的に基づいて、HA骨格分子量及びFab負荷レベルが物理的安定性に重要なパラメータであり得ると考えられる。Fab負荷レベルは、各HA鎖に結合した抗体(例えば、G6.31.AARR)分子の平均数を指し、Fab部分で共有結合的に修飾されているHA骨格上の酸基のパーセントで表される(各HA繰り返し単位は、グルクロン酸糖上に1つの修飾可能な酸基を含む)。他のパラメータがコンジュゲート安定性(例えば、正味荷電、表面電荷分布、疎水性を含むFabの特定の特性)に寄与し得る一方で、それらは、一般に、この特定の分子内で制御不能である。
HA-G6.31.AARR物理的安定性について、HA MW及びFab負荷レベルの影響を評価するために、コンジュゲートを、3つの異なるHA出発MW(およそ40kDa、200kDa、及び600kDa)、ならびに様々なFab負荷レベルで調製し、生理学的条件下に置き、物理的安定性について数ヶ月間にわたって監視して、生物学的曝露を模倣した。
(A)材料及び方法
(i)材料
3つの異なる分子量のヒアルロン酸ナトリウム(HA、Lifecore Biomedical,Chaska,MN)をこの研究に使用した。屈折率及び多角度光散乱検出器(SEC-RI-MALS)を連結したサイズ排除クロマトグラフィーによって評価されたそれらの特性を表4に要約する。Mnは、数平均分子量を指し、Mwは、重量平均分子量を指し、PDIは、多分散性指数を指し、R
Hは、流体力学的半径を指す。表5は、SEC-RI-MALSによって決定された単分散試料と比較した様々な多分散HA試料のMn、Mw、及びPDIのデータを示す。表4及び表5のデータは、異なる多分散性を有したHA-200Kの2つの異なるロットのものである。
表4:この研究に使用したHAの特性
表5:単分散試料と比較した多分散HA試料の特性
(ii)マレイミド官能化HA(HA-mal)の合成
カップリング試薬である4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-塩化メチルモルホリニウム(DMTMM)及びリンカーであるN-(2-アミノエチル)マレイミドトリフルオロ酢酸塩(AEM)との水性反応を使用して、HAをマレイミド基で修飾した。HAを2.5mg/mLで100mMの2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)(pH5.5)中に溶解させ、この溶液にDMTMM及びAEMを撹拌下で添加した。添加したDMTMM及びAEMの量は変動し、2~10%の範囲の異なるレベルのマレイミド官能化を標的とするために選択した。反応物を2時間にわたって70℃に加熱した。
過剰なAEM及びDMTMMを脱塩手技により反応物から除去した。HIPREP(商標)26/10脱塩カラムをAKTA(商標)精製システム(GE Life Sciences)に取り付け、10mM酢酸ナトリウム(pH4.0)150mM NaClで平衡化した。反応物を未希釈でカラムに注入し、HA-malピークを302nmでの吸光度に従って収集し、遠心限外濾過デバイスを使用5mg/mL超に濃縮した。HA-mal原液中のマレイミドの濃度を、紫外線可視分光光度計を使用して302nmでの吸光度によって測定し、1本のHA鎖当たりのマレイミド基のモル比を、多角度光散乱検出器を備えたサイズ排除クロマトグラフィー(SEC-MALS)で評価した。
(iii)Fab-CのHA-malへのコンジュゲーション
1Mリン酸(pH6.5)を使用してFab-C溶液のpHを6.5に調整して、最終リン酸濃度を50mMにし、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を添加して、2.5mMの最終濃度にした。Fab-C溶液を撹拌し、これに、10mMリン酸(pH6.5)、150mM NaCl、及び2.5mM EDTAで構成された反応緩衝液中で希釈したHA-malを添加した。化学量論を、最終反応物中のマレイミド1モル当たりFab-C 1.2モルに設定し、体積を、1mg/mLの最終タンパク質濃度をもたらすように設定した。コンジュゲーション反応を、撹拌下で、室温で行った。3時間時点で、メルカプトエタノールをマレイミド1モル当たり2モルで添加して、未反応マレイミド基をキャップした。30分間後、反応物を10mMリン酸(pH6.5)で50mM未満のNaClに希釈した。
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して精製を実行して、コンジュゲートから遊離Fab-C及びFab二量体を分離した。HILOAD(登録商標)26/600 SUPERDEX(登録商標)200pgカラム(GE Healthcare)を10mM HisHCl(pH5.5)150mM NaClで平衡化し、反応物を未希釈で注入した。コンジュゲート、Fab二量体、及びFab単量体に関連するピークが別々に溶出し、コンジュゲートピークを収集した。
(iv)SEC-RI-MALSによるHA-Fabコンジュゲートの分析
残留遊離Fab含有量、全コンジュゲートモル質量、及びタンパク質質量分率を、Wyatt OPTILAB(登録商標)T-rEX(商標)屈折率(RI)検出器及びWyatt HELEOS(商標)-II多角度光散乱(MALS)検出器を連結したAgilent 1200 HPLC上でのSEC-RI-MALS-QELS(サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、屈折率(RI)多角度光散乱(MALS)、及び準弾性光散乱(QELS)の組み合わせ)によって評価した。SECのために、2つのカラム:ACCLAIM(商標)7.8×150mm(細孔径1000Å)、その後、ACCLAIM(商標)7.8×150mm(細孔径300Å)を直列にランさせ、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(pH7.4)をランニング緩衝液として用いた。ウシ血清アルブミン(BSA)対照を使用して、MALS検出器を正規化し、検出器の帯域広がりを補正した。遊離Fab含有量を、Fab及びHA-Fabコンジュゲートに対応するUV A280ピークを統合することによって測定した。コンジュゲートモル質量を、コンジュゲートピークの重量平均分子量(Mw)と見なした。タンパク質質量分率を、示差屈折率(dRI)及びUV A280シグナルを使用したタンパク質コンジュゲート分析を使用して計算した。
(v)HA-G6.31.AARRコンジュゲート生理学的ストレス及び分析
精製したコンジュゲートをPBSに緩衝液交換し、2mMアジ化ナトリウム及び0.01%ポリソルベート20を添加した(PBSTN)。最終濃度は、Fabに基づいておよそ5mg/mLであった。試料を密封し、37℃でインキュベートした。この条件は、硝子体液の代替物(硝子体のpH、温度、及びイオン強度を模倣するもの)として機能する。5mg/mL濃度は、硝子体中での沈殿傾向を評価するための「ストレス性」濃度を表す(4mLヒト硝子体中2mg用量は、0.5mg/mLのFabと同等である)。特定の時点で、試料を取り出し、0.01%ポリソルベート20及び10w/v%トレハロースで、10mM HisHCl(pH5.5)中で1mg/mLに希釈し、可溶性タンパク質濃度(A280)、濁度(A450)、SEC保持時間、及び分子量(上記のSEC-RI-MALSによるMn及びMw)についてアッセイした。
(B)結果
(i)材料の特徴付け
表6は、この研究に使用した9つのコンジュゲートのSEC-RI-MALS特徴付け結果を列記する。コンジュゲートは、HA骨格MW(40kDa、200kDa、または600kDa)及びFab負荷レベルの両方の点で異なる。試料名は、HA骨格MW(kDA)の後にFab負荷レベル(%)が続く。
表6:HA-G6.31.AARR出発材料のSEC-RI-MALS特徴付け結果
HA-G6.31.AARRコンジュゲートの多分散性を、SEC-RI-MALS(図1C)を使用して実験的に評価した。HA40K、HA200K、及びHA600Kコンジュゲートの多分散性指数は、それぞれ、1.58、1.78、及び1.41であった。
(ii)生理学的ストレス下でのコンジュゲート安定性
生理学的ストレス条件下で、いくつかのHA-G6.31.AARRコンジュゲートは、PBSTN中での長時間のインキュベーションにわたって著しい物理的変化を示した。この変化は、図2に示されるように、経時的な平均分子量(Mw、重量平均分子量)のシフトから最も明らかである。いくつかの試料のMwは12週間の研究にわたって変化しなかった一方で、変化した試料の全てが、Mwの経時的な減少を示した。Mw減少の程度は、HA骨格分子量及びFab負荷レベルの両方に依存した。概して、沈殿が、HA分子量及びFab負荷がより高い試料中で生じたことが観察された。
このMwシフトを理解するために、インキュベートしたHA-G6.31.AARRコンジュゲートのSEC保持プロファイルの分析を行った。SEC保持時間が長時間のインキュベーション時により遅い時点にシフトし、コンジュゲートの平均集団が経時的に徐々に小さくなったことを示す(図3)。SEC保持時間が(及びFab負荷によってではなく)骨格HA分子量によって完全に定義されるため、この観察は、(a)コンジュゲート分子の全集団が経時的に小さくなったこと、または(b)より高分子量の部分集団が溶液から沈殿しており、より小さいコンジュゲートへの明らかなシフトをもたらすことのいずれかを示す。これらのデータを、研究開始時(T0)及び12週間時点での保持時間間の差を示す表7にも要約する。
表7:研究開始時及び生理学的条件への曝露後12週間時点でのHA-G6.31.AARR安定性試料のSEC保持時間
SEC及びMALSによって測定されたこれらの変化は、より高いHA骨格分子量及びより高いFab負荷の試料がより遅い時点で可視沈殿物を含んだという目視観察に類似した。この観察は、SEC保持プロファイルにおいて観察されたシフトについての後者の説明を支持し、すなわち、より高分子量のHA部分集団が沈殿し、溶液中に残存する平均集団のシフトをもたらす。
図4に示される、分子量に対するHA-G6.31.AARRコンジュゲートの分布を試験するSEC-RI-MALSデータの再分析が、この仮説をさらに支持する。40KのHA骨格試料の場合(左側パネル)、分子量に対するコンジュゲート分子の全分布は、生理学的条件への長時間曝露時に認識できる程度には変化しなかった。600KのHA骨格試料の場合(右側パネル)、全ての集団画分がより低分子量に連続してシフトし、広範なコンジュゲート分子集団が溶液から沈殿したことを示す。200KのHA骨格試料の場合(中央パネル)、集団画分のシフトが主により高分子量のコンジュゲート分子に起こった。これは、200KのHA骨格試料では、比較的安定したコンジュゲート分子と比較的不安定なコンジュゲート分子との混合集団が存在したことを示す。経時的に、より高分子量のコンジュゲート分子(比較的不安定な部分集団)が溶液から沈殿し、溶液中に残存する比較的安定した部分集団のみを残した。
(iii)単分散HAコンジュゲート
多分散HA200K-G6.31.AARR集団内で、より高MWの部分集団のみが物理的不安定性及び沈殿を促進するという理解に基づいて、我々は、多分散HA骨格から単分散HA骨格への切り替えにより、より安定した抗体コンジュゲートがもたらされると仮定した。
市販の標準HAを、(a)HAを細菌発酵によって合成して極めて高いMWのHA(Mw1~4MDa)をもたらし、(b)HAを細胞培養から精製し、(c)HAを制御された様式で化学的に分解してHA分子のランダム分断をもたらすという多段階プロセスによって産生する。このプロセスの最終ステップは、さもなければ発酵のみでは実現不可能なより低分子量のHAの産生に絶対不可欠である。しかしながら、ランダム分断による分解プロセスによっても、HA分子量の広範な(すなわち、多分散)分布がもたらされる。
HAを、同期化学-酵素プロセスにより商業規模で合成することもできる(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Jing et al.J.Biol.Chem.279:42345-42349,2004、Jing et al.Anal.Biochem.355:183-188,2006、及び米国特許第8,088,604号を参照のこと)。このプロセスでは、精製したヒアルロナンシンターゼ酵素を、低分子HAオリゴ糖(典型的には、HA四量体、HA4)とウリジン二リン酸(UDP)糖であるUDP-グルクロン酸及びUDP-N-アセチルグルコサミンとの混合物に添加する。ヒアルロナンシンターゼ酵素は、利用可能な糖を使用してオリゴ糖断片を交互様式で伸長させ、HAの同期重合をもたらす。結果として得られたHAポリマーの分子量は、開始反応におけるHA基質(例えばHA4)の糖に対する比率によって制御され得る。このプロセスの結果は、高単分散HAポリマーである。
比較のために、同様のサイズの市販の多分散HA及び単分散HAのSEC-RI-MALS特徴付けを図5で比較した。最も注目すべき点は多分散性指数の差であり、多分散HA200Kの場合は1.779であり、単分散HA150Kの場合は1.001であった。単分散HAのこのより低い多分散性レベルにより、HA-タンパク質コンジュゲートの観点からいくつかの主要な利点:(a)より容易な分析的特徴付け(HA多分散性の排除によりタンパク質負荷レベルの差が試料における不均一性の唯一の源になるため)、(b)全集団におけるより低分子量及びより高分子量のHA骨格の排除(A-G6.31.AARRコンジュゲート内のより高分子量のHA骨格部分集団において観察された不安定性及び沈殿を排除し得る)、及び(c)製剤化されたHA-抗体コンジュゲートの粘度の低減の可能性が提供されると見なされる。
多分散HA及び単分散HA出発材料を使用したG6.31.AARRコンジュゲートの調製との関連で、多分散性に同じ差が観察され、多分散HA200K-G6.31.AARRが1.228の多分散性指数を有した一方で、単分散HA150K-G6.31.AARRは1.003の多分散性指数を有した(図6)。多分散HA-G6.31.AARRコンジュゲートの生理学的ストレス下で観察された不安定性及び沈殿に関与すると推定されるより高いHA骨格分子量の部分集団の不在のため、この単分散性がHA-G6.31.AARRコンジュゲートの安定性を改善することが予想される。
実施例2:直鎖状HA抗体コンジュゲートの最適化されたFab負荷及びシステイン操作部位
モノクローナル抗体(mAb)または抗体断片(Fab)のポリマー足場への共有結合的コンジュゲーションを、アミン化学反応(溶媒露出リジン残基による直接アミド化)からトランスグルタミナーゼ等の基質認識酵素を使用した化学-酵素コンジュゲーションに及ぶ様々な化学反応により行うことができる。近年、チオール-マレイミドコンジュゲーション化学反応は、他のアプローチに優るいくつかの主要な利点:(a)それが部位選択的であること(還元された溶媒露出システイン残基とのみ反応する)、(b)非常に速い反応であること、(c)マレイミド含有リンカーが容易に入手可能であり、典型的には合成的に容易に入手されること、(d)典型的にはシステイン残基をタンパク質構造に容易に組み込むことができること、及び(e)チオール-マレイミドコンジュゲーションを水性条件下で中性に近いpHで行うことができることを提供するため、大きな関心を集めている。
マレイミドコンジュゲーションに従順なFabを産生するために、重鎖配列がヒンジペプチドを介して第1または第2のヒンジジスルフィドシステイン位置のいずれかまで伸長し、そのシステイン残基で切断されるFab-Cを産生することが1つの戦略である(図7)。実際には、このアプローチは、ポリマー足場へのコンジュゲーションに影響を及ぼすいくつかの複雑な事態を招く可能性がある。この遊離システイン残基の鎖間ジスルフィド結合との空間的近接によってもたらされる主な結果は、これらの3つの隣接するシステイン残基が3つの可能なジスルフィド配置を形成し得るチオールスクランブリングである。これらの3つの可能なジスルフィド配置を、図8A~8Cで絵を用いて例証する。各配置では、異なるシステイン残基が還元され、マレイミド含有ポリマー骨格への潜在的なコンジュゲーション部位になる。これによってもたらされる結果は、FabとHA骨格との間の結合部位の不均一性であり、これは、コンジュゲート材料の製品品質、Fab安定性、または安全性の観点から影響を及ぼし得る。
我々は、遊離システイン残基を可動性の空間的に近位のヒンジ配列からFab上のより遠い表面位置に再配置することにより、これらのコンジュゲーションバリアントを低減または排除することができると仮定した。このアプローチの性質は、表面残基が後のコンジュゲーションのためにシステインに突然変異するTHIOMAB(商標)システイン操作モノクローナル抗体によって用いられるアプローチの性質と同様であった。Fab型式で、我々は、表面突然変異システイン含有Fabを「ThioFab」と命名する。
チオール-マレイミド化学反応を使用して産生されたタンパク質-ポリマーコンジュゲートは、逆マイケル付加反応によるタンパク質のポリマー骨格からの脱コンジュゲーションにも悩まされ得る。これにより、pH及び温度依存的様式での遊離タンパク質のポリマー骨格からの持続放出がもたらされ得る。この挙動は、システイン残基周辺の局所化学環境及びマレイミド含有リンカーの構造(例えば、電子求引基またはアミンの存在)にも影響される。THIOMAB(商標)開発における異なるシステイン位置の逆マイケル感受性に関する所見(Shen et al.Nat.Biotechnol.30:184-189,2012を参照のこと)に基づいて、我々は、遊離システインをヒンジペプチドから表面位置に移動させることにより、ポリマー骨格からの逆マイケル遊離Fab放出の速度が低下することも予測した。我々は、生理学的条件下でのFab-C及びThioFab型式分子におけるモデルポリエチレングリコール(PEG)-マレイミドポリマーの逆マイケル脱コンジュゲーションの速度も調査した。
(A)材料及び方法
(i)材料
Lys-C酵素をPromegaから購入し(カタログ番号V1671、Madison,WI)、ヒアルロニダーゼ(組換えヒトPH20、HAaseとも称される)酵素をHalozyme(San Diego,CA)から購入し、N-エチルマレイミド(NEM)をSigma Aldrich(St.Louis,MO)から購入した。規定メトキシポリエチレングリコールマレイミド(d-mPEG4-Mal、部品番号10745)をQuanta Biodesign(Plain City,OH)から購入した。
(ii)G6.31.AARR.Fab-Cの限定Lys-C消化
限定Lys-C消化をG6.31.AARR.Fab-C試料で行った。より伝統的なタンパク質のLys-C消化と比較して、「限定」Lys-C消化は、低減した量のLys-C酵素を用いて非変性条件下で行われる。これにより、リジン残基の後で切断されるG6.31.AARR.Fab-C分子のヒンジペプチド部分(KTHTC(配列番号61))の選択的消化がもたらされる。G6.31.AARR.Fab-Cの4つの試料:(a)NEMあり、消化なし、(b)NEMあり、消化あり、(c)NEMなし、消化あり、及び(d)NEMなし、消化なしを、異なる条件で試験した。
各試料について、500μLの10mMヒスチジン酢酸+150mM塩化ナトリウム(pH5.5)中500μgのFab-Cに、50μLの1Mトリス+10mM NEM(pH7.5)を添加し、NEMなし試料ではNEMを除いた。試料を37℃で30分間インキュベートして、いずれの遊離チオールもキャップした。その後、Lys-C酵素を1:500のLys-C:Fab-C質量比でLys-Cあり試料に添加した。試料を37℃で30分間インキュベートした。消化後、試料を凍結させて反応をクエンチし、RP-UPLC-TOFによって分析した。
(iii)HA200K-G6.31.AARRの限定Lys-C消化
500μLの10mMヒスチジン酢酸+150mMの塩化ナトリウム緩衝液(pH5.5)中500μg(タンパク質に基づく)のHA200K-G6.31.AARRに、50μLの1Mトリス(pH7.5)を添加した。Lys-C酵素を1:500のLys-C:Fab-C質量比で添加した。試料を37℃で一晩インキュベートした。消化後、試料を凍結させて反応をクエンチし、RP-UPLC-TOFによって分析した。
(iv)HA200K-G6.31.AARRのヒアルロニダーゼ消化物
500μg(タンパク質に基づく)のHA200K-G6.31.AARRを500μLの10mMヒスチジン酢酸+150mM塩化ナトリウム(pH5.5)中で希釈した。HAaseをコンジュゲート中HA1μg当たり10単位(U)で添加した。反応混合物を37℃で4時間インキュベートした。消化後、試料を凍結させて反応をクエンチし、RP-UPLC-TOFによって分析した。
(v)モデルG6.31.AARR-PEGコンジュゲートの逆マイケル媒介脱コンジュゲーション
G6.31.AARR.Fab-C、G6.31.AARR.A140C、G6.31.AARR.L174C、及びG6.31.AARR.K149Cを、0.2~0.5mg/mLで10mMリン酸(pH6.5)150mM NaCl 2.5mM EDTAに緩衝液交換し、d-mPEG4-Malを20倍モル過剰で添加した。反応物を室温で2時間インキュベートし、続いて、PD-10カラム(GE Healthcare,Pittsburgh,PA)上で脱塩することによって精製して、PBS(pH7.4)に入れた。その後、コンジュゲートを遠心限外濾過によって1mg/mLに濃縮し、酸化グルタチオン(GSSG)を添加して、2mMの最終濃度にした。構築物を37℃でインキュベートし、試料をRP-UPLC-TOFによる分析のために定期的に引き出した。
(vi)逆相超高速液体クロマトグラフィー飛行時間(RP-UPLC-TOF)質量分析(MS)分析
試料のインタクト質量を、Agilent 1290超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)システムを連結したAgilent 6230エレクトロスプレーイオン化(ESI)-飛行時間(TOF)質量分析計を使用した液体クロマトグラフィー-質量分析(LC/MS)分析によって得た。およそ2.5μgのタンパク質を試料毎に注入し、直接オンラインMS分析のために逆相超高速液体クロマトグラフィー(RP-UPLC)によって脱塩した。結果として得られたスペクトルを、MassHunterワークステーションソフトウェア/質的分析(Agilent Technologies Inc.,Santa Clara,CA)を使用してゼロ電荷状態にデコンボリュートした。
(B)結果
(i)G6.31.AARR.Fab-Cにおけるジスルフィド状態
図8A~8Cに示される3つのジスルフィド状態がG6.31.AARR.Fab-Cに存在し、かつ動的熱力学的平衡で維持されるかを確認するために、我々は、NEM及び限定Lys-C消化物を使用してマレイミドキャッピングを使用した一連の実験を行って、3つのシステイン残基の瞬時状態及び動的に再編成するそれらの能力の両方をプローブした。
第1の実験では、G6.31.AARR.Fab-CをNEM(いずれの遊離チオールの排除によりジスルフィド状態を不動化する)でキャップし、その後、限定Lys-C消化に供して、目的とする遊離システイン残基の前の重鎖ヒンジペプチド配列を切断した(図9、第2のクロマトグラム)。RP-UPLC-TOFの変性分析時に、図8A~8Cに提示される3つのジスルフィド状態に関連する種:(a)インタクトFab-ヒンジペプチド(図8Aに関連する)、(b)軽鎖+NEM及び環化重鎖(図8Bに関連する)、及び(c)軽鎖+ヒンジペプチド及び重鎖-ヒンジペプチド+NEM(図8Cに関連する)が観察された。この実験は、G6.31.AARR.Fab-Cが同種状態では存在しないが、異なるジスルフィド配置を有し、その結果として、反応性システイン残基を有する3つの別個の種を含むことを具体的に実証した。
第2の実験では、G6.31.AARR.Fab-CをNEMキャッピングなしで限定Lys-C消化に供し、システインが動的に再編成する可能性を残した(図9、第3のクロマトグラム)。この実験では、RP-UPLC-TOFで分析したタンパク質のほぼ全てが同じ状態:Fab-ヒンジペプチドであった。第1の実験の所見を考慮して、この第2の組のデータは、3つの遊離システインが動的に、かつ比較的速い時間スケールで(30分間の実験持続時間)再編成したことを示す。Lys-Cによるヒンジペプチドの切断後、3つの可能なジスルフィド状態は、3つのシステイン残基間で動的に「スクランブル」する。ある時点で、正しい鎖間ジスルフィドが形成され、ヒンジペプチド配列は、Lys-Cによって以前に切断されたため、溶液中に放出されている。結果として、試料が、この再編成プロセスにより完全な正しく形成された鎖間ジスルフィドに誘導される。
これらの2つの実験により、G6.31.AARR.Fab-Cが3つの近位システイン残基に関して3つの別個の状態で存在し得、それらの相対的存在量が動的熱力学的平衡によって定義されることが確認された。この後者の所見は、いずれの短期間も考慮して、3つのシステインが再スクランブルして第1の実験で観察された3つのバリアントを形成するため、いずれの再プロセスステップもこれらの2つの誤ったジスルフィド配置を完全に排除することができないことを示すという理由により、重要である。
(ii)HA-G6.31.AARR.Fab-Cコンジュゲートにおけるコンジュゲーションバリアント
これらの3つのジスルフィドバリアントがG6.31.AARR.Fab-Cにおいて存在する一方で、それらがHA-G6.31.AARRコンジュゲートにおけるバリアントとしても存在することが依然として示されていない。個々のG6.31.AARR.Fab-C分子のHA-マレイミドへのコンジュゲーションの正しい位置を解明するために、我々は、2つの酵素消化手技を使用した。第1の限定Lys-C消化により、G6.31.AARRを、目的とする遊離重鎖システイン残基の前のヒンジペプチドで切断した。正しくコンジュゲートされたG6.31.AARR分子において、この処理は、遊離インタクトG6.31.AARRを溶液中に放出するはずである。しかしながら、変性RP-UPLC-TOFによる消化された試料の分析により、溶液中に追加の種:遊離軽鎖+切断ヒンジペプチドが特定された(図10A)。この種の存在により、G6.31.AARR.Fab-C集団が、恐らく図8Cに示されるジスルフィドバリアントが起源である通常は鎖間ジスルフィドによって占有されている重鎖システインを介してHAにコンジュゲートされたことが確認された。
第2の酵素消化手技により、全てのコンジュゲーションがインタクトな状態に保たれたが、ヒアルロニダーゼ(HAase)を使用してHA骨格を徹底的に消化した。これにより、溶液中の遊離分子の分析のみならず、低分子HAオリゴ糖が共有結合したコンジュゲートされたタンパク質の分析も可能になった。この方法により、コンジュゲートされた種の個別の直接観察が可能になった。この実験では、目的とする重鎖末端システインを介してHAに正しくコンジュゲートされたG6.31.AARR分子が観察されたが、図8Bに示されるジスルフィドバリアントを介するコンジュゲーションの直接的証拠も見出された。これは、2つの観察:(a)溶液中の遊離環化重鎖分子の存在、及び(b)共有結合したマレイミドリンカー+軽鎖を有するHAオリゴ糖の存在によって支持された(図10B)。これらの種の存在により、G6.31.AARR.Fab-C集団が、恐らく図8Bに示されるジスルフィドバリアントが起源である通常は鎖間ジスルフィドによって占有されている軽鎖システインを介してHAにコンジュゲートされたことが確認された。
これらの2つの消化実験により、ジスルフィド再編成が、G6.31.AARR.Fab-CとHA-マレイミドとの間の結合部位の変動をもたらさないことが確認された。この観察により、コンジュゲーションに使用したいずれのマレイミド含有ポリマー骨格及び3つのシステイン残基のこの配置を近接近して含むいずれのFab-Cにも適用されることが予想される。
(iii)より同種のコンジュゲーションのための遊離システイン含有Fabの設計
上述のデータは、Fab-C分子をマレイミド含有ポリマー骨格に結合させたときに3つのコンジュゲーションバリアントが存在することを示す。このコンジュゲーション不均一性は、熱力学的平衡状態にある3つの別個のジスルフィド配置の存在によって引き起こされ、各配置は、異なるシステイン残基がコンジュゲーションに影響を及ぼすことを可能にする。これらの3つのジスルフィド配置が可能であることは、目的とする遊離ヒンジシステイン残基の鎖間ジスルフィドへの近接性及び遊離システインが結合しているヒンジペプチド配列の可動性を含むいくつかの要因に影響される可能性が高い。
遊離システインが鎖間ジスルフィドとスクランブルしないように、我々は、遊離システインを鎖間ジスルフィドからより遠くに移動させることを想定した。したがって、我々は、標準のFab型式分子の典型のようにヒンジ配列を切断し、Fabの表面残基をシステイン残基に突然変異させた。これらの部位を、それらが抗原結合に悪影響を及ぼさないようにHVRから十分に遠くなるように、かつスクランブリングを阻止するように鎖間ジスルフィドから十分に遠くなるように選択した。
初期スクリーニング研究のために、3つの位置:LC-K149(EU番号付け)、HC-A140(EU番号付け)、及びHC-L174(EU番号付け)を、これらの基準を満たすために、THIOMAB(商標)開発の以前の報告に基づいて選択した。各部位をシステイン残基に突然変異させ、ヒンジペプチドを第1のヒンジジスルフィドシステインの直前(すなわち、KTHT、配列番号87)で終結させた。
これらのシステイン部位がHA-マレイミドに依然として反応性を示すことを確認するために、我々は、典型的な条件(10mMリン酸(pH6.5)、150mM NaCl、及び2.5mM EDTA)下でパイロットコンジュゲーションを行い、一晩のインキュベーション後のSEC-RI-MALSによる産物を評価した。コンジュゲーションは、G6.31.AARR.Fab-Cコンジュゲーション反応対照と比較して、正しい保持時間でHA-G6.31.AARRコンジュゲートの生成を正常に続行した(図11)。ThioFab試料において留意すべき唯一の大きな違いは、Fabのコンジュゲートへの変換がより低いことであった。これは、ThioFab操作システイン残基のpHと比較して、ヒンジシステインのpKaにより適している場合があるコンジュゲーション反応の比較的低いpH(pH6.5)によって引き起こされる可能性が高い。コンジュゲーション反応のpHを上昇させることにより、ThioFabコンジュゲーションの収率が改善されることが予想される。
(iv)Fab-C及びThioFab型式の逆マイケル付加感受性
Fab-C及びThioFab型式のG6.31.AARRをモデルPEG-マレイミド構築物にコンジュゲートし、遊離チオールトラップとしての機能を果たす(すなわち、PEG-マレイミドで放出された遊離チオールの逆マイケル付加を阻止する)ように37℃のPBS中でGSSGとインキュベートし、その後、RP-UPLC-TOFによって周期的に分析した。Fab-C-PEG構築物において、著しい逆マイケル脱コンジュゲーションが最初の7日間にわたって観察され、インタクトコンジュゲートの9.8%損失をもたらした(図12)。ThioFabコンジュゲートは、Fab-Cにおいて可変レベルの改善を示し、A140Cバリアントは、14日目までほぼ脱コンジュゲーションなしを示し、同じ期間で、L174Cバリアントは、5.9%の脱コンジュゲーションを示し、K149Cバリアントは、7.1%の脱コンジュゲーションを示した。これらのデータは、システイン突然変異バリアントが、逆マイケル媒介タンパク質脱コンジュゲーションから保護され得、インタクトタンパク質-ポリマーコンジュゲートの保持においてFab-C型式に優る著しい利点を提供し得ることを示唆する。
実施例3:本発明の抗体コンジュゲートに使用するための例示的な抗VEGF抗体
本明細書に記載の抗VEGF抗体のうちのいずれかを使用して、実施例1及び実施例2に記載の抗体コンジュゲートを調製することができる。例えば、国際特許出願第PCT/US2016/053454号に記載のいずれかの抗VEGF抗体が使用され得る。表8は、使用され得る例示的な抗VEGF抗体、ならびに各抗体のVH及びVLドメインのアミノ酸配列を記載する。表9は、表8に記載の抗VEGF抗体のVL HVRアミノ酸配列を記載する。表10は、表8に記載の抗VEGF抗体のVH HVRアミノ酸配列を記載する。具体的な実施形態では、抗VEGF抗体G6.31 AARR(本明細書で「G6.31.AARR」とも称される)を使用する。
表8:例示的な抗VEGF抗体のVH及びVLアミノ酸配列
表9:表8の抗体のVL HVR配列
表10:表8の抗体のVH HVR配列
上記の抗体のうちのいずれか、例えば、G6.31 AARRのFab重鎖の上部ヒンジ領域を突然変異させて、文献で報告されている抗IgG1ヒンジ自己抗体に対する反応性を除去することができる。例えば、Brezski et al.,J.Immunol.181:3183-3192,2008、及びBrezski et al.,mAbs 2:3,212-220,2010を参照されたい。したがって、G6.31 AARR重鎖のC末端アミノ酸は、T(野生型(WT)バージョン)またはL(抗ヒトIgG Fabに対する反応性を欠くバリアントバージョン)のいずれかであり得る。野生型G6.31 AARRの全長重鎖アミノ酸配列は、配列番号48である。抗ヒトIgG Fabに対する反応性を欠くバリアントバージョンの全長重鎖アミノ酸配列は、配列番号49である。G6.31 AARR及び抗ヒトIgG Fabに対する反応性を欠くバリアントバージョンの両方の全長軽鎖アミノ酸配列は、配列番号50である。
G6.31.AARR.LC-K149Cシステイン操作抗体バリアント軽鎖及び重鎖のアミノ酸配列を以下に示す(LC-C149は太字の下線付きフォントである)。
軽鎖(LC):
重鎖(HC):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTISDYWIHWVRQAPGKGLEWVAGITPAGGYTRYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMRSLRAEDTAVYYCARFVFFLPYAMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHT(配列番号90)。
G6.31AARR.HC-A140Cシステイン操作抗体バリアント軽鎖及び重鎖のアミノ酸配列を以下に示す(HC-C140は太字の下線付きフォントである)。
LC:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDAATYYCQQGYGAPFTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号91)。
HC:
G6.31AARR.HC-L174Cシステイン操作抗体バリアント軽鎖及び重鎖のアミノ酸配列を以下に示す(HC-C174は太字の下線付きフォントである)。
LC:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDAATYYCQQGYGAPFTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号93)。
HC:
実施例4:単分散HAから産生されたHA-G6.31.AARRコンジュゲートは、多分散HAから産生されたHA-G6.31.AARRコンジュゲートと比較して、生理学的ストレス下で改善された物理的安定性を示す。
(A)材料及び方法
Pasteurella multocidaヒアルロナンシンターゼ(PmHAS)を使用して化学酵素手段によって合成された単分散HAは、Hyalose(Oklahoma City,OK)製のものであった。全ての他の化学物質及び試薬は、Sigma Aldrich(St.Louis,MO)製のものであった。
単分散HA(monoHA、Mw137kDa、RH21.2nm)を、4.0%マレイミド基を含むように前述のようにN-(2-アミノエチルマレイミド)で修飾した。その後、G6.31.AARR.Fab-Cを、前述のようにmonoHA-マレイミド骨格にコンジュゲートし、pH7.4のPBS泳動緩衝液を用いたHILOAD(登録商標)SUPERDEX(登録商標)200pgカラムでのSECによって精製した。コンジュゲート画分をプールし、SEC-RI-MALSによって確認した。
精製したmonoHA-G6.31.AARRを限外濾過によってPBS中で5mg/mL(Fabに基づく)に濃縮し、アジ化ナトリウム及びポリソルベート20(PS20)を添加して、それぞれ、2mM及び0.01%の最終濃度にし、37℃でインキュベートした。試料採取時点で、試料を取り出し、10mM His-HCl(pH5.5)、150mM NaCl、10w/v%トレハロース、及び0.01%ポリソルベート20を含有する緩衝液中で1mg/mLに希釈し、その後、可溶性タンパク質濃度(A280)、濁度(A450)、SEC保持時間、及び分子量(SEC-RI-MALSによるMn及びMw)についてアッセイした。
(B)結果
単分散HAを使用して産生したHA-G6.31.AARRコンジュゲートは、同じFab負荷レベルで同様のサイズの多分散HAを使用して産生したHA-G6.31.AARRコンジュゲートと比較して、4週目まで非常に改善された物理的安定性を示した(図14)。monoHA-G6.31.AARRの分子量(Mw)は、0週目から2週目及び4週目までわずかに減少したが、この損失を、チオール-マレイミドコンジュゲートタンパク質で一般に観察されるように、逆マイケル脱コンジュゲーションによる遊離Fabの損失によって完全に説明することができた。monoHA-G6.31.AARRのSEC保持時間にも識別可能なシフトがなく、コンジュゲートの物理的サイズが経時的に変化しなかったことを示す。
これらの結果は、多分散HA出発材料から産生されたHA-G6.31.AARRコンジュゲート集団内で、高分子量のHAに基づく部分集団が、生理学的ストレス後に観察された物理的不安定性に関与するという仮説を明確に支持する。HA出発(すなわち、単分散HAから出発する)材料を均質化することによってこの部分集団を除去することにより、生理学的ストレス条件下で沈殿する傾向がより低いより安定したコンジュゲート分子がもたらされる。これらのデータは、インビボ使用のための治療薬として単分散HA材料から産生されたHA-G6.31.AARRコンジュゲートを使用することをさらに支持する。
前述の発明が理解の明確化のために例証及び例としていくらか詳細に記載されているが、これらの説明及び例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本明細書で引用される全ての特許及び科学文献の開示は、参照によりそれらの全体が明確に組み込まれる。