JP7226891B2 - リチウム二次電池用電解質及びこれを含むリチウム二次電池 - Google Patents

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Description

[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年1月17日付韓国特許出願第2019-0006405号及び2020年1年16日付韓国特許出願第2020-0005939号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
本発明は、リチウム二次電池用電解質及びこれを含むリチウム二次電池に関し、より詳細には、高電圧又は高温における電池性能が改善されたリチウム二次電池用電解質に関する。
情報社会の発達により個人ITデバイスとネットワークが発達し、これに伴って全般的な社会の電気エネルギーに対する依存度が高くなり、電気エネルギーを効率的に貯蔵して活用するための技術の開発が要求されている。
このために開発された技術の中で多くの用途に最も好適な技術が二次電池に基づいた技術である。二次電池の場合、個人ITデバイス等に適用できるほどに小型化が可能であり、電気自動車、電力貯蔵装置等にも適用できるため、これに対する関心が台頭している。このような二次電池の中でも、エネルギー密度が高い電池システムのリチウムイオン電池が脚光を浴びており、現在多くのデバイスに適用されている。
リチウムイオン電池システムの場合、リチウム金属を直接システムに適用した初期とは異なって、リチウムを含んでいる遷移金属酸化物素材を正極材として用い、負極材として黒鉛等の炭素系素材とシリコン等の合金系素材等を負極に適用する等、リチウム金属が直接的に電池の内部に使用されないシステムとして具現されている。
このようなリチウムイオン電池の場合、大きく、リチウムを含有している遷移金属酸化物からなる正極と、リチウムを貯蔵できる負極と、リチウムイオンを伝達する媒介体となる電解液と、セパレーターとからなっており、このうち電解液の場合、電池の安定性(stability)と安全性(safety)等に大きな影響を与える構成成分として知られるに伴い、これに対して多くの研究が行われている。
リチウムイオン電池用電解液の場合、リチウム塩とこれを溶解させる有機溶媒、そして機能性添加剤等からなり、電池の電気化学的特性を改善するためにはこの構成要素の適切な選定が重要である。現在用いられる代表的なリチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiFSI(lithium fluorosulfonyl imide、LiN(SOF))、LiTFSI(lithium(bis)trifluoromethanesulfonyl imide、LiN(SOCF)又はLiBOB(lithium bis(oxalate)borate、LiB(C)等が用いられており、有機溶媒の場合にはカーボネート系有機溶媒、エステル系有機溶媒またはエーテル系有機溶媒等が用いられている。
このようなリチウムイオン電池の場合、高温での充電・放電あるいは貯蔵時の抵抗の増加と容量の減退が性能の劣化において大きな問題点として提示されており、このような問題の原因の一つとして提示されているのが電解液の高温における劣化により発生する副反応、その中でも塩の高温における分解による劣化である。このような塩の副産物が、活性化後に正極及び負極の表面に形成された被膜を分解する場合、被膜の不動態(passivation)能力を下げるという問題が存在し、これによって電解液の追加的な分解とそれに伴う自己放電を誘発するという問題がある。
リチウムイオン電池の電極素材のうち、特に負極の場合、黒鉛系負極を用いるのが大部分であり、黒鉛の場合、この作動電位が0.3V(vs.Li/Li+)以下でリチウムイオン電池に用いられる電解液の電気化学的安定窓より低いため、現在用いられる電解液が還元され分解される。このように還元/分解された産物は、リチウムイオンは透過させるが、電解液の追加的な分解は抑制する固体電解質界面(Solid electrolyte interphase(SEI))膜を形成するようになる。
しかし、前記SEI膜が追加的な電解液分解を抑制できる程度に十分な不動態能力を有し得ない場合、貯蔵中に電解液が追加的に分解され充電された黒鉛が自己放電することで、結論的に電池全体の電位が低下する現象が現れるようになる。このため、SEIの高温における不動態能力の維持のためには熱/水分等によって発生する代表的なリチウム塩であるLiPF等の分解産物のHF、PF等を除去してSEI膜の損傷を抑制するか、正/負極の電極上に形成されたSEI膜上に追加的に安定的な被膜をさらに形成し得る添加剤の提案と導入が急を要する状況である。
特開2003-217655号公報
本発明は、前記のような問題点を解決するためのもので、高電圧又は高温でリチウム塩が分解される場合に発生する副産物によって誘発される副反応を抑制し、リチウム二次電池の高温特性が改善されたリチウム二次電池用電解質及びこれを含むリチウム二次電池に関する発明である。
一実施形態によれば、本発明は、下記化学式1で表される化合物を含む添加剤と、下記化学式2で表される単位を含み、末端にアクリレート基を含むオリゴマーと、リチウム塩と、有機溶媒とを含むリチウム二次電池用電解質を提供する。
Figure 0007226891000001
前記化学式1において、前記Rは、ハロゲン元素が置換又は非置換された炭素数1から5のアルキル基、ハロゲン元素が置換又は非置換された炭素数1から5のアルコキシ基、1から3の炭素数のアルキル基が置換又は非置換されたフェニル基及び1から5の炭素数のアルキル基が置換又は非置換されたアミン基からなる群から選択されるものである。
Figure 0007226891000002
前記化学式2において、前記Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立してフッ素元素、又はフッ素元素で置換又は非置換された炭素数1から3のアルキル基であり、前記pは1から50の整数である。
他の実施形態によれば、本発明は、正極と、負極と、本発明のリチウム二次電池用電解質とを含むリチウム二次電池を提供する。
本発明によるリチウム二次電池用電解質は、特定のオリゴマー及び添加剤を含んでいるため、高温性能に優れ、電圧が高くなる場合にも電池性能の劣化を最小化できる。
以下、本発明についてより詳しく説明する。
本明細書及び特許請求の範囲において用いられた用語や単語は、通常的又は辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最善の方法によって説明するために、用語の概念を適宜定義することができるという原則に即し、本発明の技術的思想に適合する意味と概念として解釈されなければならない。
本明細書で用いられる用語は、単に例示的な実施形態等を説明するために用いられたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。
本明細書において、『含む』、『備える』又は『有する』等の用語は、実施された特徴、数字、段階、構成要素又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、構成要素、又はこれらを組み合わせたもの等の存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解されなければならない。
本明細書において、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)で測定した標準ポリスチレンに対する換算数値を意味してよく、特に他に規定しない限り、分子量は重量平均分子量を意味してよい。例えば、本発明では、GPC条件でAgilent社製の1200シリーズを用いて測定し、このとき用いられたカラムは、Agilent社製のPL mixed Bカラムを用いてよく、溶媒はTHFを用いてよい。
リチウム二次電池用電解質
本発明によるリチウム二次電池用電解質は、化学式1で表される化合物を含む添加剤と、化学式2で表される単位を含み、末端にアクリレート基を含むオリゴマーと、リチウム塩と、有機溶媒とを含む。
以下、本発明のリチウム二次電池用電解質の各成分についてより詳しく説明する。
(1)添加剤
先ず、前記添加剤について説明する。前記添加剤は、下記化学式1で表される化合物を含み、用いられる電極の種類や電池用途等によってその他の添加剤がさらに添加されてよい。
Figure 0007226891000003
前記化学式1において、前記Rは、ハロゲン元素が置換又は非置換された炭素数1から5のアルキル基、ハロゲン元素が置換又は非置換された炭素数1から5のアルコキシ基、1から3の炭素数のアルキル基が置換又は非置換されたフェニル基及び1から5の炭素数のアルキル基が置換又は非置換されたアミン基からなる群から選択されてよい。
リチウム二次電池の駆動電圧が高くなるか電池が高温に露出されると正極から遷移金属が溶出され、負極の表面上には不安定なSEI(Solid Electrolyte Interphase)膜が形成され、電池が充電・放電を繰り返す途中電解質の追加的な分解反応を抑制できないという問題点が存在する。
本発明の場合、前記のような問題点を解消するために、正/負極の界面上に保護層(passive layer)をさらに形成し、電解質分解反応及びSEI膜が分解されることを防止するために化学式1で表される化合物を電解質に添加して用いた。前記化学式1で表される化合物は、正極界面上にSEI(Solid Electrolyte Interphase)膜を形成し、正極活物質から溶出される遷移金属イオンが負極に粘着されることを防止して電池性能の劣化を改善することができる。また、正極及び負極の界面上に保護層(passive layer)を形成し、電解質の追加分解反応を抑制できる。
具体的な例としては、前記化学式1で表される化合物は、下記化学式1Aから1Eで表される化合物からなる群から選択される少なくとも一つ以上であってよい。
Figure 0007226891000004
前記化学式1Aにおいて、前記nは0から4の整数である。
Figure 0007226891000005
前記化学式1Bにおいて、前記mは0から4の整数であり、前記X、X’及びX’’はそれぞれ独立して水素又はハロゲン元素のうち一つであり、少なくとも一つ以上はハロゲン元素である。
Figure 0007226891000006
前記化学式1Cにおいて、前記kは0から4の整数であり、前記Y、Y’及びY’’はそれぞれ独立して水素又はハロゲン元素のうち一つであり、少なくとも一つ以上はハロゲン元素である。
Figure 0007226891000007
前記化学式1Dにおいて、前記sは0から2の整数である。
Figure 0007226891000008
前記化学式1Eにおいて、前記R及びRは、それぞれ独立して水素又は炭素数1から5のアルキル基である。
より具体的には、前記化学式1Aで表される化合物は、下記化学式1A-1から1A-3で表される化合物であってよい。
Figure 0007226891000009
Figure 0007226891000010
Figure 0007226891000011
また、前記化学式1Bで表される化合物は、下記化学式1B-1で表される化合物であってよい。
Figure 0007226891000012
また、前記化学式1Cで表される化合物は、下記化学式1C-1から1C-5で表される化合物からなる群から選択される少なくとも一つ以上であってよい。
Figure 0007226891000013
Figure 0007226891000014
Figure 0007226891000015
Figure 0007226891000016
Figure 0007226891000017
また、前記化学式1Dで表される化合物は、下記化学式1D-1で表される化合物であってよい。
Figure 0007226891000018
また、前記化学式1Eで表される化合物は、下記化学式1E-1で表される化合物であってよい。
Figure 0007226891000019
一方、前記化学式1で表される化合物は、前記リチウム二次電池用電解質100重量部に対して0.1重量部から5重量部、好ましくは0.1重量部から3重量部、より好ましくは0.1重量部から1重量部で含まれてよい。前記化学式1で表される化合物が前記範囲内に含まれる場合、内部抵抗が増加することを調節しながらも、PFのようなリチウム塩副産物を効果的に除去できる。
一方、本発明による添加剤は、電池の用途、電池内構成等によって、前記記載された成分以外に、電池内抵抗減少の効果を付与するために、当業界に知られている、このような物性を具現できるその他の添加剤を選択的にさらに含有してよい。前記その他の添加剤としては、例えば、ビニレンカーボネート(Vinylene Carbonate、VC)、ビニルエチレンカーボネート(vinyl ethylene carbonate、VEC)、プロパンスルトン(Propane sultone、PS)、スクシノニトリル(succinonitrile、SN)、アジポニトリル(Adiponitrile、AdN)、エチレンサルフェート(ethylene sulfate、ESa)、プロペンスルトン(Propene Sultone、PRS)、フルオロエチレンカーボネート(FluoroEthylene carbonate、FEC)、リチウムジフルオロホスフェート(LiPO)、リチウムジフルオロ(オキサレート)ボレート(Lithium difluoro(oxalate)borate)、LiODFB)、リチウムビス-(オキサラト)ボレート(Lithium bis-(oxalato)borate、LiBOB)、3-トリメトキシシラニル-プロピル-N-アニリン(3-trimethoxysilanyl-propyl-N-aniline)、TMSPa)、トリス(トリメチルシリル)ホスファイト((Tris(trimethylsilyl)Phosphite)、TMSPi)等のその他添加剤を用いてよい。
(2)オリゴマー
次に、下記化学式2で表される単位を含み、末端にアクリレートを含むオリゴマーについて説明する。
Figure 0007226891000020
前記化学式2において、前記Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立してフッ素元素、又はフッ素元素で置換又は非置換された炭素数1から3のアルキル基であり、前記pは1から50の整数である。
前記化学式2で表される単位を含み、末端にアクリレート基を含むオリゴマーは、リチウムイオンとの反応性が低いフッ素元素が置換されたエチレン基を含んでいるため、リチウムイオンの副反応及びリチウム塩(salt)の分解反応等を制御でき、高濃度のリチウム塩を用いる場合に発生する副反応を抑制できる。また、前記オリゴマーは、難燃性に優れたフッ素元素を含んでいるため、前記オリゴマーを含む電解質を用いる場合、リチウム二次電池の発熱及び発火現象が抑制され高温安全性が向上され得る。
一方、前記オリゴマーは、疎水性を帯びるフッ素元素を含む単位を含むとともに末端には親水性を帯びるアクリレート基を含んでいるため、界面活性剤としての役割を行って電極界面との表面抵抗を下げ、リチウム二次電池の濡れ性効果(wetting)が向上され得る。
具体的に、前記オリゴマーは、下記化学式2Aで表されるオリゴマーであってよい。
Figure 0007226891000021
前記化学式2Aにおいて、
前記R’、R’、R’及びR’は、それぞれ独立してフッ素元素、又はフッ素元素で置換又は非置換された炭素数1から3のアルキル基であり、
前記Rは、脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基であり、
前記Rは、フッ素元素で置換又は非置換された炭素数1から5のアルキレン基であり、
前記R’は、水素又は炭素数1から3のアルキル基であり、
前記oは、1から3の整数であり、
前記pは、1から50の整数であり、
前記qは、1から15の整数である。
このとき、前記pは、好ましくは1から45の整数、より好ましくは1から40の整数であってよい。
前記化学式2Aで表されるオリゴマーにおいて、前記脂肪族炭化水素基は脂環族炭化水素基又は直鎖状炭化水素基を含む。
前記脂環族炭化水素基は、置換又は非置換された炭素数4から20のシクロアルキレン基;イソシアネート基(NCO)を含む置換又は非置換された炭素数4から20のシクロアルキレン基;置換又は非置換された炭素数4から20のシクロアルケニレン基;及び置換又は非置換された炭素数2から20のヘテロシクロアルキレン基からなる群から選択された少なくとも一つ以上を含んでよい。
前記直鎖状炭化水素基は、置換又は非置換された炭素数1から20のアルキレン基;イソシアネート基(NCO)を含む置換又は非置換された炭素数1から20のアルキレン基;置換又は非置換された炭素数1から20のアルコキシ基;置換又は非置換された炭素数2から20のアルケニレン基;及び置換又は非置換された炭素数2から20のアルキニレン基からなる群から選択された少なくとも一つ以上が挙げられる。
また、前記化学式2Aで表されるオリゴマーにおいて、前記芳香族炭化水素基は置換又は非置換された炭素数6から20のアリレン基;又は置換又は非置換された炭素数2から20のヘテロアリレン基を含んでよい。
具体的な例としては、前記化学式2Aで表されるオリゴマーは、下記化学式2A-1で表されるオリゴマーであってよい。
Figure 0007226891000022
前記化学式2A-1において、前記p’は1から50の整数であり、前記qは1から15の整数である。前記p’は、好ましくは1から45の整数、より好ましくは1から40の整数であってよい。
または、前記オリゴマーは、下記化学式2Bで表されるオリゴマーであってよい。
Figure 0007226891000023
前記化学式2Bにおいて、前記R’’、R’’、R’’及びR’’は、それぞれ独立してフッ素元素、又はフッ素元素で置換又は非置換された炭素数1から3のアルキル基であり、前記R’は、脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基であり、前記R’は、フッ素元素で置換又は非置換された炭素数1から5のアルキレン基であり、前記rは、1から2の整数であり、前記r’は、1から3の整数であり、前記p’は、1から50の整数であり、前記q’は、1から15の整数である。前記p’’は、好ましくは1から45の整数、より好ましくは1から40の整数であってよい。
具体的な例としては、前記化学式2Bで表されるオリゴマーは、下記化学式2B-1で表されるオリゴマーであってよい。
Figure 0007226891000024
前記化学式2B-1において、前記p’’は、1から50の整数であり、前記qは、1から15の整数である。このとき、前記pは、好ましくは1から45の整数であり、より好ましくは1から40の整数である。
一方、前記オリゴマーの重量平均分子量(MW)は、繰り返し単位の個数によって調節されてよく、約500から200,000、具体的に1,000から150,000、より具体的に2,000から100,000であってよい。前記オリゴマーの重量平均分子量が前記範囲内の場合、有機溶媒との親和性が高くて分散がよく行われ得、表面張力を一定水準以下に下げて電解質の濡れ性を改善でき、リチウム塩の分解反応を抑制し、リチウムイオンが副反応を起こすことを防止できる。
このとき、前記オリゴマーは、前記リチウム二次電解質100重量部に対して0.1重量部から5重量部、好ましくは0.1重量部から3重量部、より好ましくは0.1重量部から1重量部で含まれてよい。前記オリゴマーが前記範囲内に含まれる場合、リチウムイオンの移動性及びイオン伝導度を一定水準以上に維持して副反応が抑制されながらも界面活性剤として作用し、電池内の界面抵抗を最小化できる。
(3)リチウム塩
前記リチウム塩は、リチウム二次電池用電解質に1Mから3M、好ましくは1Mから2M、より好ましくは1Mから1.5Mのモル濃度で含まれてよい。前記リチウム塩が前記モル濃度範囲内に含まれる場合、リチウムイオンが十分に供給され、リチウムイオン収率(Li+ transference number)及びリチウムイオンの解離度が向上して電池の出力特性が向上され得る。
通常、リチウム塩は、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiClO、LiN(CSO、LiN(CFSO、CFSOLi、LiC(CFSO、LiCBO、LiTFSI、LiFSI及びLiClOからなる群から選択される少なくとも一つ以上の化合物を含んでよく、好ましくはLiPF及び/又はLiBFを含んでよいが、これに限定されるものではない。
リチウム塩のうち、特に、LiPF及び/又はLiBFは一般的にイオン伝導度が高いため多く用いられている。しかし、高温で有機溶媒が分解される場合、前記有機溶媒の分解産物と前記リチウム塩の陰イオンであるPF 等が反応してPFのようなルイス酸(Lewis acid)副産物を発生させることがある。ルイス酸副産物の場合、有機溶媒の自発的な分解反応を促進し、電極界面上に形成されているSEI膜を崩壊する副反応を起こす。前記副反応が抑制されない場合、電池内の抵抗が急激に上昇し、電池の容量特性等が低下し得る。
より具体的に、リチウム塩としてLiPFを用いる場合、陰イオンであるPF が負極の方で電子を失うようになり、PFが生成され得る。このとき、下記のような化学反応が連鎖的に行われ得る。
Figure 0007226891000025
前記連鎖的な反応が行われる場合、発生するHFを含めた他の副産物により有機溶媒の分解やSEI膜との副反応が発生するため、電池の性能が持続的に低下し得る。よって、本発明の場合、前記のような問題点を解消するために、前記で説明した化学式1で表される化合物を含む添加剤及び化学式2で表される単位を含み、末端にアクリレート基を含むオリゴマーをリチウム二次電池用電解質に追加して用いる。
(4)有機溶媒
本明細書によるリチウム二次電池用非水電解液において、前記有機溶媒は、環状カーボネート系有機溶媒、線状カーボネート系有機溶媒又はこれらの混合有機溶媒を含んでよい。
前記環状カーボネート系有機溶媒は、高粘度の有機溶媒として誘電率が高いため電解質内のリチウム塩をよく解離できる有機溶媒であって、その具体的な例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、1,2-ブチレンカーボネート、2,3-ブチレンカーボネート、1,2-ペンチレンカーボネート、2,3-ペンチレンカーボネート及びビニレンカーボネートからなる群から選択される少なくとも一つ以上の有機溶媒を含んでよく、この中でもエチレンカーボネートを含んでよい。
また、前記線状カーボネート系有機溶媒は、低粘度及び低誘電率を有する溶媒であって、その代表的な例としてジメチルカーボネート(dimethyl carbonate、DMC)、ジエチルカーボネート(diethyl carbonate、DEC)、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート及びエチルプロピルカーボネートからなる群から選択される少なくとも一つ以上の有機溶媒を用いてよく、具体的にエチルメチルカーボネート(EMC)を含んでよい。
また、前記有機溶媒は、高いイオン伝導率を有する電解液を製造するために、前記環状カーボネート系有機溶媒及び/又は線状カーボネート系有機溶媒に線状エステル系有機溶媒及び/又は環状エステル系有機溶媒をさらに含んでもよい。
このような線状エステル系有機溶媒は、その具体的な例としてメチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート及びブチルプロピオネートからなる群から選択される少なくとも一つ以上の有機溶媒が挙げられる。
また、前記環状エステル系有機溶媒としては、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、σ-バレロラクトン及びε-カプロラクトンからなる群から選択される少なくとも一つ以上の有機溶媒が挙げられる。
一方、前記有機溶媒は、必要に応じてリチウム二次電池用電解液に通常用いられる有機溶媒を制限なく追加して用いてよい。例えば、エーテル系有機溶媒、アミド系有機溶媒及びニトリル系有機溶媒のうち少なくとも一つ以上の有機溶媒をさらに含んでもよい。
リチウム二次電池
次に、本発明によるリチウム二次電池を説明する。本発明の一実施形態によるリチウム二次電池は、正極、負極及び前記リチウム二次電池用電解質を含み、選択的にセパレーターをさらに含む。一方、前記リチウム二次電池用電解質に対しては上述の内容と同一であるため、具体的な説明を省略する。
(1)正極
前記正極は、正極集電体上に正極活物質、バインダー、導電材及び溶媒等を含む正極活物質スラリーをコーティングして製造することができる。
前記正極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発することなく導電性を有するものであれば、特に制限されるのではなく、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、又はアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀等で表面処理したもの等が用いられてよい。
前記正極活物質は、リチウムの可逆的なインターカレーション及びデインターカレーションの可能な化合物であって、具体的には、コバルト、マンガン、ニッケル又はアルミニウムのような1種以上の金属とリチウムを含むリチウム複合金属酸化物を含んでよい。より具体的には、前記リチウム複合金属酸化物は、リチウム-マンガン系酸化物(例えば、LiMnO、LiMn等)、リチウム-コバルト系酸化物(例えば、LiCoO等)、リチウム-ニッケル系酸化物(例えば、LiNiO等)、リチウム-ニッケル-マンガン系酸化物(例えば、LiNi1-Y1MnY1(ここで、0<Y1<1)、LiMn2-z1Niz1(ここで、0<Z1<2)等)、リチウム-ニッケル-コバルト系酸化物(例えば、LiNi1-Y2CoY2(ここで、0<Y2<1)等)、リチウム-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、LiCo1-Y3MnY3(ここで、0<Y3<1)、LiMn2-z2Coz2(ここで、0<Z2<2)等)、リチウム-ニッケル-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、Li(Nip1Coq1Mnr1)O(ここで、0<p1<1、0<q1<1、0<r1<1、p1+q1+r1=1)又はLi(Nip2Coq2Mnr2)O(ここで、0<p2<2、0<q2<2、0<r2<2、p2+q2+r2=2)等)、又はリチウム-ニッケル-コバルト-遷移金属(M)酸化物(例えば、Li(Nip3Coq3Mnr3S1)O(ここで、Mは、Al、Fe、V、Cr、Ti、Ta、Mg及びMoからなる群から選択され、p3、q3、r3及びs1は、それぞれ独立的な元素の原子分率であって、0<p3<1、0<q3<1、0<r3<1、0<s1<1、p3+q3+r3+s1=1である)等)等が挙げられ、これらのうち何れか一つ又は二つ以上の化合物が含まれてよい。
この中でも、電池の容量特性及び安定性を高めることができるという点で前記リチウム複合金属酸化物は、LiCoO、LiMnO、LiNiO、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(例えば、Li(Ni0.6Mn0.2Co0.2)O、Li(Ni0.5Mn0.3Co0.2)O、又はLi(Ni0.8Mn0.1Co0.1)O等)、又はリチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(例えば、LiNi0.8Co0.15Al0.05等)等であってよく、リチウム複合金属酸化物を形成する構成元素の種類及び含量比の制御による改善効果の著しさを考慮する時、前記リチウム複合金属酸化物は、Li(Ni0.6Mn0.2Co0.2)O、Li(Ni0.5Mn0.3Co0.2)O、Li(Ni0.7Mn0.15Co0.15)O又はLi(Ni0.8Mn0.1Co0.1)O等であってよく、これらのうち何れか一つ又は二つ以上の混合物が用いられてよい。
前記バインダーは、活物質と導電材等の結合と集電体に対する結合を助ける成分であって、このようなバインダーの例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン-ブタジエンゴム、フッ素ゴム、多様な共重合体等が挙げられる。
前記導電材は、正極活物質の導電性をさらに向上させるための成分であって、当該電池に化学的変化を誘発することなく導電性を有するものであれば、特に制限されるのではなく、例えば、グラファイト;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等の炭素系物質;炭素繊維や金属繊維等の導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末等の金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウム等の導電性ウィスカー;酸化チタン等の導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体等の導電性素材等が用いられてよい。
前記溶媒は、NMP(N-メチル-2-ピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone))等の有機溶媒を含んでよく、前記正極活物質、及び選択的にバインダー及び導電材等を含む時、好ましい粘度になる量で用いられてよい。
(2)負極
前記負極は、例えば、負極集電体上に負極活物質、バインダー、導電材及び溶媒等を含む負極活物質スラリーをコーティングして製造することができる。
前記負極集電体は、一般的に3μmから500μmの厚さを有する。このような負極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発することなく高い導電性を有するものであれば、特に制限されるのではなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀等で表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金等が用いられてよい。また、正極集電体と同様に、表面に微細な凹凸を形成し負極活物質の結合力を強化させてもよく、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体等多様な形態で用いられてよい。
前記負極活物質としては、天然黒鉛、人造黒鉛、炭素質材料;リチウム含有チタン複合酸化物(LTO);Si、Sn、Li、Zn、Mg、Cd、Ce、Ni又はFeである金属類(Me);前記金属類(Me)からなる合金類;前記金属類(Me)の酸化物;前記金属類(Me)と炭素との複合体からなる群から選択された1種又は2種以上の負極活物質が挙げられる。
前記バインダーは、導電材、活物質及び集電体の間の結合を助ける成分であって、このようなバインダーの例としては、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン-ブタジエンゴム、フッ素ゴム、これらの多様な共重合体等が挙げられる。
前記導電材は、負極活物質の導電材をさらに向上させるための成分であって、このような導電材は、当該電池に化学的変化を誘発することなく導電性を有するものであれば、特に制限されるのではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛等の黒鉛;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維等の導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末等の金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウム等の導電性ウィスカー;酸化チタン等の導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体等の導電性素材等が用いられてよい。
前記溶媒は、水又はNMP(N-methyl-2-pyrrolidone)等の有機溶媒を含んでよく、前記負極活物質、及び選択的にバインダー及び導電材等を含む時、好ましい粘度になる量で用いられてよい。
(3)セパレーター
前記セパレーターとしては、従来セパレーターで用いられた通常の多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体及びエチレン/メタクリレート共重合体等のようなポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子フィルムを単独で又はこれらを積層して用いてよく、又は通常の多孔性不織布、例えば、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維等でなる不織布を用いてよいが、これに限定されるのではない。
以下、具体的な実施例を介して本発明をより具体的に説明する。但し、下記の実施例は、本発明の理解を深めるための例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本記載の範疇及び技術思想の範囲内で多様な変更及び修正が可能であるのは当業者において明白なことであり、このような変形及び修正が特許請求の範囲に属するのは当然のことである。
[実施例]
1.実施例1
(1)リチウム二次電池用電解質の製造
有機溶媒としてエチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)を30:70の体積比で混合し、LiPFが1M濃度になるように添加して非水性有機溶媒を製造した。前記非水性有機溶媒99.3gに化学式1E-1で表される化合物0.5gと化学式2A-1で表されるオリゴマー(重量平均分子量(Mw)=7,400g/mol、p’=5、q=10)0.2gを添加してリチウム二次電池用電解質を製造した。
(2)リチウム二次電池の製造
溶媒であるN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に、正極活物質(LiNi0.8Co0.1Mn0.1;NCM)と導電材であるカーボンブラック(carbon black)、バインダーであるPVDFを97:1.5:1.5の重量比で添加し、正極活物質スラリーを製造した。前記正極活物質スラリーを厚さが20μm程度の正極集電体であるアルミニウム(Al)薄膜に塗布してから乾燥させた後、ロールプレス(roll press)を実施して正極を製造した。
溶媒であるN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に、負極活物質(炭素粉末:SiO=90:5重量比)とバインダーであるスチレンブタジエンゴム(SBR)、増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)及び導電材であるカーボンブラック(carbon black)を95:3:1:1の重量比で添加し、負極活物質スラリーを製造した。前記負極活物質スラリーを厚さが10μmの負極集電体である銅(Cu)薄膜に塗布してから乾燥させた後、ロールプレス(roll press)を実施して負極を製造した。
前記正極、負極及びポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン(PP/PE/PP)3層でなるセパレーターを用いて電極組立体を製造した後、これをパウチ型二次電池ケースに収納し、前記パウチ型二次電池ケース内部に前記リチウム二次電池用電解質を注入してリチウム二次電池を製造した。
2.実施例2
非水性有機溶媒94.8gに化学式1E-1で表される化合物5.0gと化学式2A-1で表されるオリゴマー(重量平均分子量(Mw)=7,400g/mol、p’=5、q=10)0.2gを添加したことを除いては、実施例1と同一の方法でリチウム二次電池用液体電解質及びリチウム二次電池を製造した。
3.実施例3
化学式1E-1で表される化合物0.5gの代わりに化学式1B-1で表される化合物0.5gを添加したことを除いては、実施例1と同一の方法でリチウム二次電池用液体電解質及びリチウム二次電池を製造した。
4.実施例4
化学式1E-1で表される化合物5.0gの代わりに化学式1B-1で表される化合物5.0gを添加したことを除いては、実施例2と同一の方法でリチウム二次電池用液体電解質及びリチウム二次電池を製造した。
5.実施例5
オリゴマーである化学式2A-1で表されるオリゴマー0.2gの代わりに化学式2B-1で表されるオリゴマー(重量平均分子量(Mw)=7,570g/mol、p’=5、q=10)0.2gを添加したことを除いては、実施例3と同一の方法でリチウム二次電池用液体電解質及びリチウム二次電池を製造した。
6.実施例6
非水性有機溶媒94.5gに化学式1B-1で表される化合物0.5gを添加し、化学式2A-1で表されるオリゴマー(重量平均分子量(Mw)=7,400g/mol、p’=5、q=10)5.0gを添加したことを除いては、実施例1と同一の方法でリチウム二次電池用液体電解質及びリチウム二次電池を製造した。
7.実施例7
オリゴマーである化学式2A-1で表されるオリゴマーの代わりに化学式2B-1で表されるオリゴマー(重量平均分子量(Mw)=7,570g/mol、p’=5、q=10)5gを添加したことを除いては、実施例6と同一の方法でリチウム二次電池用液体電解質及びリチウム二次電池を製造した。
[比較例]
1.比較例1
リチウム二次電池用電解質を製造する時、化学式1E-1で表される化合物を添加しないことを除いては、実施例1と同一の方法でリチウム二次電池用電解質及びリチウム二次電池を製造した。
2.比較例2
リチウム二次電池用電解質を製造する時、化学式2A-1で表されるオリゴマーを添加しないことを除いては、実施例1と同一の方法でリチウム二次電池用電解質及びリチウム二次電池を製造した。
3.比較例3
リチウム二次電池用電解質を製造する時、化学式1E-1で表される化合物及び化学式2A-1で表されるオリゴマーをどちらも添加しないことを除いては、実施例1と同一の方法でリチウム二次電池用電解質及びリチウム二次電池を製造した。
[実験例]
1.実験例1:高温(45℃)容量維持率及び抵抗増加率の測定
実施例1から7及び比較例1から3により製造されたリチウム二次電池に対して、200mA電流(0.1C rate)でフォーメーション(formation)を進行した後、このときの放電容量を初期容量に設定し、このとき測定された抵抗を初期抵抗に設定した。その後、4.2V、660mA(0.33C、0.05C カットオフ(cut-off))CC/CV充電と2.5V、660mA(0.33C)CC放電を高温(45℃)でそれぞれ200回行ってから放電容量と抵抗を測定した。このとき測定された200回目の放電容量と初期容量を比較して容量維持率を計算しており、このとき測定された抵抗と初期抵抗を比較して抵抗増加率を計算し、その結果を表1に示した。
Figure 0007226891000026
前記表1を参照すれば、実施例によって製造されたリチウム二次電池の容量維持率が比較例によって製造された二次電池に比べ全て高い一方、抵抗増加率は全て低いことが確認できる。
2.実験例2:高温(60℃)貯蔵特性の測定
実施例1から7及び比較例1から3により製造されたリチウム二次電池に対して、0.33C レート(rate)で4.2Vまで定電流/定電圧条件で充電及び0.05C カットオフ(cut off)充電を実施し、0.33C 2.5Vで放電した後の放電容量を初期容量に設定し、このときの抵抗を初期抵抗に設定した。次いで、0.33C レート(rate)で4.2Vまで定電流/定電圧条件充電及び0.05C カットオフ(cut off)充電を実施し、60℃で10週(10weeks)間保管した後の残存容量及び抵抗を測定した。このとき、測定された放電容量と初期容量を比較して容量維持率を計算しており、このとき、測定された抵抗と初期抵抗を比較して抵抗増加率を計算し、表2に示した。
Figure 0007226891000027
前記表2を参照すれば、実施例によって製造されたリチウム二次電池が比較例によって製造されたリチウム二次電池に比べ高温貯蔵時の残存容量維持率は高いながらも、抵抗増加率は低いことが確認できる。
3.実験例3:高温安全性の実験
実施例1から7及び比較例1から3により製造されたリチウム二次電池に対して、60℃の温度条件でSOC 100%状態(4.15V)で10週(10weeks)間高温貯蔵した。その後、10週後、初期(1週)に測定された電池の体積を基準に体積増加率を測定した。その結果を下記表3に示した。
Figure 0007226891000028
前記表3を参照すれば、実施例によって製造されたリチウム二次電池が比較例によって製造されたリチウム二次電池に比べ高温貯蔵時にも体積増加率が低いため、高温で長期間貯蔵する場合にも、電池の安全性がより優秀なことが確認できる。
4.実験例4:陰イオン安定化の評価
実施例1、2、3及び6で製造されたリチウム二次電池用電解質と比較例1から3で製造されたリチウム二次電池用電解質とをそれぞれ60℃で2週間保管した後、NMR分析装置(1H Bruker 700MHz NMR、溶媒テトラメチルシラン(TMS))を用いて電解質内のPOピークの積分値(integration value)を確認し、陰イオン安定化度を評価した。その結果を下記表4に示した。このとき、POピークの積分値(integration value)は、その数値が高いほどPF 陰イオンがさらに分解され、不安定であることを意味する。
Figure 0007226891000029
前記実施例1、2、3、6によって製造されたリチウム二次電池用電解質の場合、比較例1から3で製造されたリチウム二次電池用電解質に比べ陰イオン安定化度がより高いことが確認できる。

Claims (12)

  1. 下記化学式1で表される化合物を含む添加剤と、
    下記化学式2A又は2Bで表されるオリゴマーと、
    リチウム塩と、有機溶媒とを含み、
    前記リチウム塩は、LiPF 、LiBF 、LiSbF 、LiAsF 、LiClO 、LiN(C SO 、LiN(CF SO 、CF SO Li、LiC(CF SO 、LiC BO 、LiTFSI、LiFSI及びLiClO からなる群から選択される少なくとも一つ以上の化合物を含むリチウム二次電池用電解質:
    Figure 0007226891000030
    前記化学式1において、
    前記Rは、ハロゲン元素が置換又は非置換された炭素数1から5のアルキル基、ハロゲン元素が置換又は非置換された炭素数1から5のアルコキシ基、1から3の炭素数のアルキル基が置換又は非置換されたフェニル基及び1から5の炭素数のアルキル基が置換又は非置換されたアミン基からなる群から選択されるものであり、
    Figure 0007226891000031
    前記化学式2Aにおいて、
    前記R ’、R ’、R ’及びR ’は、それぞれ独立してフッ素元素、又はフッ素元素で置換又は非置換された炭素数1から3のアルキル基であり、
    前記R は、脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基であり、
    前記R は、フッ素元素で置換又は非置換された炭素数1から5のアルキレン基であり、
    前記R’は、水素又は炭素数1から3のアルキル基であり、
    前記oは、1から3の整数であり、
    前記p’は、1から50の整数であり、
    前記qは、1から15の整数であり、
    Figure 0007226891000032
    前記化学式2Bにおいて、
    前記R ’’、R ’’、R ’’及びR ’’は、それぞれ独立してフッ素元素、又はフッ素元素で置換又は非置換された炭素数1から3のアルキル基であり、
    前記R ’は、脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基であり、
    前記R ’は、フッ素元素で置換又は非置換された炭素数1から5のアルキレン基であり、
    前記rは、1から2の整数であり、
    前記r’は、1から3の整数であり、
    前記p’’は、1から50の整数であり、
    前記q’は、1から15の整数である。
  2. 前記化学式1で表される化合物は、下記化学式1Aから1Eで表される化合物からなる群から選択される少なくとも一つ以上のものである、請求項1に記載のリチウム二次電池用電解質:
    Figure 0007226891000033
    前記化学式1Aにおいて、前記nは0から4の整数である。
    Figure 0007226891000034
    前記化学式1Bにおいて、前記mは0から4の整数であり、前記X、X’及びX’’は、それぞれ独立して水素又はハロゲン元素のうち一つであり、少なくとも一つ以上はハロゲン元素である。
    Figure 0007226891000035
    前記化学式1Cにおいて、前記kは0から4の整数であり、前記Y、Y’及びY’’は、それぞれ独立して水素又はハロゲン元素のうち一つであり、少なくとも一つ以上はハロゲン元素である。
    Figure 0007226891000036
    前記化学式1Dにおいて、前記sは0から2の整数である。
    Figure 0007226891000037
    前記化学式1Eにおいて、前記R及びRは、それぞれ独立して、水素又は炭素数1から5のアルキル基である。
  3. 前記化学式1Aで表される化合物は、下記化学式1A-1から下記1A-3で表される化合物からなる群から選択される少なくとも一つ以上のものである、請求項2に記載のリチウム二次電池用電解質。
    Figure 0007226891000038
    Figure 0007226891000039
    Figure 0007226891000040
  4. 前記化学式1Bで表される化合物は、下記化学式1B-1で表される化合物のものである、請求項2に記載のリチウム二次電池用電解質。
    Figure 0007226891000041
  5. 前記化学式1Cで表される化合物は、下記化学式1C-1から1C-5で表される化合物からなる群から選択される少なくとも一つ以上のものである、請求項2に記載のリチウム二次電池用電解質。
    Figure 0007226891000042
    Figure 0007226891000043
    Figure 0007226891000044
    Figure 0007226891000045
    Figure 0007226891000046
  6. 前記化学式1Dで表される化合物は、下記化学式1D-1で表される化合物のものである、請求項2に記載のリチウム二次電池用電解質。
    Figure 0007226891000047
  7. 前記化学式1Eで表される化合物は、下記化学式1E-1で表される化合物のものである、請求項2に記載のリチウム二次電池用電解質。
    Figure 0007226891000048
  8. 前記化学式1で表される化合物は、前記リチウム二次電池用電解質100重量部に対して0.1重量部から5重量部で含まれるものである、請求項1から7の何れか一項に記載のリチウム二次電池用電解質。
  9. 前記化学式1で表される化合物は、前記リチウム二次電池用電解質100重量部に対して0.1重量部から3重量部で含まれるものである、請求項1から8の何れか一項に記載のリチウム二次電池用電解質。
  10. 前記オリゴマーは、前記リチウム二次電池用電解質100重量部に対して0.1重量部から5重量部で含まれるものである、請求項1からの何れか一項に記載のリチウム二次電池用電解質。
  11. 前記リチウム塩は、LiPF及びLiBFからなる群から選択される一つ以上を含むものである、請求項1から10の何れか一項に記載のリチウム二次電池用電解質。
  12. 正極と、負極と、セパレーターと、請求項1から11の何れか一項に記載のリチウム二次電池用電解質とを含むリチウム二次電池。
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