以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による車両制御装置について説明する。
まず、図1を参照して、本発明の実施形態による車両制御装置の構成について説明する。図1は、車両制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、車両制御装置100は、主に、ECU(Electronic Control Unit)などのコントローラ10と、複数の車載装置(センサ及びスイッチ)と、複数の制御装置と、を有する。この車両制御装置100は、車両1(図2参照)に搭載され、車両1の走行を支援するように種々の制御を行う。
複数のセンサ及びスイッチには、カメラ21、レーダ22、車両1の挙動を検出する複数の挙動センサ(車速センサ23、加速度センサ24、ヨーレートセンサ25)及び複数の挙動スイッチ(操舵角センサ26、アクセルセンサ27、ブレーキセンサ28)、測位装置29、ナビゲーション装置30、通信装置31、操作装置32、方向指示器33が含まれる。また、複数の制御装置には、エンジン制御装置51、ブレーキ制御装置52、ステアリング制御装置53、警報制御装置54が含まれる。
コントローラ10は、プロセッサ11、プロセッサ11が実行する各種プログラムを記憶するメモリ12、入出力装置等を備えたコンピュータ装置により構成される。コントローラ10は、上述した複数のセンサ及びスイッチから受け取った信号に基づき、エンジン制御装置51、ブレーキ制御装置52、ステアリング制御装置53、警報制御装置54に対して、それぞれエンジン装置、ブレーキ装置、ステアリング装置、警報装置を適宜に作動させるための制御信号を出力可能に構成されている。特に、本実施形態では、コントローラ10は、コントローラ10が搭載された車両1と、車両1の周辺の所定の対象物(例えば、対向車両や先行車両や歩行者や障害物など)との衝突を回避するように、ブレーキ制御装置52を介してブレーキ装置を制御することで、車両1を自動で制動させる、つまり自動ブレーキを作動させるよう構成されている。
カメラ21は、車両1の周囲(典型的には車両1の前方)を撮影し、画像データを出力する。コントローラ10は、カメラ21から受信した画像データに基づいて、種々の対象物を特定する。例えば、コントローラ10は、先行車両、駐車車両、歩行者、走行路、区画線(中央線、車線境界線、白線、黄線)、交通信号、交通標識、停止線、交差点、障害物などを特定する。また、コントローラ10は、画像データに基づいて、対象物の属性又は車両種類(普通車両、大型車両、自動二輪車等)を特定する。
レーダ22は、車両1の周囲(典型的には車両1の前方)に存在する種々の対象物の位置及び速度を測定する。例えば、レーダ22は、先行車両、対向車両、駐車車両、歩行者、走行路上の落下物などの位置及び速度を測定する。レーダ22として、例えばミリ波レーダを用いることができる。このレーダ22は、車両1の進行方向に電波を送信し、対象物により送信波が反射されて生じた反射波を受信する。そして、レーダ22は、送信波と受信波に基づいて、車両1と対象物との間の距離(例えば車間距離)や、車両1に対する対象物の相対速度を測定する。
なお、レーダ22としてミリ波レーダの代わりにレーザレーダを用いてもよいし、また、レーダ22の代わりに超音波センサなどを用いてもよい。更に、複数のセンサ類を組み合わせて用いて、対象物の位置及び速度を測定してもよい。
車速センサ23は、車両1の速度(車速)を検出し、加速度センサ24は、車両1の加速度を検出し、ヨーレートセンサ25は、車両1に発生するヨーレートを検出し、操舵角センサ26は、車両1のステアリングホイールの回転角度(操舵角)を検出し、アクセルセンサ27は、アクセルペダルの踏み込み量を検出し、ブレーキセンサ28は、ブレーキペダルの踏み込み量を検出する。コントローラ10は、車速センサ23により検出された車両1の速度とレーダ22により検出された対象物の相対速度とに基づいて、対象物の速度を算出することができる。
測位装置29は、GPS受信機及び/又はジャイロセンサを含み、車両1の位置(現在車両位置情報)を検出する。ナビゲーション装置30は、内部に地図情報を格納しており、コントローラ10に地図情報を提供することができる。コントローラ10は、地図情報及び現在車両位置情報に基づいて、車両1の周囲(特に進行方向)に存在する道路、交差点、交通信号、建造物などを特定する。地図情報は、コントローラ10内に格納されていてもよい。
通信装置31は、車両1の周辺の他車両と車車間通信を行うと共に、車両1の周辺に設置された路側通信装置と路車間通信を行う。通信装置31は、このような車車間通信及び路車間通信により、他車両からの通信データ、及び交通インフラからの交通データ(交通渋滞情報、制限速度情報など)を取得し、これらのデータをコントローラ10に出力する。
操作装置32は、車室内に設けられており、車両1に関する種々の設定を行うためにドライバにより操作される入力装置である。操作装置32は、例えば、インストルメントパネル、ダッシュパネル、センターコンソールに設けられたスイッチ、ボタンや、表示装置に設けられたタッチパネルなどであり、ドライバの操作に対応する操作信号をコントローラ10に出力する。本実施形態では、操作装置32は、車両1の走行を支援する制御のオン/オフの切り替えや、車両1の走行を支援する制御内容の調整を行えるように構成されている。例えば、ドライバが操作装置32を操作することで、車両1と対象物との衝突を回避するための自動ブレーキのオン/オフの切り替えや、自動ブレーキに関する種々の設定や、車両1と対象物との衝突を回避するための警報タイミングの設定や、車両1と対象物との衝突を回避するためにステアリングホイールを振動させる制御のオン/オフの切り替えなどを行えるようになっている。
方向指示器33は、車両1を右折又は左折させる際に、乗員が右方向又は左方向のいずれかの方向に操作することにより、乗員及び車両1の外部に向けて車両1の旋回方向を指示するように構成されている。この操作により、右折又は左折を表す信号がコントローラ10に出力される。
なお、カメラ21、レーダ22及び通信装置31の1つ又はこれらの組合せは、車両1に接近する対向車両を検出するための本発明における「対向車両検出センサ」の一例に相当する。また、「対向車両検出センサ」が車速センサ23を含んでもよい。
エンジン制御装置51は、車両1のエンジンを制御する。エンジン制御装置51は、エンジン出力(駆動力)を調整可能な構成部であり、例えば、点火プラグや、燃料噴射弁や、スロットルバルブや、吸排気弁の開閉時期を変化させる可変動弁機構などを含む。コントローラ10は、車両1を加速又は減速させる必要がある場合に、エンジン制御装置51に対して、エンジン出力を変更するために制御信号を送信する。
ブレーキ制御装置52は、車両1のブレーキ装置を制御する。ブレーキ制御装置52は、ブレーキ装置による制動力を調整可能な構成部であり、例えば液圧ポンプやバルブユニットなどのブレーキアクチュエータを含む。コントローラ10は、車両1を減速させる必要がある場合に、ブレーキ制御装置52に対して、制動力を発生させるために制御信号を送信する。
ステアリング制御装置53は、車両1のステアリング装置を制御する。ステアリング制御装置53は、車両1の操舵角を調整可能な構成部であり、例えば電動パワーステアリングシステムの電動モータなどを含む。コントローラ10は、車両1の進行方向を変更する必要がある場合に、ステアリング制御装置53に対して、操舵方向を変更するために制御信号を送信する。
警報制御装置54は、ドライバに対して所定の警報を発することが可能な警報装置を制御する。この警報装置は、車両1に設けられた表示装置やスピーカなどである。例えば、コントローラ10は、車両1が対象物に衝突する可能性が高くなると、警報装置から警報が発せられるように、警報制御装置54に対して制御信号を送信する。この例では、コントローラ10は、対象物との衝突可能性が高いことを報知するための画像を表示装置に表示させたり、対象物との衝突可能性が高いことを報知するための音声をスピーカから出力させたりする。
次に、図2~図4を参照して、本発明の実施形態による走行支援制御について説明する。走行支援制御は、衝突判定制御と衝突回避制御を含む。具体的には、本実施形態では、コントローラ10は、車両1が対向車線を横断するときに、車両1が対向車線を走行する対向車両と衝突するか否かを判定し(衝突判定制御)、衝突を回避するように警報装置の作動や自動ブレーキの作動を実行する(衝突回避制御)。対向車線は、車両1が走行する走行車線と隣接して走行車線に沿って延びる車線である。コントローラ10は、車両1の進行方向と逆方向に所定速度以上(例えば、6km/h)で走行する車両を、対向車両2として特定する。
なお、本実施形態は、乗員が自らアクセルやステアリングホイールを用いて車両1を運転する場合について説明しているが、本実施形態の走行支援制御は、車両1が自動運転制御(自動速度制御及び/又は自動操舵制御)される場合にも実行される。よって、自動運転制御の実行中に、下記に説明する車両1についての予測軌跡の計算処理等も実行される。また、自動運転制御において、車両1の走行経路が予め決定されている場合(例えば、先行車を追従する走行経路や、目的地までの走行経路)、この走行経路を車両1の予測軌跡の計算処理に利用するように構成することができる。
まず、図2を参照して、走行支援制御が適用される状況について説明する。図2は、走行支援制御の説明図である。図2において、車両1は、交差点Cを右折して対向車線4bを横断しようとしている。
交差点Cは、走行路4,5が交わる十字路である。走行路4,5は、それぞれ2車線を有する。走行路4は、車両1が走行している走行車線4aと、対向車両2が走行している対向車線4bとを含む。対向車線4bは、走行車線4aと隣接して走行車線4aに沿って延びている。図2では、走行路4,5が左側通行に設定されているので、走行車線4aの右側に対向車線4bが存在している。走行路4において、走行車線4aと対向車線4bとの間には、交差点C付近を除いて、中央線(区画線)CL1,CL2が引かれている。
本実施形態では、コントローラ10は、カメラ21から受け取った車両1の周囲の画像データに基づいて、走行路4,5の各車線(例えば、走行車線4a,対向車線4b)の両側の区画線を特定する。コントローラ10は、車両1に対する走行路4上の中央線CL1,CL2の位置を特定する。また、コントローラ10は、交差点C内に仮想中央線CL3を設定する。具体的には、コントローラ10は、交差点Cを挟んで車両1の側にある中央線CL1と、対向車両2の側にある中央線CL2とを結ぶことにより、仮想中央線CL3を設定する。より詳しくは、コントローラ10は、中央線CL1の端点と中央線CL2の端点とを直線により接続することにより、仮想中央線CL3を設定する。また、コントローラ10は、中央線CL1又は中央線CL2を延長することにより、交差点C内に仮想中央線CL3を設定してもよい。また、対向車線4bの区画線(図2において右側の区画線)も交差点Cで途切れている。コントローラ10は、仮想中央線CL3と同様に、両側の区画線を接続するように仮想中央線CL3と平行に、対向車線4bの仮想境界線ELを設定する。
図2において、車両1及び対向車両2が交差点Cに進入しようとしており、車両1と対向車両2は互いに接近しつつある。コントローラ10は、カメラ21から受け取った対向車両2の画像データと、レーダ22から受け取った対向車両2の位置及び速度データとに基づいて、上面視で対向車両2が通過すると予測される領域を走行路4上に帯状領域6として設定する。
コントローラ10は、少なくとも対向車両2の現在位置から、中央線CL1,CL2又は走行路4に沿って、これらと平行に延びるように、帯状領域6を設定する。まず、コントローラ10は、画像データ、及び位置及び速度データに基づいて、対向車両2の基準点を特定する。この基準点は、対向車両2の前端における車幅方向の端点(角部)のうち、走行車線4aにより近い近位側(右側)の端点2faである。コントローラ10は、この基準点(2fa)から中央線CL1,CL2,CL3に沿って対向車両2の前方に延びる境界線6a(第1境界線)を設定する。
なお、本実施形態において、走行路4は左側通行道路であり、車両1において、「近位側」とは対向車線4bに近い右側であり、「遠位側」とは対向車線4bから遠い左側である。また、対向車両2において、「近位側」とは走行車線4aに近い右側であり、「遠位側」とは走行車線4aから遠い左側である。また、走行路が右側通行道路の場合は、「近位側」及び「遠位側」は上記と逆側になる。
また、本実施形態において、車両1及び対向車両2は、上面視で略矩形と見なすことができるので、前端及び後端にそれぞれ2つの角部(端点)を有する。対向車両2は、前端において、近位側の端点2fa及び遠位側の端点2fbを有し、後端において、近位側の端点2ra及び遠位側の端点2rbを有する。同様に、車両1は、前端において、近位側の端点1fa及び遠位側の端点1fbを有し、後端において、近位側の端点1ra及び遠位側の端点1rbを有する。
さらに、コントローラ10は、境界線6aを対向車両2の車幅に対応する所定長さだけ、走行車線4aから離れる方向へ平行移動させることにより、境界線6b(第2境界線)を設定する。これにより、境界線6aと境界線6bの間に帯状領域6が設定される。
平行移動の距離(すなわち、帯状領域6の幅)は、対向車両2の車幅である。コントローラ10は、画像データから特定された対向車両2の車種(属性)に応じて、対向車両2の車幅を決定する。メモリ12内には車種と車両寸法(車幅,車長等)の対応関係を示すテーブルが記憶されており、コントローラ10は、このテーブルを用いて、画像データから特定した車種に対応する車幅を決定する。
このテーブルでは、例えば、普通車両の車幅は1.8mである。また、このテーブルでは、例えば、普通車両の車長は5m,大型車両の車長は10m,自動二輪車の車長は2.5mである。なお、コントローラ10は、テーブルを用いずに、対向車両2の車幅を画像データから直接推定してもよい。
また、代替的に、コントローラ10は、画像データに基づいて、対向車両2の前端の遠位側(左側)の端点2fbを第2の基準点として特定し、この第2の基準点から中央線に沿って対向車両2の前方に延びる境界線6bを設定してもよい。
しかしながら、交差点C付近において、車両1から対向車両2の近位側の端点2faは検出し易いが、遠位側の端点2fbは検出し難い場合がある(例えば、対向車両2に対して車両1が斜めの位置関係にある場合)。したがって、遠位側の端点2fbを特定して境界線6bを設定するよりも、境界線6aを平行移動させることにより境界線6bを設定する方が、より高い位置精度で境界線6bを設定することができる。
さらに、対向車両2のドアミラーを考慮して、境界線6a,6bを所定長さ(例えば、0.1m)だけ横方向の両側において外側に平行移動させてもよい。
また、代替的に、帯状領域6は中央線と平行でなくてもよく、対向車両2の横方向速度に応じて、中央線に対して斜め方向に延びていてもよい。この場合、コントローラ10は、レーダ22から受け取った速度データや車速センサ23から受け取った車両1の速度データに基づいて、対向車両2の縦方向速度(走行路4の延びる方向の速度)と横方向速度(対向車両2の車幅方向の速度)をそれぞれ算出し、中央線の延びる方向と対向車両2の進行方向との間の角度を算出することができる。
次に、図3を参照して、車両1の走行軌跡推定の概要について説明する。図3は、走行軌跡推定の説明図である。コントローラ10は、車両1の基準点の予測移動軌跡(第1軌跡)R1を推定する。この基準点は、車両1の前端における近位側(右側)の端点1faである。
図3において、車両1は交差点Cを速度V1で右折中である。車両1は等加速度運動で走行すると仮定される。走行路4の延びる方向をx方向、x方向と直交する方向をy方向とする。x方向に対して車両1の向き(ヨー角)はθ度である。車両1のすべり角はβ度である。図3の時点(t=0)におけるx方向の速度VX0,y方向の速度VY0はそれぞれ以下の式で表される。
VX0=V1・cos(θ+β)
VY0=V1・sin(θ+β)
また、車両1のx方向の加速度ax,y方向の加速度ayは以下の式で近似することができる。
ax=縦加速度±舵角速度による補正値
ay=横加速度±舵角速度による補正値
なお、加速度ax,ayでは、計算の簡略化のためヨー角やすべり角を考慮していないが、これらを考慮してもよい。また、舵角速度による補正値は、ステアリングホイールの操作による舵角の増加速度又は減少速度を考慮した補正値である。
したがって、この等加速度運動モデルにおいて、現在位置(時間t=0)に対する車両1の時間tにおけるx方向位置PX(t),y方向位置PY(t)は以下の式で表される。すなわち、車両1の第1軌跡R1は、算出された車両1のy方向の速度及び加速度を用いて、以下の式により表される。
PX(t)=Vx0・t+aX・t2/2
PY(t)=VY0・t+aY・t2/2
車両1(より正確には端点1faでもよい)から境界線6a,境界線6b,仮想中央線CL3,仮想境界線ELまでのy方向の距離をそれぞれLa,Lb,L0,L1とする。距離La,Lb,L0,L1は、画像データ等に基づいて算出される。端点1faが境界線6a,境界線6b,仮想中央線CL3,仮想境界線ELに到達する予測時間を、時間tA,tB,t0,t1とする。距離La,Lb,L0,L1は、時間tA,tB,t0,t1を用いて、それぞれ以下の式で表される。
La=VY0・tA+aY・tA2/2
Lb=VY0・tB+aY・tB2/2
L0=VY0・t0+aY・t02/2
L1=VY0・t1+aY・t12/2
コントローラ10は、上式より時間tA,tB,t0,t1を算出することができる。このようにして、コントローラ10は、第1軌跡R1に基づいて、車両1が帯状領域6に到達する時間tA、車両1が帯状領域6を脱する時間tB、車両1が仮想中央線CL3に達する時間t0、車両1が仮想境界線ELに達する時間t1を計算することができる。
なお、車両1の後端の近位側(右側)の端点1raが境界線6bに達する予測時間を、時間tBに用いてもよい。この場合、時間tBにおいて、車両1の全体が帯状領域6を脱するので、このような予測時間を用いることは、車両1と対向車両2との衝突回避のためにより好ましい。また、車両1の端点1raが仮想境界線ELに達する予測時間を、時間t1に用いてもよい。この場合、時間t1において、車両1の全体が対向車線4bを脱するので、このような予測時間を用いることは、車両1と対向車両2との衝突回避のためにより好ましい。
また、コントローラ10は、時間tA,tB,t0,t1における第1軌跡R1上の位置P1A(PX(tA),PY(tA)),P1B(PX(tB),PY(tB)),P0(PX(t0),PY(t0)),P1(PX(t1),PY(t1))を算出する。位置P1A,P1B,P0,P1は、それぞれ第1軌跡R1と境界線6a,境界線6b,仮想中央線CL3,仮想境界線ELとの交点である。
なお、速度V1は、車速センサ23の速度データから算出することができる。縦加速度,横加速度は、加速度センサ24の加速度データから算出することができる。ヨー角θは、例えば、ヨーレートセンサ25のヨーレートデータを積算することにより算出してもよいし、測位装置29からの地図データ及び方位データから算出してもよい。すべり角βは、操舵角データ,横加速度データ,ヨーレートデータ,速度データ等に基づいて算出することができる。
また、代替的に、車両1が等速円運動で走行すると仮定した運動モデルに基づいて第1軌跡R1を算出してもよい。等速円運動モデルでは、交差点Cにおいて、車両1が定常円旋回(速度V1,旋回半径r)を行っていると仮定される。コントローラ10は、センサデータ(車速センサ23の速度データ、操舵角センサ26の操舵角データ、加速度センサ24の加速度データ(特に、車両1の横方向の横加速度)等)等に基づいて、車両1の速度V1、旋回半径r、円運動の回転中心点の位置を算出する。コントローラ10は、これらの値により特定される円弧軌跡を用いて、円弧軌跡上の端点1faの所定時間毎の位置を示す予測移動軌跡(第1軌跡R1)を算出する。
コントローラ10は、第1軌跡R1に基づいて、時間tA,tB,t0,t1、並びに、時間tA,tB,t0,t1における第1軌跡R1上の位置P1A,P1B,P0,P1を算出することができる。また、上述のように、時間tB,t1は、車両1の後端の近位側(右側)の端点1raがそれぞれ境界線6b,仮想境界線ELに達する予測時間として算出してもよい。
また、コントローラ10は、対向車両2の走行軌跡(第2軌跡)R2を推定する。本実施形態では、第2軌跡R2は、対向車両2の基準点の予測移動軌跡である(図2参照)。基準点は、対向車両2の前端の近位側の端点2faである。まず、コントローラ10は、対向車両2が速度(絶対速度)V2で境界線6a上を等速運動すると仮定して、時間tA,tBにおける端点2faの予測位置P2A,P2Bを算出する。端点2faは、以下の式に示すように、現在時間(t=0)から時間tA,tBが経過する間に、それぞれ距離L2a,L2bだけ移動する。これにより、時間tA,tBにおける対向車両2の端点2faの境界線6a上での位置P2A,P2Bをそれぞれ算出することができる。
L2a=V2×tA
L2b=V2×tB
なお、対向車両2の速度V2は、レーダ22の速度データ及び車速センサ23の速度データから算出することができる。
さらに、時間tAにおける対向車両2の後端の端点2raの位置P20は、前端の端点2faの位置P2Aから対向車両2の車長L2だけ、対向車両2の近くに位置する。このため、コントローラ10は、特定した対向車両2の属性に応じて、メモリ12に記憶されたテーブルを用いて、対向車両2の車長L2を決定する。そして、コントローラ10は、移動距離L2aから車長L2を差し引いて、境界線6a上の位置P20を算出する。これにより、コントローラ10は、第2軌跡R2を設定する。すなわち、第2軌跡R2は、境界線6a上において、第1端部である位置P20から、位置P20より対向車両2の遠位に位置する第2端部である位置P2Bまで延びている。第2軌跡R2は、車両1が帯状領域6を通過する間に対向車両2が存在する境界線6a上での範囲である。なお、本実施形態では、第1軌跡R1,第2軌跡R2を、各車両の前端の右側端点の予測軌跡上に設定しているが、これに限らず、各車両の前端の中央位置の点や重心位置の点の予測軌跡上に設定してもよい。
また、コントローラ10は、第1軌跡R1と第2軌跡R2に基づいて、車両1が対向車両2に対して衝突するか否かを判定する(衝突判定制御)。具体的には、コントローラ10は、第1軌跡R1と第2軌跡R2が上面視で走行路4上において互いに重なる場合に、車両1が対向車両2と衝突する可能性が高いと判定する。すなわち、車両1の少なくとも一部が帯状領域6内に存在する間(時間tA~時間tB)の対向車両2の第2軌跡R2が、車両1の第1軌跡R1と交差するとき、コントローラ10は、衝突可能性が高いと判定する。
一般に、交差点での衝突事故は、対向車線を横断する車両(図2の車両1)が対向車線に進入したときに、車両の近位側(右側)の前側角部(端点1fa)が、対向車両の近位側側面(右側側面)又は前端に衝突する場合が多い。このため、本実施形態では、第1軌跡R1が車両1の前端の近位側の端点1faの予測移動軌跡に設定され、第2軌跡R2が対向車両2の前端の近位側の端点2faの予測移動軌跡に設定されている。そして、本実施形態では、衝突し易い部位(端点1fa,端点2fa)の軌跡が交差する場合に、車両1と対向車両2との衝突が発生すると判定される。したがって、本実施形態では、車両1の少なくとも一部が対向車線4b内に存在するが車両1が第2軌跡R2を横切っていない状況では、衝突が発生すると判定されない。これにより、本実施形態では、不必要な衝突判定を排除して、衝突判定の精度を向上させることができる。
コントローラ10は、衝突可能性が高い場合、車両1が仮想中央線CL3を越えない所定位置で停止するように、車両1に制動力を付与する(衝突回避制御)。具体的には、コントローラ10は、衝突可能性が高い状態において、予測時間t0が所定の閾値時間Tb(例えば、1.5秒)以下であるとき(t0≦Tb)、自動ブレーキを作動させる。すなわち、コントローラ10は、車両1(特定的には、近位側の端点1fa)が仮想中央線CL3を越えないように、ブレーキ制御装置52に制御信号を送信して、ブレーキ装置に制動力を発生させる。これにより、車両1と対向車両2との間の衝突を回避することができる。また、車両1は仮想中央線CL3を越えることなく停止するので、車両1が対向車両2の後続車と衝突することも防止することができる。
また、コントローラ10は、以下の付加的な衝突回避制御を実行してもよい。すなわち、コントローラ10は、予測時間t0が別の閾値時間Ta(例えば、3秒)以下であるとき(t0≦Ta、Ta>Tb)、警報制御装置54に制御信号を送信するように制御してもよい。警報制御装置54は、警報装置を用いて乗員に対して警報を発する。これにより、乗員は、対向車両2との衝突可能性があることを認識し、自らブレーキ操作を行って衝突を回避することができる。
次に、図4を参照して、走行支援制御の処理の流れについて説明する。図4は、走行支援制御のフローチャートである。このフローチャートに係る処理は、コントローラ10によって所定の周期(例えば100ms毎)で繰り返し実行される。
まず、ステップS101において、コントローラ10は、上述した複数のセンサ及びスイッチから各種情報を取得する。具体的には、コントローラ10は、カメラ21、レーダ22、車速センサ23、加速度センサ24、ヨーレートセンサ25、操舵角センサ26、アクセルセンサ27、ブレーキセンサ28、測位装置29、ナビゲーション装置30、通信装置31、操作装置32から入力された測定データを取得する。
また、コントローラ10は、取得した各種情報に基づいて、車両1の現在位置や車両挙動(速度、加速度、進行方向等)を特定すると共に、周囲の交通状況を特定する。さらに、コントローラ10は、メモリ12に記憶された車両1の寸法データを用いて、車両1の4つの端点(1fa等)の位置を特定することができる。交通状況には、走行車線及び対向車線の境界線の位置,対向車線上の物標の位置や挙動が含まれる。また、コントローラ10は、画像データとメモリ12内のテーブルとを用いて、検出された物標(移動体)の属性を特定する。図2の例では、移動体である対向車両2が「普通車両」と特定され、その位置、速度、進行方向等が特定される。
次いで、ステップS102において、コントローラ10は、取得した画像データ等を用いて、区画線が引かれていない区間(例えば、交差点内)には、仮想区画線(仮想境界線,仮想中央線)を設定する。図2の例では、コントローラ10は、ステップS101で特定した中央線CL1,CL2に基づいて、仮想中央線CL3及び仮想境界線ELを設定する。
次いで、ステップS103において、コントローラ10は、対向車両が対向車線上で走行を継続するか否かを判定する。具体的には、コントローラ10は、検出された移動体の属性が「普通車両」,「大型車両」,「自動二輪車」のような車両であり、且つ、移動体の進行方向が車両1の進行方向と逆方向であり、且つ、移動体の速度(絶対値)が所定値(例えば、25km/h)以上であり、且つ、移動体の横方向速度(対向車線の延びる方向と直交する方向の速度)が所定値(例えば、3.5m/s)以下である場合に、対向車両が対向車線上を継続的に走行すると判定する。すなわち、このような移動体(対向車両)は、交差点がある場合であっても、交差点で曲がることなくまっすぐに走行すると判定される。図2の例では、コントローラ10は、対向車両2が交差点Cを曲がることなく、対向車線4b上で走行を継続すると判定する。
対向車線上を継続的に走行する対向車両が存在しない場合(S103;No)、衝突可能性がある移動体が存在しないので、コントローラ10は処理を終了する。一方、このような対向車両が存在する場合(S103;Yes)、ステップS104において、コントローラ10は帯状領域を設定する。図2の例では、コントローラ10は、対向車線4b上に帯状領域6を設定する。
次いで、ステップS105,S106において、コントローラ10は、第1軌跡,第2軌跡を設定する。図2の例では、コントローラ10は、車両1の第1軌跡R1,対向車両2の第2軌跡R2を設定する。
次いで、ステップS107において、コントローラ10は、第1軌跡と第2軌跡が重なるか否かを判定する。すなわち、コントローラ10は、車両1と移動体とが衝突又は接触する可能性があるか否かを判定する。図2の例では、第1軌跡R1と第2軌跡R2とが重なるので、コントローラ10は、車両1と対向車両2とが衝突すると判定する。本実施形態では、ステップS101~S107の処理が衝突判定制御に相当する。
衝突可能性がない場合(S107;No)、コントローラ10は処理を終了する。一方、衝突可能性がある場合(S107;Yes)、コントローラ10は、ステップS108において、車両1が対向車線を横断する可能性が高いか否かを判定する。具体的には、コントローラ10は、対向車線を横断する方向(予め設定された方向)と、方向指示器33が操作された方向、及び/又は、ステアリングホイールが操作されている方向(例えば、操舵角センサ26による操舵角が5度以上)を比較し、これらが一致する場合、車両1が対向車線を横断する可能性が高いと判定する。また、車両1が自動運転制御されているときには、コントローラ10は、対向車線を横断する方向と、ナビゲーション装置30に予め設定された走行経路における旋回方向とを比較し、これらが一致する場合、車両1が対向車線を横断する可能性が高いと判定してもよい。図2の例では、方向指示器33が右方向へ操作され、及び/又は、右方向へ操舵されている場合、車両1が対向車線4bを横断すると判定される。また、代替的に、コントローラ10は、ナビゲーション装置30に予め設定された車両1の走行経路に基づいて、車両1が対向車線を横断するか否かが判定される。
車両1が対向車線を横断する可能性が低い場合(S108;No)、コントローラ10は処理を終了する。一方、車両1が対向車線を横断する可能性が高い場合(S108;Yes)、コントローラ10は、ステップS109において、車両1が中央線(又は仮想中央線)に到達する予測時間を計算する。図2の例では、時間t0に車両1は仮想中央線CL3に到達する。
次いで、ステップS110において、コントローラ10は、予測到達時間が所定の閾値時間以下であるか否かを判定する。図2の例では、時間t0が閾値時間Tb(例えば、1.5秒)以下か否かが判定される。予測到達時間が閾値時間より大きい場合(S110;No)、コントローラ10は処理を終了する。一方、予測到達時間が閾値時間以下の場合(S110;Yes)、コントローラ10は、中央線(又は仮想中央線)に到達する前に車両1を停止させるように、ブレーキ制御装置52に制御信号を出力する。図2の例では、時間t0が閾値時間Tb以下であると、コントローラ10は、仮想中央線CL3の位置で停止するように、ブレーキ制御装置52を制御する。本実施形態では、ステップS108~S111の処理が衝突回避制御(自動ブレーキ制御)に相当する。
次に、図5を参照して、本発明の第2の実施形態による走行支援制御について説明する。図5は、図2と同様な走行支援制御の説明図である。以下では、理解の容易のため上記実施形態との相違点について主に説明し、重複する説明は省略する。
第2の実施形態において、衝突判定処理は、車両1及び対向車両2の車幅が考慮されるように構成されている。このため、第2の実施形態では、図5に示すように、車両1の第1軌跡R11,対向車両2の第2軌跡R12が、図2に示すような線状の軌跡ではなく、それぞれ幅を持った帯状の軌跡として設定される。
具体的には、第1軌跡R11は、車両1が上面視で通過すると予測される走行路4,5上の領域である。第1軌跡R11は、第1近位軌跡R11aと第1遠位軌跡R11bとの間に設定される。第1近位軌跡R11aは、図2の第1軌跡R1と同一であり、車両1の前端の近位側(右側)の端点1faの予測軌跡である。第1遠位軌跡R11bは、遠位側(左側)の端点1fbの予測軌跡である。したがって、第1軌跡R11は、図2の第1軌跡R1を車両1の車幅分だけ左側に拡大した帯状の領域に相当する。第1遠位軌跡R11bは、端点1fbの移動軌跡として、第1軌跡R1(又は第1近位軌跡R11a)と同様な計算手順により算出してもよいし、第1軌跡R1から車両1の車幅分だけ旋回中心の外側に設定してもよい。
また、第2軌跡R12は、帯状領域6内に設定される。第2軌跡R12は、対向車両2が時間tAから時間tBの間に存在すると予測される領域である。第2軌跡R12は、第2近位軌跡R12aと第2遠位軌跡R12bとの間に設定される。第2近位軌跡R12aは、図2の第2軌跡R2と同一であり、対向車両2の前端の近位側(右側)の端点2faの予測軌跡である。第2遠位軌跡R12bは、遠位側(左側)の端点2fbの予測軌跡である。したがって、第2軌跡R12は、図2の第2軌跡R2を対向車両2の車幅分だけ左側に拡大した帯状の領域に相当する。第2遠位軌跡R12bは、端点2fbの移動軌跡として、第2軌跡R2(又は第2近位軌跡R12a)と同様な計算手順により算出してもよいし、第2軌跡R2から対向車両2の車幅分だけ平行移動することにより設定してもよい。
したがって、第2の実施形態では、図4のステップS105,S106において、図5に示す第1軌跡R11,第2軌跡R12のような、車両1,対向車両2の車幅を考慮した領域である第1軌跡,第2軌跡が設定される。また、第2の実施形態では、図4のステップS107において、幅を有する第1軌跡と第2軌跡が重なる場合に、衝突可能性があると判定される(S107;Yes)。
第2の実施形態のように、車両1の車幅及び対向車両の車幅を考慮することにより、より衝突判定の精度を高めることができる。すなわち、車両1の帯状領域6への進入時(t=tA)及び退出時(t=tB)において、車両1の遠位側の端点1fb又は遠位側の側面(左側側面)と、対向車両2の前端が衝突する場合を衝突判定に確実に含めることができる。
なお、上記実施形態では、車両1は、内燃機関を駆動源として有している車両であるが、これに限らず、車両1は、電気自動車(EV)、電動モータと内燃機関の両方を備えたハイブリッド車であってもよい。
以下に本発明の実施形態による車両制御装置100の作用について説明する。
本実施形態において、車両1の走行を支援する車両制御装置100は、車両1の走行車線4aに隣接する対向車線4bを走行している対向車両2を検出するように構成された対向車両検出センサ(カメラ21,レーダ22,通信装置31)と、車両1が対向車線4bを横断するときに、車両1と対向車両2との衝突を回避するための衝突回避制御(S108~S111)を実行するように構成されたコントローラ10と、を備え、コントローラ10は、少なくとも対向車両2の前方に向けて延びる走行路4上の帯状領域6であって、この帯状領域6の幅が対向車両2の車幅に相当する長さを有する、帯状領域6を設定し、車両1が帯状領域6を横断する横断期間中(時間tA~時間tB)の車両1の走行軌跡を含む第1軌跡R1(又はR11)を推定すると共に、横断期間中の対向車両2の走行軌跡である第2軌跡R2(又はR12)を推定し、第1軌跡R1(又はR11)と第2軌跡R2(又はR12)が重なる場合に、衝突回避制御を実行するように構成されている。
このように構成された本実施形態では、衝突判定において、車両1の走行軌跡である第1軌跡R1(又はR11)と対向車両2の走行軌跡である第2軌跡R2(又はR12)とが用いられる。そして、第1軌跡R1(又はR11)と第2軌跡R2(又はR12)とが重なる場合に、車両1と対向車両2とが衝突すると判定され、衝突回避制御が実行される。これら2つの走行軌跡のうち、第2軌跡R2(又はR12)は、対向車両2が通過すると予想される帯状領域6を車両1が横断する期間(時間tA~tB)における対向車両2の走行軌跡である。したがって、本実施形態では、車両1が帯状領域6内に存在しない期間(すなわち、車両1が対向車両2と衝突し得ない期間)における衝突判定を排除することができる。これにより、本実施形態では、衝突判定の精度を向上させると共に、不必要な衝突判定に起因する衝突回避制御の実行による操作性の低下を排除することができる。
また、本実施形態において好ましくは、対向車両検出センサは、カメラ21,レーダ22,及び通信装置31の1つ又は2つ以上の組合せである。また、「対向車両検出センサ」が車速センサ23を含んでもよい。対向車両検出センサにより、少なくとも対向車両2の速度情報及び位置情報が検出される。さらに、好ましくは、対向車検出センサは、走行車線4a及び対向車線4bを含む走行路4を特定するための走行路情報を検出する。走行路情報に基づいて、例えば、走行路4の区画線(中央線)が特定される。
また、本実施形態において好ましくは、帯状領域6は、互いに離間する第1境界線6aと第2境界線6bとの間に設定されており、コントローラ10は、対向車両2の前端における車幅方向の2つの端点のうち、走行車線4aにより近い近位端点2faが通過する予測軌跡を推定し、この予測軌跡を第1境界線6aに設定し、第1境界線6aを平行移動することにより第2境界線6bを設定する。
対向車両2の前端における車幅方向の2つの端点のうち、車両1に対して遠位に位置する遠位端点2fbは、近位端点2faよりも位置検出精度が低くなってしまう。しかしながら、本実施形態では、位置検出精度がより高い近位端点2faに基づいて推定した第1境界線6aを基準線として、これを平行移動させることによって、第2境界線6bが設定される。これにより、本実施形態では、簡易且つ高い位置精度で第2境界線6bを設定することができる。
また、本実施形態において好ましくは、第2軌跡R2(又はR12)は、第1端部(位置P20)から、第1端部より対向車両2の遠位側の第2端部(位置P2B)まで延びており、コントローラ10は、車両1が帯状領域6に到達する予測時間tAにおける対向車両2の端点2faの位置P2Aを、対向車両2に向けて対向車両2の車長L2だけずらした位置P20を、第2軌跡R2(又はR12)の第1端部に設定する。
このように構成された本実施形態では、第2軌跡R2(又はR12)の範囲を対向車両2の進行方向とは逆の方向へ延ばすことにより、対向車両2の車長L2を考慮することができる。これにより、本実施形態では、車両1が帯状領域6内に進入する際に、車両1が対向車両2の車体側面に衝突することを防止することができる。
また、本実施形態において好ましくは、対向車両2の車長L2は、対向車両2の種類に応じて設定される。カメラ画像データやレーダ測定データに基づいて、対向車両2の後端位置を高い精度で検出することは難しい場合がある。このため、対向車両2の車長L2の検出精度は比較的低くなる。そこで、本実施形態では、対向車両2の種類(普通車両,大型車両,自動二輪車等)に応じて、長さを予め設定しておき、これらの設定長さを車長L2として用いることにより、簡易且つ比較的高い精度で対向車両2の車長L2を推定することができる。
また、本実施形態において好ましくは、コントローラ10は、第1軌跡R11を車両1の幅に相当する幅を有する帯状の領域として算出し、第2軌跡R12を対向車両2の幅に相当する幅を有する帯状の領域として算出する。
このように構成された本実施形態では、第1軌跡R11及び第2軌跡R12を、仮想線として設定するのではなく、幅を持った仮想領域として設定する。これにより、本実施形態では、衝突判定において車両1及び対向車両2の幅が考慮されるので、衝突判定の精度をより高めることができる。
また、本実施形態において好ましくは、帯状領域6は、対向車線4bと平行に延びるように設定される。交差点Cを曲がらない対向車両2は、対向車線4bが延びる方向に沿って走行する。このため、本実施形態では、簡易且つ比較的高い位置精度で帯状領域6を設定することができる。
また、本実施形態において好ましくは、コントローラ10は、対向車両検出センサによる検出信号に基づいて、対向車両2の速度及び進行方向を取得する。また、コントローラ10は、対向車両検出センサによる検出信号に基づいて、対向車両2の種類を決定する。また、衝突回避制御は、車両1を自動で制動する処理(S108~S111)、及び/又は、車両1の乗員に対して警報を発生する処理を含む。