JP2010102575A - 交通情報生成装置および交通情報生成方法 - Google Patents

交通情報生成装置および交通情報生成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低コストでかつ道路環境の影響を受けずに、車線ごとの交通情報を生成することができる交通情報生成装置および交通情報生成方法を提供すること。
【解決手段】交通情報生成部450は、複数車線の道路を走行する複数の車両から取得された、位置に関する情報と速度に関する情報とを少なくとも含む車両情報を、速度に関する情報に基づいて、速度のレベルに応じた複数のクラスに分類するクラス分類部453と、クラスごとに、位置に関する情報と複数の車線の位置とに基づいて、そのクラスに分類された車両情報がどの車線に対応するかを判定する車線判定部454と、車線と車両情報との対応関係に基づいて交通情報を生成する車線別交通情報生成部455とを有する。
【選択図】図7

Description

本発明は、道路の交通情報を生成する交通情報生成装置および交通情報生成方法に係り、特に、通信回線等を介して車両から収集される情報に基づいて交通情報を生成する交通情報生成装置および交通情報生成方法に関する。
複数車線を有する道路において、車線ごとに渋滞状況が異なることがある。このような場合に、車線ごとに渋滞発生区間や目的地までの所要時間等の交通情報を得ることができれば、運転者や同乗者等のユーザは、どの車線を走行すべきかをより的確に判断することが可能となる。
そこで、複数の車両から収集される情報(以下「プローブデータ」という)に基づいて車線ごとの交通情報を生成する技術が、例えば特許文献1および特許文献2に記載されている。
特許文献1記載の技術は、プローブデータに基づいて、各車両が交差点等の道路の分岐地点でどの方向に進んだかを判断し、分岐方向ごとのプローブデータに基づいて、分岐方向に対応する車線ごとの交通情報を生成する。また、特許文献2記載の技術は、車両に搭載されたカメラの撮影画像を解析し、道路標識や車線境界線を検出することにより、その車両がいずれの車線を走行しているかを判定する。これらの技術によれば、車線ごとの交通情報を生成することが可能となる。
特開2005−259116号公報 特開2007−71579号公報
しかしながら、特許文献1記載の技術には、分岐地点が存在しない道路区間や、分岐方向と車線との一意の対応付けがされていない分岐地点の周辺に対しては、車線ごとの交通情報を生成することができないという課題がある。また、特許文献2記載の技術には、前方の大型車両の存在、あるいは降雨および降雪等の天候の影響により、カメラの視界が不良である場合には、車線ごとの交通情報を生成することができないという課題がある。
そこで、特許文献1に記載されているGPS(global positioning system)による車両の測位技術を用いて、各車両がどの車線に位置するかを特定することが考えられる。ところが、車線幅は約3mであるのに対して現在一般に用いられているGPS測位技術の精度誤差は数mのオーダー(例えば、「ITS共通車載機に関する調査研究報告書」(財団法人機械システム振興協会)参照)であり、特に高層ビル等が多い都市部においては、どの車線に位置するかを高い精度で検出することは困難である。また、十分な精度な測位技術を採用した場合、装置のコスト高を招くという問題がある。
したがって、車線ごとの交通情報を、低コストでかつ道路環境の影響を受けずに生成することが可能な技術が望まれる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、低コストでかつ道路環境の影響を受けずに、車線ごとの交通情報を生成することができる交通情報生成装置および交通情報生成方法を提供することを目的とする。
本発明の交通情報生成装置は、複数車線の道路を走行する複数の車両から取得された、前記車両の位置に関する情報を少なくとも含む車両情報を、前記車両の速度のレベルに応じた複数のクラスに分類するクラス分類部と、前記クラスごとに、そのクラスに分類された車両情報がどの車線に対応するかを判定する車線判定部と、前記車線と前記車両情報との対応関係に基づいて交通情報を生成する車線別交通情報生成部とを有する。
本発明の車線別交通情報生成方法は、複数車線の道路を走行する複数の車両から取得された、前記車両の位置に関する情報を少なくとも含む車両情報を、前記車両の速度のレベルに応じた複数のクラスに分類するステップと、前記クラスごとに、そのクラスに分類された車両情報がどの車線に対応するかを判定するステップと、前記車線と前記車両情報との対応関係に基づいて交通情報を生成するステップとを有する。
本発明によれば、車線に対応した交通流を構成する可能性が高い複数の車両の車両情報から、その交通流の位置を統計的に得ることができるので、低コストでかつ道路環境の影響を受けずに、車線ごとの交通情報を生成することができる。
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る交通情報提供システムの構成を示すシステム構成図である。本実施の形態は、本発明に係る交通情報生成装置を、ユーザに交通情報を提供する交通情報提供システムに適用した例である。
図1において、交通情報提供システム100は、複数のGPS衛星200、複数のナビゲーション装置300、およびサーバ装置400を有する。GPS衛星200は、道路500の上空に位置する。ナビゲーション装置300は、道路500を走行する複数の車両600のそれぞれに搭載されている。サーバ装置400は、道路500を走行する車両600に搭載されたナビゲーション装置300のそれぞれと通信可能な状態で配置されている。なお、複数の車両(プローブカー、フローティングカー)から収集される情報を車両情報(以下「プローブデータ」)という。また、プローブデータは、「プローブ情報」または「フローティングカーデータ」とも呼ばれる。
GPS衛星200は、道路500を含む地上エリアに向けて、GPS信号を送出する。
ナビゲーション装置300は、GPS信号を受信して測位を行い、測位結果を利用して、ナビゲーション情報を生成して表示する。また、ナビゲーション装置300は、測位結果から、測位時刻とその測位結果である位置情報とを対応付けた位置時刻情報を生成する。そして、ナビゲーション装置300は、位置時刻情報と、ナビゲーション装置300の識別情報であるユーザIDと含むプローブデータ(車両情報)を、サーバ装置400に送信する。
サーバ装置400は、各車両600に搭載された複数のナビゲーション装置300からプローブデータを受信し、受信したプローブデータを、速度のレベルに応じた複数のクラスに分類する。そして、サーバ装置400は、クラスごとに、そのクラスに分類されたプローブデータがどの車線に対応するかを判定し、判定された対応関係に基づいて、車線ごとの交通情報を含む情報(以下「車線別交通情報」という)を生成する。サーバ装置400で生成された車線別交通情報は、各車両600のナビゲーション装置300に送信され、ナビゲーション装置300によって表示される。
このような交通情報提供システム100によれば、複数の車両600からアップロードされたプローブデータに基づいて、車線別交通情報を生成し、生成した車線別交通情報を、各車両600のユーザに提供することができる。
近年、GPSの測位精度は、向上してきているものの、上述の通り、車両単体で測位された位置情報から走行車線を特定するレベルに至るのは困難である。
一方で、1つの車線からは、複数の車両600の位置時刻情報を取得することが可能である。道路500が渋滞している場合には、車線変更があまり行われないことから、同一の車線を走行している複数の車両600の平均速度は、ほぼ同一の値となる。したがって、ある区間において速度が近い値となる複数の車両600は、その区間において、同一の車線を走行していたと推定される。
そこで、本実施の形態に係る交通情報提供システム100は、統計的手法により、複数の車両600が走行した車線を特定する。位置時刻情報が十分に多い場合には、このような手法によって、車両600が走行した車線を十分に高い精度で特定することができるからである。車両600が走行した車線が特定されれば、プローブデータを車線ごとに分けて取り扱うことができ、車線別交通情報を生成することができる。したがって、交通情報提供システム100によれば、低コストでかつ道路環境の影響を受けずに、車線別交通情報を生成することができる。
次に、ナビゲーション装置300およびサーバ装置400の構成について説明する。
図2は、ナビゲーション装置300およびサーバ装置400の構成を示すブロック図である。まず、ナビゲーション装置300の構成について説明する。
図2に示すように、ナビゲーション装置300は、測位部310、通信部320、地図データ格納部330、表示部340、および制御部350を有する。
測位部310は、複数のGPS衛星200から送出されるGPS信号を受信して復調することにより、時刻情報を取得し、ナビゲーション装置300の絶対位置を取得する。測位部310は、例えば、GPS受信機としてのGNSS(global navigation satellite system)受信機を有する。なお、測位部310は、車速センサ、ジャイロ(角速度)センサ、および加速度センサを用いて、ナビゲーション装置300の速度および方位を更に取得してもよい。
通信部320は、サーバ装置400と無線通信を行う。通信部320とサーバ装置400との間の無線通信には、携帯電話通信、光ビーコン、無線LAN(local area network)、車両間で無線通信を行うための通信モジュール等を適用することができる。
地図データ格納部330は、ナビゲーション装置300の周辺の地図情報を表示するための地図データを格納する。地図データは、ノードデータ、補完ノードデータ、およびリンクデータと、これらのデータに基づいて地図情報を作成するための画像データとを含む。ノードは、交通流が分岐または合流する地点であり、具体的には、交差点や合流地点等を示す。リンクは、ノードとノードとの間の交通流の流路であり、具体的には、ノード間の道路を示す。補完ノードは、リンクが直線状ではない場合等にそのリンクの形状を表現する情報であり、具体的には、道路の曲折点を示す。
図3は、ノードデータの内容の一例を示す図である。図3に示すように、ノードデータ710は、ノードID(identifier)711に、属性712ごとの値713を対応付けている。属性712は、緯度、経度、接続リンク数、および接続リンクIDを含む。例えば、「N1」というノードID711の「接続リンクID」という属性712には、「L1」という値713が対応付けられている。これは、N1というノードIDが割り当てられノードには、L1というリンクIDが割り当てられたリンクが接続していることを意味する。
図4は、補完ノードデータの内容の一例を示す図である。図4に示すように、補完ノードデータ720は、ノードID721に、属性722ごとの値723を対応付けている。属性712は、緯度、経度、および存在リンクIDを含む。例えば、「CN1」というノードID721の「存在リンクID」という属性722には、「L1」という値723が対応付けられている。これは、L1というリンクIDが割り当てられたリンクが曲折していることを意味する。
図5は、リンクデータの内容の一例を示す図である。図5に示すように、リンクデータ730は、リンクID731に、属性732ごとの値733を対応付けている。属性732は、始点ノード、終点ノード、リンク長、幅、車線数、種別、補完ノード数、および補完ノードIDを含む。例えば、「L1」というリンクID731の「始点ノード」という属性732には、「N1」という値733が対応付けられている。これは、N1というノードIDが割り当てられたノードから交通流が流入することを意味し、図3に示す内容と対応している。また、「L1」というリンクID731の「車線数」という属性732には、「3」という値733が対応付けられている。これは、L1というリンクIDが割り当てられたリンクが3車線の道路であることを意味する。
図2の表示部340は、液晶ディスプレイまたは有機EL(electroluminescence)ディスプレイ等の画像表示装置であり、制御部350により作成される表示画像データに基づいて、画像を表示する。表示部340は、例えば、ユーザが表示画像を視認することができる位置に配置される。
制御部350は、ナビゲーション装置300の各部の動作を制御する。また、制御部350は、測位部310により取得された情報と、地図データ格納部330に格納された地図データとに基づいて、車両周辺の地図情報を含むナビゲーション画面を生成し、表示部340に表示させる。また、制御部350は、測位部310により取得された情報に基づいて、位置時刻情報を含むプローブデータを生成し、生成したプローブデータを、通信部320を介して、サーバ装置400へ定期的(例えば1分ごとや、500mごと)に送信する。更に、制御部350は、通信部320を介してサーバ装置400から車線別交通情報を受信し、受信した車線別交通情報を、表示部340のナビゲーション画面に表示させる。
ナビゲーション装置300は、図示しないが、CPU(central processing unit)、制御プログラムを格納したROM(read only memory)およびHDD(hard disk drive)等の記憶媒体、RAM(random access memory)等の作業用メモリ、並びに通信回路等を用いて実現することができる。すなわち、上記した各部の機能は、例えば、CPUが制御プログラムを実行することで実現される。
このようなナビゲーション装置300によれば、自装置を搭載した車両のプローブデータをサーバ装置400へ送信し、サーバ装置400から車線別交通情報を受信してユーザに提示することができる。
次に、サーバ装置400の構成について説明する。
図2に示すように、サーバ装置400は、通信部410、地図データ格納部420、制御部430、プローブデータ記憶部440、交通情報生成部450、および交通情報データ記憶部460を有する。
通信部410は、ナビゲーション装置300と無線通信を行う。
地図データ格納部420は、ナビゲーション装置300の地図データ格納部330と同様の地図データを格納する(図3〜図5参照)。
制御部430は、通信部410を介してナビゲーション装置300からプローブデータを受信し、受信したプローブデータを、プローブデータ記憶部440に記憶させる。このとき、制御部430は、プローブデータの内容に、車線別交通情報を生成するのに必要な各種情報(例えばリンクを走行した際の平均車速情報など)を算出して追加する。また、制御部430は、後述の交通情報生成部450により生成された車線別交通情報を、ナビゲーション装置300からの要求により、または定期的に、通信部410を介してナビゲーション装置300に送信する。なお、生成された車線別交通情報は、交通情報データ記憶部460に記憶される。
プローブデータ記憶部440は、制御部430が受信および修正したプローブデータを蓄積するための記憶領域である。
図6は、プローブデータ記憶部440に記憶されるプローブデータの内容の一例を示す図である。
図6に示すように、プローブデータ740は、ユーザID741、時刻742、位置743、リンクID744、および平均時速745から構成される。制御部430は、ナビゲーション装置300から受信したプローブデータから抽出したユーザIDおよび位置時刻情報を、ユーザID741、時刻742および位置743に記述する。また、制御部430は、地図データ格納部420に格納された地図データを参照してマップマッチング処理を行うことにより、位置743に対応するリンクを特定し、特定したリンクのIDを、リンクID744に記述する。更に、制御部430は、同一のリンクにおける複数の位置時刻情報に基づいて、そのリンクにおける平均時速を算出し、平均時速745に記述する。なお、リンクID744および平均時速745は、ナビゲーション装置300側でプローブデータ740に追加するようにしてもよい。
このようなプローブデータ740からは、ナビゲーション装置300を搭載した複数の車両それぞれの、時刻ごとの位置、移動経路、各リンクを走行した時刻、および各リンクにおける平均時速が分かる。以下、ユーザID741、時刻742、位置743、リンクID744、および平均時速745の記述内容の組から構成される1つのレコードを、適宜、プローブデータをいうものとする。
なお、リンクID744および平均時速745に記述される情報は、ナビゲーション装置300側で取得され、プローブデータに含まれていてもよい。また、本実施の形態では、車線別交通情報の区間単位として、リンクを採用しているが、VICS(「VICS」はJARTIC/VICSセンターの登録商標)リンク等、他の区間単位を採用してもよい。VICSリンクは、VICSセンターから配信される交通情報の区間である。
図2の交通情報生成部450は、プローブデータ記憶部440に記憶されているプローブデータに基づいて、車線別交通情報を生成する。具体的には、交通情報生成部450は、個々のプローブデータを、リンクごとに、速度のレベルに応じた複数のクラスに分類し、対応するリンクのどの車線に対応するかを判定して、判定結果に基づいて、車線別交通情報を生成する。
図7は、交通情報生成部450の構成を示すブロック図である。図7は、説明の便宜のため、プローブデータ記憶部440、地図データ格納部420、および交通情報データ記憶部460についても併せて図示する。
図7において、交通情報生成部450は、対象区間設定部451、クラス規則格納部452、クラス分類部453、車線判定部454、および車線別交通情報生成部455を有する。対象区間設定部451およびクラス分類部453は、制御部430を介して、プローブデータ記憶部440にアクセスすることができる。車線判定部454は、制御部430を介して、地図データ格納部420にアクセスすることができる。車線別交通情報生成部455は、制御部430を介して、交通情報データ記憶部460にアクセスすることができる。
対象区間設定部451は、車線別交通情報の生成の対象となる時間帯(以下「対象時間帯」という)に対応して、交通情報の生成の対象となる区間(以下「対象区間」という)を設定し、設定した対象区間を、クラス分類部453へ出力する。ここでは、対象時間帯は、直前の15分等、直前の所定の時間長さの時間帯とする。なお、対象時間帯の長さは、車両600側での位置時刻情報の生成間隔およびプローブデータの受信間隔との関係で、車線別交通情報を生成するのに十分な数の位置時刻情報を取得することが可能な時間長さとする。また、対象時間帯は、情報の精度の観点から、車線別交通情報を提供する時点との間でなんらかの関連性を有する時間帯であることが望ましい。例えば、対象時間帯は、提供時点の直前の時間帯の他、例えば、過去の同じ曜日および同じ時間帯としてもよい。対象区間設定部451は、プローブデータ記憶部440に記憶されたプローブデータに基づいて、対象時間帯において渋滞が発生している区間を特定し、特定された渋滞区間を、対象区間として設定するものとする。
クラス規則格納部452は、同一の車線を走行していると推定される車両を決定するための規則、つまり、クラス分類を行うための規則(以下「クラス規則」という)を格納する。
図8は、クラス規則格納部452に格納されるクラス規則の内容の一例を示す図である。
図8に示すように、クラス規則750には、クラスID751に対応付けて、平均時速の範囲752が定義されている。例えば、「3」というクラスID751には、「6〜10km/h」という平均時速の範囲752が対応付けられている。これは、例えば平均時速が8km/hのプローブデータ等、平均時速が6〜10km/hの範囲に該当するプローブデータが、第3のクラスに分類されるものであることを意味する。
なお、図8に示すように、クラス規則750は、平均時速が遅いクラスほど、平均時速の範囲を細分化して規定している。例えば、第5のクラスの平均時速の範囲幅は、5km/hであるのに対し、これよりも平均時速が低い第2のクラスの平均時速の範囲幅は、3km/hとなっている。これは、平均時速がより遅い方が、1km/hの差が所要時間に大きく影響するためである。このことは、例えば、平均時速が16km/h、15km/h、3km/h、2km/hという4つのパターンで1kmを走行した場合、所要時間は、順に3.75分、4分、20分、30分となることからも明らかである。このように、平均時速が遅いクラスの範囲を細分化することにより、より正確な所要時間情報を、ユーザに対して提供することが可能となる。
また、複数種類のクラス規則750を用意し、クラス分類部453は、道路の種類に応じて使用するクラス規則750を切り替えるようにしてもよい。例えば、高速道路については、日本道路交通情報センターは40km/h未満を「渋滞」と定義している。したがって、例えば、平均時速40kmまでクラスの細分化の範囲を広げたクラス規則を用意し、高速道路については、このクラス規則が使用されるようにする。
図7のクラス分類部453は、クラス規則格納部452に格納されたクラス規則に従って、クラス分類を行う。具体的には、クラス分類部453は、プローブデータ記憶部440に記憶されたプローブデータのうち、対象区間に該当し、かつ、対象時間帯に該当するプローブデータ(以下「対象プローブデータ」という)に対して、クラス分類を行う。そして、クラス分類部453は、クラスに分類した対象プローブデータと対象区間とを、車線判定部454へ出力する。
車線判定部454は、クラスに分類された対象プローブデータから、どのクラスのプローブデータがどのリンクのどの車線に対応するかを判定し、判定したプローブデータを、車線に対応付けて、車線別交通情報生成部455へ出力する。具体的には、車線判定部454は、対応する車両の数が多いクラス(以下「候補クラス」という)がいずれかの車線に対応するものと推定する。更に、車線判定部454は、地図データ格納部420に格納された地図データに基づいて、対象区間の各車線の位置を特定する。そして、車線判定部454は、対象区間の各車線の位置とプローブデータの位置情報との関係を、候補クラスごとに統計的に判定することにより、候補クラスのプローブデータが対応する車線を判定する。
車線別交通情報生成部455は、プローブデータと車線との対応関係に基づいて、車線別交通情報を生成し、生成した車線別交通情報を、交通情報データ記憶部460に記憶させる。車線別交通情報は、例えば、リンクID、車線を識別する車線ID、および車線平均時速で構成される。車線平均時速は、リンクIDと車線IDとの組によって識別される車線に対応するプローブデータの平均時速の平均値である。
図2の交通情報データ記憶部460は、交通情報生成部450により生成された交通情報を記憶する。
サーバ装置400は、図示しないが、CPU、制御プログラムを格納したROMおよびHDD等の記憶媒体、RAM等の作業用メモリ、並びに通信回路等を用いて実現することができる。すなわち、上記した各部の機能は、例えば、CPUが制御プログラムを実行することで実現される。
このようなサーバ装置400によれば、複数の車両のプローブデータから車線別交通情報を生成し、各車両に車線別交通情報を送信することができる。
以下、交通情報提供システム100の動作について、サーバ装置400の動作を軸として説明する。
サーバ装置400の制御部430は、道路500を走行する複数の車両に搭載された複数のナビゲーション装置300から、プローブデータを定期的に受信し、プローブデータのプローブデータ記憶部440への蓄積を継続的に行う。これにより、プローブデータ記憶部440には、図6に示すように、過去のプローブデータが蓄積される。
そして、サーバ装置400の交通情報生成部450は、定期的に、またはオペレータ指示もしくはナビゲーション装置300からの要求を受けて、蓄積されたプローブデータに基づいて車線別交通情報を作成する交通情報生成処理を実行する。
図9は、交通情報生成部450による交通情報生成処理を示すフローチャートである。
まず、ステップS1100において、対象区間設定部451は、プローブデータ記憶部440のプローブデータと、地図データ格納部420の地図データとに基づいて、対象時間帯において平均時速745が変化したリンクを検索する。具体的には、対象区間設定部451は、1つの車両(ユーザID)に着目して、平均時速745が変化したリンクを検索する。
平均時速が変化したリンクとは、ノードを境として平均時速に20km/hを跨ぐ変化が生じたリンクである。具体的には、対象区間設定部451は、ノードを介して連続するリンクの組のそれぞれに対して、平均時速の変化を調べる。そして、対象区間設定部451は、平均時速が20km/h以上から20km/h未満へと変化した組の下流側のリンクを、渋滞の開始リンクとする。また、対象区間設定部451は、平均時速が20km/h未満から20km/h以上へと変化した組の上流側のリンクを、渋滞の終了リンクとする。すなわち、対象区間設定部451は、平均時速が20km/h未満となるリンク系列の最初のリンクおよび最後のリンクを抽出する。
ここで、渋滞の発生している区間を対象区間とするのは、次の理由による。通常、交通の流れがスムーズなときには、渋滞情報や所要時間情報等の交通情報は必ずしも必要ない。これは、例えば、ナビゲーション装置300などには、スムーズに流れているときの道路種別ごとの平均時速情報が予め設定されており、走行する距離とその平均時速を利用して、おおよその所要時間を推定することができるからである。一方、道路が渋滞しているような場合には、その度合いによっては、目的地までの所要時間を推定することができないため、プローブデータに基づいた、つまり、実際の道路状況に基づいた交通情報が重要となる。
また、20km/hを閾値として採用するのは、次の理由による。日本道路交通情報センターでは、一般道路における「混雑」は平均時速が10〜20km/h、「渋滞」は10km/h以下と定められている。この「混雑」、「渋滞」の区間において、ユーザは、特に、渋滞情報や所要時間情報を求めると考えられている。
そして、ステップS1200において、対象区間設定部451は、プローブデータ記憶部440のプローブデータを参照し、渋滞の開始リンクと終了リンクのそれぞれに、平均時速が変化する別の車両が、所定の数以上存在するか否かを判断する。例えば、所定の数とは、10台以上である。対象区間設定部451は、該当する車両が所定の数以上存在する場合には(S1200:YES)、ステップS1300へ進む。
ステップS1300において、対象区間設定部451は、渋滞の開始リンクから終了リンクまでの区間を、対象区間として設定し、設定した対象区間を、クラス分類部453へ出力する。
そして、ステップS1400において、クラス分類部453は、対象プローブデータから、平均時速のデータ(以下「平均時速データ」という)を取得する。
そして、ステップS1500において、クラス分類部453は、クラス規則格納部452に格納されたクラス規則(図8参照)に従って、取得した平均時速データに基づき、対象プローブデータのクラス分類を行う。そして、クラス分類部453は、該当するプローブデータの数が多いクラスを、候補クラスに決定し、候補クラスの数(以下「クラス数」という)を判定する。以下、クラス分類およびこれに基づく車線別交通情報の生成は、リンクごとに行われるものとする。
図10は、クラス分類部453によるクラス分類の一例および候補クラスを決定する手法の一例を示す図である。図10において、横軸はクラスを示し、縦軸は、それぞれのクラスに属する車両の台数を示す。
プローブデータの平均時速はリンクごとに算出されることから、1つの車両はいずれか1つのクラスに分類されることになる。したがって、図10に示すように、プローブデータのクラス分類により、各車両もいずれかのクラスに分類され、それぞれのクラスに属する車両の台数が算出される。
全クラスの車両台数の合計に対して車両台数の割合が高いクラスは、1つの大きな交通流を構成する車両が属するクラスであると推定される。また、特に渋滞区間においては、1つの大きな交通流は、ある車線における交通流であると推定される。したがって、ここでは、クラス分類部453は、全クラスの車両台数のうち例えば10%以上の車両台数が属するクラスを、候補クラスに決定する。
図10に示す例では、全クラスの車両台数は67である。したがって、クラス分類部453は、属する車両台数が6.7以上となる「3〜6km/h」、「15〜20km/h」、「20km/h〜」という3つのクラスを候補クラスに決定し、クラス数を3と判定する。
図9のステップS1600において、クラス分類部453は、クラス数が2以上であり、かつ、対象区間の車線数以下であるか否かを判断する。クラス数が1ということは、車線ごとに交通流を対応付けることができない状態、つまり、車線の平均車速とクラスのラベルである平均車速が同じであり、いずれの車線を走行しても平均時速がほとんど変わらない状態であることから、車線別交通情報を生成する必要がないということを意味する。また、クラス数が車線数を超えている場合には、1つの車線における平均時速のばらつきが大きく、車線ごとの交通流を平均時速から推定してもその精度が低くなることを意味する。したがって、クラス分類部453は、クラス数が2以上であり、かつ、対象区間の車線数以下である場合に(S1600:YES)、クラスに分類した対象プローブデータと対象区間とを車線判定部454へ出力し、ステップS1700へ進む。
ステップS1700において、車線判定部454は、対象区間の道路500の面に座標系を設定し、この座標系(以下「道路座標系」という)に、車両の位置をプロットする。そして、車線判定部454は、候補クラスごとに、位置プロットの近似線を算出する。
図11は、道路座標系の一例を示す図である。図11に示すように、ここでは、車線判定部454は、道路座標系として、対象区間(例えばリンクID=L1のノード)の開始位置(例えばノードID=N1のノード)の中央線に原点Oを、道路500の進行方向にX軸を、中央線から道路端へ向かう方向にY軸をそれぞれ設定する。そして、車線判定部454は、対象区間の終了位置(例えばノードID=N2のノード)のX座標値を100とし、道路端の位置のY座標値を100とする。道路座標系には、道路端側から順に、第一車線〜第三車線の位置が対応付けられる。
車線判定部454は、クラス分類部453から入力された各候補クラスのプローブデータに含まれる車両位置を、道路座標系にプロットする。プロットされたクラスごとの車両位置の集合がある車線の交通流から取得されたものである場合には、車両位置の集合の近似線は、その車線の中心線にほぼ一致する。したがって、車両位置の集合の近似線を各車線の中心線と比較することにより、その車両位置の集合がいずれかの車線に対応するものであるか否か、および、どの車線に対応するかを判断することができる。
したがって、車線判定部454は、対象区間の道路がほぼ直線である場合には、例えば、近似直線Y=aX+bを仮定し、最小自乗法により係数a、bを決定すればよい。また、対象区間の道路が曲線である場合には、道路形状を基準とした道路座標系を設定したり、道路形状を直線形状で置き換えたり、直線を基準とした道路座標系を設定した上で2次または3次等の多項式近似を行ったりすればよい。
図12は、位置データのプロットおよび近似直線の算出結果の一例を示す図である。ここでは、横軸をX軸、縦軸をY軸とする。
ここでは、第2のクラスに属する車両位置のデータ(以下「位置データ」という)のプロットを丸印、第5のクラスに属する位置データのプロットを四角印、第6のクラスに属する位置データのプロットを三角印で示す。図12に示すように、第2のクラスに対応する近似直線761、第5のクラスに対応する近似直線762、および第6のクラスに対応する近似直線763が算出されたとする。
図9のステップS1800において、車線判定部454は、ステップS1700で算出した近似線が車線と対応するための条件を満たすか否かを判断する。
車線判定部454は、車線数とクラス数とが等しい場合と等しくない場合とで、異なる条件を適用する。車線判定部454は、図12のように、車線数とクラス数とが等しい場合には、候補クラスと車線とが1対1で対応することを前提とした車線対応条件を適用する。また、車線判定部454は、車線数とクラス数とが等しくない場合には、いずれかの車線に複数の候補クラスが対応することを前提とした車線対応条件を適用する。
ここで、これら2種類の条件について、図11〜図13を参照して説明を行う。図13は、車線数とクラス数とが等しくない場合における、位置データのプロットおよび近似直線の算出結果の一例を示す図である。
1.車線数とクラス数とが等しい場合
これは、例えば、図12に示すように、車線数が3つであり、かつクラス数、つまり近似直線の数が3つの場合である。この場合、車線判定部454は、次の2つの条件を満たすか否かを判断する。
1つ目の条件は、X軸(中央線、車線境界線)に対する各近似直線の傾きが所定の値以内であることである。具体的には、全ての近似直線について、そのX軸との傾きをθとし、傾きθの許容誤差をδθとしたときに、以下の式(1)を満たすことである。全ての近似直線について式(2)が満たされている場合には、各近似直線は、道路とほぼ並行であることから、走行車線ごとの交通流を表している可能性が高いためである。
|θ| ≦ δθ ・・・・・・(1)
図12の例では、クラス5の近似直線762とX軸との傾きをθ、クラス6の近似直線763とX軸との傾きをθ、クラス2の近似直線761とX軸との傾きをθとすると、式(2)〜(4)を全て満たすことが、上記条件に該当する。
| ≦ δθ ・・・・・・(2)
| ≦ δθ ・・・・・・(3)
| ≦ δθ ・・・・・・(4)
式(2)〜(4)が全て満たされている場合、各近似直線761〜763は道路とほぼ並行であり、走行車線ごとの交通流を表している可能性が高いといえる。
2つ目の条件は、近似直線間の距離が車線幅とほぼ等しいことである。具体的には、車線幅をDとし、隣り合う近似直線のX座標軸方向におけるそれぞれの中心地点のY座標(以下「代表Y座標」という)の間隔をyとし、間隔yの許容誤差をδyとしたときに、以下の式(5)を満たすことである。全ての近似直線について式(5)が満たされる場合には、各近似直線の間隔が道路の中心線の間隔とほぼ平行であることから、各近似直線が走行車線ごとの交通流を表している可能性は更に高くなる。
D−δy ≦ y ≦ D+δy ・・・・・・(5)
図12の例では、クラス5の近似直線762の代表Y座標をY、クラス6の近似直線763の代表Y座標をY、クラス2の近似直線761の代表Y座標をYとすると、以下の式(6)、(7)を全て満たすことが、上記条件に該当する。
D−δy ≦ |Y−Y| ≦ D+δy ・・・・・・(6)
D−δy ≦ |Y−Y| ≦ D+δy ・・・・・・(7)
式(6)、(7)の両方が満たされている場合、クラス5の近似直線762は第三車線の交通流を、クラス6の近似直線763は第二車線の交通流を、クラス2の近似直線761は第一車線の交通流を、それぞれ表しているといえる。そして、この場合、各クラスの平均時速データの平均値を、対応する走行車線の車線平均時速として捉えることが可能である。
なお、2つ目の条件を、各近似直線と中央線との距離が各車線の中心線と中央線との距離にほぼ一致すること、または、各近似直線の代表Y座標が、対応すると推定される車線の内部に位置することとしてもよい。この場合、例えば、第三車線の交通流を表すと推定されるクラス5の近似直線762の代表Y座標Yは、少なくとも車線幅Dの値より小さいことが求められる。また、同様に、第二車線の交通流を表すと推定されるクラス6の近似直線の代表Y座標Yは、車線幅Dより大きく、かつ2車線分の幅である2Dより小さいことが求められる。
2.車線数とクラス数とが等しくない場合
これは、例えば、図13に示すように、車線数が3つであり、かつクラス数、つまり近似直線の数が2つの場合である。この場合、車線判定部454は、次の2つの条件を満たすか否かを判断する。
1つ目の条件は、上記した車線数とクラス数とが等しい場合の1つ目の条件と同様に、全ての近似直線のX軸に対する傾きが所定の値以内であること、つまり、式(1)を満たすことである。
そして、2つ目の条件は、全ての近似直線が、いずれかの車線の中心線またはいずれかの車線境界線に一致することである。具体的には、車線を示すパラメタをnとし、車線数をNとしたときに、以下の式(8)または式(9)を満たすことである。これは以下の理由による。いずれかのパラメタnの値で式(8)を満たす近似直線は、そのパラメタnに対応する車線の交通流を表している可能性が高い。また、(n+1)×Dは、中央線から、パラメタnに対応する車線とその次の車線との間の境界線までの距離に対応する。したがって、いずれかのパラメタnの値で式(9)を満たす近似直線は、この境界線を中心とする複数の車線全体の交通流を表している可能性が高い。
n×D+D/2 − D/4 ≦ |Y| ≦ n×D+D/2+D/4
(n=0,1,・・・N) ・・・・・・(8)
(n+1)×D − D/4 ≦ |Y| ≦ (n+1)×D+D/4
(n=0,1,・・・N) ・・・・・・(9)
図13に示す例では、第一車線に対応するクラス4の近似直線764の代表Y座標をYとすると、クラス4の近似直線764に対しては、以下の式(10)を満たすことが、上記条件に該当する。また、第二車線および第三車線に対応するクラス6の近似直線765の代表Y座標をYとすると、クラス6の近似直線765に対しては、以下の式(11)を満たすことが、上記条件に該当する。
2D+D/2 − D/4 ≦ |Y| ≦ 2D+D/2+D/4 ・・・・・・(10)
D − D/4 ≦ |Y| ≦ D+D/4 ・・・・・・(11)
式(10)、(11)の両方が満たされている場合、クラス4の近似直線764は第一車線の交通流を、クラス6の近似直線765は第二車線および第三車線の交通流を、それぞれ表していると捉えることが可能である。そして、この場合、クラス4の平均時速データの平均値を、第一車線の車線平均時速として捉え、クラス6の平均時速データの平均値を、第二車線の車線平均時速および第三車線の車線平均時速として捉えることが可能である。
図14は、近似直線が車線と対応するための条件を満たさない場合における、位置データのプロットおよび近似直線の算出結果の一例を示す図である。
図14に示す例では、クラス6の近似直線765のX軸(中央線、中心線、車線境界線)に対する傾きθが、許容誤差をδθよりも大きい。このような現象は、例えば、第二車線と第三車線との間で車線変更が頻繁に行われている場合に発生する。このような場合、同一車線であってもリンク上の位置によって実質的な平均時速は大きく異なり、リンク全体で画一的な平均時速を示す車線別交通情報を生成したとしても、ユーザにとっての有益性は低い。したがって、車線判定部454は、上記した条件を満たさない場合には、そのリンクに対する車線別交通情報の生成を行わない。
車線判定部454は、近似線が上記条件を満たす場合には(S1800:YES)、その近似線のクラスに属するプローブデータを、車線に対応付けて車線別交通情報生成部455へ出力し、ステップS1900へ進む。
ステップS1900において、車線別交通情報生成部455は、入力されたプローブデータと、そのプローブデータと車線との対応関係に基づいて、車線別交通情報を生成し、交通情報データ記憶部460に記憶させる。
車線別交通情報の内容は、例えば、リンクIDと、車線IDと、車線平均時速とを対応付けた情報である。車線別交通情報生成部455は、例えば、車線に対応付けられたプローブデータの平均車速の平均をとることにより、車線平均時速を算出する。または、車線別交通情報生成部455は、例えば、車線に対応付けられたプローブデータのクラスの平均時速の範囲(図8参照)に基づいて、その範囲の中心の値や最小値を、車線平均時速として採用してもよい。
図12の例では、車線別交通情報生成部455は、第一車線の車線平均時速を3〜6km/h、第二車線の車線平均時速を20km/h以上、第三車線の車線平均時速を15〜20km/h、とする車線別交通情報を生成する。
また、交通情報生成部450は、車線別交通情報を生成することが適切ではない場合には、車線別交通情報を生成せずに、ステップS2000へ進む。車線別交通情報を生成することが適切ではない場合とは、平均時速が20km/hを跨いで変化する車両が所定の数以上存在しない場合(S1200:NO)、クラス数が1または対象区間の車線数を超える場合(1600:NO)、および、近似線が車線と対応するための条件を満たさない場合(S1800:NO)である。
そして、ステップS2000において、交通情報生成部450は、車線別交通情報の生成処理を継続するか否かを判断する。交通情報生成部450は、例えば、検索対象外の他のリンクが存在し、オペレータによる終了指示がなく、かつ、プローブデータの収集が継続されている場合には、処理を継続すると判断し(S2000:YES)、ステップS1100へ戻る。交通情報生成部450は、他の場合には、処理を終了すると判断し(S2000:NO)、一連の処理を終了する。
このような交通情報生成部450の処理により、交通情報データ記憶部460には、車線別交通情報のデータが蓄積される。そして、制御部430は、交通情報データ記憶部460に蓄積された車線別交通情報を、ナビゲーション装置300からの要求により、または定期的に、通信部410を介して、ナビゲーション装置300に送信する。このとき、制御部430は、最新の車線別交通情報を送信してもよいし、過去の同じ曜日の同じ時間帯の情報等、時間的に離隔した過去の車線別交通情報を送信してもよい。
ナビゲーション装置300は、サーバ装置400から受信した車線別交通情報を、表示部340のナビゲーション画面に表示させる。ナビゲーション装置300は、サーバ装置400から受信した車線別交通情報そのものを表示するのではなく、受信した車線別交通情報を編集した情報を、ナビゲーション画面の一部に、自車用の交通情報として表示してもよい。
図15は、表示部340に表示されるナビゲーション画面および交通情報の一例を示す図である。
図15に示すように、ナビゲーション画面770には、車両が走行している道路およびその周辺の地図情報771が表示される。ナビゲーション装置300は、例えば、リンク毎に示される車線平均時速と車両の位置とに基づいて、所定の地点までの所要時間を車線ごとに示す交通情報772を作成し、地図情報771に重畳して表示する。また、ナビゲーション装置300は、車線ごとの所要時間から、車線変更に関する有益な交通情報773を作成し、地図情報771に重畳して表示する。
このような交通情報772、773が表示されることにより、ユーザは、所要時間短縮の観点から走行すべき車線を、より的確に判断することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、車線に対応した交通流を構成する複数の車両情報から、その交通流の位置を統計的に得ることができる。このため、低コストでかつ道路環境の影響を受けずに、車線別交通情報を生成し、ユーザに提供することができる。すなわち、例えば、分岐が存在しないような道路区間や降雨や積雪等の環境下においても車線別交通情報を提供可能なシステムを、低コストで実現することができる。また、車線別交通情報を生成するので、最も速く目的地に到着することができる車線の提示や、最短経路に車線案内を含めたナビゲーションを、実現することができる。
なお、サーバ装置400は、全クラスの車両台数の合計に対して車両台数の割合が高いクラスを、クラス数が車線数に一致するまで、上位から順に抽出することにより、候補クラスを決定してもよい。この場合、クラス数を、積極的に車線数に一致させることができ、車線別交通情報が生成される確率を向上させることができる。また、サーバ装置400は、クラス分類の手法として、k−means法等の非階層的なクラスタリング手法を用いてもよい。
また、サーバ装置400は、近似線間の傾きの差分が所定の範囲以内であることを、近似線が車線と対応するための条件としてもよい。具体的には、サーバ装置400は、互いの傾きの差分が所定の範囲内にあり、進行方向が一致する3つの近似線を、進行方向に向かって左に位置する近似線から順に、例えば、第一車線、第二車線、第三車線に対応すると判断する。この例は、地図データから車線幅や道路方向等の情報を十分に得られない場合に有効である。
また、サーバ装置400は、対象区間の基準として、平均時速20km/hを閾値とする基準以外の基準を採用してもよい。具体的には、例えば、サーバ装置400は、道路の種類に応じて異なる基準や、ナビゲーション装置300から指定された基準を採用してもよい。例えば、高速道路については、上述の通り、40km/h未満が「渋滞」と定義されている。したがって、サーバ装置400は、例えば、高速道路においては、対象区間の基準を平均時速40km/とし、一般道路においては、対象区間の基準を平均時速20km/としてもよい。また、サーバ装置400は、30km/h未満のリンクの交通情報が欲しいという要求を受けた場合には、30km/hを閾値とする等、ユーザの要求に応じて基準を変更してもよい。また、サーバ装置400は、車両の周囲1km以内など、車両の位置に対応した範囲を対象区間に決定してもよい。
また、サーバ装置400は、近似線ではなく、クラスに分類された車両の位置を代表する他の代表位置と各車線の中心線または境界線との関係から、車線とプローブ情報との対応関係を判定してもよい。代表位置は、例えば、車両の位置のY座標値の平均値に対応する位置である。
また、サーバ装置400は、道路座標系ではなく、中央線から道路端へ向かう座標軸と時間軸とで構成される座標系において、近似線を算出し、車線とプローブ情報との対応関係を判定してもよい。この場合、例えば、各車線における時速の時間変化が大きいときには近似線と時間軸とが成す角が大きくなるため、ユーザにとっての有益性の低い車線別交通情報が生成されるのを防ぐことができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2は、リンクの途中における車両の車線変更を考慮して車線別交通情報を生成する例である。
車両の運転時において、ウィンカー操作が行われた直後には、車線変更が行われている可能性が高い。同一の車両のプローブデータであっても、別の車線に対応することが明らかである場合には、別の車線の交通流に対応するプローブデータとして取り扱うことが望ましい。一方で、ウィンカー操作が行われた後のプローブデータと、その前のプローブデータとでは、異なる車線に対応している可能性が高い。
そこで、本実施の形態に係る交通情報提供システムは、ウィンカー操作の前後で、プローブデータを区別して取り扱う。
図16は、本実施の形態に係る交通情報提供システムで使用されるナビゲーション装置およびサーバ装置の構成を示すブロック図であり、実施の形態1の図2に対応するものである。図2と同一部分には同一符号を付し、これについての説明を省略する。
図16において、ナビゲーション装置300aは、実施の形態1の制御部350とは異なる処理を行う制御部350aを有し、更に、ウィンカー情報取得部360aを有する。また、サーバ装置400aは、実施の形態1の交通情報生成部450とは異なる処理を行う交通情報生成部450aを有する。
ナビゲーション装置300aのウィンカー情報取得部360aは、車両の方向指示器が操作されたことを示す情報(以下「ウィンカー情報」という)を取得し、取得したウィンカー情報を、制御部350aへ出力する。
ナビゲーション装置300aの制御部350aは、サーバ装置400aにおいてプローブデータを区別して取り扱わせるべく、ウィンカー情報が追加されたプローブデータを生成する。具体的には、制御部350aは、ウィンカー情報取得部360aからウィンカー情報が入力されると、その直後に作成される位置時刻情報に対応付けて、入力されたウィンカー情報の内容を、プローブデータに記述する。そして、制御部350aは、生成したウィンカー情報を含むプローブデータを、サーバ装置400aへ送信する。このプローブデータは、車線別交通情報を生成するのに必要な各種情報を追加する修正が施され、サーバ装置400aのプローブデータ記憶部440に記憶される。なお、制御部350aは、ウィンカー情報が入力されるごとに、ウィンカー情報が付加された位置時刻情報を作成するようにしてもよい。
サーバ装置400aの交通情報生成部450aは、ウィンカー操作の前後でプローブデータを区分して取り扱うことにより、リンク途中での車両の車線変更を考慮した車線別交通情報を生成する。
図17は、交通情報生成部450aの構成を示すブロック図であり、実施の形態1の図7に対応するものである。図7と同一部分には同一符号を付し、これに付いての説明を省略する。
図17において、交通情報生成部450aは、平均速度分割部456aを有する。平均速度分割部456aは、制御部430を介して、プローブデータ記憶部440にアクセスすることができる。
平均速度分割部456aは、プローブデータのウィンカー情報に基づいて、ウィンカー操作が行われた直後以降のプローブデータとそれ以前のプローブデータとで、別々に平均時速を算出する。すなわち、平均速度分割部456aは、車両の平均時速を、1つのリンク内で分割し、分割した平均時速で、プローブデータを更新する。
図18は、ウィンカー情報および分割された平均時速を含むプローブデータの内容の一例を示す図であり、実施の形態1の図6に対応するものである。図6と同一部分には同一符号を付し、これについての説明を省略する。
図18に示すように、プローブデータ740aは、位置時刻情報に対応付けて、ウィンカー情報746aを有する。例えば、「2008/09/01 13:48:50」という時刻742に該当するプローブデータには、「Left」というウィンカー情報746aが記述されている。これは、左へ車線変更することを示すウィンカー操作が行われた直後に、当該プローブデータが取得されたことを意味する。また、「2008/09/01 13:48:50」という時刻742に該当するプローブデータには、「21km/h」という平均時速745が記述される。また、その1つ前のプローブデータには、「33km/h」という平均時速745が記述されている。これは、ウィンカー操作に対応する車線変更が行われた場合に、変更前の車線における平均時速が33km/hであり、変更後の車線における平均時速が21km/hであることを意味する。
図17のクラス分類部453は、平均時速を基準としてプローブデータのクラス分類を行う。したがって、車線変更が推測される時点の前後で、プローブデータは別のクラスに分類され得る。これにより、交通流とプローブデータとの対応付けを、車両単位から車線単位に細分化して行うことができ、プローブデータの分類がより正確に行われ、より正確な車線平均時速を得ることができる。
このように、本実施の形態によれば、車線変更を考慮してプローブデータのクラス分類を行うので、より高精度な車線別交通情報を提供することができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3として、車線別交通情報の生成の対象となる対象区間を、リンク単位ではなく、リンク途中を含む道路区間を基準として生成する例について説明する。
図19は、実施の形態3に係るナビゲーション装置およびサーバ装置の構成を示すブロック図であり、実施の形態1の図2に対応するものである。図2と同一部分には同一符号を付し、これについての説明を省略する。
平均時速が変化するのは、必ずしもリンクの端点だけではない。すなわち、リンクの途中に、渋滞の開始地点や終了地点が存在することがある。このような場合には、これらの地点が分かる状態で車線別交通情報を提供したり、これらの地点を考慮した状態で道路区間を基準とした車線別交通情報を提供することが望ましい。
そこで、本実施の形態に係る交通情報提供システムは、平均時速が変化する地点をより正確に抽出して、車線別交通情報を生成する。
図19において、ナビゲーション装置300bは、実施の形態1の制御部350とは異なる処理を行う制御部350bを有し、更に、ランドマークデータ格納部370bを有する。また、サーバ装置400bは、実施の形態1の交通情報生成部450とは異なる処理を行う交通情報生成部450bを有する。
ナビゲーション装置300bのランドマークデータ格納部370bは、ランドマークとなる各種施設の名称および位置情報等のデータ(以下「ランドマークデータ」という)を格納する。ランドマークデータは、例えば、事業者により作成され配布される施設データと、ユーザにより手動で設定されるユーザ設定データとに分かれる。
図20は、ランドマークデータ格納部370bに格納される施設データの内容の一例を示す図である。図20に示すように、施設データ780bは、ジャンル781、ランドマーク名称782、ランドマークID783、および位置784により構成される。位置784には、例えば、ランドマークの緯度および経度が記述される。
図21は、ランドマークデータ格納部370bに格納されるユーザ設定データの内容の一例を示す図である。図21に示すように、ユーザ設定データ790bは、ランドマーク名称791、ランドマークID792、および位置793により構成される。ランドマーク名称791には、例えば、「自宅」や「会社」等、ユーザ自身で分かり易い名称が登録される。位置793には、例えば、ランドマークの緯度および経度が記述される。
ナビゲーション装置300bは、このようなランドマークデータを格納することにより、各種施設の位置を、ナビゲーション画面上でユーザに示すことができる。また、ナビゲーション装置300bは、サーバ装置400bから受信した車線別交通情報に渋滞の開始位置や終了位置が含まれている場合に、その位置にどのような施設が存在するかを、ユーザに示すことができる。
サーバ装置400bの交通情報生成部450bは、対象区間を車両の進行方向における位置をもって設定する。なお、本実施の形態では、リンク単位で平均時速を扱うものではないため、サーバ装置400bは、リンクごとの平均時速のデータを必ずしも必要としない。
図22は、交通情報生成部450bの構成を示すブロック図であり、実施の形態1の図7に対応するものである。図7と同一部分には同一符号を付し、これについての説明を省略する。
図22に示すように、交通情報生成部450bは、実施の形態1の対象区間設定部451に代えて、これとは異なる処理を行う対象区間設定部451bを有する。対象区間設定部451bは、渋滞の開始位置および終了位置を検出し、開始位置から終了位置までを対象区間に設定する。
ここで、対象区間設定部451bによる対象区間の設定の概要について説明する。
図23は、対象区間設定部451bによる対象区間の設定の概要を説明する図である。
図23に示すように、ある道路500沿いに、人気の店舗801(Shop A)が存在し、店舗801の駐車場待ちの車両600で渋滞が発生している場合を想定する。この場合、例えば、店舗801の付近の第1の地点802を先端とし、これよりも前の第2の地点803を後端とする渋滞区間が発生する。この渋滞区間の平均時速は、例えば3〜6km/hであり、この前後の区間の平均時速は、例えば20km/h以上である。
渋滞区間において、多くの車両の時速は、第2の地点803周辺の領域804において、20km/h以上から20km/h未満へと変化し、第1の地点802周辺の領域805において、20km/h未満から20km/h以上へと変化する。
つまり、対象区間設定部451bは、車両の時速が20km/h以上から20km/h未満に変化する領域を、渋滞の開始位置に、車両の時速が20km/h未満から20km/h以上に変化する領域を、渋滞の終了位置に、それぞれ決定する。そして、対象区間設定部451bは、渋滞の開始位置から終了位置までを、渋滞区間と判断し、車線別交通情報の生成の対象となる対象区間に設定する。
以下、対象区間設定部451bの動作について説明する。
図24は、対象区間設定部451bによる、対象区間設定処理を示すフローチャートであり、実施の形態1の図9に示すステップS1100〜S1300の処理に対応するものである。
ステップS1101bにおいて、対象区間設定部451bは、プローブデータを送ってくる1つの車両(ユーザID)に着目し、対象時間帯において平均時速が変化し、かつ変化後の平均時速が所定時間または所定距離以上継続する2地点を抽出する。ここで、平均時速とは、1分等、比較的短い時間における平均時速である。また、平均速度が変化する地点とは、平均時速に20km/hを跨ぐ変化が生じた地点である。そして、対象区間設定部451bは、平均時速が20km/h以上から20km/h未満へと変化した地点(図23の第2の地点803に対応)を、渋滞開始地点とする。また、対象区間設定部451bは、平均時速が20km/h未満から20km/h以上へと変化した地点(図23の第1の地点802に対応)を、渋滞終了地点とする。すなわち、平均時速が20km/h未満となる区間の開始位置と終了位置とを抽出する。
所定時間以上の継続を抽出の要件としているのは、信号待ち等の渋滞以外の原因による一時的な車速変化を、対象から外すためである。所定時間とは、例えば5分であり、所定距離とは、例えば200mである。
そして、ステップS1102bにおいて、対象区間設定部451bは、渋滞開始地点を中心とする所定長さの領域(図23の領域804に対応)を、渋滞開始領域に決定する。また、対象区間設定部451bは、渋滞終了地点を中心とする所定長さの領域(図23の領域805に対応)を、渋滞終了領域に決定する。所定長さとは、例えば、50mである。
そして、ステップS1103bにおいて、対象区間設定部451bは、決定した渋滞開始領域および渋滞終了領域のそれぞれにおいて他の車両から受信したプローブデータを1つずつ選択する。
そして、ステップS1104bにおいて、対象区間設定部451bは、着目している車両が渋滞開始地点を走行した時刻と同一の時間帯に、渋滞開始領域に位置した他の車両を1つ選択し、そのプローブデータを抽出する。この時間帯は、例えば当該時刻を中心とする15分間である。そして、対象区間設定部451bは、当該他の車両の、渋滞開始領域から渋滞終了領域までの平均時速、渋滞開始領域における平均時速、および渋滞終了領域における平均時速を算出する。
そして、ステップS1105bにおいて、対象区間設定部451bは、他の車両平均時速が、ステップS1101bで着目した車両の平均時速と同様の変化を示しているか否かを判断する。具体的には、対象区間設定部451bは、他の車両の平均時速が、渋滞開始領域において20km/h以上から20km/h未満へ変化し、かつ、渋滞終了領域において20km/h未満から20km/h以上へ変化しているか否かを判断する。対象区間設定部451bは、他の車両の平均時速が同様に変化していれば(S1105b:YES)、ステップS1106bへ進み、変化していない場合には(S1105b:NO)、その次のステップS1107bへ進む。例えば、駐車場待ちの渋滞のような場合には、車両は停止するため、その平均時速は、局所的に0km/hとなる。
ステップS1106bにおいて、対象区間設定部451bは、渋滞開始地点から渋滞終了地点までの区間が渋滞区間であることの確からしさを示すパラメタである、車両数のカウンタを1増加させる。
そして、ステップS1107bにおいて、対象区間設定部451bは、着目している車両と同様の挙動を示す他の車両が所定の数以上存在するか、つまり、車両数のカウンタの値が所定の数に達したか否かを判断する。対象区間設定部451bは、該当する他の車両が所定の数以上存在しない場合には(S1107b:NO)、ステップS1108bへ進む。
ステップS1108bにおいて、対象区間設定部451bは、着目している車両が渋滞開始地点を走行した時刻と同一の時間帯に渋滞開始領域に位置した他の車両で、未検証の他の車両が残っているか否かを判断する。対象区間設定部451bは、未検証の他の車両が残っている場合には(S1108b:YES)、ステップS1103bに戻り、未検証の他の車両が残っていない場合には(S1108b:NO)、ステップS1110bに進む。ステップS1103b〜1108bが繰り返されることにより、車両数のカウンタの値は、最終的に、着目している車両と同様の挙動を示す他の車両の数となる。
その結果、着目している車両と同様の挙動を示す他の車両が所定の数以上存在する場合、つまり車両のカウンタの値が所定の数に達した場合には(S1107b:YES)、ステップS1109bへ進む。
ステップS1109bにおいて、対象区間設定部451bは、渋滞開始領域から渋滞終了領域までの区間を、対象区間として設定し、設定した対象区間をクラス分類部453へ出力して、図9のステップS1400へ進む。なお、対象区間設定部451bは、渋滞開始位置から渋滞終了位置までの区間を、対象区間として設定してもよい。
一方、対象区間設定部451bは、車両のカウンタの値が所定の数に達しないまま、未検証の他の車両が存在しなくなった場合には(S1108b:NO)、ステップS1110bへ進む。
ステップS1110bにおいて、対象区間設定部451bは、対象区間を設定せずに、図9のステップS2000へ進む。
このようにして、対象区間設定部451bは、渋滞の開始位置から終了位置までを、車線別交通情報の生成の対象となる対象区間に設定する。
そして、サーバ装置400bは、実施の形態1と同様に、設定された対象区間に対して、車線別交通情報を生成し、ナビゲーション装置300bに送信する。但し、車線別交通情報の内容は、例えば、対象区間の開始位置および終了位置と、車線IDと、車線平均時速とを対応付けた情報である。これにより、ナビゲーション装置300bは、渋滞区間における車線別交通情報を提供することができるだけでなく、その渋滞の区間の開始位置および終了位置を、より正確にユーザに示すことができる。また、渋滞の区間の開始位置および終了位置に関連する施設の情報を、ランドマークデータを用いて、ユーザに示すことができる。
図25は、表示部340に表示されるナビゲーション画面および交通情報の一例を示す図であり、実施の形態1の図15に対応するものである。図15と同一部分には同一符号を付し、これについての説明を省略する。
図25に示すように、ナビゲーション装置300bは、例えば、渋滞区間を示す矢印774を作成して、地図情報771に重畳して表示する。また、ナビゲーション装置300bは、ランドマークデータから、渋滞区間の終了地点付近に位置する施設を特定し、特定した施設のジャンルおよび位置を示すアイコン775を、地図情報771において強調表示させる。更に、ナビゲーション装置300bは、渋滞区間における車線ごとの所要時間から、車線変更に関する有益な交通情報776を作成し、地図情報771に重畳して表示する。
このような交通情報772、773が表示されることにより、ユーザは、特に渋滞が発生している区間および車線を知ることができ、所要時間短縮の観点から走行すべき車線を、より的確に判断することができる。
このように、本実施の形態によれば、リンク途中であっても、渋滞が発生している区間を判定することができ、実際の状況により近い高精度な車線別交通情報を生成することができる。
なお、以上説明した各実施の形態では、車両に搭載されるナビゲーション装置を用いてプローブデータの収集および車線別交通情報の提供を行う例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、本発明は、持ち運び可能なナビゲーション装置であるPND(personal navigation device)や、GPS機能を搭載した携帯電話機等、ユーザ位置を測位可能な各種情報通信端末に適用してもよい。また、情報通信端末は、必ずしも地図データやランドマークデータを格納しておかなくてもよく、都度、サーバ装置等の外部装置から必要なデータを取得してもよい。
更に、車線別交通情報をユーザに提示する装置(上記各実施の形態ではナビゲーション装置)に、サーバ装置の交通情報生成部を配置してもよい。この場合には、当該装置には、他の装置からプローブデータを収集する機能、または、プローブデータを蓄積するサーバからプローブデータを取得する機能が必要である。
本発明に係る交通情報生成装置および交通情報生成方法は、低コストでかつ道路環境の影響を受けずに、車線ごとの交通情報を生成することができる交通情報生成装置および交通情報生成方法として有用である。
本発明の実施の形態1に係る交通情報提供システムの構成を示すシステム構成図 実施の形態1に係るナビゲーション装置およびサーバ装置の構成を示すブロック図 実施の形態1におけるノードデータの内容の一例を示す図 実施の形態1における補完ノードデータの内容の一例を示す図 実施の形態1におけるリンクデータの内容の一例を示す図 実施の形態1におけるプローブデータの内容の一例を示す図 実施の形態1における交通情報生成部の構成を示すブロック図 実施の形態1におけるクラス規則の内容の一例を示す図 実施の形態1における交通情報生成処理を示すフローチャート 実施の形態1におけるクラス分類の一例および候補クラスの決定手法の一例を示す図 実施の形態1における道路座標系の一例を示す図 実施の形態1における位置データのプロットおよび近似直線の一例を示す図 実施の形態1における位置データのプロットおよび近似直線の他の例を示す図 実施の形態1における位置データのプロットおよび近似直線の更に他の例を示す図 実施の形態1におけるナビゲーション画面および交通情報の一例を示す図 実施の形態2に係るナビゲーション装置およびサーバ装置の構成を示すブロック図 実施の形態2における交通情報生成部の構成を示すブロック図 実施の形態2におけるプローブデータの内容の一例を示す図 実施の形態3に係るナビゲーション装置およびサーバ装置の構成を示すブロック図 実施の形態3における施設データの内容の一例を示す図 実施の形態3におけるユーザ設定データの内容の一例を示す図 実施の形態3における交通情報生成部の構成を示すブロック図 実施の形態3における対象区間の設定の概要を説明する図 実施の形態3における対象区間設定処理を示すフローチャート 実施の形態3におけるナビゲーション画面および交通情報の一例を示す図
符号の説明
100 交通情報提供システム
200 GPS衛星
300、300a、300b ナビゲーション装置
310 測位部
320 通信部
330 地図データ格納部
340 表示部
350、350a、350b 制御部
360a ウィンカー情報取得部
370b ランドマークデータ格納部
400、400a、400b サーバ装置
410 通信部
420 地図データ格納部
430 制御部
440 プローブデータ記憶部
450、450a、450b 交通情報生成部
451、451b 対象区間設定部
452 クラス規則格納部
453 クラス分類部
454 車線判定部
455 車線別交通情報生成部
456a 平均速度分割部
460 交通情報データ記憶部

Claims (19)

  1. 複数車線の道路を走行する複数の車両から取得された、前記車両の位置に関する情報を少なくとも含む車両情報を、前記車両の速度のレベルに応じた複数のクラスに分類するクラス分類部と、
    前記クラスごとに、そのクラスに分類された車両情報がどの車線に対応するかを判定する車線判定部と、
    前記車線と前記車両情報との対応関係に基づいて交通情報を生成する車線別交通情報生成部と、
    を有する交通情報生成装置。
  2. 前記車線判定部は、
    前記クラスごとに、そのクラスに分類された前記車両の位置を代表する代表位置を取得し、前記代表位置と前記複数の車線のそれぞれの位置との関係から、前記車線と前記車両情報との対応関係を判定する、
    請求項1記載の交通情報生成装置。
  3. 前記車線判定部は、
    前記クラスごとに、そのクラスに分類された前記車両の位置の近似線を算出し、前記近似線と前記複数の車線のそれぞれの中心線との関係から、前記車線と前記車両情報との対応関係を判定する、
    請求項1記載の交通情報生成装置。
  4. 前記クラス分類部は、
    所定の区間または時間における前記複数の車両のそれぞれの平均速度を取得し、前記平均速度に基づいて、前記車両情報を前記複数のクラスに分類する、
    請求項1記載の交通情報生成装置。
  5. 所定の単位区間または単位時間における前記車両の平均速度を取得し、前記平均速度の変化に基づいて、前記交通情報の生成の対象となる対象区間を設定する対象区間設定部、を更に有する、
    請求項1記載の交通情報生成装置。
  6. 前記対象区間設定部は、
    前記平均速度が所定の値以下となる区間を、前記対象区間に設定する、
    請求項5記載の交通情報生成装置。
  7. 前記複数車線の道路を走行する複数の車両から、前記車両情報を収集する通信部、を更に有する、
    請求項1記載の交通情報生成装置。
  8. 前記車線判定部は、
    分類された車両情報に対応する車両の数がより多いクラスを、どの車線に対応するかの判定の対象とする、
    請求項1記載の交通情報生成装置。
  9. 前記車線判定部は、
    前記交通情報の生成の対象となる対象区間の車線数を上限とする数のクラスを、どの車線に対応するかの判定の対象とする、
    請求項1記載の交通情報生成装置。
  10. 前記複数のクラスは、速度の範囲で規定され、より低い速度に対応するクラスほど速度の範囲幅がより狭い、
    請求項1記載の交通情報生成装置。
  11. 前記車両の方向指示器が操作された時点の前後で前記車両の平均速度を分割する平均速度分割部、を更に有する、
    請求項4記載の交通情報生成装置。
  12. 前記車線判定部は、
    少なくとも、前記代表位置と前記車線の中心線との距離が許容誤差の範囲内でないとき、当該代表位置に対応するクラスに分類された車両情報は当該車線に対応していないと判断する、
    請求項2記載の交通情報生成装置。
  13. 前記車線判定部は、
    前記近似線として近似直線を算出し、少なくとも、前記近似直線と前記車線の中心線を示す直線とが成す角度が許容誤差の範囲内でないとき、当該近似直線に対応するクラスに分類された車両情報は当該車線に対応していないと判断する、
    請求項3記載の交通情報生成装置。
  14. 前記車線判定部は、
    少なくとも、前記代表位置と前記複数の車線に含まれる連続した複数の車線の中心位置との距離が許容誤差の範囲内でないとき、当該代表位置に対応するクラスに分類された車両情報は当該連続した複数の車線に対応していないと判断する、
    請求項2記載の交通情報生成装置。
  15. 前記車線判定部は、
    前記近似線として近似直線を算出し、少なくとも、前記近似直線と前記複数の車線に含まれる連続した複数の車線の中心線を示す直線とが成す角度が許容誤差の範囲内でないとき、当該近似直線に対応するクラスに分類された車両情報は当該連続した複数の車線に対応していないと判断する、
    請求項3記載の交通情報生成装置。
  16. 前記車線判定部は、
    少なくとも、どの車線に対応するかの判定の対象とするクラス以外のクラスに分類された車両情報は前記複数の車線のいずれにも対応していないと判断する、
    請求項8または請求項9記載の交通情報生成装置。
  17. 前記車線判定部は、
    前記車線と前記車両情報との組み合わせのうち、対応していないと判断した組み合わせ以外の全ての組み合わせは対応していると判定する、
    請求項12〜請求項16のいずれかに記載の交通情報生成装置。
  18. 前記交通情報は、前記車線ごとの平均速度に関する情報を少なくとも含む、
    請求項1記載の交通情報生成装置。
  19. 複数車線の道路を走行する複数の車両から取得された、前記車両の位置に関する情報を少なくとも含む車両情報を、前記車両の速度のレベルに応じた複数のクラスに分類するステップと、
    前記クラスごとに、そのクラスに分類された車両情報がどの車線に対応するかを判定するステップと、
    前記車線と前記車両情報との対応関係に基づいて交通情報を生成するステップと、
    を有する交通情報生成方法。
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