JP6521487B2 - 車両制御装置 - Google Patents

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本発明は、車両制御装置に係り、特に、車両の安全走行を支援する車両制御装置に関する。
車線逸脱防止に関する種々の車両運転支援技術が提案されている。特許文献1には、特に、車線の一方の区画線が検出できない場合に仮想的な区画線を設定し、車線逸脱防止等の運転支援を実行する技術が記載されている。
特開2014−142965号公報
しかしながら、例えば、区画線が検出できない期間が長くなると、仮想的な区画線の信頼性が低くなる。このため、走行車線上の障害物(例えば、駐車車両)を回避する場合、車両が現実の区画線を超えてしまい、車線を逸脱するおそれがあるという問題があった。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、走行車線の境界線が検出できない場合であっても、障害物を回避する際に車線の逸脱を抑制することが可能な車両制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、車両が走行する車線の目標走行経路を設定する車両制御装置であって、目標走行経路は、目標位置及び目標速度を含み、車線上に障害物が存在する場合、障害物と車両との間に、障害物に対する車両の相対速度の許容上限値の分布を規定する速度分布領域を設定し、この速度分布領域における許容上限値は障害物から距離が離れるほど大きくなるように設定され、速度分布領域内において車両の相対速度が許容上限値を超えず、且つ、車両が障害物を回避するように、目標走行経路を補正して速度分布領域内を車両が走行するための補正目標走行経路を計算する走行経路補正処理を実行するように構成されており、走行経路補正処理は、車線の境界線が検出されていない場合には、補正目標走行経路よりも横方向において障害物に近づくように補正目標走行経路を更に補正して接近目標走行経路を計算する接近処理を含むことを特徴とする。
このように構成された本発明によれば、車線の境界線が検出されていない場合には、境界線が検出されている場合よりも障害物に近づくように、接近目標走行経路が計算される。これにより、車線の境界線が検出されていない場合であっても、障害物を回避しつつ、車両が車線を逸脱するおそれを低減することができる。
本発明において、好ましくは、走行経路補正処理は、車線の境界線が検出されていない場合には、目標走行経路に対する横方向への回避距離が補正目標走行経路よりも小さく制限された制限目標走行経路を計算する制限処理を更に含み、接近目標走行経路の方が制限目標走行経路よりも障害物に接近した経路であり、所定条件に応じて、接近処理と制限処理のいずれかが実行される。
このように構成された本発明によれば、所定条件に応じて接近処理と制限処理のいずれかにより接近又は制限目標走行経路を計算することができる。
本発明において、好ましくは、所定条件は、障害物の種類であり、障害物が静止物の場合には接近処理が実行される。
このように構成された本発明によれば、静止物(例えば、停車車両、電柱等)の場合は、障害物に接近しても衝突のおそれは極めて低い。よって、この場合は、接近処理を実行することにより、障害物により近づくように接近目標走行経路を計算することができる。
本発明において、好ましくは、所定条件は、車両の車速であり、車両の車速が所定車速以下の場合には接近処理が実行される。
このように構成された本発明によれば、車両が障害物に接近する際に速度分布領域に基づいて車速が減速されるが、車速が所定車速以下の低速の場合には減速幅が小さい。よって、この場合は、運転者に違和感を与えることなく、車線逸脱のおそれを低減することができる。
本発明において、好ましくは、所定条件は、車両のステアリングホイールに対する把持力の大きさであり、把持力が所定値以下の場合には接近処理が実行される。
このように構成された本発明によれば、運転者がステアリングホイールを握っていない場合には、運転者自身の操舵による車線逸脱回避操作が期待されない。よって、この場合は、接近処理により、障害物により近づく接近目標走行経路を計算することにより、車線逸脱のおそれを抑制することができる。
本発明によれば、走行車線の境界線が検出できない場合であっても、障害物を回避する際に車線の逸脱を抑制することが可能な車両制御装置を提供することができる。
本発明の実施形態における車両制御システムの構成図である。 本発明の実施形態における運転支援モードと目標走行経路との関係を示す説明図である。 本発明の実施形態における障害物回避制御の説明図である。 本発明の実施形態の障害物回避制御における障害物と車両との間のすれ違い速度の許容上限値とクリアランスとの関係を示す説明図である。 本発明の実施形態における直線優先モード選択時における接近処理後の補正目標走行経路の説明図である。 本発明の実施形態における中間モード選択時における接近処理後の補正目標走行経路の説明図である。 本発明の実施形態における速度優先モード選択時における接近処理後の補正目標走行経路の説明図である。 本発明の実施形態における運転支援制御の処理フローである。 本発明の実施形態における走行経路補正処理の処理フローである。 本発明の改変例における直線優先モード選択時における制限処理後の補正目標走行経路の説明図である。 本発明の改変例における中間モード選択時における制限処理後の補正目標走行経路の説明図である。 本発明の改変例における速度優先モード選択時における制限処理後の補正目標走行経路の説明図である。 本発明の改変例における走行経路補正処理の処理フローである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による車両制御システムについて説明する。まず、図1を参照して、車両制御システムの構成について説明する。図1は、車両制御システムの構成図である。
本実施形態の車両制御システム100は、車両1(図3等参照)に対して複数の運転支援モードにより、それぞれ異なる運転支援制御を提供するように構成されている。運転者は、複数の運転支援モードから所望の運転支援モードを選択可能である。
図1に示すように、車両制御システム100は、車両1に搭載されており、車両制御装置(ECU)10と、複数のセンサ及びスイッチと、複数の制御システムと、運転支援モードについてのユーザ入力を行うための運転者操作部35を備えている。複数のセンサ及びスイッチには、車載カメラ21,ミリ波レーダ22,車両の挙動を検出する複数の挙動センサ(車速センサ23,加速度センサ24,ヨーレートセンサ25)及び複数の挙動スイッチ(操舵角センサ26,アクセルセンサ27,ブレーキセンサ28,把持センサ34),測位システム29,ナビゲーションシステム30が含まれる。また、複数の制御システムには、エンジン制御システム31,ブレーキ制御システム32,ステアリング制御システム33が含まれる。
運転者操作部35は、運転者が操作可能なように車両1の車室内に設けられており、複数の運転支援モードから所望の運転支援モードを選択するためのモード選択スイッチ36と、選択された運転支援モードに応じて設定車速を入力するための設定車速入力部37と、障害物に対する回避モードを選択するための回避モード選択スイッチ38とを備えている。運転者がモード選択スイッチ36を操作することにより、選択された運転支援モードに応じた運転支援モード選択信号が出力される。また、運転者が設定車速入力部37を操作することにより、設定車速信号が出力される。また、回避モード選択スイッチ38を操作することにより、回避モード選択信号が出力される。
ECU10は、CPU,各種プログラムを記憶するメモリ,入出力装置等を備えたコンピュータにより構成される。ECU10は、運転者操作部35から受け取った運転支援モード選択信号,設定車速信号,回避モード選択信号、及び、複数のセンサ及びスイッチから受け取った信号に基づき、エンジン制御システム31,ブレーキ制御システム32,ステアリング制御システム33に対して、それぞれエンジンシステム,ブレーキシステム,ステアリングシステムを適宜に作動させるための要求信号を出力可能に構成されている。
車載カメラ21は、車両1の周囲を撮像し、撮像した画像データを出力する。ECU10は、画像データに基づいて対象物(例えば、車両、歩行者、道路、区画線(白線、黄線)、交通信号、交通標識、停止線、交差点、障害物等)を特定する。なお、ECU10は、交通インフラや車々間通信等によって、車載通信機器を介して外部から対象物の情報を取得してもよい。
ミリ波レーダ22は、対象物(特に、先行車、駐車車両、歩行者、障害物等)の位置及び速度を測定する測定装置であり、車両1の前方へ向けて電波(送信波)を送信し、対象物により送信波が反射されて生じた反射波を受信する。そして、ミリ波レーダ22は、送信波と受信波に基づいて、車両1と対象物との間の距離(例えば、車間距離)や車両1に対する対象物の相対速度を測定する。なお、本実施形態において、ミリ波レーダ22に代えて、レーザレーダや超音波センサ等を用いて対象物との距離や相対速度を測定するように構成してもよい。また、複数のセンサを用いて、位置及び速度測定装置を構成してもよい。
車速センサ23は、車両1の絶対速度を検出する。
加速度センサ24は、車両1の加速度(前後方向の縦加減速度、横方向の横加速度)を検出する。
ヨーレートセンサ25は、車両1のヨーレートを検出する。
操舵角センサ26は、車両1のステアリングホイールの回転角度(操舵角)を検出する。
アクセルセンサ27は、アクセルペダルの踏み込み量を検出する。
ブレーキセンサ28は、ブレーキペダルの踏み込み量を検出する。
把持センサ34は、運転者によるステアリングホイールの把持力を検出する。
測位システム29は、GPSシステム及び/又はジャイロシステムであり、車両1の位置(現在車両位置情報)を検出する。
ナビゲーションシステム30は、内部に地図情報を格納しており、ECU10へ地図情報を提供することができる。ECU10は、地図情報及び現在車両位置情報に基づいて、車両1の周囲(特に、進行方向前方)に存在する道路、交差点、交通信号、建造物等を特定する。地図情報は、ECU10内に格納されていてもよい。
エンジン制御システム31は、車両1のエンジンを制御するコントローラである。ECU10は、車両1を加速又は減速させる必要がある場合に、エンジン制御システム31に対して、エンジン出力の変更を要求するエンジン出力変更要求信号を出力する。
ブレーキ制御システム32は、車両1のブレーキ装置を制御するためのコントローラである。ECU10は、車両1を減速させる必要がある場合に、ブレーキ制御システム32に対して、車両1への制動力の発生を要求するブレーキ要求信号を出力する。
ステアリング制御システム33は、車両1のステアリング装置を制御するコントローラである。ECU10は、車両1の進行方向を変更する必要がある場合に、ステアリング制御システム33に対して、操舵方向の変更を要求する操舵方向変更要求信号を出力する。
次に、本実施形態による車両制御システム100が備える運転支援モードについて説明する。本実施形態では、運転支援モードとして、4つのモード(先行車追従モード、自動速度制御モード、速度制限モード、基本制御モード)が備えられている。
先行車追従モードは、基本的に、車両1と先行車との間に車速に応じた所定の車間距離を維持しつつ、車両1を先行車に追従走行させるモードであり、車両制御システム100による自動的なステアリング制御,速度制御(エンジン制御,ブレーキ制御),障害物回避制御(速度制御及びステアリング制御)を伴う。
先行車追従モードでは、車線両端部(境界線)の検出の可否、及び、先行車の有無に応じて、異なるステアリング制御及び速度制御が行われる。ここで、車線両端部とは、車両1が走行する車線の両側の境界線(白線等の区画線,道路端,縁石,中央分離帯,ガードレール等)であり、隣接する車線や歩道等との境界である。走行路端部検出部としてのECU10は、この車線両端部を車載カメラ21により撮像された画像データから検出する。また、ナビゲーションシステム30の地図情報から車線両端部を検出してもよい。しかしながら、例えば、区画線が消えかかっている場合、区画線が存在しない場合、車載カメラ21からの画像データの読取り不良等の場合に車線両端部が検出できない場合が生じ得る。
なお、上記実施形態では、ECU10を走行路端部検出部としているが、これに限らず、走行路端部検出部としての車載カメラ21が車線両端部を検出してもよいし、走行路端部検出部としての車載カメラ21とECU10が協働して車線両端部を検出してもよい。
また、本実施形態では、先行車検出部としてのECU10は、車載カメラ21による画像データ及びミリ波レーダ22による測定データにより、先行車を検出する。具体的には、車載カメラ21による画像データにより前方を走行する他車両を走行車として検出する。更に、本実施形態では、ミリ波レーダ22による測定データにより、車両1と他車両との車間距離が所定距離(例えば、400〜500m)以下である場合に、当該他車両が先行車として検出される。
なお、上記実施形態では、ECU10を先行車検出部としているが、これに限らず、先行車検出部としての車載カメラ21が前方を走行する他車両を検出してもよく、ECU10に加えて車載カメラ21及びミリ波レーダ22が先行車両検出部の一部を構成してもよい。
まず、車線両端部が検出される場合、車両1は、車線の中央付近を走行するようにステアリング制御され、設定車速入力部37を用いて運転者によって又は所定の処理に基づいてシステム100によって予め設定された設定車速(一定速度)を維持するように速度制御される。なお、設定車速が制限車速(速度標識やカーブの曲率に応じて規定される制限速度)よりも大きい場合は制限車速が優先され、車両1の車速は制限車速に制限される。カーブの曲率に応じて規定される制限速度は、所定の計算式により計算され、カーブの曲率が大きい(曲率半径が小さい)ほど低速度に設定される。
なお、車両1の設定車速が先行車の車速よりも大きい場合は、車両1は、車速に応じた車間距離を維持しながら先行車に追従するように速度制御される。また、追従していた先行車が車線変更等により、車両1の前方に存在しなくなると、車両1は、再び設定車速を維持するように速度制御される。
また、車線両端部が検出されない場合であって、且つ、先行車が存在する場合、車両1は、先行車の走行軌跡を追従するようにステアリング制御され、且つ、先行車の走行軌跡上の速度に追従するように速度制御される。
また、車線両端部が検出されない場合であって、且つ、先行車も存在しない場合、走行路上での走行位置を特定できない(区画線等検出不可、先行車追従不可)。この場合、現在の走行挙動(操舵角、ヨーレート、車速、加減速度等)を運転者の意思により維持又は変更するように、運転者がステアリングホイール,アクセルペダル,ブレーキペダルを操作することにより、ステアリング制御及び速度制御を実行する。
なお、先行車追従モードでは、先行車の有無、車線両端部の検出の可否にかかわらず、後述する障害物回避制御(速度制御及びステアリング制御)が更に自動的に実行される。
また、自動速度制御モードは、運転者によって又はシステム100によって予め設定された所定の設定車速(一定速度)を維持するように速度制御するモードであり、車両制御システム100による自動的な速度制御(エンジン制御,ブレーキ制御),障害物回避制御(速度制御)を伴うが、ステアリング制御は行われない。この自動速度制御モードでは、車両1は、設定車速を維持するように走行するが、運転者によるアクセルペダルの踏み込みにより設定車速を超えて増速され得る。また、運転者がブレーキ操作を行った場合には、運転者の意思が優先され、設定車速から減速される。また、先行車に追いついた場合には、車速に応じた車間距離を維持しながら先行車に追従するように速度制御され、先行車が存在しなくなると、再び設定車速に復帰するように速度制御される。
また、速度制限モードは、車両1の車速が速度標識による制限速度又は運転者によって設定された設定速度を超えないように、速度制御するモードであり、車両制御システム100による自動的な速度制御(エンジン制御)を伴う。制限速度は、車載カメラ21により撮像された速度標識や路面上の速度表示の画像データをECU10が画像認識処理することにより特定してもよいし、外部からの無線通信により受信してもよい。速度制限モードでは、運転者が制限速度を超えるようにアクセルペダルを踏み込んだ場合であっても、車両1は制限速度までしか増速されない。
また、基本制御モードは、運転者操作部35により、運転支援モードが選択されていないときのモード(オフモード)であり、車両制御システム100による自動的なステアリング制御及び速度制御は行われない。ただし、自動衝突防止制御は実行されるように構成されており、この制御において、車両1が先行車等に衝突する可能性がある場合には自動的にブレーキ制御が実行され、衝突が回避される。また、自動衝突防止制御は、先行車追従モード,自動速度制御,速度制限モードにおいても同様に実行される。
また、自動速度制御モード、速度制限モード、及び基本制御モードにおいても、後述する障害物回避制御(速度制御のみ、又は、速度制御及びステアリング制御)が更に実行される。
次に、本実施形態による車両制御システム100において計算される複数の走行経路について説明する。本実施形態では、ECU10が、以下の第1走行経路R1〜第3走行経路R3を時間的に繰返し計算するように構成されている(例えば、0.1秒毎)。本実施形態では、ECU10は、センサ等の情報に基づいて、現時点から所定期間(例えば、2〜4秒)が経過するまでの間の走行経路を計算する。走行経路Rx(x=1,2,3)は、走行経路上の車両1の目標位置(Px_k)及び目標速度(Vx_k)により特定される(k=0,1,2,・・・,n)。
なお、走行経路R1〜R3は、車両1が走行する走行路上又は走行路周辺の障害物(駐車車両、歩行者等を含む)に関する障害物情報(即ち時間的に状況が変動し得る情報)を考慮せずに、走行路の形状,先行車の走行軌跡,車両1の走行挙動,及び設定車速に基づいて計算される。このように、本実施形態では、障害物情報が計算に考慮されないので、これら複数の走行経路の全体的な計算負荷を低く抑えることができる。
第1走行経路R1は、走行車線の形状に即して車両1に走行車線内の理想経路上の走行を維持させるように所定期間分だけ設定される。詳しくは、第1走行経路R1は、直線区間では車両1が車線の中央付近の走行を維持するように設定され、カーブ区間では車両1が車線の幅方向中央よりも内側又はイン側(カーブ区間の曲率半径の中心側)を走行するように設定される。
ECU10は、車載カメラ21により撮像された車両1の周囲の画像データの画像認識処理を実行し、車線両端部を検出する。車線両端部は、上述のように、区画線(白線等)や路肩等である。更に、ECU10は、検出した車線両端部に基づいて、車線の車線幅及びカーブ区間の曲率半径を算出する。また、ナビゲーションシステム30の地図情報から車線幅及び曲率半径を取得してもよい。更に、ECU10は、画像データから速度標識や路面上に表示された制限速度を読み取る。なお、上述のように、制限速度を外部からの無線通信により取得してもよい。
ECU10は、直線区間では、車線両端部の幅方向の中央部を車両1の幅方向中央部(例えば、重心位置)が通過するように、第1走行経路R1の複数の目標位置P1_kを設定する。なお、本実施形態では、第1走行経路R1は、直線区間において、車両1が車線中央を走行するように設定されるが、これに限らず、運転者の運転特性(好み等)を反映させて、車線中央よりも所定のシフト量(距離)だけ幅方向に偏った車線中央付近に第1走行経路R1を設定するように構成してもよい。
一方、ECU10は、カーブ区間では、カーブ区間の長手方向の中央位置において、車線の幅方向中央位置からイン側への変位量を最大に設定する。この変位量は、曲率半径,車線幅,車両1の幅寸法(ECU10のメモリに格納された規定値)に基づいて計算される。そして、ECU10は、カーブ区間の中央位置と直線区間の幅方向中央位置とを滑らかにつなぐように第1走行経路R1の複数の目標位置P1_kを設定する。なお、カーブ区間への進入前後においても、直線区間のイン側に第1走行経路R1を設定してもよい。
第1走行経路R1の各目標位置P1_kにおける目標速度V1_kは、原則的に、運転者が運転者操作部35の設定車速入力部37によって又はシステム100によって予め設定された所定の設定車速(一定速度)に設定される。しかしながら、この設定車速が、速度標識等から取得された制限速度、又は、カーブ区間の曲率半径に応じて規定される制限速度を超える場合、走行経路上の各目標位置P1_kの目標速度V1_kは、2つの制限速度のうち、より低速な制限速度に制限される。さらに、ECU10は、車両1の現在の挙動状態(即ち、車速,加減速度,ヨーレート,操舵角,横加速度等)に応じて、目標位置P1_k,目標車速V1_kを適宜に補正する。例えば、現車速が設定車速から大きく異なっている場合は、車速を設定車速に近づけるように目標車速が補正される。
なお、第1走行経路R1は、原則的には車線両端部が検出される場合に用いられる走行経路であるため、車線両端部が検出されない場合には計算しなくてもよいが、車線両端部が検出されていないにもかかわらず第1走行経路R1が誤って選択された場合に備えて、代替的に以下のように計算してもよい。
この場合、車両1が車線の中央を走行していると仮定し、ECU10は、車両1の車速に応じて操舵角又はヨーレートを用いて仮想的な車線両端部を設定する。そして、ECU10は、仮想的に設定した車両両端部に基づいて、上記と同様に、直線区間であれば車線の中央を走行し、カーブ区間であれば車線のイン側を走行するように第1走行経路を計算する。
また、第2走行経路R2は、先行車の走行軌跡を追従するように所定期間分だけ設定される。ECU10は、車載カメラ21による画像データ,ミリ波レーダ22による測定データ,車速センサ23による車両1の車速に基づいて、車両1の走行する車線上の先行車の位置及び速度を継続的に計算して、これらを先行車軌跡情報として記憶し、この先行車軌跡情報に基づいて、先行車の走行軌跡を第2走行経路R2(目標位置P2_k、目標速度V2_k)として設定する。
本実施形態では、第2走行経路R2は、原則的には先行車が検出される場合に計算される走行経路であるため、先行車が検出されない場合には計算しなくてもよいが、先行車が検出されていないにもかかわらず第2走行経路R2が誤って選択された場合に備えて、代替的に以下のように計算してもよい。
この場合、ECU10は、車両1から車速に応じた所定距離だけ前方に先行車が走行していると仮定する。この仮想的な先行車は車両1と同じ走行挙動(車速,操舵角,ヨーレート等)を有するものとする。そして、ECU10は、仮想的な先行車を追従するように第2走行経路R2を計算する。
また、第3走行経路R3は、運転者による車両1の現在の運転状態に基づいて所定期間分だけ設定される。即ち、第3走行経路R3は、車両1の現在の走行挙動から推定される位置及び速度に基づいて設定される。
ECU10は、車両1の操舵角,ヨーレート,横加速度に基づいて、所定期間分の第3走行経路R3の目標位置P3_kを計算する。ただし、ECU10は、車線両端部が検出される場合、計算された第3走行経路R3が車線端部に接近又は交差しないように、目標位置P3_kを補正する。
また、ECU10は、車両1の現在の車速,加減速度に基づいて、所定期間分の第3走行経路R3の目標速度V3_kを計算する。なお、目標速度V3_kが速度標識等から取得された制限速度を超えてしまう場合は、制限速度を超えないように目標速度V3_kを補正してもよい。
次に、図2を参照して、本実施形態による車両制御システム100における運転支援モードと走行経路との関係について説明する。図2は、運転支援モードと目標走行経路との関係を示す説明図である。本実施形態では、運転者がモード選択スイッチ36を操作して1つの運転支援モードを選択すると、ECU10が、センサ等による測定データに応じて、第1走行経路R1〜第3走行経路R3のうち、いずれか1つを選択するように構成されている。即ち、本実施形態では、運転者がある運転支援モードを選択しても、必ず同じ走行経路が適用されるわけではなく、走行状況に応じた適切な走行経路が適用されるように構成されている。
先行車追従モードの選択時には、車線両端部が検出されていると、先行車の有無にかかわらず、第1走行経路が適用される。この場合、設定車速入力部37によって設定された設定車速が目標速度となる。なお、「車線両端部が検出されている」とは、経路計算に必要な車両前方の所定距離区間にわたって車線両端部が実質的に連続して存在すると判断されることを意味する。
一方、先行車追従モードの選択時において、車線両端部が検出されず、先行車が検出された場合、第2走行経路が適用される。この場合、目標速度は、先行車の車速に応じて設定される。また、先行車追従モードの選択時において、車線両端部が検出されず、先行車も検出されない場合、第3走行経路が適用される。よって、先行車追従モード選択中は、先行車の有無及び車線両端部の検出の可否に応じて、選択される走行経路が第1〜第3走行経路の中で時間的に切り替えられる。
また、自動速度制御モードの選択時には、第3走行経路が適用される。自動速度制御モードは、上述のように速度制御を自動的に実行するモードであり、設定車速入力部37によって設定された設定車速が目標速度となる。また、運転者によるステアリングホイールの操作に基づいてステアリング制御が実行される。このため、第3走行経路が適用されるが、運転者の操作(ステアリングホイール、ブレーキ)によっては、必ずしも第3走行経路に従って車両1が走行しない場合がある。
また、速度制限モードの選択時にも第3走行経路が適用される。速度制限モードも、上述のように速度制御を自動的に実行するモードであり、目標速度は、制限速度以下の範囲で、運転者によるアクセルペダルの踏み込み量に応じて設定される。また、運転者によるステアリングホイールの操作に基づいてステアリング制御が実行される。このため、自動速度制御モードと同様に、第3走行経路が適用されるが、運転者の操作(ステアリングホイール、ブレーキ、アクセル)によっては、必ずしも第3走行経路に従って車両1が走行しない場合がある。
また、基本制御モード(オフモード)の選択時には、第3走行経路が適用される。基本制御モードは、基本的に、速度制限モードにおいて制限速度が設定されない状態と同様である。
次に、図3及び図4を参照して、本実施形態による車両制御システム100において実行される障害物回避制御及びこれに伴う走行経路補正処理について説明する。図3は障害物回避制御の説明図、図4は障害物回避制御における障害物と車両との間のすれ違い速度の許容上限値とクリアランスとの関係を示す説明図である。
図3では、車両1は走行路(車線)7上を走行しており、走行路7の道路脇に駐車された別の車両3とすれ違って、車両3を追い抜こうとしている。なお、図3では、車両1のECU10は、走行路7の左側の境界線8L,右側の境界線8Rを検出している。
一般に、道路上又は道路付近の障害物(例えば、先行車、駐車車両、歩行者等)とすれ違うとき(又は追い抜くとき)、車両1の運転者は、進行方向に対して直交する横方向において、車両1と障害物との間に所定のクリアランス又は間隔(横方向距離)を保ち、且つ、車両1の運転者が安全と感じる速度に減速する。具体的には、先行車が急に進路変更したり、障害物の死角から歩行者が出てきたり、駐車車両のドアが開いたりするといった危険を回避するため、クリアランスが小さいほど、障害物に対する相対速度は小さくされる。
また、一般に、後方から先行車に近づいているとき、車両1の運転者は、進行方向に沿った車間距離(縦方向距離)に応じて速度(相対速度)を調整する。具体的には、車間距離が大きいときは、接近速度(相対速度)が大きく維持されるが、車間距離が小さくなると、接近速度は低速にされる。そして、所定の車間距離で両車両の間の相対速度はゼロとなる。これは、先行車が駐車車両であっても同様である。
このように、運転者は、障害物と車両1との間の距離(横方向距離及び縦方向距離を含む)と相対速度との関係を考慮しながら、危険を回避するように車両1を運転している。
そこで、本実施形態では、図3に示すように、車両1は、車両1から検知される障害物(例えば、駐車車両3)に対して、障害物の周囲に(横方向領域、後方領域、及び前方領域にわたって)又は少なくとも障害物と車両1との間に、車両1の進行方向における相対速度についての許容上限値を規定する2次元分布(速度分布領域40)を設定するように構成されている。速度分布領域40では、障害物の周囲の各点において、相対速度の許容上限値Vlimが設定されている。本実施形態では、すべての運転支援モードにおいて、障害物に対する車両1の相対速度が速度分布領域40内の許容上限値Vlimを超えることを防止するための障害物回避制御が実施される。
図3から分かるように、速度分布領域40は、障害物からの横方向距離及び縦方向距離が小さくなるほど(障害物に近づくほど)、相対速度の許容上限値が小さくなるように設定される。また、図3では、理解の容易のため、同じ許容上限値を有する点を連結した等相対速度線が示されている。等相対速度線a,b,c,dは、それぞれ許容上限値Vlimが0km/h,20km/h,40km/h,60km/hに相当する。
なお、速度分布領域40は、必ずしも障害物の全周にわたって設定されなくてもよく、少なくとも車両1が存在する障害物の横方向の一方側(図3では、車両3の右側領域)に設定されればよい。また、図3では、車両1が走行しない領域(走行路7の外部)にも速度分布領域40が示されているが、走行路7上のみに速度分布領域40を設定してもよい。更に、図3では、許容上限値が60km/hまでの速度分布領域40が示されているが、対向車線を走行する対向車とのすれ違いを考慮して、更に大きな相対速度まで速度分布領域40を設定することができる。
図4に示すように、車両1がある絶対速度で走行するときにおいて、障害物の横方向に設定される許容上限値Vlimは、クリアランスXがD0(安全距離)までは0(ゼロ)km/hであり、D0以上で2次関数的に増加する(Vlim=k(X−D02。ただし、X≧D0)。即ち、安全確保のため、クリアランスXがD0以下では車両1は相対速度がゼロとなる。一方、クリアランスXがD0以上では、クリアランスが大きくなるほど、車両1は大きな相対速度ですれ違うことが可能となる。
図4の例では、障害物の横方向における許容上限値は、Vlim=f(X)=k(X−D02で定義されている。なお、kは、Xに対するVlimの変化度合いに関連するゲイン係数であり、障害物の種類等に依存して設定される。また、D0も障害物の種類等に依存して設定される。
なお、本実施形態では、Vlimが安全距離を含み、且つ、Xの2次関数となるように定義されているが、これに限らず、Vlimが安全距離を含まなくてもよいし、他の関数(例えば、一次関数等)で定義されてもよい。また、図4を参照して、障害物の横方向の許容上限値Vlimについて説明したが、障害物の縦方向を含むすべての径方向について同様に設定することができる。その際、係数k、安全距離D0は、障害物からの方向に応じて設定することができる。
なお、速度分布領域40は、種々のパラメータに基づいて設定することが可能である。パラメータとして、例えば、車両1と障害物の相対速度、障害物の種類、車両1の進行方向、障害物の移動方向及び移動速度、障害物の長さ、車両1の絶対速度等を考慮することができる。即ち、これらのパラメータに基づいて、係数k及び安全距離D0を選択することができる。
また、本実施形態において、障害物は、車両,歩行者,自転車,崖,溝,穴,落下物,静止物(道路に配置された固定物や構造体)等を含む。更に、車両は、自動車,トラック,自動二輪で区別可能である。歩行者は、大人,子供,集団で区別可能である。
また、図3では、1つの障害物が存在する場合の速度分布領域が示されているが、複数の障害物が接近して存在している場合には、複数の速度分布領域が互いに重なり合う。このため、重なり合う部分では、図3に示したような略楕円形状の等相対速度線ではなく、より小さい許容上限値の方を優先して他方を除外するようにして、又は、2つの略楕円形を滑らかにつなげるようにして、等相対速度線が設定されることになる。
図3に示すように、車両1が走行路7上を走行しているとき、車両1のECU10は、車載カメラ21から画像データに基づいて障害物(車両3)を検出する。このとき、障害物の種類(この場合は、車両、歩行者)が特定される。
また、ECU10は、ミリ波レーダ22の測定データ及び車速センサ23の車速データに基づいて、車両1に対する障害物(車両3)の位置及び相対速度並びに絶対速度を算出する。なお、障害物の位置は、車両1の進行方向に沿ったy方向位置(縦方向距離)と、進行方向と直交する横方向に沿ったx方向位置(横方向距離)が含まれる。相対速度は、測定データに含まれる相対速度をそのまま用いてもよいし、測定データから進行方向に沿った速度成分を算出してもよい。また、進行方向に直交する速度成分は、必ずしも算出しなくてもよいが、必要であれば、複数の測定データ及び/又は複数の画像データから推定してもよい。
ECU10は、検知したすべての障害物(図3の場合、車両3)について、それぞれ速度分布領域40を設定する。そして、ECU10は、車両1の速度が速度分布領域40の許容上限値Vlimを超えないように障害物回避制御を行う。このため、ECU10は、障害物回避制御に伴い、運転者の選択した運転支援モードに応じて適用された目標走行経路を補正する。
即ち、目標走行経路を車両1が走行すると、ある目標位置において目標速度が速度分布領域40によって規定された許容上限値を超えてしまう場合には、回避モード選択スイッチ38により選択されている回避モード(直線優先モード,中間モード,速度優先モード等)に応じて、走行経路補正処理により目標走行経路Rが補正される。これら回避モードに応じて算出される補正目標走行経路Rc(Rc1〜Rc3)は、補正前の目標走行経路Rに対する横方向への回避距離が異なって設定される。
なお、先行車が存在する場合、この先行車も障害物(車両3)を回避して走行する。よって、先行車追従モードにおいて先行車が存在する場合、選択されている目標走行経路(第2走行経路)を走行することにより、車両1も障害物を安全に回避可能と想定される。よって、先行車追従モードにおいて先行車が存在する場合には、走行経路補正処理を実行しない構成を採用してもよい。
直線優先モードは、目標位置を変更することなく目標速度を低下させるモードである(図3の経路Rc1)。速度優先モードは、目標速度を変更することなく目標位置を変更するモードであり、即ち、目標速度(又は設定速度)が許容上限値を超えないように迂回経路上に目標位置が変更される(図3の経路Rc3)。中間モードは、目標位置及び目標速度の両方が変更されるモードであり、補正目標位置が直線優先モードと速度優先モードの補正目標位置の間に位置し、補正目標速度が直線優先モードと速度優先モードの補正目標速度の間の値となる(図3の経路Rc2)。
ただし、いずれの回避モード選択時においても、障害物との衝突及び車線からの逸脱が防止されるように走行経路補正処理が実行される。よって、直線優先モード選択時において障害物(車両3)に衝突するおそれがある場合には、障害物を回避するため、横方向の移動が最小になるように目標位置も変更される。また、速度優先モード選択時において車線7を逸脱するおそれがある場合には、車線逸脱しないように補正目標位置が設定され、目標速度からの速度低下が最小になるように補正目標速度が設定される。
例えば、図3は、計算されていた目標走行経路Rが、走行路7の幅方向の中央位置(目標位置)を60km/h(目標速度)で走行する経路であった場合を示している。この場合、前方に駐車車両3が障害物として存在するが、上述のように、目標走行経路Rの計算段階においては、計算負荷の低減のため、この障害物は考慮されていない。
目標走行経路Rを走行すると、車両1は、速度分布領域40の等相対速度線d,c,b,b,c,dを順に横切ることになる。即ち、60km/hで走行する車両1が等相対速度線d(許容上限値Vlim=60km/h)の内側の領域に進入することになる。したがって、直線優先モード選択時には、ECU10は、目標走行経路Rの各目標位置における目標速度を許容上限値Vlim以下に制限するように目標走行経路Rを補正して、補正後の目標走行経路Rc1を生成する。即ち、補正後の目標走行経路Rc1では、各目標位置において目標車速が許容上限値Vlim以下となるように、車両3に接近するに連れて目標速度が徐々に20km/h未満に低下し、その後、車両3から遠ざかるに連れて目標速度が元の60km/hまで徐々に増加される。
また、速度優先モード選択時に計算される目標走行経路Rc3は、目標走行経路Rの目標速度(60km/h)を変更せず、このため等相対速度線d(相対速度60km/hに相当)の外側を走行するように設定された経路である。ECU10は、車線逸脱のおそれがない限り、目標走行経路Rの目標速度を維持するため、目標位置が等相対速度線d上又はその外側に位置するように目標位置を変更するように目標走行経路Rを補正して、目標走行経路Rc3を生成する。したがって、目標走行経路Rc3の目標速度は、目標走行経路Rの目標速度であった60km/hに維持される。
また、中間モード選択時に計算される目標走行経路Rc2は、目標走行経路Rの目標位置及び目標速度の両方が変更された経路である。目標走行経路Rc2では、目標速度は、60km/hには維持されず、車両3に接近するに連れて徐々に40km/hまで低下し、その後、車両3から遠ざかるに連れて元の60km/hまで徐々に増加される。目標走行経路Rc2は、その目標位置及び目標速度が所定の条件を満たすように生成することができる。所定の条件とは、例えば、車両1の縦加減速度,横加速度がそれぞれ所定値以下であることや、走行路7から隣の車線への逸脱がないこと等である。
また、先行車追従モード,自動速度制御モード,速度制限モード,又は基本制御モードにおいて車両1が同一車線を走行中の先行車に追いついた場合にも、障害物回避制御が適用される。即ち、車両1が先行車に接近するにつれて、速度分布領域40の許容上限値Vlimに従って相対速度が小さくなるように車両1の車速が制限される。そして、車両1は、車両1と先行車の間の相対速度がゼロとなる等相対速度線aの位置での車間距離を維持しつつ先行車に追従する。
また、先行車追従モードにおいて、車線両端部の検出の可否及び先行車の有無にかかわらず、且つ、選択されている回避モードにかかわらず、運転者によりステアリングホイールが操作されると、ECU10は、障害物との衝突及び車線逸脱のおそれがないと判断する場合には、ステアリングホイール操作に基づく車両1の横方向移動を許容する。例えば、障害物から離れる方向にステアリングホイールが操作される場合や、車両1から車線の境界線までの横方向距離が所定距離以上の場合、障害物との衝突及び車線逸脱のおそれがないと判断される。
一方、ECU10は、ステアリングホイール操作により、障害物との衝突及び車線逸脱のおそれがあると判断する場合には、ステアリングホイールに操作方向とは逆方向のアシストトルクを加えて、ステアリングホイールの操作を抑制する。
次に、図5〜図7を参照して、本実施形態による車両制御システム100において実行される走行経路補正処理に含まれる接近処理について説明する。図5は直線優先モード選択時における接近処理後の補正目標走行経路の説明図、図6は中間モード選択時における接近処理後の補正目標走行経路の説明図、図7は速度優先モード選択時における接近処理後の補正目標走行経路の説明図である。
本実施形態では、走行車線の境界線が検出されていない場合には、走行経路補正処理において、接近処理が実行される。前出の図3では、追い抜きの際に車両1は車両3の右側を走行する。よって、車両3との衝突を回避するために、走行経路補正処理により計算される補正目標走行経路は、目標走行経路よりも横方向(右側)に位置する。しかしながら、図5〜図7では、車両1のECU10は、走行路7の境界線のうち、少なくとも車両3の右側に位置する境界線8Rを検出していない。よって、未検出の境界線8Rが考慮されない場合、補正目標走行経路が実際には境界線8Rを超えるおそれがある。
そこで、接近処理では、このような車線逸脱を防止するため、図3を参照して説明した補正目標走行経路(Rc1〜Rc3)を更に補正して、接近目標走行経路(Rc1_a〜Rc3_a)を算出する。即ち、境界線が検出されている場合(図3)に算出される補正目標走行経路と比べて、境界線が検出されていない場合(図5〜図7)に算出される接近目標走行経路は、横方向において車両3に近づくように計算される。
直線優先モード選択時に境界線(少なくとも境界線8R)が検出されていない場合、図5に示すように、接近目標走行経路Rc1_aが算出される。接近目標走行経路Rc1_aは、車両3の横方向位置において補正目標走行経路Rc1よりも車両3に接近する。図5の例では、横方向における車両1と車両3との最接近距離が所定接近距離(例えば50cm)である。所定接近距離は安全距離以上に設定されている。また、接近目標走行経路Rc1_aの(接近)目標速度は、速度分布領域40の許容上限値Vlimを超えないように再計算され、補正目標走行経路Rc1よりも小さく設定される。
また、中間モード選択時に境界線(少なくとも境界線8R)が検出されていない場合、図6に示すように、接近目標走行経路Rc2_aが算出される。接近目標走行経路Rc2_aは、車両3の横方向位置において補正目標走行経路Rc2よりも車両3により接近する。図6の例では、補正目標走行経路Rc2は、目標走行経路Rに対して、最大で回避距離L2だけ横方向に変位している。接近処理が実行されると、接近目標走行経路Rc2_aは、目標走行経路Rに対して、最大で接近回避距離L2_r(=d・L2)だけ横方向に変位するように設定される。この例では、係数dは0.25である。しかし、これに限らず、係数dを、0から1の間(0<c<1)で任意に設定することができる。また、(接近)目標位置の設定に伴い、各(接近)目標位置に対応する(接近)目標速度も速度分布領域40の許容上限値Vlimを超えないように再計算される。また、これに限らず、直線優先モードと同様に、横方向における車両1と車両3との最接近距離が所定接近距離となるように接近目標走行経路Rc2_aを計算してもよい(即ち、Rc2_a=Rc1_a)。
また、速度優先モード選択時に境界線(少なくとも境界線8R)が検出されていない場合、図7に示すように、接近目標走行経路Rc3_aが算出される。接近目標走行経路Rc3_aは、車両3の横方向位置において補正目標走行経路Rc3よりも車両3により接近する。図7の例では、補正目標走行経路Rc3は、目標走行経路Rに対して、最大で回避距離L3だけ横方向に変位している。接近処理が実行されると、接近目標走行経路Rc3_aは、目標走行経路Rに対して、最大で接近回避距離L3_r(=d・L3)だけ横方向に変位するように設定される。この例では、係数dは0.25である。しかし、これに限らず、係数dを、0から1の間(0<c<1)で任意に設定することができる。また、(接近)目標位置の設定に伴い、各(接近)目標位置に対応する(接近)目標速度も速度分布領域40の許容上限値Vlimを超えないように再計算される。また、これに限らず、直線優先モードと同様に、横方向における車両1と車両3との最接近距離が所定接近距離となるように接近目標走行経路Rc3_aを計算してもよい(即ち、Rc3_a=Rc1_a)。したがって、速度優先モードが選択されていても、境界線が検出されない場合には、接近目標走行経路Rc3_aは、車両1の現在の速度よりも小さい(接近)目標速度を含む。なお、上記係数dは、各回避モードにおいて同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
また、先行車追従モードにおいて、車線両端部の検出の可否及び先行車の有無にかかわらず、且つ、選択されている回避モードにかかわらず、運転者により、ステアリングホイールが操作されると、ECU10は、障害物との衝突のおそれがないと判断する場合には、ステアリングホイール操作に基づく車両1の横方向移動を許容する。例えば、障害物から離れる方向にステアリングホイールが操作される場合、障害物との衝突及び車線逸脱のおそれがないと判断される。しかしながら、これらの判断をすることなく、いずれの方向のステアリングホイールの操作も無効にして、ステアリングホイール操作に基づく車両1の横方向移動を禁止するように構成してもよい。
一方、ECU10は、ステアリングホイール操作により、障害物との衝突及び車線逸脱のおそれがあると判断する場合には、ステアリングホイールに操作方向とは逆方向のアシストトルクを加えて、ステアリングホイールの操作を抑制する。
次に、図8及び図9を参照して、本実施形態の車両制御システム100における運転支援制御の処理フローを説明する。図8は運転支援制御の処理フローであり、図9は走行経路補正処理の処理フローである。
ECU10は、図8の処理フローを所定時間(例えば、0.1秒)ごとに繰り返して実行している。まず、ECU10は、情報取得処理を実行する(S11)。情報取得処理において、ECU10は、測位システム29及びナビゲーションシステム30から、現在車両位置情報及び地図情報を取得し(S11a)、車載カメラ21,ミリ波レーダ22,車速センサ23,加速度センサ24,ヨーレートセンサ25,運転者操作部35等からセンサ情報を取得し(S11b)、操舵角センサ26,アクセルセンサ27,ブレーキセンサ28,把持センサ34等からスイッチ情報を取得する(S11c)。
次に、ECU10は、情報取得処理(S11)において取得した各種の情報を用いて所定の情報検出処理を実行する(S12)。情報検出処理において、ECU10は、現在車両位置情報及び地図情報並びにセンサ情報から、車両1の周囲及び前方エリアにおける走行路形状に関する走行路情報(直線区間及びカーブ区間の有無,各区間長さ,カーブ区間の曲率半径,車線幅,車線両端部位置,車線数,交差点の有無,カーブ曲率で規定される制限速度等)、走行規制情報(制限速度、赤信号等)、障害物情報(先行車や障害物の有無,位置,速度等)、先行車軌跡情報(先行車の位置及び速度)を検出する(S12a)。
また、ECU10は、スイッチ情報から、運転者による車両操作に関する車両操作情報(操舵角,アクセルペダル踏み込み量,ブレーキペダル踏み込み量,ステアリングホイールの把持力等)を検出し(S12b)、更に、スイッチ情報及びセンサ情報から、車両1の挙動に関する走行挙動情報(車速、加減速度、横加速度、ヨーレート等)を検出する(S12c)。
次に、ECU10は、計算により得られた情報に基づいて、走行経路計算処理を実行する(S13)。走行経路計算処理では、上述のように、第1走行経路の計算処理(S13a)、第2走行経路の計算処理(S13b)、第3走行経路の計算処理(S13c)がそれぞれ実行される。
第1走行経路計算処理では、ECU10は、設定車速,車線両端部,車線幅,制限速度,車速,加減速度,ヨーレート,操舵角,横加速度等に基づいて、直線区間では車線中央付近を走行するように、カーブ区間では旋回半径が大きくなるようにカーブのイン側を走行するように、且つ、設定車速,交通標識による制限車速,及びカーブ曲率により規定される制限車速のうち最も低速な速度を上限速度とするように、所定期間分(例えば、2〜4秒)の走行経路R1(目標位置P1_k及び目標速度V1_k)を計算する。
また、第2走行経路計算処理では、ECU10は、センサ情報等から取得した先行車の先行車軌跡情報(位置及び速度)から、先行車と車両1との間に所定の車間距離を維持しつつ、車間距離を走行する時間分だけ遅れて先行車の挙動(位置及び速度)に追従するように、所定期間分の走行経路R2を計算する。
また、第3走行経路計算処理では、ECU10は、車両操作情報,走行挙動情報等に基づいて、現在の車両1の挙動から推定される所定期間分の走行経路R3を計算する。
次に、ECU10は、計算した3つの走行経路から1つの目標走行経路を選択する走行経路選択処理を実行する(S14)。この処理では、ECU10は、上述のように、運転者がモード選択スイッチ36により選択している運転支援モードに加えて、車線両端部の検出の可否、先行車の有無に基づいて、1つの目標走行経路を選択する(図2参照)。
更に、ECU10は、選択した目標走行経路の補正処理を実行する(S15)。この走行経路補正処理では、ECU10は、障害物情報(例えば、図3に示した駐車車両3)に基づいて、図3,図5〜図7を参照して上述したように、目標走行経路を補正する。走行経路補正処理では、原則的に選択されている運転支援モードに応じて、速度制御及び/又はステアリング制御により、車両1に障害物を回避させる、又は先行車を追従させるように、走行経路が補正される。
次に、ECU10は、選択されている運転支援モードに応じて、車両1が最終的に算出された走行経路上を走行するように、該当する制御システム(エンジン制御システム31,ブレーキ制御システム32,ステアリング制御システム33)へ要求信号を出力する(S16)。
次に、図9を参照して、図8の走行経路補正処理(S15)の詳細な処理フローを説明する。
まず、ECU10は、障害物情報から車両1の前方に障害物が存在するか否かを判定する(S21)。障害物が存在しない場合(S21;No)、ステップS14で選択された目標走行経路を補正することなく処理を終了する。一方、障害物が存在する場合(S21;Yes)、ECU10は、検出した障害物に対して速度分布領域を設定し(S22)、更に回避モード選択信号を読み込む(S23)。ECU10は、回避モード選択信号により、回避モードを特定する。
次に、ECU10は、走行路情報から走行車線の両側の境界線が検出されているか否かを判定する(S24)。なお、ステップS24では、目標走行経路の両側の境界線のうち、障害物が存在しない側の境界線(即ち、障害物に対して目標走行経路が存在する側の境界線、又は、車両1が逸脱するおそれがある回避側の境界線)のみを検出対象としてもよい。即ち、目標走行経路に対して障害物が存在する側(障害物に対して目標走行経路が存在しない側)の境界線の検出の可否は判定しなくてもよい。
境界線が検出されている場合(S24;Yes)、ECU10は、補正目標走行経路を算出して(S25)、処理を終了する。即ち、ECU10は、図3を参照して説明したように、ステップS14で選択された目標走行経路Rの目標速度が、速度分布領域の許容上限値を超えないように、選択されている回避モードに応じて目標走行経路Rを補正して、補正目標走行経路を算出する。なお、上述のように、先行車追従モードで先行車が存在している場合には、ECU10は、目標走行経路R(第2走行経路)を補正することなくそのまま出力してもよい。
一方、境界線が検出されていない場合(S24;No)、ECU10は、接近目標走行経路を算出して(S27)、処理を終了する。即ち、ECU10は、図5〜図7を参照して説明したように、選択されている回避モードに応じて、補正目標走行経路よりも障害物に接近する接近目標走行経路を算出する。なお、上述のように、先行車追従モードで先行車が存在している場合には、ECU10は、目標走行経路R(第2走行経路)を補正することなくそのまま出力してもよい。
なお、ステップS27において、選択されている回避モードにかかわらず、直線優先モードを選択されている回避モードとして、接近目標走行経路を算出するように構成してもよい。
次に、図10〜図13を参照して、本実施形態の車両制御システムの改変例について説明する。図10は直線優先モード選択時における制限処理後の補正目標走行経路の説明図、図11は中間モード選択時における制限処理後の補正目標走行経路の説明図、図12は速度優先モード選択時における制限処理後の補正目標走行経路の説明図、図13は走行経路補正処理の処理フローである。
上記実施形態では、通常の補正目標走行経路算出処理(S25)又は接近処理(S27)が選択的に実施されるのに対し、この改変例では、さらに制限処理(図13のS28)を加えた3つの処理から1つの処理が選択的に実施される。
制限処理も接近処理と同様に、車線の境界線が検出されない場合に車線逸脱を防止するためのものである。制限処理は、補正目標走行経路(Rc1〜Rc3)を更に補正して、制限目標走行経路(Rc1_r〜Rc3_r)を算出する。即ち、境界線が検出されている場合に算出される補正目標走行経路(図3)と比べて、境界線が検出されていない場合に算出される制限目標走行経路(図10〜図12)は、目標走行経路Rに対する横方向の移動距離(回避距離)が小さく制限される。
直線優先モード選択時に境界線(少なくとも境界線8R)が検出されていない場合、図10に示すように、制限目標走行経路Rc1_rが算出される。図10の例では、目標走行経路R上の目標位置が車両3から少なくとも安全距離以上離れているので、補正目標走行経路Rc1は、目標走行経路Rに対して横方向へ移動されていない。ただし、補正目標走行経路Rc1の(補正)目標速度は、速度分布領域40の許容上限値Vlimを超えないように再計算される。よって、この例では、制限目標走行経路Rc1_rも、補正目標走行経路Rc1に対して横方向位置を変更する必要が無い。
一方、車両3との衝突を回避するために、補正目標走行経路Rc1が目標走行経路Rに対して所定の回避距離だけ横方向へ移動されている場合には、制限目標走行経路Rc1_rは、各目標位置の横方向の回避距離が補正目標走行経路Rc1よりも小さく制限される。例えば、車両3に対して安全距離以上離間する限りにおいて、制限目標走行経路Rc1_rの制限された回避距離を、対応する各目標位置において、補正目標走行経路Rc1の目標走行経路Rに対する回避距離に係数c(0<c<1)を乗じた値に設定することができる。また、これに限らず、各目標位置における回避距離を、所定値(例えば、50cm)以下に制限してもよい(回避距離≦所定値)。この場合、回避距離が所定値を超えていなければ制限目標走行経路Rc1_rは補正目標走行経路Rc1から変更されない。
また、中間モード選択時に境界線(少なくとも境界線8R)が検出されていない場合、図11に示すように、制限目標走行経路Rc2_rが算出される。図11の例では、補正目標走行経路Rc2は、目標走行経路Rに対して、最大で回避距離L2だけ横方向に変位している。制限処理が実行されると、制限目標走行経路Rc2_rは、目標走行経路Rに対して、最大で制限回避距離L2_r(=c・L2)だけ横方向に変位するように設定される。この例では、係数cは0.5である。しかし、これに限らず、係数cを、0から1の間(0<c<1)で任意に設定することができる。また、(制限)目標位置の設定に伴い、各(制限)目標位置に対応する(制限)目標速度も速度分布領域40の許容上限値Vlimを超えないように再計算される。また、これに限らず、直線優先モードと同様に、各目標位置における回避距離を、所定値(例えば、50cm)以下に制限してもよい(回避距離≦所定値)。この場合、回避距離が所定値を超えていなければ制限目標走行経路Rc2_rは補正目標走行経路Rc2から変更されない。
また、速度優先モード選択時に境界線(少なくとも境界線8R)が検出されていない場合、図12に示すように、制限目標走行経路Rc3_rが算出される。図12の例では、補正目標走行経路Rc3は、目標走行経路Rに対して、最大で回避距離L3だけ横方向に変位している。これに対して、制限処理が実行されることにより、制限目標走行経路Rc3_rは、目標走行経路Rに対して、最大で制限回避距離L3_r(=c・L3)だけ横方向に変位するように設定される。係数cは中間モード選択時の係数と同様である。また、(制限)目標位置の設定に伴い、各(制限)目標位置に対応する(制限)目標速度も速度分布領域40の許容上限値Vlimを超えないように再計算される。したがって、速度優先モードが選択されていても、境界線が検出されない場合には、制限目標走行経路Rc3_rは、車両1の現在の速度よりも小さい(制限)目標速度を含む。また、直線優先モードと同様に、各目標位置における回避距離を、所定値(例えば、50cm)以下に制限してもよい(回避距離≦所定値)。この場合、回避距離が所定値を超えていなければ制限目標走行経路Rc3_rは補正目標走行経路Rc3から変更されない。
なお、上記係数cは、各回避モードにおいて同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。また、回避距離の上限値を規定する上記所定値は、各回避モードにおいて同じ値(例えば、50cm)であってもよいし、異なる値(直進優先モード:30cm、中間モード:40cm、速度優先モード:50cm)であってもよい。
本実施形態では、接近目標走行経路(図5〜図7参照)と制限目標走行経路(図10〜図12参照)を、各回避モードで比較すると、制限目標走行経路よりも接近目標走行経路の方が、より障害物(車両3)に接近した経路(より境界線から離れた経路)を走行することになる。このため、車両1が制限目標走行経路に沿って走行するよりも、接近目標走行経路に沿って走行する方が、車両3を追い抜く際により減速されるが、車線7を逸脱するおそれはより低減される。
次に、図13を参照して、改変例にかかる走行経路補正処理(S15)の詳細な処理フローを説明する。
ステップS21〜S25は、図9と同様であるので、重複する説明は省略する。
ステップS24において、境界線が検出されていない場合(S24;No)、ECU10は、センサ情報又はスイッチ情報に基づいて、所定条件が成立しているか否かを判定する(S26)。
所定条件が成立している場合(S26;Yes)、ECU10は、接近目標走行経路を算出して(S27)、処理を終了する。即ち、ECU10は、図5〜図7を参照して説明したように、選択されている回避モードに応じて、補正目標走行経路よりも障害物に接近した接近目標走行経路を算出する。なお、上述のように、先行車追従モードで先行車が存在している場合には、ECU10は、目標走行経路R(第2走行経路)を補正することなくそのまま出力してもよい。
所定条件は、例えば、障害物が静止物であるか否か、車両1の車速(絶対速度)が所定速度(例えば、30km/h)以下であるか否か、運転者がステアリングホイールを握っていないか握っているか(ステアリングホイールの把持力が所定値以下か否か)、又はこれらの組み合わせである。即ち、これら条件が成立している場合、車両1はより障害物に接近した経路を走行することが可能である。
例えば、障害物が静止物(例えば、停車車両,電柱等)である場合は、障害物が動かないため接近しても衝突するおそれが低い。また、車速が所定速度以下の低速である場合は、障害物への接近に伴う車両1の減速幅が小さく、運転者に違和感を与えにくい。また、運転者がステアリングホイールを握っていない場合は、車線逸脱を確実に防止する必要がある。なお、運転者がステアリングホイールを握っている場合は、車線逸脱防止のための運転者自身による回避操作(操舵)が期待される。よって、これらの場合には、障害物により接近する接近目標走行経路を走行することにより、確実に車線逸脱を回避することができる。
一方、所定条件が成立していない場合(S26;No)、ECU10は、制限目標走行経路を算出して(S28)、処理を終了する。即ち、ECU10は、図10〜図12を参照して説明したように、選択されている回避モードに応じて、補正目標走行経路の横方向の回避距離を小さく設定した制限目標走行経路を算出する。なお、上述のように、先行車追従モードで先行車が存在している場合には、ECU10は、目標走行経路R(第2走行経路)を補正することなくそのまま出力してもよい。
なお、ステップS27において、選択されている回避モードにかかわらず、直線優先モードを選択されている回避モードとして、制限目標走行経路を算出するように構成してもよい。
次に、本実施形態の車両制御システムの作用について説明する。
本実施形態は、車両1が走行する車線7の目標走行経路Rを設定する車両制御装置(ECU10)であって、目標走行経路Rは、目標位置及び目標速度を含み、車線7上に障害物(車両3)が存在する場合(S21;Yes)、障害物3と車両1との間に、障害物3に対する車両1の相対速度の許容上限値Vlimの分布を規定する速度分布領域40を設定し、車両1の相対速度が許容上限値Vlimを超えず、且つ、車両1が障害物3を回避するように、目標走行経路Rを補正して補正目標走行経路Rcを計算する走行経路補正処理(S15)を実行するように構成されており、走行経路補正処理は、車線7の境界線(8L,8R)が検出されていない場合(S24;No)には、境界線が検出されている場合(S24;Yes)と比べて、横方向において障害物3に近づくように補正目標走行経路(接近目標走行経路Rc1_a〜Rc3_a)を計算する接近処理(S27)を含むことを特徴とする。
これにより本実施形態では、車線7の境界線が検出されていない場合には、境界線が検出されている場合よりも障害物3に近づくように、補正目標走行経路が計算される。これにより、車線7の境界線が検出されていない場合であっても、障害物3を回避しつつ、車両1が車線を逸脱するおそれを低減することができる。
また、本実施形態では、走行経路補正処理(S15)は、車線7の境界線が検出されていない場合(S24;No)には、境界線が検出されている場合(S24;Yes)と比べて、目標走行経路Rに対する横方向への回避距離(L2_r,L3_r)が小さく制限された補正目標走行経路(制限目標走行経路Rc1_r〜Rc3_r)を計算する制限処理(S28)を更に含み、所定条件に応じて、接近処理と制限処理のいずれかが実行される。
これにより本実施形態では、所定条件に応じて接近処理と制限処理のいずれかにより補正目標走行経路を計算することができる。
また、本実施形態では、所定条件は、障害物の種類であり、障害物が静止物の場合には接近処理(S27)が実行される。静止物(例えば、停車車両、電柱等)の場合は、障害物3に接近しても衝突のおそれは極めて低い。よって、この場合は、接近処理(S27)を実行することにより、障害物により近づくように補正目標走行経路(接近目標走行経路)を計算することができる。
また、本実施形態では、所定条件は、車両1の車速であり、車両1の車速が所定車速(例えば、30km/h)以下の場合には接近処理(S27)が実行される。車両1が障害物3に接近する際に速度分布領域40に基づいて車速が減速されるが、車速が所定車速以下の低速の場合には減速幅が小さい。よって、この場合は、運転者に違和感を与えることなく、車線逸脱のおそれを低減することができる。
また、本実施形態では、所定条件は、車両1のステアリングホイールに対する把持力の大きさであり、把持力が所定値以下の場合には接近処理(S27)が実行される。運転者がステアリングホイールを握っていない場合には、運転者自身の操舵による車線逸脱回避操作が期待できない。よって、この場合は、接近処理(S27)により、障害物3により近づく補正目標走行経路(接近目標走行経路)を計算することにより、車線逸脱のおそれを抑制することができる。
1 車両
3 車両(障害物)
7 車線(走行路)
8L,8R 境界線
40 速度分布領域
100 車両制御システム
a,b,c,d 等相対速度線
R 目標走行経路
Rc1〜Rc3 補正目標走行経路
Rc1_a〜Rc3_a 接近目標走行経路
Rc1_r〜Rc3_r 制限目標走行経路

Claims (5)

  1. 車両が走行する車線の目標走行経路を設定する車両制御装置であって、
    前記目標走行経路は、目標位置及び目標速度を含み、
    前記車線上に障害物が存在する場合、前記障害物と前記車両との間に、前記障害物に対する前記車両の相対速度の許容上限値の分布を規定する速度分布領域を設定し、この速度分布領域における許容上限値は前記障害物から距離が離れるほど大きくなるように設定され、前記速度分布領域内において前記車両の相対速度が前記許容上限値を超えず、且つ、前記車両が前記障害物を回避するように、前記目標走行経路を補正して前記速度分布領域内を前記車両が走行するための補正目標走行経路を計算する走行経路補正処理を実行するように構成されており、
    前記走行経路補正処理は、前記車線の境界線が検出されていない場合には、前記補正目標走行経路よりも横方向において前記障害物に近づくように補正目標走行経路を更に補正して接近目標走行経路を計算する接近処理を含む、車両制御装置。
  2. 前記走行経路補正処理は、前記車線の境界線が検出されていない場合には、前記目標走行経路に対する横方向への回避距離が前記補正目標走行経路よりも小さく制限された制限目標走行経路を計算する制限処理を更に含み、前記接近目標走行経路の方が前記制限目標走行経路よりも前記障害物に接近した経路であり、
    所定条件に応じて、前記接近処理と前記制限処理のいずれかが実行される、請求項1に記載の車両制御装置。
  3. 前記所定条件は、前記障害物の種類であり、
    前記障害物が静止物の場合には前記接近処理が実行される、請求項2に記載の車両制御装置。
  4. 前記所定条件は、前記車両の車速であり、
    前記車両の車速が所定車速以下の場合には前記接近処理が実行される、請求項2に記載の車両制御装置。
  5. 前記所定条件は、前記車両のステアリングホイールに対する把持力の大きさであり、
    前記把持力が所定値以下の場合には前記接近処理が実行される、請求項2に記載の車両制御装置。
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