JP7222801B2 - トマトソースフィリング - Google Patents

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Description

本発明はパンやケーキの食品に内包されるフィリング、特にトマトソースフィリング及びそれを用いた食品に関する。
フィリングとは、パンやケーキなどの食品に内包されるものであり、カレー、小豆餡、チョコレートなど様々なものがあり、求められる性質も様々である。
パン、中華まんじゅう、カルツォーネ、パイなどの外包生地に包入するフィリングとして、トマトソースフィリングがある。トマトソースフィリングは、トマトのフレッシュ感が求められるが、フレッシュ感を残そうとすると水分が多くなる。水分が多いフィリングの場合、調理の際に加熱されて高温になったフィリングが外包生地に染み出たり、あるいは外部に流れ出したりすることがあり問題となる。本明細書において水分の多いフィリングとは、フィリングの全質量に対し65質量%程度以上の水分を含むものである。
また、フィリングが包餡された食品を冷凍した調理済み食品を、電子レンジ等を用いて加熱した際、フィリングの一部が融解して水分が外包生地に染み込むことがある。
外包生地への染み込みを防ぐため、フィリングの配合に多量の澱粉や増粘多糖類を使用して粘度をつける方法が知られている。
例えば、特許文献1には、フィリングや餡、カレー等のソース類において、脱アシル型ジェランガムと寒天とアルカリ金属塩を配合することで、他の食材へ染み出したり、あるいは外部に流れ出したりすることがなく、食感が保たれると記載されている。しかし、ガムや寒天を使用すると不自然な食感になるため好ましくない。
また、特許文献2には、ゼラチン、ジェランガム及び澱粉を含むフィリングであり、包餡、成型時に外包生地にゼリー液が染み込まず、包餡、成型後はフィリングとしてゼリー状となるゲル状フィリング、その製造方法、ゲル状フィリング用ゲル化剤、及びゲル状フィリングを含む食品について記載されている。この方法によれば、外包生地への染み込みは防止されるが、フィリングがゼリー状となるため食感が悪くなる。
また、多量の澱粉等を加えると粘りが強くなり、あるいは糊状となって口当たりが悪く、不自然な食感になるという問題がある。
特開2016-123376号公報 特開2015-223147号公報
本発明が解決しようとする課題は、フィリングが内包されたパンなどの食品を高温で加熱調理したとき、フィリングが外包生地に染み出たり、あるいは外部に漏出したりすることがないような包餡適性を有し、一方でトマトの風味を維持して、自然な食感と見た目が保たれているトマトソースフィリングを提供することである。
本発明の更なる課題は、レトルト処理耐性並びに冷凍処理耐性があるトマトソースフィリングを提供することである。本明細書においてレトルト処理耐性とは、レトルト処理(121℃30分間)によってゲル状とならないことを意味する。冷凍処理耐性とは、焼成品に冷凍・解凍処理を施しても食感がぼそつかないことを意味する。
上記課題が、トマトソースフィリングの製造において、乾燥玉ねぎと所定量の加工澱粉を配合することにより解決されることを本発明者は見いだした。
すなわち、本発明は以下を提供する。
(1)少なくとも、トマト原料、化学変性又は酵素変性された加工澱粉、乾燥玉ねぎ、及び水を原料とするトマトソースフィリングの製造方法であって、トマトソースフィリングの原料混合物に対し、化学変性又は酵素変性された加工澱粉を2~4質量%、及び乾燥玉ねぎを6~9質量%添加することを特徴とするトマトソースフィリングの製造方法。
(2)トマト原料としてトマトピューレを含み、トマトソースフィリングの原料混合物に対し、前記トマトピューレを30~80質量%添加することを特徴とする、(1)記載のトマトソースフィリングの製造方法。
(3)化学変性又は酵素変性された加工澱粉、乾燥玉ねぎ及び水以外の原料を混合し、その後、化学変性又は酵素変性された加工澱粉、乾燥玉ねぎ及び水を添加することを特徴とする、(1)または(2)記載のトマトソースフィリングの製造方法。
(4)化学変性又は酵素変性された加工澱粉、乾燥玉ねぎ及び水を添加した後、80~90℃になるまで加熱することを特徴とする、(3)記載のトマトソースフィリングの製造方法。
(5)加熱された混合物をレトルト袋に充填し、レトルト処理を行うことを特徴とする、(4)記載のトマトソースフィリングの製造方法。
(6)(1)~(5)のいずれか1に記載の製造方法によりトマトソースフィリングを製造し、生地に前記トマトソースフィリングを包餡させることを含む、トマトソースフィリングを包餡した生地の製造方法。
(7)(6)記載の製造方法により製造されたトマトソースフィリングを包餡した生地を焼成し、冷凍することを特徴とする、トマトソースフィリングを包餡した冷凍食品の製造方法。
(8)少なくとも、トマト原料、化学変性又は酵素変性された加工澱粉、乾燥玉ねぎ、及び水を含み、前記化学変性又は酵素変性された加工澱粉を2~4質量%の量で、及び前記乾燥玉ねぎを6~9質量%の量で含む原料混合物を加熱し、レトルト処理したトマトソースフィリングであって、ボストウィック型粘度計で測定した30秒間の移動距離により表される粘度(20℃)が0.5~2.5cmである、トマトソースフィリング。
(9)(8)記載のトマトソースフィリングが包餡された生地。
(10)生地が、パン、中華まんじゅう、カルツォーネ、パイ、タコス、ブリトー、及びトルティーヤからなる群から選択される食品用の生地である、(9)記載の生地。
(11)(9)または(10)記載の生地を焼成してなる食品。
(12)(11)記載の食品を冷凍してなる冷凍食品。
本発明の製造方法により製造されたトマトソースフィリングは、調合し、さらにレトルト処理した後も粘度を維持することができる。また本発明の製造方法により製造されたトマトソースフィリングを包餡した生地は、焼成などの加熱調理時に、トマトソースフィリングの外包生地への染み込みがない。さらに滑らかな食感、自然な見た目を維持でき、風味も劣らないトマトソースフィリングを与える。
本発明のトマトソースフィリングの製造方法は、少なくとも、トマト原料、化学変性又は酵素変性された加工澱粉、乾燥玉ねぎ、及び水を含むトマトソースフィリングの原料混合物に対し、化学変性又は酵素変性された加工澱粉を2~4質量%、及び乾燥玉ねぎを6~9質量%添加することを特徴とする。
本明細書において「トマトソースフィリング」とは、例えば、パン(特に惣菜パン)、中華まんじゅう、カルツォーネ、パイ、タコス、ブリトー、トルティーヤ、などの食品類のフィリングとして用いられるものであるが、これらに限定されるものではない。「トマトソースフィリング」には、フレッシュトマト、トマト缶詰(水煮)、トマトジュース、トマトピューレ、等のトマト原料を用いたソース全般を含み、ボロネーゼフィリング、ピザ用フィリングなども含まれる。また、カレー粉やスパイスなどを入れて味を変えたものも含まれる。
本明細書において「化学変性又は酵素変性された加工澱粉」は、澱粉類を化学変性又は酵素変性させたものである。加工澱粉の原料の澱粉類としては特に限定されるものではなく、例えば、イモ類澱粉(馬鈴薯、タピオカ、甘藷など)、穀類澱粉(小麦、ワキシーコーンスターチ、コーンスターチ、米など)、豆類澱粉(エンドウ豆、そら豆、インゲン豆など)などが挙げられる。
本発明において加工澱粉は、好ましくはヒドロキシプロピル化リン酸架橋、ヒドロキシプロピル化、アセチル化等の化学変性させた加工澱粉である。より好ましくはイモ類又は穀類澱粉をヒドロキシプロピル化リン酸架橋、アセチル化アジピン酸架橋、ヒドロキシプロピル化、リン酸架橋、ヒドロキシプロピルリン酸化、アセチル化等の化学変性させた加工澱粉である。
本発明の加工澱粉を適量用いると、121℃、30分の条件でフィリングをレトルト処理した時、処理の前と後でフィリングの粘度を同程度に維持することが可能である。このようなレトルト耐性を有することにより、本発明の課題を解決することができると考えられる。
本発明において、加工澱粉の添加量は、トマトソースフィリング製造のための原料混合物全質量に対し2~4質量%であり、好ましくは3~4質量%である。
加工澱粉が2~4質量%であればフィリングが外包生地に染み込まず、さらに固いゲル状とならず、滑らかさのある食感となる。
乾燥玉ねぎとは、水分を10質量%以下にまで低下するように乾燥させた玉ねぎである。乾燥玉ねぎの形態は、パウダー状のもの、2~4mmのダイス状のもの、それより大きいダイス状のものなどあるが、いずれも使用できる。好ましくは2~4mmのダイス状のものである。
トマトソースフィリング製造のための原料混合物全質量に対して、乾燥玉ねぎの添加量は6~9質量%であり、好ましくは7~8質量%である。乾燥玉ねぎが6質量%以上であれば外包生地に染み込まず、また9質量%以下であれば固いゲル状とならず、滑らかさのある食感となる。
本発明のトマトソースフィリングの主たる原料は、化学変性又は酵素変性された加工澱粉及び乾燥玉ねぎに加えて、トマト原料、好ましくはフレッシュトマト、トマト缶詰(水煮)、トマトジュース、トマトピューレ、等のトマト原料を含む。さらに好ましくは、水分量が60~90質量%程度のトマトピューレである。トマトピューレを使用しない場合には、トマト原料の水分量により、水の添加量を調節する。
トマトピューレを含む場合、その添加量は、トマトソースフィリング原料混合物全質量に対して、30~80質量%であり、より好ましくは40~70質量%であり、さらに好ましくは40~60質量%である。
水分の合計量(トマト原料中の水分量を含む)は、トマトソースフィリングの原料混合物全質量に対して、65質量%以上であることが好ましく、65~70質量%であることがより好ましい。フィリング中の水分量の測定方法としては、加熱乾燥法(105℃、2時間)により行うことができる。より具体的には、秤量缶に試料を5gとり、105℃で2時間加熱した後、デシケーター内で室温まで自然冷却して質量を測定し、乾燥前の質量との差を求めることにより算出することができる。
本発明のトマトソースフィリングは次の成分を含んでいてもよい。これらの成分は、それぞれ単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
・油脂
油脂は特に限定なく使用でき、例えば植物性油脂、動物性油脂、硬化油脂、粉末油脂等が使用できる。例えば、大豆油、菜種油、サラダ油、米油などである。油脂を用いる場合には、トマトソースフィリングの原料混合物全質量に対し、2~6質量%程度であることが好ましい。
・増粘剤
増粘剤は特に限定なく使用でき、例えばキサンタンガム、グァガム、タラガム、タマリンドガムなどが使用できるが、外観や食味の観点から出来る限り使用量を低減することが好ましい。より具体的には、トマトソースフィリングの原料混合物全質量に対し、0.04~0.07質量%であることが好ましい。
・糖類
糖類は特に限定なく使用でき、グルコースやフルクトース等の単糖類、ショ糖(上白糖、グラニュー糖、三温糖、氷砂糖等の分蜜糖、黒糖等の含蜜糖)やラクトース等の二糖類など食用に供される甘味性の粉末糖であれば何れも使用することができる。糖類を用いる場合には、トマトソースフィリングの原料混合物全質量に対し、15質量%以下であることが好ましく、7~13質量%程度であることがより好ましい。
・その他
必要に応じて、色素、調味料、香料などの副資材や添加物を使用することができる。
本発明のトマトソースフィリングの製造方法は、化学変性又は酵素変性された加工澱粉を2~4質量%、乾燥玉ねぎを6~9質量%添加することを特徴とする。
さらに好ましい態様では、以下の方法が挙げられる。
(a)原料混合物を撹拌する。このとき材料の添加する順番はいずれでもよい。
例えば、化学変性又は酵素変性された加工澱粉、乾燥玉ねぎ及び水以外の原料を混合し、その後、化学変性又は酵素変性された加工澱粉、乾燥玉ねぎ及び水を添加する。
(b)工程(a)の混合物を加熱する。加熱する方法はいずれの方法でもよいが、例えばニーダーを用いて、80~90℃になるまで加熱し、3~5分程度維持する。
(c)工程(b)で加熱されたソースをレトルト袋に充填し、レトルト処理を行う。
本発明の他の態様として、少なくとも、トマト原料、化学変性又は酵素変性された加工澱粉、乾燥玉ねぎ、及び水を含み、前記化学変性又は酵素変性された加工澱粉を2~4質量%の量で、及び前記乾燥玉ねぎを6~9質量%の量で含む原料混合物を加熱し、レトルト処理したトマトソースフィリングであって、ボストウィック型粘度計で測定した30秒間の移動距離により表される粘度(20℃)が0~2.5cmであるトマトソースフィリングを提供する。
ボストウィック型粘度計で測定した30秒間の移動距離により表される粘度(20℃)が0~2.5cmであることが好ましく、0.3~2.5cmであることがより好ましく、0.5~2cmであることがさらにより好ましい。
上述のとおり製造した本発明のトマトソースフィリングを、各生地に包餡することにより、トマトソースフィリングを包餡した生地を製造することができる。
本明細書において「生地」とは、本発明のトマトソースフィリングを包餡するための、小麦粉、米粉、大豆粉などの穀粉あるいは澱粉を主体とした食材に、水及びその他の材料を加えて混合して得られるペースト状のものをいう。
例えば、パン、中華まんじゅう、カルツォーネ、パイ、タコス、ブリトー、トルティーヤ、などの食品に用いられる生地が挙げられる。好ましくはパンあるいはピザ用の生地が挙げられる。
上記生地を焼成することにより、パン、中華まんじゅう、カルツォーネ、パイ、タコス、ブリトー、トルティーヤ、などの食品を製造することができる。
製造した食品は、冷凍することもできる。本発明のトマトソースフィリングは、冷凍・解凍処理を施しても、食感がぼそつかず、冷凍耐性があるため、冷凍食品としても美味しい。
製造例1 トマトソースフィリングの製造
[配合]
加工澱粉 3.00質量部
乾燥玉ねぎ 8.00質量部
トマトピューレ 53.75質量部
大豆油 4.00質量部
ガーリック 0.20質量部
上白糖 11.00質量部
食塩 1.70質量部
香辛料 0.16質量部
酢 3.00質量部
グルタミン酸ナトリウム 0.33質量部
キサンタンガム 0.06質量部
水 14.80質量部
(全体の質量に対する水分 66.30質量%)
※アセチル化アジピン酸架橋コーンスターチ
(i) 上記配合のうち、加工澱粉、乾燥玉ねぎ、水以外の材料を混合し攪拌調理した。
(ii) 鍋に(i)と水に溶解させた加工澱粉と乾燥玉ねぎを加え、攪拌しながら85℃になるまで加熱し85℃で3分間維持した。
(iii) 得られたトマトソースをレトルト袋に充填後、レトルト処理((F値4.0以上になるまで)121℃で30分間加熱)を行った。
製造例2 パン生地の製造
次のとおり標準中種法によりパン生地を作製した。
小麦粉70質量部、イースト2質量部、イーストフード0.1質量部、水40質量部をミキサーに投入し、低速で2分間、中速で2分間混捏した後、ホイロを4時間とり中種を調製した。
ミキサーに中種112.1質量部と小麦粉30質量部、砂糖5質量部、食塩2質量部、脱脂粉乳2質量部、ショートニング5質量部、水25質量部を投入し、低速で2分間、中速で5分間、高速で3分間混捏した後、35℃で50分間発酵させてパン生地を得た。
製造例3 トマトソースフィリングを包餡したパンの製造
製造例1にて作製したトマトソースフィリングと、製造例2により作製したパン生地を、包餡機(レオン自動機社製、CN-500)のホッパーに充填し、生地とフィリングの重量割合が2:1になるように包餡した。
包餡後、170℃のオーブンで15分間焼成した。
製造例4 トマトソースフィリングを包餡した冷凍パンの製造
製造例3のとおりに焼成したパンを、焼成後室温で20分間放冷し粗熱をとり、ラップフィルムで包み-80℃の急速冷凍機で20分間冷凍した。-20℃で7日間保存した後、冷凍のまま電子レンジで600Wで1分間加熱した。
試験例1 レトルト処理されたトマトソースフィリングに化学変性又は酵素変性された加工澱粉の量が与える影響
化学変性又は酵素変性された加工澱粉、乾燥玉ねぎを表1記載の添加量にした以外は製造例1に従ってトマトソースフィリングを製造した。このトマトソースフィリングを内包したパンを製造例3又は製造例4に従い製造した。
トマトソースフィリング及びトマトソースフィリングを内包したパン(冷凍・解凍品を含む)を、熟練パネラー10名により評価基準に従って評価した。染み込み防止のために従来行なっていた、(乾燥玉ねぎを使わず)澱粉を5質量部添加した場合を参考例1とし、その外観を2点、染み込みを4点、食味を2点とした。
また、トマトソースフィリングの粘度を以下の条件で測定した。
条件:
・室温 20℃
・測定機器 ボストウィック・コンシストメーター(日本ジェネティクス)
・方法 20℃のトマトソースフィリングをリザーバーに満たした。リザーバーのゲートを解放し30秒間の移動距離を測定した。
評価基準
Figure 0007222801000001
表1
Figure 0007222801000002
※アセチル化アジピン酸架橋コーンスターチ
8質量%の乾燥玉ねぎに加えて、加工澱粉を2~4質量%添加した実施例1~3では外観、染み込み、食味はすべて良好であった。また、冷凍・解凍した後でも、実施例1~3では外観、染みこみの評価は良好であり、食味も焼成後と比べて良好であった。
化学変性又は酵素変性された加工澱粉を1質量%添加した比較例1ではパン内相へのトマトソースフィリングの染み込みが著しく、好ましくなかった。また、加工澱粉を5質量%添加した比較例2ではパン内相への染み込みは見られなかったものの、トマトソースフィリングがゲル状になり舌触りが悪く好ましくなかった。冷凍・解凍後にはさらに外観、染みこみ及び食味が低下した。
試験例2 レトルト処理されたトマトソースフィリングに澱粉の種類が与える影響
澱粉の種類と添加量、及び乾燥玉ねぎの添加量を表2記載のとおりにした以外は製造例1に従ってトマトソースフィリングを製造した。このトマトソースフィリングを内包したパンを製造例3又は製造例4に従い製造した。
トマトソースフィリング及びトマトソースフィリングを内包したパンを、熟練パネラー10名により評価基準に従って評価した。トマトソースフィリングの粘度についても試験例1と同様に測定した。
表2
Figure 0007222801000003
8質量%の乾燥玉ねぎに加えて、化学変性された澱粉であるアセチル化アジピン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、リン酸架橋澱粉を添加した実施例1、4及び5では外観、染み込み、食味はすべて良好であった。また、冷凍・解凍した後でも、実施例1、4及び5では外観、染みこみの評価は良好であり、食味も焼成後と比べて良好であった。
化学変性または酵素変性を行っていない小麦澱粉、コーンスターチ、物理変性された湿熱処理小麦澱粉を添加した比較例3~5では外観、染み込み、食味は好ましくなかった。冷凍・解凍後にはさらに外観、染みこみ及び食味が低下した。
試験例3 レトルト処理されたトマトソースフィリングに乾燥玉ねぎの量が与える影響
加工澱粉、乾燥玉ねぎを表3記載の添加量にした以外は製造例1に従ってトマトソースフィリングを製造した。このトマトソースフィリングを内包したパンを製造例3又は製造例4に従い製造した。
トマトソースフィリング及びトマトソースフィリングを内包したパンを、熟練パネラー10より評価基準に従って評価した。トマトソースフィリングの粘度についても試験例1と同様に測定した。
表3
Figure 0007222801000004
※アセチル化アジピン酸架橋コーンスターチ
3質量%の加工澱粉に加えて、乾燥玉ねぎを6~9質量%添加した実施例1及び実施例6~8の外観及び食味は良好で、染み込み防止効果も十分なものであった。また、冷凍・解凍した後でも、実施例6~8では外観、染みこみの評価は良好であり、食味も焼成後と比べて良好であった。
乾燥玉ねぎを5質量%添加した比較例7ではやや染み込みが生じたとはいえ許容できるものであったが、フィリングの外観が水っぽくトマトの風味が弱くなったため好ましくなかった。冷凍・解凍後にはさらに外観、染みこみ及び食味が低下した。
乾燥玉ねぎを10質量%添加した比較例8では染み込みはほとんどなかったが、外観は滑らかさがなく舌触りが劣り好ましくなかった。冷凍・解凍後にはさらに外観及び食味が低下した。

Claims (12)

  1. 少なくとも、トマト原料、化学変性又は酵素変性された加工澱粉、乾燥玉ねぎ、及び水を原料とするトマトソースフィリングの製造方法であって、トマトソースフィリングの原料混合物に対し、化学変性又は酵素変性された加工澱粉を2~4質量%、及び乾燥玉ねぎを6~9質量%添加することを特徴とするトマトソースフィリングの製造方法。
  2. トマト原料としてトマトピューレを含み、トマトソースフィリングの原料混合物に対し、前記トマトピューレを30~80質量%添加することを特徴とする、請求項1記載のトマトソースフィリングの製造方法。
  3. 化学変性又は酵素変性された加工澱粉、乾燥玉ねぎ及び水以外の原料を混合し、その後、化学変性又は酵素変性された加工澱粉、乾燥玉ねぎ及び水を添加することを特徴とする、請求項1または2記載のトマトソースフィリングの製造方法。
  4. 化学変性又は酵素変性された加工澱粉、乾燥玉ねぎ及び水を添加した後、80~90℃になるまで加熱することを特徴とする、請求項3記載のトマトソースフィリングの製造方法。
  5. 加熱された混合物をレトルト袋に充填し、レトルト処理を行うことを特徴とする、請求項4記載のトマトソースフィリングの製造方法。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法によりトマトソースフィリングを製造し、生地に前記トマトソースフィリングを包餡させることを含む、トマトソースフィリングを包餡した生地の製造方法。
  7. 請求項6記載の製造方法により製造されたトマトソースフィリングを包餡した生地を焼成し、冷凍することを特徴とする、トマトソースフィリングを含む冷凍食品の製造方法。
  8. 少なくとも、トマト原料、化学変性又は酵素変性された加工澱粉、乾燥玉ねぎ、及び水を含み、前記化学変性又は酵素変性された加工澱粉を2~4質量%の量で、及び前記乾燥玉ねぎを6~9質量%の量で含む原料混合物を加熱し、レトルト処理したトマトソースフィリングであって、ボストウィック型粘度計で測定した30秒間の移動距離により表される粘度(20℃)が0.5~2.5cmである、トマトソースフィリング。
  9. 請求項8記載のトマトソースフィリングが包餡された生地。
  10. 生地が、パン、中華まんじゅう、カルツォーネ、パイ、タコス、ブリトー、及びトルティーヤからなる群から選択される食品用の生地である、請求項9記載の生地。
  11. 請求項9または10記載の生地を焼成してなる食品。
  12. 請求項11記載の食品を冷凍してなる冷凍食品。
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