JP7214405B2 - 集合継手 - Google Patents
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Description
この種の集合継手は、床スラブに設けた貫通孔を上下に通過するように設けられ、設置された各階の縦管または横枝管が接続される。集合継手には、これらの排水管から排水が流れ込むため、集合継手を流下する排水音が床スラブを伝わって居住空間に漏れるおそれがある。
従来、排水管に排水障害などの不具合を生じた場合、管内カメラなどの特別の機器を使用し、詰まり部分を特定する必要がある。
ところが、特許文献1と特許文献2に記載の構造では、上述の雑物を排水管に流した場合のように管内に異常を生じた場合、管内カメラを挿入して内部を観察するしか対策手段がなく、簡単に管内を確認することができなかった。
「1」本形態に係る継手は、上部接続管と、この上部接続管に接続された中間管と、この中間管に接続された下部接続管と、を備える集合継手であって、前記上部接続管と前記下部接続管のうち、少なくとも前記上部接続管を透明材料または半透明材料から形成したことを特徴とする。
本実施形態に係る集合継手を備えた排水集合継手の構造1は、建物排水用として用いられ、床スラブSに形成された貫通孔Hの部分に適用されている。
図1に示す実施形態では、床スラブSに形成されている貫通孔Hに対し、その上方に上の階の第1の縦管P1が設けられ、下方に下の階の第2の縦管P2が設けられている。
図1および図2に示すように、本実施形態に係る排水集合継手の構造1は、排水集合継手10を備えている。
本実施形態の排水集合継手10は、樹脂製継手構成部材である上部接続管11と下部接続管12と中間管15とから構成されている。
3つの横管接続部14のうちの2つが中心軸線Oを径方向に挟む位置に個々に配置されている。残りの横管接続部14は、中心軸線Oに直交する径方向のうち、前記2つの横管接続部14のそれぞれが延在する方向と、平面視で90°をなす方向に延在されている。
なお、横管接続部14の数量および延在方向は、このような態様に限られず、任意に変更することができる。図1に示すように、各横管接続部14の先端側には、横管(横枝管)P3が接続されている。
上部接続管11は透明あるいは半透明のポリ塩化ビニル系樹脂からなることが必要である。ここで透明または半透明とは、上部接続管11の外側から肉眼で上部接続管11の内部を視認できる状態を示す。
ポリ塩化ビニル系樹脂を透明あるいは半透明とするため、ポリ塩化ビニル系樹脂に添加する安定剤としては、スズ系安定剤またはCa-Zn系安定剤が好ましい。スズ系安定剤としてはマレート類、カルボキシレート類などの硫黄を含まないものがさらに好ましい。Ca-Zn系安定剤としては成形加工時の滑性とプレートアウトのバランスからステアリン酸塩であるものがさらに好ましい。
なお、上部接続管11の目詰まり対策などで内部目視点検を可能とする程度の透明度を要するため、半透明とは可視光の透過率30%以上のもの、あるいは、透過率50%以上のもの、更には透過率70%以上のものを用いることができる。
すなわち、熱膨張性黒鉛が1重量部未満であると、燃焼時に、十分な熱膨張性が得られず、所望の耐火性が得られないおそれがある。熱膨張性黒鉛が20重量部を超えると、加熱により熱膨張しすぎて、その形状を保持できずに残渣が貫通孔Hから脱落し、耐火性が低下してしまうおそれがある。
後述するように中間管15の高さを一般的なスラブ厚さよりも小さな高さとした場合には、熱膨張性黒鉛の含有量が比較的多く、例えば15重量部以上含有し残渣がもろい場合であっても、スラブ内に熱膨張後の残渣を保持し、脱落しにくくすることができる。
また、必要に応じて上記ポリ塩化ビニル系樹脂を塩素化してもよい。
表層および内層の厚みとしては、それぞれ0.3mm以上3.0mm以下であることが好ましく、0.6mm以上1.5mm以下が好ましい。被覆層の厚みが0.3mm以上であれば、管としての機械的強度を充分に確保でき、3.0mm以下であれば、耐火性の低下を抑制できる。
また、中間管15は、JIS K6741に記載の性能を満たすものであることが好ましい。
なお、中間管15が熱膨張性黒鉛を含有しない場合には、熱膨張性黒鉛を含有するシート状の耐火材を中間管15の外面または中間管15を覆う遮音材の外面に巻きつけ、耐火材をスラブ貫通部に埋設するようにしてもよい。
無機酸として、濃硫酸、硝酸、セレン酸等を用いることができる。強酸化剤として、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等を用いることができる。
熱膨張性黒鉛の粒径は、特に限定されないが、例えば100~400μmの範囲、好ましくは120~350μmの範囲のものを使用することができる。
中間管15の高さが30mm以上150mm以下の範囲であるならば、一般的な床スラブ厚が150~300mmであり、いずれの厚さの床スラブに対し適用したとして、火災等による加熱時に熱膨張して管路を閉塞する目的を達成可能な高さとなる。また、この範囲の高さであれば、一般的な厚さの床スラブであれば、接合強度を確保でき、貫通孔H内に中間管15を収容できる高さとなる。
傾斜管部17の下端部における外径は、傾斜管部17の上端部の外径よりも小さくされている。
難燃剤は、加熱された際に吸熱作用を有して温度上昇を抑制する化合物が好ましく、例えば、加熱された際に脱水反応等の吸熱反応が生じる化合物を難燃剤として使用できる。
このような難燃剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、カオリン系鉱物(カオリナイト、ハロイサイト、ディッカイト)やハイドロタルサルサイト等の無機水酸化物、セピオライト、ベントナイト、モンモリロナイト、タルク、マイカ、石英、ゼオライト、ワラストナイト、ネフェリンサイアナイト等の吸水作用のある無機化合物が挙げられる。
下部接続管12を透明または半透明とする場合は、上部接続管11を形成する樹脂と同等の樹脂を適用することができる。なお、本実施形態では上部接続管11と下部接続管12の両方を透明または半透明としたが、下部接続管12の方は不透明材料から形成されていても良い。
縦ブッシュ21は、嵌合部21aと、旋回羽根21bと、旋回羽根支持脚部21cと、を備えている。嵌合部21aは、縦ブッシュ21の上端部より小径で上部接続管11の縦管接続部13内に嵌合する筒状である。
なお、旋回羽根21bは建築物の規模や排水器具数に応じ高排水性能が要求される場合に適用されるので、高排水性能が要求されない建築物の場合は省略しても良い。
また、リップ部22aは、図2に示すように第1の縦管P1が挿入されていない状態では下端側に向かって徐々に小径となるように設けられている。リップ部22aは、上端側が第1の縦管P1の外径と略同径または少し大径とされ、下端側が第1の縦管P1の外径より小径となっている。リップ部22aの下端部には、径方向内側に突出する段部22bが形成されている。この段部22bには、第1の縦管P1の管端部が突き当たり、第1の縦管P1の熱伸縮を吸収するようになっている。
縦ブッシュ21~縦リング23は、予め組み立てて一体化したのち、縦ブッシュ21の嵌合部21aを上部接続管11の縦管接続部13に嵌合し、接着することができる。
横ブッシュ31の一端部が上部接続管11の横管接続部14に嵌合接着されるとともに、他端部に拡径部が形成されている。
また、縦ブッシュ21、縦リング23、及び横ブッシュ31、横リング33は、いずれもポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、非膨張性黒鉛を0.1~1.0重量部の割合で含むポリ塩化ビニル系樹脂組成物を射出成形して得られる。
なお、縦ブッシュ21、縦リング23、及び横ブッシュ31、横リング33は上部接続管11と同じ透明あるいは半透明のポリ塩化ビニル系樹脂を用いて透明あるいは半透明としてもよい。この場合、縦管P1や横管P3が適切な位置まで挿入されているか確認することができる。
上述のような排水集合継手10は、図1に示すように、多層階建築物の排水立管路の各階の横枝管合流部に用いられ、以下のように施工される。
すなわち、下部接続管12と中間管15と上部接続管11の嵌合接続部を含む部分を床スラブSの貫通孔Hに臨ませた状態で設置し、下側の階の第2の縦管P2(例えば、市販品である積水化学工業社製のエスロン耐火VPパイプが使用できる)を下部接続管12の下側管部18に嵌合させて接着する。この設置の際、下部接続管12の上端部と中間管15と上部接続管11の下端部が貫通孔Hの内側に収容される。
また、縦リング23を介して上側の階の第1の縦管P1の下端部を縦パッキン22に嵌合する。
そして、横リング33、横パッキン32を介して横管P3の端部を横ブッシュ31内に挿入して横管P3を接続する。
また、中間管15を150mm以下とした場合、中間管15の側面が上部接続管11の下端部9と下部接続管12の接続管部16に覆われてしまい外部に露出しない可能性があるが、上部接続管11を透明または半透明としたため、中間管15の存在を外部から上部接続管11を通して確認することができる。
また、接続管部16の下端に周段部16aを設けているので、火災時に中間管15が膨張する場合、周段部16aが遮音材Mに確実に引っ掛かる。このため、下部接続管12の溶け落ち落下を防止でき、中間管15の膨張により貫通孔Hを確実に閉塞でき、耐火性を確実に発現できる。
図4は、本発明の第2実施形態に係る排水集合継手の一例を示す断面図である。
第2実施形態では、第1実施形態に適用された中間管15と異なる構造の中間管50を設ける。この実施形態の中間管50は、先の中間管15と内外径、高さ、厚さ、形状等は同等であるが、熱膨張性黒鉛を含まない樹脂、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂からなる。あるいは、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、非膨張性黒鉛を0.1~1.0重量部程度の割合で含むポリ塩化ビニル系樹脂組成物からなる。
即ち、全体が熱膨張性耐火材料を含む樹脂組成物からなる単層構造でもよいし、複数の層からなる複層構造でもよい。複層構造の場合、いずれかの層が熱膨張性耐火材料を含む樹脂組成物から形成されていればよい。あるいは、熱膨張性耐火材料を含む樹脂組成物からなる単層構造の耐火シートを巻き付けて複層構造とした耐火層であっても良い。これらの中でも、耐火シートを巻き付けた構造が施工現場での実施がし易く、望ましい。
即ち、耐火層51が30mm以上150mm以下の高さに形成されている。
その他の構造は先の第1実施形態の構造と同等であるので、その他の構造の説明は省略する。
火災時に加熱された耐火層15は、熱により軟化した上部接続管11の下端部9と接続管部16と中間管15を押し潰すように膨張して貫通孔Hを閉塞する。このため、耐火性を発現できる。
この第3実施形態の構造は、排水集合継手10の外周面に吸音層55と遮音層56からなる遮音カバー57を設けた点に特徴を有する。具体的には、上部接続管11において縦リング23の取り付け部分の下方位置外周から、上部接続管11の下端部9の外周にかけて遮音カバー57が形成されている。図5の形態では、横管接続部14の突出部分は除くように吸音層55と遮音層56が形成されている。
遮音カバー57は、例えば、取付け現場において吸音層55の外周に遮音テープを巻き付けて遮音層56を形成した構成を採用できる。あるいは、排水集合継手10を工場生産した後、工場出荷前に遮音カバー57を予め取り付けた構成を採用しても良い。
この構成の場合、遮音テープを除去することで遮音層56を除去できるので、遮音層56を除去することで吸音層55も除去できる。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した実施形態を適宜組み合わせてもよい。
10…排水集合継手、
11…上部接続管、
12…下部接続管、
13…縦管接続部、
15…中間管、
16…接続管部、
17…傾斜管部、
21b…旋回羽根、
50…中間管、
51…耐火層、
55…吸音層、
56…遮音層
57…遮音カバー、
H…貫通孔、
M…遮音材(モルタル)、
S…床スラブ。
Claims (5)
- 上部接続管と、この上部接続管に接続された中間管と、この中間管に接続された下部接続管と、を備える集合継手であって、
前記上部接続管と前記下部接続管のうち、少なくとも前記上部接続管を透明材料または半透明材料から形成し、
前記上部接続管は、縦管接続部と、前記縦管接続部の側面に設けられた横管接続部と、床スラブの貫通孔に挿入される下端部と、を有し、
前記下端部には、前記中間管の上端部が挿入され、
前記中間管は、着色剤を含む表層と、熱膨張性黒鉛を含む中間層と、着色剤を含む内層と、が積層された3層構造であることを特徴とする集合継手。 - 前記中間管は、ポリ塩化ビニル系樹脂製であり、
前記中間管は、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して熱膨張性黒鉛を15重量部以上含み、
前記中間管の高さが150mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の集合継手。 - 上部接続管と、この上部接続管に接続された中間管と、この中間管に接続された下部接続管と、を備える集合継手であって、
前記上部接続管と前記下部接続管のうち、少なくとも前記上部接続管を透明材料または半透明材料から形成し、
前記上部接続管は、縦管接続部と、前記縦管接続部の側面に設けられた横管接続部と、床スラブの貫通孔に挿入される下端部と、を有し、
前記下端部には、前記中間管の上端部が挿入され、
前記中間管は、熱膨張性黒鉛を含まないポリ塩化ビニル系樹脂からなり、
前記上部接続管の下端部の外周に、熱膨張性耐火材料からなる耐火層が設けられていることを特徴とする集合継手。 - 前記上部接続管の縦管接続部は、堰止め板を備え、
前記耐火層の上端は、前記堰止め板の下端より下にあることを特徴とする請求項3に記載の集合継手。 - 上階の縦管と接続される上部接続管と、下階の縦管と接続される下部接続管と、を備え、床スラブの貫通孔に設置される集合継手であって、
前記上部接続管の下端部および前記下部接続管の上端部は、前記床スラブの貫通孔内に配置され、
前記上部接続管は、縦管に接続可能な縦管接続部と、横管を接続可能な複数の横管接続部と、前記横管接続部の先端に一端部が嵌合接着され、内部にパッキンが配置される拡径部を他端部に備えた横ブッシュと、を備え、
前記横ブッシュのうちの前記拡径部と前記一端部との間の部分は、外部に露出しており、
前記横ブッシュが透明材料または半透明材料から形成されていることを特徴とする集合継手。
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