JP2008064153A - 排水配管構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】排水配管構造全体として、躯体伝播音や空気伝播音と呼ばれる排水時の騒音を防止できるようにする。
【解決手段】排水集合管1と、排水集合管1の上部流入口部5及び下部流出口部6に接続される立管部材20と、排水集合管1の枝管接続部8に接続される枝管部材21とを有し、排水集合管1における管本体7の外周面及び立管部材20の外周面を取り囲んで、遮音層17を含む複合被覆層15が設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、躯体伝播音や空気伝播音と呼ばれる排水時の騒音を防止する機能を具備した排水配管構造に関するものである。
集合住宅等の多層階建物で採用される排水配管構造は、床スラブを貫通して設置される排水集合管と、各階の排水集合管相互を接続する立管部材と、各階に設置された衛生設備(浴槽など)と各排水集合管とを接続する枝管部材とを有して成る(例えば、特許文献1等参照)。
この種の排水管システム等において、床スラブを貫通して設置される排水集合管などの配管部材に対しては、排水騒音が床スラブに伝搬して室内へ放射される、いわゆる躯体伝播音を防止する対策として、種々のものが提案されている。
本出願人は嘗て、排水集合管においてそのまわりにロックウール等を用いた振動絶縁体を設け、この振動絶縁体の外周部と床スラブに設けた貫通孔の内周面との周間にモルタルを詰める技術を開発し、特許出願している(以下「先願技術」と言う:特許文献2等参照)。
特開2004−116234号公報 特開2002−275975号公報
先願技術において躯体伝播音の防止効果は十分機能しており、市場においても高い評価を受けている。しかし高級住宅専用の多層階建物など、特に静音性を重視し、また要求される場合には、排水騒音に対して更なる防音効果が要求されることもあった。それは排水集合管から床スラブを介しての躯体伝播音が排水騒音の主たる原因であるといっても、排水騒音には空気伝播も当然に含まれるものであるところ、躯体伝播音のカットだけでは完全なる静音化が難しいからである。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、躯体伝播音や空気伝播音と呼ばれる排水時の騒音を防止する機能を具備した排水配管構造を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係る排水配管構造は、複数階の床スラブを有すると共に各床スラブを縦方向に貫通する貫通孔が設けられた建物躯体に対し上記貫通孔を通して建て込むものであって、上記貫通孔へ嵌め込まれる状態で床スラブ上に上部流入口部が設けられ床スラブ下に下部流出口部が設けられる管本体に対し床スラブ上に少なくとも1本の枝管接続部が設けられた金属製の排水集合管と、排水集合管の上部流入口部及び下部流出口部に接続される立管部材と、排水集合管の枝管接続部に接続される枝管部材とを有し、上記立管部材の外周面を取り囲んで遮音層が設けられている。
このように本発明に係る排水配管構造では、立管部材に対して遮音層が設けられているので、排水騒音のうち空気を介しての空気伝播音を防止することができる。
なお、排水集合管は樹脂製のものとすることができる。また排水集合管は、管本体及び枝管接続部が共に樹脂製とされたうえでその全外周面に耐火モルタル層が被覆形成されたもの(所謂、耐火二層構造)とすることもできる。
金属製の排水集合管や樹脂製の排水集合管において、それらの管本体の外周面を取り囲んで遮音層を設けることも可能であり、このようにすることで排水騒音のうちの空気伝播音だけでなく、床スラブを介した躯体伝播音をも防止することができる。
排水集合管が金属製である場合において、その管本体のうち床スラブの貫通孔へ嵌められる部分を取り囲む状態で振動絶縁体が設けられた構造を併用することもできる。この場合、振動絶縁体を除く管本体の外周面に遮音層が設けられているものとすればよい。
なお、この場合、振動絶縁体が床スラブにおける貫通孔の上部開口部で露出するのを遮断する状態に振動絶縁体の上部環状面へ全周的に被さり且つ管本体の外周面全周に周接する状態で止水材を設けるのが好適となる。このように止水材を設けることで床スラブの肉厚方向への漏水防止効果を得ることができる。
止水材(後述の「第2止水材」)は、建築物の耐火試験において耐熱及び不煙の適合性を有し且つ振動吸収性を有する素材で形成するのが好適である。このようにすることで、排水騒音の防止作用が一層高められると共に、火災発生時の延焼防止性及び発煙防止性も得られる。
なお、ここにおいて「耐熱及び不煙の適合性」とは、加熱時に所定温度に耐え得ると共に煙を発生しないことを言い、且つこの状況下において遮炎性、遮煙性及び遮熱性を有していることを言う。
立管部材は樹脂製としたり、樹脂製の芯管とその外周面を被覆するモルタル層とを有した重層管としたり、金属製としたり、金属製の外管とその内周面を被覆する樹脂ライニング層とを有したライニング管としたりすることができる。
枝管部材の外周面に遮音層を設けることもできる。遮音層と排水集合管、立管部材、又は枝管部材との間に吸音層を設けるのが好適である。
遮音層は、周方向の少なくとも1箇所に管軸方向へ通り抜けた割縁部が設けられたものとすることができる。このようにすれば、この割縁部を介して層内側の管用貼り付け面を解放できる状態になる。この割縁部には、周方向に対して外向き又は内向きとなる重合接着部が設けられたものとする。
ここで「周方向」及び「管軸方向」は、排水集合管の管本体や枝管接続部、或いは立管部材や枝管の管形状を基準として言う。
なお、割縁部を1箇所だけ設ける場合、遮音層は周方向の一部が開いた状態の筒形状を呈したものとなり、且つ割縁部で腹開きするようにして層内側の管用貼り付け面を解放できることになる。また割縁部を周方向の2箇所以上設ければ、遮音層は部分円弧状断面の壁形状を呈した複数体に分割されることになり、これら複数のもの(壁形状をしたもの)を互いに連結合体させることでその全体として筒形状(排水集合管の管本体や立管部材等のまわりを一周する形体)を形成させることになる。
いずれにしても、このように遮音層に割縁部を設けることで、遮音層は層内側の管用貼り付け面を解放できるため、排水集合管の管本体や枝管接続部、立管部材、或いは枝管に対して後付けが可能となる。そのため、配管作業現場での遮音層の装着が可能且つ容易となるばかりでなく、既に配管施工されている排水集合管(言うまでもなくここで言う「排水集合管」は遮音層を装備しない従来のものを指す)や立管部材、或いは枝管に対しても、簡単且つ短時間で遮音層を装着させることができるようになる。
遮音層には、管軸方向の端部寄りに周方向に対して外向き又は内向きとなる重合接着部を設けるのが好適である。
このようにすることで、排水集合管の管本体や立管部材の管軸方向に沿って遮音層を隙間無く連結することができ、効果の高い遮音作用を得るうえで有益となる。「管軸方向の端部寄り」とは、必ずしも遮音層における管軸方向の端縁位置ぎりぎりに限定されるものではなく、端縁位置からある程度、内側に控えた位置付けを含むものとする。
遮音層に設けられた重合接着部は、両面テープや粘着性接着剤の塗布面などとしておくことも可能であるが、面ファスナーを採用するのが好適である。
このようにすることで、排水集合管の管本体や枝管接続部、立管部材或いは枝管に対して一旦、遮音層を装着した後でも、必要に応じて遮音層を取り外すことができるようになる。そのため、遮音層の装着時における位置的な微調整ができる他、装着後における配管側のメンテナンス(詰まりの清掃や点検等)に便利であり、また遮音層自体が劣化や損傷した場合の交換が容易に行えるといった利点もある。
本発明に係る排水配管構造では、排水配管構造全体として躯体伝播音や空気伝播音と呼ばれる排水時の騒音を防止することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
なお、本発明において排水集合管1は、例えば図1に示すように集合住宅等の多層階建物にあって各階層ごとを区画する床スラブ2に設けられた貫通孔3を縦方向に貫通して配管設置される。本明細書において床スラブ2とは、各階層を区画するものだけに限らず、それ以外にも、水平方向に設けられる建物躯体であって配管用に縦方向の貫通孔3を有したもの全般を含めるものとする。
また排水集合管1は、上部流入口部5及び下部流出口部6を有した管本体7に対し、少なくとも1本の枝管接続部8が設けられたものであって、この排水集合管1が貫通孔3へ嵌め込まれた状態では、上部流入口部5及び枝管接続部8が床スラブ2の上になり、下部流出口部6が床スラブ2の下になる。
枝管接続部8は、平面視にて一文字状配置やL字状配置となる2本(二方)である場合、T字状配置となる3本(三方)である場合、十文字状配置となる4本(四方)である場合なども当然に含まれる。
そして本発明に係る排水配管構造は、その基本構成として、床スラブ2の貫通孔3へ嵌め込まれる状態で設置される排水集合管1と、この排水集合管1の上部流入口部5及び下部流出口部6に接続される立管部材20と、排水集合管1の枝管接続部8に接続される枝管部材21とを有したものである。
図1乃至図4は本発明に係る排水配管構造の第1実施形態を示しており、この排水配管構造では、排水集合管1における管本体7の略全部の外周面を取り囲むような状態で複合被覆層15が設けられ、また立管部材20の外周面を取り囲んで複合被覆層26が設けられている。
排水集合管1において、管本体7及び枝管接続部8は鋳造により一体化された金属製のもの、又は塩ビ樹脂等により一体化された樹脂製のものとされる。
管本体7において、枝管接続部8の設けられた部分は上部流入口部5及び下部流出口部6よりも内径の拡大した合流部10として形成されている。またこの合流部10から下部流出口部6へ向けて徐々に縮径するテーパー管部11が設けられており、このテーパー管部11内を含め、枝管接続部8より下位となる内部には、上部流入口部5から下部流出口部6へ向けた水流を管内面に沿った旋回流に整流するための旋回羽根12が設けられている。
排水集合管1に対して設けられる複合被覆層15(図4参照)は、管本体7に近い方から吸音層16、遮音層17、保形フィルム18が重合されたもので、その総厚が5mm〜20mm程度ある。
吸音層16はグラスウールやロックウール、軟質ウレタンフォーム、或いはセラミックファイバーやセルロースファイバー、ニードルパンチマット等によって厚さ4mm〜15mm程度に形成されている。
遮音層17はアスファルトシートやオレフィンシート、或いは鉄系充填材入り軟質シートなどによって厚さ1mm〜5mm程度に形成されている。
保形フィルム18はP.P(ポリプロピレン)、P.S(ポリスチレン)、P.V.C(ポリ塩化ビニル)、P.E(ポリエチレン)、P.O(ポリオレフィン)、P.E.T(ポリエチレンテレフタレート)等の熱収縮性フィルム(シュリンク用フィルム)によって厚さ1mm以下に形成されている。このうち、耐熱性に優れたP.PやP.Sが特に好適とされる。なお、この保形フィルム18は省略することもできる。
吸音層16と遮音層17とは予め互いに張り合わせた複合シート材として準備しておけばよく、この複合シート材を吸音層16が内側となるようにして管本体7に巻き付け、アルミガラスクロス粘着テープ等の適宜接着テープ(耐熱性を有したものが好適)等を用いて固定する方法を採用すればよい。また保形フィルム18は、収縮前の状態にあるときに吸音層16及び遮音層17の上からその全体を覆うように被せてから、その後に熱収縮させることで遮音層17の外面に密着させ、これら吸音層16及び遮音層17を型締め状態に保形させるようにすればよい。
本第1実施形態において、管本体7の上部流入口部5及び枝管接続部8は受口タイプの管継ぎ手構造として形成されたものを示してある。受口タイプの管継ぎ手構造は、接続相手の管部材(上部流入口部5では上部側の立管部材20であり枝管接続部8では枝管部材21である)を外嵌するソケット形状であるから、上部流入口部5や枝管接続部8の外周面には、管部材が外嵌されることも、また管部材との接続時にボルトやナット、或いは押し輪といった管接続用付属器具が装着されることもない。
そのためこれら上部流入口部5や枝管接続部8の外周面には、その端縁ぎりぎりまで複合被覆層15(吸音層16、遮音層17及び保形フィルム18)が形成されたものとしてある。
これに対し、下部流出口部6は挿口タイプの管継ぎ手構造として形成されたものを示してある。挿口タイプの管継ぎ手構造は、接続相手の管部材(下部側の立管部材20)に受口タイプの管継ぎ手構造が設けられていることになり、この管部材側の管継ぎ手構造によって外嵌されるようになるので、下部流出口部6の外周面ではその端縁から少なくとも立管外嵌領域を確保する長さ分だけ、複合被覆層15(吸音層16、遮音層17及び保形フィルム18)が設けられない裸の状態としてある。
工場から出荷される段階の排水集合管1において、複合被覆層15は上記のような形成状態にあり、管本体7における少なくとも合流部10から旋回羽根12の設けられた領域にかけてそれらのまわりを取り囲むようになっていることになる。
立管部材20には、鋳鉄管などの金属製管や塩ビライニング鋼管(金属製の外管とその内周面を被覆する樹脂ライニング層とを有したライニング管)を用いることができる。この立管部材20に対して設けられる複合被覆層26は、上記した排水集合管1に対して設けられる複合被覆層15と同様で、管外周面に近い方から吸音層16、遮音層17、保形フィルム18が重合されて成る。複合被覆層26としての総厚、各層の材質や層厚なども、複合被覆層15と同様である。
立管部材20に対して複合被覆層26を設けることで、排水集合管1の下部においては排水騒音の発生を効果的に抑制乃至防止できる。すなわち、排水集合管1内を流下する排水は管本体7内に設けられた旋回羽根12により、立管部材20の内周面に沿って旋回する整流作用を受けるようになるが、このときの旋回流が排水騒音の主要な発生源となっているからであって、かかる排水騒音を立管部材20に設けられた複合被覆層26が直近にて且つ直ちに遮音及び吸音できるのである。
立管部材20に対しては、配管作業より前の段階(立管部材20の工場出荷段階等)に複合被覆層26を設けておいてもよいし、配管施工現場にて巻き付けるようにしてもよい。
吸音層16と遮音層17との複合シート材を予め円筒状に形成しておき、この円筒状にしたものを配管作業時に立管部材20に対して外挿させるようにしてもよい。なお、この場合、複合シート材を円筒状に形成するのは配管作業現場でもできるが、工場出荷段階において行っておけば尚よい。
枝管部材21には、塩ビ管などの樹脂管を用いることができる。この枝管部材21に対しても複合被覆層26を巻き付けるようにするのがよい。この場合、排水集合管1から少なくとも1mほどの領域で複合被覆層26を設ければよいことになる。枝管部材21に対し、配管作業より前の段階(枝管部材21の工場出荷段階等)に複合被覆層26を設けても、配管施工現場にて巻き付けてもよいことは、立管部材20の場合と同様である。
図1に示すように、このような構成の排水集合管1を床スラブ2の上方から下部流出口部6が先になるようにして貫通孔3へ差し込み、下部流出口部6に対する下部側立管部材20の接続、上部流出口部5に対する上部側立管部材20の接続、枝管接続部8に対する枝管部材21の接続、といった配管作業を行う。貫通孔3を排水集合管1が貫通する部分には、複合被覆層15の外周部と貫通孔3の内周面3aとの周間へモルタル25を詰めるようにする。
下部流出口部6と下部側立管部材20との接続部分で、下部流出口部6の近傍に裸の領域(排水集合管1としての製品当初、複合被覆層15が設けられていない領域)が残存する場合には、特にこの領域へ念入りに複合被覆層26を巻き付けて、露出が起こらないようにするのがよい。
もし、排水集合管1側に当初から設けられている複合被覆層15と、立管部材20に設けた複合被覆層26との継ぎ目間に隙間が生じるときには、上記適宜接着テープ等(吸音層16と遮音層17との複合シート材を管本体7に巻き付けるときに用いたもの)により、この隙間を塞ぐようにするのがよい。
このようにして施工された排水配管構造では、各排水集合管1が複合被覆層15(吸音層16、遮音層17及び保形フィルム18)を有し、また立管部材20や枝管部材21が複合被覆層26を有しているために、排水騒音の躯体伝播音及び空気伝播音が抑制乃至阻止され、高い防音効果、即ち静音化が図られる。
ところで、立管部材20には塩ビ管等の樹脂管を用いることもできるが、この場合、上記したように立管部材20の外周面を取り囲むように複合被覆層26を巻き付けると、この複合被覆層26が吸音層16に含まれるグラスウールやロックウール等によって耐火性を具備していることに伴い、排水騒音の防止効果のみならず、排水配管構造全体として耐火性を具備することになり、好適である。このことは枝管部材21でも同様である。
図5は本発明に係る排水配管構造の第2実施形態を示しており、この第2実施形態の排水配管構造が第1実施形態と最も異なるところは、立管部材20に耐火二層管(樹脂製の芯管20aとその外周面を被覆するモルタル層20bとを有した重層管)が用いられ、また枝管部材21に耐火二層管(樹脂製芯管21aとモルタル層21b)が用いられている点である。この場合も上記第1実施形態と同様であって、立管部材20や枝管部材21の外周面を取り囲むように複合被覆層26が設けられている。
排水集合管1としてのその他の構成、排水配管構造としてのその他の構成、及びこれらによる作用効果等も第1実施形態と略同様である。
図6乃至図8は本発明に係る排水配管構造の第3実施形態を示しており、この第3実施形態の排水排水構造では、排水集合管1の下部流出口部6がメカニカルタイプの管継ぎ手構造となっている点が、第1実施形態と最も異なるところである。
このようなメカニカルタイプの管継ぎ手構造は、管本体7側に一体形成されたフランジ部30と別体の押し輪31との間でリングパッキン34を挟み込み、押し輪31をボルト32とナット33との締め込みによってフランジ部30へ押し付けることにより、リングパッキン34に縮径方向への変形を起こさせ、これで立管部材20を接続固定する構造である。
このように押し輪31、ボルト32、ナット33等といった管接続用付属器具を配管作業時に操作し装着する必要があるため、管本体7の下部流出口部6に対しては、この管接続用付属器具を装着するうえで必要とされる作業領域を確保させる(即ち、裸のままにする)ようにして複合被覆層15が設けられている。
下部流出口部6と下部側立管部材20とを接続する場合に、この接続部分に複合被覆層26を巻き付けて露出が起こらないようにしたり、排水集合管1側の複合被覆層15と立管部材20の複合被覆層26との継ぎ目間にできる隙間を複合シート材で塞ぐようにしたりするのが好ましいことは、第1実施形態と同じである。
排水集合管1としてのその他の構成、排水配管構造としてのその他の構成、及びこれらによる作用効果等も第1実施形態と略同様である。
図9及び図10は耐火二層構造を具備した排水集合管1を示しており、この排水集合管1の管本体7及び枝管接続部8に対しても複合被覆層15(遮音層17)が設けられている。すなわち、複合被覆層15(遮音層17)より内側に耐火モルタル層35が形成されたものであると言うことができる。このような排水集合管1を採用した排水配管構造を本発明に係る配管構造の第4実施形態とする。
排水集合管1としてのその他の構成、排水配管構造としてのその他の構成、及びこれらによる作用効果等も第1実施形態等と略同様である。
図11は本発明に係る排水配管構造の第5実施形態を示している。この第5実施形態の排水配管構造では、排水集合管1の管本体7まわりに振動絶縁体40が外嵌状に設けられており、この振動絶縁体40を除く管本体7の外周面を取り囲んで複合被覆層15(遮音層17)が設けられている。立管部材20の外周面や枝管部材21の外周面を取り囲んで複合被覆層26(遮音層17)が設けられている点は、上記した第1乃至第4実施形態と同じである。。
また、床スラブ2の貫通孔3内を排水集合管1が貫通した部分では複合被覆層15の外周部と貫通孔3の内周面3aとの周間へモルタル25が詰められているが、床スラブ2の上面側にあって、複合被覆層15とモルタル25との境界隅部にはリング状の止水材41が設けられている。
振動絶縁体40は、管本体7のうち床スラブ2の貫通孔3へ嵌められる部分を取り囲む状態で設けられており、排水騒音が床スラブ2に伝播して室内へ放射される、所謂、躯体伝播音を防止するためのものである。この振動絶縁体40は、例えばロックウール等の多孔質吸音材料によって形成されており、耐火性、遮炎性及び断熱性を有している。
この振動絶縁体40は、その外周面全周をアルミガラスクロスやアルミ系合金等(図示略)で被覆するのが好適であり、これによって耐火性の強化をはじめ、防水性や保形性、振動絶縁体40の素材となるロックウール等の飛散防止なども得られるようにしてある。図例の場合、管本体7が下すぼみのテーパ管として形成されているので、この振動絶縁体40も同様に、内外周面が共に下すぼみのテーパ形状として形成され、全体にわたり略均等厚となっている。
この振動絶縁体40は、その下部環状面が床スラブ2の下面と同等かやや下方へ突き出す程度となるように設けられることが重要である。また振動絶縁体40の上部環状面は、排水集合管1を貫通孔3内へ嵌め込んだときに床スラブ2の上面と略面一となるように設けられている。
止水材41は複合被覆層15の外周面やモルタル25の上面に対して密着状に当接しており床スラブ2の肉厚方向へ透過するような漏水を防止するためのものである。この止水材41は、例えばEPDM(エチレン・プロピレン・ジエン共重合系合成ゴム)等の弾性材料によって形成されている。
排水集合管1に設けられた複合被覆層15(遮音層17)については、振動絶縁体40の設け位置と干渉せず且つ振動絶縁体40との間に無用な隙間(排水集合管1の管本体7が露呈する部分)が生じないようにする点を除き、第1実施形態等と同様である。また排水集合管1としてのその他の構成、排水配管構造としてのその他の構成、及びこれらによる作用効果等も第1実施形態等と略同様である。
図12は本発明に係る排水配管構造の第6実施形態を示している。この第6実施形態の排水配管構造でも、上記第5実施形態と同様に排水集合管1の管本体7まわりには振動絶縁体40が外嵌状に設けられている。
またこの振動絶縁体40の上部には、第5実施形態で説明した止水材41とは別に、振動絶縁体40が貫通孔3の上部開口部で露出するのを遮断する状態に振動絶縁体40の上部環状面へ全周的に被せられ且つ管本体7の全周に周接する状態とされた止水材42(以下、説明の便宜上「第2止水材42」と言う)が設けられている。
本第6実施形態において、振動絶縁体40は、排水集合管1を貫通孔3内へ嵌め込んだときにその(振動絶縁体40の)上部環状面が床スラブ2の上面から貫通孔3内へ所定量没入するような状態で設けられており、この没入分を利用して、第2止水材42が排水集合管1の管本体7を帯状に取り囲んで設けられている。このときの没入量、即ち、第2止水材42の高さは5mm〜15mm程度が適当とされる。
この第2止水材42は、建築物の耐火試験において耐熱及び不煙の適合性を有し且つ振動吸収性を有する素材で形成されている。例えば耐熱及び不煙の適合性を有したシリコーンを素材として形成されている。なお、本第6実施形態において第2止水材42のまわりにはリング状堰部材45が設けられている。このリング状堰部材45は、第2止水材42を管本体7のまわりに設ける段階で必要とされるもので、その詳細は後述する。
建築物の耐火試験には例えば防火区画貫通配管等の耐火試験を採用する。この試験は、図13にその試験装置を示すように床スラブ2の貫通孔3に被験対象とする排水集合管Wを嵌め込み、排水集合管Wにおける下部流出口部6Wは開放にしておく。また、床スラブ2の下面にセラミックファイバー等の断熱材102を貼り、排水集合管Wの上部流入口部5Wには上部断熱パイプ103を接続して所定長さの部位にセラミックファイバー等の断熱材で上蓋104をする。
更に、排水集合管Wの枝管接続部8Wに枝管105を接続して所定長さの部位にセラミックファイバー等の断熱材で横蓋106をし、床スラブ2の貫通孔3内において排水集合管Wが通る部分の外周部分にモルタル108を詰める。排水集合管Wの下部流出口6Wの下方は床スラブ2の下面から300mm以上となる距離位置へ延ばし、上蓋104は床スラブ2の上面から上方へ800mm以上となる距離位置に設けるようにする。
このような状態にして、モルタル108中に排水集合管Wを取り囲む配置で3箇所以上に温度検出部107を設け、床スラブ2の下方空間を加熱してその60分経過後、及び120分経過後における床スラブ2上方の様子を観察する。温度検出部107は、排水集合管Wから10mm離すようにする。
加熱は、温度検出部107によって測定される温度の時間経過が、
T=345 log10(8t+1)+20
で表されるよう数値となるようにして行う。ここにおいてTは平均炉内温度、tは経過時間とする。
この試験では、加熱中に、非加熱面で10秒を超えて亀裂等から継続する火炎の噴出や発炎がなければ、その床貫通部は遮炎性能を具備するものと規定する。また非加熱面側の温度検出部107において200℃を超えないことが確認されれば、その床貫通部は遮熱性能を具備するものと規定する。更に、加熱開始から60分までの間の煙量(CsV)が3[l/m・m3]以下に抑えられているときに「共住区画」を貫通する配管に適合されるものとし、120分までの間の煙量(CsV)が0[l/m・m3]に抑えられれば「令8区画」を貫通する配管に適合されるものとする。
要するに、この第6実施形態の排水配管構造において、排水集合管1の管本体7や枝管接続部8は耐火性を有したものであり、振動絶縁体40も耐火性、遮炎性及び断熱性を有したものであるので、上記試験において遮炎性能、遮熱性能、遮煙性能があると判定されるときには、第2止水材42を含めた全体として、耐熱及び不煙の適合性を有したものであることが判断されることになる。
上記したリング状堰部材45は、第2止水材42として、当初、流動状態にある止水材素材を排水集合管1の管本体7まわりに付着させてから非流動状態へと硬化させるようにする場合に必要とされる。すなわち、第2止水材42を所定形状に成形させるための型枠的な作用をするものである。なお、第2止水材42を成形させた後、取り外してもよい。また、第2止水材42には当初から短円筒形に形成された成形品を用いることもできるから、このような場合であればこのリング状堰部材45は当初から不要になる。
図14に例示したリング状堰部材45は抱き合わせタイプとしたものであって、短円筒を直径方向で二分割したような形体の半筒体46,47が二つで一組とされている。各半筒体46,47には、排水集合管1の管本体7へ向けて突き立てられる状態でロックボルト48が螺合されており、これらロックボルト48の締め付けでこのリング状堰部材45が排水集合管1からずり落ちないように位置決めできると共に、螺合度バランスの調整によって排水集合管1の管本体7に対する隙間の周方向偏りを補正できるようになっている。なお、ロックボルト48は必ずしも必要ではなく、省略可能である。
各半筒体46,47には、互いの結合時に面と面とで当接するフランジ部46a,47aが設けられており、これらフランジ部46a,47aにボルト通孔48,49が設けられている。一方の半筒体46に設けるフランジ部46aのボルト通孔48は丸孔とし、他方の半筒体47に設けるフランジ部47aのボルト通孔49は長孔とするのが、ボルト50とナット51とを締結する作業性上、好適となる。
なお、このリング状堰部材45の形状や構造、材質などは特に限定されるものではない。
第2止水材42を成形するには、排水集合管1の管本体7に対して振動絶縁体40を所定配置で設け、その後、リング状堰部材45の下部内周面が振動絶縁体40の上周部に当接するようにし、もって排水集合管1の管本体7を取り囲む状態で、全周的にこのリング状堰部材45との周間を形成させる。そしてこの周間へ、まだ流動状態にある第2止水材42を充填してその硬化を待つようにする。
これにより、管本体7の外周面に対して第2止水材42が密着するようになる。またリング状堰部材45を設けることで第2止水材42としての外形寸法に製品的バラツキが発生することを防止でき、製品の均質化を達成でき、もって配管施工後に得られる効果を確実なものにできる。
このリング状堰部材45は、第2止水材42を成形した後も排水集合管1から取り外すことなく、床スラブ2の貫通孔3内へ埋め込むようにする場合には、金属製などの不燃材料によって形成するものとして、耐火性を持たせておく必要がある。この場合、第2止水材42の外周部と貫通孔3の内周面との周間に詰めるモルタル25の硬化収縮時において、第2止水材42に引張作用が生じるといった悪影響を阻止できる利点もある。
なお、複合被覆層15とモルタル25との境界隅部に設けるリング状の止水材41(図12参照)は、リング状堰部材45の上縁部を超えて外方へ全周的に張り出すような形成状態になるので、結果、リング状堰部材45の外周側上縁部とモルタル25との境界部分がこの止水材41によって全面的に覆われたことになっており、それだけ防水性が高くなる。この止水材41についても、第2止水材42と同様に、建築物の耐火試験において耐熱及び不煙の適合性を有する素材により形成するのが好ましいことは言うまでもない。
このようにして施工された排水配管構造では、各排水集合管1が振動絶縁体40及び第2止水材42を有しているために排水騒音(所謂、躯体伝播音)の防止及び床スラブ2の肉厚方向への漏水防止効果が得られるものであり、また第2止水材42が建築物の耐火試験において耐熱及び不煙の適合性を有し且つ振動吸収性を有する素材によって形成されているので、火災発生時の延焼防止性及び発煙防止性と、排水騒音(所謂、躯体伝播音)の防止作用強化とが得られるようになっている。
図15(B)は本発明に係る排水配管構造の第7実施形態を示し、また図15(A)はその配管手順(排水管施工方法の一過程)を示しており、この第7実施形態では、リング状堰部材45を使用しないで第2止水材42を設けたものである。
すなわち、この排水配管構造で使用する排水集合管1は上記した第5実施形態(図11参照)で説明したものであって、その(振動絶縁体40の)上部環状面は、排水集合管1が床スラブ2の貫通孔3内へ嵌められた状態で、床スラブ2の上面と略面一になるレベルまで設けられている。
貫通孔3内において、振動絶縁体40の外周面と貫通孔3の内周面3aとの周間に詰められるモルタル25は、その上面が床スラブ2の上面レベルから所定深さ分だけ低く形成され、ここに第2止水材42を設けるための止水材形成凹部25aが形成されている。
第2止水材42は、この止水材形成凹部25aに対して流動状態の止水材素材を供給し、硬化させることによって設けられている。なお、非流動状態へと硬化した後でも適度な弾性を生じている。従って第2止水材42の外径は貫通孔3の内径に等しくなる大きさに及んだものとなり、第2止水材42の外周縁全周が貫通孔3の内周面3aに対して全周的に周接したものとなっている。
なお図例では、第2止水材42の断面形状として、その外周側から排水集合管1の管本体7へ近接するほどに昇り傾斜となる山盛り状(台形状)になったものを示してある。このようにすることで床スラブ2上が浸水したときの水返し効果や、排水集合管1の上方から立管部材20の外面を伝って水が流下したときの水はけ効果などが期待できる。
図16及び図17は、排水集合管1において管本体7や枝管接続部8に複合被覆層15を後付け可能なものとし、また立管部材20や枝管21についても複合被覆層26を後付け可能なものとした実施形態を示している。
本実施形態で採用する複合被覆層15,26は、遮音層17を必須不可欠とするものであるが、吸音層16や保形フィルム18の具備(重合)は好適な一例として説明するにすぎないことは上記した各実施形態と同様とする。すなわち、本実施形態において以下では複合被覆層15,26をそれぞれ遮音層17と読み替えることも可能である。
立管部材20用や枝管21用の複合被覆層26は、装着対象管の外周面を取り囲むことができる内径の筒形状を呈したものとされ、その周方向の1箇所に管軸方向へ通り抜ける割縁部70が設けられている。従って、この割縁部70を腹開き状態にすることで、層内側の管用貼り付け面71を解放できるようになっている。筒形状の長さは当初、所定長さ(例えば1mとか2m等)を有したものとされており、配管現場に応じて長すぎる場合には適宜切断すればよい。
割縁部70によって形成される一対の端縁は互いに重合されるようになっており、この重合時に内側に入れられる端縁には、周方向に対して外向きとなる重合接着部72が設けられ、外側に出される端縁には、周方向に対して内向きとなる重合接着部73が設けられている。これら重合接着部72,73には互いに雌雄の係着関係を有する面ファスナーが採用されており、係合と離脱とが自在で且つこの係合離脱を繰り返し行えるものとなっている。
排水集合管1の管本体7に装着する複合被覆層15は、第1乃至第4の四つの構成パーツ15A,15B,15C,15Dに分割されている。また、このうち第1構成パーツ15Aには第5構成パーツ15Eが付設され、第3構成パーツ15Cには第6構成パーツ15Fが付設されている。
ここにおいて、第1乃至第6構成パーツ15A〜15Fは、それらの一つ一つが独自の複合被覆層15を構成するものと言うこともできるし、第1乃至第6構成パーツ15A〜15Fのうち管本体7や枝管接続部8への装着状態で直接的な連結関係を持つことになるもの同士の複数の組合せ、或いは第1乃至第6構成パーツ15A〜15Fの全部の組合せとして一つの複合被覆層15を構成するものと言うこともできる。
第1構成パーツ15Aは、上部側立管部材20に装着された複合被覆層26の下端部に一部重合するようにしつつ、管本体7の上部流入口部5及び合流部10を一緒に取り囲むように形成されたもので、それらの取り囲みに必要となる内径の筒形状を呈している。
この第1構成パーツ15Aに付設された第5構成パーツ15Eは、枝管接続部8を取り囲むように形成されたもので、その取り囲みに必要となる内径の筒形状を呈し、また第1構成パーツ15Aとは互いの筒軸が直交する関係で結合されている。
第2構成パーツ15Bは、第1構成パーツ15Aの下端部に一部重合するようにしつつ、管本体7のテーパー管部11を一緒に取り囲むように形成されたもので、それらの取り囲みに必要となる内径で且つ下すぼみテーパ形の筒形状を呈している。
第3構成パーツ15Cは、枝管21に装着された複合被覆層26における枝管接続部8寄りの端部に一部重合するようにしつつ、枝管接続部8を取り囲んだ第5構成パーツ15Eに対してそのまわりを一緒に取り囲むように形成されたもので、それらの取り囲みに必要となる内径の筒形状を呈している。
この第3構成パーツ15Cに付設された第6構成パーツ15Fは、第1構成パーツ15Aの一側面に重合するように部分円弧断面形を有して形成された湾曲壁形状を呈している。
第4構成パーツ15Dは第2構成パーツ15Bの下端部と、下部側立管部材20に装着された複合被覆層26の上端部とに対し、それぞれに一部重合する状態で(跨る状態で)一緒に取り囲むように形成されたもので、それらの取り囲みに必要となる内径の短い筒形状(帯ベルト状)を呈している。
第1構成パーツ15Aには、その周方向の1箇所にその部分の管軸方向に沿って筒形状全部を通り抜ける割縁部74が設けられ、この割縁部74を腹開き状態にすることで、層内側の管用貼り付け面75を解放できるようになっている。
これに対し、第5構成パーツ15Eには、その周方向で対称となる2箇所にその部分の管軸方向に沿って通り抜ける割縁部74が設けられている。これら2箇所の割縁部74は、第1構成パーツ15Aの割縁部74と一直線状に連通する配置とされている。
従って、第1構成パーツ15Aを割縁部74で腹開き状態にさせると、第5構成パーツ15Eは2箇所の割縁部74を境としてそれぞれ部分円弧状(半月状)断面の壁形状を呈して二つ割りされる状態になり、その結果として層内側の管用貼り付け面75を解放できるようになっている。
第1構成パーツ15Aにおいて、割縁部74によって形成される一対の端縁は互いに重合されるようになっており、この重合時に内側に入れられる端縁には、周方向に対して外向きとなる重合接着部76が設けられ、外側に出される端縁には、周方向に対して内向きとなる重合接着部77が設けられている。これら重合接着部76,77には互いに雌雄の係着関係を有する面ファスナーが採用されており、係合と離脱とが自在で且つこの係合離脱を繰り返し行えるものとなっている。
第5構成パーツ15Eにおいて、2箇所の割縁部74でそれぞれ形成される端縁は相互に重合させる状態ではなく相互に突き合わせる状態で使用する。その意味で、ここに重合接着部に相当するものは設けられていない。
第2構成パーツ15B、第3構成パーツ15C、第4構成パーツ15Dについては、上記した第1構成パーツ15Aの場合と同様であり、それぞれ腹開き可能な割縁部74(外向きの重合接着部76と内向きの重合接着部77)が設けられている。
第6構成パーツ15Fについては、湾曲壁形状を呈して第1構成パーツ15Aの側面へ重合されるものであることから、壁形状の両側縁が割縁部74とされる。これらの割縁部74には湾曲壁形状に関して内向きとなる重合接着部77が設けられている。なお、これに対応するために、第1構成パーツ15Aには、第6構成パーツ15Fにおける上記2箇所の割縁部74(重合接着部77)が重合されることになる側面2箇所に、外向きの重合接着部78が設けられている。
第6構成パーツ15Fにおける内向きの重合接着部77と、第1構成パーツ15Aにおける外向きの重合接着部78とについても、互いに雌雄の係着関係を有する面ファスナーが採用されており、係合と離脱とが自在で且つこの係合離脱を繰り返し行えるものとなっている。
なお、この第6構成パーツ15Fが第1構成パーツ15Aに重合する箇所は、第1構成パーツ15Aの割縁部74(重合接着部76,77の重ね合わせ位置)に一致している。そのためこの第6構成パーツ15Fは、第1構成パーツ15Aにおける遮音性等の作用を補強し且つ構造的強度的な一体性を生じさせるように作用することになる。
上記のように第1構成パーツ15A、第2構成パーツ15B、及び第4構成パーツ15Dのそれぞれは、排水集合管1の管本体7に対してその管軸方向に沿って互いの重合により連結される関係にある。また第1構成パーツ15Aは、上部側立管部材20に装着される複合被覆層26と重合により連結される関係にあり、第4構成パーツ15Dは、下部側立管部材20に装着される複合被覆層26と重合により連結される関係にある。
これらの連結を可能にするため、上部側立管部材20に装着される複合被覆層26の下端部には、第1構成パーツ15Aとの重合時に内側に入れられる端縁に、周方向で外向きとなる重合接着部80が設けられ、第1構成パーツ15Aの上端部には、上部側複合被覆層26との重合時に外側に出される端縁に、周方向で内向きとなる重合接着部81が設けられている。
上部側複合被覆層26における外向きの重合接着部80と、第1構成パーツ15Aにおける内向きの重合接着部81とについても、互いに雌雄の係着関係を有する面ファスナーが採用されており、係合と離脱とが自在で且つこの係合離脱を繰り返し行えるものとなっている。
以下同様に、第2構成パーツ15Bの上端部には、第1構成パーツ15Aとの重合時に内側に入れられる端縁に、周方向で外向きとなる重合接着部80が設けられ、第1構成パーツ15Aの下端部には、第2構成パーツ15Bとの重合時に外側に出される端縁に、周方向で内向きとなる重合接着部81が設けられている。
第2構成パーツ15Bの下端部には、第4構成パーツ15Dとの重合時に内側に入れられる端縁に、周方向で外向きとなる重合接着部80が設けられ、第4構成パーツ15Dの上端部には、第2構成パーツ15Bとの重合時に外側に出される端縁に、周方向で内向きとなる重合接着部81が設けられている。
下部側立管部材20に装着される複合被覆層26の上端部には、第4構成パーツ15Dとの重合時に内側に入れられる端縁に、周方向で外向きとなる重合接着部80が設けられ、第4構成パーツ15Dの下端部には、下部側の複合被覆層26との重合時に外側に出される端縁に、周方向で内向きとなる重合接着部81が設けられている。
第5構成パーツ15Eは、そのまわりを第3構成パーツ15Cによって巻き締められるように重合されることになるが、この重合時に内側に入れられる外周面に、外向きとなる重合接着部80が設けられ、第3構成パーツ15Cには、第5構成パーツ15Eとの重合時に外側に出される内周面に、内向きとなる重合接着部81が設けられている。
更に、枝管21に対しても複合被覆層26を装着する場合、第3構成パーツ15Cの先端部には、枝管21に装着される複合被覆層26との重合時に内側に入れられる端縁に、周方向で外向きとなる重合接着部80が設けられ、枝管21に装着される複合被覆層26の端部には、第3構成パーツ15Cとの重合時に外側に出される端縁に、内向きとなる重合接着部81が設けられている。
以上説明したように、複合被覆層15,26は割縁部70,74を設けることで排水集合管1の管本体7や枝管接続部8、立管部材20、或いは枝管21に対して後付けが可能となる。そのため、配管作業現場での複合被覆層15,26の装着が容易となるばかりでなく、既に配管施工されている排水集合管(言うまでもなくここで言う「排水集合管」は遮音層を装備しない従来のものである)や立管部材20、或いは枝管21に対しても、簡単且つ短時間で遮音層を装着させることができるようになる。
なお、上記複合被覆層15について各構成パーツへの分割の方法や分割数、パーツ構造やパーツ形状などは一実施形態を説明したにすぎず、管本体7の形体や枝管接続部8の形成数などに応じて適宜変更可能である。
例えば、第2構成パーツ15Bは、下すぼみテーパ形の筒形状として一体化されたもの(すなわち、管軸方向に沿って通り抜ける割縁部74が設けられておらず当然に重合接着部76,77も具備しないもの)を使用することができる。また、この第2構成パーツ15Bに代えて、第5実施形態(図11参照)や第6実施形態(図12参照)で説明した振動絶縁体40を使用することも可能である。
図18に示す試験装置を用いて本発明に係る排水配管構造の防音性を確かめる性能試験(騒音測定試験)を行った。この試験装置は、吸音材及び遮音材を複合させた構成板により、幅D900mm、高さH900mm、奥行き700mmの吸音材・遮音材からなる箱形を成す騒音測定ボックスBを構成させ、この騒音測定ボックスB内に、幅Dに対する偏り位置(d1:d2)が350mm:550mmとなるようにして被験立管部材Wを設置できるようにしたものである。この被験立管部材Wにおいて騒音測定ボックスBの下方へと突き抜けた先には排水集合管1が接続され、また騒音測定ボックスBの上部側へと突き抜けた部分にも排水集合管1が接続されたものとしてある。
試験は、上位の排水集合管1から下位の排水集合管1へと一定流量の水を流下させつつ、被験立管部材Wから所定距離Lを離して設置したマイクロホンMで騒音測定ボックスB内の騒音を採取し、これを騒音測定ボックスBの外に設置した普通騒音計Zにて測定するものとした。普通騒音計ZはJIS C 1502に規定されるものであり、マイクロホンMと被験立管部材Wとの間の距離Lは150mmとした。
このような試験装置及び試験方法を採用することで、上位の排水集合管1内にて旋回羽根12による整流作用(被験立管部材Wの内周面に沿った旋回流)を受けて発生する排水騒音を測定することになる。すなわち、本発明に係る排水配管構造において、立管部材20に設けられた複合被覆層26により排水騒音が遮音及び吸音される効果を最も顕著に検証することができる。
図19、図20、図21は、いずれも水量一定(1.5[l/s]の場合、3.0[l/s]の場合、5.0[l/s]の場合)として、1/1オクターブバンド中心周波数(横軸)と音圧レベル(縦軸)との関係を示した折れ線グラフである。
また図22、図23、図24は、いずれも複合被覆層15付き立管部材を用いた排水配管構造である(本発明に係る排水配管構造)か、裸の立管部材を用いた排水配管構造であるかに着目して、1/1オクターブバンド中心周波数(横軸)と音圧レベル(縦軸)との関係を示した折れ線グラフである。
これら図19乃至図21と図22乃至図24とは、騒音測定データとしては同じ試験から得たものである。なお、各図中において「暗騒音」とあるのは水を流さない状況下での騒音測定ボックスB内での騒音測定値である。
図19及び図22は被験立管部材Wとして金属管(鋳鉄管)の場合について示してあり、図20及び図23はライニング管(塩ビライニング鋼管)の場合について示してあり、図21及び図24は樹脂管(塩ビ管)の場合について示してある。なお、樹脂管(塩ビ管)の一対応として重層管(耐火二層管)を含めてある。
これら図19乃至図24から明らかなように、遮音層無しの立管部材では、500Hzを超える周波数域において音圧が顕著な上昇傾向を示しているのに対し、複合被覆層15を設けた立管部材の場合、500Hzを超える周波数域でも暗騒音に近似する音圧に抑制されていることが判る。500Hzを超える周波数帯での騒音としては「パシャパシャ」といった人間にとって非常に耳障りのある音域に相当するため、この音域での防音が図られることで静音化としての有用性は高い。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
例えば、排水集合管1における管本体7の形状等は細部にわたり限定されるものではなく、上部流入口部5、下部流出口部6及び枝管接続部8は、差口タイプ、受口タイプ、メカニカルタイプ、フランジ継ぎ手タイプなど、何を採用してもよい。
止水材41は工場出荷段階で既に排水集合管1の管本体7に対して外嵌装着されているものとしてもよい。これであれば、配管現場にていちいち止水材41を装着する手間がなく、配管施工作業が効率よく行える利点もある。
リング状堰部材45は、流動状態の止水材41を充填して非流動状態へと硬化した後に、排水集合管1から除去するようにしてもよい。この場合、リング状堰部材45は止水材41の充填圧に耐えうる強度さえ有すれば、その材質は特に限定されるものではない。
図1に示した第1実施形態において、立管部材20にのみ複合被覆層15を設けるもの(即ち、金属製排水集合管1に対しては複合被覆層15を設けないもの)でもよい。また立管部材20に複合被覆層15を設けると共に、排水集合管1において床スラブ2の貫通孔3から出ている部分(貫通孔3内への貫通部分を除いた部分)に複合被覆層15を設けるものとしてもよい。
本発明に係る第1実施形態の排水配管構造を示した一部破砕側面図である。 第1実施形態で採用した排水集合管の側面図である。 第1実施形態で採用した排水集合管の一部破砕側面図である。 図3のA部対応領域を拡大して示した断面図である。 本発明に係る第2実施形態の排水配管構造を示した一部破砕側面図である。 本発明に係る第3実施形態の排水配管構造を示した一部破砕側面図である。 第3実施形態で採用した排水集合管の一部破砕側面図である。 図7のB部対応領域を拡大して示した断面図である。 本発明に係る第4実施形態の排水配管構造として採用する排水集合管を示した一部破砕側面図である。 図9のC部対応領域を拡大して示した断面図である。 本発明に係る第5実施形態の排水配管構造を示した一部破砕側面図である。 本発明に係る第6実施形態の排水配管構造を示した一部破砕側面図である。 建築物の耐火試験の一例(防火区画貫通配管等の耐火試験)を説明した斜視図である。 第6実施形態で採用したリング状堰部材の未使用状態を示した斜視図である。 本発明に係る第7実施形態の排水配管構造を示した一部破砕側面図である。 複合被覆層を後付け可能にした実施形態の分解斜視図である。 図16の複合被覆層における装着状態を示した斜視図である。 騒音測定試験に用いた試験装置の側断面図である。 被験立管部材が金属管(鋳鉄管)の場合に、水量一定として1/1オクターブバンド中心周波数(横軸)と音圧レベル(縦軸)との関係を示した折れ線グラフである。 被験立管部材がライニング管(塩ビライニング鋼管)の場合に、水量一定として1/1オクターブバンド中心周波数(横軸)と音圧レベル(縦軸)との関係を示した折れ線グラフである。 被験立管部材が樹脂管(塩ビ管)の場合に、水量一定として1/1オクターブバンド中心周波数(横軸)と音圧レベル(縦軸)との関係を示した折れ線グラフである。 被験立管部材が金属管(鋳鉄管)の場合に、遮音層を設けてあるか設けていないかに着目して、1/1オクターブバンド中心周波数(横軸)と音圧レベル(縦軸)との関係を示した折れ線グラフである。 被験立管部材がライニング管(塩ビライニング鋼管)の場合に、遮音層を設けてあるか設けていないかに着目して、1/1オクターブバンド中心周波数(横軸)と音圧レベル(縦軸)との関係を示した折れ線グラフである。 被験立管部材が樹脂管(塩ビ管及び重層管(耐火二層管))の場合に、遮音層を設けてあるか設けていないかに着目して、1/1オクターブバンド中心周波数(横軸)と音圧レベル(縦軸)との関係を示した折れ線グラフである。
符号の説明
1 排水集合管
2 床スラブ
3 貫通孔
3a 内周面
5 上部流入口部
6 下部流出口部
7 管本体
8 枝管接続部
17 遮音層
20 立管部材
21 枝管部材
25 モルタル
40 振動絶縁体
42 止水材(第2止水材)
45 リング状堰部材
70 割縁部
72 外向きの重合接着部
73 内向きの重合接着部
74 割縁部
76 外向きの重合接着部
77 内向きの重合接着部
80 外向きの重合接着部
81 内向きの重合接着部

Claims (14)

  1. 複数階の床スラブを有すると共に各床スラブを縦方向に貫通する貫通孔が設けられた建物躯体に対し上記貫通孔を通して建て込む排水配管構造において、
    上記貫通孔へ嵌め込まれる状態で床スラブ上に上部流入口部が設けられ床スラブ下に下部流出口部が設けられる管本体に対し床スラブ上に少なくとも1本の枝管接続部が設けられた金属製の排水集合管と、
    排水集合管の上部流入口部及び下部流出口部に接続される立管部材と、
    排水集合管の枝管接続部に接続される枝管部材とを有し、
    上記立管部材の外周面を取り囲んで遮音層が設けられていることを特徴とする排水配管構造。
  2. 複数階の床スラブを有すると共に各床スラブを縦方向に貫通する貫通孔が設けられた建物躯体に対し上記貫通孔を通して建て込む排水配管構造において、
    上記貫通孔へ嵌め込まれる状態で床スラブ上に上部流入口部が設けられ床スラブ下に下部流出口部が設けられる管本体に対し床スラブ上に少なくとも1本の枝管接続部が設けられた樹脂製の排水集合管と、
    排水集合管の上部流入口部及び下部流出口部に接続される立管部材と、
    排水集合管の枝管接続部に接続される枝管部材とを有し、
    上記立管部材の外周面を取り囲んで遮音層が設けられていることを特徴とする排水配管構造。
  3. 前記排水集合管における管本体の外周面及び枝管接続部の外面を取り囲んで遮音層が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の排水配管構造。
  4. 複数階の床スラブを有すると共に各床スラブを縦方向に貫通する貫通孔が設けられた建物躯体に対し上記貫通孔を通して建て込む排水配管構造において、
    上記貫通孔へ嵌め込まれる状態で床スラブ上に上部流入口部が設けられ床スラブ下に下部流出口部が設けられる管本体に対し床スラブ上に少なくとも1本の枝管接続部が設けられこれら管本体及び枝管接続部が共に樹脂製とされると共にその全外周面に耐火モルタル層が被覆形成されて成る排水集合管と、
    排水集合管の上部流入口部及び下部流出口部に接続される立管部材と、
    排水集合管の枝管接続部に接続される枝管部材とを有し、
    上記排水集合管における管本体の外周面及び枝管接続部の外面並びに上記立管部材の外周面を取り囲んで遮音層が設けられていることを特徴とする排水配管構造。
  5. 複数階の床スラブを有すると共に各床スラブを縦方向に貫通する貫通孔が設けられた建物躯体に対し上記貫通孔を通して建て込む排水配管構造において、
    上記貫通孔へ嵌め込まれる状態で床スラブ上に上部流入口部が設けられ床スラブ下に下部流出口部が設けられる管本体に対し床スラブ上に少なくとも1本の枝管接続部が設けられた金属製の排水集合管と、
    排水集合管の上部流入口部及び下部流出口部に接続される立管部材と、
    排水集合管の枝管接続部に接続される枝管部材とを有し、
    上記排水集合管の管本体のうち床スラブの貫通孔へ嵌められた部分を取り囲む状態で振動絶縁体が設けられていると共に、この振動絶縁体を除く管本体の外周面と上記立管部材の外周面を取り囲んで遮音層が設けられていることを特徴とする排水配管構造。
  6. 前記立管部材は樹脂製であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の排水配管構造。
  7. 前記立管部材は樹脂製の芯管とその外周面を被覆するモルタル層とを有した重層管であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の排水配管構造。
  8. 前記立管部材は金属製であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の排水配管構造。
  9. 前記立管部材は金属製の外管とその内周面を被覆する樹脂ライニング層とを有したライニング管であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の排水配管構造。
  10. 前記排水集合管における枝管部材の外周面を取り囲んで遮音層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の排水配管構造。
  11. 前記遮音層と排水集合管、立管部材、又は枝管部材との間に吸音層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の排水配管構造。
  12. 前記遮音層には周方向の少なくとも1箇所に管軸方向へ通り抜けた割縁部が設けられており、この割縁部には周方向に対して外向き又は内向きとなる重合接着部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の排水集合管。
  13. 前記遮音層には、管軸方向の端部寄りに周方向に対して外向き又は内向きとなる重合接着部が設けられていることを特徴とする請求項12記載の排水集合管。
  14. 前記重合接着部は面ファスナーであることを特徴とする請求項13記載の排水集合管。
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