JP4811930B2 - 排水管施工方法 - Google Patents
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Description
本出願人は嘗て、排水集合管においてそのまわりにロックウール等を用いた振動絶縁体を設け、この振動絶縁体の外周部と床スラブに設けた貫通孔の内周面との周間にモルタルを詰める技術を開発し、特許出願している(以下「先願技術」と言う:特許文献1等参照)。この先願技術では、振動絶縁体の上部環状面を覆蓋する状態で防水リングを設けており、この防水リングによって床スラブの肉厚方向へ透過するような漏水を防止していた。
PDM(エチレン,プロピレン,ジエン共重合系合成ゴム)等を素材として形成したものであったため、本出願人は自主的に、排水騒音の防止、床スラブ肉厚方向への漏水防止を図ったまま、更に火災発生時の延焼防止性及び発煙防止性が得られるよう開発を行うに至った。
即ち、本発明に係る排水管施工方法は、上部流入口部及び下部流出口部を有した管本体に対し少なくとも1本の枝管接続部が設けられこれら管本体及び枝管接続部が耐火性を具備して成る排水集合管に対し、管本体の外周面のうち床スラブの貫通孔へ嵌める部分を取り囲む状態で振動絶縁体を設け、この排水集合管を床スラブ上から貫通孔内へ嵌めて振動絶縁体が貫通孔内を通る状態に設置し、排水集合管の上部流入口部、下部流出口部、枝管接続部に対する配管を行うと共に、流動状態から非流動状態へ硬化する素材であって建築物の耐火試験において耐熱及び不煙の適合性を有し且つ振動吸収性を有する素材で形成される止水材を、前記排水集合管を貫通孔内へ嵌める過程において、振動絶縁体の外周部と貫通孔の内周面との周間にモルタルを詰めてゆきつつ、このモルタルの上面に床スラブの上面レベルから所定深さの止水材形成凹部を確保し、しかる後、この止水材形成凹部内へ流動状態で供給して硬化させ、上記貫通孔の上部開口部で振動絶縁体が露出するのを遮断する状態に当該振動絶縁体の上部環状面へ全周的に被せ且つ排水集合管の管本体外周面に対して全周的に周接させて設ける。
本発明に係る他の排水管施工方法は、上部流入口部及び下部流出口部を有した管本体に対し少なくとも1本の枝管接続部が設けられこれら管本体及び枝管接続部が耐火性を具備して成る排水集合管に対し、管本体の外周面のうち床スラブの貫通孔へ嵌める部分を取り囲む状態で振動絶縁体を設け、予め管本体に対して少なくとも貫通孔内に嵌る部分の外周面全周に対し、所定の周隙間を保持させつつ取り囲む状態にリング状堰部材を取り付けておき、この排水集合管を床スラブ上から貫通孔内へ嵌めて振動絶縁体が貫通孔内を通る状態に設置し、排水集合管の上部流入口部、下部流出口部、枝管接続部に対する配管を行い、排水集合管を貫通孔内へ嵌めた後に振動絶縁体から上記リング堰部材にわたる外周面と貫通孔の内周面との周間へモルタルを詰め、流動状態から非流動状態へ硬化する素材であって建築物の耐火試験において耐熱及び不煙の適合性を有し且つ振動吸収性を有する素材で形成される止水材を、上記リング状堰部材の内周面と排水集合管の管本体外周面との周間へ充填して上記貫通孔の上部開口部で振動絶縁体が露出するのを遮断する状態に当該振動絶縁体の上部環状面へ全周的に被せ且つ排水集合管の管本体外周面に対して全周的に周接させて設ける。
振動絶縁体の上部環状面へ全周的に被せ且つ排水集合管の管本体外周面に対して全周的に周接させて設け、振動絶縁体から上記リング堰部材にわたる外周面と貫通孔の内周面との周間へモルタルを詰める。
リング状堰部材の内周側へ充填した止水材素材が硬化した後は、このリング状堰部材を除去し、この状態で振動絶縁体の外周部及び硬化後の止水材外周面に対する外側へモルタルを詰めるようにしてもよい。
この場合、止水材は弾性変形可能な素材で予めリング状に形成されたものとしてもよく、このような弾性変形可能な止水材を採用するには、止水材を弾性に抗して拡径変形させつつ管本体へ締まり嵌め状に嵌め込むようにすればよい。このようにしても、止水材と管本体の外周面とを密着させることができる。
なお、排水集合管1は、例えば図1に示すように集合住宅等の多層階建物にあって各階層ごとを区画する床スラブ2に設けられた貫通孔3を縦方向に貫通して配管設置される。本明細書において床スラブ2とは、各階層を区画するものだけに限らず、それ以外にも、水平方向に設けられる建物躯体であって配管用に縦方向の貫通孔3を有したもの全般を含めるものとする。
図1(B)は排水配管構造の形態を示し、また図1(A)はその配管手順(排水管施工方法の一過程)を示しており、この排水配管構造では、排水集合管1の管本体7まわりに振動絶縁体10及び止水材11が外嵌状に設けられている。なお、図例では、この排水集合管1が床スラブ2の貫通孔3を貫通する部分にあって、これら振動絶縁体10及び止水材11の各外周部と貫通孔3の内周面3aとの周間へモルタル13を詰めてある。
材料によって形成されており、耐火性、遮炎性及び断熱性を有している。
この振動絶縁体10は、その外周面全周をアルミガラスクロスやアルミ系合金等(図示略)で被覆するのが好適であり、これによって耐火性の強化をはじめ、防水性や保形性、振動絶縁体10の素材となるロックウール等の飛散防止なども得られるようにしてある。図例の場合、排水集合管1の管本体外周面7aが下すぼみのテーパ管として形成されているので、この振動絶縁体10も同様に、内外周面が共に下すぼみのテーパ形状として形成され、全体にわたり略均等厚となっている。
止水材11は、振動絶縁体10が貫通孔3の上部開口部で露出するのを遮断する状態に振動絶縁体10の上部環状面へ全周的に被せられている。またこの止水材11は、排水集合管1の管本体外周面7a全周に周接する状態で設けられている。止水材11の上面は、枝管接続部8が床スラブ2の上面に接触するか又はごく近接して設けられるのが一般的であることから、貫通孔3の上部開口部と面一になる状態とされる。
止水材11は、建築物の耐火試験において耐熱及び不煙の適合性を有し、且つ振動吸収性を有する素材で形成されている。例えばシリコーンを素材として形成されたものとすればよい(言うまでもなく耐熱及び不煙の適合性を有したものに限定される)。
加熱は、温度検出部107によって測定される温度の時間経過が、
T=345 log10(8t+1)+20
で表されるよう数値となるようにして行う。ここにおいてTは平均炉内温度、tは経過時間とする。
リング状堰部材20の下部内周面が振動絶縁体10に当接するようにし、もって排水集合管1の管本体外周面7aを取り囲む状態で、全周的にこのリング状堰部材20との周間を形成させ、この周間へ、まだ流動状態にある止水材11を充填してその硬化を待つようにする。これにより、排水集合管1の管本体外周面7aに対して止水材11が密着するようになる。このリング状堰部材20は金属製などの不燃材料で形成し、耐火性を持たせておく必要がある。
図1(A)に示すように、排水集合管1に対し、その管本体7まわりに振動絶縁体10を設けると共に、この振動絶縁体10の上部側へリング状堰部材20を外嵌装着し、管本体7の外周面7aとリング状堰部材20の内周面との周間であって且つ振動絶縁体10の上部に略均一な周隙間が形成されるようにする。
すなわち、この排水配管構造で使用する排水集合管1において振動絶縁体10は、その下部環状面が床スラブ2の下面と同等かやや下方へ突き出す程度となるように設けられ、また振動絶縁体10の上部環状面は、排水集合管1が床スラブ2の貫通孔3内へ嵌められた状態で、貫通孔3の上部開口部(床スラブ2の上面)と略面一になるレベルまで設けられている。
止水材11は、この止水材形成凹部13aに対して流動状態の止水材素材を供給し、硬化させることによって設けられている。なお、非流動状態へと硬化した後でも適度な弾性を生じている。従って止水材11の外径は貫通孔3の内径に等しくなる大きさに及んだものとなり、止水材11の外周縁全周が貫通孔3の内周面3aに対して全周的に周接したものとなっている。
このような排水配管構造にするには、排水集合管1を貫通孔3内へ嵌めた後、振動絶縁体10の外周側へモルタル13を詰めてゆきつつ、このモルタル13の上面に床スラブ2の上面レベルから所定深さの止水材形成凹部13aを確保しておき、しかる後(モルタル13が硬化した後)、この止水材形成凹部13a内へ流動状態の止水材素材を供給してその硬化を待つようにする。
図5(B)は排水配管構造の他の形態を示し、また図5(A)はその配管手順(排水管施工方法の一過程)を示しており、この形態の排水配管構造では、振動絶縁体10の上部環状面が、貫通孔3内に設ける止水材形成凹部13aと略面一になるレベルまで設けられてあると共に、この止水材形成凹部13a内に設ける止水材11の上面が、貫通孔3の上部開口部(床スラブ2の上面)と略面一にしてある。
図6(B)は排水配管構造の他の形態を示し、また図6(A)はその配管手順(排水管施工方法の一過程)を示しており、この形態の排水配管構造では、図6(A)から明らかなように、排水集合管1を床スラブ2の貫通孔3へ嵌める前に、排水集合管1の管本体7まわりにリング状堰部材20を外嵌装着しており、この点で図1に示した形態と同様である。
図6(B)に示すように、排水集合管1を床スラブ2の貫通孔3へ嵌めた後、下部流出口部6に対する下部側立管31の接続、上部流出口部5に対する上部側立管32の接続、枝管接続部8に対する枝管33の接続、といった配管作業を行ったり、振動絶縁体10からリング状堰部材20にかけた外周面と貫通孔3の内周面3aとの周間へモルタル13を詰めたりする点は図1形態と同じである。
態になっている。従って、リング状堰部材20の外周側上縁部とモルタル13との境界部分が止水材11によって全面的に覆われるようになるため、それだけ防水性が高くなる。
リング状堰部材20は、排水集合管1を床スラブ2の貫通孔3へ嵌める前に、排水集合管1から除去するようにしてもよい。また、止水材11を弾性変形可能な素材で予めリング状に形成しておき、この止水材11を弾性に抗して拡径変形させつつ管本体7へ締まり嵌め状に嵌め込むようにする場合には最初から不要である。このようにしても、止水材11と管本体7の外周面7aとを密着させることができ、問題はない。
例えば、管本体7の形状等は細部にわたり限定されるものではなく、上部流入口部5、下部流出口部6及び枝管接続部8は、差口タイプ、受口タイプ、メカニカルタイプ、フランジ継ぎ手タイプなど、何を採用してもよい。
リング状堰部材20は、図8に示すように周方向1箇所において開放部が設けられた筒状本体部29を有して、この筒状本体部29がリング径を拡縮させる方向で弾性を有する構造とし、開放部の両側にフランジ部21a,22aが設けられた片口タイプとしてもよい。
リング状堰部材20は、止水材素材の充填を容易にさせるため、上部ほど開口径の広がるようなテーパ構造が高さ方向の一部又は全部に適用された構造にすることもできる。
リング状堰部材20は、流動状態の止水材11を充填して非流動状態へと硬化した後に、排水集合管1から除去ようにしてもよい。この場合、リング状堰部材20は止水材11の充填圧に耐えうる強度さえ有すれば、その材質は特に限定されるものではない。
2 床スラブ
3 貫通孔
3a 内周面
5 上部流入口部
6 下部流出口部
7 管本体
7a 外周面
8 枝管接続部
10 振動絶縁体
11 止水材
13 モルタル
13a 止水材形成凹部
20 リング状堰部材
Claims (3)
- 上部流入口部及び下部流出口部を有した管本体に対し少なくとも1本の枝管接続部が設けられこれら管本体及び枝管接続部が耐火性を具備して成る排水集合管に対し、管本体の外周面のうち床スラブの貫通孔へ嵌める部分を取り囲む状態で振動絶縁体を設け、
この排水集合管を床スラブ上から貫通孔内へ嵌めて振動絶縁体が貫通孔内を通る状態に設置し、
排水集合管の上部流入口部、下部流出口部、枝管接続部に対する配管を行うと共に、
流動状態から非流動状態へ硬化する素材であって建築物の耐火試験において耐熱及び不煙の適合性を有し且つ振動吸収性を有する素材で形成される止水材を、前記排水集合管を貫通孔内へ嵌める過程において、振動絶縁体の外周部と貫通孔の内周面との周間にモルタルを詰めてゆきつつ、
このモルタルの上面に床スラブの上面レベルから所定深さの止水材形成凹部を確保し、
しかる後、この止水材形成凹部内へ流動状態で供給して硬化させ、上記貫通孔の上部開口部で振動絶縁体が露出するのを遮断する状態に当該振動絶縁体の上部環状面へ全周的に被せ且つ排水集合管の管本体外周面に対して全周的に周接させて設ける
ことを特徴とする排水管施工方法。 - 上部流入口部及び下部流出口部を有した管本体に対し少なくとも1本の枝管接続部が設けられこれら管本体及び枝管接続部が耐火性を具備して成る排水集合管に対し、管本体の外周面のうち床スラブの貫通孔へ嵌める部分を取り囲む状態で振動絶縁体を設け、
予め管本体に対して少なくとも貫通孔内に嵌る部分の外周面全周に対し、所定の周隙間を保持させつつ取り囲む状態にリング状堰部材を取り付けておき、
この排水集合管を床スラブ上から貫通孔内へ嵌めて振動絶縁体が貫通孔内を通る状態に設置し、
排水集合管の上部流入口部、下部流出口部、枝管接続部に対する配管を行い、
排水集合管を貫通孔内へ嵌めた後に振動絶縁体から上記リング堰部材にわたる外周面と貫通孔の内周面との周間へモルタルを詰め、流動状態から非流動状態へ硬化する素材であって建築物の耐火試験において耐熱及び不煙の適合性を有し且つ振動吸収性を有する素材で形成される止水材を、上記リング状堰部材の内周面と排水集合管の管本体外周面との周間へ充填して上記貫通孔の上部開口部で振動絶縁体が露出するのを遮断する状態に当該振
動絶縁体の上部環状面へ全周的に被せ且つ排水集合管の管本体外周面に対して全周的に周接させて設ける
ことを特徴とする排水管施工方法。 - 上部流入口部及び下部流出口部を有した管本体に対し少なくとも1本の枝管接続部が設けられこれら管本体及び枝管接続部が耐火性を具備して成る排水集合管に対し、管本体の外周面のうち床スラブの貫通孔へ嵌める部分を取り囲む状態で振動絶縁体を設け、
予め管本体に対して少なくとも貫通孔内に嵌る部分の外周面全周に対し、所定の周隙間を保持させつつ取り囲む状態にリング状堰部材を取り付けておき、
この排水集合管を床スラブ上から貫通孔内へ嵌めて振動絶縁体が貫通孔内を通る状態に設置し、
排水集合管の上部流入口部、下部流出口部、枝管接続部に対する配管を行い、
排水集合管を貫通孔内へ嵌めた後に、流動状態から非流動状態へ硬化する素材であって建築物の耐火試験において耐熱及び不煙の適合性を有し且つ振動吸収性を有する素材で形成される止水材を、上記リング状堰部材の内周面と排水集合管の管本体外周面との周間へ充填して上記貫通孔の上部開口部で振動絶縁体が露出するのを遮断する状態に当該振動絶縁体の上部環状面へ全周的に被せ且つ排水集合管の管本体外周面に対して全周的に周接させて設け、
振動絶縁体から上記リング堰部材にわたる外周面と貫通孔の内周面との周間へモルタルを詰める
ことを特徴とする排水管施工方法。
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