JP7206074B2 - キャップおよび継手の遮音構造 - Google Patents
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Description
横枝管を接続した排水縦管が床スラブを貫通する部分には、排水集合継手と称される樹脂製の継手部材が配置されている。この排水集合継手は、排水縦管を接続する上部接続管と、上部接続管の側面に形成された横枝管接続部と、上部接続管の下端部に接続されて床スラブの貫通孔を上下に通過する下部接続管を有している。
排水集合継手において横枝管を接続する場合の本数は1~3本となるケースが殆どである。このため、排水集合継手を製造する場合は上部接続管の側面の周回りに1~3個の横枝管接続部を設けている。
特許文献1には、樹脂製集合継手の遮音構造として、スポンジ材からなる第1の吸音層と、無機繊維の集合体からなる第2の吸音層と、防水性と遮音性を兼ね備えた表皮層とを備えた構造が開示されている。
第1の吸音層はウレタンフォームやスポンジからなる吸音材から構成され、第2の吸音層はグラスウールやセラミックファイバーから構成され、表皮層はアルミガラスクロスから構成されている。
例えば、上部接続管の周回りに3個の横枝管接続部を設けた排水集合継手を用いるが、2個の横枝管接続部を使用し、残り1個の横枝管接続部を使用しない場合がある。または、上部接続管に1個の横枝管接続部を形成しておくが、横枝管を接続せずに上の階から下の階への接続のみに使用する場合がある。
この閉塞作業を行う場合、従来は、横枝管接続部の開口に吸音材や吸音カバーを被せた後、テープ巻き作業を行って隙間を完全に塞ぐことで排水騒音の抑制を図っている。
ところが、このテープ巻き作業は熟練工が丁寧に行う必要が有り、仮に閉塞部分に少しでも隙間を生じると、排水騒音の漏れを引き起こすおそれがあった。また、テープ巻き作業を行った部分はテープにシワが生じやすく、熟練度を要する作業でもあるので、省力化が望まれている。
「1」本形態に係るキャップは、継手の横管接続部に配置されるキャップであって、底壁と周壁を有し、前記底壁と前記周壁との間の内周または外周に段部が形成され、前記周壁の一方が開口され、前記周壁の他方が前記底壁で閉じられ、前記周壁が前記横管接続部内に挿入されて前記底壁が前記開口より前記継手の中心軸側に配置されるキャップ本体と、前記周壁の内部側に収容される防音材と、前記周壁内において前記防音材より外側に位置する抜け止め部材と、を具備したことを特徴とする。防音材とは、吸音材および遮音材のうちの少なくとも一方を備える構成を意味する。
いずれにおいてもワンタッチあるいはワンタッチに近い簡単な操作で横管接続部を確実に閉塞できるので、熟練工でなくとも横管接続部の閉塞作業ができるようになる。
「3」本形態に係るキャップにおいて、前記抜け止め部材にその内側に配置される前記防音材を視認可能とする窓部を設けたことが好ましい。
このため、内部を流れる排水の騒音を外部に漏洩し難い優れた遮音性の排水継手を提供できる。
キャップを装着するとともに吸音層と遮音カバー層で継手の外周を覆うことで排水継手を通過する排水が発生させる騒音を更に低減できる継手の遮音構造を提供できる。
本実施形態に係る排水集合継手の遮音構造は、建物排水用として用いられ、床スラブに形成されたスラブ貫通孔の部分に設けられた排水集合継手に適用されている。
図1に示す実施形態では、床スラブSに形成されている貫通孔Hに対し、その上方に上階の第1の縦管P1が設けられ、下方に下階の第2の縦管P2が設けられている。
図1および図2に示すように、本実施形態に係る排水集合継手の遮音構造1は、排水集合継手10を備えている。この排水集合継手10の側部に設けられている3つの横管接続部14のうち、図1に示す左右の横管接続部14に横管P3が接続され、図3に示す残り1つの横管接続部14に対し図4~図9を基に後に説明する遮音構造が適用されている。
3つの横管接続部14のうちの2つが中心軸線Oを径方向に挟む位置に個別に配置されている。残りの横管接続部14は、中心軸線Oに直交する径方向のうち、前記2つの横管接続部14のそれぞれが延在する方向と、平面視で90°をなす方向に延在されている。
なお、横管接続部14の数量および延在方向は、このような態様に限られず、任意に変更することができる。
前述の3つの横管接続部14のうち、図1に示すように、左右の横管接続部14の先端側には、横管(横枝管)P3がそれぞれ接続されている。また、残り1つの横管接続部14には横管P3が接続されておらず、図4~図9を基に後に説明するキャップ本体50が嵌め込まれている。
すなわち、熱膨張性黒鉛が1重量部未満であると、燃焼時に、十分な熱膨張性が得られず、所望の耐火性が得られないおそれがある。熱膨張性黒鉛が20重量部を超えると、加熱により熱膨張しすぎて、その形状を保持できずに残渣が脱落し、耐火性が低下してしまうおそれがある。
また、必要に応じて上記ポリ塩化ビニル系樹脂を塩素化してもよい。
表層および内層の厚みとしては、それぞれ0.3mm以上3.0mm以下であることが好ましく、0.6mm以上1.5mm以下が好ましい。被覆層の厚みが0.3mm以上であれば、管としての機械的強度を充分に確保でき、3.0mm以下であれば、耐火性の低下を抑制できる。
また、中間管15は、JIS K6741に記載の性能を満たすものであることが好ましい。
無機酸として、濃硫酸、硝酸、セレン酸等を用いることができる。強酸化剤として、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等を用いることができる。
熱膨張性黒鉛の粒径は、特に限定されないが、例えば100~400μmの範囲、好ましくは120~350μmの範囲のものを使用することができる。
傾斜管部17の下端部における外径は、傾斜管部17の上端部の外径よりも小さくされている。
縦ブッシュ21は、嵌合部21aと、旋回羽根21bと、旋回羽根支持脚部21cと、を備えている。嵌合部21aは、縦ブッシュ21の上端部より小径で上部接続管11の縦管接続部13内に嵌合する筒状である。
また、リップ部22aは、下端側に向かって徐々に小径となるように設けられている。リップ部22aは、上端側が第1の縦管P1の外径と略同径または少し大径とされ、下端側が第1の縦管P1の外径より小径となっている。リップ部22aの下端部には、径方向内側に突出する段部22bが形成されている。この段部22bには、第1の縦管P1の管端部が突き当たり、第1の縦管P1の熱伸縮を吸収するようになっている。
縦ブッシュ21~縦リング23は、予め組み立てて一体化したのち、縦ブッシュ21の嵌合部21aを上部接続管11の縦管接続部13に嵌合し、接着することができる。
横ブッシュ31の一端部が上部接続管11の横管接続部14に嵌合接着されるとともに、他端部に拡径部が形成されている。
また、縦ブッシュ21、縦リング23、及び横ブッシュ31、横リング33は、いずれもポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、非膨張性黒鉛を0.1~1.0重量部の割合で含むポリ塩化ビニル系樹脂組成物を射出成形して得られる。
そして、この正面側の横管接続部14には、図4~図9を基に以下に説明する吸音材65と遮音カバー66と固定リング59を備えたキャップ本体50が嵌め込まれている。
本実施形態の周壁56の高さhは、底壁55の半径の数分の一程度に形成されているので、キャップ本体50の概形は図5に示すように底の浅い偏平型のキャップ状に形成されている。
これら突起部58は、周壁56の高さ方向に沿って細長い形状をなし、内周段部57の高さと同程度の長さに形成されている。8個の突起部58はそれぞれ同じ長さに形成されているので、8個の突起部58の先端部58aはいずれも周壁56の同一高さ位置に配置されている。
図7~図9に示すように、固定リング59は、樹脂製のリング本体60からなり、このリング本体60の外周面に周溝型の凹部61が形成されている。凸部56bが周方向に間欠的に配置されているのに対して、凹部61は周方向に連続するように延在されている。リング本体60の内側は大きく開口されてリング本体60の後方側を前方側から視認できる窓部60aが形成されている。
リング本体60の外径はキャップ本体50の開口部56aの内径と略同一寸法に形成されている。このため、固定リング59を開口部56aの内側に嵌入することができ、リング体60の凹部61に凸部56bを嵌入することで固定リング59を開口部56aの内側に装着することができる。
周壁56の開口部56aに固定リング59を装着した状態を図5に示す。図5に示す状態では、複数の突起部58の先端部58aと固定リング59との間に収容空間Kが区画されている。
吸音材65は、ポリエステル繊維やウレタン発泡体、あるいは、グラスウールなどの吸音素材を厚さ5~20mm程度の円盤状に成形したものを適用できる。遮音カバー66は、軟質塩化ビニルやブチルゴムあるいはポリプロピレン(PP)等の厚さ0.8~2.2mm程度の円板状のシートを適用できる。
吸音材65と遮音カバー66はこれらを重ねた場合の総厚を前記収容空間Kの厚さと同等にしている。また、吸音材65の外径は周壁56の内径とほぼ同一に形成され、遮音カバー66の外径も周壁56の内径とほぼ同一に形成されている。
次に、上述の排水集合継手10を設置するとともに、排水集合継手10の一部の横管接続部14に横管P3を接続し、残りの横管接続部14を塞ぐ場合を例にして以下に説明する。
排水集合継手10は、図1に示すように、多層階建築物の排水立管路の各階の横枝管合流部に用いられ、以下のように施工される。
すなわち、下部接続管12と中間管15と上部接続管11の嵌合接続部を含む部分を床スラブSの貫通孔Hに臨ませた状態で設置し、下側の階の第2の縦管P2(例えば、市販品である積水化学工業社製のエスロン耐火VPパイプが使用できる)を下部接続管12の下側管部18に嵌合させて接着する。この設置の際、下部接続管12の上端部と中間管15と上部接続管11の下端部が貫通孔Hの内側に収容される。
また、縦リング23を介して上側の階の第1の縦管P1の下端部を縦パッキン22に嵌合する。
なお、排水集合継手10の外周に吸音層40と遮音カバー層41は予め形成しておくことが必要となる。その場合の手順については後に説明する。
そして、横リング33、横パッキン32を介して横管P3の端部を横ブッシュ31内に挿入して横管P3を接続する。
横管接続部14を塞ぐ場合に図7に示すようにキャップ本体50の周壁内部に吸音材65、遮音カバー66をこの順に挿入し、周壁56の開口部56aに固定リング59を装着する。固定リング59は吸音材65と遮音カバー66の抜け止めとなるので、吸音材65と遮音カバー66をキャップ本体50の内部に確実に収容できる。
この吸音材65の外側に沿うように遮音カバー66を挿入することで、吸音材65と遮音カバー66を底壁55と平行に配置することができる。
このようにキャップ本体50を嵌め込むことでほぼワンタッチで横管接続部14の閉塞作業を完了できる。このため、従来、熟練工が手作業で注意しつつテープ巻きを行って遮音したのに比べ、熟練工ではない作業者であっても極めて容易に遮音構造を形成できる。
なお、横管接続部14を閉塞する場合、キャップ本体50のみを先に嵌め込み、このキャップ本体50に吸音材65と遮音カバー66を順次挿入し、固定リング59を嵌合してもよい。この作業工程によって横管接続部14を閉塞しても差し支えない。
また、接続管部16の下端に周段部16aを設けているので、火災時に中間管15が膨張する場合、周段部16aが遮音材Mに確実に引っ掛かる。このため、下部接続管12の溶け落ち落下を防止でき、中間管15の膨張により貫通孔Hを確実に閉塞でき、耐火性を確実に発現できる。
縦管接続部13を施工現場に搬入した状態から最初にグラスウールなどの吸音素材を筒状に成形した吸音材を巻き付けて吸音層40を形成する。次に、遮音テープなとを巻き付けて遮音カバー層41を形成する。次いで、吸音材65と遮音カバー66と固定リング59を備えたキャップ本体50を横管接続部14に装着することで遮音構造が完成する。
なお、図10では説明の簡略化のために縦管接続部13に設けた横管接続部14を1つのみ示し、他の横管接続部14は記載を略している。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した実施形態を適宜組み合わせてもよい。
一例として、固定リング(抜け止め部材)59は、吸音材65と遮音カバー66の抜け止めをなすとともに外部から遮音カバー66を視認可能であればよいので、リング状である必要は無い。例えば、樹脂製の円板状で複数の透孔を設けた抜け止め部材あるいはドーナツ板状の抜け止め部材であっても良い。
更に、これまで説明した実施形態においては、本発明を排水集合継手10に適用した例について説明したが、本発明は排水集合継手ではない一般的な継手、あるいは、掃除口継手など、各種継手に広く適用できるのは勿論である。
10…排水集合継手、
11…上部接続管、
12…下部接続管、
13…縦管接続部、
15…中間管、
16…接続管部、
17…傾斜管部、
21b…旋回羽根、
40…吸音層、
41…遮音カバー層、
50…キャップ本体、
55…底壁、
56…周壁、
56a…開口部、
58…突起部、
59…固定リング(抜け止め材)、
60…リング本体、
60a…窓部、
61…凹部、
65…吸音材(防音材)、
66…遮音カバー(防音材)、
H…貫通孔、
M…遮音材(モルタル)、
S…床スラブ。
Claims (6)
- 継手の横管接続部に配置されるキャップであって、
底壁と周壁を有し、前記底壁と前記周壁との間の内周または外周に段部が形成され、前記周壁の一方が開口され、前記周壁の他方が前記底壁で閉じられ、前記周壁が前記横管接続部内に挿入されて前記底壁が前記開口より前記継手の中心軸側に配置されるキャップ本体と、
前記周壁の内部側に収容される防音材と、
前記周壁内において前記防音材より外側に位置する抜け止め部材と、を具備したことを特徴とするキャップ。 - 前記キャップ本体の周壁が前記継手の前記横管接続部の受口に内挿され、前記底壁が前記継手の内側に配置されたことを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
- 前記抜け止め部材にその内側に配置される前記防音材を視認可能とする窓部を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のキャップ。
- 前記抜け止め部材の外周面と前記周壁の内周面の一方に凸部を他方に凹部を形成し、前記凸部と前記凹部の嵌合により前記キャップ本体に前記抜け止め部材を装着したことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のキャップ。
- 前記キャップ本体の前記周壁内面に前記防音材を位置決めする突起部を設けたことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のキャップ。
- 横管接続部を備える継手と、前記横管接続部に配置される請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のキャップと、前記集合継手の外周に前記横管接続部の周囲を囲むように設けられた吸音層と遮音カバー層を備える継手の遮音構造。
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