JP7211932B2 - 液体化粧料塗布具 - Google Patents
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Description
(1) 少なくとも塗布部と塗布液貯蔵部を備え、該塗布部は筆穂からなり、該筆穂を構成する繊維からなる筆毛は断面が円形以外のものを含み、該塗布液貯蔵部には、塗布液が収容されると共に、前記塗布部と該塗布液貯蔵部との間にはシールボールが装着される栓体が備えられ、該シールボールを栓体から取り外すことにより、該塗布液貯蔵部から塗布部への塗布液の供給が可能となり、該シールボールが塗布液貯蔵部に脱落し、かつ、所定距離ピストンを前進させ該塗布液を塗布部へ所定量導出するように構成された液体化粧料塗布具であって、該塗布液は、
アクリル酸モノマー、メタクリル酸モノマー、アクリル酸エステルモノマー、メタクリル酸エステルモノマーから選ばれるモノマー同士を重合することにより得られるガラス転 移点20℃以下のアクリル酸系ポリマーの水性エマルジョンと、結晶セルロースと、下記A群から選ばれる無機顔料と、中和剤と、水とを少なくとも含む液体化粧料組成物からなり、
ELD型粘度計による温度25℃、ずり速度3.83S-1での粘度が20~500mPa・sであり、
プレート法による温度25℃での表面張力が25~60mN/mであることを特徴とする液体化粧料塗布具。
A群:カーボンブラック、酸化鉄粒子、酸化クロム、群青、紺青、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化マグネシウム、水酸化クロム、炭酸カルシウム、チタンイエロー、ベンガラ
(2) 前記アクリル酸系ポリマーの水性エマルジョン(固形分換算)を2~30質量%、前記結晶セルロースを0.1~3.0質量%、前記無機顔料を1~30質量%含むことを特徴とする上記(1)記載の液体化粧料塗布具。
(3) 前記液体化粧料組成物中において前記無機顔料の平均粒子径サイズ(25℃)は動的光散乱法により求めた値が20~300nmであることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の液体化粧料塗布具。
(4) 前記塗布部と液体貯蔵部はパイプ継手と塗布液導通管とを備えていることを特徴とする上記(1)~(3)の何れか一つに記載の液体化粧料塗布具。
(5) 前記筆穂は、全ての筆毛の断面が円形以外のものであることを特徴とする上記(1)~(4)の何れか一つに記載の液体化粧料塗布具。
本発明の液体化粧料組成物は、アクリル酸モノマー、メタクリル酸モノマー、アクリル酸エステルモノマー、メタクリル酸エステルモノマーから選ばれるモノマー同士を重合することにより得られるガラス転移点20℃以下のアクリル酸系ポリマーの水性エマルジョンと、結晶セルロースと、無機顔料と、水とを少なくとも含むことを特徴とするものである。
用いるアクリル酸系ポリマーの水性エマルジョンは、被膜形成剤として用いるものであり、好ましくは、造膜性、形成される被膜の弾力性の点から、ガラス転移点(Tg)が-20℃以上~20℃以下となる水性エマルジョンの使用が望ましい。なお、ガラス転移点が20℃超過のものでは、乾燥した化粧料の弾力性、被膜形成性が低下し、化粧持ちが低下することとなり、好ましくない。
本発明において、ガラス転移点(Tg)は、次のようにして測定した。まず、樹脂をラッカー状とし、ラッカー状とした樹脂を成膜し、次いで溶剤を乾燥させることにより、フィルム化した。フィルム化したアクリル系樹脂を、リガク社製の示差走査熱分析器(DSC)を用いて、昇温速度10℃/分で、-20℃から+150℃まで昇温して示差走査熱量を測定し、得られた吸熱曲線を微分して変極点を求め、この変極点をTgと判断した。
なお、必要に応じて、中和のために、例えば、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリエタノールアミン、L-アルギニン、アンモニア水、水酸化ナトリウム等を用いてもよい。
これらのアクリル酸系ポリマーの水性エマルジョンの含有量は、固形分(樹脂分)換算で液体化粧料組成物全量に対して、2~30質量%(以下、単に質量%を「%」という)が好ましく、更に好ましくは、2~20%、より好ましくは、5~15%とすることが望ましい。
これらの水性エマルジョンの含有量が、固形分(樹脂分)換算で2%以上とすることにより、耐水性を向上させることができ、一方、固形分(樹脂分)換算で30%以下とすることにより、塗布具の塗布部を乾燥せしめることなく、良好な塗布性能を発揮せしめることができる。
なお、被膜形成剤となる水性エマルジョンについて、これらのエマルジョン自体を安定化させる目的で界面活性剤が用いられることがある。ここでの界面活性剤は、液体化粧料の性能である耐水性および肌密着性への影響が少ないため、添加量は特に限定されない。
用いることができる結晶セルロースとしては、例えば、一次粒子の微細なセルロース結晶体の表面を水溶性高分子等を用いてコーティング処理したコロイダルグルードからなるものが挙げられ、具体例としては、セオラスRC-591、RC-N81、RC-591NF、CL-611、セオラスクリーム〔以上、旭化成(株)製〕などが挙げられる。
これらの結晶セルロースの含有量、0.1%以上とすることにより、粘度を高めること、セルロース粒子により、肌のしわに化粧料が流れることを抑制、また、濃密なラインを描くことができ、一方、6.0%以下とすることにより、直液式、中綿式と同じような伸びの良いラインを描くことができる。
本発明に用いる無機顔料は、水性化粧料の顔料として通常使用されているものであれば、特に限定されずに用いることができる。例えば、カーボンブラック、酸化鉄粒子(黒酸化鉄粒子、黄酸化鉄粒子等)、酸化クロム、群青、紺青、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化マグネシウム、水酸化クロム、炭酸カルシウム、チタンイエロー、ベンガラや、二酸化チタン被覆燐片状チタン、ベンガラ被覆雲母チタン、魚鱗箔、Nε-ラウロイル-L-リジン被膜タルクなどの高比重・大粒径色材となるパール顔料(高輝性粒子)などから選ばれる無機顔料の少なくとも1種(各単独又は2種以上の混合物)が挙げられる。
また、分散性を更に向上させる点から、上記カーボンブラック、酸化鉄粒子、群青、紺青、ベンガラなどの無機顔料は、シリコーン系表面処理剤などにより、表面を加工処理したものであってもよい。
また、良好な色相を発揮する点、分散性の点などから、用いる無機顔料の平均粒子径サイズは、好ましくは、平均粒子径が300nm(0.3μm)以下、より好ましくは、20~250nm(0.02~0.25μm)、特に好ましくは、20~200nm(0.02~0.2μm)となる粒子サイズを用いることが望ましい。
これらの平均粒子径サイズの無機顔料を用いることにより、水中での凝集がなく高分散性を実現でき、十分な色相と塗布具内での詰まりがなく、優れた吐出性能を実現することができるものとなる。ここで、本発明において、「平均粒子径」は、液体化粧料組成物中の顔料粒子(25℃)を動的光散乱法による粒子径測定器FPAR-1000(大塚電子社製)より求めた値である。
これらの無機顔料が1%未満では、発色が薄くて化粧料として不十分となり、一方、30%を超えると、粘度が高くなり過ぎて、液体化粧料塗布具に用いた場合に液がスムーズに吐出されなくなり、好ましくない。
なお、本発明の効果を損なわない範囲で、液体化粧料組成物に用いられている上記無機顔料以外の有機顔料、染料などを用いてもよい。
更に、本発明の液体化粧料組成物には、前記各成分の他に、通常の液体化粧料組成物に用いられる任意成分などを含有せしめることができる。具体的には、界面活性剤、顔料分散剤、保湿剤、防腐剤、酸化防止剤、中和剤(pH調整剤)、紫外線吸収剤、キレート剤、美容成分、香料、粘度調整剤などを、本発明の効果を損なわない範囲で適宜量含有せしめることができる。
これらの界面活性剤の含有量は、液体化粧料全量に対して、2.1%以下、好ましくは、0.2~2.1%であることが好ましく、2.1%を超えて含有すると耐水性に劣り、充分な固着力を得ることが出来ない。
用いることができる分散剤としては、特に限定されず、例えば、AMPHOMER HC、アクアデュウSPA-30(ポリアスパラギン酸ナトリウム:味の素社製)、NIKKOL BB30(ベヘニルポリオキシエチレン30モル付加物、日光ケミカルズ社製)などを用いることができ、これらの分散剤は、液体化粧料全量に対して、0.1~5%含有することができる。
用いることができるキレート剤としては、例えば、エデト酸又はその塩、エチレンジアミン三酢酸又はその塩、グルコン酸又はその塩、フィチン酸又はその塩、ピロリン酸又はその塩、ポリリン酸又はその塩、メタリン酸又はその塩、及びヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩、クエン酸又はその塩、酒石酸、グルコン酸、フィチン酸等が挙げられ、これらのキレート剤は、液体化粧料全量に対して、0.01~0.5%含有することができる。
用いることができる保湿剤としては、例えば、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、ペンチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の水に可溶なグリコール類等を適宜量用いることができる。
上記粘度範囲における更に好ましい範囲は、液体化粧料組成物の配合成分の種類、用途(アイライナー、アイシャドウ、皮膚化粧料等)により変動するものであるが、更に好ましくは、20~300mPa・s、特に、50~200mPa・sとすることが望ましい。
この粘度値を20mPa・s以上とすることにより、たれを防止、しわに走るのを防止、濃密なラインを描けることができ、一方、500mPa・s以下とすることにより、本発明の塗布手段として筆穂又はペン芯を用いる液体化粧料塗布具に内蔵される液体化粧料をスムーズに吐出せしめることができることとなる。
更に好ましくは、温度25℃、ずり速度38.3S-1で(10rpm)の粘度を10~70mPa・s、また、ずり速度383s-1(100rpm)の粘度を5~20mPa・sとすることが望ましい。
また、上記粘度範囲にするためには、カーボンブラック、酸化鉄粒子などの無機顔料、水、被膜形成剤となる水性エマルジョン、結晶セルロースなどの各成分の量を好適に組み合わせるにより行うことができる。
本発明において、表面張力の測定は、協和界面化学社製のCBVP-Z型表面張力計(プレート法)を用い、温度25℃で得られた値をいう。
なお、上記表面張力の範囲にするためには、カーボンブラック、酸化鉄粒子などの無機顔料、水、被膜形成剤となる水性エマルジョン、結晶セルロースなどの各成分の量を好適に組み合わせるにより行うことができる。
また、本発明の液体化粧料組成物では、上述の配合特性を有するために、細長い筆穂を用いた場合にも、色相の上下差による描線の色むらもなく、濃く描ける液体化粧料組成物が得られることとなる。
本発明において、好適な液体化粧料塗布具としては、目元周りなどのポイントメイクに適したアイライナー、アイシャドウ、アイブロウ、または、皮膚に液体化粧料組成物(塗布液)を好適に塗布することができる構造となる液体化粧料塗布具であれば、特に限定されないが、好ましくは、使用性、簡便性、塗布性に優れる、中綿に液体化粧料を保持させる中綿式容器又は枚葉体に液体化粧料を保持させるコレクター式容器を有するものや、液体化粧料組成物が直接塗布液貯蔵部に貯蔵され、塗布液の吐出機構がノック式、回転(回動)式の液体化粧料塗布具などが挙げられる。
この形態の液体化粧料塗布具としては、図1~図8に示す、液体化粧料塗布具Aが挙げられる。
この実施形態の液体化粧料塗布具Aは、図1に示すように、塗布具本体となる軸本体10の前方内部に設けられた上記構成となる本発明の液体化粧料組成物である塗布液の貯留部(収容部)11と、前記軸本体10の前端部に装着され、使用開始前は貯留部(収容部)11を密閉する栓体12と、前記栓体12に装着され、前記貯留部(収容部)11の密閉状態を維持し、前記栓体12から取り外されることにより、前記貯留部(収容部)11の密閉状態を開放し、塗布液を貯留部(収容部)11から吐出状態になすシールボール13を備えている。
この先軸20には、先軸本体21と、前記先軸本体21に装着された、貯留部11から筆穂(塗布部)23への塗布液の供給を可能とするパイプ継手22と、前記パイプ継手22と筆穂(塗布部)23とを繋ぐ塗布液導通管24とを備えている。
そして、図2に示すように、使用開始時にストッパー14が取り外されることによって、先軸20は、ストッパー14の長さ分、軸方向に移動して、軸本体10に当接する。即ち、先軸20のパイプ継手22と前記栓体12とが接合し、パイプ継手22の先端部によって栓体12に装着されているシールボール13が取り外される。
その結果、貯留部(収容部)11の密閉状態が開放され、貯留部11から筆穂(塗布部)23への塗布液の供給が可能な状態になされる。
なお、図1、2において、符号15は、塗布液を撹拌する撹拌ボールである。また前記塗布液吐出機構30については、本出願人が先に提案した特開2012-157611号公報に開示されている。前記塗布液吐出機構30は、天蓋31を回転させることにより、塗布液を導出する回転式のみならず、天蓋31を押圧することにより、塗布液を導出するノック式であっても良い。
その後、キャップ40を取り外し、天蓋31を回転させ、ピストン31を所定距離前進させることにより、塗布液を筆穂23に対して所定量導出し、使用者の被塗布部位に対して塗布液を塗布する。
筆穂23は、先端がテーパ加工された直線状の合成繊維からなり、かつ断面が非円形状の異形断面の繊維のみからなるものであり、本実施形態では断面が非円形状の異形断面の繊維のみからなる筆毛23a,23bの集合体であって、前記異形断面の筆毛23a、23bは、断面形状が異なる複数の種類の筆毛から構成されている。
そして、これらの筆毛23a、23bはその一端部において、一つのリング状の鍔状溶着端部23Aを形成するように互いに溶着されている。
また、前記鍔状溶着端部23Aの中央部には、塗布液の流通性、補給性を良くするための孔23Bが設けられている。なお、塗布液等の液体をそれほど頻繁に流通、補充する必要がない場合において孔23Bは、必ずしも形成される必要はない。
筆毛の素材として使用される合成樹脂製繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート共縮合重合体等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフイン、ナイロン6、ナイロン610、ナイロン612等のポリアミド等の熱可塑性ポリマーを溶融紡糸して得られた合成樹脂製繊維を挙げることができる。
前記寸法Lalを小さく、かつ寸法La2を大きくすることが、筆毛の外周面に形成される凹凸を深く(大きく)することができ、多くの塗布液を保持することができるため、好ましい。一方において、前記寸法Lalを小さく、かつ寸法La2を大きくすると、筆の腰が弱くなり、快適に塗布することができないため、上記範囲内に形成するのが好ましい。
また、略まゆ型の筆毛23bの外周面に形成される凹部深さ寸法(LblとLb2の差)を、大きくするのが塗布液の含み量を多くできることから好ましい。
しかしながら、連結部長さ寸法Lb2が小さすぎる場合には、二つの円の連結状態が破損する虞があり、破損した場合、通常の円形断面の筆毛となり、塗布液の含み量を多くできないため、好ましくない。
したがって、Lbl、Lb3(線対称軸までの寸法)は、70μm~200μmであり、Lb2は、20μm~190μmであり、Lb4は、80μm~390μmの範囲内、より望ましくはLb1、Lb3は、100μm~150μmであり、Lb2は、50μm~100μmであり、Lb4は、150μm~300μmの範囲内とすると、筆毛先端をテーパ加工した際に繊維が二股になりにくく、テーパ加工領域にも窪みが残りやすくなるのが好ましい。
このように、断面形状が異なる複数の種類の筆毛を用いるのは、以下の理由から好ましい態様となる。
(1)断面形状が同一の筆毛を用いた場合には、外周面に形成された凹凸部が互いに嵌まり合い、筆毛の外周面に形成された凹部の一部あるいは全部を埋め、筆毛の間の空隙(隙間)を減少させ、筆穂に含む塗布液を減少させる。一方、断面形状が異なる複数の種類の筆毛を用いた場合には、外周面に形成された凹凸部が嵌まり難く、筆毛問の空隙(隙間)の減少が抑制される。
(2)また、断面形状が同一の筆毛を用い、筆毛の外周面に形成される凹凸部を大きくした場合には、筆の腰が弱くなる傾向にある。一方、断面形状が異なる複数の種類の筆毛を用いることにより、一の筆毛の外周面の凹凸部を大きくした場合においても、他の筆毛によって筆の腰の強さを与えることができ、好適な塗布性を得ることができる。
その結果、これらの空隙に塗布液が浸透して、多くの液体が筆毛(合成樹脂製繊維)間に保持される。
また、筆毛(合成樹脂製繊維)23a、23bの表面部分に、凹部が形成された場合においても、前記凹部における軸線に垂直な断面の相当径が0.05mm以上になされる。
また、筆毛(合成樹脂製繊維)23a、23bの表面部分に、凸部を形成しても良く、この凸部は、前記凹部と同様に、ラセン状に一端部側から他端部側に連続して形成されていても良い。一般に、凸部の高さが20μm以下、特に5乃至10μmの範囲にあり、凸部の平均ピッチが0.1乃至0.5mmの範囲にあることが好ましい。
また、前記筆穂23は、断面形状が異なる複数の種類の筆毛で構成されていれば良く、前記断面形状が略星型の筆毛と、断面形状が略まゆ型の筆毛とに限定されるものではない。例えば、略十字状、略三角形状、略Y字状、略半円状、略矩形状等のものであっても良く、また2種類に限定されるものでなく、2種類以上の異形断面の筆毛を混合しても良い。
この混合比率は、筆穂の用途、特に要求される保持性の程度に応じて適宜設定されるが、例えば、断面形状が星型の筆毛と断面形状がまゆ型の筆毛を混合した場合、その混合割合は、80:20~20:80であることが保持力の実質的な向上効果の観点から好ましい。
また、上記形態では、筆穂23のすべての繊維は断面が円形以外のものを用いたが、断面が円形なものと、上記各異形断面(好ましくは混合割合50%以上)とを混合したもの、異形断面が1つ(単独)のものであってもよい。
この液体化粧料塗布具Bは、例えば、図9に示すように、本発明の液体化粧料組成物50を中綿等に吸蔵させないで直接貯溜する軸体となるタンク部51に充填してなるものが挙げられる。このタンク部51の前部には、タンク部51内の空気が温度上昇等によって膨張した場合にタンク部51から押し出される液体化粧料50をペン先や空気孔からボタ落ちさせないために一時的に保溜する枚葉体(インキ保溜体、コレクター部材)52が内蔵され、コレクター部材52の先端部には塗布体となる筆型のペン先(筆穂)53が設けられた構成となっている。筆型のペン先(筆穂)53としては、上記液体化粧料塗布具Aで用いた異形断面の筆穂23などを用いることができる。
なお、図9中の56,57はホルダー部材であり、58はタンク部51の後部に固着される後部軸体であり、59はインナーキャップを有するキャップである。また、中継芯55を介在させることなく、ペン先53の後部をタンク部51内に直接配置して液体化粧料の導出を行ってもよいものである。
この形態の液体化粧料塗布具Bでは、キャップ59を取り外すことにより、上記液体化粧料塗布具Aと同様に使用に供されることとなる。
この形態の液体化粧料塗布具Cは、例えば、図10に示すように、化粧具本体60内に内軸61を有し、該内軸61内には本発明の液化粧料組成物を含浸した中綿等からなる含浸体62が収容され、該含浸体62の先端側には、液体化粧料を塗布するための上記液体化粧料塗布具Aで用いた異形断面の筆穂からなる塗布体63が設けられており、内軸61の後端に尾栓64が固着される構造が挙げられる。なお、65は、内キャップ部66を有するキャップ体である。この形態の液体化粧料塗布具Cでは、キャップ65を取り外すことにより使用に供されることとなる。
なお、上記実施形態の液体化粧料塗布具A~Cでは、穂筆の繊維が断面が円形以外の異形断面の筆穂を用いたが、本発明の液体化粧料組成物は上述の如く、皮膚上に塗布しても皮膚の上で掠れず、タレ落ち(ボタ落ち)の少ない低粘度で濃く描ける特性を有するので、上記各実施形態A~Cの筆穂として、先端がテーパ加工された直線状の合成繊維からなり、かつ断面が円形状の断面であってもよいものである。
下記表1に示す配合処方の液体化粧料組成物(配合単位:質量%、全量100質量%)をメディアミルによる湿式粉砕処理とディスパーミキサーによる混合撹拌により調製し、上述の測定方法により、各液体化粧料組成物の各ずり速度における粘度値、粒子径、表面張力を測定すると共に、下記構成の液体化粧料塗布具を用いて、下記各評価方法により、耐ボタ落ち性(液保持力)、筆穂内での濃度上下差(色相上下差)、安定性、塗布性能(掠れの有無、濃度差の有無)、化粧持ちについて評価した。
これらの結果を下記表1に示す。
図1~図3に準拠する液体化粧料塗布具を用いた。
筆穂として下記構成を用いた。
(1)星形断面の繊維(図4参照):La1 130mm、La2 150mm
まゆ型断面の繊維(図5参照):Lb1 95mm、Lb2 75mm、Lb3 90mm、Lb4 185mm、星:まゆの混合割合は、70:30とした。
各液体化粧料組成物(塗布液)を深皿容器に移し、塗布部の先端から1.5mmを塗布液に浸した後、塗布部全体に塗布液が浸された状態で塗布部に含まれた液の量を測定し、下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:30mg以上
○:25mg以上~30mg未満
△:15mg以上~25mg未満
×:15mg未満
各液体化粧料組成物を充填し、塗布部である筆穂に塗布液を吐出させた後、キャップをして塗布部を下向きにして7日間静置し、筆穂先端の濃度と先軸本体先端付近の濃度との差、及び、描画したときの描線内での濃度差・色相差を目視にて下記評価基準で官能評価した。
評価基準:
◎:筆穂内でも描線内でも全く濃度差・色相差が見られない。
○:筆穂内で僅かな濃度差・色相差が見られるが、描画した場合には描線の描き始めと後で全く濃度差・色相差は感じられない。
△:筆穂内で明らかに濃度差・色相差が見られ、描画した場合にも描線の描き始めと後で明らかな濃度差・色相差が見られる。
×:筆穂内での顔料の沈降が確認され、描画できないか描画できても掠れが目立つ。
内容液である各液体化粧料組成物を蓋付きガラス容器に入れ、50℃の恒温槽に10日保管し、その外観を下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:全く上下差、分離がない。
△:すこし上澄み液がある。
×:沈殿物があり、撹拌してもすぐには均一にならない。
図2に示す筆ペンタイプの化粧料容器に各液体化粧料を充填し、手の甲に幅1~2mm、長さ約5cmの線を5本引き、描き具合、描線濃度を下記評価基準で官能評価した。
評価基準:
◎:掠れ、濃度差もなく、描線が濃く、描きやすい。
○:上記◎より若干劣り、掠れ、濃度差もなく、描きやすく、充分な濃度がある。
△:多少の掠れ、にじみがあるが、実用域と判断される。
×:掠れ、にじみがあり、不満を感じる。
図2に示す筆ペンタイプの化粧料容器に各液体化粧料を充填し、アイラインを引き、5時間経過後のアイラインの状態により、化粧持ちを下記評価基準で官能評価した。
評価基準:
○:変化なし。
△:少し薄くなるが、ほぼ変化なし。
×:ぽろぽろはがれ落ちたり、ラインが広がり、化粧が崩れている。
*1:UNIPURE BLACK LC902(センシエント社製)
*2:ベンガラ216P(大東化成工業社製)
*3:コンジョウNo.671(大東化成工業社製)
*4:ヨドゾールGH800F(ガラス転移点:-15℃、固形分45%、アクゾノーベル社製)
*5:ヨドゾールGH810F(ガラス転移点:10℃、固形分46%、アクゾノーベル社製)
*6:ビニゾール1076(ガラス転移点50℃、固形分35%)、大同化成工業社製
*7:セオラスRC-N30、旭化成ケミカルズ社製
比較例を個別的に見ると、比較例1は結晶セルロースを含まない場合であり、比較例2はアクリル酸系ポリマーの水性エマルジョンのTgが20℃よりも高い場合であり、これらの場合は、本発明の効果を発揮できないことが判った。
また、上記実施例は、塗布部(筆穂)23の繊維断面を円形以外の異形断面としたが、塗布部(筆穂)23の断面を円形断面の繊維:外径φ:0.15mm、全長17mm、鍔状溶着端部23Aの外径φ3mmとし、先端をテーパ形状に加工したものとした場合も、実施例1~3に較べ、耐ボタ落ち性(液保持力)、筆穂内での濃度上下差(色相上下差)、安定性、塗布性能(掠れの有無、濃度差の有無)は若干劣ったが(各評価順次○、△、△、△)、化粧持ち(評価:○)であり、比較例1、2に較べて優れていることが判った。
10 軸本体
11 貯留部(収容部)
12 栓体
13 シールボール
14 ストッパー
20 先軸
21 先軸本体
23 筆穂(塗布部)
23a 異形断面繊維(星型)
23al 凹部
23b 異形断面繊維(まゆ型)
23bl 凹部
23A 鍔状溶着端部
23B 孔
Claims (5)
- 少なくとも塗布部と塗布液貯蔵部を備え、該塗布部は筆穂からなり、該筆穂を構成する繊維からなる筆毛は断面が円形以外のものを含み、該塗布液貯蔵部には、塗布液が収容されると共に、前記塗布部と該塗布液貯蔵部との間にはシールボールが装着される栓体が備えられ、該シールボールを栓体から取り外すことにより、該塗布液貯蔵部から塗布部への塗布液の供給が可能となり、該シールボールが塗布液貯蔵部に脱落し、かつ、所定距離ピストンを前進させることにより、該塗布液を塗布部へ所定量導出するように構成された液体化粧料塗布具であって、該塗布液は、
アクリル酸モノマー、メタクリル酸モノマー、アクリル酸エステルモノマー、メタクリル酸エステルモノマーから選ばれるモノマー同士を重合することにより得られるガラス転移点20℃以下のアクリル酸系ポリマーの水性エマルジョンと、結晶セルロースと、下記A群から選ばれる無機顔料と、中和剤と、水とを少なくとも含む液体化粧料組成物からなり、
ELD型粘度計による温度25℃、ずり速度3.83S-1での粘度が20~500mPa・sであり、
プレート法による温度25℃での表面張力が25~60mN/mであることを特徴とする液体化粧料塗布具。
A群:カーボンブラック、酸化鉄粒子、酸化クロム、群青、紺青、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化マグネシウム、水酸化クロム、炭酸カルシウム、チタンイエロー、ベンガラ - 前記アクリル酸系ポリマーの水性エマルジョン(固形分換算)を2~30質量%、前記結晶セルロースを0.1~3.0質量%、前記無機顔料を1~30質量%含むことを特徴とする請求項1に記載の液体化粧料塗布具。
- 前記液体化粧料組成物中において前記無機顔料の平均粒子径サイズ(25℃)は動的光散乱法により求めた値が20~300nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体化粧料塗布具。
- 前記塗布部と液体貯蔵部はパイプ継手と塗布液導通管とを備えていることを特徴とする請求項1~3の何れか一つに記載の液体化粧料塗布具。
- 前記筆穂は、全ての筆毛の断面が円形以外のものであることを特徴とする請求項1~4の何れか一つに記載の液体化粧料塗布具。
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