以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を半導体発光装置の水平面内における第1の方向(後述する一対の端子電極が並ぶ方向)Xとし、Y軸方向を半導体発光装置の水平面内における第1の方向Xと直交した第2の方向(後述する一対の端子電極が並ぶ方向とは直交する方向)Yとし、Z軸方向を半導体発光装置の厚み方向(高さ方向)Zとして、それぞれ示すものとする。
[第1の実施形態]
(半導体発光装置)
先ず、本発明の第1の実施形態として、例えば図1~図4に示す半導体発光装置1Aについて説明する。
なお、図1は、半導体発光装置1Aの上面図である。図2は、半導体発光装置1Aの下面図である。図3は、図1中に示す線分A-Aによる半導体発光装置1Aの断面図である。図4は、図1中に示す線分B-Bによる半導体発光装置1Aの断面図である。
本実施形態の半導体発光装置1Aは、青色LED素子が発する青色光(励起光)と、この青色光により励起された黄色蛍光体が発する黄色光(蛍光光)との混色により白色光(可視光)を得ることが可能なLEDパッケージに本発明を適用したものである。
具体的に、この半導体発光装置1Aは、図1~図4に示すように、実装基板2Aと、実装基板2Aの一面(本実施形態では上面)2a側に実装された半導体発光素子であるLED素子3と、LED素子3の少なくとも上面及び側面(本実施形態では上面、下面及び側面)を覆うと共に、蛍光体4を含有した封止樹脂5とを概略備えている。
実装基板2Aは、平面視で矩形状(本実施形態では長方形状)のLED素子3よりも大きい矩形状(本実施形態では長方形状)のプリント配線基板(PWB)からなる。実装基板2Aは、その一面2aに設けられた一対のパッド電極6a,6bと、その一面2aとは反対側の他面(本実施形態は下面)2bに設けられた一対の端子電極7a,7bと、パッド電極6a,6bと端子電極7a,7bとの各間で貫通して設けられた一対の貫通電極8a,8bとを有している。
なお、本実施形態では、実装基板2Aとして、例えばガラス繊維強化エポキシ樹脂(GFRP)からなる基材(GFRP基板)の表面に、銅(Cu)や金(Au)などからなる導体パターンが設けられたGFRP配線基板が用いられている。また、基材には、GFRPの代わりに、カーボン繊維や、アラミド繊維、ポリエチレン繊維などの強化エポキシ樹脂(FRP)を用いることができる。また、基材には、上述した強化エポキシ樹脂(FRP)の他にも、シリコーン樹脂やフェノール樹脂などを用いることもできる。
一対のパッド電極6a,6bは、LED素子3の下面に設けられた一対の素子電極(p側素子電極及びn側素子電極)9a,9bと平面視で重なるように、第1の方向Xに並んで設けられている。一対の端子電極7a,7bは、他面2bの第1の方向Xに沿って対向した位置に、第2の方向Yに延長して設けられている。一対の貫通電極8a,8bは、パッド電極6a,6bと端子電極7a,7bとの各間を電気的に接続している。本実施形態において、一対の貫通電極8a,8bは、それぞれ第2の方向Yに複数(本字形態では2つ)並んで設けられている。一対の素子電極9a,9bは、互いに対称な形状を有して、第1の方向Xに並んで設けられている。
なお、本実施形態では、例えば、パッド電極6a,6b及び端子電極7a,7bにCuとAuとの積層膜を用い、貫通電極8a,8bにCuを用いている。また、これら各電極の材料については、電気抵抗の小さい金属を用いることが好ましく、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)の何れかの金属又は何れかの金属を含む合金から適宜選択して用いることができる。
LED素子3は、青色光(励起光)を発する青色LEDチップであり、実装基板2Aの一面2a側にフリップチップ実装により固定されている。具体的には、一対の素子電極9a,9bと一対のパッド電極6a,6bとの各間を一対のバンプ10a,10bを介して接合することによって、実装基板2Aの一面2a側にLED素子3が固定(実装)されている。
また、一対の素子電極9a,9bと一対のパッド電極6a,6bとの各間が一対のバンプ10a,10bを介して電気的に接続されることによって、一対の端子電極7a,7bからLED素子3への給電が可能となっている。なお、本実施形態では、バンプ10a,10bにAuを用いている。
LED素子3は、一対の素子電極9a,9bが設けられた下面の略全面を一対の素子電極9a,9bが覆った構造とすることが好ましい。これにより、LED素子3の下面から出射される光を素子電極9a,9bにより遮光(又は反射)することができる。また、後述するLED素子3の下面側を覆う側面樹脂部5b及び中継樹脂部5dから埋込樹脂部5cを介して実装基板2Aの他面2b側に光が抜けてしまうこと(いわゆる光抜け)を抑制することができる。
なお、本実施形態の半導体発光装置1Aでは、上述したLED素子3の実装構造に必ずしも限定されるものではなく、LED素子3の実装構造について適宜変更を加えることが可能である。例えば、LED素子3の実装構造については、図示を省略するものの、実装基板2Aの側面から上面と下面との間に亘って設けられた一対のリード電極と、LED素子3の一対の素子電極9a,9bとの各間を一対のバンプ10a,10b又ははんだ(例えば、金錫はんだなど。)を介して電気的に接続することによって、実装基板2Aの一面2a側にLED素子3を実装した構造であってもよい。
なお、実装基板2Aは、その具体的な各部の材質について特に限定されるものではなく、従来より公知のものを使用することが可能である。また、実装基板2Aには、上述したPWB以外にも、例えばセラミック基板にパッド電極6a,6b、端子電極7a,7b及び貫通電極8a,8bを設けたセラミック配線基板や、金属板に絶縁膜を介してパッド電極6a,6b、端子電極7a,7b及び貫通電極8a,8bを設けた金属コア配線基板などのLED素子3が実装可能な基板を用いることが可能である。実装基板ABにセラミック配線基板や金属コア配線基板を用いた場合には、高い放熱効果を得ることが可能である。
LED素子3は、その具体的な構成について特に限定されるものではなく、従来より公知のものを使用することが可能である。例えば、LED素子3としては、成長用基板の上に、n型半導体層と、発光層と、p型半導体層とがエピタキシャル成長により順次積層されたエピタキシャル成長層(LED動作層)を備えるLED素子や、このようなLED動作層をシリコン支持基板に貼り合わせたLED素子などを用いることができる。また、何れのLED素子も、一対の素子電極9a,9bがLED素子3の同一面側に配置され、一対の素子電極9a,9bが配置された面と対向した面が発光面(出光面)となるLED素子3であればよい。
実装基板2Aには、この実装基板2Aを厚み方向Zに貫通する一対の孔部11a,11bが設けられている。一対の孔部11a,11bは、一対の端子電極7a,7bが並ぶ方向(第1の方向X)とは交差(本実施形態では直交)する方向(第2の方向Y)に並んで設けられている。
また、一対の孔部11a,11bは、LED素子3の輪郭と平面視で重なる位置又はそれよりも外側(本実施形態では重なる位置)に設けられている。具体的に、本実施形態では、LED素子3の輪郭を構成する4つの辺部のうち、LED素子3の第2の方向Yに位置する2つの辺部の中央付近と平面視で重なる位置に、一対の孔部11a,11bが設けられている。
一対の孔部11a,11bとLED素子3の輪郭とが平面視で重なる位置にある場合、後述する一対の孔部11a,11bに埋め込まれた埋込樹脂部5cと側面樹脂部5bとが平面視で重なる面積が大きくなることが望ましい。これは、後述する一対の孔部11a,11bを通して溶融した封止樹脂5を流れ易くするためである。このため、本実施形態では、平面視で円形状に形成された一対の孔部11a,11bの中心が、LED素子3の輪郭と平面視で重なる位置と、後述する側面樹脂部5bの輪郭と平面視で重なる位置との間に位置するように、一対の孔部11a,11bが設けられている。なお、孔部11a,11bの平面視形状については、上述した円形状に限らず、楕円形状や長円形状、矩形状などであってもよい。
蛍光体4は、LED素子3が発する青色光(励起光)により励起されて、黄色光(蛍光光)を発する黄色蛍光体粒子からなる。封止樹脂5は、青色光及び黄色光を透過させる熱硬化性樹脂からなる。蛍光体4は、この封止樹脂5の内部に均一に分散された状態で配置されている。なお、以下の説明では、蛍光体4と封止樹脂5とを特に区別しない限り、封止樹脂5と言った場合、蛍光体4を含有した封止樹脂5のことを意味するものとする。
なお、蛍光体4及び封止樹脂5は、その具体的な材質について特に限定されるものではなく、従来より公知のものを使用することが可能である。例えば、本実施形態では、Ce等の付活剤が導入されたYAGや、オルトシリケート、サイアロンなどの黄色蛍光体を、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂に均一に分散したものを用いることができる。
また、封止樹脂5は、上述した蛍光体4の他にも、半導体発光装置1Aから出射される光の配光特性を制御するため、例えば熱硬化樹脂より屈折率の高い酸化アルミ粒子や酸化チタン粒子などの拡散剤を含有した構成であってもよい。さらに、蛍光体4や拡散剤の粒子の凝集を防止するため、例えばナノサイズ径の酸化珪素粒子や酸化アルミ粒子などの分散剤を含有した構成であってもよい。
本実施形態の半導体発光装置1Aでは、封止樹脂5が一対の孔部11a,11bに埋め込まれた状態で、実装基板2Aの一面2a側と他面2b側との間に亘って設けられている。また、実装基板2Aの一面2a側には、一対の孔部11a,11bの間で封止樹脂5が連続して設けられている。
具体的に、この封止樹脂5は、LED素子3の上面を覆う上面樹脂部5aと、上面樹脂部に連続してLED素子3の4つの側面を覆う側面樹脂部5bと、一対の孔部11a,11bに埋め込まれた埋込樹脂部5cと、側面樹脂部5bと埋込樹脂部5cとの間で連続して設けられた中継樹脂部5dとを有している。
このうち、上面樹脂部5a及び側面樹脂部5bは、LED素子3の上面及び4つの側面を略均一となる厚みで被覆している。中継樹脂部5dは、実装基板2Aの一面2aとLED素子3の下面との間に埋め込まれた状態で、側面樹脂部5bと埋込樹脂部5cとの間で側面樹脂部5bと連続した側面を形成している。
一方、実装基板2Aの他面2b側には、一対の孔部11a,11bの間で封止樹脂5が分断して設けられている。具体的に、この実装基板2Aの他面2bには、一対の孔部11a,11bの間で封止樹脂5を分断する隔壁12が設けられている。
隔壁12は、絶縁材からなり、端子電極7a,7b間の中央部分に配置されている。また、隔壁12は、実装基板2Aの一面2a側に設けられたLED素子3と平面視で重なる位置に設けられている。
隔壁12の第2の方向Yにおける長さは、LED素子3の第2の方向Yにおける長さの1/2以上であることが好ましい。これにより、LED素子3を実装基板2Aに実装する際の接合不良を防止することができる。
また、隔壁12と一対の端子電極7a,7bとが接する面は、図示を省略するものの、隔壁12の一部又は全部が一対の端子電極7a,7b側に凸状に突き出しているか、一対の端子電極7a,7bの一部が隔壁12側に凸状に突き出していることが好ましい。これにより、溶融した封止樹脂5による隔壁12の破損を防止することが可能である。
封止樹脂5は、実装基板2Aの他面2b側において、一対の端子電極7a,7bの間に埋め込まれたランナー樹脂部5eを有している。ランナー樹脂部5eは、隔壁12により分断された状態で、一対の孔部11a,11bと平面視で重なる位置に、一対の孔部11a,11bに埋め込まれた埋込樹脂部5cと連続して設けられている。
ここで、孔部11a,11bの第1の方向Xにおける幅(R)は、ランナー樹脂部5eの第1の方向Xにおける幅(W)に対して同じかそれ以下である(R≦W)ことが好ましい。これにより、側面樹脂部5bから中継樹脂部5d及び埋込樹脂部5cを介して実装基板2Aの他面2b側に光が抜けてしまうこと(いわゆる光抜け)を抑制することができる。
また、ランナー樹脂部5eは、隔壁12を挟んだ両側において分断された状態で、第2の方向Yに延長して設けられている。したがって、実装基板2Aの他面2b側において封止樹脂5を分断する方向は、一対の端子電極7a,7bが並ぶ第1の方向Xとなっている。また、本実施形態では、ランナー樹脂部5eのXZ平面における断面積(以下、「ランナー樹脂部5eの断面積」という。)が、埋込樹脂部5cのXY平面における断面積(以下、埋込樹脂部5cの断面積」という。)より大きくなっている。
以上のような構成を有する本実施形態の半導体発光装置1Aでは、LED素子3の上面及び側面を覆う封止樹脂5(上面樹脂部5a及び側面樹脂部5b)の厚みをより均一化することができる。これにより、本実施形態の半導体発光装置1Aでは、LED素子3の側面から出射される光の損失を抑えつつ、良好な白色光を得ることが可能である。
なお、本実施形態の半導体発光装置1Aは、この半導体発光装置1Aを駆動する駆動回路が設けられた回路基板(図示せず。)などに実装する場合、回路基板上に設けられた一対のランド部と、一対の端子電極7a,7bとの各間をはんだを介して接合することになる。この場合、ランナー樹脂部5eの側面と、ランナー樹脂部5e及び隔壁12の下面とによって、一方の端子電極7aと他方の端子電極7bとの間ではんだが濡れ広がることを防ぐことが可能である。
(半導体発光装置の製造方法)
次に、上記半導体発光装置1Aの製造方法について、図5~図9を参照しながら説明する。
なお、図5は、半導体発光装置1Aの製造工程を説明するための図であり、(A)は中間体50Aの平面図、(B)は線分B-Bによる中間体50Aの断面図である。図6は、半導体発光装置1Aの製造工程を説明するための図であり、第1の金型101Aと第2の金型102Aとの間で中間体50Aを挟み込む前の状態を示す断面図である。図7は、半導体発光装置1Aの製造工程を説明するための図であり、第1の金型101A及び第2の金型102Aと中間体50Aとの間に形成されるキャビティ空間S1及びランナー空間S2内に封止樹脂5を充填した状態を示す断面図である。図8は、半導体発光装置1Aの製造工程を説明するための図であり、(A)は封止後の中間体50Aの平面図、(B)は線分B-Bによる封止後の中間体50Aの断面図である。図9は、半導体発光装置1Aの製造工程を説明するための図であり、(A)は切断後の中間体50Aの平面図、(B)は線分B-Bによる切断後の中間体50Aの断面図である。
上記半導体発光装置1Aを製造する際は、先ず、図5(A),(B)に示すように、半導体発光装置1Aの中間体50Aを準備する。中間体50Aは、実装基板2Aとなる部分が第2の方向Yに複数(本実施形態では3つ)並んで形成された母基板20Aを備えている。
中間体50Aは、母基板20Aの一面(本実施形態では上面)20a側に、実装基板2Aとなる部分毎にLED素子3を実装し、母基板20Aの他面(本実施形態では下面)20b側に、実装基板2Aとなる部分毎に隔壁12を設けることによって作製される。
中間体50Aを作製する際は、例えば、GFRPからなる基材の両面に、銅(Cu)や金(Au)などからなる導体層が設けられた母基板20Aの原板を用意する。また、母基板20Aの原板には、実装基板2Aとなる部分毎に、一対の貫通電極8a,8bが形成されている。
この母基板20Aの原板を用いて、実装基板2Aとなる部分毎に、隔壁12に対応した位置の導体層を除去して、凹部を形成する。この凹部に、硬化前のGFRPを充填した後、加熱硬化させることで、隔壁12を形成する。
その後、実装基板2Aとなる部分毎に、一対のパッド電極6a,6b及び一対の端子電極7a,7bを形成する。さらに、実装基板2Aとなる部分毎に、一対の孔部11a,11bを形成する。これにより、母基板20Aを作製することができる。
なお、母基板20Aについては、上述した母基板20Aの原板に隔壁12を形成したものを用いる場合に限らず、予め隔壁12が設けられた母基板20Aを準備して用いてもよい。
なお、本実施形態では、実装基板2Aとなる部分が第2の方向Yに複数並んだ母基板20Aを備えた中間体50Aを例示しているが、1つの中間体50Aから一括して作製される上記半導体発光装置1Aの数を増やすため、実装基板2Aとなる部分が第2の方向Yだけでなく、第1の方向Xにも複数並んだ母基板20Aを備えた中間体50Aを準備することも可能である。
次に、中間体50Aの実装基板2Aとなる部分に対して封止工程を連続して実施する。具体的な封止工程については、先ず、図6に示すように、母基板20Aの一面20a側との間で実装基板2Aとなる部分毎にキャビティ空間S1を形成する第1の金型101Aと、母基板20Aの他面20b側との間で実装基板2Aとなる部分毎にランナー空間S2を形成する第2の金型102Aとの間で、母基板20Aを挟み込んだ状態とする。
第1の金型101Aの母基板20Aと対向する面には、キャビティ空間S1を形成する複数(本実施形態では3つ)の第1の凹部103が設けられている。第1の凹部103は、母基板20Aの実装基板2Aとなる部分毎に分断された状態で、第2の方向Yに並んで設けられている。
第2の金型102Aの母基板20Aと対向する面には、ランナー空間S2を形成する第2の凹部104が第2の方向Yに延長して設けられている。また、母基板20Aの他面20bに第2の金型102Aが突き合わされた際には、隔壁12が第2の方向Yに複数(本実施形態では3つ)並んだ状態で、第2の凹部104の底面と突き合わされた状態となる。
これにより、隔壁12は、第2の凹部104の内側において、母基板20Aの実装基板2Aとなる部分毎に、一対の孔部11a,11bの間でランナー空間S2を分断することになる。また、第2の方向Yにおいて互いに隣り合う隔壁12の間には、一方の実装基板2Aとなる部分の他方の孔部11bと、他方の実装基板2Aとなる部分の一方の孔部11aとの間で連続したランナー空間S2が形成されることになる。
次に、図7に示すように、第1の金型101Aと第2の金型102Aとの間で母基板20Aを挟み込んだ状態から、キャビティ空間S1及びランナー空間S2内に溶融した封止樹脂5を充填する。
具体的には、第2の金型102Aの第2の方向Yの一端側に設けられた注入口102aから、ランナー空間S2に向けて溶融した封止樹脂5を注入する。このとき、実装基板2Aとなる部分の一方の孔部11aを通して、ランナー空間S2からキャビティ空間S1に向けて溶融した封止樹脂5が導入される。また、実装基板2Aとなる部分の他方の孔部11bを通して、キャビティ空間S1からランナー空間S2に向けて溶融した封止樹脂5が導出される。
これにより、溶融した封止樹脂5は、第2の方向Yに並ぶ実装基板2Aとなる部分毎に、キャビティ空間S1及びランナー空間S2内に充填されながら、最終的に第2の金型102Aの第2の方向Yの他端側に設けられた排出口102bから排出されることになる。
なお、溶融した封止樹脂5を注入する場合、この溶融した封止樹脂5を圧送しながら注入する以外にも、真空引きにより溶融した封止樹脂5を注入することも可能である。
次に、図8(A),(B)に示すように、キャビティ空間S1及びランナー空間S2内に充填された封止樹脂5を加熱することによって、この封止樹脂5を硬化させる。そして、封止樹脂5が硬化した後に、中間体50Aを第1の金型101A及び第2の金型102Aから離型する。これにより、中間体50Aの実装基板2Aとなる部分に対して封止工程を連続して実施することが可能である。
上記封止工程の後には、母基板20Aの一面20a側において、実装基板2Aとなる部分毎に、LED素子3の上面を覆う上面樹脂部5aと、上面樹脂部5aに連続してLED素子3の4つの側面を覆う側面樹脂部5bと、一対の孔部11a,11bに埋め込まれた埋込樹脂部5cと、側面樹脂部5bと埋込樹脂部5cとの間で連続して設けられた中継樹脂部5dとが形成されることになる。一方、母基板20Aの他面20b側には、一対の端子電極7a,7bの間に埋め込まれたランナー樹脂部5eが、実装基板2Aとなる部分の間で連続して形成されることになる。また、ランナー樹脂部5eの下面は、一対の端子電極7a,7b及び隔壁12の下面と面一に形成されている。
ここで、本実施形態におけるランナー空間S2のXZ平面における断面積(以下、「ランナー空間S2の断面積」という。)と、各孔部11a,11bのXY平面における断面積(以下、「孔部11a,11bの断面積」という。)との関係について説明する。
なお、ランナー空間S2の断面積は、このランナー空間S2に充填されるランナー樹脂部5eの断面積に相当し、孔部11a,11bの断面積は、この孔部11a,11bに充填される埋込樹脂部5cの断面積に相当する。
ランナー空間S2の断面積は、孔部11a,11bの断面積より大きいことが好ましい。これにより、溶融した封止樹脂5のランナー空間S2における流動抵抗を低く抑えることができる。また、溶融した封止樹脂5のキャビティ空間S1への充填を安定させることができる。したがって、作製される半導体発光装置1Aにおいて、封止樹脂5の上面樹脂部5a及び側面樹脂部5bにおける厚みムラの発生を抑制することが可能である。
また、孔部11a,11bの直径については、実装基板2Aの厚みの0.5倍以上、2倍以下であることが好ましい。これにより、溶融した封止樹脂5による孔部11a,11bを形成する実装基板2Aの変形を抑制すると共に、実装基板2Aの変形に伴う側面樹脂部5bの剥離を防止することが可能である。
また、端子電極7a,7bの厚みを実装基板2Aの厚みと同じかそれ以上とし、且つ、孔部11a,11bの直径を実装基板2Aの厚みと同じかそれ以上とすることが好ましい。なお、本実施形態では、例えば、実装基板2Aの厚みを100μmとし、端子電極7a,7bの厚みを120μmとし、孔部11a,11bの直径を100μmとしている。
次に、図8(A),(B)に示すように、上述した封止工程の後に、個片化工程として、ダイシングブレード300を用いて、カットラインCLに沿って中間体50Aを実装基板2Aとなる部分毎に切断する。これにより、図9(A),(B)に示すように、中間体50Aを個々の半導体発光装置1Aに分割(個片化)することができる。
個片化工程では、実装基板2Aとなる部分毎に、母基板20A、一対の端子電極7a,7b及びランナー樹脂部5eが分断されることになる。また、切断面からは、実装基板2A、一対の端子電極7a,7b及びランナー樹脂部5eの各側面が面一で露出することになる。なお、端子電極7a,7bの切断面には、メッキを施してもよい。その場合、例えば、フラッシュめっきで金めっきを施すことができる。
以上のような工程を経ることによって、複数の半導体発光装置1Aを一括して製造することが可能である。
以上のように、本実施形態の半導体発光装置1Aの製造方法では、LED素子3の上面及び側面を覆う封止樹脂5(上面樹脂部5a及び側面樹脂部5b)の厚みをより均一化した半導体発光装置1Aを効率良く製造することが可能である。
(比較例となる半導体発光装置の製造方法)
ここで、比較例となる半導体発光装置の製造方法について、図10~図14を参照しながら説明する。
なお、図10は、比較例となる半導体発光装置100の製造工程を説明するための図であり、中間体50A’の断面図である。図11は、比較例となる半導体発光装置100の製造工程を説明するための図であり、第1の金型201と第2の金型202との間で中間体50A’を挟み込む前の状態を示す断面図である。図12は、比較例となる半導体発光装置100の製造工程を説明するための図であり、第1の金型201と中間体50A’との間に形成されるキャビティ空間S1’内に封止樹脂5を充填した状態を示す断面図である。図13は、比較例となる半導体発光装置100の製造工程を説明するための図であり、(A)は封止後の中間体50’の平面図、(B)は線分B-Bによる封止後の中間体50’の断面図である。図14は、比較例となる半導体発光装置100の製造工程を説明するための図であり、個片化された半導体発光装置100の平面図、(B)は線分B-Bによる個片化された半導体発光装置100の断面図である。また、以下の説明では、上記半導体発光装置1A、上記中間体50A及び上記母基板20Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
比較例となる半導体発光装置100の製造方法では、先ず、図10に示すように、比較例となる中間体50A’を準備する。中間体50A’は、実装基板2Aとなる部分が第2の方向Yに複数(本実施形態では3つ)並んで形成された母基板20A’を備えている。
中間体50A’は、上記隔壁12が省略された構成となっている。母基板20A’は、一対の孔部11a,11bが省略された構成となっている。それ以外は、上記中間体50A及び上記母基板20Aと基本的に同じ構成を有している。
次に、中間体50A’の実装基板2Aとなる部分に対して封止工程を連続して実施する。具体的な封止工程については、先ず、図11に示すように、母基板20A’の一面20a側との間で実装基板2Aとなる部分毎にキャビティ空間S1’及びランナー空間S2’を形成する第1の金型201と、母基板20A’の他面20b側と突き合わされる第2の金型102Aとの間で、母基板20A’を挟み込んだ状態とする。
第1の金型201の母基板20A’と対向する面には、キャビティ空間S1’を形成する複数(本実施形態では3つ)の第1の凹部203と、ランナー空間S2’を形成する第2の凹部204とが設けられている。
第1の凹部203は、母基板20A’の実装基板2Aとなる部分毎に第2の方向Yに並んで設けられている。第2の凹部204は、第2の方向Yに並ぶ第1の凹部203の中央部分を連結するように第2の方向Yに延長して設けられている。
第2の金型202の母基板20A’と対向する面は、母基板20A’の他面20bと突き合わされる平面により構成されている。
次に、図12に示すように、第1の金型201と第2の金型202との間で母基板20A’を挟み込んだ状態から、キャビティ空間S1’及びランナー空間S2’内に溶融した封止樹脂5を充填する。
具体的には、第1の金型201の第2の方向Yの一端側に設けられた注入口201aから、ランナー空間S2’に向けて溶融した封止樹脂5を注入する。これにより、溶融した封止樹脂5は、第2の方向Yに並ぶ実装基板2Aとなる部分毎に、キャビティ空間S1’及びランナー空間S2’内に充填されながら、最終的に第1の金型201の第2の方向Yの他端側に設けられた排出口201bから排出されることになる。
次に、図13に示すように、キャビティ空間S1’及びランナー空間S2’内に充填された封止樹脂5を加熱することによって、この封止樹脂5を硬化させる。そして、封止樹脂5が硬化した後に、中間体50A’を第1の金型201及び第2の金型202から離型する。これにより、中間体50A’の実装基板2Aとなる部分に対して封止工程を連続して実施する。
次に、図13に示すように、上述した封止工程の後に、ダイシングブレード300を用いて、カットラインCLに沿って中間体50A’を実装基板2Aとなる部分毎に切断する。これにより、図14(A),(B)に示すように、中間体50A’を個々の半導体発光装置1A’に分割(個片化)する。
以上のような工程を経ることによって、比較例となる半導体発光装置100を作製した。
比較例となる半導体発光装置100は、LED素子3の上面及び側面を覆う封止樹脂5(上面樹脂部5a及び側面樹脂部5b)とは別に、封止樹脂5(側面樹脂部5b)の側面から第2の方向Yに延長された一対のランナー樹脂部5fを有している。
この場合、比較例となる半導体発光装置100では、封止樹脂5の側面のうち、ランナー樹脂部5fが形成された部分の厚みが不均一となっている。したがって、この半導体発光装置1A’では、このランナー樹脂部5fが形成された部分において色ムラが発生し易くなっている。
これに対して、本実施形態の半導体発光装置1Aの製造方法では、上述した封止樹脂5(側面樹脂部5b)の側面にランナー樹脂部5fが形成されることがない。したがって、本実施形態の半導体発光装置1Aの製造方法によれば、LED素子3の上面及び側面を覆う封止樹脂5(上面樹脂部5a及び側面樹脂部5b)の厚みをより均一に形成することが可能である。
(半導体発光装置の第1の変形例)
次に、半導体発光装置の第1の変形例について、図15~図18を参照しながら説明する。
なお、図15は、上記半導体発光装置1Aにレンズ体30を取り付けた第1の変形例を示す上面図である。図16は、図15に示す半導体発光装置1Aの下面図である。図17は、図15中に示す線分A-Aによる半導体発光装置1Aの断面図である。図18は、図15中に示す線分B-Bによる半導体発光装置1Aの断面図である。
第1の変形例として示す半導体発光装置1Aは、図15~図18に示すように、上記半導体発光装置1Aの構成に加えて、レンズ体30を備えている。レンズ体30は、例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、アクリル樹脂等の空気よりも屈折率の高い透明樹脂からなる。レンズ体30は、実装基板2Aの一面2a側において、封止樹脂5により封止されたLED素子3を覆った状態で、球面凸状のレンズ面30aを構成している。
第1の変形例として示す半導体発光装置1Aでは、このようなレンズ体30を備えることで、この半導体発光装置1Aが出射する光(白色光)をレンズ体30により集光しながら、その配光を制御することが可能である。また、第1の変形例として示す半導体発光装置1Aでは、LED素子3の上面及び側面を覆う封止樹脂5(上面樹脂部5a及び側面樹脂部5b)の厚みがより均一化されているため、このレンズ体30による配光制御を精度良く行うことが可能である。
(半導体発光装置の第2の変形例)
次に、半導体発光装置の第2の変形例について、図19~図22を参照しながら説明する。
なお、図19は、上記半導体発光装置1Aに枠体40を取り付けた第2の変形例を示す上面図である。図20は、図19に示す半導体発光装置1Aの下面図である。図21は、図19中に示す線分A-Aによる半導体発光装置1Aの断面図である。図22は、図19中に示す線分B-Bによる半導体発光装置1Aの断面図である。
第2の変形例として示す半導体発光装置1Aは、図19~図22に示すように、上記半導体発光装置1Aの構成に加えて、枠体40を備えている。枠体40は、反射率の高い白色の樹脂材料からなる。枠体40は、実装基板2Aの一面2a側において、封止樹脂5により封止されたLED素子3の周囲を囲んだ状態で、その開口端に向かって傾斜する反射面40aを構成している。
第2の変形例として示す半導体発光装置1Aでは、このような枠体40を備えることで、この半導体発光装置1Aが出射する光(白色光)を枠体40により反射しながら、その配光を制御することが可能である。また、第2の変形例として示す半導体発光装置1Aでは、LED素子3の上面及び側面を覆う封止樹脂5(上面樹脂部5a及び側面樹脂部5b)の厚みがより均一化されているため、この枠体40による配光制御を精度良く行うことが可能である。
[第2の実施形態]
(半導体発光装置)
次に、本発明の第2の実施形態として、例えば図23~図26に示す半導体発光装置1Bについて説明する。
なお、図23は、半導体発光装置1Bの上面図である。図24は、半導体発光装置1Bの下面図である。図25は、図23中に示す線分A-Aによる半導体発光装置1Bの断面図である。図26は、図23中に示す線分B-Bによる半導体発光装置1Bの断面図である。また、以下の説明では、上記半導体発光装置1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
本実施形態の半導体発光装置1Bは、図23~図26に示すように、上述したパッド電極6a,6b、端子電極7a,7b、素子電極9a,9b、バンプ10a,10b、孔部11a,11b、埋込樹脂部5c、中継樹脂部5d、ランナー樹脂部5eの代わりに、パッド電極6c,6d、端子電極7c,7d、素子電極9c,9d、バンプ10c,10d、孔部11c,11d、埋込樹脂部5g、中継樹脂部5h、ランナー樹脂部5iを備えている。それ以外は、上記半導体発光装置1Aと基本的に同じ構成を有している。
具体的に、LED素子3の下面には、互いに非対称な形状を有する一対の素子電極9c,9dが第1の方向Xに並んで設けられている。これに対応して、実装基板2Aの一面2aには、互いに非対称な形状を有する一対のパッド電極6c,6dが第1の方向Xに並んで設けられている。すなわち、一対の素子電極9c,9dのうち、一方の素子電極9cが他方の素子電極9dよりも大きくなっている。また、一対のパッド電極6c,6dのうち、一方のパッド電極6cが他方のパッド電極6dよりも大きくなっている。
LED素子3は、一対の素子電極9c,9dと一対のパッド電極6c,6dとの各間を一対のバンプ10c,10dを介して接合することによって、実装基板2Aの一面2a側に固定(実装)されている。
実装基板2Aの他面2bには、一対の端子電極7c,7dが設けられている。一対の端子電極7c,7dは、他面2bの第1の方向Xの両端に沿った位置に、第2の方向Yに延長して設けられている。隔壁12は、これら端子電極7c,7d間の中央部分に埋め込まれた状態で配置されている。
実装基板2Aには、この実装基板2Aを厚み方向Zに貫通する一対の孔部11c,11dが設けられている。一対の孔部11c,11dは、第1の方向Xに延びる長円形状を有して、第2の方向Yに並んで設けられている。これに対応して、一対の端子電極7c,7dは、一対の孔部11c,11dと平面視で重なる位置から第2の方向Yの両端に向かって、孔部11c,11dに対応した幅で切り欠かれた形状を有している。
本実施形態では、実装基板2Aとして、酸化アルミニウム(Al2O3)からなる基材(酸化アルミニウム基板)に、一対のパッド電極6c,6dと、一対の端子電極7c,7dと、一対の貫通電極8a,8bとが設けられた酸化アルミニウム配線基板が用いられている。この酸化アルミニウム配線基板は、上述したGFRP配線基板よりも撓みに対する強度が高いため、一対の孔部11c,11dを長円形状とするのに適している。
なお、実装基板2Aには、上述した酸化アルミニウム配線基板の代わりに、窒化アルミニウム(AlN)を基材とする窒化アルミニウム配線基板や、窒化珪素(Si3N4)を基材とする窒化珪素配線基板などの金属酸化物又は金属窒化物からなるセラミック配線基板を用いることができる。
また、一対の孔部11c,11dは、LED素子3の輪郭と平面視で重なる位置又はそれよりも外側(本実施形態では外側)に設けられている。具体的に、本実施形態では、LED素子3の輪郭を構成する4つの辺部のうち、LED素子3の第2の方向Yに位置する2つの辺部と平面視で重なる位置よりも外側に、一対の孔部11c,11dが設けられている。
本実施形態の半導体発光装置1Bでは、封止樹脂5が一対の孔部11c,11dに埋め込まれた状態で、実装基板2Aの一面2a側と他面2b側との間に亘って設けられている。また、実装基板2Aの一面2a側には、一対の孔部11c,11dの間で封止樹脂5が連続して設けられている。
具体的に、この封止樹脂5は、LED素子3の上面を覆う上面樹脂部5aと、上面樹脂部5aに連続してLED素子3の4つの側面を覆う側面樹脂部5bと、一対の孔部11c,11dに埋め込まれた埋込樹脂部5gと、側面樹脂部5bと埋込樹脂部5gとの間で連続して設けられた中継樹脂部5hとを有している。
このうち、上面樹脂部5a及び側面樹脂部5bは、LED素子3の上面及び4つの側面を略均一となる厚みで被覆している。中継樹脂部5hは、実装基板2Aの一面2aとLED素子3の下面との間に埋め込まれた状態で、側面樹脂部5bと埋込樹脂部5gとの間で埋込樹脂部5gと連続した側面を形成している。
ここで、中継樹脂部5hの高さ(T)は、実装基板2Aの一面2aとLED素子3の下面との間の間隔(G)よりも小さい(T<G)ことが好ましい。なお、間隔(G)は、より具体的にはLED素子3の出光面と素子電極9c,9dとの間の距離である。これにより、側面樹脂部5bから中継樹脂部5h及び埋込樹脂部5gを介して実装基板2Aの他面2b側に光が抜けてしまうこと(いわゆる光抜け)を抑制することができる。
一方、実装基板2Aの他面2b側には、一対の孔部11c,11dの間で封止樹脂5が分断して設けられている。具体的に、この封止樹脂5は、実装基板2Aの他面2b側において、一対の端子電極7c,7dの間に埋め込まれたランナー樹脂部5iを有している。ランナー樹脂部5iは、一対の孔部11c,11dと平面視で重なる位置に、一対の孔部11c,11dに埋め込まれた埋込樹脂部5gと連続して設けられている。
また、ランナー樹脂部5iは、隔壁12を挟んだ両側において分断された状態で、第2の方向Yに延長して設けられている。したがって、実装基板2Aの他面2b側において封止樹脂5を分断する方向は、一対の端子電極7c,7dが並ぶ第1の方向Xとなっている。また、本実施形態では、ランナー樹脂部5iのXZ平面における断面積(以下、「ランナー樹脂部5iの断面積」という。)が、埋込樹脂部5gのXY平面における断面積(以下、埋込樹脂部5gの断面積」という。)より大きくなっている。
以上のような構成を有する本実施形態の半導体発光装置1Bでは、上記半導体発光装置1Aと同様に、LED素子3の上面及び側面を覆う封止樹脂5(上面樹脂部5a及び側面樹脂部5b)の厚みをより均一化することができる。これにより、本実施形態の半導体発光装置1Bでは、LED素子3の側面から出射される光の損失を抑えつつ、良好な白色光を得ることが可能である。
なお、本実施形態の半導体発光装置1Bは、この半導体発光装置1Bを駆動する駆動回路が設けられた回路基板(図示せず。)などに実装する場合、回路基板上に設けられた一対のランド部と、一対の端子電極7c,7dとの各間をはんだを介して接合することになる。この場合、ランナー樹脂部5iの側面と、ランナー樹脂部5i及び隔壁12の下面とによって、一方の端子電極7cと他方の端子電極7dとの間ではんだが濡れ広がることを防ぐことが可能である。
また、本実施形態では、詳細な説明を省略するものの、上記半導体発光装置1Aと同様の製造方法を用いて、LED素子3の上面及び側面を覆う封止樹脂5(上面樹脂部5a及び側面樹脂部5b)の厚みをより均一化した半導体発光装置1Bを効率良く製造することが可能である。
さらに、本実施形態の半導体発光装置1Bは、一対の孔部11c,11d及びランナー樹脂部5iを拡大することによって、上述した封止工程において、溶融した封止樹脂5の一対の孔部11c,11d及び第2の凹部104(ランナー空間S2)における流通性を高めることが可能である。これにより、封止樹脂5の厚みの均一性を更に高めることが可能である。
なお、孔部11c,11dの形状が長円形状である場合は、孔部11c,11dの短径が実装基板2Aの厚みの0.5倍以上、孔部11c,11dの長径が実装基板2Aの厚みの2倍以下であることが好ましい。また、孔部11c,11dの形状が楕円形状である場合も同様である。一方、孔部11a,11bの形状が矩形状である場合は、孔部11a,11bの短辺が実装基板2Aの厚みの0.5倍以上、孔部11a,11bの長辺が実装基板2Aの厚みの2倍以下であることが好ましい。
また、一対の孔部11c、11dは、上述した長円形状である場合に限らず、その直径が実装基板2Aの厚みの0.5倍以下、2倍以下である複数の孔部を一列又は複数列で並べた構成であってもよい。
(第3の実施形態)
[半導体発光装置]
次に、本発明の第3の実施形態として、例えば図27~図30に示す半導体発光装置1Cについて説明する。
なお、図27は、半導体発光装置1Cの上面図である。図28は、半導体発光装置1Cの下面図である。図29は、図27中に示す線分C-Cによる半導体発光装置1Cの断面図である。図30は、図27中に示す線分D-Dによる半導体発光装置1Cの断面図である。また、以下の説明では、上記半導体発光装置1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
本実施形態の半導体発光装置1Cは、図27~図30に示すように、上述した実装基板2A、パッド電極6a,6b、端子電極7a,7b、素子電極9a,9b、バンプ10a,10b、孔部11a,11b、埋込樹脂部5c、中継樹脂部5d、ランナー樹脂部5e、隔壁12の代わりに、実装基板2B、パッド電極6e,6f、端子電極7e,7f、中間配線13a,13b,13c、ビア電極14a~14f、素子電極9e,9f、バンプ10e,10f、孔部11e,11f、埋込樹脂部5j、中継樹脂部5k、第1のランナー樹脂部5m、第2のランナー樹脂部5n、隔壁15を備えている。それ以外は、上記半導体発光装置1Aと基本的に同じ構成を有している。
具体的に、LED素子3の下面には、互いに非対称な形状を有する一対の素子電極9e,9fが第1の方向Xに並んで設けられている。これに対応して、実装基板2Bの一面2aには、互いに非対称な形状を有する一対のパッド電極6e,6fが第1の方向Xに並んで設けられている。すなわち、一対の素子電極9e,9fのうち、一方の素子電極9eが他方の素子電極9fよりも大きくなっている。また、一対のパッド電極6e,6fのうち、一方のパッド電極6eが他方のパッド電極6fよりも大きくなっている。
LED素子3は、一対の素子電極9e,9fと一対のパッド電極6e,6fとの各間を一対のバンプ10e,10fを介して接合することによって、実装基板2Bの一面2a側に固定(実装)されている。
実装基板2Bの他面2bには、一対の端子電極7e,7fが設けられている。一対の端子電極7e,7fは、他面2bの第1の方向Xの両端に沿った位置に、第2の方向Yに延長して設けられている。
実装基板2Bは、GFRPを基材とする多層プリント配線基板からなり、パッド電極6e,6fと端子電極7e,7fとの各間を電気的に接続する中間配線13a,13b及びビア電極14a,14bを備えている。具体的に、この実装基板2Bは、その厚み方向Zの中間に位置して、一方のパッド電極6e及び一方の端子電極7eと平面視で重なる中間配線13aと、他方のパッド電極6f及び他方の端子電極7fと平面視で重なる中間配線13bと、一方のパッド電極6e及び後述する隔壁15と平面視で重なる中間配線13cとを有している。
また、実装基板2Bは、一方のパッド電極6eと中間配線13aとの間を貫通するビア電極14aと、一方の端子電極7eと中間配線13aとの間を貫通するビア電極14bと、他方のパッド電極6fと中間配線13bとの間を貫通するビア電極14cと、他方の端子電極7fと中間配線13bとの間を貫通するビア電極14dと、一方のパッド電極6eと中間配線13cとの間を貫通するビア電極14dと、隔壁15と中間配線13cとの間を貫通するビア電極14fとを有している。本実施形態において、ビア電極14a~14fは、それぞれ第2の方向Yに複数(本字形態では2つ)並んで設けられている。
これにより、実装基板2Bでは、一対のパッド電極6e,6fと一対の端子電極7e,7fとの各間が中間配線13a,13b及びビア電極14a~14dを介して電気的に接続されている。
なお、本実施形態の半導体発光装置1Cでは、上述したLED素子3の実装構造に必ずしも限定されるものではなく、上記半導体発光装置1Aと同様に、LED素子3の実装構造について適宜変更を加えることが可能である。また、実装基板2Bについても、上記実装基板2Aと同様である。
実装基板2Bには、この実装基板2Bを厚み方向Zに貫通する一対の孔部11e,11fが設けられている。一対の孔部11e,11fは、LED素子3の一対の素子電極9a,9bが並ぶ第1の方向Xとは交差する方向に並んで設けられている。本実施形態では、一対の孔部11e,11fがLED素子3の対角方向に並んで設けられている。
また、一対の孔部11e,11fは、LED素子3の輪郭よりも平面視で外側、且つ、中継樹脂部5kと平面視で重なる位置に設けられている。具体的に、本実施形態では、LED素子3の輪郭を構成する4つの辺部のうち、LED素子3の第2の方向Yに位置する2つの辺部端の対角付近と平面視で重なる位置よりも外側に、一対の孔部11e,11fが設けられている。
本実施形態の半導体発光装置1Cでは、封止樹脂5が一対の孔部11e,11fに埋め込まれた状態で、実装基板2Bの一面2a側と他面2b側との間に亘って設けられている。また、実装基板2Bの一面2a側には、一対の孔部11e,11fの間で封止樹脂5が連続して設けられている。
具体的に、この封止樹脂5は、LED素子3の上面を覆う上面樹脂部5aと、上面樹脂部5aに連続してLED素子3の4つの側面を覆う側面樹脂部5bと、一対の孔部11e,11fに埋め込まれた埋込樹脂部5jと、側面樹脂部5bと埋込樹脂部5jとの間で連続して設けられた中継樹脂部5kとを有している。
このうち、上面樹脂部5a及び側面樹脂部5bは、LED素子3の上面及び4つの側面を略均一となる厚みで被覆している。中継樹脂部5kは、実装基板2Bの一面2aとLED素子3の下面との間に埋め込まれた状態で、側面樹脂部5bと埋込樹脂部5jとの間で埋込樹脂部5jと連続した側面を形成している。
ここで、中継樹脂部5kの高さ(T)は、実装基板2Bの一面2aとLED素子3の下面との間の間隔(G)よりも小さい(T<G)ことが好ましい。これにより、側面樹脂部5bから中継樹脂部5k及び埋込樹脂部5jを介して実装基板2Bの他面2b側に光が抜けてしまうこと(いわゆる光抜け)を抑制することができる。
また、中継樹脂部5kの第2の方向Yにおける幅は、側面樹脂部5bの輪郭から孔部11e,11fの中心までとし、孔部11e,11fと平面視で重なる位置では、孔部11e,11fの第2の方向Yにおける端部までとすることが好ましい。これにより、後述する一対の孔部11e,11fを通して溶融した封止樹脂5を流れ易くすることができ、溶融した封止樹脂5のキャビティ空間S3における流動抵抗を低く抑えることによって、上面樹脂部5a及び側面樹脂部5bの厚みムラの発生を抑制することが可能である。
一方、実装基板2Bの他面2b側には、一対の孔部11e,11fの間で封止樹脂5が分断して設けられている。具体的に、この実装基板2Bの他面2bには、一対の孔部11e,11fの間で封止樹脂5を分断する隔壁15が設けられている。
隔壁15は、端子電極7e,7fと同じ材料からなり、これら端子電極7e,7fの間に位置して、第2の方向Yに延長して設けられている。また、隔壁15は、実装基板2Bの一面2a側に設けられたLED素子3と平面視で重なる位置に設けられている。
また、隔壁15は、上述した中間配線13c及びビア極14e,14fを介してLED素子3側と熱的に接続されている。これにより、LED素子3が発する熱を隔壁15を介して外部へと放熱させることができる。
封止樹脂5は、実装基板2Bの他面2b側において、一対の端子電極7c,7dと隔壁15との各間に埋め込まれた第1のランナー樹脂部5m及び第2のランナー樹脂部5nを有している。第1のランナー樹脂部5mは、一方の孔部11aと平面視で重なる位置に、この孔部11aに埋め込まれた埋込樹脂部5jと連続して設けられている。第2のランナー樹脂部5nは、他方の孔部11bと平面視で重なる位置に、この孔部11bに埋め込まれた埋込樹脂部5jと連続して設けられている。
ここで、孔部11e,11fの第1の方向Xにおける幅(R)は、封止樹脂5の第1の方向Xにおける半値幅(L/2)に対して同じかそれ以下(R≦L/2)ことが好ましい。これにより、側面樹脂部5bから中継樹脂部5k及び埋込樹脂部5jを介して実装基板2Bの他面2b側に光が抜けてしまうこと(光抜け)を抑制することができる。
また、第1のランナー樹脂部5mと第2のランナー樹脂部5nとは、隔壁15を挟んだ両側において分断された状態で、第2の方向Yに延長して設けられている。したがって、実装基板2Bの他面2b側において封止樹脂5を分断する方向は、一対の端子電極7c,7dが並ぶ第1の方向Xとは交差(本実施形態では直交)する第2の方向Yとなっている。また、本実施形態では、第1及び第2のランナー樹脂部5m,5nのXZ平面における断面積(以下、「ランナー樹脂部5m,5nの断面積」という。)が、埋込樹脂部5jのXY平面における断面積(以下、埋込樹脂部5jの断面積」という。)より大きくなっている。
以上のような構成を有する本実施形態の半導体発光装置1Cでは、上記半導体発光装置1Aと同様に、LED素子3の上面及び側面を覆う封止樹脂5(上面樹脂部5a及び側面樹脂部5b)の厚みをより均一化することができる。これにより、本実施形態の半導体発光装置1Cでは、LED素子3の側面から出射される光の損失を抑えつつ、良好な白色光を得ることが可能である。
なお、本実施形態の半導体発光装置1Cは、この半導体発光装置1Cを駆動する駆動回路が設けられた回路基板(図示せず。)などに実装する場合、回路基板上に設けられた一対のランド部と、一対の端子電極7e,7fとの各間をはんだを介して接合することになる。この場合、第1及び第2のランナー樹脂部5m,5nの側面及び下面とによって、一方の端子電極7eと他方の端子電極7fとの間ではんだが濡れ広がることを防ぐことが可能である。
[半導体発光装置の製造方法]
次に、上記半導体発光装置1Cの製造方法について、図31~図35を参照しながら説明する。
なお、図31は、半導体発光装置1Cの製造工程を説明するための図であり、(A)は中間体50Bの平面図、(B)は線分D-Dによる中間体50Bの断面図である。図32は、半導体発光装置1Cの製造工程を説明するための図であり、第1の金型101Bと第2の金型102Bとの間で中間体50Bを挟み込む前の状態を示す断面図である。図33は、半導体発光装置1Cの製造工程を説明するための図であり、第1の金型101B及び第2の金型102Bと中間体50Bとの間に形成されるキャビティ空間S3、第1のランナー空間S4及び第2のランナー空間S5内に封止樹脂5を充填した状態を示す断面図である。図34は、半導体発光装置1Cの製造工程を説明するための図であり、(A)は封止後の中間体50Bの平面図、(B)は線分D-Dによる封止後の中間体50Bの断面図である。図35は、半導体発光装置1Cの製造工程を説明するための図であり、(A)は切断後の中間体50Bの平面図、(B)は線分D-Dによる切断後の中間体50Bの断面図である。
上記半導体発光装置1Cを製造する際は、先ず、図31(A),(B)に示すように、半導体発光装置1Cの中間体50Bを準備する。中間体50Bは、実装基板2Bとなる部分が第2の方向Yに複数(本実施形態では3つ)並んで形成された母基板20Bを備えている。
中間体50Bは、母基板20Bの一面(本実施形態では上面)20a側に、実装基板2Bとなる部分毎にLED素子3を実装し、母基板20Bの他面(本実施形態では下面)20b側に、実装基板2Bとなる部分毎に隔壁15を設けることによって作製される。
なお、本実施形態では、実装基板2Bとなる部分が第2の方向Yに複数並んだ母基板20Bを備えた中間体50Bを例示しているが、1つの中間体50Bから一括して作製される上記半導体発光装置1Cの数を増やすため、実装基板2Bとなる部分が第2の方向Yだけでなく、第1の方向Xにも複数並んだ母基板20Bを備えた中間体50Bを準備することも可能である。
次に、中間体50Bの実装基板2Bとなる部分に対して封止工程を連続して実施する。具体的な封止工程については、先ず、図32に示すように、母基板20Bの一面20a側との間で実装基板2Bとなる部分毎にキャビティ空間S3を形成する第1の金型101Bと、母基板20Bの他面20b側との間で第1のランナー空間S4及び第2のランナー空間S5を形成する第2の金型102Bとの間で、母基板20Bを挟み込んだ状態とする。
第1の金型101Bの母基板20Bと対向する面には、キャビティ空間S3を形成する複数(本実施形態では3つ)の第1の凹部105が設けられている。第1の凹部105は、母基板20Bの実装基板2Bとなる部分毎に分断された状態で、第2の方向Yに並んで設けられている。
第2の金型102Bの母基板20と対向する面には、第1のランナー空間S4及び第2のランナー空間S5を形成する第2の凹部106が第2の方向Yに延長して設けられている。また、母基板20Bの他面20bに第2の金型102Bが突き合わされた際には、隔壁15が第2の凹部104の底面と突き合わされた状態となる。
これにより、隔壁15は、第2の凹部106の内側を、第1のランナー空間S4を形成する第1の溝部106aと、第2のランナー空間S5を形成する第2の溝部106bとに分断することになる。また、第1の溝部106aは、第2の方向Yにおいて互いに隣り合う実装基板2Bとなる部分の一方の孔部11eの間で連続した第1のランナー空間S4を形成することになる。第2の溝部106bは、第2の方向Yにおいて互いに隣り合う実装基板2Bとなる部分の他方の孔部11fの間で連続した第2のランナー空間S5を形成することなる。
次に、図33に示すように、第1の金型101Bと第2の金型102Bとの間で母基板20Bを挟み込んだ状態から、キャビティ空間S3、第1のランナー空間S4及び第2のランナー空間S5内に溶融した封止樹脂5を充填する。
具体的には、第2の金型102Bの第2の方向Yの一端側に設けられた注入口102cから、第1のランナー空間S4に向けて溶融した封止樹脂5を注入する。このとき、各実装基板2Bとなる部分の一方の孔部11eを通して、第1のランナー空間S4からキャビティ空間S3に向けて溶融した封止樹脂5が導入される。また、各実装基板2Bとなる部分の他方の孔部11fを通して、キャビティ空間S3から第2のランナー空間S5に向けて溶融した封止樹脂5が導出される。
これにより、溶融した封止樹脂5は、第2の方向Yに並ぶ実装基板2となる部分毎に、キャビティ空間S3、第1のランナー空間S4及び第2のランナー空間S5内に充填されながら、最終的に第2の金型102Bの第2の方向Yの他端側に設けられた排出口102dから排出されることになる。
なお、溶融した封止樹脂5を注入する場合、この溶融した封止樹脂5を圧送しながら注入する以外にも、真空引きにより溶融した封止樹脂5を注入することも可能である。
次に、図34(A),(B)に示すように、キャビティ空間S3、第1のランナー空間S4及び第2のランナー空間S5内に充填された封止樹脂5を加熱することによって、この封止樹脂5を硬化させる。そして、封止樹脂5が硬化した後に、中間体50Bを第1の金型101B及び第2の金型102Bから離型する。これにより、中間体50Bの実装基板2となる部分に対して封止工程を連続して実施することが可能である。
上記封止工程の後には、母基板20Bの一面20a側において、実装基板2Bとなる部分毎に、LED素子3の上面を覆う上面樹脂部5aと、上面樹脂部5aに連続してLED素子3の4つの側面を覆う側面樹脂部5bと、一対の孔部11e,11fに埋め込まれた埋込樹脂部5jと、側面樹脂部5bと埋込樹脂部5jとの間で連続して設けられた中継樹脂部5kとが形成されることになる。一方、母基板20Bの他面20b側には、一対の端子電極7e,7fと隔壁15との間に埋め込まれた第1及び第2のランナー樹脂部5m,5nが、実装基板2Bとなる部分の間で連続して形成されることになる。また、第1及び第2のランナー樹脂部5m,5nの下面は、一対の端子電極7e,7fの下面と面一に形成されている。
ここで、本実施形態における第1及び第2のランナー空間S4,S5のXZ平面における断面積(以下、「ランナー空間S4,S5の断面積」という。)と、各孔部11e,11fのXY平面における断面積(以下、「孔部11e,11fの断面積」という。)との関係について説明する。
なお、ランナー空間S4,S5の断面積は、このランナー空間S4,S5に充填されるランナー樹脂部5m,5nの断面積に相当し、孔部11e,11fの断面積は、この孔部11e,11fに充填される埋込樹脂部5jの断面積に相当する。
ランナー空間S4,S5の断面積は、孔部11e,11fの断面積より大きいことが好ましい。これにより、溶融した封止樹脂5のランナー空間S4,S5における流動抵抗を低く抑えることができる。また、溶融した封止樹脂5のキャビティ空間S3への充填を安定させることができる。したがって、作製される半導体発光装置1Cにおいて、封止樹脂5の上面樹脂部5a及び側面樹脂部5bにおける厚みムラの発生を抑制することが可能である。
なお、上面樹脂部5a及び側面樹脂部5bの厚みムラを抑えるためには、少なくとも溶融した封止樹脂5の第1のランナー空間S4からキャビティ空間S3への供給が良好となればよい。したがって、少なくとも第1のランナー空間S4の断面積は、一方の孔部11eの断面積より大きいことが好ましい。一方、第2のランナー空間S5の断面積は、第1ランナー空間S4の断面積より小さくてもよい。また、他方の孔部11fの断面積は、一方の孔部11eの断面積より小さくてもよい。
また、孔部11e,11fの直径については、これら孔部11e,11fの形状が長円形状であることから、孔部11e,11fの短径が実装基板2Bの厚みの0.5倍以上、孔部11e,11fの長径が実装基板2Bの厚みの2倍以下であることが好ましい。これにより、溶融した封止樹脂5による孔部11e,11fを形成する実装基板2Bの変形を抑制すると共に、実装基板2Bの変形に伴う側面樹脂部5bの剥離を防止することが可能である。
また、端子電極7e,7fの厚みを実装基板2Bの厚みと同じかそれ以上とし、且つ、孔部11e,11fの直径を実装基板2Bの厚みと同じかそれ以上とすることが好ましい。なお、本実施形態では、例えば、実装基板2Bの厚みを120μmとし、端子電極7e,7fの厚みを135μmとし、孔部11e,11fの直径を120μmとしている。
次に、図34(A),(B)に示すように、上述した封止工程の後に、個片化工程として、ダイシングブレード300を用いて、カットラインCLに沿って中間体50Bを実装基板2Bとなる部分毎に切断する。これにより、図35(A),(B)に示すように、中間体50Bを個々の半導体発光装置1Cに分割(個片化)することができる。
個片化工程では、実装基板2Bとなる部分毎に、母基板20B、一対の端子電極7e,7f、第1及び第2のランナー樹脂部5m,5nが分断されることになる。また、切断面からは、実装基板2B、一対の端子電極7e,7f、第1及び第2のランナー樹脂部5m,5nの各側面が面一で露出することになる。なお、端子電極7e,7fの切断面には、メッキを施してもよい。その場合、例えば、フラッシュめっきで金めっきを施すことができる。
以上のような工程を経ることによって、複数の半導体発光装置1Cを一括して製造することが可能である。
以上のように、本実施形態の半導体発光装置1Cの製造方法では、LED素子3の上面及び側面を覆う封止樹脂5(上面樹脂部5a及び側面樹脂部5b)の厚みをより均一化した半導体発光装置1Cを効率良く製造することが可能である。
また、本実施形態の半導体発光装置1Cの製造方法では、上述した比較例となる半導体発光装置100のように、封止樹脂5(側面樹脂部5b)の側面にランナー樹脂部5fが形成されることがない。したがって、本実施形態の半導体発光装置1Cの製造方法によれば、LED素子3の上面及び側面を覆う封止樹脂5(上面樹脂部5a及び側面樹脂部5b)の厚みをより均一に形成することが可能である。
(半導体発光装置の第3の変形例)
次に、上記半導体発光装置の第3の変形例について、図36~図39を参照しながら説明する。
なお、図36は、上記半導体発光装置1Cにレンズ体30を取り付けた第3の変形例を示す上面図である。図37は、図36に示す半導体発光装置1Cの下面図である。図38は、図36中に示す線分C-Cによる半導体発光装置1Cの断面図である。図39は、図36中に示す線分D-Dによる半導体発光装置1Cの断面図である。
第3の変形例として示す半導体発光装置1Cは、図36~図39に示すように、上記半導体発光装置1Cの構成に加えて、レンズ体30を備えている。レンズ体30は、実装基板2Bの一面2a側において、封止樹脂5により封止されたLED素子3を覆った状態で、球面凸状のレンズ面30aを構成している。
第3の変形例として示す半導体発光装置1Cでは、このようなレンズ体30を備えることで、この半導体発光装置1Cが出射する光(白色光)をレンズ体30により集光しながら、その配光を制御することが可能である。また、第3の変形例として示す半導体発光装置1Cでは、LED素子3の上面及び側面を覆う封止樹脂5(上面樹脂部5a及び側面樹脂部5b)の厚みがより均一化されているため、このレンズ体30による配光制御を精度良く行うことが可能である。
(半導体発光装置の第4の変形例)
次に、上記半導体発光装置の第4の変形例について、図40~図43を参照しながら説明する。
なお、図40は、上記半導体発光装置1Cに枠体40を取り付けた第4の変形例を示す上面図である。図41は、図40に示す半導体発光装置1Cの下面図である。図42は、図40中に示す線分C-Cによる半導体発光装置1Cの断面図である。図43は、図40中に示す線分D-Dによる半導体発光装置1Cの断面図である。
第4の変形例として示す半導体発光装置1Cは、図40~図43に示すように、上記半導体発光装置1Cの構成に加えて、枠体40を備えている。枠体40は、実装基板2Bの一面2a側において、封止樹脂5により封止されたLED素子3の周囲を囲んだ状態で、その開口端に向かって傾斜する反射面40aを構成している。
第4の変形例として示す半導体発光装置1Cでは、このような枠体40を備えることで、この半導体発光装置1Cが出射する光(白色光)を枠体40により反射しながら、その配光を制御することが可能である。また、第4の変形例として示す半導体発光装置1Cでは、LED素子3の上面及び側面を覆う封止樹脂5(上面樹脂部5a及び側面樹脂部5b)の厚みがより均一化されているため、この枠体40による配光制御を精度良く行うことが可能である。
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記封止樹脂5は、実装基板2A(2B)の一面2a側との間でキャビティ空間S1(S3)を形成する第1の金型101A(101B)からの離型性を良くするため、上面樹脂部5aと側面樹脂部5bとの間の角部や、埋込樹脂部5c(5j)と中継樹脂部5d(5k)との間の隅部、中継樹脂部5d(5k)の角部などに、C面やR面といった面取り部を設けた構成としてもよい。また、側面樹脂部5b及び中継樹脂部5d(5k)は、LED素子3の上面側から下面側に向かって僅かに傾斜したテーパー形状(抜き勾配)を有していてもよい。
上述した封止樹脂5の厚みの均一性を維持できる範囲(色ムラや色度ズレの発生を抑制できる範囲)であれば、このような面取り部やテーパー形状を設けることが可能である。また、このような面取り部やテーパー形状に対応したキャビティ空間S1(S3)を形成する第1の凹部103(105)を第1の金型101A(101B)に設けることが可能である。なお、上記半導体発光装置1Bについても同様である。
したがって、本発明では、LED素子3の上面及び側面を略均一な厚みの封止樹脂5(上面樹脂部5a及び側面樹脂部5b)で覆うと言った場合、この“略均一な厚み”とは、面取り部やテーパー形状などによる若干の厚みの変化を許容した厚みのことを意味するものとする。
また、上記実施形態では、中間体50A(50B)の実装基板2A(2B)となる部分に対して封止工程を連続して実施する場合を例示しているが、LED素子3が実装された実装基板2A(2B)に対して封止工程を実施することも可能である。
この場合、実装基板2A(2B)の一面2a側との間でキャビティ空間S1(S3)を形成する第1の金型101A(101B)と、実装基板2A(2B)の他面2b側との間でランナー空間S2(第1及び第2のランナー空間S4,S5)を形成する第2の金型102A(102B)との間で、LED素子3が実装された実装基板2A(2B)を挟み込んだ状態とする。
この状態で、実装基板2A(2B)の一対の孔部11a,11b(11e,11f)のうち、一方の孔部11a(11e)を通してランナー空間S2(第1のランナー空間S4)からキャビティ空間S1(S3)に向けて、溶融した封止樹脂5を導入すると共に、他方の孔部11b(11f)を通してキャビティ空間S1(S3)からランナー空間S2(第2のランナー空間S5)に向けて、溶融した封止樹脂5を導出する。
その後、キャビティ空間S1(S3)及びランナー空間S2(第1及び第2のランナー空間S4,S5)内に充填された封止樹脂5を加熱することによって、この封止樹脂5を硬化させる。そして、封止樹脂5が硬化した後に、実装基板2A(2B)を第1の金型101A(101B)及び第2の金型102A(102B)から離型する。これにより、LED素子3が実装された実装基板2A(2B)に対して封止工程を実施することが可能である。なお、上記半導体発光装置1Bについても同様である。
また、上記実施形態では、上述した実装基板2A(2B)の他面2bにおいて、一対の孔部11a,11b(11e,11f)の間でランナー樹脂部5e(第1及び第2のランナー樹脂部5m,5n)(封止樹脂5)を隔壁12(15)により分断した構成となっているが、この隔壁12(15)を省略した構成とすることも可能である。例えば、実装基板2A(2B)の他面2b側に隔壁12(15)を設ける代わりに、第2の凹部104(106)の内側において、一対の孔部11a,11b(11e,11f)の間でランナー空間S2(第1及び第2のランナー空間S4,S5)を分断する隔壁を設けた状態で、上記封止工程を実施する。これにより、隔壁12(15)を省略した半導体発光装置1A(1C)を得ることが可能である。なお、上記半導体発光装置1Bについても同様である。
なお、本発明が適用可能な半導体発光装置については、上述した青色光(励起光)と黄色光(蛍光光)との混色により白色光(可視光)を得る半導体発光装置に限定されるものではなく、青色光(励起光)と緑色光及び赤色光(蛍光光)との混色により白色光(可視光)を得る半導体発光装置であってもよい。さらに、発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(LD)などの半導体発光素子と、この半導体発光素子が発する光(励起光)に励起されて光(蛍光光)を発する蛍光体とを組み合わせた半導体発光装置に対して、本発明を幅広く適用することが可能である。