JP7211003B2 - ガラス板の製造方法 - Google Patents

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本発明は、ガラス板の製造方法に関する。
ガラス板の製造に際し、ガラス母材を分割して複数のガラス板を得る方法が知られている。ガラス母材の分割に際し不良の原因となるクラックを生じ難くし、あるいは分割後のガラス板の搬送を容易とするため等に、ガラス母材に支持フィルムを貼り付けた状態においてガラス母材を分割する方法がとられることがある。例えば、下記の特許文献1には、ガラス基板と軟質樹脂膜とを積層した状態において、ガラス基板を分割する例が記載されている。
特開2015-030661号公報
ガラス母材と支持フィルムとの密着性を高めるために、支持フィルムは、テーブル上に載置されたガラス母材にローラー等を用いて圧着される。しかしながら、圧着に際し、ガラス母材の位置がずれ、ガラス母材の面がテーブルと擦れることにより、ガラス母材にキズが生じるおそれがある。
本発明は、キズが生じ難い、ガラス板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の偏光ガラス板の製造方法は、長辺及び短辺を有する略矩形板状であり、対向し合う第1の主面及び第2の主面を有するガラス母材を、複数の吸引孔を有するテーブル上に、第1の主面における両側の短辺近傍を、それぞれ吸引孔により吸引することによって固定する工程と、ガラス母材をテーブル上に固定した状態において、ガラス母材の第2の主面に支持フィルムを貼り付ける工程と、ガラス母材に支持フィルムを貼り付けた状態において、ガラス母材を個片化する工程とを備えることを特徴とする。
ガラス母材をテーブル上に固定する工程において、第1の主面における両側の短辺近傍を、それぞれ複数の吸引孔により吸引することによってガラス母材を固定することが好ましい。
テーブル上に、ガラス母材の位置決め用のガイドが設けられており、テーブル上にガラス母材を固定する前に、ガイドを用いてガラス母材の位置決めを行うことが好ましい。
ガラス母材が、ガラスマトリクス中に延伸金属粒子が配向して分散されてなる偏光ガラス母材であることが好ましい。
本発明によれば、キズが生じ難い、ガラス板の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るガラス板の製造方法を説明するための模式的平面図である。 本発明の一実施形態に係るガラス板の製造方法において用いられるガラス母材を示す模式的斜視図である。 本発明の一実施形態に係るガラス板の製造方法を説明するための模式的断面図である。 (a)及び(b)は、ガラス母材を個片化する工程を説明するための模式的断面図である。
以下、好ましい実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は単なる例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照する場合がある。
(ガラス母材)
図1は、本発明の一実施形態に係るガラス板の製造方法を説明するための模式的平面図である。図2は、本発明の一実施形態に係るガラス板の製造方法において用いられるガラス母材を示す模式的斜視図である。
図1に示すガラス母材1は、長辺2a及び長辺2b並びに短辺3a及び短辺3bを有する略矩形板状のガラス母材である。ガラス母材1は、対向し合う第1の主面4a及び第2の主面4bを有する。図2に示すように、本実施形態において用いられるガラス母材1は、ガラスマトリクス中に延伸金属粒子5が配向して分散されてなる偏光ガラス母材である。延伸金属粒子5は、例えば、銀または銅からなる。
ガラス母材1の第1の主面4a上には反射防止膜6が形成されている。反射防止膜6は、例えば、相対的に屈折率が低い低屈折率膜と、相対的に屈折率が高い高屈折率膜とが交互に積層された誘電体多層膜により構成することができる。本実施形態では、反射防止膜6は、第1の主面4aにおける短辺3a近傍、短辺3b近傍、長辺2a近傍及び長辺2b近傍以外の部分に形成されている。もっとも、反射防止膜6は第1の主面4aの全面に形成されていてもよい。反射防止膜6が形成されたガラス母材1を、個片化することにより、反射防止膜6が形成された複数の偏光ガラス板を得ることができる。
なお、ガラス母材1の第1の主面4a上には、反射防止膜6以外の適宜の機能膜が形成されていてもよい。あるいは、第1の主面4a上には反射防止膜6等の機能膜は形成されていなくともよい。本実施形態におけるガラス母材1は一例であって、本発明に係るガラス板の製造方法においては、偏光ガラス母材ではないガラス母材を用いることもできる。
(固定工程及び貼り付け工程)
図1に示すように、ガラス母材1をテーブル7上に載置する。なお、本実施形態では、ガラス母材1をテーブル7上に載置した際、第1の主面4aがテーブル7側に位置している。
テーブル7上には、ガラス母材1の位置決め用のガイド8が設けられている。具体的には、ガイド8は、逆L字形の形状の樹脂フィルムからなる。ガイド8は、テーブル7上にガラス母材1を載置したときに長辺2b及び短辺3aに沿うように設けられている。テーブル7上にガラス母材1を載置する際に、ガイド8を用いてガラス母材1の位置決めを行う。これにより、ガラス母材1の位置決めの精度を向上させることができる。なお、ガイド8が設けられている位置及び形状は上記に限定されない。例えば、長辺2aに沿う直線状のガイド及び短辺3bに沿う直線状のガイドが設けられていてもよい。ガイド8の材料は上記に限定されず、例えば、無機の誘電体等からなっていてもよい。もっとも、ガイド8は必ずしも設けられていなくともよい。
次に、ガラス母材1をテーブル7上に固定する。ここで、テーブル7は複数の吸引孔9a及び複数の吸引孔9bを有する。複数の吸引孔9aは、テーブル7上にガラス母材1を載置したときに、短辺3a近傍に位置するように設けられている。具体的には、複数の吸引孔9aは、略直線上に並ぶように設けられている。複数の吸引孔9aのうち一方端の吸引孔9aと他方端の吸引孔9aとの中心間距離は、ガラス母材1の短辺3aの長さ未満である。
一方で、複数の吸引孔9bは、テーブル7上にガラス母材1を載置したときに、短辺3b近傍に位置するように設けられている。複数の吸引孔9bは、略直線上に並ぶように設けられており、複数の吸引孔9bのうち一方端の吸引孔9bと他方端の吸引孔9bとの中心間距離は、ガラス母材1の短辺3bの長さ未満である。
図1に示すように、ガラス母材1の第1の主面4aにおける短辺3a近傍を複数の吸引孔9aにより吸引し、短辺3b近傍を複数の吸引孔9bにより吸引することによって、ガラス母材1をテーブル7上に固定する。なお、短辺3a側に位置する吸引孔9aは少なくとも1つ設けられていればよく、短辺3b側に位置する吸引孔9bは少なくとも1つ設けられていればよい。
図3は、本発明の一実施形態に係るガラス板の製造方法を説明するための模式的断面図である。なお、図3においては反射防止膜を省略している。
次に、図3に示すように、ガラス母材1をテーブル7に固定した状態において、ガラス母材1の第2の主面4bに支持フィルム10を貼り付ける。支持フィルム10は、樹脂フィルムと、樹脂フィルム上に設けられた粘着剤層とを有する。支持フィルム10の粘着剤層側がガラス母材1に貼り付けられる。もっとも、支持フィルム10の構成は上記に限定されない。
本実施形態では、ローラー12を用いて支持フィルム10をガラス母材1に圧着する。具体的には、ローラー12を、ガラス母材1における短辺3aと短辺3bとを結ぶ方向に移動させながら、支持フィルム10をガラス母材1に圧着する。それによって、ガラス母材1と支持フィルム10との間に気泡が混入し難く、ガラス母材1と支持フィルム10との密着性を好適に高めることができる。
ここで、従来においては、ガラス母材の中央付近のみがテーブル上に固定された状態において、支持フィルムがガラス母材に圧着されていた。しかしながら、圧着に際しローラーによりガラス母材の一部がテーブル側に押圧されるため、ガラス母材が反り易い。さらに、ガラス母材が反った状態において、ローラーによりテーブルの面に平行な方向にもガラス母材が押圧される。そのため、ガラス母材をテーブル上に固定していても、ガラス母材がテーブル上を移動するおそれがある。この場合、ガラス母材がテーブル側に押圧された状態において、ガラス母材がテーブルに擦れることとなる。よって、支持フィルムをガラス母材に貼り付けるときに、ガラス母材にキズが生じるおそれがある。
これに対して、本実施形態では、ガラス母材1を短辺3a近傍及び短辺3b近傍の両方において固定している。それによって、ガラス母材1がテーブル7側に押圧されても、ガラス母材1の短辺3a及び短辺3bの両方がテーブル7から浮き難く、ガラス母材1が反ることを効果的に抑制することができる。よって、ガラス母材1がテーブル7上を移動し難く、ガラス母材1にキズが生じ難い。本実施形態によれば、アスペクト比が大きいガラス母材1(例えば、3~10、5~9、特に6~8)を使用した場合であっても、テーブル7上に確実に固定でき、キズの発生を効果的に抑制することができる。
図1に示すように、テーブル7上にガラス母材1を載置したときのガラス母材1の短辺3a近傍に、吸引孔9aが複数設けられていることが好ましい。同様に、ガラス母材1の短辺3b近傍に、吸引孔9bが複数設けられていることが好ましい。それによって、ガラス母材1の短辺3a及び短辺3bがテーブルからより一層浮き難く、ガラス母材1が反ることをより一層抑制することができる。従って、ガラス母材1にキズがより一層生じ難い。
吸引孔はテーブル7上にガラス母材1を載置したときの短辺3a近傍及び短辺3b近傍以外にも、例えば、テーブル7上にガラス母材1を載置したときの、ガラス母材1の中央付近に位置する部分に設けられていてもよい。
(個片化工程)
図4(a)及び図4(b)は、ガラス母材を個片化する工程を説明するための模式的断面図である。なお、図4(a)及び図4(b)におけるz方向はガラス母材の厚み方向に相当する。x方向、y方向及びz方向は互いに直交する。
図4(a)に示すように、ガラス母材1の第1の主面4aに分割溝11を形成する。図4(a)においてはy方向に延びる分割溝11を示しているが、本実施形態においてはx方向に延びる分割溝11も形成する。分割溝11を形成する具体的な方法としては、特に限定されないが、ダイヤモンド粒子等を用いたスクライバーで形成することが好ましい。また、分割溝11は、レーザー加工やダイシングにより形成してもよい。
次に、押圧部材13を、ガラス母材1における分割溝11と平面視において重なるように、支持フィルム10側に配置する。なお、押圧部材13はガラス母材1を割断するための部材であり、y方向に直線状に延びているブレード14を有する。次に、押圧部材13をガラス母材1側に移動させることにより、支持フィルム10側からガラス母材1を押圧する。具体的には、ガラス母材1における分割溝11が形成された領域を、支持フィルム10を介して間接的に、ブレード14によって押圧する。これにより、図4(b)に示すように、分割溝11に沿いz方向にガラス母材1を割断する。同様に、各分割溝11に沿いガラス母材1を割断する。
次に、図4(a)及び図4(b)に示した方法と同様にして、x方向に延びる各分割溝11に沿い、ガラス母材1を割断する。このように、ガラス母材1を個片化することにより、複数のガラス板を得る。
なお、ガラス母材の個片化は上記の方法に限定されず、ダイシング等により行ってもよい。
1…ガラス母材
2a…長辺
2b…長辺
3a…短辺
3b…短辺
4a…第1の主面
4b…第2の主面
5…延伸金属粒子
6…反射防止膜
7…テーブル
8…ガイド
9a…吸引孔
9b…吸引孔
10…支持フィルム
11…分割溝
12…ローラー
13…押圧部材
14…ブレード

Claims (4)

  1. 長辺及び短辺を有する略矩形板状であり、対向し合う第1の主面及び第2の主面を有するガラス母材を、複数の吸引孔を有するテーブル上に、前記第1の主面における両側の前記短辺近傍を、それぞれ前記吸引孔により吸引することによって固定する工程と、
    前記ガラス母材を前記テーブル上に固定した状態において、前記ガラス母材の前記第2の主面に支持フィルムを貼り付ける工程と、
    前記ガラス母材に前記支持フィルムを貼り付けた状態において、ローラーを用いて前記支持フィルムを前記ガラス母材に圧着した後、前記ガラス母材を個片化する工程とを備える、ガラス板の製造方法。
  2. 前記ガラス母材を前記テーブル上に固定する工程において、前記第1の主面における両側の前記短辺近傍を、それぞれ複数の前記吸引孔により吸引することによって前記ガラス母材を固定する、請求項1に記載のガラス板の製造方法。
  3. 前記テーブル上に、前記ガラス母材の位置決め用のガイドが設けられており、
    前記テーブル上に前記ガラス母材を固定する前に、前記ガイドを用いて前記ガラス母材の位置決めを行う、請求項1または2に記載のガラス板の製造方法。
  4. 前記ガラス母材が、ガラスマトリクス中に延伸金属粒子が配向して分散されてなる偏光ガラス母材である、請求項1~3のいずれか一項に記載のガラス板の製造方法。
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