JP7208860B2 - 非粘着熱伝導性シリコーンゴムシートの製造方法 - Google Patents

非粘着熱伝導性シリコーンゴムシートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、非粘着熱伝導性シリコーンゴムシートの製造方法に関する。
パーソナルコンピューター、デジタルビデオディスク、携帯電話等の電子機器に使用されるCPU、ドライバICやメモリー等のLSIチップは、高性能化・高速化・小型化・高集積化に伴い、それ自身が大量の熱を発生するようになり、その熱によるチップの温度上昇はチップの動作不良、破壊を引き起こす。そのため、動作中のチップの温度上昇を抑制するための多くの熱放散方法及びそれに使用する熱放散部材が提案されている。
従来、電子機器等においては、動作中のチップの温度上昇を抑えるために、アルミニウムや銅等の熱伝導率の高い金属板を用いたヒートシンクが使用されている。このヒートシンクは、そのチップが発生する熱を伝導し、その熱を外気との温度差によって表面から放出する。
チップから発生する熱をヒートシンクに効率よく伝えるために、ヒートシンクをチップに密着させる必要があるが、各チップの高さの違いや組み付け加工による公差があるため、柔軟性を有するシートや、グリースをチップとヒートシンクとの間に介装させ、このシート又はグリースを介してチップからヒートシンクへの熱伝導を実現している。
特許文献1には、シリコーンゴム等の合成ゴム100質量部に酸化ベリリウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛から選ばれる少なくとも1種以上の金属酸化物を100~800質量部配合した絶縁性組成物が開示されている。
また、絶縁性を必要としない場所に用いられる放熱材料として、特許文献2には、不飽和基含有オルガノポリシロキサン100質量部にシリカ及び銀、金、ケイ素等の熱伝導性粉末を60~500質量部配合した組成物が開示されている。
これらの組成物を硬化させて得られるシート成型物においては、熱伝導性とともに異なる素子の高さに追従でき素子に負荷をかけない柔軟性が求められている。一般的にシリコーン硬化物を柔らかく保つためには分子内の架橋密度を低くする方法が知られている。しかしながらシリコーン硬化物の架橋密度を低く設定した場合、表面の粘着力が高く保護フィルムを除去する際や組付け時に素子からリワークする際に、その柔らかさと相まって変形し易く取り扱いが困難な材料となってしまうという欠点があった。
柔軟性を保持したまま表面粘着力を低減し取扱い易くした熱伝導性シリコーン硬化物がこれまでにいくつか提案されている。例えば、特許文献3にはシリコーン樹脂に金属酸化物等の熱伝導性材料を混合して成形したシートであって、取り扱いに必要な強度を持たせたシリコーン樹脂層の上に軟らかく変形しやすいシリコーン層を積層させて片面の粘着性を抑制したシートが開示されている。
また、シリコーン硬化物の表面に直接オルガノハイドロジェンポリシロキサンオイルを塗布し、表面付近だけビニル基との架橋反応を行わせて粘着性を低下させる方法や、樹脂フィルム表面にオルガノハイドロジェンポリシロキサンオイルを均一に塗布してなる塗布面と、アスカーC硬度が1~80の付加硬化型の低硬度熱伝導性シリコーンゴムシートを貼り合わせることにより、低硬度熱伝導性シリコーンゴムシートの表面にオルガノハイドロジェンポリシロキサンオイルを供給し、次いで表面付近の架橋反応を行わせる方法が特許文献4に開示されている。
しかしながら、硬さの異なるシリコーン硬化物を積層する方法では、材料の不均一性から界面の強度が低下し易く、熱伝導率に差があった場合、熱伝導率の低い材料の影響を受け全体の熱抵抗が増加してしまう。また、低硬度熱伝導性シリコーン硬化物の表面にオルガノハイドロジェンポリシロキサンを供給する方法ではシリコーン硬化物表面に厚さや硬さのムラが生じるといった問題があった。さらにはいずれの方法も作業工程を増加させ煩雑にしてしまう点が課題となっている。
特開昭47-32400号公報 特開昭56-100849号公報 特開平2-196453号公報 特開平11-199690号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、低硬度な熱伝導性シリコーンゴムシートの片面あるいは両面の粘着性を抑制し取扱い性に優れる熱伝導性シリコーンゴムシートを提供することを目的とする。
上記課題を達成するために、本発明では、アスカーC硬度が1~80の熱伝導性シリコーンゴムシートに加速電圧10~500kVの電子線を照射する工程を含む非粘着熱伝導性シリコーンゴムシートの製造方法を提供する。
この非粘着熱伝導性シリコーンゴムシートの製造方法によれば、電子線により熱伝導性シリコーンゴムシートの表面のみ硬化を進行させ、柔軟性を保持しながら表面の粘着力を低減した、取り扱い性に優れる非粘着熱伝導性シリコーンゴムシートを簡便且つ安定して製造できる。
前記熱伝導性シリコーンゴムシートとして、下記(A)~(D)成分を含有する組成物をシート状に成形して硬化したものを使用することが好ましい。
(A)1分子中にアルケニル基を平均して0.5個以上有するオルガノポリシロキサン、
(B)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上含んでいるオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)成分に含有されるアルケニル基と(B)成分に含まれるSiH基のモル比(SiH基/アルケニル基)が0.05/1~2/1の範囲となる量、
(C)白金族金属系触媒:(A)成分に対して白金族金属の質量換算で0.1~1000ppmの範囲となる量、
(D)熱伝導性充填剤:前記組成物全体の25~95質量%
前記熱伝導性シリコーンゴムシートとして前記特定の組成物をシート状に成形して硬化したものを使用すると、前記非粘着熱伝導性シリコーンゴムシートをより簡便且つ安定して製造できる。
前記熱伝導性シリコーンゴムシートへの前記電子線の照射線量を10~1000kGyとすることが好ましい。
前記熱伝導性シリコーンゴムシートへの前記電子線の照射線量を前記特定の範囲とすると、前記非粘着熱伝導性シリコーンゴムシートの表面の粘着性をより簡便且つ安定して調整できる。
前記電子線を酸素濃度1000ppm以下の酸素濃度の雰囲気下で前記熱伝導性シリコーンゴムシートに照射することが好ましい。
前記電子線を前記所定の酸素濃度以下の雰囲気下で前記熱伝導性シリコーンゴムシートに照射すると、前記熱伝導性シリコーンゴムシートの被照射線量の低下とオゾン生成を抑制しながら、前記非粘着熱伝導性シリコーンゴムシートを簡便且つ安定して製造できる。
本発明によれば、電子線により熱伝導性シリコーンゴムシートの表面のみ硬化を進行させ、柔軟性を保持しながら表面の粘着力を低減した、取り扱い性に優れる非粘着熱伝導性シリコーンゴムシートを簡便且つ安定して製造可能な方法を提供することができる。
上述のように、低硬度な熱伝導性シリコーンゴムシートの片面あるいは両面の粘着性を抑制し取扱い性に優れる熱伝導性シリコーンゴムシートの開発が求められていた。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、アスカーC硬度10~80の熱伝導性シリコーンゴムシートに加速電圧10~500kVの電子線を照射して表面のみ架橋密度を増加させることで、柔らかさを保持したまま表面の粘着性を抑制した非粘着熱伝導性シリコーンゴムシートを得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、アスカーC硬度が1~80の熱伝導性シリコーンゴムシートに加速電圧10~500kVの電子線を照射する工程を含む非粘着熱伝導性シリコーンゴムシートの製造方法である。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明で使用する熱伝導性シリコーンゴムシートはアスカーC硬度が1~80であれば、特に制限されないが、(A)1分子中にアルケニル基を平均して0.5個以上有するオルガノポリシロキサン、(B)1分子中にケイ素原子に直接結合した水素原子を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(C)白金族金属系硬化触媒、(D)熱伝導性充填剤を含有する組成物の硬化物が好ましく、特に、(A)成分に含有されるアルケニル基と(B)成分に含有されるSiH基のモル比(SiH基/アルケニル基)が0.05/1~2/1の範囲であり、(D)成分の配合割合が前記組成物全体の25~95質量%であることが好ましい。
本発明で用いる(A)成分の1分子中にアルケニル基を平均して0.5個以上有するオルガノポリシロキサンは、平均組成式RSiO(4-n)/2(nは1.94~2.05の正数)で表されるものである。アルケニル基は硬化時の架橋点となるため、基本的には、アルケニル基を2個以上含んでいる分子が少なくとも1つないと、この組成物は硬化しない。
したがって、ここでいうアルケニル基の数は、(A)成分が1分子中にアルケニル基を0、1、2個またはそれ以上含んでいる分子の混合物である場合の平均的なアルケニル基の数であり、(A)成分の1分子におけるアルケニル基の分布が均一化されている場合には、1分子中にアルケニル基を2個以上含んでいることが必要である。
平均組成式中のRは、置換または非置換の一価炭化水素基を表す。具体的には、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、あるいはこれらの水素原子が部分的に塩素原子、フッ素原子などで置換されたハロゲン化炭化水素基等が例示されるが、一般的には、オルガノポリシロキサンの主鎖がジメチルシロキサン単位からなるもの、あるいはこのオルガノポリシロキサンの主鎖に、ビニル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基などを導入したものが好ましい。
また、分子鎖末端は、トリオルガノシリル基で封鎖されているものが好ましく、このトリオルガノシリル基としては、トリメチルシリル基、ジメチルビニルシリル基、トリビニルシリル基などが例示される。なお、A)成分の粘度は、25℃で100,000cs以下であることが好ましく、500~30,000csの範囲であることがより好ましい。前記粘度が100,000cs以下であると、組成物の流動性が損なわれず、成形時の作業性が低下しない。
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1分子中にケイ素原子に直接結合している水素原子を2個以上含んでいる、直鎖状、分岐状または環状の分子からなるものである。この(B)成分は、(A)成分のアルケニル基と付加反応する架橋剤として作用する。(B)成分の添加量は、(A)成分のアルケニル基1モルに対して(B)成分のケイ素原子に直接結合している水素原子が通常0.05~2モル、好ましくは0.1~1.5モルとなる量である。
前記添加量が0.05モルとなる量以上である場合には、組成物の架橋密度が低くなりすぎず、硬化した組成物の強度が十分高くなるので成形が容易である。前記添加量が2モルとなる量以下である場合には、架橋密度が大きくなりすぎず柔軟な硬化物が得られる。
(C)成分の白金族系触媒は付加反応を促進するための触媒であり、具体的には白金ブラック、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール変性物、塩化白金酸とオレフィン、ビニルシロキサンあるいはアセチレンアルコールと錯体等が例示される。この(C)成分の添加量は、希望する硬化速度に応じて選択すればよいが、通常は、(A)成分に対して白金族金属元素の質量換算で0.1~1,000ppm、好ましくは1~200ppmの範囲とすればよい。
(D)成分である熱伝導性充填剤として、例えば、非磁性の銅やアルミニウム等の金属、アルミナ、シリカ、マグネシア、ベンガラ、ベリリア、チタニア、ジルコニア等の金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化硼素等の金属窒化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、人工ダイヤモンドあるいは炭化ケイ素等の一般に熱伝導性充填剤とされる物質を用いることができる。また、例えば粒径0.1~200μmのものを用いることができ、1種又は2種以上を複合して用いてもよい。その添加量は、組成物全体に対して25~95質量%の範囲である。添加量が25質量%以上であると必要な熱伝導性を確保することができ、95質量%以下であると組成物の流動性を損なわず、組成物の硬化後も十分な柔軟性を有する。
本発明においては、その他の添加成分として、組成物の硬化速度や保存安定性を調節する目的で、例えば、メチルビニルシクロテトラシロキサン等のビニル基含有オルガノポリシロキサン、トリアリルイソシアヌレート、アセチレンアルコールおよびそのシロキサン変性物などを添加することができる。また、補強性シリカ、着色剤、耐熱性向上剤、接触助剤等を添加しても良い。
前述の組成物を硬化させた熱伝導性シリコーンゴムシートの硬さは、アスカーC硬度計で1~80の範囲、好ましくは1~50の範囲である。ここで、アスカーC硬度とは、SRIS 1010(日本ゴム協会規格)およびJIS 6050に基づき、スプリング式硬さ試験機アスカーC型を使用して、厚さ12mm以上にシートを重ねて測定した硬度である。
熱伝導性シリコーンゴムシートの硬度が1未満では、熱伝導性シリコーンゴムシートの強度が乏しく取り扱いが困難になるだけでなく、成形が難しくなり量産性が悪くなる。熱伝導性シリコーンの硬度が80を越えると、熱伝導性シリコーンゴムシートの柔軟性が少なくなるので、発熱性部品との密着性が低下するうえ、部品形状への追従性が悪くなる。そこで、柔軟性と強度を兼ね備えるために、ガラス、ポリエステル、ナイロン等からなるクロスあるいは不織布やポリイミド、ナイロン、ポリエステル等からなる樹脂フィルム等を、熱伝導性シリコーンゴムシートの内部に入れて補強しても良い。これにより、強度が向上すると共にシートの伸びが抑制されるので、取扱いやすくなり作業性が向上する。
熱伝導性シリコーンゴムシートの成形方法としては、次の方法が例示される。
モールド成形:金型中に未硬化の液状組成物を流し込み、金型を締めてから熱プレス機により圧力と熱をかけて液状組成物を硬化させる。
射出成形:射出成形機上の加熱した金型の中にノズルから未硬化の液状組成物を射出して金型のキャビティ内に充填する。硬化後に金型を開けてシートを取り出す。
コーティング成形:コーティング装置に連続的にセパレータフィルム(例えば、PET)を供給し、この上に未硬化の液状組成物をナイフコータ等により一定の厚さに塗布してから、加熱炉を通して液状組成物を硬化させる。
本発明では熱伝導性シリコーンゴムシートに電子線を照射しシリコーン分子内に発生したラジカルを利用して電子線到達部までの架橋密度を増加させる。したがって、電子線到達深度が大きくなるほど追硬化が進行する厚みが増すこととなる。
また、電子線到達深度は電子線の加速電圧に依存する。したがって、加速電圧を調整することで硬化が進行する厚みを自由に管理することが可能である。本発明において、電子線の加速電圧は10~500kVであり、100~300kVが好ましい。加速電圧が10kV未満の場合、電子線がごく表面までしか到達せずシートの粘着性を抑制する効果が弱い。また、加速電圧が500kVを超える場合、シート内部まで硬化が進行してしまいシートの柔軟性が悪化する恐れがある。
さらに、熱伝導性シリコーンゴムシートの表面に保護フィルムがある場合でも、十分な加速電圧の電子線を照射することで、保護フィルムを電子線が透過し熱伝導性シリコーンゴムシート表面に電子線を供給することが可能である。保護フィルムは、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)などのフィルムの中から適宜選択して用いることができる。
熱伝導性シリコーンゴムシート中に形成される架橋の密度は、発生するラジカル量に依存するため、電子線の照射線量を調整することで表面の粘着性をコントロールすることが可能である。本発明における電子線の照射線量は10~1000kGyが好ましく、30~800kGyがより好ましく、50~500kGyがさらに好ましい。照射線量が10kGy以上の場合、十分なラジカルが形成されるため、粘着性を低下させる効果を期待できる。また照射線量が1000kGy以下である場合、シート表面の架橋密度が必要以上に大きくならないため、シート表面に破損や皺が発生しない。
電子線を空気中で照射すると、電子線が酸素分子に消費されオゾンが生成する場合がある。オゾンは人的に有害であるとともに、反応性が高いため熱伝導性シリコーンゴム中のポリマーを攻撃し劣化させる恐れがある。
本発明においては、シートの被照射線量の低下とオゾン生成を抑制するため、熱伝導性シリコーンゴムに電子線を照射する際の雰囲気は、酸素濃度1000ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましく、300ppm以下がさらに好ましい。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
電子線を照射する熱伝導性シリコーンゴムシートは下記(A)、(B)、(C)成分を含有する組成物中に(D)成分を加え、保護フィルム(PET、100μm厚)上に設置した金型に流し込み、110℃/10minで硬化させることにより作製した。
(A)成分:平均組成が下記式で示されるオルガノポリシロキサン。
Figure 0007208860000001
(平均重合度:n=180、Xはビニル基)
(B)成分:平均組成が下記式で示される両末端がメチル基で封鎖されたオルガノハイドロジェンポリシロキサン。
Figure 0007208860000002
(平均重合度:o=28、p=2)
(C)成分:5質量%塩化白金酸2-エチルヘキサノール溶液。
(D)成分:水酸化アルミニウムまたはアルミナ。
(D)成分として、水酸化アルミニウムを83質量%含有させたシートをシートa、アルミナを91質量%含有させたシートをシートb、アルミナを94質量%含有させたシートをシートcとする。
[評価方法]
<硬度>
下記実施例1~10及び比較例1~6で得られた熱伝導性シリコーンゴムシートを複数枚重ねて12mm厚以上になるようにしアスカーC硬度計で測定した。
<タック力(粘着力)>
下記実施例1~10及び比較例1~6で得られた熱伝導性シリコーンゴムシートを25℃環境下でタック力測定器(商品名:タッキネステスターTK-1、(株)Malcom製)で測定した。
[実施例1~5]
1mm厚に成形したシートaの保護フィルムを剥がし、シート表面に表1に示す条件で電子線を照射し、シート表面のアスカーC硬度とタック力を測定した。
[比較例1]
シートaの電子線未照射品のアスカーC硬度とタック力を実施例1~5と併せて表1に示す。
Figure 0007208860000003
電子線が照射された実施例1~5の非粘着熱伝導性シリコーンゴムシートのアスカーC硬度は、電子線が照射されなかった比較例1の熱伝導性シリコーンゴムシートのものよりも僅かに高かった。
対して実施例1~5の非粘着熱伝導性シリコーンゴムシートのタック力は比較例1の熱伝導性シリコーンゴムシートのものと比べて3割から5割小さかった。
実施例1~5および比較例1に示されるように、熱伝導性シリコーンゴムシート表面に電子線を照射することで、アスカーC硬度を大きく変化させることなく粘着力を低下させることができる。
[実施例6、7]
1mm厚に成型したシートbおよびシートcに、保護フィルムをつけたまま表2に示す条件で電子線を照射した後、保護フィルムを除去しシート表面のアスカーC硬度とタック力を測定した。
[比較例2、3]
1mm厚に成型したシートbおよびシートcの未照射品のアスカーC硬度とタック力を実施例6、7と併せて表2に示す。
Figure 0007208860000004
電子線が保護フィルム越しに照射された実施例6、7の非粘着熱伝導性シリコーンゴムシートのアスカーC硬度は、電子線が照射されなかった比較例2、3の熱伝導性シリコーンゴムシートのものより僅かに高かった。対して実施例6、7の非粘着熱伝導性シリコーンゴムシートのタック力は比較例2、3の熱伝導性シリコーンゴムシートのものと比べていずれも5割以上小さかった。
実施例6、7および比較例2、3に示されるように電子線の加速電圧を調整することで保護フィルム越しでも熱伝導性シリコーンゴムシートの表面に電子線を供給し表面の粘着力を低減することができる。電子線処理のために保護フィルムを剥がす工程が不要で異物付着などにより品質を低下させることがないため量産性に優れた処理であるといえる。
[実施例8~10]
3mm厚に成型したシートcに、保護フィルムをつけたまま表3に示す条件で電子線を照射した後、保護フィルムを除去しシート表面のアスカーC硬度とタック力を測定した。
[比較例4~6]
3mm厚に成型したシートcの電子線未照射品および表3に示す条件で電子線を照射した後、保護フィルムを除去しシート表面のアスカーC硬度とタック力を測定した。
Figure 0007208860000005
電子線が保護フィルム越しに照射された実施例8~10の非粘着熱伝導性シリコーンゴムシートのアスカーC硬度は、電子線が照射されなかった比較例4、加速電圧が小さすぎる電子線が照射された比較例5の熱伝導性シリコーンゴムシートのものと同等であった。対して実施例8~10の非粘着熱伝導性シリコーンゴムシートのタック力は比較例4及び5の熱伝導性シリコーンゴムシートのものと比べて3割から7割ほど小さかった。また、加速電圧が大きすぎる電子線が照射された比較例6の熱伝導性シリコーンゴムシートは、タック力が実施例8~10と比べて1/2以下となったが、硬化が深部まで進行しておりアスカーC硬度は、実施例8~10の2倍となった。
比較例4のように電子線が照射されなかったり、比較例5のように加速電圧が不十分であったりすると、熱伝導性シリコーンシートの粘着力低減効果が得られない。一方、比較例6のように加速電圧が大きすぎる場合、粘着力は低減するものの深部まで硬化が進行しシートの柔軟性が低下する。
このため実施例8~10のように適切な加速電圧で熱伝導性シリコーンゴムシートへ電子線を照射することが肝要となる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (4)

  1. アスカーC硬度が1~80の熱伝導性シリコーンゴムシートに加速電圧10~150kVの電子線を照射し、前記熱伝導性シリコーンゴムシートの表面の硬化を進行させる工程を含むことを特徴とする非粘着熱伝導性シリコーンゴムシートの製造方法。
  2. 前記熱伝導性シリコーンゴムシートとして、下記(A)~(D)成分を含有する組成物をシート状に成形して硬化したものを使用することを特徴とする請求項1に記載された非粘着熱伝導性シリコーンゴムシートの製造方法。
    (A)1分子中にアルケニル基を平均して0.5個以上有するオルガノポリシロキサン、
    (B)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上含んでいるオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)成分に含有されるアルケニル基と(B)成分に含まれるSiH基のモル比(SiH基/アルケニル基)が0.05/1~2/1の範囲となる量、
    (C)白金族金属系触媒:(A)成分に対して白金族金属の質量換算で0.1~1000ppmの範囲となる量、
    (D)熱伝導性充填剤:前記組成物全体の25~95質量%
  3. 前記熱伝導性シリコーンゴムシートへの前記電子線の照射線量を10~1000kGyとすることを特徴とする請求項1又は2に記載の非粘着熱伝導性シリコーンゴムシート製造方法。
  4. 前記電子線を酸素濃度1000ppm以下の酸素濃度の雰囲気下で前記熱伝導性シリコーンゴムシートに照射することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の非粘着熱伝導性シリコーンゴムシートの製造方法。
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