JP7208442B2 - 定着装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真方式を利用した画像形成装置の定着器で使用される定着装置に関する。
電子写真方式を利用した画像形成装置(例えば、複写機、プリンター)の定着器は、移動するシート上の帯電トナーをシートに対して加圧して定着させる。このため、定着器は、一対のロール(定着ロールと加圧ロール)または定着ベルトと加圧ロールを有する。定着ベルトと加圧ロールを有するタイプの定着器では、定着ベルトと加圧ロールの間のニップをシートが通過する間に、トナーがシートに定着させられる(特許文献1)。このタイプでは、定着ベルトは、定着ロールまたは定着パッドによって加圧ロールに向けて押圧され、トナーを加熱することにより溶融する。定着ベルトは、加熱装置によって再加熱され、高い温度を有する。
特開2018-136412号公報
定着器の使用において、ニップをシートが通過する間に、トナー像が過不足なく、シートに定着することが望ましい。しかし、静電気の発生により、シート上に余計なトナーが吸着されたり、逆にシートからトナーが弾き飛ばされたりすることがある。このような現象は、静電オフセットと呼ばれ、形成される画像の乱れを引き起こす。
静電オフセットを抑制する対策は、例えば特許文献1に記載されているように、試みられている。
プラスに帯電されることでシートに付着したトナーをシートに定着させる定着装置について、静電オフセットをさらに有効に抑制することが望まれている。
そこで、本発明は、静電オフセットを有効に抑制することが可能である、プラスに帯電されたトナー像をシートに定着させる定着装置を提供する。
本発明のある態様に係る定着装置は、プラスに帯電されたトナー像が形成されたシートに回転しながら接触して、前記トナー像を前記シートに定着させる、筒状の定着装置であって、金属製の筒状の基材と、前記基材の外周に被覆されたゴム層と、前記ゴム層の外周に被覆された接着層と、前記接着層の外周に被覆された樹脂製の表層とを有する。前記接着層は、前記ゴム層に接触する第1の接着層と、前記第1の接着層と前記表層の間に介在する第2の接着層を有する。前記第1の接着層は、フッ素樹脂系の接着剤から形成され、前記第2の接着層は、イオン導電材を含有するシリコーンゴム系の接着剤から形成されている。
この態様においては、静電オフセットを有効に抑制することが可能である。
本発明の実施形態に係る定着装置を備える定着器の一例を示す概略断面図である。 実施形態に係る定着装置を備える定着器の他の一例を示す概略断面図である。 実施形態に係る定着装置の一部の断面図である。 実施形態に係る定着装置を製造する工程を示す概略図である。 図4の工程の後の工程を示す概略図である。 図5の工程の後の工程を示す概略図である。 図6の工程の後の工程を示す概略図である。 図7の工程の後の工程を示す概略図である。 図8の工程の後の工程を示す概略図である。 図9の工程の後の工程を示す概略図である。 図10の工程の後の工程を示す概略図である。 定着装置の複数のサンプルの詳細を示す表である。 定着装置の層の材料の電気的特性を示す表である。 実施形態に係る定着装置の厚さ方向での静電容量を測定する方式を示す概略図である。 実施形態に係る定着装置の表層での電荷減衰量を測定する方式を示す概略図である。
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る実施形態を説明する。図面の縮尺は必ずしも正確ではなく、一部の特徴は誇張または省略されることもある。
電子写真方式を利用した画像形成装置は、搬送される記録媒体である紙のシート上にトナーからなる画像(トナー像)を形成する。画像形成装置の詳細は図示しないが、画像形成装置は、感光体ドラムと、感光体ドラムの周囲に配置された帯電器、露光器、現像器、転写器、および定着器を有する。この実施形態においては、トナーをプラスに帯電されることにより、シートにトナーが付着しており、このシートが定着器に搬送される。
図1に示すように、定着器は、移動可能な定着ベルト(定着装置)1と回転可能な加圧ロール2を有する。定着ベルト1と加圧ロール2の間のニップをシートSが通過する間に、トナーTがシートSに定着させられる。定着ベルト1と加圧ロール2は、シートS上のトナーTを加圧する。定着ベルト1は、トナーTを加熱することにより溶融する。
加圧ロール2は、芯材3と、芯材3の外周を被覆する弾性層4と、弾性層4の外周を被覆する離型層5を有する。
芯材3は、硬質の丸棒である。芯材3の材料は、限定されないが、例えば鉄、アルミニウム等の金属または樹脂材料であってよい。芯材3は、中空であっても、中実であってもよい。
弾性層4は、芯材3の外周面に全周にわたって固着された円筒であり、例えばスポンジのような多孔質弾性材料から形成されている。但し、弾性層4は、多孔質ではない弾性材料から形成されてもよい。
離型層5は、弾性層4の外周面に全周にわたって固着された薄い層であり、シートSに定着したトナーTから加圧ロール2が離れやすくする。図1は、シートSの1つの面にトナー像が形成される様子を示すが、シートSの1つの面にトナーTが定着された後に、シートSの他の面にトナーTが定着されることがあることに留意されたい。この場合、トナーTはニップにおいて加圧ロール2に接触させられる。
離型層5は、トナーTから離れやすい合成樹脂材料から形成されている。離型層5の材料は、好ましくは、フッ素樹脂である。このようなフッ素樹脂は、例えば、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、またはテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)である。
定着ベルト1は円筒であって、見方を変えれば、厚さが小さい円筒壁体を持つロールと考えることもできる。定着ベルト1の内部には、樹脂製の定着パッド6が配置されている。定着パッド6は、定着ベルト1を加圧ロール2に押し付けて、定着ベルト1と加圧ロール2の間のニップの幅を適切に維持する。ニップにおいて、定着ベルト1と加圧ロール2は、相互の押し付けにより、わずかに変形させられている。
定着ベルト1の近傍には、加熱装置7が配置されている。加熱装置7は、ニップで加圧ロール2に熱を奪われて冷却された定着ベルト1を再加熱する。図1の例では、加熱装置7は、公知の電磁誘導加熱装置7Aと磁場吸収部材7Bを有し、電磁誘導加熱装置7Aは定着ベルト1の外側に配置され、磁場吸収部材7Bは定着ベルト1の内側に配置されている。
但し、加熱装置のタイプは図1の例示に限定されない。例えば、図2に示すように、加熱装置として定着ベルト1の内部に配置されたハロゲンヒーター8などの発熱源が使用されてもよい。
図1および図2の例では、定着パッド6が使用されているが、定着パッド6の代わりに定着ベルト1の内部に回転可能な定着ロールが配置されてもよい。
図3に示すように、定着ベルト1は、基材11、摺動層12、プライマー層13、ゴム層14、接着層15、および表層16を有する。
基材11は金属製の円筒である。基材11の材料は、例えば、ニッケル、ステンレス鋼でもよいし、ニッケルの層とニッケルの層の間に銅の層が挟まれて、基材11が構成されていてもよい。基材11は、定着ベルト1の剛性を確保し、定着ベルト1の熱伝導性を高める。
摺動層12は、基材11の内周に被覆された一様な厚さの層である。摺動層12は、定着パッド6またはその他の定着器の部品と摺動可能に接触する。摺動層12は、摩擦係数が小さい材料、例えば、フッ素樹脂から形成されている。好ましいフッ素樹脂は、例えば、PTFE、PFA、FEP、またはETFEである。
プライマー層13は、基材11の外周に被覆された一様な厚さの層である。プライマー層13は、摺動層12とゴム層14を接着する役割を有する。プライマー層13の材料は、ゴム層14の材料に依存して異なりうる。
ゴム層14は、プライマー層13の外周に被覆された一様な厚さの層である。ゴム層14は、定着ベルト1において最も厚い層であり、ゴム層14によって、トナーTの定着に有用な適切な弾性を定着ベルト1は有する。ゴム層14は、例えばシリコーンゴムから形成されている。ゴム層14がシリコーンゴム製である場合、プライマー層13はシリコーン系の接着剤(シリコーンゴム系の接着剤またはシリコーン樹脂系の接着剤)から形成されることが好ましい。
接着層15は、ゴム層14の外周に被覆された一様な厚さの層である。接着層15は、ゴム層14と表層16を接着する役割を有する。接着層15は、内側の第1の接着層15aと外側の第2の接着層15bを有する。第1の接着層15aは、一様な厚さを有し、ゴム層14に接触し、第2の接着層15bは、一様な厚さを有し、表層16に接触する。第1の接着層15aは、フッ素樹脂系の接着剤から形成される。第2の接着層15bは、イオン導電材を含有するシリコーンゴム系の接着剤から形成される。第2の接着層15bは第1の接着層15aよりも大きい厚さを有する。
表層16は、接着層15の外周に被覆された一様な厚さの層である。表層16は、シートSに定着したトナーTから定着ベルト1が離れやすくする。表層16は、トナーTから離れやすい合成樹脂材料から形成されている。表層16の材料は、好ましくは、フッ素樹脂である。好ましいフッ素樹脂は、例えば、PFA、PTFE、FEP、またはETFEである。
但し、上記の層の間に他の層が介在していてもよい。
以下、定着ベルト1の製造方法を説明する。
まず、図4に示すように、円筒形の金属筒11Aを準備する。金属筒11Aは、完成品の定着ベルト1において基材11に相当するが、完成品の定着ベルト1の数倍の長さを有する。金属筒11Aは、例えば電鋳によって製造することができる。
次に、図4に示すように、金属筒11Aを軸線周りに回転させ、金属筒11Aの内部にスプレイノズル20を挿入し、スプレイノズル20を移動させながら、スプレイノズル20に管21で摺動層12の材料を供給し、スプレイノズル20から摺動層12の材料を噴射させる。この後、加熱して材料を硬化させることにより、摺動層12を形成する。
次に、図5に示すように、金属筒11Aを軸線周りに回転させ、スプレイノズル23を移動させながら、金属筒11Aの外周面にスプレイノズル23によってプライマー層13の材料13mを噴射させる。この後、加熱して材料13mを乾燥させることにより、プライマー層13を形成する。
次に、図6に示すように、金属筒11Aを軸線周りに回転させ、ゴム供給装置24でゴム層14の材料14mをプライマー層13の外周面に供給しながら、先端が直線状のブレード25でゴム層14の材料14mを平滑に(すなわち一様な厚さを持つように)均す。このようにして、プライマー層13の表面をゴム層14の材料でコートする。この後、加熱して材料14mを硬化させることにより、ゴム層14を形成する。
次に、図7に示すように、金属筒11Aを軸線周りに回転させ、スプレイノズル26を移動させながら、ゴム層14の外周面にスプレイノズル26によって第1の接着層15aの材料15amを噴射させる。この後、加熱して材料15amを乾燥させることにより、第1の接着層15aを形成する。
次に、図8に示すように、第1の接着層15aの周囲に第2の接着層15bの材料15bmをコートし、金属筒11Aをリング27に挿入する。リング27を金属筒11Aの軸線方向に沿って移動させることにより、リング27の内周面で材料15bmを平滑に(すなわち一様な厚さを持つように)均す。
次に、図9に示すように、第2の接着層15bの材料15bmの周囲にチューブ16Aを配置する。すなわち金属筒11Aをチューブ16Aに挿入する。チューブ16Aは、完成品の定着ベルト1において表層16に相当するが、完成品の定着ベルト1の数倍の長さを有する。
次に、図10に示すように、チューブ16Aとともに金属筒11Aをリング28に挿入する。リング28を金属筒11Aの軸線方向に沿って移動させることにより、リング28の内周面でチューブ16Aを径方向内側に押圧し、接着層15の材料とチューブ16Aの密着性を高める。図9、図10および図11においては、チューブ16Aのみを断面として示す。この後、加熱して接着層15の材料15am,15bmを硬化させることにより、接着層15を形成すると同時に、接着層15とチューブ16Aを固定する。
このようにして図11に示す長尺の円筒1Aが得られる。そして、図11に示すように、円筒1Aを軸線方向に対して垂直な方向に切断することにより、完成品の定着ベルト1が得られる。
出願人は、定着ベルト1のいくつかの層の材料が異なるサンプルを製造し、これらのサンプルの電気的特性を測定し、さらに各サンプルが静電オフセットを有効に抑制するか否かを調査した。サンプルの詳細を図12に示す。
各サンプルについて、基材11と摺動層12とプライマー層13とゴム層14は共通である。具体的には、基材11は、電鋳で製造されたニッケル製のシームレスな円筒であって、直径は40mm、厚さは40μmであった。摺動層12は、PTFEから形成され、厚さは12μmであった。
プライマー層13は、非導電性シリコーンゴム系の接着剤であるデュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル株式会社(日本国東京)製の「DY 39-042」から製造した。上記のように、プライマー層13の材料13mはスプレイノズル20で金属筒11Aにコートされ、150℃で1分間、加熱して材料13mを乾燥させることにより、プライマー層13を形成した。プライマー層13の厚さは2μmであった。
ゴム層14は、非導電性シリコーンゴムである信越化学工業株式会社(日本国東京)製の「X-34-2008-2」から製造した。上記のように、ゴム層14の材料14mは、ブレード25で平滑化され、150℃で加熱することにより硬化された。ゴム層14の厚さは285μmであった。
定着ベルト1において、基材11以外の層は、特に導電体であると明記していない限り、基本的に誘電体から形成されている。定着ベルト1における基材11と表層16の表面の間の静電容量は、定着ベルト1の帯電しやすさを表す指標であると考えることができ、基材11と表層16の表面の間の誘電体の厚さが大きいほど、静電容量は小さい。そして、静電容量が小さいほど、トナーTに近接する表層16の表面での帯電が抑制され、静電オフセットを抑制することができると出願人は考えた。
サンプル1~3について、第1の接着層15aは、電気抵抗が小さい非導電性フッ素樹脂系の接着剤であるケマーズ社(米国、デラウェア州)製の「PJ-CL990」から厚さ2μmに製造した。第1の接着層15aの材料15amはディスパージョンの状態であるが、硬化した第1の接着層15aは、高純度のフッ素を含有すると考えられる。定着ベルト1における基材11と表層16の表面の間に、電気陰性度が高い(電子を引き付ける力が強い)フッ素が存在することにより、トナーTに近接する表層16の表面での帯電が抑制され、静電オフセットを抑制することができると出願人は考えた。フッ素の電気陰性度は、あらゆる原子の中で最大の3.98であり、これに対して、シリコーンゴムの主成分であるシリコンの電気陰性度は1.90である。比較のため、サンプル4では、第1の接着層15aを設けなかった。
また、定着ベルト1の厚さ方向での電気抵抗が静電オフセットに関係すると出願人は考えた。静電オフセットは、定着ベルト1に与えられた電界の除去の後に表層16が高い分極状態から低い分極状態(誘電緩和状態)に迅速に変化することにより、抑制されると考えられる。つまり、誘電緩和時間τが小さいことが望ましい。竹内学,「トナーの帯電に及ぼす雰囲気の影響」,日本画像学会誌39巻3号,2000年,p.270-277によれば、誘電緩和時間τは、下式によって計算することができる。
τ=CR (式1)
ここでCは定着ベルト1の厚さ方向での静電容量であり、Rは定着ベルト1の厚さ方向での電気抵抗である。
静電容量Cは下式によって計算することができる。
C=εS/d (式2)
ここでεは定着ベルト1の複素誘電率の虚部であり、Sは面積であり、dは厚さである。
式1から静電容量Cおよび/または電気抵抗Rが小さいことが望ましい。図13は、層の材料の電気的特性を示す(これらの電気的特性の測定方法は後述する)。電気抵抗が小さい非導電性フッ素樹脂系の接着剤(「PJ-CL990」)を第1の接着層15aに使用することにより、誘電緩和時間τを短縮し、表層16の電位の減少を促進して静電オフセットを抑制することができると出願人は考えた。したがって、接着層15がフッ素樹脂を含むサンプル1~3では、静電オフセットを抑制することができると出願人は予想した。
一方、第1の接着層15aの外側に配置された第2の接着層15bは、非導電性シリコーンゴム系の接着剤である信越化学工業株式会社製の「KE-1880」から製造した。但し、サンプル1,2では、「KE-1880」にイオン導電材を添加し、サンプル3,4では、「KE-1880」にイオン導電材を添加しなかった。第2の接着層15bの厚さは15μmであった。
イオン導電材としては、下記の化学式で表されるホスホニウム系のイオン導電材である、東京化成工業株式会社(日本国東京)製の「T-2680」を使用した。
Figure 0007208442000001
定着ベルト1の表層16に近い第2の接着層15bがイオン導電材を含有することで、接着層15内で電荷が移動しやくなり、定着ベルト1の表層16の表面の電荷が接着層15を通じて逃げやすくなる。トナーTに近接する表層16の表面の電荷が移動しやすければ、静電オフセットを抑制することができると出願人は考えた。したがって、サンプル1,2では、サンプル3,4に比べて、静電オフセットを抑制することができると出願人は考えた。サンプル1では、イオン導電材を0.5phr(per hundred rubber)添加し、サンプル2では、イオン導電材を1.5phr添加した。
各サンプルについて、表層16は、厚さが30μmのPFA製のチューブから製造した。具体的には、表層16としては、三井・ケマーズ フロロプロダクツ株式会社製の「PFA 451HP-J」からグンゼ株式会社が製造した絶縁性PFAチューブを用いた。
以上の通り、サンプル1~4は、異なる構造の接着層15を有する。
各サンプルについて、図14に示す方式で、定着ベルト1の厚さ方向での電気抵抗R(Ω)および静電容量C(pF)を測定した。上記の通り、静電容量は、定着ベルト1の帯電しやすさを表す指標である。この方式は、二端子測定法であり、2つの電極28,29を定着ベルト1の内周面(摺動層12の表面)と外周面(表層16の表面)にそれぞれ接触させ、LCRメータ30で電気抵抗と静電容量を測定した。使用したLCRメータ30は、日置電機株式会社(日本国長野)製の「3522-50」であった。測定に使用された周波数は1kHzであった。
電気抵抗R(Ω)および静電容量C(pF)を図12に示す。図12において、Eとその後の数字は10のべき乗を示す。例えば、「3.24E+08」は、3.24×10を示す。
さらに、汎用的考察のため、測定された静電容量を電極28,29の面積A(定着ベルト1への接触面積、4.524cm)で除算し、定着ベルト1の厚さ方向での単位面積あたりの静電容量C/Aを計算した。定着ベルト1の厚さ方向での単位面積あたりの静電容量C/A(pF/cm)を図12に示す。
図13に示す層の材料の電気抵抗Rは、これらの材料から膜をそれぞれ別個に製造し、これらの膜の電気抵抗を上記と同様の方式で測定することによって得た。測定に使用した膜の厚さを図13に示す。図13に示す層の材料の複素誘電率の虚部εは、これらの膜の静電容量Cを上記と同様の方式で測定した後、式2に従って、計算した(この場合、Sは電極28,29の面積であり、dは膜の厚さである)。
また、各サンプルについて、図15に示す方式で、表層16での電荷減衰量ΔV(V)を測定した。この測定では、23℃、55%(相対湿度)の環境下で、定着ベルト1に帯電ロール31を接触させ、定着ベルト1を60rpmで回転させ、直流電源32から帯電ロール31を介して定着ベルト1に電荷を供給した。帯電ロール31の抵抗値は、5×10Ωであった。直流電源32は、トレック社(米国、ニューヨーク州)製の「610C」であった。
定着ベルト1の外周面(表層16の表面)には、表面電位計33のプローブ34を近接させ、表面電位を測定した。定着ベルト1におけるプローブ34の近接位置は、帯電ロール31が定着ベルト1に接触する位置から90度離れている。表面電位計33は、モンローエレクトロニクス社(米国、ニューヨーク州)製の「Model 244A」であり、プローブは「Model 244A」に付属の標準プローブ「1017A」であった。
以上の条件の下、表面電位計33で表層16の表面電位を監視し、表層の表面が-1kVに帯電された状態を60秒間維持した。その後、帯電ロール31を定着ベルト1から離間させることにより、帯電を終了した。帯電終了から120秒経過後、表層16の表面の電荷減衰量ΔV(V)を測定した。電荷減衰量ΔVは、定着ベルト1の帯電しにくさを表す指標である。電荷減衰量ΔVを図12に示す。また、汎用的考察のため、電荷減衰量ΔVを定着ベルト1の厚さt(図3および図14参照)で除算した値(厚さあたりの電荷減衰量)ΔV/tを計算した。値ΔV/t(V/μm)も図12に示す。
さらに、汎用的考察のため、値ΔV/tに対する、定着ベルト1の厚さ方向での単位面積あたりの静電容量C/Aの比Ct/ΔVを計算した。比Ct/ΔV(F/Vμm)も図12に示す。
また、式1に従って、定着ベルト1の厚さ方向での静電容量Cと定着ベルト1の厚さ方向での電気抵抗Rの積である誘電緩和時間τを計算した。誘電緩和時間τ(msec)も図12に示す。誘電緩和時間τの単位msecは単位mF・Ωに置換可能である。
また、各サンプルを画像形成装置に装着し、各サンプルの静電オフセット抑制効果を評価した。使用した画像形成装置は、京セラドキュメントソリューションズ株式会社(日本国大阪)製の「TASKalfa 5550ci」である。この評価においては、紙のシートに白ベタ画像を印刷し、白ベタ画像におけるカブリ(印刷されるべきでない箇所に印刷されること)の有無を判断するため、色彩色差計(chroma meter、コニカミノルタ株式会社(日本国東京)製「CR-400」)を用いて、画像内7箇所についてL*値(L* value、明度)を測定した。L*値が95.5以上であれば、カブリ(fog)が発生していない(静電オフセット抑制効果が良好である)と評価した。L*値が95.5未満であれば、カブリが発生した(静電オフセット抑制効果が不良である)と評価した。評価は、1枚のシートへの印刷の後、50枚のシートへの印刷の後、100枚のシートへの印刷の後に行った。
評価結果を図12に示す。第1の接着層15aにフッ素を含み、第2の接着層15bにシリコーンゴムとイオン導電材を含むサンプル1,2については、静電オフセット抑制効果が良好であった。他方、第2の接着層15bにイオン導電材を含まないサンプル3については、静電オフセット抑制効果が不良であった。また、フッ素樹脂系の接着剤を第1の接着層15aに含まないサンプル4については、静電オフセット抑制効果が不良であった。
一般に、誘電緩和時間τは小さいほど、表層16の電位の減少を促進して静電オフセットを抑制することができると考えられる。サンプル1,2の結果から、誘電緩和時間τは10msec以下であることが好ましい。しかし、誘電緩和時間τが最小であるサンプル3では、静電オフセット抑制効果が不良であった。
また、一般に、電荷減衰量ΔVは、定着ベルト1の帯電しにくさを表す指標であり、電荷減衰量ΔVが大ならば、定着ベルト1が帯電しにくく、静電オフセットを抑制することができると考えられる。しかし、図12の評価結果からは、電荷減衰量ΔVが大であればよいとは限らない。
出願人は、厚さあたりの電荷減衰量ΔV/tに対する単位面積あたりの静電容量C/Aの比Ct/ΔVに着目し、静電オフセット抑制効果は、誘電緩和時間τ、電荷減衰量ΔVだけでなく、比Ct/ΔVに依存すると考える。図12の結果から、電荷減衰量ΔVを定着装置1の厚さtで除算した値ΔV/tに対する、定着装置1の厚さ方向での単位面積あたりの静電容量C/Aの比Ct/ΔVが1.04×10-18F/Vμm以上であることが好ましい。
したがって、表層の表面が-1kVに帯電されて帯電終了時点から120秒経過後の電荷減衰量ΔVが1V以上、30V以下であり、誘電緩和時間τが10msec以下である定着ベルト1については、比Ct/ΔVが1.04×10-18F/Vμm以上であることが好ましい。
以上、本発明の好ましい実施形態を参照しながら本発明を図示して説明したが、当業者にとって特許請求の範囲に記載された発明の範囲から逸脱することなく、形式および詳細の変更が可能であることが理解されるであろう。このような変更、改変および修正は本発明の範囲に包含されるはずである。
例えば、摺動層12は必ずしも不可欠ではない。
1 定着ベルト(定着装置)
11 基材
12 摺動層
13 プライマー層
14 ゴム層
15 接着層
15a 第1の接着層
15b 第2の接着層
16 表層

Claims (2)

  1. プラスに帯電されたトナー像が形成されたシートに回転しながら接触して、前記トナー像を前記シートに定着させる、筒状の定着装置であって、
    金属製の筒状の基材と、
    前記基材の外周に被覆されたゴム層と、
    前記ゴム層の外周に被覆された接着層と、
    前記接着層の外周に被覆された樹脂製の表層と
    を有し、
    前記接着層は、前記ゴム層に接触する第1の接着層と、前記第1の接着層と前記表層の間に介在する第2の接着層を有し、
    前記第1の接着層は、フッ素樹脂系の接着剤から形成され、前記第2の接着層は、イオン導電材を含有するシリコーンゴム系の接着剤から形成されている
    ことを特徴とする定着装置。
  2. 前記表層の表面が-1kVに帯電されて帯電終了時点から120秒経過後の電荷減衰量ΔVが30V以下であり、
    定着装置の誘電緩和時間τが10msec以下であり、
    前記電荷減衰量ΔVを前記定着装置の厚さtで除算した値ΔV/tに対する、前記定着装置の厚さ方向での単位面積あたりの静電容量C/Aの比Ct/ΔVが1.04×10-18F/Vμm以上である
    ことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
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