JP7206918B2 - 離型フィルム - Google Patents
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Description
この点、シリコーンは、シロキサン骨格が有する柔軟性と、メチル基置換による低表面エネルギーとにより、小さな力で剥離することができる性質(「軽剥離性」とも称する)に優れている材料である。そのため、光学部材、例えば液晶ディスプレイなどを構成する部材を貼り合わせる粘着剤を保護するための離型フィルムとして、シリコーンを主成分樹脂として含有する離型層を備えた離型フィルムが注目されている。
その一方で、剥離されるまでの工程では、十分な保持力を持って粘着層と密着していることが求められる。例えば偏光板を裁断する際や打ち抜き加工する際、保管時の温湿度の変化による素材の伸縮度の違いなどによってメクレや浮きが生じやすい。よって、保持力と関係している低速で剥離する環境下において、小さな力では剥離しない剥離性すなわち“重剥離性”が求められることになる。
他方、溶剤型硬化型シリコーン、すなわち比較的高分子量のシリコーンは、PETフィルムの様なプラスチック基材への密着性が高く、低速剥離時の重剥離性に優れており、コート外観(ムラ)も良い反面、粘度が高いために、膜厚を高くすることが難しいため、軽剥離性には劣るという性質を有している。
前記特許文献3記載の発明は、無溶剤型硬化型シリコーンと溶剤型硬化型シリコーンを併用して、両者の短所を、それぞれの長所で補うことによって、高速での剥離時の軽剥離性と、低速での剥離時の重剥離性とを両立させている。
前記硬化型シリコーン(B)は、3官能メチルシロキサンユニット(「T単位構造」とも称する)を有し、且つ、該硬化型シリコーン(B)が有するポリシロキサン鎖におけるT単位構造の含有割合がシロキサン単位で3モル%以上であることを特徴とする、離型フィルムを提案する。
よって、本発明が提案する離型フィルムは、光学部材の粘着剤層保護用として、高速剥離時に貼り合せている光学部材に及ぼす応力負荷の増加を嫌がる用途、例えば、粘着剤層付き偏光板などに好適である。
本発明の実施形態の一例に係る離型フィルム(「本離型フィルム」と称する)は、基材としてのポリエステルフィルム(「本ポリエステルフィルム」と称する)の片面側又は両面側に離型層(「本離型層」と称する)を備えた離型フィルムであり、当該離型層を形成する組成物は、硬化型シリコーン(A)特に溶剤型硬化型シリコーンと、硬化型シリコーン(B)特に無溶剤型硬化型シリコーンとを含有するものである。
本ポリエステルフィルムは、本離型フィルムの基材としての役割を果たすものである。
本ポリエステルフィルムは単層でも、性質の異なる2以上の層を有する多層フィルム(積層フィルム)でもよい。
また、本ポリエステルフィルムは、無延伸フィルム(シート)であっても、延伸フィルムであってもよい。中でも、一軸方向又は二軸方向に延伸された延伸フィルムであるのが好ましい。その中でも、力学特性のバランスや平面性の観点で、二軸延伸フィルムであるのがより好ましい。
本ポリエステルフィルムの主成分樹脂であるポリエステルは、ホモポリエステルであっても、共重合ポリエステルであってもよい。
なお、主成分樹脂とは、本ポリエステルフィルムを構成する樹脂の中で最も質量割合の大きい樹脂の意味であり、本ポリエステルフィルムを構成する樹脂の50質量%以上、或いは75質量%以上、或いは90質量%以上、或いは100質量%を占める場合が想定される。
前記芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などを挙げることができ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。
代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等を例示することができる。
共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、例えばイソフタル酸、フタル酸テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸等の一種または二種以上を挙げることができる。
共重合ポリエステルのグリコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上を挙げることができる。
本ポリエステルフィルムは、易滑性付与を主たる目的として、粒子を含有してもよい。
粒子の種類は易滑性付与可能な粒子であれば、特に限定されるものではない。例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子を挙げることができる。また、特公昭59-5216号公報、特開昭59-217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等を挙げることができる。さらにポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等の何れを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
本ポリエステルフィルムは、必要に応じて、さらに他の添加剤を含有することも可能である。例えば酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を含有することができる。
本ポリエステルフィルムの厚みは、コスト的にはより薄膜であるのが好ましい一方、薄すぎると、加工時の熱処理によるしわ等により、フィルム平面性が損なわれる可能性があるばかりか、保護フィルムとしての機能が十分でなくなる恐れもある。そこで、本ポリエステルフィルムの厚みは12~125μmであるのが好ましく、中でも25μm以上或いは75μm以下であるのがさらに好ましい。
本離型層は、硬化型シリコーン(A)特に溶剤型硬化型シリコーンと、硬化型シリコーン(B)特に無溶剤型硬化型シリコーンと、を含有するシリコーン組成物(「本シリコーン組成物」と称する)から形成することができる。
無溶剤型硬化型シリコーンとは、溶剤に希釈せずとも塗工できる粘度のシリコーンで、短いポリシロキサン鎖よりなっており、比較的低分子量のシリコーンである。
無溶剤型硬化型シリコーンの分子量は、数平均分子量が3万以下であるのが好ましく、中でも15000以下、その中でも10000以下であるのがさらに好ましい。その下限は、好ましくは3000以上、さらに好ましくは5000以上であるのがよい。
このような硬化型シリコーン(B)(無溶剤型硬化型シリコーン)を使用して、硬化型シリコーン(A)(溶剤型硬化型シリコーン)と組み合わせて離型層を形成すると、硬化型シリコーン(B)(無溶剤型硬化型シリコーン)の配合量が比較的少なくても、低分子量の硬化型シリコーン(無溶剤型硬化型シリコーン)の特性、例えば高速剥離時の軽剥離性を離型フィルムの表面に十分に与えることができる。そして、無溶剤型硬化型シリコーンの配合量が比較的少ない分、硬化型シリコーン(A)(溶剤型硬化型シリコーン)の配合量を多くすることができるから、溶剤型硬化型シリコーンの特性、例えばプラスチック基材への密着性や、コート外観(ムラ)を良好にする特性を離型フィルムにより一層付与することができる。
これは、ポリシロキサン鎖におけるT単位の含有割合が3モル%以上である硬化型シリコーン(B)(無溶剤型硬化型シリコーン)を使用すると、当該無溶剤型硬化型シリコーンが、溶剤型硬化型シリコーンとは相溶せずに離型層の表面側に移行するため、当該無溶剤型硬化型シリコーンの特性が離型層表面に影響するためであると考えることができる。
かかる観点から、前記無溶剤型硬化型シリコーンは、ポリシロキサン鎖におけるT単位の含有割合がシロキサン単位で3モル%以上であるのが好ましく、中でも5モル%以上或いは12モル%以下、その中でも7モル%以上或いは10モル%以下であるのがさらに好ましい。
かかる観点から、硬化型シリコーン(B)と硬化型シリコーン(A)の数平均分子量は、両者の差((B)-(A))が2万以上であるのが好ましく、中でも7万以上、その中でも10万以上、その中でも17万以上であるのがさらに好ましい。その上限に関しては、50万以下が好ましく、中でも40万以下であるのがさらに好ましい。
かかる観点から、硬化型シリコーン(B)の25℃での粘度は1000mPa・s以下であるのが好ましく、中でも500mPa・s以下、その中でも300mPa・s以下であるのさらに好ましい。但し、無溶剤型硬化型シリコーンの当該粘度の下限値は、ポリエステルフィルムに対する塗布性を良好とする観点から、50mPa・s以上であるのが好ましく、中でも100mPa・s以上であるのがさらに好ましい。
溶剤型硬化型シリコーンとは、溶剤に希釈しなければ塗工できない粘度の高い粘度を有するシリコーンで、比較的高い分子量からなるシリコーンである。
溶剤型硬化型シリコーンの分子量は、数平均分子量が5万以上であるのが好ましく、中でも10万以上、その中でも20万以上であるのがさらに好ましい。
溶剤型硬化型シリコーンの粘度は、30%トルエン溶液とした時の25℃での粘度が1000mPa・s以上であるのが好ましく、中でも5000mPa・s以上、その中でも8000mPa・s以上であるのがさらに好ましい。
本シリコーン組成物における溶剤型硬化型シリコーンと無溶剤型硬化型シリコーンとの混合割合、すなわち離型層における溶剤型硬化型シリコーンと無溶剤型硬化型シリコーンとの混合割合は、モル比(溶剤型/無溶剤型)10/90~95/5の間で調整可能である。ここで、モル比の値は、各々の数平均分子量から算出することとする。
本シリコーン組成物は、上記溶剤型硬化型シリコーン及び上記無溶剤型硬化型シリコーン以外に、必要に応じて、反応性重剥離調整剤、白金含有触媒などの硬化反応触媒、希釈溶剤、その他の添加剤を添加することができる。
反応性重剥離調整剤の化学構造は、例えば、反応基としてビニル基を有し、一般にMQレジン、MDQレジンと呼ばれるものが好ましい。
本離型層は、本シリコーン組成物を硬化させて形成するものであるから、数平均分子量5万以上の硬化型シリコーン(A)と、数平均分子量3万以下の硬化型シリコーン(B)を含有するものである。
当該硬化型シリコーン(B)は、T単位構造すなわち3官能メチルシロキサンユニットの含有割合が、シロキサン単位で3モル%以上である硬化型シリコーンであるのが好ましい。
本離型フィルムは、ポリエステルフィルムの片面側又は両面側に離型層を備えていればよいから、ポリエステルフィルムと離型層との間に他の層が介在してもよいし、離型層の表面側に他の層を備えていてもよい。
この際、帯電防止層、オリゴマー封止層を積層すると、シリコーンの硬化を促進する触媒が失活し易くなるため、シリコーンの硬化が阻害され易いことが知られている。しかし、上述のように、無溶剤型硬化型シリコーンとして、ポリシロキサン鎖における3官能メチルシロキサンユニットの含有割合がシロキサン単位で3モル%以上である無溶剤型硬化型シリコーンを使用することによって、硬化阻害を防止することができる。
電子導電性有機化合物としては、例えばポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリイソチアナフテン、及びポリチオフェン等が挙げられる。これらの中でポリチオフェン、すなわち、チオフェン若しくはチオフェン誘導体を単独又は共重合して得られる重合体などを挙げることができる。
また、帯電防止層は、上記(C)成分のほかに、(D)成分として、ポリアルキレンオキサイド(d1)、グリセリン(d2)、ポリグリセリン(d3)、及びグリセリン又はポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物(d4)の群から選ばれる1種以上の化合物又はその誘導体を含有していると、より好ましい。
(D)成分として、(d1)~(d4)の任意の混合物を用いてもよい。
なお、成分(D)は、帯電防止の性能自体はほとんど有しない化合物であり、成分(C)と併用することで、第一下引きの外観及び経時的な帯電防止性能の劣化抑制効果を向上させる傾向がある。
成分(E)は、帯電防止の性能自体はほとんど有しない化合物であり、成分(C)又は成分(D)と併用することで、離型層に対する帯電防止層の接着性を向上させる傾向がある。
また、塗布前に基材としての本ポリエステルフィルムに化学処理やコロナ放電処理、プラズマ処理等を施してもよい。
また、上記オリゴマー封止層は、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、有機系高分子粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤発泡剤、染料等が含有されてもよい。
インラインコーティングは、ポリエステルフィルム製造の工程内でコーティングを行う方法であり、具体的には、ポリエステルを溶融押出ししてから二軸延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。通常は、溶融・急冷して得られる実質的に非晶状態の未延伸シート、その後に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルムの何れかにコーティングする方法である。
本離型フィルムは、本ポリエステルフィルムの片面側又は両面側に、必要に応じて、帯電防止層やオリゴマー封止層などのアンカー層を形成した後、上記シリコーン組成物を塗布し、硬化することにより本離型層を形成して、製造することができる。
本離型フィルムは、アクリル系粘着テープ(日東電工社製、No.31B)を本剥離層に貼り付けて室温にて1時間放置後、引張速度0.3m/minの条件下で測定される180°剥離力を15mN/cm以下とすることができる。
本離型フィルムは、このように低速剥離時の軽剥離性を得ることができる。
本離型フィルムは、このように高速剥離時の軽剥離性を得ることができる。
本離型フィルムは、高速剥離時の軽剥離性と、低速剥離時の軽剥離性とを兼ね備えているほか、プラスチック基材への密着性や、コート外観(ムラ)を優れたものとすることができる。
よって、本離型フィルムは、液晶テレビ、コンピューターディスプレイ、携帯電話やデジタルカメラなどの画像表示装置として利用されている液晶表示装置の製造において好適に使用することができる。
具体的な一例を挙げるならば、本離型フィルムの本離型層上に粘着剤層を積層して粘着剤層付き離型フィルムを作製しておき、当該粘着剤層を偏光板に貼付して粘着剤層付偏光板を製造した後、液晶セルと貼り合せる際に、前記基材フィルムを剥離して粘着剤層と液晶セルのガラス基板を貼付して製造することができる。
なお、粘着層付き離型フィルム(B)の離型フィルムは、本離型フィルムとは異なり、0.3m/minの剥離速度による剥離力が本離型フィルムの2倍から10倍程度のものが好ましい。
一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、その厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいい、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JISK6900)。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
本実施例で用いた測定法および評価方法を次のとおりである。
試料フィルムの離型面に粘着テープ(日東電工(株)製「No.31B」)を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力は(株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」を使用し、引張速度0.3(m/min)の条件下、180°剥離を行った。
試料フィルムの離型面に粘着テープ(Tesa製「No.7475」)を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力はテスター産業(株)製高速剥離試験機「TE-702型」を使用し、試料フィルムの離型面が上面になるように固定し、貼り合わせているTesa製「No.7475」粘着テープ側を剥離する方法にて剥離速度30(m/min)にて180°剥離を行った。
試料フィルムの離型面に粘着テープ(Tesa製「No.7475」)を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、熱風式オーブンにて、100℃、1時間熱処理した。その後、サンプルを取り出し、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。
剥離力は(株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」を使用し、引張速度0.3(m/min)の条件下、180°剥離を行った。加熱剥離力の値が低い方が良好である。
試料フィルムを、A4サイズ(210mm×297mm)の大きさに切り取り、その離型面に、75μm厚の2軸延伸PETフィルム(三菱ケミカル株式会社製:ダイアホイルT100-75)を重ねて、温度60℃、圧力1MPaの条件で2時間プレスした。そして、前記「75μm厚の2軸延伸PETフィルム」を移行性評価フィルムとした。
他方、離型層を設けていない未処理のPETフィルムに、上記と同じ「75μm厚の2軸延伸PETフィルム」を重ねて上記と同条件でプレスし、該「75μm厚の2軸延伸PETフィルム」を基準フィルムとした。
前記移行性評価フィルム及び前記基準フィルムに、粘着テープ(日東電工(株)製「No.31B」)を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。
剥離力は(株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」を使用し、引張速度0.3(m/min)の条件下、180°剥離を行った。
そして、測定した移行性評価フィルムの剥離力及び基準フィルムの剥離力を次の式に代入して移行性評価接着率(%)を求めた。
移行性評価接着率(%)=(移行性評価フィルムの剥離力/基準フィルムの剥離力)×100
恒温恒湿槽内において、試料フィルムを60℃、80%RH雰囲気下、4週間放置した後、試料フィルムを取り出した。その後、試料フィルムの離型面を触手により5回擦り、離型層の脱落程度を以下の評価基準によって評価を行った。
《評価基準》
A(very good):塗膜の脱落が見られなかった。
B(good) :塗膜が白くなるが脱落はしていなかった。
C(poor) :塗膜の脱落が確認された
試料フィルムの離型面を蛍光灯下、目視で観察し、コート外観を以下の評価基準によって評価を行った。
《評価基準》
A(very good):コートムラがみられなかった。
B(good) :一部にコートムラが確認された。
C(poor) :全面にコートムラが確認された。
38μm厚の2軸延伸PETフィルム(三菱ケミカル株式会社製:ダイアホイルT100-38)に、下記組成からなる帯電防止層形成組成物を、塗布量(乾燥後)が0.03(g/m2)になるように塗布して乾燥させた後、次いでその上に、下記組成からなるオリゴマー阻止層形成組成物を、塗布量(乾燥後)が0.05(g/m2)になるように塗布して乾燥させた後、次いでその上に、下記組成からなるシリコーン組成物を、塗布量(乾燥後)が0.31(g/m2)になるように塗布し、150℃、10秒間熱処理して離型層を形成して、2軸延伸PETフィルム/帯電防止層/オリゴマー阻止層/離型層からなる離型フィルムを得た。
次の材料(C1)、(D1)及び(E1)を、質量比がC1/D1/E1=40/20/40(質量%)となるように混合して帯電防止層形成組成物を作製した。
(D1):下式で、n=2であるグリセリン
テレフタル酸を664質量部、イソフタル酸を631質量部、1,4-ブタンジオールを472質量部、ネオペンチルグリコールを447質量部からなるポリエステルポリオールを得た。次いで、得られたポリエステルポリオールに、アジピン酸を321質量部、ジメチロールプロピオン酸を268質量部加え、ペンダントカルボキシル基含有ポリエステルポリオールAを得た。更に、前記ポリエステルポリオールAを1880質量部に、ヘキサメチレンジイソシアネートを160質量部加えてポリウレタン塗布剤組成物を得た。
次の材料(F1)及び(F2)を、質量比が(F1)/(F2)=33/67(質量%)となるように混合し、固形分濃度4質量%となるように、トルエン/MEK混合溶媒(混合比率は1:4)にて希釈して、塗布液としてのオリゴマー封止層形成組成物を作製した。
アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)
(F2):有機珪素化合物
2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
硬化型シリーン(A)すなわち溶剤型硬化型シリコーンA1(30%トルエン溶液での25℃での粘度10000mPa・s、数平均分子量32万、不揮発分30%)92質量部と、白金含有触媒(東レ・ダウコーニング(株)製:SRX212)1質量部と、硬化型シリーン(B)すなわち無溶剤型硬化型シリコーンB1(ポリシロキサン鎖におけるT単位の含有割合3モル%、M単位の含有割合1モル%、D単位の含有割合91モル%、SiH単位の含有割合3モル%、SiVi単位の含有割合2モル%、数平均分子量5千、不揮発分100%、25℃での粘度270mPa・s)7質量部と、を混合し、固形分濃度5質量%となるように、トルエン/MEK/イソオクタンの混合溶媒(混合比率は1:1:1)にて希釈し、塗布液としてのシリコーン組成物を作製した。
なお、上記で言う「SiVi単位」とは、Si元素にビニル基が直接結合した構造単位のことを指す。
実施例1において、シリコーン組成物を下記に変更した以外、実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
溶剤型硬化型シリコーンA1を76質量部と、無溶剤型硬化型シリコーンB1を23質量部と、白金含有触媒(東レ・ダウコーニング(株)製:SRX212)1質量部とを混合し、固形分濃度5質量%となるように、トルエン/MEK/イソオクタンの混合溶媒(混合比率は1:1:1)にて希釈し、塗布液としてのシリコーン組成物を作製した。
実施例1において、シリコーン組成物を下記に変更した以外、実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
溶剤型硬化型シリコーンA1を45質量部と、白金含有触媒(東レ・ダウコーニング(株)製:SRX212)2質量部と、無溶剤型硬化型シリコーンB1を53質量部とを混合し、固形分濃度5質量%となるように、トルエン/MEK/イソオクタンの混合溶媒(混合比率は1:1:1)にて希釈し、塗布液としてのシリコーン組成物を作製した。
実施例1において、シリコーン組成物を下記に変更し、塗布量(乾燥後)が0.12(g/m2)になるように塗布した以外、実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
硬化型シリーン(A)すなわち溶剤型硬化型シリコーンA2(30%トルエン溶液での25℃での粘度8000mPa・s、ポリシロキサン鎖におけるSiVi単位の含有割合約8モル%、不揮発分30%、信越化学(株)製:KS-3601)70質量部と、硬化型シリーン(B)すなわち無溶剤型硬化型シリコーンB2(ポリシロキサン鎖におけるSiVi単位の含有割合約5モル%、T単位の含有割合0モル%、不揮発分100%、信越化学(株)製:KNS-3002、25℃での粘度300mPa・s)4.5質量部と、溶剤型反応性剥離調整剤(信越化学(株)製:KS-3800、不揮発分30%)15質量部と、(CH3)3SiO(-SiH(CH3)-O)m-Si(CH3)3で表されるシリコーン(Gelest社製:HMS-991、粘度約20mPa・s)2.4質量部と、白金含有触媒(信越化学(株)製:catPL-50T)1質量部とを混合し、固形分濃度2質量%となるように、トルエン/MEK/イソオクタンの混合溶媒(混合比率は1:1:1)にて希釈し、塗布液としてのシリコーン組成物を作製した。
実施例1において、シリコーン組成物を下記に変更した以外、実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
硬化型シリーン(A)すなわち溶剤型硬化型シリコーンA1を99質量部と、白金含有触媒(東レ・ダウコーニング(株)製:SRX212)1質量部とを混合し、固形分濃度5質量%となるように、トルエン/MEK/イソオクタンの混合溶媒(混合比率は1:1:1)にて希釈し、塗布液としてのシリコーン組成物を作製した。
実施例1において、シリコーン組成物を下記に変更した以外、実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
低分子量の硬化型シリーン(B)すなわち無溶剤型硬化型シリコーンB1を98質量部と、白金含有触媒(東レ・ダウコーニング(株)製:SRX212)2質量部とを混合し、固形分濃度5質量%となるように、トルエン/MEK/イソオクタンの混合溶媒(混合比率は1:1:1)にて希釈し、塗布液としてのシリコーン組成物を作製した。
また、加熱剥離力を、従来レベル(例えば、比較例2)よりもさらに小さくすることが可能となった。このことより、例えば、離型層表面に粘着剤を塗布、乾燥させるような、熱処理を伴う加工工程において、粘着層からの剥離をよりスムーズに行うことができる利点を有する。よって、単純に低速剥離力(剥離速度:0.3m/min)と高速剥離力(剥離速度:30m/min)とを小さくする、いわゆる、剥離力の速度依存性を小さくするだけでは、本発明には想到しないことが分かった。
なお、粘着層付き離型フィルム(B)の離型フィルムは、本離型フィルムとは異なり、0.3m/minの剥離速度による剥離力が本離型フィルムの2倍から10倍程度のものが好ましい。
Claims (6)
- ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に離型層を備えた離型フィルムであり、
当該離型層を形成する組成物が、数平均分子量が5万以上である硬化型シリコーン(A)と、数平均分子量が3000以上3万以下である無溶剤型硬化型シリコーン(B)とを含有し、
前記無溶剤型硬化型シリコーン(B)は、3官能メチルシロキサンユニット(「T単位構造」とも称する)を有し、25℃での粘度が1000mPa・s以下であり、且つ、該無溶剤型硬化型シリコーン(B)が有するポリシロキサン鎖におけるT単位構造の含有割合がシロキサン単位で3モル%以上であり、
硬化型シリコーン(A)と無溶剤型硬化型シリコーン(B)との数平均分子量の差が2万以上であり、
前記離型層中の硬化型シリコーン(A)と無溶剤型硬化型シリコーン(B)の含有量のモル比(A:B)が91:9~40:60であることを特徴とする、離型フィルム。 - ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に、帯電防止層、オリゴマー封止層及び前記離型層を順次積層してなる構成を備えた請求項1に記載の離型フィルム。
- アクリル系粘着テープ(日東電工社製、No.31B)を、前記離型層に貼り付けて室温にて1時間放置後、引張速度0.3m/minの条件下で測定される180°剥離力が15mN/cm以下である請求項1又は2に記載の離型フィルム。
- アクリル系粘着テープ(Tesa製「No.7475」)を、前記離型層に貼り付けて室温にて1時間放置後、引張速度30m/minの条件下で測定される180°剥離力が170mN/cm以下である請求項1~3の何れかに記載の離型フィルム。
- 請求項1~4の何れかに記載の離型フィルムを、粘着層付き離型フィルム(B)の粘着層側に貼り付けた積層体。
- 請求項5記載の積層体から、請求項1~4の何れかに記載の離型フィルムを剥離して、前記粘着層付き離型フィルム(B)を光学部材に貼り付けた後、当該粘着層付き離型フィルム(B)の離型フィルムをその粘着層から剥離し、再度、光学部材に貼り付けられた当該粘着層上に、請求項1~4の何れかに記載の離型フィルムを貼り付けることを特徴とする離型フィルムの使用方法。
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