JP7206918B2 - 離型フィルム - Google Patents

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本発明は、シリコーンを主成分樹脂として含有する離型層を備えた離型フィルムに関する。
液晶テレビ、コンピューターディスプレイ、携帯電話やデジタルカメラなどの画像表示装置として利用されている液晶表示装置の製造方法の一例として、粘着剤層の片面側に離型層を介して基材フィルムを積層してなる離型フィルムを使用して、当該粘着剤層を偏光板に貼付して粘着剤層付偏光板を製造した後、液晶セルと貼り合せる際に、前記離型層を備えた基材フィルム(離型フィルム)を剥離して粘着剤層と液晶セルのガラス基板を貼付して製造する方法を挙げることができる。
近年、ディスプレイの大型化に伴い、偏光板などの光学部材及び離型フィルムの寸法が大きくなり、上述のような液晶表示装置の製造に使用する離型フィルムには、剥離面積が大きくても軽く剥離することができる性質が求められるようになって来ている。
この点、シリコーンは、シロキサン骨格が有する柔軟性と、メチル基置換による低表面エネルギーとにより、小さな力で剥離することができる性質(「軽剥離性」とも称する)に優れている材料である。そのため、光学部材、例えば液晶ディスプレイなどを構成する部材を貼り合わせる粘着剤を保護するための離型フィルムとして、シリコーンを主成分樹脂として含有する離型層を備えた離型フィルムが注目されている。
シリコーンを主成分樹脂として含有する離型層を備えた離型フィルムに関しては、例えば特許文献1において、ヘキセニル基、ビニル基、フェニル基、およびヒドロシリル基を官能基として有する反応性シリコーン樹脂と、質量平均分子量が50000~100000の未反応性シリコーン樹脂と、白金系触媒とを含有する塗布液から形成されたシリコーン系離型層をポリエステルフィルムの片面に有することを特徴とする離型フィルムが提案されている。
また、特許文献2には、ポリエステルフィルムの少なくとも片面にシリコーン離型層を有し、当該離型層を形成する組成物は紫外線硬化型シリコーン樹脂およびオニウム塩を含み、フィルム面内における配向角の変化量、離型層の剥離力及び離型層の塗工量が特定された離型フィルムが提案されている。
近年、偏光板を液晶パネルへ貼り付ける際などにおいて、タクトタイム短縮などのため、離型フィルムの剥離速度の高速化が進められている。高速剥離時に大きな剥離力が必要であると、偏光板から離型フィルムを剥離する際、偏向板固定側の吸引力が負けて、偏向版の位置がずれる不具合が発生する可能性があり、一旦不具合が発生すると、自動化ラインが停止し、生産性の低下を余儀なくされてしまう。
その一方で、剥離されるまでの工程では、十分な保持力を持って粘着層と密着していることが求められる。例えば偏光板を裁断する際や打ち抜き加工する際、保管時の温湿度の変化による素材の伸縮度の違いなどによってメクレや浮きが生じやすい。よって、保持力と関係している低速で剥離する環境下において、小さな力では剥離しない剥離性すなわち“重剥離性”が求められることになる。
このように、高速剥離時の軽剥離性と、低速剥離時の重剥離性とを両立させるべく、特許文献3記載の発明は、剥離時に剥離が軽く、保存時の保持力に優れ、かつ耐大気暴露性や非移行性に優れる離型フィルムとして、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に硬化型シリコーンを主とする塗料を塗工した離型フィルムであり、当該塗料が、溶剤型硬化型シリコーンと無溶剤型硬化型シリコーンと、反応性重剥離調整剤とを主成分として含有し、かつ塗料中のSiH基とビニル基の比が特定範囲である離型フィルムを提案している。
無溶剤型硬化型シリコーン、すなわち比較的低分子量のシリコーンは、高速剥離時の軽剥離性に優れており、また、粘度が低く、無溶剤の状態で塗布できるため、膜厚を容易に高めることができ、離型フィルムを軽剥離性に優れたものとすることできる。しかし、PETフィルムの様なプラスチック基材への密着性が低く、また、コート外観(ムラ)が悪いため、光学用のPET基材離型フィルムへの使用は限られていた。
他方、溶剤型硬化型シリコーン、すなわち比較的高分子量のシリコーンは、PETフィルムの様なプラスチック基材への密着性が高く、低速剥離時の重剥離性に優れており、コート外観(ムラ)も良い反面、粘度が高いために、膜厚を高くすることが難しいため、軽剥離性には劣るという性質を有している。
前記特許文献3記載の発明は、無溶剤型硬化型シリコーンと溶剤型硬化型シリコーンを併用して、両者の短所を、それぞれの長所で補うことによって、高速での剥離時の軽剥離性と、低速での剥離時の重剥離性とを両立させている。
特開2016-188265号公報 特開2018-16077号公報 特開2009-214359号公報
本発明は、無溶剤型硬化型シリコーンと溶剤型硬化型シリコーンを併用する上記の離型フィルムをさらに改良して、無溶剤型硬化型シリコーン及び溶剤型硬化型シリコーンそれぞれの長所をさらに享受することができる、新たな離型フィルムを提供せんとするものである。
本発明は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に離型層を備えた離型フィルムであり、当該離型層を形成する組成物が、数平均分子量が5万以上である硬化型シリコーン(A)と、数平均分子量が3万以下である硬化型シリコーン(B)とを含有し、
前記硬化型シリコーン(B)は、3官能メチルシロキサンユニット(「T単位構造」とも称する)を有し、且つ、該硬化型シリコーン(B)が有するポリシロキサン鎖におけるT単位構造の含有割合がシロキサン単位で3モル%以上であることを特徴とする、離型フィルムを提案する。
本発明が提案する離型フィルムは、硬化型シリコーン(B)、特に無溶剤型硬化型シリコーンの中から、特定の構造を有するものを選択して使用し、硬化型シリコーン(A)、特に溶剤型硬化型シリコーンと組み合わせて離型層を形成することにより、無溶剤型硬化型シリコーン及び溶剤型硬化型シリコーンそれぞれの長所をさらに享受することができる。すなわち、無溶剤型硬化型シリコーンの量が比較的少なくても、無溶剤型硬化型シリコーンの長所、例えば高速剥離時の軽剥離性を十分に得ることができる一方、溶剤型硬化型シリコーンの量を比較的多くすることができるから、溶剤型硬化型シリコーンの長所、例えばプラスチック基材への密着性や、コート外観(ムラ)を良好にする特性をより一層得ることができる。
よって、本発明が提案する離型フィルムは、光学部材の粘着剤層保護用として、高速剥離時に貼り合せている光学部材に及ぼす応力負荷の増加を嫌がる用途、例えば、粘着剤層付き偏光板などに好適である。
次に、実施の形態例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
<本離型フィルム>
本発明の実施形態の一例に係る離型フィルム(「本離型フィルム」と称する)は、基材としてのポリエステルフィルム(「本ポリエステルフィルム」と称する)の片面側又は両面側に離型層(「本離型層」と称する)を備えた離型フィルムであり、当該離型層を形成する組成物は、硬化型シリコーン(A)特に溶剤型硬化型シリコーンと、硬化型シリコーン(B)特に無溶剤型硬化型シリコーンとを含有するものである。
本離型フィルムは、本ポリエステルフィルムの片面側又は両面側に本離型層を備えていればよいから、本ポリエステルフィルムと本離型層との間に他の層が介在してもよいし、本離型層の表面側に他の層を備えていてもよい。本離型フィルムの積層構成については後で詳述する。
<本ポリエステルフィルム>
本ポリエステルフィルムは、本離型フィルムの基材としての役割を果たすものである。
本ポリエステルフィルムは単層でも、性質の異なる2以上の層を有する多層フィルム(積層フィルム)でもよい。
また、本ポリエステルフィルムは、無延伸フィルム(シート)であっても、延伸フィルムであってもよい。中でも、一軸方向又は二軸方向に延伸された延伸フィルムであるのが好ましい。その中でも、力学特性のバランスや平面性の観点で、二軸延伸フィルムであるのがより好ましい。
(本ポリエステル)
本ポリエステルフィルムの主成分樹脂であるポリエステルは、ホモポリエステルであっても、共重合ポリエステルであってもよい。
なお、主成分樹脂とは、本ポリエステルフィルムを構成する樹脂の中で最も質量割合の大きい樹脂の意味であり、本ポリエステルフィルムを構成する樹脂の50質量%以上、或いは75質量%以上、或いは90質量%以上、或いは100質量%を占める場合が想定される。
上記ポリエステルが、ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。
前記芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などを挙げることができ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。
代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等を例示することができる。
一方、上記ポリエステルが共重合ポリエステルの場合は、30モル%以下の第三成分を含有した共重合体であることが好ましい。
共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、例えばイソフタル酸、フタル酸テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸等の一種または二種以上を挙げることができる。
共重合ポリエステルのグリコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上を挙げることができる。
何れにしても、本離型フィルムにおけるポリエステルは、通常80モル%以上、好ましくは90モル%以上が、エチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート、エチレン-2,6-ナフタレート単位であるポリエチレン-2,6-ナフタレート等であるポリエステルであるのが好ましい。
(粒子)
本ポリエステルフィルムは、易滑性付与を主たる目的として、粒子を含有してもよい。
粒子の種類は易滑性付与可能な粒子であれば、特に限定されるものではない。例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子を挙げることができる。また、特公昭59-5216号公報、特開昭59-217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等を挙げることができる。さらにポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等の何れを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
上記粒子の平均粒径は0.1~5μmを満足するのが好ましく、中でも0.5μm以上或いは3μm以下、その中でも2μm以下のものがさらに好ましい。平均粒径が0.1μm以上であれば、粒子が凝集し易いということがなく、分散性を維持することができる一方、5μm以下であれば、フィルムの表面粗度が粗くなり過ぎることがないから、後工程において離型層を設ける場合等に生じる不具合を抑制することができる。
本ポリエステルフィルム中の粒子含有量は、0.01~5質量%であるのが好ましく、さらに好ましくは0.01~3質量%の範囲である。粒子含有量が0.01質量%以上であれば、フィルムの易滑性を維持することができ、一方、5質量%以下であれば、フィルム表面の平滑性を維持することができる。
(他の添加剤)
本ポリエステルフィルムは、必要に応じて、さらに他の添加剤を含有することも可能である。例えば酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を含有することができる。
(本ポリエステルフィルムの厚み)
本ポリエステルフィルムの厚みは、コスト的にはより薄膜であるのが好ましい一方、薄すぎると、加工時の熱処理によるしわ等により、フィルム平面性が損なわれる可能性があるばかりか、保護フィルムとしての機能が十分でなくなる恐れもある。そこで、本ポリエステルフィルムの厚みは12~125μmであるのが好ましく、中でも25μm以上或いは75μm以下であるのがさらに好ましい。
<本離型層>
本離型層は、硬化型シリコーン(A)特に溶剤型硬化型シリコーンと、硬化型シリコーン(B)特に無溶剤型硬化型シリコーンと、を含有するシリコーン組成物(「本シリコーン組成物」と称する)から形成することができる。
溶剤型硬化型シリコーンも無溶剤型硬化型シリコーンもいずれも、離型性を有する硬化型シリコーンであり、通常、硬化過程においてビニル基とケイ素-水素結合を有する基の付加反応を含むもの(いわゆる付加型シリコーン)である。
(硬化型シリコーン(B):無溶剤型硬化型シリコーン)
無溶剤型硬化型シリコーンとは、溶剤に希釈せずとも塗工できる粘度のシリコーンで、短いポリシロキサン鎖よりなっており、比較的低分子量のシリコーンである。
無溶剤型硬化型シリコーンの分子量は、数平均分子量が3万以下であるのが好ましく、中でも15000以下、その中でも10000以下であるのがさらに好ましい。その下限は、好ましくは3000以上、さらに好ましくは5000以上であるのがよい。
中でも、本離型フィルムに使用する無溶剤型硬化型シリコーンは、ポリシロキサン鎖における3官能メチルシロキサンユニット(「T単位」とも称する)の含有割合がシロキサン単位で3モル%以上であるものが好ましい。
このような硬化型シリコーン(B)(無溶剤型硬化型シリコーン)を使用して、硬化型シリコーン(A)(溶剤型硬化型シリコーン)と組み合わせて離型層を形成すると、硬化型シリコーン(B)(無溶剤型硬化型シリコーン)の配合量が比較的少なくても、低分子量の硬化型シリコーン(無溶剤型硬化型シリコーン)の特性、例えば高速剥離時の軽剥離性を離型フィルムの表面に十分に与えることができる。そして、無溶剤型硬化型シリコーンの配合量が比較的少ない分、硬化型シリコーン(A)(溶剤型硬化型シリコーン)の配合量を多くすることができるから、溶剤型硬化型シリコーンの特性、例えばプラスチック基材への密着性や、コート外観(ムラ)を良好にする特性を離型フィルムにより一層付与することができる。
これは、ポリシロキサン鎖におけるT単位の含有割合が3モル%以上である硬化型シリコーン(B)(無溶剤型硬化型シリコーン)を使用すると、当該無溶剤型硬化型シリコーンが、溶剤型硬化型シリコーンとは相溶せずに離型層の表面側に移行するため、当該無溶剤型硬化型シリコーンの特性が離型層表面に影響するためであると考えることができる。
かかる観点から、前記無溶剤型硬化型シリコーンは、ポリシロキサン鎖におけるT単位の含有割合がシロキサン単位で3モル%以上であるのが好ましく、中でも5モル%以上或いは12モル%以下、その中でも7モル%以上或いは10モル%以下であるのがさらに好ましい。
上述のように、無溶剤型硬化型シリコーンが、溶剤型硬化型シリコーンとは相溶せずに離型層の表面側に移行するため、無溶剤型硬化型シリコーンの特性が離型層表面に影響すると考えられることから、硬化型シリコーン(B)(無溶剤型硬化型シリコーン)と硬化型シリコーン(A)(溶剤型硬化型シリコーン)は、互いに数平均分子量がある程度離れている方が好ましい。
かかる観点から、硬化型シリコーン(B)と硬化型シリコーン(A)の数平均分子量は、両者の差((B)-(A))が2万以上であるのが好ましく、中でも7万以上、その中でも10万以上、その中でも17万以上であるのがさらに好ましい。その上限に関しては、50万以下が好ましく、中でも40万以下であるのがさらに好ましい。
上記硬化型シリコーン(B)は、上記3官能メチルシロキサンユニット(T単位)のほかに、単官能トリメチルシロキサンユニット(「M単位」とも称する)、2官能ジメチルシロキサンユニット(「D単位」とも称する)、4官能シロキサンユニット(「Q単位」とも称する)を包含してもよい。
硬化型シリコーン(B)の25℃での粘度は1000mPa・s以下であるのが好ましい。当該粘度が1000mPa・s以下であれば、高分子量タイプの硬化シリコーンに対して、相溶性を低くすることで、相分離しやすく、離型層形成時に表面側に移行しやすくなり、所望する軽剥離化効果を発現しやすくなるから好ましい。
かかる観点から、硬化型シリコーン(B)の25℃での粘度は1000mPa・s以下であるのが好ましく、中でも500mPa・s以下、その中でも300mPa・s以下であるのさらに好ましい。但し、無溶剤型硬化型シリコーンの当該粘度の下限値は、ポリエステルフィルムに対する塗布性を良好とする観点から、50mPa・s以上であるのが好ましく、中でも100mPa・s以上であるのがさらに好ましい。
(硬化型シリコーン(A):溶剤型硬化型シリコーン)
溶剤型硬化型シリコーンとは、溶剤に希釈しなければ塗工できない粘度の高い粘度を有するシリコーンで、比較的高い分子量からなるシリコーンである。
溶剤型硬化型シリコーンの分子量は、数平均分子量が5万以上であるのが好ましく、中でも10万以上、その中でも20万以上であるのがさらに好ましい。
溶剤型硬化型シリコーンの粘度は、30%トルエン溶液とした時の25℃での粘度が1000mPa・s以上であるのが好ましく、中でも5000mPa・s以上、その中でも8000mPa・s以上であるのがさらに好ましい。
溶剤型硬化型シリコーンは、上述のように高い粘度を有するため、PETフィルムの様なプラスチック基材への密着性が高く、低速剥離時の重剥離性に優れており、コート外観(ムラ)も良い反面、粘度が高いために、膜厚を高くすることが難しいため、軽剥離性には劣るという性質を有している。
(溶剤型硬化型シリコーンと無溶剤型硬化型シリコーンとの混合)
本シリコーン組成物における溶剤型硬化型シリコーンと無溶剤型硬化型シリコーンとの混合割合、すなわち離型層における溶剤型硬化型シリコーンと無溶剤型硬化型シリコーンとの混合割合は、モル比(溶剤型/無溶剤型)10/90~95/5の間で調整可能である。ここで、モル比の値は、各々の数平均分子量から算出することとする。
但し、本離型フィルムおいては、上述のように、ポリシロキサン鎖における3官能メチルシロキサンユニットの含有割合がシロキサン単位で3モル%以上である無溶剤型硬化型シリコーンを使用することによって、無溶剤型硬化型シリコーンの配合量が比較的少なくても、無溶剤型硬化型シリコーンの特性を大きく得ることができ、その分、溶剤型硬化型シリコーンの配合量を多くして、溶剤型硬化型シリコーンの特性もより一層多く享受することができるから、かかる観点からすると、本離型層中の前記溶剤型硬化型シリコーンの含有量と前記無溶剤型硬化型シリコーンの含有量の比は、モル比(溶剤型:無溶剤型)で95:5~55:45であるのが好ましく、中でも85:15~65:35、その中でも80:20~70:30であるのがさらに好ましい。
(その他の添加剤)
本シリコーン組成物は、上記溶剤型硬化型シリコーン及び上記無溶剤型硬化型シリコーン以外に、必要に応じて、反応性重剥離調整剤、白金含有触媒などの硬化反応触媒、希釈溶剤、その他の添加剤を添加することができる。
反応性重剥離調整剤とは、塗料乾燥時に離型塗料のシロキサンポリマーと反応して中に取り込まれるタイプの重剥離化調整剤である。
反応性重剥離調整剤の化学構造は、例えば、反応基としてビニル基を有し、一般にMQレジン、MDQレジンと呼ばれるものが好ましい。
希釈溶剤としては、トルエン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、エチルメチルケトン(MEK)、イソブチルメチルケトン等のケトン類、エタノール、2-プロパノール等のアルコール類、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類などを挙げることができる。これらは、溶解性、塗工性や沸点等を考慮して単独または複数混合して使用するのが好ましい。
また、反応調整剤、密着強化剤等の助剤を併用してもよい。
(本離型層)
本離型層は、本シリコーン組成物を硬化させて形成するものであるから、数平均分子量5万以上の硬化型シリコーン(A)と、数平均分子量3万以下の硬化型シリコーン(B)を含有するものである。
当該硬化型シリコーン(B)は、T単位構造すなわち3官能メチルシロキサンユニットの含有割合が、シロキサン単位で3モル%以上である硬化型シリコーンであるのが好ましい。
本離型層は、本シリコーン組成物と同様の理由により、上記硬化型シリコーン(A)と硬化型シリコーン(B)との含有量のモル比(A:B)が95:5~55:45であるのが好ましく、中でも85:15~65:35、その中でも80:20~70:30であるのがさらに好ましい。
<本離型フィルムの積層構成>
本離型フィルムは、ポリエステルフィルムの片面側又は両面側に離型層を備えていればよいから、ポリエステルフィルムと離型層との間に他の層が介在してもよいし、離型層の表面側に他の層を備えていてもよい。
上記他の層としては、帯電防止層、オリゴマー封止層、易接着層などを挙げることができる。
本離型フィルムの好ましい積層構成として、ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に、帯電防止層、オリゴマー封止層及び前記離型層を順次積層してなる構成を備えた積層構成を挙げることができる。
この際、帯電防止層、オリゴマー封止層を積層すると、シリコーンの硬化を促進する触媒が失活し易くなるため、シリコーンの硬化が阻害され易いことが知られている。しかし、上述のように、無溶剤型硬化型シリコーンとして、ポリシロキサン鎖における3官能メチルシロキサンユニットの含有割合がシロキサン単位で3モル%以上である無溶剤型硬化型シリコーンを使用することによって、硬化阻害を防止することができる。
上記帯電防止層は、電子導電性化合物((C)成分)を含有していればよい。
電子導電性有機化合物としては、例えばポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリイソチアナフテン、及びポリチオフェン等が挙げられる。これらの中でポリチオフェン、すなわち、チオフェン若しくはチオフェン誘導体を単独又は共重合して得られる重合体などを挙げることができる。
また、帯電防止層は、上記(C)成分のほかに、(D)成分として、ポリアルキレンオキサイド(d1)、グリセリン(d2)、ポリグリセリン(d3)、及びグリセリン又はポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物(d4)の群から選ばれる1種以上の化合物又はその誘導体を含有していると、より好ましい。
(D)成分として、(d1)~(d4)の任意の混合物を用いてもよい。
なお、成分(D)は、帯電防止の性能自体はほとんど有しない化合物であり、成分(C)と併用することで、第一下引きの外観及び経時的な帯電防止性能の劣化抑制効果を向上させる傾向がある。
上記帯電防止層は、上記(C)、(D)成分のほかに、(E)成分としてポリウレタン樹脂を含有していると、より好ましい。
成分(E)は、帯電防止の性能自体はほとんど有しない化合物であり、成分(C)又は成分(D)と併用することで、離型層に対する帯電防止層の接着性を向上させる傾向がある。
塗布により帯電防止層を形成する際、その塗布液には、例えば界面活性剤、その他のバインダー、粒子、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料等である。これらの添加剤は単独で用いてもよいし、また、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
また、塗布前に基材としての本ポリエステルフィルムに化学処理やコロナ放電処理、プラズマ処理等を施してもよい。
上記オリゴマー封止層は、加水分解性アルコキシシリケート及び/又はその重縮合物を含有するものであるのが好ましい。加水分解性アルコキシシリケートとしては、一般式Si(ORで示す構造(R1は、炭素数が1~10の炭化水素基を表す。)を挙げることができる。上記オリゴマー封止層は、さらにアルミニウムを含む有機化合物を含有することが好ましい。アルミニウムを含む有機化合物を含有することで、離型フィルムのオリゴマー析出防止性を良好とすると共に、経時での離型層とポリエステルフィルムとの塗膜密着性を良好とする傾向がある。上記オリゴマー封止層は、さらにアルミニウム元素以外の金属元素を有する有機化合物も含有することができる。特に、有機スズ化合物が好ましい。有機スズ化合物を含有することでオリゴマー封止層の硬化を促進し、オリゴマー析出防止性を良好とする傾向がある。上記オリゴマー封止層は、さらに無機系粒子を含有してもよく、無機系粒子の具体例としてはシリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、バリウム塩等が挙げられる。
また、上記オリゴマー封止層は、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、有機系高分子粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤発泡剤、染料等が含有されてもよい。
なお、帯電防止層及びオリゴマー封止層は、インラインコーティングで形成することもできる。
インラインコーティングは、ポリエステルフィルム製造の工程内でコーティングを行う方法であり、具体的には、ポリエステルを溶融押出ししてから二軸延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。通常は、溶融・急冷して得られる実質的に非晶状態の未延伸シート、その後に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルムの何れかにコーティングする方法である。
<本離型フィルムの製造方法>
本離型フィルムは、本ポリエステルフィルムの片面側又は両面側に、必要に応じて、帯電防止層やオリゴマー封止層などのアンカー層を形成した後、上記シリコーン組成物を塗布し、硬化することにより本離型層を形成して、製造することができる。
シリコーン組成物の塗布方法としては、マルチロールコート、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、バーコート、ダイコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著1979年発行に記載例がある。
上記のようにシリコーン組成物を塗布する前に予め、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を本ポリエステルフィルムに施してもよい。さらに本ポリエステルフィルムには予め接着層等の塗布層が設けられていてもよい。
上記シリコーン組成物の塗布量、すなわち本離型層の厚み(乾燥後)は、ブロッキングと移行性の増大の観点から薄くするのが好ましく、他方、軽剥離性の観点からは厚くするのが好ましい。かかる点を考慮して、本離型層の厚みは、0.01~1g/mであるのが好ましく、中でも0.1g/m以上或いは0.7g/m以下、その中でも0.2g/m以上或いは0.5g/m以下であるのがさらに好ましい。
上記硬化処理におけるエネルギー源は熱処理が一般的であるが、紫外線照射、電子線照射を併用することもできる。
<本離型フィルムの特性>
本離型フィルムは、アクリル系粘着テープ(日東電工社製、No.31B)を本剥離層に貼り付けて室温にて1時間放置後、引張速度0.3m/minの条件下で測定される180°剥離力を15mN/cm以下とすることができる。
本離型フィルムは、このように低速剥離時の軽剥離性を得ることができる。
本離型フィルムは、アクリル系粘着テープ(Tesa製「No.7475」)を本剥離層に貼り付けて室温にて1時間放置後、引張速度30m/minの条件下で測定される180°剥離力を170mN/cm以下とすることができ、好ましくは、160mN/cm以下、その中でも150mN/cm以下とすることができる。
本離型フィルムは、このように高速剥離時の軽剥離性を得ることができる。
<本離型フィルムの用途>
本離型フィルムは、高速剥離時の軽剥離性と、低速剥離時の軽剥離性とを兼ね備えているほか、プラスチック基材への密着性や、コート外観(ムラ)を優れたものとすることができる。
よって、本離型フィルムは、液晶テレビ、コンピューターディスプレイ、携帯電話やデジタルカメラなどの画像表示装置として利用されている液晶表示装置の製造において好適に使用することができる。
具体的な一例を挙げるならば、本離型フィルムの本離型層上に粘着剤層を積層して粘着剤層付き離型フィルムを作製しておき、当該粘着剤層を偏光板に貼付して粘着剤層付偏光板を製造した後、液晶セルと貼り合せる際に、前記基材フィルムを剥離して粘着剤層と液晶セルのガラス基板を貼付して製造することができる。
また、本離型フィルムを、粘着層/(本離型フィルムとは異なる)離型フィルムの構成からなる粘着層付き離型フィルム(B)に貼り付けて積層体とし、本離型フィルムを該積層体から剥離して、残された粘着層付き離型フィルム(B)を光学部材に貼り付けた後、当該粘着層付き離型フィルム(B)において粘着層から離型フィルムを剥離し、再度、光学部材に貼り付けられた前記粘着層上に、本離型フィルムを貼り付けることを特徴とする、いわゆる離型フィルムの再剥離使用も可能である。
なお、粘着層付き離型フィルム(B)の離型フィルムは、本離型フィルムとは異なり、0.3m/minの剥離速度による剥離力が本離型フィルムの2倍から10倍程度のものが好ましい。
<語句の説明>
一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、その厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいい、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JISK6900)。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
本発明において、「X~Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例で用いた測定法および評価方法を次のとおりである。
(1)剥離力A(剥離速度0.3m/min)の測定
試料フィルムの離型面に粘着テープ(日東電工(株)製「No.31B」)を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力は(株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」を使用し、引張速度0.3(m/min)の条件下、180°剥離を行った。
(2)剥離力B(剥離速度30m/min)の測定
試料フィルムの離型面に粘着テープ(Tesa製「No.7475」)を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力はテスター産業(株)製高速剥離試験機「TE-702型」を使用し、試料フィルムの離型面が上面になるように固定し、貼り合わせているTesa製「No.7475」粘着テープ側を剥離する方法にて剥離速度30(m/min)にて180°剥離を行った。
(3)離型フィルムの加熱剥離力評価
試料フィルムの離型面に粘着テープ(Tesa製「No.7475」)を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、熱風式オーブンにて、100℃、1時間熱処理した。その後、サンプルを取り出し、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。
剥離力は(株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」を使用し、引張速度0.3(m/min)の条件下、180°剥離を行った。加熱剥離力の値が低い方が良好である。
(4)離型フィルムの移行性評価接着率
試料フィルムを、A4サイズ(210mm×297mm)の大きさに切り取り、その離型面に、75μm厚の2軸延伸PETフィルム(三菱ケミカル株式会社製:ダイアホイルT100-75)を重ねて、温度60℃、圧力1MPaの条件で2時間プレスした。そして、前記「75μm厚の2軸延伸PETフィルム」を移行性評価フィルムとした。
他方、離型層を設けていない未処理のPETフィルムに、上記と同じ「75μm厚の2軸延伸PETフィルム」を重ねて上記と同条件でプレスし、該「75μm厚の2軸延伸PETフィルム」を基準フィルムとした。
前記移行性評価フィルム及び前記基準フィルムに、粘着テープ(日東電工(株)製「No.31B」)を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。
剥離力は(株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」を使用し、引張速度0.3(m/min)の条件下、180°剥離を行った。
そして、測定した移行性評価フィルムの剥離力及び基準フィルムの剥離力を次の式に代入して移行性評価接着率(%)を求めた。
移行性評価接着率(%)=(移行性評価フィルムの剥離力/基準フィルムの剥離力)×100
移行性の大きなフィルムでは、重ねたフィルムに多くのシリコーンが付着するため、粘着テープの剥離力が小さくなり、移行性評価接着率(%)も低下する。90%以上が好ましく、95%以上がさらに好ましい。
(5)ポリエステルフィルムとの密着性
恒温恒湿槽内において、試料フィルムを60℃、80%RH雰囲気下、4週間放置した後、試料フィルムを取り出した。その後、試料フィルムの離型面を触手により5回擦り、離型層の脱落程度を以下の評価基準によって評価を行った。
《評価基準》
A(very good):塗膜の脱落が見られなかった。
B(good) :塗膜が白くなるが脱落はしていなかった。
C(poor) :塗膜の脱落が確認された
(6)コート外観の評価
試料フィルムの離型面を蛍光灯下、目視で観察し、コート外観を以下の評価基準によって評価を行った。
《評価基準》
A(very good):コートムラがみられなかった。
B(good) :一部にコートムラが確認された。
C(poor) :全面にコートムラが確認された。
<実施例1>
38μm厚の2軸延伸PETフィルム(三菱ケミカル株式会社製:ダイアホイルT100-38)に、下記組成からなる帯電防止層形成組成物を、塗布量(乾燥後)が0.03(g/m)になるように塗布して乾燥させた後、次いでその上に、下記組成からなるオリゴマー阻止層形成組成物を、塗布量(乾燥後)が0.05(g/m)になるように塗布して乾燥させた後、次いでその上に、下記組成からなるシリコーン組成物を、塗布量(乾燥後)が0.31(g/m)になるように塗布し、150℃、10秒間熱処理して離型層を形成して、2軸延伸PETフィルム/帯電防止層/オリゴマー阻止層/離型層からなる離型フィルムを得た。
《帯電防止層形成組成物》
次の材料(C1)、(D1)及び(E1)を、質量比がC1/D1/E1=40/20/40(質量%)となるように混合して帯電防止層形成組成物を作製した。
(C1):ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の混合物(スタルク株式会社製 BaytronPAG)
(D1):下式で、n=2であるグリセリン
Figure 0007206918000001
(E1):ポリウレタン樹脂
テレフタル酸を664質量部、イソフタル酸を631質量部、1,4-ブタンジオールを472質量部、ネオペンチルグリコールを447質量部からなるポリエステルポリオールを得た。次いで、得られたポリエステルポリオールに、アジピン酸を321質量部、ジメチロールプロピオン酸を268質量部加え、ペンダントカルボキシル基含有ポリエステルポリオールAを得た。更に、前記ポリエステルポリオールAを1880質量部に、ヘキサメチレンジイソシアネートを160質量部加えてポリウレタン塗布剤組成物を得た。
《オリゴマー封止層形成組成物》
次の材料(F1)及び(F2)を、質量比が(F1)/(F2)=33/67(質量%)となるように混合し、固形分濃度4質量%となるように、トルエン/MEK混合溶媒(混合比率は1:4)にて希釈して、塗布液としてのオリゴマー封止層形成組成物を作製した。
(F1):アルミニウム元素を有する有機化合物
アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)
(F2):有機珪素化合物
2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
《シリコーン組成物》
硬化型シリーン(A)すなわち溶剤型硬化型シリコーンA1(30%トルエン溶液での25℃での粘度10000mPa・s、数平均分子量32万、不揮発分30%)92質量部と、白金含有触媒(東レ・ダウコーニング(株)製:SRX212)1質量部と、硬化型シリーン(B)すなわち無溶剤型硬化型シリコーンB1(ポリシロキサン鎖におけるT単位の含有割合3モル%、M単位の含有割合1モル%、D単位の含有割合91モル%、SiH単位の含有割合3モル%、SiVi単位の含有割合2モル%、数平均分子量5千、不揮発分100%、25℃での粘度270mPa・s)7質量部と、を混合し、固形分濃度5質量%となるように、トルエン/MEK/イソオクタンの混合溶媒(混合比率は1:1:1)にて希釈し、塗布液としてのシリコーン組成物を作製した。
なお、上記で言う「SiVi単位」とは、Si元素にビニル基が直接結合した構造単位のことを指す。
<実施例2>
実施例1において、シリコーン組成物を下記に変更した以外、実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
《シリコーン組成物》
溶剤型硬化型シリコーンA1を76質量部と、無溶剤型硬化型シリコーンB1を23質量部と、白金含有触媒(東レ・ダウコーニング(株)製:SRX212)1質量部とを混合し、固形分濃度5質量%となるように、トルエン/MEK/イソオクタンの混合溶媒(混合比率は1:1:1)にて希釈し、塗布液としてのシリコーン組成物を作製した。
<実施例3>
実施例1において、シリコーン組成物を下記に変更した以外、実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
《シリコーン組成物》
溶剤型硬化型シリコーンA1を45質量部と、白金含有触媒(東レ・ダウコーニング(株)製:SRX212)2質量部と、無溶剤型硬化型シリコーンB1を53質量部とを混合し、固形分濃度5質量%となるように、トルエン/MEK/イソオクタンの混合溶媒(混合比率は1:1:1)にて希釈し、塗布液としてのシリコーン組成物を作製した。
<比較例1>
実施例1において、シリコーン組成物を下記に変更し、塗布量(乾燥後)が0.12(g/m)になるように塗布した以外、実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
《シリコーン組成物》
硬化型シリーン(A)すなわち溶剤型硬化型シリコーンA2(30%トルエン溶液での25℃での粘度8000mPa・s、ポリシロキサン鎖におけるSiVi単位の含有割合約8モル%、不揮発分30%、信越化学(株)製:KS-3601)70質量部と、硬化型シリーン(B)すなわち無溶剤型硬化型シリコーンB2(ポリシロキサン鎖におけるSiVi単位の含有割合約5モル%、T単位の含有割合0モル%、不揮発分100%、信越化学(株)製:KNS-3002、25℃での粘度300mPa・s)4.5質量部と、溶剤型反応性剥離調整剤(信越化学(株)製:KS-3800、不揮発分30%)15質量部と、(CHSiO(-SiH(CH)-O)-Si(CHで表されるシリコーン(Gelest社製:HMS-991、粘度約20mPa・s)2.4質量部と、白金含有触媒(信越化学(株)製:catPL-50T)1質量部とを混合し、固形分濃度2質量%となるように、トルエン/MEK/イソオクタンの混合溶媒(混合比率は1:1:1)にて希釈し、塗布液としてのシリコーン組成物を作製した。
<比較例2>
実施例1において、シリコーン組成物を下記に変更した以外、実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
《シリコーン組成物》
硬化型シリーン(A)すなわち溶剤型硬化型シリコーンA1を99質量部と、白金含有触媒(東レ・ダウコーニング(株)製:SRX212)1質量部とを混合し、固形分濃度5質量%となるように、トルエン/MEK/イソオクタンの混合溶媒(混合比率は1:1:1)にて希釈し、塗布液としてのシリコーン組成物を作製した。
<比較例3>
実施例1において、シリコーン組成物を下記に変更した以外、実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
《シリコーン組成物》
低分子量の硬化型シリーン(B)すなわち無溶剤型硬化型シリコーンB1を98質量部と、白金含有触媒(東レ・ダウコーニング(株)製:SRX212)2質量部とを混合し、固形分濃度5質量%となるように、トルエン/MEK/イソオクタンの混合溶媒(混合比率は1:1:1)にて希釈し、塗布液としてのシリコーン組成物を作製した。
Figure 0007206918000002
上記実施例及びこれまで本発明者が行ってきた試験結果などから、ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に離型層を備えた離型フィルムに関して、数平均分子量5万以上の硬化型シリコーンと、3官能メチルシロキサンユニットを含有するポリシロキサン鎖におけるT単位構造(3官能メチルシロキサンユニット)の含有割合がシロキサン単位で3モル%以上である、数平均分子量3万以下の硬化型シリコーンとを組み合わせて前記離型層を形成することにより、溶剤型硬化型シリコーンおよび無溶剤型硬化型シリコーン、それぞれの長所をさらに享受することができる。すなわち、無溶剤型硬化型シリコーンの量が比較的少なくても、無溶剤型硬化型シリコーンの長所、例えば高速剥離時の軽剥離性を十分に得ることができる一方、溶剤型硬化型シリコーンの量を比較的多くすることができるから、溶剤型硬化型シリコーンの長所、例えばプラスチック基材への密着性や、コート外観(ムラ)を良好にする特性をより一層得ることができることが分かった。その結果、従来はその軽剥離化が困難とされていた領域レベル(0.3m/minの剥離速度における剥離力が15mN/cm以下、30m/minの剥離速度における剥離力が170mN/cm以下、好ましくは160mN/cm以下であることを両立させること)にまで、剥離力を小さく抑制することが可能となることが分かった。
また、加熱剥離力を、従来レベル(例えば、比較例2)よりもさらに小さくすることが可能となった。このことより、例えば、離型層表面に粘着剤を塗布、乾燥させるような、熱処理を伴う加工工程において、粘着層からの剥離をよりスムーズに行うことができる利点を有する。よって、単純に低速剥離力(剥離速度:0.3m/min)と高速剥離力(剥離速度:30m/min)とを小さくする、いわゆる、剥離力の速度依存性を小さくするだけでは、本発明には想到しないことが分かった。
また、離型層中に予め、T単位の構造を適量、含有させておくことで、シリコーン鎖の主骨格自体に分岐構造を導入することができるため、架橋構造を構築しやすい状態にしておくことができる。その結果、得られる離型層皮膜表面には、本来反応するべき架橋剤成分由来の残官能基(例えば、Si-H基)が極力少ない状態であることが推察され、さらに耐久性が向上した離型層皮膜を形成できることも分かった。
さらに、本離型フィルムを、粘着層/(本離型フィルムとは異なる)離型フィルムの構成からなる粘着層付き離型フィルム(B)に貼り付けて積層体とし、本離型フィルムを該積層体から剥離して、残された粘着層付き離型フィルム(B)を光学部材に貼り付けた後、当該粘着層付き離型フィルム(B)において粘着層から離型フィルムを剥離し、再度、光学部材に貼り付けられた前記粘着層上に、本離型フィルムを貼り付けることを特徴とする、いわゆる離型フィルムの再剥離使用も可能である。
なお、粘着層付き離型フィルム(B)の離型フィルムは、本離型フィルムとは異なり、0.3m/minの剥離速度による剥離力が本離型フィルムの2倍から10倍程度のものが好ましい。

Claims (6)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に離型層を備えた離型フィルムであり、
    当該離型層を形成する組成物が、数平均分子量が5万以上である硬化型シリコーン(A)と、数平均分子量が3000以上3万以下である無溶剤型硬化型シリコーン(B)とを含有し、
    前記無溶剤型硬化型シリコーン(B)は、3官能メチルシロキサンユニット(「T単位構造」とも称する)を有し、25℃での粘度が1000mPa・s以下であり、且つ、該無溶剤型硬化型シリコーン(B)が有するポリシロキサン鎖におけるT単位構造の含有割合がシロキサン単位で3モル%以上であり、
    硬化型シリコーン(A)と無溶剤型硬化型シリコーン(B)との数平均分子量の差が2万以上であり
    前記離型層中の硬化型シリコーン(A)と無溶剤型硬化型シリコーン(B)の含有量のモル比(A:B)が91:9~40:60であることを特徴とする、離型フィルム。
  2. ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に、帯電防止層、オリゴマー封止層及び前記離型層を順次積層してなる構成を備えた請求項に記載の離型フィルム。
  3. アクリル系粘着テープ(日東電工社製、No.31B)を、前記離型層に貼り付けて室温にて1時間放置後、引張速度0.3m/minの条件下で測定される180°剥離力が15mN/cm以下である請求項1又は2に記載の離型フィルム。
  4. アクリル系粘着テープ(Tesa製「No.7475」)を、前記離型層に貼り付けて室温にて1時間放置後、引張速度30m/minの条件下で測定される180°剥離力が170mN/cm以下である請求項1~の何れかに記載の離型フィルム。
  5. 請求項1~の何れかに記載の離型フィルムを、粘着層付き離型フィルム(B)の粘着層側に貼り付けた積層体。
  6. 請求項記載の積層体から、請求項1~の何れかに記載の離型フィルムを剥離して、前記粘着層付き離型フィルム(B)を光学部材に貼り付けた後、当該粘着層付き離型フィルム(B)の離型フィルムをその粘着層から剥離し、再度、光学部材に貼り付けられた当該粘着層上に、請求項1~の何れかに記載の離型フィルムを貼り付けることを特徴とする離型フィルムの使用方法。
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