JP7206501B2 - ハロゲン化シクロアルカン化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、ハロゲン化シクロアルカン化合物の製造方法に関する。
ハロゲン化シクロアルカン化合物は、半導体用ドライエッチングガスの他、クリーニングガス等として期待される化合物であり、ハロゲン原子を有する飽和環状化合物である。
ハロゲン化シクロアルカン化合物の製造方法としては、例えば、非特許文献1では、アルミナに担持したパラジウム触媒の存在下に、ヘキサフルオロシクロブテン(cC4F6)からヘキサフルオロシクロブタン(cC4F6H2)を得ている。
Bulletin of the Academy of Sciences, 1962, p. 2049-2051
本開示は、高い転化率で、ハロゲン化シクロアルカン化合物を得ることができる方法を提供することを目的とする。
本開示は、以下の構成を包含する。
項1.ハロゲン化シクロアルカン化合物の製造方法であって、
(IIa)水素化された触媒の存在下に、ハロゲン化シクロアルケン化合物と水素含有気体とを反応させてハロゲン化シクロアルカン化合物を得る工程
を備える、製造方法。
項2.前記工程(IIa)の前に、
(I)触媒と水素含有気体とを接触させて前記水素化された触媒を得る工程
を備える、項1に記載の製造方法。
項3.ハロゲン化シクロアルカン化合物の製造方法であって、
(IIb)水素含有量が0.1~1.5質量%である触媒の存在下に、ハロゲン化シクロアルケン化合物と水素含有気体とを反応させてハロゲン化シクロアルカン化合物を得る工程
を備える、製造方法。
項4.前記触媒の比表面積が50~500m2/gである、項3に記載の製造方法。
項5.前記ハロゲン化シクロアルカン化合物が、一般式(1):
Figure 0007206501000001
[式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子又はパーフルオロアルキル基を示す。シストランス異性体を有する場合はいずれも包含する。ただし、R1、R2、R3、R4、R5及びR6の全てが水素原子となることはない。]
で表されるハロゲン化シクロアルカン化合物である、項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
項6.前記ハロゲン化シクロアルケン化合物が、一般式(2):
Figure 0007206501000002
[式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子又はパーフルオロアルキル基を示す。シストランス異性体を有する場合はいずれも包含する。ただし、R1、R2、R3、R4、R5及びR6の全てが水素原子となることはない。]
で表されるハロゲン化シクロアルケン化合物である、項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
項7.前記触媒及び前記水素化された触媒が、周期表第8族~第11族に属する遷移金属元素の少なくとも1種を含む、項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
項8.前記工程(I)は、前記触媒1モルに対して、10mL~1000Lの前記水素含有気体を接触させる工程である、項2及び4~7のいずれか1項に記載の製造方法。
項9.前記工程(I)において、前記水素含有気体の前記触媒に対する接触時間(W/F)が0.1~200g・sec/ccである、項2及び4~8のいずれか1項に記載の製造方法。
項10.ハロゲン化シクロアルケン化合物と水素含有気体とを反応させてハロゲン化シクロアルカン化合物を得るために使用される水素化された触媒であって、水素含有量が0.1~1.5質量%である、水素化された触媒。
項11.周期表第8族~第11族に属する遷移金属元素の少なくとも1種を含む、項10に記載の水素化された触媒。
項12.比表面積が50~500m2/gである、項10又は11に記載の水素化された触媒。
項13.一般式(1):
Figure 0007206501000003
[式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子又はパーフルオロアルキル基を示す。シストランス異性体を有する場合はいずれも包含する。ただし、R1、R2、R3、R4、R5及びR6の全てが水素原子となることはない。]
で表されるハロゲン化シクロアルカン化合物を含有する組成物であって、
組成物全量を100モル%として、前記一般式(1)で表されるハロゲン化シクロアルカン化合物の含有量が90.0~99.9モル%である、組成物。
項14.クリーニングガス又はエッチングガスとして用いられる、項13に記載の組成物。
本開示によれば、高い転化率で、ハロゲン化シクロアルカン化合物を得ることができる。
本明細書において、「含有」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみからなる(consist essentially of)」、及び「のみからなる(consist of)」のいずれも包含する概念である。また、本明細書において、数値範囲を「A~B」で示す場合、A以上B以下を意味する。
本開示において、「選択率」とは、反応器出口からの流出ガスにおける原料化合物以外の化合物の合計モル量に対する、当該流出ガスに含まれる目的化合物の合計モル量の割合(mol%)を意味する。
本開示において、「転化率」とは、反応器に供給される原料化合物のモル量に対する、反応器出口からの流出ガスに含まれる原料化合物以外の化合物の合計モル量の割合(mol%)を意味する。
本開示において、「水素化された触媒」とは、水素化処理が施された触媒を意味する。
1.水素化された触媒
本開示において、水素化された触媒は、ハロゲン化シクロアルケン化合物と水素含有気体とを反応させてハロゲン化シクロアルカン化合物を得るために使用される水素化された触媒であって、触媒と水素含有気体とを接触させることにより得られる。また、このような水素化された触媒は、水素含有量が0.1~1.5質量%である。上記反応に非特許文献1において従来から使用されている触媒は水素化されておらず(水素を含んでおらず)、水素含有量が0.1質量%未満であるため、基質であるハロゲン化シクロアルケン化合物と水素含有気体とを接触させる際に、触媒と水素含有気体とが反応してしまい、基質と反応する水素含有気体の割合が低下し、転化率が低下していた。例えば、非特許文献1では、未反応の原料が約14%残存しており、転化率は約86%であった。本開示においては、水素化された触媒を使用することで、基質であるハロゲン化シクロアルケン化合物と水素含有気体とを接触させる際に、水素化された触媒と水素含有気体とが反応することを抑制することができ、つまり、触媒によって水素含有気体中の水素が消費されることを抑制することができ、基質と水素含有気体中の水素とが効率的に反応することができるため、高い転化率及び場合によっては高い収率及び高い選択率で、ハロゲン化シクロアルケン化合物と水素含有気体とを反応させてハロゲン化シクロアルカン化合物を得ることができる。
このような本開示の水素化された触媒は、触媒を水素化することにより製造することができる。
触媒を構成する金属種としては、周期表第8族~第11族に属する遷移金属元素が好ましく、周期表第9族~第10族に属する遷移金属元素がより好ましい。このような金属種としては、具体的には、白金、パラジウム、ロジウム、ニッケル等が挙げられる。本開示の水素化された触媒は、上記した金属を単体として含むこともできるし、多孔質の金属触媒であってもよいし、他の元素との化合物として含むこともできる。例えば、触媒作用のある白金、パラジウム、ロジウム、ニッケル等の金属種と触媒作用のないアルミニウム、ケイ素、マグネシウム、亜鉛等との合金から酸やアルカリ溶液等で後者の触媒作用のない金属種を溶出した触媒(ラネー触媒)や、Pt(PtO2)、アダムス触媒(PtO2-H2O)、コロイド状パラジウム、コロイド状白金、白金黒等を採用することもできる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
また、本開示では、上記した金属種をそのまま触媒として使用することもできるし、上記した金属種を担体上に担持させて使用することもできる。この際使用できる担体としては、特に制限はなく、炭素、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、シリカ(SiO2)、チタニア(TiO2)等が挙げられる。なかでも、後述の製造方法においてハロゲン化シクロアルカン化合物を製造する際の転化率、収率及び選択率の観点からは、炭素、アルミナ等が好ましく、アルミナがより好ましい。
本開示の水素化された触媒は、上記した触媒と水素含有気体とを接触させることにより得ることができる。水素化処理する前の触媒は特に制限されないが、水素を含有していない触媒を用いることができる。
水素含有気体としては、水素ガスの他、水素ガスと他のガスとの混合ガス(例えば水素と窒素、アルゴン等の不活性ガスを任意の割合で混合させた混合ガスや、酸素と水素との混合ガスである酸水素等)も包含する。なお、触媒の水素化効率の観点からは、水素ガスを用いることが好ましい。これらの水素含有気体は、単独で使用することもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
上記した触媒と水素含有気体とを接触させる場合、上記した触媒1モルに対して、10mL~1000L(特に100mL~100L)の水素含有気体を接触させることが好ましい。この範囲とすることにより、触媒の水素化をより適度に行うことができ、後述の製造方法においてハロゲン化シクロアルカン化合物を製造する際の転化率、収率及び選択率をより向上させることができる。
上記した触媒と水素含有気体とを接触させる場合、その接触温度(気相反応(特に気相流通式)を採用する場合は流通させる系の温度)は50~400℃(特に100~300℃)が好ましい。この範囲とすることにより、触媒の水素化をより適度に行うことができ、後述の製造方法においてハロゲン化シクロアルカン化合物を製造する際の転化率、収率及び選択率をより向上させることができる。
上記した触媒と水素含有気体とを接触させる場合、気相反応(特に気相流通式)を採用する場合の水素含有気体の前記触媒に対する接触時間(W/F)[W:触媒の重量(g)、F:水素含有気体の流量(cc/sec)]は0.1~200g・sec./cc分(特に1~100g・sec/cc)が好ましい。この範囲とすることにより、触媒の水素化をより適度に行うことができ、後述の製造方法においてハロゲン化シクロアルカン化合物を製造する際の転化率、収率及び選択率をより向上させることができる。
本開示における触媒と水素含有気体とを反応させる反応圧力は、-50kPa~10MPaが好ましく、10kPa~5MPaがより好ましい。この範囲とすることにより、触媒の水素化をより適度に行うことができ、後述の製造方法においてハロゲン化シクロアルカン化合物を製造する際の転化率、収率及び選択率をより向上させることができる。なお、本開示において、圧力については特に表記が無い場合はゲージ圧とする。
このようにして触媒の水素化を行うことができるが、得られた水素化された触媒は、水素含有量が0.1~1.5質量%である。
水素化された触媒の水素含有量は、水素化された触媒の総質量を100質量%として、0.1~1.5質量%、好ましくは0.2~1.0質量%である。水素含有量が0.1質量%未満では、後述の製造方法においてハロゲン化シクロアルカン化合物を製造する際に反応を効率的に進行させることができず、転化率及び収率が低下する。一方、後述の製造方法においてハロゲン化シクロアルカン化合物を製造する際の過剰な反応を抑制しやすくするとともに、ハロゲン化シクロアルカン化合物に含まれるハロゲン原子が水素原子に置換された化合物の生成を抑制しやすく、目的物の収率をより向上させやすい観点からは、水素含有量は1.5質量%以下が好ましい。水素化された触媒の水素含有量は、水素化前後の触媒重量を測定することにより測定する。
水素化された触媒の比表面積は、50m2/g~500m2/gが好ましく、75~475m2/gがより好ましく、100~450m2/gがさらに好ましい。比表面積をこの範囲とすることで、後述の製造方法においてハロゲン化シクロアルカン化合物を製造する際に反応をより効率的に進行させることができ、転化率及び収率がより向上させることができる一方、後述の製造方法においてハロゲン化シクロアルカン化合物を製造する際に反応が過剰に進行することもより抑制し、ハロゲン化シクロアルカン化合物に含まれるハロゲン原子が水素原子に置換された化合物が生成し、目的物の収率が低下することをより効果的に抑制することができる。水素化された触媒の比表面積は、気体吸着法により測定する。
2.ハロゲン化シクロアルカン化合物の製造方法
本開示のハロゲン化シクロアルカン化合物の製造方法は、
(IIa)水素化された触媒の存在下に、ハロゲン化シクロアルケン化合物と水素含有気体とを反応させてハロゲン化シクロアルカン化合物を得る工程
を備える。
また、工程(IIa)において使用される水素化された触媒は、
(I)触媒と水素含有気体とを接触させて前記水素化された触媒を得る工程
により得ることができる。
工程(I)及び水素化された触媒については、上記した「1.水素化された触媒」にて説明したものを採用できる。つまり、水素化された触媒の代わりに、水素含有量が0.1~1.5質量%である触媒を用いて、
(IIb)水素含有量が0.1~1.5質量%である触媒の存在下に、ハロゲン化シクロアルケン化合物と水素含有気体とを反応させてハロゲン化シクロアルカン化合物を得る工程
を備える製造方法とすることも可能である。
上記工程(IIa)及び(IIb)の反応において、従来から使用されている触媒は水素化されていない(水素を含んでいない)ため、基質であるハロゲン化シクロアルケン化合物と水素含有気体とを接触させる際に、触媒と水素含有気体とが反応してしまい、基質と反応する水素含有気体の割合が低下し、転化率が低下していた。本開示においては、事前に水素化した触媒を使用することで、基質であるハロゲン化シクロアルケン化合物と水素含有気体とを接触させる際に、水素化された触媒と水素含有気体とが反応することを抑制することができ、高い転化率及び場合によっては高い収率及び選択率で、ハロゲン化シクロアルケン化合物と水素含有気体とを反応させてハロゲン化シクロアルカン化合物を得ることができる。
工程(IIa)及び(IIb)において使用できる基質としてのハロゲン化シクロアルケン化合物としては、特に制限はなく、例えば、一般式(2):
Figure 0007206501000004
[式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子又はパーフルオロアルキル基を示す。シストランス異性体を有する場合はいずれも包含する。ただし、R1、R2、R3、R4、R5及びR6の全てが水素原子となることはない。]
で表されるハロゲン化シクロアルケン化合物が挙げられる。
一般式(2)において、R1、R2、R3、R4、R5及びR6で示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
一般式(2)において、R1、R2、R3、R4、R5及びR6で示されるパーフルオロアルキル基は、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を意味する。このようなパーフルオロアルキル基は、例えば、炭素数1~20、好ましくは炭素数1~12、より好ましくは炭素数1~6、さらに好ましくは炭素数1~4、特に好ましくは炭素数1~3のパーフルオロアルキル基が好ましい。パーフルオロアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状のパーフルオロアルキル基であることが好ましい。このようなパーフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基(CF3-)、ペンタフルオロエチル基(C2F5-)等が好ましい。
基質であるハロゲン化シクロアルケン化合物としては、フッ素原子を含むハロゲン化シクロアルカン化合物を特に、高い転化率、収率及び選択率で製造することができる観点において、R1、R2、R3、R4、R5及びR6はいずれも、フッ素原子、パーフルオロアルキル基等が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
上記したR1、R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ同一でもよいし、異なっていてもよい。
上記のような条件を満たす基質としてのハロゲン化シクロアルケン化合物としては、具体的には、
Figure 0007206501000005
等が挙げられる。
これらのハロゲン化シクロアルケン化合物は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。このようなハロゲン化シクロアルケン化合物は、公知又は市販品を採用することができる。
ハロゲン化シクロアルケン化合物と反応させる水素含有気体としては、水素ガスの他、水素ガスと他のガスとの混合ガス(例えば水素と窒素、アルゴン等の不活性ガスを任意の割合で混合させた混合ガスや、酸素と水素との混合ガスである酸水素等)も包含する。ただし、本開示の工程(IIa)及び(IIb)は後述のように水素付加反応であることから、水素含有気体としてハロゲン化水素(フッ化水素)等は含まない又はごく微量(水素含有気体総量に対して例えば5体積%以下)であることが好ましい。なお、反応の転化率、収率及び選択率の観点からは、水素ガスを用いることが好ましい。これらの水素含有気体は、単独で使用することもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
水素含有気体は、通常、ハロゲン化シクロアルケン化合物(基質)とともに、気相状態で反応器に供給することが好ましい。水素含有気体の供給量は、ハロゲン化シクロアルケン化合物(基質)1モルに対して、1.0~30.0モル程度、特に1.0~20.0モル、さらに1.0~2.5モル程度、特に1.3~2.0モル程度で反応させることが好ましい。この範囲とすることにより、水素含有気体による付加反応をより良好に進行させ、不純物の生成をより低減することができ、生成物のハロゲン化シクロアルカン化合物の選択率が高く、高収率で回収することができる。
本開示の工程(IIa)及び(IIb)においては、触媒として上記した水素化された触媒を使用する。本開示の工程(II)におけるハロゲン化シクロアルケン化合物と水素含有気体との反応は、水素含有気体による水素の付加反応であり、水素化された触媒の存在下、気相で行うことができる。本開示におけるハロゲン化シクロアルケン化合物と水素含有気体とを反応させる工程(付加反応)では、気相で行い、特に固定床反応器を用いた気相連続流通式で行うことが好ましい。気相連続流通式で行う場合は、装置、操作等を簡略化できるとともに、経済的に有利である。
本開示におけるハロゲン化シクロアルケン化合物と水素含有気体とを反応させる工程(IIa)及び(IIb)では、反応温度の下限値は、より効率的に水素含有気体による付加反応を進行させて転化率をより向上させ、目的化合物をより高い選択率で得ることができる観点から、通常20℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、40℃以上がさらに好ましい。
本開示におけるハロゲン化シクロアルケン化合物と水素含有気体とを反応させる反応温度の上限値は、より効率的に水素含有気体による付加反応を進行させて転化率をより向上させ、目的化合物をより高い選択率で得ることができる観点、且つ反応生成物が分解又は重合することによる選択率の低下をより抑制する観点から、通常500℃以下が好ましく、400℃以下がより好ましく、300℃以下がさらに好ましい。
本開示におけるハロゲン化シクロアルケン化合物と水素含有気体とを反応させる反応時間は、例えば気相反応(特に気相流通式)を採用する場合には、原料化合物の触媒に対する接触時間(W/F)[W:触媒の重量(g)、F:原料化合物の流量(cc/sec)]は、反応の転化率が特に高く、パーフルオロシクロアルケン化合物をより高収率及び高選択率に得ることができる観点から、5.0~200g・sec/ccが好ましく、6.0~150g・sec/ccがより好ましく、7.0~100g・sec/ccがさらに好ましい。上記のW/Fは特に気相流通式反応を採用した場合の反応時間を特定したものであるが、バッチ式反応を採用する場合も、接触時間を適宜設定することができる。なお、上記接触時間とは、基質及び水素化された触媒が接触する時間を意味する。
本開示におけるハロゲン化シクロアルケン化合物と水素含有気体とを反応させる反応圧力は、より効率的に水素含有気体による付加反応を進行させる点から、-0.05MPa~2MPaが好ましく、-0.01MPa~1MPaがより好ましく、常圧~0.5MPaがさらに好ましい。なお、本開示において、圧力については特に表記が無い場合はゲージ圧とする。
本開示におけるハロゲン化シクロアルケン化合物と水素含有気体との反応において、基質と水素化された触媒とを接触させて反応させる反応器としては、上記温度及び圧力に耐えうるものであれば、形状及び構造は特に限定されない。反応器としては、例えば、縦型反応器、横型反応器、多管型反応器等が挙げられる。反応器の材質としては、例えば、ガラス、ステンレス、鉄、ニッケル、鉄ニッケル合金等が挙げられる。
本開示におけるハロゲン化シクロアルケン化合物と水素含有気体との反応(水素含有気体による付加反応)は、反応器に基質を連続的に仕込み、当該反応器から目的化合物を連続的に抜き出す流通式及びバッチ式のいずれの方式によっても実施することができる。目的化合物が反応器に留まると、さらに脱離反応が進行し得ることから、流通式で実施することが好ましい。本開示におけるハロゲン化シクロアルケン化合物と水素含有気体とを反応させる工程(IIa)及び(IIb)では、気相で行い、特に固定床反応器を用いた気相連続流通式で行うことが好ましい。気相連続流通式で行う場合は、装置、操作等を簡略化できるとともに、経済的に有利である。
本開示におけるハロゲン化シクロアルケン化合物と水素含有気体との反応を行う際の雰囲気については、水素化された触媒の劣化を抑制する点から、不活性ガス雰囲気下、水素ガス雰囲気下等が好ましい。当該不活性ガスは、窒素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。これらの不活性ガスのなかでも、コストを抑える観点から、窒素が好ましい。当該不活性ガスの濃度は、反応器に導入される気体成分の0~50mol%とすることが好ましい。
このようにして得られる本開示の目的化合物は、例えば、一般式(1):
Figure 0007206501000006
[式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子又はパーフルオロアルキル基を示す。シストランス異性体を有する場合はいずれも包含する。ただし、R1、R2、R3、R4、R5及びR6の全てが水素原子となることはない。]
で表されるハロゲン化シクロアルカン化合物が挙げられる。
一般式(1)におけるR1、R2、R3、R4、R5及びR6は、上記した一般式(2)におけるR1、R2、R3、R4、R5及びR6と対応している。このため、製造しようとする一般式(1)で表されるハロゲン化シクロアルカン化合物は、例えば、
Figure 0007206501000007
等が挙げられる。
ハロゲン化シクロアルケン化合物と水素含有気体との反応(水素含有気体による付加反応)終了後は、必要に応じ、常法にしたがって精製処理を行い、目的化合物であるハロゲン化シクロアルカン化合物を得ることができる。なお、本発明の製造方法によれば、製造されるハロゲン化シクロアルカン化合物には、シス体及びトランス体のいずれも包含することができ、シス体及びトランス体の混合物として得られることもあるが、常法にしたがって精製処理を行うことで単離することも可能である。なお、従来のように、事前に触媒の水素化を行うことなくハロゲン化シクロアルケン化合物と水素含有気体との反応を進行させた場合には、発熱反応である触媒の水素化も同時に発生し、この熱により局所的に反応温度が上がり構造的に生成されにくいシス体が生成しやすい一方、本開示によれば、事前に触媒を水素化するか、水素含有量の多い触媒を使用するため、このような発熱反応が抑制され、構造的に生成されにくいシス体は生成されにくく、トランス体が選択的に生成される。ただし、シス体のハロゲン化シクロアルカン化合物とトランス体のハロゲン化シクロアルカン化合物はエッチング性能に大きな差はないため、単離せずにそのままエッチングガスやクリーニングガスとして使用することも可能である。
3.ハロゲン化シクロアルカン組成物
以上のようにして、ハロゲン化シクロアルカン化合物を得ることができるが、ハロゲン化シクロアルカン化合物と、基質であるハロゲン化シクロアルケン化合物とを含有する、ハロゲン化シクロアルカン組成物の形で得られることもある。また、ハロゲン化シクロアルカン化合物は、シス体のハロゲン化シクロアルカン化合物とトランス体のハロゲン化シクロアルカン化合物との混合物として得られる場合もある(この場合、トランス体が選択的に得られることが多い)ため、本発明のハロゲン化シクロアルカン組成物は、シス体のハロゲン化シクロアルカン化合物及びトランス体のハロゲン化シクロアルカン化合物を含む組成物を包含する。
この本開示のハロゲン化シクロアルカン組成物において、本開示のハロゲン化シクロアルカン組成物の総量を100モル%として、一般式(1)で表されるハロゲン化シクロアルカン化合物の含有量は90.0~99.9モル%が好ましく、91.0~99.8モル%がより好ましく、92.0~99.7モル%がさらに好ましく、95.0~99.6モル%が特に好ましい。この一般式(1)で表されるハロゲン化シクロアルカン化合物の含有量は、シス体のハロゲン化シクロアルカン化合物及びトランス体のハロゲン化シクロアルカン化合物の合計含有量を意味する。
なお、上記した本開示の製造方法によれば、上記のように、ハロゲン化シクロアルカン化合物については、シス体よりもトランス体が選択的に得られることが多い。このため、本開示のハロゲン化シクロアルカン組成物の総量を100モル%として、シス体のハロゲン化シクロアルカン化合物の含有量は5.0~20.0モル%(特に7.0~18.0モル%)が好ましく、トランス体のハロゲン化シクロアルカン化合物の含有量は78.0~95.0モル%(特に80.0~93.0モル%)が好ましい。
なお、本開示の製造方法によれば、ハロゲン化シクロアルカン組成物として得られた場合であっても、上記のように一般式(1)で表されるハロゲン化シクロアルカン化合物を、反応の転化率を高く、また、場合によっては高収率且つ高選択率で得ることができるため、ハロゲン化シクロアルカン組成物中の一般式(1)で表されるハロゲン化シクロアルカン化合物以外の成分を少なくすることが可能であるため、一般式(1)で表されるハロゲン化シクロアルカン化合物を得るための精製の労力を削減することができる。
このような本開示のハロゲン化シクロアルカン組成物は、上記したハロゲン化シクロアルカン化合物単独の場合と同様に、半導体、液晶等の最先端の微細構造を形成するためのエッチングガスの他、クリーニングガス等の各種用途に有効利用できる。
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能である。
以下に実施例を示し、本開示の特徴を明確にする。本開示はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例3~8及び比較例1のハロゲン化シクロアルカン化合物の製造方法では、原料化合物は、一般式(2)で表されるハロゲン化シクロアルケン化合物において、R1、R2、R3、R4、R5及びR6はフッ素原子とし、以下の反応式に従って、水素付加反応により、ハロゲン化シクロアルカン化合物を得た。
Figure 0007206501000008
実施例1:水素化Pd/C触媒の製造
反応管としてSUS配管(外径:1/2インチ)を用い、水素化前の触媒として炭素に対してパラジウムを担持させたPd/C触媒(エヌ・イーケムキャット(株)製、触媒質量に対して3質量%のパラジウムを含む)5.0gを充填した。
この反応管に水素ガスを流速100ccmで流通させ、反応管の温度を200℃として60分間水素化処理を行った。つまり、Pd/C触媒と接触させる水素ガスのW/F(触媒重量g/水素流量cc/min)が3となるように接触時間を調整した。そして、得られた水素化Pd/C触媒を取り出し、水素付加反応に用いた。得られた水素化Pd/C触媒の比表面積を気体吸着法により測定したところ354m2/gであり、水素含有量を反応前後の重量差により測定したところ0.8質量%であった。
実施例2:水素化Pd/Al 2 O 3 触媒の製造
触媒として、水素化前の触媒として炭素に対してパラジウムを担持させたPd/C触媒ではなく、アルミナに対してパラジウムを担持させたPd/Al2O3触媒(エヌ・イーケムキャット(株)製、触媒質量に対して0.5質量%のパラジウムを含む)を用いたこと以外は実施例1と同様に、水素化Pd/Al2O3触媒を得た。得られた水素化Pd/C触媒の比表面積を気体吸着法により測定したところ234m2/gであり、水素含有量を反応前後の重量差により測定したところ0.7質量%であった。
実施例3~6:水素化Pd/C触媒を用いた水素付加反応
反応管であるSUS配管(外径:1/2インチ)に、触媒として実施例1で得た水素化Pd/C触媒を5.0g加えた。窒素雰囲気下、200℃で2時間乾燥した後、圧力を常圧、cC4F6H2(基質)と水素化Pd/C触媒との接触時間(W/F)が8.6g・sec/cc、13.0g・sec/cc、15.0g・sec/cc又は18.0g・sec/ccとなるように、反応管にcC4F6H2(基質)及び水素ガスを流通させた。
反応は、気相連続流通式で進行させた。
反応管を60℃、100℃又は165℃で加熱して水素付加反応を開始した。
cC4F6H2(基質)と接触させる水素ガスのモル比(H2/cC4F6H2比)が1.1、1.5又は2.0となるように接触時間を調整し、反応開始1時間後に除害塔を通った留出分を集めた。
その後、ガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製、商品名「GC-2014」)を用いてガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)により質量分析を行い、NMR(JEOL社製、商品名「400YH」)を用いてNMRスペクトルによる構造解析を行った。
質量分析及び構造解析の結果から、目的化合物としてcC4F6H2が生成したことが確認された。実施例3では、cC4F6H2(基質)からの転化率は100.0モル%、cC4F6H2(目的化合物)の選択率は99.6モル%(シス体17.7モル%、トランス体81.9モル%)であった。実施例4では、cC4F6H2(基質)からの転化率は97.6モル%、cC4F6H2(目的化合物)の選択率は99.0モル%(シス体17.1モル%、トランス体81.9モル%)であった。実施例5では、cC4F6H2(基質)からの転化率は94.2モル%、cC4F6H2(目的化合物)の選択率は97.7モル%(シス体15.9モル%、トランス体81.8モル%)であった。実施例6では、cC4F6H2(基質)からの転化率は99.8モル%、cC4F6H2(目的化合物)の選択率は98.9モル%(シス体7.2モル%、トランス体91.7モル%)であった。
実施例7~8:水素化Pd/Al 2 O 3 触媒を用いた水素付加反応
触媒として実施例2で得た水素化Pd/Al2O3触媒を用い、反応温度を60℃又は100℃、cC4F6H2(基質)と水素化Pd/Al2O3触媒との接触時間(W/F)を8.6g・sec/cc又は15.0g・sec/ccとし、cC4F6H2(基質)と接触させる水素ガスのモル比(H2/cC4F6H2比)が1.5となるように接触時間を調整したこと以外は実施例3~6と同様に反応を進行させた。
質量分析及び構造解析の結果から、目的化合物としてcC4F6H2が生成したことが確認された。実施例7では、cC4F6H2(基質)からの転化率は98.6モル%、cC4F6H2(目的化合物)の選択率は99.7モル%(シス体17.5モル%、トランス体82.2モル%)であった。実施例8では、cC4F6H2(基質)からの転化率は99.8モル%、cC4F6H2(目的化合物)の選択率は99.4モル%(シス体7.4モル%、トランス体92.0モル%)であった。
比較例1:Pd/C触媒(水素化処理なし)を用いた水素付加反応
触媒として水素化処理をしていないPd/C触媒(エヌ・イーケムキャット(株)製、触媒質量に対して5質量%のパラジウムを含む;比表面積410m2/g;水素を含有しない)を用い、反応温度を63.4℃、cC4F6H2(基質)と水素化Pd/Al2O3触媒との接触時間(W/F)を18.0g・sec/ccとし、cC4F6H2(基質)と接触させる水素ガスのモル比(H2/cC4F6H2比)が1.5となるように接触時間を調整したこと以外は実施例3~6と同様に反応を進行させた。
質量分析及び構造解析の結果から、目的化合物としてcC4F6H2が生成したことが確認されたが、cC4F6H2(基質)からの転化率は86.3モル%と十分ではなく、cC4F6H2(目的化合物)の選択率は98.2モル%(シス体20.9モル%、トランス体77.3モル%)であった。
結果を表1に示す。
Figure 0007206501000009

Claims (13)

  1. ハロゲン化シクロアルカン化合物の製造方法であって、
    (I)触媒と水素含有気体とを200~400℃において接触させて水素化された触媒を得る工程、及び
    (IIa)水素化された触媒の存在下に、ハロゲン化シクロアルケン化合物と水素含有気体とを反応させてハロゲン化シクロアルカン化合物を得る工程
    を備え、前記ハロゲン化シクロアルケン化合物が、一般式(2):
    Figure 0007206501000010
    [式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は同一又は異なって、R1及びR6は水素原子、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示し、R2、R3、R4及びR5は水素原子、ハロゲン原子又はパーフルオロアルキル基を示す。シストランス異性体を有する場合はいずれも包含する。ただし、R1、R2、R3、R4、R5及びR6の全てが水素原子となることはない。]
    で表されるハロゲン化シクロアルケン化合物である、製造方法。
  2. ハロゲン化シクロアルカン化合物の製造方法であって、
    (IIb)水素含有量が0.1~1.5質量%である触媒の存在下に、ハロゲン化シクロアルケン化合物と水素含有気体とを反応させてハロゲン化シクロアルカン化合物を得る工程
    を備える、製造方法。
  3. 前記水素化された触媒又は水素含有量が0.1~1.5質量%である触媒の比表面積が50~500m2/gである、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記ハロゲン化シクロアルカン化合物が、一般式(1):
    Figure 0007206501000011
    [式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子又はパーフルオロアルキル基を示す。シストランス異性体を有する場合はいずれも包含する。ただし、R1、R2、R3、R4、R5及びR6の全てが水素原子となることはない。]
    で表されるハロゲン化シクロアルカン化合物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記ハロゲン化シクロアルケン化合物が、一般式(2):
    Figure 0007206501000012
    [式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子又はパーフルオロアルキル基を示す。シストランス異性体を有する場合はいずれも包含する。ただし、R1、R2、R3、R4、R5及びR6の全てが水素原子となることはない。]
    で表されるハロゲン化シクロアルケン化合物である、請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記触媒及び水素化された触媒が、周期表第8族~第11族に属する遷移金属元素の少なくとも1種を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記工程(I)は、前記触媒1モルに対して、10mL~1000Lの前記水素含有気体を接触させる工程である、請求項1及び3~6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記工程(I)において、前記水素含有気体の前記触媒に対する接触時間(W/F)が0.1~200g・sec/ccである、請求項1及び3~7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. ハロゲン化シクロアルケン化合物と水素含有気体とを反応させてハロゲン化シクロアルカン化合物を得るために使用される水素化された触媒であって、水素含有量が0.1~1.5質量%であり、
    前記ハロゲン化シクロアルケン化合物が、一般式(2):
    Figure 0007206501000013
    [式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は同一又は異なって、R1及びR6は水素原子、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示し、R2、R3、R4及びR5は水素原子、ハロゲン原子又はパーフルオロアルキル基を示す。シストランス異性体を有する場合はいずれも包含する。ただし、R1、R2、R3、R4、R5及びR6の全てが水素原子となることはない。]
    で表されるハロゲン化シクロアルケン化合物である、水素化された触媒。
  10. 周期表第8族~第11族に属する遷移金属元素の少なくとも1種を含む、請求項9に記載の水素化された触媒。
  11. 比表面積が50~500m2/gである、請求項9又は10に記載の水素化された触媒。
  12. 一般式(1):
    Figure 0007206501000014
    [式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は同一又は異なって、水素原子、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示す。シストランス異性体を有する場合はいずれも包含する。ただし、R1、R2、R3、R4、R5及びR6の全てが水素原子となることはない。]
    で表されるハロゲン化シクロアルカン化合物を含有する組成物であって、
    組成物全量を100モル%として、前記一般式(1)で表されるハロゲン化シクロアルカン化合物の含有量が90.0~99.8モル%であり、且つ、前記一般式(1)で表されるハロゲン化シクロアルカン化合物のうち、シス体のハロゲン化シクロアルカン化合物の含有量が5.0~20.0モル%であり、トランス体のハロゲン化シクロアルカン化合物の含有量が80.0~95.0モル%である、組成物。
  13. クリーニングガス又はエッチングガスとして用いられる、請求項12に記載の組成物。
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