JP7195585B2 - 積層体 - Google Patents
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Description
また、高温環境下では、Al箔との積層体製造の際に用いられる接着層が劣化し、接着性が低下してしまうという問題があった。
<1> 密度が50kg/m3以上、250kg/m3以下、平均孔径が0.1μm以上、15μm以下の多孔質PIフィルム層が、Al箔上に接着層を介することなく形成されたことを特徴とする積層体。
<2> 前記積層体からなるスピーカ振動板。
これらのPIには、PI変性体であるポリアミドイミド(PAI)、ポリエステルイミド(PEI)等も含まれる。
これらPIは、熱可塑性であっても非熱可塑性であってもよい。
これらPIは、DSCに基づくガラス転移温度(Tg)が200℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましい。
振動板の音速としては、900m/sec以上とすることが好ましく、1000m/sec以上とすることがより好ましい。ここで、音速は、JIS K7161に基づき引張モードで弾性率を測定した後、この弾性率を密度で割って比弾性率を算出し、この平方根を求めることにより得られる値である。音速をこのようにすることにより、電気信号に対する振動板の振動追随性が向上し、これにより、音のひずみが低減される。
なお、本発明の積層体を構成する多孔質PIフィルムの厚みは、30μm以上、300μm以下とすることが好ましく、100μm以上、300μm以下とすることがより好ましい。
ここで、塗膜乾燥の際に、相分離が誘起され、低密度の多孔質PI多孔質構造が形成される。なお、乾燥に際しては、特開2015-136633号公報に記載されているように、塗膜表面から揮発する溶媒を乾燥炉内の空間に籠らせて、加熱することが好ましい。
このような溶媒としては、含窒素極性溶媒である、アミド系溶媒、尿素系溶媒が好ましい。アミド系溶媒としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)を挙げることができる。尿素系溶媒としては、例えば、テトラメチル尿素、ジメチルエチレン尿素を挙げることができる。含窒素極性溶媒は、これらを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、DMAcおよびNMPが好ましい。
このように、本発明で用いられるPAA溶液は、その溶媒が、テトラグライムを全溶媒質量に対し70質量%以上含有されている混合溶媒(以下、「混合溶媒」と略記することがある)からなり、かつ光学的に均一な溶液であることが好ましい。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、ODAが好ましい。
また、乾燥、熱硬化に際しては、窒素ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
ガラス製反応容器に、窒素ガス雰囲気下、ジアミン成分として、ODA:0.6モル、テトラカルボン酸成分としてPMDA:0.6モル、溶媒としてDMAcおよびテトラグライムからなる混合溶媒(DMAc/テトラグライムの混合比率は質量比で20/80)を仕込み、攪拌下、30℃で10時間反応させることにより、固形分濃度が9.5質量%のPAA溶液を得た。このPAA溶液に、アルコキシシラン化合物であるAPMSをPAA質量に対し150ppm加え、塗布用の均一なPAA溶液を得た。次に、厚み15μmのエッチング処理されたAl箔上に、硬化後のPI層の厚みが200μmになるようにPAA溶液を塗布し、しかる後、窒素ガス雰囲気下、130℃で20分乾燥、徐々に昇温後、300℃で60分処理して、熱硬化することによりPAAをPIに転換し、Al箔上に多孔質PIフィルム(A-1)層が形成された積層体を得た。乾燥に際しては、揮発する溶媒を、乾燥炉内の空間に籠らせて、加熱するようにした。A-1層は手で引っ張っても、Al箔とは剥離することはなく、Al箔とA-1層とは強固に接着されていることが確認された。この積層体を空気中、180℃で5時間処理した後も、接着性に変化は認められず、充分な耐熱性が確認された。
次に、得られた積層体のAl箔部分をエッチングして除去することにより、多孔質PIフィルム(A-1)を得た。A-1のDSCに基づくガラス転移温度は400℃以上であった。A-1の特性を表1に示した。
ジアミン成分として、ODA:0.58モルおよび信越化学社製KF-8010(数平均分子量860):0.02モルを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PAA溶液を得た。このPAA溶液を用い、実施例1と同様にして、Al箔上に多孔質PIフィルム(A-2)層が形成された積層体を得た。Al箔とA-2層とは強固に接着されていることが確認された。A-2の特性を表1に示した。
ジアミン成分として、ODA:0.59モルおよびハンツマン社製「ジェファーミン」D2000(オキシアルキレンユニットを有するジアミンで、数平均分子量2000)0.01モルを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PAA溶液を得た。このPAA溶液を用い、実施例1と同様にして、Al箔上に多孔質PIフィルム(A-3)層が形成された積層体を得た。Al箔とA-3層とは強固に接着されていることが確認された。A-3の特性を表1に示した。
混合溶媒として、DMAc/テトラグライムの混合比率を質量比で15/85としたものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PAA溶液を得た。このPAA溶液を用い、実施例1と同様にして、Al箔上に多孔質PIフィルム(A-4)層が形成された積層体を得た。Al箔とA-4層とは強固に接着されていることが確認された。A-4の特性を表1に示した。
テトラカルボン酸成分としてBPDAを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PAA溶液を得た。このPAA溶液を用い、実施例1と同様にして、Al箔上に多孔質PIフィルム(A-5)層が形成された積層体を得た。Al箔とA-5層とは強固に接着されていることが確認された。A-5の特性を表1に示した。なお、A-5のガラス転移温度は、285℃であった。
PIとして、ガラス転移温度が280℃のPAI粉体(ソルベイアドバンストポリマーズ社製トーロン4000T-HV)を準備した。これを、NMPおよびテトラグライムからなる混合溶媒(NMP/テトラグライムの混合比率は質量比で15/85)に均一に溶解させることにより、固形分濃度が9.5質量%のPAI溶液を得た。このPAA溶液に、アルコキシシラン化合物であるAPMSをPAI質量に対し150ppm加え、塗布用の均一なPAI溶液を得た。次に、厚み15μmのエッチング処理されたAl箔上にPI層の厚みが200μmになるようにPAI溶液を塗布し、しかる後、窒素ガス雰囲気下、140℃で30分乾燥することにより、Al箔上に多孔質PIフィルム(A-6)層が形成された積層体を得た。乾燥に際しては、揮発する溶媒を、乾燥炉内の空間に籠らせて、加熱するようにした。Al箔とA-6層とは強固に接着されていることが確認された。この積層体を空気中、180℃で5時間処理した後も、接着性に変化は認められず、充分な耐熱性が確認された。A-6の特性を表1に示した。
溶媒として、DMAcおよびトリグライムからなる混合溶媒(DMAc/トリグライムの混合比率は質量比で50/50)を用い、APMSを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、PAA溶液を得た。このPAA溶液を、実施例1と同様にして、Al箔上に厚みが400μmの多孔質PIフィルム(B-1)層が形成された積層体を得た。この積層体のB-1層を手で引っ張った所、Al箔から剥離することがあり、接着性としては、充分ではなかった。B-1の特性を表1に示した。
溶媒として、DMAcおよびトリグライムからなる混合溶媒(DMAc/トリグライムの混合比率は質量比で50/50)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PAA溶液を得た。このPAA溶液を用い、実施例1と同様にして、Al箔上に厚みが250μmの多孔質PIフィルム(B-2)層が形成された積層体を得た。Al箔とB-2層とは強固に接着されていることが確認された。B-2の特性を表1に示した。
酸成分として、BPDAを用い、溶媒として、DMAcおよびトリグライムからなる混合溶媒(DMAc/トリグライムの混合比率は質量比で50/50)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PAA溶液を得た。このPAA溶液を用い、実施例1と同様にして、Al箔上に厚みが250μmの多孔質PIフィルム(B-3)層が形成された積層体を得た。Al箔とB-3層とは強固に接着されていることが確認された。B-3の特性を表1に示した。
溶媒として、DMAcおよびトリグライムからなる混合溶媒(DMAc/トリグライムの混合比率は質量比で30/70)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PAA溶液を得た。このPAA溶液を用い、実施例1と同様にして、Al箔上に厚みが250μmの多孔質PIフィルム(B-4)層が形成された積層体を得た。この積層体の多孔質PIフィルム層は、Al箔と充分な接着性を有していた。B-4の特性を表1に示した。
固形分濃度を18質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、PAA溶液を得た。このPAA溶液を用い、実施例1と同様にして、Al箔上に厚みが250μmの多孔質PIフィルム(B-5)層が形成された積層体を得た。Al箔とB-5層とは強固に接着されていることが確認された。B-5の特性を表1に示した。
Claims (1)
- 密度が50kg/m3以上、250kg/m3以下、平均孔径が0.1μm以上、15μm以下、音速が900m/sec以上の多孔質ポリイミド(PI)フィルム層が、アルミニウム(Al)箔上に接着層を介することなく形成された積層体からなるスピーカ振動板。
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