[0113] 特に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が関連する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。以下の定義は、当業者を補助するものであり、本出願を対象とし、いずれの関連する又は関連しない事例にも、例えば、いずれの一般的に所有された特許又は出願にも帰属されるものではない。本明細書に記載されるものと同様又は同等のいずれの方法及び材料も、本開示の試験の実施に使用され得るが、好ましい材料及び方法が、本明細書に記載される。したがって、本明細書において使用される用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、限定を意図したものではない。
[0114] 本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される際、文脈上特に明記されない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「ナノ構造(a nanostructure)」への言及は、複数のこのようなナノ構造を含む、などである。
[0115] 本明細書において使用される際の「約」という用語は、所与の量の値が、その値の±10%だけ変動することを示す。例えば、「約100nm」は、90nm~110nm(両端の値を含む)のサイズの範囲を包含する。
[0116] 「ナノ構造」は、約500nm未満の寸法を有する少なくとも1つの領域又は代表的な寸法を有する構造である。ある実施形態において、ナノ構造は、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満、又は約10nm未満の寸法を有する。典型的に、その領域又は代表的な寸法は、その構造の最小軸に沿ったものである。このような構造の例としては、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノチューブ、分岐ナノ構造、ナノテトラポッド、トライポッド、バイポッド、ナノ結晶、ナノドット、量子ドット、及びナノ粒子などが挙げられる。ナノ構造は、例えば、実質的に結晶性、実質的に単結晶性、多結晶性、非晶質、又はそれらの組合せであり得る。ある実施形態において、ナノ構造の3つの次元(three dimensions)のそれぞれが、約500nm未満、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満、又は約10nm未満の寸法を有する。
[0117] ナノ構造に関連して使用される際の「ヘテロ構造」という用語は、少なくとも2つの異なる及び/又は区別可能な材料のタイプによって特徴付けられるナノ構造を指す。典型的に、ナノ構造の1つの領域が、第1の材料のタイプを含み、ナノ構造の第2の領域が第2の材料のタイプを含む。特定の実施形態において、ナノ構造は、第1の材料のコアと、第2(又は第3など)の材料の少なくとも1つのシェルとを含み、ここで、異なる材料のタイプは、例えば、ナノワイヤの長軸、分岐ナノワイヤのアームの長軸、又はナノ結晶の中心の周りに放射状に分布される。シェルと見なされるために、又はナノ構造の場合にヘテロ構造と見なされるために、シェルは、隣接する材料を完全に覆うことができるが、必ずしもその必要はなく;例えば、1つの材料のコアが第2の材料の小さい島で覆われることを特徴とするナノ結晶は、ヘテロ構造である。他の実施形態において、異なる材料のタイプは、ナノ構造内の異なる位置に分布され;例えば、ナノワイヤの主軸(長軸)に沿って又は分岐ナノワイヤのアームの長軸に沿って分布される。ヘテロ構造内の異なる領域は、完全に異なる材料を含むことができ、あるいは異なる領域は、異なるドーパント又は異なる濃度の同じドーパントを有するベース材料(例えば、ケイ素)を含むことができる。
[0118] 本明細書において使用される際、ナノ構造の「直径」は、ナノ構造の第1の軸に対して垂直な断面の直径を指し、ここで、第1の軸は、第2及び第3の軸に対して長さの最大の差を有する(第2及び第3の軸は、長さが互いにほぼ等しい2つの軸である)。第1の軸は、必ずしもナノ構造の最長軸ではなく;例えば、円板型のナノ構造の場合、上記断面は、円板における短い縦軸に対して垂直な実質的に円形の断面であろう。断面が円形でない場合、直径は、その断面の主軸及び短軸の平均である。ナノワイヤなどの、細長い、又は高いアスペクト比のナノ構造の場合、直径は、ナノワイヤの最長軸に対して垂直な断面において測定される。球状のナノ構造の場合、直径は、その球の中心を通って一方の側から他方の側まで測定される。
[0119] ナノ構造に関連して使用される際の「結晶性」又は「実質的に結晶性」という用語は、ナノ構造が、典型的に、その構造の1つ以上の寸法のわたる長距離秩序化を示すことを指す。単結晶の秩序が結晶の境界を越えて延在することができないため、「長距離秩序化」という用語は、特定のナノ構造の実寸に依存することが当業者によって理解されるであろう。この場合、「長距離秩序化」は、ナノ構造の寸法の少なくとも大部分にわたる実質的な秩序を意味する。ある場合に、ナノ構造は、酸化物又は他のコーティングを有することができ、又はコア及び少なくとも1つのシェルから構成され得る。このような場合、酸化物、シェル、又は他のコーティングが、このような秩序化を示すことができるが、必ずしもその必要はない(例えば、それは、非晶質、多結晶性、又はその他であり得る)ことが理解されるであろう。このような場合、「結晶性」、「実質的に結晶性」、「実質的に単結晶性」、又は「単結晶性」という語句は、ナノ構造の中心コア(コーティング層又はシェルを除く)を指す。本明細書において使用される際の「結晶性」又は「実質的に結晶性」という用語は、その構造が実質的な長距離秩序化(例えば、ナノ構造又はそのコアの少なくとも1つの軸の長さの少なくとも約80%にわたる秩序)を示す限り、様々な欠陥、積層欠陥、原子置換などを含む構造も包含することが意図される。さらに、コアとナノ構造の外側との間、コアと隣接するシェルとの間、又はシェルと第2の隣接するシェルとの間の境界面が、非結晶性領域を含んでいてもよく、さらには非晶質であってもよいことが理解されるであろう。これは、ナノ構造が、本明細書において定義される結晶性又は実質的に結晶性であることを妨げない。
[0120] ナノ構造に関連して使用される際の「単結晶性」という用語は、ナノ構造が、実質的に結晶性であり、実質的に単結晶を含むことを示す。コア及び1つ以上のシェルを含むナノ構造ヘテロ構造に関連して使用される際、「単結晶性」は、コアが、実質的に結晶性であり、実質的に単結晶を含むことを示す。
[0121] 「ナノ結晶」は、実質的に単結晶性であるナノ構造である。したがって、ナノ結晶は、約500nm未満の寸法を有する少なくとも1つの領域又は特徴的な寸法を有する。ある実施形態において、ナノ結晶は、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満、又は約10nm未満の寸法を有する。「ナノ結晶」という用語は、様々な欠陥、積層欠陥、原子置換などを含む実質的に単結晶性のナノ構造、並びにこのような欠損、欠陥、又は置換を有さない実質的に単結晶性のナノ構造を包含することが意図される。コア及び1つ以上のシェルを含むナノ結晶ヘテロ構造の場合、ナノ結晶のコアは、典型的に、実質的に単結晶性であるが、シェルはそうである必要はない。ある実施形態において、ナノ結晶の3次元のそれぞれが、約500nm未満、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満、又は約10nm未満の寸法を有する。
[0122] 「量子ドット」(又は「ドット」)という用語は、量子閉じ込め又は励起子閉じ込めを示すナノ結晶を指す。量子ドットは、材料特性が実質的に均一であり得、又は特定の実施形態において、例えば、コア及び少なくとも1つのシェルを含み、不均一であり得る。量子ドットの光学特性は、それらの粒径、化学組成、及び/又は表面組成によって影響され得、当該技術分野において利用可能な好適な光学的試験によって決定され得る。例えば、約1nm~約15nmの範囲内で、ナノ結晶サイズを調整できることにより、全光学スペクトルの範囲における光子放出が可能になり、演色に高い多様性を与える。
[0123] 「リガンド」は、例えば、ナノ構造の表面との共有結合性相互作用、イオン性相互作用、ファンデルワールス相互作用、又は他の分子相互作用によって、ナノ構造の1つ以上の面との相互作用(弱いか又は強いかにかかわらず)が可能な分子である。
[0124] 「フォトルミネセンス量子収率」は、例えば、ナノ構造又はナノ構造の集団によって放出された光子の、吸収された光子に対する比率である。当該技術分野において公知であるように、量子収率は、典型的に、公知の量子収率値を有する十分に特性決定された標準試料を用いた比較方法によって決定される。
[0125] 本明細書において使用される際、「シェル」という用語は、コア上、又は同じか若しくは異なる組成の予め堆積されたシェル上に堆積され、シェル材料を1回堆積する行為から得られる材料を指す。正確なシェル厚さは、材料だけでなく、前駆体の投入量及び転化率に依存し、ナノメートル又は層単位で報告され得る。本明細書において使用される際、「目標シェル厚さ」は、必要とされる前駆体量の計算に使用される目標のシェル厚さを指す。本明細書において使用される際、「実際のシェル厚さ」は、合成後のシェル材料の実際に堆積された量を指し、当該技術分野において公知の方法によって測定され得る。例として、実際のシェル厚さは、シェル合成の前及び後のナノ結晶の透過電子顕微鏡法(TEM)画像から決定される粒径を比較することによって測定され得る。
[0126] 本明細書において使用される際、「可溶化基」という用語は、水への低い溶解性、並びにヘキサン、ペンタン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル、アセトン、酢酸エチル、ジクロロメタン(メチレンクロリド)、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、及びN-メチルピロリジノンなどの有機溶媒への高い溶解性を有する実質的に非極性の基を指す。ある実施形態において、可溶化基は、長鎖アルキル、長鎖ヘテロアルキル、長鎖アルケニル、長鎖アルキニル、シクロアルキル、又はアリールである。
[0127] 本明細書において使用される際、「安定した」という用語は、内部反応によるか又は空気、熱、光、圧力、若しくは他の自然条件の作用による変化又は分解に耐える混合物又は組成物を指す。ナノ構造組成物の安定性は、ナノ構造の少なくとも1つの集団、少なくとも1つの多官能性ポリ(アルキレンオキシド)、及び任意選択的に、少なくとも1つの有機樹脂を混合した後のピーク発光波長を測定することによって決定され得る。ピーク発光波長は、ナノ構造組成物にUV又は青色光(450nm)を照射し、分光計で出力を測定することによって測定され得る。発光スペクトルが、元のナノ構造組成物からの発光と比較される。ピーク発光波長が5nmを超えて変化しない場合、ナノ構造組成物は安定している。
[0128] 本明細書において使用される際、「半値全幅」(FWHM)という用語は、量子ドットのサイズ分布の尺度である。量子ドットの発光スペクトルは、一般に、ガウス曲線の形状を有する。ガウス曲線の幅は、FWHMとして定義され、粒子のサイズ分布を示す。より小さいFWHMは、より狭い量子ドットナノ結晶サイズ分布に対応する。FWHMは、発光極大波長にも依存する。
[0129] 本明細書において使用される際、「官能基等価重量」(FGEW)という用語は、ポリマー中の反応性官能基の比率を決定するのに使用される。ポリマーのFGEWは、ポリマー中の官能基の数(n)に対する数平均分子量(NAMW)の比率として定義される。それは、官能基の1つの式量を含むポリマーの重量である。FGEWは、反応性官能基の数を計数し、数平均分子量を割ることによって、末端基分析を用いて計算される:
FGEW=NAMW/n
式中、n=モノマー中の反応性官能基の数である。
[0130] 本明細書において使用される際の「アルキル」は、示される炭素原子の数を有する直鎖状又は分枝鎖状、飽和、脂肪族基を指す。ある実施形態において、アルキルは、C1~2アルキル、C1~3アルキル、C1~4アルキル、C1~5アルキル、C1~6アルキル、C1~7アルキル、C1~8アルキル、C1~9アルキル、C1~10アルキル、C1~12アルキル、C1~14アルキル、C1~16アルキル、C1~18アルキル、C1~20アルキル、C8~20アルキル、C12~20アルキル、C14~20アルキル、C16~20アルキル、又はC18~20アルキルである。例えば、C1~6アルキルとしては、限定はされないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、及びヘキシルが挙げられる。ある実施形態において、アルキルは、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、又はイコサニルである。
[0131] 本明細書において使用される際の「アルキレン」という用語は、単独で又は組み合わせて、メチレン(-CH2-)などの、2つ以上の位置において結合された直鎖状又は分枝鎖状飽和炭化水素から誘導される飽和脂肪族基を指す。特に規定されない限り、「アルキル」という用語は、「アルキレン」基を含み得る。
[0132] 本明細書において使用される際の「アルケニル」は、単一の水素原子の除去によって、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖状又は分枝鎖状炭化水素部分から誘導される一価基を指す。ある実施形態において、アルケニル基は、2~20個の炭素原子を含有し、C2~20アルケニルである。ある実施形態において、アルケニル基は、2~15個の炭素原子を含有し、C2~15アルケニルである。ある実施形態において、アルケニル基は、2~10個の炭素原子を含有し、C2~10アルケニルである。ある実施形態において、アルケニル基は、2~8個の炭素原子を含有し、C2~8アルケニルである。ある実施形態において、アルケニル基は、2~5個の炭素を含有し、C2~5アルケニルである。アルケニル基としては、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、及び1-メチル-2-ブテン-l-イルが挙げられる。
[0133] 本明細書において使用される際の「アルキニル」は、単一の水素原子の除去によって、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する直鎖状又は分枝鎖状炭化水素から誘導される一価基を指す。ある実施形態において、アルキニル基は、2~20個の炭素原子を含有し、C2~20アルキニルである。ある実施形態において、アルキニル基は、2~15個の炭素原子を含有し、C2~15アルキニルである。ある実施形態において、アルキニル基は、2~10個の炭素原子を含有し、C2~10アルキニルである。ある実施形態において、アルキニル基は、2~8個の炭素原子を含有し、C2~8アルキニルである。ある実施形態において、アルキニル基は、2~5個の炭素を含有し、C2~5アルキニルである。代表的なアルキニル基としては、限定はされないが、エチニル、2-プロピニル(プロパルギル)、及び1-プロピニルが挙げられる。
[0134] 本明細書において使用される際の「アルキルアミノ」は、式(-NRK
2)の「置換アミノ」を指し、ここで、RKが、独立して、本明細書において定義されるような、水素又は任意選択的に置換されるアルキル基であり、窒素部分が、親分子に直接結合される。
[0135] 本明細書において使用される際の「ヘテロアルキル」は、1つ以上の官能基で任意選択的に置換され、例えば、炭素原子の代わりに、1つ以上の酸素、硫黄、窒素、リン、又はケイ素原子を含有するアルキル部分を指す。
[0136] 本明細書において使用される際の「シクロアルキル」は、飽和環状炭化水素から誘導される、3~8個の炭素原子、好ましくは、3~5個の炭素原子の一価又は二価基を指す。シクロアルキル基は、単環式又は多環式であり得る。シクロアルキルは、C1~3アルキル基又はハロゲンで置換され得る。
[0137] 本明細書において使用される際の「アミド」は、「アミノカルボニル」及び「カルボニルアミノ」の両方を指す。単独で又は別の基に結合して使用される際のこれらの用語は、末端に使用される場合にはN(RLRM)-C(O)-又はRMC(O)-N(RL)-、及び内部に使用される場合には-C(O)-N(RL)-又は-N(RM)-C(O)-などのアミド基を指し、RL及びRMのそれぞれは、独立して、水素、アルキル、脂環式、(脂環式)脂肪族、アリール、芳香脂肪族(araliphatic)、ヘテロ脂環式、(ヘテロ脂環式)脂肪族、ヘテロアリール、カルボキシ、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、(脂肪族)カルボニル、(脂環式)カルボニル、((脂環式)脂肪族)カルボニル、アリールカルボニル、(芳香脂肪族)カルボニル、(ヘテロ脂環式)カルボニル、((ヘテロ脂環式)脂肪族)カルボニル、(ヘテロアリール)カルボニル、又は(ヘテロアル脂肪族(heteroaraliphatic))カルボニルであり、これらのそれぞれは、本明細書において定義され、任意選択的に置換されている。アミノ基の例としては、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、又はアリールアミノが挙げられる。アミド基の例としては、アルキルアミド(アルキルカルボニルアミノ又はアルキルカルボニルアミノなど)、(ヘテロ脂環式)アミド、(ヘテロアラルキル)アミド、(ヘテロアリール)アミド、(ヘテロシクロアルキル)アルキルアミド、アリールアミド、アラルキルアミド、(シクロアルキル)アルキルアミド、又はシクロアルキルアミドが挙げられる。
[0138] 本明細書において使用される際の「カルボキシアルキル」は、低級アルキル基に付加されたカルボン酸基(-COOH)を指す。
[0139] 本明細書において使用される際の「ヘテロシクロアルキル」は、環構造中に1~5個、より典型的に、1~4個のヘテロ原子を有するシクロアルキル置換基を指す。化合物において用いられる好適なヘテロ原子は、窒素、酸素、及び硫黄である。代表的なヘテロシクロアルキル部分としては、例えば、モルホリノ、ピペラジニル、ピペリジニルなどが挙げられる。
[0140] 本明細書において使用される際の「アリール」は、6~14個の炭素原子を有する非置換単環式又は二環式芳香環系、すなわち、C6~14アリールを指す。非限定的な例示的なアリール基としては、フェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラシル(anthracyl)、インデニル、アズレニル、ビフェニル、ビフェニレニル、及びフルオレニル基が挙げられる。一実施形態において、アリール基は、フェニル又はナフチルである。
[0141] 本明細書において使用される際の「ヘテロアリール」又は「複素環式芳香族」は、5~14個の環原子を有する非置換単環式及び二環式芳香環系、すなわち、5員~14員ヘテロアリールを指し、ここで、環の1つの少なくとも1つの炭素原子が、酸素、窒素及び硫黄からなる群から独立して選択されるヘテロ原子で置換されている。一実施形態において、ヘテロアリールは、酸素、窒素及び硫黄からなる群から独立して選択される1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有する。一実施形態において、ヘテロアリールは、3個のヘテロ原子を有する。別の実施形態において、ヘテロアリールは、2個のヘテロ原子を有する。別の実施形態において、ヘテロアリールは、1個のヘテロ原子を有する。別の実施形態において、ヘテロアリールは、5員~10員ヘテロアリールである。別の実施形態において、ヘテロアリールは、5員又は6員ヘテロアリールである。別の実施形態において、ヘテロアリールは、5個の環原子を有し、例えば、4個の炭素原子及び1個の硫黄原子を有する5員ヘテロアリールであるチエニルである。別の実施形態において、ヘテロアリールは、6個の環原子を有し、例えば、5個の炭素原子及び1個の窒素原子を有する6員ヘテロアリールであるピリジルである。非限定的な例示的なヘテロアリール基としては、チエニル、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3-b]チエニル、チアントレニル、フリル、ベンゾフリル、ピラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾオキサゾニル、クロメニル、キサンテニル、2H-ピロリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、イソインドリル、3H-インドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、シンノリニル、キナゾリニル、プテリジニル、4aH-カルバゾリル、カルバゾリル、β-カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、フェノチアゾリル(phenothiazolyl)、イソオキサゾリル、フラザニル、及びフェノキサジニルが挙げられる。一実施形態において、ヘテロアリールは、チエニル(例えば、チエン-2-イル及びチエン-3-イル)、フリル(例えば、2-フリル及び3-フリル)、ピロリル(例えば、1H-ピロール-2-イル及び1H-ピロール-3-イル)、イミダゾリル(例えば、2H-イミダゾール-2-イル及び2H-イミダゾール-4-イル)、ピラゾリル(例えば、1H-ピラゾール-3-イル、1H-ピラゾール-4-イル、及び1H-ピラゾール-5-イル)、ピリジル(例えば、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、及びピリジン-4-イル)、ピリミジニル(例えば、ピリミジン-2-イル、ピリミジン-4-イル、及びピリミジン-5-イル)、チアゾリル(例えば、チアゾール-2-イル、チアゾール-4-イル、及びチアゾール-5-イル)、イソチアゾリル(例えば、イソチアゾール-3-イル、イソチアゾール-4-イル、及びイソチアゾール-5-イル)、オキサゾリル(例えば、オキサゾール-2-イル、オキサゾール-4-イル、及びオキサゾール-5-イル)、イソオキサゾリル(例えば、イソオキサゾール-3-イル、イソオキサゾール-4-イル、及びイソオキサゾール-5-イル)、又はインダゾリル(例えば、1H-インダゾール-3-イル)である。「ヘテロアリール」という用語は、あり得るN-オキシドも含む。非限定的な例示的なN-オキシドは、ピリジルN-オキシドである。
[0142] 特に明示されない限り、本明細書に列挙される範囲は、両端の値を含む。
[0143] 様々なさらなる用語が、本明細書において定義され、又は他の形で特徴付けられる。
ナノ構造組成物
[0144] ある実施形態において、本開示は、
(a)ナノ構造の少なくとも1つの集団と;
(b)少なくとも1つの多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドであって、多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドが、少なくとも2つの末端官能基を含み、ここで、少なくとも1つの末端官能基が、ナノ構造の表面に結合されている、少なくとも1つの多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドと
を含むナノ構造組成物を提供する。
[0145] ある実施形態において、多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドは、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダムコポリマー、ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)ジブロックコポリマー、ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)トリブロックコポリマー、ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)トリブロックコポリマー、又はそれらの組合せを含む。
[0146] ある実施形態において、ナノ構造は量子ドットである。
[0147] ある実施形態において、本開示は、
(a)ナノ構造の少なくとも1つの集団と;
(b)ナノ構造の表面に結合された少なくとも1つの多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドであって、式(I):
(式中、
xが、1~100であり;
yが、0~100であり;
R
1A及びR
1Bが、独立して、H又はC
1~20アルキルであり;
X
1が、少なくとも1つの-OH、-SH、-NH
2、-CO
2H、-P(O)(OH)
2、-P(O)OH、又は-SO
3Hで置換されている直鎖状又は分枝鎖状C
1~20アルキルであり;
X
2が、C
1~12アルキレンであり;
X
3が、単結合又はC
1~12アルキレンであり;
X
4が、単結合、-O-、-OC(=O)-、又はアミドであり;
X
5が、少なくとも1つの-OH、-SH、-NH
2、-CO
2H、-P(O)(OH)
2、-P(O)OH、又は-SO
3Hで置換されている直鎖状又は分枝鎖状C
1~20アルキルである)
で表される多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドと
を含むナノ構造組成物を提供する。
[0148] ある実施形態において、ナノ構造は量子ドットである。
[0149] ある実施形態において、本開示は、
(a)ナノ構造の少なくとも1つの集団と;
(b)ナノ構造の表面に結合された少なくとも1つの多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドであって、式(II):
(式中、
xが、1~100であり;
yが、0~100であり;
R
1A及びR
1Bが、独立して、H又はC
1~20アルキルであり;
X
2が、C
1~12アルキレンであり;
X
3が、単結合又はC
1~12アルキレンであり;
X
4が、単結合、-O-、-OC(=O)-、又はアミドであり;
X
5が、少なくとも1つの-OH、-SH、-NH
2、-CO
2H、-P(O)(OH)
2、-P(O)OH、又は-SO
3Hで置換されている直鎖状又は分枝鎖状C
1~20アルキルである)
で表される多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドと
を含むナノ構造組成物を提供する。
[0150] ある実施形態において、ナノ構造は量子ドットである。
[0151] ある実施形態において、本開示は、
(a)ナノ構造の少なくとも1つの集団と;
(b)ナノ構造の表面に結合された少なくとも1つの多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドであって、式(III):
(式中、
xが、1~100であり;
yが、0~100であり;
R
1A及びR
1Bが、独立して、H又はC
1~20アルキルであり;
X
1が、少なくとも1つの-OH、-SH、-NH
2、-CO
2H、-P(O)(OH)
2、-P(O)OH、又は-SO
3Hで置換されている直鎖状又は分枝鎖状C
1~20アルキルであり;
X
2が、C
1~12アルキレンである)
で表される多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドと
を含むナノ構造組成物を提供する。
[0152] ある実施形態において、ナノ構造は量子ドットである。
[0153] ある実施形態において、本開示は、
(a)ナノ構造の少なくとも1つの集団と;
(b)ナノ構造の表面に結合された少なくとも1つの多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドであって、式(IV):
(式中、
xが、1~100である)
で表される多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドと
を含むナノ構造組成物を提供する。
[0154] ある実施形態において、本開示は、
(a)ナノ構造の少なくとも1つの集団であって、ナノ構造が、ナノ構造に結合されたリガンドを含む、ナノ構造の少なくとも1つの集団と;
(b)ナノ構造に結合された多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドと;
(c)少なくとも1つの有機樹脂と
を含むナノ構造組成物を提供する。
[0155] ある実施形態において、ナノ構造は量子ドットである。
ナノ構造フィルム層
[0156] ある実施形態において、本発明は、
(a)ナノ構造の少なくとも1つの集団であって、ナノ構造が、ナノ構造に結合されたリガンドを含む、ナノ構造の少なくとも1つの集団と;
(b)ナノ構造に結合された多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドと;
(c)少なくとも1つの有機樹脂と
を含むナノ構造フィルム層を提供する。
[0157] ある実施形態において、ナノ構造は量子ドットである。
ナノ構造成形品
[0158] ある実施形態において、本発明は、
(a)ナノ構造の少なくとも1つの集団であって、ナノ構造が、ナノ構造に結合されたリガンドを含む、ナノ構造の少なくとも1つの集団と;
(b)ナノ構造に結合された多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドと;
(c)少なくとも1つの有機樹脂と
を含むナノ構造成形品を提供する。
[0159] ある実施形態において、成形品は、フィルム、ディスプレイ用の基板、又は発光ダイオードである。
[0160] ある実施形態において、ナノ構造は量子ドットである。
[0161] ある実施形態において、本発明は、
(a)第1のバリア層;
(b)第2のバリア層;及び
(c)第1のバリア層と第2のバリア層との間のナノ構造層であって、ナノ構造層が、ナノ構造の少なくとも1つの集団を含み、ナノ構造が、ナノ構造に結合された多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドを含む、ナノ構造層;並びに少なくとも1つの有機樹脂を含むナノ構造フィルムを提供する。
[0162] ある実施形態において、ナノ構造は量子ドットである。
量子ドット
[0163] 本発明において使用するための量子ドット(又は他のナノ構造)は、任意の好適な材料、好適には、無機材料、より好適には、無機導電性又は半導体材料から製造され得る。好適な半導体材料としては、II-VI族、III-V族、IV-VI族、及びIV族半導体を含む任意のタイプの半導体が挙げられる。好適な半導体材料としては、限定はされないが、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイヤモンドを含む)、P、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdSeZn、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、Si3N4、Ge3N4、Al2O3、Al2CO、及びそれらの組合せが挙げられる。
[0164] II-VI族ナノ構造の合成は、米国特許第6,225,198号、同第6,322,901号、同第6,207,229号、同第6,607,829号、同第6,861,155号、同第7,060,243号、同第7,125,605号、同第7,374,824号、同第7,566,476号、同第8,101,234号、及び同第8,158,193号並びに米国特許出願公開第2011/0262752号及び同第2011/0263062号に記載されている。ある実施形態において、コアは、ZnO、ZnSe、ZnS、ZnTe、CdO、CdSe、CdS、CdTe、HgO、HgSe、HgS、及びHgTeからなる群から選択されるII-VI族ナノ結晶である。ある実施形態において、コアは、ZnSe、ZnS、CdSe、及びCdSからなる群から選択されるナノ結晶である。
[0165] CdSe及びCdS量子ドットなどのII-VI族ナノ構造は、望ましい発光挙動を示し得るが、カドミウムの毒性などの問題が、このようなナノ構造を使用可能な用途を制限する。したがって、好ましい発光特性を有し、より毒性の低い代替物が、非常に望ましい。一般にIII-V族ナノ構造、特にInP系ナノ構造は、それらの同等の発光範囲のため、カドミウム系材料の、最もよく知られた代替物を提供する。
[0166] ある実施形態において、ナノ構造は、カドミウムフリーである。本明細書において使用される際、「カドミウムフリー」という用語は、ナノ構造が、100重量ppm未満のカドミウムを含有することが意図される。特定有害物質の使用制限(Restriction of Hazardous Substances)(RoHS)遵守の定義では、均一な前駆体原材料中に存在するカドミウムが0.01重量%(100重量ppm)以下でなければならないことが要求される。Cdフリーナノ構造中のカドミウムレベルは、前駆体材料中の微量金属濃度によって制限される。Cdフリーナノ構造のための前駆体材料中の微量金属(カドミウムを含む)濃度は、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)によって測定され得、十億分率(ppb)レベルである。ある実施形態において、「カドミウムフリー」のナノ構造は、約50ppm未満、約20ppm未満、約10ppm未満、又は約1ppm未満のカドミウムを含有する。
[0167] ある実施形態において、コアは、III-V族ナノ構造である。ある実施形態において、コアは、BN、BP、BAs、BSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、及びInSbからなる群から選択されるIII-V族ナノ結晶である。ある実施形態において、コアは、InPナノ結晶である。
[0168] III-V族ナノ構造の合成は、米国特許第5,505,928号、同第6,306,736号、同第6,576,291号、同第6,788,453号、同第6,821,337号、同第7,138,098号、同第7,557,028号、同第7,645,397号、同第8,062,967号、及び同第8,282,412号並びに米国特許出願公開第2015/236195号に記載されている。III-V族ナノ構造の合成はまた、Wells,R.L.,et al.,”The use of tris(trimethylsilyl)arsine to prepare gallium arsenide and indium arsenide,”Chem.Mater.1:4-6(1989)及びGuzelian,A.A.,et al.,”Colloidal chemical synthesis and characterization of InAs nanocrystal quantum dots,”Appl.Phys.Lett.69:1432-1434(1996)に記載されている。
[0169] InP系ナノ構造の合成は、例えば、Xie,R.,et al.,”Colloidal InP nanocrystals as efficient emitters covering blue to near-infrared,”J.Am.Chem.Soc.129:15432-15433(2007);Micic,O.I.,et al.,”Core-shell quantum dots of lattice-matched ZnCdSe2shells on InP cores:Experiment and theory,”J.Phys.Chem.B 104:12149-12156(2000);Liu,Z.,et al.,”Coreduction colloidal synthesis of III-V nanocrystals:The case of InP,”Angew.Chem.Int.Ed.Engl.47:3540-3542 (2008);Li,L.et al.,”Economic synthesis of high quality InP nanocrystals using calcium phosphide as the phosphorus precursor,”Chem. Mater.20:2621-2623(2008);D.Battaglia and X.Peng,”Formation of high quality InP and InAs nanocrystals in a noncoordinating solvent,”Nano Letters 2:1027-1030 (2002);Kim, S., et al.,”Highly luminescent InP/GaP/ZnS nanocrystals and their application to white light-emitting diodes,”J.Am.Chem.Soc.134:3804-3809(2012);Nann,T.,et al.,”Water splitting by visible light: A nanophotocathode for hydrogen production,”Angew.Chem.Int.Ed.49:1574-1577(2010);Borchert,H.,et al.,”Investigation of ZnS passivated InP nanocrystals by XPS,”Nano Letters 2:151-154(2002);L. Li and P. Reiss,”One-pot synthesis of highly luminescent InP/ZnS nanocrystals without precursor injection,”J.Am.Chem.Soc.130:11588-11589(2008);Hussain,S.,et al.”One-pot fabrication of high-quality InP/ZnS(core/shell)quantum dots and their application to cellular imaging,”Chemphyschem.10:1466-1470 (2009);Xu,S.,et al.,”Rapid synthesis of high-quality InP nanocrystals,”J.Am.Chem.Soc.128:1054-1055(2006);Micic,O.I.,et al.,”Size-dependent spectroscopy of InP quantum dots,”J.Phys.Chem.B 101:4904-4912(1997);Haubold,S.,etal.,”Strongly luminescent InP/ZnS core-shell nanoparticles,”Chemphyschem.5:331-334 (2001);CrosGagneux, A.,et al.,”Surface chemistry of InP quantum dots:A comprehensive study,”J.Am.Chem.Soc.132:18147-18157(2010);Micic,O.I.,et al.,”Synthesis and characterization of InP,GaP,and GalnP2 quantum dots,”J.Phys.Chem.99:7754-7759(1995);Guzelian,A.A.,et al.,”Synthesis of size-selected,surface-passivated InP nanocrystals,”J.Phys.Chem.100:7212-7219(1996);Lucey,D.W.,et al.,”Monodispersed InP quantum dots prepared by colloidal chemistry in a non-coordinating solvent,”Chem.Mater.17:3754-3762(2005);Lim,J.,et al.,”InP@ZnSeS,core@composition gradient shell quantum dots with enhanced stability,”Chem.Mater.23:4459-4463(2011);及びZan,F.,et al.,”Experimental studies on blinking behavior of single InP/ZnS quantum dots:Effects of synthetic conditions and UV irradiation,”J.Phys.Chem.C 116:394-3950(2012)に記載されている。
[0170] ある実施形態において、コアはドープされている。ある実施形態において、ナノ結晶コアのドーパントは、1つ以上の遷移金属を含む金属を含む。ある実施形態において、ドーパントは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、及びそれらの組合せからなる群から選択される遷移金属である。ある実施形態において、ドーパントは、非金属を含む。ある実施形態において、ドーパントは、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdSe、CdS、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、CuInS2、CuInSe2、AlN、AlP、AlAs、GaN、GaP、又はGaAsである。
[0171] ナノ構造の上の無機シェルコーティングは、それらの電子構造を調整するための一般的な手法である。さらに、無機シェルの堆積により、表面欠陥の不動態化がしょうじより堅牢な粒子を生成することができる。Ziegler,J.,etal.,Adv. Mater.20:4068-4073(2008)。例えば、ZnSなどのより広いバンドギャップの半導体材料のシェルは、CdSe又はInPなどのより狭いバンドギャップを有するコア上に堆積されて、励起子がコア内に閉じ込められる構造が得られる。この手法により、輻射性再結合の確率が高くなり、1に近い量子収率及び薄いシェルコーティングを有する非常に効率的な量子ドットを合成することが可能になる。
[0172] ある実施形態において、ナノ構造は、コア及び少なくとも1つのシェルを含む。ある実施形態において、ナノ構造は、コア及び少なくとも2つのシェルを含む。シェルは、例えば、量子収率及び/又はナノ構造の安定性を高め得る。ある実施形態において、コア及びシェルは、異なる材料を含む。ある実施形態において、ナノ構造は、異なるシェル材料のシェルを含む。
[0173] シェルを調製するための例示的な材料としては、限定はされないが、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイヤモンドを含む)、P、Co、Au、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、GaSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdSeZn、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、Si3N4、Ge3N4、Al2O3、Al2CO、及びそれらの組合せが挙げられる。
[0174] ある実施形態において、シェルは、亜鉛源、セレン源、硫黄源、テルル源、及びカドミウム源のうちの少なくとも2つの混合物である。ある実施形態において、シェルは、亜鉛源、セレン源、硫黄源、テルル源、及びカドミウム源のうちの2つの混合物である。ある実施形態において、シェルは、亜鉛源、セレン源、硫黄源、テルル源、及びカドミウム源のうちの3つの混合物である。ある実施形態において、シェルは、亜鉛及び硫黄;亜鉛及びセレン;亜鉛、硫黄、及びセレン;亜鉛及びテルル;亜鉛、テルル、及び硫黄;亜鉛、テルル、及びセレン;亜鉛、カドミウム、及び硫黄;亜鉛、カドミウム、及びセレン;カドミウム及び硫黄;カドミウム及びセレン;カドミウム、セレン、及び硫黄;カドミウム及び亜鉛;カドミウム、亜鉛、及び硫黄;カドミウム、亜鉛、及びセレン;又はカドミウム、亜鉛、硫黄、及びセレンの混合物である。ある実施形態において、シェルは、亜鉛及びセレンの混合物である。ある実施形態において、シェルは、亜鉛及び硫黄の混合物である。
[0175] 例示的なコア/シェル発光ナノ構造としては、限定はされないが(コア/シェルとして表される)CdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdS、及びCdTe/ZnSが挙げられる。コア/シェルナノ構造の合成は、米国特許第9,169,435号に開示されている。
[0176] ある実施形態において、ナノ構造は、コア及び少なくとも2つのシェルを含む。ある実施形態において、1つのシェルは、亜鉛及びセレンの混合物であり、1つのシェルは、亜鉛及び硫黄の混合物である。ある実施形態において、コア/シェル/シェルナノ構造は、InP/ZnSe/ZnSである。
[0177] 発光ナノ結晶は、酸素を通さない材料から作製され、それによって、量子ドットフィルム層における量子ドットの酸素バリア要件及び光安定化を簡略化することができる。例示的な実施形態において、発光ナノ結晶は、1つ以上の有機ポリマーリガンド材料で被覆され、1つ以上のマトリックス材料を含む有機ポリマーマトリックス中に分散される。発光ナノ結晶は、量子ドットを密閉するために、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又は酸化チタン(例えば、SiO2、Si2O3、TiO2、又はAl2O3)などの1つ以上の材料を含む1つ以上の無機層でさらに被覆され得る。
第1のリガンド
[0178] ある実施形態において、ナノ構造は、それらの表面に結合されたリガンドを含む。ある実施形態において、ナノ構造は、外部の水分及び酸化からナノ構造を保護し、凝集を制御し、マトリックス材料中のナノ構造の分散を可能にするために、リガンドを含むコーティング層を含む。好適な第1のリガンドとしては、米国特許第6,949,206号;同第7,267,875号;同第7,374,807号;同第7,572,393号;同第7,645,397号;及び同第8,563,133号並びに米国特許出願公開第2008/0237540号;同第2008/0281010号;及び同第2010/0110728号に開示されるものが挙げられる。
[0179] ある実施形態において、ナノ構造は、米国特許出願公開第2008/237540号に開示される3パートリガンド構造などのマルチパートリガンド構造を含み、ここで、頭部基(head-group)、末端基(tail-group)、及び中間/本体基(middle/body group)が、独立して作製され、それらの特定の機能について最適化され、その後、理想的に機能する完全な表面リガンドへと組み合わされる。
[0180] ある実施形態において、第1のリガンドは、1つ以上の有機ポリマーリガンドを含む。好適なリガンドは、低い酸素透過性を有する効率的且つ強力に結合する量子ドット封入を提供し;マトリックス材料中の領域中へと沈殿又は分離して、不連続の二相又は多相マトリックスを形成し;マトリックス材料全体にわたって好適に分散し;市販の材料であるか、又は市販の材料から容易に配合され得る。
[0181] ある実施形態において、第1のリガンドは、カルボキシ、チオール、ホスフィン、又はホスフィンオキシド基を含む。
[0182] ある実施形態において、第1のリガンドは、カルボキシ基を含む。本明細書において使用される際、「カルボキシ」は、-COOH、-COORA、OC(O)H、-OC(O)RAなどの炭素-酸素二重結合を含む基を指し、ここで、RAは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、これらはそれぞれ、任意選択的に置換され得る。ある実施形態において、カルボキシは、カルボン酸、ジカルボン酸、ポリカルボン酸、又はカルボキシレートである。ある実施形態において、第1のリガンドは、カルボン酸基を含む。ある実施形態において、第1のリガンドは、カルボン酸基を含み、カルボン酸は、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、又はパルミチン酸である。ある実施形態において、第1のリガンドは、カルボキシレートである。ある実施形態において、第1のリガンドは、カルボキシレートを含み、カルボキシレートは、カルボキシアルキルである。
[0183] ある実施形態において、第1のリガンドは、ホスフィン基を含む。ある実施形態において、第1のリガンドは、ホスフィン基を含み、ホスフィン基は、トリヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン(TOP)、又はトリデシルホスフィンである。
[0184] ある実施形態において、第1のリガンドは、ホスフィンオキシド基を含む。ある実施形態において、第1のリガンドは、ホスフィンオキシド基を含み、ホスフィンオキシドは、トリヘキシルホスフィンオキシド、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、又はトリデシルホスフィンオキシドである。
多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンド
[0185] ナノ構造の安定化において用いられるリガンドは、一般に、ナノ結晶のカチオン及びアニオンに結合する中性L型リガンドの群、並びにカチオン性成分に選択的に結合するX型リガンドのいずれかに属する。L型リガンドは、それらの孤立電子対を表面金属原子に供与し、したがって、配位(配位共有)結合を確立する。L型リガンドの例は、アミン、チオール、ホスフィン、及びホスフィンオキシドである。X型リガンドは、典型的に、量子ドット表面において正に荷電した部位に結合する一価原子である。X型リガンドの例は、カルボキシレート、ホスホネート、及びチオレートである。
[0186] ある実施形態において、多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドは、ポリ(アルキレンオキシド)骨格を含む。ある実施形態において、多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドは、2つの官能基を含み:1つはポリ(アルキレンオキシド)骨格の頭部に結合されたもの、及び1つはポリ(アルキレンオキシド)骨格の尾部に結合されたものである。ある実施形態において、少なくとも1つの官能基は、中性L型結合リガンド(例えば、R-COOH)としてII-VI族ナノ結晶表面に結合し得る。ある実施形態において、少なくとも1つの官能基は、電子供与X型リガンド(例えば、R-COO-)としてII-VI族ナノ結晶表面に結合し得る。
[0187] ある実施形態において、多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドは、ポリ(アルキレンオキシド)リガンドの末端に結合された少なくとも2つの官能基を有する。ある実施形態において、少なくとも2つの官能基は、-OH、-SH、-NH2、-CO2H、-P(O)(OH)2、-P(O)OH、又は-SO3Hである。ある実施形態において、少なくとも2つの官能基は異なる。ある実施形態において、少なくとも1つの官能基が-OHであり、少なくとも1つの官能基が-CO2Hである。ある実施形態において、1つの官能基が-OHであり、2つの官能基が-CO2Hである。
[0188] ある実施形態において、多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドは、末端官能化ポリ(アルキレンオキシド)の混合物、アルキレンオキシドのコポリマー、及びそれらの組合せである。ある実施形態において、多官能性ポリ(アルキレンオキシド)は、アルキレンオキシドのコポリマーを含む。ある実施形態において、コポリマーは、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーである。ある実施形態において、ブロックコポリマーは、ジブロックコポリマー又はトリブロックコポリマーである。ある実施形態において、コポリマーは、プロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)、又はPO及びEOの混合物をベースとしている。ある実施形態において、コポリマーは、PO及びEOの混合物である。
[0189] ある実施形態において、多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドは、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダムコポリマー、ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)ジブロックコポリマー、ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)トリブロックコポリマー、ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)トリブロックコポリマー、又はそれらの組合せを含む。
[0190] ある実施形態において、多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドは、PO及びEOのコポリマーを含む。ある実施形態において、エチレンオキシド基対プロピレンオキシド基の比率は、多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドが、高度の親水性を有するのに十分に高い。ある実施形態において、エチレンオキシド基対プロピレンオキシド基の比率は、リガンドが所望の弾力性を有するのに十分に低い。ある実施形態において、エチレンオキシド基:プロピレンオキシド基の比率は、約15:1~約1:15、約15:1~約1:10、約15:1~約1:5、約10:1~1:15、約10:1~1:10、約10:1~1:5、約5:1~1:15、約5:1~1:10、又は約5:1~1:5である。
[0191] ある実施形態において、多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドは、式I:
(式中、
xが、1~100であり;
yが、0~100であり;
R
1A及びR
1Bが、独立して、H又はC
1~20アルキルであり;
X
1が、少なくとも1つの-OH、-SH、-NH
2、-CO
2H、-P(O)(OH)
2、-P(O)OH、又は-SO
3Hで置換されている直鎖状又は分枝鎖状C
1~20アルキルであり;
X
2が、C
1~12アルキレンであり;
X
3が、単結合又はC
1~12アルキレンであり;
X
4が、単結合、-O-、-OC(=O)-、又はアミドであり;
X
5が、少なくとも1つの-OH、-SH、-NH
2、-CO
2H、-P(O)(OH)
2、-P(O)OH、又は-SO
3Hで置換されている直鎖状又は分枝鎖状C
1~20アルキルである)
の構造を有する。
[0192] ある実施形態において、xが、1~100、1~50、1~20、1~10、1~5、5~100、5~50、5~20、5~10、10~100、10~50、10~20、20~100、20~50、又は50~100である。ある実施形態において、xが、10~50である。ある実施形態において、xが、10~20である。
[0193] ある実施形態において、yが、1~100、1~50、1~20、1~10、1~5、5~100、5~50、5~20、5~10、10~100、10~50、10~20、20~100、20~50、又は50~100である。ある実施形態において、yが、1~20である。ある実施形態において、yが、1~10である。
[0194] ある実施形態において、x対yの比率は、約15:1~約1:15、約15:1~約1:10、約15:1~約1:5、約10:1~1:15、約10:1~1:10、約10:1~1:5、約5:1~1:15、約5:1~1:10、又は約5:1~1:5である。
[0195] ある実施形態において、R1AがHである。ある実施形態において、R1AがC1~20アルキルである。ある実施形態において、R1AがC1~10アルキルである。ある実施形態において、R1AがC1~5アルキルである。ある実施形態において、R1Aが-CH3である。
[0196] ある実施形態において、R1BがHである。ある実施形態において、R1BがC1~20アルキルである。ある実施形態において、R1BがC1~10アルキルである。ある実施形態において、R1BがC1~5アルキルである。ある実施形態において、R1Bが-CH3である。
[0197] ある実施形態において、R1AがHであり、R1Bが-CH3である。ある実施形態において、R1Aが-CH3であり、R1BがHである。ある実施形態において、R1AがHであり、R1BがHである。ある実施形態において、R1Aが-CH3であり、R1Bが-CH3である。
[0198] ある実施形態において、X1が直鎖状C1~20アルキルである。ある実施形態において、X1が直鎖状C1~10アルキルである。ある実施形態において、X1が直鎖状C1~5アルキルである。ある実施形態において、X1が分枝鎖状C1~20アルキルである。ある実施形態において、X1が分枝鎖状C1~10アルキルである。ある実施形態において、X1が分枝鎖状C1~5アルキルである。ある実施形態において、X1が分枝鎖状C4アルキルである。ある実施形態において、X1が、少なくとも1つの-OHで置換されている。ある実施形態において、X1が、少なくとも1つの-SHで置換されている。ある実施形態において、X1が、少なくとも1つの-NH2で置換されている。ある実施形態において、X1が、少なくとも1つの-CO2Hで置換されている。ある実施形態において、X1が、少なくとも1つの-P(O)(OH)2で置換されている。ある実施形態において、X1が、少なくとも1つの-P(O)OHで置換されている。ある実施形態において、X1が、少なくとも1つの-SO3Hで置換されている。ある実施形態において、X1が、2つの-CO2Hで置換されている。
[0199] ある実施形態において、X2がC1~12アルキレンである。ある実施形態において、X2がC1~10アルキレンである。ある実施形態において、X2がC1~5アルキレンである。ある実施形態において、X2が-CH2CH2CH2-である。
[0200] ある実施形態において、X3が単結合である。ある実施形態において、X3がC1~20アルキレンである。ある実施形態において、X3がC1~10アルキレンである。ある実施形態において、X3がC1~5アルキレンである。ある実施形態において、X3が-CH2CH2-である。
[0201] ある実施形態において、X4が単結合である。ある実施形態において、X4が-O-である。ある実施形態において、X4が-OC(=O)-である。ある実施形態において、X4がアミドである。ある実施形態において、X4が-NHC(=O)-である。
[0202] ある実施形態において、X5が直鎖状C1~20アルキルである。ある実施形態において、X5が直鎖状C1~10アルキルである。ある実施形態において、X5が直鎖状C1~5アルキルである。ある実施形態において、X5が直鎖状C2アルキルである。ある実施形態において、X5が分枝鎖状C1~20アルキルである。ある実施形態において、X5が分枝鎖状C1~10アルキルである。ある実施形態において、X5が分枝鎖状C1~5アルキルである。ある実施形態において、X5が、少なくとも1つの-OHで置換されている。ある実施形態において、X5が、少なくとも1つの-SHで置換されている。ある実施形態において、X5が、少なくとも1つの-NH2で置換されている。ある実施形態において、X5が、少なくとも1つの-CO2Hで置換されている。ある実施形態において、X5が、少なくとも1つの-P(O)(OH)2で置換されている。ある実施形態において、X5が、少なくとも1つの-P(O)OHで置換されている。ある実施形態において、X5が、少なくとも1つの-SO3Hで置換されている。ある実施形態において、X5が、1つの-OHで置換されている。
[0203] 式I中、X
1が、2つの-CO
2Hで置換されている分枝鎖状C
4アルキルである、ある実施形態において、多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドは、式II:
(式中、
xが、1~100であり;
yが、0~100であり;
R
1A及びR
1Bが、独立して、H又はC
1~20アルキルであり;
X
2が、C
1~12アルキレンであり;
X
3が、単結合又はC
1~12アルキレンであり;
X
4が、単結合、-O-、-OC(=O)-、又はアミドであり;
X
5が、少なくとも1つの-OH、-SH、-NH
2、-CO
2H、-P(O)(OH)
2、-P(O)OH、又は-SO
3Hで置換されている直鎖状又は分枝鎖状C
1~20アルキルである)
の構造を有する。
[0204] ある実施形態において、xが、1~100、1~50、1~20、1~10、1~5、5~100、5~50、5~20、5~10、10~100、10~50、10~20、20~100、20~50、又は50~100である。ある実施形態において、xが、10~50である。ある実施形態において、xが、10~20である。
[0205] ある実施形態において、yが、1~100、1~50、1~20、1~10、1~5、5~100、5~50、5~20、5~10、10~100、10~50、10~20、20~100、20~50、又は50~100である。ある実施形態において、yが、1~20である。ある実施形態において、yが、1~10である。
[0206] ある実施形態において、x対yの比率は、約15:1~約1:15、約15:1~約1:10、約15:1~約1:5、約10:1~1:15、約10:1~1:10、約10:1~1:5、約5:1~1:15、約5:1~1:10、又は約5:1~1:5である。
[0207] ある実施形態において、R1AがHである。ある実施形態において、R1AがC1~20アルキルである。ある実施形態において、R1AがC1~10アルキルである。ある実施形態において、R1AがC1~5アルキルである。ある実施形態において、R1Aが-CH3である。
[0208] ある実施形態において、R1BがHである。ある実施形態において、R1BがC1~20アルキルである。ある実施形態において、R1BがC1~10アルキルである。ある実施形態において、R1BがC1~5アルキルである。ある実施形態において、R1Bが-CH3である。
[0209] ある実施形態において、R1AがHであり、R1Bが-CH3である。ある実施形態において、R1Aが-CH3であり、R1BがHである。ある実施形態において、R1AがHであり、R1BがHである。ある実施形態において、R1Aが-CH3であり、R1Bが-CH3である。
[0210] ある実施形態において、X2がC1~12アルキレンである。ある実施形態において、X2がC1~10アルキレンである。ある実施形態において、X2がC1~5アルキレンである。ある実施形態において、X2が-CH2CH2CH2-である。
[0211] ある実施形態において、X3が単結合である。ある実施形態において、X3がC1~20アルキレンである。ある実施形態において、X3がC1~10アルキレンである。ある実施形態において、X3がC1~5アルキレンである。ある実施形態において、X3が-CH2CH2-である。
[0212] ある実施形態において、X4が単結合である。ある実施形態において、X4が-O-である。ある実施形態において、X4が-OC(=O)-である。ある実施形態において、X4がアミドである。ある実施形態において、X4が-NHC(=O)-である。
[0213] ある実施形態において、X5が直鎖状C1~20アルキルである。ある実施形態において、X5が直鎖状C1~10アルキルである。ある実施形態において、X5が直鎖状C1~5アルキルである。ある実施形態において、X5が直鎖状C2アルキルである。ある実施形態において、X5が分枝鎖状C1~20アルキルである。ある実施形態において、X5が分枝鎖状C1~10アルキルである。ある実施形態において、X5が分枝鎖状C1~5アルキルである。ある実施形態において、X5が、少なくとも1つの-OHで置換されている。ある実施形態において、X5が、少なくとも1つの-SHで置換されている。ある実施形態において、X5が、少なくとも1つの-NH2で置換されている。ある実施形態において、X5が、少なくとも1つの-CO2Hで置換されている。ある実施形態において、X5が、少なくとも1つの-P(O)(OH)2で置換されている。ある実施形態において、X5が、少なくとも1つの-P(O)OHで置換されている。ある実施形態において、X5が、少なくとも1つの-SO3Hで置換されている。ある実施形態において、X5が、1つの-OHで置換されている。
[0214] 式I中、X
3が単結合であり、X
4が単結合であり、X
5が、1つの-OHで置換されている直鎖状C
2アルキルである、ある実施形態において、多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドは、式III:
(式中、
xが、1~100であり;
yが、0~100であり;
R
1A及びR
1Bが、独立して、H又はC
1~20アルキルであり;
X
1が、少なくとも1つの-OH、-SH、-NH
2、-CO
2H、-P(O)(OH)
2、-P(O)OH、又は-SO
3Hで置換されている直鎖状又は分枝鎖状C
1~20アルキルであり;
X
2が、C
1~12アルキレンである)
の構造を有する。
[0215] ある実施形態において、xが、1~100、1~50、1~20、1~10、1~5、5~100、5~50、5~20、5~10、10~100、10~50、10~20、20~100、20~50、又は50~100である。ある実施形態において、xが、10~50である。ある実施形態において、xが、10~20である。
[0216] ある実施形態において、yが、1~100、1~50、1~20、1~10、1~5、5~100、5~50、5~20、5~10、10~100、10~50、10~20、20~100、20~50、又は50~100である。ある実施形態において、yが、1~20である。ある実施形態において、yが、1~10である。
[0217] ある実施形態において、x対yの比率は、約15:1~約1:15、約15:1~約1:10、約15:1~約1:5、約10:1~1:15、約10:1~1:10、約10:1~1:5、約5:1~1:15、約5:1~1:10、又は約5:1~1:5である。
[0218] ある実施形態において、R1AがHである。ある実施形態において、R1AがC1~20アルキルである。ある実施形態において、R1AがC1~10アルキルである。ある実施形態において、R1AがC1~5アルキルである。ある実施形態において、R1Aが-CH3である。
[0219] ある実施形態において、R1BがHである。ある実施形態において、R1BがC1~20アルキルである。ある実施形態において、R1BがC1~10アルキルである。ある実施形態において、R1BがC1~5アルキルである。ある実施形態において、R1Bが-CH3である。
[0220] ある実施形態において、R1AがHであり、R1Bが-CH3である。ある実施形態において、R1Aが-CH3であり、R1BがHである。ある実施形態において、R1AがHであり、R1BがHである。ある実施形態において、R1Aが-CH3であり、R1Bが-CH3である。
[0221] ある実施形態において、X1が直鎖状C1~20アルキルである。ある実施形態において、X1が直鎖状C1~10アルキルである。ある実施形態において、X1が直鎖状C1~5アルキルである。ある実施形態において、X1が分枝鎖状C1~20アルキルである。ある実施形態において、X1が分枝鎖状C1~10アルキルである。ある実施形態において、X1が分枝鎖状C1~5アルキルである。ある実施形態において、X1が分枝鎖状C4アルキルである。ある実施形態において、X1が、少なくとも1つの-OHで置換されている。ある実施形態において、X1が、少なくとも1つの-SHで置換されている。ある実施形態において、X1が、少なくとも1つの-NH2で置換されている。ある実施形態において、X1が、少なくとも1つの-CO2Hで置換されている。ある実施形態において、X1が、少なくとも1つの-P(O)(OH)2で置換されている。ある実施形態において、X1が、少なくとも1つの-P(O)OHで置換されている。ある実施形態において、X1が、少なくとも1つの-SO3Hで置換されている。ある実施形態において、X1が、2つの-CO2Hで置換されている。
[0222] ある実施形態において、X2がC1~12アルキレンである。ある実施形態において、X2がC1~10アルキレンである。ある実施形態において、X2がC1~5アルキレンである。ある実施形態において、X2が-CH2CH2CH2-である。
[0223] 式I中、X
1が、2つの-CO
2Hで置換されている分枝鎖状C
4アルキルであり、X
2がC
3アルキレンであり、R
1Aが-Hであり、R
1Bが-Hであり、X
3が単結合であり、X
4が単結合であり、X
5が、1つの-OHで置換されている直鎖状C
2アルキルである、ある実施形態において、多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドは、式IV:
(式中、
xが、1~100である)
の構造を有する。
[0224] ある実施形態において、xが、1~50である。ある実施形態において、xが、1~20である。ある実施形態において、xが、10~20である。
[0225] ある実施形態において、多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドは、スキーム1に示される反応によってヒドロキシ末端ポリマーから調製される。
式中、
xが、1~100であり;
yが、1~100であり;
nが、1~11であり;
R
1A及びR
1Bが、独立して、H又はC
1~20アルキルである。
[0226] ある実施形態において、xが、1~100、1~50、1~20、1~10、1~5、5~100、5~50、5~20、5~10、10~100、10~50、10~20、20~100、20~50、又は50~100である。ある実施形態において、xが、10~50である。ある実施形態において、xが、10~20である。
[0227] ある実施形態において、yが、1~100、1~50、1~20、1~10、1~5、5~100、5~50、5~20、5~10、10~100、10~50、10~20、20~100、20~50、又は50~100である。ある実施形態において、yが、1~20である。ある実施形態において、yが、1~10である。
[0228] ある実施形態において、R1AがHである。ある実施形態において、R1AがC1~20アルキルである。ある実施形態において、R1AがC1~10アルキルである。ある実施形態において、R1AがC1~5アルキルである。ある実施形態において、R1Aが-CH3である。
[0229] ある実施形態において、R1BがHである。ある実施形態において、R1BがC1~20アルキルである。ある実施形態において、R1BがC1~10アルキルである。ある実施形態において、R1BがC1~5アルキルである。ある実施形態において、R1Bが-CH3である。
[0230] ある実施形態において、nが、1~11である。ある実施形態において、nが、1~10である。ある実施形態において、nが、1~5である。ある実施形態において、nが2である。
[0231] ある実施形態において、アリルオキシ末端ポリマーは、市販のアリルオキシ末端ポリエチレンオキシドポリマーである。ある実施形態において、スキーム1のアリルオキシ末端ポリマーは、y=0、R1A=H、及びR1B=H、及び2~6つのEOを有し、Gelest,Inc.から入手可能である。ある実施形態において、スキーム1のアリルオキシ末端ポリマーは、y=0、R1A=H、及びR1B=H、及び1~4つのEOを有し、Gelest,Inc.から入手可能である。ある実施形態において、スキーム1のアリルオキシ末端ポリマーは、y=0、R1A=H、及びR1B=H、及び6~9つのEOを有し、Gelest,Inc.から入手可能である。
[0232] ある実施形態において、アリルオキシ末端ポリエチレンオキシドポリマーは、ポリエチレングリコールを、ハロゲン化アリル又はハロゲン化アリルアルキルと反応させることによって調製される。ある実施形態において、ポリエチレングリコールアルケンは、米国特許第7,718,577号に開示される方法にしたがって調製される。米国特許第7,718,577号には、スキーム2に示される以下の合成手順が開示されている。
式中、
aが、1~11であり、bが、1~100であり;
Xが、ハロゲン化アリル又はハロゲン化アリルアルキルである。
[0233] ある実施形態において、多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドは、スキーム3に示される反応によってカルボン酸末端ポリマーから調製される。
式中、
xが、1~100であり;
yが、1~100であり;
nが、1~11であり;
pが、1~4であり;
R
1A及びR
1Bが、独立して、H又はC
1~20アルキルである。
[0234] ある実施形態において、xが、1~100、1~50、1~20、1~10、1~5、5~100、5~50、5~20、5~10、10~100、10~50、10~20、20~100、20~50、又は50~100である。ある実施形態において、xが、10~50である。ある実施形態において、xが、10~20である。
[0235] ある実施形態において、yが、1~100、1~50、1~20、1~10、1~5、5~100、5~50、5~20、5~10、10~100、10~50、10~20、20~100、20~50、又は50~100である。ある実施形態において、yが、1~20である。ある実施形態において、yが、1~10である。
[0236] ある実施形態において、R1AがHである。ある実施形態において、R1AがC1~20アルキルである。ある実施形態において、R1AがC1~10アルキルである。ある実施形態において、R1AがC1~5アルキルである。ある実施形態において、R1Aが-CH3である。
[0237] ある実施形態において、R1BがHである。ある実施形態において、R1BがC1~20アルキルである。ある実施形態において、R1BがC1~10アルキルである。ある実施形態において、R1BがC1~5アルキルである。ある実施形態において、R1Bが-CH3である。
[0238] ある実施形態において、nが、1~11である。ある実施形態において、nが、1~10である。ある実施形態において、1が、1~5である。ある実施形態において、nが2である。
[0239] ある実施形態において、カルボン酸末端ポリエチレンオキシドポリマーは、ポリエチレングリコールを、ハロゲン化アリル又はハロゲン化アリルアルキルと反応させることによって調製される。ある実施形態において、ポリエチレングリコールアルケンは、米国特許第7,718,577号に開示される方法にしたがって調製される。米国特許第7,718,577号には、スキーム4に示される以下の合成手順が開示されている。
式中、
bが、1~100であり;
nが、1~11であり;
pが、1~4である。
リガンド交換
[0240] ある実施形態において、本発明は、ナノ構造におけるリガンドを交換するための方法に関する。ある実施形態において、ナノ構造ドットにおける第1のリガンドは、多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドと交換される。この基の少なくとも1つの官能基は、ナノ構造のネイティブ疎水性リガンドを置換し、ナノ結晶表面上へのリガンドの安定した固定を提供する。ある実施形態において、ナノ構造は量子ドットである。
[0241] ある実施形態において、本開示は、ナノ構造におけるリガンドを交換するための方法に関する。ある実施形態において、ナノ構造における第1のリガンドは、多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドと交換される。多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドの少なくとも1つの官能基は、ナノ構造に非共有結合されたネイティブ疎水性リガンド(native hydrophobic ligands)を置換し、ナノ構造表面上への多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドの安定した固定を提供する。ある実施形態において、ナノ構造は量子ドットである。
[0242] ある実施形態において、本開示は、ナノ構造における第1のリガンドを、第2のリガンドで置換する方法に関する。ある実施形態において、第2のリガンドは、多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドである。ある実施形態において、ナノ構造は量子ドットである。
[0243] ある実施形態において、本開示は、ナノ構造における第1のリガンドを、第2のリガンドで置換する方法であって、
第2のリガンドが第1のリガンドを置換し、ナノ構造に非共有結合されるように、ナノ構造に非共有結合された第1のリガンドを有するナノ構造の集団及び第2のリガンドである多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドを含む反応混合物を混合することを含む方法に関する。
[0244] ある実施形態において、混合された反応混合物は、溶媒を実質的に含まない。ある実施形態において、混合された反応混合物は、溶媒を含まない。本明細書において使用される際、「溶媒を実質的に含まない」という用語は、混合された反応混合物が、2重量%未満の溶媒を含有することが意図される。ある実施形態において、混合された反応混合物は、重量基準で1%未満、0.5%未満、又は0.1%未満の溶媒を含有する。第2のリガンドが、多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドであり、多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドが、100℃未満のTg及び約1000cSt未満の粘度を有する場合、溶媒リガンド置換が行われ得る(全体が参照により本明細書に援用される米国特許第9,005,480号を参照)。
[0245] ある実施形態において、ナノ構造は量子ドットである。
[0246] ある実施形態において、第1のリガンドは、ナノ構造に共有結合されている。ある実施形態において、第1のリガンドは、ナノ構造に非共有結合されている。
[0247] ある実施形態において、第2のリガンドは、ナノ構造に共有結合される。ある実施形態において、第2のリガンドは、ナノ構造に非共有結合される。
[0248] ある実施形態において、混合は、約0℃~約200℃、約0℃~約150℃、約0℃~約100℃、約0℃~約80℃、約20℃~約200℃、約20℃~約150℃、約20℃~約100℃、約20℃~約80℃、約50℃~約200℃、約50℃~約150℃、約50℃~約100℃、約50℃~約80℃、約80℃~約200℃、約80℃~約150℃、約80℃~約100℃、約100℃~約200℃、約100℃~約150℃、又は約150℃~約200℃の温度で行われる。ある実施形態において、混合は、約50℃~約100℃の温度で行われる。ある実施形態において、混合は、約80℃の温度で行われる。
[0249] ある実施形態において、混合は、約1分間~約6時間、約1分間~約2時間、約1分間~約1時間、約1分間~約40分間、約1分間~約30分間、約1分間~約20分間、約1分間~約10分間、約10分間~約6時間、約10分間~約2時間、約10分間~約1時間、約10分間~約40分間、約10分間~約30分間、約10分間~約20分間、約20分間~約6時間、約20分間~約2時間、約20分間~約1時間、約20分間~約40分間、約20分間~約30分間、約30分間~約6時間、約30分間~約2時間、約30分間~約1時間、約30分間~約40分間、約40分間~約6時間、約40分間~約2時間、約40分間~約1時間、約1時間~約6時間、約1時間~約2時間、又は約2時間~約6時間の期間にわたって行われる。ある実施形態において、混合は、約40分間~約2時間の期間にわたって行われる。ある実施形態において、混合は、約1時間の期間にわたって行われる。
[0250] ある実施形態において、反応混合物は、溶媒をさらに含む。ある実施形態において、溶媒は、クロロホルム、アセトン、ブタノン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、モノメチルエーテルグリコールエステル、γ-ブチロラクトン、メチル酢酸-3-エチルエーテル、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、プロパンジオールモノメチルエーテル、プロパンジオールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、イソプロピルアルコール、及びそれらの組合せからなる群から選択される。ある実施形態において、溶媒はトルエンである。
[0251] 量子ドット対多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドの比率は、所望の波長におけるストック溶液の光学密度を測定することによって決定され得る。例えば、5.0mg/mL/OD460のリガンド比率を達成するために、10の光学密度(1cm経路長キュベット中で460nmの波長で測定される)を有する量子ドットの4.0mLのストック溶液が、200mgの多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドと組み合わされ得る。また、2.5mg/mL/OD460のリガンド比率を達成するために、10の光学密度(1cm経路長キュベット中で460nmの波長で測定される)を有する量子ドットの4.0mLのストック溶液が、100mgの多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドと組み合わされ得る。
[0252] ある実施形態において、光学密度(約450nm~約600nmの波長における)によって測定される量子ドット対多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドの比率は、約0.25mg/mL~約10mg/mL、約0.25mg/mL~約5mg/mL、約0.25mg/mL~約1mg/mL、約0.25mg/mL~約0.5mg/mL、約0.5mg/mL~約10mg/mL、約0.5mg/mL~約5mg/mL、約0.5mg/mL~約1mg/mL、約1mg/mL~約10mg/mL、約1mg/mL~約5mg/mL、又は約5mg/mL~約10mg/mLである。ある実施形態において、光学密度(約460nmの波長における)によって測定される量子ドット対多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドの比率は、約0.25mg/mL~約10mg/mL、約0.25mg/mL~約5mg/mL、約0.25mg/mL~約1mg/mL、約0.25mg/mL~約0.5mg/mL、約0.5mg/mL~約10mg/mL、約0.5mg/mL~約5mg/mL、約0.5mg/mL~約1mg/mL、約1mg/mL~約10mg/mL、約1mg/mL~約5mg/mL、又は約5mg/mL~約10mg/mLである。
[0253] ある実施形態において、光学密度(約600nm~約750nmの波長における)によって測定される量子ドット対多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドの比率は、約0.25mg/mL~約10mg/mL、約0.25mg/mL~約5mg/mL、約0.25mg/mL~約1mg/mL、約0.25mg/mL~約0.5mg/mL、約0.5mg/mL~約10mg/mL、約0.5mg/mL~約5mg/mL、約0.5mg/mL~約1mg/mL、約1mg/mL~約10mg/mL、約1mg/mL~約5mg/mL、又は約5mg/mL~約10mg/mLである。
[0254] 多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドで置換される第1のリガンドのパーセンテージは、1H NMRによって測定され得る。ある実施形態において、多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドで置換される第1のリガンドのモルパーセンテージは、約20%~約100%、約20%~約80%、約20%~約60%、約20%~約40%、約25%~約100%、約25%~約80%、約25%~約60%、約25%~約40%、約30%~約100%、約30%~約80%、約30%~約60%、約30%~約40%、約40%~約100%、約40%~約80%、約40%~約60%、約60%~約100%、約60%~約80%、又は約80%~約100%である。
[0255] ナノ構造の集団中のナノ構造に結合された多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドのパーセンテージは、1H NMRによって測定され得る。ある実施形態において、ナノ構造に結合された多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドのモルパーセンテージは、約20%~約100%であり、約20%~約100%、約20%~約80%、約20%~約60%、約20%~約40%、約25%~約100%、約25%~約80%、約25%~約60%、約25%~約40%、約30%~約100%、約30%~約80%、約30%~約60%、約30%~約40%、約40%~約100%、約40%~約80%、約40%~約60%、約60%~約100%、約60%~約80%、又は約80%~約100%である。
[0256] 多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドを含むナノ構造の集団中のナノ構造のパーセンテージは、1H NMRによって測定され得る。ある実施形態において、多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドを含むナノ構造の少なくとも1つの集団に結合されたリガンドのモルパーセンテージは、約20%~約100%であり、約20%~約100%、約20%~約80%、約20%~約60%、約20%~約40%、約25%~約100%、約25%~約80%、約25%~約60%、約25%~約40%、約30%~約100%、約30%~約80%、約30%~約60%、約30%~約40%、約40%~約100%、約40%~約80%、約40%~約60%、約60%~約100%、約60%~約80%、又は約80%~約100%である。
有機樹脂
[0257] ある実施形態において、ナノ構造は、有機樹脂中に分散されている。好適な有機樹脂は、ナノ構造組成物を調製及び貯蔵するのに使用される条件下でナノ構造と実質的に非反応性であるが、反応を起こして、ポリマー及び/又は相互貫入網目構造を形成することが可能である。
[0258] フィルムの性能及び大気/熱安定性は、多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドの2つの設計特徴によって改善される:(1)リガンドが架橋マトリックスの一部になるのを可能にする反応性末端基;及び(2)二座配位子の使用による量子ドット表面へのより強い結合。
[0259] リガンドを、ヒドロキシル基でキャッピングすることにより、ヒドロキシル基がエポキシド樹脂と反応し、高密度の架橋網目構造を形成することが可能になる。ヒドロキシル基とエポキシドとの反応の例が、スキーム5に示されている。
[0260] ある実施形態において、有機樹脂は、ラジカル重合反応を起こすことが可能である。ある実施形態において、有機樹脂は、1つ以上のモノマーを含む。ある実施形態において、有機樹脂は、1つ以上のオリゴマーを含む。
[0261] ある実施形態において、有機樹脂は、ラジカル重合性基を有する。ある実施形態において、ラジカル重合性基は、エチレン性不飽和基である。ある実施形態において、エチレン性不飽和基は、アクリロイルオキシ基、アクリリルオキシアルキル基、メタクリリルオキシ(methacrylyloxy)基、メタクリリルオキシアルキル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、ビニルオキシ基、炭酸ビニル基、O-ビニルカーボネート基、N-ビニルカーボネート基、芳香族ビニル基、又はビニル基である。
[0262] ある実施形態において、有機樹脂は、アクリレートである。ある実施形態において、アクリレートは、単一のアクリレート化合物又は異なるアクリレート化合物の混合物である。ある実施形態において、アクリレートは、単官能性、二官能性、三官能性、又はより高い官能性のものである。
[0263] ある実施形態において、アクリレートは、単官能性である。ある実施形態において、単官能性アクリレートは、イソボルニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、オクチルアクリレート、イソデシルアクリレート、トリデシルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、ノニルフェノールアクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化o-フェニルフェノールアクリレート、N-[2-(アクリロイルオキシ)エチル]フタルイミド、2-アクリロイルオキシエチルスクシネート又はグリシジルアクリレートである。ある実施形態において、単官能性アクリレートは、イソボルニルアクリレートである。
[0264] ある実施形態において、アクリレートは、二官能性である。ある実施形態において、二官能性アクリレートは、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(SARTOMER(登録商標)833s)、ジオキサングリセロールジアクリレート(SARTOMER(登録商標)CD 536)、1,4-ブタンジオールジアクリレート(SARTOMER(登録商標)213)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(SARTOMER(登録商標)238)、エトキシ化1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、3-メチル1,5-ペンタンジオールジアクリレート(SARTOMER(登録商標)341)、トリプロピレングリコールジアクリレート(SARTOMER(登録商標)306)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(SARTOMER(登録商標)247)、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、デメチロールトリシクロデカンジアクリレート(KAYARAD(登録商標)R-684)、1,4-ジヒドロキシメチルシクロヘキサンジアクリレート、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-シクロヘキシル)プロパンジアクリレート、ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)メタンジアクリレート、ヒドロキシピバル酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、又はジプロピレングリコールジアクリレートである。ある実施形態において、二官能性アクリレートは、ジプロピレングリコールジアクリレートである。
[0265] ある実施形態において、アクリレートは、芳香族二官能性アクリレートである。ある実施形態において、芳香族二官能性アクリレートは、ビスフェノールAポリエチレングリコールジエーテルジアクリレート(KAYARAD(登録商標)R-551)、2,2’-メチレンビス[p-フェニレンポリ(オキシエチレン)オキシ]ジエチルジアクリレート(KAYARAD(登録商標)R-712)、ヒドロキノンジアクリレート、4,4’-ジヒドロキシビフェニルジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールFジアクリレート、ビスフェノールSジアクリレート、エトキシ化若しくはプロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化若しくはプロポキシ化ビスフェノールFジアクリレート、エトキシ化若しくはプロポキシ化ビスフェノールSジアクリレート、又はビスフェノール-Aエポキシジアクリレートである。
[0266] ある実施形態において、アクリレートは、ポリエチレングリコール二官能性アクリレートである。ある実施形態において、ポリエチレングリコール二官能性アクリレートは、テトラエチレングリコールジアクリレート(SARTOMER(登録商標)268)、ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート(SARTOMER(登録商標)259)、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート(SARTOMER(登録商標)344)である。
[0267] ある実施形態において、アクリレートは、三官能性アクリレート又はさらにより高い官能性を有するアクリレートである。ある実施形態において、アクリレートは、ヘキサン-2,4,6-トリオールトリアクリレート、グリセロールトリアクリレート、1,1,1-トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化若しくはプロポキシ化グリセロールトリアクリレート、エトキシ化若しくはプロポキシ化1,1,1-トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ビストリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリトリトールモノヒドロキシトリアクリレート、ジペンタエリトリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート(SARTOMER(登録商標)399)、ペンタエリトリトールトリアクリレート(SARTOMER(登録商標)444)、ペンタエリトリトールテトラアクリレート(SARTOMER(登録商標)295)、トリメチロールプロパントリアクリレート(SARTOMER(登録商標)351)、トリス(2-アクリルオキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(SARTOMER(登録商標)368)、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(SARTOMER(登録商標)454)、又はジペンタエリトリトールペンタアクリレートエステル(SARTOMER(登録商標)9041)である。ある実施形態において、アクリレートは、3価フェノールのトリグリシジルエーテル、及び3つのヒドロキシ基を含有するフェノール又はクレゾールノボラック(フェノール-ホルムアルデヒド縮合ポリマー)と、アクリル酸との芳香族トリアクリレート反応生成物である。
[0268] ある実施形態において、アクリレートは、多官能性ウレタンアクリレートである。ウレタンアクリレートは、例えば、ヒドロキシ末端ポリウレタンをアクリル酸と反応させることによって、又はイソシアネート末端プレポリマーをヒドロキシアルキルアクリレートと反応させて、ウレタンアクリレートを得ることによって調製され得る。ある実施形態において、ウレタンアクリレートは、ポリエステルジオール、脂肪族イソシアネート、又はヒドロキシアルキルアクリレートから作製される。
[0269] ある実施形態において、アクリレートは、超分岐ポリエステルタイプを含む、より高次の官能性のアクリレートである。ある実施形態において、アクリレートは、SARTOMER(登録商標)から入手可能な、CN2301、CN2302、CN2303、CN2304などの市販のアクリレートである。
[0270] ある実施形態において、アクリレートは、日本化薬株式会社(Nippon Kayaku Co.,Ltd.)(東京、日本)から入手可能な、KAYARAD(登録商標)D-310、D-330、DPHA-2H、DPHA-2C、DPHA-21、DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60、DPCA-120、DN-0075、DN-2475、T-2020、T-2040、TPA-320、TPA-330 T-1420、PET-30、THE-330、及びRP-1040;日本化薬株式会社(Nippon Kayaku Co.,Ltd.)(東京、日本)から入手可能な、R-526、R-604、R-011、R-300及びR-205;東亞合成株式会社(Toagosei Chemical Industry Co.,Ltd.)(東京、日本)から入手可能な、ARONIX(登録商標)M-210、M-220、M-233、M-240、M-215、M-305、M-309、M-310、M-315、M-325、M-400、M-6200、及びM-6400;共栄社化学株式会社(Kyoeisha Chemical Industry Co.,Ltd.)(大阪、日本)から入手可能な、light acryrate BP-4EA、BP-4PA、BP-2EA、BP-2PA、及びDCP-A;第一工業製薬株式会社(Daichi Kogyo Seiyaku Co.,Ltd.)(東京、日本)から入手可能な、New Frontier BPE-4、TEICA、BR-42M、及びGX-8345;新日鐵化学株式会社(Nippon Steel Chemical Co.,Ltd.)(東京、日本)から入手可能なASF-400;昭和高分子株式会社(Showa Highpolymer Co.,Ltd.)(東京、日本)から入手可能な、Ripoxy SP-1506、SP-1507、SP-1509、VR-77、SP-4010及びSP-4060;新中村化学工業株式会社(Shin-Nakamura Chemical Industry Co.,Ltd.)(和歌山、日本)から入手可能なNK Ester A-BPE-4;三菱ケミカル株式会社(Mitsubishi Chemical Co.,Ltd.)(東京、日本)から入手可能なSA-1002;又は大阪有機化学工業株式会社(Osaka Organic Chemical Industry Co.,Ltd.)(大阪、日本)から入手可能な、Viscoat-195、Viscoat-230、Viscoat-260、Viscoat-310、Viscoat-214HP、Viscoat-295、Viscoat-300、Viscoat-360、Viscoat-GPT、Viscoat-400、Viscoat-700、Viscoat-540、Viscoat-3000、及びViscoat-3700などの市販のアクリレートである。
[0271] ある実施形態において、有機樹脂は、メタクリレートである。ある実施形態において、メタクリレートは、単一のメタクリレート化合物又は異なるメタクリレート化合物の混合物である。ある実施形態において、メタクリレートは、単官能性、二官能性、三官能性、又はより高い官能性のものである。
[0272] ある実施形態において、メタクリレートは、単官能性である。ある実施形態において、単官能性メタクリレートは、イソボルニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、エトキシ化フェニルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、オクチルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、カプロラクトンメタクリレート、ノニルフェノールメタクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリプロピレングリコールメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、又はグリシジルメタクリレートである。
[0273] ある実施形態において、メタクリレートは、1,4-ジヒドロキシメチルシクロヘキサンジメタクリレート、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-シクロヘキシル)プロパンジメタクリレート、ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)メタンジメタクリレート、又は1,6-ヘキサンジオールジメタクリレートなどの、脂肪族又は脂環式二官能性メタクリレートである。ある実施形態において、メタクリレートは、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレートである。
[0274] ある実施形態において、メタクリレートは、エトキシ化(2)ビスフェノールAジメタクリレート(SARTOMER(登録商標)10 IK)、エトキシ化(2)ビスフェノールAジメタクリレート(SARTOMER(登録商標)348L)、エトキシ化(3)ビスフェノールAジメタクリレート(SARTOMER(登録商標)348C)、エトキシ化(4)ビスフェノールAジメタクリレート(SARTOMER(登録商標)150)、エトキシ化(4)ビスフェノールAジメタクリレート(SARTOMER(登録商標)540)、エトキシ化(10)ビスフェノールAジメタクリレート(SARTOMER(登録商標)480)、ヒドロキノンジメタクリレート、4,4’-ジヒドロキシビフェニルジメタクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、ビスフェノールFジメタクリレート、ビスフェノールSジメタクリレート、エトキシ化若しくはプロポキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、エトキシ化若しくはプロポキシ化ビスフェノールFジメタクリレート、又はエトキシ化若しくはプロポキシ化ビスフェノールSジメタクリレートなどの芳香族二官能性メタクリレートである。
[0275] ある実施形態において、メタクリレートは、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(SARTOMER(登録商標)834)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(SARTOMER(登録商標)350)、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート(SARTOMER(登録商標)367)、ヘキサン-2,4,6-トリオールトリメタクリレート、グリセロールトリメタクリレート、1,1,1-トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシ化若しくはプロポキシ化グリセロールトリメタクリレート、エトキシ化若しくはプロポキシ化1,1,1-トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、ビストリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリトリトールモノヒドロキシトリアクリレート、又はジペンタエリトリトールモノヒドロキシペンタメタクリレートなどの、三官能性メタクリレート又はより高い官能性を有するメタクリレートである。
[0276] ある実施形態において、メタクリレートは、芳香族三官能性メタクリレートである。ある実施形態において、芳香族三官能性メタクリレートは、3価フェノールのトリグリシジルエーテルと、3つのヒドロキシ基を含有するフェノール又はクレゾールノボラックと、メタクリル酸との反応生成物である。ある実施形態において、芳香族トリメタクリレートは、3価フェノールのトリグリシジルエーテルと、3つのヒドロキシ基を含有するフェノール又はクレゾールノボラックと、メタクリル酸との反応生成物である。
[0277] ある実施形態において、有機樹脂は、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,3,5-トリアリル-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
[0278] ある実施形態において、有機樹脂は、エポキシモノマーである。ある実施形態において、エポキシモノマーは、3’,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、シクロヘキセンオキシド、二酸化リモネン、グリシジルメタクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノール-Aジグリシジルエーテル、グリシジルアクリレートエステル、グリシジルメタクリレートエステル、α-エチルアクリレートグリシジルエステル、α-n-プロピルアクリレートグリシジルエステル、α-n-ブチルアクリレートグリシジルエステル、アクリレート-3,4-エポキシ-ブチルエステル、メタクリレート-3,4-エポキシ-ブチルエステル、アクリレート-6,7-エポキシ-ヘプチルエステル、メタクリレート-6,7-エポキシ-ヘプチルエステル、α-エチルアクリレート-6,7-エポキシ-ヘプチルエステル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、又はp-ビニルベンジルグリシジルエーテルである。ある実施形態において、エポキシモノマーは、二酸化リモネンである。
[0279] ある実施形態において、有機樹脂は、オキセタンモノマーである。ある実施形態において、オキセタンモノマーは、ジオキセタニルエーテル、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-フェノキシメチルオキセタン、3,3-ジメチルオキセタン、3,3-(ヒドロキシメチル)メチルオキセタン、3,3-(ナイトレートメチル(nitratomethyl))メチルオキセタン、3,3-ビス(ヒドロキシメチル)オキセタン、3,3-ビス(クロロメチル)オキセタン、3,3-(アジドメチル)メチルオキセタン、3,3-ビス(アジドメチル)オキセタン、3-メチルニトロアミノメチル-オキセタン、3,3-ビス(メチルニトロアミノメチル)オキセタン、3,3-(ジフルオロアミノメチル)メチルオキセタン、3,3-ビス(ジフルオロアミノメチル)オキセタン、3-ヒドロキシ-オキセタン、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、又はビス[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテルである。ある実施形態において、オキセタンモノマーは、ジオキセタニルエーテルである。
[0280] ある実施形態において、ナノ構造組成物は、少なくとも1つの有機樹脂を含む。ある実施形態において、ナノ構造組成物は、1~5、1~4、1~3、1~2、2~5、2~4、2~3、3~5、3~4、又は4~5つの有機樹脂を含む。
[0281] 有機樹脂は、任意の好適な量で存在し得る。例えば、有機樹脂は、ナノ構造と比較して、より多い、ほぼ同じ、又はより少ない(重量/重量)量で存在し得る。ある実施形態において、有機樹脂対ナノ構造の重量比は、約1000:1~約1:1000、約1000:1~約1:500、約1000:1~約1:200、約1000:1~約1:100、約1000:1~約1:50、約1000:1~約1:10、約1000:1~約1:1、約500:1~約1:1000、約500:1~約1:500、約500:1~約1:200、約500:1~約1:100、約500:1~約1:50、約500:1~約1:10、約500:1~約1:1、約200:1~約1:1000、約200:1~約1:500、約200:1~約1:200、約200:1~約1:100、約200:1~約1:50、約200:1~約1:10、約200:1~約1:1、約100:1~約1:1000、約100:1~約1:500、約100:1~約1:200、約100:1~約1:100、約100:1~約1:50、約100:1~約1:10、約100:1~約1:1、約50:1~約1:1000、約50:1~約1:500、約50:1~約1:200、約50:1~約1:100、約50:1~約1:50、約50:1~約1:10、約50:1~約1:1、約10:1~約1:1000、約10:1~約1:500、約1:10~約1:200、約10:1~約1:100、約10:1~約1:50、約10:1~約1:10、約10:1~約1:1である。ある実施形態において、有機樹脂対ナノ構造の重量比は、約1000:1、約500:1、約200:1、約100:1、約50:1、約10:1、約1:1、約1:10、約1:50、約1:100、約1:200、約1:500、又は約1:1000である。
[0282] ある実施形態において、ナノ構造組成物中の有機樹脂の重量パーセンテージは、約0.01%~約99%、約0.01%~約95%、約0.01%~約90%、約0.01%~約80%、約0.01%~約70%、約0.01%~約60%、約0.01%~約50%、約0.01%~約25%、約0.01%~約20%、約0.01%~約15%、約0.01%~約10%、約0.01%~約5%、約0.01%~約2%、約0.01%~約1%、約1%~約99%、約1%~約95%、約1%~約90%、約1%~約80%、約1%~約70%、約1%~約60%、約1%~約50%、約1%~約25%、約1%~約20%、約1%~約15%、約1%~約10%、約1%~約5%、約1%~約2%、約2%~約99%、約2%~約95%、約2%~約90%、約2%~約80%、約2%~約70%、約2%~約60%、約2%~約50%、約2%~約25%、約2%~約20%、約2%~約15%、約2%~約10%、約2%~約5%、約5%~約99%、約5%~約95%、約5%~約90%、約5%~約80%、約5%~約70%、約5%~約60%、約5%~約50%、約5%~約25%、約5%~約20%、約5%~約15%、約5%~約10%、約10%~約99%、約10%~約95%、約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約25%、約10%~約20%、約10%~約15%、約15%~約50%、約15%~約25%、約15%~約20%、約20%~約99%、約20%~約95%、約20%~約90%、約20%~約80%、約20%~約70%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約25%、約25%~約99%、約25%~約95%、約25%~約90%、約25%~約80%、約25%~約70%、約25%~約60%、約25%~約50%、約50%~約99%、約50%~約95%、約50%~約90%、約50%~約80%、約50%~約70%、約50%~約60%、約60%~約99%、約60%~約95%、約60%~約90%、約60%~約80%、約60%~約70%、約70%~約99%、約70%~約95%、約70%~約90%、約70%~約80%、約80%~約90%、約80%~約90%、約80%~約95%、約80%~約99%、約90%~約95%、約90%~約99%、又は約95%~約99%である。
[0283] ある実施形態において、ナノ構造成形品中の有機樹脂の重量パーセンテージは、約0.01%~約99%、約0.01%~約95%、約0.01%~約90%、約0.01%~約80%、約0.01%~約70%、約0.01%~約60%、約0.01%~約50%、約0.01%~約25%、約0.01%~約20%、約0.01%~約15%、約0.01%~約10%、約0.01%~約5%、約0.01%~約2%、約0.01%~約1%、約1%~約99%、約1%~約95%、約1%~約90%、約1%~約80%、約1%~約70%、約1%~約60%、約1%~約50%、約1%~約25%、約1%~約20%、約1%~約15%、約1%~約10%、約1%~約5%、約1%~約2%、約2%~約99%、約2%~約95%、約2%~約90%、約2%~約80%、約2%~約70%、約2%~約60%、約2%~約50%、約2%~約25%、約2%~約20%、約2%~約15%、約2%~約10%、約2%~約5%、約5%~約99%、約5%~約95%、約5%~約90%、約5%~約80%、約5%~約70%、約5%~約60%、約5%~約50%、約5%~約25%、約5%~約20%、約5%~約15%、約5%~約10%、約10%~約99%、約10%~約95%、約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約25%、約10%~約20%、約10%~約15%、約15%~約50%、約15%~約25%、約15%~約20%、約20%~約99%、約20%~約95%、約20%~約90%、約20%~約80%、約20%~約70%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約25%、約25%~約99%、約25%~約95%、約25%~約90%、約25%~約80%、約25%~約70%、約25%~約60%、約25%~約50%、約50%~約99%、約50%~約95%、約50%~約90%、約50%~約80%、約50%~約70%、約50%~約60%、約60%~約99%、約60%~約95%、約60%~約90%、約60%~約80%、約60%~約70%、約70%~約99%、約70%~約95%、約70%~約90%、約70%~約80%、約80%~約90%、約80%~約90%、約80%~約95%、約80%~約99%、約90%~約95%、約90%~約99%、又は約95%~約99%である。
ナノ構造組成物の作製
[0284] 本発明は、ナノ構造の少なくとも1つの集団であって、ナノ構造が、ナノ構造に結合された多官能性ポリ(アルキレンオキシド)を含む、ナノ構造の少なくとも1つの集団と、少なくとも1つの有機樹脂とを混合することを含むナノ構造組成物を作製する方法を提供する。
[0285] 本発明は、ナノ構造組成物を調製する方法であって、
(a)ナノ構造の少なくとも1つの集団であって、ナノ構造が、ナノ構造に結合された多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドを含む、ナノ構造の少なくとも1つの集団を含む組成物を提供することと;
(b)少なくとも1つの有機樹脂を、(a)の組成物と混合することとを含む、方法を提供する。
[0286] ある実施形態において、ナノ構造の集団は、赤色、緑色、又は青色光を放出する。ある実施形態において、赤色、緑色、及び青色光のそれぞれの割合は、ナノ構造フィルムを組み込んだ表示装置によって放出される白色光について所望の白色点を達成するように制御され得る。
[0287] ある実施形態において、ナノ構造組成物は、ナノ構造材料の少なくとも1つの集団を含む。ある実施形態において、ナノ構造組成物は、1~5、1~4、1~3、1~2、2~5、2~4、2~3、3~5、3~4、又は4~5つのナノ構造材料の集団を含む。量子ドットの集団の任意の好適な比率は、所望のナノ構造組成物特性を生じるように組み合わされ得る。ある実施形態において、ナノ構造は量子ドットである。
[0288] ある実施形態において、ナノ構造組成物は、少なくとも1つの有機樹脂を含む。ある実施形態において、ナノ構造組成物は、1~5、1~4、1~3、1~2、2~5、2~4、2~3、3~5、3~4、又は4~5つの有機樹脂を含む。ある実施形態において、ナノ構造組成物は、1~3、1~2、又は2~3つの有機樹脂を含む。ある実施形態において、ナノ構造組成物は、1つの有機樹脂を含む。ある実施形態において、ナノ構造は量子ドットである。
[0289] ある実施形態において、ナノ構造組成物中のナノ構造の集団の重量パーセンテージは、約0.001%~約2%、約0.001%~約1%、約0.001%~約0.5%、約0.001%~約0.1%、約0.001%~0.01%、約0.01%~約2%、約0.01%~約1%、約0.01%~約0.5%、約0.01%~約0.1%、約0.1%~約2%、約0.1%~約1%、約0.1%~約0.5%、約0.5%~約2%、約0.5%~約1%、又は約1%~約2%である。ある実施形態において、ナノ構造は量子ドットである。
[0290] ある実施形態において、ナノ構造組成物中の有機樹脂の重量パーセンテージは、約5%~約50%、約5%~約40%、約5%~約30%、約5%~約20%、約5%~約10%、約10%~約50%、約10%~約40%、約10%~約30%、約10%~約20%、約20%~約50%、約20%~約40%、約20%~約30%、約30%~約50%、約30%~約40%、又は約40%~約50%である。
[0291] ある実施形態において、少なくとも1つの有機樹脂は、約100rpm~約10,000rpm、約100rpm~約5,000rpm、約100rpm~約3,000rpm、約100rpm~約1,000rpm、約100rpm~約500rpm、約500rpm~約10,000rpm、約500rpm~約5,000rpm、約500rpm~約3,000rpm、約500rpm~約1,000rpm、約1,000rpm~約10,000rpm、約1,000rpm~約5,000rpm、約1,000rpm~約3,000rpm、約3,000rpm~約10,000rpm、約3,000rpm~約10,000rpm、又は約5,000rpm~約10,000rpmの撹拌速度でナノ構造の少なくとも1つの集団と混合される。
[0292] ある実施形態において、少なくとも1つの有機樹脂は、約-5℃~約100℃、約-5℃~約75℃、約-5℃~約50℃、約-5℃~約23℃、約23℃~約100℃、約23℃~約75℃、約23℃~約50℃、約50℃~約100℃、約50℃~約75℃、又は約75℃~約100℃の温度でナノ構造の少なくとも1つの集団と混合される。ある実施形態において、少なくとも1つの有機樹脂は、約23℃~約50℃の温度でナノ構造の少なくとも1つの集団と混合される。
[0293] ある実施形態において、少なくとも1つの有機樹脂は、約10分間~約24時間、約10分間~約20時間、約10分間~約15時間、約10分間~約10時間、約10分間~約5時間、約10分間~約1時間、約10分間~約30分間、約30分間~約24時間、約30分間~約20時間、約30分間~約15時間、約30分間~約10時間、約30分間~約5時間、約30分間~約1時間、約1時間~約24時間、約1時間~約20時間、約1時間~約15時間、約1時間~約10時間、約1時間~約5時間、約5時間~約24時間、約5時間~約20時間、約5時間~約15時間、約5時間~約10時間、約10時間~約24時間、約10時間~約20時間、約10時間~約15時間、約15時間~約24時間、約15時間~約20時間、又は約20時間~約24時間の時間にわたってナノ構造の少なくとも1つの集団と混合される。
[0294] ある実施形態において、混合は、溶媒をさらに含む。ある実施形態において、溶媒は、クロロホルム、アセトン、ブタノン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、モノメチルエーテルグリコールエステル、γ-ブチロラクトン、メチル酢酸-3-エチルエーテル、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、プロパンジオールモノメチルエーテル、プロパンジオールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、イソプロピルアルコール、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
ナノ構造組成物の増加した安定性
[0295] 多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドは、有機樹脂中のナノ構造の集団に増加した安定性を提供し、長期間にわたるナノ構造の貯蔵を可能にする。ある実施形態において、ナノ構造の少なくとも1つの集団は、約1分間~約3年間、約1分間~約12ヶ月間、約1分間~約6ヶ月間、約1分間~約3ヶ月間、約1分間~約1ヶ月間、約1分間~約15日間、約1分間~約1日、約1日~約3年間、約1日~約12ヶ月間、約1日~約6ヶ月間、約1日~約3ヶ月間、約1日~約1ヶ月間、約1日~約15日間、約15日間~約3年間、約15日間~約12ヶ月間、約15日間~約6ヶ月間、約15日間~約3ヶ月間、約15日間~約1ヶ月間、約1ヶ月間~約3年間、約1ヶ月間~約12ヶ月間、約1ヶ月間~約6ヶ月間、約1ヶ月間~約3ヶ月間、約3ヶ月間~約3年間、約3ヶ月間~約12ヶ月間、約3ヶ月間~約6ヶ月間、約6ヶ月間~約3年間、約6ヶ月間~約12ヶ月間、又は約12ヶ月間~約3年間にわたって、約10℃~約90℃の温度で、有機樹脂とともに貯蔵され得る。
[0296] 多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドは、有機樹脂中のナノ構造の集団に増加した安定性を提供し、長期間にわたる、ナノ構造組成物を用いて調製されたインクの貯蔵を可能にする。ある実施形態において、ナノ構造の少なくとも1つの集団は、約1分間~約3年間、約1分間~約12ヶ月間、約1分間~約6ヶ月間、約1分間~約3ヶ月間、約1分間~約1ヶ月間、約1分間~約15日間、約1分間~約1日、約1日~約3年間、約1日~約12ヶ月間、約1日~約6ヶ月間、約1日~約3ヶ月間、約1日~約1ヶ月間、約1日~約15日間、約15日間~約3年間、約15日間~約12ヶ月間、約15日間~約6ヶ月間、約15日間~約3ヶ月間、約15日間~約1ヶ月間、約1ヶ月間~約3年間、約1ヶ月間~約12ヶ月間、約1ヶ月間~約6ヶ月間、約1ヶ月間~約3ヶ月間、約3ヶ月間~約3年間、約3ヶ月間~約12ヶ月間、約3ヶ月間~約6ヶ月間、約6ヶ月間~約3年間、約6ヶ月間~約12ヶ月間、又は約12ヶ月間~約3年間にわたって、約30℃~約90℃の温度で、有機樹脂とともに貯蔵され得る。
[0297] ある実施形態において、多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドを含むナノ構造を用いて調製されたインクは、有機樹脂による凝集に対する増加した抵抗性を提供する。これは、ナノ構造組成物が沈殿し始める前に使用することのできる有機樹脂の濃度の増加を可能にする。ある実施形態において、多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンド及び有機樹脂を含むナノ構造組成物を用いて調製されたインクは、約1分間~約3年間、約1分間~約12ヶ月間、約1分間~約6ヶ月間、約1分間~約3ヶ月間、約1分間~約1ヶ月間、約1分間~約15日間、約1分間~約1日、約1日~約3年間、約1日~約12ヶ月間、約1日~約6ヶ月間、約1日~約3ヶ月間、約1日~約1ヶ月間、約1日~約15日間、約15日間~約3年間、約15日間~約12ヶ月間、約15日間~約6ヶ月間、約15日間~約3ヶ月間、約15日間~約1ヶ月間、約1ヶ月間~約3年間、約1ヶ月間~約12ヶ月間、約1ヶ月間~約6ヶ月間、約1ヶ月間~約3ヶ月間、約3ヶ月間~約3年間、約3ヶ月間~約12ヶ月間、約3ヶ月間~約6ヶ月間、約6ヶ月間~約3年間、約6ヶ月間~約12ヶ月間、又は約12ヶ月間~約3年間にわたって、沈殿せずに、有機樹脂とともに、約10℃~約90℃の温度で貯蔵され得る。
インク中のナノ構造組成物の増加した安定性
[0298] 多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドは、量子ドットにより強く結合し、有機樹脂中のナノ構造の集団に増加した熱安定性及び環境安定性を提供し、ナノ構造組成物を用いて調製されたインクの外部量子効率の向上を可能にする。ある実施形態において、ナノ構造組成物を用いて調製されたインクを用いて作製されたフィルムは、約1分間~約3年間、約1分間~約12ヶ月間、約1分間~約6ヶ月間、約1分間~約3ヶ月間、約1分間~約1ヶ月間、約1分間~約15日間、約1分間~約1日、約1日~約3年間、約1日~約12ヶ月間、約1日~約6ヶ月間、約1日~約3ヶ月間、約1日~約1ヶ月間、約1日~約15日間、約15日間~約3年間、約15日間~約12ヶ月間、約15日間~約6ヶ月間、約15日間~約3ヶ月間、約15日間~約1ヶ月間、約1ヶ月間~約3年間、約1ヶ月間~約12ヶ月間、約1ヶ月間~約6ヶ月間、約1ヶ月間~約3ヶ月間、約3ヶ月間~約3年間、約3ヶ月間~約12ヶ月間、約3ヶ月間~約6ヶ月間、約6ヶ月間~約3年間、約6ヶ月間~約12ヶ月間、又は約12ヶ月間~約3年間にわたって、約10℃~約90℃の温度で貯蔵される場合、約1%~約30%の外部量子効率(EQE)を示す。
[0299] 多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドは、有機樹脂中のナノ構造の集団に増加した安定性を提供し、長期間にわたるナノ構造の貯蔵を可能にする。ある実施形態において、ナノ構造の少なくとも1つの集団は、約1分間~約3年間、約1分間~約12ヶ月間、約1分間~約6ヶ月間、約1分間~約3ヶ月間、約1分間~約1ヶ月間、約1分間~約15日間、約1分間~約1日、約1日~約3年間、約1日~約12ヶ月間、約1日~約6ヶ月間、約1日~約3ヶ月間、約1日~約1ヶ月間、約1日~約15日間、約15日間~約3年間、約15日間~約12ヶ月間、約15日間~約6ヶ月間、約15日間~約3ヶ月間、約15日間~約1ヶ月間、約1ヶ月間~約3年間、約1ヶ月間~約12ヶ月間、約1ヶ月間~約6ヶ月間、約1ヶ月間~約3ヶ月間、約3ヶ月間~約3年間、約3ヶ月間~約12ヶ月間、約3ヶ月間~約6ヶ月間、約6ヶ月間~約3年間、約6ヶ月間~約12ヶ月間、又は約12ヶ月間~約3年間にわたって、約30℃~約90℃の温度で、有機樹脂とともに貯蔵され得る。
[0300] ある実施形態において、多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドを含むナノ構造は、有機樹脂による凝集に対する増加した抵抗性を提供する。これは、ナノ構造組成物が沈殿し始める前に使用することのできる有機樹脂の濃度の増加を可能にする。ある実施形態において、ナノ構造の少なくとも1つの集団は、約1分間~約3年間、約1分間~約12ヶ月間、約1分間~約6ヶ月間、約1分間~約3ヶ月間、約1分間~約1ヶ月間、約1分間~約15日間、約1分間~約1日、約1日~約3年間、約1日~約12ヶ月間、約1日~約6ヶ月間、約1日~約3ヶ月間、約1日~約1ヶ月間、約1日~約15日間、約15日間~約3年間、約15日間~約12ヶ月間、約15日間~約6ヶ月間、約15日間~約3ヶ月間、約15日間~約1ヶ月間、約1ヶ月間~約3年間、約1ヶ月間~約12ヶ月間、約1ヶ月間~約6ヶ月間、約1ヶ月間~約3ヶ月間、約3ヶ月間~約3年間、約3ヶ月間~約12ヶ月間、約3ヶ月間~約6ヶ月間、約6ヶ月間~約3年間、約6ヶ月間~約12ヶ月間、又は約12ヶ月間~約3年間にわたって、沈殿せずに、有機樹脂とともに、約10℃~約90℃の温度で貯蔵され得る。
ナノ構造層の作製
[0301] 本発明において使用されるナノ構造は、任意の好適な方法を用いて、ポリマーマトリックスに埋め込まれ得る。本明細書において使用される際、「埋め込まれる」という用語は、ナノ構造集団がマトリックスの成分の大部分を構成するポリマーで囲まれるか又は包み込まれることを示すのに使用される。ある実施形態において、少なくとも1つのナノ構造集団は、マトリックス全体にわたって好適には均一に分布される。ある実施形態において、少なくとも1つのナノ構造集団は、用途に固有の分布にしたがって分布される。ある実施形態において、ナノ構造は、ポリマー中で混合され、基板の表面に適用される。
[0302] ナノ構造組成物は、塗布、スプレーコーティング、溶媒噴霧、湿式コーティング、接着コーティング、スピンコーティング、テープコーティング、ロールコーティング、フローコーティング、インクジェット蒸気噴射、ドロップキャスト、ブレードコーティング、ミスト塗布、又はそれらの組合せを含むがこれらに限定されない、当該技術分野において公知の任意の好適な方法によって堆積され得る。好ましくは、ナノ構造組成物は、堆積の後、硬化される。好適な硬化方法としては、UV硬化などの光硬化、及び熱硬化が挙げられる。従来の積層フィルム処理方法、テープコーティング方法、及び/又はロールツーロール作製方法が、ナノ構造フィルムを形成するのに用いられ得る。ナノ構造組成物は、基板の所望の層上に直接被覆され得る。或いは、ナノ構造組成物は、独立した要素として固体層に形成され、続いて、基板に適用され得る。ある実施形態において、ナノ構造組成物は、1つ以上のバリア層上に堆積され得る。
スピンコーティング
[0303] ある実施形態において、ナノ構造組成物は、スピンコーティングを用いて、基板上に堆積される。スピンコーティングにおいて、典型的に、吸引によって固定されるスピナーと呼ばれる機械に設置された基板の中心に、少量の材料が堆積される。高速の回転が、スピナーを通して基板に加えられ、求心力により、材料が基板の中心から縁部へと広がる。材料のほとんどが回転により振り切られる一方、特定の量が基板に残り、回転が継続するにつれて表面上に材料の薄膜が形成される。回転速度、加速、及び回転時間などの、スピンプロセスについて選択されるパラメータに加えて、堆積される材料及び基板の性質によって、フィルムの最終厚さが決定される。典型的なフィルムの場合、1500~6000rpmの回転速度が、10~60秒間の回転時間で使用される。
ミスト塗布
[0304] ある実施形態において、ナノ構造組成物は、ミスト塗布を用いて、基板上に堆積される。ミスト塗布は、室温及び大気圧で行われ、プロセス条件を変更することによって、フィルム厚さに対する正確な制御を可能にする。ミスト塗布中、液体の源材料が、微細なミストに変えられ、窒素ガスによって堆積チャンバに運ばれる。次に、ミストは、フィールドスクリーンとホルダーとの間の高電位差によって、ウェハ表面に引き付けられる。液滴がウェハ表面に合体したら、ウェハは、チャンバから取り外され、熱硬化されて、溶媒を蒸発させる。液体前駆体は、溶媒と堆積される材料との混合物である。液体前駆体は、加圧された窒素ガスによって噴霧器に運ばれる。Price,S.C.,et al.,”Formation of Ultra-Thin Quantum Dot Films by Mist Deposition,”ESC Transactions 11:89-94(2007)。
スプレーコーティング
[0305] ある実施形態において、ナノ構造組成物は、スプレーコーティングを用いて、基板上に堆積される。スプレーコーティングのための典型的な設備は、スプレーノズル、噴霧器、前駆体溶液、及びキャリアガスを含む。スプレー堆積プロセスにおいて、前駆体溶液は、キャリアガス又は噴霧化(例えば、超音波、エアブラスト、若しくは静電気)によってマイクロサイズの液滴へと細かくされる。噴霧器から出た液滴は、必要に応じて制御及び調節されるキャリアガスによって、ノズルを通って基板表面まで加速される。スプレーノズルと基板との間の相対運動は、基板における完全な被覆のための設計によって規定される。
[0306] ある実施形態において、ナノ構造組成物の適用は、溶媒をさらに含む。ある実施形態において、ナノ構造組成物の適用のための溶媒は、水、有機溶媒、無機溶媒、ハロゲン化有機溶媒、又はそれらの混合物である。例示的な溶媒としては、限定はされないが、水、D2O、アセトン、エタノール、ジオキサン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、イソプロパノール、アニソール、γ-ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリジノン、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、トルエン、ジメチルスルホキシド、シクロペンタノン、テトラメチレンスルホキシド、キシレン、ε-カプロラクトン、テトラヒドロフラン、テトラクロロエチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、又はそれらの混合物が挙げられる。
[0307] ある実施形態において、ナノ構造組成物は、熱硬化されて、ナノ構造層が形成される。ある実施形態において、組成物は、UV光を用いて硬化される。ある実施形態において、ナノ構造組成物は、ナノ構造フィルムのバリア層上に直接被覆され、続いて、さらなるバリア層がナノ構造層上に堆積されて、ナノ構造フィルムが形成される。強度、安定性、及びコーティング均一性を追加するため、並びに材料の不整合、気泡形成、及びバリア層材料又は他の材料のしわ又は折れを防止するために、支持基板がバリアフィルムの下に用いられ得る。さらに、1つ以上のバリア層が、好ましくは、ナノ構造層にわたって堆積されて、上部バリア層と下部バリア層との間の材料を封止する。好適には、バリア層は、積層フィルムとして堆積され、任意選択的に、封止され、又はさらに処理され得、その後、ナノ構造フィルムは特定の照明装置に組み込まれる。当業者によって理解されるように、ナノ構造組成物堆積プロセスは、さらなる又は様々な構成要素を含み得る。このような実施形態は、ナノ構造フィルム厚さ及び他の特性だけでなく、輝度及び色(例えば、量子ドット薄膜白色点を調整するため)などのナノ構造の発光特性のインラインプロセスによる調整を可能にする。さらに、これらの実施形態は、製造中のナノ構造フィルム特性の定期的な試験、並びに正確なナノ構造フィルム特性を達成するための任意の必要なトグリングを可能にする。ナノ構造フィルムを形成するのに使用される混合物のそれぞれの量を電気的に変更するためにコンピュータプログラムを用いることができるため、このような試験及び調整はまた、処理ラインの機械的構成を変更せずに行われ得る。
バリア層
[0308] ある実施形態において、ナノ構造成形品は、ナノ構造層の片側又は両側に配置された1つ以上のバリア層を含む。好適なバリア層は、高温、酸素、及び水分などの環境条件からナノ構造層及びナノ構造成形品を保護する。好適なバリア材料としては、疎水性であり、ナノ構造成形品と化学的に及び機械的に適合し、光安定性及び化学安定性を示し、高温に耐えることができる、黄変していない透明の光学材料が挙げられる。好ましくは、1つ以上のバリア層は、ナノ構造成形品と屈折率整合される。好ましい実施形態において、バリア層を透過してナノ構造成形品に向かう光のほとんどが、バリア層からナノ構造層中へと伝えられるように、ナノ構造成形品のマトリックス材料及び1つ以上の隣接するバリア層は、同様の屈折率を有するように屈折率整合される。この屈折率整合により、バリアとマトリックス材料との間の境界面における光学的損失が低減される。
[0309] バリア層は、好適には固体の材料であり、硬化された液体、ゲル、又はポリマーであり得る。バリア層は、具体的な用途に応じて、可撓性又は非可撓性材料を含み得る。バリア層は、好ましくは、平坦な層であり、具体的な照明用途に応じて、任意の好適な形状及び表面領域構成を含み得る。好ましい実施形態において、1つ以上のバリア層は、積層フィルム処理技術と適合し、それによって、ナノ構造層は、少なくとも第1のバリア層上に配置され、少なくとも第2のバリア層が、ナノ構造層の反対側でナノ構造層上に配置されて、一実施形態に係るナノ構造成形品が形成される。好適なバリア材料としては、当該技術分野において公知の任意の好適なバリア材料が挙げられる。例えば、好適なバリア材料としては、ガラス、ポリマー、及び酸化物が挙げられる。好適なバリア層材料としては、限定はされないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリマー;酸化ケイ素、酸化チタン、又は酸化アルミニウム(例えば、SiO2、Si2O3、TiO2、又はAl2O3)などの酸化物;及びそれらの好適な組合せが挙げられる。好ましくは、ナノ構造成形品の各バリア層は、異なる材料又は組成物を含む少なくとも2つの層を含み、それにより、多層バリアが、バリア層におけるピンホール欠陥の整列をなくすか又は低減して、ナノ構造層への酸素及び水分浸透に対する効果的なバリアを提供する。ナノ構造層は、任意の好適な材料又は材料の組合せ、及びナノ構造層の片側又は両側における任意の好適な数のバリア層を含み得る。バリア層の材料、厚さ、及び数は、具体的な用途に応じて決まり、好適には、ナノ構造成形品の厚さを最小限に抑えながらナノ構造層のバリア保護及び輝度を最大にするように選択される。好ましい実施形態において、各バリア層は、積層フィルム、好ましくは、二重積層フィルムを含み、ここで、各バリア層の厚さは、ロールツーロール又は積層体製造プロセスにおけるしわ形成をなくす程度に十分に厚い。ナノ構造が重金属又は他の毒性材料を含む実施形態において、バリアの数又は厚さはさらに法的な毒性ガイドラインに依存し得、このガイドラインは、より多い又はより厚いバリア層を求めてもよい。バリアについてのさらなる考慮事項としては、コスト、利用可能性、及び機械的強度が挙げられる。
[0310] ある実施形態において、ナノ構造フィルムは、ナノ構造層の各側に隣接する2つ以上のバリア層、例えば、各側に2つ若しくは3つの層、又はナノ構造層の各側に2つのバリア層を含む。ある実施形態において、各バリア層は、薄いガラスシート、例えば、約100μm、100μm以下又は50μm以下の厚さを有するガラスシートを含む。
[0311] ナノ構造フィルムの各バリア層は、当業者によって理解されるように、照明装置及び用途の特定の要件及び特性、並びにバリア層及びナノ構造層などの個々のフィルム構成要素に応じて決まる任意の好適な厚さを有し得る。ある実施形態において、各バリア層は、50μm以下、40μm以下、30μm以下、25μm以下、20μm以下、又は15μm以下の厚さを有し得る。特定の実施形態において、バリア層は、酸化物コーティングを含み、これは、酸化ケイ素、酸化チタン、及び酸化アルミニウム(例えば、SiO2、Si2O3、TiO2、又はAl2O3)などの材料を含み得る。酸化物コーティングは、約10μm以下、5μm以下、1μm以下、又は100nm以下の厚さを有し得る。特定の実施形態において、バリアは、約100nm以下、10nm以下、5nm以下、又は3nm以下の厚さを有する薄い酸化物コーティングを含む。上部及び/又は下部バリアは、薄い酸化物コーティングからなり得、又は薄い酸化物コーティング及び1つ以上のさらなる材料層を含んでいてもよい。
[0312] ある実施形態において、バリア層は、1つの側におけるガラスなどの透明な表面、及びもう一方の側における不透明な表面からなるハイブリッド構造であり得る。不透明な表面は、金属、ケイ素、又は他の半導体などの反射性材料であり得る。不透明な表面は、光学的及び/又は熱的及び/又は電気的目的のために使用され得る。
ナノ構造フィルムの改良された特性
[0313] 有機樹脂中、多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドを含むナノ構造の集団を含むナノ構造組成物を用いて調製されたフィルムは、高温における増加した安定性を提供する。ある実施形態において、ナノ構造組成物を用いて調製されたフィルムは、約1分間~約3年間、約1分間~約12ヶ月間、約1分間~約6ヶ月間、約1分間~約3ヶ月間、約1分間~約1ヶ月間、約1分間~約15日間、約1分間~約1日、約1日~約3年間、約1日~約12ヶ月間、約1日~約6ヶ月間、約1日~約3ヶ月間、約1日~約1ヶ月間、約1日~約15日間、約15日間~約3年間、約15日間~約12ヶ月間、約15日間~約6ヶ月間、約15日間~約3ヶ月間、約15日間~約1ヶ月間、約1ヶ月間~約3年間、約1ヶ月間~約12ヶ月間、約1ヶ月間~約6ヶ月間、約1ヶ月間~約3ヶ月間、約3ヶ月間~約3年間、約3ヶ月間~約12ヶ月間、約3ヶ月間~約6ヶ月間、約6ヶ月間~約3年間、約6ヶ月間~約12ヶ月間、又は約12ヶ月間~約3年間にわたって、40℃~100℃の温度で、安定して貯蔵され得る。
[0314] 有機樹脂中、多官能性ポリ(アルキレンオキシド)リガンドを含むナノ構造の集団を含むナノ構造組成物を用いて調製されたフィルムは、高湿度レベルにおける増加した安定性を提供する。ある実施形態において、ナノ構造組成物を用いて調製されたフィルムは、約1分間~約3年間、約1分間~約12ヶ月間、約1分間~約6ヶ月間、約1分間~約3ヶ月間、約1分間~約1ヶ月間、約1分間~約15日間、約1分間~約1日、約1日~約3年間、約1日~約12ヶ月間、約1日~約6ヶ月間、約1日~約3ヶ月間、約1日~約1ヶ月間、約1日~約15日間、約15日間~約3年間、約15日間~約12ヶ月間、約15日間~約6ヶ月間、約15日間~約3ヶ月間、約15日間~約1ヶ月間、約1ヶ月間~約3年間、約1ヶ月間~約12ヶ月間、約1ヶ月間~約6ヶ月間、約1ヶ月間~約3ヶ月間、約3ヶ月間~約3年間、約3ヶ月間~約12ヶ月間、約3ヶ月間~約6ヶ月間、約6ヶ月間~約3年間、約6ヶ月間~約12ヶ月間、又は約12ヶ月間~約3年間にわたって、約60%~約100%の相対湿度レベルで、安定して貯蔵され得る。
ナノ構造フィルムの特徴及び実施形態
[0315] ある実施形態において、ナノ構造フィルムは、表示装置を形成するのに使用される。本明細書において使用される際、表示装置は、照明ディスプレイを備えた任意のシステムを指す。このようなデバイスとしては、限定はされないが、液晶ディスプレイ(LCD)を含むデバイス、テレビ、コンピュータ、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、ゲーム機、電子書籍リーダー(electronic reading device)、及びデジタルカメラなどが挙げられる。
[0316] ある実施形態において、ナノ構造組成物を含有する光学フィルムは、カドミウムを実質的に含まない。本明細書において使用される際、「カドミウムを実質的に含まない」という用語は、ナノ構造組成物が、100重量ppm未満のカドミウムを含有することが意図される。RoHS遵守の定義では、均一な前駆体原材料中に存在するカドミウムが0.01重量%(100重量ppm)以下でなければならないことが要求される。カドミウム濃度は、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)によって測定され得、十億分率(ppb)レベルである。ある実施形態において、「カドミウムを実質的に含まない」光学フィルムは、10~90ppmのカドミウムを含有する。他の実施形態において、カドミウムを実質的に含まない光学フィルムは、約50ppm未満、約20ppm未満、約10ppm未満、又は約1ppm未満のカドミウムを含有する。
実施例
[0317] 本明細書に記載される生成物及び方法である以下の実施例は、例示的且つ非限定的なものである。通常、当該技術分野において行われ、本開示に関する技術分野の当業者に明らかである、様々な条件、配合物、及び他のパラメータの好適な変更及び改変は、本発明の趣旨及び範囲内である。
[0318] メルカプトコハク酸(97%)、3-メルカプトプロピオン酸(99%)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN、98%)、及び全ての溶媒は、Sigma-Aldrichから購入した。様々な分子量のアリルオキシポリエチレングリコールは、Gelestから購入した。エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート[TPO-L]は、Ciba Specialty Chemicalsから購入した。全ての化学物質は、さらに精製せずに使用した。
実施例1
光開始剤を用いたヒドロキシ末端ジカルボン酸リガンドの調製
[0319] N
2が充填されたグローブボックス中、40mLのガラスバイアル内に、1.5g(10mmol)のメルカプトコハク酸、8g(約10.7mmol)のアリルオキシポリエチレングリコール(12~20個のEO単位、およその分子量750)、0.1gのTPO-L(反応における固形分の1%に相当する)、及び20mLのトルエンを加えた。バイアルに蓋をし、次に、メタルハライドランプで照射され、且つ機械的シャッターを装着されたUVチャンバに入れた。バイアルを、断続的に振とうしながら、一度につき10秒間照射し、計1分間の総曝露(5000mJ/cm
2の線量に相当する)をした。メルカプトコハク酸は、主にトルエンに不溶性の固体であるが、最終生成物は液体であり、部分的に可溶性である。したがって、反応の進行は、視覚的に追跡することができる。反応は、不均一な混合物として開始するが、メルカプトコハク酸の消費により無色透明の溶液になる。
[0320] 反応の完了後、バイアルをグローブボックスに移し、等量のヘキサンを加え、激しく振とうすることによって、内容物を洗浄した。4000rpmで5分間にわたる遠心分離の後、2つの無色透明の相が形成された。ヘキサン、トルエン、及び過剰なTPO-Lを含有する上相を廃棄した。下相を、室温で、減圧下で乾燥させることによって、生成物を単離した。
[0321] 光開始合成におけるTPO-Lの選択は、その開始効率、取り扱いのしやすさ、及び多種多様な溶媒への溶解性によって導かれる。溶解性は、生成物が量子ドットにさらされる前に、洗浄によって過剰なTPO-Lを容易に除去できることを可能にするため、重要である。このことは、過剰な開始剤に由来する長寿命のラジカルが、量子ドットフォトルミネセンスをクエンチすることが知られているため、重要である。
[0322] 図1及び2に示されるように、FTIR分光法を用いて生成物を特徴づけた。反応の進行の最も明確な指標は、2100cm-1におけるS-H伸長の減少であり、これは、メルカプトコハク酸中のチオールの消費を示す。3400~3500cm-1におけるO-H伸長は保持され、これは、生成物中のヒドロキシ基の存在を示す。
実施例2
熱ラジカル開始剤を用いたヒドロキシ末端ジカルボン酸リガンドの調製
[0323] 熱開始合成において、アリルオキシポリエチレングリコール及びメルカプトコハク酸の量は上記と同じに保った。4%(総固形分におけるw/w)の濃度のアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)が、反応の完了後に過剰な開始剤を容易に除去できることも可能にしながら、有効な開始を提供することが分かった。
[0324] 全ての成分を、N2が充填されたグローブボックス中、100mLの丸底フラスコ中において混合した。反応混合物を80℃で2時間加熱して、酢酸エチルを還流させた。反応混合物を等量のヘキサンで洗浄した後、遠心分離によって、生成物を単離した。下相を、室温、減圧下で乾燥させて、透明な、無色ないしわずかに黄色がかった液体を得た。
実施例3
リガンド交換
[0325] リガンド交換において、実施例2のヒドロキシ末端リガンドを、クロロホルム中の合成されたままの量子ドット(native quantum dots)の溶液に加えた。加えられるリガンドの量は、量子ドットタイプに応じて決まり、典型的には、量子ドットの乾燥質量の25%である。60℃で1時間加熱した後、量子ドットを、ヘキサンの4:1の比率で沈殿させ、5分間にわたって5000rpmで遠心分離した。上清を廃棄し、量子ドットをクロロホルム中で分散させた。リガンド交換プロセスは、ネイティブ疎水性リガンドの除去、及びヒドロキシ末端リガンドによる置換をもたらす。このプロセスの後、量子ドットは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)及び1,4-ブタンジオールジアセテート(BDDA)などの様々な極性親水性溶媒中で分散することができる。
[0326] 量子ドットは、インク配合物中で使用するためにさらなる成分と組み合わされ得る。量子ドット及びインクの主成分を分散させるために使用される溶媒を、表1に示す。
実施例4
量子ドットインクからのフィルムの調製
[0327] フィルムを、3つの異なる速度(400rpm、700rpm、及び1000rpm)におけるスピンコーティングを用いて、量子ドットインクから作製した。サーマルインクから作製されたフィルムは、空気中、100℃で2分間、続いて、N2中、180℃で2時間焼成することによって硬化した。カチオン性インクから作製されたフィルムは、透明な石英窓を備え、N2が充填されたグローブボックスにそれらを入れ、次に、フィルムにUV光(2000mJ/cm2)を照射することによって硬化した。
[0328] 両方のフィルム(サーマルインクから作製されたもの及びカチオン性インクから作製されたもの)を、硬化の直後(T0)、並びに2時間、及び5時間にわたって150℃、空気中で焼成した後に、再度測定した。これらの焼成工程は、フィルムの熱安定性及び大気安定性を調べるのを可能にした。
[0329] 赤色量子ドットフィルムを、サーマルインクから作製し、外部量子効率パーセント、青色透過パーセント、及び光学密度(450nm)を、T0において測定した。27%の樹脂を含有する赤色量子ドットフィルムについての結果が図3A~3Cに示され、図3A~3Cはそれぞれ、PEG-1000カルボン酸リガンドを有する赤色量子ドット(図3A)、PEG-350カルボン酸リガンドを有する赤色量子ドット(図3B)、及びPEG-750多官能性ヒドロキシリガンドを有する赤色量子ドット(図3C)についての結果である。図3A~3Cに示されるように、PEG-750多官能性リガンドを有する量子ドットを含有するサーマルインクから作製された赤色フィルムは、他のリガンドを含有するサーマルインクから作製されたフィルムより高い外部量子効率(EQE)を示した。57%の樹脂を含有する赤色量子ドットフィルムについての結果が図4A~4Cに示され、図4A~4Cはそれぞれ、PEG-1000カルボン酸リガンドを有する赤色量子ドット(図4A)、PEG-350カルボン酸リガンドを有する赤色量子ドット(図4B)、及びPEG-750多官能性ヒドロキシリガンドを有する赤色量子ドット(図4C)についての結果である。図4A~4Cに示されるように、PEG-750多官能性リガンドを有する量子ドットを含有するサーマルインクから作製された赤色フィルムは、他のリガンドを含有するサーマルインクから作製されたフィルムより高い外部量子効率(EQE)を示した。
[0330] 緑色量子ドットフィルムを、サーマルインクから作製し、EQEパーセント、青色透過パーセント、及び光学密度(450nm)を、T0において測定した。27%の樹脂を含有する緑色量子ドットフィルムについての結果が図5A~5Cに示され、図5A~5Cはそれぞれ、PEG-1000カルボン酸リガンドを有する緑色量子ドット(図5A)、PEG-350カルボン酸リガンドを有する緑色量子ドット(図5B)、及びPEG-750多官能性ヒドロキシリガンドを有する緑色量子ドット(図5C)についての結果である。図5A~5Cに示されるように、PEG-750多官能性リガンドを有する量子ドットを含有するサーマルインクから作製された緑色フィルムは、他のリガンドを含有するサーマルインクから作製されたフィルムより高い外部量子効率(EQE)を示した。57%の樹脂を含有する緑色量子ドットフィルムについての結果が図6A~6Cに示され、図6A~6Cはそれぞれ、PEG-1000カルボン酸リガンドを有する緑色量子ドット(図6A)、PEG-350カルボン酸リガンドを有する緑色量子ドット(図6B)、及びPEG-750多官能性ヒドロキシリガンドを有する赤色量子ドット(図6C)についての結果である。図6A~Cに示されるように、PEG-750多官能性リガンドを有する量子ドットを含有するサーマルインクから作製された緑色フィルムは、他のリガンドを含有するサーマルインクから作製されたフィルムより高い外部量子効率(EQE)を示した。
[0331] フィルムはまた、量子ドットを含有するカチオン性インクを用いて調製した(図7A~7C)。赤色量子ドットフィルム及び緑色量子ドットフィルムの両方のEQEを、T0、及び2時間にわたって150℃、空気中で焼成した後に測定した。図7Aに示されるように、PEG-1000カルボン酸リガンドを有する緑色量子ドットフィルムは、約10%のEQEを示したが、これは、2時間後に約0%に低下した。図7Bに示されるように、PEG-750多官能性ヒドロキシリガンドを有する緑色量子ドットフィルムは、約10~15%のEQEを示し、これは、2時間後に約3~5%に低下した。そして、図7Cに示されるように、PEG-750多官能性ヒドロキシリガンドを有する赤色量子ドットフィルムは、約15%のEQEを示し、これは、2時間後に約5%に低下した。図7Aに示されるように、PEG-1000を有するフィルムのEQEは、2時間後にほぼ0に低下した。しかしながら、空気中で、150℃で2時間焼成した後でさえ、多官能性PEG-750ヒドロキシリガンドを有する量子ドットから作製されたフィルムは、より高いEQEを示し、これは、熱安定性及び大気安定性の向上を示す。
[0332] 様々な実施形態が、上述されてきたが、それらは例として示されているに過ぎず、限定的ではないことが理解されるべきである。形態及び詳細の様々な変更が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに行われ得ることが、関連技術の当業者に明らかであろう。したがって、趣旨及び範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれかによって限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物にしたがってのみ規定されるべきである。
[0333] 本明細書において言及される全ての刊行物、特許及び特許出願は、本発明が関連する技術分野の当業者の技能のレベルを示し、各個々の刊行物、特許又は特許出願が、参照により援用されることが具体的に且つ個別に示されるのと同程度に、参照により本明細書に援用される。