JP7190882B2 - 活性エネルギー線硬化型塗料組成物 - Google Patents

活性エネルギー線硬化型塗料組成物 Download PDF

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Description

本発明は、活性エネルギー線硬化型塗料組成物、より詳細には、少なくとも、帯電防止剤、単官能(メタ)アクリレート化合物、および多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含む床材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物に関する。
従来、大型商業施設、公共施設、オフィス等の各種建築物等の床材や、鉄道やバス等の車両の床材としてポリ塩化ビニル等の合成樹脂製床材が広く使用されてきた。このような合成樹脂製床材は、無塗装の場合、耐汚染性が悪く、汚れやすいという問題があった。そこで、床材の表面に紫外線硬化型塗料組成物を塗装して硬化塗膜を形成することで、耐汚染性を向上させることが行われてきた。
しかし、一般的な紫外線硬化塗膜は導電性が十分ではないため、帯電防止機能を有する合成樹脂製床材であっても、一般的な紫外線硬化型塗料組成物を塗装すると、本来の帯電防止性能が得られなくなるという問題があった。そこで、例えば、紫外線硬化塗料組成物に帯電防止剤としてイオン伝導性ポリマーを添加することが提案されている(特許文献1参照)。
特開平04-292639号公報
本発明者等は、紫外線硬化塗膜に帯電防止性能を付与するために帯電防止剤を単に添加した場合、紫外線硬化塗膜の架橋密度が低下して、耐汚染性の性能を維持できなくなるという問題を知見した。そこで、紫外線硬化塗膜の耐汚染性を向上するために多官能のウレタンアクリレート化合物の添加を試みたが、床材用硬化塗膜に必要な性能である柔軟性が損なわれるという新たな技術的課題を知見した。
本発明は上記の背景技術および新たな技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐汚染性、帯電防止性、密着性、および柔軟性にバランスよく優れる硬化塗膜を形成可能な床材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、床材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物において、少なくとも、帯電防止剤と、単官能(メタ)アクリレート化合物と、2官能または3官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物と、4官能以上の多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物とを配合することにより、上記課題を解決できることを知見した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1] 帯電防止剤と、
単官能(メタ)アクリレート化合物と、
2官能または3官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物と、
4官能以上の多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物と、
を含む、床材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物。
[2] ポリアルキレングリコールをさらに含む、[1]に記載の床材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物。
[3] 前記帯電防止剤の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型塗料組成物の不揮発分全量に対して、0.01質量%以上5.00質量%以下である、[1]または[2]に記載の床材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物。
[4] 光重合開始剤をさらに含む、[1]~[3]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型塗料組成物。
[5] フッ素系防汚剤またはシリコーン系防汚剤をさらに含む、[1]~[4]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型塗料組成物。
[6] 床材の少なくとも片面が、[1]~[5]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型塗料組成物から形成された硬化塗膜で被覆されてなる、塗膜付き床材。
[7] 床材の少なくとも片面に、[1]~[5]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型塗料組成物を塗布する工程と、
該塗布面に活性エネルギー線を照射して、該組成物を硬化させる工程と、
を含む、塗膜付き床材の製造方法。
本発明によれば、耐汚染性、帯電防止性、密着性、および柔軟性にバランスよく優れる硬化塗膜を形成可能な床材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物を提供することができる。また、本発明によれば、このような床材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物を用いた塗膜付き床材およびその製造方法を提供することができる。
<活性エネルギー線硬化型塗料組成物>
本発明による活性エネルギー線硬化型塗料組成物は、少なくとも、帯電防止剤と、単官能(メタ)アクリレート化合物と、2官能または3官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物と、4官能以上の多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物と、を含むものである。本発明による活性エネルギー線硬化型塗料組成物は、多官能(メタ)アクリレート化合物、光重合開始剤、防汚剤、およびその他の添加剤をさらに含んでもよい。このような活性エネルギー線硬化型塗料組成物から形成された硬化塗膜は、耐汚染性、帯電防止性、密着性、および柔軟性にバランスよく優れるものである。したがって、本発明による活性エネルギー線硬化型塗料組成物は、床材用として、特にポリ塩化ビニル製床材等の合成樹脂製床材用として好適に用いることができる。以下、本発明による活性エネルギー線硬化型塗料組成物の各成分について詳細に説明する。
(単官能(メタ)アクリレート化合物)
単官能(メタ)アクリレート化合物とは、分子内に官能基として1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物を意味する。単官能(メタ)アクリレート化合物としては、単官能(メタ)アクリレートモノマーおよび単官能(メタ)アクリレートオリゴマーのいずれでも用いることができる。単官能(メタ)アクリレート化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明においては、活性エネルギー線硬化型塗料組成物に単官能(メタ)アクリレート化合物を配合することで、得られた硬化塗膜の床材への密着性を向上させることができる。
単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;2-又は3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有(メタ)アクリレート;2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート;2-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、1-[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]フタル酸、1-[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]ヘキサヒドロフタル酸、1-[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]コハク酸、4-[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]トリメリット等のカルボキシ基含有(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の複素環構造を有する(メタ)アクリレート;ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート酸等の多環式(メタ)アクリレート等が挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、モノ(メタ)アクリロイル基含有水添ジエン系重合体、ポリエステルモノ(メタ)アクリレート系オリゴマー、エポキシモノ(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエーテルモノ(メタ)アクリレート系オリゴマー、およびポリオールモノ(メタ)アクリレート系オリゴマーが挙げられる。
モノ(メタ)アクリロイル基含有水添ジエン系重合体としては、モノ(メタ)アクリロイル基含有水添芳香族ビニル-ブタジエン共重合体、モノ(メタ)アクリロイル基含有水添ブタジエン単独重合体、およびモノ(メタ)アクリロイル基含有水添イソプレン単独重合体が挙げられる。
ポリエステルモノ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの片末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの片末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
エポキシモノ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、1当量の(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ系モノ(メタ)アクリレートオリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシ変性型のエポキシアクリレートオリゴマーも用いることができる。
ポリエーテルモノ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオール中の一つの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
上記以外の他のポリオールモノ(メタ)アクリレート系オリゴマーもポリオール中の1つの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
単官能(メタ)アクリレート化合物の含有量は、活性エネルギー線硬化型塗料組成物の不揮発分全量に対して、好ましくは1~30質量%であり、より好ましくは5~25質量%であり、さらに好ましくは7~20質量%である。単官能(メタ)アクリレート化合物の含有量が上記範囲内であれば、得られた硬化塗膜の床材への密着性をより向上させることができる。
本明細書における不揮発分全量とは、活性エネルギー線硬化型塗料組成物に用いた原料成分の固形分(溶剤以外の成分)の合計質量で示す値である。
(多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物)
多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物とは、分子内に官能基として少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有し、かつウレタン結合を有する化合物を意味する。本発明においては、ウレタン(メタ)アクリレート化合物として、分子内に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタン(メタ)アクリレート化合物(「2官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物」という)または分子内に3個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタン(メタ)アクリレート化合物(「3官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物」という)と、分子内に4個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタン(メタ)アクリレート化合物(「4官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物」という)とを併用する。2官能または3官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。4官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明においては、活性エネルギー線硬化型塗料組成物に2官能または3官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物を配合することで、得られた硬化塗膜の柔軟性を向上させることができる。また、本発明においては、活性エネルギー線硬化型塗料組成物に4官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物を配合することで、硬化塗膜の架橋密度が向上し、耐汚染性を向上させることができる。
多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオールとジイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート化合物と、水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとの反応生成物である多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを用いることができる。
イソシアネート化合物の合成原料であるポリオールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
ポリエステルポリオールとしては、特に製造方法の制約はなく、例えばジオールとジカルボン酸又はジカルボン酸クロライドとを重縮合反応させたり、ジオール又はジカルボン酸をエステル化してエステル交換反応させたりする等、公知の方法にて得られるもの等を使用できる。
ポリエステルポリオールの合成に用いられるジオールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジブロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、テトラプロピレングリコール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールの合成に用いられるジカルボン酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ジマレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシドープロピレンオキシドランダム共重合体等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、下記成分Aと成分Bを重縮合して得られる反応生成物等が挙げられる。即ち、成分Aとしては、特に限定されるものではないが、例えば、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2-メチルプロパンジオール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール等のジオール類、又は、これらジオール類と、蓚酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸との反応生成物などが挙げられる。また、成分Bとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ジフェニルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、ジナフチルカーボネート、フェニルトルイルカーボネート、フェニルクロロフェニルカーボネート、2-トリル-4-トリルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジエチレンカーボネート、炭酸エチレン等の芳香族系カーボネート又は脂肪族系カーボネートなどが挙げられる。
イソシアネート化合物の合成原料であるジイソシアネートとしては、特に限定されるものではないが、直鎖式、脂環式、又は芳香環を有する脂肪族ジイソシアネートが好適である。具体的には、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート基含有直鎖状炭化水素、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート基含有分岐鎖状炭化水素、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添トルエンジイソシアネート等のイソシアネート基含有環状炭化水素、p-フェニレンジイソシアネート、3,3'-ジメチルジフェニル-4,4'-ジイソシアネート、1,3-キシレンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4、4-ジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネート基含有芳香族炭化水素等が挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、水酸基を少なくとも1個以上、好ましくは1~5個有する(メタ)アクリレートを用いることができる。また、このような水酸基含有(メタ)アクリレートの炭素数は特に限定されないが、好ましくは炭素数が2~20の炭化水素部位を有することが望ましい。ここで、炭化水素部位とは、直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、あるいは芳香族炭化水素基を有する有機基をいい、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基は、飽和でも不飽和でもよい。なお、当該炭化水素部位の一部には、エーテル結合が含まれていてもよい。
水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリシドールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、上記以外にも、ポリカプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の変性体を用いてもよい。
2官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、上述の反応生成物である多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの中で2官能のものを適宜選択して利用することができる。2官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、商品名:UV-841、UV-71、UV-72、UV-73、UV-820、UV-822、UV-831(以上、大竹明新化学(株)製)、商品名:EBECRYL210、EBECRYL215、EBECRYL230、EBECRYL244、EBECRYL245、EBECRYL270、EBECRYL284、EBECRYL285、EBECRYL8402、EBECRYL9270、(以上、ダイセル・オルネクス(株)製)、商品名:紫光UV-3310B、紫光UV-6630B、紫光UV-6640B(以上、日本合成化学工業(株)製)、商品名:UA-122P、U-200PA、UA-4200(以上、新中村化学工業(株)製)、商品名:アートレジンUN-333、アートレジンUN-2600、アートレジンUN-2700、アートレジンUN-9000PEP(以上、根上工業(株)製)等が挙げられる。
3官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、上述の反応生成物である多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの中で3官能のものを適宜選択して利用することができる。3官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、商品名:UV-55、UV-51、UV-55E、UV-56(大竹明新化学(株)製)、商品名:EBECRYL 4738、EBECRYL 4740、EBECRYL 4513(ダイセル・オルネクス(株)製)等が挙げられる。
4官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、上述の反応生成物である多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの中で4官能以上のものを適宜選択して利用することができ、好ましくは4官能以上12官能以下、より好ましくは6官能以上10官能以下のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを用いることができる。
4官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、以下の市販品を用いることもできる。
4官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、商品名:EBECRYL 8210、EBECRYL 8405、KRM8528(ダイセル・オルネクス(株)製)等が挙げられる。
5官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、商品名:DM850(DOUBLE BOND CHEMICAL(株)製)、商品名:ヒタロイド7903-1(日立化成(株)製)等が挙げられる。
6官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、商品名:アートレジンUN-CMP-1(根上工業(株)製)、商品名:EBECRYL 1290K、EBECRYL 5129、EBECRYL 220、EBECRYL 8254(以上、ダイセル・オルネクス(株)製)、商品名:U-6LPA、UA-1100H(以上、新中村化学工業(株)製)、商品名:CN975(サートマー(株)製)、商品名:DM527、DM528、DM571、DM576、DM776、DM87A、DM88A(以上、DOUBLE BOND CHEMICAL(株)製)、商品名:ヒタロイド7902-1、TA24-195H(以上、日立化成(株)製)等が挙げられる。
9官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、商品名:KRM 8531BA、KRM8904(以上、ダイセル・オルネクス(株)製)、商品名:ヒタロイド7903-3、ヒタロイド7903-B(以上、日立化成(株)製)等が挙げられる。
10官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、商品名:KRM8452(ダイセル・オルネクス(株)製)、商品名:DM588(DOUBLE BOND CHEMICAL(株)製)等が挙げられる。
12官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、商品名:DM5812(DOUBLE BOND CHEMICAL(株)製)、商品名:ヒタロイド7903-4(日立化成(株)製)等が挙げられる。
2官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物および3官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物の合計含有量は、活性エネルギー線硬化型塗料組成物の不揮発分全量に対して、好ましくは5~60質量%であり、より好ましくは10~50質量%であり、さらに好ましくは15~50質量%である。2官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物および3官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物の合計含有量が上記範囲内であれば、得られた硬化塗膜の柔軟性をより向上させることができる。
4官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物の含有量は、活性エネルギー線硬化型塗料組成物の不揮発分全量に対して、好ましくは1~30質量%であり、より好ましくは2~20質量%であり、さらに好ましくは3~15質量%である。4官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物の含有量が上記範囲内であれば、得られた硬化塗膜の架橋密度がより向上し、耐汚染性をより向上させることができる。
(多官能(メタ)アクリレート化合物)
多官能(メタ)アクリレート化合物とは、上述の多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物以外の化合物であって、分子内に官能基として少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物を意味する。多官能(メタ)アクリレート化合物としては、特に限定されず、多官能(メタ)アクリレートモノマーおよび多官能(メタ)アクリレートオリゴマーのいずれでも用いることができる。本発明においては、多官能(メタ)アクリレート化合物として、分子内に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(「2官能(メタ)アクリレート化合物」)を用いることが好ましく、2官能(メタ)アクリレートモノマーを用いることがより好ましい。多官能(メタ)アクリレート化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明においては、活性エネルギー線硬化型塗料組成物に2官能(メタ)アクリレート化合物を配合することで、得られた硬化塗膜に適度な柔軟性を付与することができる。
2官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレートおよびネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;テトラフルオロエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のハロゲン置換アルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ポリオールのジ(メタ)アクリレート;水添ジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の水添ジシクロペンタジエン又はトリシクロデカンジアルカノールのジ(メタ)アクリレート;1,3-ジオキサン-2,5-ジイルジ(メタ)アクリレート〔別名:ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート〕等のジオキサングリコール又はジオキサンジアルカノールのジ(メタ)アクリレート;ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジアクリレート物、ビスフェノールFエチレンオキサイド付加物ジアクリレート物等のビスフェノールA又はビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート;ビスフェノールAジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物、ビスフェノールFジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物等のビスフェノールA又はビスフェノールFのエポキシジ(メタ)アクリレート;シリコーンジ(メタ)アクリレート;ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジ(メタ)アクリレート;2,2-ビス[4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル]プロパン;2,2-ビス[4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシシクロヘキシル]プロパン;2-(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-5-エチル-5-ヒドロキシメチル-1,3-ジオキサン〕のジ(メタ)アクリレート;トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3価以上の脂肪族ポリオールのポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレート化合物の含有量は、活性エネルギー線硬化型塗料組成物の不揮発分全量に対して、好ましくは1~30質量%であり、より好ましくは5~25質量%であり、さらに好ましくは7~20質量%である。
(帯電防止剤)
帯電防止剤は、特に限定されず、従来公知の塗料組成物用の帯電防止剤を用いることができる。帯電防止剤としては、例えば、過塩素酸アルカリ金属塩、過塩素酸アルカリ土類金属塩、含フッ素有機アニオン塩を用いることができる。
過塩素酸アルカリ金属塩としては、例えば、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸リチウム等が挙げられる。過塩素酸アルカリ土類金属塩としては、過塩素酸マグネシウム、過塩素酸カルシウムが挙げられる。これらの中でも、導電性の観点から、過塩素酸リチウムを用いることが好ましい。
含フッ素有機アニオン塩としては、少なくとも一つの原子がフッ素で置換された有機アニオンと任意のカチオンとの塩であれば特に限定されない。含フッ素アニオンとしては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸、トリフルオロプロパンスルホン酸、トリフルオロブタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ペンタフルオロプロパンスルホン酸、ペンタフルオロブタンスルホン酸、へプタフルオロプロパンスルホン酸、へプタフルオロブタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸が挙げられる。これらの中でも、導電性の観点から、トリフルオロメタンスルホン酸が好ましい。カチオン塩としては、アルカリ金属塩であることが好ましく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩が挙げられる。これらの中でも、導電性の観点から、好ましくはリチウム塩が好ましい。したがって、含フッ素有機アニオン塩としては、導電性の観点から、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムが好ましい。
上記帯電防止剤として、過塩素酸アルカリ金属塩または過塩素酸アルカリ土類金属塩と、含フッ素有機アニオン塩を併用することで帯電防止性をより向上させることができる。
本発明においては、導電性を高めるために、ポリアルキレングリコールに上記の帯電防止剤および含フッ素有機アニオン塩を溶解させて用いることが好ましい。ポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリオキシエチレングリコール-ポリオキシプロピレングリコールブロック共重合体、ポリエチレン-ポリオキシアルキレングリコールグラフト共重合体等が挙げられる。
帯電防止剤の含有量は、活性エネルギー線硬化型塗料組成物の不揮発分全量に対して、好ましくは0.01~5.00質量%であり、より好ましくは0.05~2.00質量%であり、さらに好ましくは0.10~1.00質量%である。帯電防止剤の含有量が上記範囲内であれば、帯電防止性をより向上させることができる。
(光重合開始剤)
光重合開始剤は、特に限定されず、従来公知の活性エネルギー線硬化用の光重合開始剤を用いることができる。光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系重合開始剤、フォスフィンオキサイド系重合開始剤、ベンゾイルホルメート系重合開始剤、チオキサントン系重合開始剤、オキシムエステル系重合開始剤、ヒドロキシベンゾイル系重合開始剤、ベンゾフェノン系重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン系重合開始剤等が挙げられる。
アセトフェノン系重合開始剤としては、アセトフェノン、3-メチルアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル-2-モルホリノプロパン-1-オン、および2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等が挙げられる。
フォスフィンオキサイド系重合開始剤としては、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイドおよび2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
ベンゾイルホルメート系重合開始剤としては、メチルベンゾイルホルメート等が挙げられる。
チオキサントン系重合開始剤としては、イソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
オキシムエステル系重合開始剤としては、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]およびエタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等が挙げられる。
ヒドロキシベンゾイル系重合開始剤としては、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよびベンゾインアルキルエーテル等が挙げられる。
ベンゾフェノン系重合開始剤としては、ベンゾフェノン、4-クロロベンゾフェノン、および4,4′-ジアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
α-アミノアルキルフェノン系重合開始剤としては、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロ-ブタノン-1および2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等が挙げられる。
光重合開始剤の含有量は、硬化性および透明性の観点から、活性エネルギー線硬化型塗料組成物の不揮発分全量に対して、好ましくは0.1~15質量%であり、より好ましくは1~10質量%であり、さらに好ましくは2~8質量%である。
(防汚剤)
防汚剤は、特に限定されず、従来公知の塗料組成物用の防汚剤を用いることができる。防汚剤としては、例えば、フッ素系防汚剤またはシリコーン系防汚剤を用いることが好ましい。
フッ素系防汚剤は、防汚効果を有するフッ素化合物を用いることができる。フッ素化合物としては、フッ素を含有する樹脂化合物であることが好ましく、フッ素を含有するアクリル樹脂であることがより好ましく、フッ素を含有するウレタン変性アクリル樹脂であることが特に好ましく、フッ素および(メタ)アクリロイルオキシ基を含有するウレタン変性アクリル樹脂がより更に好ましい。特に、炭化水素基中の水素原子の全てあるいは一部をフッ素原子で置き換えたパーフルオロアルキル基を有することが好ましい。フッ素系防汚剤は、パーフルオロ化されたモノマー単位を含む樹脂成分であることがより好ましく、パーフルオロ化されたモノマー単位を含むアクリル共重合体であることがさらに好ましい。パーフルオロ化されたモノマー単位としては、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
シリコーン系防汚剤は、防汚効果を有するシリコーン化合物を用いることができる。シリコーン化合物としては、例えば、ケイ素を含有するアクリル樹脂、ジメチルポリシロキサンを主成分とするオルガノポリシロキサン等を用いることができる。
ケイ素を含有するアクリル樹脂としては、ケイ素を含有するウレタン変性アクリル樹脂であることが好ましく、ケイ素および(メタ)アクリロイルオキシ基を含有するウレタン変性アクリル樹脂がより好ましい。
また、ジメチルポリシロキサンを主成分とするオルガノポリシロキサンとしては、メチル基の一部がフェニル基、エチル基、イソプロピル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、水酸基、ビニル基などによって置換されていても良い。
防汚剤の含有量は、活性エネルギー線硬化型塗料組成物の不揮発分全量に対して、好ましくは0.1~20質量%であり、より好ましくは0.3~10質量%であり、さらに好ましくは0.5~5質量%である。防汚剤の含有量が上記範囲内であれば、硬化塗膜の防汚性をより向上させることができる。
(その他の添加剤)
本発明による活性エネルギー線硬化型塗料組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、上記成分の他にも、重合禁止剤、非反応性希釈剤、着色剤、つや消し剤、消泡剤、沈降防止剤、レベリング剤、分散剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、密着性向上剤、光増感剤、抗菌剤、防カビ剤、抗ウイルス剤、シランカップリング剤、可塑剤等を必要に応じて配合することができる。
本発明においては、つや消し剤を用いることが好ましく、具体的には、無機微粉体および有機微粉体からなる群より選ばれる少なくとも一種が使用される。無機微粉体としては、シリカが好ましく使用され、ガラス、マイカ、ゼオライト、珪藻土、グラファイト、クレー、タルク、炭酸カルシウム等の塩類、金属、金属酸化物等も使用できる。有機微粉体としては、ポリウレタンビーズが好ましく使用され、アクリル樹脂やポリアミド等の各種の樹脂、シリコーンゴム、パルプ、セルロース等も使用できる。これらの微粉体は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。つや消し剤の平均粒子径は特に制限されず、0.1~30μmのものが好ましい。
つや消し剤の含有量は、活性エネルギー線硬化型塗料組成物の不揮発分全量に対して、好ましくは0.5~30質量%であり、より好ましくは1~25質量%である。
<活性エネルギー線硬化型塗料組成物の調製方法>
本発明による活性エネルギー線硬化型塗料組成物は、上記の各成分を、従来公知の混合機、分散機、撹拌機等の装置を用いて、混合・撹拌することにより得られる。このような装置としては、たとえば混合・分散ミル、ホモディスパー、モルタルミキサー、ロール、ペイントシェーカー、ホモジナイザー等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化型塗料組成物の25℃における粘度は、通常、10~20,000mPa・sであり、好ましくは100~10,000mPa・sである。粘度の測定はB型粘度計を用いることができる。
本発明においては、活性エネルギー線硬化型塗料組成物を塗布に適した粘度に調整する等、必要に応じて溶剤で希釈することができる。溶剤としては、活性エネルギー線硬化型塗料組成物中の樹脂分を溶解するものであれば特に限定されない。具体的には、芳香族炭化水素(例えば、トルエン、キシレンおよびエチルベンゼン)、エステル又はエーテルエステル(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルおよびメトキシブチルアセテート)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールのモノメチルエーテルおよびジエチレングリコールのモノエチルエーテル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ-n-ブチルケトンおよびシクロヘキサノン)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n-又はi-プロパノール、n-、i-、sec-又はt-ブタノール、2-エチルヘキシルアルコールおよびベンジルアルコール)、アミド(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)、水およびこれらの2種以上の混合溶剤等が挙げられる。
<塗膜付き床材>
本発明による塗膜付き床材は、床材の少なくとも片面が、上記の活性エネルギー線硬化型塗料組成物から形成された硬化塗膜で被覆されてなるものである。床材としては、例えば、合成樹脂製床材が挙げられる。合成樹脂としては、熱可塑性樹脂および熱硬化型樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、具体的には、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。また、熱硬化型樹脂としては、具体的には、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、加工性や床材としての施工容易性の面から、熱可塑性樹脂が好ましく、ポリ塩化ビニル系樹脂がより好ましい。
床材の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、0.1~15mmが好ましく、1~7mmがより好ましい。
<塗膜付き床材の製造方法>
本発明による塗膜付き床材は、床材の少なくとも片面に、上記の活性エネルギー線硬化型塗料組成物を塗布する工程(塗布工程)と、該塗布面に活性エネルギー線を照射して、該組成物を硬化させる工程(硬化工程)とを含むものである。
(塗布工程)
塗布工程は、床材の少なくとも片面に、従来公知の方法により、上記の活性エネルギー線硬化型塗料組成物を塗布する工程である。塗布には、例えば、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター(ナチュラルロールコーターおよびリバースロールコーター等)、エアナイフコーター、スピンコーターおよびブレードコーター等の塗布機が使用できる。これらの中でも、作業性および生産性の観点からロールコーターを用いた塗布方法が好ましい。
塗布膜厚は、硬化乾燥後の膜厚として、0.5~150μmであることが好ましい。乾燥性、硬化性の観点から更に好ましい上限は50μmであり、耐摩耗性、耐溶剤性、耐汚染性の観点から更に好ましい下限は1μmである。
活性エネルギー線硬化型塗料組成物を溶剤で希釈して使用する場合は、塗布後に乾燥することが好ましい。乾燥方法としては、例えば熱風乾燥(ドライヤー等)が挙げられる。乾燥温度は、好ましくは10~200℃、塗膜の平滑性および外観の観点から更に好ましい上限は150℃、乾燥速度の観点から更に好ましい下限は30℃である。
(硬化工程)
硬化工程は、床材の塗布面に活性エネルギー線を照射して、塗布された活性エネルギー線硬化型塗料組成物を硬化させて、硬化塗膜を形成する工程である。活性エネルギー線としては、紫外線(遠紫外線、近紫外線等)、赤外線等の光線に加えて、X線、γ線等の電磁波、電子線、プロトン線、中性子線等が挙げられ、中でも、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等の面から、紫外線が好ましい。
本発明による活性エネルギー線硬化型塗料組成物を、上記紫外線等の光線により硬化させる場合は、光重合開始剤を使用する。一方、上記電子線等により硬化させる場合は、通常、光重合開始剤を使用しない。
紫外線で硬化させる方法としては、200~500nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、UV-LED等を用いて、紫外線を照射する方法等が挙げられる。紫外線の照射量は、活性エネルギー線硬化型塗料組成物の硬化性および硬化物の可撓性の観点から、好ましくは100~3,000mJ/cmであり、より好ましくは200~2,000mJ/cmである。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<塗料組成物の調製>
まず、塗料組成物の調製のために、以下の原材料を準備した。
・光重合開始剤:ベンゾフェノン(Chemfine International(株)製、商品名:HYCURE BENZOPHENONE)
・単官能(メタ)アクリレート化合物:メトキシトリエチレングリコールアクリレート(第一工業製薬(株)製、商品名:GX-8301S)
・2官能(メタ)アクリレート化合物:トリプロピレングリコールジアクリレート(BASFジャパン(株)製、商品名:Laromer TPGDA)
・2官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物:大竹明新化学(株)製、商品名:UV-841
・3官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物:大竹明新化学(株)製、商品名:UV-55
・6官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物:根上工業(株)製、商品名:アートレジンUN-CMP-1
・10官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物:ダイセル・オルネクス(株)製、商品名:KRM8452
・帯電防止剤:過塩素酸リチウムおよびトリフルオロメタンスルホン酸リチウムをポリオキシエチレングリコール-ポリオキシプロピレングリコールブロック共重合体に溶解したもの(日本カーリット(株)製、商品名:PEL-25)
・防汚剤:(メタ)アクリロイルオキシ基を有するパーフルオロポリエーテルオリゴマー(信越化学(株)製、商品名:KY-1203)
・つや消し剤:ポリエチレンワックス処理シリカ(水澤化学工業(株)製、商品名:ミズカシルP-802Y)
[実施例1~9、比較例1~4]
表1に記載の配合に従って、光重合開始剤、単官能(メタ)アクリレート化合物、2官能または3官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物、多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物、帯電防止剤、防汚剤、およびつや消し剤の各原材料を、ホモディスパーを用いて混合して、活性エネルギー線硬化型塗料組成物を調製した。
<塗膜付き床材の製造>
上記の実施例1~9および比較例1~4で調製した活性エネルギー線硬化型塗料組成物を十分に撹拌し、厚さ3mmの合成樹脂(ポリ塩化ビニル)製床材にバーコーターを用いて硬化後の塗膜の厚さが約20μmになるように塗布した。続いて、該床材の塗布面に高圧水銀ランプにて紫外線照射(積算光量500mJ/cm)を行い、該塗料組成物を硬化させて、塗膜付き床材を得た。
<性能評価>
(耐汚染性試験)
上記で得た塗膜付き床材の表面に、ブラックカーボン:炭酸カルシウムを質量比1:9で混合した汚染物質を少量乗せ、全面に均一に擦り付けた。続いて、水拭きで付着した汚染物質を拭き取り、汚染物質の付着の程度を目視で観察し、下記の基準で評価した。評価基準が「○」以上のものを合格とした。評価結果を表2に示した。
(評価基準)
◎:水拭きで付着した汚れを容易に拭き取ることができた。
○:水拭きで付着した汚れを拭き取ることができた。
×:水拭きで付着した汚れを拭き取るがことができなかった。
(帯電防止性試験)
上記の実施例1~9および比較例1~4で調製した活性エネルギー線硬化型塗料組成物を十分に撹拌し、厚さ100μmPETフィルムにバーコーターを用いて硬化後の塗膜の厚さが約20μmになるように塗布した。続いて、該PETフィルムの塗布面に高圧水銀ランプにて紫外線照射(積算光量500mJ/cm)を行い、該塗料組成物を硬化させて、塗膜を得た。
次に、得られた塗膜の表面抵抗値Ω/□を、抵抗率計(三菱化学(株)製、型番:MCP-HT450、測定レンジ:9.99×10~9.99×1013Ω)を用いて、気温23℃、湿度50%RH、印加電圧500Vの条件で測定した。なお、測定結果は数値が低いほど、良好であることを示す。また、下記の評価基準で評価し、「○」のものを合格とした。測定結果および評価結果を表2に示した。
(評価基準)
○:測定可能(1.0×1014未満)であった。
×:測定不可(1.0×1014以上)であった。
(密着性試験)
上記で得た塗膜付き床材の表面について、JIS K 5600-5-6に準拠して2mm間隔で塗膜に10マス×10マスの切れ込みを入れ、ニチバン製粘着テープを貼り付け、引き剥がした後の塗膜の状態を目視で観察し、残存している塗膜のマス目を計測した。また、下記の基準で評価し、評価基準が「○」のものを合格とした。測定結果および評価結果を表2に示した。
(評価基準)
○:残存している塗膜が95マス以上であった。
×:残存している塗膜が95マス未満であった。
(柔軟性試験)
上記で得た塗膜付き床材の表面について、JIS K 5600-5-3を参考に直径50mm、約500gの鋼球を75cmの高さから落下させて、試験後の塗膜の状態を目視で観察し、下記の基準で評価した。評価基準が「○」のものを合格とした。評価結果を表2に示した。
(評価基準)
○:塗膜にクラックが発生していなかった。
×:塗膜にクラックが発生していた。
Figure 0007190882000001
Figure 0007190882000002

Claims (8)

  1. 帯電防止剤と、
    単官能(メタ)アクリレート化合物と、
    2官能または3官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物と、
    4官能以上の多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物と、
    を含み、
    前記帯電防止剤が、過塩素酸アルカリ金属塩または過塩素酸アルカリ土類金属塩、含フッ素有機アニオン塩とを含む、床材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物。
  2. ポリアルキレングリコールをさらに含む、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型塗料組成物。
  3. 前記帯電防止剤の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型塗料組成物の不揮発分全量に対して、0.01質量%以上5.00質量%以下である、請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化型塗料組成物。
  4. 光重合開始剤をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型塗料組成物。
  5. フッ素系防汚剤またはシリコーン系防汚剤をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型塗料組成物。
  6. 前記床材が、合成樹脂製である、請求項1~5のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型塗料組成物。
  7. 床材の少なくとも片面が、請求項1~6のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型塗料組成物から形成された硬化塗膜で被覆されてなる、塗膜付き床材。
  8. 床材の少なくとも片面に、請求項1~6のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型塗料組成物を塗布する工程と、
    該塗布面に活性エネルギー線を照射して、該組成物を硬化させる工程と、
    を含む、塗膜付き床材の製造方法。
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