JP7187652B2 - ニオブ酸水溶液 - Google Patents
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Description
(1)ニオブをNb2O5換算で1~100g/L含有するフッ化ニオブ水溶液を、アンモニア濃度10~30質量%のアンモニア水溶液に添加して反応させニオブ含有沈殿物を得る工程
(2)前記工程で得られたニオブ含有沈殿物からフッ素を除去する工程
(3)フッ素除去して得られたニオブ含有沈殿物をスラリーとし、アミン及びアンモニアから選択される少なくとも1種を添加して反応させる工程
そして、本発明が提案するニオブ酸水溶液は、このようにニオブ酸が水に溶解して、ニオブ乃至ニオブ酸が粒子として存在しない水溶液であるから、光の反射乃至散乱が少なくて光学特性が高いばかりではなく、ニオブ乃至ニオブ酸としての反応性を高めることができる。
本発明の実施形態の一例に係るニオブ酸水溶液(「本ニオブ酸水溶液」)は、ニオブ乃至ニオブ酸を含有し、且つ、動的光散乱法を用いた粒子径分布測定において1.0nm以上の粒子が検出されない溶液である。
本ニオブ酸水溶液には、陰イオンとして水酸化物イオンは存在する一方、フッ化物イオンおよび塩化物イオンなどのハロゲン化物イオンはほとんど存在せず、アミン乃至アンモニアは陽イオンとして存在すると考えられるため、ニオブはNbO-のような陰イオンとして存在していると考えられる。
技術的に証明できている訳ではないが、アミン又はアンモニアがニオブ酸とイオン結合することで、水に対する溶解性を高めることができるものと推察することができる。
なお、本発明では、ニオブ酸を含有しており、且つ、動的光散乱法で測定した際、1.0nm以上の粒子が検出されない状態の液を「ニオブ酸水溶液」と称する。
本発明において「粒子径分布を測定した際、1.0nm以上の粒子が検出される」とは、動的光散乱法によって粒子径を測定した際、信頼できる値の粒子径を測定できる場合において、1.0nm以上の粒子が検出される場合を意味し、「1.0nm以上の粒子が検出されない」とは、動的光散乱法によって粒子径を測定した際、信頼できる測定値の粒子径が1.0nm未満であるか、若しくは、デタラメな数値が表示されるなど、信頼できる値の粒子径を測定できない場合を意味する。
例えばニオブ酸を含有するゾルの場合は、コロイド粒子が液体中に分散している状態であり、コロイド粒子の粒径は1.0nm以上であるから、粒子径分布を測定した際、1.0nm以上の粒子が検出されることになる。これに対し、ニオブ酸に由来する物質が水にイオンとなって溶解している場合には、動的光散乱法を用いて粒子径を測定した際、1.0nm以上の粒子は検出されないこととなる。
本ニオブ酸水溶液は、動的光散乱法を用いて粒子径分布を測定した際、1.0nm以上の粒子が検出されないという特徴を妨げなければ、ニオブ乃至ニオブ酸以外の成分を含有していてもよい。
本ニオブ酸水溶液は、ニオブをNb2O5換算で10g当たり1g含有する濃度に調整したニオブ酸水溶液(25℃)20gに、3質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(25℃)20gを、1分間かけて攪拌しながら添加した後、液温5℃を20時間保持するように静置すると、Na8Nb6O19・13H2Oの沈殿が生成することを特徴とするものである。
よって、本ニオブ酸水溶液は、アルカリ金属塩との反応性が高く、上記のように水酸化ナトリウム水溶液と反応させると、Na8Nb6O19・13H2Oの沈殿が生成するものであると言うことができる。
通常、ニオブ酸水和物(Na8Nb6O19・13H2O)を得るためには、水酸化Nbと水酸化ナトリウム水溶液とを混合して80℃以上に加熱して反応させる必要があるなど、簡単に作成することは難しい。しかし、本ニオブ酸水溶液は、アルカリ金属塩との反応性が高いため、水酸化ナトリウム水溶液と混合して反応させて冷却するだけで、ニオブ酸水和物(Na8Nb6O19・13H2O)を得ることができる。
すなわち、生成した前記沈殿を、下記条件にてX線回折測定により測定し、ICDDカードNo,00-014-0370のXRDパターンと照らし合わせて、Na8Nb6O19・13H2Oであるか否か同定することができる。
・装置:MiniFlexII(株式会社リガク製)
・測定範囲(2θ):5~90°
・サンプリング幅:0.02°
・スキャンスピード:2.0°/min
・X線:CuKα線
・電圧:30kV
・電流:15mA
・発散スリット:1.25°
・散乱スリット:1.25°
・受光スリット:0.3mm
次に、本ニオブ酸水溶液の好適な製造方法(「本製造方法」と称する)について説明する。
逆中和工程では、フッ化ニオブ水溶液を、所定濃度のアンモニア水溶液中に添加してニオブ含有沈殿物を得るのが好ましい。すなわち、逆中和するのが好ましい。
アンモニア水溶液をフッ化ニオブ水溶液に添加して中和する正中和ではなく、フッ化ニオブ水溶液をアンモニア水溶に添加して中和する逆中和を行うことが好ましい。
逆中和することによって、ニオブ酸の構造が水に溶けやすい構造になると推測している。
そしてこのフッ化ニオブ水溶液は、水(例えば純水)を加えて、ニオブをNb2O5換算で1~100g/L含有するように調製するのが好ましい。この際、ニオブ濃度が1g/L以上であれば、水に溶けやすいニオブ酸化合物水和物になるので、フッ化ニオブ水溶液のニオブ濃度は、Nb2O5換算で1g/L以上であるがより好ましく、生産性を考えた場合、中でも10g/L以上、その中でも20g/L以上であるのがさらに好ましい。他方、ニオブ濃度が100g/L以下であれば、水に溶けやすいニオブ酸化合物水和物になるので、より確実に水に溶けやすいニオブ酸化合物水和物を合成するには、90g/L以下であるがより好ましく、中でも80g/L以下、その中でも70g/L以下であるのがさらに好ましい。
フッ化ニオブ水溶液のpHは、ニオブ乃至ニオブ酸化物を完全溶解させる観点から、2以下であるのが好ましく、中でも1以下であるのがさらに好ましい。
逆中和に用いるアンモニア水溶液のアンモニア濃度を10質量%以上とすることで、Nbが溶け残ることを無くし、ニオブ乃至ニオブ酸を水に完全に溶けるようにさせることができる。他方、アンモニア水溶液のアンモニア濃度が30質量%以下であれば、アンモニアの飽和水溶液付近だから好ましい。
かかる観点から、アンモニア水溶液のアンモニア濃度は10質量%以上であるのが好ましく、中でも15質量%以上、中でも20質量%以上、その中でも25質量%以上であるのがさらに好ましい。他方、30質量%以下であるのが好ましく、中でも29質量%以下、その中でも28質量%以下であるのがさらに好ましい。
また、アンモニア水溶液に対するフッ化ニオブ水溶液の添加量(NH3/HFモル比)に関しては、アミンや薄いアンモニア水に溶けるニオブ酸化合物が生成する観点から、3.0以上とするのが好ましく、中でも4.0以上、その中でも5.0以上とするのがさらに好ましい。他方、コスト低減の観点からは、100以下とするのが好ましく、中でも50以下、その中でも40以下とするのがさらに好ましい。
なお、フッ化ニオブ水溶液及びアンモニア水溶液ともに常温でよい。
この際、前記フッ化ニオブ水溶液の添加時間は、1分以内とするのが好ましく、中でも30秒以内、その中でも10秒以内とするのがさらに好ましい。
前記中和反応で得られた液、すなわちニオブ含有沈殿物には、不純物として、フッ化アンモニウムなどのフッ素化合物が存在するため、これらを除去するのが好ましい。
F洗浄工程は、常温で行えばよく、それぞれの温度調整は特に必要ない。
次に、前記工程でフッ素除去して得られたニオブ含有沈殿物をスラリーとし、このスラリーにアミン及びアンモニア水から選択される少なくとも1種を添加して反応させることによって、本ニオブ酸水溶液を得ることができる。
ニオブ含有沈殿物をスラリーとするためには、純水などの分散媒に加えて分散させればよい。
水溶化工程は、常温で行えばよく、それぞれの温度調整は特に必要ない。
中でも、溶解性の点からは、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム、エチルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエチルアミンおよび水酸化テトラエチルアンモニウムが好ましく、中でもメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、水酸化テトラメチルアンモニウムがさらに好ましい。とりわけ、メチルアミンが最も好ましい。
本ニオブ酸水溶液は、例えば各種コーティング液として利用することができる。
本明細書において「X~Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
五酸化ニオブ100gを55%フッ化水素酸水溶液200gに溶解させ、イオン交換水を830mL添加することによって、ニオブをNb2O5換算で100g/L含有する(Nb2O5=8.84質量%)フッ化ニオブ水溶液を得た。
このフッ化ニオブ水溶液200mLを、アンモニア水(NH3濃度25質量%)1Lに、1分間未満の時間で添加して(NH3/Nb2O5モル比=177.9、NH3/HFモル比=12.2)、反応液(pH11)を得た。この反応液はニオブ酸化合物水和物のスラリー、言い換えればニオブ含有沈殿物のスラリーであった。
次に、前記反応液を、遠心分離機を用いてデカンテーションし、フリーフッ素量が100mg/L以下になるまで洗浄してフッ素除去したニオブ含有沈殿を得た。この際、洗浄液にはアンモニア水を用いた。
次に、前記フッ素除去したニオブ含有沈殿を純水で希釈しスラリーを得た。このスラリーの一部を110℃で24時間乾燥後、1000℃で4時間焼成することでNb2O5を生成し、その重量からスラリーに含まれるNb2O5濃度を算出した。スラリーへ純水を添加し、その後ジメチルアミン濃度7.2質量%になるように、50%ジメチルアミン水溶液を添加して、Nb2O5固形分濃度で24.0質量%のスラリーに調製した。
このスラリーを48時間攪拌して、ニオブ酸水溶液(サンプル)を得た。
五酸化ニオブ100gを55%フッ化水素酸水溶液200gに溶解させ、イオン交換水を1830mL添加することによって、ニオブをNb2O5換算で50g/L含有する(Nb2O5=4.69質量%)フッ化ニオブ水溶液を得た。
このフッ化ニオブ水溶液400mLを、アンモニア水(NH3濃度25質量%)1Lに、1分間未満の時間で添加して(NH3/Nb2O5モル比=177.9、NH3/HFモル比=12.2)、反応液(pH12)を得た。この反応液はニオブ酸化合物水和物のスラリー、言い換えればニオブ含有沈殿物のスラリーであった。
次に、前記反応液を、遠心分離機を用いてデカンテーションし、フリーフッ素量が100mg/L以下になるまで洗浄してフッ素除去したニオブ含有沈殿を得た。この際、洗浄液にはアンモニア水を用いた。
次に、前記フッ素除去したニオブ含有沈殿を純水で希釈しスラリーを得た。このスラリーの一部を110℃で24時間乾燥後、1000℃で4時間焼成することでNb2O5を生成し、その重量からスラリーに含まれるNb2O5濃度を算出した。スラリーへ純水を添加し、その後ジメチルアミン濃度2.0質量%になるように、50%ジメチルアミン水溶液を添加して、Nb2O5固形分濃度で10.0質量%のスラリーに調製した。
このスラリーを48時間攪拌して、ニオブ酸水溶液(サンプル)を得た。
五酸化ニオブ100gを55%フッ化水素酸水溶液200gに溶解させ、イオン交換水を830mL添加することによって、ニオブをNb2O5換算で100g/L含有する(Nb2O5=8.84質量%)フッ化ニオブ水溶液を得た。
このフッ化ニオブ水溶液200mLを、アンモニア水(NH3濃度25質量%)2Lに、1分間未満の時間で添加して(NH3/Nb2O5モル比=355.7、NH3/HFモル比=24.3)、反応液(pH11)を得た。この反応液はニオブ酸化合物水和物のスラリー、言い換えればニオブ含有沈殿物のスラリーであった。
次に、前記反応液を、遠心分離機を用いてデカンテーションし、フリーフッ素量が100mg/L以下になるまで洗浄してフッ素除去したニオブ含有沈殿を得た。この際、洗浄液にはアンモニア水を用いた。
次に、前記フッ素除去したニオブ含有沈殿を純水で希釈しスラリーを得た。このスラリーの一部を110℃で24時間乾燥後、1000℃で4時間焼成することでNb2O5を生成し、その重量からスラリーに含まれるNb2O5濃度を算出した。スラリーへ純水を添加し、その後ジメチルアミン濃度2.0質量%になるように、50%ジメチルアミン水溶液を添加して、Nb2O5固形分濃度で10.0質量%のスラリーに調製した。
このスラリーを48時間攪拌して、ニオブ酸水溶液(サンプル)を得た。
五酸化ニオブ100gを55%フッ化水素酸水溶液200gに溶解させ、イオン交換水を9800mL添加することによって、ニオブをNb2O5換算で10.3g/L含有する(Nb2O5=1質量%)フッ化ニオブ水溶液を得た。
このフッ化ニオブ水溶液2Lを、アンモニア水(NH3濃度25質量%)2Lに、1分間未満の時間で添加して(NH3/Nb2O5モル比=345.4、NH3/HFモル比=23.6)、反応液(pH12)を得た。この反応液はニオブ酸化合物水和物のスラリー、言い換えればニオブ含有沈殿物のスラリーであった。
次に、前記反応液を、遠心分離機を用いてデカンテーションし、フリーフッ素量が100mg/L以下になるまで洗浄してフッ素除去したニオブ含有沈殿を得た。この際、洗浄液にはアンモニア水を用いた。
次に、前記フッ素除去したニオブ含有沈殿を純水で希釈しスラリーを得た。このスラリーの一部を110℃で24時間乾燥後、1000℃で4時間焼成することでNb2O5を生成し、その重量からスラリーに含まれるNb2O5濃度を算出した。スラリーへ純水を添加し、その後メチルアミン濃度1.0質量%になるように、40%メチルアミン水溶液を添加して、Nb2O5固形分濃度で10.0質量%のスラリーに調製した。
このスラリーを48時間攪拌して、ニオブ酸水溶液(サンプル)を得た。
五酸化ニオブ100gを55%フッ化水素酸水溶液200gに溶解させ、イオン交換水を830mL添加することによって、ニオブをNb2O5換算で100g/L含有する(Nb2O5=8.84質量%)フッ化ニオブ水溶液を得た。
このフッ化ニオブ水溶液200mLを、アンモニア水(NH3濃度25質量%)2Lに、1分間未満の時間で添加して(NH3/Nb2O5モル比=355.7、NH3/HFモル比=24.3)、反応液(pH11)を得た。この反応液はニオブ酸化合物水和物のスラリー、言い換えればニオブ含有沈殿物のスラリーであった。
次に、前記反応液を、遠心分離機を用いてデカンテーションし、フリーフッ素量が100mg/L以下になるまで洗浄してフッ素除去したニオブ含有沈殿を得た。この際、洗浄液にはアンモニア水を用いた。
次に、前記フッ素除去したニオブ含有沈殿を純水で希釈しスラリーを得た。このスラリーの一部を110℃で24時間乾燥後、1000℃で4時間焼成することでNb2O5を生成し、その重量からスラリーに含まれるNb2O5濃度を算出した。スラリーへ純水を添加し、その後トリエチルアミン濃度3.0質量%になるように、>99%トリエチルアミン水溶液を添加して、Nb2O5固形分濃度で10.0質量%のスラリーに調製した。
このスラリーを20日間撹拌して、ニオブ酸水溶液(サンプル)を得た。
五酸化ニオブ100gを55%フッ化水素酸水溶液200gに溶解させ、イオン交換水を830mL添加することによって、ニオブをNb2O5換算で100g/L含有する(Nb2O5=8.84質量%)フッ化ニオブ水溶液を得た。
このフッ化ニオブ水溶液200mLを、アンモニア水(NH3濃度25質量%)2Lに、1分間未満の時間で添加して(NH3/Nb2O5モル比=355.7、NH3/HFモル比=24.3)、反応液(pH11)を得た。この反応液はニオブ酸化合物水和物のスラリー、言い換えればニオブ含有沈殿物のスラリーであった。
次に、前記反応液を、遠心分離機を用いてデカンテーションし、フリーフッ素量が100mg/L以下になるまで洗浄してフッ素除去したニオブ含有沈殿を得た。この際、洗浄液にはアンモニア水を用いた。
次に、前記フッ素除去したニオブ含有沈殿を純水で希釈しスラリーを得た。このスラリーの一部を110℃で24時間乾燥後、1000℃で4時間焼成することでNb2O5を生成し、その重量からスラリーに含まれるNb2O5濃度を算出した。スラリーへ25%アンモニア水と純水を添加し、Nb2O5固形分濃度で1.5質量%、アンモニア濃度2.5質量%のスラリーに調製した。
このスラリーを、48時間攪拌して、ニオブ酸水溶液(サンプル)を得た。
五酸化ニオブ100gを55%フッ化水素酸水溶液200gに溶解させ、イオン交換水を830mL添加することによって、ニオブをNb2O5換算で100g/L含有する(Nb2O5=8.84質量%)フッ化ニオブ水溶液を得た。
このフッ化ニオブ水溶液200mLを、アンモニア水(NH3濃度25質量%)2Lに、1分間未満の時間で添加して(NH3/Nb2O5モル比=355.7、NH3/HFモル比=24.3)、反応液(pH11)を得た。この反応液はニオブ酸化合物水和物のスラリー、言い換えればニオブ含有沈殿物のスラリーであった。
次に、前記反応液を、遠心分離機を用いてデカンテーションし、フリーフッ素量が100mg/L以下になるまで洗浄してフッ素除去したニオブ含有沈殿を得た。この際、洗浄液にはアンモニア水を用いた。
次に、前記フッ素除去したニオブ含有沈殿を純水で希釈しスラリーを得た。このスラリーの一部を110℃で24時間乾燥後、1000℃で4時間焼成することでNb2O5を生成し、その重量からスラリーに含まれるNb2O5濃度を算出した。スラリーへ純水を添加し、その後、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)濃度10.0質量%になるように、25%TMAH水溶液を添加して、Nb2O5固形分濃度で10.0質量%のスラリーに調製した。
このスラリーを5日間撹拌して、ニオブ酸水溶液(サンプル)を得た。
五酸化ニオブ100gを55%フッ化水素酸水溶液200gに溶解させ、イオン交換水を830mL添加することによって、ニオブをNb2O5換算で100g/L含有する(Nb2O5=8.84質量%)フッ化ニオブ水溶液を得た。
このフッ化ニオブ水溶液200mLを、アンモニア水(NH3濃度25質量%)2Lに、1分間未満の時間で添加して(NH3/Nb2O5モル比=355.7、NH3/HFモル比=24.3)、反応液(pH11)を得た。この反応液はニオブ酸化合物水和物のスラリー、言い換えればニオブ含有沈殿物のスラリーであった。
次に、前記反応液を、遠心分離機を用いてデカンテーションし、フリーフッ素量が100mg/L以下になるまで洗浄してフッ素除去したニオブ含有沈殿を得た。この際、洗浄液にはアンモニア水を用いた。
次に、前記フッ素除去したニオブ含有沈殿を純水で希釈しスラリーを得た。このスラリーの一部を110℃で24時間乾燥後、1000℃で4時間焼成することでNb2O5を生成し、その重量からスラリーに含まれるNb2O5濃度を算出した。スラリーへ純水を添加し、その後コリン濃度10.0質量%になるように、50%コリン水溶液を添加して、Nb2O5固形分濃度で10.0質量%のスラリーに調製した。
このスラリーを5日間撹拌して、ニオブ酸水溶液(サンプル)を得た。
五酸化ニオブ100gを55%フッ化水素酸水溶液200gに溶解させ、イオン交換水を830mL添加することによって、ニオブをNb2O5換算で100g/L含有する(Nb2O5=8.84質量%)フッ化ニオブ水溶液を得た。
このフッ化ニオブ水溶液200mLを、アンモニア水(NH3濃度25質量%)2Lに、1分間未満の時間で添加して(NH3/Nb2O5モル比=355.7、NH3/HFモル比=24.3)、反応液(pH11)を得た。この反応液はニオブ酸化合物水和物のスラリー、言い換えればニオブ含有沈殿物のスラリーであった。
次に、前記反応液を、遠心分離機を用いてデカンテーションし、フリーフッ素量が100mg/L以下になるまで洗浄してフッ素除去したニオブ含有沈殿を得た。この際、洗浄液にはアンモニア水を用いた。
次に、前記フッ素除去したニオブ含有沈殿を純水で希釈しスラリーを得た。このスラリーの一部を110℃で24時間乾燥後、1000℃で4時間焼成することでNb2O5を生成し、その重量からスラリーに含まれるNb2O5濃度を算出した。スラリーへ純水を添加し、その後トリメチルアミン濃度10.0質量%になるように、27%トリメチルアミン水溶液を添加して、Nb2O5固形分濃度で10.0質量%のスラリーに調製した。
このスラリーを5日間撹拌して、ニオブ酸水溶液(サンプル)を得た。
五酸化ニオブ100gを55%フッ化水素酸水溶液200gに溶解させ、イオン交換水を830mL添加することによって、ニオブをNb2O5換算で100g/L含有する(Nb2O5=8.84質量%)フッ化ニオブ水溶液を得た。
このフッ化ニオブ水溶液200mLへ、アンモニア水(NH3濃度25質量%)200mLを、60分間かけて添加して(NH3/Nb2O5モル比=355.7、NH3/HFモル比=24.3)、反応液(pH11)を得た(正中和)。この反応液はニオブ酸化合物水和物のスラリー、言い換えればニオブ含有沈殿物のスラリーであった。
次に、前記反応液を、5Cろ紙を用いヌッチェろ過により、フリーフッ素量が100ppm以下になるまで洗浄してフッ素除去したニオブ含有沈殿を得た。この際、洗浄液にはアンモニア水を用いた。
次に、前記フッ素除去したニオブ含有沈殿を純水で希釈しスラリーを得た。このスラリーの一部を110℃で24時間乾燥後、1000℃で4時間焼成することでNb2O5を生成し、その重量からスラリーに含まれるNb2O5濃度を算出した。スラリーへ純水を添加し、その後ジメチルアミン濃度2.0質量%になるように、50%ジメチルアミン水溶液を添加して、Nb2O5固形分濃度で10.0質量%のスラリーに調製した。
このスラリーを48時間攪拌したが、得られた液に透明性はなく、白濁したスラリーであった。
五酸化ニオブ100gを55%フッ化水素酸水溶液200gに溶解させ、イオン交換水を830mL添加することによって、ニオブをNb2O5換算で100g/L含有する(Nb2O5=8.84質量%)フッ化ニオブ水溶液を得た。
このフッ化ニオブ水溶液80mLを、アンモニア水(NH3濃度5質量%)390mLに、1分間未満の時間で添加して(NH3/Nb2O5モル比=34.7、NH3/HFモル比=2.4)、反応液(pH9)を得た。この反応液はニオブ酸化合物水和物のスラリー、言い換えればニオブ含有沈殿物のスラリーであった。
次に、前記反応液を、遠心分離機を用いてデカンテーションし、フリーフッ素量が100mg/L以下になるまで洗浄してフッ素除去したニオブ含有沈殿を得た。この際、洗浄液にはアンモニア水を用いた。
次に、前記フッ素除去したニオブ含有沈殿を純水で希釈しスラリーを得た。このスラリーの一部を110℃で24時間乾燥後、1000℃で4時間焼成することでNb2O5を生成し、その重量からスラリーに含まれるNb2O5濃度を算出した。スラリーへ純水を添加し、Nb2O5固形分濃度で10.0質量%のスラリーに調製した。
このスラリーに、ジメチルアミン濃度2.0質量%になるように、50%ジメチルアミン水溶液を添加し、48時間攪拌した。得られた液に透明性はなく、白濁したスラリーであった。
五酸化ニオブ100gを55%フッ化水素酸水溶液200gに溶解させ、イオン交換水を19600mL添加することによって、ニオブをNb2O5換算で5.1g/L含有する(Nb2O5=0.5質量%)フッ化ニオブ水溶液を得た。
このフッ化ニオブ水溶液9Lをアンモニア水(NH3濃度1質量%)5Lへ60分間かけて添加して(NH3/Nb2O5モル比=15.5、NH3/HFモル比=1.1)、反応液(pH8)を得た(逆中和)。この反応液はニオブ酸化合物水和物のスラリー、言い換えればニオブ含有沈殿物のスラリーであった。
次に、このスラリーをろ過装置(マイクローザUF:型式ACP-0013D;旭化成(株)製)を用いてスラリーのフリーフッ素量が100mg/L以下になるまで洗浄してフッ素除去したニオブ含有沈殿を得た。
次に、前記フッ素除去したニオブ含有沈殿を純水で希釈しスラリーを得た。このスラリーの一部を110℃で24時間乾燥後、1000℃で4時間焼成することでNb2O5を生成し、その重量からスラリーに含まれるNb2O5濃度を算出した。スラリーへ純水を添加し、その後ジメチルアミン濃度2.0質量%になるように、50%ジメチルアミン水溶液を添加して、Nb2O5固形分濃度で10.0質量%のスラリーに調製した。
このスラリーを48時間攪拌した。得られた液に透明性はなく、白濁したスラリーであった。
動的光散乱粒度分布測定装置ELSZ-2000S(大塚電子製)を用いて、実施例・比較例で得たニオブ酸水溶液(サンプル)の粒子径を測定した。
なお、使用した動的光散乱粒度分布測定装置の検出限界は0.6nmであったため、測定不能であった場合、表には「<0.6nm」と示した。
また、1.0nm以上の粒子が検出された場合、コロイド粒子「有り」と判断し、1.0nm以上の粒子が検出されなかった場合、コロイド粒子「無し」と判断した。
実施例1~9で得たニオブ酸水溶液(サンプル)は、動的光散乱法を用いて粒子径を測定した際に少なくとも1.0nm以上の粒子が検出されないものであった。つまり完全溶解しているものであり、少なくともコロイド粒子乃至コロイド粒子よりも大きな粒子を含まないものであることが分かった。よって、実施例1~9で得たニオブ酸水溶液(サンプル)は、ニオブ酸アンモニウムゾルよりも水への分散性が高く、ニオブ酸錯化塩よりも水に対する溶解性が良好である。
実施例1-9で得られた各ニオブ酸水溶液(サンプル)のニオブ濃水度がNb2O5換算で10質量%より高濃度の場合には、純水を加えてニオブ濃度をNb2O5換算10質量%に希釈し、希釈後のニオブ酸水溶液を反応性試験の試験サンプルとした。他方、ニオブ酸水溶液(サンプル)のニオブ濃度がNb2O5換算で10質量%以下の場合は、純水による希釈は行わず、そのまま反応性試験の試験サンプルとした。
反応性試験の試験サンプルとしてのニオブ酸水溶液20g(Nb2O5換算2g)に、3質量%NaOH水溶液(25℃)20gを1分間かけてゆっくり添加しながらマグネティックスターラーにて撹拌したところ、やや白濁した液(25℃)が得られた。この白濁した液(25℃)を冷却器内において、液温5℃を20時間保持するように静置したところ沈殿が生成した。この生成した沈殿を5Cろ紙にてヌッチェろ過し、純水で洗浄した後、真空乾燥炉内において60℃(設定温度)に加熱して15時間真空乾燥させた。乾燥した沈殿をメノウ乳鉢にて粉砕し、得られた粉体についてX線回折測定を実施した。
他方、比較例1~3のニオブ含有液(サンプル)についても同様の試験を実施したが、沈殿は非晶質であり、ICDDカードNo,00-014-0370のNa8Nb6O19・13H2Oとは同定されなかった。なお、図2に、比較例3のXRDパターンを代表図として示した。
Claims (9)
- ニオブをNb2O5換算で0.1~40質量%含有し、動的光散乱法を用いた粒子径分布測定において1.0nm以上の粒子が検出されず、pHが11であることを特徴とするニオブ酸水溶液。
- 動的光散乱法を用いた粒子径分布測定において0.6nm以上の粒子が検出されないことを特徴とする、請求項1に記載のニオブ酸水溶液。
- 少なくとも次の(1)~(4)のいずれかを満足し、かつ、ニオブをNb2O5換算で10g当たり1g含有する濃度に調整したニオブ酸水溶液(25℃)20gに、3質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(25℃)20gを、1分間かけて攪拌しながら添加した後、液温5℃を20時間保持するように静置すると、Na8Nb6O19・13H2Oの沈殿が生成することを特徴とする、ニオブ酸水溶液。
(1)ニオブをNb 2 O 5 換算で0.1~40質量%含有する水溶液である。
(2)動的光散乱法を用いた粒子径分布測定において1.0nm以上の粒子が検出されない水溶液である。
(3)アミン及びアンモニアから選択される少なくとも1種に由来する成分を含有する水溶液である。
(4)pHが11の水溶液である。 - 動的光散乱法を用いた粒子径分布測定において0.6nm以上の粒子が検出されないことを特徴とする、請求項3に記載のニオブ酸水溶液。
- 請求項1~4の何れか一項に記載のニオブ酸水溶液を用いた、ニオブ酸とアルカリ金属塩との反応物の製造方法。
- 請求項1~4の何れか一項に記載のニオブ酸水溶液と、アルカリ金属塩またはその水溶液とを、加熱することなく混合して反応させて冷却することを特徴とする、ニオブ酸とアルカリ金属塩との反応物の製造方法。
- 請求項1~4の何れか一項に記載のニオブ酸水溶液を含む、コーティング液。
- 請求項1~4の何れか一項に記載のニオブ酸水溶液をコーティングしてなるコーティング物。
- 請求項1~4の何れか一項に記載のニオブ酸水溶液を用いた、ニオブ酸化合物のコーティング方法。
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