JP7342227B2 - タンタル酸分散液及びタンタル酸化合物 - Google Patents
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Description
また近年、オプトエレクトロニクス、触媒等の材料として、酸化タンタルが注目されている。
しかしながら、上記特許文献1~3に開示されている酸化タンタルゾルや有機タンタル水溶液のように、従来知られているタンタル酸分散液の多くは、オキシカルボン酸、しゅう酸、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)などのように、揮発し難い有機成分を含んでいるため、当該有機成分が製膜する際の妨げになったり、触媒の添加剤として使用する際には触媒作用を阻害したり、工業上利用する際の妨げとなることがあった。
しかし、特許文献4に開示されているタンタル酸化合物は、アルカリ金属化合物との反応性が十分でないという課題を抱えていた。
本発明の実施形態の一例に係るタンタル酸分散液(「本タンタル酸分散液」)は、水中にタンタル乃至タンタル酸及びアミンを含有するタンタル酸分散液である。
例えば室温にて24時間以上静置した後、目視にて沈殿が観察されなければ、タンタル乃至タンタル酸に起因するものが水中に沈殿しない状態で分散していると認めることができる。
本タンタル酸分散液の状態としては、水のような液体状のほか、ペースト状、懸濁液状(ゾル)などの状態を包含する。
また、本タンタル酸分散液が、水中にアミンを含有していることは、GC-MSなどにより確認することができる。
なお、本タンタル酸分散液において、タンタル乃至タンタル酸が水中でどのような状態で存在しているかについては調査中である。技術的に証明できている訳ではないが、本タンタル酸分散液においてタンタル乃至タンタル酸は、タンタル乃至タンタル酸の水和物乃至そのイオンとして存在していると推定することができる。特に、後述するXRDパターンの特徴などからすると、タンタル乃至タンタル酸がアミンとイオン結合してなるポリ酸構造のイオンとして水中に存在していると推測することができる。
なお、本タンタル酸分散液におけるタンタル乃至タンタル酸は、必ずしもTa2O5状態で存在するものではない。本発明において、本タンタル酸分散液におけるタンタルの含有量をTa2O5換算で示しているのは、Ta濃度を示す際の業界の慣例に基づくものである。
アミンの量が多ければ、タンタル乃至タンタル酸の水に対する分散性乃至溶解性を高めることができる。技術的に証明できている訳ではないが、アミンがタンタル酸とイオン結合することで、水に対する溶解性を高めることができるものと推察することができる。かかる観点から、本タンタル酸分散液は、アミンを0.01質量%以上含有するのが好ましく、中でも0.1質量%以上、その中でも0.5質量%以上含有するのがさらに好ましい。
他方、アミンの量が多すぎると、製膜性の障害になったり、触媒作用を阻害したりするなどの不具合を生じる可能性がある。よって、本タンタル酸分散液は、アミンを30質量%以下の割合で含有するのが好ましく、中でも25質量%以下、その中でも20質量%以下の割合で含有するのがさらに好ましい。
この際、例えば五酸化タンタル濃度9質量%の本タンタル酸分散液におけるアミンの濃度を5質量%以上とすることにより、タンタル乃至タンタル酸が水に溶解して、透過率が極めて高い分散液、すなわち400nm透過率40%以上、さらに好ましくは50%以上の水溶液とすることができる。
本発明では、400nm透過率が40%以上の分散液を水溶液と称する。
上記アルキルアミンとしては、アルキル基を1~3個有するものを好ましく使用可能である。アルキル基を2~3個有する場合、3個のアルキル基は全部同じものでもよいし、また、異なるなるものを含んでいてもよい。アルキルアミンのアルキル基としては、溶解性の観点から、アルキル基の炭素数1~6のものが好ましく、中でも4以下、その中でも3以下、さらにその中でも2以下のものが好ましい。
上記アルキルアミンの具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエチルアミン、n-プロピルアミン、ジn-プロピルアミン、トリn-プロピルアミン、iso-プロピルアミン、ジiso-プロピルアミン、トリiso-プロピルアミン、n-ブチルアミン、ジn-ブチルアミン、トリn-ブチルアミン、iso-ブチルアミン、ジiso-ブチルアミン、トリiso-ブチルアミンおよびtert-ブチルアミン、n-ペンチルアミン、n-ヘキシルアミンなどを挙げることができる。
中でも、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミンおよびジメチルエチルアミンが好ましく、中でもメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミンがさらに好ましい。
2θ=29°における強度に対する、2θ=5.5°における強度の強度比(5.5°/29°)が大きければ、本タンタル酸分散液の分散性がより高く、本タンタル酸分散液の透過率がより高くなることが確認されている。X線回折パターンにおいて、2θ=15°より低角度側に現れるピークの強度が高いことはポリ酸構造の特徴の一つであることが確認されている。そのため、強度比(5.5°/29°)高いほど、ポリ酸構造の占める割合が高くなり、本タンタル酸分散液の分散性が高くなり、透過率が高くなるものと推察することができる。
かかる観点から、本タンタル酸分散液における上記強度比(5.5°/29°)は1.00以上であるのが好ましく、中でも1.01以上、中でも1.02以上、中でも1.03以上、その中でも1.06以上、その中でも1.10以上であるのがさらに好ましい。なお、上限値は、おそくらく2.00程度であると予想される。
なお、前記2θ=29°の強度及び2θ=5.5°の強度は、該角度付近のピーク位置の強度ではなく、該角度を指定した強度である。
この推定の根拠としては、X線回折パターンにおける特徴のほか、アルカリ金属化合物との反応性が高く、NaOH、LiOH又はKOHと混合して反応させると、ポリ酸構造を有する化合物を得ることができる点を挙げることができる。
本タンタル酸分散液は、水中にタンタル乃至タンタル酸の水和物乃至そのイオン、及びアミン以外の成分を含有しない組成とすることができる。
他方、本タンタル酸分散液は、その作用効果を阻害しない範囲で、タンタル乃至タンタル酸及びアミン以外の成分(「他成分」と称する)を含有してもよい。例えば、該他成分として、アンモニア、無機分散剤、pH調整剤等の添加剤などを含有してもよい。但し、これらに限定するものではない。この際、本タンタル酸分散液における該他成分の含有量は、5質量%未満であるのが好ましく、中でも4質量%未満、その中でも3質量%未満であるのがさらに好ましい。
また、本タンタル酸分散液は、意図してではなく、不可避不純物を含むことが想定される。この際、不可避不純物の含有量は0.01質量%未満であるのが好ましい。
なお、本発明において「揮発し難い有機物成分」とは、オキシカルボン酸、しゅう酸やEDTAなど、揮発温度が110℃以上の有機物を意味する。
本タンタル酸分散液が、「揮発し難い有機物成分は含有しない」ことは、製造方法から確認できるほか、製造方法が不明の場合には、例えばガスクロマトグラフィーや、核磁気共鳴装置(NMR)、GC-MSなどにより、揮発し難い有機物成分の有無を分析することで確認することができる。
この際、本タンタル酸分散液が、「揮発し難い有機物成分は含有しない」とは、揮発温度が110℃以上の有機物の含有量が1%未満である場合をいう。
本タンタル酸分散液は、400nmの透過率を40%以上、さらに50%以上、さらに60%以上、さらに70%以上とすることができる。
本タンタル酸分散液は、アミンの含有量を高めることにより、400nmの透過率を高めることができる。
本タンタル酸分散液は、80℃以上に加熱せずとも、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属化合物と混合して攪拌するだけで反応して、アルカリ金属のタンタル塩を作製することができる。
これより、本タンタル酸分散液は、アルカリ金属塩との反応性が高く、上記のように水酸化ナトリウム水溶液と反応させると、Na8Ta6O19・15H2Oの沈殿が生成するものであると言うことができる。
これより、本タンタル酸分散液は、アルカリ金属塩との反応性が高く、上記のように水酸化カリウム水溶液と反応させると、K8Ta6O19・16H2Oの沈殿が生成するものであると言うことができる。
すなわち、生成した前記沈殿を、下記条件にてX線回折測定により測定し、ICDDカードNo.00-024-1145のXRDパターンと照らし合わせて、Na8Ta6O19・15H2Oであるか否か同定することができる。また、ICDDカードNo.01-073-8508のXRDパターンと照らし合わせて、K8Ta6O19・16H2Oであるか否か同定することができる。
次に、本タンタル酸分散液の好適な製造方法(「本分散液製造方法」と称する)について説明する。
また、後述する本タンタル酸化合物を利用して、本タンタル酸化合物とアミンと水とを混合して本タンタル酸分散液を作製することも可能である。
但し、本タンタル酸分散液の製造方法は、これらの製造方法に限定されるものではない。
また、説明しやすいため、下記では、工程ごとに説明するが、各工程は、装置及び時間的に一連の処理とすることもできるし、また、装置及び時間を別にする異なる処理工程とすることもできる。
出発物質であるタンタル塩溶液は、タンタルが溶解している溶液であればよい。例えば塩化タンタル水溶液、フッ化タンタル水溶液などを挙げることができる。
塩化タンタル水溶液は、塩化タンタル(TaCl5)を少量のメタノールに溶かし、さらに水を加えて作製することができる。
このフッ化タンタル水溶液は、水(例えば純水)を加えて、タンタルをTa2O5換算で1~100g/L含有するように調製するのが好ましい。この際、タンタル濃度が1g/L以上であれば、水に溶けやすいタンタル酸化合物水和物になるので、フッ化タンタル水溶液のタンタル濃度は、Ta2O5換算で1g/L以上であるのがより好ましく、生産性を考えた場合、中でも10g/L以上、その中でも20g/L以上であるのがさらに好ましい。他方、タンタル濃度が100g/L以下であれば、水に溶けやすいタンタル酸化合物水和物になるので、より確実に水に溶けやすいタンタル酸化合物水和物を合成するには、90g/L以下であるのがより好ましく、中でも80g/L以下、その中でも70g/L以下であるのがさらに好ましい。
フッ化タンタル水溶液のpHは、タンタル乃至タンタル酸化物を完全溶解させる観点から、2以下であるのが好ましく、中でも1以下であるのがさらに好ましい。
本分散液製造方法では、タンタル塩溶液とアミン水溶液とを反応させた後(一次中和)、アンモニア水と反応させる処理(二次中和)を行うことが重要である。
タンタル塩溶液とアミン水溶液による一次中和だけで、アンモニア水による二次中和を実施しないと、沈殿物が生成しないか、或いは沈殿生成量が少なくなり、本タンタル酸分散液の収率が低くなりやすい。さらに、沈殿物が生成したとしても、そのまま洗浄工程に進んだ場合、一部溶解しないタンタル酸化合物水和物となってしまい、分散性の高いタンタル酸分散液を得ることはできない。
また、一次中和と二次中和の順番を逆にして、タンタル塩溶液とアンモニア水とを反応させた後、アミン水溶液と反応させた場合も、後の分散工程において、タンタル乃至タンタル酸を好適に水中に分散させることはできず、まして水溶液とすることはできない。
フッ化タンタル水溶液などのタンタル塩溶液にアミン水溶液を添加する正中和では、後の分散工程において、タンタル乃至タンタル酸を好適に水に分散させることはできず、まして水溶液とことはできない。
逆中和することによって、タンタル乃至タンタル酸の構造が水に溶けやすい構造になると推測している。
中でも、溶解性の点からは、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミンおよびジメチルエチルアミンが好ましく、中でもメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミンがさらに好ましい。
他方、廃液量が多くなる観点から、前記タンタル塩溶液を、該記タンタル塩溶液に含まれるフッ素とモル比で2以下のアミンを含有するアミン水溶液に加えることが好ましく、中でも1.8以下、その中でも1.6以下のアミンを含有するアミン水溶液に加えることがさらに好ましい。
この際、前記タンタル塩溶液の添加時間は、1分以内とするのが好ましく、中でも30秒以内、その中でも10秒以内とするのがさらに好ましい。
二次中和では、一次中和工程で得た一次反応液を、アンモニア水に加えて二次反応液を得るようにするのが好ましい。一次反応液をアンモニア水に加えると、水中に沈殿物(「タンタル含有沈殿物」と称する)が生じることになる。
他方、廃液量が多くなる観点から、前記一次反応液を、該一次反応液に含まれるフッ素に対してモル比で10.0以下のアンモニアを含有するアンモニア水に加えることが好ましく、中でも9.5以下、その中でも9.0以下の割合でアンモニアを含有するアンモニア水に加えることがさらに好ましい。
この際、一次反応液の添加時間は、1分以内とするのが好ましく、中でも30秒以内、その中でも10秒以内とするのがさらに好ましい。
前記二次中和で得られた二次反応液、中でもそのタンタル含有沈殿物には、不純物として、フッ化アンモニウムなどのフッ素化合物など、タンタル乃至タンタル酸の水和物乃至イオン及びアミン以外の不要成分が水中に存在するため、当該不要成分を除去するのが好ましい。
洗浄工程は、常温で行えばよく、それぞれの温度調整は特に必要ない。
次に、洗浄工程で洗浄されて得たタンタル含有沈殿物、例えばフッ素除去して得られたタンタル含有沈殿物は、水などの分散媒を加えると共に、アミンを加えて、必要に応じて攪拌して反応を促進させることで、本タンタル酸分散液を作製することができる。
アミンの添加量は、上述したように、アミンの量が多ければ、タンタル乃至タンタル酸の水に対する分散性乃至溶解性を高めることができる一方、アミンの量が多過ぎると、製膜性の障害になったり、触媒作用を阻害したりするなどの不具合を生じる可能性がある観点から、上述のように調整するのが好ましい。
本タンタル酸分散液は、揮発し難い有機物成分を含まないため、比確的低温(100℃以下)で乾燥させることで製膜することができる。よって、例えば各種コーティング液として有効利用することができる。また、触媒原料など、各種用途に利用することができる。
また、本タンタル酸分散液に各種添加剤を加えて、各種用途に利用することもできる。
次に、本発明の実施形態の一例に係るタンタル酸化合物(「本タンタル酸化合物」)について説明する。
なお、本タンタル酸化合物は、必ずしもTa2O5状態で存在するものではない。本発明において、本タンタル酸化合物におけるタンタルの含有量をTa2O5換算で示しているのは、Ta濃度を示す際の業界の慣例に基づくものである。
2θ=29°における強度に対する、2θ=5.5°における強度の強度比(5.5°/29°)が大きければ、本タンタル酸化合物の反応性がより高くなることが確認されている。X線回折パターンにおいて、2θ=15°より低角度側に現れるピークの強度が高いことはポリ酸構造の特徴の一つであることが確認されている。そのため、強度比(5.5°/29°)高いほど、ポリ酸構造の占める割合が高くなり、本タンタル酸化合物の反応性が高くなるものと推察することができる。
かかる観点から、本タンタル酸化合物における上記強度比(5.5°/29°)は0.90以上であるのが好ましく、中でも0.92以上、その中でも0.94以上であるのがさらに好ましい。なお、上限値は、おそくらく2.00程度であると予想される。
なお、前記2θ=29°の強度及び2θ=5.5°の強度は、該角度付近のピーク位置の強度ではなく、該角度を指定した強度である。
この推定の根拠としては、X線回折パターンにおける特徴のほか、次に説明するようにアルカリ金属との反応性が高く、NaOH、LiOH又はKOHと混合して反応させると、ポリ酸構造を有する化合物を得ることができる点を挙げることができる。
本タンタル酸化合物は、80℃以上に加熱せずとも、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属塩と混合して攪拌するだけで反応して、アルカリ金属のタンタル酸塩を作製することができる。
これより、本タンタル酸化合物は、アルカリ金属塩との反応性が高く、上記のように水酸化ナトリウム水溶液と反応させると、Na8Ta6O19・15H2Oの沈殿が生成するものであると言うことができる。
これより、本タンタル酸化合物は、アルカリ金属塩との反応性が高く、上記のように水酸化カリウム水溶液と反応させると、K8Ta6O19・16H2Oの沈殿が生成するものであると言うことができる。
次に、本タンタル酸化合物の好適な製造方法(「本化合物製造方法」と称する)について説明する。
但し、本化合物製造方法は、このような製造方法に限定されるものではない。
また、説明しやすいため、下記では、工程ごとに説明するが、各工程は、装置及び時間的に一連の処理とすることもできるし、また、装置及び時間を別にする異なる処理工程とすることもできる。
本化合物製造方法における出発物質である前記タンタル塩溶液の説明として、前述した本分散液製造方法における前記タンタル塩溶液の説明を援用する。
本化合物製造方法における一次中和工程の説明として、前述した本分散液製造方法における前記一次中和工程の説明を援用する。
本化合物製造方法における二次中和工程の説明として、前述した本分散液製造方法における前記二次中和工程の説明を援用する。
本化合物製造方法における洗浄工程の説明として、前述した本分散液製造方法における前記洗浄工程の説明を援用する。
前記洗浄工程で得られた洗浄後のタンタル含有沈殿物をそのまま本タンタル酸化合物として得てもよいし、また、前記タンタル含有沈殿物を乾燥して本タンタル酸化合物として得てもよい。
この際の乾燥方法は、公知の乾燥方法を適宜採用することができる。中でも、真空乾燥が好ましい。真空乾燥であれば、高温にすることなく、具体的には100℃以下の温度で容易に乾燥できるので好ましい。
乾燥温度に関しては、乾燥温度が高すぎると、得られた本タンタル酸化合物の反応性が低下する場合があるため、乾燥温度は100℃以下、中でも90℃以下、その中でも80℃以下、その中でも70℃以下、特に60℃以下であることが好ましい。
本タンタル酸化合物を用いて本タンタル酸分散液を製造することができる。すなわち、本タンタル酸化合物とアミンと水とを混合して本タンタル酸分散液を作製することが可能である。
また、本タンタル酸化合物は、本タンタル酸分散液の反応性には若干劣るものの、アルカリ金属塩、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウムとの反応性が高く、オートクレーブなどを用いて高温高圧の条件下で反応させなくても、アルカリ金属塩、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウムと混合して反応させるだけで、アルカリ金属のタンタル酸塩を容易に得ることができる。
さらに本タンタル酸化合物は、触媒の添加剤など、各種用途に利用することができる。
本明細書において「X~Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
三井金属鉱業社製水酸化タンタル137.9g(Ta2O5濃度66質量%)を55質量%フッ化水素酸水溶液120gに溶解させ、イオン交換水を849mL添加することによって、フッ化タンタル水溶液(Ta2O5濃度9.1質量%)を得た。
このフッ化タンタル水溶液100gを、50質量%ジメチルアミン100mLに、1分未満の時間をかけて添加した。その後、15分撹拌し、一次反応液(pH11)を得た。この一次反応液を、アンモニア水(NH3濃度25質量%)460mLに、1分未満の時間をかけて添加し、二次反応液(pH12)を得た。この二次反応液はタンタル酸化合物水和物のスラリー、言い換えるとタンタル含有沈殿物のスラリーであった。
次に、前記二次反応液を、遠心分離機を用いてデカンテーションし、上澄み液のフリーフッ素量が100mg/L以下になるまで洗浄して、フッ素を除去したタンタル含有沈殿物を得た。この際、洗浄液にはアンモニア水を用いた。
前記タンタル含有沈殿物の一部を、1000℃で4時間焼成することでTa2O5を生成し、その質量からタンタル含有沈殿物に含まれるTa2O5濃度を算出した。Ta2O5濃度は38質量%だった。
前記タンタル含有沈殿物11.8gに純水29.2mLと50質量%ジメチルアミンを9g添加し、Ta2O5濃度9質量%、ジメチルアミン9質量%のタンタル酸分散液(サンプル)50gを作製した。
三井金属鉱業社製水酸化タンタル137.9g(Ta2O5濃度66質量%)を55質量%フッ化水素酸水溶液120gに溶解させ、イオン交換水を849mL添加することによって、フッ化タンタル水溶液(Ta2O5濃度9.1質量%)を得た。
このフッ化タンタル水溶液100gを、50質量%ジメチルアミン100mLに、1分未満の時間をかけて添加した。その後、15分撹拌し、一次反応液(pH11)を得た。この一次反応液をアンモニア水(NH3濃度25質量%)460mLに、1分未満の時間をかけて添加し、二次反応液(pH12)を得た。この二次反応液はタンタル酸化合物水和物のスラリー、言い換えるとタンタル含有沈殿物のスラリーであった。
次に、前記二次反応液を、遠心分離機を用いてデカンテーションし、上澄み液のフリーフッ素量が100mg/L以下になるまで洗浄してフッ素を除去したタンタル含有沈殿物を得た。この際、洗浄液にはアンモニア水を用いた。
前記タンタル含有沈殿物の一部を、1000℃で4時間焼成することでTa2O5を生成し、その質量からタンタル含有沈殿物に含まれるTa2O5濃度を算出した。Ta2O5濃度は38質量%だった。
前記タンタル含有沈殿物11.8gに純水30.2mLと50質量%ジメチルアミンを8g添加し、Ta2O5濃度9質量%、ジメチルアミン8質量%のタンタル酸分散液(サンプル)50gを作製した。
三井金属鉱業社製水酸化タンタル137.9g(Ta2O5濃度66質量%)を55質量%フッ化水素酸水溶液120gに溶解させ、イオン交換水を849mL添加することによって、フッ化タンタル水溶液(Ta2O5濃度9.1質量%)を得た。
このフッ化タンタル水溶液100gを、50質量%ジメチルアミン100mLに、1分未満の時間をかけて添加した。その後、15分撹拌し、一次反応液(pH11)を得た。この一次反応液をアンモニア水(NH3濃度25質量%)460mLに、1分未満の時間をかけて添加し、二次反応液(pH12)を得た。この二次反応液はタンタル酸化合物水和物のスラリー、言い換えるとタンタル含有沈殿物のスラリーであった。
次に、前記二次反応液を、遠心分離機を用いてデカンテーションし、上澄み液のフリーフッ素量が100mg/L以下になるまで洗浄してフッ素を除去したタンタル含有沈殿物を得た。この際、洗浄液にはアンモニア水を用いた。
前記タンタル含有沈殿物の一部を、1000℃で4時間焼成することでTa2O5を生成し、その質量からタンタル含有沈殿物に含まれるTa2O5濃度を算出した。Ta2O5濃度は38質量%だった。
前記タンタル含有沈殿物11.8gに純水31.2mLと50質量%ジメチルアミンを7g添加し、Ta2O5濃度9質量%、ジメチルアミン7質量%のタンタル酸分散液(サンプル)50gを作製した。
三井金属鉱業社製水酸化タンタル137.9g(Ta2O5濃度66質量%)を55質量%フッ化水素酸水溶液120gに溶解させ、イオン交換水を849mL添加することによって、フッ化タンタル水溶液(Ta2O5濃度9.1質量%)を得た。
このフッ化タンタル水溶液100gを、50質量%ジメチルアミン100mLに、1分未満の時間をかけて添加した。その後、15分撹拌し、一次反応液(pH11)を得た。この一次反応液をアンモニア水(NH3濃度25質量%)460mLに、1分未満の時間をかけて添加し、二次反応液(pH12)を得た。この二次反応液はタンタル酸化合物水和物のスラリー、言い換えるとタンタル含有沈殿物のスラリーであった。
次に、前記二次反応液を、遠心分離機を用いてデカンテーションし、上澄み液のフリーフッ素量が100mg/L以下になるまで洗浄してフッ素を除去したタンタル含有沈殿物を得た。この際、洗浄液にはアンモニア水を用いた。
前記タンタル含有沈殿物の一部を、1000℃で4時間焼成することでTa2O5を生成し、その質量からタンタル含有沈殿物に含まれるTa2O5濃度を算出した。Ta2O5濃度は38質量%だった。
前記タンタル含有沈殿物11.8gに純水30.2mLと50質量%ジメチルアミンを6g添加し、Ta2O5濃度9質量%、ジメチルアミン6質量%のタンタル酸分散液(サンプル)50gを作製した。
三井金属鉱業社製水酸化タンタル137.9g(Ta2O5濃度66質量%)を55質量%フッ化水素酸水溶液120gに溶解させ、イオン交換水を849mL添加することによって、フッ化タンタル水溶液(Ta2O5濃度9.1質量%)を得た。
このフッ化タンタル水溶液100gを、50質量%ジメチルアミン100mLに、1分未満の時間をかけて添加した。その後、15分撹拌し、一次反応液(pH11)を得た。この一次反応液をアンモニア水(NH3濃度25質量%)460mLに、1分未満の時間をかけて添加し、二次反応液(pH12)を得た。この二次反応液はタンタル酸化合物水和物のスラリー、言い換えるとタンタル含有沈殿物のスラリーであった。
次に、前記二次反応液を、遠心分離機を用いてデカンテーションし、上澄み液のフリーフッ素量が100mg/L以下になるまで洗浄してフッ素を除去したタンタル含有沈殿物を得た。この際、洗浄液にはアンモニア水を用いた。
前記タンタル含有沈殿物の一部を、1000℃で4時間焼成することでTa2O5を生成し、その質量からタンタル含有沈殿物に含まれるTa2O5濃度を算出した。Ta2O5濃度は38質量%だった。
前記タンタル含有沈殿物11.8gに純水30.2mLと50質量%ジメチルアミンを5g添加し、Ta2O5濃度9質量%、ジメチルアミン5質量%のタンタル酸分散液(サンプル)50gを作製した。
三井金属鉱業社製水酸化タンタル137.9g(Ta2O5濃度66質量%)を55質量%フッ化水素酸水溶液120gに溶解させ、イオン交換水を849mL添加することによって、フッ化タンタル水溶液(Ta2O5濃度9.1質量%)を得た。
このフッ化タンタル水溶液100gを、50質量%ジメチルアミン100mLに、1分未満の時間をかけて添加した。その後、15分撹拌し、一次反応液(pH11)を得た。この一次反応液を、アンモニア水(NH3濃度25質量%)460mLに、1分未満の時間をかけて添加し、二次反応液(pH12)を得た。この二次反応液はタンタル酸化合物水和物のスラリー、言い換えるとタンタル含有沈殿物のスラリーであった。
次に、前記二次反応液を、遠心分離機を用いてデカンテーションし、上澄み液のフリーフッ素量が100mg/L以下になるまで洗浄して、フッ素を除去したタンタル含有沈殿物を得た。この際、洗浄液にはアンモニア水を用いた。
前記タンタル含有沈殿物の一部を、1000℃で4時間焼成することでTa2O5を生成し、その質量からタンタル含有沈殿物に含まれるTa2O5濃度を算出した。Ta2O5濃度は38質量%だった。
前記タンタル含有沈殿物11.8gに純水27.0mLと40質量%メチルアミンを11.2g添加し、Ta2O5濃度9質量%、メチルアミン9質量%のタンタル酸分散液(サンプル)50gを作製した。
三井金属鉱業社製水酸化タンタル137.9g(Ta2O5濃度66質量%)を55質量%フッ化水素酸水溶液120gに溶解させ、イオン交換水を849mL添加することによって、フッ化タンタル水溶液(Ta2O5濃度9.1質量%)を得た。
このフッ化タンタル水溶液100gに、アンモニア水(NH3濃度25質量%)400mLを、1分未満の時間で添加して反応液(pH12)を得た(正中和)。この反応液はタンタル酸化合物水和物のスラリー、言い換えるとタンタル含有沈殿物のスラリーであった。
次に、前記反応液を、5Cろ紙を用いヌッチェろ過により、上澄み液のフリーフッ素が100mg/L以下になるまで洗浄してフッ素を除去したタンタル含有沈殿物を得た。この際、洗浄液にはアンモニア水を用いた。
前記タンタル含有沈殿物の一部を、1000℃で4時間焼成することでTa2O5を生成し、その質量からタンタル含有沈殿物に含まれるTa2O5濃度を算出した。Ta2O5濃度は59質量%だった。
前記タンタル含有沈殿物7.6gに純水33.4mLと50質量%ジメチルアミンを9g添加し、Ta2O5濃度9質量%、ジメチルアミン9質量%のタンタル酸含有液(サンプル)50gを作製した。
三井金属鉱業社製水酸化タンタル137.9g(Ta2O5濃度66質量%)を55質量%フッ化水素酸水溶液120gに溶解させ、イオン交換水を849mL添加することによって、フッ化タンタル水溶液(Ta2O5濃度9.1質量%)を得た。
このフッ化タンタル水溶液100gを、アンモニア水(NH3濃度25質量%)400mLに、1分未満の時間で添加して反応液(pH12)を得た(逆中和)。この反応液はタンタル酸化合物水和物のスラリー、言い換えるとタンタル含有沈殿物のスラリーであった。
次に、前記反応液を、5Cろ紙を用いヌッチェろ過により、上澄み液のフリーフッ素が100mg/L以下になるまで洗浄してフッ素を除去したタンタル含有沈殿物を得た。この際、洗浄液にはアンモニア水を用いた。
前記タンタル含有沈殿物の一部を、1000℃で4時間焼成することでTa2O5を生成し、その質量からタンタル含有沈殿物に含まれるTa2O5濃度を算出した。Ta2O5濃度は55質量%だった。
前記タンタル含有沈殿物8.2gに純水32.8mLと50質量%ジメチルアミンを9g添加し、Ta2O5濃度9質量%、ジメチルアミン9質量%のタンタル酸含有液(サンプル)50gを作製した。
三井金属鉱業社製水酸化タンタル137.9g(Ta2O5濃度66質量%)を55質量%フッ化水素酸水溶液120gに溶解させ、イオン交換水を849mL添加することによって、フッ化タンタル水溶液(Ta2O5濃度9.1質量%)を得た。
このフッ化タンタル水溶液100gを、50質量%ジメチルアミン100mLに、1分未満の時間をかけて添加した。その後、15分撹拌し、一次反応液(pH11)を得た。この一次反応液を、アンモニア水(NH3濃度25質量%)460mLに、1分未満の時間をかけて添加し、二次反応液(pH12)を得た。この二次反応液はタンタル酸化合物水和物のスラリー、言い換えるとタンタル含有沈殿物のスラリーであった。
次に、前記二次反応液を、遠心分離機を用いてデカンテーションし、上澄み液のフリーフッ素量が100mg/L以下になるまで洗浄して、フッ素を除去したタンタル含有沈殿物を得た。この際、洗浄液にはアンモニア水を用いた。
前記タンタル含有沈殿物の一部を、1000℃で4時間焼成することでTa2O5を生成し、その質量からタンタル含有沈殿物に含まれるTa2O5濃度を算出した。Ta2O5濃度は38質量%だった。
前記タンタル含有沈殿物19.7gに純水15.3mLと50質量%ジメチルアミンを15g添加し、Ta2O5濃度15質量%、ジメチルアミン15質量%のタンタル酸分散液(サンプル)50gを作製した。
タンタル酸分散液を作製するのに使用したタンタル含有沈殿物(Ta2O5濃度38質量%)の量を2.6gに、純水の量を9995.4mLに、50質量%ジメチルアミンの量を2gに変更した以外は、実施例7と同様に実施して、Ta2O5濃度0.01質量%、ジメチルアミン0.01質量%のタンタル酸分散液(サンプル)10kgを作製した。
三井金属鉱業社製水酸化タンタル137.9g(Ta2O5濃度66質量%)を55質量%フッ化水素酸水溶液120gに溶解させ、イオン交換水を849mL添加することによって、フッ化タンタル水溶液(Ta2O5濃度9.1質量%)を得た。
このフッ化タンタル水溶液100gを、50質量%ジメチルアミン100mLに、1分未満の時間をかけて添加した。その後、15分撹拌し、一次反応液(pH11)を得た。この一次反応液を、アンモニア水(NH3濃度25質量%)460mLに、1分未満の時間をかけて添加し、二次反応液(pH12)を得た。この二次反応液はタンタル酸化合物水和物のスラリー、言い換えるとタンタル含有沈殿物のスラリーであった。
次に、前記二次反応液を、遠心分離機を用いてデカンテーションし、上澄み液のフリーフッ素量が100mg/L以下になるまで洗浄して、フッ素を除去したタンタル含有沈殿物を得た。この際、洗浄液にはアンモニア水を用いた。
フッ素を除去したタンタル含有物沈殿を、60℃で15時間真空乾燥して、タンタル酸化合物(サンプル)を得た。
実施例9で使用した50質量%ジメチルアミン100mLに代えて、40質量%ジメチルアミン125mLを使用したこと以外は、実施例9と同様にしてタンタル酸化合物(サンプル)を得た。
三井金属鉱業社製水酸化タンタル137.9g(Ta2O5濃度66質量%)を55質量%フッ化水素酸水溶液120gに溶解させ、イオン交換水を849mL添加することによって、フッ化タンタル水溶液(Ta2O5濃度9.1質量%)を得た。
このフッ化タンタル水溶液100gに、アンモニア水(NH3濃度25質量%)400mLを、1分未満の時間で添加して反応液(pH12)を得た(正中和)。この反応液はタンタル酸化合物水和物のスラリー、言い換えるとタンタル含有沈殿物のスラリーであった。
次に、前記反応液を、5Cろ紙を用いヌッチェろ過により、上澄み液のフリーフッ素が100mg/L以下になるまで洗浄してフッ素を除去したタンタル含有沈殿物を得た。この際、洗浄液にはアンモニア水を用いた。
フッ素を除去したタンタル含有物沈殿を、60℃で15時間真空乾燥して、タンタル酸化合物(サンプル)を得た。
三井金属鉱業社製水酸化タンタル137.9g(Ta2O5濃度66質量%)を55質量%フッ化水素酸水溶液120gに溶解させ、イオン交換水を849mL添加することによって、フッ化タンタル水溶液(Ta2O5濃度9.1質量%)を得た。
このフッ化タンタル水溶液100gを、アンモニア水(NH3濃度25質量%)400mLに、1分未満の時間で添加して反応液(pH12)を得た(逆中和)。この反応液はタンタル酸化合物水和物のスラリー、言い換えるとタンタル含有沈殿物のスラリーであった。
次に、前記反応液を、5Cろ紙を用いヌッチェろ過により、上澄み液のフリーフッ素が100mg/L以下になるまで洗浄してフッ素を除去したタンタル含有沈殿物を得た。この際、洗浄液にはアンモニア水を用いた。
フッ素を除去したタンタル含有物沈殿を、60℃で15時間真空乾燥して、タンタル酸化合物(サンプル)を得た。
実施例1で得たタンタル酸分散液(サンプル)又は比較例2で得たタンタル含有液(サンプル)(25℃)を30g量り、これに2.2質量%水酸化ナトリウム水溶液(25℃)30mLをマグネティックスターラー(撹拌速度:150rpm)で撹拌しながら1分間かけて添加した。添加後、15分間撹拌して反応液を得た。この反応液にエタノールを100mL添加し沈殿を得た。この沈殿物を5Cろ紙を用いてヌッチェろ過し、純水で洗浄した後、減圧乾燥炉を用いて、60℃、真空(0.08MPa以下)の雰囲気で15時間静置乾燥した。得られた乾燥物をメノウ乳鉢にて粉砕し、得られた粉体についてX線回折測定を実施した。
図1、図2には、実施例1で得たタンタル酸分散液(サンプル)、比較例2で得たタンタル含有液(サンプル)を用いて、水酸化ナトリウム水溶液と反応させて得られた粉体のX線回折パターンを示した。
一方、比較例2で得たタンタル含有液(サンプル)を用いて、水酸化ナトリウム水溶液と反応させて得られた粉体及び比較例3で得たタンタル酸化合物(サンプル)を用いて、水酸化ナトリウム水溶液と反応させて得られた粉体は、X線回折測定結果から、アモルファスでタンタル酸化物は得られなかった。
実施例1で得たタンタル酸分散液(サンプル)を30g量り、これに3質量%水酸化カリウム水溶液30mLをマグネティックスターラー(撹拌速度:150rpm)で撹拌しながら1分間かけて添加した。添加後、15分間撹拌して反応液を得た。この反応液にエタノールを100mL添加し沈殿を得た。この沈殿物を5Cろ紙を用いてヌッチェろ過し、純水で洗浄した後、減圧乾燥炉を用いて、60℃、真空(0.08MPa以下)の雰囲気で15時間静置乾燥した。得られた乾燥物をメノウ乳鉢にて粉砕し、得られた粉体についてX線回折測定を実施した。
図3に、実施例1で得たタンタル酸分散液(サンプル)を用いて、水酸化カリウム水溶液と反応させて得られた粉体のX線回折パターンを示した。
また、実施例9で得たタンタル酸化合物(サンプル)を用いて、水酸化カリウム水溶液と反応させて得られた粉体についても、X線回折測定結果から、ICDDカードNo.01-073-8508のK8Ta6O19・16H2Oからなるものであると同定された。
実施例1-8で得たタンタル酸分散液(サンプル)又は比較例1-2で得たタンタル酸含有液(サンプル)10gを、減圧乾燥炉を用いて、60℃、真空(0.08MPa以下)の雰囲気において15時間静置して乾燥させ、タンタル酸化合物の粉体(サンプル)を得た。
これらタンタル酸化物の粉体(サンプル)並びに実施例9、10及び比較例3、4で得たタンタル酸化合物について、CuKα線を使用した粉末X線回折測定を行い、X線回折パターンを得た。
図4~11には、実施例1-6で得たタンタル酸分散液(サンプル)又は比較例1-2で得たタンタル酸含有液(サンプル)からそれぞれ得たタンタル酸化物の粉体(サンプル)のX線回折パターンを示した。
・装置:MiniFlexII(株式会社リガク製)
・測定範囲(2θ):5~90°
・サンプリング幅:0.02°
・スキャンスピード:2.0°/min
・X線:CuKα線
・電圧:30kV
・電流:15mA
・発散スリット:1.25°
・散乱スリット:1.25°
・受光スリット:0.3mm
・リガク社製データ解析ソフトPDXL2を使用した。
・ピークトップを明確化するためb-splingでピークを平滑化した。
実施例1-8で得たタンタル酸分散液(サンプル)又は比較例1-2で得たタンタル酸含有液(サンプル)の透過率を分光光度計にて測定した。
・装置:UH4150形分光光度計
・測定モード:波長スキャン
・データモード:%T(透過)
・測定波長範囲:200~2600nm
・スキャンスピード:600nm/min
・サンプリング間隔:2nm
実施例1~6で得られたタンタル酸分散液(サンプル)を室温にて48時間静置し、その後観察したところ、いずれのサンプルについても沈殿は見られず、分散液の状態であることを確認した。
これに対し、比較例1,2で得られたタンタル酸含有液(サンプル)を室温にて48時間静置し、その後観察したところ、いずれのサンプルについても沈殿が観察された。
また、上記本タンタル酸分散液は、アルカリ金属塩、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウムとの反応性が高く、オートクレーブなどを用いて高温高圧の条件下で反応させなくても、アルカリ金属塩、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウムと混合して反応させるだけで、アルカリ金属のタンタル酸塩を容易に得られることも分かった。
さらにこのような本タンタル酸化合物は、X線回折パターンにおける特徴のほか、アルカリ金属塩と反応させると、ポリ酸構造を有するアルカリ金属のタンタル酸塩が得られることから、ポリ酸構造を有する化合物であると推定することができる。
Claims (10)
- 水中にタンタル酸及びアミンを含有するタンタル酸分散液であって、
タンタル酸分散液の400nmの透過率が40%以上であり、
タンタル酸分散液中における、揮発温度が110℃以上の有機物の含有量が1質量%未満である、タンタル酸分散液。 - タンタルをTa2O5換算で9質量%含有する濃度に調整したタンタル酸分散液(25℃)30gに、濃度2.2質量%の水酸化ナトリウム水溶液(25℃)30mLを、攪拌しながら添加し、添加後15分間攪拌して反応液を生成し、該反応液にエタノール100mLを添加すると、Na8Ta6O19・15H2Oの沈殿が生成する、請求項1に記載のタンタル酸分散液。
- タンタルをTa2O5換算で9質量%含有する濃度に調整したタンタル酸分散液(25℃)30gに、濃度3質量%の水酸化カリウム水溶液(25℃)30mLを、攪拌しながら添加し、添加後15分間攪拌して反応液を生成し、該反応液にエタノール100mLを添加すると、K8Ta6O19・16H2Oの沈殿が生成する、請求項1に記載のタンタル酸分散液。
- 水酸化テトラメチルアンモニウムを含有するタンタル酸分散液を除く、請求項1~3の何れか一項に記載のタンタル酸分散液。
- アミンを0.01~30質量%含有する、請求項1~4の何れか一項に記載のタンタル酸分散液。
- タンタルをTa2O5換算で0.01~40質量%含有する、請求項1~5の何れか一項に記載のタンタル酸分散液。
- 揮発温度が110℃以上の有機物を含有しない、請求項1~6の何れか一項に記載のタンタル酸分散液。
- 前記揮発温度が110℃以上の有機物が、オキシカルボン酸、しゅう酸及びEDTAである、請求項1~7の何れか一項に記載のタンタル酸分散液。
- 請求項1~8の何れか一項に記載のタンタル酸分散液を、部品の表面にコーティングする、部品表面層への製膜方法。
- 請求項1~8の何れか一項に記載のタンタル酸分散液が、部品の表面にコーティングされた、表面層製膜部品。
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