JP2006182714A - 有機タンタル水溶液および乳酸タンタルペルオキシ化合物結晶の製造方法 - Google Patents

有機タンタル水溶液および乳酸タンタルペルオキシ化合物結晶の製造方法 Download PDF

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眞人 垣花
Tsunetaro Yoshioka
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Abstract

【課題】 塩素を含まないタンタル水溶液の製造方法を提供すること。
【解決手段】 TaCl5を少量のメタノールに溶かし、水を加え、そこにアンモニア水溶液を加えてタンタル酸Ta2O5・nH2Oの沈殿を作成し、この沈殿を水洗し塩化物イオンを完全に除去し、しかる後に、水、ヒドロキシカルボン酸もしくはEDTA(エチレンジアミン四酢酸)、さらにアミン(アンモニア水もしくはグアニジン炭酸塩)と過酸化水素水を加えて溶かすことを特徴とする有機タンタル水溶液の製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、タンタル水溶液およびタンタル化合物結晶の製造方法に関する。
従来、化学合成に用いられる有機溶媒の中には爆発性、発火性を持つもの、発ガン性等の人体に悪影響を及ぼすものも少なくない。また、通常、有機溶媒は溶質に比べて多量に使用され、蒸発や漏出により大気中に放出されることが多い。
現在、このような有機溶媒を環境に対してより負荷の少ない溶媒で代替する発明が広く行われている。特に、水は毒性がなく、また、地球上に豊富に存在するために、安価で簡単に手に入れることができる。このため、水は工業、環境保全の両方の視点から見て優れた理想的な溶媒であると言える。
従来の錯体重合法は、組成の複雑な試料を高純度に合成することのできる優れた液相合成法であるが、溶媒として有機溶媒であるエチレングリコールを用いる。エチレングリコールは数ある有機溶媒の中では比較的害の少ないものであるが、これを水で置き換えられればより安全に、経済的に合成を行うことができる。
また、d0遷移金属を含む複合酸化物を作製する場合、出発原料として用いる遷移金属化合物に起因する問題が生じる。通常用いられる金属塩化物(例えばTaCl5)には以下の3つの問題点がある。
1)残留塩化物が材料の機能特性を低下させる。
2)アルカリ金属が存在する場合、熱処理によりアルカリ金属が塩化物として蒸発してしまい、最終生成物の組成が化学量論比から外れる。
3)遷移金属塩化物が加水分解することにより、実験装置の腐食を促すHClが生じる。
そのため、塩素を含まず、水に溶けるタンタル化合物の作製が望まれるが、元来タンタルは水に溶けにくい金属であり、通常溶液法に用いられるタンタルアルコキシドや酸化タンタルといった化合物も水には溶けない。
また、通常、出発原料として用いられるタンタル化合物は数種類あるが、それぞれ表1に示したような問題点を有している。酸化タンタル、窒化タンタル、炭化タンタルはフッ化水素酸等の強酸を用いなければ溶かすことができないため、環境および人体への安全性に問題がある。塩化タンタル、臭化タンタル、タンタルアルコキシドは、エタノール等に溶解するが、水に対して不安定であり、加水分解を起こす。また、その高い吸湿性のために、窒素やアルゴンガス等の乾燥不活性ガス下で保存するなど、保存法に注意が必要となる。フッ化タンタルは水に溶解するものの、高い腐食性を持ち、それ自身が猛毒であるために、安全性は著しく低い。また、吸湿性も高いため、これも保存法に気をつける必要がある。この点、水溶性タンタルペルオキシ化合物結晶は、それ自体が安全であるだけでなく、有機溶媒を用いずに複合酸化物を合成することができるため、環境・人体に優しい出発原料である。
本発明では、有害な有機溶媒を用いずに、塩素を含まないタンタル水溶液を作製した。本発明で作製した水溶液は、これらの問題点を含まない新しいタンタル原料であると言える。
(1) 塩素を含まないタンタル水溶液の製造方法。
(2) タンタル水溶液を用いて、有機溶媒を用いない水からの複合酸化物を合成し、より環境に優しく、より良質な試料を得ることのできる環境調和型水溶液プロセスを確立する。
(3) タンタル錯体水溶液の作製法を基盤とし、タンタルの水溶性金属錯体結晶を作製する。
(4) 13C-NMR試料評価を行う。
本発明によれば、TaCl5を少量のメタノールに溶かし、水を加え、そこにアンモニア水溶液を加えてタンタル酸Ta2O5・nH2Oの沈殿を作成し、この沈殿を水洗し塩化物イオンを完全に除去し、しかる後に、水、ヒドロキシカルボン酸もしくはEDTA(エチレンジアミン四酢酸)、さらにアミン(アンモニア水もしくはグアニジン炭酸塩)と過酸化水素水を加えて溶かすことを特徴とする有機タンタル水溶液の製造方法が得られる。
また本発明によれば、TaCl5を少量のメタノールに溶かし、水を加え、そこにアンモニア水溶液を加えてタンタル酸Ta2O5・nH2Oの沈殿を作成し、この沈殿を水洗し塩化物イオンを完全に除去し、水、Taの8倍モルの乳酸、さらにアンモニア水溶液と過酸化水素水を加えて溶かすことによりタンタル水溶液を得、しかる後に、これを静置することにより結晶を析出させることを特徴とする乳酸タンタルペルオキシ化合物結晶の製造方法が得られる。
また本発明によれば、固体13C-NMRスペクトルが80ppm付近にピークを有することを特徴とする乳酸タンタルペルオキシ化合物結晶の製造方法が得られる。
本発明によれば、塩素を含まないタンタル水溶液の製造方法や、 タンタル水溶液を用いて、有機溶媒を用いない水からの複合酸化物を合成し、より環境に優しく、より良質な試料を得ることのできる環境調和型水溶液プロセスが得られる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施の形態によるタンタル水溶液の製造方法のフローチャートを示す図である。ヒドロキシルカルボン酸とEDTAを表2に記載した。得られたタンタル水溶液を用いたアモルファス金属錯体法によるSrTa2O6, NaTaO3の合成フローチャートを図2に示す。まず、タンタル水溶液に、金属の総量の3倍モルになるようにクエン酸を加える。それから残りの金属を含む出発原料(SrCO3もしくはNa2CO3)を加え、ホットプレート上で60℃に加熱しながら溶けるまで攪拌する。段階的に温度を100℃まで上げて水分を蒸発させることにより、透明なオレンジ色のゲルを得る。さらに200℃で加熱させて濃縮した黒色のゲルを得る。これをマントルヒーターに移して450℃で焼くことにより、前駆体を得る。この前駆体を電気炉中でそれぞれの温度で焼くことにより、目的物を得る。
図3は本発明の実施の形態による乳酸タンタルペルオキシ化合物結晶の製造方法のフローチャートを示す図である。得られた結晶の写真を図4に示した。乳酸ペルオキソタンタル化合物の構造解析の結果、Ta原子に2つのLA(乳酸イオン)、1つのO2 -(ペルオキソイオン)が配位しており、2つのTaの間にOが架橋している。そこへ4つのアンモニウムイオンがカウンターカチオンとして付き、さらに2つの水が付いている。(NH4)4[Ta2(LA)4(O2)2O]・3H2Oのアニオンの部分である[Ta2(LA)4(O2)2O]4-を拡大して図5に示す。固体13C-NMRスペクトルを図6に示す。乳酸はヒドロキシル基とカルボキシル基をそれぞれ1つずつ、計2つの官能基を持ち、これらの官能基の水素が解離することでタンタルに配位する。80ppm付近のピークは、水素が解離してタンタルに配位しているヒドロキシル基とカルボキシル基のピークである。これらの結果により、乳酸がタンタルに配位していることがわかる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
有機タンタルペルオキシ水溶液の作製フローチャート SrTa2O6, NaTaO3の合成フローチャート 乳酸タンタルペルオキシ化合物結晶の作製フローチャート 乳酸タンタルペルオキシ化合物結晶(NH4)4[Ta2(LA)4(O2)2O]・3H2Oの写真 乳酸タンタルペルオキシ化合物結晶の[Ta2(LA)4(O2)2O]4-部分の拡大図 乳酸タンタルペルオキシ化合物結晶の固体13C-NMRスペクトル

Claims (3)

  1. TaCl5を少量のメタノールに溶かし、水を加え、そこにアンモニア水溶液を加えてタンタル酸Ta2O5・nH2Oの沈殿を作成し、この沈殿を水洗し塩化物イオンを完全に除去し、しかる後に、水、ヒドロキシカルボン酸もしくはEDTA(エチレンジアミン四酢酸)、さらにアミン(アンモニア水もしくはグアニジン炭酸塩)と過酸化水素水を加えて溶かすことを特徴とする有機タンタル水溶液の製造方法。
  2. TaCl5を少量のメタノールに溶かし、水を加え、そこにアンモニア水溶液を加えてタンタル酸Ta2O5・nH2Oの沈殿を作成し、この沈殿を水洗し塩化物イオンを完全に除去し、水、Taの8倍モルの乳酸、さらにアンモニア水溶液と過酸化水素水を加えて溶かすことによりタンタル水溶液を得、しかる後に、これを静置することにより結晶を析出させることを特徴とする乳酸タンタルペルオキシ化合物結晶の製造方法。
  3. 固体13C-NMRのスペクトルが80ppm付近にピークを有することを特徴とする請求項2に記載の乳酸タンタルペルオキシ化合物結晶の製造方法。
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