図1は、換気扇カバー係止具(以下、単に「係止具」)及びこの発明の換気扇カバーの正面図であり、図2は、図1で示したA部分の拡大図であり、図3は、図1で示した換気扇カバーの背面図であり、図4は、図1で示した換気扇カバーの拡大側面図であり、図5は、図1で示した換気扇カバーの拡大平面一部断面図であり、図6は、図1で示した換気扇カバーの拡大底面図である。
これらの図に示される矢印Fは前方を表し、矢印Lは左方を表し、矢印Rは右方を表し、矢印Uは上方を表す。即ち、矢印Fに対し反対の向きが後方であり、矢印Uに対し反対の向きが下方である。
これらの図を参照して、換気扇カバー1は、カバー本体2及びフィルター3を備え、一対の係止具4、5をカバー本体2に取付可能としているものである。
カバー本体2は、例えば厚さ1mm程のポリ塩化ビニル製シートを真空成形してなるものである。又、例えば係止具4、5に押圧された場合に係止具4、5に沿って変形自在な柔軟性(可撓性)を有している。更には、表裏面が凹凸や皺のない滑面となっていて、換気扇枠に装着された場合に換気扇枠と隙間を低減し接した状態を確保できる。
カバー本体2には正面視略矩形状の窓枠部21が形成されている。窓枠部21の上下中央部には、左右方向に延伸する前方突出状の中央リブ21aが形成されている。中央リブ21aは換気扇カバー1の最前端部となっており、窓枠部21は側面視で中央リブ21aを頂端とする五角形状に前方に突出している。
換気扇カバー1のカバー本体2は前述の如く合成樹脂製の成形品であるところ、このような中央リブ21aを形成することにより、強度が確保されている。
このように、窓枠部21において、中央リブ21aから窓枠部21の上端までの後上方に傾斜する上傾斜面部にて上吸気口22が開口しており、中央リブ21aから窓枠部21の下端までの後下方に傾斜する下傾斜面部に下吸気口22aが設けられている。
図3で示すように、窓枠部21の裏面にフィルター3が貼設されており、フィルター3にて、両吸気口22、22aが覆われている。この構成により、吸気口22、22aを調理時に発生した油分を含む空気が通過することでフィルター3にて油分が取り除かれた後に換気扇内を通過する。尚、フィルター3は、このような空気中の油分を取り除くのに適した素材で構成されるものであり、例えば不織布よりなるものである。
正面視(即ち、吸気口22、22aを外方より正対視した状態)で窓枠部21を囲むように内周カバー部(第1カバー部)23が形成されている。内周カバー部23は、平坦板状の平板部23aと、平板部23aの外周縁端より後方に延伸する略四角筒状の筒板部23bとを有する。窓枠部21の上端と内周カバー部23の上端とは面一になっており、平板部23aは、正面視で略Uの字状に形成されている。
平板部23aと筒板部23bとの間、即ち、平板部23aの外周縁端であり筒板部23bの前縁端である部分は、四角形状の外周コーナー部23cとなっている。この外周コーナー部23cは、後記の小型換気扇12の換気扇枠13の外周コーナー部13cに対応して形成されている。
更に、正面視(即ち、吸気口22、22aを正体視した状態)で内周カバー部23を囲むように外周カバー部(第2カバー部)24が形成されている。外周カバー部24は、平坦板状の平板部24aと、平板部24aの外周縁端より後方に延伸する略四角筒状の筒板部24bとを有する。
平板部24aと筒板部24bとの間、即ち、平板部24aの外周縁端であり筒板部24bの前縁端である部分は、四角形状の外周コーナー部24cとなっている。この外周コーナー部24cは、後記の大型換気扇10の換気扇枠11の外周コーナー部11cに対応して形成されている。
一方、筒板部24bの後端部には、鍔状のフランジ部24dが形成されている。尚、本実施の形態では、筒板部24bの前後途中部に外周方向の段差を形成し、この段差からフランジ部24dに至るまでの筒板部24bの後部は、それより前方の筒板部24bの前部よりも膨出させている。しかし、筒板部24bの形状はこのように限定されるものではなく、例えば、前後途中の段差はなくてもよく、又、筒板部24bの後端に鍔状のフランジ部24dを形成しなくてもよい。
平板部24aは、内周カバー部23の外周縁端となる筒板部23bの後端より上下左右に延伸しており、正面視で略ロの字状に形成されている。フランジ部24dは、筒板部24bの後端部であるとともに、本体カバー2の後端かつ正面視での外周縁端となっている。
このように、外周カバー部24の前端に平板部24aが形成されている。外周カバー部24の平板部24aの内周端より内周カバー部23の筒板部23bが前方(外方より吸気口22、22aを正対視した場合の手前側)に突出している。内周カバー部23の前端に平板部23aが形成されている。即ち、本体カバー2において、内周カバー部23と外周カバー部24とが段差状に接続されているように形成されており、外周カバー部24の内周側にて、内周カバー部23が外周カバー部24より前方に突出した構成となっている。
外周カバー部24の平板部24aには、左右一対の換気扇カバー係止具(以下、単に「係止具」)4、5を係止するための左右一対の係止部25、26が形成されている。
左係止部25は、正面視で左右方向に長い長円形状であり、平面視台形状のものであって、内周カバー部23の左方で、平板部24aの上下略中央位置(上下方向で中央リブ21aと略同じ位置)にて前方突出状に形成されている。左係止部25の前端の平坦板状部分には、左係止具4のフック部49(図10参照)を挿入するための係止孔25aが設けられている。
右係止部26は、内周カバー部23の右方で、平板部24aの上下略中央位置(上下方向で中央リブ21aと略同じ位置)にて前方突出状に形成されているものであって、左係止部25と同様に構成され、右係止具5のフック部59(図10等参照)を挿入するための係止孔26aを有する。
更に、外周カバー部24の平板部24aには、前方突出状の外周リブ群27が形成されている。外周リブ群27は、係止部25、26より上方に形成される外周リブ27a、27b、及び、係止部25、26より下方に形成される外周リブ27c、27d、27eよりなる。
外周リブ27a、27bは平行に並列され、外周リブ27aの内周側に外周リブ27bが配置されている。外周リブ27a、27bは、正面視で略逆Uの字形状に形成され、前述の如く正面視略ロの字の平板部24aの上半分に延びている。即ち、外周リブ27a、27bは、内周カバー部23の上方にて、左右方向に延伸し、その左端部及び右端部が、内周カバー部23の左方及び右方にて、曲折して下方に延伸し、それぞれの下端部が左係止部25及び右係止部26の上端に近接するよう配置されている。
外周リブ27c、27dは、左右係止部25、26を挟んで、外周リブ27a、27bに対し上下対称状に、即ち、正面視で略Uの字形状に形成され、正面視略ロの字の平板部24aの下半分に延びている。
内周カバー部23の下方にて、平板部24aの外周リブ27dより下方に、平板部24aの外周リブ27cが配置され、外周リブ27cの下方にて、正面視で一直線状に左右方向に延伸する外周リブ27eが配置されている。
即ち、外周カバー部24の平板部24aでは、内周カバー部23の上方にて上下2列の外周リブが、内周カバー部23の左方及び右方にてそれぞれ左右2列の外周リブが、内周カバー部23の下方にて上下3列の外周リブが形成されている。
外周リブ群27によりカバー本体2の強度が高められる。
図1に示す係止具4、5は、それぞれ、例えば針金等による1本の線状体に曲げ加工を施して構成されるものである。係止具4、5は同じ構成のものであり、これらを代表して、係止具5について説明する。
図7は、係止具の側面図であり、図8は、係止具の平面図である。
係止具5は、その素材としての鉄などの金属から構成される針金等の1本の線状材に曲げ加工が施されて、その一端部にクリップ部50を、他端部にフック部59を形成し、クリップ部50とフック部59との間の部分にコイル状の引っ張りバネ部55(以下、単に「バネ部55」)を形成している。
クリップ部50は、線状体をゼムクリップ形状に曲折して形成されたものであり、そのうちの外側延出部50aを換気扇枠の外側に配した状態で、その大部分を換気扇枠の内側に配することで、換気扇枠を挟持するものである。
クリップ部50の外側延出部50aとバネ部55の第1端部55aとの間には、線状体を折曲してなる第1折曲部53が形成されている。第1折曲部53からクリップ部50側へと延出される第1直線部52がクリップ部50の端部51に接続され、クリップ部50の外側延出部50aから第1直線部52へと端部51にて折曲した状態となっている。一方、第1折曲部53からバネ部55側へと延出される第2直線部54がバネ部55の第1端部(後端部)55aに接続され、第2直線部54からバネ部55へと第1端部55aにて折曲した状態となっている。
一方、バネ部55とフック部59との間には、線状体を折曲してなる第2折曲部57が形成されている。第2折曲部57からフック部59へは第5直線部58が延出され、フック部59は第5直線部58に向けて円弧状に折り返されている。フック部59は、係止孔26aを介して換気扇カバー1の内側に配された状態においては、その折り返し形状により抜け止めとなる。又、係止孔26aから延出する第5直線部58は、フック部59が回動支点となって回動自在であり、これにより、第5直線部58の係止孔26aからの前後方向における延出角度が調整可能である。更に、係止具5を係止孔26aまで移動させて挿入する際には人の手指で摘まれるツマミとなる。
第2折曲部57は、平板部24aの外周端と筒板部24bの前端との接合部である外周カバー部24の折曲部に対応して曲折している。これにより、第5直線部58が、前述の如くフック部59を支点として回動してもカバー本体2と干渉せず、又、バネ部55が、筒板部24bの側方に沿うように配置される。
第2折曲部57とバネ部55との間には、線状体を、バネ部55の巻き方向に対し略直交する方向に巻いて、円形湾曲部56が形成されている。
円形湾曲部56からバネ部55の第2端部(前端部)55bまで第3直線部56aが延伸し、第3直線部56aからバネ部55にかけて第2端部55bにて折曲した状態となっている。
一方、円形湾曲部56から第2折曲部57まで第4直線部56bが延伸している。第3直線部56aの前端部分と第4直線部56bの後端部分とは円形湾曲部56を介して重複配置されている。
円形湾曲部56の弾性変形により、第3直線部56aと第4直線部56bの後端部分との重複域が変化することで、第2折曲部57とバネ部55との間の距離が調整され、又、第3直線部56aと第4直線部56bとの相対角度が変化することで、第5直線部58に対するバネ部55の角度が調整される。
ここで、図7、図8に加えて、後述の図10も参照して、バネ部55の軸方向に見ると、第1端部55a及び第2端部55bそれぞれのバネ部55の周方向における位置が略一致する。従って、第1端部55a及び第2端部55bを換気扇カバー1の外周カバー部24の筒板部24bの外側面に沿わせれば、バネ部55はそこから筒板部24bの外側方に広がるように、筒板部24bと干渉することなく配置される。
又、第3直線部56a及び第4直線部56bは、第2端部55bからバネ部55の軸方向と略平行に延びており、前述の如く第2端部55bを筒板部24bの外側面に沿わせれば、第3直線部56a及び第4直線部56bも筒板部24bの外側面に沿うこととなる。
一方、バネ部55の軸方向に見て、円形湾曲部56はバネ部56と重複する。即ち、バネ部55の軸方向視にて、第1端部55a、第2端部55bを介して、バネ部56と同一側(或いは近接する側)に円形湾曲部56が配置される。従って、第3直線部56a及び第4直線部56bが筒板部24bの外側面に沿っていれば、バネ部55とともに円形湾曲部56も筒板部24bより外側方へと広がるように配置され、筒板部24bと干渉することはない。
これに対し、クリップ部50及びフック部59は、バネ部55の軸方向視において、第1端部55a、第2端部55bを介して、バネ部55とは反対側(或いは遠ざかる側)に配置される。クリップ部50は換気扇枠を挟持し、フック部59は換気扇カバー1の外周カバー部24の平板部24aに形成された係止部26に係止されるものなので、バネ部55の軸方向に見れば、バネ部55の第1端部55a、第2端部55bを沿わせた筒板部24bの部分よりも内側に配置されることとなる。
即ち、換気扇カバー1を換気扇枠に係止する上で、このようにクリップ部50及びフック部59を筒板部24bより内側の所定位置に配置した状態において、バネ部55は、両端部55a、55bを筒板部24bの外側面に沿わせた形で、筒板部24の外側方に配置され、円形湾曲部56も筒板部24bの外側方に配置され、バネ部55及び円形湾曲部56と筒板部24bとの干渉が回避される。又、バネ部55の伸縮方向が筒板部24の外側面に沿うものとなり、バネ部55の引っ張り負荷が軽減される。又、クリップ部50は、本実施形態ではゼムクリップ形状であるため、筒板部24bの内側に面状に接するので右係止具5の固定が安定する。
このように、右係止具5は、その一端側部分に形成されるクリップ部50を換気扇枠の右部に挟み付け、その他端側部分に形成されるフック部59を換気扇カバー1のカバー本体2の右部に掛止した状態で、換気扇カバー1の右部を換気扇枠の右部に固定する。この状態において、クリップ部50及びフック部59は、これらの間に介装されたバネ部55により互いに引きつけられるように引っ張られる。このバネ部55の引っ張り力により、換気扇カバー1の右部と換気扇枠の右部とが固定される。
同様に、左係止具4を用いて、換気扇カバー1の左部が換気扇枠の左部に固定される。
図9は、大型換気扇より取り外した換気扇枠に係止具を取り付け、換気扇カバーを被せる途中の状態を示す拡大側面図であり、図10は、係止具を取り付けた状態で大型換気扇に取り付けられた換気扇枠に換気扇カバーを被せる途中の状態を示す平面一部断面図であり、図11は、係止具にて大型換気扇の換気扇枠に係止された状態の換気扇カバーの拡大側面図であり、図12は、図11で示したB部分の拡大図であり、図13は、図11で示した状態の換気扇カバーの平面一部断面図であり、図14は、図13で示したC部分の拡大断面図であり、図15は、換気扇カバーにおける係止具を係止した部分を示す拡大正面図である。
又、図16は、係止具にて小型換気扇の換気扇枠に係止された状態の換気扇カバーの拡大側面図であり、図17は、図16で示したD部分の拡大図であり、図18は、図16で示した状態の換気扇カバーの平面一部断面図であり、図19は、図18で示したE部分の拡大断面図である。
これらの図を参照して、換気扇カバー1は、大小2つの規格による換気扇10、12それぞれの換気扇枠11、13に装着可能に構成されている。尚、換気扇10、12の大きさに関する規格とは、通常、それぞれのプロペラ10a、12aの羽根の大きさに関する規格である。
図9から図15に示した大きい方の規格による換気扇10(以後、「大型換気扇10」とする)の換気扇枠11は、背景技術で説明したように、吸気口(図示せず)を有する平板部11aと四角筒状の筒板部11bとよりなる。平板部11aと筒板部11bとの間は四角形状の外周コーナー部11cとなっている。筒板部11bの、平板部11aとは反対側の端部は開口端となっている。ここでは、平板部11aが筒板部11bの前端にて平坦板状に形成され、換気扇10のプロペラ10aの前方に配されているものとの前提で説明する。
図9を参照して、換気扇カバー1を換気扇枠11に取り付ける際には、まず、換気扇枠11を換気扇10の基枠10bより取り外し、換気扇枠11の筒板部11bの左後端部に左係止具4のクリップ部40(図10参照)を挟み付け、筒板部11bの右後端部に右係止具5のクリップ部50を挟み付ける。
図10を参照して、その後、換気扇10の所定位置に換気扇枠11を戻し、換気扇枠11の筒板部11bの内側に配された係止具4、5のクリップ部40、50を、換気扇10の基枠10bと換気扇枠11の筒板部11bとで挟持した状態にする。
このように係止具4、5を換気扇10に設けた状態で、換気扇カバー1の外周カバー部24の外周コーナー部24cを換気扇枠11の外周コーナー部11cに合わせることで、外周カバー部24を換気扇枠11に接した状態を確保する。この接した状態とは、外周カバー部24の平板部24aと換気扇枠11の平板部11aとが密接若しくは近接した状態、又は、外周カバー部24の筒板部24bと換気扇枠11の筒板部11bとが密接若しくは近接した状態であるか、それら両方の状態である。尚、必ずしも換気扇枠11の全周方向にわたって接していなくてもよく、当該全周方向のうちの一部分において、外周カバー部24と換気扇枠11とが接しているものとしてもよい。更に、前述の如く、換気扇カバー1のカバー本体2は、合成樹脂で構成されること等により、その表裏面が凸凹のない滑面となっていることで、外周カバー部24と換気扇枠11とが接した状態を確保できる。
換気扇カバー1と換気扇枠11との間に隙間があると吸気口22、22aのフィルター3を経ずに、この隙間から油分を含む空気が直接換気扇10のプロペラ10aに吸入され、換気扇カバーを付けていたとしても換気扇が汚れてしまう。従って、前述のように換気扇カバー1と換気扇枠11との間で隙間を低減した状態とすることで、換気扇カバーの隙間からの油汚れを抑制できる。
又、吸気口22、22aを通過した場合でも空気に含まれる油分がフィルター3により完全には取り除かれないことがあり、その場合は換気扇カバーの裏面側に空気が接触することで油分が裏面に付着し、プロペラ10aを通過する空気中の油分量が低減されることがある。換気扇カバー1においては、前述のように、正面視で内周カバー部23が外周カバー部24より手前側に突出した状態となるように内周カバー部23と外周カバー部24とが段差状に接続されていることで、外周カバー部24を換気扇枠11に被せた状態では、吸気口22、22aからプロペラ10aまでの間の吸気に接する換気扇カバー1の裏面の表面積が段差状にしない場合に比べて増大することとなる。その結果、油分を含む空気が吸気口22、22aを通過して換気扇10のプロペラ10aへ到達する間に吸気に混じる空気中の油分の付着量を増大させることができる。更に、このように吸気口22、22aがプロペラ10aから遠く離れることにより、フィルター3の汚れにつながるプロペラ10aへの吸引圧が、吸気口22、22aの中心部分に集中せず、吸気口22、22aの全体の広い範囲でまんべんなく油汚れを取ることができる。
この状態から、左係止具4のフック部49を手で持って、換気扇カバー1の左係止部25まで移動し、係止孔25aを介して換気扇カバー1の内側へと挿入する。右係止具5も同様に、フック部59を手で持って、換気扇カバー1の右係止部26まで移動し、係止孔26aを介して換気扇カバー1の内側へと挿入する。これにより、左右係止具4、5を介しての換気扇カバー1の換気扇枠11への係止、即ち換気扇カバー1の換気扇10への装着が完了する。
このように係止具4、5のフック部を換気扇カバー1の係止部25、26に係止する際における係止具4、5の各部の作用態様について説明する。ここでは、両係止具4、5を代表して右係止具5についてのみ説明するものとする。
換気扇枠11にクリップ部50を挟み付けた状態の係止具5を手でつまんで、後述の係止具5の作用を利用してフック部59を係止部26の係止孔26aに挿入して係止する。
ここで、大型換気扇10の換気扇枠11の筒板部11bは換気扇カバー1の外周カバー部24の筒板部24bに近接又は密接しているので、左右方向においては、筒板部11bを挟持する係止具5のクリップ部50と、フック部59が挿入される係止孔26aとは近接している。しかし、外周カバー部24が内周カバー部23よりも一段後方に形成されていることもあって、換気扇枠11の筒板部11bの後端部が、外周カバー部24の後端(即ち換気扇カバー1の後端)より大きく後方に突出している。即ち、クリップ部50の端部51と係止孔26aとの間には、前後方向においてかなりの距離がある。
このような状態において、係止孔26aへと移動させるべくフック部59を手前側に引くにつれ、筒板部24bの外側方において、バネ部55が前方に引っ張られて伸長する。これにより、第2折曲部57が外周コーナー部24cに対応する位置に到達し、この状態から第5直線部58を平板部24aに沿うように配置して、フック部59を係止孔26aに届かせることができる。
更に、この際、前述の如き円形湾曲部56の弾性変形により、バネ部55と第2折曲部57との間の距離や相対方向が調整され、第2折曲部57を外周コーナー部24cに対応した最適の位置に配置することができる。
こうして、右係止部26の係止孔26aを介して換気扇カバー1の内側にフック部59を挿入することで、右係止具5による換気扇カバー1の右部を換気扇枠11の右部に係止する作業が完了する。
一方、左係止具4についても、同様に、そのクリップ部49で換気扇枠11の筒板部11bの左後端部を挟持した状態で、フック部49を手前に引くと、バネ部45が引き伸ばされる。こうして移動させたフック部49を、左係止部25の係止孔25aを介して換気扇カバー1の内側に挿入することで、左係止具4による換気扇カバー1の左部を換気扇枠11の左部に係止する作業が完了する。
こうして、左右の係止具4、5による換気扇カバー1の換気扇枠11への係止作業を終えることで、大型換気扇10への換気扇カバー1の装着が完了する。
換気扇カバー1を換気扇枠11より取り外す際には、右係止具5についてはそのクリップ部50で換気扇枠11の筒板部11bを挟持した状態のまま、第5直線部58、第2折曲部57、又は第4直線部56b等を持ち、第5直線部58を前方に引くことで、フック部59は簡単に係止孔26aの前外方に引き抜かれる。左係止具4も同様にそのフック部が係止孔25aより引き抜かれる。こうして、係止具4、5を換気扇カバー1から取り外すことで、換気扇カバー1の換気扇枠11への係止は解除され、そのまま換気扇カバー1を手前に引くことで、換気扇カバー1より簡単に取り外すことができる。
尚、換気扇カバー1を取り外した後には、係止具4、5がそれぞれのクリップ部40、50を換気扇枠11に挟み付けた状態で残り、換気扇10に備えられたままである。従って、これらは交換後の新たな換気扇カバー1の換気扇枠11への係止にも用いることができるのである。
図16から図19に示した小さい方の規格による換気扇12(以後、「小型換気扇12」とする)の換気扇枠13は、換気扇枠11と同様に、吸気口(図示せず)を有する平板部13aと四角筒状の筒板部13bとよりなる。平板部13aと筒板部13bとの間は四角形状の外周コーナー部13cとなっている。筒板部13bの、平板部13aとは反対側の端部は開口端となっている。ここでは、平板部13aが筒板部13bの前端にて平坦板状に形成され、小型換気扇12のプロペラ12aの前方に配されているものとの前提で説明する。
換気扇カバー1を小型換気扇12に装着するにあたり、まず、大型換気扇10の場合と同様に、左右の係止具4、5のクリップ部40、50を換気扇枠13の左右後端部に挟み付け、且つ、両クリップ部40、50を換気扇枠13と換気扇12の基枠12bとで挟持した状態で左右の係止具4、5を小型換気扇12に備えておく。
この状態から、換気扇カバー1を換気扇枠13に被せるものであるが、この場合、内周カバー部23の外周コーナー部23cと換気扇枠13の外周コーナー部13cとを合わせることで、内周カバー部23と換気扇枠13とが接した状態となる。
ここで、内周カバー部23と換気扇枠13とが接した状態とは、平板部23aと平板部13aとが密接若しくは近接した状態、又は筒板部23bと筒板部13bとが密接若しくは近接した状態であるか、それら両方の状態であるが、必ずしも内周カバー部23の全周にわたらなくても、その一部が換気扇枠13に接した状態であってもよい。このように内周カバー部23と換気扇枠13とが接することで、フィルター3を経ずに内周カバー部23と換気扇枠13との間の隙間から油分を含む空気が換気扇12のプロペラ12aへと吸入されることによる換気扇12の油汚れが抑制されること、又、内周カバー部23の表面が滑らかであることにより、接した状態を確保しやすいこと等は、外周カバー部24について説明したとおりである。
このように、大型換気扇10の換気扇枠11に換気扇カバー1を被せる場合のみならず、小型換気扇12の換気扇枠13に換気扇カバー1を被せる場合にも、換気扇カバー1と換気扇枠との間の隙間が低減するので、いずれの場合においても、換気扇カバー1を被せることでのフィルター3による吸気からの油分の除去効果を十分に得られる。
こうして換気扇カバー1を換気扇枠13に被せた状態から、右係止具5のフック部59を手で持って手前に引き、係止孔26aに挿入する。左係止具4のフック部49(図10参照)も同様にして係止孔25aに挿入する。
ここで、内周カバー部23を被せられた状態の換気扇枠13の筒板部13bは、内周カバー部23よりも外周側に配置される外周カバー部24の筒板部24bからはかなりの距離をおいて離れている。右係止具5については、換気扇枠13の筒板部13bの右部を挟持したクリップ部50より、バネ部55を右前方に引き伸ばしして、一旦、バネ部55を外周カバー部24の筒板部24bの右部の右外側方に配してから、外周コーナー部24cを跨いでフック部59を左方に移動させ、平板部24a上の右係止部26の係止孔26aまで引いてくる必要がある。
つまり、前述の如く外周カバー部24を換気扇枠11に沿わせた状態においては、バネ部55の引き伸ばし方向が外周カバー部24の筒板部24bに沿っての前後方向だったので、バネ部55と筒板部24bとの干渉が殆どない状態であった。しかし、内周カバー部23を換気扇枠13に沿わせた状態においては、バネ部55の引っ張り方向が外周カバー部24の筒板部24bと交差する方向にあり、バネ部55と筒板部24bとの干渉が生じる場合がある。
ここで、前述の第1折曲部53が形成されていることにより、外周カバー部24の筒板部24b及びフランジ部24dと右係止具5のバネ部55との干渉は緩和され、支障なくバネ部55を引っ張ることができる。こうして、バネ部55が引っ張られることで、第2折曲部57が外周コーナー部24cに対応する位置に配され、フック部59を係止孔26aに挿入することができる。
以上のように、換気扇カバー1は、少なくとも、所定の規格で構成される換気扇枠13に被せて配置できるように、換気扇枠13の外周コーナー部13cに対応する外周コーナー部23cを有する内周カバー部(第1カバー部)23と、換気扇枠13よりも大きな所定の規格で構成される換気扇枠11に被せて配置できるように、換気扇枠11の外周コーナー部11cに対応する外周コーナー部24cを有する外周カバー部24(第2カバー部)とを備えており、第1カバー部23と第2カバー部24とが段差状に接続されているものである。
このように構成すると、換気扇カバー1が、所定の規格で構成される換気扇枠13にも、換気扇枠13よりも大きな所定の規格で構成される換気扇枠11にも取り付け可能とされる。それぞれの換気扇枠11、13に対しては、それぞれのカバー部23、24の有する外周コーナー部23c、24cを当該換気扇枠11、13の外周コーナー部11c、13cに合わせるだけで位置決めされ、各換気扇枠11、13と換気扇カバー1との隙間を低減させることができる。このような機能を有する内周カバー部23及び外周カバー部24を、段差状に形成するという、複雑な加工を要しない方法で構成することで、換気扇枠13を備えた規格の換気扇12にも換気扇枠11を備えた規格の換気扇10にも取付可能で、どちらに取り付けても換気扇の汚れを抑制できる換気扇カバー1を低コストで提供するという発明の目的を達成するものである。
又、換気扇カバー1は、吸気口22、22aを備え、吸気口22、22aを外方から正対視した状態において、内周カバー部23は、吸気口22、22aの周りを囲むように形成され、外周カバー部24は、内周カバー部23の周りを囲むように形成されており、内周カバー部23は外周カバー部24より手前側に突出するように形成されている。
このように構成すると、内周カバー部23を換気扇枠13に被せる際には、吸気口22、22aを外方から正対視した状態において、外周カバー部24が、換気扇枠13及び内周カバー部23の周りを囲むように配置されているので、換気扇枠13に内周カバー部23を隙間なく被せた状態を阻害することはない。一方、外周カバー部24を換気扇枠11に被せる際には、吸気口22、22aを外方から正対視した状態において、内周カバー部23が換気扇枠11及び外周カバー部24よりも手前側に突出しているので、換気扇枠11に外周カバー部24を隙間なく被せた状態を阻害することはない。即ち、複雑な加工を要しない方法で、前述の如き機能を有する段差状の内周カバー部23及び外周カバー部24を構成しており、前述の換気扇カバー1の効果を確実に得るものである。又、吸気口を通過した場合でも空気に含まれる油分がフィルターにより完全には取り除かれないことがあり、その場合は換気扇カバーの裏面側に空気が接触することで油分が裏面に付着し、プロペラを通過する空気中の油分量が低減されることがあるが、本発明においては、段差状にしたことで、第2カバー部を第2換気扇枠に被せた状態では、段差で第1カバー部が第2カバー部より突出している分、吸気口からプロペラまでの間の吸気に接する換気扇カバーの裏面の表面積が段差状にしない場合に比べて増大することとなり、その結果、油分を含む空気が吸気口を通過して換気扇のプロペラへ到達する間に吸気に混じる空気中の油分の付着量を増大させることができる。更に、このように吸気口がプロペラから遠く離れることにより、油汚れが、吸気口の中心部分に集中せず、吸気口の全体の広い範囲でまんべんなく油汚れを取ることができる。
更に、換気扇カバー1は、換気扇枠11又は換気扇枠13に係止された係止具4、5を係止可能な係止部25、26を備えている。
このように構成すると、換気扇カバー1の係止部25、26への係止具4、5の係止及び取り外しを簡単に行うことができる。
又、換気扇カバー1は、内周カバー部23及び外周カバー部24を合成樹脂より形成しているものである。
このように構成すると、合成樹脂よりなる内周カバー部23及び外周カバー部24の表面を凸凹のない滑らかなものとすることができ、換気扇枠13とこれに被せた内周カバー部23とを、又、換気扇枠11とこれに被せた外周カバー部24とを、隙間を低減し接した状態とすることができる。従って、吸気口22、22aのフィルター3を経ずに換気扇カバー1と換気扇枠11、13との間の隙間を通じて油まじりの空気が直接換気扇10、12に吸入されるという不具合を更に一層低減し、換気扇枠11に被せる場合にも換気扇枠13に被せる場合にも、換気扇カバー1による汚れからの換気扇10、12の保護効果を安定させることができる。
又、換気扇カバー1は、外周カバー部24に外周リブ27a~27e(外周リブ群27)を形成しているものである。
このように構成すると、外周カバー部24が外周リブ群27で補強される。又、外周カバー部24を換気扇枠11に被せた状態において、カバー本体2の裏側面では、外周リブ群27で表面積が増える分、吸気中に含まれる油分を多く付着させることができる。更に、カバー本体2の表側では外周リブ群27が突出しており、換気扇10への吸気に含まれる油分が、例えば吸気口22、22aから内周カバー部23を伝ってその周りの外周カバー部24にまで到達した場合に、このような油分を凸状の外周リブ群27で受けることができる。このように、外周カバー部24を換気扇枠11に被せる場合には、外周カバー部24に形成した外周リブ27a~27e(外周リブ群27)の形成により、吸気口22、22aへと導入される前の空気に含まれる油分を、換気扇カバー1の表面により多く付着させることができ、その分、換気扇10、12に付着する油分量を低減し、換気扇カバー1による汚れに対する換気扇10、12の保護効果をより一層高めることができる。そして、このような油受け機能を有する手段を、外周カバー部24に形成した外周リブ27a~27e(外周リブ群27)としているので、換気扇カバー1の更なるコスト低減を図ることができる。
又、換気扇カバー1は、正面視で内周カバー部23にて囲まれるように配置される吸気口22、22aを覆うようにフィルター3を取り付けているものである。
このように構成すると、換気扇カバー1を換気扇枠11に取り付けた場合にも、換気扇枠13に取り付けた場合にも、油分を含む空気がフィルター3を通過することによる換気扇10、12の油汚れを抑制する効果が得られる。従って、換気扇10、12の汚れ防止という換気扇カバー1に本来求められる効果を、換気扇枠11を有する大型換気扇10についても、換気扇枠13を有する小型換気扇12についてももたらすことができる。
尚、換気扇枠に被せた換気扇カバーを換気扇枠に係止するには、係止具のように針金等の1本の線状体よりなるものに限らず、例えば、従来型の係止具、両面テープ、面ファスナー、磁石等を用いることも可能である。
又、換気扇カバーにおいて係止具を係止する箇所は、図1等に示す係止部に該当する箇所に限定するものではない。
更に、以上の説明は、換気扇のプロペラ軸が前後方向に配され、換気扇カバーを換気扇枠の前方に取り付けるという状態を想定したものであるが、換気扇のプロペラ軸の方向は様々であり、例えば、換気扇が天井に設けられていて、プロペラ軸が上下方向であり、換気扇カバーを換気扇枠の下方に取り付けるということもあり得る。即ち、換気扇カバーは、どのように配置された換気扇枠にも対応可能となっている。
更に、換気扇カバーのカバー本体の素材は前述の如き合成樹脂に限られるものではなく、例えば、従来よく換気扇カバーとして用いられているアルミニウム箔製の成形品であってもよい。
更に、以上に説明した換気扇カバー1は、特定の形状を有するものであるが、これに限られない。例えば、換気扇カバー1は、二つの規格の換気扇10、12に装着可能、即ち、それぞれの大きさの換気扇枠11、13に被せることができるように、二つのカバー部23、24が段差状に接続されるように形成されているが、三つ以上の規格の換気扇に対応して装着可能なものであってもよい。即ち、それぞれの大きさの換気扇枠に被せられるように、各換気扇枠の外周コーナー部に対応する外周コーナー部をそれぞれ有する複数のカバー部を形成し、これら複数のカバー部同士を段差状に接続するものである。ただし、三つ以上のカバー部同士の場合、それぞれのカバー部をそれぞれ段差状に接続することもあれば、少なくとも二つのカバー部同士が段差状に接続することで少なくとも一つ段差が形成されるようにすれば本発明の効果を発揮しえる。
又、換気扇カバー1は特定形状のリブを形成したものであるが、省略しても構わないし、別の形状のリブを形成しても構わない。又、吸気口へのフィルターの取り付け方についても以上で説明した構成に限られない。