JP7186086B2 - 碾茶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、碾茶の製造方法に関する。
碾茶は古くから抹茶の原料として使われており、碾茶を石臼等で粉状に挽いて、煎茶とは異なる鮮やかな緑色や独特の香り、味わいを持つようにしたものを抹茶として利用している。
このような碾茶は、従来から、蒸気を用いて生茶葉を殺青し(蒸熱)、茶葉についた蒸し露を取り除き、葉が重ならないように分散させた後(散茶)、碾炉で輻射熱を用いて高温短時間で乾燥し(乾燥)、次に、葉脈及び茎を除いて葉肉のみとする(つる切り)ことによって製造するのが一般的であった。
抹茶特有の香りは、碾炉による輻射熱によって茶葉を乾燥させることで発生する炙り香によるといわれている。
他方、抹茶特有の鮮やかな緑色は、碾炉を用いて、揉まずに高温短時間で乾燥させることで生じると共に、つる切りによって、葉脈及び茎を除いて葉肉のみとすることで、より鮮やかな緑色を得ることができるものと言われている。
碾茶の製造方法においては近年、蒸熱による殺青処理の代わりに、熱風による殺青処理が提案されている。例えば特許文献1(特開2013-34405号公報)には、従来の蒸熱殺青装置の代わりに、熱風によって殺青を行う茶葉熱風殺青装置として、ガスバーナで燃焼した250~400℃の乾き熱風を処理胴に送り込み、茶葉の殺青を行う装置が開示されている。
また、緑色度合いをより一層高めることができる碾茶の製造方法として、特許文献2(特開2018-108033号公報)には、生茶葉に熱風を接触させて茶葉含水比を80~150DB%として茶葉の殺青及び乾燥を行った後、茶葉に熱を与えて茶葉含水比を30DB%以下とする茶葉の乾燥を行い、次に、つる切りを行うことを特徴とする碾茶の製造方法が開示されている。
特開2013-34405号公報 特開2018-108033号公報
従来一般的に行われていた碾茶の製造方法では、碾炉を用いて加熱乾燥する際、茶葉が含む水分を5%(W.B.)程度まで乾燥させる必要があったことから、当該加熱乾燥における加熱時間が長時間となり、碾茶の緑色が損なわれることがあった。
前述したように、近年、熱風を茶葉に接触させて殺青と乾燥を同時に行う熱風加熱処理を行った後、碾炉により加熱乾燥を行う技術が開発され、これによって、碾炉による加熱乾燥処理の時間を短くすることができるようになり、碾茶の色を向上させることが可能になった。ところが、その反面、熱風加熱処理において、高温の熱風を生茶葉に接触させるため、この際に碾茶の香りが飛んでしまうことがあったばかりか、熱風加熱処理後に碾炉で加熱乾燥した際、碾茶特有の炙り香が付きにくいという新たな課題が生じることが分かってきた。
そこで本発明の第一の目的は、熱風や加湿熱風など気体の媒体を茶葉に接触させる熱風加熱処理を行った後、加熱乾燥を行う碾茶の製造方法において、緑色を保持することができる新たな碾茶の製造方法を提供することにある。さらに第二の目的は、熱風加熱処理時に碾茶の新鮮な香りが飛んでしまうことを抑制することにある。さらに、第三の目的は、碾茶特有の炙り香を付けることにある。
本発明は、茶葉の表面温度が65.0~85.0℃になるように、蒸気を生茶葉に接触させる蒸気加熱処理を行った後、加熱した気体を茶葉に接触させることにより、茶葉の含水率を30.0~40.0%(W.B.)に調整する水分調整処理を行い、次に、茶葉を加圧する加圧処理を行った後、加熱乾燥処理を行うことを特徴とする碾茶の製造方法を提案する。
本発明が提案する碾茶の製造方法においては、水分調整処理及び加圧処理の前に、蒸気を生茶葉に接触させる蒸気加熱処理を行うことにより、蒸気加熱処理にて茶葉が柔軟化しても水分調整処理にて茶葉の含水率を低下させて葉を適度に引き締めることができるため、加圧処理時に葉を比較的強めに加圧することができる。これにより、加圧処理時に茶葉の表面組織を傷つけることができ、その後の加熱乾燥処理における乾燥効率も向上し、緑色を保持することができるようになる。
また、蒸気加熱処理によって、生茶葉を柔軟化することができるから、加圧処理にて茶葉内部の組織液(内容成分)が表面に出易くなる。更に水分調整処理にて葉を適度に引き締めることで、強めの加圧処理を行うことができるため、効果的に茶葉の内容成分を表面に移行させることができる。これにより、加熱乾燥処理によって碾茶特有の炙り香を出しやすくすることができ、緑色を高めることもできる。
次に、実施の形態例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
<本碾茶製造方法>
本発明の実施形態の一例に係る製造方法(「本碾茶製造方法」と称する)は、蒸気を生茶葉に接触させる処理(「蒸気加熱処理」と称する)を行った後、加熱した気体を茶葉に接触させる処理(「水分調整処理」と称する)を行い、次に、茶葉を加圧する処理(「加圧処理」と称する)を行った後、茶葉を加熱して乾燥させる処理(「加熱乾燥処理」と称する)を行うことを特徴とする碾茶の製造方法である。
なお、本碾茶製造方法は、上記処理を備えていれば、他の処理を追加することは可能である。例えば、つる切り処理、粉砕処理、乾燥処理、冷却処理、散茶処理、その他の処理を適宜追加することが可能である。
本発明では、「碾茶」とは、生茶葉を殺青し、揉まずに乾燥して得られた茶をいうものである。
また、「生茶葉」とは、酵素の失活処理(殺青)が為されていない茶葉をいう。
(生茶葉)
本碾茶製造方法の原料茶葉としての生茶葉は、茶の品種、茶の栽培方法及び摘採時期を限定するものではない。例えば、収穫前に一定期間被覆栽培して摘採した覆下茶葉を使用することも可能であるし、被覆栽培しない茶葉を使用することもできる。また、一番茶、二番茶、三番茶、四番茶、秋碾茶(秋冬番茶とも称する)などを使用することもできる。
また、茶の品種や、茶の栽培方法や、摘採時期などが異なる二種類以上の茶葉を組み合わせて使用することも可能である。
本碾茶製造方法の原料茶葉としては、繊維量が18質量%以上の生茶葉を使用するのが好ましい。
繊維量が18質量%以上の生茶葉を使用することで、本碾茶製造方法による効果、すなわち緑色度合いを効果的に高める効果をより一層享受することができる。他方、繊維量が30質量%以下の生茶葉を使用することで、加圧処理時に茶葉の表面組織を傷つけることができ、その後の加熱乾燥処理における乾燥効率も向上し、緑色を保持することができる。
かかる観点から、本碾茶製造方法の原料茶葉としては、繊維量が18~30質量%の生茶葉を使用することが好ましく、中でも20質量%以上或いは29.5質量%以下、その中でも22質量%以上或いは29質量%以下の繊維量の生茶葉を使用することがさらに好ましい。
なお、上記「繊維量」の「繊維」とは、灰分込の中性デタージェント繊維(NDF)を意味し、「繊維量」の単位である「質量%」はウェットベース質量%の意味である。
また、本願明細書中では、特段の記載がない限り、全窒素量、タンニン量及び遊離アミノ酸量についても上記繊維量同様に、これらの単位は「ウェットベース質量%」又は「%(W.B)」である。
生茶葉の繊維量は、茶の品種、産地、育成方法(例えば被覆の有無)、生産者などによって異なるものである。
ただし、摘採時期が遅い生茶葉ほど、繊維量が高くなる傾向が認められる。
摘採した生茶葉は、必要に応じて、洗浄処理、乾燥処理、冷却処理を行った後、次に説明する蒸気加熱処理に供することができる。
(蒸気加熱処理)
蒸気加熱処理では、蒸気を生茶葉に接触させて加熱する。
蒸気を生茶葉に接触させて加熱することによって、生茶葉を柔軟化することができると共に、少なくとも葉肉部分及び葉脈部分を殺青することができる。また、生茶葉を加熱することによって柔軟化することができるから、茶葉内部の組織液(内容成分)を表面に出易くした上で加圧処理を行うことができ、結果として加熱乾燥処理によって炙り香を出しやすくできる。また、柔軟化しつつ殺青することができるため、殺青効率が向上し、過度な加熱を避けやすくなるため、碾茶の色を向上させることができる。
蒸気加熱処理では、加熱によって茶葉に含まれる水分の温度を上昇させることで、茶葉を柔軟化することができる。
この際、茶葉を柔軟化する程度としては、生茶葉のゆるみかさ密度に対する、蒸気加熱処理後の葉のゆるみかさ密度の比率が0.70~0.95となる程度を挙げることができる。
蒸気加熱処理によれば、生茶葉に圧力を加えずに、茶葉を加熱して、茶葉を柔軟化すると共に、茶葉の葉肉部分及び葉脈部分を殺青することができる。
さらに、蒸気加熱処理によれば、蒸気を茶葉に接触させることにより、熱量の大きな潜熱を茶葉に与えることができ、熱風で加熱する場合に比べて、炙り香をより一層高めることができる。
蒸気加熱処理においては、茶葉の表面温度が65.0~85.0℃になるように、茶葉に蒸気を接触させるのが好ましい。
茶葉の表面温度が65.0℃以上になるように加熱することにより、茶葉を十分に柔らかくすることができ、加圧処理によって、茶葉内部の組織液などの内部成分を表面に出させることができるため、後の加熱乾燥処理によって炙り香を好適に引き出すことができる。他方、茶葉の表面温度が85.0℃以下であれば、数秒で茶葉表面の蒸し露が蒸発して茶葉の表面温度が60.0℃以下に低下するため、葉のクロロフィルの分解を抑制し緑色の減退を抑制できるから、好ましい。
かかる観点から、蒸気加熱処理においては、茶葉の表面温度が65.0~85.0℃、中でも66.0℃以上或いは84.0℃以下、その中でも67.0℃以上或いは82.0℃以下になるように、茶葉に蒸気を接触させるのが好ましい。
また、茶葉に蒸気を接触させる際、加圧した蒸気を接触させるのではなく、大気圧程度の蒸気を接触させるのが好ましい。大気圧程度の蒸気の方が、より大きな潜熱を茶葉に与えることができるからである。
茶葉が蒸気と接触する時間は5秒~10秒とするのが好ましい。
蒸気と5秒以上接触させれば、茶葉の表面温度を前記範囲に加熱することができる一方、10秒以内であれば、加熱による茶葉の変色を抑えることができる。
かかる観点から、茶葉が蒸気と接触する時間は5秒~10秒とするのが好ましく、中でも6秒以上或いは9秒以下、その中でも7秒以上或いは8秒以下とするのがさらに好ましい。
前記蒸気加熱処理では、生茶葉の流量(A)(kg/h)に対する、蒸気量(B)(kg/h)の比率(B/A)は、0.07~0.45であるのが好ましい。
当該比率(B/A)が0.07以上であれば、むらなく茶葉に熱を与えて柔軟化でき、0.45以下であれば、加熱により茶葉の変色を抑制できるから、好ましい。
かかる観点から、生茶葉の流量(A)(kg/h)に対する蒸気量(B)(kg/h)の比率(B/A)は0.07~0.45であるのが好ましく、中でも0.075以上或いは0.42以下、その中でも0.08以上或いは0.40以下、その中でも0.10以下であるのがさらに好ましい。
ここで、生茶葉の流量とは、処理装置に単位時間当たりに供給する生茶葉量を意味し、蒸気量とは、単位時間当たりに供給する蒸気の量を意味する。
さらに、前記蒸気加熱処理では、茶葉の流量(A)(kg/h)と、蒸気量(B)(kg/h)と、茶葉の繊維量(C)と、茶葉の全窒素量(D)とが、次の式(B×D)/(A×C)=0.014~0.05、中でも0.018~0.045、その中でも0.020~0.035で表される関係となるように、処理条件を調整するのが好ましい。
このような関係式を満足するように、茶質すなわち茶葉の繊維量(C)及び茶葉の全窒素量(D)に応じて、茶葉の流量(A)及び蒸気量(B)を適切な値に調整すればよいから、緑色の保持と香りをより容易に高めることができる。
なお、生茶葉に対して蒸気が十分に接触するように、蒸気の噴射口と茶葉の距離を調整したり、処理空間をできるだけ密閉空間としたりするなど、技術常識によって処理装置の具体的構造を適宜設計するのがより好ましい。
(水分調整処理)
本碾茶製造方法では、前記蒸気加熱処理に続いて、熱風を茶葉に接触させる水分調整処理を行う。
蒸気加熱処理に続いて水分調整処理を行うことにより、殺青を完全に行うことができるばかりか、水分調整処理では、熱風を用いて殺青と同時に乾燥を行うことにより、例えば蒸熱によって殺青を行った後に乾燥を行う場合に比べて、緑色度合いを高めることができる。さらに、本水分調整処理での乾燥温度を低くすることができるため、緑色の変色を抑制することができるほか、碾茶の新鮮な香りが飛んでしまうことを抑制することもできる。
また、熱風を用いることで、蒸気加熱処理にて茶葉表面に付いた蒸し露を効率的に蒸発させることができるから、水分調整工程の当初に茶葉の温度を急激に低下させることができる。これにより、碾茶の色を向上させることができる。
水分調整処理では、茶葉に熱風を接触させて、茶葉の含水率を30.0~40.0%(W.B.)とするのが好ましい。
茶葉の含水率を前記範囲に調整することで、蒸気加熱処理にて茶葉が柔軟化しても水分調整処理にて葉を適度に引き締めることができるため、加圧処理時に葉を比較的強めに加圧することができる。これにより、加圧処理時に茶葉の表面組織を傷つけることができ、その後の加熱乾燥処理における乾燥効率も向上し、緑色を保持することができるようになる。また、茶葉の含水率を前記範囲に調整することで、加圧処理によって、茶葉の内部成分を表面に移行させることができ、加熱乾燥処理によって炙り香を出しやすくすることができるばかりか、含水率を低下させることで、後の加熱乾燥処理時の乾燥効率を高めることができるから、碾茶の色をより良くすることができる。
かかる観点から、水分調整処理では、処理後の茶葉の含水率を30.0~40.0%(W.B.)とするのが好ましく、その中でも31.5%(W.B.)以上或いは39.0%(W.B.)以下、その中でも31.7%(W.B.)以上或いは38.0%(W.B.)以下とするのがさらに好ましい。
なお、本発明において、「含水率(W.B.)」は、ウェットベース質量%を示し、茶葉に含まれる水の質量を茶葉全体の質量で除することで測定することができる。
水分調整処理後の茶葉の含水率を調整するには、熱風の温度、茶葉と熱風を接触させる時間、処理を行う装置に供給する茶葉の単位時間当たりの供給量、熱風の単位時間当たりの供給量、熱風に水を供給した加湿熱風とすることなどで調整すればよい。但し、これらに限定するものではない。
水分調整処理では、250℃~380℃に調整した気体(「熱風」とも称する)を作製し、当該熱風を茶葉に供給して接触させるのが好ましい。
250℃~380℃の温度の熱風を作製して茶葉に供給すれば、茶葉(特に茎と赤棒)を必要十分に殺青することができ、且つ、茶葉の水分量を好ましい範囲に調整することができる。但し、あまりに高い温度の熱風と接触させると、焦げる可能性がある。
かかる観点から、水分調整処理では、250℃~380℃、中でも260℃以上或いは370℃以下、その中でも280℃以上或いは360℃以下の温度に調整した気体(熱風)を作製し、当該熱風を茶葉に供給して接触させるのがさらに好ましい。
水分調整処理では、上記温度に加熱され、且つ、加湿された加湿熱風を作製し、該加湿熱風を茶葉に供給して接触させるようにしてもよい。
水分調整処理において、熱風を茶葉に接触させる時間は、茶葉毎に90~300秒とするのが好ましく、中でも120秒以上或いは250秒以内、その中でも150秒以上或いは200秒以内とするのがさらに好ましい
水分調整処理では、茶葉の流量(kg/min)と熱風の風量(m/min)との比率((茶葉流量/熱風風量)×100、単位:kg/m)を10~50とするのが好ましい。
水分調整処理における茶葉の流量(kg/min)と熱風の風量(m/min)との比率((茶葉流量/熱風風量)×100、単位:kg/m)を10~50と調整することにより、殺青を的確に行いつつ、碾茶の緑色度合いを高め、碾茶の新鮮な香りが飛んでしまうのを抑制することができる。
かかる観点から、水分調整処理における茶葉の流量(kg/min)と熱風の風量(m/min)との比率((茶葉流量/熱風風量)×100、単位:kg/m)を10~50と調整するのが好ましく、中でも15以上或いは45以下、その中でも18以上或いは40以下とするのがさらに好ましい。
なお、茶葉の流量とは、処理装置に単位時間当たりに供給する茶葉量を意味し、熱風風量とは、単位時間当たりに供給する熱風の量を意味する。
水分調整処理の前には、茶葉を揉んだり、茶葉に対して打圧を加えたりしないことが、茶葉の重なりを作らず乾燥させ製品の色調を高める観点から好ましい。
水分調整処理を実施する装置は、茶葉に対して熱風を接触させることができる構成を有していれば任意の装置を採用することができる。一例としては、茶葉を一定方向に移動させることができる回転処理胴と、当該回転処理胴内の軸方向に配設され、多数の熱風噴出口を有する熱風供給管とを備えた装置を挙げることができる。
必要に応じてさらに、さらなる水分調整処理を行ってもよい。
茶葉が水分を多く含んでいると、製造ラインに茶葉が貼り付き易く、品質低下の要因になるから、水分を調整することにより、品質低下を防ぐことができる。そればかりか、繊維量が多い硬い茶葉は、強めの打圧を加えるが、茶葉の水分量を調整することで葉に適度な柔軟性をもたせることができるため、茶葉に無駄なく圧力が加わり、碾茶の緑色をより一層高めることができる。
さらなる水分調整処理では、生茶葉の質量に対する、水分調整処理後の茶葉の質量の比率が0.43~0.70となるようにすることが好ましい。
当該比率が0.43以上であれば、茶葉が脆くなって搬送が難しくなるのを防ぐことができるばかりか、乾燥させ過ぎて、新鮮な香りが失われるのを防ぐことができるばかりか、緑色の変色を防ぐことができるから好ましく、当該比率が0.70以下であれば、茶葉の貼り付きを効果的に防止することができるから好ましい。
かかる観点から、当該比率は0.43~0.70であるのが好ましく、中でも0.45以上或いは0.65以下、その中でも0.47以上或いは0.57以下であるのがさらに好ましい。
当該比率を上記範囲に調整するためには、例えば送風量、処理時間などの条件を調整すればよい。
さらなる水分調整処理の具体的な処理方法としては、マイクロ波や熱風によって熱を加える方法、外気と同程度の風を送り込む方法、遠心力や加圧を用いて水を取り除く方法などを挙げることができる。より具体的には、網状のベルトコンベヤや網籠などを搬送手段として設け、熱風加熱処理後の茶葉を、この搬送手段で搬送しながら水分を調整する方法を挙げることができる。
(小茶葉分離処理)
本碾茶製造方法では、必要に応じて、次の加圧処理前に、小さい葉を除去する小茶葉分離処理を行ってもよい。但し、必要に応じて小茶葉分離処理を行えばよく、必ず必要な処理ではない。
小茶葉分離処理の具体的手段としては、網状若しくはメッシュ状の籠やベルトなどで、殺青後の茶葉を搬送しながら、小さい茶葉を分離除去するのが好ましい。
(加圧処理)
水分調整処理後に、茶葉に打圧を加えることで、柔らかくなった茶葉を叩くことができ、茶の内容成分を表面に移行させることができるから裏白が抑制でき、加熱乾燥処理によって炙り香を出しやすくすることができる。また、水分調整処理によって、茶葉の病変部と正常部の水分差が生じるため、病変部乃至焦げ部を除去することも可能となる。
加圧処理の一例として、軸に立設する打圧部を備える軸を回転させて、当該打圧部で茶葉を叩く方法を挙げることができる。
この際、軸の回転速度を150r.p.m以上1200r.p.m以下に調整して茶葉を叩くのが好ましい。茶葉に150r.p.m以上の回転による圧力を加えることで、茶葉内部の組織液(内容成分)を表面に出すことができる。一方、1200r.p.m以下の圧力を加えることで、葉こぼれや葉の千切れを抑制することができる。
かかる観点から、上記加圧処理の方法に関しては、軸の回転速度を150r.p.m以上1200r.p.m以下に調整して茶葉に圧力を加えるのが好ましく、中でも180r.p.m以上或いは1000r.p.m以下、その中でも200r.p.m以上或いは800r.p.m以下に調整して茶葉に圧力を加えるのがさらに好ましい。
加圧処理の具体的装置としては、例えば、茶葉を一定方向に移動させることができる回転金網胴内に、回転軸及び打圧部としての多数の攪拌羽根を備えた装置を用いて、水分調整処理後の茶葉を、当該回転金網胴内に供給することにより、茶葉に打圧を加えるのが好ましい。
このような装置、すなわち回転金網胴内に回転軸及び多数の攪拌羽根を備えた装置を用いて茶葉を処理すれば、多数の攪拌羽根によって、茶葉に打圧を加えることができるばかりか、焦げ部分を、焦げていない部分から分離させることができる。さらには、回転羽根の先端部と回転金網胴の内周との隙間において、茶葉に摩擦圧を加えることができ、焦げ部分の分離を促進させることができる。
上記装置において、回転金網胴の回転速度と回転軸の回転速度には差を設けることも好ましい。この際、回転軸の回転速度を回転金網胴の回転速度よりも速くするのが好ましい。
また、回転金網胴の網目の形状は、正方形、長方形、菱形、円、楕円その他の形状であってもよく、網目の大きさは、長径が1~10mmであるのが好ましく、中でも1.5mm以上或いは8mm以下、その中でも2mm以上或いは6mm以下であるのがさらに好ましく、短径が0.5~8mmであるのが好ましく、中で1mm以上或いは7mm以下、その中でも2mm以上或いは5mm以下であるのがさらに好ましい。
(散茶処理)
前記加圧処理後、散茶機などを用いて、茶葉を攪拌して、茶葉を冷却すると共に茶葉を分散させる処理(「散茶処理」と称する)を行うのが好ましい。
このように、茶葉を冷却させると共に、茶葉を分散させて茶葉同士が重なって付着するのを抑制することにより、乾燥処理の効果を均一に付与することができるばかりか、茶葉の色沢が黒くなることを抑制することができる。
散茶処理における攪拌は、公知の散茶機を用いて行うことができる。但し、茶葉を冷却させることができ、同時に、茶葉同士が重なって付着している状態を解消することができる装置であれば、散茶機に限定するものではない。
(加熱乾燥処理)
加熱乾燥処理では、茶葉を加熱して、茶葉の葉肉部分の水分量を1%(W.B.)以上15%(W.B.)以下に乾燥するのが好ましい。
本碾茶製造方法において、加熱乾燥処理後の茶葉の葉肉部分の水分量が1%(W.B.)以上であれば、緑色を保持しつつ焦げ臭を抑制できるから好ましい。他方、15%(W.B.)以下であれば、その後の品質劣化を抑制できるから、好ましい。
かかる観点から、加熱乾燥処理後の茶葉の葉肉部分の水分量が1%(W.B.)以上15%(W.B.)以下となるように加熱乾燥処理を行うのが好ましく、中でも2%(W.B.)以上或いは12%(W.B.)以下、その中でも3%(W.B.)以上或いは10%(W.B.)以下となるように加熱乾燥処理を行うのがさらに好ましい。
加熱乾燥処理の方法としては、熱媒体を用いた間接加熱が好ましく、更に空気、蒸気、加熱した無機固形物や有機物固形物に接触させる方法が好ましく、更に赤外線や遠赤外線を用いる方法、熱風を用いる方法、加熱水蒸気を用いる方法、加熱した容器に茶葉を接触させる方法が好ましい。
中でも碾炉などを用いて、輻射熱を利用して茶葉に熱を与えて乾燥を行うのが好ましい。輻射熱を利用して茶葉を加熱することにより、茶葉に独特の炙り香を付けることができる。
碾炉は、煉瓦で囲まれており、煉瓦の輻射熱すなわち遠赤外線による熱を利用した炉である。
碾炉を用いた加熱乾燥処理では、炉内を上段、中段、下段など複数の段に分けて、各段を順に茶葉を移動させながら乾燥する例を挙げることができる。
この際、複数の段のうち最も温度の高い領域の雰囲気温度を170~220℃、中でも180℃以上或いは210℃以下とし、その領域を通過する時間を90~210秒、中でも100秒以上或いは200秒以下、その中でも150秒以上或いは190秒以下とするのが好ましい。
また、全ての段を移動する全段移動時間は、10~21分、中でも12分以上或いは19分以下、その中でも13分以上或いは19分以下とするのが好ましい。
(つる切り処理)
つる切り処理では、乾燥処理した後、葉脈及び茎を除いて葉肉のみとして選別するのが好ましい。
(粉砕及び選別)
さらに、必要に応じて、葉肉を選別した際の茶葉の径(最長部分の幅×長さ)が25×35mm、中でも幅が2mm以上或いは15mm以下、長さが2mm以上30mm以下となるように、粉砕及び選別するのが好ましい。
<本碾茶製造方法により得られる碾茶>
本碾茶製造方法により得られる碾茶は、碾茶の新鮮な香りを保持することができ、碾茶特有の炙り香を保持することができ、且つ、緑色を保持することができるため、粉状に挽いて抹茶として利用することができる。
<語句の説明>
本明細書において「X~Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
以下、本発明を下記実施例及び比較例に基づいてさらに詳述する。但し、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
原料茶葉として、鹿児島産品種さえみどり(秋冬番茶、無被覆、摘採日2018年10月31日)を使用した。
原料茶葉(生茶葉)を静岡製機製GT-8Sを用いて近赤外分析したところ、各成分の含有量(質量%)は、全窒素2.7(D)、遊離アミノ酸0.6、繊維29.4(C)、タンニン10.7であった。
また、原料茶葉(生茶葉)の水分量は66.33%(W.B.)であった。
なお、茶葉の水分量は、水分計測計(株式会社島津製作所水分計「MOC63u」)を用いて120℃の常圧乾燥で計測した(後も同様)。
上記原料茶葉を、生茶葉に蒸気を接触させて蒸気加熱処理した後、茶葉に熱風を接触させて水分調整処理を行い、次に、該茶葉を回転攪拌羽根付きの回転金網胴内を通して、当該回転金網胴内において茶葉に打圧を加える加圧処理を行い、次いで、散茶機を用いて茶葉を散茶処理した後、碾炉に供給して茶葉に熱を与えて茶葉の加熱乾燥処理を行い、つる切り、粉砕及び選別を行って碾茶(サンプル)を得た。
上記蒸気加熱処理では、茶葉搬送入口及び出口以外は密閉された内径261mm、長さ1250mmの処理空間にスクリュー状のシャフトを用い、茶葉を550kg/hの流量で搬送し、処理空間内に100℃の水蒸気を137.5kg/h量噴射させて、生茶葉の流量(A)(kg/h)に対する蒸気量(B)(kg/h)の比率(B/A)を0.25に設定し、水蒸気を茶葉に接触させた。
上記水分調整処理では、茶葉を一定方向に移動させることができる回転処理胴と、当該回転処理胴内の軸方向に配設され、多数の熱風噴出口を有する熱風供給管とを備えた装置を使用して、310℃の熱風を作製し、当該熱風を前記熱風供給管及び熱風噴出口を通じて、回転処理胴内の生茶葉に接触させた。
この際、水分調整処理時間、すなわち熱風を生茶葉に接触させる時間、すなわち回転処理胴内を生茶葉が通過する時間は3分であり、生茶葉の流量は550kg/h(9.17kg/min)であり、熱風の風量(m/min)は26.5m/minであり、茶葉流量/熱風風量×100は34.6(kg/m)であった。
水分調整処理後の茶葉の水分量は31.97%(W.B.)であった。
上記加圧処理において、上記回転攪拌羽根付きの回転金網胴は、長さ2.1m、直径30cm、網目:長径3mm×短径3mmの回転金網胴内に回転軸及び多数の攪拌羽根を備えた装置であり、回転金網胴の回転速度40r.p.mに対して、回転軸の回転速度は500r.p.mに設定した。また、回転金網胴の傾斜角度を5°に設定した。回転金網胴が回転しながら茶葉を移動させることができ、多数の攪拌羽根によって茶葉はたたかれ、病変部など乾燥が進んだ結果、打圧により細かくなった茶葉片は回転金網胴の網目から下に篩い落されるようになっている。
上記のように回転金網胴から出た茶葉は、金網からなる箱体に入れて散茶機に搬送され、該散茶機を用いて茶葉を攪拌して、茶葉を冷却させると共に茶葉を分散させた後、続いて、次に説明する碾炉に供給して、茶葉に熱を与えて茶葉の乾燥を行い、続いて、つる切り及び唐箕による選別によって葉と茎を分離した。分離して得た葉の葉肉部分(つる切唐箕後葉)の水分量は8.2%(W.B.)であった。
この際用いた碾炉は、側壁が断熱性能に優れた耐火煉瓦からなり、炉内が上段、二段、取出し段、下段に区画され、下段のコンベヤの下の耐火煉瓦で囲われた地下空間に重油燃焼式のバーナーを備えており、バーナーの火焔によって加熱された高温ガスは、火炉から分岐した複数本の煙道に沿って下段からその他の段へと折り返され、碾茶機の側面に設けられた煙突から外部へ排気される構成になっていた。そして、この碾炉内をベルトコンベヤ式の搬送手段に乗せて茶葉を、下段、上段、二段、取出し段の順に移動させながら乾燥し、下段領域の雰囲気温度を211℃、下段領域を通過する時間を1分50秒とし、上段領域の雰囲気温度を118℃、上段領域を通過する時間を3分50秒とし、二段領域の雰囲気温度を104℃、二段領域を通過する時間を4分57秒とし、そして取出し段領域の雰囲気温度を101℃、取出し段領域を通過する時間を5分23秒とし、全段移動時間を16分とした。
上記乾燥処理後、つる切りにより碾炉から出てきた茶葉の葉脈及び茎を葉肉と分離し、更に唐箕を用いて葉肉のみを選別し、さらに茶葉の径(最長部分の幅×長さ)が25×35mmとなるように粉砕及び選別し、熱風乾燥により水分量を5.0%(W.B)前後に調整して碾茶(サンプル)を得た。
<実施例2>
実施例1において、蒸気加熱処理にて供する蒸気量を192.5kg/hに変更すると共に、生茶葉の流量(A)(kg/h)に対する蒸気量(B)(kg/h)の比率(B/A)を0.35に変更した以外、実施例1と同様にして、碾茶(サンプル)を得た。
<実施例3>
実施例1において、蒸気加熱処理にて供する蒸気量を82.5kg/hに変更すると共に、生茶葉の流量(A)(kg/h)に対する蒸気量(B)(kg/h)の比率(B/A)を0.15に変更した以外、実施例1と同様にして、碾茶(サンプル)を得た。
<比較例1>
実施例1において、蒸気加熱処理にて供する蒸気量を55.0kg/hに変更すると共に、生茶葉の流量(A)(kg/h)に対する蒸気量(B)(kg/h)の比率(B/A)を0.1に変更した以外、実施例1と同様にして、碾茶(サンプル)を得た。
<比較例2>
実施例1において、水分調整処理における熱風の温度を280℃に変更した以外、実施例1と同様にして、碾茶(サンプル)を得た。
<比較例3>
実施例1において、水分調整処理における熱風の温度を250℃に変更した以外、実施例1と同様にして、碾茶(サンプル)を得た。
<比較例4>
実施例1において、鹿児島産品種やぶきた(秋冬番茶、無被覆、摘採日2018年11月1日)を使用した。原料茶葉(生茶葉)を静岡製機製GT-8Sを用いて近赤外分析したところ、各成分の含有量(質量%)は、全窒素3.5(D)、遊離アミノ酸1.3、繊維27.7(C)、タンニン11.7であった。
また、原料茶葉(生茶葉)の水分量は67.25%(W.B.)であった。
さらに、実施例1における、蒸気加熱処理にて供する蒸気量を220.0kg/hに変更すると共に、生茶葉の流量(A)(kg/h)に対する蒸気量(B)(kg/h)の比率(B/A)を0.4に変更した。更に、水分調整処理における熱風の温度を330℃に変更した。それ以外、実施例1と同様にして、碾茶(サンプル)を得た。
<表面温度>
生茶葉に蒸気を接触させて蒸気加熱処理した直後に、茶葉の表面温度を測定した。
なお、表面温度は、放射温度計(シンワ測定株式会社「73010」)を用いて計測した。
<殺青度合い>
生茶葉に蒸気を接触させて蒸気加熱処理した後、室温で10分静置し、表面の蒸し露を自然乾燥させた後の茶葉について、特許第4448052号の段落[0011]-[0018]、[0030]に記載された検出液及び方法と同様にして、殺青度合いを、碾茶の開発・製造に従事する3人のパネラーが合議で評価した。
◎(very good):葉肉、葉脈、茎、赤棒、全て殺青できている。
○(good) :葉肉、葉脈は殺青できている。
△(poor) :葉肉のみ殺青できている。
<含水率>
生茶葉に蒸気を接触させて蒸気加熱処理した後、室温で10分静置し、表面の蒸し露を自然乾燥させた後の茶葉の含水率を測定した。また、水分調整処理した後、室温で10分静置し、茶葉の温度を低下させた茶葉の含水率を測定した。
なお、茶葉の含水率は、水分計測計(株式会社島津製作所水分計「MOC63C」)を用いて120℃の常圧乾燥で計測した。
<碾茶(サンプル)の評価>
(色調:L、a、b、色相角、表裏ΔE)
得られた碾茶(サンプル)の色調(L、a、b)を次のように測定した。
得られた碾茶(サンプル)の色調(L、a、b)は、分光式色差計(日本電色工業製SE2000)を用いて測定した。
碾茶表裏ΔEは、碾茶の表と裏の色調をそれぞれ計測して、その色差を求めた。
また、粉砕茶の色調は、美砕機(寺田製作所社製)により粉砕した碾茶の色調(L、a、b)を計測した。ここで、-a/bは1に近いほど鮮やかな緑色であることを示しており、色相角(hab=arctan(b*a*))は、JIS Z 8781-4の4.2に記載された方法に準拠して測定した。碾茶の粉砕方法の詳細は、下述する。
<粉砕茶の色沢>
実施例・比較例で得られた碾茶(サンプル)について、美砕機(寺田製作所社製)で臼の隙間を5Aになるように調整し、平均粒子径が20~30μmになるように粉砕した。碾茶の開発・製造に従事する10人のパネラーを選出し、以下の評価方法に基づいて実施し、合議の結果、最も多かった評価を採用した。
◎(very good):鮮緑色のある冴えた色があり、良好な物である。
○(good) :鮮緑色がやや弱くなり、冴えが若干失われているが、品質上問題無い物である。
△(poor) :鮮緑色が弱くなり、冴えが失われている物である。
×(very poor):黄色みや白みを帯びた色で商品に適さない物である。
<官能評価試験>
実施例・比較例で得られた碾茶(サンプル)について、碾茶の開発・製造に従事する10人のパネラーを選出し、以下の評価方法に基づいて実施し、合議の結果、最も多かった評価を採用することとし、総合評価についても合議による結果を採用した。
先ず、事前にパネラーに、各実施例・比較例で得られた碾茶(サンプル)を、ネットカップをセットした米国式審査茶碗に3g入れ、沸騰水を200cc注ぎ5分後にネットカップを持ち上げ、得られた抽出液について「炙り香」「新鮮な芳香」をしっかり感じるサンプルを選択してもらった。
<炙り香>
「炙り香」のコントロールとして実施例2を選択した。その後、パネラー間でコントロールの香りについてディスカッションを行ってもらうことで、コントロールにおける「炙り香」の共通認識を持つようにした。
そして、実施例・比較例で得られた碾茶(サンプル)から抽出して得られた抽出液(評価サンプル)を、各パネラーに飲用してもらい、それぞれ次の基準に基づき評価を行った。
◎(very good):しっかり感じる。
○(good) :感じる。
△(poor) :僅かに感じる。
×(very poor):感じない。
<新鮮な芳香>
炙り香と同様に、新鮮な香りとしての「新鮮な芳香」をしっかり感じるサンプルを選択し、「新鮮な芳香」のコントロールとして実施例1を選択して、評価を行った。
◎(very good):しっかり感じる。
○(good) :感じる。
△(poor) :僅かに感じる。
×(very poor):感じない。
(総合評価)
上述の「粉砕茶の色沢」、「炙り香」「新鮮な芳香」を踏まえつつ、一般的な碾茶の取引で評価されるという基準で総合的に観察し、順位を付けた。
Figure 0007186086000001
(考察)
実施例1,2,3は、葉肉部分に加えて葉脈部分も殺青することで茶葉に適度な柔軟性を持たせることができ、更に水分調整処理後の茶葉の含水率を30.0~40.0%(W.B.)に調整することで、比較例1,2,3と比べて打圧により茶葉の内容成分を効果的に表面に移行させることができた。これにより炙り香を付けつつ緑色を向上させ、更に碾茶の表裏ΔEを低減する、すなわち碾茶の取引時に減点評価される裏白の発生の低減をすることができた。
また、実施例1,2,3は、蒸気加熱処理、水分調整処理にて過度な加熱を行わないことで、比較例4と比べて緑色の変色や新鮮な芳香が飛んでしまうことを抑制できていた。

Claims (7)

  1. 茶葉の表面温度が65.0~85.0℃になるように、蒸気を生茶葉に接触させる蒸気加熱処理を行った後、加熱した気体を茶葉に接触させることにより、茶葉の含水率を30.0~40.0%(W.B.)に調整する水分調整処理を行い、次に、茶葉を加圧する加圧処理を行った後、加熱乾燥処理を行うことを特徴とする碾茶の製造方法。
  2. 前記蒸気加熱処理では、生茶葉に圧力を加えないことを特徴とする請求項1に記載の碾茶の製造方法。
  3. 前記蒸気加熱処理では、生茶葉の流量(A)と、蒸気の量(B)と、茶葉の繊維量(C)と、茶葉の全窒素量(D)とが、次の式(B×D)/(A×C)=0.014~0.05で表される関係となるように処理条件を調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の碾茶の製造方法。
  4. 前記蒸気加熱処理では、少なくとも葉肉部分及び葉脈部分を殺青するように加熱することを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の碾茶の製造方法。
  5. 前記水分調整処理では、生茶葉の質量に対する、水分調整処理後の茶葉の質量の比率が0.43~0.70に調整することを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の碾茶の製造方法。
  6. 前記水分調整処理では、250℃~380℃に調整した気体を茶葉に接触させることを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の碾茶の製造方法。
  7. 前記加圧処理では、茶葉に打圧を加えることにより、焦げ部を叩き落とすことを特徴とする、請求項1~6の何れかに記載の碾茶の製造方法。
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