JP7184039B2 - ジシアノシクロヘキサンの製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1及び2には、ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが、ジシアノシクロヘキサンの水素添加反応により得ることが開示されている。このジシアノシクロヘキサンも、ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを合成するための重要な中間体であるため、効率よく得ることが求められている。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
シクロヘキサンジカルボン酸及び/若しくはその塩、又は、シクロヘキサンジカルボン酸アンモニア水溶液の加熱濃縮物を、沸点が反応温度以上である溶媒中でアンモニアと反応させることにより、ジシアノシクロヘキサンを得る工程を有する、ジシアノシクロヘキサンの製造方法。
[2]
アンモニア水溶液中のフタル酸の水素添加反応により、前記シクロヘキサンジカルボン酸及び/若しくはその塩、又は、前記シクロヘキサンジカルボン酸アンモニア水溶液を得る工程を有する、[1]に記載のジシアノシクロヘキサンの製造方法。
[3]
前記シクロヘキサンジカルボン酸及び/若しくはその塩、又は、前記シクロヘキサンジカルボン酸アンモニア水溶液を得る工程を経た反応液に含まれるアンモニア水溶液の一部を、前記ジシアノシクロヘキサンを得る工程のアンモニア源として用いる、[1]又は[2]に記載のジシアノシクロヘキサンの製造方法。
[4]
前記シクロヘキサンジカルボン酸アンモニア水溶液を、100~200℃に加熱して、水の少なくとも一部を除去することにより、前記加熱濃縮物を得る工程をさらに有する、[1]~[3]のいずれかに記載のジシアノシクロヘキサンの製造方法。
[5]
沸点が反応温度以上である溶媒が、アルキルナフタレン、ステアリン酸アミド、ステアロニトリル及びトリフェニルメタンからなる群より選択される一種以上である、[1]~[4]のいずれかに記載のジシアノシクロヘキサンの製造方法。
[6]
[1]~[5]のいずれかに記載のジシアノシクロヘキサンの製造方法により、ジシアノシクロヘキサンを得た後、さらに、前記ジシアノシクロヘキサンに対する水素添加反応により、ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを得る工程を有する、ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの製造方法。
また、本実施形態におけるシクロヘキサンジカルボン酸は、シス体であっても、トランス体であってもよく、シス体とトランス体との混合物であってもよい。
さらに、本実施形態におけるシクロヘキサンジカルボン酸は、塩の形態も含まれる。本明細書において、シクロヘキサンジカルボン酸は塩の形態も包含されるため、「シクロヘキサンジカルボン酸及び/若しくはその塩」を単に「シクロヘキサンジカルボン酸」とも記載する。
シクロヘキサンジカルボン酸の塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、及びアンモニウム塩等が挙げられる。これら塩は、1種単独であっても、2種以上の混合物であってもよい。また、シクロヘキサンジカルボン酸の塩としては、シクロヘキサンジカルボン酸のアンモニウム塩が好ましい。
シクロヘキサンジカルボン酸を製造する場合、シクロヘキサンジカルボン酸は、アンモニア水溶液中のフタル酸に対する水素添加反応によって得ることが好ましい。すなわち、本実施形態のジシアノシクロヘキサンの製造方法は、アンモニア水溶液中のフタル酸に対する水素添加反応(以下、単に「核水添反応」ともいう。)によって、シクロヘキサンジカルボン酸、又は、シクロヘキサンジカルボン酸アンモニア水溶液を得る工程(以下、単に「核水添工程」ともいう。)を含むことが好ましい。
また、フタル酸は、オルト体、メタ体、及びパラ体からなる群より選択される1種であるか、2種以上の混合物であってもよい。フタル酸は、パラ体、すなわち、テレフタル酸であることが好ましい。
触媒としては、例えば、通常の核水添反応に用いられる触媒を採用することができる。触媒としては、例えば、金属、好ましくは貴金属を含む触媒が挙げられる。上記金属としては、具体的には、Ru、Pd、Pt及びRh等からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
触媒は、活性成分としての上記金属を担体上に担持したものであってもよい。上記担体としては、例えば、カーボン、Al2O3、SiO2、SiO2-Al2O3、TiO2、及びZrO2等からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。担体を用いた場合の活性成分である金属の担持量は、担体100質量%に対して、好ましくは0.1~10質量%である。
反応は、懸濁床反応器又は固定床反応器で行うことができる。反応方式は、回分式、半回分式、連続式のいずれも選択できる。
加熱濃縮工程において、アンモニアの量比は、シクロヘキサンジカルボン酸100モルに対して、好ましくは100モルから200モルである。また、加熱濃縮工程において、初期のアンモニア水溶液中のアンモニアの濃度は、アンモニア水溶液の全体量に対して、好ましくは0.1~10質量%である。
さらに、加熱濃縮物を得る際の加熱温度は、好ましくは70℃~200℃である。加熱濃縮物を得る際の圧力は、陰圧であっても常圧であっても陽圧であってもよい。
すなわち、まず反応器内に、シクロヘキサンジカルボン酸のアンモニア水溶液と、必要に応じて水とを仕込み、系内の圧力が所定の圧力になるまで不活性ガス、及び必要に応じてアンモニアガスを導入する。その後、反応器内を好ましくは100℃~200℃の範囲内に保持すると共に、反応器内の圧力が一定の範囲内を維持するよう、適宜不活性ガスを反応器内に導入したり、反応器内のガスを排出したりしながら、加熱濃縮物を得る。ここで加熱濃縮物は、濾過等の処理を行うことにより固体として単離してもよく、かかる固体は、必要に応じて該固体に含まれる水分を乾燥させる工程に供してもよい。
次に、触媒と、沸点が反応温度以上である溶媒とアンモニアガスとを、加熱濃縮物を含む反応器内に導入し、その反応器内の温度及び圧力を、シアノ化工程に必要な温度及び圧力に調整して、シアノ化反応を進行させてもよい。この場合、アンモニアガスを、加熱濃縮物を得た後に導入すると、アンモニアをより効率的に利用することができるので好ましい。上記の不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、並びにアルゴン及びヘリウムのような希ガス等が挙げられる。ただし、系内に不活性ガスを導入しなくてもよい。
アンモニアの導入の方法としては、例えば、アンモニア水溶液を添加する方法、及び、アンモニアガスを導入する方法等を挙げることができる。これらの方法は、単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
また、アンモニアガスを反応器内に導入する場合、その流量は反応のスケール等により適宜調整すればよく、通常シクロヘキサンジカルボン酸1モルに対して1時間あたり0.1~5倍モルであり、好ましくは1時間あたり0.3~4倍モルであり、より好ましくは1時間あたり0.5~3倍モルである。
アンモニアの導入の方法としては、例えば、アンモニア水溶液を添加する方法、及び、アンモニアガスを導入する方法等を挙げることができる。これらの方法は、単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
また、アンモニアガスを反応器内に導入する場合、その流量は反応のスケール等により適宜調整すればよく、通常シクロヘキサンジカルボン酸アンモニア水溶液の加熱濃縮物に含まれるシクロヘキサンジカルボン酸1モルに対して1時間あたり0.1~5倍モルであり、好ましくは1時間あたり0.3~4倍モルであり、より好ましくは1時間あたり0.5~3倍モルである。
触媒としては、通常のシアノ化反応に用いられる触媒を採用することもでき、具体的には、シリカゲル、アルミナ、シリカアルミナ、ハイドロタルサイト、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化鉄、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化マンガン、酸化タングステン、五酸化バナジウム、五酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化スカンジウム等の金属酸化物である。これらは、単体でも複合酸化物でも担持したものでもよい。担持成分としては、例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属、スズ、レニウム、マンガン、モリブデン、タングステン、バナジウム、鉄、ニッケル、クロム、ホウ酸、塩酸、リン酸等が挙げられる。
また、触媒としては、過レニウム酸や酸化レニウム等のレニウム化合物、酸化ジブチルスズ等の有機スズ化合物、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)等のルテニウム化合物、及び酸化コバルト等も挙げられる。
これらの中では、シアノ化反応をより有効かつ確実に進行させる観点から、酸化亜鉛及び酸化スズが好ましい。触媒は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。さらに、触媒の使用量は、シクロヘキサンジカルボン酸100質量%に対して、好ましくは0.1~20質量%である。触媒を上記の範囲内の量とすることにより、得られるジシアノシクロヘキサンの収率を高めることができる。
本実施形態の製造方法における反応圧力は、陰圧であっても常圧であっても陽圧であってもよい。
反応時間は、シアノ化反応が十分に進行する時間であればよい。各原料の濃度及び/又は反応条件を上述の範囲内に調整することにより、ジシアノシクロヘキサンの収率を高めることができる。
また、沸点が反応温度以上である溶媒を用いることにより、シアノ化工程において反応温度に至るまでに溶媒が留去することを防ぎ、溶媒の追加によるコストを抑えられる。
さらに、シアノ化工程における反応温度より低い沸点を有する溶媒を用いた場合、シアノ化工程後に反応混合物からジシアノシクロヘキサンを蒸留し精製するとき、かかる溶媒を低い温度で先に留去させる必要がある。このとき、低い沸点を有する溶媒を完全に除去することは難しく、ジシアノシクロヘキサンを留去させて得られる留分に溶媒が混入し、精製が十分にできない傾向にある。したがって、沸点が反応温度以上である溶媒を用いることにより、ジシアノシクロヘキサンと溶媒との分離を容易に行うことができる。
溶媒の沸点と反応温度との差の上限は、特に制限されないが、通常300℃以下である。
沸点の上限は、特に制限されないが、通常600℃以下である。沸点の上限は、ジシアノシクロヘキサンの三量体等の不純物の生成をより抑える観点から、好ましくは500℃未満であり、より好ましくは430℃未満であり、さらに好ましくは420℃未満である。
ここでジアルキルベンゼン及びアルキルナフタレンは、芳香環上にアルキル基を有するベンゼンあるいはナフタレンを1種又は2種以上を含む芳香族炭化水素系溶媒であり、市販品として入手できる。
上記の溶媒の中でも、好ましくはアルキルナフタレン、ステアリン酸アミド、ステアロニトリル及びトリフェニルメタンである。
分解及び/又は変換される溶媒としては、例えば、ステアリン酸アミドが挙げられる。ステアリン酸アミドは、シアノ化工程において、分解や変換が起こり、ステアロニトリルになり得る。ステアロニトリルもまた、沸点が13kPaで274℃であり(常圧での沸点(沸点換算図表による換算値):360℃)、シアノ化工程における溶媒として好適である。
本実施形態に使用される溶媒の沸点は、メルクインデックス(Royal Society of Chemistry版)、及びMaterial Safety Data Sheet(MSDS)等の情報に基づく沸点であればよい。この溶媒が2種以上の成分から構成される等の理由から、沸点が、蒸留の開始点温度から終了点温度の範囲のように幅をもって表されるとき、本実施形態においては、蒸留の開始点温度と終了点温度との中間値を沸点とする。
また、沸点が反応温度以上である溶媒の使用量は、シクロヘキサンジカルボン酸の質量に対し、好ましくは100倍量以下であり、より好ましくは30倍量以下であり、さらに好ましくは10倍量以下である。溶媒の使用量がシクロヘキサンジカルボン酸の質量の100倍量以下であることにより、エネルギー効率良くジシアノシクロヘキサンを生産できる傾向にある。
蒸留は、例えば、蒸留器の系内の圧力が3.0kPa~4.0kPa、温度が180~230℃になるよう蒸留器を底部から加熱すると共に頂部で冷却をすることで、器内において気液接触させることで行われる。これにより、蒸留器の頂部からジシアノシクロヘキサンを選択的に抜き出して回収することができる。
具体的には、反応溶液において、ジシアノシクロヘキサンを含む層と溶媒の層との2層に分かれるのであれば、ジシアノシクロヘキサンを含む層と溶媒の層とを分離して、ジシアノシクロヘキサンを回収してもよい。2層を形成する溶媒としては、脂肪族アルカン、アルキルナフタレン、アルキルベンゼン等が挙げられる。層の分離を利用したジシアノシクロヘキサンの回収では、加熱等が不要であることから、エネルギー的に優位である。
ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのニトリル水添反応は、国際公開第WO2018/066447号パンフレットを参照し実施することができる。
撹拌羽根、ガス導入管、熱電対及び脱水装置を付帯した100mLの5口フラスコ内に、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(以下、1,4-CHDAとも記載する。)10g(0.06mol)、触媒として酸化亜鉛(関東化学株式会社製)0.24g及び溶媒としてアルキルナフタレン(松村石油社製バーレルプロセス油B-28AN、沸点:430℃)20gを仕込んだ。その後、加熱を開始し、170℃で窒素ガス(流量:20NmL/min)と、アンモニアガス(流量:52NmL/min)とを導入した。さらに昇温し、270℃にて反応液でのバブリングを開始し、300℃にまで昇温した。300rpmで撹拌しながら3.5時間、シアノ化反応を行った。
反応終了後、反応生成物をテトラヒドロフランに溶解させ、さらに液中の触媒を濾過にて除去した後、ガスクロマトグラフィー(以下、GCとも記載する。)(島津製作所社製型式名「GC2010 PLUS」、カラム:製品名「HP-5ms」、アジレント・テクノロジー株式会社製、長さ30m×内径0.25mm、膜厚0.25μm)により分析した。その結果、1,4-ジシアノシクロヘキサン(以下、1,4-CHDNとも記載する。)の収率は86.7mol%であった。
キャリアーガス:He(constant pressure:73.9kPa)
注入口温度:300℃
検出器:FID
検出器温度:300℃
カラムオーブン温度:100℃で開始し、10℃/minで300℃まで昇温し300℃で30分間保持)
撹拌羽根、ガス導入管、熱電対及び脱水装置を付帯した100mLの5口フラスコ内に、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸10g(0.06mol)、触媒として酸化亜鉛(関東化学株式会社製)0.24g及び溶媒としてステアリン酸アミド(東京化成社製、沸点:12Torr,250~251℃(常圧での沸点(沸点換算図表による換算値):410℃))20gを仕込んだ。その後、加熱を開始し、170℃で窒素ガス(流量:20NmL/min)と、アンモニアガス(流量:52NmL/min)とを導入した。さらに昇温し、270℃にて反応液中でのバブリングを開始し、300℃にまで昇温した。
300rpmで撹拌しながら3.5時間、シアノ化反応を行った。
反応終了後、実施例1と同様の操作を行い、GCにより分析を行った。
1,4-ジシアノシクロヘキサンの収率は89.2mol%であった。
撹拌羽根、ガス導入管、熱電対及び脱水装置を付帯した100mLの5口フラスコ内に、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸10g(0.06mol)、触媒として酸化亜鉛(関東化学株式会社製)0.24g及び溶媒としてステアロニトリル(東京化成社製、沸点:13kPa,274℃(常圧での沸点(沸点換算図表による換算値):360℃))20gを仕込んだ。その後、加熱を開始し、170℃で窒素ガス(流量:20NmL/min)と、アンモニアガス(流量:52NmL/min)とを導入した。さらに昇温し、270℃にて反応液中でのバブリングを開始し、300℃にまで昇温した。300rpmで撹拌しながら3.5時間、シアノ化反応を行った。
反応終了後、実施例1と同様の操作を行い、GCにより分析を行った。
1,4-ジシアノシクロヘキサンの収率は88.7mol%であった。
撹拌羽根、ガス導入管、熱電対及び脱水装置を付帯した100mLの5口フラスコ内に、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸10g(0.06mol)、触媒として酸化亜鉛(関東化学株式会社製)0.24g及び溶媒としてトリフェニルメタン(和光社製、沸点:359℃)20gを仕込んだ。その後、加熱を開始し、170℃で窒素ガス(流量:20NmL/min)と、アンモニアガス(流量:52NmL/min)とを導入した。さらに昇温し、270℃にて反応液中へのバブリングを開始し、300℃にまで昇温した。300rpmで撹拌しながら3.5時間、シアノ化反応を行った。
反応終了後、実施例1と同様の操作を行い、GCにより分析を行った。
1,4-ジシアノシクロヘキサンの収率は91.5mol%であった。
撹拌羽根、ガス導入管、熱電対及び脱水装置を付帯した500mLの5口フラスコ内に、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸100g(0.58mol)、触媒として酸化亜鉛(関東化学株式会社製)0.80g及び溶媒としてアルキルナフタレン(松村石油社製バーレルプロセス油B-28AN、沸点:430℃)200gを仕込んだ。その後、加熱を開始し、170℃で窒素ガス(流量:68NmL/min)と、アンモニアガス(流量:174NmL/min)とを導入した。さらに昇温し、270℃にて反応液でのバブリングを開始し、300℃にまで昇温した。200rpmで撹拌しながら8時間、シアノ化反応を行った。
反応終了後、実施例1と同様の操作を行い、GCにより分析を行った。
1,4-ジシアノシクロヘキサンの収率は92.0mol%であった。
撹拌羽根、ガス導入管、熱電対及び脱水装置を付帯した500mLの5口フラスコ内に、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸100g(0.58mol)、触媒として酸化亜鉛(関東化学株式会社製)0.80g及び溶媒としてアルキルナフタレン(松村石油社製バーレルプロセス油B-28AN、沸点:430℃)201gを仕込んだ。その後、加熱を開始し、170℃で窒素ガス(流量:68NmL/min)と、アンモニアガス(流量:348NmL/min)とを導入した。さらに昇温し、270℃にて反応液でのバブリングを開始し、300℃にまで昇温した。200rpmで撹拌しながら5時間、シアノ化反応を行った。
反応終了後、実施例1と同様の操作を行い、GCにより分析を行った。
1,4-ジシアノシクロヘキサンの収率は89.0mol%であった。
撹拌羽根、ガス導入管、熱電対及び脱水装置を付帯した500mLの5口フラスコ内に、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸50g(0.29mol)、触媒として酸化亜鉛(関東化学株式会社製)0.40g及び溶媒としてアルキルナフタレン(松村石油社製バーレルプロセス油B-28AN、沸点:430℃)151gを仕込んだ。その後、加熱を開始し、170℃で窒素ガス(流量:34NmL/min)と、アンモニアガス(流量:174NmL/min)とを導入した。さらに昇温し、270℃にて反応液でのバブリングを開始し、300℃にまで昇温した。200rpmで撹拌しながら8時間、シアノ化反応を行った。
反応終了後、実施例1と同様の操作を行い、GCにより分析を行った。
1,4-ジシアノシクロヘキサンの収率は94.3mol%であった。
撹拌羽根、ガス導入管、熱電対及び脱水装置を付帯した500mLの5口フラスコ内に、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸100g(0.58mol)、触媒として酸化亜鉛(関東化学株式会社製)0.80g及び溶媒としてアルキルナフタレン(松村石油社製バーレルプロセス油B-28AN、沸点:430℃)201gを仕込んだ。その後、加熱を開始し、170℃で窒素ガス(流量:68NmL/min)と、アンモニアガス(流量:348NmL/min)とを導入した。さらに昇温し、270℃にて反応液でのバブリングを開始し、300℃にまで昇温した。100rpmで撹拌しながら7時間、シアノ化反応を行った。
反応終了後、実施例1と同様の操作を行い、GCにより分析を行った。
1,4-ジシアノシクロヘキサンの収率は91.9mol%であった。
撹拌羽根、ガス導入管、熱電対及び脱水装置を付帯した500mLの5口フラスコ内に、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸100g(0.58mol)、触媒として酸化亜鉛(関東化学株式会社製)0.81g及び溶媒としてアルキルナフタレン(松村石油社製バーレルプロセス油B-28AN、沸点:430℃)201gを仕込んだ。その後、加熱を開始し、170℃で窒素ガス(流量:68NmL/min)と、アンモニアガス(流量:348NmL/min)とを導入した。さらに昇温し、270℃にて反応液でのバブリングを開始し、300℃にまで昇温した。300rpmで撹拌しながら5時間、シアノ化反応を行った。
反応終了後、実施例1と同様の操作を行い、GCにより分析を行った。
1,4-ジシアノシクロヘキサンの収率は93.1mol%であった。
撹拌羽根、ガス導入管、熱電対及び脱水装置を付帯した500mLの5口フラスコ内に、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸100g(0.58mol)、触媒として酸化亜鉛(関東化学株式会社製)0.80g及び溶媒としてアルキルナフタレン(松村石油社製バーレルプロセス油B-28AN、沸点:430℃)201gを仕込んだ。その後、加熱を開始し、アンモニアガス(流量:174NmL/min)を導入した。さらに昇温し、270℃にて反応液でのバブリングを開始し、300℃にまで昇温した。200rpmで撹拌しながら9時間、シアノ化反応を行った。
反応終了後、実施例1と同様の操作を行い、GCにより分析を行った。
1,4-ジシアノシクロヘキサンの収率は94.1mol%であった。
撹拌羽根、ガス導入管、熱電対及び脱水装置を付帯した500mLの5口フラスコ内に、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸100g(0.58mol)、触媒として酸化亜鉛(関東化学株式会社製)0.20g及び溶媒としてアルキルナフタレン(松村石油社製バーレルプロセス油B-28AN、沸点:430℃)204gを仕込んだ。その後、加熱を開始し、170℃で窒素ガス(流量:68NmL/min)と、アンモニアガス(流量:348NmL/min)とを導入した。さらに昇温し、270℃にて反応液でのバブリングを開始し、300℃にまで昇温した。200rpmで撹拌しながら7時間、シアノ化反応を行った。
反応終了後、実施例1と同様の操作を行い、GCにより分析を行った。
1,4-ジシアノシクロヘキサンの収率は95.2mol%であった。
撹拌羽根、ガス導入管、熱電対及び脱水装置を付帯した500mLの5口フラスコ内に、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸100g(0.58mol)、触媒として酸化亜鉛(関東化学株式会社製)0.40g及び溶媒としてアルキルナフタレン(松村石油社製バーレルプロセス油B-28AN、沸点:430℃)200gを仕込んだ。その後、加熱を開始し、170℃で窒素ガス(流量:68NmL/min)と、アンモニアガス(流量:348NmL/min)とを導入した。さらに昇温し、270℃にて反応液でのバブリングを開始し、300℃にまで昇温した。200rpmで撹拌しながら6時間、シアノ化反応を行った。
反応終了後、実施例1と同様の操作を行い、GCにより分析を行った。
1,4-ジシアノシクロヘキサンの収率は93.0mol%であった。
撹拌羽根、ガス導入管、熱電対及び脱水装置を付帯した500mLの5口フラスコ内に、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸100g(0.58mol)、触媒として酸化亜鉛(関東化学株式会社製)0.40g及び溶媒としてアルキルナフタレン(松村石油社製バーレルプロセス油B-28AN、沸点:430℃)200gを仕込んだ。その後、加熱を開始し、170℃で窒素ガス(流量:68NmL/min)と、アンモニアガス(流量:348NmL/min)とを導入した。さらに昇温し、270℃にて反応液でのバブリングを開始し、300℃にまで昇温した。300rpmで撹拌しながら7時間、シアノ化反応を行った。
反応終了後、実施例1と同様の操作を行い、GCにより分析を行った。
1,4-ジシアノシクロヘキサンの収率は95.5mol%であった。
撹拌羽根、ガス導入管、熱電対及び脱水装置を付帯した500mLの5口フラスコ内に、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸100g(0.58mol)、触媒として酸化亜鉛(関東化学株式会社製)1.60g及び溶媒としてアルキルナフタレン(松村石油社製バーレルプロセス油B-28AN、沸点:430℃)206gを仕込んだ。その後、加熱を開始し、170℃で窒素ガス(流量:68NmL/min)と、アンモニアガス(流量:348NmL/min)とを導入した。さらに昇温し、270℃にて反応液でのバブリングを開始し、300℃にまで昇温した。200rpmで撹拌しながら5時間、シアノ化反応を行った。
反応終了後、実施例1と同様の操作を行い、GCにより分析を行った。
1,4-ジシアノシクロヘキサンの収率は81.0mol%であった。
撹拌羽、ガス導入管、熱電対及び脱水装置を付帯した100mLの5口フラスコ内に、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸アンモニア水溶液の加熱濃縮物12g(0.06mol(1.8アンモニウム塩として物質量を算出した。))、触媒として酸化亜鉛(関東化学株式会社製)0.24g及び溶媒としてアルキルナフタレン(松村石油社製バーレルプロセス油B-28AN、沸点:430℃)20gを仕込んだ。その後、加熱を開始し、170℃で窒素ガス(流量:20mL/min)と、アンモニアガス(流量:52mL/min)とを導入した。さらに昇温し、270℃にて反応液でのバブリングを開始し、300℃にまで昇温した。300rpmで撹拌しながら3.5時間、シアノ化反応を行った。
反応終了後、実施例1と同様の操作を行い、GCにより分析を行った。
1,4-ジシアノシクロヘキサンの収率は85.7mol%であった。
1,4-シクロヘキサンジカルボン酸アンモニア水溶液の加熱濃縮物は以下のとおり調製した。
まず、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸50g(0.29mol)、28質量%アンモニア水45g及び水128gを仕込んだ。減圧にて水を留去した後、70℃で2時間乾燥した。元素分析により1,4-シクロヘキサンジカルボン酸の物質量を1としたとき、1.8倍モルのアンモニア塩となっていることを確認した。
撹拌羽根、ガス導入管、熱電対及び脱水装置を付帯した100mLの5口フラスコ内に、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸30g(0.17mol)、触媒として酸化亜鉛(関東化学株式会社製)0.25g、溶媒として1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(東京化成社製、沸点:220℃)30.1g、28質量%アンモニア水23.5g及び水6.7gを仕込んだ。その後、加熱を開始し、170℃で窒素ガス(流量:20NmL/min)と、アンモニアガス(流量:52NmL/min)とを導入した。さらに昇温し、270℃にて反応液中へのバブリングを開始し、300℃にまで昇温した。300rpmで撹拌しながら6.5時間、シアノ化反応を行った。
反応終了後、反応生成物をテトラヒドロフランの代わりにメタノールに溶解させたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、GCにより分析を行った。
1,4-ジシアノシクロヘキサンの収率は9.7mol%であった。
撹拌羽根、ガス導入管、熱電対及び脱水装置を付帯した100mLの5口フラスコ内に、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸30g(0.17mol)、触媒として酸化亜鉛(関東化学株式会社製)0.24g、溶媒としてトリエチレングリコール(東京化成社製、沸点:276℃)6.1g、28質量%アンモニア水23.5g及び水6.7gを仕込んだ。その後、加熱を開始し、170℃で窒素ガス(流量:20NmL/min)と、アンモニアガス(流量:52NmL/min)とを導入した。さらに昇温し、270℃にて反応液中へのバブリングを開始し、300℃にまで昇温した。300rpmで撹拌しながら6.5時間、シアノ化反応を行った。
反応終了後、反応生成物をテトラヒドロフランの代わりにメタノールに溶解させたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、GCにより分析を行った。
1,4-ジシアノシクロヘキサンの収率は54.6mol%であった。
撹拌羽根、ガス導入管、熱電対及び脱水装置を付帯した100mLの5口フラスコ内に、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸10g(0.06mol)、触媒として酸化亜鉛(関東化学株式会社製)0.24g及び溶媒としてn-アルキルベンゼン(Great Orient Chemical(Taicang)社製、沸点:293.5℃(蒸留温度:280~307℃))21gを仕込んだ。その後、加熱を開始し、170℃で窒素ガス(流量:20NmL/min)と、アンモニアガス(流量:52NmL/min)とを導入した。さらに昇温し、270℃にて反応液中へのバブリングを開始し、300℃にまで昇温した。300rpmで撹拌しながら3.5時間、シアノ化反応を行った。
反応終了後、実施例1と同様の操作を行い、GCにより分析を行った。
1,4-ジシアノシクロヘキサンの収率は51.2mol%であった。
実施例5~9の仕込み、反応条件、結果を表2に示した。
実施例10~14の仕込み、反応条件、結果を表3に示した。
実施例15の仕込み、反応条件、結果を表4に示した。
比較例1~3の仕込み、反応条件、結果を表5に示した。
N/Aとは、測定していないことを表す。
Claims (6)
- シクロヘキサンジカルボン酸及び/若しくはその塩、又は、シクロヘキサンジカルボン酸アンモニア水溶液の加熱濃縮物を、沸点が反応温度以上である溶媒中でアンモニアと反応させることにより、ジシアノシクロヘキサンを得る工程を有し、
前記溶媒の沸点が350℃以上であり、且つ、前記反応温度が270℃~400℃である、ジシアノシクロヘキサンの製造方法。 - アンモニア水溶液中のフタル酸の水素添加反応により、前記シクロヘキサンジカルボン酸及び/若しくはその塩、又は、前記シクロヘキサンジカルボン酸アンモニア水溶液を得る工程を有する、請求項1に記載のジシアノシクロヘキサンの製造方法。
- 前記シクロヘキサンジカルボン酸及び/若しくはその塩、又は、前記シクロヘキサンジカルボン酸アンモニア水溶液を得る工程を経た反応液に含まれるアンモニア水溶液の一部を、前記ジシアノシクロヘキサンを得る工程のアンモニア源として用いる、請求項1又は2に記載のジシアノシクロヘキサンの製造方法。
- 前記シクロヘキサンジカルボン酸アンモニア水溶液を、100~200℃に加熱して、水の少なくとも一部を除去することにより、前記加熱濃縮物を得る工程をさらに有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のジシアノシクロヘキサンの製造方法。
- シクロヘキサンジカルボン酸及び/若しくはその塩、又は、シクロヘキサンジカルボン酸アンモニア水溶液の加熱濃縮物を、沸点が反応温度以上である溶媒中でアンモニアと反応させることにより、ジシアノシクロヘキサンを得る工程を有し、
前記反応温度が270℃~400℃であり、
前記沸点が反応温度以上である溶媒が、アルキルナフタレン、ステアリン酸アミド、ステアロニトリル及びトリフェニルメタンからなる群より選択される一種以上である、ジシアノシクロヘキサンの製造方法。 - 請求項1~5のいずれか1項に記載のジシアノシクロヘキサンの製造方法により、ジシアノシクロヘキサンを得た後、さらに、前記ジシアノシクロヘキサンに対する水素添加反応により、ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを得る工程を有する、ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの製造方法。
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