JP7183539B2 - ポリカーボネートポリオール及びポリウレタン - Google Patents
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Description
すなわち、多価アルコールの導入により架橋量が多くなりすぎると、ゲル化により柔軟性が損なわれ、人工皮革に用いた場合の風合いが低下する。また少なすぎると、機械強度が不足する。特に多量の水素結合を有するオキシアルキレングリコールに多価アルコールを導入する場合においては、得られるポリウレタン内のソフトセグメントが凝集しやすい構造となる。そのため、ポリウレタン合成時にゲル化が起こりやすく、得られるポリウレタンの柔軟性が低下し、脆くなりやすい問題があった。
即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
なお、本明細書において、「~」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。また、本明細書において“質量%”と“重量%”、“質量ppm”と“重量ppm”、及び“質量部”と“重量部”とは、それぞれ同義である。また、単に“ppm”と記載した場合は、“重量ppm”のことを示す。
本発明の一形態であるポリカーボネートポリオールは、原料として多価アルコールとカーボネート化合物を重縮合して得られる、水酸基価20mgKOH/g以上、450mgKOH/g以下のポリカーボネートポリオールであって、該多価アルコールが、ジオール(A)と、炭素数3~12の3価~6価の分岐アルコール(B)とを含み、該ジオール(A)が、下記式(A1)で表されるオキシアルキレングリコール(A1)を含み、かつ、該ジオール(A)中の該オキシアルキレングリコール(A1)の含有割合が70重量%以上であり、該ポリカーボネートポリオール中の該分岐アルコール(B)に由来する構造単位が、該ポリカーボネートポリオール中の該多価アルコールに由来する構造単位の合計に対して、0.005mol%以上、5.0mol%以下であり、該分岐アルコール(B)に由来する構造単位に占める下記式(X1)で表される構造単位(X1)の割合が、50mol%以下であることを特徴とする。
<1-1-1.オキシアルキレングリコール(A1)及びその含有割合>
本発明のポリカーボネートポリオールは、下記式(A1)で表されるオキシアルキレングリコール(A1)を原料ジオール(A)中に70重量%以上含むものであり、このような割合でオキシアルキレングリコール(A1)を含むことにより、柔軟性及び耐溶剤性(以下、耐薬品性も含めて耐溶剤性と称す。)に優れたものとなる。柔軟性及び耐溶剤性の観点から、ジオール(A)中のオキシアルキレングリコール(A1)の含有割合は、80~100重量%であることが好ましく、90~100重量%であることがより好ましい。
本発明の一形態であるポリカーボネートポリオールは、上記の割合でオキシアルキレングリコール(A1)を含むジオール(A)と分岐アルコール(B)とを原料多価アルコールとして用い、ポリカーボネートポリオール中の分岐アルコール(B)に由来する構造単位が、ポリカーボネートポリオール中の多価アルコールに由来する構造単位の合計に対して、0.005mol%以上、5.0mol%以下であることにより、オキシアルキレングリコール(A1)による柔軟性及び耐溶剤性を損なうことなく、分岐アルコール(B)により導入される架橋構造で、機械強度に優れたものとすることができる。
即ち、一般的に、原料多価アルコール中の各多価アルコールの割合は、得られるポリカーボネートポリオール中の多価アルコールに由来する構造単位の合計に占める各多価アルコールに由来する構造単位の割合にほぼ等しいものとなる。
本発明の一形態であるポリカーボネートポリオールは、特に原料多価アルコールとして、ジエチレングリコール及び/又はトリエチレングリコールを含むジオール(A)と、トリメチロールプロパンを含む分岐アルコール(B)とを用いたものが好ましく、とりわけ、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びトリメチロールプロパンを用い、これらの合計100mol%に対してジエチレングリコールを30~70mol%、トリエチレングリコールを30~70mol%、トリメチロールプロパンを0.005~5mol%用いたものが、柔軟性、耐溶剤性及び機械強度の観点から好ましい。
本発明の一形態であるポリカーボネートポリオールの製造に用いられるカーボネート化合物としては、本発明の効果を損なわない限り限定されないが、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、またはアルキレンカーボネートが挙げられる。
このうちジアリールカーボネートを使用すると、速やかに反応が進行したり、反応性の低い多価アルコール及びポリカーボネートポリオール中の構造単位と反応するという利点があり、ひいては、分岐アルコール(B)に由来する構造単位に占める前記構造単位(X1)の割合を低下させることができる。
本発明の一形態であるポリカーボネートポリオールは、前述の多価アルコールとカーボネート化合物とを、エステル交換反応により重縮合することにより製造することができる。
また本発明の一形態であるポリカーボネートポリオールが含有する反応性の低い分岐アルコール(B)、上記構造単位(X1)、カーボネート化合物由来のオキシアリール構造の末端基などを反応させるという観点から、低周期金属であり、電気陰性度が低く、カーボネート化合物への配位性が強いために高いエステル交換触媒作用を示す周期表第1族金属の化合物、周期表第2族金属の化合物、周期表第4族の金属の酢酸塩や硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、水酸化物、ハロゲン化物、アルコキシドが好ましい。一方で、強酸性や強塩基性では、原料及びポリカーボネートポリオール構造単位に含まれるオキシアルキレングリコール(A1)の分解が起こり、分子量が増加しない、有害な低分子化合物(1,4-ジオキサン)などが副生するという問題があるために、適度な塩基性を有する周期表第2族金属の化合物が好ましい。特に反応性の低い分岐アルコール(B)、上記構造単位(X1)、カーボネート化合物由来のオキシアリール構造の末端基などを減少させるために、長時間反応しても安定性の高いマグネシウム、カルシウムの酢酸塩や炭酸塩、水酸化物が好ましく、最も好ましくは酢酸マグネシウムである。
また、触媒として周期表2族金属の化合物を用いる場合は、その全金属原子の合計量として、原料として用いた全多価アルコール1molあたり好ましくは5μmol以上、より好ましくは7μmol以上、さらに好ましくは10μmol以上、好ましくは500μmol以下、より好ましくは300μmol以下、さらに好ましくは100μmol以下、特に好ましくは50μmol以下である。
本発明の一形態であるポリカーボネートジオールは、前述の多価アルコールと、前述のカーボネート化合物とを前述の割合で用い、必要に応じて用いられるエステル交換触媒の存在下にエステル交換させることにより製造することができる。以下にその製造方法について述べる。
反応は常圧で行なうこともできるが、エステル交換反応は平衡反応であり、生成する軽沸成分を系外に留去することで反応を生成系に偏らせることができる。従って、通常、反応後半には、減圧条件を採用して軽沸成分を留去しながら反応することが好ましい。あるいは反応の途中から徐々に圧力を下げて生成する軽沸成分を留去しながら反応させていくことも可能である。
この際の反応終了時の反応圧力は、特に限定はされないが、通常上限が10kPaであり、5kPaであることが好ましく、1kPaであることがより好ましい。これら軽沸成分の留出を効果的に行うために、反応系へ窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを少量通じながら該反応を行うこともできる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
リン系化合物と反応させる時間は特に限定するものではないが、通常0.1~5時間である。
薄膜蒸留時の温度の下限を前記の値とすることにより、軽沸成分の除去効果が十分となる。また、上限を250℃とすることにより、薄膜蒸留後に得られるポリカーボネートポリオールが着色するのを防ぐ傾向がある。
また、薄膜蒸留直前のポリカーボネートポリオールの保温の温度は、上限が250℃であることが好ましく、150℃であることがより好ましい。また、下限が80℃であることが好ましく、120℃であることがより好ましい。
<1-5-1.水酸基価>
本発明の一形態であるポリカーボネートポリオールの水酸基価は、下限は20mg-KOH/g、好ましくは25mg-KOH/g、より好ましくは30mg-KOH/g、更に好ましくは35mg-KOH/gである。また、ポリカーボネートポリオールの水酸基価の上限は450mg-KOH/g、好ましくは230mg-KOH/g、より好ましくは150mg-KOH/g、更に好ましくは120mg-KOH/g、より更に好ましくは75mg-KOH/g、特に好ましくは60mg-KOH/g、最も好ましくは45mg-KOH/gである。水酸基価が上記下限未満では、粘度が高くなりすぎポリウレタン化の際のハンドリングが困難となる場合があり、上記上限超過ではポリウレタンとした時に柔軟性や低温特性などの物性が不足する場合がある。
本発明の一形態であるポリカーボネートポリオールの分子量分布である重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)は特に限定されないが、下限は好ましくは1.5であり、より好ましくは1.8である。重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)の上限は好ましくは3.5であり、より好ましくは3.0である。分子量分布が上記範囲を超える場合、このポリカーボネートポリオールを用いて製造したポリウレタンの物性が、低温で硬くなる、伸びが低下する等の傾向があり、分子量分布が上記範囲未満のポリカーボネートポリオールを製造しようとすると、オリゴマーを除くなどの高度な精製操作が必要になる場合がある。
ポリカーボネートポリオールの重量平均分子量は、ポリスチレン換算の重量平均分子量であり、ポリカーボネートポリオールの数平均分子量はポリスチレン換算の数平均分子量であり、これらは、通常ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPCと略記する場合がある)の測定により求めることができる。
本発明の一形態であるポリカーボネートポリオールの分子鎖末端は主に水酸基である。しかしながら、多価アルコールとカーボネート化合物との反応で得られるポリカーボネートポリオールの場合には、前記環状カーボネート末端基の他に、不純物として一部分子鎖末端が水酸基ではないものが存在する可能性がある。その具体例としては、分子鎖末端がアルキルオキシ基又はアリールオキシ基のものであり、多くはカーボネート化合物の構造である。
ポリカーボネートポリオールの分子鎖末端がカーボネート化合物に由来する末端基の数の割合は、全末端数に対して、好ましくは5mol%以下、より好ましくは3mol%以下、より好ましくは1mol%以下、更に好ましくは0.5mol%以下、特に好ましくは0.1mol%以下である。
原料として例えばジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネートを使用した場合、ポリカーボネートポリオール製造中にフェノール類が副生する。フェノール類は一官能性化合物なので、ポリウレタンを製造する際の阻害因子となる可能性がある上、フェノール類によって形成されたウレタン結合は、その結合力が弱いために、その後の工程等で熱によって解離してしまい、イソシアネートやフェノール類が再生し、不具合を起こす可能性がある。また、フェノール類は刺激性物質でもあるため、ポリカーボネートポリオール中のフェノール類の残存量は、より少ない方が好ましい。具体的にはポリカーボネートポリオールに対する重量比として好ましくは1000重量ppm以下、より好ましくは500重量ppm以下、更に好ましくは300重量ppm以下、特に100重量ppm以下であることが好ましい。ポリカーボネートポリオール中のフェノール類を低減するためには、ポリカーボネートポリオールの重合反応の圧力を絶対圧力として1kPa以下の高真空としたり、ポリカーボネートポリオールの重合後に薄膜蒸留等を行ったりすることが有効である。
本発明の一形態であるポリカーボネートポリオールを用いてポリウレタンを製造することができる。
本発明の一形態であるポリカーボネートポリオールを用いて本発明のポリウレタンを製造する方法は、通常ポリウレタンを製造する公知のポリウレタン化反応条件が用いられる。
また、本発明の一形態であるポリカーボネートポリオールと過剰のポリイソシアネートとをまず反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを製造し、さらに鎖延長剤を用いて重合度を上げて本発明の一形態であるポリウレタンを製造することができる。
ポリカーボネートポリオールを用いてポリウレタンを製造するのに使用されるポリイソシアネートとしては、脂肪族、脂環族又は芳香族の各種公知のポリイソシアネート化合物が挙げられる。
ポリウレタンを製造する際に用いられる鎖延長剤は、後述するイソシアネート基を有するプレポリマーを製造する場合において、イソシアネート基と反応する活性水素を少なくとも2個有する低分子量化合物であり、通常ポリオール及びポリアミン等を挙げることができる。
ポリウレタンを製造する際には、得られるポリウレタンの分子量を制御する目的で、必要に応じて1個の活性水素基を持つ鎖停止剤を使用することができる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリウレタンを製造する際のポリウレタン形成反応において、トリエチルアミン、N-エチルモルホリン、トリエチレンジアミンなどのアミン系触媒又は酢酸、リン酸、硫酸、塩酸、スルホン酸等の酸系触媒、トリメチルチンラウレート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジオクチルチンジネオデカネートなどのスズ系の化合物、さらにはチタン系化合物などの有機金属塩などに代表される公知のウレタン重合触媒を用いることもできる。ウレタン重合触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の一形態であるポリウレタンを製造する際のポリウレタン形成反応においては、本発明の一形態であるポリカーボネートポリオールと必要に応じてそれ以外のポリオール(以下、「その他のポリオール」と称する場合もある)を併用してもよい。ここで、その他のポリオールとは、通常のポリウレタン製造の際に用いるものであれば特に限定されず、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、本発明の一形態であるポリカーボネートポリオール以外のポリカーボネートポリオールが挙げられる。例えば、ポリエーテルポリオールとの併用では、ポリカーボネートポリオールの特徴である柔軟性を更に向上させたポリウレタンとすることができる。ここで、本発明の一形態であるポリカーボネートポリオールとその他のポリオールとを合わせた重量に対する、本発明の一形態であるポリカーボネートポリオールの重量割合は70%以上が好ましく、90%以上が更に好ましい。本発明の一形態であるポリカーボネートポリオールの重量割合が少ないと、本発明の一形態であるポリカーボネートポリオールの特徴である柔軟性、耐溶剤性のバランスが失われる可能性がある。
本発明において、ポリウレタンの製造には、上述の本発明の一形態であるポリカーボネートポリオールを変性して使用することもできる。ポリカーボネートポリオールの変性方法としては、ポリカーボネートポリオールにエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のエポキシ化合物を付加させてエーテル基を導入する方法や、ポリカーボネートポリオールをε-カプロラクトン等の環状ラクトンやアジピン酸、コハク酸、セバシン酸、テレフタル酸等のジカルボン酸化合物並びにそれらのエステル化合物と反応させてエステル基を導入する方法がある。エーテル変性ではエチレンオキシド、プロピレンオキシド等による変性でポリカーボネートポリオールの粘度が低下し、取扱い性等の理由で好ましい。特に、ポリカーボネートポリオールはエチレンオキシドやプロピレンオキシド変性することによって、ポリカーボネートポリオールの結晶性が低下し、低温での柔軟性が改善すると共に、エチレンオキシド変性の場合は、エチレンオキシド変性ポリカーボネートポリオールを用いて製造されたポリウレタンの吸水性や透湿性が増加する為に人工皮革・合成皮革等としての性能が向上することがある。しかし、エチレンオキシドやプロピレンオキシドの付加量が多くなると、変性ポリカーボネートポリオールを用いて製造されたポリウレタンの機械強度、耐熱性、耐溶剤性等の諸物性が低下するので、ポリカーボネートポリオールに対する付加量としては5~50重量%が好適であり、好ましくは5~40重量%、更に好ましくは5~30重量%である。また、エステル基を導入する方法では、ε-カプロラクトンによる変性でポリカーボネートポリオールの粘度が低下し、取扱い性等の理由で好ましい。ポリカーボネートポリオールに対するε-カプロラクトンの付加量としては5~50重量%が好適であり、好ましくは5~40重量%、更に好ましくは5~30重量%である。ε-カプロラクトンの付加量が50重量%を超えると、変性ポリカーボネートポリオールを用いて製造されたポリウレタンの耐加水分解性、耐薬品性等が低下する。
本発明の一形態であるポリウレタンを製造する際のポリウレタン形成反応は溶剤を用いてもよい。
好ましい溶剤としては、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド,N-メチルピロリドンなどのアミド系溶剤;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶剤、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;及びトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上の混合溶媒として用いてもよい。
また、本発明の一形態であるポリカーボネートポリオール、ポリジイソシアネート、及び前記の鎖延長剤が配合されたポリウレタン組成物から、水分散液のポリウレタンを製造することもできる。
上述の反応試剤を用いて本発明の一形態であるポリウレタンを製造する方法としては、一般的に実験ないし工業的に用いられる製造方法が使用できる。
その例としては、本発明の一形態であるポリカーボネートポリオール、必要に応じて用いられるその他のポリオール、ポリイソシアネート及び鎖延長剤を一括に混合して反応させる方法(以下、「一段法」と称する場合がある)や、まず本発明の一形態であるポリカーボネートポリオール、その他のポリオール及びポリイソシアネートを反応させて両末端がイソシアネート基のプレポリマーを調製した後に、そのプレポリマーと鎖延長剤とを反応させる方法(以下、「二段法」と称する場合がある)等がある。
一段法とは、ワンショット法とも呼ばれ、本発明の一形態であるポリカーボネートポリオール、その他のポリオール、ポリイソシアネート及び鎖延長剤を一括に仕込むことで反応を行う方法である。
なお上記の使用する原料由来の総イソシアネート基と総水酸基及び総アミノ基との数の合計値の当量比をNCO/OH比と記載することがある。
二段法は、プレポリマー法ともよばれ、主に以下の方法がある。
(a)予め本発明の一形態であるポリカーボネートポリオール及びその他のポリオールと、過剰のポリイソシアネートとを、ポリイソシアネート/(本発明の一形態であるポリカーボネートポリオール及びその他のポリオール)の反応当量比が1を超える量から10.0以下で反応させて、分子鎖末端がイソシアネート基であるプレポリマーを製造し、次いでこれに鎖延長剤を加えることによりポリウレタンを製造する方法。
(b)予めポリイソシアネートと、過剰の本発明の一形態であるポリカーボネートポリオール及びその他のポリオールとを、ポリイソシアネート/(本発明の一形態であるポリカーボネートポリオール及びその他のポリオール)の反応当量比が0.1以上から1.0未満で反応させて分子鎖末端が水酸基であるプレポリマーを製造し、次いでこれに鎖延長剤として末端がイソシアネート基のポリイソシアネートを反応させてポリウレタンを製造する方法。
二段法によるポリウレタン製造は以下に記載の(1)~(3)のいずれかの方法によって行うことができる。
(1) 溶媒を使用せず、まず直接ポリイソシアネートと本発明の一形態であるポリカーボネートポリオールとその他のポリオールとを反応させてプレポリマーを合成し、そのまま鎖延長反応に使用する。
(2) (1)の方法でプレポリマーを合成し、その後溶媒に溶解し、以降の鎖延長反応に使用する。
(3) 初めから溶媒を使用し、ポリイソシアネートと本発明の一形態であるポリカーボネートポリオールとその他のポリオールとを反応させ、その後鎖延長反応を行う。
触媒としては例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸第一錫、酢酸、燐酸、硫酸、塩酸、スルホン酸等の化合物が挙げられ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。安定剤としては、例えば2,6-ジブチル-4-メチルフェノール、ジステアリルチオジプロピオネート、N,N′-ジ-2-ナフチル-1,4-フェニレンジアミン、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト等の化合物が挙げられ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。尚、鎖延長剤が短鎖脂肪族アミン等の反応性の高いものである場合は、触媒を添加せずに実施してもよい。
本発明の一形態であるポリカーボネートポリオールを用いて、水系ポリウレタンエマルションを製造することも可能である。
ポリカーボネートポリオールを用いて製造したポリウレタンには、熱安定剤、光安定剤、着色剤、充填剤、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘着防止剤、難燃剤、老化防止剤、無機フィラー等の各種の添加剤を、ポリウレタンの特性を損なわない範囲で、添加、混合することができる。
リン化合物としては、「PEP-36」、「PEP-24G」、「HP-10」(いずれも商品名:株式会社ADEKA社製)、「Irgafos 168」(商品名:BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
イオウを含む化合物の具体例としては、ジラウリルチオプロピオネート(DLTP)、ジステアリルチオプロピオネート(DSTP)などのチオエーテル化合物が挙げられる。
本発明の一形態であるポリウレタンを使用してフィルムを製造する場合、そのフィルムの厚さは、下限が好ましくは10μm、より好ましくは20μm、更に好ましくは30μm、上限は好ましくは1000μm、より好ましくは500μm、更に好ましくは100μmである。
フィルムの厚さが厚すぎると、十分な透湿性が得られない傾向があり、また、薄過ぎるとピンホールを生じたり、フィルムがブロッキングしやすく取り扱いにくくなる傾向がある。
本発明の一形態であるポリウレタンの分子量は、その用途に応じて適宜調整され、特に制限はないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)として5万~50万であることが好ましく、10万~30万であることがより好ましい。Mwが上記下限よりも小さいと十分な強度や硬度が得られない場合があり、上記上限よりも大きいと加工性などハンドリング性を損なう傾向がある。特に本発明の一形態であるポリカーボネートポリオールを用いることで、その優れた反応性により、Mw10万以上のポリウレタンを容易に製造することができ、十分な機械強度を得ることができる。
<2-15-1.耐オレイン性>
本発明の一形態であるポリウレタンは、例えば後述の実施例の項に記載される方法での評価において、オレイン酸に浸漬前のポリウレタン試験片の重量に対する、オレイン酸に浸漬後のポリウレタン試験片の重量の変化率(%)が、20%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下が更に好ましく、4%以下が特に好ましく、3%以下が最も好ましい。
この重量変化率が上記上限超過では、十分な耐オレイン酸性が得られない場合がある。
本発明の一形態であるポリウレタンは、例えば後述の実施例の項に記載される方法での評価において、エタノールに浸漬前のポリウレタン試験片の重量に対する、エタノールに浸漬後のポリウレタン試験片の重量の変化率(%)が、20%以下が好ましく、18%以下がより好ましく、15%以下が更に好ましく、10%以下が特に好ましく、8%以下が最も好ましい。
この重量変化率が上記上限超過では、十分な耐エタノール性が得られない場合がある。
本発明の一形態であるポリウレタンは、例えば後述の実施例の項に記載される方法での評価において、酢酸エチルに浸漬前のポリウレタン試験片の重量に対する、薬品に浸漬後のポリウレタン試験片の重量の変化率(%)が、50%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、35%以下が更に好ましい。
この重量変化率が上記上限超過では、所望の耐酢酸エチル性が得られない場合がある。
本発明の一形態であるポリウレタンは、幅10mm、長さ100mm、厚み約50~100μmの短冊状のサンプルに対して、チャック間距離50mm、引張速度500mm/分にて、温度23℃、相対湿度50%で測定した引張破断伸度及び破断強度が以下の範囲であることが好ましい。
即ち、破断伸度の下限は好ましくは150%、より好ましくは200%、更に好ましくは300%であり、上限は好ましくは3000%、より好ましくは2000%、更に好ましくは1500%である。破断伸度が上記下限未満では加工性などハンドリング性を損なう傾向があり、上記上限を超えると十分な耐溶剤性が得られない場合がある。
また、破断強度の下限は好ましくは1.0MPa、より好ましくは2.0MPa、更に好ましくは3.0MPaであり、上限は好ましくは100MPa、より好ましくは8.0MPa、更に好ましくは6.0MPaである。破断強度が上記下限未満では加工性などハンドリング性を損なう傾向があり、上記上限を超えると柔軟性が損なわれる場合がある。
本発明の一形態であるポリウレタンは、本発明の一形態であるポリカーボネートポリオールに対し、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートおよび1,4-ブタンジオールの合計が全ポリウレタン量に対し17~20重量%とする条件で、1段法で反応させてポリウレタンを得た場合、幅10mm、長さ100mm、厚み約50~100μmの短冊状のサンプルに対して、チャック間距離50mm、引張速度500mm/分にて、温度23℃、相対湿度50%で測定した100%モジュラス及び300%モジュラスが以下の範囲であることが好ましい。
即ち、100%モジュラスは、下限が好ましくは0.7MPa、より好ましくは0.9MPa、更に好ましくは1.0MPaであり、上限は好ましくは20MPa、より好ましくは10MPa、更に好ましくは5.0MPaである。100%モジュラスが上記下限未満では耐溶剤性が十分でない場合があり、上記上限を超えると柔軟性が不十分であったり、加工性などハンドリング性を損なったりする傾向がある。
また、300%モジュラスは、下限が好ましくは1.4MPa、より好ましくは2.0MPa、更に好ましくは2.5MPaであり、上限は好ましくは15MPa、より好ましくは9.0MPa、更に好ましくは6.0MPaである。300%モジュラスが上記下限未満では耐溶剤性が十分でない場合があり、上記上限を超えると柔軟性が不十分であったり、加工性などハンドリング性を損なったりする傾向がある。
本発明の一形態であるポリウレタンのガラス転移温度は、通常-70℃以上であり、-60℃以上であることが好ましく、-50℃以上であることがより好ましく、-40℃以上であることが更に好ましく、-30℃以上であることが特に好ましい。また、通常0℃以下であり、-5℃以下であることが好ましく、-10℃以下であることがより好ましく、-15℃以下であることが更に好ましく、-20℃以下である事が特に好ましい。前記ポリウレタンのガラス転移温度が上記下限以上であると耐溶剤性が良好となり、上記上限以下であることにより、低温で硬くなるのを防ぎ、触感を向上することができる傾向がある。
ポリウレタンは、耐溶剤性に優れ、良好な柔軟性、機械強度を有することから、フォーム、エラストマー、弾性繊維、塗料、繊維、粘着剤、接着剤、床材、シーラント、医療用材料、人工皮革、合成皮革、コーティング剤、水系ポリウレタン塗料、活性エネルギー線硬化性重合体組成物等に広く用いることができる。
ポリウレタンを弾性繊維として使用する場合のその繊維化の方法は、紡糸できる方法であれば特に制限なく実施できる。例えば、一旦ペレット化した後、溶融させ、直接紡糸口金を通して紡糸する溶融紡糸方法が採用できる。ポリウレタンから弾性繊維を溶融紡糸により得る場合、紡糸温度は好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以上235℃以下である。
ポリウレタンは、末端を変性させることによりUV硬化型塗料、電子線硬化型塗料、フレキソ印刷版用の感光性樹脂組成物、光硬化型の光ファイバー被覆材組成物等の原料として用いることができる。
本発明の一形態であるポリカーボネートポリオールを用いて、ポリイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを付加反応させることによりウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを製造することができる。その他の原料化合物であるポリオール、及び鎖延長剤等を併用する場合は、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリイソシアネートに、更にこれらのその他の原料化合物も付加反応させることにより製造することができる。
なお、本発明において、(メタ)アクリレートや(メタ)アクリル酸のように「(メタ)アクリル」と表示した場合には、アクリル及び/またはメタクリルを意味する。
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーにおける全イソシアネート基の量と水酸基及びアミノ基等のイソシアネート基と反応する全官能基の量とは、通常、理論的に当モルである。
本発明の一形態であるポリカーボネートポリオールは、ポリエステル系エラストマーとして使用することができる。ポリエステル系エラストマーとは、主として芳香族ポリエステルからなるハードセグメントと、主として脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステル又は脂肪族ポリカーボネートからなるソフトセグメントから構成される共重合体である。本発明のポリカーボネートポリオールをソフトセグメントの構成成分として使用すると、脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステルを用いた場合に比べて、耐熱性、耐水性等の物性が優れる。また、公知のポリカーボネートポリオールと比較しても、溶融時の流動性、つまりブロー成形、押出成形に適したメルトフローレートを有し、且つ機械強度その他の物性とのバランスに優れたポリカーボネートエステルエラストマーとなり、繊維、フィルム、シートをはじめとする各種成形材料、例えば、弾性糸及びブーツ、ギヤ、チューブ、パッキンなどの成形材料に好適に用いることができる。具体的には耐熱性、耐久性を要求される自動車、家電部品等などのジョイントブーツや、電線被覆材等の用途に有効に適用することが可能である。
上述のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを含有する活性エネルギー線硬化性重合体組成物(以下、単に「活性エネルギー線硬化性重合体組成物」と称す場合がある。)について説明する。
活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、該組成物の計算網目架橋点間分子量が500~10,000であることが好ましい。
複数種の多官能化合物が反応するような多官能化合物混合系組成物では、組成物中に含まれる全活性エネルギー線反応基数に対する上記単一系の各々の計算網目架橋点間分子量の平均値が組成物の計算網目架橋点間分子量となる。例えば、分子量1,000の2官能性化合物4モルと分子量300の3官能性化合物4モルとの混合物からなる組成物では、組成物中の全活性エネルギー線反応基数は2×4+3×4=20個となり、組成物の計算網目架橋点間分子量は{(1000/2)×8+(300/3)×12}×2/20=520となる。
上記のことから、分子量WAの単官能性化合物MAモルと、分子量WBのfB官能性化合物MBモルと、分子量WCのfC官能性化合物MCモルとの混合物では、組成物の計算網目架橋点間分子量は下記式で表せる。
活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、これに活性エネルギー線を照射することにより硬化膜とすることができる。
上記組成物を硬化させる際に使用する活性エネルギー線としては、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等が使用可能である。装置コストや生産性の観点から電子線又は紫外線を利用することが好ましく、光源としては、電子線照射装置、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、Arレーザー、He-Cdレーザー、固体レーザー、キセノンランプ、高周波誘導水銀ランプ、太陽光等が適している。
硬化膜は、インキ、エタノール等の一般家庭汚染物に対する耐汚染性及び硬度に優れる膜とすることが可能であり、硬化膜を各種基材への被膜として用いた積層体は、意匠性及び表面保護性に優れたものとすることができる。
また、活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、1層塗布により簡便に薄膜状の樹脂シートを製造することが可能となることが期待される。
以下の実施例及び比較例で得られたポリカーボネートポリオール及びポリウレタンの評価方法は下記の通りである。
<フェノキシ基量、ジオール、分岐アルコール含有量及びフェノール含有量の定量>
ポリカーボネートジオールをCDCl3に溶解し、400MHz 1H-NMR(日本電子株式会社製AL-400)を測定し、各成分のシグナル位置より、フェノキシ基、ジオール、分岐アルコール、フェノールを同定し、積分値より各々の含有量を算出した。その際の検出限界は、サンプル全体の重量に対するフェノールの重量として100ppm、前記式(A)で表される化合物、前記式(B)で表される化合物等のジヒドロキシ化合物は0.1重量%である。またフェノキシ基の割合は、フェノキシ基の1プロトン分の積分値と末端全体の1プロトン分の積分値の比から求めており、フェノキシ基の検出限界は末端全体に対して0.05%である。
ジオール(A)中のオキシアルキレングリコール(A1)の含有割合(重量%)はポリカーボネートポリオールの加水分解後にGC分析を行うことにより、以下のように求められる。
ポリカーボネートポリオール0.5gを精秤し、100mL三角フラスコへ入れ、テトラヒドロフラン5mLを添加して溶解した。次にメタノール45mL、25重量%水酸化ナトリウム水溶液5mLを添加した。100mL三角フラスコにコンデンサーをセットし、75~80℃の水浴で30分間加熱し、加水分解を行った。室温にて放冷した後、6N塩酸5mLを添加して水酸化ナトリウムを中和し、pHを2~4にした。100mLメスフラスコに全量を移し、三角フラスコ内を適量のメタノールで2回洗浄し、洗浄液も100mLメスフラスコに移した。適量のメタノールを添加して100mLとした後、メスフラスコ内で液を混合した。上澄み液を採取してフィルターにてろ過後、GCにて分析を行った。ジオール(A)に含まれる各ジオールの濃度は、標準物質より検量線を作成し、GCにて得られた面積比から重量%を算出した。
ポリカーボネートジオールをCDCl3に溶解し、400MHz、1H-NMR(日本電子株式会社製AL-400)を測定し、各成分のシグナル位置より、オキシアルキレングリコール(A1)に由来する構造単位と分岐アルコール(B)に由来する構造単位とのモル比率を求めた。またオキシアルキレングリコール(A1)に由来する末端と分岐アルコール(B)に由来する末端とのモル比率に関しても同様にして求めた。
分岐アルコール(B)に由来する構造単位の中で、構造単位(X1)の割合は1H-NMRの積分値の比から計算して求めた。(以下、分岐アルコール(B)に由来する構造単位に占める構造単位(X1)の割合(mol%)を「構造単位(X1)含有割合」と記載する。)
例えば分岐アルコール(B)がトリメチロールプロパンの場合は以下の通りであるが、他の分岐アルコールにおいても同様の1H-NMRによる分析が適用できる。
ポリカーボネートジオールをCDCl3に溶解し、400MHz 1H-NMR(日本電子株式会社製AL-400)を測定し、下記ケミカルシフト(δ)及びその積分値からそれぞれの比率を求める。なお、ケミカルシフト値は組成により若干異なる場合があるので、その場合は積分値の取り方を適宜変更する場合がある。
δ0.91~1.01ppmの積分値=a(構造単位(X1)を示す)
δ0.82~0.90ppmの積分値=b(構造単位(X1)以外を示す)
構造単位(X1)含有割合(mol%)=a/(a+b)×100
JIS K1557-1に準拠して、アセチル化試薬を用いた方法にてポリカーボネートポリオールの水酸基価を測定した。
<耐溶剤性>
ポリウレタン溶液を9.5milのアプリケーターでフッ素樹脂シート(フッ素テープニトフロン900、厚さ0.1mm、日東電工株式会社製)上に塗布し、50℃で5時間、100℃で0.5時間、真空条件100℃で0.5時間、80℃で15時間の順で乾燥させた。得られたポリウレタンフィルムから3cm×3cmの試験片を切り出し、試験溶剤をそれぞれ50mL入れた内径10cmφのガラス製シャーレに投入して、各々の試験溶剤毎、下記温度で下記時間浸漬した後の重量を測定し、浸漬前の試験片の重量と浸漬後の試験片の重量との重量変化率(%)(=(浸漬後の試験片の重量-浸漬前の試験片の重量)/浸漬前の試験片の重量×100)を算出した。ここで、重量変化率が0%に近いほうが耐オレイン酸性が良好であることを示す。
耐オレイン酸性:試験片をオレイン酸中に80℃で16時間浸漬した。
耐酢酸エチル性:試験片を酢酸エチル中に室温で20分間浸漬した。
耐エタノール性:試験片をエタノール中に室温で1時間浸漬した。
JIS K6301に準じ、幅10mm、長さ100mm、厚み約50μmの短冊状としたポリウレタン試験片を、引張試験機〔オリエンテック社製、製品名「テンシロンUTM-III-100」〕を用いて、チャック間距離50mm、引張速度500mm/分にて、温度23℃(相対湿度55%)で引張試験を実施し、試験片が破断するまでの各伸度における応力を測定した。また100%、300%伸度での応力を100%モジュラス(100%M)、300%モジュラス(300%M)とする。
ポリカーボネートポリオール及びポリウレタンの製造に使用した原料は以下の通りである。
ジエチレングリコール(以下、DEGと略記することがある):三菱化学株式会社製
トリエチレングリコール(以下、TEGと略記することがある):三菱化学株式会社製
トリメチロールプロパン(以下、TMPと略記することがある):三菱ガス化学株式会社製
ジフェニルカーボネート(以下、DPCと略記することがある):三菱化学株式会社製
酢酸マグネシウム四水和物:和光純薬工業株式会社製
1,4-ブタンジオール:三菱化学株式会社製
ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略記することがある):日本ポリウレタン工業株式会社製
ウレタン化触媒 ネオスタンU-830:日東化成株式会社製
脱水N,N-ジメチルホルムアミド:和光純薬工業株式会社製
<実施例I-1>
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコにジエチレングリコール(DEG):786.1g、トリエチレングリコール(TEG):744.7g、トリメチロールプロパン(TMP):25.5g、ジフェニルカーボネート(DPC):2525.0g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:6.3mL(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:53mg)を入れ、窒素ガス置換した。攪拌下、内温を160℃まで昇温して、内容物を加熱溶解した。その後、2分間かけて圧力を24kPaまで下げた後、フェノールを系外へ除去しながら90分間反応させた。次いで、圧力を9.3kPaまで90分間かけて下げ、さらに0.7kPaまで30分間かけて下げて反応を続けた後に、170℃まで温度を上げてフェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を系外へ除きながら2時間反応させて、ポリカーボネートジオール含有組成物を得た。0.85%リン酸水溶液:1.35mLを加えて触媒を失活させて、ポリカーボネートポリオール含有組成物を得た。
薄膜蒸留で得られたポリカーボネートポリオールの性状及び物性の評価結果を表1に示す。
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた1Lガラス製セパラブルフラスコにジエチレングリコール(DEG):231.8g、トリエチレングリコール(TEG):219.6g、トリメチロールプロパン(TMP):7.5g、ジフェニルカーボネート(DPC):741.2g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:1.9mL(濃度:8.4g/L)を入れ、窒素ガス置換した。攪拌下、内温を160℃まで昇温して、内容物を加熱溶解した。その後、2分間かけて圧力を24kPaまで下げた後、フェノールを系外へ除去しながら90分間反応させた。次いで、圧力を9.3kPaまで90分間かけて下げ、さらに0.7kPaまで30分間かけて下げて反応を続けた後に、170℃まで温度を上げてフェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を系外へ除きながら15時間反応させた。その後、0.85%リン酸水溶液:0.45mLを加えて触媒を失活させて、ポリカーボネートポリオール含有組成物を得た。その後、実施例I-1と同様の薄膜蒸留を行い、得られたポリカーボネートポリオールの性状及び物性の評価結果を表1に示す。
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコにジエチレングリコール(DEG):786.1g、トリエチレングリコール(TEG):741.6g、トリメチロールプロパン(TMP):0.83g、ジフェニルカーボネート(DPC):2471.5g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:6.3mL(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:53mg)を入れ、窒素ガス置換した。攪拌下、内温を160℃まで昇温して、内容物を加熱溶解した。その後、2分間かけて圧力を24kPaまで下げた後、フェノールを系外へ除去しながら90分間反応させた。次いで、圧力を9.3kPaまで90分間かけて下げ、さらに0.7kPaまで30分間かけて下げて反応を続けた後に、170℃まで温度を上げてフェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を系外へ除きながら2時間反応させた後、0.85%リン酸水溶液:1.35mLを加えて触媒を失活させて、ポリカーボネートポリオール含有組成物を得た。その後、実施例I-1と同様の薄膜蒸留を行い、得られたポリカーボネートポリオールの性状及び物性の評価結果を表1に示す。
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコにジエチレングリコール(DEG):787.7g、トリエチレングリコール(TEG):724.3g、トリメチロールプロパン(TMP):33.0g、ジフェニルカーボネート(DPC):2475.0g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:6.3mL(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:53mg)を入れ、窒素ガス置換した。攪拌下、内温を160℃まで昇温して、内容物を加熱溶解した。その後、2分間かけて圧力を24kPaまで下げた後、フェノールを系外へ除去しながら90分間反応させた。次いで、圧力を9.3kPaまで90分間かけて下げ、さらに0.7kPaまで30分間かけて下げて反応を続けた後に、170℃まで温度を上げてフェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を系外へ除きながら7時間反応させた後、0.85%リン酸水溶液:1.35mLを加えて触媒を失活させて、ポリカーボネートポリオール含有組成物を得た。その後、実施例I-1と同様の薄膜蒸留を行い、得られたポリカーボネートポリオールの性状及び物性の評価結果を表1に示す。
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコにジエチレングリコール(DEG):756.7g、トリエチレングリコール(TEG):705.3g、トリメチロールプロパン(TMP):54.2g、ジフェニルカーボネート(DPC):2483.9g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:6.2mL(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:52mg)を入れ、窒素ガス置換した。攪拌下、内温を160℃まで昇温して、内容物を加熱溶解した。その後、2分間かけて圧力を24kPaまで下げた後、フェノールを系外へ除去しながら90分間反応させた。次いで、圧力を9.3kPaまで90分間かけて下げ、さらに0.7kPaまで30分間かけて下げて反応を続けた後に、170℃まで温度を上げてフェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を系外へ除きながら9時間反応させた後、0.85%リン酸水溶液:1.3mLを加えて触媒を失活させて、ポリカーボネートポリオール含有組成物を得た。その後、実施例I-1と同様の薄膜蒸留を行い、得られたポリカーボネートポリオールの性状及び物性の評価結果を表1に示す。
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた1Lガラス製セパラブルフラスコにジエチレングリコール(DEG):237.0g、トリエチレングリコール(TEG):223.6g、ジフェニルカーボネート(DPC):739.5g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:1.9mL(濃度:8.4g/L)を入れ、窒素ガス置換した。攪拌下、内温を160℃まで昇温して、内容物を加熱溶解した。その後、2分間かけて圧力を24kPaまで下げた後、フェノールを系外へ除去しながら90分間反応させた。次いで、圧力を9.3kPaまで90分間かけて下げ、さらに0.7kPaまで30分間かけて下げて反応を続けた後に、170℃まで温度を上げてフェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を系外へ除きながら5時間反応させた後、0.85%リン酸水溶液:0.45mLを加えて触媒を失活させて、ポリカーボネートポリオール含有組成物を得た。その後、実施例I-1と同様の薄膜蒸留を行い、得られたポリカーボネートポリオールの性状及び物性の評価結果を表1に示す。
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた1Lガラス製セパラブルフラスコにジエチレングリコール(DEG):211.4g、トリエチレングリコール(TEG):200.2g、トリメチロールプロパン(TMP):6.8g、ジフェニルカーボネート(DPC):690.6g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:1.7mL(濃度:8.4g/L)を入れ、窒素ガス置換した。攪拌下、内温を160℃まで昇温して、内容物を加熱溶解した。その後、2分間かけて圧力を24kPaまで下げた後、フェノールを系外へ除去しながら90分間反応させた。次いで、圧力を9.3kPaまで90分間かけて下げ、さらに0.7kPaまで30分間かけて下げて反応を続けた後に、170℃まで温度を上げてフェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を系外へ除きながら20分間反応させた。その後、0.85%リン酸水溶液:0.45mLを加えて触媒を失活させて、ポリカーボネートポリオール含有組成物を得た。その後、実施例I-1と同様の薄膜蒸留を行い、得られたポリカーボネートポリオールの性状及び物性の評価結果を表1に示す。
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた1Lガラス製セパラブルフラスコにジエチレングリコール(DEG):204.0g、トリエチレングリコール(TEG):189.9g、トリメチロールプロパン(TMP):24.9g、ジフェニルカーボネート(DPC):681.2g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:1.7mL(濃度:8.4g/L)を入れ、窒素ガス置換した。攪拌下、内温を160℃まで昇温して、内容物を加熱溶解した。その後、2分間かけて圧力を24kPaまで下げた後、フェノールを系外へ除去しながら90分間反応させた。次いで、圧力を9.3kPaまで90分間かけて下げ、さらに0.7kPaまで30分間かけて下げて反応を続けた後に、170℃まで温度を上げてフェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を系外へ除きながら5時間反応させた。その後、0.85%リン酸水溶液:0.45mLを加えて触媒を失活させて、ポリカーボネートポリオール含有組成物を得た。その後、実施例I-1と同様の薄膜蒸留を行い、得られたポリカーボネートポリオールの性状及び物性の評価結果を表1に示す。
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコにオキシアルキレンジオール(A1)としてジエチレングリコール(DEG):753.0g、オキシアルキレンジオール(A1)以外のジオールとして1,6-ヘキサンジオール(16HD):462.2g、トリメチロールプロパン(TMP):22.5g、ジフェニルカーボネート(DPC):2262.3g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:5.7mL(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:48mg)を入れ、窒素ガス置換した。攪拌下、内温を160℃まで昇温して、内容物を加熱溶解した。その後、2分間かけて圧力を24kPaまで下げた後、フェノールを系外へ除去しながら90分間反応させた。次いで、圧力を9.3kPaまで90分間かけて下げ、さらに0.7kPaまで30分間かけて下げて反応を続けた後に、170℃まで温度を上げてフェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を系外へ除きながら5時間反応させた後、0.85%リン酸水溶液:1.1mLを加えて触媒を失活させて、ポリカーボネートポリオール含有組成物を得た。その後、実施例I-1と同様の薄膜蒸留を行い、得られたポリカーボネートポリオールの性状及び物性の評価結果を表1に示す。
<実施例II-1~5、比較例II-1~4>
熱電対を設置し、攪拌機を具備したセパラブルフラスコに、あらかじめ80℃に加温したポリカーボネートポリオール81.42gと、1,4-ブタンジオール2.77gと、脱水N,N-ジメチルホルムアミド232.18gと、ウレタン化触媒(ネオスタンU-830)22.2mgとを入れ、55℃に設定されたオイルバスにセパラブルフラスコを浸し、セパラブルフラスコ内を窒素雰囲気下で加温しつつ、60rpmで1時間程度撹拌した。ポリカーボネートポリオールが溶媒に溶解した後、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を少量ずつ添加した。反応熱による内温上昇がおさまり温度低下が始まってから、10分後に、MDIを少量ずつ追添加していった。MDIの追添加を繰り返し、最終合計15.02gのMDIを添加し、ポリウレタン溶液を得た。得られたポリウレタン溶液から、上記の方法により試験用のフィルムを作成し、物性評価を行った。実施例II-1~5、比較例II-1~4において同様の手法で得られた結果を表2に示す。表2には、使用する総イソシアネート基と総水酸基数の当量比であるNCO/OHを併記する。なお、比較例II-3ではポリウレタンの製造時にゲル化が発生し、ポリウレタン溶液を製造することができなかった。
以上の結果から、次のことが分かる。
前述の通り、重量変化率の値が小さい方が、耐溶剤性が高く、ポリウレタンとして好ましい。
また、100%M、300%M、破断強度が小さい方が、柔軟性が高く、ポリウレタンとして好ましい。また、破断伸度が大きい方が、機械強度が高く、ポリウレタンとして好ましい。
また比較例II-1のポリウレタンは破断伸度、破断強度が小さいことから、機械強度が低い。
これに対して、多価アルコール原料として特定量のTMPを用い、特定の割合の環状構造単位(X1)を有するポリカーボネートポリオールから製造した実施例II-1~5のポリウレタンは、耐溶剤性試験における重量変化率が小さく、耐溶剤性に優れる。また、100%M、300%M、破断強度が小さく柔軟性に優れ、破断伸度が大きく、機械強度にも優れることが明らかである。
Claims (12)
- 多価アルコールに由来する構造単位を含む、水酸基価20mgKOH/g以上、450mgKOH/g以下のポリカーボネートポリオールであって、
該多価アルコールが、ジオール(A)と、下記式(B2)で表される部分構造(B2)を含む炭素数3~12の3価~6価の分岐アルコール(B)とを含み、
該ジオール(A)中の下記式(A1)で表されるオキシアルキレングリコール(A1)の含有割合が70重量%以上であり、
該分岐アルコール(B)に由来する構造単位が、該多価アルコールに由来する構造単位の合計に対して、0.005mol%以上、5.0mol%以下であり、
該分岐アルコール(B)に由来する構造単位が下記式(X2)で表される構造単位を含み、且つ、該分岐アルコール(B)に由来する構造単位に占める下記式(X2)で表される構造単位(X2)の割合が、50mol%以下である、ポリカーボネートポリオール。
- 前記分岐アルコール(B)が、3価アルコールである、請求項1に記載のポリカーボネートポリオール。
- 前記3価アルコールが、トリメチロールプロパンである、請求項2に記載のポリカーボネートポリオール。
- 前記オキシアルキレングリコール(A1)が、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、及び、ジプロピレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリカーボネートポリオール。
- 前記オキシアルキレングリコール(A1)が、ジエチレングリコール及び/又はトリエチレングリコールを含む、請求項4に記載のポリカーボネートポリオール。
- 前記ジオール(A)中のジエチレングリコール及びトリエチレングリコールの合計の含有割合が70重量%以上である、請求項5に記載のポリカーボネートポリオール。
- 前記オキシアルキレングリコール(A1)中のジエチレングリコール及びトリエチレングリコールの重量比が、ジエチレングリコール:トリエチレングリコール=10:90~90:10である、請求項5又は6に記載のポリカーボネートポリオール。
- 前記分岐アルコール(B)に由来する構造単位に占める前記式(X2)で表される構造単位(X2)の割合が、1mol%以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載のポリカーボネートポリオール。
- 多価アルコールに由来する構造単位を含む、水酸基価20mgKOH/g以上、450mgKOH/g以下のポリカーボネートポリオールであって、
該多価アルコールが、ジオール(A)と、下記式(B2)で表される部分構造(B2)を含む炭素数3~12の3価~6価の分岐アルコール(B)とを含み、
該ジオール(A)中の下記式(A1)で表されるオキシアルキレングリコール(A1)の含有割合が70重量%以上であり、
該分岐アルコール(B)に由来する構造単位が、該多価アルコールに由来する構造単位の合計に対して、0.005mol%以上、5.0mol%以下であり、
該分岐アルコール(B)に由来する構造単位が下記式(X2)で表される構造単位を含み、且つ、該分岐アルコール(B)に由来する構造単位に占める下記式(X2)で表される構造単位(X2)の割合が、50mol%以下である、ポリカーボネートポリオールを用いて得られるポリウレタン。
- 前記分岐アルコール(B)に由来する構造単位に占める前記式(X2)で表される構造単位(X2)の割合が、1mol%以上である、請求項9に記載のポリウレタン。
- 前記ポリカーボネートポリオール、有機ポリイソシアネート化合物、及び、鎖延長剤を用いて得られる、請求項9又は10に記載のポリウレタン。
- 請求項1~8のいずれか1項に記載のポリカーボネートポリオールを用いて得られるポリウレタン。
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