JP5448627B2 - ポリカーボネートジオール組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリカーボネートジオール組成物、ポリマー、印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物、印刷原版、及び印刷版、並びに印刷原版の製造方法及び印刷版の製造方法に関する。
近年、一般印刷分野では樹脂製の印刷版がよく用いられている。特に、柔軟な印刷版を用いることを特徴とし、各種印刷方式の中でその比重を高めつつあるフレキソ印刷では、専ら樹脂製の印刷版が用いられる。そしてインクには有機溶剤が含有されることがしばしばである。
また、電子材料分野におけるパターン形成法として、電子材料をインクとして印刷する方法であるダイレクト印刷法が注目されている。各種印刷方式の中でもフレキソ印刷は凸版印刷であるために印刷部分以外は非接触であること、及び高精細な印刷が可能であることなどから、特に、ダイレクト印刷法に適すると期待されている。ダイレクト印刷法においては、材料を溶解してインクとするために様々な有機溶剤が用いられている。
しかしながら、樹脂製の印刷版の場合、有機溶剤に対する耐久性が往々にして不足する、印刷精度が不足する、印刷版自身の耐久性が不足する、あるいはインクに使用可能な有機溶剤が制限されるなどの問題が生じる。これは樹脂印刷版が有機溶剤により膨潤して、寸法が変化したり機械的強度が低下したりあるいはひび割れや破壊を引き起こしたりするためである。そのため、樹脂製の印刷版や印刷原版には各種溶剤に対する優れた耐溶剤性が望まれる。
ところで、ポリカーボネートジオールから製造されたポリマーが印刷原版製造用樹脂組成物に応用可能であることは既に知られている。
例えば、特許文献1には、ポリカーボネートジオールより製造される樹脂と無機系微粒子よりなるレーザー彫刻可能な印刷原版用硬化性樹脂組成物及び印刷原版が開示されている。
また、特許文献2には、耐溶剤性の印刷原版用感光性樹脂組成物及び印刷原版が開示されている。
国際公開第2003/022594号パンフレット 国際公開第2008/078699号パンフレット
現状では、インクに含有される有機溶剤に対して、さらに優れる耐溶剤性を有する印刷版や印刷原版が望まれている。
本発明が解決しようとする課題は、一般印刷分野で使用される酢酸エチルなどの有機溶剤、及び電子材料分野で使用されるアニソールや安息香酸メチルなど有機溶剤に対する耐溶剤性に優れ、樹脂印刷に好適な印刷版又は印刷原版を提供すること、また、それらの製造に適したポリカーボネートジオール組成物及びポリマーを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の構造を有するポリカーボネートジオールと、モノマーと、を含むポリカーボネートジオール組成物を原料とすることにより、得られる印刷版及び印刷原版がインクなどに用いられる各種溶剤に対して優れた耐久性を示すことを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
[1]
ポリカーボネートジオール(a1)と、モノマー(a2)と、を含むポリカーボネートジオール組成物であって、
前記ポリカーボネートジオール(a1)が、下記式(1)で表され、かつ数平均分子量が100〜50,000であるポリカーボネートジオールであり、
式(1):

(式中、Rは、各々独立して、炭素骨格中に窒素、硫黄、及び酸素からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含んでいてもよい、炭素数3〜50の直鎖、分岐鎖、及び/又は環式の炭化水素基を表す。)
前記モノマー(a2)が、下記式(2)で表される数平均分子量が60〜600であるモノマーであり、
式(2):

(式中、Rは、各々独立して、炭素骨格中に窒素、硫黄、及び酸素からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含んでいてもよい、炭素数1〜50の直鎖、分岐鎖、及び/又は環式の炭化水素基を表す。Xは、各々独立して、活性水素を含む基を表す。)
数平均分子量が60〜1,000である、ポリカーボネートジオール組成物。
[2]
が、エーテル結合を少なくとも一つ含む、[1]に記載のポリカーボネートジオール組成物。
[3]
が、ジエチレングリコールに由来する基である、[1]又は[2]に記載のポリカーボネートジオール組成物。
[4]
[1]〜[3]のいずれかに記載のポリカーボネートジオール組成物と、当該ポリカーボネートジオール組成物の末端基の当量未満のイソシアネート基当量のポリイソシアネート化合物(b)と、が重合し、
前記重合しているポリカーボネートジオール組成物の残存する末端基と、イソシアナトアルキルアクリレート及び/又はイソシアナトアルキルメタクリレートと、が結合しているポリマー。
[5]
[1]〜[3]のいずれかに記載のポリカーボネートジオール組成物と、当該ポリカーボネートジオール組成物の末端基の当量を超えるイソシアネート基当量のポリイソシアネート化合物(b)と、が重合し、
前記重合しているポリイソシアネート化合物(b)の残存するイソシアネート基と、ヒドロキシアルキルアクリレート及び/又はヒドロキシアルキルメタクリレートと、がウレタン結合により結合しているポリマー。
[6]
前記ポリイソシアネート化合物(b)が、ジイソシアネート化合物である、[4]又は[5]に記載のポリマー。
[7]
[1]〜[3]のいずれかに記載のポリカーボネートジオール組成物から製造されるポリマー(B1)を含む、印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物。
[8]
前記ポリマー(B1)が、前記ポリカーボネートジオール組成物の末端水酸基と他の化合物との間で形成された化学結合を有し、かつ重合性不飽和基を有するポリマーである、[7]に記載の印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物。
[9]
前記化学結合が、ウレタン結合である、[8]に記載の印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物。
[10]
前記重合性不飽和基が、二重結合である、[8]又は[9]に記載の印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物。
[11]
前記ポリマー(B1)の数平均分子量が、400〜100,000である、[7]〜[10]のいずれかに記載の印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物。
[12]
[4]〜[6]のいずれかに記載のポリマーを含む、印刷版又印刷原版用硬化性樹脂組成物。
[13]
重合性不飽和基を有し、かつ数平均分子量が5,000未満である有機化合物(C)をさらに含む、[7]〜[12]のいずれかに記載の印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物。
[14]
無機系微粒子(D)をさらに含む、[7]〜[13]のいずれかに記載の印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物。
[15]
光重合開始剤(E)をさらに含む、[7]〜[14]のいずれかに記載の印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物。
[16]
熱重合開始剤(F)をさらに含む、[7]〜[15]のいずれかに記載の印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物。
[17]
下記式(2)で表される分子量が60〜600であるモノマー(a2)の末端基Xと、当該モノマー(a2)の末端基当量未満のイソシアネート基当量のポリイソシアネート化合物(b)と、が重合し、
前記重合しているモノマー(a2)の残存する末端基Xと、イソシアナトアルキルアクリレート及び/又はイソシアナトアルキルメタクリレートと、が結合しているポリマー。
式(2):

(式中、Rは、各々独立して、炭素骨格中に窒素、硫黄、及び酸素からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含んでいてもよい、炭素数2〜50の直鎖及び/又は分岐した炭化水素基を表す。Xは、各々独立して、活性水素を含む基を表す。)
[18]
下記式(2)で表される分子量が60〜600であるモノマー(a2)の末端基Xと、当該モノマー(a2)の末端基当量を超えるイソシアネート基当量のポリイソシアネート化合物(b)と、が重合し、
前記重合しているポリイソシアネート化合物(b)の残存するイソシアネート基と、ヒドロキシアルキルアクリレート及び/又はヒドロキシアルキルメタアクリレートと、がウレタン結合により結合しているポリマー。
式(2):

(式中、Rは、各々独立して、炭素骨格中に窒素、硫黄、及び酸素からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含んでいてもよい、炭素数2〜50の直鎖及び/又は分岐した炭化水素基を表す。Xは、各々独立して、活性水素を含む基を表す。)
[19]
[17]又は[18]に記載のポリマー(B2)を含む、印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物。
[20]
前記ポリマー(B2)の数平均分子量が、400〜100,000である、[19]に記載の印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物。
[21]
重合性不飽和基を有し、かつ数平均分子量が5,000未満である有機化合物(C)をさらに含む、[19]又は[20]に記載の印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物。
[22]
無機系微粒子(D)をさらに含む、[19]〜[21]のいずれかに記載の印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物。
[23]
光重合開始剤(E)をさらに含む、[19]〜[22]のいずれかに記載の印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物。
[24]
熱重合開始剤(F)をさらに含む、[19]〜[23]のいずれかに記載の印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物。
[25]
[7]〜[16]及び[19]〜[24]のいずれかに記載の印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物を用いて製造される印刷原版。
[26]
[25]に記載の印刷原版をレーザー彫刻して得られる印刷版。
[27]
[7]〜[16]及び[19]〜[24]のいずれかに記載の印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物をシート状又は円筒状に成形する工程と、
成形した印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物を、硬化する工程を含む、印刷原版の製造方法。
[28]
[25]に記載の印刷原版又は[27]に記載の製造方法により得られる印刷原版をレーザー彫刻する工程を含む、印刷版の製造方法。
[29]
[7]〜[16]及び[19]〜[24]のいずれかに記載の印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物を、シート状又は円筒状に成形する工程と、
該シート状又は円筒状に成形された印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物の表面にマスク層を配置する工程と、
該マスク層が配置された表面側から活性光線を照射する工程と、
未照射部分を除去する工程と、を含む、印刷版の製造方法。
本発明によれば、耐溶剤性に優れる印刷版及び印刷原版を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
<ポリカーボネートジオール組成物(A)>
本実施形態のポリカーボネートジオール組成物は、ポリカーボネートジオール(a1)と、モノマー(a2)と、を含む組成物であって、
前記ポリカーボネートジオール(a1)が、下記式(1)で表され、かつ数平均分子量が100〜50,000であるポリカーボネートジオールであり、
式(1):

(式中、Rは、各々独立して、炭素骨格中に窒素、硫黄、及び酸素からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含んでいてもよい、炭素数3〜50の直鎖、分岐鎖、及び/又は環式の炭化水素基を表す。)
前記モノマー(a2)が、下記式(2)で表される数平均分子量が60〜600であるモノマーであり、
式(2):

(式中、Rは、各々独立して、炭素骨格中に窒素、硫黄、及び酸素からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含んでいてもよい、炭素数2〜50の直鎖、分岐鎖、及び/又は環式の炭化水素基を表す。Xは、各々独立して、活性水素を含む基を表す。)
ポリカーボネートジオール組成物の数平均分子量が60〜1,000である。
ポリカーボネートジオール組成物の数平均分子量は60〜1,000であり、好ましくは80〜900、より好ましくは100〜800である。
数平均分子量が当該範囲内にあるポリカーボネートジオール組成物(A)より製造されるポリマー(B1)を硬化性樹脂組成物に用いることで優れた耐溶剤性を示す印刷版及び印刷原版を得ることができる。
本実施形態において、「ポリカーボネートジオール組成物(A)の数平均分子量」は、以下の式1〜式4により求まる数平均分子量である。
・式1
ポリカーボネートジオール組成物(A)の数平均分子量
=112200/(ポリカーボネートジオール組成物(A)の全活性水素基価)
・式2
ポリカーボネートジオール組成物(A)の全活性水素基価[mg−KOH/g]
=56.11×(全活性水酸基モル数)/[(ポリカーボネートジオール(a1))の重量+(モノマー(a2)の重量)]
・式3
全活性水素基モル数
=[(ポリカーボネートジオール(a1)の全活性水素基モル数)+(モノマー(a2)の全活性水素基モル数)]
=[(ポリカーボネートジオール(a1)の活性水素基価)×(ポリカーボネートジオール組成物(a1)の重量)+(モノマー(a2)の活性水素基価)×(モノマー(a2)の重量)]/56.11
・式4
モノマー(a2)の活性水素基
=112200/(モノマー(a2)の数平均分子量)
<ポリカーボネートジオール(a1)>
本実施形態に用いられるポリカーボネートジオールは、前記式(1)で表されるポリカーボネートジオールであり、前記式(1)において、Rは、各々独立して、炭素骨格中に酸素原子など(窒素、硫黄、及び酸素からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子)を含んでいてもよい、炭素数3〜50の直鎖、分岐鎖、及び/又は環式の炭化水素基を表し、Rは単一成分であっても複数の成分からなってもよい。
nは、1〜500の整数であることが好ましい。
本実施形態において、「炭化水素基」は飽和又は不飽和の炭化水素基であってもよい。
本実施形態において、「炭素骨格」とは、炭化水素基を構成する炭素数3〜50の構造部分を意味し、「炭素骨格中に酸素原子などを含んでいてもよい」とは、主鎖又は側鎖の炭素−炭素結合間に酸素原子などが挿入された構造であることを意味する。また、主鎖又は側鎖の炭素原子に結合する酸素原子などを有する置換基であってもよい。
としての直鎖の炭化水素基としては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどの炭素数3〜50の直鎖脂肪族ジオールに由来する炭化水素基などが挙げられる。
としての分岐鎖の炭化水素基としては、例えば、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジブチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、2−イソプロピル−1,4−ブタンジオール、2,3−ジメチル−1,4−ブタンジオール、2,3−ジエチル−1,4−ブタンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、ピナコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,5−ペンタンジオール、3−エチル−1,5−ペンタンジオール、2−イソプロピル−1,5−ペンタンジオール、3−イソプロピル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,3−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,3−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−へキサンジオール、2−イソプロピル−1,6−ヘキサンジオール、2,4−ジエチル−1,6−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−エチル−1,8−オクタンジオール、2,6−ジメチル−1,8−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、8,13−ジメチル−1,20−エイコサンジオールなどの炭素数3〜30の分岐鎖脂肪族ジオールに由来する炭化水素基などが挙げられる。
としての環式の炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、m−キシレン−α,α’−ジオール、p−キシレン−α,α’−ジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、ダイマージオールなどの炭素数3〜30の環式の脂肪族ジオールに由来する炭化水素基などが挙げられる。
炭素数3〜50の直鎖脂肪族ジオールに由来する炭化水素基を例示として説明すると、本実施形態において、「炭素数3〜50の直鎖脂肪族ジオールに由来する炭化水素基」とは、炭素数3〜50の直鎖脂肪族ジオールのジオール水酸基以外の部分構造である基を意味する。
としての窒素、硫黄、及び酸素からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭化水素基としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジヒドロキシアセトン、1,4:3,6−ジアンヒドログルシトール、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジヒドロキシエチルアセトアミド、2,2’−ジチオジエタノール、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ジチアンなどに由来する炭化水素基などが挙げられ、また、下記式(3)で表される基などが挙げられる。
式(3):
ポリカーボネートジオール(a1)は、両末端基が水酸基であることで、印刷原版などを製造するに際し、他の機能性分子と化学結合することを可能にする。
ポリカーボネートジオール(a1)の数平均分子量は100〜50,000である。
ポリカーボネートジオール(a1)の数平均分子量は、以下の実施例に記載の方法により測定することができる。
ポリカーボネートジオール(a1)は、例えば、特公平5−29648号公報に記載されるように従来公知の方法により製造することができるが、具体的には、ジオールと炭酸エステルとのエステル交換反応により製造することができる。
ポリカーボネートジオール(a1)は、分子量分布を持つことを考え合わせれば数平均分子量100が下限である。また、数平均分子量が50,000以下であることにより、粘度上昇を抑制することができ、ポリカーボネートジオール(a1)の工業的製造を可能にする。
一般に、炭素数2のジオールから対応するポリカーボネートジオール(a1)を製造することは、環状カーボネートの生成との競争反応となるため困難である。これは炭素数2の環状カーボネートが化学的に安定なためである。よって炭素数3以上のジオールを使用する必要がある。
前記式(1)において、耐溶剤性の観点から、Rがエーテル結合を少なくとも一つ含んでいることが好ましく、耐溶剤性及び耐久性の観点から、Rがジエチレングリコールに由来する基(−(CH−O−(CH−で表される基)であることがより好ましい。
本実施形態において、ポリカーボネートジオール(a1)は、目的に応じて1種又は2種以上を併用して用いることができるが、1種のポリカーボネートジオールを用いることが好適である。
2種以上のポリカーボネートジオール(a1)とは、Rが異なる2種以上のポリカーボネートジオールであってもよく、Rが同じ、例えば、数平均分子量の異なる2種以上のポリカーボネートジオールの混合物であってもよい。
<モノマー(a2)>
本実施形態において用いられるモノマー(a2)は、前記式(2)で表されるモノマーであり、前記式(2)において、Rは、各々独立して、炭素骨格中に窒素、硫黄、及び酸素からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含んでいてもよい、炭素数1〜50の直鎖、分岐鎖、及び/又は環式の炭化水素基を表し、Rは単一成分であっても複数の成分からなってもよい。
Xは、各々独立して、活性水素を含む基を表す。
本実施形態において、「活性水素を含む基」とは、窒素、硫黄、又は酸素と、水素と、を含む基であり、水素を遊離することのできる基を意味する。
活性水素を含む基としては、例えば、水酸基、チオール基、カルボキシル基、無置換又は1〜2置換のアミノ基などが挙げられ、水酸基であることが好ましい。
モノマー(a2)が、活性水素を含む基を有することにより、他の分子との間に縮合や付加などの反応を起こし得る。
モノマー(a2)としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどの炭素数2〜50の直鎖の炭化水素構造を有する化合物;2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジブチル1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、2−イソプロピル−1,4−ブタンジオール、2,3−ジメチル−1,4−ブタンジオール、2,3−ジエチル−1,4−ブタンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、ピナコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,5−ペンタンジオール、3−エチル−1,5−ペンタンジオール、2−イソプロピル−1,5−ペンタンジオール、3−イソプロピル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,3−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,3−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−へキサンジオール、2−イソプロピル−1,6−ヘキサンジオール、2,4−ジエチル−1,6−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−エチル−1,8−オクタンジオール、2,6−ジメチル−1,8−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、8,13−ジメチル−1,20−エイコサンジオールなどの炭素数3〜50の分岐鎖の炭化水素構造を有する化合物;1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、m−キシレン−α,α′−ジオール、p−キシレン−α,α′−ジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、ダイマージオールなどの炭素数3〜50の環式の炭化水素構造を有する化合物などが挙げられる。
モノマー(a2)としては、上記化合物の水酸基部分が、チオール基や、アミノ基で置換されている炭化水素構造を有する化合物であってもよく、アミノ基で置換されている炭化水素構造を有する化合物を例として示すと、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。
モノマー(a2)としては、上記化合物の水酸基部分が、カルボキシル基で置換されている炭化水素構造を有する化合物であってもよく、カルボキシル基で置換されている炭化水素構造を有する化合物を例として示すと、例えば、グリコール酸、しゅう酸、マロン酸、こはく酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸などが挙げられる。
モノマー(a2)としては、窒素、硫黄、及び酸素からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭化水素構造を有する化合物が挙げられ、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジヒドロキシアセトン、1,4:3,6−ジアンヒドログルシトール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジヒドロキシエチルアセトアミド、ジメチロール尿素、尿素、1,3−ジメチル尿素、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、2,2′−ジチオジエタノール、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ジチアンなどが挙げられる。
としての炭化水素基としては、上記化合物に由来する基であることが好ましい。
モノマー(a2)は、両末端基に活性水素を有することで、印刷原版などを製造するに際し、他の機能性分子と化学結合することを可能にする。
モノマー(a2)は、入手性の観点から数平均分子量が60〜600であることが好ましい。モノマー(a2)が単体の化合物である場合には、数平均分子量は、分子量を意味する。
本実施形態において、モノマー(a2)は、目的に応じて1種又は2種以上を併用して用いることができる。
2種以上のモノマー(a2)とは、Rが異なる2種以上のモノマーであってもよく、Rが同じ2種以上のモノマーであってもよい。
(印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物)
本実施形態の印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物(以下、単に、「硬化性樹脂組成物」と記載する場合がある。)は、上記ポリカーボネートジオール組成物(A)から製造されるポリマー(B1)、及び/又はポリマー(B2)を含む。
ポリマー(B1)の数平均分子量は、取扱いの容易性や硬化後の硬度の観点で、400〜100,000であることが好ましく、ポリマー(B2)の数平均分子量は、取扱いの容易性や硬化後の硬度の観点で、400〜100,000であることが好ましい。
<ポリマー(B1)>
ポリマー(B1)は、ポリカーボネートジオール組成物(A)から製造されるポリマーであれば、特に制限はないが、ポリマー(B1)としては、ポリカーボネートジオール組成物(A)の末端水酸基と他の化合物との間の化学結合の形成を伴って製造され、かつ重合性不飽和基を含むポリマーであることが好ましい。
ポリマー(B1)では、数平均分子量は60〜1,000ポリカーボネートジオール組成物(A)のポリカーボネートジオール(a1)とモノマー(a2)とが、ランダムに重合されたポリマー組成物として得ることができる。
ポリマー(B1)として、重合性不飽和基を有すると、印刷原版などを製造するに際し、様々な分子と連結するのに好適である。
化学結合及び重合性不飽和基として、特に制限はないが、化学結合としては、ウレタン結合が好ましく、重合性不飽和基としては、二重結合が好ましい。
ポリマー(B1)としては、粘度調整や硬化して得られる印刷版又は印刷原版の特性調整等の点から、ポリカーボネートジオール組成物(A)の末端基と、当該ポリカーボネートジオール組成物(A)の末端基当量未満のイソシアネート基当量のポリイソシアネート化合物(b)と、が重合し、重合しているポリカーボネートジオール組成物(A)の残存する末端基と、イソシアナトアルキルアクリレート及び/又はイソシアナトアルキルメタクリレートと、が結合しているポリマーであることが好ましい。
ポリマー(B1)として、ポリカーボネートジオール組成物(A)に含まれるモノマー(a2)の末端基Xが、水酸基であることが好ましく、この場合、ポリカーボネートジオール組成物(A)とポリイソシアネート化合物(b)との重合は、ポリウレタン結合により重合していることが好ましい。また、ポリカーボネートジオール組成物(A)の残存する末端水酸基と、イソシアナトアルキルアクリレート及び/又はイソシアナトアルキルメタクリレートとの結合は、ポリウレタン結合により結合していることが好ましい。
また、ポリマー(B1)としては、ポリカーボネートジオール組成物(A)の末端基と、当該ポリカーボネートジオール組成物(A)の末端基当量を超えるイソシアネート基当量のポリイソシアネート化合物(b)と、が重合し、重合しているポリイソシアネート化合物(b)の残存するイソシアネート基と、ヒドロキシアルキルアクリレート及び/又はヒドロキシアルキルメタアクリレートとが、ウレタン結合により結合しているポリマーであることが好ましい。
ポリイソシアネート化合物(b)を、ポリカーボネートジオール組成物(A)の末端基当量未満のイソシアネート基当量用いて反応させる場合、当量比として、(A)/(b)は1を超えていれば特に限定されるものではないが、1.01以上3以下であることが好ましい。また、ポリイソシアネート化合物(b)を、ポリカーボネートジオール組成物(A)の末端基当量を超えるイソシアネート基当量用いて反応させる場合、当量比として(b)/(A)は1を超えていれば特に限定されるものではないが、1.01以上3以下であることが好ましい。
<ポリマー(B2)>
ポリマー(B2)としては、粘度調整や硬化して得られる印刷版又は印刷原版の特性調整等の点から、モノマー(a2)の末端基と、当該モノマー(a2)の末端基当量未満のイソシアネート基当量のポリイソシアネート化合物(b)と、が重合し、重合しているモノマー(a2)の残存する末端基と、イソシアナトアルキルアクリレート及び/又はイソシアナトアルキルメタクリレートと、が結合しているポリマーである。
ポリマー(B2)として、モノマー(a2)の末端基Xが、水酸基であることが好ましく、この場合、モノマー(a2)とポリイソシアネート化合物(b)との重合は、ポリウレタン結合により重合していることが好ましい。また、モノマー(a2)の残存する末端水酸基と、イソシアナトアルキルアクリレート及び/又はイソシアナトアルキルメタクリレートと、の結合は、ウレタン結合により結合していることが好ましい。
また、ポリマー(B2)としては、モノマー(a2)の末端基と、当該モノマー(a2)の末端基当量を超えるイソシアネート基当量のポリイソシアネート化合物(b)と、が重合し、重合しているポリイソシアネート化合物(b)の残存するイソシアネート基と、ヒドロキシアルキルアクリレート及び/又はヒドロキシアルキルメタアクリレートと、がウレタン結合しているポリマーである。
ポリイソシアネート化合物(b)を、モノマー(a2)の末端基当量未満のイソシアネート基当量用いて反応させる場合、当量比として、(a2)/(b)は1を超えていれば特に限定されるものではないが、1.01以上3以下であることが好ましい。また、ポリイソシアネート化合物(b)を、モノマー(a2)の末端基当量を超えるイソシアネート基当量用いて反応させる場合、当量比として、(b)/(a2)は1を超えていれば特に限定されるものではないが、1.01以上3以下であることが好ましい。
ポリマー(B1)及びポリマー(B2)を製造する際の、例えば、ポリカーボネートジオール組成物(A)又はモノマー(a2)と、ポリイソシアネート化合物(b)との重合工程における反応温度は、特に制限されないが、好ましくは20℃以上200℃以下、より好ましくは30℃以上150℃以下、さらに好ましくは40℃以上120℃以下である。
重合工程の反応温度が、20℃以上200℃以下であれば、ポリマーの生産性が向上するとともに副反応による品質低下を抑制することができる。
重合工程における反応時間は、特に制限されないが、好ましくは1時間以上20時間以下、より好ましくは2時間以上10時間以下、さらに好ましくは2時間以上8時間以下である。
重合工程の反応時間が1時間以上20時間以下であれば、ポリマーの生産性が向上するとともに副反応による品質低下を抑制することができる。
<ポリイソシアネート化合物(b)>
本実施形態において、ポリイソシアネート化合物(b)としては、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物であれば、特に制限はない。ポリイソシアネート化合物(b)として、例えば、芳香族ジイソシアネート及び脂肪族又は脂環式ジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物などが挙げられ、1種又は2種以上を併用して用いることができる。本実施の形態において、ポリイソシアネート化合物(b)のイソシアネート基当量は、ポリイソシアネート化合物(b)の理論値として求めることができる。
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族又は脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物(b)としては、トリイソシアネート化合物も挙げられ、例えば、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリ(イソシアナトフェニル)トリホスフェートなどが挙げられる。他のポリイソシアネート化合物(b)としては、ポリメリック(ジフェニルメタンジイソシアネート)などが挙げられるが、耐溶剤性の観点から、ジイソシアネート化合物が好ましく、芳香族ジイソシアネートがより好ましく、トリレンジイソシアネートがさらに好ましい。
本実施形態において、イソシアナトアルキルアクリレート及びイソシアナトアルキルメタクリレートとしては、例えば、イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、イソシアナトプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、1種又は2種以上を併用して用いることができる。
ヒドロキシアルキルアクリレート及びヒドロキシアルキルメタクリレートとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、1種又は2種以上を併用して用いることができる。
<有機化合物(C)>
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、粘度調整や硬化して得られる印刷版又は印刷原版の特性調整などの点から、重合性不飽和基を有しかつ数平均分子量が5,000未満である有機化合物(C)(以下、単に「有機化合物(C)」と記載する場合がある。)をさらに含有することが好ましい。
本実施形態において、「有機化合物(C)の数平均分子量」は、単体の化合物である場合は分子量を意味し、単一化合物ではない場合はGPC法(ゲルろ過クロマトグラフィー法)により測定することができる値を意味する。
本実施形態において、「重合性不飽和基」とは、ラジカル重合又は付加反応に関与する不飽和基を意味する。
ラジカル重合反応に関与する重合性不飽和基としては、例えば、アクリル基、メタクリル基などが挙げられ、付加反応に関与する重合性不飽和基としては、例えば、エポキシ基、オキセタン基、ビニルエーテル基などが挙げられる。
有機化合物(C)としては、例えば、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼンなどのオレフィン類;(メタ)アクリル酸及びその誘導体;ハロオレフィン類、アクリルニトリルなどの不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド及びその誘導体;アリルアルコール、アリルイソシアネートなどのアリル化合物;無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸及びその誘導体;酢酸ビニル類;N−ビニルピロリドン;N−ビニルカルバゾールなどが挙げられるが、(メタ)アクリル酸又はその誘導体が好ましい。
上記誘導体としては、例えば、アルキル−、ハロゲン化アルキル−、アルコキシアルキル−、ヒドロキシアルキル−、アミノアルキル−、アリル−、シクロアルキル−、ビシクロアルキル−、シクロアルケニル−、ビシクロアルニル−などの脂肪族又は脂環式の骨格を有する化合物;ベンジル−、フェニル−、フェノキシ−、フルオレニル−などの芳香族の骨格を有する化合物;テトラヒドロフルフリル−などの、酸素、窒素、硫黄などをヘテロ原子として含有した複素芳香族の骨格を有する化合物であってもよい。
また、上記誘導体としては、グリシドール、アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、(アルキル/アリルオキシ)ポリアルキレングリコール、トリメチロールプロパンなどのアルコールのエステルなどが挙げられる。
有機化合物(C)としては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールブチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールフェニルエーテル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる
有機化合物(C)としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSプロピレンオキサイドジグリシジルエーテル、水添化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドが付加した化合物のジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレングリコールアジペート)ジオールジグリシジルエーテル、ポリ(エチレングリコールアジペート)ジオールジグリシジルエーテル、ポリ(カプロラクトン)ジオールジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、1−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−1’−メチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、アジピン酸ビス[1−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシル]エステル、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ポリブタジエンやポリイソプレンなどのポリジエンに過酢酸を反応させて得られるポリエポキシ化合物、エポキシ化大豆油なども挙げられる。
有機化合物(C)は、目的に応じて1種又は2種以上を併用して用いることができる。
<無機系微粒子(D)>
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、印刷原版にした場合、柔軟性に加え、好ましくはレーザーで直接レリーフ画像を形成する手法において重要な特性であるレーザー彫刻性に優れるという特徴を併せ持つが、レーザー彫刻性をより向上させるために、無機系微粒子(D)をさらに含有することが好ましい。
無機系微粒子(D)の材質や形態に制限はないが、粒子中に微小細孔又は微小な空隙を有するものが好ましい。無機系微粒子(D)は、硬化性樹脂組成物を印刷原版にした場合において、当該原版がレーザーによって分解されて発生する液状カスを効果的に吸収除去する働きがあり、樹脂組成物に無機系微粒子(D)を含有させることにより、レーザー彫刻によるレリーフ画像の精度が向上するのみならず、レーザー彫刻後の洗浄操作が極めて簡便になる。
無機系微粒子(D)の大きさには制限はないが、数平均粒子径が0.01〜100μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜20μmであり、さらに好ましくは1〜10μmである。
無機系微粒子(D)の平均細孔径には制限はないが、好ましくは1〜1,000nmであり、より好ましくは2〜200nmであり、さらに好ましくは2〜50nmである。
無機系微粒子(D)の細孔容積には制限はないが、0.01〜10mL/gが好ましく、より好ましくは0.1〜5mL/gである。
無機系微粒子(D)の比表面積には制限はないが、1〜1,500m/gが好ましく、より好ましくは10〜800m/gである。
無機系微粒子(D)の形状には制限はないが、球状、扁平状、針状、無定形、又は表面に突起のある粒子などを使用することができる。また、粒子の内部が空洞になっている粒子、シリカスポンジなどの均一な細孔径を有する球状顆粒体なども使用することができる。例えば、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ、シリカ−ジルコニア多孔質ゲル、メソポーラスモレキュラーシーブ、ポーラスアルミナ、多孔質ガラスなどを用いることができる。また、層状粘土化合物などのように、層間に数nm〜100nmの空隙が存在するものも無機系微粒子として用いることができる。
無機系微粒子(D)は、目的に応じて1種又は2種以上を併用して用いることができる。
<光重合開始剤(E)>
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤(E)をさらに含有することが好ましい。
光重合開始剤(E)としては、公知のものから適宜選択すればよく、例えば、高分子学会編「高分子データ・ハンドブック−基礎編」(1986年、培風館発行)に例示されているラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合の開始剤などを使用することができる。
光重合開始剤を用いて光重合により硬化性樹脂組成物の架橋を行うことは、貯蔵安定性を保ちながら、生産性よく印刷原版を生産する方法として有用である。
光重合開始剤(E)としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノンなどのアセトフェノン類;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシル酸メチル、ベンゾフェノン、ベンジル、ジアセチル、ジフェニルスルフィド、エオシン、チオニン、アントラキノン類などの光ラジカル重合開始剤;光を吸収して酸を発生する芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩などの光カチオン重合開始剤;光を吸収して塩基を発生する光アニオン重合開始剤などが挙げられる。
光重合開始剤(E)は、目的に応じて1種又は2種以上を併用して用いることができる。
<熱重合開始剤(F)>
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、熱重合開始剤(F)をさらに含有することが好ましい。
熱重合開始剤(F)としては特に制限されず、ラジカル重合反応、開環重合反応に使用できる全ての熱重合開始剤が挙げられる。
ラジカル重合反応に用いられる熱重合開始剤として、例えば、有機過酸化物、無機過酸化物、有機珪素過酸化物、ヒドロペルオキシド、アゾ化合物、チオール化合物、キノン及びキノンジオキシム誘導体などが挙げられる。
開環重合反応に用いられる熱重合開始剤として、例えば、マイクロカプセル中に酸や塩基を含有する重合開始剤を入れ、加熱することによってマイクロカプセルが破壊することによって内部の重合開始剤が流出し、硬化が開始するタイプの潜在性熱重合開始剤を選択することが好ましい。
具体的には、旭化成ケミカルズ株式会社製、ノバキュア(登録商標)を用いることが好ましい。
熱重合開始剤(F)は、目的に応じて1種又は2種以上を併用して用いることができる。
熱重合開始剤(F)は、混合の容易性の観点から、20℃において液状であることが好ましい。
熱重合開始剤(F)の熱安定性は、通常、10時間半減期の温度10h−t1/2の方法によって、即ち、熱重合開始剤(F)の当初の量の50%が、10時間後に分解してフリーラジカルを形成する温度で示される。これに関する更なる詳細については、「Encyclopedia of Polymer Science and Engineering」,11巻、1頁以降、John Wiley & Sons,ニューヨーク,1988年、に示されている。
特に好適な熱重合開始剤(F)は、好ましくは少なくとも60℃、より好ましくは少なくとも70℃の10h−t1/2を有する。さらに好ましくは80℃〜150℃の10h−t1/2である。
熱重合開始剤(F)としては、大気中での熱硬化性確保、取り扱い、熱硬化物の低硬度化の観点及び熱硬化性樹脂組成物との相溶性の観点から有機過酸化物が好ましい。
有機過酸化物としては、例えば、ペルオキシエステル類、ジペルオキシケタール類、ジアルキルペルオキシド類、ジアシルペルオキシド類、t−アルキルヒドロペルオキシド類が挙げられる。
ペルオキシエステル類としては、例えば、過オクタン酸t−ブチル、過オクタン酸t−アミル、ペルオキシイソ酪酸t−ブチル、ペルオキシマレイン酸t−ブチル、過安息香酸t−アミル、ジペルオキシフタール酸ジ−t−ブチル、過安息香酸t−ブチル、過酢酸t−ブチル及び2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンなどが挙げられる。
ジペルオキシケタール類としては、例えば、1,1−ジ(t−アミルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン及びエチル3,3−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブチレートなどが挙げられる。
ジアルキルペルオキシド類としては、例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド及び2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンなどが挙げられる。
ジアシルペルオキシド類としては、例えば、ジベンゾイルペルオキシド及びジアセチルペルオキシドなどが挙げられる。
t−アルキルヒドロペルオキシド類としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−アミルヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド及びクミルヒドロペルオキシドなどが挙げられる。
無機過酸化物としては、例えば、Ba、Ca、Mg、Znなどの過酸化物が挙げられる。
有機珪素過酸化物としては、例えば、Si−O−O−Si型、Si−O−O−C型、Si−O−O−R(アルキル)型の化合物が挙げられる。
チオール化合物としては、例えば、6−ジブチルアミノ−1、3、5−トリアジン−2,4−ジチオール、メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトイミダゾリンなどが挙げられる。
キノン及びキノンジオキシム誘導体としては、例えば、p−キノン、p−キノンジオキシムなどが挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルなどが挙げられる。
ヒドロペルオキシドとしては、例えば、脂肪族及び脂環式飽和ヒドロペルオキシド、芳香族側鎖にOOH基を有するヒドロペルオキシドが挙げられる。ヒドロペルオキシドとしては、例えば、メチルヒドロペルオキシド、エチルヒドロペルオキシド、プロピルヒドロペルオキシド、ブチルヒドロペルオキシド、イソプロピルヒドロペルオキシド、イソブチルヒドロペルオキシド、ヘキシルヒドロペルオキシド、オクチルヒドロペルオキシド、デシルヒドロペルオキシド、シクロペンチルヒドロペルオキシド、シクロヘキシルヒドロペルオキシド、ベンジルヒドロペルオキシド、1−フェニルエチルヒドロペルオキシド、ジフェニルメチルヒドロペルオキシド、トリフェニルメチルヒドロペルオキシド、テトラリンヒドロペルオキシド、9−フルオレニルヒドロペルオキシドなどが挙げられる。
本実施形態における硬化性樹脂組成物の製造方法は、ポリマー(B1)及び/又は(B2)に、重合性不飽和基を有しかつ数平均分子量が5,000未満の有機化合物(C)、無機系微粒子(D)、光重合開始剤(E)、及び熱重合開始剤(F)からなる群より選択される少なくとも一種を添加する工程を含むことが好ましい。
硬化性樹脂組成物の製造方法において、特に限定されるものではないが、ポリマー(B1)及び/又はポリマー(B2)を製造するのと同様の温度条件で、工程(2)に引き続いて混合することにより、硬化性樹脂組成物を製造することができる。
本実施形態において、硬化性樹脂組成物の組成には制限はないが、ポリカーボネートジオール組成物(A)から製造されるポリマー(B1)、及び/又はポリマー(B2)100質量部に対して、有機化合物(C)は5〜200質量部、無機系微粒子(D)は1〜100質量部、光重合開始剤(E)は1〜100質量部、熱重合開始剤(F)は1〜100質量部であることが好ましい。
硬化性樹脂組成物には、用途や目的に応じて重合禁止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、滑剤、界面活性剤、可塑剤、香料などを添加することができる。その添加量は硬化性樹脂組成物に対して10質量%以下の範囲であることが好ましい。
ポリカーボネートジオール組成物(A)から製造されるポリマー(B1)、及び/又はポリマー(B2)を含む硬化性樹脂組成物を用いることにより、耐溶剤性に優れた印刷版又は印刷原版を得ることができる。また、該印刷原版をレーザー彫刻せしめることにより耐溶剤性に優れた印刷版を得ることができる。
<印刷原版>
本実施形態の印刷原版の製造方法は、ポリカーボネートジオール組成物(A)から製造されるポリマー(B1)、及び/又はポリマー(B2)を含む硬化性樹脂組成物をシート状又は円筒状に成形する工程と、該シート状又は円筒状に成形された硬化性樹脂組成物を硬化する工程、を含む。
ポリカーボネートジオール組成物(A)から製造されるポリマー(B1)、及び/又はポリマー(B2)を含む硬化性樹脂組成物を用いることにより、耐溶剤性に優れた印刷原版を製造することができる。
硬化性樹脂組成物をシート又は円筒状に成形する方法には制限はなく、既存の樹脂の成形方法を用いることができる。例えば、ポンプや押し出し機などの機械で樹脂をノズルやダイスから押し出し、ブレードで厚みを合わせる方法(注型法);ロールによりカレンダー加工して厚みを合わせる方法などが挙げられる。
硬化性樹脂組成物の性能を落とさない範囲で加熱しながら成形を行うことも可能である。また、必要に応じて圧延処理、研削処理などを施してもよい。通常は、PET(ポリエチレンテレフタレート)やニッケルなどの素材からなるバックフィルムと言われる下敷きの上に硬化性樹脂組成物を成形することができる。
印刷原版の製造方法における成形工程は、硬化性樹脂組成物を印刷機のシリンダー上に直接成形する工程であってもよい。その場合、継ぎ目の無いシームレススリーブを成形することができる。
シート状又は円筒状に成形された硬化性樹脂組成物を硬化する方法には制限はなく、既存の樹脂の硬化方法を用いることができる。
印刷原版の製造方法における硬化工程は、活性光線により硬化する工程であることが好ましく、活性光線としては、光、電子線、及び熱からなる群から選択される少なくとも一種が挙げられる。
<印刷版>
本実施形態の印刷版の製造方法は、印刷原版をレーザー彫刻する工程を含み、レーザー彫刻により印刷原版の表面に凹凸を形成することが好ましい。
耐溶剤性に優れる印刷原版を用いることにより、耐溶剤性に優れる印刷版を製造することができる。
レーザー彫刻の方法は、特に制限されないが、例えば、印刷原版をレーザー加工機に取り付けレーザー彫刻することで表面に凹凸を有する印刷版を形成することができる。
本実施形態の硬化性樹脂組成物は硬化した場合のレーザー彫刻性も良好であることから、特にレーザー彫刻法による印刷版の製造に適している。
スリーブ成形・彫刻装置(液状の硬化性樹脂組成物を円筒状支持体上に塗布し、光、電子線、熱からなる群より選択される少なくとも一種の手段により液状硬化性樹脂組成物を硬化させる装置内に、レーザー彫刻用のレーザー光源を組み込んだもの)を用いて印刷版を成形する工程とすることもできる。このような装置を用いた場合、スリーブを成形した後に直ちにレーザー彫刻して印刷版を成形することができるので、成形加工に数週間の期間を必要としていた従来のゴムスリーブでは到底考えられない短時間加工が実現可能となる。
本実施形態の印刷版の製造方法として、いわゆるフォトリソグラフィー法が挙げられ、硬化性樹脂組成物を、シート状又は円筒状に成形する工程と、該シート状又は円筒状に成形された硬化性樹脂組成物の表面にネガマスク層を配置する工程と、該ネガマスク層が配置された表面側から活性光線を照射する工程(露光工程)と、未照射部分を除去する工程(現像工程)を含む。
活性光線としては、光、電子線、及び熱からなる群から選択される少なくとも一種が挙げられ、露光工程により、シート状又は円筒状に成形された硬化性樹脂組成物は部分的に硬化される。
本実施形態の硬化性樹脂組成物を用いることにより、耐溶剤性に優れた印刷版を製造することができる。
<用途>
本実施形態の印刷版は、フレキソ印刷、レタープレス印刷、ドライオフセット印刷、グラビア印刷、ロータリースクリーン印刷から選択される少なくとも1種の印刷用途で好適に用いることができる。また、印刷版を型として使用し、該印刷版表面と、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂が接触し、印刷版表面の凹部パターンが転写される用途で用いることもできる。
以下、本実施形態を実施例及び参考例により、詳細に説明するが、本実施形態は以下の実施例のみに限定されるものではない。以下の実施例及び参考例における諸特性は、下記の方法に従って測定した。
<測定方法>
1.ポリカーボネートジオールの活性水素基価
無水酢酸12.5gをピリジンで50mLにメスアップしアセチル化試薬を調製した。100mLナスフラスコに、サンプルを0.1〜1.0g精秤した。アセチル化試薬2mLとトルエン4mLをホールピペットで添加後、冷却管を取り付けて、100℃で1時間撹拌加熱した。蒸留水1mLをホールピペットで添加、さらに10分間加熱撹拌した。
2〜3分間冷却後、エタノールを5mL添加し、指示薬として1%フェノールフタレイン/エタノール溶液を2〜3滴入れた後に、0.5mol/Lエタノール性水酸化カリウム(滴定液)で滴定した。
ブランク試験としてアセチル化試薬2mL、トルエン4mL、蒸留水1mLを100mLナスフラスコに入れ、10分間加熱撹拌した後、同様に滴定を行った。この結果をもとに、ポリカーボネートジオールの末端水酸基当量として、下記数式(i)を用いて活性水素基価を計算した。
数式(i):
活性水素基価(mg−KOH/g)={(b−a)×28.05×f}/e
a:サンプルの滴定量(mL)
b:ブランク試験の滴定量(mL)
e:サンプル重量(g)
f:滴定液のファクター
2.ポリカーボネートジオールの数平均分子量の測定
実施例及び参考例中のポリカーボネートジオールの末端は、13C−NMR(270MHz)の測定により、実質的に全てがヒドロキシル基であった。また、ポリカーボネートジオール中の酸価をKOHによる滴定により測定したところ、実施例及び参考例の全てが0.01以下であった。
そこで、得られたポリカーボネートジオールの数平均分子量を下記数式(ii)により求めた。
数式(ii):
数平均分子量Mn=2/(活性水素基価×10−3/56.11)
3.ポリマーの数平均分子量の測定(GPC法による算出)
実施例及び参考例中のポリマーの数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)を用いて、分子量既知のポリスチレンで換算して求めた。東ソー社製の高速GPC装置「HLC−8220GPC」と東ソー社製のポリスチレン充填カラム「TSKgel GMHXL」(内径7.8mm、長さ300mm×3本)を用い、テトラヒドロフラン(THF)で展開して測定した。
カラムの温度は40℃に設定した。GPC装置に注入する試料としてはポリマー濃度が1質量%のTHF溶液を調製し、注入量を10μLとした。また、検出器としては、示差屈折率検出器を使用した。
4.印刷原版の膨潤率
各種溶剤に対する膨潤率については、厚さ3mmの印刷原版を2cm×1cmに切り、23℃で24hr浸漬させて、下記数式(iii)を用いて膨潤率を求めた。
数式(iii):
膨潤率(質量%)={(浸漬後の質量−浸漬前の質量)/浸漬前の質量}×100
5.印刷原版のレーザー彫刻性
炭酸ガスレーザー彫刻機(出力12ワット、商標Laser Pro Venus、GCC社製)を用いて印刷原版のレーザー彫刻を行った。彫刻は、200μm幅の凸線による線画を含むパターンを作成して実施した。彫刻深さ(レリーフ深度)は400μmとした。レーザー彫刻による粘稠性液状カス発生の有無及び線画の鮮明性を目視判定した。
〔実施例1〕
撹拌機を備えた300mLのセパラブルフラスコにジエチレングリコール30.04g(0.283mol)(分子量Mw=106)を入れ、トリレンジイソシアネート36.66g(0.210mol)を3分割して30分おきに加えた。乾燥空気雰囲気下、最初にトリレンジイソシアネートを加えてから30分間は40℃で、次いで80℃で2時間撹拌した。その後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート22.96gを加えて、乾燥空気雰囲気下80℃で3時間撹拌した。この段階で、ジエチレングリコールの末端水酸基がウレタン結合により連結され、かつ二重結合を有するポリマー(GPC法による数平均分子量Mn=1601)が得られたことを、赤外分光分析により確認した。その後、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート13.33g、トリメチロールプロパントリメタクリレート7.40g、シリカゲルC−1504(富士シリシア化学株式会社)6.88g、シリコーンオイルKF−410(信越化学工業株式会社)1.50g、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.90g、ベンゾフェノン1.50g、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.90g、サノール(登録商標)LS−785(三共株式会社)1.50gを加えて80℃で2時間撹拌して混合した後、13kPaに減圧して脱泡し、80℃で粘稠な液体状の硬化性樹脂組成物を得た。
〔実施例2〕
規則充填物ヘリパックパッキンNo.3を充填した、充填高さ400mm、内径60mmの蒸留塔、及び分留頭を備えた20L反応釜に、ジエチレングリコール12825g(120.9mol)、エチレンカーボネート11175g(126.9mol)を仕込み、70℃で撹拌溶解し、系内を窒素置換した後、触媒としてテトラブトキシチタン9.6gを加えた。この反応釜を、内温が160〜165℃、圧力が8〜11kPaとなるように、分留頭から還流液の一部を抜き出しながら加熱し、55時間反応した。その後、充填式蒸留塔を外して、単蒸留装置に取り替え、内温170〜180℃に上げ、圧力を0.2kPaまで落として、反応釜内に残った原料(ジエチレングリコール、エチレンカーボネート)を留去した。その後、内温175〜190℃、圧力0.1kPaで単蒸留装置にて反応により生成するジエチレングリコールを留去しながら、さらに10時間反応した。この反応により、室温で粘稠な液状のポリカーボネートジオールが10020g得られた。得られたポリカーボネートジオールの活性水素基価は69.5(数平均分子量Mn=1614)であった。
撹拌機を備えた300mLのセパラブルフラスコに上記数平均分子量Mn=1614のポリカーボネートジオール48.04g、ジエチレングリコール12.00g(分子量Mw=106)を入れ、ポリカーボネートジオール組成物(数平均分子量Mnの計算値=420)とし、トリレンジイソシアネート22.12gを5分割して30分おきに加えた。乾燥空気雰囲気下、最初にトリレンジイソシアネートを加えてから30分間は40℃で、次いで80℃で3時間撹拌した。その後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート5.04gを加えて、乾燥空気雰囲気下80℃で2時間撹拌した。この段階で、ポリカーボネートジオール組成物の末端水酸基がウレタン結合により連結され、かつ二重結合を有するポリマー(GPC法による数平均分子量Mn=7108)が得られたことを、赤外分光分析により確認した。
その後、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート12.93g、トリメチロールプロパントリメタクリレート7.18g、シリカゲルC−1504(富士シリシア化学株式会社)6.68g、シリコーンオイルKF−410(信越化学工業株式会社)1.45g、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.87g、ベンゾフェノン1.46g、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.88g、サノール(登録商標)LS−785(三共株式会社)1.45gを加えて80℃で2時間撹拌して混合した後、13kPaに減圧して脱泡し、80℃で粘稠な液体状の硬化性樹脂組成物を得た。
〔実施例3〕
規則充填物を充填した、充填高さ5m、直径0.45m、理論段数10段の蒸留塔、コンデンサー、ポット、還流ポンプからなる蒸留装置、攪拌機を備えた加熱ジャケット付き3m3SUS製反応器に、ジエチレングリコール1298.4kg(12.235kmol)、エチレンカーボネート1131.3kg(12.847kmol)を仕込み、触媒としてテトラブトキシチタンを0.97kg添加した。反応器を1kPaまで減圧にし、窒素を導入して大気圧に戻すという操作を3回繰返し、反応器内部を窒素で置換した。
ジャケットに250℃の熱媒を流すことにより加熱を開始し、塔頂圧力を7〜8kPaに調整し、反応器内温150℃で2時間加熱した。このとき蒸留塔からの抜き出しは行わなかった。
その後、蒸留塔の還流比を8〜12とし、抜き出し量を35〜55kg/時となるように塔頂圧力を7〜3kPaに調整し、ジャケットに25℃の熱媒を流すことにより反応器内温160〜165℃で15時間加熱した。
その後、蒸留塔から全量抜き出すようにし、塔頂圧力を0.5kPaに調整し、ジャケットに210℃の熱媒を流すことにより反応器内温160〜175℃で3時間加熱した。
その後、塔頂圧力を0.2〜0.3kPaに調整し、ジャケットに180℃の熱媒を流すことにより反応器内温175℃で、蒸留塔を使用せずに、留出する成分を全量抜き出しながら、3時間20分加熱した。
この反応により、室温で粘稠な液状のポリカーボネートジオールが1002kg得られた。得られたポリカーボネートジオールの活性水素基価は54.8(数平均分子量Mn=2047)であった。
撹拌機を備えた300mLのセパラブルフラスコに上記の数平均分子量Mn=2047のポリカーボネートジオール89.45g、ジエチレングリコール(分子量Mw=106)10.52gを入れ、ポリカーボネートジオール組成物(数平均分子量Mnの計算値=700)とし、トリレンジイソシアネート21.40gを5分割して30分おきに加えた。乾燥空気雰囲気下、最初にトリレンジイソシアネートを加えてから30分間は40℃で、次いで80℃で3時間撹拌した。その後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート6.41gを加えて、乾燥空気雰囲気下80℃で2時間撹拌した。この段階で、ジエチレングリコールの末端水酸基がウレタン結合により連結され、かつ二重結合を有するポリマー(GPC法による数平均分子量Mn=8399)が得られたことを、赤外分光分析により確認した。
その後、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート18.97g、トリメチロールプロパントリメタクリレート10.53g、シリカゲルC−1504(富士シリシア化学株式会社)9.80g、シリコーンオイルKF−410(信越化学工業株式会社)2.13g、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン1.28g、ベンゾフェノン2.13g、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール1.29g、サノール(登録商標)LS−785(三共株式会社)2.14gを加えて80℃で2時間撹拌して混合した後、13kPaに減圧して脱泡し、80℃で粘稠な液体状の硬化性樹脂組成物を得た。
〔実施例4〕
撹拌機を備えた300mLのセパラブルフラスコに実施例7の数平均分子量Mn=2047のポリカーボネートジオール93.98g、エチレングリコール(分子量Mw=62)6.02gを入れ、ポリカーボネートジオール組成物(数平均分子量Mnの計算値=700)とし、トリレンジイソシアネート21.38gを6分割して30分おきに加えた。乾燥空気雰囲気下、最初にトリレンジイソシアネートを加えてから30分間は40℃で、次いで80℃で4時間撹拌した。その後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート6.40gを加えて、乾燥空気雰囲気下80℃で2時間撹拌した。この段階で、ジエチレングリコールの末端水酸基がウレタン結合により連結され、かつ二重結合を有するポリマー(GPC法による数平均分子量Mn=7700)が得られたことを、赤外分光分析により確認した。
その後、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート18.96g、トリメチロールプロパントリメタクリレート10.52g、シリカゲルC−1504(富士シリシア化学株式会社)9.81g、シリコーンオイルKF−410(信越化学工業株式会社)2.12g、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン1.28g、ベンゾフェノン2.14g、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール1.29g、サノール(登録商標)LS−785(三共株式会社)2.13gを加えて80℃で2時間撹拌して混合した後、13kPaに減圧して脱泡し、80℃で粘稠な液体状の硬化性樹脂組成物を得た。
〔実施例5〕
シリカゲルC−1504を加えなかった以外は実施例2と同様にして、80℃で粘稠な液体状の硬化性樹脂組成物を得た。
〔参考例1〕
規則充填物ヘリパックパッキンNo.3を充填した、充填高さ300mm、内径30mmの蒸留塔、及び分留頭を備えた2Lフラスコに、ジエチレングリコール587.8g(5.54mol)、エチレンカーボネート512.2g(5.82mol)を仕込み、70℃で撹拌溶解し、系内を窒素置換した後、触媒としてテトラブトキシチタン0.44gを加えた。このフラスコを、内温が160〜165℃、圧力が8〜10kPaとなるように、分留頭から還流液の一部を抜き出しながら加熱し、25時間反応した。その後、充填式蒸留塔を外して、単蒸留装置に取り替え、内温170〜175℃に上げ、圧力を0.2kPaまで落として、反応釜内に残った原料(ジエチレングリコール、エチレンカーボネート)を留去した。この反応により、室温で粘稠な液状のポリカーボネートジオールが1100.0g得られた。得られたポリカーボネートジオールの活性水素基価は100.0(数平均分子量Mn=1122)であった。
撹拌機を備えた300mLのセパラブルフラスコに上記のポリカーボネートジオール65.0g、リン酸モノブチル0.06gを入れ、95℃で3時間撹拌することにより、テトラブチキシチタンを失活させた。
その後、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.08g、アジピン酸0.01g、トリレンジイソシアネート8.49g、ジ−n−ブチルスズジラウレート0.001gを加えた。乾燥空気雰囲気下、トリレンジイソシアネートを加えてから30分間は40℃で、次いで80℃で3時間撹拌した。その後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート2.92g、ジ−n−ブチルスズジラウレート0.001gを加えて、乾燥空気雰囲気下80℃で2時間撹拌した。この段階で、ジエチレングリコールの末端水酸基がウレタン結合により連結され、かつ二重結合を有するポリマー(GPC法による数平均分子量Mn=7250)が得られたことを、赤外分光分析により確認した。
その後、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート11.34g、トリメチロールプロパントリメタクリレート6.29g、シリカゲルC−1504(富士シリシア化学株式会社)5.86g、シリコーンオイルKF−410(信越化学工業株式会社)1.28g、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン2.04g、ベンゾフェノン0.51g、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.77g、サノール(登録商標)LS−785(三共株式会社)1.28gを加えて80℃で2時間撹拌して混合した後、13kPaに減圧して脱泡し、80℃で粘稠な液体状の硬化性樹脂組成物を得た。
〔参考例2〕
規則充填物ヘリパックパッキンNo.3を充填した、充填高さ300mm、内径30mmの蒸留塔、及び分留頭を備えた2Lフラスコに、ジエチレングリコール534.8g(5.04mol)、エチレンカーボネート465.8g(5.29mol)を仕込み、70℃で撹拌溶解し、系内を窒素置換した後、触媒としてテトラブトキシチタン0.40gを加えた。このフラスコを、内温が155〜160℃、圧力が5〜10kPaとなるように、分留頭から還流液の一部を抜き出しながら加熱し、27時間反応した。その後、充填式蒸留塔を外して、単蒸留装置に取り替え、内温160〜170℃に上げ、圧力を0.2kPaまで落として、反応釜内に残った原料(ジエチレングリコール、エチレンカーボネート)を留去した。その後、内温160〜170℃、圧力0.1kPaで単蒸留装置にて反応により生成するジエチレングリコールを留去しながら、さらに11時間反応した。その後、リン酸モノブチルを0.27g加え95℃で3時間撹拌することにより、テトラブチキシチタンを失活させた。この反応により、室温で粘稠な液状のポリカーボネートジオールが326.8g得られた。得られたポリカーボネートジオールの活性水素基価は54.4(数平均分子量Mn=2063)であった。
撹拌機を備えた300mLのセパラブルフラスコに上記のポリカーボネートジオール200.0g、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.22g、アジピン酸0.04g、トリレンジイソシアネート12.26g、ジ−n−ブチルスズジラウレート0.02gを加えた。乾燥空気雰囲気下、トリレンジイソシアネートを加えてから30分間は40℃で、次いで80℃で3時間撹拌した。その後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート8.44g、ジ−n−ブチルスズジラウレート0.01gを加えて、乾燥空気雰囲気下80℃で2時間撹拌した。この段階で、ジエチレングリコールの末端水酸基がウレタン結合により連結され、かつ二重結合を有するポリマー(GPC法による数平均分子量Mn=7470)が得られたことを、赤外分光分析により確認した。
その後、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート32.76g、トリメチロールプロパントリメタクリレート18.18g、シリカゲルC−1504(富士シリシア化学株式会社)16.93g、シリコーンオイルKF−410(信越化学工業株式会社)3.68g、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン5.91g、ベンゾフェノン1.47g、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール2.22g、サノール(登録商標)LS−785(三共株式会社)3.69gを加えて80℃で2時間撹拌して混合した後、13kPaに減圧して脱泡し、80℃で粘稠な液体状の硬化性樹脂組成物を得た。
〔参考例3〕
撹拌機を備えた300mLのセパラブルフラスコにポリカーボネートジオール「T4672」(活性水素基価=53.7、数平均分子量Mn=2089、1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールの共重合ポリカーボネートジオール、旭化成ケミカルズ株式会社)65.46g、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.08g、アジピン酸0.01g、トリレンジイソシアネート3.91g、ジ−n−ブチルスズジラウレート0.001gを加えた。乾燥空気雰囲気下、トリレンジイソシアネートを加えてから30分間は40℃で、次いで80℃で3時間撹拌した。その後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート2.75g、ジ−n−ブチルスズジラウレート0.002gを加えて、乾燥空気雰囲気下80℃で2時間撹拌した。この段階で、ジエチレングリコールの末端水酸基がウレタン結合により連結され、かつ二重結合を有するポリマー(GPC法による数平均分子量Mn=15033)が得られたことを、赤外分光分析により確認した。
その後、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート23.85g、ジエチレングリコールブチルエーテルメタクリレート7.15g、トリメチロールプロパントリメタクリレート0.13g、シリカゲルC−1504(富士シリシア化学株式会社)5.50g、シリコーンオイルKF−410(信越化学工業株式会社)1.20g、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.72g、ベンゾフェノン1.20g、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.73g、サノール(登録商標)LS−785(三共株式会社)1.16gを加えて80℃で2時間撹拌して混合した後、13kPaに減圧して脱泡し、80℃で粘稠な液体状の硬化性樹脂組成物を得た。
実施例1〜5及び参考例1〜3で得られた硬化性樹脂組成物の各々を用いて、下記の方法で印刷原版を作製した。
15´14´0.5cmのガラス板にジエチレングリコールを薄く塗布した後、PETフィルムを乗せ、ヘラでこすり密着させた。そのフィルム上に両面シールにより固定させたスポンジ枠で作成した1辺10cmの四角枠と、その枠外の四隅に厚さ3mmのアルミスペーサーを置いた。この作成した治具を約90℃のホットプレート上に置いた。
治具の枠内に実施例1〜5又は参考例1〜3の硬化性樹脂組成物を注いだ後、ジエチレングリコールを塗布しPETフィルムを乗せたガラス板を、PETフィルム面が硬化性樹脂組成物に接触するようにかぶせた。その後に上下のガラス板をクリップで挟み固定した。
この治具についてセンエンジニアリング株式会社製の高圧水銀灯(商標:HC−98)を用いて、500mJ/cm(照度33.7mW/cm、時間14.8秒)露光した後、治具面を逆にし、更に500mJ/cm露光した。各面への照射を計12回行い、トータルで6000mJ/cm露光して印刷原版を作成した。
[実施例6]
実施例1で用いた2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンゾフェノン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールに替えてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(「パーブチル(登録商標)E」、日本油脂株式会社、100℃の10時間半減期を有する。)を用いた以外は、実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物を得た。
[実施例7]
2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンゾフェノン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールに替えてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(「パーブチル(登録商標)E」、日本油脂株式会社)を用いた以外は、実施例2と同様にして硬化性樹脂組成物を得た。
実施例6、7で得られた硬化性樹脂組成物の各々を、100μmのポリエステルフィルムではさみ、3mm厚のスペーサーを用いてプレス機で、130℃の条件で60分間、10kg/cmの圧力をかけて、厚さ3.0mmの印刷原版を作成した。
各実施例及び参考例の印刷原版について、膨潤率、及びレーザー彫刻性を測定した結果を表1に示す。
本発明のポリカーボネートジオール組成物、ポリマー、これらを含む硬化性樹脂組成物は、有機溶剤を含有するインクを用いる印刷に適し、印刷精度を大幅に向上させることを特徴とする耐溶剤性に優れた印刷版及び印刷原版の製造を可能とした。
また、本発明のポリカーボネートジオール組成物、ポリマー、これらを含む硬化性樹脂組成物は、レーザーによる彫刻により画像形成して印刷版を形成するレーザー彫刻用印刷原版の製造にも適している。
本発明は、フレキソ印刷、レタープレス印刷、ドライオフセット印刷、グラビア印刷、ロータリースクリーン印刷から選択される少なくとも一種の印刷用途で好適に用いることができる。

Claims (13)

  1. ポリカーボネートジオール(a1)と、モノマー(a2)と、を含
    前記ポリカーボネートジオール(a1)が、下記式(1)で表され、かつ数平均分子量が100〜50,000であるポリカーボネートジオールであり、
    式(1):
    (式中、R1は、ジエチレングリコールに由来する基を表す。)
    前記モノマー(a2)が、ジエチレングリコールであり、
    数平均分子量が60〜1,000である、ポリカーボネートジオール組成物と、
    当該ポリカーボネートジオール組成物の末端基の当量未満のイソシアネート基当量のポリイソシアネート化合物(b)と、が重合し、
    前記重合しているポリカーボネートジオール組成物の残存する末端基と、イソシアナトアルキルアクリレート及び/又はイソシアナトアルキルメタクリレートと、が結合しているポリマー
  2. 前記ポリイソシアネート化合物(b)が、ジイソシアネート化合物である、請求項に記載のポリマー。
  3. 数平均分子量が、400〜100,000である、請求項1又は2に記載のポリマー。
  4. 請求項のいずれか1項に記載のポリマーを含む、印刷版又印刷原版用硬化性樹脂組成物。
  5. 重合性不飽和基を有し、かつ数平均分子量が5,000未満である有機化合物(C)をさらに含む、請求項に記載の印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物。
  6. 無機系微粒子(D)をさらに含む、請求項4又は5に記載の印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物。
  7. 光重合開始剤(E)をさらに含む、請求項のいずれか1項に記載の印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物。
  8. 熱重合開始剤(F)をさらに含む、請求項のいずれか1項に記載の印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物。
  9. 請求項のいずれか1項に記載の印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物を用いて製造される印刷原版。
  10. 請求項に記載の印刷原版をレーザー彫刻して得られる印刷版。
  11. 請求項のいずれか1項に記載の印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物をシート状又は円筒状に成形する工程と、
    成形した印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物を、硬化する工程を含む、印刷原版の製造方法。
  12. 請求項に記載の印刷原版又は請求項11に記載の製造方法により得られる印刷原版をレーザー彫刻する工程を含む、印刷版の製造方法。
  13. 請求項のいずれか1項に記載の印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物を、シート状又は円筒状に成形する工程と、
    該シート状又は円筒状に成形された印刷版又は印刷原版用硬化性樹脂組成物の表面にマスク層を配置する工程と、
    該マスク層が配置された表面側から活性光線を照射する工程と、
    未照射部分を除去する工程と、を含む、印刷版の製造方法。
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