JP2010106070A - 印刷原版用樹脂 - Google Patents

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Abstract

【課題】低粘度で取扱いが容易な樹脂、低粘度で取扱いが容易であり塗工時間を短縮しうる樹脂組成物、および気泡の巻き込みが少なくレーザー彫刻性に優れる印刷原版および印刷版の提供。
【解決手段】活性水素を含有する数平均分子量が500以上10万以下の化合物(x)と、イソシアネート基の平均数fnが2より大きいイソシアネート化合物(y)との反応によって得られる構造を有し、重合性不飽和基を有する印刷原版用樹脂(a)。
【選択図】なし

Description

本発明は、印刷原版用樹脂と、該樹脂を含む印刷原版用樹脂組成物、該樹脂組成物を硬化せしめて得られうる印刷原版および印刷版に関する。
近年、紙・フィルムなどの軟包装に印刷を施す技術としてフレキソ印刷が広汎に用いられている。
段ボール、紙器、紙袋、軟包装用フィルムなどの包装材、壁紙、化粧板などの建装材、ラベル印刷などに用いられるフレキソ印刷は各種の印刷方式の中でその比重を高めている。これに用いる印刷版の製作には、通常、感光性樹脂が用いられることが多く、液状の樹脂又はシート状に成形された固体樹脂板が用いられる。印刷パターン形成方法としては、フォトマスクを感光性樹脂上に置き、マスクを通して光を照射し架橋反応を起こさせた後、非架橋部分を現像液で洗い落とすという方法が用いられてきた。
近年、感光性樹脂表面にブラックレイヤーという薄い光吸収層を設け、これにレーザー光を照射し感光性樹脂板上に直接マスク画像を形成して、そのマスクを通して光を照射し架橋反応を起こさせた後、光の非照射部分の非架橋部分を現像液で洗い落とす、いわゆるフレキソCTP(Computer to Plate)という技術が開発された。
特許文献1には、耐溶剤性に優れ、極性溶剤を含む溶剤型インキ又は塗料用いて印刷又は意匠性塗装することが可能なフレキソ印刷に用いるフレキシブル凸版についての記載がある。
特開平11−160857号公報
従来技術においては低硬度なフレキシブル凸版はドットゲインが大きくなり印刷精度が低下するという問題がある。一方で、高硬度な凸版はドットゲインが小さいが、高硬度な印刷原版を製造するのに用いる樹脂が高粘度になり、樹脂組成物としての取扱い性が悪化する問題がある。さらに、高粘度を避けるために分子量の設定を低くすると、低分子量の未反応成分が多くなるという問題もある。また、特許文献1に記載の技術のように粘度を下げるために揮発性溶剤などを添加することで樹脂の低粘度化を図る方法もあるが、揮発性溶剤を用いることで作業環境が悪化するため好ましくない。
すなわち、低粘度な樹脂、硬化前は低粘度で取扱い性が容易であり、かつ揮発性溶剤を含まない樹脂組成物、該樹脂組成物を塗工・硬化した際に気泡の巻き込みが十分に少ない印刷原版および印刷版はいまだ知られていないのが実情である。
すなわち、本発明は、低粘度で取扱いが容易な揮発性溶剤を液状樹脂組成物、および該樹脂組成物を硬化せしめて得られうるドットゲインが小さくなるような硬度を有する印刷原版及び印刷版を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、活性水素を含有する数平均分子量が500以上10万以下の化合物(x)とイソシアネート基数が2より大きいイソシアネート化合物(y)との反応によって得られうる構造を有する印刷原版用樹脂(a)はイソシアネート基数が2以下のイソシアネート化合物を用いた場合と比較して低粘度であり、樹脂(a)および樹脂(a)を含む印刷原版用樹脂組成物は低粘度で取扱い性が容易であり、形成に要する時間が短時間となり、樹脂(a)および該印刷原版用樹脂組成物を硬化せしめて得られうる印刷原版が支持体への塗工時に気泡の巻き込みが抑制され、レーザー彫刻性に優れることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は以下の通りである。
[1]
活性水素を含有する数平均分子量が500以上10万以下の化合物(x)と、イソシアネート基の平均数fnが2より大きいイソシアネート化合物(y)との反応によって得られる構造を有し、重合性不飽和基を有する印刷原版用樹脂(a)。
[2]
前記イソシアネート化合物(y)が脂肪族ジイソシアネート化合物、脂環族ジイソシネート化合物、芳香脂肪族ジイソシアネート化合物、芳香族ジイソシアネート化合物からなる群より選択される少なくとも一種以上から誘導される化合物である前項[1]記載の印刷原版用樹脂(a)。
[3]
前記イソシアネート化合物(y)がイソシアヌレート、ウレトジオン、アロハネート、ビウレットからなる群より選ばれる少なくとも1種の化学構造を含む前項[1]又は[2]に記載の印刷原版用樹脂(a)。
[4]
前記化合物(x)がポリオール及び/又はジオールである前項[1]〜[3]いずれか一項に記載の印刷原版用樹脂(a)。
[5]
樹脂(a)がカーボネート結合、ウレタン結合、およびエステル結合からなる群より選ばれる少なくとも一種の化学結合を有する前項[1]〜[4]いずれか1項に記載の樹脂(a)。
[6]
前項[1]〜[5]いずれか一項に記載の樹脂(a)と数平均分子量が1000未満の重合性不飽和基を有する有機化合物(b)を含有する印刷原版用樹脂組成物。
[7]
前記有機化合物(b)全量中、20質量%以上が脂環族の誘導体及び/又は芳香族の誘導体である前項[6]に記載の印刷原版用樹脂組成物。
[8]
光重合開始剤(c)を更に含有する前項[6]または[7]に記載の印刷原版用樹脂組成物。
[9]
光重合開始剤(c)が水素引き抜き型光重合開始剤及び/又は崩壊型光重合開始剤を含む前項[8]に記載の印刷原版用樹脂組成物。
[10]
熱重合開始剤(d)を更に含有する前項[6]から[9]のいずれか1項に記載の印刷原版用樹脂組成物。
[11]
20℃において液状である前項[6]から[10]のいずれか1項に記載の印刷原版用樹脂組成物。
[12]
数平均粒子径が0.01μm以上10μm以下である無機系微粒子を前記の印刷原版用樹脂組成物100質量部に対して1〜50質量部さらに含有する前項[6]から[11]のいずれか1項に記載の印刷原版用樹脂組成物。
[13]
前項[6]から[12]のいずれかに記載の印刷原版用樹脂組成物を光硬化及び/又は熱硬化せしめることにより得られうる印刷原版。
[14]
前項[13]に記載の印刷原版をレーザー彫刻することにより得られうる印刷版。
本発明によれば、低粘度で取扱いが容易であり、形成に要する時間が短時間となる印刷原版用樹脂および該樹脂含む印刷原版用樹脂組成物、および該印刷原版用樹脂や該印刷原版用樹脂組成物を形成し硬化せしめる際の気泡の巻き込みが少なく、レーザー彫刻性に優れる印刷原版及び印刷版を提供することを可能にする。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、本実施形態)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[樹脂(a)]
本実施形態の樹脂(a)は活性水素を含有する数平均分子量が500以上10万以下の化合物(x)と、イソシアネート基平均数fnが2より大きいイソシアネート化合物(y)との反応によって得られる構造を有し、重合性不飽和基を有する印刷原版用の樹脂(a)である。樹脂(a)一分子に含まれる重合性不飽和基の数に特に制限はないが、印刷原版及び印刷版の機械強度が向上し、耐久性も良好となる傾向にある観点から、1分子あたり平均で0.3個以上の重合性不飽和基を有していることが好ましい。また、印刷原版及び印刷版の機械強度の観点から、樹脂(a)中の重合性不飽和基の個数は1分子あたり0.5個以上がより好ましく、0.7個以上がさらに好ましい。樹脂(a)が重合性不飽和基を有していれば、後述の有機化合物(b)、光重合開始剤、熱重合開始剤を用いない場合であっても電子線やγ線などに代表される極めて高エネルギーの活性線を照射することにより、樹脂(a)単独で硬化せしめて印刷原版を得ることが可能である。
ここで「重合性不飽和基」とは、ラジカル重合反応又は付加重合反応に関与する重合性官能基を意味する。重合性不飽和基の位置は、高分子主鎖、高分子側鎖の末端あるいは高分子主鎖中や側鎖中に直接結合していることが好ましい。例えばウレタン結合中にアロハネート結合などにより重合性不飽和基を導入することなどが挙げられるがこの限りではない。
樹脂(a)1分子に含まれる重合性不飽和基の個数の平均は、核磁気共鳴スペクトル法(NMR法)による分子構造解析法で求めることができる。
樹脂(a)の数平均分子量は特に制限されないが、その数平均分子量は、好ましくは1500以上30万以下、より好ましくは2000以上25万以下、さらに好ましくは3000以上20万以下の樹脂である。数平均分子量が1500以上であると、印刷原版及び印刷版の強度が向上するため繰り返しの使用にも耐え得る傾向にあり好ましい。一方、30万以下であると、印刷原版用樹脂組成物の成形加工時の粘度が過度に上昇することがないため印刷原版用樹脂組成物をシート状または円筒状に容易に形成し得る傾向にあり好ましい。ここで言う数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定し、分子量既知のポリスチレンで検量し換算した値である。さらに、樹脂(a)の構造は、化合物(x)とイソシアネート化合物(y)との反応によって得られる構造を有していれば特に制限されないが、分子鎖中にカーボネート結合、エステル結合、エーテル結合、ウレタン結合およびシロキサン結合からなる群から選ばれる少なくとも1種類の化学結合を有しているのが好ましい。
樹脂(a)が前記化学結合を有する場合、印刷で用いられるエステル系溶剤を含有するインキ洗浄剤や炭化水素系溶剤を含有するインキ洗浄剤に対する印刷原版及び印刷版の耐性が向上する傾向にあるため好ましい。樹脂(a)の分子鎖中に上記化学結合を導入する方法としては、例えばカーボネート結合、エステル結合、エーテル結合、ウレタン結合およびシロキサン結合からなる群から選ばれる少なくとも1種類の化学結合を有する後述の化合物(x)及び/又はイソシアネート化合物(y)を用いる方法や、化合物(x)とイソシアネート化合物(y)との反応によって得られる構造を有する化合物に、更に分子鎖中にカーボネート結合、エステル結合、エーテル結合、ウレタン結合およびシロキサン結合からなる群から選ばれる少なくとも1種類の化学結合を有する化合物を付加する方法によって樹脂(a)の分子鎖中に該化学結合を導入することが可能である。
また、樹脂(a)に重合性不飽和基を持たせる方法としては特に制限されないが、例えば、樹脂(a)の製造過程において、重合性不飽和基を有する化合物(x)および/またはイソシアネート化合物(y)を用いることによって重合性の不飽和基を樹脂(a)の分子末端に導入する方法がある。
別法としては、化合物(x)とイソシアネート化合物(y)との反応によって得られる構造を有し、かつ反応性基(水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、ケトン基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、アルコキシカルボニル基など)を2以上有する数千程度の分子量の化合物と、これらの反応性基と結合しうる官能基を複数有する結合剤(例えば、水酸基やアミノ基などの反応性基に対してイソシアネート基を複数有する結合剤)を反応させ、分子量の調節、及び末端の結合性基への変換を行った後、この末端結合性基と反応する官能基と重合性不飽和基を有する有機化合物と反応させて末端に重合性不飽和基を導入する方法などの方法が好適に挙げられる。
[化合物(x)]
本実施形態で用いる化合物(x)は活性水素を含有し、数平均分子量が500以上10万以下の化合物である。
化合物(x)の数平均分子量の範囲は、数平均分子量で500以上10万以下であり、好ましくは1000以上5万以下、さらに好ましくは1500以上2万以下である。印刷版の強度が向上するため繰り返しの使用にも耐え得る観点から数平均分子量は500以上である。樹脂組成物の成形加工時の粘度が過度に上昇することがないため印刷原版及び印刷版をより容易に作製できる観点から10万以下である。
[活性水素]
活性水素を有する化合物(x)とは、分子中にヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、及び活性メチレン基のような活性水素含有基を有する化合物をいう。また、化合物(x)の末端基は、印刷版の強度が向上するため繰り返しの使用にも耐え得る観点から実質的にすべてヒドロキシル基であることが望ましい。活性水素を有する化合物(x)の具体例としては、ポリエステル、ポリエーテル、一酸化炭素−オレフィンコポリマー(ポリケトン)の水素添加によって得られるポリオール、そのホルムアルデヒド変性ポリマー、フェノール−アルデヒドポリ縮合物、アルデヒド−ポリオールポリ縮合物、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとのポリ縮合によって得られるエポキシ樹脂、ポリチオエーテル、ジカルボン酸とジアミンあるいはアミノアルコールから得られるポリエステルアミド、及びこれらの混合物等が含まれる。
[ポリオール]
本実施形態で用いるのに好ましい活性水素を有する化合物(x)は種々のポリオールである。ポリオールとは、1分子中に水酸基を2個以上有するアルコールをいう。例えば、ポリエーテル、ポリエステル、グリコール類、及びヒマシ油誘導体等は全てポリオールである。本実施形態で用いるのに好ましいポリオールは、ポリカーボネートジオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、これらの複合体及び混合物等である。分子内にカーボネート基を有するポリオール類は機械物性および耐溶剤性が向上し、またレーザー彫刻版として用いたときに分解性が向上する観点からさらに好ましく、具体的な形態としてはポリカーボネートジオールが挙げられる。ポリカーボネートジオールの具体的化合物としては例えば、4,6−ポリアルキレンカーボネートジオール、8,9−ポリアルキレンカーボネートジオール、5,6−ポリアルキレンカーボネートジオール等の脂肪族ポリカーボネートジオールを挙げることができる。また、芳香族系分子構造を分子内に有する脂肪族ポリカーボネートジオールを用いても構わない。
ポリカーボネートジオールとしては特に限定されないが、例えば、4,6−ポリアルキレンカーボネートジオール、8,9−ポリアルキレンカーボネートジオール、5,6−ポリアルキレンカーボネートジオール等の脂肪族ポリカーボネートジオール等を挙げることができる。また、芳香族系分子構造を分子内に有する脂肪族ポリカーボネートジオールを用いてもよい。
さらに、脂肪族ポリカーボネートジオールの末端の水酸基に、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物、トリフェニルメタントリイソシアネート、1−メチルベンゼン―2,4,6―トリイソシアネート、ナフタリン−1,3,7−トリイソシアネート、ビフェニル−2,4,4’−トリイソシアネート等のトリイソシアネート化合物を縮合反応させることにより、化合物(x)の骨格中にウレタン結合を導入するとともに、化合物(x)の高分子量化させることができる。
ポリカーボネートジオールは、Schell著、Polymer Review 第9巻、第9〜20ページ(1964年)に記載された種々の方法により脂肪族および/または脂環式ジオールから合成される。好ましいジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
前記ポリカーボネートジオールは、対応するジオールより、公知の方法(例えば、特公平5−29648号公報)により製造することが可能である。
ポリカーボネートジオールは下記式(1)で表される繰り返し単位からなり両末端基が水酸基であるポリカーボネートジオールであることが耐溶剤性の観点から好ましい。
Figure 2010106070
(式中の繰り返し単位においては直鎖及び/又は分岐した分子鎖を含んでも構わない。)
ポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA等のジオール類、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン等のトリオール類、ソルビトール等のポリオール類等を脱水縮合して得られるものが用いられる。代表的には、ポリプロピレングリコール等のポリオキシアルキレンポリオールが用いられる。また、アンモニア、エチレンジアミン、尿素、モノメチルジエタノールアミン、モノエチルジエタノールアミン等のアミン類の1種又は2種以上の存在下、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等を開環重合して得られるランダム又はブロック共重合体等が用いられる。また、これらを2種以上混合した混合物も用いられる。ポリエステルポリオールとしては、ジカルボン酸単独若しくは混合物と、ポリオール単独若しくは混合物を重縮合して得られるものが用いられる。また、ε−カプロラクトンやバレロラクトン等の開環重合物等も用いられる。さらに、ヒマシ油等の活性水素を2個以上有する油脂等も用いることができる。
ポリエステルポリオールの製造に用いられるジカルボン酸としては、特に制限されないが、アジピン酸、フタル酸、マロン酸、コハク酸、イタコン酸、シュウ酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼラン酸、セバシン酸、フマル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸化合物等が挙げられる。
ポリエステルポリオールの製造に用いられるポリオールとしては、特に限定されないが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ピコナール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール等が挙げられる。
ポリオレフィンポリオールとしては、ポリブタジエンポリオールやポリイソプレンポリオール等を用いることができる。また、耐溶剤性が好ましくなるためこれらの水素添加物を用いてもよい。
[イソシアネート化合物(y)]
本実施形態で用いるイソシアネート化合物(y)はイソシアネート基平均数fnが2より大きい化合物である。
前記イソシアネート化合物(y)の一分子あたりのイソシアネート基平均数fnは2より大きければ特に制限されないが、好ましくは2より大きく4以下であり、より好ましくは2.2以上3.8以下、さらに好ましくは2.4以上3.6以下である。平均イソシアネート基平均数fnは2以下であると架橋密度が不十分となる。イソシアネート基平均数fnが上記範囲内であれば、単一のイソシアネート化合物であっても良いし、イソシアネート化合物の製造時に副生する未反応のイソシアネート化合物などを含んでいても良い。イソシアネート基平均数fnは以下の式により求められる。
Figure 2010106070
本実施形態で用いる、イソシアネート化合物(y)は、イソシアヌレート、ウレトジオン、アロハネート、ビウレットからなる群より選択される少なくとも1種の化学構造を含むことが好ましい。
イソシアヌレート構造を有するイソシアネート化合物(y)としては例えばイソシアヌレート3量体、イソシアヌレート5量体が挙げられ、また、イソシアヌレート7量体、9量体以上の多量体も存在する。
イソシアヌレート3量体とは、ジイソシアネートモノマー3分子からなる、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートであり、下記式(2)で示される。
Figure 2010106070
(式中Rはジイソシアネートモノマー残基を表す)
また、イソシアヌレート5量体とは、ジイソシアネートモノマー6分子からなる、イソシアヌレート構造を有するポリイソシアネートであり、下記式(3)で示される。
Figure 2010106070
(式中Rはジイソシアネートモノマー残基を表す)
アロファネート構造を有する化合物とはモノアルコールの水酸基とイソシアネート基から形成され、下記式(4)で示される。
Figure 2010106070
ウレトジオン構造を有する化合物としてはたとえばウレトジオン2量体があげられる。ウレトジオン2量体とは、ジイソシアネートモノマー2分子からなる、ウレトジオン基を有する化合物であり、下記式(5)で示される。
Figure 2010106070
(式中Rはジイソシアネートモノマー残基を表す)
ビウレット構造を有する化合物とはウレアとイソシアネート基から形成され、下記式(6)で示される。
Figure 2010106070
(式中Rはジイソシアネートモノマー残基を表す)
イソシアネート化合物(y)として従来公知のイソシアネート基平均数fnが2より大きいイソシアネート化合物を用いることができる。また、種々のイソシアネート化合物を原料としてイソシアネート化合物(y)を生成することもできる。原料となるイソシアネート化合物としては、ジイソシアネート化合物や、これ以外のポリイソシアネート化合物を用いることができる。ジイソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族ジイソシアネート化合物、脂環式ジイソシアネート化合物、芳香脂肪族ジイソシアネート化合物、芳香族ジイソシアネート化合物等を用いることができる。
イソシアネート化合物(y)の原料となる脂肪族ジイソシアネート化合物としては特に制限されないが、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネ−ト、1,3−ペンタメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、リジンジイソシアネ−ト等を挙げることができる。
イソシアネート化合物(y)の原料となる脂環式ジイソシアネート化合物としては特に制限されないが、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等を挙げることができる。
イソシアネート化合物(y)の原料となる芳香脂肪族ジイソシアネート化合物としては、1,3−キシリレンジイソシアネ−ト、1,4−キシリレンジイソシアネ−ト、ω,ω´−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(α,α−ジメチルイソシアネートメチル)ベンゼン等を挙げることができる。
イソシアネート化合物(y)の原料となる芳香族ジイソシアネート化合物としては特に制限されないが、m−フェニレンジイソシアネ−ト、p−フェニレンジイソシアネ−ト、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、ナフチレン−1,4−ジイソシアネ−ト、1,5−ナフタレンジイソシアネ−ト、4,4´−ジフェニルジイソシアネ−ト、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、4,4´−ジフェニルエ−テルジイソシアネ−ト、2−ニトロジフェニル−4,4´−ジイソシアネ−ト、2,2´−ジフェニルプロパン−4,4´−ジイソシアネ−ト、3,3´−ジメチルジフェニルメタン−4,4´−ジイソシネ−ト、4,4´−ジフェニルプロパンジイソシアネ−ト、3,3´−ジメトキシジフェニル−4,4´−ジイソシアネ−トなどを挙げることができる。
イソシアネート化合物(y)の原料イソシアネートとして、上記に例示したイソシアネート化合物を単独あるいは組み合わせて使用することができる。
イソシアネート化合物(y)の原料イソシアネート化合物として好ましいものとしては、トリレンジイソシアネート(以下TDIと略す)、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下MDIと略す)、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下HDIと略す)、イソホロンジイソシアネート(以下IPDIと略す)、ジフェニルメタンジイソシアネートダイマー化合物を含有するジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン環及びイソシアヌレート環含有変性体が挙げられ、これらを単独、あるいは組み合わせて使用することができる。耐候性の点では、HDIまたはIPDIがより好ましく、機械特性の点からはMDI、またはTDIがより好ましい。また、イソシアネートの種類の豊富さからHDIがよりさらに好ましい。
上記原料となるイソシアネート化合物より製造されるイソシアネート化合物(y)としては例えばヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート環含有変性体、ウレトジオン環含有変性体、アロハネート含有変性体、ビウレット含有変性体が挙げられ、これらを単独、あるいは組合わせて使用することができる。耐溶剤性の観点からイソシアヌレート環含有変性体が好ましい。
[印刷原版用樹脂組成物]
本実施形態の印刷原版用樹脂組成物は、樹脂(a)と、数平均分子量が1000未満の重合性不飽和基を有する有機化合物(b)を含有する。
本実施形態の印刷原版用樹脂組成物は、硬化を均一に促進させる観点からに光重合開始剤(c)および/または熱重合開始剤(d)を含むことが好ましい。
また、本実施形態の印刷原版用樹脂組成物は目的に応じて無機系微粒子さらに含有させることもできる。さらに、本実施形態の印刷原版用樹脂組成物は、含フッ素モノマー、石油ワックス類、炭化水素鎖を有するモノマー、重合禁止剤、紫外線吸収剤、染料、滑剤、界面活性剤、可塑剤、香料などの添加剤を添加することができる。
本実施形態の印刷原版用樹脂組成物は、20℃で液状であることが好ましい。ここで言う20℃で液状とは、容易に流動変動し、かつ冷却により変形された形状に固化できるという性質を有する高分子体を意味し、外力を加えたときに、その外力に応じて瞬時に変形し、かつ外力を除いたときには、短時間に元の形状に回復する性質を有するエラストマーに対応する言葉である。この性質により、印刷原版を得るために樹脂組成物をシート状、もしくは円筒状に成形する際、良好な厚み精度や寸法精度を得られることができる。
また、樹脂組成物の20℃における粘度は、好ましくは、20℃において10Pa・s以上10kPa・s以下である。さらに好ましくは、50Pa・s以上5kPa・s以下である。粘度が10Pa・s以上であると、後に印刷原版用樹脂組成物を硬化せしめて得られる印刷原版および印刷版の機械的強度が十分であり、円筒状に成形する場合であっても形状を保持し易く、加工し易い。粘度が10kPa・s以下であると、印刷原版用樹脂組成物を高温にしなくとも変形し易く、加工が容易であり、シート状または円筒状の印刷版に成形し易く、プロセスも簡便である。
[有機化合物(b)]
重合性不飽和基の定義は、樹脂(a)の箇所でも記載したように、ラジカル又は付加重合反応に関与する重合性不飽和基である。有機化合物(b)は、分子内に重合性不飽和基を有している。
本実施形態で用いる有機化合物(b)の含有量は特に制限されないが、樹脂(a)100質量部に対して好ましくは20質量部以上300質量部以下であり、より好ましくは50質量部以上250質量部以下である。有機化合物(b)の含有量が20質量部以上であると、樹脂組成物の硬化物である印刷原版及び印刷版が十分な機械的強度が得られる傾向にあり、300質量部以下であると、樹脂組成物の硬化物である印刷原版及び印刷版の硬化収縮が低減される傾向にある。
有機化合物(b)の具体例としては、ラジカル反応性化合物として、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼン等のオレフィン類、アセチレン類、(メタ)アクリル酸及びその誘導体、ハロオレフィン類、アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体、アリールアルコール、アリールイソシアネート等のアリール化合物、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸及びその誘導体、酢酸ビニル類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール等が挙げられる。その種類の豊富さ、価格、レーザー光照射時の分解性等の観点から(メタ)アクリル酸及びその誘導体が好ましい例である。該誘導体として、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、シクロアルケン基、ビシクロアルケン基などを有する脂環族化合物、ベンジル基、フェニル基、フェノキシ基、フルオレン基などを有する芳香族化合物、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、グリシジル基等を有する化合物、アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールとのエステル化合物などが挙げられる。
有機化合物(b)の具体例としてさらに、付加重合反応するエポキシ基を有する化合物としては、種々のジオールやトリオールなどのポリオールにエピクロルヒドリンを反応させて得られる化合物、分子中のエチレン結合に過酸を反応させて得られるエポキシ化合物などを挙げることができる。具体的には、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドが付加した化合物のジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレングリコールアジペート)ジオールジグリシジルエーテル、ポリ(エチレングリコールアジペート)ジオールジグリシジルエーテル、ポリ(カプロラクトン)ジオールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物を挙げることができる。
これら重合性不飽和基を有する有機化合物(b)はその目的に応じて1種又は2種以上のものを選択できる。例えば印刷版として用いる場合、印刷インキの溶剤であるアルコールやエステル等の有機溶剤による膨潤を抑えるために用いる有機化合物として、長鎖脂肪族、脂環族又は芳香族の誘導体を少なくとも1種類以上有することが好ましい。
樹脂組成物から得られる印刷原版の機械強度を高めるためには、有機化合物(b)としては脂環族誘導体及び/又は芳香族誘導体を含むことが好ましい。この場合、脂環族誘導体及び/又は芳香族誘導体の含有量は、有機化合物(b)の全体量の、好ましくは20質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。また、前記芳香族誘導体は、窒素、硫黄等の元素を有する芳香族化合物であっても構わない。
印刷版の反発弾性を高めるため例えば特開平7−239548号に記載されているようなメタクリルモノマーを使用することもでき、公知の印刷用感光性樹脂の技術知見等を利用して選択することができる。
有機化合物(b)は、分子鎖中にカーボネート結合、エステル結合、及びエーテル結合からなる群から選ばれる少なくとも1種類の化学結合を有する化合物、及び/又は、脂肪族飽和炭化水素鎖を有しウレタン結合を有する化合物、及び/又は脂肪族不飽和炭化水素鎖有しウレタン結合を有する化合物、であることが印刷版の耐溶剤性を向上させるため好ましい。その中でも、カーボネート結合を有する化合物、脂肪族飽和炭化水素鎖を有しウレタン結合を有する化合物、脂肪族不飽和炭化水素差を有しウレタン結合を有する化合物は、溶剤インキで多用されるエステル系溶剤について特に高い耐溶剤性を示す。
[光重合開始剤]
光重合開始剤(c)としては、一般的に使用されているものから選択でき、例えば、高分子学会編「高分子データ・ハンドブック−基礎編」1986年培風館発行、に例示されているラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合の光重合開始剤等が使用できる。ラジカル重合反応を誘起させる光重合開始剤(c)は、水素引き抜き型光重合開始剤及び/又は崩壊型光重合開始剤を含むこと好ましい。
水素引き抜き型光重合開始剤としては、励起三重項状態を経て周囲の媒体から水素を引き抜いてラジカルを生成する化合物であれば特に限定されないが、効率的な光硬化と、可視光下での光重合開始剤の安定性の観点から芳香族ケトンを用いるのが好ましい。
芳香族ケトンとしては、例えば、ベンゾフェノン類、ミヒラーケトン類、キサンテン類、チオキサントン類、アントラキノン類等を挙げることができ、これら中から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いるのが好ましい。ベンゾフェノン類とは、ベンゾフェノン及びその誘導体を示し、具体的には、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−テトラメトキシベンゾフェノン等である。ミヒラーケトン類とは、ミヒラーケトン及びその誘導体等が挙げられる。キサンテン類とは、キサンテアルキル基、フェニル基、ハロゲン基で置換された誘導体をいう。チオキサントン類とは、チオキサントン及びアルキル基、フェニル基、ハロゲン基で置換されたチオキサントン誘導体を示し、具体的には、エチルチオキサントン、メチルチオキサントン、クロロチオキサントン等が挙げられる。アントラキノン類とは、アントラキノン及びアルキル基、フェニル基、ハロゲン基等で置換されたアントラキノン誘導体をいう。
水素引き抜き型光重合開始剤の添加量は、樹脂(a)100質量部に対して好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上5質量%以下である。水素引き抜き型光重合開始剤の添加量がこの範囲内であれば、樹脂組成物を光硬化させた場合、硬化物表面の硬化性を充分に確保できと共に、良好な耐候性が得られる傾向にある。また、硬化物表面の硬化性を確保することは、硬化物表面を切削、研削あるいは研磨を行うのに好適である。
崩壊型光重合開始剤とは、光吸収後に分子内で開裂反応が発生し活性なラジカルが生成する化合物である。具体的には、ベンゾインアルキルエーテル類、2,2−ジアルコキシ−2−フェニルアセトフェノン類、アセトフェノン類、アシルオキシムエステル類、アゾ化合物類、有機イオウ化合物類、ジケトン類等を挙げることができ、これらの群から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いるのが好ましい。ベンゾインアルキルエーテル類としては、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、「感光性高分子」(講談社、1977年出版、頁228)に記載の化合物等を挙げることができる。2,2−ジアルコキシ−2−フェニルアセトフェノン類としては、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン等を挙げることができる。アセトフェノン類としては、アセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン等を挙げることができる。アシルオキシムエステル類としては、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム等を挙げることができる。アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾニウム化合物、テトラゼン化合物等を挙げることができる。有機イオウ化合物としては、芳香族チオール、モノ及びジスルフィド、チウラムスルフィド、ジチオカルバメート、S−アシルジチオカルバメート、チオスルホネート、スルホキシド、スルフェネート、ジチオカルボネート等を挙げることができる。ジケトン類としては、ベンジル、メチルベンゾイルホルメート等を挙げることができる。
崩壊型光重合開始剤の添加量は、樹脂(a)100質量部に対して好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.3質量%以上3質量%以下である。添加量がこの範囲であれば、樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合でも、硬化物内部の硬化性を充分に確保し得る。
また、光重合開始剤(c)として水素引き抜き型光重合開始剤として機能する部位と崩壊型光重合開始剤として機能する部位を同一分子内に有する化合物を用いることもできる。このような化合物としては、α−アミノアセトフェノン類を挙げられ、例えば、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、下記式(7)で示される化合物等が挙げられる。
Figure 2010106070
水素引き抜き型光重合開始剤として機能する部位と崩壊型光重合開始剤として機能する部位を同一分子内に有する化合物の添加量としては、樹脂(a)100質量部に対して好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.3質量%以上3質量%以下である。添加量がこの範囲であれば、樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合であっても、硬化物の機械的物性を充分に確保し得る。
また、光重合開始剤(c)として光を吸収して酸や塩基を発生することにより、付加重合反応を誘起させる化合物を用いることもできる。このような化合物としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等の光カチオン重合開始剤等が挙げられる。これらの化合物の添加量は、樹脂(a)100質量部に対して0.1質量%以上10質量%以下であるのが好ましい。
[熱重合開始剤]
本実施の形態における熱重合開始剤(d)として、好適な化合物は、ラジカル重合反応、開環重合反応に使用できる全ての熱重合開始剤である。ラジカル重合反応に用いられる熱重合開始剤として、例えば、有機過酸化物、無機過酸化物、有機珪素過酸化物、ヒドロペルオキシド、アゾ化合物、チオール化合物、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ハロゲン化合物、アルデヒド化合物等を挙げることができる。また、開環重合反応に用いられる熱重合開始剤としては、マイクロカプセル中に熱重合開始材を入れた潜在性熱重合開始剤を選択することが好ましい。また、本実施形態で用いる熱重合開始剤(d)は、20℃において液状であることが好ましい。液状であることによって樹脂(a)との混合が容易となる。
好適な熱重合開始剤(d)の選択は、本実施形態で用いる方法を実施する上で特に重要である。熱重合開始剤(d)の熱安定性は、通常、10時間半減期の温度10h−t1/2の方法によって、即ち、熱重合開始剤(d)の当初の量の50%が、10時間後に分解してフリーラジカルを形成する温度で示される。これに関する更なる詳細については、「Encyclopedia of Polymer Science and Engineering」,11巻、1頁以降、John Wiley & Sons,ニューヨーク,1988年、に示されている。
本実施形態のを実施するのに特に好適な熱重合開始剤(d)は、通常、少なくとも60℃、好ましくは少なくとも70℃の10h−t1/2を有する。特に好適な熱重合開始剤(d)は、80℃〜150℃の10h−t1/2を有する。
本実施形態で用いる熱重合開始剤(d)として、有機過酸化物が特に好ましい。化合物の具体例としては、ペルオキシエステル類、例えば、過オクタン酸t−ブチル、過オクタン酸t−アミル、ペルオキシイソ酪酸t−ブチル、ペルオキシマレイン酸t−ブチル、過安息香酸t−アミル、ジペルオキシフタール酸ジ−t−ブチル、過安息香酸t−ブチル、過酢酸t−ブチル及び2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、ある種のジペルオキシケタール、例えば、1,1−ジ(t−アミルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン及びエチル3,3−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブチレート、ある種のジアルキルペルオキシド、例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド及び2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、ある種のジアシルペルオキシド、例えば、ジベンゾイルペルオキシド及びジアセチルペルオキシド、ある種のt−アルキルヒドロペルオキシド、例えばt−ブチルヒドロペルオキシド、t−アミルヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド及びクミルヒドロペルオキシドである。また、気泡を含有させるクッション性を有する層を形成する際に好ましいものとして、アゾ化合物を挙げることができる。例えば、1−(t−ブチルアゾ)ホルムアミド、2−(t−ブチルアゾ)イソブチロニトリル、1−(t−ブチルアゾ)シクロヘキサンカルボニトリル、2−(t−ブチルアゾ)−2−メチルブタンニトリル、2,2’−アゾビス(2−アセトキシプロパン)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)及び2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)等の化合物である。
水素引き抜き型光重合開始剤として機能する部位と崩壊型光重合開始剤として機能する部位を同一分子内に有する化合物の添加量としては、樹脂(a)100質量部に対して好ましくは0.1質量部以上10質量部以下であり、より好ましくは0.3質量部以上3質量部以下である。添加量がこの範囲であれば、樹脂組成物を硬化させた場合であっても、硬化物の機械的物性を充分に確保し得る。
樹脂層を加熱する方法として、熱線を照射する方法、熱風を吹きつける方法、熱風が対流する雰囲気に曝される方法、加熱したロールと接触させる方法から選択される少なくとも1種類の方法を使用することが好ましい。特に作業性の容易さの観点から熱線を照射する方法、加熱したロールと接触させる方法が好ましい。熱線としては、近赤外線、赤外線を挙げることができる。
[無機系微粒子]
本実施形態の樹脂組成物は目的に応じてさらに無機系微粒子を添加することができる。無機系微粒子は、数平均粒子系が0.01μm以上10μm以下であることが好ましい。数平均粒子径が上記範囲であれば切削、研削、研磨工程においてべとつきを低減でき、印刷原版の表面粗さへの影響が少なく、印刷画像に欠損が生じることなくレーザー彫刻によりパターン形成が可能である。また、本実施形態における無機系微粒子は、多孔質微粒子あるいは無孔質超微粒子であることが好ましい。
本実施形態における多孔質微粒子とは粒子中に細孔容積が0.1ml/g以上の微小細孔を有する微粒子、あるいは微小な空隙を有する微粒子と定義する。多孔質微粒子を含有することで印刷層表面を所望の表面粗さにする際に加工が容易となる。該加工の例として切削、研削や研摩などが挙げられる。多孔質微粒子により所望の表面粗さにする際の加工中に生じるカスなどのべとつきが低減し、印刷層表面を精密に加工することが容易となる。
多孔質微粒子は比表面積が10m/g以上1500m/g以下、平均細孔径が1nm以上1000nm以下、細孔容積が0.1ml/g以上10ml/g以下、吸油量が10ml/100g以上2000ml/100g以下であることが好ましい。比表面積は−196℃における窒素の吸着等温線からBET式に基づいて求められる。また細孔容積および平均細孔径の測定には、窒素吸着法を用いる。吸油量の測定は、JIS−K5101にて行った。多孔質微粒子の比表面積が上記範囲内であれば、例えば印刷原版をレーザーによる彫刻にて画像部を形成する場合に、除去した分解物を吸収するのに好適である。
多孔質微粒子の数平均粒子径は0.01μm以上10μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.5μm以上8μm以下、更に好ましくは1μm以上5μm以下である。数平均粒子径が上記範囲であれば、切削、研削、研磨工程においてべとつきを低減でき、印刷原版の表面粗さへの影響が少なく、印刷画像に欠損が生じることなくレーザー彫刻によりパターン形成が可能である。
多孔質微粒子の形状は特に限定するものではなく、球状、扁平状、針状、無定形、あるいは表面に突起のある粒子などを使用することができる。特に耐磨耗性の観点からは、少なくとも70%の粒子の真球度が0.5から1の範囲の球状粒子であることが好ましい。
多孔質微粒子の球状度合を規定する指環として、真球度を定義する。本実施形態における真球度とは、多孔質微粒子を投影した場合に投影図形内に完全に入る円の最大値D1の、投影図形が完全に入る円の最小値D2の比(D1/D2)で定義する。真球の場合、真球度は1.0となる。好ましい多孔質微粒子の真球度は0.5以上1.0以下、より好ましくは0.7以上1.0以下である。0.5以上であれば、印刷版としての耐磨耗性が良好である。真球度1.0は、真球度の上限値である。多孔質微粒子として好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上の多孔質微粒子が、真球度0.5以上であることが望ましい。真球度を測定する方法としては、走査型電子顕微鏡を用いて撮影した写真を基に測定する方法を用いることができる。その際、少なくとも100個以上の粒子がモニター画面に入る倍率において写真撮影を行うことが好ましい。また、写真を基に前記D1およびD2を測定するが、写真をスキャナー等のデジタル化する装置を用いて処理し、その後画像解析ソフトウェアを用いてデータ処理することが好ましい。
また、粒子の内部が空洞になっている粒子やシリカスポンジ等の均一な細孔径を有する球状顆粒体などを使用することも可能である。特に限定するものではないが、例えば、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ、シリカ−ジルコニア多孔質ゲル、ポーラスアルミナ、多孔質ガラス等を挙げることができる。また、層状粘土化合物のように、層間に数nmから数百nmの空隙が存在するものについては、細孔径を定義できないため、本実施形態においては層間に存在する空隙の間隔を細孔径と定義する。
更に多孔質微粒子の表面をシランカップリンング剤、チタンカップリング剤、その他の有機化合物で被覆し表面改質処理を行い、より親水性化あるいは疎水性化した粒子を用いることもできる。これらの多孔質微粒子は1種類もしくは2種類以上のものを選択できる。
本実施形態における無孔質超微粒子とは、細孔容積が0.1ml/g未満の粒子と定義する。無孔質超微粒子の数平均粒子径は、1次粒子を対象とする数平均粒子径であり、10nm以上500nm以下が好ましい。より好ましくは10nm以上100nm以下である。この範囲であれば、切削、研削、研磨工程においてべとつきを低減でき、印刷原版の表面粗さへの影響が少なく、印刷画像に欠損が生じることなくレーザー彫刻によりパターン形成が可能である。
無機系微粒子の添加量は特に制限されないが、樹脂(a)100質量部に対して、1〜100質量部が好ましく、2〜50質量部の範囲がより好ましい。更に好ましい範囲は、2〜20質量部である。添加量が上記の範囲より小さい場合は、レーザー彫刻などによる彫刻カスがべとつきやすい傾向となり、更に彫刻形状も悪化する傾向となる。上記の範囲より大きい場合には粘度、チキソ性が急上昇し取り扱い性が悪くなる傾向があり、また、レーザー彫刻においてはレーザーに対する感度が低下し生産性が低下する。
[添加剤]
本実施形態の樹脂組成物は目的に応じてさらに下記添加剤を添加することができる。添加剤としては例として、含フッ素モノマー、石油ワックス類、炭化水素鎖を有するモノマー、染料、顔料、重合禁止剤、紫外線吸収剤、滑剤、界面活性剤、可塑剤、香料が挙げられる。
添加剤の総添加量は特に制限されないが、樹脂(a)100質量部に対して0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましい。
含フッ素モノマーは重合性の官能基を有する含フッ素モノマーであれば特に限定されるものではない。重合性の官能基を有する含フッ素モノマーとしては、二重結合、三重結合、エポキシ基、オキセタン骨格またはケテンアセタール骨格を有するモノマーなどが挙げられる。
具体的には、テトラフルオロエチレン(以下、TFEという。)、ヘキサフルオロプロピレン(以下、HFPという。)、ビニリデンフルオライド(以下、VdFという。)、トリフルオロエチレン、1,2−ジフルオロエチレン、フッ化ビニル、トリフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン(以下、CTFEという。)、3,3,3−トリフルオロプロペン、2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、パーフルオロ(ブチルエチレン)等の、直鎖状または分岐状の脂肪族フルオロオレフィン類、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(以下、PMVEという。)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(以下、PPVEという。)等のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類、パーフルオロ(1,3−ジオキソール)、パーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)(以下、BVEという。)等のパーフルオロ(アルケニルビニルエーテル)、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)(以下、PDDという。)、パーフルオロ−(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)等のエーテル性酸素原子含有環状パーフルオロオレフィン、(パーフルオロブチル)エチルアクリレート、(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート(以下、FHAという。)、(パーフルオロヘプチル)メチルアクリレート、(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート(以下、FOAという。)等の(パーフルオロアルキル)エチルアクリレート、(パーフルオロブチル)エチルメタクリレ−ト、(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート(以下、FHMAという。)、(パーフルオロヘプチル)メチルメタクリレート、(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート(以下、FOMAという。)等の(パーフルオロアルキル)エチルメタクリレート、α−フルオロスチレン、β−フルオロスチレン、α,β−ジフルオロスチレン、β,β−ジフルオロスチレン、α,β,β−トリフルオロスチレン、α−トリフルオロメチルスチレン、2,4,6−トリ(トリフルオロメチル)スチレン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン、パーフルオロ(スチレン)、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−α−メチルスチレン等のフルオロスチレン等が挙げられる。
中でも、パーフロロオクチルメタクリレートなどの長炭素鎖を有する化合物が好ましい。
これらの含フッ素モノマーは、重合性の官能基以外の官能基を有していても構わない。
石油ワックス(パラフィン)類は、炭化水素鎖が直鎖状であるn−パラフィン、分岐鎖状であるイソパラフィンおよび環状であるシクロパラフィンに大別される。中でも融点が65℃以下であるものが好ましく、更に好ましくは融点が60℃以下である。この範囲であれば、樹脂組成物中に添加した際に、ワックスが固形になりにくい傾向となる。
炭化水素鎖を有するモノマーとして、デカン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、パルミチン酸ビニルのような脂肪族又は芳香族カルボン酸のビニルエステル類、デカン酸アリル、ステアリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリルのような脂肪族又は芳香族のアリルエステル類、ビニルエチルエーテル及び/又はビニルポリエーテルのようなアルキルビニルエーテル類が挙げられる。
また、視認性向上のために着色する方法としては、染料、顔料の使用が例として挙げられるが、具体的な顔料として「HELIOGEN BLUE D 6700」(商品名、BASF社製)、「PALIOGEN RED K 3580」(商品名、BASF社製)が好ましい。
[印刷原版]
本実施形態の印刷原版は、樹脂(a)または前記樹脂組成物を硬化せしめて得られうるものであれば制限はない。印刷原版は、例えば樹脂組成物をシート状又は円筒状に成形し、成形した当該樹脂組成物を高エネルギー活性線の照射により硬化せしめることを含む方法によって製造されるものがある。
高エネルギー活性線とは、紫外線、電子線、γ線、X線、分子線等の波長の短い光のことである。樹脂(a)を単独で硬化せしめる場合は電子線やγ線等のきわめて高エネルギーの活性線を用いることが好ましい。印刷原版を硬化させる光源は特に限定されない。例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、殺菌灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等を挙げることができる。凸版印刷原版に照射される光は、200nmから400nmの波長を有することが好ましい。光源は、1種類でも構わないが、波長の異なる2種類以上の光源を用いて硬化させることにより、樹脂の硬化性が向上することがあるので、2種類以上の光源を用いることも差し支えない。
本実施形態の樹脂組成物をシート状又は円筒状に成形する方法に制限はなく、既存の樹脂の成形方法を用いることができる。ドクターブレード法、ブレードコート法、リバースローらー塗工法など、一般的に用いられている方法を挙げることができる。また、ポンプや押し出し機などの機械で樹脂をノズルやダイスから押し出し、ブレードで厚みを合わせる方法(注型法);ロールによりカレンダー加工して厚みを合わせる方法などが例示できる。樹脂の性能を落とさない範囲で加熱しながら成形を行うことも可能である。また、必要に応じて圧延処理、研削処理などを施してもよい。通常は、PET(ポリエチレンテレフタレート)やニッケルなどの素材からなるバックフィルムといわれる下敷きの上に樹脂組成物を成形するが、印刷機のシリンダー上に直接成形することもできる。その場合、継ぎ目のないシームレススリーブを成形することができる。また、スリーブ成形・彫刻装置(液状の樹脂組成物を円筒状支持体上に塗布し、光を照射して樹脂組成物を硬化させる装置内に、レーザー彫刻用のレーザー光源を組み込んだもの)を用いて印刷原版を成形することもできる。このような装置を用いた場合、スリーブを成形した後に直ちにレーザー彫刻して印刷版を成形することができるので、成形加工に数週間の期間を必要としていた従来のゴムスリーブでは到底考えられない短時間加工が実現可能となる。
[支持体]
本実施形態の印刷原版がレーザー彫刻される面の反対側に支持体を有することができる。印刷原版が該支持体を有する場合、支持体は、中空円筒状支持体であるのが好ましく、該中空円筒状支持体は強化プラスチック製であるのが好ましい。支持体が中空円筒状であることによって、支持体の印刷機への取り付け及び取り外しが容易となり、さらに支持体が円筒状であるため、軸の廻りに回転させながら樹脂組成物を塗布することで、より均一な塗布が可能となる。また、該中空円筒状支持体が強化プラスチック製であることにより、強度を保ちながら接着剤層との接着力を維持することができる。
本実施形態においては、前記強化プラスチックは繊維強化プラスチックであって、該繊維強化プラスチックはエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリケトン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有するのが好ましい。
また、無機化合物から形成された繊維を含むこともできる。繊維は特に限定するものではないがポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリウレタン繊維、ポリイミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリフェニレンエーテル繊維、ポリビニルアルコール繊維、フェノール繊維、フッ素樹脂繊維、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ビニリデン繊維、ポリ−p−フェニレンビスオキサゾール繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリクラール繊維、ポリケトン繊維、合成パルプ繊維などが挙げられる。また天然有機系化合物から形成された短繊維としては靭皮繊維、葉脈繊維、セルロースなどの植物系繊維などが好ましい例として挙げられる。
また、無機化合物から形成された繊維を含むこともできる。ガラス、カーボン、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、アルミナ、ニッケル、チタン、銅、鉄、タングステン、クロムなどが好ましい例として挙げられる。
[クッション層]
本実施の形態の印刷原版は、印刷物のドットの太りを低減するために、印刷原版用樹脂組成物の硬化物層の下にクッション層を設けることができる。クッション層として、特に限定するものではなく、ゴム弾性を有するものであれば使用することができる。例えば、天然ゴム材料、SBR、SBS、SIS等の合成ゴム材料、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、ポリエチレン等の軟質プラスチック材料等を挙げることができる。また、樹脂組成物を光硬化させて形成したシート状エラストマーを用いることもできる。これらの材料の中でも特に、印刷用途で用いられているポリエチレン、もしくはポリウレタンを主な成分としたシート材料を好ましい材料として挙げることができる。市販のフレキソ印刷用のクッションテープを使用することが簡便である。クッション層の厚みは0.10mm以上6.00mm以下であることが好ましい。
より好ましくは0.20mm以上2.00mm以下、更に好ましくは0.30mm以上0.70mm以下である。クッション層の比重は0.20g/cm3以上0.90g/cm3以下であることが好ましい。より好ましくは0.30g/cm3以上0.70g/cm3以下、更に好ましくは0.40g/cm3以上0.60g/cm3以下である。クッション層のASKER−C硬度は30以上90以下であることが好ましい。
また接着剤層に粘着性の層を使用することで、円筒状クッション使用後に円筒状支持体からクッション層を剥がし、円筒状支持体を再度使用することが容易となる。
本実施形態においては、クッション層はさらに数平均粒子径が0.1μm以上200μm以下の微粒子を含むことが好ましい。そのような微粒子としては、無機微粒子、有機微粒子、中空カプセル状微粒子等を用いることができる。上記微粒子を含有することで、チキソトロピー性が向上するため、支持体へのレーザー彫刻印刷原版用樹脂組成物の塗布が容易となる傾向にある。
微粒子の数平均粒子径は0.1μm以上200μm以下であり、より好ましくは0.5μm以上150μm以下であり、さらに好ましくは1.0μm以上100μm以下である。ここで、微粒子の数平均粒子径は、顕微鏡観察により測定した長径の値の平均値をいう。具体的には、顕微鏡の視野に少なくとも50個程度の微粒子あるいは気泡が入るように倍率を調整し、該微粒子あるいは気泡の長径を測長する。測長機能を有する顕微鏡を用いることが好ましいが、カメラを用いて撮影した写真を基に寸法を測ってもよい。
ここで、無機微粒子としては、無機微粒子の材質としては、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、ゼオライト、水酸化マグネシウム、珪酸ジルコニウム等を挙げることができる。無機微粒子の平均粒子径は、好ましくは10nm以上30μm以下、より好ましくは0.1μm以上20μm以下、さらに好ましくは0.5μm以上10μm以下である。
そして、有機微粒子としては、ポリシロキサン骨格、ポリスチレン骨格、ポリ(メタ)アクリル酸エステル骨格、ポリウレタン骨格、ポリアクリロニトリル骨格から選ばれる少なくとも1種の骨格を有する微粒子が、機械的強度と耐溶剤性のバランスを取る観点から好ましい。このような有機微粒子としては、例えば、シリコーンゴム、架橋アクリル酸微粒子、架橋アクリル酸多孔質微粒子、架橋ポリスチレン等が挙げられる。
中空カプセル状微粒子とは外部の殻と内部のコアで組成が異なる、複合組成の1μmから数百μmの微粒子のことをいう。中空カプセルの製造方法には大きく分けて界面重合法、コアセルベーション法、界面沈澱法、液中乾燥法などがある。原理的には微粒化した芯物質を適当な媒質中に分散し、次いで微粒子の膜で被覆する。これまでの中空マイクロカプセルの製造方法としては、液体を内包するマイクロカプセルを生成し、その内部の液体を蒸散させて中空にする方法、あるいは同様のマイクロカプセルを熱膨張させて生成する方法がある。
中空カプセル状微粒子としては、中空カプセル状の有機微粒子の表面に無機微粒子が付着していてもよい。表面に無機微粒子が存在することにより、レーザー彫刻印刷原版用樹脂組成物への溶解性が低下し、長期に安定してレーザー彫刻印刷原版用樹脂組成物中に存在し得る。表面に存在する無機微粒子の平均粒子径は、好ましくは10nm以上30μm以下、より好ましくは0.1μm以上20μm以下、さらに好ましくは0.5μm以上10μm以下である。表面に存在する無機微粒子の材質としては、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、ゼオライト、水酸化マグネシウム、珪酸ジルコニウム等を挙げることができる。
[周長調整層]
本実施形態の印刷原版は、印刷のリピート長さを調整するために、印刷原版用樹脂組成物の硬化物層の下又はクッション層の下に周長調整層を設けることができる。周長調整層の厚さは印刷機で印刷を行うリピート長に応じて任意に変えられることが好ましい。用いることのできる樹脂組成物としては、20℃において固体状の樹脂組成物であっても構わないが、周長調整層の厚さを任意に変えられる観点から、液状の樹脂組成物が特に好ましい。液状樹脂組成物中に溶剤が含まれていても構わないが、溶剤の除去工程が必要となるため、無溶剤型の液状樹脂組成物がより好ましい。液状樹脂組成物を用いた場合、膜厚の均一な継ぎ目のない層を形成することができる。液状樹脂組成物の好ましい粘度は、20℃において10Pa・s以上10kPa・s以下、より好ましくは500Pa・s以上5kPa・s以下である。厚膜を形成するためには、重力により液だれが発生し膜厚が変化してしまう可能性もあるので、前記のような粘度範囲が好ましい。また、成形する膜厚が非常に薄い場合には、粘度を低く抑えることが望ましい。粘度を低くする方法としては、溶剤を添加する方法も簡便な方法として用いることができる。
[切削・研削・研磨]
本実施形態の印刷原版は、表面の形状を調整するために、切削、研削、研磨から選択される少なくとも1種類の方法で表面調整することが好ましい。切削加工のみを用いて表面を加工することも可能であるが、切削工程、もしくは研削工程後に研摩加工を行うと印刷原版の表面形状をより精密に調節できるため好ましい。
印刷原版表面の切削による加工としては、特に制限するものではないが、例えば旋盤、ボール盤、フライス盤、形削り盤、平削り盤、NC工作機械などの刃物による加工が挙げられる。
また、印刷原版表面の研削による加工としては、砥石による加工などが挙げられる。研削加工に用いられる研削砥石の材質は、特に制限するものではないが、例としてアルミナ系や炭化珪素系の材質が挙げられる。該砥石の材質としては、例えば、アルミナ系では褐色アルミナ、白色アルミナ、淡紅色アルミナ、解砕形アルミナ等が挙げられ、炭化珪素系では黒色炭化珪素、緑色炭化珪素等が挙げられる。
研削加工に用いられる研削砥石の砥粒の粒度については、8番以上、5000番以下の砥石が好ましく用いられる。砥粒を結合させる結合剤の主要成分としては、例えば、長石可溶性粘度・フラックス、ベークライト人造樹脂、珪酸ソーダフラックス、天然・人造ゴム・硫黄、セラック天然樹脂、金属箔などが挙げられる。
印刷原版表面の研磨加工に用いる研磨体としては、特に制限するものでないが、例えば研磨紙、ラッピングフィルム、ミラーフィルムなどの研磨フィルム、研磨ホイールが挙げられる。
該研磨紙や該研磨フィルム表面上の研磨剤の材質としては、金属、セラミックス、炭素化合物から選択される少なくとも1種類の微粒子が好ましい。金属微粒子の例としては、クロム、チタン、ニッケル、鉄等の比較的硬質の材料が好ましい。また、セラミックスの具体例としては、アルミナ、シリカ、窒化珪素、窒化ホウ素、ジルコニア、珪酸ジルコニウム、炭化珪素などが挙げられる。アルミナ質砥粒の素材質としては、褐色アルミナ質、解砕型アルミナ質研摩剤、淡紅色アルミナ質研摩剤、白色アルミナ質研削剤、人造エメリー研削剤などが挙げられる。炭化珪素質砥粒の素材質としては黒色炭化珪素質研磨剤、緑色炭化珪素質研摩剤などが挙げられる。また、炭素化合物としては、ダイヤモンド、グラファイト等の化合物を挙げることができる。特に人造ダイヤモンドは研磨剤として好ましい。他の研磨剤の材質として、ガラスビーズなどのガラス系研磨剤、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエステル、メチルメタルアクリレートなどの樹脂系研磨剤、クルミ殻、杏の種、桃の種などの植物系研磨剤などを用いることもできる。さらに、研磨布と上記の研磨剤を組み合わせて用いることも可能である。
研磨剤の平均粒子径は、0.1μm以上100μm以下のものが好ましい。より好ましい粒度は3μm以上100μm以下である。さらに好ましくは粒度が9μm以上30μm以下である。100μm以下の範囲であれば印刷評価に好適に利用できる印刷原版が簡便に作成できる。
研磨剤の平均粒子径が、12μmから20μmであれば、研磨したの印刷原版は印刷に特に適したものとなる。研磨剤の平均粒子径が20μmよりも大きい場合は該支持体上の粒度が粗くなり、印刷原版の表面の凹凸が大きくなるため被印刷体へのインキ転移性が低下し印刷品質が低下するおそれがある。また、研磨紙や研磨フィルムの研磨剤が12μmよりも大きい場合は、該支持体上の粒度が細かくなるため、表面調整の加工に多大な時間を要し生産性を低下させる。
研磨ホイール表面の粒度としては、60番から3000番までが好ましく用いられる。研磨ホイールの材質としては、特に制限されるものではないが、鉄、アルミナ、セラミックス、炭素化合物、砥石、木、ブラシ、フェルト、コルクなどが挙げられる。
研磨紙や研磨フイルム等の支持体の厚み、材質などは特に制限するものではないが、厚みは1μm以上1000μm以下の範囲が好ましい。より好ましくは10μm以上500μm、さらに好ましくは25μm〜125μmである。25μm以上125μm以下の範囲であれば巻き取りなどの取り扱い性が簡便である。支持体の形状は特に制限するものではないが、ロール、ディスク、シート、ベルトなどが挙げられる。
また、研磨体を用いた研磨の際に液体を介在させない乾式研磨でも印刷原版表面の研磨は可能であるが、研磨力、研磨後の印刷原版表面の均一性、粉塵の発生が少ないこと、研磨中に発生する熱の除去などを考慮すると、液体を介在させながら印刷原版に研磨剤を接触させることが好ましい。使用する液体としては、特に限定するものではないが、例えば石油、機械油、アルカリ溶液、水などが挙げられる。
特に、研磨の際に介在させる液体として、水を用いることによって他の液体を用いるよりも印刷原版の変性が少なくなり、また廃液の処理も容易となる。
表面調整の好ましい別の態様として、金属、セラミックス、炭素化合物等から選択される少なくとも1種類の物質からなる平均粒子径が0.1μm以上100μm以下程度の微粒子を印刷原版表面に衝突させる方法も挙げられる。
微粒子を印刷原版に衝突させる方法は、特に限定されるものではないが、例えばサンドブラスト、ショットブラスト、エアーブラスト、ブロワブラストなどが挙げられる。また、微粒子の材質としては、特に限定するものではないが、例えばガラスビーズなどのガラス系粒子、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエステル、メチルメタルアクリレートなどの樹脂系粒子、クルミ殻、杏の種、桃の種などの植物系粒子などが挙げられる。
[レーザー彫刻]
レーザー彫刻においては、形成したい画像をデジタル型のデータとし、コンピューターを利用してレーザー装置を操作して原版上にレリーフ画像を作成する。レーザー彫刻に用いるレーザーは、原版が吸収を有する波長を含むものであればどのようなものを用いてもよい。彫刻を高速度で行なうためには出力の高いものが望ましく、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー等の赤外線あるいは近赤外線領域に発振波長を有するレーザーが好ましい。また、紫外線領域に発振波長を有する紫外線レーザー、例えばエキシマレーザー、第3あるいは第4高調波へ波長変換したYAGレーザー、銅蒸気レーザー等は、有機分子の結合を切断するアブレージョン加工が可能であり、微細加工に適している。フェムト秒レーザーなどの極めて高い尖頭出力を有するレーザーを用いることもできる。また、レーザーは連続照射でも、パルス照射でも良い。
一般に樹脂は10μm近傍の波長に吸収を持つため、10μm近傍に発振波長を有する炭酸ガスレーザーを使用する場合には、特にレーザー光の吸収を助けるような成分の添加は必要ではない。しかし、YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザーは1μm近辺に発振波長を有するが、この波長領域に光吸収を有する有機物はあまり無いので、光吸収を助ける成分である染料や顔料の添加が必要となる。このような染料の例としては、ポリ(置換)フタロシアニン化合物および金属含有フタロシアニン化合物;シアニン化合物;スクアリリウム染料;カルコゲノピリロアリリデン染料;クロロニウム染料;金属チオレート染料;ビス(カルコゲノピリロ)ポリメチン染料;オキシインドリジン染料;ビス(アミノアリール)ポリメチン染料;メロシアニン染料及びキノイド染料などが挙げられる。顔料の例としてはカーボンブラック、グラファイト、亜クロム酸銅、酸化クロム、コバルトクロームアルミネート、酸化鉄等の暗色の無機顔料や鉄、アルミニウム、銅、亜鉛のような金属粉およびこれら金属にSi、Mg、P、Co、Ni、Y等をドープしたもの等が挙げられる。これら染料、顔料は単独で使用しても良いし、複数を組み合わせて使用しても良いし、複層構造にするなどのあらゆる形態で組み合わせても良い。
レーザーによる彫刻は、酸素含有ガス下、一般には空気存在下もしくは気流下に実施するが、炭酸ガス、窒素ガス下でも実施できる。彫刻終了後、レリーフ印刷版面にわずかに発生する粉末状もしくは液状の物質は適当な方法、例えば、溶剤や界面活性剤の入った水等で洗いとる方法、高圧スプレー等により水系洗浄剤を照射する方法、高圧スチームを照射する方法などを用いて除去してもよい。
レーザー彫刻により凹凸パターンを形成した後に、パターンを形成した印刷版表面に波長200nm〜450nmの光を照射する後露光を実施することもできる。表面のタック除去に効果がある方法である。後露光は大気中、不活性ガス雰囲気中、水中のいずれの環境で行っても構わない。用いる樹脂組成物中に水素引き抜き型光重合開始剤が含まれている場合、特に効果的である。更に、後露光工程前に印刷版表面を、水素引き抜き型光重合開始剤を含む処理液で処理し露光しても構わない。また、水素引き抜き型光重合開始剤を含む処理液中に印刷版を浸漬した状態で露光しても構わない。特開2005−212144などで公知となっている方法も好ましい。
[印刷版]
本実施形態における印刷版は、印刷原版表面に印刷パターンをレーザー彫刻することにより得られる印刷版である。
本実施形態の印刷版の様式に制限はなく、フレキソ版、樹脂凸版、又はオフセット、ドライオフセット、反転オフセット又はグラビアオフセットに用いるブランケットなど、あらゆる印刷版として使用可能であるが、とくにフレキソ版として好適に用いられる。
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて本実施形態を詳細に説明する。なお、以下において、「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」を各々意味する。
(1)粘度の測定
樹脂組成物の粘度は、B型粘度計(商標、B8H型;日本国、東京計器社製)を用いて20℃で測定した。また、樹脂(a)の粘度は、同様の装置を用いて50℃で測定した。単位はPa・sである。
(2)樹脂(a)の数平均分子量の測定
樹脂(a)の平均分子量は、GPC法を用いて求めた多分散度(Mw/Mn)が1.1より大きいものであったため、GPC法で求めた数平均分子量Mnを採用した。具体的には、樹脂(a)の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)を用いて、分子量既知のポリスチレンで換算して求めた。高速GPC装置(日本国、東ソー社製、商標、HLC−8020)とポリスチレン充填カラム(商標:TSKgel GMHXL;日本国、東ソー社製)を用い、テトラヒドロフラン(THF)で展開して測定した。カラムの温度は40℃に設定した。GPC装置に注入する試料としては、樹脂濃度が1wt%のTHF溶液を調製し、注入量10μlとした。また、検出器としては、樹脂紫外吸収検出器を使用し、モニター光として254nmの光を用いた。
(3)重合性不飽和基の数の測定
樹脂(a)の分子内に存在する重合性不飽和基の平均数は、未反応の低分子成分を液体クロマトグラフ法を用いて除去した後、核磁気共鳴スペクトル法(NMR法、Bruke Biospin社製、 商標 Avance600)を用いて分子構造解析し求めた。例えば「1.7官能」とは、分子内に存在する重合性不飽和基の平均数が1.7個であることを意味する。
(4)印刷原版の製造方法
樹脂組成物を下記の条件で塗工し露光して硬化させることで印刷原版を製造した。
外径213.384mm、幅300mm、厚み1mmの、POLYWEST社製(独)繊維強化プラスチック製の円筒状支持体上に厚み100μmの透明で表面がシリコン処理された三菱化学ポリエステルフィルム(株)社製のポリエステルフィルム「MRV100」(商標)を貼り付けた。該ポリエステルフィルム上に該樹脂組成物をドクターブレードで塗工し、これにアイ・グラフィック社製のメタルハライドランプ「M056−L21」(商標)の紫外線を12000mJ/cm2(株式会社オーク製作所社製のUVメーター「UV−MO3A」(商標)と株式会社オーク製作所社製の受光機「UV−35」(商標)を用いて積算したエネルギー量)照射し、硬化させ印刷性評価用の印刷用クッション材料を得た。硬化後の厚みが1.0mmとなるようにドクターブレードで調節し、印刷原版を作成した。このときにドクターブレード上で気泡の巻き込みがほとんど無い及び/又は無いものをA、少量の気泡の巻き込みがあるものをB、ドクターブレード上での気泡の巻き込みが激しく、塗工した樹脂に気泡が転移するものをCとして評価した。
また、樹脂の塗工時間を評価した。支持体上にレベリングした樹脂を2mm塗工するのに要する時間が5分未満のものをA、5分以上10分未満のものをB、10分以上をCとした。
(5)印刷版の製造方法
上記(4)により製造された円筒状の印刷原版表面に下記条件でレーザー彫刻をすることによって印刷版を製造した。レーザー彫刻は、ZED社製(英国)の炭酸ガスレーザー彫刻機「ZED−mini−1000」(商標)(コヒーレント社製(米国)の出力250W炭酸ガスレーザーを搭載)を用いて行った。彫刻画像は120Lines per inchで作成した。網点は1%、3%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、100%のパターンを作成した。1%から20%をハイライト、100%をベタと呼ぶ。細線は250μm幅のパターンを作成した。レーザー彫刻性はレーザー彫刻による粘稠性液状カス発生の有無及び線画の鮮明性を目視判定した。液状カスもほとんど発生せずかつ線画の鮮明性も良好なものをA、液状カスがやや発生する又は線画の鮮明性が普通なものをB、液状カスもやや発生しかつ線画の鮮明性も普通なものをC、液状カスが顕著に発生する及び/又は線画の鮮明性も悪いものDとして評価した。
該装置を用いた彫刻は以下のような条件で行った。Top Power:25%、Bottom Power:100%、Width:0.5mm、Dot Shape Factor:20、Speed:600cm/sec、線数:120lpi、1ピクセル当たりのレーザー本数:10本、ピッチ:15.0um、スクリーン角度:45.0°、シームレスモード:OFFとした。
(6)製版品質
彫刻した印刷原版の品質を確認するためレリーフ深度の測定および版再現性の評価を株式会社小野測器社製の「DG−925」(商標)を1cmあたり100gの荷重の条件にて行った。「レリーフ深度」とは凸版印刷版の印刷部(レリーフ面)と非印刷部(バック面)の高低差を意味する。なお、レリーフ深度を大きく設定すると、微細な網点部のパターンのレリーフ面の面積が確保できず、形状も崩れて不鮮明となるため、レリーフ深度を0.5mmとした。版再現性の確認としてドットの形状が円錐状となっているか観察した。「版再現性」とは印刷画像を凸版印刷版に転写する正確さを意味する。また、版再現性の確認としてドットの形状が円錐状となっているか観察した。
[製造例1]
規則充填物ヘリパックパッキンNo.3を充填した、充填高さ300mm、内径30mmの蒸留塔、及び分留頭を備えた500ml四口フラスコに、ジエチレングリコール214g(2.01mol)、エチレンカーボネート186g(2.12mol)を仕込み、70℃で撹拌溶解し、系内を窒素置換した後、触媒としてテトラブトキシチタンを0.177gを加えた。このフラスコを、フラスコの内温が145〜150℃、圧力が2.5〜3.5kPaとなるように、分留頭から還流液の一部を抜き出しながら、オイルバスで加熱し、22時間反応した。その後、充填式蒸留塔を外して、単蒸留装置に取り替え、フラスコの内温170℃に上げ、圧力を0.2kPaまで落として、フラスコ内に残った、ジエチレングリコール、エチレンカーボネートを1時間かけて留去した。その後、フラスコの内温170℃、圧力0.1kPaでさらに5時間反応した。この反応により、室温で粘稠な液状のポリカーボネートジオールが174g得られた。この調製を更に10回行い、得られたポリカーボネートジオールの、OH価は69.53(数平均分子量Mn=1614)であった。この調製により得られたポリカーボネートジオールの量は1620gであった。
[実施例1:樹脂(α1)の調製]
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに化合物(x)として旭化成ケミカルズ株式会社製ポリカーボネートジオール「PCDL T4672」(商標)(数平均分子量2082、OH価53.9)396.67gと、イソシアネート化合物(y)として旭化成ケミカルズ株式会社製ヘキサメチレンジイソシアネート無黄変型ポリイソシアネート「デュラネートTPA−100」(商標)(数平均分子量600、NCO23%、イソシアネート基平均数fn3.3)28.4gを加え、40℃加温下で約1時間、80rpmにて攪拌させた後、触媒としてジブチルチンジラウレートを0.2g添加し3時間反応させた。次に、2−メタクリロイルオキシイソシアネート29.56gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2.6個)である数平均分子量約6000の樹脂(α1)を調製した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。樹脂(α1)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、50℃において、1470Pa・sであった。
[実施例2:樹脂(α2)の調製]
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに化合物(x)として旭化成ケミカルズ株式会社製ポリカーボネートジオール「PCDL T4672」(商標)(数平均分子量2082、OH価53.9)516.58gと、イソシアネート化合物(y)として旭化成ケミカルズ株式会社製ヘキサメチレンジイソシアネート無黄変型ポリイソシアネート「デュラネートTKA−100」(商標)(数平均分子量660、NCO21.7%、イソシアネート基平均数fn3.4)38.42gを加え、40℃加温下で約1時間、80rpmにて攪拌させた後、触媒としてジブチルチンジラウレートを0.2g添加し3時間反応させた。次に、2−メタクリロイルオキシイソシアネート38.42gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2.7個)である数平均分子量約6000の樹脂(α2)を調製した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。樹脂(α2)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、50℃において、2350Pa・sであった。
[実施例3:樹脂(α3)の調製]
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに化合物(x)として旭化成ケミカルズ株式会社製ポリカーボネートジオール「PCDL T4672」(商標)(数平均分子量2082、OH価53.9)516.58gと、イソシアネート化合物(y)として旭化成ケミカルズ株式会社製ヘキサメチレンジイソシアネート無黄変型ポリイソシアネート「デュラネートTLA−100」(商標)(数平均分子量540、NCO23.4%、イソシアネート基平均数fn3.0)35.63gを加え、40℃加温下で約1時間、80rpmにて攪拌させた後、触媒としてジブチルチンジラウレートを0.2g添加し3時間反応させた。次に、2−メタクリロイルオキシイソシアネート44.5gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2.4個)である数平均分子量約6000の樹脂(α3)を調製した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。樹脂(α3)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、50℃において、1145Pa・sであった。
[実施例4:樹脂(α4)の調製]
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに化合物(x)として旭化成ケミカルズ株式会社製ポリカーボネートジオール「PCDL T4672」(商標)(数平均分子量2082、OH価53.9)496.59gと、イソシアネート化合物(y)として旭化成ケミカルズ株式会社製ヘキサメチレンジイソシアネート無黄変型ポリイソシアネート「デュラネートTLA−100」(商標)(数平均分子量540、NCO23.4%、イソシアネート基平均数fn3.0)34.24gを加え、40℃加温下で約1時間、80rpmにて攪拌させた後、触媒としてジブチルチンジラウレートを0.2g添加し3時間反応させた。次に、2−メタクリロイルオキシイソシアネート21.67gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2.0個)である数平均分子量約6000の樹脂(α4)を調製した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。樹脂(α4)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、50℃において、1055Pa・sであった。
[実施例5:樹脂(α5)の調製]
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに化合物(x)として旭化成ケミカルズ株式会社製ポリカーボネートジオール「PCDL T4672」(商標)(数平均分子量2082、OH価53.9)431.91gと、イソシアネート化合物(y)として旭化成ケミカルズ株式会社製ヘキサメチレンジイソシアネート無黄変型ポリイソシアネート「デュラネートTLA−100」(商標)(数平均分子量540、NCO23.4%、イソシアネート基平均数fn3.0)29.79gを加え、40℃加温下で約1時間、80rpmにて攪拌させた後、触媒としてジブチルチンジラウレートを0.2g添加し3時間反応させた。次に、2−メタクリロイルオキシイソシアネート12.77gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約1.0個)である数平均分子量約6000の樹脂(α5)を調製した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。樹脂(α5)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、50℃において、1025Pa・sであった。
[実施例6:樹脂(α6)の調製]
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに化合物(x)として旭化成ケミカルズ株式会社製ポリカーボネートジオール「PCDL T4672」(商標)(数平均分子量2082、OH価53.9)519.19gと、イソシアネート化合物(y)として旭化成ケミカルズ株式会社製ヘキサメチレンジイソシアネート無黄変型ポリイソシアネート「デュラネート24A−100」(商標)(数平均分子量560、NCO23.5%、イソシアネート基平均数fn3.1)36.44gを加え、40℃加温下で約1時間、80rpmにて攪拌させた後、触媒としてジブチルチンジラウレートを0.2g添加し3時間反応させた。次に、2−メタクリロイルオキシイソシアネート46.60gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2.5個)である数平均分子量約6000の樹脂(α6)を調製した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。樹脂(α6)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、50℃において、2740Pa・sであった。
[実施例7:樹脂(α7)の調製]
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに化合物(x)として旭化成ケミカルズ株式会社製ポリカーボネートジオール「PCDL T4672」(商標)(数平均分子量2082、OH価53.9)677.00gと、イソシアネート化合物(y)として旭化成ケミカルズ株式会社製ヘキサメチレンジイソシアネート無黄変型ポリイソシアネート「デュラネートTSE−100」(商標)(数平均分子量860、NCO12.2%、イソシアネート基平均数fn2.5)89.57gを加え、40℃加温下で約1時間、80rpmにて攪拌させた後、触媒としてジブチルチンジラウレートを0.2g添加し3時間反応させた。次に、2−メタクリロイルオキシイソシアネート41.95gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2.0個)である数平均分子量約6000の樹脂(α7)を調製した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。樹脂(α7)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、50℃において、2860Pa・sであった。
[実施例8:樹脂(α8)の調製]
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに化合物(x)として旭化成ケミカルズ株式会社製ポリカーボネートジオール「PCDL T4672」(商標)(数平均分子量2082、OH価53.9)500.65gと、イソシアネート化合物(y)として旭化成ケミカルズ株式会社製ヘキサメチレンジイソシアネート無黄変型ポリイソシアネート「デュラネートTSA−100」(商標)(数平均分子量560、NCO20.7%、イソシアネート基平均数fn2.8)39.04gを加え、40℃加温下で約1時間、80rpmにて攪拌させた後、触媒としてジブチルチンジラウレートを0.2g添加し3時間反応させた。次に、2−メタクリロイルオキシイソシアネート33.75gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2.2個)である数平均分子量約6000の樹脂(α8)を調製した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。樹脂(α8)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、50℃において、1250Pa・sであった。
[実施例9:樹脂(α9)の調製]
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに化合物(x)として旭化成ケミカルズ株式会社製ポリカーボネートジオール「PCDL T4672」(商標)(数平均分子量2082、OH価53.9)480.18gと、イソシアネート化合物(y)として旭化成ケミカルズ株式会社製ヘキサメチレンジイソシアネート無黄変型ポリイソシアネート「デュラネートTSS−100」(商標)(数平均分子量610、NCO17.8%、イソシアネート基平均数fn2.6)43.54gを加え、40℃加温下で約1時間、80rpmにて攪拌させた後、触媒としてジブチルチンジラウレートを0.2g添加し3時間反応させた。次に、2−メタクリロイルオキシイソシアネート30.68gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2.1個)である数平均分子量約6000の樹脂(α8)を調製した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。樹脂(α9)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、50℃において、985Pa・sであった。
[実施例10:樹脂(α10)の調製]
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに化合物(x)として旭化成ケミカルズ株式会社製ポリカーボネートジオール「PCDL T4672」(商標)(数平均分子量2082、OH価53.9)501.30gと、イソシアネート化合物(y)として旭化成ケミカルズ株式会社製ヘキサメチレンジイソシアネート無黄変型ポリイソシアネート「デュラネートTSR−100」(商標)(数平均分子量520、NCO20.4%、イソシアネート基平均数fn2.5)34.58gを加え、40℃加温下で約1時間、80rpmにて攪拌させた後、触媒としてジブチルチンジラウレートを0.2g添加し3時間反応させた。次に、2−メタクリロイルオキシイソシアネート35.02gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2.0個)である数平均分子量約6000の樹脂(α8)を調製した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。樹脂(α10)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、50℃において、850Pa・sであった。
[実施例11:樹脂(α11)の調製]
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに化合物(x)として製造例1で調製したポリカーボネートジオール416.95gと、イソシアネート化合物(y)として旭化成ケミカルズ株式会社製ヘキサメチレンジイソシアネート無黄変型ポリイソシアネート「デュラネートTLA−100」(商標)(数平均分子量540、NCO23.4%、イソシアネート基平均数fn3.0)37.10gを加え、40℃加温下で約1時間、80rpmにて攪拌させた後、触媒としてジブチルチンジラウレートを0.2g添加し3時間反応させた。次に、2−メタクリロイルオキシイソシアネート48.20gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2.4個)である数平均分子量約6000の樹脂(α11)を調製した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。樹脂(α11)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、50℃において、2625Pa・sであった。
[実施例12:樹脂(α12)の調製]
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに化合物(x)として製造例1で調製したポリカーボネートジオール433.03gと、イソシアネート化合物(y)として旭化成ケミカルズ株式会社製ヘキサメチレンジイソシアネート無黄変型ポリイソシアネート「デュラネートTLA−100」(商標)(数平均分子量540、NCO23.4%、イソシアネート基平均数fn3.0)38.53gを加え、40℃加温下で約1時間、80rpmにて攪拌させた後、触媒としてジブチルチンジラウレートを0.2g添加し3時間反応させた。次に、2−メタクリロイルオキシイソシアネート35.04gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2.1個)である数平均分子量約6000の樹脂(α12)を調製した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。樹脂(α12)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、50℃において、1525Pa・sであった。
[比較例1:樹脂(β1)の調製]
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに旭化成ケミカルズ株式会社製ポリカーボネートジオール「PCDL T4672」(商標)(数平均分子量2025、OH価55.4)402.60gとトリレンジイソシアネート24.01gを加え、40℃加温下で約1時間、80rpmにて攪拌させた後、触媒としてジブチルチンジラウレートを0.2g添加し3時間反応させた。次に、2−メタクリロイルオキシイソシアネート11.53gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2.0個)である数平均分子量約7500の樹脂(β1)を調製した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。樹脂(β1)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、50℃において、5440Pa・sであった。
[比較例2:樹脂(β2)の調製]
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに製造例1で調製したポリカーボネートジオール423.73gとトリレンジイソシアネート25.34gを加え、40℃加温下で約1時間、80rpmにて攪拌させた後、触媒としてジブチルチンジラウレートを0.2g添加し3時間反応させた。次に、2−メタクリロイルオキシイソシアネート19.91gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2.1個)である数平均分子量約7500の樹脂(α12)を調製した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。樹脂(β2)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、50℃において、6525Pa・sであった。
[比較例3:樹脂(β3)の調製]
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに旭化成ケミカルズ株式会社製ポリカーボネートジオール「PCDL T4672」(商標)(数平均分子量2082、OH価53.9)440.96gと4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート37.39gを加え、40℃加温下で約1時間、80rpmにて攪拌させた後、触媒としてジブチルチンジラウレートを0.2g添加し3時間反応させた。次に、2−メタクリロイルオキシイソシアネート26.05gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2.0個)である数平均分子量約7500の樹脂(β3)を調製した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。樹脂(β3)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、50℃において、5635Pa・sであった。
上記実施例1〜12および比較例1〜3を表1にまとめた。
Figure 2010106070
[実施例13]
樹脂(a)として、樹脂(α1)100質量部に対し、有機化合物(b)として、共栄社化学株式会社製のフェノキシエチルメタクリレート「ライトエステルPO」(商標)(以下、POと略記)37.3質量部および共栄社化学株式会社製のジエチレングリコールモノブチルエーテルモノメタクリレート「ライトエステルBC」(商標)(以下BCと略記)11.9質量部、光重合開始剤(c)として、崩壊型光重合開始剤である2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(DMPAPと略記)を3.0質量部、水素引き抜き型光重合開始剤であるベンゾフェノン(BPと略記)0.8質量部を添加した。さらに、安定剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(DBMPと略記)を0.9質量部、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(BPPSと略記)を1.5質量部、信越化学工業株式会社のシリコーンオイル「KF−410」(商標)1.5質量部を加えて20℃で液状の樹脂組成物(A1)を作製した。
樹脂組成物(A1)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、235Pa・sであった。
さらに、該樹脂組成物(A1)を用いて前述の方法で印刷原版及び印刷版を作成した。塗工時間は5分未満であり、気泡の巻き込みはほとんど無く、液状カスがやや発生しかつ線画の鮮明性も普通であり、レリーフ深度0.5mmで、ドットの形状が円錐状であった。
[実施例14]
樹脂(α1)100質量部に対し、さらに富士シリシア化学株式会社製の無機多孔質体「サイロスフェアC−1504」(商標)(数平均粒子径4.5μm、比表面積520m2/g、平均細孔径12nm、細孔容積1.5ml/g、灼熱減量2.5wt%、吸油量290ml/100g、添加した多孔質球状シリカであるサイロスフェアーC−1504の真球度は、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、ほぼ全ての粒子が0.9以上であった)を7.7質量部添加した以外は実施例13と同様にして20℃で液状の樹脂組成物(A2)を作製した。
樹脂組成物(A2)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、448Pa・sであった。
さらに、該樹脂組成物(A2)を用いて前述の方法で印刷原版及び印刷版を作成した。塗工時間は5分未満であり、気泡の巻き込みはほとんど無く、レーザー彫刻性は液状カスがやや発生したが線画の鮮明性は良好であり、レリーフ深度0.5mmで、ドットの形状が円錐状であった。
[実施例15]
樹脂(a)として、樹脂(α2)を用いた以外は実施例14と同様にして20℃で液状の樹脂組成物(A3)を作製した。 樹脂組成物(A3)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、1004Pa・sであった。
さらに、該樹脂組成物(A3)を用いて前述の方法で印刷原版及び印刷版を作成した。塗工時間は5分以上10分未満であり、気泡の巻き込みはほとんど無く、レーザー彫刻性は液状カスがやや発生したが線画の鮮明性は良好であり、レリーフ深度0.5mmで、ドットの形状が円錐状であった。
[実施例16]
樹脂(a)として、樹脂(α3)を用いた以外は実施例14と同様にして20℃で液状の樹脂組成物(A4)を作製した。 樹脂組成物(A4)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、371Pa・sであった。
さらに、該樹脂組成物(A4)を用いて前述の方法で印刷原版及び印刷版を作成した。塗工時間は5分未満であり、気泡の巻き込みはほとんど無く、レーザー彫刻性は液状カスがやや発生したが線画の鮮明性は良好であり、レリーフ深度0.5mmで、ドットの形状が円錐状であった。
[実施例17]
樹脂(a)として、樹脂(α4)を用いた以外は実施例14と同様にして20℃で液状の樹脂組成物(A5)を作製した。 樹脂組成物(A5)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、360Pa・sであった。
さらに、該樹脂組成物(A5)を用いて前述の方法で印刷原版及び印刷版を作成した。塗工時間は5分未満であり、気泡の巻き込みはほとんど無くであり、レーザー彫刻性は液状カスがやや発生したが線画の鮮明性は良好であり、レリーフ深度0.5mmで、ドットの形状が円錐状であった。
[実施例18]
樹脂(a)として、樹脂(α5)を用いた以外は実施例14と同様にして20℃で液状の樹脂組成物(A6)を作製した。 樹脂組成物(A6)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、355Pa・sであった。
さらに、該樹脂組成物(A6)を用いて前述の方法で印刷原版及び印刷版を作成した。塗工時間は5分未満であり、気泡の巻き込みはほとんど無く、レーザー彫刻性は液状カスがやや発生したが線画の鮮明性は良好であり、レリーフ深度0.5mmで、ドットの形状が円錐状であった。
[実施例19]
樹脂(a)として、樹脂(α6)を用いた以外は実施例14と同様にして20℃で液状の樹脂組成物(A7)を作製した。 樹脂組成物(A7)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、784Pa・sであった。
さらに、該樹脂組成物(A7)を用いて前述の方法で印刷原版及び印刷版を作成した。塗工時間は5分以上10分未満であり、気泡の巻き込みはほとんど無く、レーザー彫刻性は液状カスがやや発生したが線画の鮮明性は良好であり、レリーフ深度0.5mmで、ドットの形状が円錐状であった。
[実施例20]
樹脂(a)として、樹脂(α7)を用いた以外は実施例14と同様にして20℃で液状の樹脂組成物(A8)を作製した。 樹脂組成物(A8)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、800Pa・sであった。
さらに、該樹脂組成物(A8)を用いて前述の方法で印刷原版及び印刷版を作成した。塗工時間は5分以上10分未満であり、気泡の巻き込みはほとんど無く、レーザー彫刻性は液状カスがやや発生したが線画の鮮明性は良好であり、レリーフ深度0.5mmで、ドットの形状が円錐状であった。
[実施例21]
樹脂(a)として、樹脂(α8)を用いた以外は実施例14と同様にして20℃で液状の樹脂組成物(A9)を作製した。 樹脂組成物(A9)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、248Pa・sであった。
さらに、該樹脂組成物(A9)を用いて前述の方法で印刷原版及び印刷版を作成した。塗工時間は5分未満であり、気泡の巻き込みはほとんど無く、レーザー彫刻性は液状カスがやや発生したが線画の鮮明性は良好であり、レリーフ深度0.5mmで、ドットの形状が円錐状であった。
[実施例22]
樹脂(a)として、樹脂(α9)を用いた以外は実施例14と同様にして20℃で液状の樹脂組成物(A10)を作製した。 樹脂組成物(A10)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、170Pa・sであった。
さらに、該樹脂組成物(A10)を用いて前述の方法で印刷原版及び印刷版を作成した。塗工時間は5分未満であり、気泡の巻き込みはほとんど無く、レーザー彫刻性は液状カスがやや発生したが線画の鮮明性は良好であり、レリーフ深度0.5mmで、ドットの形状が円錐状であった。
[実施例23]
樹脂(a)として、樹脂(α10)を用いた以外は実施例14と同様にして20℃で液状の樹脂組成物(A11)を作製した。 樹脂組成物(A11)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、110Pa・sであった。
さらに、該樹脂組成物(A11)を用いて前述の方法で印刷原版及び印刷版を作成した。塗工時間は5分未満であり、気泡の巻き込みはほとんど無く、レーザー彫刻性は液状カスがやや発生したが線画の鮮明性は良好であり、レリーフ深度0.5mmで、ドットの形状が円錐状であった。
[実施例24]
樹脂(a)として、樹脂(α11)100質量部に対し、有機化合物(b)として、POを25.0質量部、光重合開始剤(c)として、DMPAPを2.5質量部、BPを0.6質量部を添加した。さらに、安定剤としてDBMPを0.8質量部、BPPSを1.3質量部、無機多孔質体としてC−1504を6.3質量部を加えて20℃で液状の樹脂組成物(A12)を作製した。 樹脂組成物(A12)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、726Pa・sであった。
さらに、該樹脂組成物(A12)を用いて前述の方法で印刷原版及び印刷版を作成した。塗工時間は5分以上10分未満であり、気泡の巻き込みはほとんど無く、レーザー彫刻性は液状カスがやや発生したが線画の鮮明性は良好であり、レリーフ深度0.5mmで、ドットの形状が円錐状であった。
[実施例25]
樹脂(a)として、樹脂(α12)を用いた以外は実施例24と同様にして20℃で液状の樹脂組成物(A13)を作製した。 樹脂組成物(A13)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、502Pa・sであった。
さらに、該樹脂組成物(A13)を用いて前述の方法で印刷原版及び印刷版を作成した。塗工時間は5分以上10分未満であり、気泡の巻き込みはほとんど無く、レーザー彫刻性は液状カスがやや発生したが線画の鮮明性は良好であり、レリーフ深度0.5mmで、ドットの形状が円錐状であった。
[実施例26]
サイロスフェアC−1504を14.2質量部添加した以外は実施例13と同様にして20℃で液状の樹脂組成物(A14)を作製した。 樹脂組成物(A14)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、1220Pa・sであった。
さらに、該樹脂組成物(A14)を用いて前述の方法で印刷原版及び印刷版を作成した。塗工時間は5分以上10分未満であり、気泡の巻き込みはほとんど無く、レーザー彫刻性は液状カスもほとんど発生せずかつ線画の鮮明性は良好であり、レリーフ深度0.5mmで、ドットの形状が円錐状であった。
[実施例27]
樹脂(a)として、安定剤であるDBMP、BPPS、KF−410を除いた以外は実施例13と同様にして樹脂組成物(A15)を作製した。樹脂組成物(A15)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、230Pa・sであった。
さらに、該樹脂組成物(A1)を用いて前述の方法で印刷原版及び印刷版を作成した。塗工時間は5分未満であり、気泡の巻き込みはほとんど無く、液状カスがやや発生しかつ線画の鮮明性も普通であり、レリーフ深度0.5mmで、ドットの形状が円錐状であった。
[実施例28]
樹脂(a)として、安定剤であるDBMP、BPPS、KF−410を除いた以外は実施例14と同様にして樹脂組成物(A16)を作製した。樹脂組成物(A16)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、440Pa・sであった。
さらに、該樹脂組成物(A2)を用いて前述の方法で印刷原版及び印刷版を作成した。塗工時間は5分未満であり、気泡の巻き込みはほとんど無く、レーザー彫刻性は液状カスがやや発生したが線画の鮮明性は良好であり、レリーフ深度0.5mmで、ドットの形状が円錐状であった。
[比較例4]
樹脂(a)として、樹脂(β1)を用いた以外は実施例13と同様にして20℃で液状の樹脂組成物(B1)を作製した。 樹脂組成物(B1)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、550Pa・sであった。
さらに、該樹脂組成物(B1)を用いて前述の方法で印刷原版及び印刷版を作成した。塗工時間は5分以上10分未満であり、気泡の巻き込みはほとんど無く、レーザー彫刻性は液状カスが顕著に発生しかつ線画の鮮明性も悪く、レリーフ深度0.5mmで、ドットの形状が円錐状であった。
[比較例5]
樹脂(a)として、樹脂(β1)を用いた以外は実施例14と同様にして20℃で液状の樹脂組成物(B2)を作製した。 樹脂組成物(B2)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、1332Pa・sであった。
さらに、該樹脂組成物(B2)を用いて前述の方法で印刷原版及び印刷版を作成した。塗工時間は5分以上10分未満であり、気泡の巻き込みが少量発生し、レーザー彫刻性は液状カスがやや発生し、レリーフ深度0.5mmで、ドットの形状が円錐状であった。
[比較例6]
樹脂(a)として、樹脂(β1)を用いた以外は実施例26と同様にして20℃で液状の樹脂組成物(B3)を作製した。 樹脂組成物(B3)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、6500Pa・sであった。
さらに、該樹脂組成物(B3)を用いて前述の方法で印刷原版及び印刷版を作成した。塗工時間は10分以上であり、気泡の巻き込みが激しく、塗工した樹脂に転移し、レーザー彫刻性は液状カスがやや発生したが線画の鮮明性は良好であり、レリーフ深度0.5mmで、ドットの形状が円錐状であった。
[比較例7]
樹脂(a)として、樹脂(β2)を用いた以外は実施例24と同様にして20℃で液状の樹脂組成物(B4)を作製した。樹脂組成物(B4)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、5100Pa・sであった。
さらに、該樹脂組成物(B4)を用いて前述の方法で印刷原版及び印刷版を作成した。塗工時間は10分以上であり、気泡の巻き込みが激しく、塗工した樹脂に転移し、レーザー彫刻性は液状カスがやや発生したが線画の鮮明性は良好であり、レリーフ深度0.5mmで、ドットの形状が円錐状であった。
[比較例8]
樹脂(a)として、樹脂(β3)を用いた以外は実施例14と同様にして20℃で液状の樹脂組成物(B5)を作製した。樹脂組成物(B5)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、1130Pa・sであった。
さらに、該樹脂組成物(B5)を用いて前述の方法で印刷原版及び印刷版を作成した。塗工時間は5分以上10分未満であり、気泡の巻き込みが少量発生し、レーザー彫刻性は液状カスがやや発生したが線画の鮮明性は良好であり、レリーフ深度0.5mmで、ドットの形状が円錐状であった。
[比較例9]
樹脂(a)として、樹脂(β1)および安定剤であるDBMP、BPPS、KF−410を除いた以外は実施例13と同様にして20℃で液状の樹脂組成物(B6)を作製した。 樹脂組成物(B6)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、540Pa・sであった。
さらに、該樹脂組成物(B1)を用いて前述の方法で印刷原版及び印刷版を作成した。塗工時間は5分以上10分未満であり、気泡の巻き込みはほとんど無く、レーザー彫刻性は液状カスが顕著に発生しかつ線画の鮮明性も悪く、レリーフ深度0.5mmで、ドットの形状が円錐状であった。
[比較例10]
樹脂(a)として、樹脂(β1)および安定剤であるDBMP、BPPS、KF−410を除いた以外は実施例14と同様にして20℃で液状の樹脂組成物(B7)を作製した。樹脂組成物(B7)のB型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、1250Pa・sであった。さらに、該樹脂組成物(B7)を用いて前述の方法で印刷原版及び印刷版を作成した。塗工時間は5分以上10分未満であり、気泡の巻き込みが少量発生し、レーザー彫刻性は液状カスがやや発生したが線画の鮮明性は良好であり、レリーフ深度0.5mmで、ドットの形状が円錐状であった。
なお、いずれの実施例13〜28、比較例4〜10ともにフレキソ印刷においてはベタとハイライトのバランスのとれた印刷結果となった。
上記実施例13〜28および比較例4〜10を表2にまとめた。
Figure 2010106070
まず、表1について考察する。
実施例1〜12と比較例1〜3を比較すると、イソシアネート基平均数fnが2より大きいイソシアネート化合物を用いた実施例1〜12は、イソシアネート基数が2であるイソシアネート化合物を用いた比較例1〜3と比較して、粘度が低い樹脂を得ることができた。
次に、表2の結果について考察する。
使用する樹脂が異なる以外は同一の樹脂組成比である実施例13と比較例4、実施例14〜23と比較例5、8、実施例24、25と比較例7、実施例26と比較例6、実施例27と比較例9、実施例28と比較例10とをそれぞれ比較すると、いずれの実施例においても比較例よりも低粘度な樹脂を得ることができた。また、印刷原版の製造においてもいずれの実施例も比較例よりも塗工時間、気泡巻き込み、レーザー彫刻性のバランスに優れる結果となった。
表2の結果について更に詳細に考察する。
実施例13と比較例4を比較すると無機系微粒子を含まないにもかかわらず、イソシアネート基平均数fnが3.3であるイソシアネート化合物(y)(TPA−100)を用いた実施例1の粘度は、イソシアネート基数が2.0であるTDIを用いた比較例1よりも低く、取扱いが容易であった。
実施例14〜25と比較例5,8を比較すると、いずれも実施例のほうが粘度が低く、気泡の巻き込みも少ない結果となった。
製造例1で調製したポリカーボネートジオールを原料とする樹脂α11、α12、β2を用いた実施例24,25と比較例7を比較すると、イソシアネート基平均数fnが3.0であるイソシアネート化合物(y)(TLA−100)を用いた樹脂を用いた実施例24、25は、イソシアネート基数が2.0であるTDIを用いた樹脂を用いた比較例7と比べて格段に粘度が低く、塗工時間も短縮され気泡の巻き込みも少ないものであった。実施例24、25の樹脂組成物の粘度は使用した樹脂(a)の粘度よりも格段に粘度が低下したのに比べ、比較例7ではほとんど粘度に変化は見られなかった。
実施例26と比較例5を比較すると、イソシアネート基数が2.0であるTDIを用いた比較例2よりイソシアネート基平均数fnが3.3であるイソシアネート化合物(y)(TPA−100)を用いたも実施例26のほうが低粘度であるにもかかわらず、無機系微粒子の添加量を多くすることが可能であった。その結果、実施例ではレーザー彫刻性が向上した。
実施例26と比較例6を比較すると、実施例26と比較例6は他の実施例・比較例と比べて多量のフィラーを有するが、イソシアネート基数が2.0であるTDIを用いた比較例6は粘度が非常に高くなり塗工時間が長くなり、気泡の巻き込みも多くなったが、イソシアネート基平均数fnが3.3であるイソシアネート化合物(y)(TPA−100)を用いた実施例26は多量のフィラー添加を行っても高粘度化が抑制され、塗工時間が短く、気泡の巻き込みも少ない結果となった。
本発明によれば、活性水素を含有する数平均分子量が500以上10万以下である化合物(x)、および下記式(1)で示され、イソシアネート基平均数fnが2より大きく4以下であるイソシアネート化合物(y)との反応生成物である樹脂(a)と数平均分子量が1000未満の重合性不飽和基を有する有機化合物(b)を含有する特定の構造を有する新規な印刷原版用樹脂組成物により、低粘度で成型時に気泡の巻き込みが少なく取扱いが容易な液状樹脂組成物を硬化せしめて得られうる印刷原版及び印刷版を提供することにより、印刷版の生産性を大幅に向上させる。

Claims (14)

  1. 活性水素を含有する数平均分子量が500以上10万以下の化合物(x)と、イソシアネート基の平均数fnが2より大きいイソシアネート化合物(y)との反応によって得られる構造を有し、重合性不飽和基を有する印刷原版用樹脂(a)。
  2. 前記イソシアネート化合物(y)が脂肪族ジイソシアネート化合物、脂環族ジイソシネート化合物、芳香脂肪族ジイソシアネート化合物、芳香族ジイソシアネート化合物からなる群より選択される少なくとも一種以上から誘導される化合物である請求項1記載の印刷原版用樹脂(a)。
  3. 前記イソシアネート化合物(y)がイソシアヌレート、ウレトジオン、アロハネート、ビウレットからなる群より選ばれる少なくとも1種の化学構造を含む請求項1又は2に記載の印刷原版用樹脂(a)。
  4. 前記化合物(x)がポリオール及び/又はジオールである請求項1〜3いずれか一項に記載の印刷原版用樹脂(a)。
  5. 樹脂(a)がカーボネート結合、ウレタン結合、およびエステル結合からなる群より選ばれる少なくとも一種の化学結合を有する請求項1〜4いずれか1項に記載の樹脂(a)。
  6. 請求項1〜5いずれか一項に記載の樹脂(a)と数平均分子量が1000未満の重合性不飽和基を有する有機化合物(b)を含有する印刷原版用樹脂組成物。
  7. 前記有機化合物(b)全量中、20質量%以上が脂環族の誘導体及び/又は芳香族の誘導体である請求項6に記載の印刷原版用樹脂組成物。
  8. 光重合開始剤(c)を更に含有する請求項6または7に記載の印刷原版用樹脂組成物。
  9. 光重合開始剤(c)が水素引き抜き型光重合開始剤及び/又は崩壊型光重合開始剤を含む請求項8に記載の印刷原版用樹脂組成物。
  10. 熱重合開始剤(d)を更に含有する請求項6から9のいずれか1項に記載の印刷原版用樹脂組成物。
  11. 20℃において液状である請求項6から10のいずれか1項に記載の印刷原版用樹脂組成物。
  12. 数平均粒子径が0.01μm以上10μm以下である無機系微粒子を前記の印刷原版用樹脂組成物100質量部に対して1〜50質量部さらに含有する請求項6から11のいずれか1項に記載の印刷原版用樹脂組成物。
  13. 請求項6から12のいずれかに記載の印刷原版用樹脂組成物を光硬化及び/又は熱硬化せしめることにより得られうる印刷原版。
  14. 請求項13に記載の印刷原版をレーザー彫刻することにより得られうる印刷版。
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