JP5242033B2 - 凸版印刷原版及びレーザー彫刻印刷版 - Google Patents
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Description
また、特許文献4(特開平10-193821公報)には、印刷材の厚さを調整するために、フレキソ印刷用ゴム印材に裏ゴムを積層し、これを研摩することが記載されているが、特許文献4に開示されているのは厚さ調節のための裏ゴムの研摩であり、印刷層表面の粗さの規定やこれによるベタ品質の改良に関する記載はない。
また、本発明では、このような凸版印刷原版を容易かつ短時間で、再現性よく製造できる方法を提供することを目的とする。
すなわち、フレキソ印刷版等の凸版印刷の印刷層表面には、ある程度凹凸のある方がベタ隠蔽性、ベタ濃度の両方が向上するという現象に着目し、その表面形状について種々のパラメーターを用いて詳細に研究したところ、ベタ品質の向上効果は、印刷層表面の二乗平均平方根粗さRq、最大高さRy、十点平均粗さRzが特定の数値範囲にある場合に特に顕著に奏されることを見出した。
樹脂硬化物を含む印刷層(A)を有する凸版印刷原版であって、
該印刷層(A)の表面の二乗平均平方粗さRqが、0.3μm以上2.4μm以下であり、
該印刷層(A)の最大高さRyが8μm以上21μm以下であり、
該印刷層(A)の十点平均粗さRzが8μm以上21μm以下である凸版印刷原版。
本発明において、凸版印刷とは、印刷版の凸部にインクを付けて印刷する方法であり、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、レタープレス印刷を包含するが、この中でも特にフレキソ印刷が好ましい。
本発明で用いるRqは、JISB0601:2001に基づくパラメーターであり、(式1)により定義される、二乗平均平方根高さを表し、基準長さにおける二乗平均平方根、つまり表面粗さの標準偏差を意味する。
これに対して、本発明の版表面粗さRqを用いると、(i)、(ii)および(iii)のような形状を区別することができ、印刷層のRqとベタ品質との間には相関関係が認められ、その結果、Rqを調整することにより、印刷層のベタ品質を再現性よくコントロールできる。
本発明で用いるRy、Rzは、JISB0601:2001に基づくパラメーターである。
Ryは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の山頂と谷底線との間隔を粗さ曲線の縦倍率方向に測定し、この値をμmで表したものを意味する。つまり、基準長さにおける輪郭曲線の中で、もっとも高い山の高さともっとも深い谷の深さの和を表すものである。
また、Rzは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から縦倍率の方向に測定した、もっとも高い山頂から5番目までの山頂の標高の絶対値の平均と、もっとも低い谷底から5番目までの谷底の標高の絶対値の平均値との和を求め、この値をμmで表したものを意味する。つまり基準長さにおける輪郭曲線の中で、もっとも高い山の高さともっとも深い谷の深さの和を表すものである。
ベタ品質の点から、最大高さRy、十点平均粗さRzは8μm以上21μm以下であることが必要であり、好ましいくは8μm以上15μm以下である。
該測定装置を用いた測定は、例えば、以下のような手順で行うことができる。
20mm四方のサンプルを切り出し、印刷層表面をエタノールで洗浄し十分に乾燥し、両面テープ(3M社製、ST−416)で顕微鏡ステージに空気のもぐり込みがないよう貼り付け固定する。該測定装置の測定画面からサンプルに明らかな勾配が現れる場合、特にSパラメーターへの影響が大きくなるため再度サンプルの採取から測定をやり直す。対物レンズとして、100倍のものを用い、測定視野は110μm×150μmとして測定する。測定視野は他の条件が一定の場合は対物レンズにより一義的に決定されるが、この範囲の視野であればRq、Ry、Rz、Sパラメーター共に再現性、感度共に良好な測定が可能で、微細なノイズもほとんど検出しない。例えば、対物レンズとして500倍を用いると測定視野が22μm×30μmとなり、測定対象の形状と比較して視野が極度に小さくなるため、本来測定すべき凹凸以外の凹凸まで測定されてしまい、ノイズが大きくなるので測定として不適である。また、対物レンズとして20倍を用いると測定視野は550μm×750μmとなり測定対象の形状と比較して視野が極度に大きくなり、表面の凹凸を感度良く検出できないため測定として不適である。
Rq、Ry、Rz、Sパラメーターいずれも、同一平面で異なる箇所をそれぞれ1回ずつ、計3回程度測定し平均値を採用することが好ましい。
印刷層に無機系微粒子(a)を含有させることにより、所望の表面粗さにする表面調整の工程中に生じるカスなどによるべとつきが低減し、印刷層表面を精密に加工することが容易となる。
多孔質微粒子の各物性が、上記範囲内であれば、例えば印刷層(A)をレーザーによる彫刻にて画像部を形成する場合に、除去した分解物を吸収するのに好適である。
数平均粒子径が上記範囲であれば、切削、研削、研磨工程においてべとつきを低減でき、印刷層(A)表面粗さへの影響が少なく、印刷画像に欠損が生じることなくレーザー彫刻によりパターン形成が可能となる。
特に、耐磨耗性の観点からは、少なくとも70%の粒子の真球度が0.5から1の範囲の球状粒子であることが好ましい。ここで、本発明で用いる真球度とは、粒子を投影した場合に投影図形内に完全に入る円の最大半径D1と、投影図形が完全に入る円の最小半径D2との比(D1/D2)で定義する。真球の場合、真球度は1.0となる。
多孔質微粒子の真球度は、0.5以上1.0以下であることが好ましく、より好ましくは0.7以上1.0以下である。0.5以上であれば、印刷版としての耐磨耗性が良好である。また、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上の多孔質微粒子が、真球度0.5以上であることが望ましい。
また、層状粘土化合物のように、層間に数nmから数百nmの空隙が存在する多孔質微粒子については、細孔径を定義できないため、本発明においては層間に存在する空隙の間隔を細孔径と定義する。
本発明において、これらの多孔質微粒子は1種類もしくは2種類以上のものを選択できる。
本発明において、無孔質超微粒子の数平均粒子径とは、1次粒子の数平均粒子径であり、10nm以上500nm以下であることが好ましい。より好ましくは10nm以上100nm以下である。この範囲であれば、切削、研削、研磨工程におけるべとつきを低減でき、しかも、印刷層(A)表面粗さへの影響が少なく、印刷画像に欠損が生じることなくレーザー彫刻によりパターン形成が可能である。
高エネルギー活性線とは、399kJ/mol以上のエネルギー線をいい、具体的には、紫外線、電子線、γ線、X線、分子線等の波長の短い光のことである。特に取り扱いの容易さから、波長200nmから400nm以下の紫外線を含む光が好ましい。
感光性樹脂として20℃において液状樹脂であるものを用いることにより、感光性樹脂組成物も20℃において液状とすることができる。感光性樹脂組成物を20℃において液状とすることにより、これから得られるレリーフ画像作成用印刷原版をシート状や円筒状に成形する際、良好な厚み精度や寸法精度を得られることができる。
分解し易い樹脂としては、分子鎖中に分解し易いモノマー単位としてスチレン、α−メチルスチレン、α−メトキシスチレン、アクリルエステル類、メタクリルエステル類、エステル化合物類、エーテル化合物類、ニトロ化合物類、カーボネート化合物類、カルバモイル化合物類、ヘミアセタールエステル化合物類、オキシエチレン化合物類、脂肪族環状化合物類等が挙げられる。特に、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラエチレングリコール等のポリエーテル類;脂肪族ポリカーボネート類;脂肪族カルバメート類;ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ニトロセルロース、ポリオキシエチレン、ポリノルボルネン、ポリシクロヘキサジエン水添物、あるいは分岐構造の多いデンドリマー等の分子構造を有するポリマーは、分解し易いものの代表例である。また、分子鎖中に酸素原子を多数含有するポリマーが分解性の観点から好ましい。これらの中でも、カーボネート基、カルバメート基、メタクリル基をポリマー主鎖中に有する化合物は、熱分解性が高く好ましい。例えば、(ポリ)カーボネートジオールや(ポリ)カーボネートジカルボン酸を原料として合成したポリエステルやポリウレタン、(ポリ)カーボネートジアミンを原料として合成したポリアミドなどを熱分解性の良好なポリマーの例として挙げることができる。これらのポリマーは、主鎖、側鎖に重合性不飽和基を含有しているものであっても構わない。特に、末端に水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の反応性官能基を有する場合には、主鎖末端に重合性不飽和基を導入することも容易である。
該誘導体としては、シクロアルキル−、ビシクロアルキル−、シクロアルケン−、ビシクロアルケン−などの脂環族;ベンジル−、フェニル−、フェノキシ−などの芳香族;アルキル−、ハロゲン化アルキル−、アルコキシアルキル−、ヒドロキシアルキル−、アミノアルキル−、テトラヒドロフルフリル−、アリル−、グリシジル−、アルキレングリコール−、ポリオキシアルキレングリコール−、(アルキル/アリルオキシ)ポリアルキレングリコール−やトリメチロールプロパン等の多価アルコールのエステルなどが挙げられる。
好ましい有機化合物(c)の例としては、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、イソボロニルアクリレート、イソボロニルメタクリレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアクリレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、イソミリスチルアクリレート、イソオクチルアクリレートなどが挙げられる。
バックフィルムの役割は、印刷原版の寸法安定性を確保することである。したがって、寸法安定性の高いものを選択することが好ましい。線熱膨張係数を用いて評価すると、好ましい材料の上限値は100ppm/℃以下、更に好ましくは70ppm/℃以下である。材料の具体例としては、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビスマレイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンチオエーテル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂からなる液晶樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。また、これらの樹脂を積層して用いることもできる。例えば、厚み4.5μmの全芳香族ポリアミドフィルムの両面に厚み50μmのポリエチレンテレフタレートの層を積層したシート等でもよい。また、多孔質性のシート、例えば繊維を編んで形成したクロスや、不織布、フィルムに細孔を形成したもの等をバックフィルムとして用いることができる。バックフィルムとして多孔質性シートを用いる場合、感光性樹脂組成物を孔に含浸させた後に光硬化させることで、感光性樹脂硬化物層とバックフィルムとが一体化するために高い接着性を得ることができる。クロスあるいは不織布を形成する繊維としては、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アルミナ・シリカ繊維、ホウ素繊維、高珪素繊維、チタン酸カリウム繊維、サファイア繊維などの無機系繊維、木綿、麻などの天然繊維、レーヨン、アセテート等の半合成繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリイミド、アラミド等の合成繊維を挙げることができる。また、バクテリアの生成するセルロースは、高結晶性ナノファイバーであり、薄くて寸法安定性の高い不織布を作製することのできる材料である。
また、円筒状支持体の線熱膨張係数を小さくする方法として、充填剤を添加する方法、全芳香族ポリアミド等のメッシュ状クロス、ガラスクロスなどに樹脂を含浸あるいは被覆する方法などを挙げることができる。充填剤としては、通常用いられる有機系微粒子、金属酸化物あるいは金属等の無機系微粒子、有機・無機複合微粒子などを用いることができる。また、多孔質微粒子、内部に空洞を有する微粒子、マイクロカプセル粒子、低分子化合物が内部にインターカレーションする層状化合物粒子を用いることもできる。特に、アルミナ、シリカ、酸化チタン、ゼオライト等の金属酸化物微粒子、ポリスチレン・ポリブタジエン共重合体からなるラテックス微粒子、高結晶性セルロース、生物が生成した高結晶性セルロースナノファイバー等の天然物系の有機系微粒子、繊維等が有用である。繊維強化プラスチック(FRP)等の材料は、円筒状支持体として特に有用である。
また、印刷評価における厚み精度を考慮すると樹脂組成物はシート版よりも円筒状に成形するほうが好ましい。
印刷層(A)表面の切削による加工としては、特に制限するものではないが、例えば旋盤、ボール盤、フライス盤、形削り盤、平削り盤、NC工作機械などの刃物による加工が挙げられる。
また、印刷層(A)表面の研削による加工としては、砥石による加工などが挙げられる。研削加工に用いられる研削砥石の材質は、特に制限するものではないが、例としてアルミナ系や炭化珪素系の材質が挙げられる。該砥石の材質としては、例えば、アルミナ系では褐色アルミナ、白色アルミナ、淡紅色アルミナ、解砕形アルミナ等が挙げられ、炭化珪素系では黒色炭化珪素、緑色炭化珪素等が挙げられる。
研削加工に用いられる研削砥石の砥粒の粒度については、8番以上、5000番以下の砥石が好ましく用いられる。砥粒を結合させる結合剤の主要成分としては、例えば、長石可溶性粘度・フラックス、ベークライト人造樹脂、珪酸ソーダフラックス、天然・人造ゴム・硫黄、セラック天然樹脂、金属箔などが挙げられる。
該研磨紙や該研磨フィルム表面上の研磨剤の材質としては、金属、セラミックス、炭素化合物から選択される少なくとも1種類の微粒子が好ましい。金属微粒子の例としては、クロム、チタン、ニッケル、鉄等の比較的硬質の材料が好ましい。また、セラミックスの具体例としては、アルミナ、シリカ、窒化珪素、窒化ホウ素、ジルコニア、珪酸ジルコニウム、炭化珪素などが挙げられる。アルミナ質砥粒の素材質としては、褐色アルミナ質、解砕型アルミナ質研摩剤、淡紅色アルミナ質研摩剤、白色アルミナ質研削剤、人造エメリー研削剤などが挙げられる。炭化珪素質砥粒の素材質としては黒色炭化珪素質研磨剤、緑色炭化珪素質研摩剤などが挙げられる。また、炭素化合物としては、ダイヤモンド、グラファイト等の化合物を挙げることができる。特に人造ダイヤモンドは研磨剤として好ましい。他の研磨剤の材質として、ガラスビーズなどのガラス系研磨剤、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエステル、メチルメタルアクリレートなどの樹脂系研磨剤、クルミ殻、杏の種、桃の種などの植物系研磨剤などを用いることもできる。さらに、研磨布と上記の研磨剤を組み合わせて用いることも可能である。
(1)粘度
液状樹脂および感光性樹脂組成物の粘度は、B型粘度計(商標、B8H型;日本国、東京計器社製)を用い、20℃で測定した。
(2)数平均分子量の測定
感光性樹脂(b)の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)を用いて、分子量既知のポリスチレンで換算して求めた。高速GPC装置(日本国、東ソー社製、商標、HLC−8020)とポリスチレン充填カラム(日本国、東ソー社製、商標「TSKgel GMHXL」)を用い、テトラヒドロフラン(THF)で展開して測定した。カラムの温度は40℃に設定した。GPC装置に注入する試料としては、樹脂濃度が1wt%のTHF溶液を調製し、注入量10μlとした。また、検出器としては、樹脂(b)に関しては紫外吸収検出器を使用し、モニター光として254nmの光を用いた。
(3)重合性不飽和基の数の測定
合成した樹脂(b)の分子内に存在する重合性不飽和基の平均数は、未反応の低分子成分を液体クロマトグラフ法を用いて除去した後、核磁気共鳴スペクトル法(NMR法)を用いて分子構造解析し求めた。
(印刷原版用感光性樹脂(ア)の製造)
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに、旭化成株式会社製ポリカーボネートジオールである、商標「PCDL L4672」(数平均分子量1945、OH価57.7)455.53gとトリレンジイソシアナート28.76gを加え80℃に加温下に約3時間反応させた後、2−メタクリロイルオキシイソシアネート18.25gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約1.7個)である数平均分子量約7000の樹脂(ア)を製造した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。
前記の製造例1で得られた樹脂(ア)100重量部に対し、重合性モノマーとしてフェノキシアクリレート37重量部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルモノメタクリレート12重量部を添加した。無機系微粒子(a)として多孔質性微粉末シリカである、富士シリシア化学株式会社製、商標「サイロスフェアC−1504」(数平均粒子径4.5μm、比表面積520m2/g、平均細孔径12nm、細孔容積1.5ml/g、灼熱減量2.5wt%、吸油量290ml/100g)を5重量部添加した。添加した多孔質球状シリカであるサイロスフェアーC−1504の真球度は、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、ほぼ全ての粒子が0.9以上であった。
その他添加剤として3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β-(3−t-ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル−プロピオキシ)エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン1.5重量部を加えて20℃で液状の感光性樹脂組成物(イ)を作成した。
感光性樹脂組成物(イ)は20℃において液状であった。また、B型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、5kPa・s以下であった。
前記の感光性樹脂(ア)100重量部に対し、重合性モノマーとしてフェノキシアクリレート37重量部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルモノメタクリレート12重量部を添加した。
光重合開始剤として水素引き抜き型光重合開始剤(d)であるベンゾフェノンを0.8重量部、崩壊型光重合開始剤(e)である2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(DMPAP)を0.9重量部添加した。
その他添加剤として3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β-(3−t-ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル−プロピオキシ)エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン1.5重量部を加えて、多孔質微粒子(a)を含まない、20℃で液状の感光性樹脂組成物(ウ)を作成した。
感光性樹脂組成物(ウ)は20℃において液状であった。また、B型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、5kPa・s以下であった。
外径218.384mm、幅1000mmの金属製シリンダー上に、厚み0.18mmのPETフィルムを巻きつけて、両端を両面テープで固定した。該PETフィルム上に感光性樹脂組成物(イ)をドクターブレードで塗工した。
感光性樹脂組成物(イ)を塗工したシリンダーにメタルハライドランプ(アイ・グラフィックス社製、商標「M056−L21」)の紫外線を4000mJ/cm2(UVメーターとUV−35−APRフィルターを用いて積算したエネルギー量)照射し、感光性樹脂硬化物フイルムを得た。約2mmあったため、グラインダーを用いて表面を研削し、さらに表面を粒度9μmの研磨紙(日本、三共理化学株式会社製、ミラーフィルムMCF)を用いて湿式にて精密研磨し、シリンダーからPETフィルムを剥がして、厚さ1.14mmのそれぞれ異なる表面粗さを有するレーザー彫刻可能なシート状印刷原版を得た。
[実施例1B]
研磨紙の粒度を15μmとした以外は実施例1Aと同様にして、シート状印刷層原版を得た。
[比較例1A]
研磨紙の粒度を30μmとした以外は実施例1Aと同様にして、シート状印刷層原版を得た。
[比較例1B]
また、研摩、研削、切削のいずれも行わずに感光性樹脂組成物(イ)を厚さ1.14mmに成形したレーザー彫刻可能なシート状印刷原版を得た。
印刷性評価試験は、コート紙、ラジカル系UVインキを用いてフレキソ印刷機(米国、COMCO社製)で印刷を行った。評価方法は、テストパターンの100%画像部、すなわちベタの部分の隠蔽性の評価は画像解析装置(株式会社NIRECO製、商標「LUZEX」)で測定した。また、ベタ部分の濃度の評価は反射濃度計(スイス国、Gretag−Macbeth AG社製、商標「GRETAG D19C」)で測定した。
印刷性評価試験においては、ベタ部分の隠蔽率は、95〜97%以上であれば視覚的に均一なインキ皮膜とみなすことができ、高品質な印刷といえる。また、ベタ濃度は、高い方が階調のある高品質な印刷物に適する。ベタ濃度の差は0.01でも視認でき、印刷品質の差となりうる。シート状印刷版に対して紙を用いた該評価の場合には、ベタ濃度が1.60を超える印刷物であれば、ベタ品質が高いといえる。そして、最終的な印刷性は、ベタ濃度とベタ遮蔽性の両方から総合的に判断され、いずれか一方の値が低い場合には、印刷性の評価も低くなる。
印刷評価適性試験を行った結果を表1に示す。
外径152.905mm、幅450mmの繊維強化プラスチック製の円筒状支持体上に、厚み0.55mmの発泡ポリエチレンから形成された両面に粘着剤層の付いたクッションテープを気泡が入らないように、粘着剤層が円筒状支持体表面に接着するように慎重に被覆した。該クッションテープ上に感光性樹脂組成物(イ)をドクターブレードで塗工した。感光性樹脂組成物(イ)を塗工したシリンダーにメタルハライドランプ(アイ・グラフィックス社製、商標「M056−L21」)の紫外線を4000mJ/cm2(UVメーターとUV−35−APRフィルターを用いて積算したエネルギー量)照射し、感光性樹脂硬化物層を得た。約2mmあったため、グラインダーを用いて表面を研削し、さらに表面を粒度9μmの研磨紙を用いて精密研磨し、異なる表面粗さを有するレーザー彫刻可能な円筒状印刷原版を得た。
[実施例2B]
研磨紙の粒度を15μmとした以外は実施例2Aと同様にして、円筒状印刷層原版を得た。
[比較例2A]
研磨紙の粒度を30μmとした以外は実施例2Aと同様にして、円筒状印刷層原版を得た。
印刷性評価試験は、ポリエチレンフィルム、エステル系溶剤インキを用いてフレキソ印刷機(ドイツ、ウィンドミュラー&ヘルシャー社製、商標「SOLOFLEX」)で印刷を行った。評価方法は実施例1Aと同様の方法を用いた。すなわち、テストパターンの100%画像部、すなわちベタの部分の隠蔽性の評価は画像解析装置(株式会社NIRECO製、商標「LUZEX」)で測定した。また、ベタ部分の濃度の評価は反射濃度計(スイス国、Gretag−Macbeth AG社製、商標「GRETAG D19C」)で測定した。なお、円筒状印刷原版に対してプラスチックフイルムを用いた該評価の場合には、ベタ濃度が2.00を超える印刷物であれば、ベタ品質が高いといえる。
研磨紙の粒度を15μmとした以外は実施例1Aと同様にして、シート状印刷原版を得た。得られた印刷原版の表面状態を測定した結果を表3に示す。
さらに、実施例1Aと同様にして、レーザー彫刻により、印刷原版表面に凹凸パターンを形成して、シート状印刷版を作成した。
特許文献2に記載の溶剤現像型の未露光の感光性樹脂版Cyrel HIQS(DuPont製、商品名、厚み1.14mm)のカバーシートをはぎとり、感光性樹脂層の上にある保護膜層の上にネガフィルムを密着させ、AFP−1500露光機(旭化成製、商品名)上で370nmに中心波長を有する紫外線蛍光灯を用いて、まず支持体側から330mJ/cm2の全面露光をおこなった後、引き続きネガフィルムを通して6000mJ/cm2の画像露光をおこなった。このときの露光強度をオ−ク製作所製のUV照度計MO−2型機でUV−35フィルタ−を用いて、バック露光を行なう側である下側ランプからの紫外線をガラス板上で測定した強度は4.0mW/cm2、レリーフ露光側である上側ランプからの紫外線を測定した強度は7.8mW/cm2であった。次に、ソルビット(ポリファイブロン社製、商品名)を現像液として、クイックライン912現像機(旭化成製、商品名)を用いて、液温30℃で現像を行った。
現像直後は版が現像液に膨潤しているため、後露光の前に、60℃で1時間乾燥させ、その後、版表面全体に、254nmに中心波長をもつ殺菌灯を用いて1000mJ/cm2、続いて紫外線蛍光灯を用いて1000mJ/cm2の後露光を行なってシート状フレキソ印刷版を得た。なお、ここで殺菌灯による後露光量は、MO−2型機のUV−25フィルタ−を用いて測定された照度から算出したものである。
印刷性評価試験は、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、エステル系溶剤インキを用いてフレキソ印刷機(日本、伊予機械社製)で印刷を行った。評価方法は実施例1Aと同様の方法を用いた。すなわち、テストパターンの100%画像部、すなわちベタの部分の隠蔽性の評価は画像解析装置(株式会社NIRECO製、商標「LUZEX」)で測定した。また、ベタ部分の濃度の評価は反射濃度計(スイス国、Gretag−Macbeth AG社製、商標「GRETAG D19C」)で測定した。なお、シート状印刷版に対してプラスチックフイルムを用いた該評価の場合には、ベタ濃度が1.30を超える印刷物であれば、ベタ品質が高いといえる。
感光性樹脂物(ウ)を用いて実施例1A、実施例2Aと同様にしてシート状感光性樹脂硬化物層、及び円筒状感光性樹脂硬化物層を形成した。該印刷版を実施例1A、実施例2Aと同様にして研削、研摩を行ったが、表面の摩擦による抵抗が大きく、表面加工を完了することができないために印刷性を評価可能な印刷原版を得ることができなかった。
マクロメルト6900(ヘンケル社製)90重量部とタフテックM1913(旭化成社製)10重量部を、予め加熱ニーダーロールミルにて150℃、100rpm
の条件で5分間混練し、混合ポリマーを調製した。ついでこのポリマーをイソプロピルアルコール/トルエン=1/1の混合溶媒に溶解し濃度が15重量%の溶液を調製した。紫外線領域に吸収を持つ染料の、Valiosol YellowMYE(オリエント化学社製)を上記ポリマー溶液71重量部に対し0.70重量部、添加してスリップ層溶液を調製した。
次に、この溶液を、100μmの厚みのカバーシートとなるポリエステルフィルム上に、乾燥後の塗布量が5〜5.5g/m2となるようにブレードコーターを用いて塗布し、80℃で2分間乾燥しスリップ層が塗布されたカバーシートを得た。
次に、クレイトンD1102(クレイトンポリマー社製 スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体)58.4部、ポリオイル130(Degussa社製)14.5部、液状ポリブタジエンB−1000(日本石油化学社製)14.0部、1,9−ノナンジオールジアクリレート10部、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン1.5部、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.3部をともに加熱ニーダーミルで混練し、感光性樹脂組成物を調製した。この感光性樹脂組成物を、125μmのポリエステルフィルムの支持体上に接着層が塗布された支持体層と、スリップ層を塗布したカバーシート、それぞれ塗布面が感光性樹脂側になるように挟み、3.0mmのスペーサーを用いてプレス機で、130℃で油圧200kg/cm2の条件で4分間かけて成形し感光製版用印刷原版を得た。
このようにして得られた印刷原版を、通常の製版工程にしたがって製版し、印刷版を作成した。すなわち、印刷原版を露光機(旭化成社製AFP−1500露光機)上で、カバーシートを剥離しスリップ層上に、全てが画像部となるような評価用ネガフィルムを置き、バキュームシートで覆い真空装置によりネガフィルムを密着させた。支持体層側の紫外線ランプ(フィリップス社製 60W−10Rランプ)により500mJ/cm2のバック露光を行い、ついで画像側のレリーフ露光(バック露光と同仕様のランプ)を8000mJ/cm2照射した。このときの紫外線ランプの強度を光量計(オーク社製 MO−2 UV−35フィルター)で測定すると、バック露光用の下側紫外線ランプが4.0mW/cm2、レリーフ露光用の上側紫外線ランプが7.9mW/cm2であった。次に、テトラクロルエチレン/n−ブタノール=3/1(容積比)を現像液として、AFP−1500現像機(旭化成社製)にて、版シリンダーに両面テープで印刷原版の支持体側を貼りつけて25℃の温度で4分間現像を行った。現像後、60℃の乾燥機(旭化成社製 AFP−1500乾燥機)で2時間乾燥し、レリーフ像を有するフレキソ印刷用の印刷版が得られた。
該印刷版を実施例1Aと同様にして研削、研摩を行ったが表面の摩擦による抵抗が大きく、表面加工を完了することができないために印刷性を評価可能な印刷版を得ることができなかった。
比較例5と同様にしてスリップ層溶液を調製した。
次に、この溶液を、100μmの厚みのカバーシートとなるポリエステルフィルム上に、乾燥後の塗布量が5〜5.5g/m2となるようにブレードコーターを用いて塗布し、80℃で2分間乾燥しスリップ層が塗布されたカバーシートを得た。次にクレイトンT1107(クレイトンポリマー社製 スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体)82.3部、ピコテックス100S(ハーキュレス社製、スチレン系微晶製炭化水素ワックス)7.0部、1,9−ノナンジオールジアクリレート5.3部、1,9−ノナンジオールジメタクリレート3.7部、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン1.4部、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.2部をともに加熱ニーダーミルで混練し、感光性樹脂組成物を調製した。この感光性樹脂組成物を、125μmのポリエステルフィルムの支持体上に接着層が塗布された支持体層と、作成したスリップ層を塗布したカバーシート、それぞれ塗布面が感光性樹脂側になるように挟み、3.0mmのスペーサーを用いてプレス機で、130℃で油圧200kg/cm2の条件で4分間かけて成形し印刷原版を得た。
このようにして得られた印刷原版を比較例5と同様にして製版し、印刷版を作成した。
該印刷版を実施例1Aと同様にして研削、研摩を行ったが表面の摩擦による抵抗が大きく、表面加工を完了することができないために印刷性を評価可能な印刷版を得ることができなかった。
Claims (10)
- 樹脂硬化物を含む印刷層(A)を有する凸版印刷原版であって、
該印刷層(A)の表面の二乗平均平方粗さRqが、0.3μm以上2.4μm以下であり
、
該印刷層(A)の最大高さRyが8μm以上21μm以下であり、
該印刷層(A)の十点平均粗さRzが8μm以上21μm以下であって、
前記印刷層(A)は、表面に存在する研磨剤の粒度が3μm以上20μm以下である研磨紙、研磨フィルム又は研磨ホイールによって表面調整することにより形成されたものである、凸版印刷原版。 - 前記印刷層(A)が、以下の条件(1)〜(5)を満たす無機多孔質微粒子を含む請求項
1に記載の凸版印刷原版;
(1)比表面積が10m2/g以上1500m2/g以下
(2)平均細孔径が1nm以上1000nm以下
(3)細孔容積が0.1ml/g以上10ml/g以下
(4)吸油量が10ml/100g以上2000ml/100g以下
(5)数平均粒子径が0.1μm以上10μm以下。 - 前記印刷層(A)が、数平均粒子径が10nm以上500nm以下である無機無孔質超
微粒子を含む請求項1又は2に記載の凸版印刷原版。 - 前記印刷層(A)が、感光性樹脂組成物を高エネルギー活性線照射により光硬化させて
得られる感光性樹脂硬化物層である請求項1〜3のいずれか1項に記載の凸版印刷原版。 - 前記感光性樹脂組成物が、20℃において液状である請求項4に記載の凸版印刷原版。
- 前記印刷層(A)の下部に、ショアA硬度が20度以上70度以下の一定厚さのエラス
トマー層を少なくとも1層有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の凸版印刷原版。 - 形状が、中空円筒状である請求項1〜6のいずれか1項に記載の凸版印刷原版。
- 前記研磨剤が、金属、セラミックス、炭素化合物から選択される少なくとも1種類の微
粒子であり、かつ、前記表面調整が、液体を介在させながら行われる請求項1に記載の凸版印刷原版。 - 前記研磨剤の平均粒子径が、12μmから20μmであり、かつ、前記液体が、水を含
む請求項8に記載の凸版印刷原版。 - 請求項1〜9のいずれか1項に記載の凸版印刷原版にレーザー光を照射し、レーザー光照射部を除去することにより凹パターンが形成された、レーザー彫刻印刷版。
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