JP5486428B2 - レーザー彫刻用樹脂組成物、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版及びその製造方法、並びに、レリーフ印刷版及びその製版方法 - Google Patents
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Description
レリーフ印刷版は、凹凸を有するレリーフ層を有する凸版印刷版であり、このような凹凸を有するレリーフ層は、主成分として、例えば、合成ゴムのようなエラストマー性ポリマー、熱可塑性樹脂などの樹脂、或いは、樹脂と可塑剤との混合物を含有する感光性組成物を含有するレリーフ形成層をパターニングし、凹凸を形成することにより得られる。このようなレリーフ印刷版うち、軟質なレリーフ層を有するものをフレキソ印刷版と称することがある。
レリーフ印刷版をアナログ製版により作製する場合、一般に銀塩材料を用いた原画フィルムを必要とするため、原画フィルムの製造時間及びコストを要する。さらに、原画フィルムの現像に化学的な処理が必要で、かつ現像廃液の処理をも必要とすることから、さらに簡易な版の作製方法、例えば、原画フィルムを用いない方法、現像処理を必要としない方法などが検討されている。
特許文献1には、(a)可撓性支持体の頂部にあるエラストマー層を強化して、必要に応じてこのエラストマー層の頂部上に除去可能なカバーシートを有することのできる、レーザーで彫刻可能なフレキソグラフ印刷エレメントを作成し、この場合強化は、機械的、光化学的および熱化学的強化またはこれらの組合わせからなる群から選択されるが、但し熱化学的強化は、硫黄、硫黄含有化合物または過酸化物以外の架橋剤を用いて実施されるものとし、そして(b)工程(a)のレーザーで彫刻可能なエレメントを予め選定した少なくとも一つのパターンに従ってレーザー彫刻してレーザー彫刻されたフレキソグラフ印刷版を作成するが、但しカバーシートが存在する場合は、レーザー彫刻に先立ってそれを除去するものとすることからなる、単層フレキソグラフ印刷版を製造する方法が記載されている。
特許文献2には、(A)繰り返し単位として45質量%以上のエチレン単位を含む重合体と、(B)有機過酸化物とを含有する重合体組成物が架橋されてなることを特徴とするレーザー加工用重合体材料が記載されている。
<1>(a)2以上の架橋性基を有する架橋剤、(b)前記架橋性基と反応可能な反応性基を有するポリマー、及び、(c)香料を含有することを特徴とするレーザー彫刻用樹脂組成物、
<2>前記(c)香料が、天然香料、合成香料、及び、バイオ香料よりなる群から選ばれた少なくとも1つの香料である、上記<1>に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<3>前記(c)香料が、テルペン系化合物、アルコール系化合物、フェノール系化合物、アルデヒド系化合物、アセタール系化合物、ケトン系化合物、ケタール系化合物、エーテル系化合物、オキサイド系化合物、ムスク系化合物、カルボン酸系化合物、ラクトン系化合物、エステル系化合物、含窒素系化合物、含硫黄系化合物、及び、含ハロゲン系化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物を含む、上記<1>又は<2>に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<4>前記(c)香料が、テルペン系化合物、アルコール系化合物、アルデヒド系化合物、ケトン系化合物、エーテル系化合物、及び、エステル系化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物を含む、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<5>前記(c)香料が、アルデヒド系化合物、ケトン系化合物、及び、エステル系化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物を含む、上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<6>前記(c)香料が、シクラメンアルデヒド、ヘリオナール、ベンジルアセトン、4−メトキシアセトフェノン、酢酸イソボルニル、サリチル酸メチル、下記式(c−1)で表される化合物、及び、下記式(c−2)で表される化合物よりなる群から選ばれた化合物である、上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<8>前記(b)ポリマーが、アセタール基を含有する、上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<9>前記(b)ポリマーが、ポリビニルブチラールである、上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<10>前記(a)架橋剤及び/又は前記(b)ポリマーが、硫黄原子を含む、上記<1>〜<9>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<11>前記架橋性基が、−SiR1R2R3(R1〜R3はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は、一価の有機基を表す。ただし、R1〜R3のうち少なくとも1つは、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、又は、ハロゲン原子である。)、酸無水物残基、イソシアネート基、及び、ヒドロキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1つの基である、上記<1>〜<10>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<12>前記架橋性基と前記反応性基との組み合わせが、下記(ab−1)〜(ab−12)よりなる群から選ばれた組み合わせである、上記<1>〜<11>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<14>前記(b)ポリマーのガラス転移温度が、20℃以上である、上記<1>〜、13>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<15>(d)光熱変換剤を更に含有する、上記<1>〜<14>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<16>前記(d)光熱変換剤が、カーボンブラックである、上記<15>に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<17>上記<1>〜<16>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を有するレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、
<18>上記<1>〜<16>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を架橋した架橋レリーフ形成層を有するレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、
<19>前記架橋レリーフ形成層のショアA硬度が、50°以上90°以下である上記<18>に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、
<20>上記<1>〜<16>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、並びに、前記レリーフ形成層を熱及び/又は光で架橋し架橋レリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版を得る架橋工程、を含むレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の製造方法、
<21>前記架橋工程が、前記レリーフ形成層を熱により架橋する工程である上記<20>に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の製造方法。
<22>上記<1>〜<16>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、前記レリーフ形成層を熱及び/又は光で架橋し架橋レリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版を得る架橋工程、並びに、前記架橋レリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版をレーザー彫刻する彫刻工程、を含むレリーフ印刷版の製版方法、
<23>上記<22>に記載のレリーフ印刷版の製版方法により製版されたレリーフ印刷版。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物(以下、単に「本発明の樹脂組成物」ともいう。)は、(a)2以上の架橋性基を有する架橋剤、(b)前記架橋性基と反応可能な反応性基を有するポリマー、及び、(c)香料を含有することを特徴とする。
以下、レーザー彫刻用樹脂組成物の構成要素について説明する。
本発明の樹脂組成物は、(a)2以上の架橋性基を有する架橋剤を含有する。
本発明に用いることができる架橋剤としては、前記ポリマーが有する反応性基と反応することができる2以上の架橋性基を有する化合物であれば、特に制限はないが、分子量(又は重量平均分子量)が5,000未満の化合物であることが好ましく、分子量(又は重量平均分子量)が3,000未満の化合物であることがより好ましく、分子量(又は重量平均分子量)が2,000未満の化合物であることが特に好ましい。
また、本発明に用いることができる架橋剤は、エチレン性不飽和基を有しない化合物であることが好ましい。
前記架橋剤における架橋性基の数は、2以上であり、2〜10であることが好ましく、2〜6であることがより好ましく、2〜4であることが更に好ましく、膜の架橋度と柔軟性とのバランスを良好に保つ観点から、2又は3であることが特に好ましい。
前記架橋性基としては、−SiR1R2R3(R1〜R3はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は、一価の有機基を表す。ただし、R1〜R3のうち少なくとも1つは、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、又は、ハロゲン原子である。)、酸無水物残基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、及び、メルカプト基よりなる群から選ばれた少なくとも1つの基であることが好ましく、−SiR1R2R3(R1〜R3はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は、一価の有機基を表す。ただし、R1〜R3のうち少なくとも1つは、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、又は、ハロゲン原子である。)、酸無水物残基、イソシアネート基、及び、ヒドロキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1つの基であることがより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、前記架橋剤を1種単独で含有していても、2種以上を含有していてもよいが、1種単独で含有していることが好ましい。
また、前記架橋剤は、2以上の架橋性基として、1種の架橋性基のみを有していても、2種以上の架橋性基を有していてもよいが、1種の架橋性基のみを有していることが好ましい。
本発明の樹脂組成物中における前記架橋剤の含有量は、固形分換算で、0.1〜80重量%であることが好ましく、1〜40重量%であることがより好ましく、5〜30重量%であることが更に好ましい。
本発明に用いることができる架橋剤としては、2以上の架橋性基のうち−SiR1R2R3を少なくとも有する架橋剤が好ましく挙げられ、−SiR1R2R3を2以上有する架橋剤がより好ましく挙げられる。
R1〜R3はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は、一価の有機基を表す。ただし、R1〜R3のうち少なくとも1つは、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、又は、ハロゲン原子である。
R1〜R3のうちの少なくとも2つがアルコキシ基又はハロゲン原子であることが好ましく、R1〜R3はそれぞれ独立に、アルコキシ基又はハロゲン原子であることが特に好ましい。また、R1〜R3のうちの少なくとも2つが、化合物の取り扱いやすさの観点からは、アルコキシ基であることが好ましい。
前記R1〜R3におけるアルコキシ基としては、リンス性と耐刷性の観点から、炭素数1〜30のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜15のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素数1〜5のアルコキシ基であることが更に好ましい。
また、前記R1〜R3におけるハロゲン原子としては、F原子、Cl原子、Br原子、I原子が挙げられ、合成のしやすさ及び安定性の観点で、Cl原子及びBr原子が好ましく挙げられ、Cl原子がより好ましく挙げられる。
前記−SiR1R2R3を2以上有する架橋剤における2つ以上の−SiR1R2R3を連結する基としては、二価以上の有機基が挙げられ、彫刻感度が高い観点から、ヘテロ原子(N、S、O)を含む二価以上の有機基であることが好ましく、S原子を含む二価以上の有機基であることがより好ましい。
前記−SiR1R2R3を少なくとも有する架橋剤としては、メトキシ基又はエトキシ基がSi原子に結合した基を分子内に2個有し、かつ、これらの基が、ヘテロ原子、特に好ましくはS原子を含む、アルキレン基を介して結合している化合物が好適である。
本発明に用いることができる−SiR1R2R3を有する架橋剤の具体例としては、下記式で示す化合物が好ましいものとして挙げられるが、本発明はこれらの化合物に制限されるものではない。なお、下記式中、Etはエチル基を表し、Meはメチル基を表す。
本発明に用いることができる架橋剤としては、2以上の架橋性基のうち酸無水物残基を少なくとも有する架橋剤が好ましく挙げられ、酸無水物残基を2以上有する架橋剤がより好ましく挙げられ、カルボン酸無水物残基を2以上有する架橋剤が更に好ましく挙げられる。
本発明における「酸無水物残基」とは、同一分子内に存在する二つの酸の脱水縮合にて生成した酸無水物構造のことをいう。
本発明に用いられる酸無水物残基を2以上有する架橋剤としては、四塩基酸二無水物が好ましく挙げられる。
四塩基酸二無水物の具体例としては、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピリジンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族あるいは芳香族四カルボン酸二無水物等が挙げられる。また、カルボン酸無水物構造を3つ有する化合物としては、メリット酸三無水物等が挙げられる。
以下に、本発明に好適に用いられる酸無水物残基を有する架橋剤の具体例A−1〜A−28を挙げるが、本発明はこれらに制限されるものではない。
本発明に用いることができる架橋剤としては、2以上の架橋性基のうちイソシアネート基を少なくとも有する架橋剤が好ましく挙げられ、イソシアネート基を2以上有する架橋剤がより好ましく挙げられる。
イソシアネート基を2以上有する架橋剤としては、2以上のイソシアネート基を有する以外に特に制限はないが、芳香族ジイソシアネート化合物、脂肪族ジイソシアネート化合物、脂環族ジイソシアネート化合物、イソシアヌレート化合物、ジオールとジイソシアネートとの反応物であるジイソシアネート化合物等が例示できる。
イソシアネート基を2以上有する架橋剤としては、下記式(I−1)で表されるジイソシアネート化合物を好ましく例示できる。
OCN−X0−NCO (I−1)
式(I−1)中、X0は二価の有機基を表す。
前記式(I−1)で表されるジイソシアネート化合物で好ましいものは、下記式(I−2)で表されるジイソシアネート化合物である。
OCN−L1−NCO (I−2)
式(I−2)中、L1は置換基を有していてもよい二価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表す。必要に応じ、L1中はイソシアネート基と反応しない他の構造や官能基、例えばエステル結合、ウレタン結合、アミド結合、及び/又は、ウレイド基を有していてもよい。
すなわち、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートの二量体、2,6−トリレンジレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等のような脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(又は2,6)−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等のような脂環族ジイソシアネート化合物;1,3−ブチレングリコール1モルとトリレンジイソシアネート2モルとの付加体等のようなジオールとジイソシアネートとの反応物であるジイソシアネート化合物;等が挙げられる。
また、トリイソシアネート化合物としては、例えば下記に示すものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明に用いることができる架橋剤としては、2以上の架橋性基のうちヒドロキシ基を少なくとも有する架橋剤が好ましく挙げられ、ヒドロキシ基を2以上有する架橋剤がより好ましく挙げられる。
ヒドロキシ基を2以上有する架橋剤としては、2以上のヒドロキシ基を有する以外に特に制限はないが、脂肪族ポリオール化合物、脂環族ポリオール化合物、芳香族ポリオール化合物等が例示できる。
ヒドロキシ基を有する架橋剤におけるヒドロキシ基は、アルコール性ヒドロキシ基であっても、フェノール性ヒドロキシ基であってもよい。
ヒドロキシ基を2以上有する架橋剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブチレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−ビス−β−ヒドロキシエトキシシクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、p−キシリレングリコール、ジヒドロキシエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−2,4−トリレンジカルバメート、2,4−トリレンビス(2−ヒドロキシエチルカルバミド)、ビス(2−ヒドロキシエチル)−m−キシリレンジカルバメート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソフタレート、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、cis−2−ブテン−1,4−ジオール、trans−2−ブテン−1,4−ジオール、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、4−メチルカテコール、4−t−ブチルカテコール、4−アセチルカテコール、3−メトキシカテコール、4−フェニルカテコール、4−メチルレゾルシン、4−エチルレゾルシン、4−t−ブチルレゾルシン、4−ヘキシルレゾルシン、4−クロロレゾルシン、4−ベンジルレゾルシン、4−アセチルレゾルシン、4−カルボメトキシレゾルシン、2−メチルレゾルシン、5−メチルレゾルシン、t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、テトラメチルハイドロキノン、テトラクロロハイドロキノン、メチルカルボアミノハイドロキノン、メチルウレイドハイドロキノン、メチルチオハイドロキノン、ベンゾノルボルネン−3,6−ジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、3,3’−ジクロロビスフェノールS、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−チオジフェノール、2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,4−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,4−ビス(2−(p−ヒドロキシフェニル)プロピル)ベンゼン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチルアミン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシアントラキノン、2−ヒドロキシベンジルアルコール、4−ヒドロキシベンジルアルコール、2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルアルコール、4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルアルコール、4−ヒドロキシフェネチルアルコール、2−ヒドロキシエチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−ヒドロキシエチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、レゾルシンモノ−2−ヒドロキシエチルエーテル、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ジ−1,2−プロピレングリコール、トリ−1,2−プロピレングリコール、テトラ−1,2−プロピレングリコール、ヘキサ−1,2−プロピレングリコール、ジ−1,3−プロピレングリコール、トリ−1,3−プロピレングリコール、テトラ−1,3−プロピレングリコール、ジ−1,3−ブチレングリコール、トリ−1,3−ブチレングリコール、ヘキサ−1,3−ブチレングリコール等が例示できる。
本発明に用いることができる架橋剤としては、2以上の架橋性基のうちメルカプト基を少なくとも有する架橋剤が好ましく挙げられ、メルカプト基を2以上有する架橋剤がより好ましく挙げられる。
メルカプト基を2以上有する架橋剤としては、2以上のメルカプト基を有する以外に特に制限はないが、脂肪族ポリチオール化合物、脂環族ポリチオール化合物、芳香族ポリチオール化合物等が例示できる。
本発明に用いることができるメルカプト基を有する架橋剤の具体例としては、チオグリコール酸、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸モノエタノールアミン、3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、チオリンゴ酸、2−メルカプトエタノ−ル、2−メルカプトプロピオン酸、チオジグリコ−ル、チオグリセロ−ル、2−アミノ−3−メルカプト−1−プロパノ−ル、4,6−ジアミノピリミジン−2−チオ−ル、2−アミノ−3−メルカプトプロピオン酸、4−アミノチオフェノ−ル、3−アミノ−N−(2−メルカプトエチル)プロピオンアミド、6−アミノ−2−チオウラシル、2−アミノ−4−クロロベンゼンチオ−ル、1−アミノ−2−メチル−2−メルカプトプロパン−1−カルボン酸等の2個以上の架橋性基を有し、かつ該架橋性基の1つがチオール基である化合物、
ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ジペンタエリスリトールヘキサキス−3−メルカプトプロピオネート等の4個以上の架橋性基を有し、かつ該架橋性基の4個以上がチオール基である化合物等が挙げられるが、この限りではない。
本発明に用いることができる架橋剤としては、2以上の架橋性基のうちカルボキシル基を少なくとも有する架橋剤が好ましく挙げられ、カルボキシル基を2以上有する架橋剤がより好ましく挙げられる。
カルボキシル基を2以上有する架橋剤としては、多官能カルボン酸(シュウ酸、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、(メタ)アクリル酸の2〜10量体等)が好ましく例示できる。
本発明に用いることができる架橋剤としては、2以上の架橋性基のうちアミノ基を少なくとも有する架橋剤が好ましく挙げられ、アミノ基を2以上有する架橋剤がより好ましく挙げられる。
アミノ基を2以上有する架橋剤としては、2以上のアミノ基を有する以外に特に制限はないが、脂肪族ポリアミン化合物、脂環族ポリアミン化合物、芳香族ポリアミン化合物、複素環アミン化合物等が例示できる。
また、アミノ基とヒドロキシ基とを有する化合物としては、アミノアルコール化合物や、アミノフェノール化合物が例示できる。
アミノ基を有する架橋剤としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、プロパン−1,2−ジアミン、ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルシロキサン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、4−アミノ−2,2−6,6−テトラメチルピペリジン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、リジン、L−シスチン、イソホロンジアミン等のような脂肪族ジアミン化合物;o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、ベンジジン、o−ジトルイジン、o−ジアニシジン、4−ニトロ−m−フェニレンジアミン、2,5−ジメトキシ−p−フェニレンジアミン、ビス−(4−アミノフェニル)スルホン、4−カルボキシ−o−フェニレンジアミン、3−カルボキシ−m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノフェニルエーテル、1,8−ナフタレンジアミン等のような芳香族ジアミン化合物;2−アミノイミダゾール、3−アミノトリアゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、4−アミノピラゾール、2−アミノベンズイミダゾール、2−アミノ−5−カルボキシ−トリアゾール、2,4−ジアミノ−6−メチル−s−トリアジン、2,6−ジアミノピリジン、L−ヒスチジン、DL−トリプトファン、アデニン等のような複素環アミン化合物;エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、1−アミノ−3−プロパノール、2−アミノエトキシエタノール、2−アミノチオエトキシエタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、p−アミノフェノール、m−アミノフェノール、o−アミノフェノール、4−メチル−2−アミノフェノール、2−クロロ−4−アミノフェノール、4−メトキシ−3−アミノフェノール、4−ヒドロキシベンジルアミン、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミノサリチル酸、4−ヒドロキシ−N−フェニルグリシン、2−アミノベンジルアルコール、4−アミノフェネチルアルコール、2−カルボキシ−5−アミノ−1−ナフトール、L−チロシン等のようなアミノアルコール又はアミノフェノール化合物等が例示できる。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、(b)前記架橋性基と反応可能な反応性基を有するポリマーを含有する。
(b)前記架橋性基と反応可能な反応性基を有するポリマーは、レーザー彫刻用樹脂組成物に含有される高分子成分(結着樹脂、バインダーポリマー)であり、前記(a)2以上の架橋性基を有する架橋剤における架橋性基と反応可能な反応性基を有すること以外は、一般的な高分子化合物を適宜選択し、1種又は2種以上を併用して用いることができる。特に、レーザー彫刻用樹脂組成物を印刷版原版に用いる際は、レーザー彫刻性、インキ受与性、彫刻カス分散性などの種々の性能を考慮して選択することができる。
本発明に用いることができる前記ポリマーは、エチレン性不飽和基を有しないポリマーであることが好ましい。
ガラス転移温度が室温(20℃)以上のポリマーを用いる場合、前記ポリマーは常温でガラス状態をとるが、このためゴム状態をとる場合に比較して、熱的な分子運動はかなり抑制された状態にある。レーザー彫刻においては、レーザー照射時にレーザーが付与する熱に加え、所望により併用される光熱変換剤の機能により発生した熱が、周囲に存在する前記ポリマーに伝達され、これが熱分解、消散して、結果的に彫刻されて凹部が形成される。前記ポリマーの熱的な分子運動が抑制された状態の中に光熱変換剤が存在すると、前記ポリマーへの熱伝達と熱分解が効果的に起こるものと考えられ、彫刻感度がさらに増大すると推測される。
本発明における(b)前記架橋性基と反応可能な反応性基を有するポリマーの重量平均分子量(GPC測定によるポリスチレン換算)は、0.5万〜50万が好ましく、1万〜40万であることがより好ましく、1.5万〜30万であることが更に好ましい。重量平均分子量が0.5万以上であると、単体樹脂としての形態保持性に優れ、50万以下であると、水など溶媒に溶解しやすくレーザー彫刻用樹脂組成物を調製するのに好都合である。
前記架橋剤の架橋性基がヒドロキシ基と反応可能な基である場合は、本発明の樹脂組成物は、ヒドロキシ基を有するポリマーを含有することが好ましい。
ヒドロキシ基を有するポリマーは、水不溶、かつ、炭素数1〜4のアルコールに可溶のバインダーポリマーであることが好ましい。
また、ヒドロキシ基を有するポリマーとしては、水性インキ適性とUVインキ適性を両立しつつ、かつ彫刻感度が高く皮膜性も良好であるという観点で、ポリビニルブチラール(PVB)、側鎖にヒドロキシル基を有するアクリル樹脂及び側鎖にヒドロキシル基を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明において好ましく用いられるヒドロキシ基を有するポリマーの特に好ましい態様である非エラストマーであるポリマーの具体例を以下に挙げる。
ポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコール(ポリ酢酸ビニルを鹸化して得られる)を環状アセタール化することにより得られる化合物である。
ポリビニルアセタール中のアセタール含量(原料の酢酸ビニルモノマーの総モル数を100%とし、アセタール化されるビニルアルコール単位のモル%)は、30〜90%が好ましく、50〜85%がより好ましく、55〜78%が特に好ましい。
ポリビニルアセタール中のビニルアルコール単位としては、原料の酢酸ビニルモノマーの総モル数に対して、10〜70モル%が好ましく、15〜50モル%がより好ましく、22〜45モル%が特に好ましい。
また、ポリビニルアセタールは、その他の成分として、酢酸ビニル単位を有していてもよく、その含量としては0.01〜20モル%が好ましく、0.1〜10モル%がさらに好ましい。ポリビニルアセタールは、さらに、その他の共重合単位を有していてもよい。
ポリビニルアセタールとしては、ポリビニルブチラール、ポリビニルプロピラール、ポリビニルエチラール、ポリビニルメチラールなどが挙げられる。中でも、ポリビニルブチラール(PVB)が好ましい。
ポリビニルアセタールの重量平均分子量としては、彫刻感度と皮膜性のバランスを保つ観点で、5,000〜800,000であることが好ましく、8,000〜500,000であることがより好ましい。さらに、彫刻カスのリンス性向上の観点からは、50,000〜300,000であることが特に好ましい。
PVBとしては、市販品としても入手可能であり、その好ましい具体例としては、アルコール溶解性(特にエタノール)の観点で、積水化学工業(株)製の「エスレックB」シリーズ、「エスレックK(KS)」シリーズ、電気化学工業(株)製の「デンカブチラール」が好ましい。更に好ましくは、アルコール溶解性(特にエタノール)の観点で積水化学工業(株)製の「エスレックB」シリーズと電気化学工業(株)製の「デンカブチラール」であり、特に好ましくは積水化学工業(株)製の「エスレックB」シリーズでは、「BL−1」、「BL−1H」、「BL−2」、「BL−5」、「BL−S」、「BX−L」、「BM−S」、「BH−S」、電気化学工業(株)製の「デンカブチラール」では「#3000−1」、「#3000−2」、「#3000−4」、「#4000−2」、「#6000−C」、「#6000−EP」、「#6000−CS」、「#6000−AS」である。
PVBを、ヒドロキシ基を有するポリマーとして用いてレリーフ形成層を製膜する際には、溶媒に溶かした溶液をキャストし乾燥させる方法が、膜の表面の平滑性の観点で好ましい。
本発明におけるヒドロキシ基を有するポリマーとして用いることができるアクリル樹脂としては、公知のアクリル単量体を用いて得られるアクリル樹脂であって、分子内にヒドロキシ基を有するものであれば用いることができる。
ヒドロキシ基を有するアクリル樹脂の合成に用いられるアクリル単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類(メタ)アクリルアミド類であって分子内にヒドロキシル基を有するものが好ましい。この様な単量体の具体例としては例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
さらに、ウレタン結合やウレア結合を有するアクリル単量体を含んで構成される変性アクリル樹脂も好ましく使用することができる。
これらの中でも、水性インキ耐性の観点で、ラウリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類、t−ブチルシクロヘキシルメタクリレートなど脂肪族環状構造を有する(メタ)アクリレート類が特に好ましい。
好ましいノボラック樹脂としては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、m−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、p−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、o−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、オクチルフェノールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,o−又はm−/p−,m−/o−,o−/p−混合のいずれでもよい。)の混合物とホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂などが挙げられる。
これらのノボラック樹脂は、重量平均分子量が800〜200,000で、数平均分子量が400〜60,000のものが好ましい。
ヒドロキシ基を有するポリマーとして、ヒドロキシ基を側鎖に有するエポキシ樹脂を用いることも可能である。好ましい具体例としては、ビスフェノールAとエピクロヒドリンとの付加物を原料モノマーとして重合して得られるエポキシ樹脂が好ましい。
これらのエポキシ樹脂は、重量平均分子量が800〜200,000で、数平均分子量が400〜60,000のものが好ましい。
また、ヒドロキシ基を有するポリマーとして具体的には、下記の2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体が好ましく例示できる。
Co−HEMA−2は、2−ヒドロキシエチルメタクリレートとt−ブチルメタクリレートとの50:50(モル比)の共重合体であり、重量平均分子量は30,000であり、ガラス転移温度は58.08℃である。
Co−HEMA−3は、2−ヒドロキシエチルメタクリレートとジシクロペンタニルメタクリレートとの50:50(モル比)の共重合体であり、重量平均分子量は50,000であり、ガラス転移温度は67.51℃である。
ヒドロキシ基を有するポリマーの中でも、レリーフ形成層としたときのリンス性及び耐刷性の観点から、ポリビニルブチラールが特に好ましい。
前記架橋剤の架橋性基がカルボキシル基と反応可能な基である場合は、本発明の樹脂組成物は、カルボキシル基を有するポリマーを含有することが好ましい。
カルボキシル基を有するポリマーとしては、特に制限はないが、カルボキシル基を有するアクリル樹脂、カルボキシル基を有するポリウレタン樹脂、及び、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂等が好ましく例示できる。
カルボキシル基を有するアクリル樹脂としては、アクリル酸やメタクリル酸を共重合したアクリル樹脂や、アクリル樹脂の(メタ)アクリレート由来のエステル化合物を加水分解しカルボキシル基としたものなどが挙げられる。
カルボキシル基を有するポリウレタン樹脂としては、1以上のカルボキシル基を有する多価アルコールと多価イソシアネートとを重合して得られるポリウレタン樹脂などが挙げられる。
カルボキシル基を有するポリエステル樹脂としては、三価以上の多価カルボン酸とジオールとを重縮合したポリエステル樹脂や、多価カルボン酸のカルボキシル基量を多価アルコールのヒドロキシ基量に対して多く使用したポリエステル樹脂などが挙げられる。
前記架橋剤の架橋性基がイソシアネート基と反応可能な基である場合は、本発明の樹脂組成物は、イソシアネート基を有するポリマーを含有することが好ましい。
イソシアネート基を有するポリマーとしては、特に制限はないが、イソシアネート基を有するポリウレタン樹脂、及び、イソシアネート基を有するポリエステル樹脂等が好ましく例示できる。
イソシアネート基を有するポリウレタン樹脂としては、多価イソシアネート化合物のイソシアネート基量を多価アルコールのヒドロキシ基量に対して多く使用したポリウレタン樹脂などが挙げられる。
イソシアネート基を有するポリエステル樹脂としては、ポリエステルジオール等の2以上のヒドロキシ基を有するポリエステル樹脂と多価イソシアネート化合物とを反応させたポリエステル樹脂などが挙げられる。2以上のヒドロキシ基を有するポリエステル樹脂としては、前記ヒドロキシ基を有するポリマーにおいて記載したものを好適に用いることができる。
イソシアネート基を有するアクリル樹脂としては、イソシアネート基を有するアクリル系モノマーと共重合することで得られるアクリル樹脂が挙げられる。
イソシアネート基を有するアクリル系モノマーとしては、昭和電工(株)製カレンズMOI、カレンズMOI−EG、カレンズAOIなどが挙げられる。
イソシアネート基を有するポリマーとして具体的には、日本ポリウレタン工業(株)製のコロネートL、コロネートHL、コロネート2030、アクアネート100、アクアネート105、アクアネート120などが例示できる。
前記架橋剤の架橋性基がエポキシ基と反応可能な基である場合は、本発明の樹脂組成物は、エポキシ基を有するポリマーを含有することが好ましい。
エポキシ基を有するポリマーとしては、特に制限はないが、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール系エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、及び、ヒダントイン型エポキシ樹脂、エポキシ基を有するポリウレタン樹脂、エポキシ基を有するポリエステル樹脂等が好ましく例示でき、ビスフェノール系エポキシ樹脂がより好ましく例示でき、ビスフェノールA系エポキシ樹脂が更に好ましく例示できる。
前記架橋剤の架橋性基が酸無水物残基と反応可能な基である場合は、本発明の樹脂組成物は、酸無水物残基を有するポリマーを含有することが好ましい。
酸無水物残基を有するポリマーとしては、特に制限はないが、カルボン酸無水物残基を有するポリマーであることが好ましく、5又は6員環構造のカルボン酸無水物残基を有するポリマーであることがより好ましい。
酸無水物残基を有するポリマーとしては、前記イソシアネート基を有するポリマーとヒドロキシ基及び酸無水物残基を有する化合物とを反応させて得られる酸無水物残基を有するポリマーや、アクリル酸やメタクリル酸を共重合したアクリル樹脂の一部のカルボキシル基を脱水して得られた酸無水物残基を有するポリマーなどが例示できる。
前記架橋剤の架橋性基がアミノ基と反応可能な基である場合は、本発明の樹脂組成物は、アミノ基を有するポリマーを含有することが好ましい。
アミノ基を有するポリマーとしては、特に制限はないが、ポリアルキレンイミン、ポリアリルアミン、アミノ基を側鎖に有するアクリル樹脂が好ましく例示できる。
アミノ基を側鎖に有するアクリル樹脂の合成に使用する単量体としては、アクリルアミド、及び、メタクリルアミドが好ましく挙げられる。
前記架橋剤の架橋性基が−SiR1R2R3と反応可能な基である場合は、本発明の樹脂組成物は、−SiR1R2R3を有するポリマーを含有することが好ましい。
R1〜R3はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は、一価の有機基を表す。ただし、R1〜R3のうち少なくとも1つは、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、又は、ハロゲン原子である。
−SiR1R2R3を有するポリマーとしては、特に制限はないが、シラノール基を有するポリマーや、トリアルコキシシリル基を有するポリマー等が好ましく例示できる。
前記R1〜R3におけるアルコキシ基としては、リンス性と耐刷性の観点から、炭素数1〜30のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜15のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素数1〜5のアルコキシ基であることが更に好ましい。
また、前記R1〜R3におけるハロゲン原子としては、F原子、Cl原子、Br原子、I原子が挙げられ、合成のしやすさ及び安定性の観点で、Cl原子及びBr原子が好ましく挙げられ、Cl原子がより好ましく挙げられる。
前記−SiR1R2R3としては、R1〜R3のうちの少なくとも1つがヒドロキシ基、メトキシ基又はエトキシ基であることが好ましい。
前記架橋剤の架橋性基がエチレン性不飽和基と反応可能な基である場合は、本発明の樹脂組成物は、エチレン性不飽和基を有するポリマーを含有することが好ましい。
本発明に用いることができるエチレン性不飽和基を有するポリマーとしては、共役ジエン系樹脂や、樹脂の末端及び/又は側鎖にエチレン性不飽和結合を導入した樹脂が例示できる。これらの中でも、ポリアルキレンオキシ鎖の両末端にエチレン性不飽和結合を有するものが好ましく例示できる。
前記共役ジエン不飽和化合物の単独重合体又は共役ジエン不飽和化合物とモノエチレン性不飽和化合物との共重合体としては、ブタジエン重合体、イソプレン重合体、クロロプレン重合体、スチレン−クロロプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン共重合体、メタクリル酸メチル−イソプレン共重合体、メタクリル酸メチル−クロロプレン共重合体、アクリル酸メチル−ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル−イソプレン共重合体、アクリル酸メチル−クロロプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−クロロプレン−スチレン共重合体等が挙げられる。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物において、(a)2以上の架橋性基を有する架橋剤における架橋性基と、(b)前記架橋性基と反応可能な反応性基を有するポリマーにおける反応性基との組み合わせとしては、架橋性基と、前記架橋性基と反応可能な反応性基との組み合わせであれば、特に制限はないが、下記(ab−1)〜(ab−12)よりなる群から選ばれた組み合わせであることが好ましく、リンス性向上の観点から、下記(ab−1)〜(ab−3)よりなる群から選ばれた組み合わせであることがより好ましく、下記(ab−1)が特に好ましい。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、(c)香料を含有する。香料は、レリーフ印刷版原版の製造時やレーザー彫刻時の臭気を低減させるのに有効である。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、(c)香料を含有することにより、製造中に塗布した液状樹脂組成物を乾燥する際、揮発する溶剤臭をマスクすることができる。また、レーザー彫刻する際に発生するアミン臭やケトン臭、アルデヒド臭、樹脂の鼻につく焦げ臭さなどの不快臭をマスクすることができる。
また、香料としては、香気を有するだけでなく、アミノ基やカルボニル基、アルデヒド基を有する化合物に対し良好に溶解するものであることが好ましい。効果的に臭気を低減し、さらに効果的に作用するには、香料成分がアミノ基やカルボニル基、アルデヒド基を有する化合物に対し良好に溶解する化学構造を有することが好ましい。溶解性においては、直鎖状骨格よりも分岐状骨格がよく、中でも、香料が、炭化水素化合物、アルデヒド化合物、ケトン化合物、エステル化合物、又は、アルコール化合物の場合、良好な溶解性を示す。さらには、環状ケトン化合物、環状エステル化合物の場合は、当該化合物の炭素数が4〜20であるときに良好な溶解性を示す。また、これらの構造を有する化合物は、硫黄の臭気を低減することにも効果的であるため、硫黄原子を有する化合物を含む樹脂組成物においても有用である。
香料は、樹脂組成物に使用する前記架橋剤、前記ポリマー、及び、溶剤等によって、適宜選択することが好ましく、公知の香料を組み合わせて最適化することが好ましい。香料としては、合成香料−化学と商品知識−(印藤元一著、(株)化学工業日報社発行)、香料化学入門(渡辺昭次著、(株)培風館出版)、香りの百科(日本香料協会編、(株)朝倉書店出版)、香料化学総覧II 単離香料・合成香料・香料の応用((株)廣川書店発行)に記載されている香料が挙げられる。
また、香料としては、天然香料、合成香料の何れも使用することができる。
動物性香料としては、カストリウム(海狸香)、ムスク(麝香)、アンバーグリス(竜涎香)、シベット(霊猫香)などを挙げることができる。
また、植物性香料としては、例えば、レモン油、オレンジ油、ライム油、ベルガモット油、ユーカリ油、マンダリン油、ウインターグリーン油、ショウノウ油、ホウショウ油、オークモス油、オポポンナックス油、コパイバ油、サンダル油、シダーウッド油、トルーバルサム油、ペルーバルサム油、ベンゾイン油、バニラ油、アビエス・ファ油、アーモンド油、カラムス油、カモミル油、カルダモン油、ガルバナム油、キャラウェー油、クミン油、コリアンダー油、ジュニパーベリー油、スペアミント油、セージ油、セロリー油、タイム油、タラゴン油、ナッツメグ油、バジル油、ヒソップ油、ペチグレン油、ブチュ油、ペニーロイヤル油、ペパーミント油、メース油、ラベンダー油、ローズマリー油、ロベージ油、ローレル油、アミリス油、エレミ油、カシア油、グアイヤック油、クローブ油、スチラックス油、ゼラニウム油、タンジェリン油、パチュリ油、ベチバー油、ラブダナム油、レモングラス油、アンゲリカ油、ヒノキ油、ヒバ油、シトロネラ油、アニスシード油、イランイラン油、クラリセージ油、シンナモン油、スターアニス油、カナンガ油、ブラックカーラント油、アンブレットシード油、ベイ油、ボアドローズ油、カヤプテ油、カッシー油、コリアンダー油、コスタス油、ダバナ油、ディル油、フェンネル油、フェニグリーク油、ジェネ油、グレープフルーツ油、ジンジャー油、ホップ油、ヒヤシンス油、インモルテル油、ジャスミン油、ジョンキル油、ラバンジン油、リナロエ油、リセアキュベバ油、マージョラム油、ミモザ油、ミル油、ミルトル油、ナルシス油、オリバナム油、オリス油、パセリ油、パルマローザ油、ペッパー油、ペリラ油、ネロリ油、オレンジフラワー油、ピメンタ油、パイン油、ローズ油、スパイクラベンダー油、タジェット油、トンカビーンズ油、チュベローズ油、テレピン油、バレリアン油、スミレ油、ワームウッド油、ユズ油などを挙げることができる。
また、上記の天然香料から、使用目的に応じて、含有する主成分、特有成分、或いは必要成分を分画して分画香料として使用することもできる。この際には、蒸留、再結晶、クロマトグラフィー、化学処理などによって分離精製することができる。
アルコール類としては、トランス−2−ヘキセノール、シス−3−ヘキセノール、3−オクタノール、1−オクテン−3−オール、2,6−ジメチル−2−ヘプタノール、9−デセノール、4−メチル−3−デセン−5−オール、10−ウンデセノール、トランス−2−シス−6−ノナジエノール、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ロジノール、ミルセノール、ラバンジュロール、テトラヒドロゲラニオール、テトラヒドロリナロール、ヒドロキシシトロネロール、ジヒドロミルセノール、アロオシメノール、α−ターピネオール、ターピネン−4−オール、1−メントール、ボルネオール、イソプレゴール、ノポール、ファルネソール、ネロリドール、ビサボロール、セドロール、パチュリアルコール、ベチベロール、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール、4−イソプロピルシクロヘキサノール、4−イソプロピルシクロヘキサンメタノール、1−(4−イソプロピルシクロヘキシル)エタノール、2,2−ジメチル−3−(3−メチルフェニル)プロパノール、p−t−ブチルシクロヘキサノール、o−t−ブチルシクロヘキサノール、アンブリノール、1−(2−t−ブチルシクロヘキシルオキシ)−2−ブタノール、ペンタメチルシクロヘキシルプロパノール、1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−ヘキサノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、フェノキシエチルアルコール、スチラリルアルコール、アニスアルコール、シンナミックアルコール、フェニルプロピルアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、ジメチルフェニルエチルカルビノール、フェネチルメチルエチルカルビノール、3−メチル−5−フェニルペンタノール、チモール、カルバクロール、オルシノールモノメチルエーテル、オイゲノール、イソオイゲノール、プロペニルグアエトールなどの脂肪族アルコール、芳香族アルコール、テルペンアルコール化合物が挙げられる。
ここで、耐熱性香料とは、レーザー彫刻作業時において芳香を発散することにより樹脂の分解等による悪臭をマスキングし、かつ、常温においてはほとんど芳香を発散せず長期保存が可能である香料のことをいう。
また、さらに具体的な香料として、下記のパチュリ油を主体とするオリエンタルベースに、下記のローズ系、アンバー系、ムスク系、及び、ジャスミン系よりなる群から得られる香料成分を、溶剤のジオクチルフタレート(DOP)と共に上乗せしたタブ(TABU)タイプの香料がある。
オリエンタルベース:パチュリ油、ハーコリン(メチルアビエテート・methylabietate)、バニリン、エチルバニリン、クマリン
ローズ系香料成分:フェニルエチルアルコール、ゲラニオール、イソ−ボルニルメトキシシクロヘキサノール(iso−Bornyl methoxycyclohexanol)
アンバー系香料成分:テトラハイドロパラメチルキノリン
ムスク系香料成分:ガラクソリッド、ムスクケトン
ジャスミン系香料成分:α−アミルシンナムアルデヒド、メチルジヒドロジャスモネート
ヘリオトロープ系香料成分:ヘリオトロピン、ムスクケトン、クマリン、エチルバニリン、アセチルセドレン、ハーコリン(メチルアビエテート)、オイゲノール、メチルヨノン
ローズ系香料成分:ダマスコン−β、ダマスコン−α、イソ−ボルニルメトキシシクロヘキサノール
オレンジフラワー系香料成分:メチルアンスラニレート、γ−ウンデカラクトン、γ−ノナラクトン
ジャスミン系香料成分:メチルジヒドロジャスモネート
アルデヒド系化合物、ケトン系化合物、又は、エステル系化合物は、彫刻後に彫刻カスをリンス(洗浄)した後の臭気性が非常に良好になるので好ましい。リンス後に短時間しか経過していない場合でも長時間経過した後でも、これらアルデヒド系化合物、ケトン系化合物、又は、エステル系化合物を使用した場合、本発明のレリーフ印刷版原版、及び、本発明のレリーフ印刷版における臭気性は、非常に良好となる。
前記アルデヒド系化合物としては、シクラメンアルデヒド、及び、ヘリオナールが特に好ましく例示できる。
前記ケトン系化合物としては、ベンジルアセトン、下記式(c−1)で表される化合物、及び、下記式(c−2)で表される化合物、及び、4−メトキシアセトフェノンが特に好ましく例示でき、ベンジルアセトン、下記式(c−1)で表される化合物、及び、下記式(c−2)で表される化合物が最も好ましく例示できる。
前記エステル系化合物としては、酢酸イソボルニル、及び、サリチル酸メチルが特に好ましく例示できる。
また、ポリビニルブチラールのようにレーザー彫刻(熱分解)で明らかにアルデヒド化合物を多量に発生するものや、硫黄原子を含むような化合物でレーザー彫刻(熱分解)による硫黄原子を含む分解物を明らかに多量に発生するものを組成物に導入する場合に限っては、アルデヒド系化合物、ケトン系化合物及びエステル系化合物がマスキング効果に加えてペアリング効果を発現すると予想されるのでより好ましい。
また、本発明の樹脂組成物における香料は、バニリン系香料、ジャスミン系香料、又は、ミント系香料であることが好ましい。
バニリン系香料として、具体的には、バニリン、バニリン酸、バニリルアルコール、バニリンプロピレングリコールアセタール、メチルバニリン、エチルバニリン、パラヒドロキシ安息香酸、パラヒドロキシベンズアルデヒド等が好ましく例示できる。
ジャスミン系香料として、具体的には、メチルジヒドロジャスモネート、メチルエピ−ジヒドロジャスモネート、メチルジャスモネート、メチルエピ−ジャスモネート、シスジャスモン、ジャスモナン、シスジャスモンラクトン、ジヒドロジャスモンラクトン、ジャスミンラクトン、γ−ジャスモラクトン、シスジャスモンラクトン、メチルγ−デカラクトン、ジャスモラクトン、γ−ヘキサラクトン、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、4−メチル−5−ヘキセノライド−1:4、2−n−ヘキシルシクロペンタノン、アルキル−シクロヘプチルメチルカーボネート、アミルシンナミックアルデヒド、ヘキシルシンナミックアルデヒド等が好ましく例示できる。
また、上記式(M1)及び(M2)中、R2〜R5のうち、いずれか1つは−OH又は−OCOCH3(アセトキシ基)を表し、残りは水素原子を表す。
ミント系香料として、具体的には、メントール、メントン、イソメントン、メントフラン、シネオール、l−メントール、d,l−メントール、d−ネオメントール、d−イソメントール、l−ジヒドロカルベオール、ピペリトン、ピペリトンP、l−カルビルアセテート、d−ジヒドロカルボン、l−ジヒドロカルボン、d−プレゴン、プレゴール、イソプレゴール、イソプレゴン、l−カルベオール、l−カルボンオキサイド、d−ジヒドロカルビルアセテート、l−ジヒドロカルビルアセテート、l−カルボン、シネオール、メントラクトン等や、ペパーミント油、スペアミント油、ハッカ油、ユーカリプタスオイル、カンファー等の混合物が好ましく例示できる。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、(d)光熱変換剤を含有することが好ましい。
光熱変換剤は、レーザーの光を吸収し発熱することで、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物の硬化物の熱分解を促進すると考えられる。ゆえに、彫刻に用いるレーザー波長の光を吸収する光熱変換剤を選択することが好ましい。
本発明における光熱変換剤としては、種々の染料又は顔料が用いられる。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、可塑剤を含有することが好ましい。
可塑剤は、レーザー彫刻用樹脂組成物により形成された膜を柔軟化する作用を有するものであり、バインダーポリマーに対して相溶性のよいものである必要がある。
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート等や、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール(モノオール型やジオール型)が好ましく用いられる。
レーザー彫刻用樹脂組成物の着色を目的として染料又は顔料等の着色剤を添加してもよい。これにより、画像部の視認性や、画像濃度測定機適性といった性質を向上させることができる。
さらに、レーザー彫刻用樹脂組成物の硬化皮膜の物性を改良するために充填剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
溶剤としては、揮発しやすい低分子アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコ−ルモノメチルエーテル)等が好ましく例示できる。なお、樹脂組成物の固形分量は、溶剤などの揮発性成分を除いた量である。
重合開始剤は、公知のものを制限なく使用することができる。重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、(I−a)芳香族ケトン類、(I−b)オニウム塩化合物、(I−c)有機過酸化物、(I−d)チオ化合物、(I−e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(I−f)ケトオキシムエステル化合物、(I−g)ボレート化合物、(I−h)アジニウム化合物、(I−i)メタロセン化合物、(I−j)活性エステル化合物、(I−k)炭素ハロゲン結合を有する化合物、(I−l)アゾ系化合物等が挙げられる。
重合性化合物としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)と多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。
本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の第1の実施態様は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を有する。
また、本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の第2の実施態様は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を架橋した架橋レリーフ形成層を有する。
本発明において「レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版」とは、レーザー彫刻用樹脂組成物からなる架橋性を有するレリーフ形成層が、架橋される前の状態、及び、光又は熱により硬化された状態の両方又はいずれか一方のものをいう。
本発明において「レリーフ形成層」とは、架橋される前の状態の層をいい、すなわち、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなる層であり、必要に応じ、乾燥が行われていてもよい。
本発明において「架橋レリーフ形成層」とは、前記レリーフ形成層を架橋した層をいう。前記架橋は、熱及び/又は光により行われることが好ましい。また、前記架橋は樹脂組成物中の前記架橋剤と前記ポリマーとが反応して形成する架橋構造であることは言うまでもない。
架橋レリーフ形成層を有する印刷版原版をレーザー彫刻することにより「レリーフ印刷版」が作製される。
また、本発明において「レリーフ層」とは、レリーフ印刷版におけるレーザーにより彫刻された層、すなわち、レーザー彫刻後の前記架橋レリーフ形成層をいう。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版は、必要によりさらに、支持体とレリーフ形成層との間に接着層を、また、レリーフ形成層上にスリップコート層、保護フィルムを有していてもよい。
レリーフ形成層は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなる層であり、光及び熱の少なくとも一方により硬化する層、すなわち、架橋性を有する層であることが好ましい。
本発明のレリーフ印刷版原版によるレリーフ印刷版の製造方法としては、レリーフ形成層を架橋させ、次いでレーザー彫刻することによりレリーフ層を形成することでレリーフ印刷版を製造する製造方法であることが好ましい。レリーフ形成層を架橋することにより、印刷時におけるレリーフ層の摩耗を防ぐことができ、また、レーザー彫刻後にシャープな形状のレリーフ層を有するレリーフ印刷版を得ることができる。
なお、レリーフ形成層は、レリーフ形成層用塗布液組成物を用い、これをシート状又はスリーブ状に成形することで形成することができる。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版に用いることができる支持体について説明する。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版に支持体に使用する素材は、特に限定されないが、寸法安定性の高いものが好ましく使用され、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアクリロニトリル(PAN))やポリ塩化ビニルなどのプラスチック樹脂、スチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴム、ガラスファイバーで補強されたプラスチック樹脂(エポキシ樹脂やフェノール樹脂など)が挙げられる。支持体としては、PETフィルムやスチール基板が好ましく用いられる。支持体の形態は、レリーフ形成層がシート状であるかスリーブ状であるかによって決定される。
また、架橋性のレーザー彫刻用樹脂組成物を塗布し、裏面(レーザー彫刻を行う面と反対面であり、円筒状のものも含む。)から熱及び/又は光などで硬化させて作製されたレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版においては、硬化したレーザー彫刻用樹脂組成物の裏面側が支持体として機能するため、必ずしも支持体は必須ではない。
レリーフ形成層と支持体の間には、両層間の接着力を強化する目的で接着層を設けてもよい。接着層に用いることができる材料(接着剤)としては、例えば、I.Skeist編、「Handbook of Adhesives」、第2版(1977)に記載のものを用いることができる。
レリーフ形成層表面又は架橋レリーフ形成層表面への傷や凹み防止の目的で、レリーフ形成層表面又は架橋レリーフ形成層表面に保護フィルムを設けてもよい。保護フィルムの厚さは、25〜500μmが好ましく、50〜200μmがより好ましい。保護フィルムは、例えば、PETのようなポリエステル系フィルム、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)のようなポリオレフィン系フィルムを用いることができる。またフィルムの表面はマット化されていてもよい。保護フィルムは、剥離可能であることが好ましい。
次に、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の製造方法について説明する。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層の形成は、特に限定されるものではないが、例えば、レリーフ形成層用塗布液組成物(レーザー彫刻用樹脂組成物を含有)を調製し、このレリーフ形成層用塗布液組成物から溶剤を除去した後に、支持体上に溶融押し出しする方法が挙げられる。あるいは、レリーフ形成層用塗布液組成物を、支持体上に流延し、これをオーブン中で乾燥して塗布液組成物から溶媒を除去する方法でもよい。
中でも、本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版の製造方法は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、並びに、前記レリーフ形成層を熱及び/又は光で架橋し架橋レリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版を得る架橋工程、を含む製造方法であることが好ましい。
保護フィルムを用いる場合には、先ず保護フィルム上にレリーフ形成層を積層し、次いで支持体をラミネートする方法を採ってもよい。
接着層を設ける場合は、接着層を塗布した支持体を用いることで対応できる。スリップコート層を設ける場合は、スリップコート層を塗布した保護フィルムを用いることで対応できる。
本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版の製造方法は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程を含むことが好ましい。
レリーフ形成層の形成方法としては、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を調製し、必要に応じて、このレリーフ形成層用樹脂組成物から溶剤を除去した後に、支持体上に溶融押し出しする方法や、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を調製し、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を支持体上に流延し、これをオーブン中で乾燥して溶媒を除去する方法が好ましく例示できる。
レリーフ形成層用塗布液組成物は、例えば、前記架橋剤、前記ポリマー、香料、及び、任意成分として、光熱変換剤、可塑剤を適当な溶媒に溶解させることによって製造できる。溶媒成分のほとんどは、レリーフ印刷版原版を製造する段階で除去する必要があるので、溶媒としては、揮発しやすい低分子アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコ−ルモノメチルエーテル)等を用い、かつ温度を調整するなどして溶媒の全添加量をできるだけ少なく抑えることが好ましい。
本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版の製造方法は、前記レリーフ形成層を熱及び/又は光で架橋し架橋レリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版を得る架橋工程を含む製造方法であることが好ましい。
また、ここでいう「架橋」とは、(a)2以上の架橋性基を有する架橋剤と(b)前記架橋性基と反応可能な反応性基を有するポリマーとが反応し架橋構造を形成することをいう。
光としては、可視光、紫外光又は電子線が挙げられるが、紫外光が最も好ましい。レリーフ形成層の支持体側を裏面とすれば、表面に光を照射するだけでもよいが、支持体が光を透過する透明なフィルムならば、更に裏面からも光を照射することが好ましい。表面からの照射は、保護フィルムが存在する場合、これを設けたまま行ってもよいし、保護フィルムを剥離した後に行ってもよい。酸素の存在下において架橋反応が阻害される恐れがある場合は、レリーフ形成層に塩化ビニルシートを被せて真空引きした上で、光の照射を行ってもよい。
熱により架橋を行うための加熱手段としては、印刷版原版を熱風オーブンや遠赤外オーブン内で所定時間加熱する方法や、加熱したロールに所定時間接する方法が挙げられる。
レリーフ形成層を架橋することで、第1にレーザー彫刻後形成されるレリーフがシャープになり、第2にレーザー彫刻の際に発生する彫刻カスの粘着性が抑制されるという利点がある。
本発明のレリーフ印刷版の製造方法は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、前記レリーフ形成層を熱及び/又は光で架橋し架橋レリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版を得る架橋工程、並びに、前記架橋レリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版をレーザー彫刻する彫刻工程、を含む。
本発明のレリーフ印刷版は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなる層を架橋及びレーザー彫刻して得られたレリーフ層を有するレリーフ印刷版であり、本発明のレリーフ印刷版の製版方法により製版されたレリーフ印刷版であることが好ましい。
本発明のレリーフ印刷版の製造方法における層形成工程及び架橋工程は、前記レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の製造方法における層形成工程及び架橋工程と同義であり、好ましい範囲も同様である。
本発明のレリーフ印刷版の製造方法は、前記架橋レリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版をレーザー彫刻する彫刻工程を含むことが好ましい。
彫刻工程は、前記架橋工程で架橋された架橋レリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程である。具体的には、架橋された架橋レリーフ形成層に対して、所望の画像に対応したレーザー光を照射して彫刻を行うことによりレリーフ層を形成することが好ましい。好ましくは、所望の画像のデジタルデータを元にコンピューターでレーザーヘッドを制御し、架橋レリーフ形成層に対して走査照射する工程が挙げられる。
この彫刻工程には、赤外線レーザーが好ましく用いられる。赤外線レーザーが照射されると、架橋レリーフ形成層中の分子が分子振動し、熱が発生する。赤外線レーザーとして炭酸ガスレーザーやYAGレーザーのような高出力のレーザーを用いると、レーザー照射部分に大量の熱が発生し、架橋レリーフ形成層中の分子は分子切断又はイオン化されて選択的な除去、すなわち、彫刻がなされる。レーザー彫刻の利点は、構造を3次元的に制御することができる点である。例えば、微細な網点を印刷する部分は、浅く又はショルダーをつけて彫刻することで、印圧でレリーフが転倒しないようにすることができ、細かい抜き文字を印刷する溝の部分は深く彫刻することで、溝にインキが埋まりにくくなり、抜き文字つぶれを抑制することが可能となる。
中でも、光熱変換剤の吸収波長に対応した赤外線レーザーで彫刻する場合には、より高感度で架橋レリーフ形成層の選択的な除去が可能となり、シャープな画像を有するレリーフ層が得られる。
半導体レーザーとしては、波長が700〜1,300nmのものであれば利用可能であるが、800〜1,200nmのものが好ましく、860〜1,200nmのものがより好ましく、900〜1,100nmであるものが特に好ましい。
本発明に用いることができるファイバー付き半導体レーザー記録装置10を備える製版装置11は、外周面に、本発明のレリーフ印刷版原版F(記録媒体)が装着されたドラム50を主走査方向に回転させると共に、レリーフ印刷版原版Fに彫刻(記録)すべき画像の画像データに応じた複数のレーザービームを同時に射出しつつ、所定ピッチで露光ヘッド30を主走査方向と直交する副走査方向に走査させることで、2次元画像をレリーフ印刷版原版Fに高速で彫刻(記録)する。また、狭い領域を彫刻(細線や網点などの精密彫刻)する場合などはレリーフ印刷版原版Fを浅彫りし、広い領域を彫刻する場合などはレリーフ印刷版原版Fを深彫りする。
前記ファイバー付き半導体レーザーではビーム形状を変化させることが可能であるため、本発明においては、結像位置は、露光面FAから内部側(レーザービームの進行方向側)の範囲とすることで、露光面(レリーフ形成層表面)FAのビーム径を10μm〜80μmの範囲に制御することが、効率のよい彫刻を行う、細線再現性が良好となる等の観点から好ましい。
具体的には、半導体レーザーの出力を変えて制御する方法、レーザー照射時間を変えて制御する方法がある。
リンス工程:彫刻後のレリーフ層表面を、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスする工程。
乾燥工程:彫刻されたレリーフ層を乾燥する工程。
後架橋工程:彫刻後のレリーフ層にエネルギーを付与し、レリーフ層を更に架橋する工程。
彫刻表面をリンスするリンス工程を行った場合、彫刻されたレリーフ形成層を乾燥してリンス液を揮発させる乾燥工程を追加することが好ましい。
さらに、必要に応じてレリーフ形成層を更に架橋させる後架橋工程を追加してもよい。追加の架橋工程である後架橋工程を行うことにより、彫刻によって形成されたレリーフをより強固にすることができる。
レリーフ印刷版が有するレリーフ層の厚さは、耐磨耗性やインキ転移性のような種々のフレキソ印刷適性を満たす観点からは、0.05mm以上10mm以下が好ましく、0.05mm以上7mm以下がより好ましく、0.05mm以上0.3mm以下が更に好ましい。
なお、本明細書におけるショアA硬度は、25℃50%RHの条件において、測定対象の表面に圧子(押針又はインデンタと呼ばれる。)を押し込み変形させ、その変形量(押込み深さ)を測定して、数値化するデュロメータ(スプリング式ゴム硬度計)により測定した値である。
1.レリーフ形成層用塗布液組成物の調製
撹拌羽及び冷却管をつけた3つ口フラスコ中に、表3に示すポリマーを50重量部(実施例1ではPVB「デンカブチラール#3000−2」(電気化学工業(株)製、ポリビニルブチラール、重量平均分子量(Mw)=9万))、可塑剤としてジエチレングリコール25重量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート47重量部を入れ、撹拌しながら70℃で120分間加熱しポリマーを溶解させた。
その後、溶液を40℃にし、光熱変換剤としてケッチェンブラックEC600JD(カーボンブラック、ライオン(株)製)を1重量部、を添加して30分間撹拌した。
その後、表3に示す架橋剤(実施例1では前記のS−1化合物〔商品名、KBE−846として信越化学工業(株)より入手可能〕)を23重量部及び触媒としてリン酸0.4重量部、表3に示す香料(実施例1ではバニリン)を0.1重量%(樹脂組成物の全固形分量に対し)添加し、40℃で10分間撹拌した。
この操作により、流動性のある架橋性レリーフ形成層用塗布液1(レーザー彫刻用樹脂組成物)を得た。
PET基板上に所定厚のスペーサー(枠)を設置し、上記より得られたレリーフ形成層用塗布液組成物1をスペーサー(枠)から流出しない程度に静かに流延し、65℃のオーブン中で4時間乾燥させて、厚さが約1mmのレリーフ形成層を設けた。
得られたレリーフ形成層を、100℃で3時間加熱してレリーフ形成層を熱架橋し、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を得た。
<ファイバー付き半導体レーザー(FC−LD)による彫刻(FC−LD彫刻)>
半導体レーザー彫刻機として、最大出力8.0Wのファイバー付き半導体レーザー(FC−LD)SDL−6390(JDSU社製、波長915nm)を装備した、前述の図1に示すファイバー付きレーザー記録装置を用いた。この半導体レーザー彫刻機で、レリーフ印刷版原版における架橋後の架橋レリーフ形成層に対し、レーザー出力:6W、ヘッド速度:100mm/秒、ピッチ設定:2,400DPIの条件で、1cm四方のベタ部分をラスター彫刻した。なお、このレーザーを用いて評価した結果は、表3中に「FC−LD」と表記する。
炭酸ガスレーザー彫刻機として、高品位CO2レーザーマーカーML−9100シリーズ((株)キーエンス製)を用いた。この炭酸ガスレーザー彫刻機で、レリーフ印刷版原版における架橋後の架橋レリーフ形成層に対し、出力:12W、ヘッド速度:200mm/秒、ピッチ設定:2,400DPIの条件で、1cm四方のベタ部分をラスター彫刻した。なお、このレーザーを用いて評価した結果は、表3中に「炭酸ガスレーザー」と表記する。
また、レリーフ層のショアA硬度を、前述の測定方法により測定したところ、76°であった。なお、レリーフ層のショアA硬度の測定は、後述する各実施例及び比較例においても同様に行った。
架橋剤、ポリマー、及び、香料を下記表3〜表5に記載のものに変更してレーザー彫刻用樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様にして、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を作製した後、該レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版からレリーフ印刷版2〜38、及び、C1〜C5を作製した。
また、得られたレリーフ印刷版2〜38、及び、C1〜C5が有するレリーフ層のショアA硬度はそれぞれ、下記表3〜表5に示す通りである。ただし、レリーフ印刷版2〜10、12〜38、C1〜C3では、リン酸を使用しなかった。
また、レリーフ印刷版C3の作製に使用したレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版は、特開2002−3655号公報を参考にして作製したものである。
−彫刻深さ評価−
レリーフ印刷版1〜38、及び、C1〜C5が有するレリーフ層の「彫刻深さ」をそれぞれ、以下のように測定した。ここで、「彫刻深さ」とは、レリーフ層の断面を観察した場合の、彫刻された位置(高さ)と彫刻されていない位置(高さ)との差をいう。本実施例における「彫刻深さ」は、レリーフ層の断面を、超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK9510((株)キーエンス製)にて観察することにより測定した。彫刻深さが大きいことは、彫刻感度が高いことを意味する。結果を表3〜表5に示す。
レーザー彫刻したレリーフ印刷版を水に浸漬し、彫刻部を歯ブラシ(ライオン(株)製、クリニカハブラシ フラット)で10回こすった。その後、光学顕微鏡でレリーフ層の表面におけるカスの有無を確認した。
評価基準は、カスがないものを◎、ほとんどないものを○、少し残存しているものを△、カスが除去できていないものを×とした。
彫刻時の臭気評価については、前述の方法でレーザー彫刻中のレリーフ印刷版原版について、臭気を嗅いで官能評価を行い、以下のようにして臭気のレベルを評価した。また、製造時の臭気評価については、レーザー彫刻用樹脂組成物を65℃オーブンで1時間加熱した段階のオーブン中、及び、レーザー彫刻用樹脂組成物の臭気の評価を行った。
さらに、実施例18〜36において、リンス直後にレリーフ印刷版のレリーフ層を短時間(約5秒間)嗅いで評価を行い、また、リンスを行ってから6時間経過した後、レリーフ印刷版のレリーフ層を短時間(約5秒間)嗅いで、6時間後の評価を行った。なお、リンス直後に短時間(約5秒間)嗅いで評価したものを表3において「リンス後(短時間)」、リンスを行ってから6時間経過後の評価結果を表3において「リンス後(長時間)」を表記した。
結果を表3〜表5に示す。
専門パネラー6人で下記評価基準(評価点)にて評価した。
評価基準(評価点):
◎:6人中全員が臭気低減効果を認めた。
○:6人中4人以上が臭気低減効果を認めた。
△:6人中2人以上が臭気低減効果を認めた。
×:臭気低減効果が認められなかった。
なお、評価点が△以上の場合、実用使用上問題がないと考えられる。
ここで、上記の「臭気低減効果」とは、香料が添加されているレリーフ印刷版原版と、香料が添加されていないだけでその他の組成は全く同じレリーフ印刷版原版と、の両方を前述の方法でレーザー彫刻して、その際の臭気を比較して得られる効果のことをいう。
PVB:ポリビニルブチラール(デンカブチラール#3000−2、電気化学工業(株)製、ポリビニルブチラール、Mw=9万)
PDS0338:シラノール基を有するポリマー(Gelset社製PDS0338、Mw=50,000)
PU−1:酸無水物残基を有するポリマー(下記構造、Mw=30,000)
コロネートHL:イソシアネート基を有するポリマー(日本ポリウレタン工業(株)製)
EPICRON1050:ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂(DIC(株)製)
1010:エポキシ基を有するポリマー(ジャパンエポキシレジン(株)製)
JSR EP21:エチレン−プロピレン非共役ジエンゴム(JSR(株)製)
MMA:メチルメタクリレート
MA:メチルアクリレート
AA:アクリル酸
メチルバニリン、l−メントール、バニリン、バニリン酸、γ−ヘキサラクトン、d−ネオメントール:和光純薬工業(株)製
ジャスミンラクトン、メチルジャスモネート、メチルエピ−ジヒドロジャスモネート、メチルジヒドロジャスモネート:日本ゼオン(株)製
ペパーミント油、ハッカ油:高砂香料工業(株)製
バニリルアルコール:東京化成工業(株)製
メチルシクロオクチルカーボネート:JASMACYCLAT(花王(株)製)
S−5:「Z−6920」(東レ・ダウコーニング(株)製)
S−6:「KBM−802」(信越化学工業(株)製)
S−7:「KBE−585」(信越化学工業(株)製)
4,4’−オキシフタル酸二無水物
ヘキサメチレンジイソシアネート(和光純薬工業(株)製)
4,4’−ジフェニルメチレンジイソシアネート(和光純薬工業(株)製)
エチレングリコールジグリシジルエーテル(和光純薬工業(株)製)
プロピレングリコール(和光純薬工業(株)製)
1,6−ヘキサンジオール(和光純薬工業(株)製)
カテコール(和光純薬工業(株)製)
4,4’−ジヒドロキシビフェニル(和光純薬工業(株)製)
フタル酸(和光純薬工業(株)製)
トリメリット酸(和光純薬工業(株)製)
セロキサイド2021P(2官能エポキシ化合物、ダイセル化学工業(株)製)
セロキサイド2083(2官能エポキシ化合物、ダイセル化学工業(株)製)
エポミックR540(ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、プリンテックス社製)
ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート(和光純薬工業(株)製)
3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン(東京化成工業(株)製)
MMA/MA/AA共重合体(共重合比:70/15/15(モル比)、Mw=5.5万)
MMA/MA/DMAEMA共重合体(共重合比:70/20/10(モル比)、Mw=7.5万)
DMAEMA:ジメチルアミノエチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)
コロネートL:イソシアネート基を有するポリマー(日本ポリウレタン工業(株)製)
コロネート2030:イソシアネート基を有するポリマー(日本ポリウレタン工業(株)製)
酸無水物基樹脂(前記PU−1、Mw=30,000)
ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(SR−4GLS、阪本薬品工業(株)製)
1001:エポキシ基を有するポリマー(エピコート1001、ジャパンエポキシレジン(株)製)
ポリエチレングリコールジメタクリレート(ポリエチレングリコール#200ジアクリレート、新中村化学工業(株)製)
S−2を縮合させた樹脂(下記に記載の合成方法により合成した。)
S−2(2部)、イソプロパノール(15部)、蒸留水(0.2部)、DBU(ジアザビシクロウンデセン)(0.01部)をナスフラスコに入れ、室温(25℃)で1分間撹拌した。
その後、当該反応液(10部)をテフロン皿に流し込み、40℃に設定したオーブンで1時間加熱した。
その後、80℃で3時間、更に100℃で5時間加熱して、S−2の縮合物を得た。
S−2のアルコキシシリル基が反応していることは、固体Si−NMRで確認した。
4−メトキシアセトフェノン(和光純薬工業(株)製)
酢酸イソボルニル(和光純薬工業(株)製)
サリチル酸メチル(和光純薬工業(株)製)
ベンジルアセトン(和光純薬工業(株)製)
11:製版装置
20:光源ユニット
21A,21B:半導体レーザー
22A,22B:光ファイバー
23A,23B:アダプタ基板
24A,24B:光源基板
25A,25B:SC型光コネクタ
27A,27B:LDドライバー基板
30:露光ヘッド
32:コリメータレンズ(結像手段)
33:開口部材
34:結像レンズ(結像手段)
40:露光ヘッド移動部
41:ボールネジ
42:レール
50:ドラム
70A,70B:光ファイバー
300:ファイバーアレイ部
310:台座部
F:レリーフ印刷版原版
FA:露光面(レリーフ印刷版原版の表面)
R:回転方向
Claims (22)
- (a)2以上の架橋性基を有する架橋剤、
(b)前記架橋性基と反応可能な反応性基を有するポリマー、及び、
(c)香料、を含有し、
前記(b)ポリマーが、アセタール基を含有することを特徴とする
レーザー彫刻用樹脂組成物。 - 前記(c)香料が、天然香料、合成香料、及び、バイオ香料よりなる群から選ばれた少なくとも1つの香料である、請求項1に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- 前記(c)香料が、テルペン系化合物、アルコール系化合物、フェノール系化合物、アルデヒド系化合物、アセタール系化合物、ケトン系化合物、ケタール系化合物、エーテル系化合物、オキサイド系化合物、ムスク系化合物、カルボン酸系化合物、ラクトン系化合物、エステル系化合物、含窒素系化合物、含硫黄系化合物、及び、含ハロゲン系化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物を含む、請求項1又は2に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- 前記(c)香料が、テルペン系化合物、アルコール系化合物、アルデヒド系化合物、ケトン系化合物、エーテル系化合物、及び、エステル系化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物を含む、請求項1〜3のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- 前記(c)香料が、アルデヒド系化合物、ケトン系化合物、及び、エステル系化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物を含む、請求項1〜4のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- 前記(c)香料が、バニリン系香料、ジャスミン系香料、及び、ミント系香料よりなる群から選ばれた少なくとも1つの香料である、請求項1〜5のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- 前記(b)ポリマーが、ポリビニルブチラールである、請求項1〜7のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- 前記(a)架橋剤及び/又は前記(b)ポリマーが、硫黄原子を含む、請求項1〜8のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- 前記架橋性基が、−SiR1R2R3(R1〜R3はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は、一価の有機基を表す。ただし、R1〜R3のうち少なくとも1つは、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、又は、ハロゲン原子である。)、酸無水物残基、イソシアネート基、及び、ヒドロキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1つの基である、請求項1〜9のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- 前記(a)架橋剤が、エチレン性不飽和基を有しない化合物である、請求項1〜11のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- 前記(b)ポリマーのガラス転移温度が、20℃以上である、請求項1〜12のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- (d)光熱変換剤を更に含有する、請求項1〜13のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- 前記(d)光熱変換剤が、カーボンブラックである、請求項14に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- 請求項1〜15のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を有するレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
- 請求項1〜15のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を架橋した架橋レリーフ形成層を有するレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
- 前記架橋レリーフ形成層のショアA硬度が、50°以上90°以下である請求項17に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
- 請求項1〜15のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、並びに、
前記レリーフ形成層を熱及び/又は光で架橋し架橋レリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版を得る架橋工程、を含むレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の製造方法。 - 前記架橋工程が、前記レリーフ形成層を熱により架橋する工程である請求項19に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の製造方法。
- 請求項1〜15のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、
前記レリーフ形成層を熱及び/又は光で架橋し架橋レリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版を得る架橋工程、並びに、
前記架橋レリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版をレーザー彫刻する彫刻工程、を含むレリーフ印刷版の製版方法。 - 請求項21に記載のレリーフ印刷版の製版方法により製版されたレリーフ印刷版。
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