JP5111158B2 - 印刷原版に適したポリマーと印刷原版 - Google Patents
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Description
ところで、ポリカーボネートジオールから製造されたポリマーが印刷原版用樹脂組成物に応用可能であることは既に知られている。例えば、特許文献1には、ポリカーボネートジオールより製造される樹脂と無機系微粒子よりなるレーザー彫刻可能な印刷原版用樹脂組成物および印刷原版が例示されている。
特許文献1に開示された技術は、レーザー彫刻における課題の解決を目的としたものであり、印刷原版の柔軟性に関する記載や示唆はない。そして、実施例において使用されているポリカーボネートジオールは、本発明の式(1)におけるR1が直鎖状であるか、炭素数が1の分岐を一つ有する、合計の炭素数が9の炭化水素基である場合に相当するものであり、得られる印刷原版や印刷版の柔軟性は十分に優れているとは言えない。
以上のように、従来技術によりポリカーボネートジオールを原料とするポリマーを樹脂成分として用いた印刷版や印刷原版の柔軟性はいまだ十分ではなかった。
すなわち本発明は、新規なポリカーボネートジオールとそれを原料とするポリマー、該ポリマーを含む樹脂組成物、該ポリマーを樹脂成分として用いた柔軟性を有する印刷原版、特にフレキソ印刷に好適な印刷原版および該印刷原版より得られうる印刷版を提供するものである。
1.下記式(1)で表される繰り返し単位からなる数平均分子量300〜50000のポリカーボネートジオールがウレタン結合を介して重合しており、かつ末端に重合性不飽和基を有してなる数平均分子量1,000〜100,000のポリマー。
2.前記式(1)でR 1 は、
R 1 が炭素数2以上の分岐を一つ有する炭化水素基である場合に、2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、2−イソプロピル−1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,5ペンタンジオール、3−エチル−1,5−ペンタンジオール、2−イソプロピル−1,5−ペンタンジオール、3−イソプロピル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2−(イソ)プロピル−1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,8−オクタンジオール又は1,2−デカンジオール由来の基であり、
R 1 が炭素数1以上の分岐を二つ以上有する炭化水素基である場合に、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジブチル1,3−プロパンジオール、2,3−ジメチル−1,4−ブタンジオール、2,3−ジエチル−1,4−ブタンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、ピナコール、2,3−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,3−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,3−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール2,4−ジエチル−1,6−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−へキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2、6−ジメチル−1,8−オクタンジオール、8,13−ジメチル−1,20−エイコサンジオール又はダイマージオール由来の基である前項1に記載のポリマー。
3.重合性不飽和基が二重結合である前項1又は2に記載のポリマー。
4.末端にイソシアナトアルキル(メタ)アクリレートが結合した前項1〜3のいずれか1項に記載のポリマー。
5.末端にヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが結合した前項1〜3のいずれか1項に記載のポリマー。
6.前項1〜5のいずれか1項に記載のポリマーと、重合性不飽和基を有する有機化合物とを含有する印刷原版用樹脂組成物。
7.光重合開始剤を更に含有する前項6に記載の印刷原版用樹脂組成物。
8.無機系微粒子をさらに含有する前項6又は7に記載の印刷原版用樹脂組成物。
9.前項6〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物より得られうる印刷原版。
10.前項9に記載の印刷原版表面に凹凸形状を形成することにより得られうる印刷版。
12.下記式(1)で表される繰り返し単位からなる数平均分子量300〜50,000のポリカーボネートジオールを、その末端水酸基の当量を超えるイソシアナート基当量のポリイソシアナート化合物を反応させ、ウレタン結合を介してポリカーボネートジオールを重合させのち、残存する末端イソシアナート基と、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを反応させることを特徴とする前項1、2、3および5のいずれか1項に記載のポリマーの製造方法。
13.ポリイソシアナート化合物が、ジイソシアナート化合物である前項11又は12に記載のポリマーの製造方法。
14.ポリイソシアナート化合物が、芳香族ジイソシアナート化合物である前項11〜13のいずれか1項に記載のポリマーの製造方法。
[ポリカーボネートジオール]
ポリマーは、下記式(1)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートジオールを原料とすることが必須要件である。
1,2−ブタンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、2−イソプロピル−1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,5ペンタンジオール、3−エチル−1,5−ペンタンジオール、2−イソプロピル−1,5−ペンタンジオール、3−イソプロピル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2−(イソ)プロピル−1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,8−オクタンジオール、1,2−デカンジオールなどを挙げることができるがこの限りではなく、
R1が炭素数1以上の分岐を二つ以上有する炭化水素基であるものとしては例えばネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジブチル1,3−プロパンジオール、2,3−ジメチル−1,4−ブタンジオール、2,3−ジエチル−1,4−ブタンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、ピナコール、2,3−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,3−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,3−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール2,4−ジエチル−1,6−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−へキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2、6−ジメチル−1,8−オクタンジオール、8,13−ジメチル−1,20−エイコサンジオール、ダイマージオールなどを挙げることができるが、この限りではない。
上記のようなポリカーボネートジオールは、対応するジオールより、公知の方法(例えば、特公平5−29648号公報)により製造することができる。
本実施の形態において、数平均分子量(Mn)とは、末端基濃度から算出される分子量を意味し、ポリカーボネートジオールのOH価([OHV])から、下記実施例中に記載した計算式により算出することができる。
次に、前記ポリカーボネートジオールを原料とするポリマーについて説明する。
本実施の形態のポリマーは、前記ポリカーボネートジオールの末端水酸基と他の化合物との間でウレタン結合を介して重合しており、かつ印刷原版に用いる樹脂成分となるポリマーが様々な分子と連結しうるために末端に重合性不飽和基を有してなるポリマーである。重合性不飽和基としては、好ましくはラジカル重合又は付加重合に関与し得る二重結合であり、より好ましくは末端にイソシアナトアルキル(メタ)アクリレート又はヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが結合することで得られる(メタ)アクリレート基である。
ポリマーの好ましい第1の例は、前記式(1)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートジオールと、その末端水酸基の当量未満のイソシアナート基当量のポリイソシアナート化合物と、がウレタン結合により重合され、末端にイソシアナトアルキル(メタ)アクリレートが結合されたポリマーが挙げられる。
前記第1の例のポリマーは、前記ポリカーボネートジオールと、その末端水酸基の当量未満のイソシアナート基当量のポリイソシアナート化合物を反応させ、ウレタン結合を介してポリカーボネートジオールを重合させたのち、重合されたポリマーの残存する末端水酸基と、イソシアナトアルキル(メタ)アクリレートを反応させることにより製造される。
イソシアナトアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、該アクリレート化合物中のアルキル部分が炭素数2〜10のアルキレン基などである化合物が好ましく、炭素数2又は3のアルキレン基などである化合物がより好ましい。イソシアナトアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、イソシアナトプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記第2の例のポリマーは、前記ポリカーボネートジオールの末端水酸基と、当該ポリカーボネートジオールの末端水酸基の当量を超えるイソシアナート基当量のポリイソシアナート化合物とをウレタン結合を介して重合したのち、重合されたポリマーの末端に残存するイソシアナート基とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを反応させることにより製造される。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、該アクリレート化合物中のアルキル部分が炭素数2〜10のアルキレン基などである化合物が好ましく、炭素数2又は3のアルキレン基などである化合物がより好ましい。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ポリマーの製造方法としては、特に制限はされないが、例えば、以下の方法などによりポリマーを製造することができる。
前記ポリカーボネートジオールと、該ポリカーボネートジオールの末端水酸基の当量未満のイソシアナート基当量のポリイソシアナート化合物と、ウレタン化触媒とを50〜90℃で1〜5時間反応させた後、イソシアナトアルキル(メタ)アクリレートとウレタン化触媒とを加え、50〜90℃で1〜5時間反応させることにより、ポリマーを製造することができる。
また、前記ポリカーボネートジオールと、該ポリカーボネートジオールの末端水酸基の当量を超えるイソシアナート基当量のポリイソシナネート化合物と、ウレタン化触媒とを50〜90℃で1〜5時間反応させた後、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとウレタン化触媒とを加え、50〜90℃で1〜5時間反応させることにより、ポリマーを製造することができる。
次に、本実施の形態の樹脂組成物について説明する。
本実施の形態の樹脂組成物は、卓越した柔軟性を発現させるために、前記ポリカーボネートジオールから製造される前記ポリマーと重合性不飽和基を有する有機化合物を含む樹脂組成物であり、該樹脂組成物は光重合開始剤および/又は無機系微粒子を含むことが好ましい。該樹脂組成物は印刷版又は印刷原版の製造に用いることができる。樹脂組成物は特に制限はされないが、印刷原版又は印刷版の耐溶剤性の観点から、重合性不飽和基を有する有機化合物を前記ポリマー100質量部に対して5〜200質量部含有することが好ましく、10〜180質量部含有することがより好ましい。また、印刷原版の製造効率の観点から、樹脂組成物はさらに光重合開始剤を前記ポリマー100質量部に対して1〜100質量部含有することが好ましく、1〜80質量部含有することがより好ましい。また、印刷原版の彫刻性の観点から、樹脂組成物はさらに無機系微粒子を前記ポリマー100質量部に対して1〜100質量部含有することが好ましく、1〜80質量部含有することがより好ましい。
さらに樹脂組成物には、用途や目的に応じて重合禁止剤、紫外線吸収剤、染料、滑剤、界面活性剤、可塑剤、香料などを添加することができる。その総添加量は樹脂組成物100質量部に対して10質量部以下の範囲であることが好ましい。
本実施の形態の樹脂組成物は、重合性不飽和基を有する有機化合物を含む。また特に限定はされないが、印刷原版の耐溶剤性の観点から数平均分子量が5,000未満であることが好ましい。
本実施の形態における重合性不飽和基とは、ラジカル重合又は付加重合反応に関与する不飽和基を意味する。ラジカル重合反応に関与する重合性不飽和基としては、例えば、アクリル基、メタクリル基が好ましく、付加重合反応に関与する重合性不飽和基としては、例えば、エポキシ基、オキセタン基、ビニルエーテル基が好ましい。
有機化合物の具体例としては、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼンなどのオレフィン類;(メタ)アクリル酸及びその誘導体;ハロオレフィン類;アクリルニトリルなどの不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド及びその誘導体;アリルアルコール、アリルイソシアナートなどのアリル化合物;無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸などの不飽和ジカルボン酸及びその誘導体;酢酸ビニル類;N−ビニルピロリドン;N−ビニルカルバゾールなどが挙げられる。
有機化合物として、目的に応じて1種又は2種以上の有機化合物を併用して用いることができる。
有機化合物として、開環付加重合反応するエポキシ基を有する化合物が好ましい。開環付加反応するエポキシ基を有する化合物としては、種々のジオールやトリオールなどのポリオールにエピクロルヒドリンを反応させて得られる化合物、分子中のエチレン結合に過酸を反応させて得られるエポキシ化合物などが挙げられる。
本実施の形態における樹脂組成物は、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤は公知のものから適宜選択すればよく、例えば、高分子学会編「高分子データ・ハンドブック−基礎編」(1986年、培風館発行)に例示されているラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合などの重合開始剤などを使用することができる。
光重合開始剤を用いて光重合により樹脂組成物の硬化を行うことは、貯蔵安定性を保ちながら、生産性よく印刷原版又は印刷版を製造する方法として有用である。
光重合開始剤として使用することのできる公知の重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノンなどのアセトフェノン類;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシル酸メチル、ベンゾフェノン、ベンジル、ジアセチル、ジフェニルスルフィド、エオシン、チオニン、アントラキノン類などの光ラジカル重合開始剤;光を吸収して酸を発生する芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩などの光カチオン重合開始剤;光を吸収して塩基を発生する光アニオン重合開始剤などを例示することができる。
本実施の形態における樹脂組成物は、印刷原版又は印刷版とした場合、レーザーで直接レリーフ画像を形成する手法において重要な特性である、レーザー彫刻性に優れるという特徴を併せ持つ。レーザー彫刻性をより向上させるためには、樹脂組成物が、さらに無機系微粒子を含有することが好ましい。無機系微粒子の材質、形態などに制限はされないが、粒子中に微小細孔又は微小な空隙を有するものがより好ましい。無機系微粒子には、印刷原版がレーザーによって分解されて発生する液状ガスを効果的に吸収除去する働きがあるので、樹脂組成物に無機系微粒子を含有させることにより、レーザー彫刻によるレリーフ画像の精度が向上するのみならず、レーザー彫刻後の洗浄操作が極めて簡便になる。
無機系微粒子の大きさに制限はされないが、平均粒子径が0.01〜100μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜20μmであり、さらに好ましくは1〜10μmである。無機系微粒子の平均細孔径に制限はされないが、1〜1,000nmであり、より好ましくは2〜200nmであり、さらに好ましくは2〜50nmである。無機系微粒子の細孔容積に制限はされないが、0.01〜10ml/gが好ましく、より好ましくは0.1〜5ml/gである。無機系微粒子の比表面積に制限はされないが、1〜1.500m2/gが好ましく、より好ましくは10〜800m2/gである。
次に、本実施の形態の印刷原版及び印刷版について説明する。
本実施の形態の印刷原版及び印刷版は、前記ポリカーボネートジオールから製造される前記ポリマーおよび重合性不飽和基を有する有機化合物を含む樹脂組成物より得られるものであれば制限はないが、光重合開始剤、無機系微粒子をさらに含む樹脂組成物から得られるものであることが好ましい。
印刷版を得る方法としては、例えば、支持体上に該樹脂組成物をシート状又は円筒状に形成し、非印刷面側から支持体を通して紫外線露光を施し(バック露光)、薄い均一な硬化層を設け印刷原版とし、次いでネガフィルムを通して樹脂組成物層の面に画像露光(レリーフ露光)をおこない、未露光部を現像溶剤で洗い流して所望の凹凸形状、すなわちレリーフ像を得て印刷版とする方法がある。また、ネガフィルムを用いず、デジタル化された画像情報を直接描画する方法としては、非赤外感光層である前記樹脂組成物上に赤外線感受層を設け印刷原版とし、コンピューターで処理されたデジタル情報に基づいて、赤外線レーザーで選択的に該赤外線感受層を切除することによって、マスクとなる画像を描画し、次いで形成したマスクを通して樹脂組成物層の面に画像露光(レリーフ露光)をおこない、未露光部を現像溶剤で洗い流して所望の凹凸形状、すなわちレリーフ像を得て印刷版とする方法がある。
本実施の形態の樹脂組成物をシート状又は円筒状に成形する方法に制限はなく、既存の樹脂の成形方法を用いることができる。例えば、ポンプや押し出し機などの機械で樹脂をノズルやダイスから押し出し、ブレードで厚みを合わせる方法(注型法);ロールによりカレンダー加工して厚みを合わせる方法などが例示できる。樹脂の性能を落とさない範囲で加熱しながら成形を行うことも可能である。また、必要に応じて圧延処理、研削処理などを施してもよい。通常は、PET(ポリエチレンテレフタレート)やニッケルなどの素材からなるバックフィルムといわれる下敷きの上に樹脂組成物を成形するが、印刷機のシリンダー上に直接成形することもできる。その場合、継ぎ目のないシームレススリーブを成形することができる。また、スリーブ成形・彫刻装置(液状の樹脂組成物を円筒状支持体上に塗布し、光を照射して液状樹脂組成物を硬化させる装置内に、レーザー彫刻用のレーザー光源を組み込んだもの)を用いて印刷原版を成形することもできる。このような装置を用いた場合、レーザーで直接彫刻する方法において、スリーブを成形した後に直ちにレーザー彫刻して印刷版を成形することができるので、短時間加工が実現可能となる。
レーザー彫刻においては、形成したい画像をデジタル型のデータとし、コンピューターを利用してレーザー装置を操作して原版上にレリーフ画像を作成する。レーザー彫刻に用いるレーザーは、原版が吸収を有する波長を含むものであればどのようなものを用いてもよい。彫刻を高速度で行なうためには出力の高いものが望ましく、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー等の赤外線あるいは近赤外線領域に発振波長を有するレーザーが好ましい。また、紫外線領域に発振波長を有する紫外線レーザー、例えばエキシマレーザー、第3あるいは第4高調波へ波長変換したYAGレーザー、銅蒸気レーザー等は、有機分子の結合を切断するアブレージョン加工が可能であり、微細加工に適している。フェムト秒レーザーなどの極めて高い尖頭出力を有するレーザーを用いることもできる。また、レーザーは連続照射でも、パルス照射でも良い。一般に樹脂は10μm近傍の波長に吸収を持つため、10μm近傍に発振波長を有する炭酸ガスレーザーを使用する場合には、特にレーザー光の吸収を助けるような成分の添加は必要ではない。しかし、YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザーは1μm近辺に発振波長を有するが、この波長領域に光吸収を有する有機物はあまり無いので、光吸収を助ける成分である染料や顔料の添加が必要となる。このような染料の例としては、ポリ(置換)フタロシアニン化合物および金属含有フタロシアニン化合物;シアニン化合物;スクアリリウム染料;カルコゲノピリロアリリデン染料;クロロニウム染料;金属チオレート染料;ビス(カルコゲノピリロ)ポリメチン染料;オキシインドリジン染料;ビス(アミノアリール)ポリメチン染料;メロシアニン染料及びキノイド染料などが挙げられる。顔料の例としてはカーボンブラック、グラファイト、亜クロム酸銅、酸化クロム、コバルトクロームアルミネート、酸化鉄等の暗色の無機顔料や鉄、アルミニウム、銅、亜鉛のような金属粉およびこれら金属にSi、Mg、P、Co、Ni、Y等をドープしたもの等が挙げられる。これら染料、顔料は単独で使用しても良いし、複数を組み合わせて使用しても良いし、複層構造にするなどのあらゆる形態で組み合わせても良い。
本実施の形態の印刷版の様式に制限はなく、フレキソ版、樹脂凸版、又はオフセット、ドライオフセット、反転オフセット又はグラビアオフセットに用いるブランケットなどあらゆる印刷版として使用可能であるが、とくにフレキソ版として好適に用いられる。
<測定方法>
1.ポリカーボネートジオールのOH価
無水酢酸12.5gをピリジンで50mlにメスアップしアセチル化試薬を調製した。100mlナスフラスコに、サンプルを1.0g精秤した。アセチル化試薬2mlとトルエン4mlをホールピペットで添加後、冷却管を取り付けて、100゜Cで1時間撹拌加熱した。蒸留水1mlをホールピペットで添加、さらに10分間加熱撹拌した。
2〜3分間冷却後、エタノールを5ml添加し、指示薬として1%フェノールフタレイン/エタノール溶液を2〜3滴入れた後に、0.5mol/lエタノール性水酸化カリウムで滴定した。
ブランク試験としてアセチル化試薬2ml、トルエン4ml、蒸留水1mlを100mlナスフラスコに入れ、10分間加熱撹拌した後、同様に滴定を行った。この結果をもとに、下記数式(i)を用いてOH価を計算した。
OH価(mg−KOH/g)={(b−a)´28.05´f}/e (i)
a:サンプルの滴定量(ml)
b:空試験の滴定量(ml)
e:サンプル重量(g)
f:滴定液のファクター
実施例、比較例中のポリカーボネートジオールの末端は、13C−NMR(270MHz)の測定により、実質的に全てがヒドロキシル基であった。また、ポリカーボネートジオール中の酸価をKOHによる滴定により測定したところ、実施例、比較例の全てが0.01以下であった。
そこで、得られたポリマーの数平均分子量を下式(ii)により求めた。
数平均分子量Mn=2/(OH価=10−3/56.11) (ii)
3.ポリマーの数平均分子量
東ソー社製の高速GPC装置「HLC−8220GPC」(商標)と東ソー社製のポリスチレン充填カラム「TSKgel GMHXL」(商標)を用い、テトラヒドロフラン(THF)で展開して測定した。カラムの温度は40℃に設定した。GPC装置に注入する試料としては樹脂濃度が1wt%のTHF溶液を調製し、注入量を10μlとした。また、検出器としては、示差屈折率検出器を使用した。
株式会社テクロック社製のデュロメータ タイプA 「GS−719G」(商標)及び株式会社テクロック社製のデュロメータ用定圧荷重器「GS−710」(商標)を用い、加圧面が版に密着してから15秒後の値を測定した。3cm´5cmの印刷原版について3ヶ所ににつきそれぞれ3回測定し、それらの平均値を硬度とした。
5.印刷原版のレーザー彫刻性
GCC社製の炭酸ガスレーザー彫刻機「Laser Pro Venus」(出力12ワット)(商標)を用いて印刷原版のレーザー彫刻を行った。彫刻は、200μm幅の凸線による線画を含むパターンを作成して実施した。彫刻深さは0.7mmとした。レーザー彫刻による粘稠性液状カス発生の有無及び線画の鮮明性を目視判定した。
15´14´0.3cmのガラス板にジエチレングリコールを薄く塗布した後、PETフィルムを乗せ、ヘラでこすり密着させた。そのフィルム上に両面シールにより固定させたスポンジ枠で作成した1辺10cmの四角枠と、その枠外の四隅に厚さ3mmのアルミスペーサーを置いた。この作成した治具を約90゜Cのホットプレート上に置いた。
治具の枠内に樹脂組成物を注いだ後、ジエチレングリコールを塗布しPETフィルムを乗せたガラス板を、PETフィルム面が樹脂組成物に接触するようににかぶせた。その後に上下のガラス板をクリップで挟み固定した。
この治具についてセンエンジニアリング株式会社製の高圧水銀灯「HC−98」(商標)を用い、350nmの波長において500mJ/cm2(照度33.7mW/cm2、時間14.8秒)露光した後、治具面を逆にし、更に500mJ/cm2露光した。これを両面もう一度ずつ行い、トータルで2000mJ/cm2露光して印刷原版を作成した。
規則充填物ヘリパックパッキンNo.3を充填した、充填高さ300mm、内径30mmの蒸留塔、及び分留頭を備えた500ml四口フラスコに、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール254g(1.58mol)、エチレンカーボネート146g(1.66mol)を仕込み、70゜Cで撹拌溶解し、系内を窒素置換した後、触媒としてテトラブトキシチタンを0.073g加えた。このフラスコを、フラスコの内温が145〜150゜C、圧力が2.5〜3kPaとなるように、分留頭から還流液の一部を抜き出しながら、オイルバスで加熱し、24時間反応した。その後、充填式蒸留塔を外して、単蒸留装置に取り替え、フラスコの内温170゜Cに上げ、圧力を0.2kPaまで落として、フラスコ内に残った、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、エチレンカーボネートを1時間かけて留去した。その後、フラスコの内温170゜C、圧力0.2kPaでさらに30時間反応した。この反応により、室温で粘稠な液状のポリカーボネートジオール(α1)が237g得られた。得られたポリカーボネートジオールのOH価は71.6(数平均分子量Mn=1567)であった。
分留頭を備えた300ml四口フラスコに、8,13−ジメチル−1,20−エイコサンジオール100g(0.29mol)、エチレンカーボネート27g(0.31mol)を仕込み、70゜Cで撹拌溶解し、系内を窒素置換した後、触媒としてテトラブトキシチタンを0.062gを加えた。このフラスコを、フラスコの内温が150〜155゜C、圧力が7〜8kPaとなるように、分留頭から還流液の一部を抜き出しながら、オイルバスで加熱し、8時間反応した。その後、エチレンカーボネート27g(0.31mol)を追加し、フラスコの内温155〜160゜C、圧力7〜8kPaで6時間反応した後、圧力を0.1kPaまで落として、フラスコ内に残ったエチレンカーボネートを留去した。その後さらに、エチレンカーボネート27g(0.31mol)を追加し、同様にしてフラスコの内温155゜C、圧力5〜6kPaで4時間反応した後、圧力を0.1kPaまで落として、フラスコ内に残ったエチレンカーボネートを留去した。この反応により、室温で粘稠な液状のポリカーボネートジオール(α2)が105g得られた。得られたポリカーボネートジオールのOH価は28.6(数平均分子量Mn=3927)であった。
規則充填物ヘリパックパッキンNo.3を充填した、充填高さ300mm、内径30mmの蒸留塔、及び分留頭を備えた500ml四口フラスコに、2−エチル−1,3−プロパンジオール100g(0.96mol)、エチレンカーボネート92g(1.04mol)を仕込み、70゜Cで撹拌溶解し、系内を窒素置換した後、触媒としてテトラブトキシチタンを0.070g加えた。このフラスコを、フラスコの内温が145〜150゜C、圧力が2.5〜3kPaとなるように、分留頭から還流液の一部を抜き出しながら、オイルバスで加熱し、24時間反応した。その後、充填式蒸留塔を外して、単蒸留装置に取り替え、フラスコの内温170゜Cに上げ、圧力を0.2kPaまで落として、フラスコ内に残った、2−エチル−1,3−プロパンジオール、エチレンカーボネートを1時間かけて留去した。その後、フラスコの内温170゜C、圧力0.2kPaでさらに30時間反応した。この反応により、室温で粘稠な液状のポリカーボネートジオール(α3)が110g得られた。得られたポリカーボネートジオールのOH価は75.1(数平均分子量Mn=1494)であった。
分留頭を備えた300ml四口フラスコに、コグニスジャパン株式会社製のダイマージオール「Sovermol908」(商標)148g(0.28mol)、エチレンカーボネート54g(0.61mol)を仕込み、70゜Cで撹拌溶解し、系内を窒素置換した後、触媒としてテトラブトキシチタンを0.113gを加えた。このフラスコを、フラスコの内温が150〜155゜C、圧力が5〜7kPaとなるように、分留頭から還流液の一部を抜き出しながら、オイルバスで加熱し、14時間反応した。その後、圧力を0.1kPaまで落として、フラスコ内に残ったエチレンカーボネートを留去した。その後さらに、エチレンカーボネート27g(0.31mol)を追加し、同様にしてフラスコの内温155゜C、圧力4〜6kPaで4時間反応した後、圧力を0.1kPaまで落として、フラスコ内に残ったエチレンカーボネートを留去した。この反応により、室温で粘稠な液状のポリカーボネートジオールが148g得られた。得られたポリカーボネートジオールのOH価は54.8(数平均分子量Mn=2046)であった。
撹拌機を備えた300mlのセパラブルフラスコに製造例1のポリカーボネートジオール(α1)65.1g、リン酸モノブチル0.02gを入れ、80゜Cで3時間撹拌することにより、テトラブトキシチタンを失活させた。その後、トリレンジイソシアナート(TDIと略記)5.70g、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.08g、アジピン酸0.01g、ジ−n−ブチルスズジラウレート0.001gを加えて、80゜Cの乾燥空気雰囲気で3時間撹拌した。その後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアナート(MOIと略記)2.86g、ジ−n−ブチルスズジラウレート0.001gを加えて、80゜Cの乾燥空気雰囲気で3時間撹拌し、数平均分子量が約8000のポリマーを得た。この段階で、ポリカーボネートジオールの末端水酸基がウレタン結合により連結され、且つ二重結合を有するポリマーが得られたことを、赤外分光分析により確認した。
その後、得られたポリマー100質量部に対し、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート33質量部、ジエチレングリコールブチルエーテルメタクリレート10質量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート0.2質量部、富士シリシア化学株式会社製シリカゲル「C−1504」(商標)7.7質量部、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン1質量部、ベンゾフェノン1.7質量部、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール1質量部を加えて80℃で撹拌しながら、13kPaに減圧して脱泡し、室温で粘稠な液体状の樹脂組成物(A1)を得た。
実施例1のトリレンジイソシアナートの代わりにヘキサメチレンジイソシアナート(HMDIと略記)5.50gを用いた以外は、実施例1と同様にして数平均分子量が約8000のポリマーを得た後、室温で粘稠な液体状の樹脂組成物(A2)を得た。
撹拌機を備えた300mlのセパラブルフラスコに製造例1のポリカーボネートジオール(α1)65.0g、リン酸モノブチル0.05gを入れ、80℃で3時間撹拌することにより、テトラブトキシチタンを失活させた。その後、トリレンジイソシアナート8.16g、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.08g、アジピン酸0.01g、ジ−n−ブチルスズジラウレート0.001gを加えて、乾燥空気雰囲気下、80℃で3時間撹拌した。その後、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート6.65g、ジ−n−ブチルスズジラウレート0.001gを加えて、乾燥空気雰囲気下、80℃で2時間撹拌し、数平均分子量が約8000のポリマーを得た。この段階で、ポリカーボネートジオールの末端水酸基がウレタン結合により連結され、かつ、二重結合を有するポリマーが得られたことを、赤外分光分析により確認した。
その後、実施例1と同様にして、室温で粘稠な液体状の樹脂組成物(A3)を得た。
撹拌機を備えた300mlのセパラブルフラスコに製造例2のポリカーボネートジオール(α2)51.4g、リン酸モノブチル0.05gを入れ、95゜Cで3時間撹拌することにより、テトラブトキシチタンを失活させた。その後、トリレンジイソシアナート1.30g、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.06g、アジピン酸0.01g、ジ−n−ブチルスズジラウレート0.001gを加えて、40゜Cの乾燥空気雰囲気で30分間、さらに80゜Cで3時間撹拌した。その後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアナート2.16g、ジ−n−ブチルスズジラウレート0.001gを加えて、80゜Cの乾燥空気雰囲気で2時間撹拌し、数平均分子量が約10000のポリマーを得た。この段階で、ポリカーボネートジオールの末端水酸基がウレタン結合により連結され、且つ二重結合を有するポリマーが得られたことを、赤外分光分析により確認した。
その後、実施例1と同様にして、室温で粘稠な液体状の樹脂組成物(A4)を得た。
富士シリシア化学株式会社製シリカゲル「C−1504」(商標)を加えなかった以外は実施例4と同様にして室温で粘稠な液体状の樹脂組成物(A5)を得た。
撹拌機を備えた300mlのセパラブルフラスコに製造例3のポリカーボネートジオール(α3)50.1g、リン酸モノブチル0.05gを入れ、95゜Cで3時間撹拌することにより、テトラブトキシチタンを失活させた。その後、トリレンジイソシアナート4.65g、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.08g、アジピン酸0.01g、ジ−n−ブチルスズジラウレート0.001gを加えて、40゜Cの乾燥空気雰囲気で30分間、さらに80゜Cで3時間撹拌した。その後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアナート2.18g、ジ−n−ブチルスズジラウレート0.001gを加えて、80゜Cの乾燥空気雰囲気で2時間撹拌し、数平均分子量が約8000のポリマーを得た。この段階で、ポリカーボネートジオールの末端水酸基がウレタン結合により連結され、且つ二重結合を有するポリマーが得られたことを、赤外分光分析により確認した。
その後、実施例1と同様にして、室温で粘稠な液体状の樹脂組成物(A6)を得た。
撹拌機を備えた300mlのセパラブルフラスコに製造例4のポリカーボネートジオール(α4)75.1g、リン酸モノブチル0.06gを入れ、95゜Cで3時間撹拌することにより、テトラブトキシチタンを失活させた。その後、トリレンジイソシアナート4.69g、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.09g、アジピン酸0.01g、ジ−n−ブチルスズジラウレート0.002gを加えて、乾燥空気雰囲気で40゜Cで30分間、さらに80゜Cで3時間撹拌した。その後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアナート3.23g、ジ−n−ブチルスズジラウレート0.001gを加えて、乾燥空気雰囲気で80゜Cで2時間撹拌し、数平均分子量が約8000のポリマーを得た。この段階で、ポリカーボネートジオールの末端水酸基がウレタン結合により連結され、且つ二重結合を有するポリマーが得られたことを、赤外分光分析により確認した。
その後、実施例1と同様にして、室温で粘稠な液体状の樹脂組成物(A7)を得た。
撹拌機を備えた300mlのセパラブルフラスコに株式会社クラレ製のポリカーボネートジオール「C−2015N」(商標)(原料ジオールモル比 1,9−ノナンジオール:2−メチル−1,8−オクタンジオール=15:85、OH価=56.0、分子量2004)65.5g、トリレンジイソシアナート4.18g、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.07g、アジピン酸0.01g、ジ−n−ブチルスズジラウレート0.001gを加えて、40゜Cの乾燥空気雰囲気で30分間、さらに80゜Cで3時間撹拌した。その後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアナート2.77g、ジ−n−ブチルスズジラウレート0.001gを加えて、80゜Cの乾燥空気雰囲気で2時間撹拌し、数平均分子量が約8000のポリマーを得た。この段階で、ポリカーボネートジオールの末端水酸基がウレタン結合により連結され、且つ二重結合を有するポリマーが得られたことを、赤外分光分析により確認した。
その後、実施例1と同様にして、室温で粘稠な液体状の樹脂組成物(B1)を得た。
撹拌機を備えた300mlのセパラブルフラスコに旭化成ケミカルズ株式会社製のポリカーボネートジオール「T4672」(商標)(原料ジオールモル比 1,4−ブタンジオール:1,6−ヘキサンジオール=70:30、OH価=53.7、数平均分子量2089)65.5g、トリレンジイソシアナート3.91g、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.08g、アジピン酸0.01g、ジ−n−ブチルスズジラウレート0.001gを加えて、40゜Cの乾燥空気雰囲気で30分間、さらに80゜Cで3時間撹拌した。その後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアナート2.75g、ジ−n−ブチルスズジラウレート0.002gを加えて、80゜Cの乾燥空気雰囲気で2時間撹拌し、数平均分子量が約8000のポリマーを得た。この段階で、ポリカーボネートジオールの末端水酸基がウレタン結合により連結され、且つ二重結合を有するポリマーが得られたことを、赤外分光分析により確認した。
その後、実施例1と同様にして、室温で粘稠な液体状の樹脂組成物(B2)を得た。
実施例1〜7、比較例1〜2で得られた樹脂組成物の各々を用いて、印刷原版を作製し、得られた印刷原版について、硬度、レーザー彫刻性を測定した結果を表1に示す。
表1より、下記式(1)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートジオールがウレタン結合を介して重合し、かつ末端に重合性不飽和基を有してなる数平均分子量1,000〜100,000のポリマー(α1〜4)と重合性不飽和基を有する有機化合物とを含有する樹脂組成物(A1〜7)を用いて製造された印刷原版はいずれもレーザー彫刻が可能であり、かつ、ショアA硬度40以下の卓越した柔軟性を有する印刷原版であることがわかる。
Claims (4)
- 下記式(1)で表される繰り返し単位からなる数平均分子量300〜50000のポリカーボネートジオールがウレタン結合を介して重合しており、かつ末端に重合性不飽和基を有してなる数平均分子量1,000〜100,000のポリマーと、重合性不飽和基を有する有機化合物と、を含有する樹脂組成物より得られうる印刷原版。
- 前記ポリマーの式(1)でR1は、
R1が炭素数2以上の分岐を一つ有する炭化水素基である場合に、2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、2−イソプロピル−1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,5ペンタンジオール、3−エチル−1,5−ペンタンジオール、2−イソプロピル−1,5−ペンタンジオール、3−イソプロピル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2−(イソ)プロピル−1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,8−オクタンジオール又は1,2−デカンジオール由来の基であり、
R1が炭素数1以上の分岐を二つ以上有する炭化水素基である場合に、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,
3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジブチル1,3−プロパンジオール、2,3−ジメチル−1,4−ブタンジオール、2,3−ジエチル−1,4−ブタンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、ピナコール、2,3−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,3−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,3−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール2,4−ジエチル−1,6−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−へキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2、6−ジメチル−1,8−オクタンジオール、8,13−ジメチル−1,20−エイコサンジオール又はダイマージオール由来の基である請求項1に記載の印刷原版。 - 無機系微粒子をさらに含有する請求項1又は2に記載の印刷原版。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷原版表面に凹凸形状を形成することにより得られうる印刷版。
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