JP2022092121A - ポリカーボネートジオール及びその製造方法 - Google Patents

ポリカーボネートジオール及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2022092121A
JP2022092121A JP2020204708A JP2020204708A JP2022092121A JP 2022092121 A JP2022092121 A JP 2022092121A JP 2020204708 A JP2020204708 A JP 2020204708A JP 2020204708 A JP2020204708 A JP 2020204708A JP 2022092121 A JP2022092121 A JP 2022092121A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polycarbonate diol
polyurethane
compound
meth
dihydroxy compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020204708A
Other languages
English (en)
Inventor
大介 小津間
Daisuke Kotsuma
範和 小西
Norikazu Konishi
一彰 白井
Kazuaki Shirai
貴之 山中
Takayuki Yamanaka
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2020204708A priority Critical patent/JP2022092121A/ja
Publication of JP2022092121A publication Critical patent/JP2022092121A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)

Abstract

【課題】色調が良好であり、ポリウレタンの原料化合物(原料モノマー)として用いた際に、得られるポリウレタンに優れた柔軟性(伸び)と耐湿熱性を付与できるポリカーボネートジオールを提供する。【解決手段】ジヒドロキシ化合物とカーボネート化合物とをエステル交換触媒の存在下でエステル交換反応させてポリカーボネートジオールを製造する方法において、該ジヒドロキシ化合物が下記式(1)で表される化合物(以下、「ジヒドロキシ化合物(1)」と称す。)からなり、該ジヒドロキシ化合物(1)の酸価が0.04mgKOH/g以上15.00mgKOH/g以下であることを特徴とするポリカーボネートジオールの製造方法。HO-R1-OH …(1)(上記式(1)中、R1は炭素原子数が10~12の2価の炭化水素基を示す。)【選択図】なし

Description

本発明は、特定の原料ジヒドロキシ化合物を用いたポリカーボネートジオールとその製造方法に関する。本発明はまた、このポリカーボネートジオールを用いたポリウレタンに関する。
ポリカーボネートジオールは、ポリウレタンや熱可塑性エラストマーのソフトセグメント部の原料や塗料、接着剤等に使用されており、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールの欠点とされる耐候性や耐熱性、耐加水分解性、耐湿熱性に優れる高耐久性を付与する原料として広く用いられている。
従来、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等の低級アルキルジオールを用いて得られるポリカーボネートジオールを原料とするポリウレタンが一般的に知られているが、これらは耐湿熱性や伸びにおいて要求性能を十分に満足し得るものではない。このため、この問題を解決するために、様々な構造のポリカーボネートジオールが提案されている。
例えば、柔軟性を向上させるため、1,9-ノナンジオールや1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオールなどの長鎖のジヒドロキシ化合物を用いた例がある(特許文献1,2、非特許文献1)。
特許第2802657号公報 特許第3240194号公報
Magdalena M. Mazureka著、Polym. Adv. Technol. 2015, 26 57-67
特許文献1、2や非特許文献1には、長鎖ジヒドロキシ化合物を使用したポリカーボネートジオールに関して記載されているが、ジヒドロキシ化合物中の不純物含有量などが、得られるポリカーボネートジオールや、このポリカーボネートジオールを用いてポリウレタンとした際のポリウレタン物性に及ぼす影響について検討がなされておらず、得られるポリカーボネートジオールの色調や、ポリカーボネートジオールを用いて得られるポリウレタンの物性、特に柔軟性(伸び)と耐湿熱性に問題を残すものであった。
本発明は、長鎖ジヒドロキシ化合物を使用したポリカーボネートジオールであって、従来技術で達成し得なかったポリカーボネートジオール、即ち、色調が良好であり、ポリウレタンの原料化合物(原料モノマー)として用いた際に、得られるポリウレタンに優れた柔軟性(伸び)と耐湿熱性を付与できるポリカーボネートジオールを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、ジヒドロキシ化合物として、特定の長鎖ジヒドロキシ化合物を用いてポリカーボネートジオールを製造する際に、酸価が特定の範囲である長鎖ジヒドロキシ化合物を使用することで、色調が良好であり、ポリウレタンの原料化合物(原料モノマー)として用いた際に、得られるポリウレタンに優れた柔軟性(伸び)と耐湿熱性を付与できるポリカーボネートジオールを提供できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の要旨は、以下である。
[1] ジヒドロキシ化合物とカーボネート化合物とをエステル交換触媒の存在下でエステル交換反応させてポリカーボネートジオールを製造する方法において、該ジヒドロキシ化合物が下記式(1)で表される化合物(以下、「ジヒドロキシ化合物(1)」と称す。)からなり、該ジヒドロキシ化合物(1)の酸価が0.04mgKOH/g以上15.00mgKOH/g以下であることを特徴とするポリカーボネートジオールの製造方法。
HO-R-OH …(1)
(上記式(1)中、Rは炭素原子数が10~12の2価の炭化水素基を示す。)
[2] 得られるポリカーボネートジオールの水酸基価が20mgKOH/g以上250mgKOH/g以下である[1]に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
[3] 前記ジヒドロキシ化合物(1)が1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール及び1,12-ドデカンジオールよりなる群から選ばれる1種又は2種以上である[1]又は[2]に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
[4] 得られるポリカーボネートジオール中に残存するジヒドロキシ化合物(1)が該ポリカーボネートジオールに対して0.5重量%未満である[1]から[3]のいずれかに記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
[5] 得られるポリカーボネートジオールの末端の98.5モル%以上がヒドロキシ末端である[1]から[4]のいずれかに記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
[6] ジヒドロキシ化合物とカーボネート化合物とをエステル交換触媒の存在下でエステル交換反応させて得られるポリカーボネートジオールにおいて、該ジヒドロキシ化合物が下記式(1)で表される化合物(以下、「ジヒドロキシ化合物(1)」と称す。)からなり、該ジヒドロキシ化合物(1)の酸価が0.04mgKOH/g以上15.00mgKOH/g以下であることを特徴とするポリカーボネートジオール。
HO-R-OH …(1)
(上記式(1)中、Rは炭素原子数が10~12の2価の炭化水素基を示す。)
[7] 水酸基価が20mgKOH/g以上250mgKOH/g以下である[6]に記載のポリカーボネートジオール。
[8] 前記ジヒドロキシ化合物(1)が1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール及び1,12-ドデカンジオールよりなる群から選ばれる1種又は2種以上である[6]又は[7]に記載のポリカーボネートジオール。
[9] 前記ジヒドロキシ化合物(1)の残存量が0.5重量%未満である[6]から[8]のいずれかに記載のポリカーボネートジオール。
[10] 末端の98.5モル%以上がヒドロキシ末端である[6]から[9]のいずれかに記載のポリカーボネートジオール。
[11] [6]から[10]のいずれかに記載のポリカーボネートジオールを用いたポリウレタン。
[12] [11]に記載のポリウレタンを用いた人工皮革又は合成皮革。
[13] [11]に記載のポリウレタンを用いた塗料又はコーティング剤。
[14] [11]に記載のポリウレタンを用いた弾性繊維。
[15] [11]に記載のポリウレタンを用いた水系ポリウレタン塗料。
[16] [11]に記載のポリウレタンを用いた粘着剤又は接着剤。
[17] [6]から[10]のいずれかに記載のポリカーボネートジオールを用いた水系ポリウレタン分散体。
[18] [6]から[10]のいずれかに記載のポリカーボネートジオールを用いた活性エネルギー線硬化性重合体組成物。
本発明により提供されるポリカーボネートジオールは、色調が良好であり、ポリウレタンの原料化合物物(原料モノマー)として用いた際に、得られるポリウレタンに優れた柔軟性(伸び)と耐湿熱性を付与することができる。
従って、本発明のポリカーボネートジオール及び本発明のポリカーボネートジオールを用いて得られるポリウレタンは、弾性繊維、合成又は人工皮革、塗料、高機能エラストマー用途に適しており、産業上極めて有用である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[ポリカーボネートジオール]
本発明のポリカーボネートジオールは、ジヒドロキシ化合物とカーボネート化合物とをエステル交換触媒の存在下でエステル交換反応させて得られるポリカーボネートジオールにおいて、該ジヒドロキシ化合物が下記式(1)で表される化合物(以下、「ジヒドロキシ化合物(1)」と称す。)からなり、該ジヒドロキシ化合物(1)の酸価が0.04mgKOH/g以上15.00mgKOH/g以下であることを特徴とするものであり、このポリカーボネートジオールは、本発明のポリカーボネートジオールの製造方法に従って、酸価が0.04mgKOH/g以上15.00mgKOH/g以下であるジヒドロキシ化合物(1)とカーボネート化合物とをエステル交換触媒の存在下でエステル交換反応させて製造される。
HO-R-OH …(1)
(上記式(1)中、Rは炭素原子数が10~12の2価の炭化水素基を示す。)
なお、本発明のポリカーボネートジオールは、後述のように、ヒドロキシ末端ではないものや、ポリカーボネートジオールの製造工程において、エステル交換反応後に残留する原料化合物(ジヒドロキシ化合物(1)やカーボネート化合物)やエステル交換触媒、反応中に副生するフェノール類等の副生成物を不純物として含み得るものであり、この観点から「ポリカーボネートジオール」ではなく「ポリカーボネートジオール組成物」とも呼称し得るものである。
しかしながら、通常、化学反応により得られる化合物は、目的物100%よりなるものとすることは困難であり、若干量の不純物を含む状態で製品とされることは当業者の技術常識である。
よって、本発明では、このように反応後の残留物等の不純物を含むポリカーボネートジオールを「ポリカーボネートジオール組成物」ではなく「ポリカーボネートジオール」と呼称する。
本発明のポリカーボネートジオール中の残留原料化合物等の不純物量は、当該ポリカーボネートジオールをそれぞれの不純物含有量の測定方法に供した場合に測定される値として求められる。
<ジヒドロキシ化合物>
本発明のポリカーボネートジオールの原料となるジヒドロキシ化合物は、下記式(1)で表され、酸価が0.04mgKOH/g以上15.00mgKOH/g以下であるものである。
HO-R-OH …(1)
(上記式(1)中、Rは炭素原子数が10~12の2価の炭化水素基を示す。)
式(1)中のRの炭化水素基は、直鎖であってもよく、分岐を有していてもよく、このようなジヒドロキシ化合物(1)としては、具体的には次のようなものが挙げられる。
1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオールといった直鎖炭化水素の末端ジヒドロキシ化合物類;
2-ヘプチル-1,3-プロパンジオール、2-ペンチル-1,5-ペンタンジオール、2,2-ジブチル-1,3-プロパンジオール、1,10-ウンデカンジオール、2-ヘプチル-1,4-ブタンジオール、2,11-ドデカンジオール、1,10-ドデカンジオール等の分岐鎖を有するジヒドロキシ化合物類;
中でも、式(1)におけるRが無置換のアルキレン基、特に直鎖アルキレン基であると、得られるポリカーボネートジオールを用いて製造されるポリウレタンの耐薬品性、低温特性、耐熱性がいずれも良好となる点において好ましい。従って、ジヒドロキシ化合物(1)としては、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオールが好ましく、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオールがより好ましく、1,10-デカンジオールが最も好ましい。
これらのジヒドロキシ化合物(1)は、アルデヒドやケトン、カルボン酸、カルボン酸誘導体等のカルボニル化合物の還元やアルケニル化合物の水和反応等を含む、単一もしくは複数の反応を経て製造されるが、中でもカルボン酸やカルボン酸誘導体の還元反応を含む、単一もしくは複数の反応を経て製造されるジヒドロキシ化合物であることが、酸価を本発明で規定される範囲に制御し易く、また、酸価を制御する本発明の効果が有効に発揮される点において好ましい。上記カルボン酸誘導体としては、エステル化合物、アミド化合物、酸無水物、酸ハロゲン化物、ニトリル化合物等が挙げられる。
また、ジヒドロキシ化合物(1)は植物由来であることが、環境負荷低減の観点から好ましい。植物由来として適用可能なジヒドロキシ化合物(1)としては、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール等が挙げられる。
本発明のポリカーボネートジオールの原料となるジヒドロキシ化合物(1)の酸価は、上限が15.00mgKOH/gであり、好ましくは10.00mgKOH/g以下、更に好ましくは6.00mgKOH/g以下、特に好ましくは4.00mgKOH/g以下であり、最も好ましくは3.00mgKOH/g以下である。一方、下限は0.04mgKOH/gであり、好ましくは0.06mgKOH/g以上、更に好ましくは0.08mgKOH/g以上である。
ジヒドロキシ化合物(1)の酸価が上記上限超過では、得られたポリカーボネートジオールを用いたウレタンの耐薬品性や耐湿熱性が低下する。一方で、上記下限未満では、得られるポリカーボネートジオールの色調や熱安定性が悪化する。また、ジヒドロキシ化合物(1)の酸価が上記下限未満では、ジヒドロキシ化合物(1)の精製工程のコストが嵩み、経済的にも不利になる。
なお、本発明において、ジヒドロキシ化合物(1)の酸価は、JIS K1557-5(2007)に準拠した測定法により求められる。
ジヒドロキシ化合物(1)の酸価を上記範囲とするには、ジヒドロキシ化合物(1)を得る際の原料となる、例えばカルボン酸やカルボン酸誘導体の還元反応におけるジヒドロキシ化合物(1)への転化率を下げる、もしくは、上記反応によって得られるジヒドロキシ化合物(1)の精製度を低くすればよい。また、本発明のポリカーボネートジオールの製造方法の原料として供する前に、ジヒドロキシ化合物(1)にエステル交換反応を阻害しない酸性化合物を添加して、酸価を上記範囲に調整してもよい。
なお、本発明においては、本発明の目的を損なわない限りにおいて、原料ジヒドロキシ化合物として、ジヒドロキシ化合物(1)以外のジヒドロキシ化合物を用いてもよい。ジヒドロキシ化合物(1)以外のジヒドロキシ化合物を用いる場合、その割合は、全原料ジヒドロキシ化合物中に9モル%以下、さらに5モル%以下、特に2モル%以下、とりわけ1モル%以下であることが好ましい。
<カーボネート化合物>
本発明のポリカーボネートジオールの製造に使用されるカーボネート化合物(以下、「炭酸ジエステル」と称す場合がある。)としては、本発明の効果を失わない限り限定されないが、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、又はアルキレンカーボネートが挙げられる。このうちジアリールカーボネートを使用すると速やかに反応が進行するという利点がある。しかしその一方で、ジアリールカーボネートを原料とすると沸点の高いフェノール類が副生する不具合がある。フェノール類は一官能性化合物であるため、ポリウレタン化の際の重合阻害因子となり得る上、刺激性物質でもあるため、ポリカーボネートジオール中のフェノール類の含有量は、より少ない方が好ましい。
本発明のポリカーボネートジオールの製造に用いることができる炭酸ジエステルのジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、アルキレンカーボネートの具体例は以下の通りである。
ジアルキルカーボネートの例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、エチル-n-ブチルカーボネート、エチルイソブチルカーボネート等が挙げられ、好ましくはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートである。
ジアリールカーボネートの例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、ジm-クレジルカーボネート等が挙げられ、好ましくはジフェニルカーボネートである。
アルキレンカーボネートの例としては、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、1,2-プロピレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート、1,3-ブチレンカーボネート、2,3-ブチレンカーボネート、1,2-ペンチレンカーボネート、1,3-ペンチレンカーボネート、1,4-ペンチレンカーボネート、1,5-ペンチレンカーボネート、2,3-ペンチレンカーボネート、2,4-ペンチレンカーボネート、ネオペンチルカーボネート等が挙げられ、好ましくはエチレンカーボネートである。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でもジアリールカーボネートが反応性に富み、工業的に製造する上で効率的であることから好ましく、中でも工業原料として容易にかつ安価に入手可能なジフェニルカーボネートがより好ましい。
<原料の使用割合>
本発明のポリカーボネートジオールの製造において、カーボネート化合物の使用量は、特に限定されないが、通常原料ジヒドロキシ化合物の1モルに対するモル比率で、下限が好ましくは0.35、より好ましくは0.50、更に好ましくは0.60であり、上限は好ましくは1.00、より好ましくは0.98、更に好ましくは0.97である。カーボネート化合物の使用量が上記上限超過では得られるポリカーボネートジオールの末端基が水酸基でないものの割合が増加したり、分子量が所定の範囲とならない場合があり、上記下限未満では所定の分子量まで重合が進行しない場合がある。
<エステル交換触媒>
エステル交換触媒(以下、単に「触媒」と称す場合がある。)として利用できる金属は、一般にエステル交換能があるとされている金属であれば制限なく用いることができる。
触媒金属の例を挙げると、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の周期表1族金属;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の周期表2族金属;チタン、ジルコニウム等の周期表4族金属;ハフニウム等の周期表5族金属;コバルト等の周期表9族金属;亜鉛等の周期表12族金属;アルミニウム等の周期表13族金属;ゲルマニウム、スズ、鉛等の周期表14族金属;アンチモン、ビスマス等の周期表15族金属;ランタン、セリウム、ユーロピウム、イッテルビウム等のランタノイド系金属等が挙げられる。これらのうち、エステル交換反応速度を高めるという観点から、周期表1族金属、周期表2族金属、周期表4族金属、周期表5族金属、周期表9族金属、周期表12金属、周期表13族金属、周期表14族金属が好ましく、周期表1族金属、周期表2族金属がより好ましく、周期表2族金属がさらに好ましい。周期表1族金属の中でも、リチウム、カリウム、ナトリウムが好ましく、リチウム、ナトリウムがより好ましく、ナトリウムがさらに好ましい。周期表2族金属の中でも、マグネシウム、カルシウム、バリウムが好ましく、カルシウム、マグネシウムがより好ましく、マグネシウムがさらに好ましい。
これらの金属は金属の単体として使用される場合と、水酸化物や塩等の金属化合物として使用される場合がある。塩として使用される場合の塩の例としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物等のハロゲン化物塩;炭酸塩;酢酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩等のカルボン酸塩;メタンスルホン酸やトルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸塩;リン酸塩やリン酸水素塩、リン酸二水素塩等のリン含有の塩;アセチルアセトナート塩;等が挙げられる。触媒金属は、さらにメトキシドやエトキシドの様なアルコキシドとして用いることもできる。
これらのうち、好ましくは、周期表1族金属、周期表2族金属、周期表4族金属、周期表5族金属、周期表9族金属、周期表12金属、周期表13族金属、周期表14族金属の酢酸塩や硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、水酸化物、ハロゲン化物塩、アルコキシドが用いられ、より好ましくは周期表1族金属又は周期表2族金属の酢酸塩や炭酸塩、水酸化物が用いられ、さらに好ましくはマグネシウム、カルシウム等の周期表2族金属化合物、特に好ましくは当該金属の酢酸塩が用いられる。
これらの金属及び金属化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エステル交換触媒の周期表1族金属を用いた化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二リチウム、フェニルリン酸二ナトリウム;ビスフェノールAの二ナトリウム塩、二カリウム塩、二セシウム塩、二リチウム塩;フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩;等が挙げられる。
周期表2族金属を用いた化合物の例としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、フェニルリン酸マグネシウム等が挙げられる。
周期表4族金属、12族金属、14族金属を用いた化合物の例としては、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネート等のチタンアルコキシド;四塩化チタン等のチタンのハロゲン化物;酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛等の亜鉛の塩;塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、酢酸スズ(II)、酢酸スズ(IV)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジメトキシド等のスズ化合物;ジルコニウムアセチルアセトナート、オキシ酢酸ジルコニウム、ジルコニウムテトラブトキシド等のジルコニウム化合物;酢酸鉛(II)、酢酸鉛(IV)、塩化鉛(IV)等の鉛化合物等が挙げられる。
エステル交換触媒の使用量は、得られるポリカーボネートジオール中に残存しても性能に影響しない量であることが好ましく、原料として用いるジヒドロキシ化合物の重量に対する金属の重量比として、上限は500ppmとすることが好ましく、100ppmとすることがより好ましく、50ppmとすることが更に好ましい。一方、下限は十分な重合活性が得られる量として0.01ppmとすることが好ましく、0.1ppmとすることがより好ましく、1ppmとすることが更に好ましい。
<反応条件>
エステル交換反応の際の反応温度は、実用的な反応速度が得られる温度であれば任意に採用することができる。その温度は特に限定されないが、下限は通常70℃、好ましくは100℃、より好ましくは130℃である。また反応温度の上限は、通常250℃、好ましくは200℃、より好ましくは190℃、さらに好ましくは180℃、特に好ましくは170℃である。反応温度が上記下限を下回るとエステル交換反応が実用的な速度では進行しない場合がある。また、上記上限超過では得られるポリカーボネートジオールが着色したり、エーテル構造が生成するなどの品質上の問題が生じる場合がある。
反応は常圧で行なうこともできるが、エステル交換反応は平衡反応であり、生成するモノジヒドロキシ化合物を系外に留去する事で反応を生成系に偏らせる事ができる。従って、通常、反応後半には減圧条件を採用してモノジヒドロキシ化合物を留去しながら反応することが好ましい。あるいは反応の途中から徐々に圧力を下げて生成するモノジヒドロキシ化合物を留去しながら反応させていくことも可能である。
特に反応の終期において減圧度を高めて反応を行うと、副生したフェノール類等のモノジヒドロキシ化合物やジヒドロキシ化合物、炭酸ジエステル等の残存モノマーなどを留去することができるので好ましい。
この際の反応終了時の反応圧力は、特に限定はされないが、通常上限が10kPa、好ましくは5kPa、より好ましくは1kPaである。これら軽沸成分の留出を効果的に行うために、反応系へ窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを少量通じながら該反応を行うこともできる。
エステル交換反応の際に沸点が低い炭酸ジエステルやジヒドロキシ化合物を使用する場合は、反応初期は炭酸ジエステルやジヒドロキシ化合物の沸点近辺で反応を行い、反応が進行するにつれて、徐々に温度を上げて、更に反応を進行させる、という方法も採用可能である。この場合、反応初期に未反応の炭酸ジエステルやジヒドロキシ化合物の留去を防ぐことができるので好ましい。さらにこれら反応初期における原料の留去を防ぐ意味で反応器に還流管をつけて、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物を還流させながら、モノジヒドロキシ化合物を留去させてエステル交換反応を行うことも可能である。この場合、仕込んだ原料モノマーが失われず試剤の量比を正確に合わせることができるので好ましい。
エステル交換反応に必要な時間は、使用するジヒドロキシ化合物、炭酸ジエステル、触媒の種類やその使用量により大きく異なるので一概に規定することは出来ないが、通常所定の分子量に達するのに必要な反応時間は50時間以下、好ましくは20時間以下、さらに好ましくは10時間以下で、通常3時間以上、好ましくは5時間以上である。
<触媒の失活>
エステル交換反応の際に触媒を用いると、通常得られたポリカーボネートジオールには触媒が残存し、金属触媒の残存で、ポリウレタン化反応を行う際に反応の制御が出来なくなる場合がある。この残存触媒の影響を抑制するために、使用された触媒とほぼ等モルの触媒失活剤、例えば酸性あるいは分解して酸性化合物になるリン系、イオウ系等の化合物を添加してもよい。さらには添加後、後述のように加熱処理すると、エステル交換触媒を効率的に不活性化することができる。
エステル交換触媒の不活性化に使用されるリン系化合物としては、例えば、リン酸、亜リン酸等の無機リン酸や、リン酸ジブチル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリフェニル、亜リン酸トリフェニル等の有機リン酸エステル等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
触媒の不活性化のためのリン系化合物等の使用量は、特に限定はされないが、前述したように、使用されたエステル交換触媒とほぼ等モルであればよく、具体的には、使用されたエステル交換触媒1モルに対して上限が好ましくは5モル、より好ましくは2モルであり、下限が好ましくは0.8モル、より好ましくは1.0モルである。これより少ない量のリン系化合物等を使用した場合は、エステル交換触媒の失活が十分でなく、得られたポリカーボネートジオールを例えばポリウレタン製造用原料として使用する時、該ポリカーボネートジオールのイソシアネート基に対する反応性を十分に低下させることができない場合がある。また、この範囲を超えるリン系化合物等を使用すると得られたポリカーボネートジオールが着色してしまう可能性がある。
リン系化合物等を添加することによるエステル交換触媒の不活性化は、室温でも行うことができるが、加温処理するとより効率的である。この加熱処理の温度は、特に限定はされないが、上限が好ましくは150℃、より好ましくは120℃、さらに好ましくは100℃であり、下限は、好ましくは50℃、より好ましくは60℃、さらに好ましくは70℃である。これより低い温度の場合は、エステル交換触媒の失活に時間がかかり効率的でなく、また失活の不十分な場合がある。一方、150℃を超える温度では、得られたポリカーボネートジオールが着色することがある。
リン系化合物等と反応させる時間は特に限定するものではないが、通常1~5時間である。
<精製>
エステル交換反応により得られた反応生成物は、ポリマー末端に水酸基を有さない不純物、フェノール、原料ジヒドロキシ化合物、原料カーボネート化合物、副生する軽沸の環状カーボネート及び添加した触媒等を含むものであることから、これらを除去する目的で精製することができる。
その際の精製は、軽沸化合物については、蒸留で留去する方法が採用できる。蒸留の具体的な方法としては、減圧蒸留、水蒸気蒸留、薄膜蒸留等特にその形態に制限はなく、任意の方法を採用することが可能であるが、中でも薄膜蒸留が効果的である。
薄膜蒸留条件としては特に制限はないが、薄膜蒸留時の温度は、上限が250℃であることが好ましく、200℃であることがより好ましい。また、下限は120℃であることが好ましく、150℃であることがより好ましい。
薄膜蒸留時の温度の下限を前記の値とすることにより、軽沸成分の除去効果が十分となる。また、上限を250℃とすることにより、薄膜蒸留後に得られるポリカーボネートジオールが着色するのを防ぐことができる。
薄膜蒸留時の圧力は、上限が500Paであることが好ましく、150Paであることがより好ましく、50Paであることが更に好ましい。薄膜蒸留時の圧力を上記上限値以下とすることにより、軽沸成分の除去効果が十分に得られる。
また、薄膜蒸留直前のポリカーボネートジオールの保温の温度は、上限が250℃であることが好ましく、150℃であることがより好ましい。また、下限が80℃であることが好ましく、120℃であることがより好ましい。
薄膜蒸留直前のポリカーボネートジオールの保温の温度を上記下限以上とすることにより、薄膜蒸留直前のポリカーボネートジオールの流動性が低下するのを防ぐことができる。一方、上記上限以下とすることにより、薄膜蒸留後に得られるポリカーボネートジオールが着色するのを防ぐことができる。
また、水溶性の不純物を除くために、ポリカーボネートジオールを水、アルカリ性水、酸性水、キレート剤溶解溶液等で洗浄してもよい。その場合、水に溶解させる化合物は任意に選択できる。
[ポリカーボネートジオールの物性]
<分子量・分子量分布>
本発明のポリカーボネートジオールの数平均分子量(Mn)の下限は通常250であり、好ましくは500、さらに好ましくは700、特に好ましくは1,000である。一方、上限は通常5,000であり、好ましくは4,000、さらに好ましくは3,000である。
ポリカーボネートジオールの数平均分子量が上記下限未満では、ポリウレタンとした際に充分な硬度が得られない。一方上記上限超過では粘度が上がり、ポリウレタン化の際のハンドリングに支障がでてくる。
本発明のポリカーボネートジオールの分子量分布(Mw/Mn)は特に限定されないが、下限は通常1.5であり、好ましくは1.7、さらに好ましくは1.9である。上限は通常3.5であり、好ましくは3.0である。
分子量分布が上記上限を超える場合、このポリカーボネートジオールを用いて製造したポリウレタンの物性が、低温で硬くなる、伸びが悪くなる等、悪化する傾向があり、分子量分布が上記下限未満のポリカーボネートジオールを製造しようとすると、オリゴマーを除く等の高度な精製操作が必要になる場合がある。
ここでMwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量であり、通常ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定で求めることができる。Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定が困難な場合には、以下の通り、ポリオールのOH価による算出も可能である。また、H-NMRにて測定することも可能である。
<OH価によるポリオールの数平均分子量の算出>
JIS K1557-1(2007)に記載のアセチル化法により算出する。
<末端アルキルオキシ基又はアリールオキシ基の割合・水酸基価>
本発明のポリカーボネートジオールは基本的にポリマーの末端構造は水酸基、即ちヒドロキシ末端である。しかしながら、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの反応で得られる反応生成物中には、不純物として一部ポリマー末端が水酸基ではない構造のものが存在する場合がある。その構造の具体例としては、分子鎖末端がアルキルオキシ基又はアリールオキシ基のものであり、多くは炭酸ジエステル由来の構造である。水酸基(ヒドロキシ末端)、アルキルオキシ基、アリールオキシ基の割合は、通常H-NMRにより算出する。
例えば、炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボネートを使用した場合はアリールオキシ基としてフェノキシ基(PhO-)、ジメチルカーボネートを使用した場合はアルキルオキシ基としてメトキシ基(MeO-)、ジエチルカーボネートを使用した場合はエトキシ基(EtO-)、エチレンカーボネートを使用した場合はヒドロキシエトキシ基(HOCHCHO-)が末端基として残存する場合がある(ここで、Phはフェニル基を表し、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。)。
本発明において、ポリカーボネートジオール中に含まれる分子鎖末端のうちアルキルオキシ基ないしアリールオキシ基等ではなくヒドロキシ末端となっている構造の割合は、通常、その末端基の数として全末端数の95モル%以上、好ましくは98.5モル%以上、より好ましくは99モル%以上である。この分子鎖の末端がヒドロキシ末端である数の割合の上限は特に制限はなく、通常は99.9モル%、好ましくは99.999モル%、最も好ましくは100モル%である。ヒドロキシ末端の割合が大きいとポリウレタン化反応を行なう際に重合度が十分に上がり、円滑に反応を進行させることができる。
本発明のポリカーボネートジオールは、上述のように分子鎖の末端がアルキルオキシ基又はアリールオキシ基である数の割合が通常5モル%以下で、分子鎖の両末端基は基本的には水酸基(ヒドロキシ末端)であり、ポリウレタン化反応の際はこの水酸基がイソシアネートと反応できる構造となっている。
本発明のポリカーボネートジオールの水酸基価の下限は通常20mgKOH/g、好ましくは25mgKOH/g、より好ましくは35mgKOH/gである。また、上限は通常250mgKOH/g、好ましくは200mgKOH/g、より好ましくは100mgKOH/gである。水酸基価が前記下限未満では、粘度が高くなりすぎポリウレタン化の際のハンドリングが困難となる場合があり、前記上限超過ではポリウレタンとした時に強度や硬度が不足する場合がある。
水酸基価は、通常知られる方法により測定すればよいが、例えばJIS K1557-1(2007)に記載のアセチル化法により測定、算出することができる。
<溶媒溶解性>
本発明のポリカーボネートジオールは、室温付近で通常ワックス状の固体という性状を呈しているが、加温することにより粘度を低下させることができ、ハンドリングしやすくなる。また、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系の溶媒、γ-ブチロラクトン等のエステル系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒に溶解させることも可能で、移送や反応が行いやすくなる場合もある。
<ハーゼン色数値>
本発明のポリカーボネートジオールの色は、得られるポリウレタンの色目に影響を与えない範囲が好ましく、着色の程度をハーゼン色数(JIS K0071-1(1998)に準拠)で表した場合の値(以下「ハーゼン色数値」と表記する。)は特に限定されないが、50以下が好ましく、より好ましくは40以下、さらに好ましくは30以下、中でも20以下が好適である。
<残存触媒量>
本発明のポリカーボネートジオール中に、本発明のポリカーボネートジオールの製造に用いたエステル交換触媒が残存することがあるが、過度に多くの触媒が残存するとポリウレタン化反応の際に反応の制御が困難となり、ポリウレタン化反応を想定以上に促進してゲル化してしまい、均一なポリウレタンが得られない場合があるため、エステル交換触媒は残存しない方が好ましい。
ポリカーボネートジオール中に残存する触媒量の上限は、特に限定されないが、このポリカーボネートジオールから均質なポリウレタンを得る観点から、触媒金属換算の含有量として通常100重量ppmであり、好ましくは50重量ppm、より好ましくは30重量ppmであり、特に好ましくは10重量ppmである。残存する金属の種類としては、前述のエステル交換能を有する触媒活性成分の金属が挙げられる。
また、本発明のポリカーボネートジオール中に残存する触媒量の下限は、特に限定されないが、触媒金属換算の含有量として通常0.01重量ppm、好ましくは0.1重量ppm、より好ましくは1重量ppmであり、特に好ましくは5重量ppmである。通常、ポリカーボネートジオールを製造する際に使用した触媒を、製造後に除去することが難しく、残存する触媒量を後述する使用量の下限値未満にすることが困難な場合が多い。
ポリカーボネートジオール中の触媒残存量は誘導結合プラズマ(ICP)発光分析により測定することができる。
また、ポリカーボネートジオール中の触媒残存量は、製造時に用いる触媒の使用量や、生成物の濾過等による触媒単離や水等の溶媒を用いた触媒抽出等によって調整することができる。
<不純物含有量>
(フェノール類)
フェノール類は一官能性化合物であり、ポリウレタン化の際の重合阻害因子となり得る上、刺激性物質でもあるため、本発明のポリカーボネートジオール中のフェノール類の残留量は、より少ない方が好ましい。具体的にはポリカーボネートジオールに対する重量比として通常1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下、中でも100ppm以下であることが好ましい。ポリカーボネートジオール中のフェノール類を低減するためには、前述のようにポリカーボネートジオールの重合反応時に絶対圧力として1kPa以下の高真空にしたり、ポリカーボネートジオールの合成後に薄膜蒸留を行ったりすることが有効である。
(炭酸ジエステル)
本発明のポリカーボネートジオール中には、製造時の原料として使用した炭酸ジエステルが残存することがある。本発明のポリカーボネートジオール中の炭酸ジエステルの残存量は限定されるものではないが、少ない方が好ましく、通常上限が5重量%、好ましくは3重量%、さらに好ましくは1重量%である。ポリカーボネートジオールの炭酸ジエステル含有量が多すぎるとポリウレタン化の際の反応を阻害する場合がある。一方、その下限は特に制限はなく0.1重量%、好ましくは0.01重量%、さらに好ましくは0重量%である。
(ジヒドロキシ化合物)
本発明のポリカーボネートジオールには、製造時に使用したジヒドロキシ化合物(1)が残存する場合がある。本発明のポリカーボネートジオール中のジヒドロキシ化合物(1)の残存量は、限定されるものではないが、少ないほうが好ましく、通常5重量%未満であり、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、さらに好ましくは0.05重量%未満である。ポリカーボネートジオール中のジヒドロキシ化合物(1)の残存量が多いと、ポリウレタンとした際のソフトセグメント部位の分子長が不足し、所望の物性が得られない場合がある。
ポリカーボネートジオール中のジヒドロキシ化合物(1)の残存量は、H-NMR測定やガスクロマトグラフィー(GC)および液体クロマトグラフィー(LC)により求めることができる。
[ポリウレタン]
本発明のポリカーボネートジオールを用いてポリウレタンやポリウレタン水分散体を製造することができる。製造されたポリウレタンは、本発明の別の形態である。
本発明のポリカーボネートジオールを用いてポリウレタンを製造する方法は、通常ポリウレタンを製造する公知のポリウレタン化反応条件が用いられる。
例えば、ポリカーボネートジオールとポリイソシアネート及び鎖延長剤を常温から200℃の範囲で反応させることにより、ポリウレタンを製造することができる。
また、ポリカーボネートジオールと過剰のポリイソシアネートとをまず反応させて、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを製造し、さらに鎖延長剤を用いて重合度を挙げて、ポリウレタンを製造することができる。
<ポリイソシアネート>
ポリカーボネートジオールを用いてポリウレタンを製造する際に使用されるポリイソシアネートとしては、脂肪族、脂環族又は芳香族の各種公知のポリイソシアネート化合物が挙げられる。
例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、及びダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1-メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1-メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及び1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンなどの脂環族ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、及びm-テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、得られるポリウレタンの物性のバランスが好ましい点、工業的に安価に多量に入手が可能な点で、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートが好ましい。
<鎖延長剤>
ポリウレタンを製造する際に用いられる鎖延長剤は、後述するイソシアネート基を有するプレポリマーを製造する場合において、イソシアネート基と反応する活性水素を少なくとも2個有する低分子量化合物であり、通常、ポリオール及びポリアミン等を挙げることができる。
その具体例としては、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール等の直鎖ジオール類;2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,4-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、2,4-ヘプタンジオール、1,4-ジメチロールヘキサン、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、ダイマージオール等の分岐鎖を有するジオール類;ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のエーテル基を有するジオール類;1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-ジヒドロキシエチルシクロヘキサン等の脂環構造を有するジオール類、キシリレングリコール、1,4-ジヒドロキシエチルベンゼン、4,4’-メチレンビス(ヒドロキシエチルベンゼン)等の芳香族基を有するジオール類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオール類;N-メチルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン等のヒドロキシアミン類;エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、4,4’-ジフェニルメタンジアミン、メチレンビス(o-クロロアニリン)、キシリレンジアミン、ジフェニルジアミン、トリレンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン、N,N’-ジアミノピペラジン等のポリアミン類;及び水等を挙げることができる。
これらの鎖延長剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、得られるポリウレタンの物性のバランスが好ましい点、工業的に安価に多量に入手が可能な点で、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-ジヒドロキシエチルシクロヘキサン、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、イソホロンジアミン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンが好ましい。
また、後述する水酸基を有するプレポリマーを製造する場合の鎖延長剤とは、イソシアネート基を少なくとも2個有する低分子量化合物であり、具体的には<ポリイソシアネート>で記載したような化合物が挙げられる。
<鎖停止剤>
ポリウレタンを製造する際には、得られるポリウレタンの分子量を制御する目的で、必要に応じて1個の活性水素基を持つ鎖停止剤を使用することができる。
これらの鎖停止剤としては、一個の水酸基を有するメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール等の脂肪族モノオール類、一個のアミノ基を有するジエチルアミン、ジブチルアミン、n-ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モルフォリン等の脂肪族モノアミン類が例示される。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<触媒>
ポリウレタンを製造する際のポリウレタン形成反応において、トリエチルアミン、N-エチルモルホリン、トリエチレンジアミンなどのアミン系触媒又は酢酸、リン酸、硫酸、塩酸、スルホン酸等の酸系触媒、トリメチルチンラウレート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジオクチルチンジネオデカネートなどのスズ系の化合物、さらにはチタン系化合物などの有機金属塩などに代表される公知のウレタン重合触媒を用いる事もできる。ウレタン重合触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<本発明のポリカーボネートジオール以外のポリオール>
ポリウレタンを製造する際のポリウレタン形成反応においては、本発明のポリカーボネートジオールと、必要に応じて本発明のポリカーボネートジオール以外のポリオール(以下、「その他のポリオール」とも称する。)を併用してもよい。
ここで、その他のポリオールとは、通常のポリウレタン製造の際に用いるものであれば特に限定されず、例えばポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、本発明のポリカーボネートジオール以外のポリカーボネートジオールが挙げられる。例えば、ポリエーテルポリオールとの併用では、本発明のポリカーボネートジオールの特徴である柔軟性を更に向上させたポリウレタンとすることができる。
その他のポリオールを併用する場合、本発明のポリカーボネートジオールとその他のポリオールとを合わせた重量に対する、本発明のポリカーボネートジオールの重量割合は70%以上が好ましく、90%以上が更に好ましい。本発明のポリカーボネートジオールの重量割合が少ないと、本発明の特徴であるポリウレタンの柔軟性や耐湿熱性が失われる可能性がある。
ポリウレタンの製造の際にその他ポリオールを併用する場合、本発明のポリカーボネートジオール、その他のポリオール、その他の原料が十分に相溶する必要がある。相溶性が十分でない場合は、ウレタン化反応が不均一に進行し、得られるポリウレタンの分子量分布が広がったり、分子量が低下するために、ポリウレタン溶液がゲル化したり、保存安定性が悪化したり、ポリウレタンの強度や耐溶剤性や耐候性や耐熱性が低下する可能性がある。
<溶剤>
ポリウレタンを製造する際のポリウレタン形成反応は溶剤を用いてもよい。
好ましい溶剤としては、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド,N-メチルピロリドンなどのアミド系溶剤;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶剤、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;及びトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上の混合溶媒として用いてもよい。
これらの中で好ましい有機溶剤は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン及びジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、酢酸エチル、及びトルエン等である。
また、本発明のポリカーボネートジオール、ポリジイソシアネート、及び前記の鎖延長剤が配合されたポリウレタン組成物から、水分散液のポリウレタンを製造することもできる。
<ポリウレタン製造方法>
上述の反応試剤を用いてポリウレタンを製造する方法としては、一般的に実験ないし工業的に用いられる製造方法が使用できる。
その例としては、本発明のポリカーボネートジオール、必要に応じて用いられるその他のポリオール、ポリイソシアネート及び鎖延長剤を一括に混合して反応させる方法(以下、「一段法」と称する場合がある)や、まず本発明のポリカーボネートジオール、その他のポリオール及びポリイソシアネートを反応させて両末端がイソシアネート基のプレポリマーを調製した後に、そのプレポリマーと鎖延長剤を反応させる方法(以下、「二段法」と称する場合がある)等がある。
二段法は、本発明のポリカーボネートジオールと必要に応じて用いられるその他のポリオールとを、予め1当量以上のポリイソシアネートと反応させることにより、ポリウレタンのソフトセグメントに相当する部分の両末端イソシアネート中間体を調製する工程を経るものである。このように、プレポリマーを一旦調製した後に鎖延長剤と反応させると、ソフトセグメント部分の分子量の調整が行いやすい場合があり、ソフトセグメントとハードセグメントとの相分離を確実に行う必要がある場合には有用である。
<一段法>
一段法とは、ワンショット法とも呼ばれ、本発明のポリカーボネートジオール、その他のポリオール、ポリイソシアネート及び鎖延長剤を一括に仕込むことで反応を行う方法である。
一段法におけるポリイソシアネートの使用量は、特に限定はされないが、本発明のポリカーボネートジオールとその他のポリオールとの総水酸基数と、鎖延長剤の水酸基数とアミノ基数との総計を1当量とした場合、下限は、好ましくは0.7当量、より好ましくは0.8当量、更に好ましくは0.9当量、特に好ましくは0.95当量であり、上限は、好ましくは3.0当量、より好ましくは2.0当量、更に好ましくは1.5当量、特に好ましくは1.1当量である。
ポリイソシアネートの使用量が多すぎると、未反応のイソシアネート基が副反応を起こし、得られるポリウレタンの粘度が高くなりすぎて取り扱いが困難となったり、柔軟性が損なわれたりする傾向があり、少なすぎると、ポリウレタンの分子量が十分に大きくならず、十分なポリウレタン強度が得られなくなる傾向がある。
また、鎖延長剤の使用量は、特に限定されないが、本発明のポリカーボネートジオールとその他のポリオールとの総水酸基数から、ポリイソシアネートのイソシアネート基数を引いた数を1当量とした場合、下限は、好ましくは0.7当量、より好ましくは0.8当量、更に好ましくは0.9当量、特に好ましくは0.95当量であり、上限は好ましくは3.0当量、より好ましくは2.0当量、更に好ましくは1.5当量、特に好ましくは1.1当量である。鎖延長剤の使用量が多すぎると、得られるポリウレタンが溶媒に溶けにくく加工が困難になる傾向があり、少なすぎると、得られるポリウレタンが軟らかすぎて十分な強度や硬度、弾性回復性能や弾性保持性能が得られない場合や、耐熱性が悪くなる場合がある。
<二段法>
二段法は、プレポリマー法ともよばれ、主に以下の方法がある。
(a)予め本発明のポリカーボネートジオール及びその他のポリオールと、過剰のポリイソシアネートとを、ポリイソシアネート/(本発明のポリカーボネートジオール及びその他のポリオール)の反応当量比が1を超える量から10.0以下で反応させて、分子鎖末端がイソシアネート基であるプレポリマーを製造し、次いでこれに鎖延長剤を加えることによりポリウレタンを製造する方法。
(b)予めポリイソシアネートと、過剰の本発明のポリカーボネートジオール及びその他のポリオールとを、ポリイソシアネート/(本発明のポリカーボネートジオール及びその他のポリオール)の反応当量比が0.1以上から1.0未満で反応させて分子鎖末端が水酸基であるプレポリマーを製造し、次いでこれに鎖延長剤として末端がイソシアネート基のポリイソシアネートを反応させてポリウレタンを製造する方法。
二段法は無溶媒でも溶媒共存下でも実施することができる。
二段法によるポリウレタン製造は以下に記載の(1)~(3)のいずれかの方法によって行うことができる。
(1) 溶媒を使用せず、まず直接ポリイソシアネートと本発明のポリカーボネートジオール及びその他のポリオールとを反応させてプレポリマーを合成し、そのまま鎖延長反応に使用する。
(2)(1)の方法でプレポリマーを合成し、その後溶媒に溶解し、以降の鎖延長反応に使用する。
(3) 初めから溶媒を使用し、ポリイソシアネートと本発明のポリカーボネートジオール及びその他のポリオールとを反応させ、その後鎖延長反応を行う。
(1)の方法の場合には、鎖延長反応にあたり、鎖延長剤を溶媒に溶かしたり、溶媒に同時にプレポリマー及び鎖延長剤を溶解したりするなどの方法により、ポリウレタンを溶媒と共存する形で得ることが重要である。
二段法(a)の方法におけるポリイソシアネートの使用量は、特に限定はされないが、本発明のポリカーボネートジオールとその他のポリオールとの総水酸基の数を1当量とした場合のイソシアネート基の数として、下限が好ましくは1.0当量を超える量、より好ましくは1.2当量、更に好ましくは1.5当量であり、上限が好ましくは10.0当量、より好ましくは5.0当量、更に好ましくは3.0当量の範囲である。
このイソシアネート使用量が多すぎると、過剰のイソシアネート基が副反応を起こして所望のポリウレタンの物性まで到達しにくい、例えば、粘度が高くなりすぎて得られるポリウレタンの柔軟性が低下したり、取扱いが悪く生産性が劣ったりする傾向があり、少なすぎると、得られるポリウレタンの分子量が十分に上がらず強度や熱安定性が低くなる場合がある。
鎖延長剤の使用量については特に限定されないが、プレポリマーに含まれるイソシアネート基の数1当量に対して、下限が好ましくは0.1当量、より好ましくは0.5当量、更に好ましくは0.8当量であり、上限が好ましくは5.0当量、より好ましくは3.0当量、更に好ましくは2.0当量の範囲である。
上記鎖延長化反応を行う際に、分子量を調整する目的で、一官能性の有機アミン類やアルコール類を共存させてもよい。
また、二段法(b)の方法における末端が水酸基であるプレポリマーを作成する際のポリイソシアネートの使用量は、特に限定はされないが、本発明のポリカーボネートジオールとその他のポリオールとの総水酸基の数を1当量とした場合のイソシアネート基の数として、下限が好ましくは0.1当量、より好ましくは0.5当量、更に好ましくは0.7当量であり、上限が好ましくは0.99当量、より好ましくは0.98当量、更に好ましくは0.97当量である。
このイソシアネート使用量が少なすぎると、続く鎖延長反応で所望の分子量を得るまでの工程が長くなり生産効率が落ちる傾向にあり、多すぎると、粘度が高くなりすぎて得られるポリウレタンの柔軟性が低下したり、取扱い性が悪く生産性が劣ったりする場合がある。
鎖延長剤の使用量については特に限定されないが、プレポリマーに使用した本発明のポリカーボネートジオールとその他のポリオールとの総水酸基の数を1当量とした場合、プレポリマーに使用したイソシアネート基の当量を加えた総当量として、下限が好ましくは0.7当量、より好ましくは0.8当量、更に好ましくは0.9当量であり、上限が好ましくは1.0当量未満、より好ましくは0.99当量、更に好ましくは0.98当量の範囲である。
上記鎖延長化反応を行う際に、分子量を調整する目的で、一官能性の有機アミン類やアルコール類を共存させてもよい。
鎖延長反応は通常、0℃~250℃で反応させるが、この温度は溶剤の量、使用原料の反応性、反応設備等により異なり、特に制限はない。温度が低すぎると反応の進行が遅くなったり、原料や重合物の溶解性が低い為に製造時間が長くなることがあり、また高すぎると副反応や得られるポリウレタンの分解が起こることがある。鎖延長反応は、減圧下で脱泡しながら行ってもよい。
また、鎖延長反応には必要に応じて、触媒や安定剤等を添加することもできる。
触媒としては、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸第一錫、酢酸、燐酸、硫酸、塩酸、スルホン酸等の化合物が挙げられ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
安定剤としては、例えば2,6-ジブチル-4-メチルフェノール、ジステアリルチオジプロピオネート、N,N′-ジ-2-ナフチル-1,4-フェニレンジアミン、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト等の化合物が挙げられ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。尚、鎖延長剤が短鎖脂肪族アミン等の反応性の高いものの場合は、触媒を添加せずに実施してもよい。
<水系ポリウレタン分散体>
本発明のポリカーボネートジオールを用いて、水系ポリウレタン分散体を製造する事も可能であり、従来のポリカーボネートジオールと比較して、より分散性の高い水系ポリウレタン分散体を作ることができる。加えて、その水系ポリウレタン分散体は保管中に凝集することが少ないために保存安定性に優れる。
その場合、本発明のポリカーボネートジオールを含むポリオールと過剰のポリイソシアネートを反応させてプレポリマーを製造する際に、少なくとも1個の親水性官能基と少なくとも2個のイソシアネート反応性の基を有する化合物とを混合してプレポリマーを形成し、親水性官能基の中和塩化工程、水添加による乳化工程、鎖延長反応工程を経て水系ポリウレタン分散体とする。プレポリマー形成と鎖延長反応工程に使用する原料、添加剤、触媒、溶媒などは前述ポリウレタン製造と同等のものを使用することができる。
ここで使用する少なくとも1個の親水性官能基と少なくとも2個のイソシアネート反応性の基を有する化合物との親水性官能基とは、例えばカルボキシル基やスルホン酸基であって、アルカリ性基で中和可能な基である。また、イソシアネート反応性基とは、水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基等の一般的にイソシアネートと反応してウレタン結合、ウレア結合を形成する基であり、これらが同一分子内に混在していてもかまわない。
少なくとも1個の親水性官能基と少なくとも2個のイソシアネート反応性の基とを有する化合物としては、具体的には、2,2’-ジメチロールプロピオン酸、2,2-メチロール酪酸、2,2’-ジメチロール吉草酸等が挙げられる。また、ジアミノカルボン酸類、例えば、リジン、シスチン、3,5-ジアミノカルボン酸等も挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらを実際に用いる場合には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン等のアミンや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等のアルカリ性化合物で中和して用いることができる。
水系ポリウレタン分散体を製造する場合、少なくとも1個の親水性官能基と少なくとも2個のイソシアネート反応性の基とを有する化合物の使用量は、水に対する分散性能を上げるために、その下限は、本発明のポリカーボネートジオールとその他のポリオールとの総重量に対して、好ましくは1重量%、より好ましくは5重量%、更に好ましくは10重量%である。一方、これを多く添加しすぎると本発明のポリカーボネートジオールの特性が維持されなくなってしまうことがあるために、その上限は好ましくは50重量%、より好ましくは40重量%、更に好ましくは30重量%である。
水系ポリウレタン分散体を製造する場合、プレポリマー工程においてメチルエチルケトンやアセトン、あるいはNーメチル-2-ピロリドン等の溶媒の共存下に反応させてもよいし、無溶媒で反応させてもよい。また、溶媒を使用する場合は、水性分散体を製造した後に蒸留によって溶媒を留去させるのが好ましい。
本発明のポリカーボネートジオールを原料として、無溶媒で水系ポリウレタン分散体を製造する際には、本発明のポリカーボネートジオールの水酸基価から求めた数平均分子量の上限は好ましくは5,000、より好ましくは4,000、更に好ましくは3,000、特に好ましくは2,000である。また、数平均分子量の下限は好ましくは300、より好ましくは500、更に好ましくは800である。水酸基価から求めた数平均分子量が上記上限を超える、又は上記下限より小さくなると、分散体化が困難となる場合がある。
また水系ポリウレタン分散体を製造する際に、本発明のポリカーボネートジオールと、必要に応じてその他のポリオールを併用してもよい。
ここで、その他のポリオールとは、通常のポリウレタン製造の際に用いるものであれば特に限定されず、例えばポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、本発明のポリカーボネートジオール以外のポリカーボネートジオールが挙げられる。例えば、ポリエーテルポリオールとの併用では、本発明のポリカーボネートジオールの特徴である柔軟性を更に向上させたポリウレタンとすることができる。
その他のポリオールを併用する場合、本発明のポリカーボネートジオールと、その他のポリオールとを合わせた重量に対する、本発明のポリカーボネートジオールの重量割合は70%以上が好ましく、90%以上が更に好ましい。本発明のポリカーボネートジオールの重量割合が少ないと、本発明の特徴であるポリウレタンの特性やハンドリング性が失われる可能性がある。
水系ポリウレタン分散体の製造の際にその他のポリオールを併用する場合、本発明のポリカーボネートジオール、必要に応じて用いられるその他のポリオール、その他の原料が水系の溶媒に対して、十分に分散又は溶解する必要がある。分散性が十分でない場合は、ウレタン化反応が不均一に進行し、得られる水系ポリウレタン分散体の分子量分布が広がったり、分子量が低下するために、水系ポリウレタン分散体が凝集したり、保存安定性が悪くなったりする。また水系ポリウレタン分散体から得られるポリウレタンの強度や耐溶剤性や耐候性や耐熱性などが悪化する可能性がある。
また、水系ポリウレタン分散体の合成、あるいは保存にあたり、高級脂肪酸、樹脂酸、酸性脂肪アルコール、硫酸エステル、スルホン酸高級アルキル、スルホン酸アルキルアリール、スルホン化ひまし油、スルホコハク酸エステルなどに代表されるアニオン性界面活性剤、第一級アミン塩、第二級アミン塩、第三級アミン塩、第四級アミン塩、ピリジニウム塩等のカチオン系界面活性剤、あるいはエチレンオキサイドと長鎖脂肪アルコール又はフェノール類との公知の反応生成物に代表される非イオン性界面活性剤等を併用して、乳化安定性を保持してもよい。
また、水系ポリウレタン分散体とする際に、プレポリマーの有機溶媒溶液に、必要に応じて中和塩化工程なしに、乳化剤の存在下、水を機械的に高せん断で混合して、水系ポリウレタン分散体を製造することもできる。
このようにして製造された水系ポリウレタン分散体は、様々な用途に使用する事が可能である。特に、最近は環境負荷の小さな化学品原料が求められており、有機溶剤を使用しない目的としての従来品からの代替が可能である。
水系ポリウレタン分散体の具体的な用途としては、例えば、コーティング剤、水系塗料、接着剤、合成皮革、人工皮革への利用が好適である。特に本発明のポリカーボネートジオールを用いて製造される水系ポリウレタン分散体は、柔軟性、耐湿熱性等に優れるため、コーティング剤等として従来のポリカーボネートジオールを使用した水系ポリウレタン分散体に比べて有効に利用する事が可能である。
<ポリウレタン溶液、水系ポリウレタン分散体の保存安定性>
有機溶剤及び/又は水を使用し、本発明のポリカーボネートジオールを用いて製造したポリウレタン溶液及び水系ポリウレタン分散体の保存安定性は、該溶液もしくは該分散体中のポリウレタンの濃度(以下、「固形分濃度」と称する場合がある)を1~80重量%に調整し、特定の温度条件で保管した上で、該溶液もしくは該分散体の変化の有無を目視などで測ることができる。
例えば、前述の二段法により、本発明のポリカーボネートジオール、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びイソホロンジアミンを用いて製造されるポリウレタン溶液(N,N-ジメチルホルムアミド/トルエン混合液、固形分濃度 30重量%)の場合、-10℃で保管した際に目視でポリウレタン溶液に変化が見られない期間が好ましくは8時間、より好ましくは1日以上、さらに好ましくは3日以上、さらには7日以上である。また0℃で保管した際に、目視でポリウレタン溶液及びポリウレタン分散体に変化が見られない期間が好ましくは1か月、より好ましくは3か月以上、さらに好ましくは6か月以上である。
また、例えば本発明のポリカーボネートジオール、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、エチレンジアミンを用いて製造される水系ポリウレタン分散体(N-メチル-2-ピロリドン/水混合液に分散、固形分濃度:30重量%)に関しては、20℃で保管した際に、目視でポリウレタン水分散体に変化が見られない期間が好ましくは1日間、さらには3日間、より好ましくは7日間以上、さらに好ましくは14日間、特に好ましくは1か月以上である。
<添加剤>
本発明のポリカーボネートジオールを用いて製造した本発明のポリウレタンには、熱安定剤、光安定剤、着色剤、充填剤、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘着防止剤、難燃剤、老化防止剤、無機フィラー等の各種の添加剤を、ポリウレタンの特性を損なわない範囲で、添加、混合することができる。
熱安定剤として使用可能な化合物としては、燐酸、亜燐酸の脂肪族、芳香族又はアルキル基置換芳香族エステルや次亜燐酸誘導体、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスホン酸、ポリホスホネート、ジアルキルぺンタエリスリトールジホスファイト、ジアルキルビスフェノールAジホスファイト等のリン化合物;フェノール系誘導体、特にヒンダードフェノール化合物;チオエーテル系、ジチオ酸塩系、メルカプトベンズイミダゾール系、チオカルバニリド系、チオジプロピオン酸エステル系等のイオウを含む化合物;スズマレート、ジブチルスズモノオキシド等のスズ系化合物等を使用することができる。
ヒンダードフェノール化合物の具体例としては、「Irganox1010」(商品名:BASFジャパン株式会社製)、「Irganox1520」(商品名:BASFジャパン株式会社製)、「Irganox245」(商品名:BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
リン化合物としては、「PEP-36」、「PEP-24G」、「HP-10」(いずれも商品名:株式会社ADEKA社製)、「Irgafos 168」(商品名:BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
イオウを含む化合物の具体例としては、ジラウリルチオプロピオネート(DLTP)、ジステアリルチオプロピオネート(DSTP)などのチオエーテル化合物が挙げられる。
光安定剤の例としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系化合物等が挙げられ、具体的には「TINUVIN622LD」、「TINUVIN765」(以上、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製)、「SANOL LS-2626」、「SANOL LS-765」(以上、三共株式会社製)等が使用可能である。
紫外線吸収剤の例としては、「TINUVIN328」、「TINUVIN234」(以上、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製)等が挙げられる。
着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、金属錯塩染料などの染料;カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、マイカなどの無機顔料;及びカップリングアゾ系、縮合アゾ系、アンスラキノン系、チオインジゴ系、ジオキサゾン系、フタロシアニン系等の有機顔料等が挙げられる。
無機フィラーの例としては、ガラス短繊維、カーボンファイバー、アルミナ、タルク、グラファイト、メラミン、白土等が挙げられる。
難燃剤の例としては、燐及びハロゲン含有有機化合物、臭素あるいは塩素含有有機化合物、ポリ燐酸アンモニウム、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン等の添加及び反応型難燃剤が挙げられる。
これらの添加剤は、単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で組み合わせて用いてもよい。
これらの添加剤の添加量は、ポリウレタンに対する重量比として、下限が、好ましくは0.01重量%、より好ましくは0.05重量%、更に好ましくは0.1重量%、上限は、好ましくは10重量%、より好ましくは5重量%、更に好ましくは1重量%である。添加剤の添加量が少な過ぎるとその添加効果を十分に得ることができず、多過ぎるとポリウレタン中で析出したり、濁りを発生したりする場合がある。
<ポリウレタンフィルム・ポリウレタン板>
本発明のポリウレタンを使用してフィルムを製造する場合、そのフィルムの厚さは、下限が好ましくは10μm、より好ましくは20μm、更に好ましくは30μm、上限は好ましくは1000μm、より好ましくは500μm、更に好ましくは100μmである。
フィルムの厚さが厚すぎると、十分な透湿性が得られない傾向があり、また、薄過ぎるとピンホールを生じたり、フィルムがブロッキングしやすく取り扱いにくくなる傾向がある。
<分子量>
本発明のポリウレタンの分子量は、その用途に応じて適宜調整され、特に制限はないが、GPCにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)として5万~50万であることが好ましく、10万~30万であることがより好ましい。Mwが上記下限よりも小さいと十分な強度や硬度が得られない場合があり、上記上限よりも大きいと加工性などハンドリング性を損なう傾向がある。
本発明のポリウレタンの分子量分布(Mw/Mn)は特に限定されないが、下限は通常1.5であり、好ましくは1.7、さらに好ましくは1.8である。上限は通常3.5であり、好ましくは3.0である。
分子量分布が上記上限を超える場合、成形性、ハンドリング性が低下する傾向があり、分子量分布が上記下限未満のポリウレタンを製造しようとすると、高度な精製操作が必要になる場合がある。
なお、ジヒドロキシ化合物(1)を用いて製造された本発明のポリカーボネートジオールを用いることにより、分子量分布の小さいポリウレタンを製造することができるという効果も奏される。
ポリウレタンの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、通常ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定値から標準ポリスチレン換算で求められる。
<室温引張試験における引張破断伸度・強度>
本発明のポリウレタンは、幅10mm、長さ70mm、厚み約50~100μmの短冊状のサンプルに対して、チャック間距離50mm、引張速度500mm/分にて、温度23℃、相対湿度55%で測定した引張破断伸度及び破断強度が以下の範囲であることが好ましい。
破断伸度の下限は好ましくは200%、より好ましくは300%、更に好ましくは350%であり、上限は好ましくは1000%、より好ましくは800%、更に好ましくは600%である。破断伸度が上記下限未満では加工性などハンドリング性を損なう傾向があり、上記上限を超えると十分な耐溶剤性が得られない場合がある。
また、破断強度の下限は好ましくは30MPa、より好ましくは40MPa、更に好ましくは50MPaであり、上限は好ましくは200MPa、より好ましくは100MPa、更に好ましくは80MPaである。破断強度が上記下限未満では加工性などハンドリング性を損なう傾向があり、上記上限を超えると柔軟性が損なわれる場合がある。
<耐湿熱性>
本発明のポリカーボネートジオールを用いて得られた本発明のポリウレタンは耐湿熱性に優れ、例えば、後掲の実施例の項に示される耐湿熱性試験において、通常、分子量保持率90%以上、好ましくは93%以上の優れた耐湿熱性を有する。
<用途>
本発明のポリウレタンは、耐溶剤性に優れ、良好な柔軟性、機械強度を有することから、フォーム、エラストマー、弾性繊維、塗料、繊維、粘着剤、接着剤、床材、シーラント、医療用材料、人工皮革、合成皮革、コーティング剤、水系ポリウレタン塗料、活性エネルギー線硬化性重合体組成物等に広く用いることができる。
特に、人工皮革、合成皮革、水系ポリウレタン、接着剤、弾性繊維、医療用材料、床材、塗料、コーティング剤等の用途に、本発明の一形態であるポリウレタンを用いると、耐溶剤性、柔軟性、機械強度の良好なバランスを有するため、人の皮膚に触れたり、コスメティック用薬剤や消毒用のアルコールが使われたりする部分において耐久性が高く、また柔軟性も十分で、かつ物理的な衝撃などにも強いという良好な特性を付与することができる。また、耐熱性が必要とされる自動車部材等の自動車用途や、耐候性が必要とされる屋外用途に好適に使用できる。
本発明のポリウレタンは、熱硬化性エラストマー、注型ポリウレタンエラストマーに使用できる。その具体的用途として、圧延ロール、製紙ロール、事務機器、プレテンションロール等のロール類、フォークリフト、自動車車両ニュートラム、台車、運搬車等のソリッドタイヤ、キャスター等、工業製品として、コンベアベルトアイドラー、ガイドロール、プーリー、鋼管ライニング、鉱石用ラバースクリーン、ギア類、コネクションリング、ライナー、ポンプのインペラー、サイクロンコーン、サイクロンライナー等がある。また、OA機器のベルト、紙送りロール、複写用クリーニングブレード、スノープラウ、歯付ベルト、サーフローラー等にも使用できる。
本発明のポリウレタンは、また、熱可塑性エラストマーとしての用途にも適用される。例えば、食品、医療分野で用いる空圧機器、塗装装置、分析機器、理化学機器、定量ポンプ、水処理機器、産業用ロボット等におけるチューブやホース類、スパイラルチューブ、消防ホース等に使用できる。また、丸ベルト、Vべルト、平ベルト等のベルトとして、各種伝動機構、紡績機械、荷造り機器、印刷機械等に用いられる。また、履物のヒールトップや靴底、カップリング、パッキング、ポールジョイント、ブッシュ、歯車、ロール等の機器部品、スポーツ用品、レジャー用品、時計のベルト等に使用できる。さらに自動車部品としては、オイルストッパー、ギアボックス、スペーサー、シャーシー部品、内装品、タイヤチェーン代替品等が挙げられる。また、キーボードフィルム、自動車用フィルム等のフィルム、カールコード、ケーブルシース、ベロー、搬送ベルト、フレキシブルコンテナー、バインダー、合成皮革、ディピンイング製品、接着剤等に使用できる。
本発明のポリウレタンは、溶剤系二液型塗料としての用途にも適用可能であり、楽器、仏壇、家具、化粧合板、スポーツ用品等の木材製品に適用できる。また、タールエポキシウレタンとして自動車補修用にも使用できる。
本発明のポリウレタンは、湿気硬化型の一液型塗料、ブロックイソシアネート系溶媒塗料、アルキド樹脂塗料、ウレタン変性合成樹脂塗料、紫外線硬化型塗料、水系ウレタン塗料等の成分として使用可能であり、例えば、プラスチックバンパー用塗料、ストリッパブルペイント、磁気テープ用コーティング剤、床タイル、床材、紙、木目印刷フィルム等のオーバープリントワニス、木材用ワニス、高加工用コイルコート、光ファイバー保護コーティング、ソルダーレジスト、金属印刷用トップコート、蒸着用ベースコート、食品缶用ホワイトコート等に適用できる。
本発明のポリウレタンは、また、粘着剤や接着剤として、食品包装、靴、履物、磁気テープバインダー、化粧紙、木材、構造部材等に適用でき、また、低温用接着剤、ホットメルトの成分としても用いることができる。
本発明のポリウレタンは、バインダーとして、磁気記録媒体、インキ、鋳物、焼成煉瓦、グラフト材、マイクロカプセル、粒状肥料、粒状農薬、ポリマーセメントモルタル、レジンモルタル、ゴムチップバインダー、再生フォーム、ガラス繊維サイジング等に使用可能である。
本発明のポリウレタンは、繊維加工剤の成分として、防縮加工、防皺加工、撥水加工等に使用できる。
本発明のポリウレタンを弾性繊維として使用する場合のその繊維化の方法は、紡糸できる方法であれば特に制限なく実施できる。例えば、一旦ペレット化した後、溶融させ、直接紡糸口金を通して紡糸する溶融紡糸方法が採用できる。本発明のポリウレタンから弾性繊維を溶融紡糸により得る場合、紡糸温度は好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以上235℃以下である。
ポリウレタン弾性繊維はそのまま裸糸として使用したり、また、他繊維で被覆して被覆糸として使用したりすることができる。他繊維としては、ポリアミド繊維、ウール、綿、ポリエステル繊維など従来公知の繊維を挙げることができるが、なかでも本発明ではポリエステル繊維が好ましく用いられる。また、本発明のポリウレタンを用いた弾性繊維は、染着タイプの分散染料を含有していてもよい。
本発明のポリウレタンは、シーラント・コーキングとして、コンクリート打ち壁、誘発目地、サッシ周り、壁式PC(Precast Concrete)目地、ALC(Autoclaved Light-weight Concrete)目地、ボード類目地、複合ガラス用シーラント、断熱サッシシーラント、自動車用シーラント等に使用できる。
本発明のポリウレタンは、医療用材料としての使用が可能であり、血液適合材料として、チューブ、カテーテル、人工心臓、人工血管、人工弁等、また、使い捨て素材としてカテーテル、チューブ、バッグ、手術用手袋、人工腎臓ポッティング材料等に使用できる。
本発明のポリウレタンは、末端を変性させることによりUV硬化型塗料、電子線硬化型塗料、フレキソ印刷版用の感光性樹脂組成物、光硬化型の光ファイバー被覆材組成物等の原料として用いることができる。
<ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー>
本発明のポリカーボネートジオールを用いて、ポリイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを付加反応させることによりウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを製造することができる。その他の原料化合物であるポリオール、及び鎖延長剤等を併用する場合は、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリイソシアネートに、更にこれらのその他の原料化合物も付加反応させることにより製造することができる。
なお、本発明において、(メタ)アクリレートや(メタ)アクリル酸のように「(メタ)アクリル」と表示した場合には、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。
また、その際の各原料化合物の仕込み比は、目的とするウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの組成と実質的に同等、ないしは同一とする。
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーにおける全イソシアネート基の量と水酸基及びアミノ基等のイソシアネート基と反応する全官能基の量は、通常、理論的に当モルである。
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを製造する際は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの使用量を、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、本発明のポリカーボネートジオール、並びに必要に応じて用いられるその他の原料化合物であるポリオール、及び鎖延長剤等のイソシアネートと反応する官能基を含む化合物の総使用量に対して、通常10モル%以上、好ましくは15モル%以上、更に好ましくは25モル%以上、また、通常70モル%以下、好ましくは50モル%以下とする。この割合に応じて、得られるウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの分子量を制御することができる。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの割合が多いと、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの分子量は小さくなる傾向となり、割合が少ないと、分子量は大きくなる傾向となる。
本発明のポリカーボネートジオールと、その他のポリオールとの総使用量に対して、本発明のポリカーボネートジオールの使用量を25モル%以上とすることが好ましく、より好ましくは50モル%以上、更に好ましくは70モル%以上である。本発明のポリカーボネートジオールの使用量が前記の下限値以上であると、得られる硬化物の伸度、硬度及び耐候性、耐汚染性が良好となる傾向があり好ましい。
また、本発明のポリカーボネートジオールと、その他のポリオールとの総使用量に対して、本発明のポリカーボネートジオールの使用量は、10重量%以上とすることが好ましく、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上である。本発明のポリカーボネートジオールの使用量が前記の下限値以上であると、得られる組成物の粘度が低下し作業性が向上し、また得られる硬化物の機械的強度及び硬度や耐摩耗性が向上する傾向になり好ましい。
更に、鎖延長剤を用いる場合には、本発明のポリカーボネートジオール、その他のポリオールと鎖延長剤とを合わせた化合物の総使用量に対して、本発明のポリカーボネートジオール及びその他のポリオールの使用量を70モル%以上とすることが好ましく、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上である。前記下限値超過であると、液安定性が向上する傾向になり好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの製造時において、粘度の調整を目的に溶剤を使用することができる。溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。溶剤としては、公知の溶剤のいずれも使用することができる。好ましい溶剤としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトン等が挙げられる。溶剤は、通常、反応系内の固形分100重量部に対して、300重量部未満で使用可能である。
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの製造時において、生成するウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー及びその原料化合物の総含有量は、反応系の総量に対して20重量%以上であることが好ましく、40重量%以上であることがより好ましい。なお、この総含有量の上限は100重量%である。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー及びその原料化合物の総含有量が20重量%以上であると、反応速度が高くなり、製造効率が向上する傾向にあるために好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの製造に際しては付加反応触媒を用いることができる。この付加反応触媒としては、例えばジブチルスズラウレート、ジブチルスズジオクトエート、ジオクチルスズジラウレート、及びジオクチルスズジオクトエート等が挙げられる。付加反応触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。付加反応触媒は、これらのうち、ジオクチルスズジラウレートであることが、環境適応性及び触媒活性、保存安定性の観点から好ましい。
付加反応触媒は、生成するウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー及びその原料化合物の総含有量に対して、上限が通常1000重量ppm、好ましくは500重量ppmであり、下限が通常10重量ppm、好ましくは30重量ppmで用いられる。
また、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの製造時に、反応系に(メタ)アクリロイル基を含む場合には、重合禁止剤を併用することができる。このような重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノエチルエーテル、ジブチルヒドロキシトルエン等のフェノール類、フェノチアジン、ジフェニルアミン等のアミン類、ジブチルジチオカルバミン酸銅等の銅塩、酢酸マンガン等のマンガン塩、ニトロ化合物、ニトロソ化合物等が挙げられる。重合禁止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。重合禁止剤は、これらのうち、フェノール類が好ましい。
重合禁止剤は、生成するウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー及びその原料化合物の総含有量に対して、上限が通常3000重量ppm、好ましくは1000重量ppmであり、特に好ましくは500重量ppmであり、下限が通常50重量ppm、好ましくは100重量ppmで用いられる。
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの製造時において、反応温度は通常20℃以上であり、40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。反応温度が20℃以上であると、反応速度が高くなり、製造効率が向上する傾向にあるために好ましい。また、反応温度は通常120℃以下であり、100℃以下であることが好ましい。反応温度が120℃以下であると、アロハナート化反応等の副反応が起き難くなるために好ましい。また、反応系に溶剤を含む場合には、反応温度はその溶剤の沸点以下であることが好ましく、(メタ)アクリレートが入っている場合には(メタ)アクリロイル基の反応防止の観点から70℃以下であることが好ましい。反応時間は通常5~20時間程度である。
このようにして得られるウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの数平均分子量は500以上が好ましく、特に1,000以上であることが好ましく、10,000以下が好ましく、特に5,000以下、とりわけ3,000以下であることが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの数平均分子量が上記下限以上であると、得られる硬化膜の三次元加工適性が良好となり、三次元加工適性と耐汚染性とのバランスに優れる傾向となり好ましい。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの数平均分子量が上記上限以下であると該組成物から得られる硬化膜の耐汚染性が良好となり、三次元加工適性と耐汚染性とのバランスに優れる傾向となるため好ましい。これは、三次元加工適性と耐汚染性が網目構造における架橋点間の距離に依存しており、この距離が長くなると柔軟で伸びやすい構造となり三次元加工適性に優れ、この距離が短くなると網目構造が強固な構造となり耐汚染性に優れるからであると推定される。
<ポリエステル系エラストマー>
本発明のポリカーボネートジオールは、ポリエステル系エラストマーとして使用することができる。ポリエステル系エラストマーとは、主として芳香族ポリエステルからなるハードセグメントと、主として脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステル又は脂肪族ポリカーボネートからなるソフトセグメントとから構成される共重合体である。本発明のポリカーボネートジオールをソフトセグメントの構成成分として使用すると、脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステルを用いた場合に比べて、耐熱性、耐水性等の物性が優れる。また、公知のポリカーボネートジオールと比較しても、溶融時の流動性、つまりブロー成形、押出成形に適したメルトフローレートを有し、且つ機械強度その他の物性とのバランスに優れたポリカーボネートポリエステルエラストマーとなり、繊維、フィルム、シートをはじめとする各種成形材料、例えば、弾性糸及びブーツ、ギヤ、チューブ、パッキンなどの成形材料に好適に用いることができる。具体的には、耐熱性、耐久性を要求される自動車、家電部品等などのジョイントブーツや、電線被覆材等の用途に有効に適用することが可能である。
<活性エネルギー線硬化性重合体組成物>
上述のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを含有する活性エネルギー線硬化性重合体組成物(以下、単に「活性エネルギー線硬化性重合体組成物」と称する場合がある。)について説明する。
活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、該組成物の計算網目架橋点間分子量が500~10,000であることが好ましい。
本明細書において、組成物の計算網目架橋点間分子量は、全組成物中の網目構造を形成する活性エネルギー線反応基(以下、「架橋点」と称する場合がある)の間の分子量の平均値を表す。この計算網目架橋点間分子量は、網目構造形成時の網目面積と相関があり、計算網目架橋点間分子量が大きいほど架橋密度が小さくなる。活性エネルギー線硬化による反応では、活性エネルギー線反応基を1個のみ有する化合物(以下、「単官能化合物」と称する場合がある)が反応した場合には線状高分子になり、一方で活性エネルギー線反応基を2個以上有する化合物(以下、「多官能化合物」と称する場合がある)が反応した場合に網目構造を形成する。
よって、ここで多官能化合物が有する活性エネルギー線反応基が架橋点であって、計算網目架橋点間分子量の算出は架橋点を有する多官能化合物が中心となり、単官能化合物は多官能化合物が有する架橋点間の分子量を伸長する効果があるものとして扱い、計算網目架橋点間分子量の算出を行う。また、計算網目架橋点間分子量の算出は、全ての活性エネルギー線反応基が同じ反応性を有し、且つ活性エネルギー線照射により全ての活性エネルギー線反応基が反応するものと仮定した上で行う。
1種の多官能化合物のみが反応するような多官能化合物単一系組成物では、多官能化合物が有する活性エネルギー線反応基1個当りの平均分子量の2倍が計算網目架橋点間分子量となる。例えば、分子量1,000の2官能性化合物では(1000/2)×2=1000、分子量300の3官能性化合物では(300/3)×2=200となる。
複数種の多官能化合物が反応するような多官能化合物混合系組成物では、組成物中に含まれる全活性エネルギー線反応基数に対する上記単一系の各々の計算網目架橋点間分子量の平均値が組成物の計算網目架橋点間分子量となる。例えば、分子量1,000の2官能性化合物4モルと分子量300の3官能性化合物4モルとの混合物からなる組成物では、組成物中の全活性エネルギー線反応基数は2×4+3×4=20個となり、組成物の計算網目架橋点間分子量は{(1000/2)×8+(300/3)×12}×2/20=520となる。
組成物中に単官能化合物を含む場合は、計算上、多官能化合物の活性エネルギー線反応基(つまり架橋点)にそれぞれ当モルずつ、且つ架橋点に単官能化合物が連結して形成された分子鎖の中央に位置するように反応すると仮定すると、1個の架橋点における単官能化合物による分子鎖の伸長分は、単官能化合物の総分子量を組成物中の多官能化合物の全活性エネルギー線反応基数で除した値の半分となる。ここで、計算網目架橋点間分子量は架橋点1個当り平均分子量の2倍であると考える為、多官能化合物において算出した計算網目架橋点間分子量に対して単官能化合物により伸長された分は、単官能化合物の総分子量を組成物中の多官能化合物の全活性エネルギー線反応基数で除した値となる。
例えば、分子量100の単官能化合物40モルと分子量1,000の2官能性化合物4モルとの混合物からなる組成物では、多官能化合物の活性エネルギー線反応基数は2×4=8個となるので、計算網目架橋点間分子量中の単官能化合物による伸長分は100×40/8=500となる。すなわち組成物の計算網目架橋点間分子量は1000+500=1500となる。
上記のことから、分子量Wの単官能性化合物Mモルと、分子量Wのf官能性化合物Mモルと、分子量Wのf官能性化合物Mモルとの混合物では、組成物の計算網目架橋点間分子量は下記式で表せる。
Figure 2022092121000001
このようにして算出される活性エネルギー線硬化性重合体組成物の計算網目架橋点間分子量は、500以上であることが好ましく、800以上であることがより好ましく、1,000以上であることが更に好ましく、また10,000以下であることが好ましく、8,000以下であることがより好ましく、6,000以下であることが更に好ましく、4,000以下であることが更に一層好ましく、3,000以下であることが特に好ましい。
計算網目架橋点間分子量が10,000以下であると、該組成物から得られる硬化膜の耐汚染性が良好となり、3次元加工適性と耐汚染性とのバランスに優れる傾向となるため好ましい。また、計算網目架橋点間分子量が500以上であると、得られる硬化膜の3次元加工適性が良好となり、3次元加工適性と耐汚染性とのバランスに優れる傾向となり好ましい。これは、3次元加工適性と耐汚染性とが網目構造における架橋点間の距離に依存しており、この距離が長くなると柔軟で伸びやすい構造となり、3次元加工適性に優れ、この距離が短くなると網目構造が強固な構造となり耐汚染性に優れるからであると推定される。
活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー以外の他の成分をさらに含有していてもよい。このような他の成分としては、例えば、活性エネルギー線反応性モノマー、活性エネルギー線硬化性オリゴマー、重合開始剤、光増感剤、添加剤、及び溶剤が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性重合体組成物において、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの含有量は、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを含む活性エネルギー線反応性成分の総量に対して、40重量%以上であることが好ましく、60重量%以上であることがより好ましい。なお、この含有量の上限は100重量%である。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの含有量が40重量%以上であると、硬化性が良好となり、硬化物とした際の機械的強度が高くなりすぎることなく、3次元加工適性が向上する傾向にあるため好ましい。
また、活性エネルギー線硬化性重合体組成物において、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの含有量は、伸度及び造膜性の点では多い方が好ましく、一方、低粘度化の点では、少ない方が好ましい。このような観点から、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの含有量は、前記活性エネルギー線反応性成分に加えて他の成分を含む全成分の総量に対して、50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましい。なお、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの含有量の上限値は100重量%であり、この含有量はそれ以下であることが好ましい。
また、活性エネルギー線硬化性重合体組成物において、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを含む前記活性エネルギー線反応性成分の総量の含有量は、組成物としての硬化速度及び表面硬化性に優れ、タックが残らない等の面から、該組成物全量に対して、60重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることが更に好ましく、95重量%以上であることが特に好ましい。なお、この含有量の上限は100重量%である。
前記活性エネルギー線反応性モノマーとしては、公知のいずれの活性エネルギー線反応性モノマーも用いることができる。これらの活性エネルギー線反応性モノマーは、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの親疎水性や、得られる組成物を硬化物とした際の硬化物の硬度、伸度等の物性を調整する目的等で使用される。活性エネルギー線反応性モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
このような活性エネルギー線反応性モノマーとしては、例えばビニルエーテル類、(メタ)アクリルアミド類、及び(メタ)アクリレート類が挙げられる。
具体的には、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、α-クロロスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル系モノマー類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、アジピン酸ジビニル等のビニルエステルモノマー類;エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類;ジアリルフタレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のアリル化合物類;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸-i-ブチル、(メタ)アクリル酸-t-ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸モルフォリル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸-2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フェニル等の単官能(メタ)アクリレート;及び、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール(n=5~14)、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール(n=5~14)、ジ(メタ)アクリル酸-1,3-ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸-1,4-ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ポリブチレングリコール(n=3~16)、ジ(メタ)アクリル酸ポリ(1-メチルブチレングリコール)(n=5~20)、ジ(メタ)アクリル酸-1,6-ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸-1,9-ノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ジ(メタ)アクリル酸ジシクロペンタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエポキシジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;が挙げられる。
これらの中で、特に、塗布性を要求される用途では、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリルアミド等の、分子内に環構造を有する単官能(メタ)アクリレートが好ましい。一方、得られる硬化物の機械的強度が求められる用途では、ジ(メタ)アクリル酸-1,4-ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸-1,6-ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸-1,9-ノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートが好ましい。
活性エネルギー線硬化性重合体組成物において、前記活性エネルギー線反応性モノマーの含有量は、組成物の粘度調整及び得られる硬化物の硬度、伸度等の物性調整の観点から、該組成物全量に対して、50重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましく、20重量%以下であることが更に好ましく、10重量%以下であることが特に好ましい。
前記活性エネルギー線硬化性オリゴマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。前記活性エネルギー線硬化性オリゴマーとしては、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマー、及びアクリル(メタ)アクリレート系オリゴマーが挙げられる。
活性エネルギー線硬化性重合体組成物において、前記活性エネルギー線反応性オリゴマーの含有量は、得られる硬化物の硬度、伸度等の物性調整の観点から、該組成物全量に対して、50重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましく、20重量%以下であることが更に好ましく、10重量%以下であることが特に好ましい。
前記重合開始剤は、主に、紫外線、電子線等の活性エネルギー線照射で進行する重合反応の開始効率を向上させる等の目的で用いられる。重合開始剤としては、光によりラジカルを発生する性質を有する化合物である光ラジカル重合開始剤が一般的であり、公知の何れの光ラジカル重合開始剤でも使用可能である。重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。更に、光ラジカル重合開始剤と光増感剤とを併用してもよい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4,4-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエート、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、2-エチルアントラキノン、t-ブチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、メチルベンゾイルホルメート、2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルホリノプロパン-1-オン、2,6-ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、及び2-ヒドロキシ-1-〔4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル〕-2-メチル-プロパン-1-オン等が挙げられる。
これらの中で、硬化速度が速く架橋密度を十分に上昇できる点から、ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、及び、2-ヒドロキシ-1-〔4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル〕-2-メチル-プロパン-1-オンが好ましく、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、及び2-ヒドロキシ-1-〔4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル〕-2-メチル-プロパン-1-オンがより好ましい。
また、活性エネルギー線硬化性重合体組成物に、ラジカル重合性基と共にエポキシ基等
のカチオン重合性基を有する化合物が含まれる場合は、重合開始剤として、上記の光ラジ
カル重合開始剤と共に光カチオン重合開始剤が含まれていてもよい。光カチオン重合開始
剤も、公知の何れのものも使用可能である。
活性エネルギー線硬化性重合体組成物におけるこれらの重合開始剤の含有量は、前記の活性エネルギー線反応性成分の合計100重量部に対して、10重量部以下であることが好ましく、5重量部以下であることがより好ましい。重合開始剤の含有量が10重量部以下であると、開始剤分解物による機械的強度の低下が起こり難いため好ましい。
前記光増感剤は、重合開始剤と同じ目的で用いることができる。光増感剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。光増感剤としては、本発明の効果が得られる範囲で公知の光増感剤のいずれをも使用することができる。このような光増感剤としては、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸アミル、及び4-ジメチルアミノアセトフェノン等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性重合体組成物において、前記光増感剤の含有量は、前記の活性エネルギー線反応性成分の合計100重量部に対して、10重量部以下であることが好ましく、5重量部以下であることがより好ましい。光増感剤の含有量が10重量部以下であると、架橋密度低下による機械的強度の低下が起こり難いため好ましい。
前記添加剤は、任意であり、同様の用途に用いられる組成物に添加される種々の材料を添加剤として用いることができる。添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。このような添加剤としては、例えば、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、雲母、酸化亜鉛、酸化チタン、タルク、カオリン、金属酸化物、金属繊維、鉄、鉛、金属粉等のフィラー類;炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、C60等のフラーレン類等の炭素材料類(以下、フィラー類、炭素材料類を総称して「無機成分」と称する場合がある);酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、HALS(ヒンダードアミン光安定剤)、耐指紋剤、表面親水化剤、帯電防止剤、滑り性付与剤、可塑剤、離型剤、消泡剤、レベリング剤、沈降防止剤、界面活性剤、チクソトロピー付与剤、滑剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、充填剤、シランカップリング剤等の改質剤類;顔料、染料、色相調整剤等の着色剤類;及び、モノマー又は/及びそのオリゴマー、又は無機成分の合成に必要な硬化剤、触媒、硬化促進剤類;等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性重合体組成物において、前記添加剤の含有量は、前記の活性エネルギー線反応性成分の合計100重量部に対して、10重量部以下であることが好ましく、5重量部以下であることがより好ましい。添加剤の含有量が10重量部以下であると、架橋密度低下による機械的強度の低下が起こり難いため好ましい。
前記溶剤は、例えば活性エネルギー線硬化性重合体組成物の塗膜を形成するためのコーティング方式に応じて、活性エネルギー線硬化性重合体組成物の粘度の調整を目的に使用することができる。溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。溶剤としては、本発明の効果が得られる範囲において公知の溶剤のいずれも使用することができる。好ましい溶剤としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソプロパノール、イソブタノール、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトン等が挙げられる。溶剤は、通常、活性エネルギー線硬化性重合体組成物の固形分100重量部に対して200重量部未満で使用可能である。
活性エネルギー線硬化性重合体組成物に、前述の添加剤等の任意成分を含有させる方法としては、特に限定はなく、従来公知の混合、分散方法等が挙げられる。尚、前記任意成分をより確実に分散させるためには、分散機を用いて分散処理を行うことが好ましい。具体的には、例えば、二本ロール、三本ロール、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペブルミル、トロンミル、サンドグラインダー、セグバリアトライター、遊星式撹拌機、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ニーダー、ホモジナイザー、超音波分散機等で処理する方法が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性重合体組成物の粘度は、該組成物の用途や使用態様等に応じて適宜調節し得るが、取り扱い性、塗工性、成形性、立体造形性等の観点から、E型粘度計(ローター1°34’×R24)における25℃での粘度が、10mPa・s以上であることが好ましく、100mPa・s以上であることがより好ましく、一方、100,000mPa・s以下であることが好ましく、50,000mPa・s以下であることがより好ましい。活性エネルギー線硬化性重合体組成物の粘度は、例えば前述のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの含有量や、前記の任意成分の種類や、その配合割合等によって調整することができる。
活性エネルギー線硬化性重合体組成物の塗工方法としては、バーコーター法、アプリケーター法、カーテンフローコーター法、ロールコーター法、スプレー法、グラビアコーター法、コンマコーター法、リバースロールコーター法、リップコーター法、ダイコーター法、スロットダイコーター法、エアーナイフコーター法、ディップコーター法等の公知の方法を適用可能であるが、その中でもバーコーター法及びグラビアコーター法が好ましい。
活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、これに活性エネルギー線を照射することにより硬化膜とすることができる。
上記組成物を硬化させる際に使用する活性エネルギー線としては、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等が使用可能である。装置コストや生産性の観点から電子線又は紫外線を利用することが好ましく、光源としては、電子線照射装置、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、Arレーザー、He-Cdレーザー、固体レーザー、キセノンランプ、高周波誘導水銀ランプ、太陽光等が適している。
活性エネルギー線の照射量は、活性エネルギー線の種類に応じて適宜に選ぶことができ、例えば、電子線照射で硬化する場合には、その照射量は1~10Mradであることが好ましい。また、紫外線照射の場合は50~1,000mJ/cmであることが好ましい。硬化時の雰囲気は、空気、窒素やアルゴン等の不活性ガスでもよい。また、フィルムやガラスと金属金型との間の密閉空間で照射してもよい。
硬化膜の膜厚は、目的とされる用途に応じて適宜決められるが、下限は好ましくは1μm、更に好ましくは3μm、特に好ましくは5μmである。また、上限は好ましくは200μm、更に好ましくは100μm、特に好ましくは50μmである。膜厚が1μm以上であると3次元加工後の意匠性や機能性の発現が良好となり、200μm以下であると内部硬化性、3次元加工適性が良好であるため好ましい。また、工業上での使用の際には、硬化膜の膜厚の下限は好ましくは1μmであり、上限は好ましくは100μm、更に好ましくは50μm、特に好ましくは20μm、最も好ましくは10μmである。
基材上に、上記の硬化膜からなる層を有する積層体を得ることができる。この積層体は、硬化膜からなる層を有していれば特に限定されず、基材及び硬化膜以外の層を基材と硬化膜との間に有していてもよいし、その外側に有していてもよい。また、前記積層体は、基材や硬化膜を複数層有していてもよい。
複数層の硬化膜を有する積層体を得る方法としては、全ての層を未硬化の状態で積層した後に活性エネルギー線で硬化する方法、下層を活性エネルギー線にて硬化、あるいは半硬化させた後に上層を塗布し、再度活性エネルギー線で硬化する方法、及びそれぞれの層を離型フィルムやベースフィルムに塗布した後、未硬化あるいは半硬化の状態で層同士を貼り合わせる方法等の公知の方法を適用可能であるが、層間の密着性を高める観点から、未硬化の状態で積層した後に活性エネルギー線で硬化する方法が好ましい。未硬化の状態で積層する方法としては、下層を塗布した後に上層を重ねて塗布する逐次塗布や、多重スリットから同時に2層以上の層を重ねて塗布する同時多層塗布等の公知の方法を適用可能であるが、この限りではない。
基材としては、例えばポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン、ナイロン、ポリカーボネート、(メタ)アクリル樹脂等の種々のプラスチック、ガラス又は金属で形成された板等の種々の形状の物品が挙げられる。
硬化膜は、インキ、エタノール等の一般家庭汚染物に対する耐汚染性及び硬度に優れる膜とすることが可能であり、硬化膜を各種基材への被膜として用いた積層体は、意匠性及び表面保護性に優れたものとすることができる。
また、活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、計算網目架橋点間分子量を考慮すれば、3次元加工時の変形に追従可能な柔軟性、破断伸度、機械的強度、耐汚染性、及び硬度を同時に兼ね備える硬化膜を与えることができる。
また、活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、1層塗布により簡便に薄膜状の樹脂シートを製造することが可能となることが期待される。
硬化膜の破断伸度は、硬化膜を10mm幅に切断し、テンシロン引張試験機(オリエンテック社製、テンシロンUTM-III-100)を用いて、温度23℃、引張速度50mm/分、チャック間距離50mmの条件で引張試験を行って測定した値が、50%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、100%以上であることが更に好ましく、120%以上であることが特に好ましい。
上記の硬化膜及び積層体は、塗装代替用フィルムとして用いることができ、例えば内装・外装用の建装材や自動車、家電等の各種部材等に有効に適用することが可能である。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
以下において、各物性値の評価方法は下記の通りである。
[評価方法:ジヒドロキシ化合物]
<酸価>
JIS K1557-5(2007)に準拠して、ジヒドロキシ化合物の酸価を測定した。
[評価方法:ポリカーボネートジオール]
<数平均分子量、フェノキシ基の定量とヒドロキシ末端割合の算出>
ポリカーボネートジオールをCDClに溶解し、400MHz H-NMR(日本電子株式会社製AL-400)を測定し、各成分のシグナル位置より、フェノキシ基を同定し、積分値よりフェノキシ末端の含有量と数平均分子量を算出した。その際の検出限界は、サンプル全体の重量に対するフェノキシ末端含有量として重量1000ppmであった。
ヒドロキシ末端割合は下記の通り算出した。
ヒドロキシ末端割合(%)
={(全末端数=2)-不純物(フェノキシ)末端}/(全末端数=2)×100
<水酸基価>
JIS K1557-1(2007)に準拠して、アセチル化試薬を用いた方法で自動滴定によりポリカーボネートジオールの水酸基価を測定した。
<分子量分布>
下記条件によるGPC測定によりポリカーボネートジオールのポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)とポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)をそれぞれ求めて、分子
量分布(Mw/Mn)を算出した。
装置 :東ソー社製 HLC-8320
カラム :TSKgel superHZM-N
(6.0mmI.D.×15cmL×4本)
レファレンスカラム:superHM-H(4.6mmI.D.×3.5cmL×1本)
溶離液 :THF(テトラヒドロフラン)
流速 :0.6mL/min
カラム温度:40℃
RI検出器:RI(装置 HLC-8320内蔵)
<ジヒドロキシ化合物残存量>
N-メチルピロリドン500mLにモノクロロベンゼン250mgを添加させた溶液を内部標準液とした。ポリカーボネートジオールを0.50g精秤し、ホールピペットで秤量した上記の内部標準液5mLに溶解した。得られた溶液を、下記分析条件のガスクロマトグラフィー(GC)にて分析を行った。ジヒドロキシ化合物の濃度は予め標準物質として既知のジヒドロキシ化合物より検量線を作成し、GCにて得られた面積比から重量%を算出した。
(分析条件)
装置:Agilent 6850(アジレントテクノロジー製)
カラム:Agilent J&W GCカラム DB-WAX
内径 0.25mm,長さ 60m,膜厚 0.25mm
検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
昇温プログラム:150℃→190℃(5分間)190→245℃(40分間)
<ハーゼン色数値>
JIS K0071-1(1998)に準拠して、ポリカーボネートジオールを比色管に入れた標準液と比較してハーゼン色数値を測定した。試薬は色度標準液1000度(1mgPt/mL)(キシダ化学株式会社製)を使用した。
[評価方法:ポリウレタン]
<分子量>
ポリウレタンをジメチルアセトアミドに溶解し、濃度が0.14重量%になるようにジメチルアセトアミド溶液とした。GPC装置〔東ソー社製、製品名「HLC-8220」(カラム:TskgelGMH-XL・2本)〕を用いて、該ジメチルアセトアミド溶液を注入し、標準ポリスチレン換算で、ポリウレタンの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
<引張試験>
ポリウレタン溶液を9.5milのアプリケーターでフッ素樹脂シート(フッ素テープニトフロン900、厚さ0.1mm、日東電工株式会社製)上に塗布し、60℃で1時間、続いて100℃で0.5時間乾燥させた。さらに100℃の真空状態で0.5時間、80℃で15時間乾燥させた後、23℃、55%RHの恒温恒湿下で12時間以上静置し、得られたポリウレタンフィルムから10mm×70mmの試験片を切り出し、この試験片について、JIS K6301(2010)に準じ、引張試験機(オリエンテック社製、製品名「テンシロンUTM-III -100」)を用いて、チャック間距離50mm、引張速度500mm/分にて、温度23℃の温度条件、相対湿度55%で引張試験を実施し、破断時の強度及び伸度を測定した。フィルムが破断する伸度が大きいほど柔軟性に優れている。
<耐湿熱性試験>
前記ポリウレタンフィルムから10mm×70mmの試験片を切り出した。この試験片を温度70℃、相対湿度95%に設定した恒温恒湿機内で28日間静置した。静置後の試験片の重量平均分子量(Mw)を上記の方法で測定し、試験前の重量平均分子量(Mw)に対する割合(分子量保持率)を算出した。分子量保持率が高いほど、耐湿熱性が高いことを示す。
〔ポリカーボネートジオールの製造と評価〕
[実施例1]
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに酸価が0.1mgKOH/gの1,10-デカンジオール(1,10DD):1437.8g、ジフェニルカーボネート:1562.2g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:4.2mL(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:35mg)を入れ、窒素ガス置換した。攪拌下、内温を160℃まで昇温して、内容物を加熱溶解した。その後、2分間かけて圧力を24kPaまで下げた後、フェノールを系外へ除去しながら90分間反応させた。次いで、圧力を9.3kPaまで90分間かけて下げ、さらに0.7kPaまで30分間かけて下げて反応を続けた後に170℃まで温度を上げてフェノール及び未反応のジオールを系外へ除きながら60分間反応させて、ポリカーボネートジオール含有組成物を得た。その後、0.85重量%リン酸水溶液:1.6mLを加えて触媒を失活させて、ポリカーボネートジオール含有組成物を得た。
得られたポリカーボネートジオール含有組成物を約20g/分の流量で薄膜蒸留装置に送液し、薄膜蒸留(温度:180℃、圧力:53~67Pa)を行った。薄膜蒸留装置としては、直径50mm、高さ200mm、面積0.0314mの内部コンデンサー、ジャケット付きの柴田科学株式会社製、分子蒸留装置MS-300特型を使用した。
この実施例1で製造されたポリカーボネートジオールを「PCD1」と称する。
PCD1の物性の評価結果を表1に示す。
[実施例2]
1,10-デカンジオール(1,10DD)として酸価が0.4mgKOH/gのものを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で反応を実施し、ポリカーボネートジオールを得た。この実施例2で製造されたポリカーボネートジオールを「PCD2」と称する。
PCD2の物性の評価結果を表1に示す。
[実施例3]
1,10-デカンジオール(1,10DD)として酸価が1.0mgKOH/gのものを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で反応を実施し、ポリカーボネートジオールを得た。この実施例3で製造されたポリカーボネートジオールを「PCD3」と称する。
PCD3の物性の評価結果を表1に示す。
[比較例1]
1,10-デカンジオール(1,10DD)として酸価が17.00mgKOH/gのものを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で反応を実施し、ポリカーボネートジオールを得た。この比較例1で製造されたポリカーボネートジオールを「PCD4」と称する。
PCD4の物性の評価結果を表1に示す。
[比較例2]
1,10-デカンジオール(1,10DD)として酸価が0.02mgKOH/gのものを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で反応を実施し、ポリカーボネートジオールを得た。この比較例2で製造されたポリカーボネートジオールを「PCD5」と称する。
PCD5の物性の評価結果を表1に示す。
Figure 2022092121000002
〔ポリウレタンの製造と評価〕
[実施例4]
実施例1で得られたPCD1を原料として用いて、以下の操作でポリウレタンを製造した。
60℃のオイルバス上に、熱電対、冷却管及び撹拌装置を具備したセパラブルフラスコを設置し、あらかじめ80℃に加温したPCD1を69.78g、1,4-ブタンジオールを6.30g、脱水N,N-ジメチルホルムアミド(以下「DMF」と略記することがある。和光純薬工業株式会社製)を238.57g入れ、次いで、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(以下「MDI」と称することがある。)25.4gを添加し、セパラブルフラスコ内を窒素雰囲気下、60rpmで撹拌しながら1時間程度で70℃に昇温した。70℃となった後、ウレタン化反応触媒としてネオスタンU-830(以下「U-830」と称することがある。日東化成株式会社製)0.019gを添加し、70℃で、さらに2時間程度撹拌した。その後、MDI1.8gを分割添加して(合計のMDI添加量は27.2g)分子量を調整し、分子量約15.6万のポリウレタンを得た。このポリウレタンの物性の評価結果を表2に示す。
[比較例3]
PCD1の代わりに比較例1で得られたPCD4を用い、表2記載の量に変更した以外は実施例4と同様にしてポリウレタンを得た。得られたポリウレタンの物性の評価結果を表2に示す。
Figure 2022092121000003
表1、2から次のことがわかる。
酸価が本発明で規定される範囲内の1,10-デカンジオールを用いて製造したポリカーボネートジオールは、色調が良好で、且つ、ポリウレタンの原料として用いた際には、優れた伸度と耐湿熱性を有するポリウレタンを提供することができる。
一方、比較例2に記載のポリカーボネートジオール、すなわち、本発明で規定される範囲を下回る1,10-デカンジオールを用いたポリカーボネートジオールは色調が劣る。
また、比較例1に記載のポリカーボネートジオール、すなわち酸価が本発明で規定される範囲を上回る1,10-デカンジオールを用いて合成したポリカーボネートジオールは色調は良好だが、合成したポリウレタン(比較例3)において、実施例4と比較して、耐湿熱性に劣る結果となった。また、比較例3のポリウレタンは実施例4のポリウレタンに比べて分子量の分布が広く、成形性に難がある可能性がある。

Claims (18)

  1. ジヒドロキシ化合物とカーボネート化合物とをエステル交換触媒の存在下でエステル交換反応させてポリカーボネートジオールを製造する方法において、該ジヒドロキシ化合物が下記式(1)で表される化合物(以下、「ジヒドロキシ化合物(1)」と称す。)からなり、該ジヒドロキシ化合物(1)の酸価が0.04mgKOH/g以上15.00mgKOH/g以下であることを特徴とするポリカーボネートジオールの製造方法。
    HO-R-OH …(1)
    (上記式(1)中、Rは炭素原子数が10~12の2価の炭化水素基を示す。)
  2. 得られるポリカーボネートジオールの水酸基価が20mgKOH/g以上250mgKOH/g以下である請求項1に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
  3. 前記ジヒドロキシ化合物(1)が1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール及び1,12-ドデカンジオールよりなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は請求項2に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
  4. 得られるポリカーボネートジオール中に残存するジヒドロキシ化合物(1)が該ポリカーボネートジオールに対して0.5重量%未満である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
  5. 得られるポリカーボネートジオールの末端の98.5モル%以上がヒドロキシ末端である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
  6. ジヒドロキシ化合物とカーボネート化合物とをエステル交換触媒の存在下でエステル交換反応させて得られるポリカーボネートジオールにおいて、該ジヒドロキシ化合物が下記式(1)で表される化合物(以下、「ジヒドロキシ化合物(1)」と称す。)からなり、該ジヒドロキシ化合物(1)の酸価が0.04mgKOH/g以上15.00mgKOH/g以下であることを特徴とするポリカーボネートジオール。
    HO-R-OH …(1)
    (上記式(1)中、Rは炭素原子数が10~12の2価の炭化水素基を示す。)
  7. 水酸基価が20mgKOH/g以上250mgKOH/g以下である請求項6に記載のポリカーボネートジオール。
  8. 前記ジヒドロキシ化合物(1)が1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール及び1,12-ドデカンジオールよりなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項6又は請求項7に記載のポリカーボネートジオール。
  9. 前記ジヒドロキシ化合物(1)の残存量が0.5重量%未満である請求項6から請求項8のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオール。
  10. 末端の98.5モル%以上がヒドロキシ末端である請求項6から請求項9のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオール。
  11. 請求項6から請求項10のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオールを用いたポリウレタン。
  12. 請求項11に記載のポリウレタンを用いた人工皮革又は合成皮革。
  13. 請求項11に記載のポリウレタンを用いた塗料又はコーティング剤。
  14. 請求項11に記載のポリウレタンを用いた弾性繊維。
  15. 請求項11に記載のポリウレタンを用いた水系ポリウレタン塗料。
  16. 請求項11に記載のポリウレタンを用いた粘着剤又は接着剤。
  17. 請求項6から請求項10のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオールを用いた水系ポリウレタン分散体。
  18. 請求項6から請求項10のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオールを用いた活性エネルギー線硬化性重合体組成物。
JP2020204708A 2020-12-10 2020-12-10 ポリカーボネートジオール及びその製造方法 Pending JP2022092121A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020204708A JP2022092121A (ja) 2020-12-10 2020-12-10 ポリカーボネートジオール及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020204708A JP2022092121A (ja) 2020-12-10 2020-12-10 ポリカーボネートジオール及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022092121A true JP2022092121A (ja) 2022-06-22

Family

ID=82067983

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020204708A Pending JP2022092121A (ja) 2020-12-10 2020-12-10 ポリカーボネートジオール及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022092121A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6860059B2 (ja) ポリカーボネートジオールおよびその製造方法並びにそれを用いたポリウレタン
JP6597808B2 (ja) ポリカーボネートジオールおよびそれを用いたポリウレタン
JP7183539B2 (ja) ポリカーボネートポリオール及びポリウレタン
JP6593290B2 (ja) ポリカーボネートジオールの製造方法及びポリカーボネートジオール並びにそれを用いたポリウレタン
JP6503923B2 (ja) ポリカーボネートジオールおよびそれを用いたポリウレタン
JP6699099B2 (ja) ポリカーボネートジオールおよびその製造方法並びにそれを用いたポリウレタン
JP7028184B2 (ja) ポリカーボネートジオール、ポリカーボネートジオール含有組成物、ポリカーボネートジオールの製造方法、及びポリウレタン
JP7187844B2 (ja) ポリカーボネートジオールおよびそれを用いた水系ポリウレタン分散体
WO2014104134A1 (ja) ポリカーボネートジオールおよびそれを用いたポリウレタン
WO2011129377A1 (ja) ポリカーボネートジオール及びその製造法、並びにそれを用いたポリウレタン及び活性エネルギー線硬化性重合体組成物
JP6341062B2 (ja) ポリカーボネートジオールおよびそれを用いたポリウレタン並びにウレタン(メタ)アクリレート
JP2024003246A (ja) ポリカーボネートポリオール
JP2019151813A (ja) ポリエステルポリカーボネートジオールおよびその製造方法、並びにポリウレタン
JP2020125467A (ja) ポリカーボネートジオールの製造法
JP6904076B2 (ja) ポリカーボネートジオール、ポリカーボネートジオールを用いたポリウレタン、及びポリカーボネートジオールの製造方法
JP2022092121A (ja) ポリカーボネートジオール及びその製造方法
JP7494887B2 (ja) ポリカーボネートジオールおよびそれを用いた水系ポリウレタン分散体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230713

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20240522

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240528