JP7179610B2 - こじ開け判定システム - Google Patents

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Description

本発明は、こじ開け判定システムに関するものである。
住宅等の建物においては、開口部に設けられた扉をこじ開けたり、破壊する等により、開口部を開放されて不法侵入されることが多い。このような不法侵入はできるだけ早く検出することが望ましく、開口部における扉のこじ開けや破壊を検知するこじ開け判定システムが提案されている。例えば、特許文献1には、扉が施錠装置により施錠されている場合において、扉と扉枠との間の隙間(以下、隙間)の寸法変化を検出することにより、こじ開けを検出することが提案されている。
特開2009-74267号公報
しかしながら、例えば、特許文献1の技術においては、隙間の寸法変化を検出する位置がこじ開け位置と異なると、こじ開けの検出が遅れてしまう。また、隙間の寸法変化を検出する位置がこじ開け位置と離れている場合には、こじ開けを検出できないおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、扉のこじ開けを速やかにかつ確実に検出するこじ開け判定システムを提供することを目的とする。
前記課題を解決すべく、第1の発明のこじ開け判定システムは、
開口部に固定される枠体と、前記枠体に支持され、前記開口部を開閉する開閉体と、前記開閉体を施錠する施錠装置とを備える構造体に適用され、前記開閉体のこじ開けを判定するシステムであって、
前記開閉体の開閉状態を互いに離間した位置において検出する第1及び第2の開閉検出手段と、
前記開閉体がこじ開けられているか否かを判定するこじ開け判定手段と、
を備え、
第1及び第2の開閉検出手段は、前記開閉体の戸先が前記枠体から離間又は近接することに伴い、前記第1及び第2の開閉検出手段のそれぞれの位置における開閉状態を検出するセンサであり、
前記こじ開け判定手段は、前記第1及び第2の開閉検出手段による前記開閉体の開閉状態の検出結果の組合せが所定の組合せと異なる場合、前記開閉体がこじ開けされていると判定することを特徴とする。
構造体としては、住宅用の建物の他、商業ビル、倉庫、車両、金庫など各種の構造体に適用することができるが、説明の便宜上、以下においては代表例である住宅用の建物を例にして各発明の作用効果を説明する。開閉体は、開閉体の戸先が枠体から離間又は近接する動作を伴うことにより開閉が行われる。第1の発明によれば、第1及び第2の開閉検出手段は、開閉体の戸先が枠体から離間又は近接することに伴い、第1及び第2の開閉検出手段のそれぞれの位置における開閉状態を検出する。この際、開閉体の通常の開閉に伴う開閉体の開閉状態の検出は、第1及び第2の開閉検出手段により所定の順序で検出されるように構成されている。これにより、開閉体の通常の開閉に伴って第1の開閉検出手段により検出される開閉状態と、第2の開閉検出手段により検出される開閉体の開閉状態とが、所定の組合せに限定される。
例えば、第1及び第2の開閉検出手段により検出される開閉状態が同時に切り換わる構成(すなわち、開状態から閉状態又は閉状態から開状態への切換えが第1及び第2の開閉検出手段により同時に検出される構成)を例に説明する。この構成の場合、開閉体の通常の開閉に伴って2つの開閉検出手段により検出される開閉状態は、開状態及び開状態、又は閉状態及び閉状態の組合せのみである。
ここで、住宅用の建物においては、デッドボルトを備えた施錠装置が多く用いられる。このような施錠装置は、デッドボルトが開口部側に設けられたデッドボルト挿入部に挿入されて係合構造となることにより施錠状態とされる。建物におけるこじ開けは、この係合構造を破壊することにより行われることが多い。具体的には、枠体と開閉体との隙間にバール等の破壊用道具を差し込み、差し込んだ部分を支点として力を加えて係合構造の破壊が行われる。したがって、開閉体のこじ開けの際には、こじ開けが完了する前(開口部を開放される前)の早い段階で、こじ開け部分周辺において開閉体(例えば、開閉体の戸先)及び枠体(例えば、枠体側面)の少なくとも一方(以下、開閉体等)が変形する。この変形により、こじ開け部分周辺においては開閉体の戸先と枠体との距離が変化(例えば、開閉体の戸先が枠体から離間)する。
この場合、まず、こじ開け前の状態においては、2つの開閉検出手段によりともに開閉体の閉状態が検出されている。不審者によりこじ開けがなされると、こじ開け部分により近い位置に設けられた一方の開閉検出手段においては、開閉体の戸先側面と枠体との距離の変化により、開閉状態を閉状態から開状態へと切り換える。この際、こじ開け部分から離れた位置においては開閉体等の変形がない又は少なくなるため、開閉体の戸先と枠体との距離が変化しない又は変化が小さい。そのため、こじ開け部分から離れた位置に設けられた他方の開閉検出手段においては開閉状態を切り換えず、他方の開閉検出手段により閉状態が継続して検出される。すなわち、こじ開けが完了する前の早い段階において、開閉体等の変形が一部で生じている場合、2つの開閉検出手段により検出される開閉体の開閉状態の検出結果の組合せ(ここでは、開状態及び閉状態の組合せ)が所定の組合せ(ここでは、開状態及び開状態、又は閉状態及び閉状態のいずれかの組合せ)とは異なる事態が生じる。
よって、第1の発明によれば、2つの開閉検出手段により検出される開閉体の開閉状態の検出結果の組合せを評価することにより、開閉体等の変形が一部で生じているか否か、すなわち、こじ開け作業中であるか否かを判定することができる。これにより、開閉体のこじ開けが完了する前に、開閉体のこじ開けを速やかにかつ確実に検出することができる。
第2の発明のこじ開け判定システムは、第1の発明において、前記開閉体が閉じられた状態からこじ開けではなく正常に開けられる場合において、前記第1の開閉検出手段により検出される前記開閉体の開状態と、前記第2の開閉検出手段により検出される前記開閉体の開状態とは、検出タイミングが異なることを特徴とする。
開閉体の建付けが悪かったり、開閉体に物が衝突したりすると、開閉体において局所的又は一時的に変形を伴う場合がある。開閉体が閉じられた状態から開けられる場合において2つの開閉検出手段により開閉体の開状態が同時に検出される構成の場合、開閉体の通常の開閉時にこれらの要因により開状態の検出がずれた場合にもこじ開けされたと判定されてしまい、誤検出が多くなるおそれがある。
第2の発明によれば、開閉体が閉じられた状態からこじ開けではなく正常に開けられる場合において第1及び第2の開閉検出手段による開閉体の開状態の検出が異なるタイミングで検出される。この場合、建付けの悪さ等の誤検出の要因を含めて、第1及び第2の開閉検出手段による開閉体の開状態の検出タイミングを設定できる。これにより、こじ開けの誤検出を減らすことができる。
第3の発明のこじ開け判定システムは、第1又は第2の発明において、
前記第1の開閉検出手段は、前記施錠装置付近に設けられ、
前記第2の開閉検出手段は、前記施錠装置から離れた位置に設けられ、
前記開閉体が閉じられた状態からこじ開けではなく正常に開けられる場合において、前記第1の開閉検出手段による前記開閉体の開状態の検出タイミングは、前記第2の開閉検出手段による前記開閉体の開状態の検出タイミングよりも遅いことを特徴とする。
第3の発明によれば、第1の開閉検出手段はこじ開けされやすい施錠装置付近に配置され、第2の開閉検出手段は施錠装置から離れた位置に配置される。第1の開閉検出手段による開閉体の開状態の検出タイミングは、開閉体が閉じられた状態からこじ開けではなく正常に開けられる場合において、第2の開閉検出手段による開閉体の開状態の検出タイミングよりも遅い。この構成において施錠装置付近でこじ開けがされた場合には、第1の開閉検出手段が第2の開閉検出手段よりも早く開状態を検出することになる。よって、第3の発明によれば、開閉体がこじ開けされている場合において、第1及び第2の開閉検出手段により検出された開閉体の開閉状態の検出結果の組合せが所定の組合せとは異なることが速やかに検出できる。これにより、開閉体のこじ開けが完了する前に、開閉体がこじ開けされていることをさらに速やかにかつさらに確実に検出することができる。
第4の発明のこじ開け判定システムは、第3の発明において、
前記施錠装置は、第1施錠装置と、それより上方に設けられた第2施錠装置とを備え、
前記第1の開閉検出手段は、前記第1施錠装置付近に設けられ、
前記第2の開閉検出手段は、前記第2施錠装置より上方に設けられていることを特徴とする。
一般的に、不審者は、施錠装置が複数設けられている場合、人目を避けるために施錠装置のうち下方側に設けられた施錠装置付近からこじ開けを行うことが多い。第4の発明によれば、第1施錠装置と第2施錠装置とを備えている構造体において、施錠装置のうち下方側に設けられた第1施錠装置付近に第1の開閉検出手段が配置され、その第1の開閉検出手段から離れ、施錠装置のうち上方側に設けられた第2施錠装置よりも上方に第2の開閉検出手段が配置される。よって、第1施錠装置付近でこじ開けがされた場合には、第1の開閉検出手段が第2の開閉検出手段よりも早く開閉体の開状態を検出することになる。すなわち、第4の発明によれば、こじ開けをより早く検出しやすい構成とすることができる。また、この構成においては、第2施錠装置付近からこじ開けされた場合であっても、第1施錠装置付近におけるこじ開けがされた時点で、第1の開閉検出手段が第2の開閉検出手段よりも早く開状態を検出する。
よって、第4の発明によれば、開閉体がこじ開けされている場合において、第1及び第2の開閉検出手段により検出された開閉体の開閉状態の検出結果の組合せが所定の組合せとは異なることが速やかにかつ確実に検出できる。これにより、開閉体のこじ開けが完了する前に、開閉体のこじ開けをさらに速やかに、かつさらに確実に検出できる。
第5の発明のこじ開け判定システムは、第4の発明において、
第3の開閉検出手段を更に備え、
前記第3の開閉検出手段は、前記開閉体の戸先が前記枠体から離間又は近接することに伴い、前記第3の開閉検出手段の位置における開閉状態を検出するセンサであり、
前記第3の開閉検出手段は、前記第2施錠装置付近に設けられ、
前記開閉体が閉じられた状態からこじ開けではなく正常に開けられる場合において、前記第3の開閉検出手段による前記開閉体の開状態の検出タイミングは、前記第1及び第2の開閉検出手段による前記開閉体の開状態の検出タイミングよりも遅いことを特徴とする。
第6の発明のこじ開け判定システムは、第4の発明において、
第3の開閉検出手段を更に備え、
前記第3の開閉検出手段は、前記第1施錠装置付近に設けられ、
前記各開閉検出手段は、前記開閉体及び前記枠体の一方に設けられた磁石と、前記開閉体及び前記枠体の他方に設けられた磁気センサとからなり、
前記磁気センサは、前記開閉体の戸先が前記枠体から離間又は近接することによる磁界の変化に基づき、前記各開閉検出手段のそれぞれの位置における開閉状態を検出するものであり、
前記第1の開閉検出手段及び前記第3の開閉検出手段は、前記磁石を共有しており、かつ前記磁気センサの位置を前記開閉体の開閉方向にずらして配置されており、
前記開閉体が閉じられた状態からこじ開けではなく正常に開けられる場合において、前記第3の開閉検出手段による前記開閉体の開状態の検出タイミングは、前記第1及び第2の開閉検出手段による前記開閉体の開状態の検出タイミングよりも遅いことを特徴とする。
第7の発明のこじ開け判定システムは、第1~第5の発明のいずれかにおいて、
前記各開閉検出手段は、前記開閉体及び前記枠体の一方に設けられた磁石と、前記開閉体及び前記枠体の他方に設けられた磁気センサとからなり、
前記磁気センサは、前記開閉体の戸先が前記枠体から離間又は近接することによる磁界の変化に基づき、前記各開閉検出手段のそれぞれの位置における開閉状態を検出するものであることを特徴とする。
第5及び第6の発明によれば、第3の開閉検出手段が更に設けられている。第3の開閉検出手段は、開閉体が閉じられた状態からこじ開けではなく正常に開けられる場合において、第1~第3の開閉検出手段のうちもっとも遅いタイミングで開閉体の開状態を検出する。すなわち、第3の開閉検出手段により、開閉体が閉じられた状態であることを確実に検出することができる。開閉体のこじ開けは開閉体の閉じられている場合に行われるものである。したがって、第3の開閉検出手段により開閉体の開状態を検出した場合は、こじ開けの判定を行なう必要がない。よって、第3の開閉検出手段により開閉体の開閉状況を検出することにより防犯上こじ開けの判定が不要な状況を把握することができる。これにより、このような場合をこじ開けの判定対象から除外することができるため、こじ開けの誤検出を抑制することができる。
第6及び第7の発明によれば、各開閉検出手段は、開閉体及び枠体の一方に設けられた磁石と、開閉体及び枠体の他方に設けられた磁気センサとからなる。磁気センサは、開閉体の戸先が枠体から離間又は近接することによる磁界の変化に基づき、開閉体の開閉状態を検出する。これにより、開閉検出手段によってそれぞれの位置における開閉体の開閉状態を速やかにかつ確実に検出できる。
また、第6の発明によれば、第3の開閉検出手段に対応する磁石は、第1の開閉検出手段に対応する磁石と共用される。この場合、各開閉検出手段に対応して各磁石が設けられる場合と比べて、磁石の個数を削減することができるため、その分コスト低減等の効果を得ることができる。
玄関周辺を示す平面図。 一実施形態である開閉検出センサ及び磁石の構成を示す概略図。 こじ開け判定システムの電気的構成を示す図。 こじ開け判定処理の処理手順を示すフローチャート。 開閉検出センサによる玄関ドアの開閉状態の検出について説明する概略図。 他の実施形態である開閉検出センサ及び磁石の構成を示す概略図。
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図1は玄関周辺を示す平面図である。
図1に示すように、建物10には、屋内スペースとして、玄関部11、廊下12、居室13等が設けられている。玄関部11には、出入口としての玄関口15が設けられている。この玄関口15を通じて建物10への出入りが可能となっている。以下では、玄関口15の開口方向、玄関口15の間口方向及び玄関口15の高さ方向を、開口方向d1、間口方向d2及び高さ方向d3と称する。
玄関口15には、開閉体としての玄関ドア16とドア枠17とが設けられている。玄関ドア16は、例えば回動式の開き戸からなり、右吊元とされている。この玄関ドア16により玄関口15が開閉され、玄関ドア16を閉じた場合には玄関ドア16がドア枠17に収納されるようになっている。以下では、玄関ドア16を閉鎖する場合に先端となる先端部を玄関ドア16の戸先と称し、玄関ドア16を閉状態とした場合にドア枠17と接する玄関ドア16の戸先側の側面を玄関ドア16の戸先側面と称する。
玄関ドア16(屋内側)には、そのドアの上部側と下部側とに施錠装置21が2つ取り付けられている。施錠装置21は通電により施解錠を行う電気錠からなる。施錠装置21は、建物10の居住者が携帯する電子キーによって施解錠されるようになっている。以下では、施錠装置21のうち上方側に設けられた施錠装置21を「上方側の施錠装置21」と称し、施錠装置21のうち下方側に設けられた施錠装置21を「下方側の施錠装置21」と称する。下方側の施錠装置21が第1施錠装置に相当し、上方側の施錠装置21が第2施錠装置に相当する。
図1に示すように、施錠装置21は、玄関ドア16に収納される錠ケース22と、錠ケース22に収容され、玄関ドア16の戸先から突出可能なデッドボルト23とを備えている。このデッドボルト23に対応する受孔部24がドア枠17(玄関口15)の側面に設けられている。玄関ドア16の戸先から施錠装置21によりデッドボルト23を突出させて、受孔部24に挿入することにより、施錠装置21が施錠される。施錠装置21によりデッドボルト23を受孔部24から抜き出して、デッドボルト23を錠ケース22内に収納することにより施錠装置21が解錠される。すなわち、デッドボルト23を突出又は収納することにより、施錠装置21が施錠又は解錠され、玄関ドア16の開閉が規制又許容される。換言すれば、デッドボルト23が受孔部24に挿入されて係合構造となることにより、施錠装置21が施錠状態とされる。
玄関ドア16には、屋外側に取っ手としてのドアハンドル18が設けられ、ドアハンドル18にはタッチセンサ(図示略)が内蔵されている。タッチセンサは、静電容量式のセンサであり、そのセンサ部分に人が接触したことを検出する。居住者の携帯する電子キーが認証された状態でタッチセンサが人の接触を検出することにより、施錠装置21が施解錠されるようになっている。
次に、こじ開け判定システムについて説明する。こじ開け判定システムは、玄関ドア16がこじ開けされているか否かを判定するシステムである。本実施形態では、玄関ドア16が閉じられている状況において、2つの開閉検出センサによって玄関ドア16の開閉状態を検出することにより玄関ドア16のこじ開けを判定する。
図2(a)には、玄関ドア16が開けられた状態の玄関ドア16周辺の概略図が示されている。図2(a)に示すように、玄関ドア16には、玄関ドア16の開閉を検出する各開閉検出センサ26a,27a,28aが設けられている。詳しくは、各開閉検出センサ26a,27a,28aは玄関ドア16の戸先側面に設けられている。本実施形態では、玄関ドア16の戸先側面において、開閉検出センサ26aは、上方側の施錠装置21よりも上方側に設けられ、開閉検出センサ27aは下方側の施錠装置21の付近に設けられ、開閉検出センサ28aは上方側の施錠装置21の付近に設けられ、開閉検出センサ26aと開閉検出センサ27aとの間に設けられている。
ドア枠17には、各開閉検出センサ26a,27a,28aに対応する各磁石26b,27b,28bがドア枠17の側面(玄関ドア16の戸先側面に対向する面)に設けられている。各磁石26b,27b,28bは、例えばマグネットシートで構成され、マグネットシートの面(表面と裏面と)がそれぞれN極31aとS極31bとに着磁されている。各磁石26b,27b,28bは、磁極方向が間口方向d2と平行となるように取り付ける。すなわち、マグネットシートの一方の極(例えば、S極31b)側をドア枠17の側面に貼り付けることにより、他方の極(例えば、N極31a)側が玄関ドア16の戸先側面に向けて露出し、表面となる。なお、後述の図2(b)、図2(c)では、ドア枠17を背面から見ているため、便宜上、ドア枠17に貼り付けられた各磁石26b,27b,28bの裏面の極(すなわち、S極31b)を示している。
各開閉検出センサ26a,27a,28aは、各磁石26b,27b,28bによる磁界(磁束密度)の変化に基づき玄関ドア16の開閉状態を検出する磁気センサ(例えば、磁気スイッチ)である。本実施形態では、各開閉検出センサ26a,27a,28aのそれぞれの位置における玄関ドア16の開閉状態が検出される。開閉検出センサ27a及び磁石27bが第1の位置検出手段に相当し、開閉検出センサ26a及び磁石26bが第2の開閉検出手段に相当し、開閉検出センサ28a及び磁石28bが第3の開閉検出手段に相当する。なお、玄関ドア16の戸先がドア枠17から離間又は近接することによる、玄関ドア16の離間又は近接(開閉)の状態をオン、オフで検出できるセンサであれば、各開閉検出手段として適用可能である。
なお、開閉検出センサ28aは、玄関ドア16を開けた状態から閉める状況において、玄関ドア16の戸先側面とドア枠17の側面との間で間口方向d2における重なり合いが生じた場合(すなわち、玄関ドア16が開閉移行状態となった場合)に「閉状態」と検出する。また、開閉検出センサ28aは、玄関ドア16を閉めた状態から開ける状況において、玄関ドア16の戸先側面とドア枠17の側面との間で間口方向d2における重なり合いが解消した場合に「開状態」と検出する。したがって、本実施形態では、開閉検出センサ28aは、玄関ドア16の完全閉状態~開閉移行状態において「閉状態」と検出するように構成されている。
ここで、図2(b)、図2(c)に基づき、各開閉検出センサ26a,27a,28aと各磁石26b,27b,28bとが設けられる位置関係について説明する。図2(b)、図2(c)は、図2(a)の玄関ドア16周辺を白抜き矢印Aの方向から見た図であり、玄関ドア16周辺の各開閉検出センサ26a,27a,28a及び各磁石26b,27b,28bの構成を示す概略図である。図2(b)は玄関ドア16が開けられた状態であり、図2(c)は玄関ドア16が閉じられた状態である。なお、図2(b)、図2(c)では、便宜上、各開閉検出センサ26a,27a,28a、各磁石26b,27b,28b以外の構成は省略している。
図2(b)において、ドア枠17は、その側面を背面から見た図であり、玄関ドア16は、その戸先側面を正面から見た図である。図2(b)では、玄関ドア16が開状態とされているため、玄関ドア16の戸先側面は、ドア枠17の側面から離れ、玄関ドア16の戸先側面とドア枠17の側面との間で間口方向d2における重なり合いがない状態である。すなわち、各開閉検出センサ26a,27a,28aは、各磁石26b,27b,28bと離れて位置する。この状態から玄関ドア16を閉じていくと、玄関ドア16(戸先側面)はドア枠17の側面と間口方向d2において重なり合いを生じ(以下、開閉移行状態)、その後、玄関ドア16はドア枠17に保持される(収納される)(以下、完全閉状態)。図2(c)は、ドア枠17と玄関ドア16の戸先側面とが重なり合っており、玄関ドア16の完全閉状態を示す図である。なお、識別しやすくするため、便宜上、玄関ドア16の戸先側面及びそこに設けられている各開閉検出センサ26a,27a,28aは実線で示す。
図2(b)に示すように、各開閉検出センサ26a,27a,28aは、玄関ドア16の戸先側面に開口方向d1において位置を揃えて取り付けられている。各磁石26b,27b,28bは、長尺状であり、ドア枠17の側面に開口方向d1における屋外側の位置をずらして取り付けられている。詳しくは、ドア枠17の側面において、各磁石26b,27b,28bはサイズが異なっており、開口方向d1における長さが異なっている。各磁石26b,27b,28bの長さは、各磁石26b,27b,28bの順に長くなる。各磁石26b,27b,28bは、開口方向d1において屋内側の位置を揃えて配置されており、これにより開口方向d1において屋外側の位置が相違する。
続いて、こじ開け判定システムの電気的構成について図3に基づいて説明する。図3は、こじ開け判定システムの電気的構成を示す図である。
図3に示すように、こじ開け判定システムは、当該システムを統括管理するコントローラ40を備える。コントローラ40は、CPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータを含んで構成され、建物10の屋内側(例えば、玄関周辺の壁面等)に設けられている。
コントローラ40には、各開閉検出センサ26a,27a,28aが接続されている。コントローラ40には、各開閉検出センサ26a,27a,28aから逐次検出結果が入力される。コントローラ40は、各開閉検出センサ26a,27a,28aからの検出結果に基づいて、玄関ドア16の開閉状態を判定する。コントローラ40は、各開閉検出センサ26a,27a,28aからの検出結果に基づいて、玄関ドア16がこじ開けられているか否かを判定する。なお、コントローラ40がこじ開け判定手段に相当する。
コントローラ40には、各開閉検出センサ26a,27a,28aからの検出結果等を記憶する記憶部41を備えている。記憶部41には、玄関ドア16の通常の(こじ開けでない)開閉時において各開閉検出センサ26a,27a,28aにより検出される開閉状態の検出順序があらかじめ記憶されている。
コントローラ40は、こじ開け判定システムの管理を行う管理センタ50(詳しくは管理センタ50に設けられたサーバ)とネットワークNを介して接続されている。コントローラ40は、管理センタ50とネットワークNを介して通信可能とされている。建物10は、管理センタ50の管理対象として登録済みであるとする。
次に、コントローラ40により実行される玄関ドア16のこじ開け判定処理の内容について説明する。図4は、玄関ドア16のこじ開け判定に関する制御処理の流れを示すフローチャートである。本処理は、所定の時間周期(例えば、0.5秒)で繰り返し実行される。
まずステップS11にて、開閉検出センサ28aによる玄関ドア16の開閉状態の検出結果に基づき、玄関ドア16が閉じられた状態であるか否かを判定する。開閉検出センサ28aにより玄関ドア16の閉状態が検出されている場合、すなわち、玄関ドア16が閉じられた状態である場合には、ステップS12へ進む。開閉検出センサ28aにより玄関ドア16の開状態が検出されている場合、すなわち、玄関ドア16が開いている状態である場合には、玄関ドア16が閉じられた状態でないとして本処理を終了する。
続くステップS12では、各開閉検出センサ26a,27aにより検出される玄関ドア16の開閉状態の検出結果の組合せが、所定の組合せであるか否かを判定する。ここでは、各開閉検出センサ26a,27aにより検出された玄関ドア16の開閉状態の検出結果の組合せに基づいて、こじ開けがなされているか否かを判定している。
ここで、玄関ドア16の通常状態としては、玄関ドア16の通常の(こじ開けでない)開閉時と、玄関ドア16が開けられた状態と、玄関ドア16が閉じられた状態とを含むとする。この玄関ドア16の通常状態において、各開閉検出センサ26a,27a,28aにより検出される玄関ドア16の開閉状態(切換)を図5(a)、図5(b)に基づき説明する。図5(a)は、玄関ドア16の通常状態において、各開閉検出センサ26a,27a,28aによる玄関ドア16の開閉状態の検出結果を説明する概略図であり、図5(b)は、玄関ドア16の通常状態において、各開閉検出センサ26a,27aにより検出される玄関ドア16の開閉状態の検出結果の組合せを示す図である。
図5(a)に示すように、まず、玄関ドア16が閉じられた状態(玄関ドア16の完全閉状態)の場合は、各開閉検出センサ26a,27a,28aにより玄関ドア16の閉状態が検出される(Dの状態)。また、玄関ドア16が開けられた状態(玄関ドア16の開閉移行状態が解消されている状態)の場合は、各開閉検出センサ26a,27a,28aにより玄関ドア16の開状態が検出される(Aの状態)。そして、玄関ドア16の開閉時には、各開閉検出センサ26a,27a,28aと各磁石26b,27b,28bとの位置関係に基づき、玄関ドア16が開閉移行状態から完全閉状態の間、各開閉検出センサ26a,27a,28aにより玄関ドア16の開閉状態(開状態から閉状態の切換え)がタイミングをずらして検出される。
具体的には、玄関ドア16が閉じられる場合には、玄関ドア16が開閉移行状態となった際に開閉検出センサ28aにより玄関ドア16の閉状態がまず最初に検出され(Aの状態からBの状態)、その後、開閉検出センサ27a、開閉検出センサ26aにより順に玄関ドア16の閉状態が検出される(Cの状態からDの状態)。玄関ドア16が閉じられた状態から開けられる場合には、開閉検出センサ26aにより玄関ドア16の開状態がまず最初に検出され(Dの状態からCの状態)、その後、開閉検出センサ27a、開閉検出センサ28aにより順に玄関ドア16の開状態が検出される(Bの状態からAの状態)。
すなわち、本実施形態では、玄関ドア16の通常状態において、ドア枠17に対する玄関ドア16の位置に基づいて各開閉検出センサ26a,27aにより検出される玄関ドア16の開閉状態が異なるタイミングで切り換わる構成とされている。これにより、玄関ドア16の通常状態(すなわち、A~Dの状態)において、各開閉検出センサ26a,27aにより検出される玄関ドア16の開閉状態の検出結果の組合せは、図5(b)に示す組合せに限定される。
一方、玄関ドア16の通常状態でない事態が生じている場合として、例えば、玄関ドア16のこじ開けがなされている場合が考えられる。この玄関ドア16がこじ開けされている状態(以下、玄関ドア16の異常状態)において、各開閉検出センサ26a,27a,28aにより検出される玄関ドア16の開閉状態(切換)を図5(c)、図5(d)に基づき説明する。図5(c)は、玄関ドア16の異常状態において、各開閉検出センサ26a,27a,28aにより検出される玄関ドア16の開閉状態の検出結果の一例を示す概略図であり、図5(d)は、玄関ドア16の異常状態において、各開閉検出センサ26a,27aにより検出される玄関ドア16の開閉状態の検出結果の組合せを示す図である。
玄関ドア16がこじ開けされる場合には、不審者は人目を避けるため下方側の施錠装置21におけるデッドボルト23と受孔部24との係合構造をまず破壊しようとすることが多い。この係合構造の破壊によりこじ開けされる場合、こじ開け部分において玄関ドア16(戸先側面)及びドア枠17(側面)の少なくとも一方は変形し、ドア枠17の側面と玄関ドア16の戸先側面との位置関係(距離)が変化する。これにより、こじ開けが完了する前(玄関口15を開放される前)の早い段階で、こじ開け部分(下方側の施錠装置21)付近に配置された開閉検出センサ27aは、ドア枠17に設けられた対応する磁石27bからの磁場の変化に基づき、玄関ドア16の開閉状態を閉状態から開状態に切り換える。
この段階において、上方側の施錠装置21はこじ開けされておらず、玄関ドア16の上方側に配置された開閉検出センサ26a及び上方側の施錠装置21付近に設けられた開閉検出センサ28aにおいては、ドア枠17に設けられた対応する各磁石26b,28bからの磁場の変化がない又は小さい。この場合、開閉検出センサ26a,28aにより検出される玄関ドア16の開閉状態は閉状態のまま変化しない。すなわち、開閉検出センサ26a,28aにより閉状態が検出されているにもかかわらず、開閉検出センサ27aにより開状態が検出されることになる(図5(c) C’の状態)。これにより、各開閉検出センサ26a,27aにより出力される開閉状態の検出結果の組合せが所定の組合せ(すなわち、図5(b)の表に記載の組合せ)とは相違する状態となる。
以上のように、各開閉検出センサ26a,27aにより検出される開閉状態の検出結果の組合せに基づいて、玄関ドア16及びドア枠17の少なくとも一方において変形が生じていること、すなわち、玄関ドア16がこじ開けられていることが推測できる。よって、各開閉検出センサ26a,27aにより検出される開閉状態の検出結果の組合せが所定の組合せである場合には、防犯上問題がない玄関ドア16の通常状態であるため、こじ開けが検出されないとして本処理を終了する。各開閉検出センサ26a,27aにより検出される開閉状態の検出結果の組合せが所定の組合せでない場合には、玄関ドア16の異常状態であるとしてステップS13へ進む。ステップS13では、玄関ドア16においてこじ開けが検出された(異常状態である)として判定した後、ステップS14へ進む。
ステップS14では、管理センタ50に建物10の玄関ドア16のこじ開けが検出されたことを通知する。通知後、本処理を終了する。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
(1)本実施形態によれば、各開閉検出センサ26a,27aは、玄関ドア16の戸先がドア枠17から離間又は近接することによる磁界の変化に基づき、2つの開閉検出センサ26a,27aのそれぞれの位置における玄関ドア16の開閉状態をそれぞれ検出する。この際、玄関ドア16の通常の開閉に伴う玄関ドア16の開閉状態の検出は、各開閉検出センサ26a,27aにより所定の順序で検出されるように構成されている。これにより、玄関ドア16の通常の開閉に伴って開閉検出センサ26aにより検出される開閉状態と、開閉検出センサ27aにより検出される玄関ドア16の開閉状態とが、所定の組合せに限定される。本実施形態では、玄関ドア16を閉じられた状態からこじ開けでなく正常に開けられる場合には、開閉検出センサ26aにより玄関ドア16の開状態が検出され、その後、開閉検出センサ27a、開閉検出センサ28aにより順次玄関ドア16の開状態が検出される。
本実施形態では、下方側の施錠装置21付近において玄関ドア16のこじ開けがなされている場合、例えば、その下方側の施錠装置21に設けられた開閉検出センサ27aにおいては、玄関ドア16等の変形によって玄関ドア16の戸先側面とドア枠17との距離が変化したことにより、磁界が変化し玄関ドア16の開閉状態を閉状態から閉状態へと切り換える。一方、こじ開け部分から離れた位置においては玄関ドア16等の変形がない又は少なくなるため、開閉検出センサ26aにおいては、玄関ドア16の戸先側面とドア枠17との距離が変化しない又は変化が小さく(すなわち、磁界の変化がない又は少なく)、玄関ドア16の開閉状態は切り換わらず、閉状態のままとなる。したがって、こじ開けが完了する前(玄関口15を開放される前)の早い段階で、2つの開閉検出センサ26a,27aにより検出される2カ所における玄関ドア16の開閉状態の検出結果の組合せは、所定の組合せとは異なる状態が生じる。
よって、本実施形態によれば、2つの開閉検出センサ26a,27aにより検出される玄関ドア16の開閉状態の検出結果の組合せを評価することにより、玄関ドア16等の変形が一部で生じているか否か、すなわち、こじ開け作業中であるか否かを判定することができる。これにより、玄関ドア16のこじ開けが完了する前に、玄関ドア16のこじ開けを速やかにかつ確実に検出することができる。
(2)本実施形態によれば、2つの開閉検出センサ26a,27aによる玄関ドア16の開閉状態の検出結果の組合せのみでこじ開けを検出することができる。この場合、通常において開閉を検出するための開閉検出手段を利用することができる。これにより、こじ開けを検出するための他の装置を別途設ける場合と比べて簡単な構成とすることができ、その分コスト低減等の効果を得ることができる。
(3)玄関ドア16の建付けが悪かったり、玄関ドア16に物が衝突したりすると、玄関ドア16において局所的又は一時的に変形を伴う場合がある。2つの開閉検出センサ26a,27aにより開閉が同時に検出される構成の場合、これらの要因により開閉の検出がずれた場合にもこじ開けされたと判定されてしまい、誤検出が多くなるおそれがある。
本実施形態によれば、玄関ドア16が閉じられた状態からこじ開けでなく正常に開けられる場合において各開閉検出センサ26a,27aによる玄関ドア16の開状態の検出が異なるタイミングで検出される。換言すれば、玄関ドア16の通常の開閉に伴って各開閉検出センサ26a,27aにより検出される開閉状態は、異なるタイミングで開状態から閉状態へと切り換わる。この場合、建付けの悪さ等の誤検出の要因を含めて、各開閉検出センサ26a,27aによる玄関ドア16の開状態の検出タイミングを設定できる。これにより、こじ開けの誤検出を減らすことができる。
(4)本実施形態によれば、開閉検出センサ27aは2つの施錠装置21のうち下方側の施錠装置21付近に配置され、開閉検出センサ26aは2つの施錠装置21のうち上方側の施錠装置21よりも上方に配置される。また、本実施形態によれば、玄関ドア16が閉じられた状態からこじ開けでなく正常に開けられる場合において、開閉検出センサ27aによる玄関ドア16の開状態の検出タイミングは、開閉検出センサ26aによる玄関ドア16の開状態の検出タイミングよりも遅い構成とされている。
一般的に、不審者は、施錠装置21が複数設けられている場合、人目を避けるために施錠装置21のうち下方側に設けられた施錠装置21付近からこじ開けを行うことが多い。本実施形態によれば、下方側の施錠装置21付近でこじ開けがされた場合には、開閉検出センサ27aが開閉検出センサ26aよりも早く玄関ドア16の開状態を検出することになる。また、この構成においては下方側の施錠装置21付近でこじ開けがされた時点で、開閉検出センサ27aが開閉検出センサ26aよりも早く開状態を検出することになる。すなわち、上方側の施錠装置21付近からこじ開けされた場合であっても、施錠装置21付近におけるこじ開けがされた時点で、開閉検出センサ27aが開閉検出センサ26aよりも早く開状態を検出する。よって、本実施形態によれば、玄関ドア16がこじ開けされている場合において、各開閉検出センサ26a,27aにより検出された玄関ドア16の開閉状態の検出結果の組合せが所定の組合せとは異なることが確実に検出できる。これにより、玄関ドア16のこじ開けが完了する前に、玄関ドア16のこじ開けをさらに速やかに、かつさらに確実に検出できる。
(5)本実施形態によれば、開閉検出センサ28aがさらに設けられている。開閉検出センサ28aは、玄関ドア16が閉じられた状態からこじ開けではなく正常に開けられる場合において、各開閉検出センサ26a,27a,28aのうちもっとも遅いタイミングで玄関ドア16の開状態を検出する。すなわち、開閉検出センサ28aにより、玄関ドア16が閉じられた状態であることを確実に検出することができる。玄関ドア16のこじ開けは玄関ドア16の閉じられている場合に行われるものである。したがって、開閉検出センサ28aにより開閉体の開状態を検出した場合は、こじ開けの判定を行なう必要がない。よって、開閉検出センサ28aにより玄関ドア16の開閉状況を検出することにより防犯上こじ開けの判定が不要な状況を把握することができる。これにより、このような場合をこじ開けの判定対象から除外することができるため、こじ開けの誤検出を抑制することができる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では構造体として住宅用である建物10を対象とするこじ開け判定システムを説明したが、本発明のこじ開け判定システムの適用対象となる構造体は住宅用の建物10に制限されず、例えば車両、商業ビル、倉庫、金庫等の構造体でもよい。
(2)上記実施形態では、各開閉検出センサ26a,27a,28aは、それぞれに対応する各磁石26b,27b,28bが設けられる構成とされているが、各開閉検出センサ26a,27a,28aごとに対応する磁石を設けなくてもよい。例えば、上記実施形態において、開閉検出センサ27a,28aに対応する磁石として、1つの磁石29bを設けてもよい。換言すれば、開閉検出センサ28aに対応する磁石は、開閉検出センサ27aに対応する磁石と共用できる。この場合の各開閉検出センサ26a,27a,28a及び各磁石26b,29bの位置関係の概略図を図6(a)、図6(b)、図6(c)に示す。図6(a)、図6(b)、図6(c)は、それぞれ図2(a)、図2(b)、図2(c)と同様の形式で玄関ドア16周辺の各開閉検出センサ26a,27a,28a及び各磁石26b,29bの構成を示す概略図である。以下では、上記実施形態との相違点についてのみ説明する。
図6(a)に示すように、玄関ドア16の戸先側面において、開閉検出センサ28aは、下方側の施錠装置21付近に設けられており、開閉検出センサ27aの上方に設けられている。ドア枠17の側面には、各開閉検出センサ27a,28aに対応する磁石29bが取り付けられている。
図6(b)に示すように、玄関ドア16の戸先側面において、開閉検出センサ26a,28aは、開口方向d1において同一の位置に取り付けられている。開閉検出センサ27aは、開閉検出センサ26a,28aとは、開口方向d1における位置をずらして取り付けられている。詳しくは、開閉検出センサ27aは、玄関ドア16の戸先側面の屋外側に寄って取り付けられ、開閉検出センサ26a,28aは、玄関ドア16の戸先側面の中心に取り付けられている。
磁石26b,29bは、長尺状であり、ドア枠17の側面に開口方向d1における屋外側の位置をずらして取り付けられている。詳しくは、ドア枠17の側面において、磁石27b,29bはサイズが異なっており、磁石29bは開口方向d1及び高さ方向d3において磁石26bよりも長い。磁石29bは、玄関ドア16が完全閉状態となった場合に、2つの開閉検出センサ27a,28aを間口方向d2において包含できるサイズである。磁石26b,29bは、開口方向d1において屋内側の位置を揃えて配置されており、これにより開口方向d1において屋外側の位置が相違する。磁石29bは、ドア枠17の側面において屋外側に近接して取り付けられている。
図6(b)のように各開閉検出センサ26a,27a,28a及び各磁石26b,29bを設けることにより、開閉検出センサ28aは、玄関ドア16が開閉移行状態から完全閉状態となる間、磁石29bと重なり合う。開閉検出センサ27aは、開閉移行状態から完全閉状態となる間において、開閉検出センサ26aが磁石26bと間口方向d2における重なり合いを生じるよりも早く、磁石29bと間口方向d2における重なり合いを生じる。玄関ドア16が完全閉状態となった場合は、玄関ドア16の戸先側面とドア枠17の側面とが図6(c)のように間口方向d2において重なり合う。
すなわち、この場合、玄関ドア16の開閉に伴って各開閉検出センサ26a,27a,28aにより検出される玄関ドア16の開閉状態は、上記実施形態と同様の順序で切り換わる。この場合、上記実施形態と同様の効果が得られるだけでなく、上記実施形態と比べて、磁石の個数を削減することができるため、その分コスト低減等の効果を得ることができる。
(3)上記実施形態では、各開閉検出センサ26a,27a,28aは玄関ドア16の戸先側面に設けられ、対応する各磁石26b,27b,28bはドア枠17の側面に設けられているが、これらの設置場所はこれに限定されない。各開閉検出センサ26a,27a,28aにより玄関ドア16の開閉状態が検出できればよいため、例えば、各開閉検出センサ26a,27a,28aはドア枠17の側面に設けられ、対応する各磁石26b,27b,28bは玄関ドア16の戸先側面に設けられていてもよい。また、各開閉検出センサ26a,27aの少なくとも一つは下方側の施錠装置21のデッドボルト23と受孔部24との係合構造の付近であるのが好ましいが、各開閉検出センサ26a,27a,28aの少なくとも一つは、玄関ドア16の上側面の戸先側又はドア枠17の上側面に設けてもよい。この場合、各開閉検出センサ26a,27a,28aに対応する各磁石26b,27b,28bを、各開閉検出センサ26a,27a,28aに対向する面に設ける。
または、玄関ドア16の正面や背面等に各開閉検出センサ26a,27a,28aを設け、対応する各磁石26b,27b,28bは、ドア枠17の側面、屋内側の面、又は屋外側の面や、外壁又は内壁等に設けてもよい。この構成においては、各開閉検出センサ26a,27a及び各磁石26b,27bを玄関ドア16内やドア枠17内に組み込む必要がない。よって、当該構成によれば、簡易的な施工により各開閉検出センサ26a,27a,28a及び各磁石26b,27b,28bを取り付けることができ、建物10や玄関ドア16の施工時でなくとも後付けすることができる。
(4)上記実施形態では、開閉検出センサ28aにより閉状態と検出された場合にこじ開けの判定処理を行う構成としたが、開閉検出センサ28aは必須の構成ではない。例えば、施錠装置21に施解錠検出センサを設け、当該施解錠検出センサにより施錠状態と検出されている場合にこじ開けの判定処理を行う構成としてもよい。施錠装置21の施錠状態が検出された場合にこじ開けの判定処理を行うことにより、上記実施形態と同様に、こじ開けの誤検出を抑制することができる。
(5)上記実施形態では、上方側の施錠装置21付近には開閉検出センサ28aを設けたが、例えば、上方側の施錠装置21付近に、開閉検出センサ27a’をさらに設けてもよい。この場合、開閉検出センサ27a’による開閉状態の検出タイミングは、開閉検出センサ27aと同一とする。これにより、玄関ドア16が閉められている状態において、開閉検出センサ27a,27a’による開状態の検出タイミングが開閉検出センサ26aによる開状態の検出タイミングより早い場合、玄関ドア16の異常状態として検出できる。
(6)上記実施形態では、玄関ドア16は開き戸としたが、玄関ドア16は引き戸であってもよい。この場合、例えば、下方側の施錠装置21の付近に開閉検出センサ27aを設け、他方の開閉検出センサ26aは、玄関ドア16の上側面の戸先側又はドア枠17の上側面に設けてもよい。この場合であっても、玄関ドア16の開閉状態を2つの開閉検出センサ26a,27aにより検出することにより、上記実施形態と同様にしてこじ開けの検出ができる。
10…建物、11…玄関部、15…開口部としての玄関口、16…開閉体としての玄関ドア、17…枠体としてのドア枠、21…施錠装置、26a…第2の開閉検出手段を構成する開閉検出センサ、26b…第2の開閉検出手段を構成する磁石、27a…第1の開閉検出手段を構成する開閉検出センサ、27b…第1の開閉検出手段を構成する磁石、28a…第3の開閉検出手段を構成する開閉検出センサ、28b…第3の開閉検出手段を構成する磁石、40…コントローラ。

Claims (5)

  1. 開口部に固定される枠体と、前記枠体に支持され、前記開口部を開閉する開閉体と、前記開閉体を施錠する施錠装置とを備える構造体に適用され、前記開閉体のこじ開けを判定するシステムであって、
    前記開閉体の開閉状態を互いに離間した位置において検出する第1及び第2の開閉検出手段と、
    前記開閉体がこじ開けられているか否かを判定するこじ開け判定手段と、
    を備え、
    第1及び第2の開閉検出手段は、前記開閉体の戸先が前記枠体から離間又は近接することに伴い、前記第1及び第2の開閉検出手段のそれぞれの位置における開閉状態を検出するセンサであり、
    前記こじ開け判定手段は、前記第1及び第2の開閉検出手段による前記開閉体の開閉状態の検出結果の組合せが所定の組合せと異なる場合、前記開閉体がこじ開けされていると判定し、
    前記第1の開閉検出手段は、前記施錠装置付近に設けられ、
    前記第2の開閉検出手段は、前記施錠装置から離れた位置に設けられ、
    前記開閉体が閉じられた状態からこじ開けではなく正常に開けられる場合において、前記第1の開閉検出手段による前記開閉体の開状態の検出タイミングは、前記第2の開閉検出手段による前記開閉体の開状態の検出タイミングよりも遅いことを特徴とする、こじ開け判定システム。
  2. 前記施錠装置は、第1施錠装置と、それより上方に設けられた第2施錠装置とを備え、
    前記第1の開閉検出手段は、前記第1施錠装置付近に設けられ、
    前記第2の開閉検出手段は、前記第2施錠装置より上方に設けられていることを特徴とする、請求項に記載のこじ開け判定システム。
  3. 第3の開閉検出手段を更に備え、
    前記第3の開閉検出手段は、前記開閉体の戸先が前記枠体から離間又は近接することに伴い、前記第3の開閉検出手段の位置における開閉状態を検出するセンサであり、
    前記第3の開閉検出手段は、前記第2施錠装置付近に設けられ、
    前記開閉体が閉じられた状態からこじ開けではなく正常に開けられる場合において、前記第3の開閉検出手段による前記開閉体の開状態の検出タイミングは、前記第1及び第2の開閉検出手段による前記開閉体の開状態の検出タイミングよりも遅いことを特徴とする、請求項に記載のこじ開け判定システム。
  4. 第3の開閉検出手段を更に備え、
    前記第3の開閉検出手段は、前記第1施錠装置付近に設けられ、
    前記各開閉検出手段は、前記開閉体及び前記枠体の一方に設けられた磁石と、前記開閉体及び前記枠体の他方に設けられた磁気センサとからなり、
    前記磁気センサは、前記開閉体の戸先が前記枠体から離間又は近接することによる磁界の変化に基づき、前記各開閉検出手段のそれぞれの位置における開閉状態を検出するものであり、
    前記第1の開閉検出手段及び前記第3の開閉検出手段は、前記磁石を共有しており、かつ前記磁気センサの位置を前記開閉体の開閉方向にずらして配置されており、
    前記開閉体が閉じられた状態からこじ開けではなく正常に開けられる場合において、前記第3の開閉検出手段による前記開閉体の開状態の検出タイミングは、前記第1及び第2の開閉検出手段による前記開閉体の開状態の検出タイミングよりも遅いことを特徴とする、請求項に記載のこじ開け判定システム。
  5. 前記各開閉検出手段は、前記開閉体及び前記枠体の一方に設けられた磁石と、前記開閉体及び前記枠体の他方に設けられた磁気センサとからなり、
    前記磁気センサは、前記開閉体の戸先が前記枠体から離間又は近接することによる磁界の変化に基づき、前記各開閉検出手段のそれぞれの位置における開閉状態を検出するものであることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のこじ開け判定システム。
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