(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係る感震システム100は、図1及び図2に示すように、例えば、複数の回路8(図2参照)のうちの1以上の回路8の管理に用いられる。この感震システム100は、複数の回路8のうちの1以上の回路8に関して、「通知」と「電力の調整」との少なくとも一方の処理を実行する。
本開示でいう「電力の調整」は、回路8に供給される電力又は回路8から出力される電力を調整することを意味し、例えば、幹線6(図2参照)等から回路8に供給される電力を大きく又は小さくすることを含む。そのため、幹線6等から回路8に供給される電力をゼロ(0)にすること、及び回路8から幹線6等に出力される電力をゼロ(0)にすること、つまり回路8と幹線6との間を電気的に遮断することも、「電力の調整」に含まれる。
本開示でいう「電気的に遮断する」とは、二者間での電力の供給を断ち切り、二者間を電気的に分離する(切り離す)ことを意味する。そのため、例えば、回路8における幹線6との接続端に挿入される開閉器2にて、回路8と幹線6との間を電気的に遮断することで、幹線6から回路8への(又は回路8から幹線6への)電力供給が遮断される。このような開閉器2が複数の回路8の各々に設けられることで、回路8ごとに電力を遮断することが可能となる。
これにより、開閉器2では、幹線6から回路8への電力供給を遮断することが可能である。また、回路8に発電設備等が含まれている場合には、開閉器2では、回路8から幹線6への電力供給を遮断することが可能である。この種の開閉器2としては、例えば、分電盤に用いられる分岐ブレーカ等の配線用遮断器がある。ただし、配線用遮断器(ブレーカ)としての機能は開閉器2に必須ではなく、開閉器2は、例えば、スイッチ、リレー又は解列器として用いられてもよい。
本実施形態に係る分電盤1は、感震システム100と、複数の開閉器2と、分電盤用キャビネット10(図3参照)と、を備える。分電盤用キャビネット10は、複数の開閉器2を収容する。ここでは、一例として、複数の回路8と一対一に対応するように、分電盤1が複数の開閉器2を備える場合について説明する。つまり、各開閉器2は、複数の回路8の各々に含まれている。これら複数の開閉器2が、分電盤用キャビネット10に収容されている。
本実施形態に係る感震システム100は、地震検出部101と、回路判定部102と、処理部103と、を備えている。地震検出部101は、地震の発生の有無を検出する。回路判定部102は、複数の回路8のうちの1以上の回路8の状態を判定する。処理部103は、地震検出部101の検出結果及び回路判定部102の判定結果に基づいて、1以上の回路8に関して、通知と電力の調整との少なくとも一方の処理を実行する。
本開示でいう「回路8の状態」は、回路8の構成(接続関係)等の回路8の静的な状態と、回路8に含まれる配線81(図2参照)又は負荷82(図2参照)の異常、及び動作状態(オン/オフ)等の回路8の動的な状態と、を含む。静的な状態の一例として、回路8に含まれている負荷82の種類及び台数等がある。動的な状態の一例として、回路8に含まれている配線81における絶縁劣化又は半断線等の異常の有無等がある。本開示でいう「半断線」は、断線しかかっている状態を意味し、具体的には、配線81がより線であれば、より線を構成する複数本の素線のうちの一部の素線が断線した状態である。
上述したように、本実施形態に係る感震システム100によれば、1以上の回路8に関する通知と電力の調整との少なくとも一方の処理は、地震の発生の有無だけでなく、回路判定部102による回路8の状態の判定結果に基づいて、実行される。すなわち、電力の調整(遮断等)のような処理は、地震の発生時であっても、常に複数の回路8の全てに関して実行されるのではなく、回路判定部102の判定結果によっては実行されないことになる。したがって、地震の発生時において、例えば、電気ストーブ及びIHクッキングヒータ等、地震の発生時に即時遮断することが好ましい負荷82(図2参照)を含む特定回路があれば、特定回路への通電を即時遮断すること等が可能である。その結果、例えば、地震の発生から一定時間の間は特定回路への通電が遮断されない、といった事態が生じにくくなり、地震発生時の動作の信頼性向上を図ることができる。一方で、地震の発生時において、例えば、照明器具及び防災設備(避難設備、誘導設備を含む)等、避難に必要な負荷82を含む必要回路があれば、必要回路への通電を継続すること等が可能である。
(2)詳細
以下、本実施形態に係る感震システム100及び分電盤1の詳細について図1~図6を参照して説明する。分電盤1に含まれる複数の開閉器2は、共通の構成を採用しているため、以下、特に断りが無い限り、1つの開閉器2の構成についての説明は、他の開閉器2にも適用可能である。
(2.1)全体構成
まずは、本実施形態に係る分電盤1の全体構成について、図1~図3を参照して説明する。
本実施形態では、上述した通り、分電盤1は、感震システム100と、複数の開閉器2と、分電盤用キャビネット10と、を備えている。また、分電盤1は、感震システム100、分電盤用キャビネット10及び複数の開閉器2に加えて、主幹ブレーカ3、計測ユニット4、電流計測装置5及び感震ユニット9を更に備えている。本実施形態では、感震システム100の構成要素(地震検出部101、回路判定部102及び処理部103等)は、一例として、計測ユニット4及び感震ユニット9に分散して設けられている。
開閉器2、主幹ブレーカ3、計測ユニット4、電流計測装置5及び感震ユニット9は、分電盤1の構成要素の一部であって、分電盤1の内器として分電盤用キャビネット10に収容されている。本実施形態に係る分電盤1では、一般的な分電盤の分岐ブレーカに代えて開閉器2及び感震ユニット9が設けられている。
分電盤用キャビネット10は、本体11を含んでいる。本体11は、開閉器2、主幹ブレーカ3、計測ユニット4、電流計測装置5及び感震ユニット9等を収容する。本体11は、造営材(例えば建物の壁)に取り付けられる。造営材は、分電盤用キャビネット10が設置される建物(戸建て住宅、集合住宅の住戸又はテナントビル等)内の部屋の壁に限らず、例えば、建物内の部屋の天井又は床であってもよい。
分電盤用キャビネット10の本体11は、前面が開口した箱状のボディ12と、ボディ12の前面を覆うカバーと、を備えている。カバーは、閉位置と開位置との間で移動可能な状態でボディ12に取り付けられる。閉位置はボディ12の前面を覆う位置であり、開位置はボディ12の前面の少なくとも一部を覆わない位置である。分電盤用キャビネット10の本体11は、例えば建物の壁に取り付けられている。分電盤用キャビネット10の本体11は、例えば平均的な身長の子供では手が届かないような高さ位置であって、平均的な身長の大人であれば操作が可能なような高さ位置に設けられている。
分電盤用キャビネット10の本体11の内部には、複数の開閉器2、主幹ブレーカ3、計測ユニット4、電流計測装置5及び感震ユニット9が収容されている。本実施形態に係る分電盤1においては、一般的な分電盤の分岐ブレーカに代えて開閉器2及び感震ユニット9が設けられている。そのため、複数の開閉器2及び感震ユニット9は、分電盤用キャビネット10において、分岐ブレーカが収まるべきところに収容される。複数の開閉器2、主幹ブレーカ3、計測ユニット4、電流計測装置5及び感震ユニット9は、ボディ12に直接的に又は取付用の金具等を介して取り付けられている。図3の例では、本体11の内部において、計測ユニット4、主幹ブレーカ3、複数の開閉器2は、左右方向において左からこの順に配置されている。さらに、図3の例では、本体11の内部において、複数の開閉器2の右下方に感震ユニット9が配置されている。
主幹ブレーカ3は、本体11の内部において、左右方向の中央よりもやや左側の位置に配置されている。本体11内での主幹ブレーカ3の位置は、例えば中央よりも右側等、他の位置であってもよい。主幹ブレーカ3は、一次側端子31と、二次側端子と、を備えている。主幹ブレーカ3は、一次側端子31と二次側端子との間の電路に接続された接点を備える。主幹ブレーカ3は、接点をオン又はオフにするための操作レバー33を前面に備えている。また、主幹ブレーカ3は、例えば接点に漏電電流又は過負荷電流等の過電流が流れる異常状態を検知すると、接点を遮断する主幹遮断部を備えている。
本実施形態の分電盤1では、配電方式として単相三線式を想定しているので、主幹ブレーカ3の一次側端子31には、系統電源(商用電源)の単相三線式の引込線200が電気的に接続される。本実施形態では、ボディ12に配置された接続端子124に引込線200が電気的に接続されており、接続端子124と主幹ブレーカ3の一次側端子31との間は配線部材125を介して電気的に接続されている。分電盤用キャビネット10に接続端子124及び配線部材125が備えられていることは必須ではなく、引込線200が主幹ブレーカ3の一次側端子31に直接接続されていてもよい。
また、主幹ブレーカ3の二次側端子には、第1電圧極(L1相)の導電バー61(図5参照)、第2電圧極(L2相)の導電バー62(図5参照)、及び中性極(N相)の導電バー63(図5参照)が接続されている。各導電バー61,62,63は、導電部材により左右方向に長い長尺板状に形成されており、本体11の内部において、上下方向の中央であって主幹ブレーカ3の右側の位置に配置されている。これら導電バー61,62,63は、幹線6を構成する。言い換えれば、幹線6は導電バー61,62,63を含んでいる。
複数の開閉器2は、中性極(N相)の導電バー63の上側と下側とに分かれて、それぞれ複数個ずつ左右方向に並ぶように配置されている。本実施形態では、導電バー63の上側には、12個の開閉器2が左右方向に並ぶように配置されている。また、導電バー63の下側には、11個の開閉器2が左右方向に並ぶように配置されている。
ここで、各開閉器2は、図2に示すように、複数の回路8のうちの1つの回路8における幹線6との接続端に挿入される。言い換えれば、回路8は、開閉器2を含んでおり、開閉器2にて幹線6に電気的に接続されている。本実施形態では、分電盤1は、複数の回路8と同数(ここでは23個)の開閉器2を備えるので、複数の回路8はいずれも開閉器2を含んでいる。
本開示でいう「回路8」は、幹線6と電気的に接続され、分電盤1にて幹線6から複数に分岐された分岐回路の各々である。本実施形態では、回路8は、開閉器2に加えて、配線81及び負荷82を含んでいる。配線81は、開閉器2の二次側端子202(図4参照)に電気的に接続される。負荷82は、例えば、照明器具、空調機器、テレビ受像器、給湯設備等の機器、コンセント(アウトレット)又は壁スイッチ等の配線器具を含む。負荷82は、配線81を介して開閉器2に電気的に接続される。
開閉器2について詳しくは、「(2.2)開閉器の構成」の欄で説明する。
計測ユニット4は、本体11の内部において、主幹ブレーカ3の左側に配置されている。計測ユニット4は、複数の回路8の電流と電力との少なくとも一方を計測する計測機能、及び本体11の外部に配置された機器と通信する通信機能を有している。
より詳しくは、計測ユニット4は、主幹ブレーカ3に流れる電流を計測する主幹電流センサ7(図2参照)、及び電流計測装置5と電気的に接続されている。ここに、主幹電流センサ7は、例えば、カレントトランス(CT)からなる。そして、計測ユニット4は、電流計測装置5及び主幹電流センサ7が計測した電流の値に基づいて電力値を演算する機能(計測機能)を有している。詳しくは後述するが、電流計測装置5は、複数の回路8の各々に流れる電流を計測するので、計測ユニット4では、電流計測装置5が計測した電流値に基づいて、各回路8の電流と電力との少なくとも一方を計測する。
また、計測ユニット4は、HEMS(Home Energy Management System)に対応する機器(以下、HEMS対応機器という)の制御又は監視を行うように構成されたコントローラとの間で通信する機能(通信機能)を有している。コントローラは、本体11の外部に配置された機器である。ここに、HEMS対応機器は、例えばスマートメータ、太陽光発電装置、蓄電装置、燃料電池、電気自動車、エアコン、照明器具、給湯装置、冷蔵庫、又はテレビ受像機等を含む。HEMS対応機器は、これらの機器に限定されない。
計測ユニット4とコントローラとの間の通信方式は、例えば、920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等の通信規格に準拠した、電波を媒体とした無線通信である。計測ユニット4とコントローラとの間の通信方式は、有線LAN(Local Area Network)等の通信規格に準拠した有線通信であってもよい。また、計測ユニット4とコントローラとの間の通信における通信プロトコルは、例えば、Ethernet(登録商標)、ECHONET Lite(登録商標)等である。
本実施形態の分電盤1では、計測ユニット4は、電流計測装置5が計測した複数の回路8の各々に流れる電流値を、電流計測装置5から受け取る。さらに、計測ユニット4は、主幹電流センサ7が計測した電流値を主幹電流センサ7から受け取る。計測ユニット4は、電流計測装置5、及び主幹電流センサ7が計測した電流値のそれぞれを電力値(瞬時電力値)に変換する。計測ユニット4は、収集した瞬時電力のデータを所定時間にわたって積算した電力量のデータを演算する機能を有している。したがって、計測ユニット4と通信するコントローラは、複数の回路8の各々での瞬時電力や電力量に基づいてHEMS対応機器を制御又は監視することができる。
また、計測ユニット4は、太陽光発電装置、蓄電装置、及び電気自動車に電気的に接続される電力変換装置のうちの少なくとも1つとの間で通信する機能(通信機能)を有している。電力変換装置は、分電盤1から電気自動車への単方向充電を行うための電力変換の他、双方向に電力変換を行うことで電気自動車の蓄電池の充電と放電との両方に用いられる構成であってもよい。
また、計測ユニット4は、ガスメータと水道メータとの少なくとも一方との通信機能を有している。計測ユニット4と太陽光発電装置、蓄電装置、及び電力変換装置との間の通信方式は、例えば、RS-485等の通信規格に準拠した有線通信である。計測ユニット4とガスメータ、水道メータとの間の通信方式は、有線通信に限らず、無線通信であってもよい。計測ユニット4は、例えば、貯湯型の給湯装置等と通信可能であってもよい。
本実施形態では、上述したように感震システム100の一部の構成要素(回路判定部102及び処理部103等)は、計測ユニット4に設けられている。感震システム100に関する計測ユニット4の構成について詳しくは、「(2.3)感震システムの構成」の欄で説明する。
電流計測装置5は、複数の回路8に流れる電流を計測するように構成されている。電流計測装置5は、図1に示すように、基板50と、複数の電流センサ51と、を有している。また、本実施形態では、電流計測装置5は、図1に示すように、処理部52、コネクタ53及び基板側通信部54を更に有している。
基板50は、左右方向に長い板状である。基板50には、複数の孔501,502(図5参照)が形成されている。複数の孔501,502には、導電バー61,62から延びて開閉器2に接続される端子161,162(図5参照)がそれぞれ挿入される。基板50は、複数の電流センサ51と計測ユニット4との間の電気的な接続経路の少なくとも一部に用いられる。厳密には、基板50は、例えば、電気絶縁性を有する樹脂製基板の表面(又は内層)に導電層が形成されたプリント配線板であって、導電層の部分が、複数の電流センサ51と計測ユニット4との間の電気的な接続経路の一部に用いられる。この導電層には、コネクタ53が電気的に接続されている。
電流センサ51は、例えば、コアを用いない(コアレスの)空芯コイルからなり、内側を通過する電流に応じた出力を生じるロゴスキコイルである。電流センサ51は、基板50の孔501の周りに形成されている。ここでは、複数の電流センサ51は、複数の回路8の電流をそれぞれ検出する。これにより、本実施形態では、電流計測装置5は、複数の回路8の各々に流れる電流を計測する。
処理部52は、複数の電流センサ51の出力に関して信号処理を実行する。さらに、処理部52は、コネクタ53を介して計測ユニット4と通信可能に構成されている。そのため、計測ユニット4は、電流計測装置5が計測した複数の回路8の各々に流れる電流値を、電流計測装置5から受け取ることが可能になる。
基板側通信部54は、基板50に実装されており、後述する開閉器2の通信部21と通信可能に構成されている。本開示において「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、信号を授受できることを意味する。すなわち、電流計測装置5(基板側通信部54)と開閉器2(通信部21)とは、互いに信号を授受することができる。
感震ユニット9は、開閉器2と同様に、分電盤用キャビネット10において、一般的な分電盤の分岐ブレーカが収まるべきところに収容される。本実施形態では、上述したように感震システム100の一部の構成要素(地震検出部101)は、感震ユニット9に設けられている。感震システム100に関する感震ユニット9の構成について詳しくは、「(2.3)感震システムの構成」の欄で説明する。
ところで、図3に示すように、ボディ12の底壁には、底壁を前後方向に貫通する貫通孔121が設けられており、本体11の外部から貫通孔121を通して本体11の内部に導入された電線が開閉器2等に電気的に接続される。また、ボディ12の上部の周壁122には、周壁122を上下方向に貫通する貫通孔123が設けられている。換言すると、本体11は、開閉器2に接続される電線を、前後方向と交差する一方向(本実施形態では上下方向)に沿って本体11の外部から内部に導入させるための電線挿入口(貫通孔123)を有している。電線挿入口は、ボディ12の下部の周壁122に設けられてもよいし、ボディ12の右側部又は左側部の周壁122に設けられていてもよいし、周壁122の複数箇所に電線挿入口が設けられていてもよい。
また、本実施形態の分電盤用キャビネット10は、接続端子124と、配線部材125とを更に備えている。接続端子124には、本体11の外部から導入される電線(引込線200)が電気的に接続される。配線部材125は、本体11(具体的にはボディ12)に配置されて、接続端子124と主幹ブレーカ3との間を電気的に接続する。配線部材125は、導電部材により幅寸法が略一定の板状に形成されている。接続端子124と主幹ブレーカ3との間が配線部材125を介して電気的に接続されているので、主幹ブレーカ3に接続される電線を本体11の内部で曲げるためのスペースを確保する必要がない、という利点がある。
本実施形態では、配線部材125は、接続端子124と主幹ブレーカ3との間を電気的に接続しているが、本体11には、接続端子と開閉器2との間を電気的に接続する配線部材が配置されてもよい。分電盤用キャビネット10が、接続端子124と配線部材125とを備えることは必須ではなく、本体11の外部から本体11の内部に導入された電線が主幹ブレーカ3又は開閉器2に直接的に接続されてもよい。
(2.2)開閉器の構成
次に、本実施形態に係る開閉器2のより詳細な構成について、図1、図4及び図5を参照して説明する。
本実施形態では、開閉器2は、図1に示すように、通信部21、遮断部22、操作部23、熱動式引外し装置24及び電磁式引外し装置25を備えている。開閉器2は、これら通信部21、遮断部22、操作部23、熱動式引外し装置24及び電磁式引外し装置25を収容する、筐体20(図5参照)を更に備えている。また、開閉器2は、一対の一次側端子201(図4参照)と、一対の二次側端子202(図4参照)と、を更に備えている。一対の一次側端子201は、幹線6(導電バー61,62,63)と電気的に接続される。一対の二次側端子202は、回路8(配線81)と電気的に接続される。
通信部21は、計測ユニット4と通信可能に構成されている。通信部21は、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、計測ユニット4との間で信号を授受する。ここでは、複数の開閉器2の各々には固有のアドレスが設定されている。つまり、通信部21は、開閉器2に設定されたアドレス(メモリ等に記憶されたアドレス)を用いて、計測ユニット4と通信を行う。
本実施形態では、通信部21と計測ユニット4とは、互いに双方向に通信可能であって、通信部21から計測ユニット4への信号の送信、及び計測ユニット4から通信部21への信号の送信の両方が可能である。
本実施形態では、上述したように、電流計測装置5(基板側通信部54)と開閉器2(通信部21)とは、互いに通信可能に構成されている。さらに、電流計測装置5と計測ユニット4とは、互いに通信可能に構成されている。そこで、通信部21は、電流計測装置5の基板50を、計測ユニット4との間の通信経路の少なくとも一部に用いる。つまり、通信部21が電流計測装置5の基板側通信部54と通信し、電流計測装置5が計測ユニット4と通信することで、通信部21は、電流計測装置5の基板50を経由して、計測ユニット4と通信する。言い換えれば、基板50の導電層が、通信部21と計測ユニット4との間の通信経路の一部を構成する。
通信部21と基板50(基板側通信部54)との間の通信方式は、有線通信である。つまり、開閉器2が本体11に取り付けられた状態において、基板50に設けられた基板側通信部54と開閉器2の通信部21とは、電気的に接続される。通信部21と基板50(基板側通信部54)との間の通信方式は、例えば、RS-485、又は有線LAN等の通信規格に準拠した有線通信を適宜採用可能である。
遮断部22は、通信部21が計測ユニット4から遮断信号を受信すると、回路8(配線81)と幹線6との間を電気的に遮断する。つまり、遮断部22は、通信部21が、外部機器である計測ユニット4から遮断信号を受信したことをトリガにして、回路8(配線81)と幹線6との間を電気的に遮断する。
計測ユニット4が遮断信号を出力するタイミングについて詳しくは、「(2.3)感震システムの構成」の欄で説明する。
本実施形態では、遮断部22は、図4に示すように、接点部221と、作動回路222と、を含んでいる。
接点部221は、一対の一次側端子201と一対の二次側端子202との間に挿入された一対の接点SW1を有している。一対の接点SW1は、引外しユニット220にて駆動されてオフする機械式の接点である。引外しユニット220は、熱動式引外し装置24及び電磁式引外し装置25からなる。
作動回路222は、引外しユニット220の電磁式引外し装置25を作動させるための回路である。図4の例では、作動回路222は、抵抗R1と、スイッチング素子Q1と、を有している。抵抗R1及びスイッチング素子Q1は、一対の二次側端子202間に電気的に直列に接続されている。スイッチング素子Q1は、例えば、トランジスタ等の半導体スイッチからなり、通信部21からの制御信号を受けてオン/オフする。そのため、スイッチング素子Q1がオンすると、抵抗R1を介して一対の二次側端子202に短絡電流が流れて、電磁式引外し装置25が作動し、一対の接点SW1がオフになる。
ここで、遮断部22は、導通状態と遮断状態とを切替可能である。本開示でいう「導通状態」は、回路8(配線81)と幹線6との間を電気的に導通させる状態であって、例えば、接点部221の一対の接点SW1がオンの状態である。本開示でいう「遮断状態」は、回路8(配線81)と幹線6との間を電気的に遮断する状態であって、例えば、接点部221の一対の接点SW1がオフの状態である。
本実施形態では、遮断部22は、通信部21が受信する信号によれば、遮断状態から導通状態への第1の切替えと、導通状態から遮断状態への第2の切替えと、のうち第2の切替えのみが可能である。言い換えれば、遮断部22は、通信部21が受信する信号によれば、遮断状態から導通状態への第1の切替えと、導通状態から遮断状態への第2の切替えと、のうち第1の切替えを行うことはできない。
操作部23は、一対の接点SW1のオン/オフを手動で操作するための部材である。操作部23は、図5に示すように、開閉器2の筐体20の前面に設けられている。上述したように、通信部21が受信する信号によれば、遮断部22は、遮断状態から導通状態への第1の切替えと、導通状態から遮断状態への第2の切替えと、のうち第1の切替えを行うことはできない。そのため、基本的には、第1の切替え、つまり遮断状態から導通状態への切替えは、ユーザが操作部23を操作することで行われる。
熱動式引外し装置24は、例えば、バイメタル又はトリメタル等の熱動素子を含み、熱動素子が作動することにより、一対の接点SW1をオフする熱動式の引外し装置である。熱動素子は、一対の一次側端子201と一対の二次側端子202との間に挿入されており、一対の接点SW1を流れる電流の大きさに応じて発熱する。そのため、熱動式引外し装置24は、例えば、回路8に過電流等の異常電流が一定時間以上、流れ続けた場合に、一対の接点SW1をオフし、遮断部22を遮断状態とする。すなわち、本実施形態に係る開閉器2は、熱動式の引外し装置(熱動式引外し装置24)を備えている。
電磁式引外し装置25は、例えば、電磁石装置を含み、電磁石装置が作動することにより、一対の接点SW1を瞬時にオフする電磁式の引外し装置である。電磁石装置は、一対の一次側端子201と一対の二次側端子202との間に挿入された駆動コイルを有し、一対の接点SW1を流れる電流の大きさに応じて作動する。そのため、電磁式引外し装置25は、例えば、回路8に短絡電流等の異常電流が流れた場合に、瞬時に、一対の接点SW1をオフし、遮断部22を遮断状態とする。すなわち、本実施形態に係る開閉器2は、電磁式の引外し装置(電磁式引外し装置25)を備えている。
開閉器2には、100V用と200V用とがある。100V用の開閉器2が備える一対の一次側端子201は、第1電圧極の導電バー61及び第2電圧極の導電バー62のうちの一方と、中性極の導電バー63とにそれぞれ電気的に接続される。200V用の開閉器2が備える一対の一次側端子201は、第1電圧極の導電バー61と、第2電圧極の導電バー62とにそれぞれ電気的に接続される。また、開閉器2の二次側端子202には、対応する回路8が電気的に接続される。
ところで、開閉器2は、図5に示すように、導電バー61,62から延びて開閉器2に接続される端子161,162、及び導電バー63が差し込まれる複数(ここでは3つ)の差込口26を、筐体20の一面に有している。一次側端子201は、これら3つの差込口26のうち2つの差込口26内に露出するように設けられている。これにより、開閉器2は、本体11に取り付けられた状態で、差込口26に端子161(又は162)及び導電バー63が差し込まれ、幹線6に対して一対の一次側端子201が電気的に接続される。ここで、導電バー61に対応する差込口26には端子161の先端部が差し込まれ、導電バー62に対応する差込口26には端子162の先端部が差し込まれる。
100V用の開閉器2は、一次側端子201が、3つの差込口26のうち、両端の2つの差込口26内に露出するように設けられている。これにより、100V用の開閉器2は、本体11に取り付けられた状態で、導電バー61(又は62)及び導電バー63に電気的に接続される。200V用の開閉器2は、一次側端子201が、3つの差込口26のうち、後側の2つの差込口26内に露出するように設けられている。これにより、200V用の開閉器2は、本体11に取り付けられた状態で、導電バー61及び導電バー62に電気的に接続される。
具体的には、本体11は、金属製の支持板14、及び樹脂製のベース台15を有している。ベース台15は、支持板14の厚み方向の一面である前面に取り付けられている。開閉器2は、本体11に取り付けられた状態では、ベース台15に保持される。
一方で、電流計測装置5の基板50は、複数の孔501,502に端子161,162がそれぞれ挿入されるように、本体11に取り付けられる。そのため、開閉器2が本体11に取り付けられた状態では、電流計測装置5の基板50の孔501,502を通して、端子161,162が開閉器2の差込口26に差し込まれる。
(2.3)感震システムの構成
次に、本実施形態に係る感震システム100のより詳細な構成について、図1及び図2を参照して説明する。
本実施形態では、上述したように、感震システム100の構成要素(地震検出部101、回路判定部102及び処理部103等)は、計測ユニット4及び感震ユニット9に分散して設けられている。そこで、以下では、計測ユニット4及び感震ユニット9の構成について説明する。
感震ユニット9は、図1に示すように、通信部91と、地震検出部101と、を有している。
通信部91は、計測ユニット4と通信可能に構成されている。通信部91は、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、計測ユニット4との間で信号を授受する。
本実施形態では、通信部91と計測ユニット4とは、互いに双方向に通信可能であって、通信部91から計測ユニット4への信号の送信、及び計測ユニット4から通信部91への信号の送信の両方が可能である。
本実施形態では、通信部91は、開閉器2の通信部21と同様に、電流計測装置5(基板側通信部54)と通信可能に構成されている。さらに、電流計測装置5は計測ユニット4とは、互いに通信可能に構成されている。そこで、通信部91は、電流計測装置5の基板50を、計測ユニット4との間の通信経路の少なくとも一部に用いる。つまり、通信部91が電流計測装置5の基板側通信部54と通信し、電流計測装置5が計測ユニット4と通信することで、通信部91は、電流計測装置5の基板50を経由して、計測ユニット4と通信する。言い換えれば、基板50の導電層が、通信部91と計測ユニット4との間の通信経路の一部を構成する。
通信部91と基板50(基板側通信部54)との間の通信方式は、有線通信である。つまり、感震ユニット9が本体11に取り付けられた状態において、基板50に設けられた基板側通信部54と感震ユニット9の通信部91とは、電気的に接続される。通信部91と基板50(基板側通信部54)との間の通信方式は、例えば、RS-485、又は有線LAN等の通信規格に準拠した有線通信を適宜採用可能である。
地震検出部101は、地震の発生の有無を検出する。地震検出部101は、例えば、加速度センサ及び角速度センサ等のセンサを含み、地震等により、分電盤1が設置されている建物に生じた揺れ(振動)を検知する。つまり、地震検出部101は、振動に応じた電気信号を出力するセンサを有し、センサの出力する電気信号から、センサ(地震検出部101)に作用する揺れ(振動)の大きさ(大きさ)を検出する。そして、地震検出部101で、ある閾値以上の震度の揺れを検知した場合には、感震ユニット9は、地震の発生を表す地震発生信号を計測ユニット4に送信する。つまり、感震ユニット9は、感震ブレーカとしての機能を有している。
計測ユニット4は、ユニット側通信部41と、回路判定部102と、処理部103と、回路指定部104と、入力部42と、を有する。
本実施形態では一例として、計測ユニット4は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。プロセッサは、メモリに記録されているプログラムを実行することにより、回路判定部102、処理部103及び回路指定部104等の機能を実現する。プログラムは、予めメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような非一時的記録媒体に記録されて提供されたり、電気通信回線を通して提供されたりしてもよい。言い換えれば、上記プログラムは、コンピュータシステムを、計測ユニット4として機能させるためのプログラムである。
ユニット側通信部41は、開閉器2(通信部21)及び感震ユニット9(通信部91)と通信可能に構成されている。ユニット側通信部41は、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、開閉器2(通信部21)及び感震ユニット9(通信部91)との間で信号を授受する。
本実施形態では、上述したように、ユニット側通信部41は、電流計測装置5を介して、開閉器2及び感震ユニット9と通信可能に構成されている。つまり、ユニット側通信部41は、電流計測装置5の基板50を経由して、開閉器2及び感震ユニット9と通信する。
ユニット側通信部41と基板50(基板側通信部54)との間の通信方式は、有線通信である。ユニット側通信部41と基板50(基板側通信部54)との間の通信方式は、例えば、RS-485、又は有線LAN等の通信規格に準拠した有線通信を適宜採用可能である。
入力部42は、ユーザの操作を受け付ける。入力部42は、一例として、押釦スイッチ又はスライドスイッチ等で実現される。入力部42は、ユーザの操作に応じた電気信号を入力信号として出力する。ここでいうユーザは、感震システム100の利用者だけでなく、例えば、感震システム100(計測ユニット4を含む)を製造する製造者、及び感震システム100を設置(施工)する施工者等の作業者も含む。
回路判定部102は、複数の回路8のうちの1以上の回路8の状態を判定する。上述したように、「回路8の状態」は、回路8の構成(接続関係)等の回路8の静的な状態と、回路8に含まれる配線81又は負荷82の異常、及び動作状態(オン/オフ)等の回路8の動的な状態と、を含む。特に、本実施形態では、回路判定部102は、地震の発生時に即時遮断することが好ましい状態にある回路8を、「特定回路」として抽出する。つまり、本開示でいう「特定回路」は、地震の発生時に即時遮断することが好ましい状態にある回路8を意味する。
本実施形態では、回路判定部102は、少なくとも地震の発生時に火災につながり得る状態を1以上の回路8の状態として判定する。すなわち、回路判定部102は、回路8の状態として、少なくとも地震の発生時に火災につながり得るか否かを判定する。そして、地震の発生時に火災につながり得る状態にある回路8については、回路判定部102は、「特定回路」であると判定する。一方、地震の発生時に火災につながり得る状態にない回路8については、回路判定部102は、「特定回路」でないと判定する。
例えば、電気ストーブ及びIHクッキングヒータ等の加熱機器にあっては、地震の発生時に、加熱機器の転倒、又は加熱機器によって加熱されている物体の転倒が生じることで、火災につながる可能性がある。そのため、例えば、このような加熱機器を負荷82として含む回路8については、回路判定部102は、「火災につながり得る」状態にあると判定する。一方、このような加熱機器を負荷82として含まない回路8については、回路判定部102は、「火災につながり得る」状態にないと判定する。さらに、例えば、絶縁劣化又は半断線等の異常が生じた配線81に通電し続けていると、地震の発生時に、配線81で短絡が生じることで、火災につながる可能性がある。そのため、例えば、絶縁劣化又は半断線等の異常が生じた配線81を含む回路8については、回路判定部102は、「火災につながり得る」状態にあると判定する。一方、絶縁劣化又は半断線等の異常が生じた配線81を含まない回路8については、回路判定部102は、「火災につながり得る」状態にないと判定する。
また、回路判定部102は、少なくとも1以上の回路8に含まれる配線81の異常の有無を1以上の回路8の状態として判定する。すなわち、回路判定部102は、回路8の状態として、少なくとも回路8に含まれる配線81自体の異常の有無を判定する。そして、配線81に異常がある回路8については、回路判定部102は、「特定回路」であると判定する。一方、配線81に異常がない回路8については、回路判定部102は、「特定回路」でないと判定する。本開示でいう「配線81の異常」は、例えば、絶縁劣化及び半断線等を含む。
また、回路判定部102は、少なくとも1以上の回路8に熱源が含まれているか否かを1以上の回路8の状態として判定する。すなわち、回路判定部102は、回路8の状態として、少なくとも負荷82として熱源を含んでいるか否かを判定する。そして、熱源を含む回路8については、回路判定部102は、「特定回路」であると判定する。一方、熱源を含まない回路8については、回路判定部102は、「特定回路」でないと判定する。本開示でいう「熱源」は、電気ストーブのようにそれ自体の温度が高くなる装置だけでなく、IHクッキングヒータのように物体を加熱する装置も含む。
ここにおいて、回路判定部102が1以上の回路8の状態を判定するタイミングは、地震検出部101が地震の発生を検出した時点以降である。すなわち、回路判定部102は、地震検出部101が地震の発生を検出したことをトリガにして、回路8の状態の判定を開始する。本実施形態では、地震検出部101が、地震の発生を検出することで、感震ユニット9が、地震発生信号を計測ユニット4に送信するので、回路判定部102は、計測ユニット4が地震発生信号を受信したことをもって、回路8の状態の判定を開始する。
また、回路判定部102は、少なくとも1以上の回路8に供給される電力の大きさに基づいて1以上の回路8の状態を判定する。本実施形態では、回路判定部102は、計測ユニット4に設けられている。そして、計測ユニット4は、電流計測装置5、及び主幹電流センサ7が計測した電流値のそれぞれを電力値(瞬時電力値)に変換する機能を有するので、複数の回路8の各々での瞬時電力及び電力量を把握できる。そのため、回路判定部102では、複数の回路8の各々に供給される電力の大きさに基づいて、個々の回路8の状態を判定することが可能である。
例えば、回路判定部102は、電力の大きさの変化から、回路8に含まれる負荷82の種類及び台数等を判定することが可能である。また、アーク短絡保護遮断器(AFCI:Arc Fault Circuit Interrupter)と同様の技術により、回路判定部102は、配線81中の特定のアークを検出することができる。すなわち、アーク短絡保護遮断器では、電子回路を使用して、配線81上のアーク故障に特有の電流特性及び電圧特性を認識し、配線81上のアーク故障を検出できる。これと同様の原理により、回路判定部102は、回路8に含まれる配線81の異常の有無を判定することが可能である。
処理部103は、地震検出部101の検出結果及び回路判定部102の判定結果に基づいて、1以上の回路8に関して「通知」と「電力の調整」との少なくとも一方の処理を実行する。上述したように、本開示でいう「電力の調整」は、回路8に供給される電力又は回路8から出力される電力を調整することを意味し、幹線6等から回路8に供給される電力を大きく又は小さくすることを含む。そのため、幹線6等から回路8に供給される電力をゼロ(0)にすること、つまり回路8と幹線6との間を電気的に遮断することも、「電力の調整」に含まれる。
すなわち、本実施形態では、処理部103は、地震検出部101の検出結果(地震の発生の有無)に加えて、回路判定部102の判定結果(回路8の状態)に基づいて、回路8に関する「通知」と「電力の調整」との少なくとも一方の処理を実行する。そのため、電力の調整(遮断等)のような処理は、地震の発生時であっても、常に複数の回路8の全てに関して実行されるのではなく、回路判定部102の判定結果によっては実行されないことになる。
本実施形態では一例として、処理部103は、回路判定部102にて「特定回路」であると判定された回路8について、地震の発生時には、電力の供給を遮断する処理を実行する。具体的には、計測ユニット4が地震発生信号を受信すると、回路判定部102にて「特定回路」であると判定される回路8の開閉器2に対して、処理部103は、遮断信号を送信する。これにより、「特定回路」と判定された回路8の開閉器2は、遮断部22にて回路8(配線81)と幹線6との間を電気的に遮断し、電力の供給を遮断する処理を実行する。
回路指定部104は、入力部42に対する入力に応じて処理部103での処理の対象となる回路8を指定する。すなわち、回路指定部104によれば、複数の回路8の中から、処理部103での処理の対象となる回路8(以下、「対象回路」ともいう)を、入力部42に対する入力、つまりユーザの操作に応じて、指定することが可能である。具体的には、回路指定部104は、入力部42からの入力信号に応じて、処理部103での処理の対象となる対象回路を決定する。よって、複数の回路8の全てが常に対象回路となるのではなく、ユーザ(感震システム100の利用者だけでなく作業者も含む)が任意に、対象回路を指定することが可能である。
(3)動作
以下、本実施形態に係る感震システム100の動作について図6のフローチャートを参照して説明する。ここでは、回路指定部104にて、複数の回路8の全てが対象回路として指定されている場合を例に説明する。
まず、感震システム100は、地震検出部101にて、地震の発生の有無を検出する(S1)。地震が発生するまでは(S1:No)、地震検出部101にて継続的に検出を行う。地震が発生して、地震検出部101が地震の発生を検出すると(S1:Yes)、感震システム100は、回路判定部102にて、回路8の状態を判定する回路判定処理を実行する(S2)。ここでは、複数の回路8の全てが対象回路として指定されているため、回路判定部102は、複数の回路8の全てについて、回路8の状態を判定する。
このとき、回路判定部102は、複数の回路8の中から、地震の発生時に即時遮断することが好ましい状態にある回路8を「特定回路」として抽出する。一例として、上述したように加熱機器を負荷82として含む回路8等、地震の発生時に火災につながり得る状態にある回路8については、回路判定部102は、回路判定処理にて「特定回路」であると判定する。回路判定部102は、「特定回路」であると判定した回路8については、特定フラグの値を「1」に設定する。一方、地震の発生時に火災につながり得る状態にない回路8については、回路判定部102は、回路判定処理にて「特定回路」でないと判定する。回路判定部102は、「特定回路」でないと判定した回路8については、特定フラグの値を「0」に設定する。
さらに、本実施形態では、回路判定部102は、回路判定処理にて、複数の回路8の中から、「特定回路」に加えて「必要回路」を抽出する。本開示でいう「必要回路」は、例えば、照明器具及び防災設備(避難設備、誘導設備を含む)等、避難に必要な負荷82を含む回路8である。つまり、回路判定部102は、回路判定処理において、複数の回路8のうち「特定回路」を除いた回路8の中から、避難に必要な負荷82を含む回路8を「必要回路」として抽出する。回路判定部102は、「必要回路」であると判定した回路8については、必要フラグの値を「1」に設定する。一方、回路判定部102は、「必要回路」でないと判定した回路8については、必要フラグの値を「0」に設定する。
回路判定処理(S2)が終わると、感震システム100は、処理部103にて「特定回路」を遮断する処理を実行する(S3)。すなわち、処理部103は、回路判定処理にて「特定回路」であると判定された回路8、つまり特定フラグの値が「1」である回路8の開閉器2に対して、遮断信号を送信する。これにより、「特定回路」と判定された回路8の開閉器2は、遮断部22にて回路8(配線81)と幹線6との間を電気的に遮断し、電力の供給を遮断する処理を実行する。
その後、感震システム100は、地震検出部101が地震の発生を検出した時点から待機時間が経過したか否かを、処理部103にて判断する(S4)。待機時間が経過していなければ(S4:No)、処理部103は、待機時間のカウントを継続する。待機時間が経過すると(S4:Yes)、感震システム100は、処理部103にて複数の回路8のうち「必要回路」を除く回路8を遮断する処理を実行する(S5)。すなわち、処理部103は、回路判定処理にて「必要回路」でないと判定された回路8、つまり必要フラグの値が「0」である回路8の開閉器2に対して、遮断信号を送信する。これにより、「必要回路」と判定された回路8以外の回路8の開閉器2は、遮断部22にて回路8(配線81)と幹線6との間を電気的に遮断し、電力の供給を遮断する処理を実行する。
図6のフローチャートは、感震システム100の動作の一例に過ぎず、処理を適宜省略又は追加してもよいし、処理の順番が適宜変更されていてもよい。
(4)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、実施形態1に係る感震システム100と同様の機能は、方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る方法は、地震検出処理(図6の「S1」)と、回路判定処理(図6の「S2」)と、実行処理(図6の「S3」)と、を有する。地震検出処理は、地震の発生の有無を検出する処理である。回路判定処理は、複数の回路8のうちの1以上の回路8の状態を判定する処理である。実行処理は、地震検出処理の検出結果及び回路判定処理の判定結果に基づいて、1以上の回路8に関して通知と電力の調整との少なくとも一方を実行する処理である。一態様に係る(コンピュータ)プログラムは、1以上のプロセッサに、上記の方法を実行させるためのプログラムである。
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
本開示における分電盤1は、例えば、計測ユニット4等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における分電盤1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
また、感震システム100の少なくとも一部の機能は、感震ユニット9及び計測ユニット4に限らず、例えば、開閉器2、主幹ブレーカ3又は電流計測装置5等に設けられていてもよい。具体的には、例えば、地震検出部101、回路判定部102及び処理部104等の機能が、開閉器2、主幹ブレーカ3又は電流計測装置5等に設けられていてもよい。さらに、感震システム100の少なくとも一部の機能は、分電盤1内になくてもよく、例えば、地震検出部101の機能は、分電盤1に外付けされていてもよい。
また、感震システム100の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていることは感震システム100に必須の構成ではなく、感震システム100の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。例えば、実施形態1において計測ユニット4に設けられている回路判定部102と処理部103とは、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。
別の例として、回路判定部102としての機能が、判定対象ごとに複数の筐体に分散して設けられていてもよい。一例として、回路判定部102のうち、配線81の異常の有無を判定する機能が開閉器2に設けられ、回路8に熱源が含まれているか否かを判定する機能がコンセント等の配線器具(図9参照)に設けられてもよい。あるいは、回路判定部102のうち、配線81の異常の有無を判定する機能を有する開閉器2と、回路8に熱源が含まれているか否かを判定する機能を有する開閉器2と、が個別の開閉器2として提供されてもよい。さらに、感震システム100の少なくとも一部の機能、例えば、地震検出部101又は回路判定部102の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
反対に、実施形態1において、複数の装置に分散されている感震システム100の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。例えば、感震ユニット9と計測ユニット4とに分散されている、地震検出部101と回路判定部102とが、1つの筐体内に集約されていてもよい。
図7は、実施形態1の第1変形例に係る感震システム100Aを備える分電盤1Aの概略図である。図7の例では、回路指定部104にて、複数の回路8の一部の回路8のみが対象回路として指定されている。また、図7の例において、複数の回路8のうち対象回路以外の回路8は、地震検出部101が地震の発生を検出したときに即時遮断する「即時遮断回路」である。ここで、「対象回路」は第1開閉器2Aを含み、「即時遮断回路」は第2開閉器2Bを含む。
第1変形例では、処理部103は、複数の回路8のうちの対象回路についてのみ、回路判定部102の判定結果に基づいて処理を実行する。すなわち、回路判定部102が、複数の回路8のうちの一部の回路8からなる対象回路を判定対象とする場合、処理部103は、複数の回路8のうちの対象回路についてのみ、回路判定部102の判定結果に基づいて処理を実行する。言い換えれば、対象回路については、地震検出部101の検出結果及び回路判定部102の判定結果に基づいて処理が実行されるのに対して、対象回路以外の回路8については、回路判定部102の判定結果によらずに処理が実行される。つまり、対象回路以外の回路8については、回路判定部102での判定結果によらず、地震の発生時には、電力の供給を遮断する処理が実行される。ここでは、上述した通り、対象回路を回路指定部104にてユーザ(感震システム100の利用者だけでなく作業者も含む)が任意に指定できるため、このように回路判定部102の判定結果に応じて処理が変わる回路8を、ユーザが任意に指定することができる。
第1変形例においては、複数の回路8のうちの対象回路以外の回路8、つまり即時遮断回路においては、第2開閉器2Bは、計測ユニット4からの信号に関わらず、感震ユニット9からの地震発生信号Si1を受けて作動する。つまり、第2開閉器2Bは、感震ユニット9からの地震発生信号Si1を受信すると、遮断部22にて回路8(配線81)と幹線6との間を電気的に遮断し、電力の供給を遮断する処理を実行する。一方、対象回路においては、第1開閉器2Aは、計測ユニット4からの遮断信号Si2を受けて作動する。つまり、第1開閉器2Aは、計測ユニット4からの遮断信号Si2を受信すると、遮断部22にて回路8(配線81)と幹線6との間を電気的に遮断し、電力の供給を遮断する処理を実行する。
図8は、実施形態1の第2変形例に係る感震システム100Bを備える分電盤1Bの概略図である。図8の例では、複数の回路8のうち少なくとも回路判定部102の判定対象の回路8は、バックアップ電源110から電力供給が可能である。図8の例においては、分電盤1Bは、一例として、二次電池を含むバックアップ電源110を有している。バックアップ電源110は、定常時には、系統電源からの電力により二次電池を充電し、停電時等においては、二次電池の放電を行うことにより電力を出力する。
第2変形例においては、分電盤1Bは、切替器30を更に備えている。切替器30は、引込線200及びバックアップ電源110と、主幹ブレーカ3と、の間に挿入されており、主幹ブレーカ3の接続先を、引込線200とバックアップ電源110とで切り替える。切替器30は、計測ユニット4内の処理部103からの切替信号に従って、主幹ブレーカ3の接続先の切り替えを行う。この感震システム100Bにおいては、地震検出部101が地震の発生を検出したときに、処理部103は、主幹ブレーカ3の接続先を、引込線200からバックアップ電源110に切り替える。これにより、複数の回路8のうち少なくとも回路判定部102の判定対象の回路8については、地震の発生後においても、バックアップ電源110から電力供給が可能となる。そのため、例えば、回路判定部102の判定対象の回路8が「必要回路」を含んでいる場合には、停電後においても、必要回路への電力の供給を継続することが可能になる。
図9は、実施形態1の第3変形例に係る感震システム100Cを備える分電盤1Cの概略図である。図9の例では、少なくとも1つの回路8が、コンセントからなる配線器具83を含んでいる。配線器具83を含む回路8は、遮断部22としての機能を、開閉器2に代えて配線器具83に有している。そのため、配線器具83を含む回路8にあっては、配線器具83が計測ユニット4から遮断信号を受信すると、配線器具83にて負荷82と幹線6との間を電気的に遮断する。
また、実施形態1のその他の変形例として、計測ユニット4と開閉器2との通信、及び計測ユニット4と感震ユニット9との通信は、電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)であってもよい。または、計測ユニット4と開閉器2との通信、及び計測ユニット4と感震ユニット9との通信は、非接触通信であってもよい。本開示でいう「非接触通信」には、電波を通信媒体として用いる無線通信、電磁結合を利用した通信、及び光を通信媒体として用いる光通信を含む。例えば、計測ユニット4と開閉器2との通信、及び計測ユニット4と感震ユニット9との通信は、920MHz帯の特定小電力無線局、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等の通信規格に準拠した、無線通信であってもよい。
また、回路判定部102が1以上の回路8の状態を判定するタイミングは、地震検出部101が地震の発生を検出した時点以前であってもよい。この場合、回路判定部102は、地震検出部101が地震の発生を検出したか否かによらず、例えば、定期的に又は常時、回路8の状態の判定を行う。そして、地震検出部101が、地震の発生を検出したときに、既に判定されている回路判定部102の判定結果を用いて、処理部103が処理を実行する。回路判定部102が、回路8に含まれる配線81又は負荷82の異常を検出した場合、処理部103は、地震検出部101が地震の発生を検出したか否かによらず、この回路8について「通知」と「電力の調整」との少なくとも一方の処理を実行してもよい。これにより、例えば、回路8に含まれている配線81における絶縁劣化又は半断線等の異常が発生すると、この異常を回路判定部102が検出した時点で、地震の発生の有無によらずに、異常のある回路8について通知又は電力の調整が行われる。
また、処理部103は、地震検出部101で発生が検出された地震の状況によって、処理を変更するように構成されていてもよい。本開示でいう「地震の状況」は、地震の規模(マグニチュード)、震度、及び地震が発生した範囲等である。すなわち、本変形例では、処理部103は、地震の発生時において、特定回路に対する処理の内容を常に同じにするのではなく、地震の規模等の地震の状況に応じて処理の内容を変更する。一例として、地震の規模又は震度が閾値未満であれば、処理部103は、特定回路へ供給される電力を遮断せずに小さくするにとどめるのに対し、地震の規模又は震度が閾値以上であれば、処理部103は、特定回路へ供給される電力を遮断する。
また、感震システム100は、処理部103にて、分岐ブレーカに相当する開閉器2を遮断する処理を実行する構成に限らず、例えば、主幹ブレーカ3を遮断する処理を実行してもよい。この場合において、処理部103は、地震検出部101で地震の発生が検出された時点から一定時間が経過した時点で、主幹ブレーカ3を遮断することが好ましい。
第1変形例においては、複数の回路8のうちの対象回路以外の回路8、つまり即時遮断回路においては、第2開閉器2Bは、計測ユニット4からの信号に関わらず、感震ユニット9からの地震発生信号Si1を受けて作動する。つまり、第2開閉器2Bは、感震ユニット9からの地震発生信号Si1を受信すると、遮断部22にて回路8(配線81)と幹線6との間を電気的に遮断し、電力の供給を遮断する処理を実行する。一方、対象回路においては、第1開閉器2Aは、計測ユニット4からの遮断信号Si2を受けて作動する。つまり、第1開閉器2Aは、計測ユニット4からの遮断信号Si2を受信すると、遮断部22にて回路8(配線81)と幹線6との間を電気的に遮断し、電力の供給を遮断する処理を実行する。
また、地震検出部101は、地震の発生の有無を検出する機能を有していればよく、加速度センサ及び角速度センサ等のセンサを含まなくてもよい。例えば、地震検出部101は、地震検出部101とは別に設けられた加速度センサ及び角速度センサ等のセンサからの電気信号を受けて、地震の発生の有無を検出してもよい。また、地震検出部101は、緊急地震速報又はスマートフォン等の端末からのプッシュ通知からなる「地震通知」を、通信部91が受信することをもって、地震の発生の有無を検出してもよい。つまり、地震検出部101は、通信部91が地震通知を受信したことをもって、地震が発生したと判断し、この場合に、感震ユニット9は、地震発生信号を計測ユニット4に送信してもよい。また、地震検出部101は、内蔵のセンサで検知される揺れ(振動)が、ある閾値以上の震度に達し、かつ通信部91が地震通知を受信したことをもって、地震が発生したと判断してもよい。
また、分電盤1は少なくとも開閉器2を分電盤用キャビネット10に収容していればよく、主幹ブレーカ3、計測ユニット4及び電流計測装置5の少なくとも1つは適宜省略可能である。
また、遮断部22が機械式の接点SW1を含むことは、開閉器2に必須の構成ではなく、遮断部22は、回路8と幹線6との間を電気的に遮断する機能を有していればよい。例えば、遮断部22は、接点SW1に代えて、トランジスタ等の半導体スイッチを有し、半導体スイッチにて回路8(配線81)と幹線6との間を電気的に遮断してもよい。
また、遮断部22は、例えば、引外しユニット220(熱動式引外し装置24又は電磁式引外し装置25)を作動させて接点SW1をオフする構成に限らず、接点SW1を機械的に駆動するアクチュエータを含んでいてもよい。一例として、遮断部22は、電磁式、又は熱動式のアクチュエータを採用可能である。さらに、遮断部22は、アクチュエータの動作に重力を利用することで、接点SW1を遮断状態とするために必要なエネルギを節約してもよい。つまり、アクチュエータは、例えば、錘体が落下する際に錘体の自重を利用して、接点SW1をオフしてもよい。この場合、例えば、アクチュエータは、操作部23を操作して接点SW1をオフしてもよい。
また、電流センサ51はロゴスキコイルに限らず、例えば、変流器(カレントトランス)、ホール素子、GMR(Giant Magnetic Resistances)素子等の磁気抵抗素子、シャント抵抗等のセンサであってもよい。
また、開閉器2は、熱動式引外し装置24及び電磁式引外し装置25に代えて又は加えて、漏電検知式の引外し装置を有していてもよい。漏電検知式の引外し装置は、例えば、回路8に漏電電流が流れた場合に、一対の接点SW1をオフし、遮断部22を遮断状態とする。
(実施形態2)
本実施形態に係る感震システム100Dは、図10に示すように、表示部105を更に備え、複数の回路8のうちの1以上の回路8に関して「通知」の処理として表示部105での表示を行う点で実施形態1に係る感震システム100と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態では、表示部105は感震システム100Dの構成要素に含まれることとするが、表示部105が感震システム100Dの構成要素に含まれることは、感震システム100Dに必須の構成ではない。
本実施形態では、感震システム100Dの処理部103は、分電盤1Dに設けられた表示部105に、回路8ごとの表示を行わせることで通知を実行する。ここにおいて、分電盤1Dは、複数の回路8のうち少なくとも回路判定部102の判定対象の回路8に含まれる1以上の開閉器2を有している。これにより、表示部105の表示によって、回路8ごとに、例えば、遮断すべきか否かをユーザに通知することが可能である。すなわち、例えば、「特定回路」と判定された回路8については、表示部105はその旨を表示することにより、ユーザに対して、開閉器2の遮断を促すことができる。反対に、例えば、「必要回路」と判定された回路8については、表示部105はその旨を表示することにより、ユーザに対して、通電の継続を促すことができる。
ここで、表示部105は、表示部105への電力供給が遮断された場合に、少なくとも表示部105への電力供給の復旧時に表示を行うことが好ましい。すなわち、地震の発生後に主幹ブレーカ3が遮断された場合、又は停電が発生した場合であっても、表示部105への電力供給が復旧すると、表示部105は表示を行う。
より詳細には、本実施形態に係る分電盤1Dは、電流計測装置5に、複数の表示部105を有している。これら複数の表示部105は、複数の回路8に対して一対一に対応付けられている。具体的には、各開閉器2に対応する位置に、表示部105が配置されている。表示部105は、一例として、電気泳動方式の電子ペーパ等の自己保持型の表示素子である。つまり、表示部105は、表示部105への通電による表示状態を、少なくとも上記通電の停止時点から所定時間が経過するまで維持する、自己保持型の表示素子である。これにより、少なくとも表示部105への電力供給の復旧時には、表示部105は表示を行うことが可能である。
そして、処理部103は、地震検出部101の検出結果及び回路判定部102の判定結果に基づいて、1以上の回路8に関して、対応する表示部105にて表示することで、「通知」の処理を実行する。つまり、処理部103は、表示部105の表示内容(表示状態)を変化させることにより、1以上の回路8に関する通知を行う。
例えば、処理部103は、地震の発生時において、回路判定処理にて「特定回路」であると判定された回路8、つまり特定フラグの値が「1」である回路8に対応する表示部105にて、特定回路である旨を表示させる。これにより、特定回路と判定された回路8については、ユーザに対して、通電を即時遮断すべき回路8である旨が通知される。また、処理部103は、地震の発生時において、回路判定処理にて「必要回路」であると判定された回路8、つまり必要フラグの値が「1」である回路8に対応する表示部105にて、必要回路である旨を表示させる。これにより、必要回路と判定された回路8については、ユーザに対して、通電を維持すべき回路8である旨が通知される。
ところで、処理部103は、「通知」と「電力の調整」との少なくとも一方の処理を実行すればよく、実施形態1のように「電力の調整」のみ、実施形態2のように「通知」のみに限らず、「通知」と「電力の調整」との両方の処理を実行してもよい。
また、表示部105は、各開閉器2に対応する位置に配置される構成に限らず、例えば、計測ユニット4における7セグメントLEDからなる表示器にて実現されてもよい。この場合、表示部105は、文字、数字又は記号にて、複数の回路8を区別して表示することが好ましい。
また、表示部105は、自己保持型の表示素子に限らず、例えば、LED(Light Emitting Diode)又は有機EL(Electro Luminescence)素子等であってもよい。この場合でも、表示部105の表示内容を不揮発性メモリ等に記憶しておくことで、少なくとも表示部105への電力供給の復旧時には、表示部105は表示を行うことが可能である。
また、処理部103による通知の態様は、表示部105による表示に限らず、他の態様であってもよい。一例として、処理部103は、計測ユニット4と通信可能なHEMS対応機器、又はユーザが所有する情報端末(スマートフォン又はタブレット端末等)に情報を送信することで、通知を行ってもよい。あるいは、処理部103は、表示以外の態様、例えば、音声出力等により、通知を行ってもよい。
実施形態2で説明した種々の構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
(実施形態3)
本実施形態に係る感震システム100Eは、図11に示すように、第1分電盤1Yに含まれる1以上の第1開閉器2Aと、第2分電盤1Xに含まれる1以上の第2開閉器2Bと、を備える点で、実施形態1に係る感震システム100と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については共通の符号を付して適宜説明を省略する。
第2分電盤1Xは、第1分電盤1Yとは別の分電盤である。1以上の第1開閉器2Aは、対象回路に含まれる。1以上の第2開閉器2Bは、複数の回路8のうちの対象回路以外の回路8に含まれる。第1分電盤1Yの幹線6は、第2分電盤1Xの幹線6に接続されている。さらに、第1分電盤1Yは、バックアップ電源110を有し、また、主幹ブレーカ3に代えて切替器30を有している。バックアップ電源110及び切替器30については、実施形態1の第2変形例で説明した通りである。
ここにおいて、実施形態1の第1変形例として説明した通り、第1開閉器2Aは「対象回路」に含まれ、第2開閉器2Bは「即時遮断回路」に含まれている。そして、処理部103は、複数の回路8のうちの対象回路についてのみ、回路判定部102の判定結果に基づいて処理を実行する。すなわち、処理部103は、第1分電盤1Yに含まれている第1開閉器2Aについてのみ、回路判定部102の判定結果に基づいて処理を実行する。言い換えれば、処理部103は、第1分電盤1Y内の第1開閉器2Aについては、地震検出部101の検出結果及び回路判定部102の判定結果に基づいて、遮断の処理を実行する。一方、第2分電盤1X内の第2開閉器2Bについては、回路判定部102での判定結果によらず、地震の発生時には、遮断の処理を実行する。
また、この感震システム100Eでは、第1分電盤1Yにおいて、感震ユニット9の地震検出部101が地震の発生を検出したときに、処理部103は、第1分電盤1Yの幹線6の接続先を、第2分電盤1Xの幹線6からバックアップ電源110に切り替える。これにより、複数の回路8のうち少なくとも回路判定部102の判定対象の回路8については、地震の発生後においても、バックアップ電源110から電力供給が可能となる。そのため、例えば、回路判定部102の判定対象の回路8が「必要回路」を含んでいる場合には、停電後においても、必要回路への電力の供給を継続することが可能になる。
ところで、実施形態3の変形例として、第1分電盤1Yは、第1開閉器2Aに加えて第2開閉器2Bを有していてもよい。
また、第1分電盤1Yの下流側に、別の分電盤(第3分電盤)が更に接続されてもよい。この場合、第3分電盤は、第1開閉器2Aを有していてもよいし、第2開閉器2Bを有していてもよい。また、第3分電盤は、第1開閉器2A及び第2開閉器2Bを有していてもよい。
実施形態3で説明した種々の構成(変形例を含む)は、実施形態1又は実施形態2で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る感震システム(100,100A~100E)は、地震検出部(101)と、回路判定部(102)と、処理部(103)と、を備える。地震検出部(101)は、地震の発生の有無を検出する。回路判定部(102)は、複数の回路(8)のうちの1以上の回路(8)の状態を判定する。処理部(103)は、地震検出部(101)の検出結果及び回路判定部(102)の判定結果に基づいて、1以上の回路(8)に関して通知と電力の調整との少なくとも一方の処理を実行する。
この態様によれば、1以上の回路(8)に関する通知と電力の調整との少なくとも一方の処理は、地震の発生の有無だけでなく、回路(8)の状態の判定結果に基づいて、実行される。すなわち、電力の調整(遮断等)のような処理は、地震の発生時であっても、常に複数の回路(8)の全てに関して実行されるのではなく、回路(8)の状態の判定結果によっては実行されないことになる。したがって、地震の発生時において、例えば、電気ストーブ及びIHクッキングヒータ等、地震の発生時に即時遮断することが好ましい負荷を含む特定回路があれば、特定回路への通電を即時遮断すること等が可能である。その結果、例えば、地震の発生から一定時間の間は特定回路への通電が遮断されない、といった事態が生じにくくなり、地震発生時の動作の信頼性向上を図ることができる。
第2の態様に係る感震システム(100,100A~100E)では、第1の態様において、回路判定部(102)は、少なくとも地震の発生時に火災につながり得る状態を1以上の回路(8)の状態として判定する。
この態様によれば、地震の発生時に火災につながり得る状態の1以上の回路(8)については、例えば、地震の発生時に通電を即時遮断する等の措置をとることが可能である。
第3の態様に係る感震システム(100,100A~100E)では、第1又は2の態様において、回路判定部(102)は、少なくとも1以上の回路(8)に含まれる配線(81)の異常の有無を1以上の回路(8)の状態として判定する。
この態様によれば、配線(81)の異常がある状態の1以上の回路(8)については、例えば、地震の発生時に通電を即時遮断する等の措置をとることが可能である。
第4の態様に係る感震システム(100,100A~100E)では、第1~3のいずれかの態様において、回路判定部(102)は、少なくとも1以上の回路(8)に熱源が含まれているか否かを1以上の回路(8)の状態として判定する。
この態様によれば、熱源を含む状態の1以上の回路(8)については、例えば、地震の発生時に通電を即時遮断する等の措置をとることが可能である。
第5の態様に係る感震システム(100,100A~100E)では、第1~4のいずれかの態様において、回路判定部(102)が1以上の回路(8)の状態を判定するタイミングは、地震検出部(101)が地震の発生を検出した時点以降である。
この態様によれば、地震検出部(101)が地震の発生を検出するまでは、回路判定部(102)による1以上の回路(8)の状態の判定が不要となる。
第6の態様に係る感震システム(100,100A~100E)では、第1~4のいずれかの態様において、回路判定部(102)が1以上の回路(8)の状態を判定するタイミングは、地震検出部(101)が地震の発生を検出した時点以前である。
この態様によれば、事前に回路判定部(102)による1以上の回路(8)の状態の判定が可能であるので、地震検出部(101)が地震の発生を検出してから、処理部(103)が処理を実行するまでの時間の短縮を図ることが可能である。
第7の態様に係る感震システム(100,100A~100E)では、第1~6のいずれかの態様において、回路判定部(102)は、少なくとも1以上の回路(8)に供給される電力の大きさに基づいて1以上の回路(8)の状態を判定する。
この態様によれば、特殊なセンサ等を設けなくとも、1以上の回路(8)の状態を判定することが可能になる。
第8の態様に係る感震システム(100,100A~100E)では、第1~7のいずれかの態様において、処理部(103)は、地震検出部(101)で発生が検出された地震の状況によって、処理を変更する。
この態様によれば、例えば、地震の規模等の地震の状況に応じた、適切な処理を実行することが可能となる。
第9の態様に係る感震システム(100,100A~100E)は、第1~8のいずれかの態様において、入力部(42)に対する入力に応じて処理部(103)での処理の対象となる回路(8)を指定する回路指定部(104)を更に備える。
この態様によれば、処理部(103)での処理の対象となる回路(8)を、ユーザが任意に決定することができる。
第10の態様に係る感震システム(100,100A~100E)では、第1~9のいずれかの態様において、回路判定部(102)は、複数の回路(8)のうちの一部の回路(8)からなる対象回路を判定対象とする。処理部(103)は、複数の回路(8)のうちの対象回路についてのみ、回路判定部(102)の判定結果に基づいて処理を実行する。
この態様によれば、複数の回路(8)のうちの対象回路以外の回路(8)については、例えば、地震の発生時に、回路判定部(102)の判定結果によらずに、通電を即時遮断する等の措置をとることが可能である。
第11の態様に係る感震システム(100,100A~100E)は、第10の態様において、1以上の第1開閉器(2A)と、1以上の第2開閉器(2B)と、を更に備える。1以上の第1開閉器(2A)は、第1分電盤(1Y)に含まれており、かつ対象回路に含まれる。1以上の第2開閉器(2B)は、第1分電盤(1Y)とは別の第2分電盤(1X)に含まれており、かつ複数の回路(8)のうちの対象回路以外の回路(8)に含まれる。
この態様によれば、第1分電盤(1Y)及び第2分電盤(1X)の単位で、対象回路か否かを区別できる。
第12の態様に係る感震システム(100,100A~100E)では、第1~11のいずれかの態様において、複数の回路(8)のうち少なくとも回路判定部(102)の判定対象の回路(8)は、バックアップ電源(110)から電力供給が可能である。
この態様によれば、例えば、照明器具及び防災設備(避難設備、誘導設備を含む)等、避難に必要な負荷を含む必要回路があれば、バックアップ電源(110)により、必要回路への通電を継続すること等が可能である。
第13の態様に係る感震システム(100,100A~100E)では、第1~12のいずれかの態様において、処理部(103)は、分電盤(1,1A~1D)に設けられた表示部(105)に、回路(8)ごとの表示を行わせることで通知の処理を実行する。分電盤(1,1A~1D)は、複数の回路(8)のうち少なくとも回路判定部(102)の判定対象の回路(8)に含まれる1以上の開閉器(2)を有する。
この態様によれば、表示部(105)の表示により、回路(8)ごとに、例えば、通電を遮断すべきか否かをユーザに通知することが可能である。
第14の態様に係る感震システム(100,100A~100E)では、第13の態様において、表示部(105)は、表示部(105)への電力供給が遮断された場合に、少なくとも表示部(105)への電力供給の復旧時に表示を行う。
この態様によれば、例えば、停電が発生した場合等においても、表示部(105)への電力供給が復旧すると、表示部(105)による表示を行うことができる。
第15の態様に係る分電盤(1,1A~1D)は、第1~14のいずれかの態様に係る感震システム(100,100A~100E)と、複数の開閉器(2)と、分電盤用キャビネット(10)と、を備える。複数の開閉器(2)は、複数の回路(8)にそれぞれ含まれる。分電盤用キャビネット(10)は、複数の開閉器(2)を収容する。
この態様によれば、1以上の回路(8)に関する通知と電力の調整との少なくとも一方の処理は、地震の発生の有無だけでなく、回路(8)の状態の判定結果に基づいて、実行される。すなわち、電力の調整(遮断等)のような処理は、地震の発生時であっても、常に複数の回路(8)の全てに関して実行されるのではなく、回路(8)の状態の判定結果によっては実行されないことになる。したがって、地震の発生時において、例えば、電気ストーブ及びIHクッキングヒータ等、地震の発生時に即時遮断することが好ましい負荷を含む特定回路があれば、特定回路への通電を即時遮断すること等が可能である。その結果、例えば、地震の発生から一定時間の間は特定回路への通電が遮断されない、といった事態が生じにくくなり、地震発生時の動作の信頼性向上を図ることができる。
第16の態様に係る方法は、地震検出処理と、回路判定処理と、実行処理と、を有する。地震検出処理は、地震の発生の有無を検出する処理である。回路判定処理は、複数の回路(8)のうちの1以上の回路(8)の状態を判定する処理である。実行処理は、地震検出処理の検出結果及び回路判定処理の判定結果に基づいて、1以上の回路(8)に関して通知と電力の調整との少なくとも一方を実行する処理である。
この態様によれば、1以上の回路(8)に関する通知と電力の調整との少なくとも一方の処理は、地震の発生の有無だけでなく、回路(8)の状態の判定結果に基づいて、実行される。すなわち、電力の調整(遮断等)のような処理は、地震の発生時であっても、常に複数の回路(8)の全てに関して実行されるのではなく、回路(8)の状態の判定結果によっては実行されないことになる。したがって、地震の発生時において、例えば、電気ストーブ及びIHクッキングヒータ等、地震の発生時に即時遮断することが好ましい負荷を含む特定回路があれば、特定回路への通電を即時遮断すること等が可能である。その結果、例えば、地震の発生から一定時間の間は特定回路への通電が遮断されない、といった事態が生じにくくなり、地震発生時の動作の信頼性向上を図ることができる。
第17の態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、第16の態様に係る方法を実行させるためのプログラムである。
この態様によれば、1以上の回路(8)に関する通知と電力の調整との少なくとも一方の処理は、地震の発生の有無だけでなく、回路(8)の状態の判定結果に基づいて、実行される。すなわち、電力の調整(遮断等)のような処理は、地震の発生時であっても、常に複数の回路(8)の全てに関して実行されるのではなく、回路(8)の状態の判定結果によっては実行されないことになる。したがって、地震の発生時において、例えば、電気ストーブ及びIHクッキングヒータ等、地震の発生時に即時遮断することが好ましい負荷を含む特定回路があれば、特定回路への通電を即時遮断すること等が可能である。その結果、例えば、地震の発生から一定時間の間は特定回路への通電が遮断されない、といった事態が生じにくくなり、地震発生時の動作の信頼性向上を図ることができる。
上記態様に限らず、実施形態1、実施形態2及び実施形態3に係る感震システム(100,100A~100E)の種々の構成(変形例を含む)は、上記方法又はプログラムにて具現化可能である。
第2~14の態様に係る構成については、感震システム(100,100A~100E)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。