(実施形態)
(1)概要
本開示のアーク検出システム100は、図1に示すように、分電盤1に接続されている回路C1で発生するアーク故障を検出するために用いられる。
アーク検出システム100は、第1取得部711と、第2取得部712と、検知部713と、を備える。
第1取得部711は、回路C1に流れる電流の検出結果を取得する。
第2取得部712は、回路C1でのアーク故障に関連する、電流(回路C1に流れる電流)以外の関連事象の情報を取得する。
検知部713は、第1取得部711が取得した検出結果と第2取得部712が取得した情報とに基づいて回路C1でアーク故障が発生しているか否かを検知する。
本開示では、第1取得部711、第2取得部712、及び検知部713の各機能は、分電盤1に収容される監視ユニット7(後述する)が有している。
本開示において、「回路」は、分電盤1に接続されている回路C1である。分電盤1に接続されている回路C1は、分電盤1に収容されている主幹ブレーカ3、分岐ブレーカ4、感震ブレーカ5、及び連系ブレーカ6を含み得る。また、分電盤1に接続されている回路C1は、分岐ブレーカ4の二次側に電気的に接続されるコンセント22若しくは電気機器24、又は分岐ブレーカ4の二次側に直接、電気的に接続される電気機器23を含み得る。さらに、本開示でいう「回路」は、連系ブレーカ6の二次側に電気的に接続される分散電源21を含み得る。以下では、主幹ブレーカ3、分岐ブレーカ4、感震ブレーカ5、及び連系ブレーカ6を特に区別しない場合、「開閉器2」という。
本開示において第1取得部711は、回路C1に流れる電流を検出する検出器(本実施形態では例えば電流計測装置8等)から電流の検出結果を取得してもよいし、第1取得部711自体が電流を検出することによって電流の検出結果を取得(検出)してもよい。
本開示でいう「アーク故障」は、回路C1に含まれる配線C11における絶縁劣化又は半断線等の配線異常によって発生し得る。本開示でいう「半断線」は、断線しかかっている状態を意味し、具体的には、配線C11がより線であれば、より線を構成する複数本の素線のうちの一部の素線が断線した状態である。アーク故障は、一例として、配線C11が一対の電線で構成される場合に、一対の電線間が短絡することでアーク(いわゆるパラレルアーク)が発生することを含み得る。また、アーク故障は、一例として、配線C11が一対の電線で構成される場合に、一対の電線のうちの一方が半断線することでアーク(いわゆるシリーズアーク)が発生することを含み得る。なお、パラレルアークによって回路C1に流れる電流の大きさは数十~数百A程度であり、シリーズアークによって回路C1に流れる電流の大きさは10~20A程度である。
本開示でいう「回路でのアーク故障に関連する、電流以外の関連事象」とは、回路C1でアーク故障が発生したことに伴って発生する事象と、アーク故障の予兆として発生する事象との少なくとも一方を含む。アーク故障を発生させる配線異常、又は、アーク故障が発生すると、回路C1に大電流が流れるため、電線C11が発熱する。そして、電線C11の発熱によって回路C1が設置された環境の温度が上昇したり、電線C11の被覆C12(図3A参照)が加熱されることで異臭又は煙が発生したり、アークの発生に伴い音が発生したりする可能性がある。したがって、関連事象の情報は、アーク故障に伴って発生する事象、又は、アーク故障の予兆として発生する事象である温度、臭い、煙、及び音の少なくとも1つを含む環境情報を含み得る。また、回路C1の設置場所で、地震、浸水、竜巻、又は火事等の災害が発生した場合には電線C11が引っ張られたり、電線C11の上に重量物が載ったりすることで、電線C11の半断線等が発生しやすくなり、シリーズアーク又はパラレルアーク等のアーク故障が発生しやすくなる。そのため、災害の発生時にはアーク故障の検出漏れを低減することが望ましく、アーク故障に関連する関連事象の情報は、回路C1の設置場所で発生する災害に関する災害情報を含み得る。すなわち、第2取得部712が取得する情報は、回路C1が存在する環境での温度、臭い、音及び煙の少なくとも1つに関連する環境情報と、回路C1の設置場所で発生する災害に関連する災害情報との少なくとも一方を含む。
検知部713は、第1取得部711が取得した回路C1の電流の検出結果と、第2取得部712が取得したアーク故障に関連する関連事象の情報とに基づいて、回路C1でアーク故障が発生しているか否かを検知する。したがって、本開示によれば、検知部713が電流の検出結果のみに基づいてアーク故障が発生しているか否かを検知する場合に比べて、アーク故障が発生しているか否かを確実に検出できる。つまり、本開示によれば、アーク故障の発生を確実に検出可能なアーク検出システム100を実現できる。また、本開示によれば、検知部713が電流の検出結果のみに基づいてアーク故障が発生しているか否かを検知する場合に比べて、アーク故障の検出漏れが発生したり、アーク故障の誤検出が発生したりする可能性を低減できる。
(2)詳細
以下、本実施形態のアーク検出システム100及びアーク検出システム100を備える分電盤1について図1及び図2を用いて詳細に説明する。
分電盤1の分電盤用キャビネット10(図2参照)は、例えば、戸建て住宅又は集合住宅の住戸等の施設500に設置されて使用される。なお、分電盤1が設置される施設500は、戸建て住宅又は集合住宅の各住戸に限定されず、非住宅の建物(例えば、工場、商業用ビル、オフィスビル、病院、学校等)に設置されてもよい。
以下の説明では、特に断りがない限り、図2においてX軸方向を左右方向、Z軸方向を上下方向と規定する。また、X軸方向及びZ軸方向とそれぞれ直交する方向を前後方向と規定する。さらに、X軸方向の正の向きを右側、Z軸方向の正の向きを上側と規定する。ただし、これらの方向は一例であり、分電盤用キャビネット10及び分電盤1の使用時の方向を限定する趣旨ではない。また、図面中の各方向を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
(2.1)分電盤
まず、分電盤1について説明する。分電盤1は、図1及び図2に示すように、アーク検出システム100と、アーク検出システム100を収容する分電盤用キャビネット10と、を備えている。分電盤用キャビネット10は、図2に示すように、複数の開閉器2と、監視ユニット7と、電流計測装置8と、バックアップ電源9(図1参照)と、を収容する。ここで、複数の開閉器2は、主幹ブレーカ3と、複数の分岐ブレーカ4と、感震ブレーカ5と、連系ブレーカ6と、を含んでいる。なお、分電盤用キャビネット10が、監視ユニット7、電流計測装置8、及びバックアップ電源9を収容することは必須ではなく、監視ユニット7、電流計測装置8及びバックアップ電源9の少なくとも一部が分電盤用キャビネット10外にあってもよい。
分電盤用キャビネット10は、前面が開口した箱状のボディ11(図2参照)と、ボディ11の開口を塞ぐカバーと、を備えている。図2においては、カバーの図示を省略している。分電盤用キャビネット10は、例えば建物の壁110等、建物を構成する部材に取り付けられる。なお、分電盤用キャビネット10は、壁110(図2参照)に設けられた取付孔に一部又は全体が埋め込まれた状態で取り付けられてもよい。分電盤用キャビネット10は、例えば、平均的な身長の子供では手が届かないような高さ位置であって、平均的な身長の大人であれば操作が可能なような高さ位置に設けられる。
また、分電盤用キャビネット10は、分電盤用キャビネット10が壁110に取り付けられた状態でカバーの前面を覆う蓋体を更に備える。蓋体は、閉位置と開位置との間で移動可能な状態でカバーに取り付けられる。閉位置は、カバーの前面を覆う位置である。開位置は、カバーの前面の少なくとも一部を覆わない位置である。なお、蓋体は、ある方向からカバーを見た場合にカバーの前面の一部を覆っていればよく、本実施形態では、閉位置にある蓋体は、カバーを前方から見た場合にカバーの前面の略全体を覆っている。
分電盤用キャビネット10の内部には、図2に示すように、主幹ブレーカ3、複数の分岐ブレーカ4、感震ブレーカ5、連系ブレーカ6、監視ユニット7、及び電流計測装置8が収容されている。主幹ブレーカ3、複数の分岐ブレーカ4、感震ブレーカ5、連系ブレーカ6、監視ユニット7、及び電流計測装置8は、ボディ11に直接又は取付用の部品等を介して取り付けられている。図2は、分電盤用キャビネット10の内部における主幹ブレーカ3、複数の分岐ブレーカ4、感震ブレーカ5、連系ブレーカ6、監視ユニット7、及び電流計測装置8の配置を示しているが、これらの配置は一例であり、適宜変更が可能である。また、図2ではバックアップ電源9の図示を省略しているが、バックアップ電源9は分電盤用キャビネット10の内部の適宜の位置に配置されていればよい。
主幹ブレーカ3は、分電盤用キャビネット10の内部において、左右方向の中央よりもやや左側の位置に配置されている。なお、分電盤用キャビネット10の内部での主幹ブレーカ3の位置は、例えば中央よりも右側等、他の位置であってもよい。主幹ブレーカ3は、一次側端子と二次側端子との間に電気的に接続された接点31(図1参照)を備える。主幹ブレーカ3は、接点31をオン又はオフにするための操作レバーを前面に備えている。また、主幹ブレーカ3は、例えば漏電電流が流れる異常状態を検出する検出部32(図1参照)を備えている。主幹ブレーカ3は、検出部32にて接点31を流れる電流が不平衡状態となる異常状態を検出すると、接点31を開極させる。これにより、主幹ブレーカ3は、主幹ブレーカ3の二次側の回路への電力供給を遮断し、回路を保護している。また、主幹ブレーカ3は、検出部32にて短絡電流又は過負荷電流等の過電流を検出すると、接点31を開極させる。また、主幹ブレーカ3の検出部32は、単相三線式配線における中性線の欠相状態を検出する機能を有する。そして、主幹ブレーカ3は、検出部32が中性線の欠相状態を検出すると、接点31を開極させる。なお、主幹ブレーカ3は、所定の制限値を超える電流が流れると、接点31を開極させるリミッタ機能を備えていてもよい。
主幹ブレーカ3の二次側端子には、単相三線式配線における第1電圧極(L1相)の導電バー、第2電圧極(L2相)の導電バー、及び中性極(N相)の導電バーが接続されている。各導電バーは、導電部材により左右方向に長い長尺板状に形成されており、分電盤用キャビネット10の内部において、上下方向の中央であって主幹ブレーカ3の右側の位置に配置されている。
複数の分岐ブレーカ4は、各導電バーの上側と下側とに分かれて、それぞれ複数個ずつ左右方向に並ぶように配置されている。本実施形態では、図2に示すように、各導電バーの上側には、12個の分岐ブレーカ4が左右方向に並ぶように配置されている。また、各導電バーの下側には、11個の分岐ブレーカ4が左右方向に並ぶように配置されている。
各分岐ブレーカ4は、一対の一次側端子と、一対の二次側端子と、を備えている。各分岐ブレーカ4は、一次側端子と二次側端子との間に電気的に接続される接点を有している。各分岐ブレーカ4の前面には、各分岐ブレーカ4が内蔵する接点をオン又はオフにするための操作レバーが設けられている。
分岐ブレーカ4には、100V用と200V用とがある。100V用の分岐ブレーカ4が備える一対の一次側端子は、第1電圧極の導電バー及び第2電圧極の導電バーのうちの一方と、中性極の導電バーとにそれぞれ電気的に接続される。200V用の分岐ブレーカ4が備える一対の一次側端子は、第1電圧極の導電バーと、第2電圧極の導電バーとにそれぞれ電気的に接続される。また、分岐ブレーカ4の二次側端子には、対応する配線C11が電気的に接続される。各分岐ブレーカ4の二次側端子に接続された配線C11には、例えば、照明器具又は給湯設備等の電気機器23、コンセント22(図1参照)又は壁スイッチ等の配線器具が負荷として1つ以上接続される。したがって、分電盤1は、分岐ブレーカ4の二次側端子に配線C11を介して接続された電気機器23、又はコンセント22に接続された電気機器24(例えば空調機器又はテレビ受像機等)等に電力を供給することができる。
また、分岐ブレーカ4は、分岐ブレーカ4が内蔵する接点に、短絡電流又は過負荷電流等の過電流が流れる異常状態を検出する検出部41(図1参照)を備えている。分岐ブレーカ4は、検出部41にて接点に過電流が流れる異常状態を検出すると、接点を開極させる。これにより、分岐ブレーカ4は、分岐ブレーカ4の二次側の回路への電力供給を遮断し、回路を保護している。また、検出部41は、分岐ブレーカ4に接続された配線C11の漏電状態を検出する機能を備えている。そして、分岐ブレーカ4は、検出部41が漏電の発生を検出すると、接点を開極させる。
感震ブレーカ5は、導電バーの下側において、分岐ブレーカ4と左右方向に並ぶように配置されている。感震ブレーカ5は、分電盤用キャビネット10に加わる振動を検出する感震センサ51を有している。感震センサ51が所定の基準値(例えば震度5の地震動)を超える大きさの振動を検出すると、感震ブレーカ5は回路を遮断する遮断動作を行う。感震ブレーカ5は、例えば第1電圧極又は第2電圧極と中性極との間を比較的低抵抗のインピーダンス要素を介して電気的に接続することで疑似的な漏電状態を発生させる。感震ブレーカ5が疑似的な漏電状態を発生させると、主幹ブレーカ3の検出部32が、感震ブレーカ5が発生させた疑似的な漏電状態を検出し、主幹ブレーカ3が接点31を開極させる。これにより、地震等によって分電盤用キャビネット10に基準値を超える大きさの振動が加わると、主幹ブレーカ3の二次側に接続された回路への電力供給を遮断することができる。
連系ブレーカ6には、施設500に設けられた分散電源21が接続される。連系ブレーカ6は、主幹ブレーカ3の二次側端子に電気的に接続された導電バーと、分散電源21との間に電気的に接続される。連系ブレーカ6の接点がオンになると、分散電源21が系統電源20と連系して負荷に電力を供給することができる。一方、連系ブレーカ6の接点がオフになると、分散電源21が系統電源20から解列される。連系ブレーカ6は、例えば漏電の発生を検出する検出機能を有している。連系ブレーカ6の検出機能が漏電の発生を検出すると、連系ブレーカ6は遮断動作を行い、分散電源21を系統電源20から解列させる。なお、連系ブレーカ6は、短絡電流等の過電流を検出する検出機能を備えていてもよく、連系ブレーカ6の検出機能が過電流を検出すると、連系ブレーカ6が遮断動作を行うように構成されてもよい。
電流計測装置8は、複数の分岐ブレーカ4の各々に接続された負荷(電気機器23,24等)に流れる電流(つまり回路C1に流れる電流)を計測するように構成されている。電流計測装置8は、例えば、基板と、複数のコイルと、を有している。基板は、左右方向に長い板状である。基板には、複数の孔が形成されている。複数の孔には、導電バーから延びて分岐ブレーカ4の一次側端子に接続される端子がそれぞれ挿入される。コイルは、例えばロゴスキコイルであり、基板の孔の周りに形成されている。本実施形態では、電流計測装置8は、複数の分岐ブレーカ4及び連系ブレーカ6の各々に流れる電流(つまり、複数の回路C1の各々に流れる電流)を計測する。ここにおいて、電流計測装置8(電流センサ)は、分電盤1が設置される施設500で使用されるエネルギーを管理するエネルギー管理システム600に用いられるセンサと共用される。
バックアップ電源9は、ニッケル水素電池又はリチウムイオン電池等の二次電池であるバッテリ91と、バッテリ91を充電する充電回路とを含む。バックアップ電源9の充電回路は、主幹ブレーカ3の一次側から電力の供給を受けて、バッテリ91を充電する。バックアップ電源9は、系統電源20が停電した場合に、バッテリ91を電源として監視ユニット7等に電力を供給する。したがって、系統電源20が停電した場合でも、監視ユニット7は、バックアップ電源9から電力の供給を受けて動作することができる。系統電源20の正常時には、監視ユニット7は、主幹ブレーカ3の一次側(系統電源20)から電力の供給を受けて動作する。
ここで、開閉器2は、通信部201を更に備えている。通信部201は、監視ユニット7の通信部72(後述する)と通信可能に構成されている。通信部201は、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、監視ユニット7との間で信号を授受する。ここでは、複数の開閉器2の各々には固有のアドレスが設定されている。つまり、通信部201は、開閉器2に設定されたアドレス(メモリ等に記憶されたアドレス)を用いて、監視ユニット7と通信を行う。
本実施形態では、開閉器2の通信部201と監視ユニット7とは、互いに双方向に通信可能であって、通信部201から監視ユニット7への信号の送信、及び監視ユニット7から通信部201への信号の送信の両方が可能である。
また、本実施形態では、通信部201は、電流計測装置8の基板を、監視ユニット7との間の通信経路の少なくとも一部に用いる。言い換えれば、基板の導電層が、通信部201と監視ユニット7との間の通信経路の一部を構成する。通信部201と基板との間の通信方式は、例えば、RS-485、又は有線LAN等の通信規格に準拠した有線通信を適宜採用可能である。
(2.2)アーク検出システム
次に、アーク検出システム100について図1を用いて説明する。本実施形態では、既に述べたように、アーク検出システム100の構成要素は監視ユニット7に含まれているので、以下では、監視ユニット7の説明と併せて、アーク検出システム100について説明する。
監視ユニット7は、分電盤用キャビネット10の内部において、主幹ブレーカ3の左側に配置されている。監視ユニット7は、主幹ブレーカ3の一次側から電力の供給を受けて動作するので、主幹ブレーカ3が遮断動作を行った場合でも動作が可能である。なお、系統電源20が停電した場合には、監視ユニット7は、バックアップ電源9から電力の供給を受けるので、系統電源20の停電時でも動作が可能である。
本実施形態の監視ユニット7は、制御部71と、通信部72と、通知部73と、記憶部74と、ユーザ検知部75とを備えている。
監視ユニット7は、例えば、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、制御部71としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
制御部71は、第1取得部711、第2取得部712、検知部713、及び遮断部714の機能を備える。
第1取得部711は、分電盤1内の主幹ブレーカ3及び分岐ブレーカ4の少なくとも一方に流れる電流の検出結果を取得する。本実施形態の監視ユニット7は、主幹ブレーカ3に流れる電流を計測する主幹電流計測装置、及び電流計測装置8と電気的に接続されている。ここに、主幹電流計測装置は、例えばカレントトランス(CT)からなる電流センサを備えている。監視ユニット7の第1取得部711は、電流計測装置8が計測した複数の分岐ブレーカ4及び連系ブレーカ6の各々に流れる電流値を、電流計測装置8から受け取ることによって、複数の分岐ブレーカ4及び連系ブレーカ6(つまり複数の回路C1)の各々に流れる電流の検出結果を取得する。さらに、監視ユニット7の第1取得部711は、主幹電流計測装置が計測した電流値を主幹電流計測装置から受け取ることによって、主幹ブレーカ3に流れる電流の検出結果を取得する。また、第1取得部711は、電流計測装置8、及び主幹電流計測装置が計測した電流値のそれぞれを電力値(瞬時電力値)に変換することによって電力値を求める機能を有している。また、第1取得部711は、収集した瞬時電力のデータを所定時間に亘って積算した電力量のデータを演算する機能を有している。
第2取得部712は、回路C1でのアーク故障に関連する関連事象の情報を取得する。本実施形態では、第2取得部712は、複数の回路C1でのアーク故障に関連する関連事象の情報を取得する。第2取得部712は、例えば、関連事象の情報として、回路C1の周辺での環境情報を検出するセンサ26から環境情報を取得する。ここにおいて、センサ26は、複数の回路C1の各々で配線C11の被覆C12の温度を測定する温度センサを含み得る。センサ26は、複数の回路C1の設置場所で、配線C11の発熱によって被覆C12が加熱された際に発生する臭いガスを検出するガスセンサを含み得る。センサ26は、複数の回路C1の設置場所で、配線C11の発熱によって被覆C12が加熱された際に発生する煙を検出する煙センサを含み得る。また、センサ26は、複数の回路C1の設置場所で、例えばアーク(シリーズアーク又はパラレルアーク)が発生することによって生じる音(スパーク音)を検出する音センサを含んでもよい。また、第2取得部712は、災害情報を提供する気象庁、消防庁又は自治体等の災害情報提供サーバ700から、通知部73を介して災害情報を取得する。ここにおいて、災害情報は、地震、台風、洪水、又は竜巻等の自然災害、及び、火災等の人災の少なくとも一方に関する情報である。
また、第2取得部712は、コントローラ25から、複数の回路C1に含まれる複数の負荷(電気機器23,24等)のうちコントローラ25が制御可能な制御対象負荷に関連する負荷情報を取得する。コントローラ25は、複数の回路C1が配置された施設500でのエネルギーの使用量を管理するエネルギー管理システム600(例えばHEMS:Home Energy Management System)のコントローラである。コントローラ25は、エネルギー管理システム600に対応する機器(以下、HEMS対応機器ともいう)の制御又は監視を行う。例えば、コントローラ25は、監視ユニット7と通信を行うことによって、複数の分岐ブレーカ4に接続された複数の負荷(電気機器23,24等)の各々での瞬時電力や電力量のデータを取得することができ、HEMS対応機器を制御又は監視することができる。コントローラ25は、分電盤用キャビネット10の外部に配置されている。HEMS対応機器は、例えばスマートメータ、太陽光発電装置、蓄電装置、燃料電池、電気自動車、エアコン、照明器具、給湯装置、冷蔵庫、又はテレビ受像機等を含む。HEMS対応機器のうち、コントローラ25によって制御可能な機器が制御対象負荷となる。なお、HEMS対応機器は、これらの機器に限定されない。
検知部713は、第1取得部711が取得した回路C1に流れる電流の検出結果と、第2取得部712が取得した情報とに基づいて、回路C1でアーク故障が発生しているか否かを検知する。また、本実施形態では、分電盤1には、複数の回路C1が接続されている。したがって、検知部713は、回路C1ごとに、配線C11でアーク故障が発生しているか否かを検知する。換言すれば、検知部713は、複数の回路C1の中からアーク故障が発生している回路C1を更に検知する。また、本実施形態では、検知部713は、アーク故障の検知感度を第2取得部712が取得する情報(アーク故障の関連事象の情報)に基づいて変更する。例えば、検知部713は、第2取得部712が取得した情報に基づいてアーク故障の前兆を検出するか、又は、災害が発生していると判断すると、アーク故障の検知感度を第1感度に設定する。検知部713は、アーク故障の前兆を検出できず、かつ、災害が発生していないと判断すると、アーク故障の検知感度を、第1感度よりも低い第2感度に設定する。これにより、アーク検出システム100は、アーク故障の前兆が検出されるか、又は、災害が発生している場合には、アーク故障の検知感度を高感度(第1感度)に設定することで、アーク故障の検出漏れを抑制できる。また、アーク検出システム100は、アーク故障の前兆が検出されず、かつ、災害が発生していない場合には、アーク故障の検知感度を低感度(第2感度)に設定することで、アーク故障の誤検出を抑制できる。
本実施形態では、検知部713は、監視ユニット7に設けられている。そして、監視ユニット7は、上述のように、電流計測装置8が計測した電流値のデータを取得している。このため、検知部713では、複数の回路C1の各々に流れる電流に基づいて、個々の回路C1に含まれる配線C11でのアーク故障(配線異常)の有無を検知することが可能である。ここで、検知部713が複数の回路C1の各々でアーク故障(配線異常)の有無を検知した検知結果は記憶部74に記憶される。
本実施形態では、検知部713は、配線C11の異常として、少なくともアーク故障の発生を検知することが可能である。具体的には、検知部713は、アーク短絡保護遮断器(AFCI:Arc Fault Circuit Interrupter)と同様の技術により、配線C11でアーク故障が発生しているか否かを検知することができる。すなわち、アーク短絡保護遮断器では、電子回路を使用して、配線C11で発生するアーク故障に特有の電流特性及び電圧特性を認識し、配線C11で発生するアーク故障を検知できる。これと同様の原理により、検知部713は、回路C1の配線C11でアーク故障が発生しているか否かを検知することが可能である。
ここで、各回路C1の配線C11で発生し得るアーク故障には、既に述べたように、パラレルアークと、シリーズアークと、の2種類が存在する。以下に、パラレルアーク及びシリーズアークについて、図3A~図4Bを参照して簡単に説明する。図4A及び図4Bは、横軸を時間、縦軸を電流として、それぞれパラレルアーク及びシリーズアークが生じた場合に配線C11を流れる電流波形の一例を示している。
パラレルアークは、例えば図3Aに示すように、配線C11を構成する一対の電線C10の導体が接触する等して短絡することにより発生し得る。図3Aにおける点線の矢印I1は、パラレルアークの発生時において配線C11を流れる電流の経路を模式的に表している。パラレルアークの発生時において配線C11を流れる電流の大きさは、例えば、数十〔A〕~数百〔A〕である。パラレルアークは、例えば、施設500にある器物(一例として家具等)の端縁に配線C11が引っ掛かることで被覆C12が損傷したり、ステップル等の金属製の部材で配線C11を挟み込んだりすることで生じ得る。また、パラレルアークは、例えば配線C11に過電流が流れて被覆C12が溶融したり、動物が配線C11をかじって被覆C12が損傷したりすることでも生じ得る。その他、パラレルアークは、配線C11が長期的に紫外線を浴び続けることで被覆C12が絶縁劣化した場合にも生じ得る。
図4Aは、パラレルアークの発生時において配線C11を流れる電流の波形の一例を示す。図4Aに示すように、パラレルアークの発生時においては、配線C11には、断続的にパルス電流が流れる。つまり、パラレルアークの発生時においては、配線C11に流れる電流の波形には、パラレルアークの発生に伴う固有のパターンが含まれる。したがって、検知部713は、第1取得部711が取得した配線C11を流れる電流の検出結果から求めた電流の波形と、上記のパターンとを比較することにより、配線C11にパラレルアークが発生しているか否かを検知することが可能である。
シリーズアークは、例えば図3Bに示すように、配線C11を構成する一対の電線C10のうちの一方が半断線することにより発生し得る。図3Bにおける点線の矢印I2は、シリーズアークの発生時において配線C11を流れる電流の経路を模式的に表している。シリーズアークの発生時において配線C11を流れる電流の大きさは、数〔A〕~十数〔A〕である。そのため、シリーズアークの発生時において配線C11を流れる電流の大きさは、異常の発生していない正常時において配線C11に接続される負荷(例えば、電気機器23,24)に流れる電流の大きさよりも小さくなることもある。シリーズアークは、例えば配線C11が繰り返し曲げられたり、配線C11が過度な力で引っ張られたりすることで生じ得る。
図4Bは、シリーズアークの発生時において配線C11を流れる電流の波形の一例を示す。図4Bに示すように、シリーズアークの発生時においては、配線C11には、負荷(例えば、電気機器23,24)に供給される電流に対して、シリーズアークに特有の高周波成分が重畳された電流が流れる。つまり、シリーズアークの発生時に配線C11を流れる電流は、図4Bに例示するようなシリーズアークに特有の高周波成分を含み得る。したがって、検知部713は、例えば第1取得部711が取得した配線C11を流れる電流の検出結果から電流の高周波成分を求め、この高周波成分に基づいて、配線C11にシリーズアークが発生しているか否かを検知することが可能である。
遮断部714は、回路C1でアーク故障が発生していると検知部713が検知した場合に回路C1を遮断する。遮断部714は、例えば、第1電圧極又は第2電圧極と中性極との間に比較的低抵抗のインピーダンス要素を介して電気的に接続されたスイッチ(例えば半導体スイッチ等)を導通させることで疑似的な漏電状態を発生させる。遮断部714が疑似的な漏電状態を発生させると、この漏電状態を主幹ブレーカ3の検出部32が検出し、主幹ブレーカ3が接点31を開極させる。これにより、配線C11でアーク故障が発生したと検知部713が検知すると、遮断部714は、疑似的な漏電状態を発生させ、主幹ブレーカ3の接点31を開極させることによって、複数の回路C1をまとめて遮断することができる。
本実施形態では、主幹ブレーカ3が遮断動作を行った場合でも、主幹ブレーカ3の一次側から電力が監視ユニット7に供給される。このため、系統電源20が停電していない場合、制御部71の各機能は動作可能である。また、監視ユニット7には、系統電源20の停電時にはバックアップ電源9から電力が供給される。このため、系統電源20が停電している場合でも、制御部71の各機能は動作可能である。
通信部72は、施設500に設置されたコントローラ25等との間で通信を行う。コントローラ25は、監視ユニット7と通信を行うことによって、複数の分岐ブレーカ4に接続された複数の負荷(電気機器23,24等)の各々での瞬時電力や電力量のデータを取得することができる。また、コントローラ25は、監視ユニット7と通信を行うことによって、HEMS対応機器(制御対象負荷を含む)を制御又は監視することができる。通信部72とコントローラ25との間の通信方式は、例えば、920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等の通信規格に準拠した、電波を媒体とした無線通信である。なお、通信部72とコントローラ25との間の通信方式は、有線LAN(Local Area Network)等の通信規格に準拠した有線通信であってもよい。また、通信部72とコントローラ25との間の通信における通信プロトコルは、例えば、Ethernet(登録商標)、ECHONET Lite(登録商標)等である。また、既に述べたように、通信部72は、電流計測装置8の基板の導電層の一部を用いて、各開閉器2の通信部201との間で通信を行う。
通知部73は、インターネットのような広域のネットワーク200を介して、管理サーバ300、災害情報提供サーバ700、及び情報端末400と通信する通信機能を有している。ここにおいて、情報端末400は、例えば分電盤1のユーザが携帯する端末であり、例えばスマートフォン又はタブレット型のコンピュータである。なお、情報端末400は、例えばデスクトップ型又はラップトップ型のパーソナルコンピュータ等であってもよい。本開示でいう「ユーザ」は、分電盤1のユーザであって、例えば分電盤1の設置されている施設500が住宅であれば、ユーザは施設500の住人である。通知部73は、アーク故障が発生していると検知部713が検知すると、アーク故障の発生を通知する。通知部73は、例えば、アーク故障の発生を通知する情報を、ユーザが有する情報端末400に対して通知することによって、アーク故障の発生をユーザに通知する。これにより、分電盤1のユーザは、情報端末400を操作して、例えばメールを閲覧したり、情報端末400にインストールされているアーク検出システム100用のアプリケーションを起動したりすることにより、アーク故障の発生を確認することができる。
なお、本実施形態では、検知部713が、複数の回路C1の中からアーク故障が発生している回路C1を更に検知しており、通知部73は、アーク故障が発生している回路C1を情報端末400に更に通知してもよい。この場合、分電盤1のユーザは、情報端末400を操作して、例えばメールを閲覧したり、情報端末400にインストールされているアーク検出システム100用のアプリケーションを起動したりすることにより、アーク故障が発生している回路C1を確認できる。
一例として、通知部73は、検知部713にて配線C11でのアーク故障が検知されると、配線C11でのアーク故障に応じて記憶部74から読み出された詳細情報を含む信号を、情報端末400へ送信する。ユーザは、情報端末400を操作して、例えばメールを閲覧したり、情報端末400にインストールされているアーク検出システム100用のアプリケーションを起動したりすることによって、通知部73から通知された内容(詳細情報等)を確認することができる。
なお、通知部73は、例えば監視ユニット7に備え付けの表示装置(例えば、液晶ディスプレイ等)、又は監視ユニット7に接続された表示装置に文字列及び/又は画像を表示することにより、アーク故障の発生を示す情報を視覚的に表示してもよい。また、通知部73は、監視ユニット7に備え付けのLED(Light Emitting Diode)等の固体発光素子を点灯させることにより、アーク故障の発生を示す情報を視覚的に表示してもよい。また、通知部73は、例えば監視ユニット7に備え付けのスピーカ、又は監視ユニット7に接続されたスピーカから音声メッセージを出力することにより、アーク故障の発生を示す情報を聴覚的に提示してもよい。
ここで、通知部73が通知する詳細情報は、アーク故障の種別を示す種別情報を含み得る。本実施形態では、アーク故障の種別は、少なくともパラレルアーク及びシリーズアークの2つの種別を含んでいる。本実施形態では、検知部713は、上述のようにパラレルアークの発生の有無、及びシリーズアークの発生の有無を検知することが可能である。したがって、通知部73は、検知部713での検知結果に基づいて、アーク故障がパラレルアークの発生であるのか、又はシリーズアークの発生であるのかを通知することが可能である。
また、詳細情報は、複数の回路C1のうちアーク故障が発生している1以上の回路C1を示す情報を含み得る。すなわち、検知部713は、回路C1ごとに配線C11でのアーク故障を検知している。したがって、通知部73は、検知部713での検知結果に基づいて、どの回路C1(言い換えれば、どの場所、又は、どの負荷)でアーク故障が発生したのかを通知することが可能である。例えば、通知部73は、アーク故障が発生している回路C1の名称、当該回路C1に接続されている負荷の名称、又は回路C1の場所等を通知すればよく、ユーザは通知部73によって通知された情報に基づいてアーク故障が発生している回路C1を特定することができる。
また、詳細情報は、回路C1に含まれる負荷に関する負荷情報を含み得る。例えば、検知部713は、例えばディスアグリゲーション技術を適用することによって、電力の大きさの変化から、回路C1に含まれる負荷(例えば、電気機器23,24)の種類及び台数等を推定することが可能である。したがって、通知部73は、アーク故障が発生していると検知部713が検知した回路C1に含まれる負荷の種類及び台数等の情報を、負荷情報として通知することが可能である。
また、詳細情報は、アーク故障の発生タイミングと継続時間との少なくとも一方に関する時間情報を含み得る。すなわち、本実施形態では、検知部713は、第1取得部711が取得した回路C1を流れる電流の検出結果に基づいて、配線C11でのアーク故障をリアルタイムに検知することが可能である。したがって、通知部73は、例えば制御部71に内蔵されているタイマを用いて計時することにより、アーク故障の発生タイミングと、アーク故障が発生してから終了するまでの継続時間と、を通知することが可能である。
また、詳細情報は、検知部713及び遮断部714の少なくとも一方の動作履歴に関する履歴情報を含み得る。
また、詳細情報は、回路C1を流れて検知部713での検知に用いられる電流の波形に関する電流情報を含み得る。すなわち、本実施形態では、検知部713は、第1取得部711が取得した回路C1を流れる電流の検出結果に基づいて、配線C11でのアーク故障の有無を検知している。したがって、通知部73は、検知部713での検知結果に基づいて、アーク故障の発生時において回路C1を流れる電流の波形を通知することが可能である。
また、詳細情報は、検知部713でアーク故障の発生を検知した場合に、ユーザが採るべき行動に関する復旧情報を含んでもよい。つまり、通知部73は、アーク故障に対処するための復旧情報を更に通知してもよい。一例として、通知部73は、いずれかの配線C11でアーク故障が発生した場合、電気工事事業者への連絡先及び電気工事事業者への連絡を促す旨を復旧情報として通知してもよい。ここでいう「連絡先」は、例えば、電話番号、メールアドレス、又は電気工事事業者がホームページを開設している場合にはホームページのURL(Uniform Resource Locator)を含み得る。本実施形態では、記憶部74に復旧情報が記憶されており、アーク故障が発生したと検知部713が検知した後の適宜のタイミングで、通知部73が記憶部74から復旧情報を読み出し、読み出した復旧情報を適宜の手段によりユーザに通知する。
ここで、通知部73は、いずれかの開閉器2が遮断動作を行った場合に、遮断動作を行った直後のタイミングで詳細情報を通知してもよいし、ユーザが分電盤1の様子を確認する確認作業を行う際に、詳細情報を通知してもよい。本開示でいう「確認作業を行う際」とは、ユーザが確認作業を行おうとする意思を直接的又は間接的にアーク検出システム100が確認した時点を含む。例えば、通知部73は、後述するユーザ検知部75の検知結果に基づいて、詳細情報を通知する。つまり、通知部73は、ユーザ検知部75にてユーザが確認作業を行う起点となる動作を検知すると、詳細情報を通知する。
ユーザ検知部75は、いずれかの開閉器2が遮断動作を行った後において、ユーザが確認作業を行う起点となる動作を検知する。一例として、ユーザ検知部75は、監視ユニット7に設けられてユーザの操作を受け付ける入力受付部である。そして、ユーザ検知部75は、入力受付部にてユーザの操作を受け付けると、ユーザが監視ユニット7を操作する動作を、ユーザが確認作業を行う起点となる動作として検知する。
また、一例として、ユーザ検知部75は、近接センサ、赤外線センサ、加速度センサ、及び振動センサのうちの1以上のセンサの検知結果を取得する構成であってもよい。上記1以上のセンサは、例えば分電盤1のカバー又は蓋体に取り付けられる。そして、ユーザ検知部75は、上記1以上のセンサの検知結果に基づいて、ユーザが分電盤1のカバー又は蓋体を開く動作を、ユーザが確認作業を行う起点となる動作として検知する。
また、一例として、ユーザ検知部75は、人感センサの検知結果を取得する構成であってもよい。人感センサは、赤外線、超音波、及び電磁波のうちのいずれか1つを用いて人の存在を検知するセンサであり、分電盤1に取り付けられる。また、人感センサは、撮像画像から人の存在を検知するイメージセンサであってもよい。そして、ユーザ検知部75は、人感センサの検知結果に基づいて、ユーザが分電盤1に接近する動作を、ユーザが確認作業を行う起点となる動作として検知する。
また、ユーザ検知部75は、ユーザが情報端末400を携帯している場合、通知部73を介した監視ユニット7と情報端末400との通信結果に基づいて、ユーザが分電盤1に接近する動作を検知してもよい。また、ユーザ検知部75は、情報端末400の発する電波を通知部73が受信することをもって、ユーザが分電盤1へ接近する動作を検知してもよい。これらの場合、ユーザ検知部75は、情報端末400にインストールされているアーク検出システム100用のアプリケーションが起動している状態でのみ、ユーザが分電盤1に接近する動作を、ユーザが確認作業を行う起点となる動作として検知してもよい。その他、ユーザ検知部75は、上記のアーク検出システム100用のアプリケーションをユーザが起動する動作を、ユーザが確認作業を行う起点となる動作として検知してもよい。
記憶部74は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の電気的に書換え可能な不揮発性メモリ、及びRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリ等を備える。記憶部74は、検知部713にて検知された配線C11でのアーク故障ごとに詳細情報を記憶する。
(2.3)動作
以下、本実施形態に係るアーク検出システム100の動作について図5を参照して説明する。図5は、アーク検出システム100の動作、つまりアーク検出システム100によるアーク検出方法の一例を示すフローチャートである。
アーク検出システム100は、例えば、所定のタイミングでアーク故障が発生しているか否かを検出する処理を実行する。
アーク検出システム100では、まず、第1取得部711が、回路C1に流れる電流の検出結果を例えば電流計測装置8等から取得する第1取得処理を行う(S1)。また、第2取得部712が、回路C1でのアーク故障に関連する、電流以外の関連事象の情報を取得する第2取得処理を行う(S2)。第2取得部712は、例えばセンサ26から回路C1が存在する環境の環境情報を取得し、災害情報提供サーバ700から回路C1の設置場所における災害情報を取得する。
第1取得部711及び第2取得部712が取得処理を行うと、検知部713は、先ず、第2取得部712が取得した関連事象の情報に基づいてアーク故障の検知感度を設定する。すなわち、検知部713は、関連事象に含まれる災害情報に基づき、現在のタイミングが、災害が発生した後の第1期間であれば(S3:Yes)、検知感度を第1感度に設定する(S4)。検知部713は、関連事象に含まれる災害情報に基づき、現在のタイミングが、第1期間以外の第2期間であれば(S3:No)、検知感度を第1感度よりも低感度の第2感度に設定する(S5)。すなわち、検知部713は、災害が発生した後の第1期間では感度を高感度の第1感度に設定し、第1期間以外の第2期間では感度を低感度の第2感度に設定する。なお、第1期間は、災害が発生した後の数時間から数日程度の期間であり、適宜変更が可能である。
このようにして、検知感度が第1感度又は第2感度に設定されると、検知部713は、第1取得部711が取得した電流の検出結果をもとに、アーク故障が発生しているか否かを検知する(S6)。
ステップS6において、アーク故障が発生していないと検知部713が検知すると(S6:No)、アーク検出システム100は、処理を終了する。
ステップS6において、アーク故障が発生したと検知部713が検知すると(S6:Yes)、遮断部714が疑似的な漏電状態を発生させることによって、主幹ブレーカ3の接点31を開極させて、回路C1を遮断する(S7)。また、通知部73が、例えば、アーク故障の発生を通知する情報を、ユーザが有する情報端末400に対して通知する通知処理を行う(S8)。なお、通知部73は、ユーザ検知部75にてユーザが行う確認作業の起点となる動作を検知したタイミングで、詳細情報を通知する通知処理を行ってもよい。そして、通知部73の通知処理が終了すると、アーク検出システム100は処理を終了する。また、検知部713は、複数の回路C1の中からアーク故障が発生している回路C1を検知しているので、遮断部714は、アーク故障が発生している回路C1のみを遮断してもよい。例えば、検知部713がいずれかの回路C1でアーク故障が発生したと検知すると、遮断部714が、通信部72からアーク故障が発生している回路C1の分岐ブレーカ4に対して遮断信号を送信させる。アーク故障が発生している回路C1の分岐ブレーカ4の通信部201が、監視ユニット7から送信された遮断信号を受信すると、この分岐ブレーカ4は、内蔵の接点を開極させることによって、回路C1を遮断するので、アーク故障が発生した回路C1のみを遮断することもできる。
アーク検出システム100は、上述した一連の処理S1~S8を繰り返し実行し、回路C1でのアーク故障の有無を監視する。なお、図5のフローチャートはアーク検出システム100の動作の一例に過ぎず、処理を適宜省略又は追加してもよいし、処理の順番が適宜変更されていてもよい。例えば、第1取得処理S1と第2取得処理S2とは、その順番が逆であってもよい。また、遮断処理S7と通知処理S8とは、その順番が逆であってもよい。
また、アーク検出システム100は、上述した処理S1~S8を、回路C1ごとに行うことで、検知部713では、回路C1ごとに、配線C11におけるアーク故障を検知することが可能である。
以上のように、本実施形態では、検知部713が、第1取得部711が取得した電流の検出結果と、第2取得部712が取得したアーク故障に関連する関連事象の情報とに基づいて回路C1でアーク故障が発生しているか否かを検知する。さらに言えば、本実施形態では、検知部713は、回路C1ごとに、電流の検出結果と、アーク故障に関連する関連事象の情報とに基づいて、アーク故障が発生しているか否かを検知する。したがって、アーク検出システム100では、アーク故障の検出漏れを低減しつつ、アーク故障の誤検知を抑制でき、アーク故障の発生を確実に検出できる。
また、上述したように、検知部713は、回路C1の設置場所で災害が発生した後の第1期間では、アーク故障の検知感度を第1感度とし、第1期間以外の第2期間では、アーク故障の検知感度を、第1感度よりも低い第2感度としている。災害が発生した後の第1期間では、検知部713は、アーク故障の検知感度を高感度に設定しているので、アーク故障の検出漏れを低減できる。一方、第1期間以外の第2期間では、検知部713は、アーク故障の検知感度を低感度に設定しているので、アーク故障の誤検出を低減できる。
なお、検知部713は、第2取得部712が取得した環境情報等に基づいて、アーク故障の予兆が発生していると判断した場合は、検知感度を第1感度とし、アーク故障の予兆が発生していないと検知した場合は、検知感度を第2感度としてもよい。また、検知部713は、アーク故障の予兆が発生しているか、又は、災害発生後の第1期間である場合は、検知感度を第1感度とし、アーク故障の予兆が発生しておらず、かつ、第2期間である場合は、検知感度を第2感度としてもよい。検知部713が関連事象の情報に基づいてアーク故障の検知感度を設定することで、アーク故障の検出漏れを低減しつつ、アーク故障の誤検出を抑制できる。
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、アーク検出システム100と同様の機能は、アーク検出方法、コンピュータプログラム、又はプログラムを記録した非一時的な記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係るアーク検出方法は、第1取得処理と、第2取得処理と、検知処理とを含む。第1取得処理では、回路C1に流れる電流の検出結果を取得する。第2取得処理では、回路C1でのアーク故障に関連する、電流以外の関連事象の情報を取得する。検知処理では、第1取得処理で取得した検出結果と第2取得処理で取得した情報とに基づいて回路C1でアーク故障が発生しているか否かを検知する。一態様に係る(コンピュータ)プログラムは、前記アーク検出方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
以下、上記の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
本開示におけるアーク検出システム100は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示におけるアーク検出システム100としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
また、アーク検出システム100における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることはアーク検出システム100に必須の構成ではなく、アーク検出システム100の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、アーク検出システム100の少なくとも一部の機能(例えば、検知部713の機能)がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
反対に、上記の実施形態において、複数の筐体に分散されているアーク検出システム100の機能の少なくとも一部が、1つの筐体内に集約されていてもよい。
(3.1)変形例1
変形例1のアーク検出システム100では、図6に示すように、監視ユニット7の制御部71が、負荷判別部715、給電制御部716、及び出力部717の機能を更に備える点で上記の実施形態と相違する。なお、監視ユニット7以外の構成は上記の実施形態と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
負荷判別部715は、回路C1ごとに検出した電流又は電力の検出結果に基づいて、ディスアグリゲーション技術を用いて、複数の回路C1のそれぞれに接続されている負荷(電気機器23,24等)の種類を判別する。負荷判別部715は、複数の回路C1のそれぞれに含まれる負荷の種類を判別することによって、特定の種類の負荷を含む特定回路を判別する。負荷判別部715は、複数の回路C1の中から、例えばヒーター、ドライヤー、アイロン、又はこたつ等の熱を発生する負荷を含む特定回路を判別する。
給電制御部716は、特定回路に供給する供給電力を制御する。特定回路の負荷は、例えば、監視ユニット7の通信部72から送信される遮断信号を受信する受信部を有するコンセント22に接続されている。このコンセント22は、監視ユニット7からの遮断信号を受信部が受信すると、負荷への電力供給を停止する機能を更に備えている。給電制御部716は、回路C1でアーク故障が発生したと検知部713が検知すると、通信部72を介して特定回路の負荷が接続されたコンセント22に遮断信号を送信し、コンセント22から負荷への電力供給を遮断させる。
また、給電制御部716は、第2取得部712が取得した災害情報に基づき、回路C1の設置場所で災害が発生した後の第1期間では、特定回路に供給する供給電力を第1の電力に制御する。例えば、給電制御部716は、特定回路の負荷が接続されたコンセント22に遮断信号を送信し、コンセント22から負荷に供給する電力(特定回路に供給する供給電力)をゼロ(第1の電力)に制御する。一方、給電制御部716は、第2取得部712が取得した災害情報に基づき、第1期間以外の第2期間では、特定回路に供給する供給電力を、第2の電力に制御する。例えば、給電制御部716は、特定回路の負荷が接続されたコンセント22に遮断信号を送信せず、コンセント22から負荷へ電力を供給することで、負荷を動作させる。ここで、給電制御部716は、第1の電力(本変形例ではゼロ)が第2の電力よりも低くなるように供給電力を制御するので、災害発生後の第1期間に特定回路の負荷に供給する電力を低減させることで安全性を向上させることができる。
なお、本変形例では、給電制御部716は、第1期間に負荷に供給される第1の電力をゼロにしているが、第1期間に負荷に供給する第1の電力を、第2期間に負荷に供給する第2の電力よりも、低減させればよい。例えば、特定回路の負荷が監視ユニット7の通信部72と通信する通信機能を有していれば、給電制御部716が、第1期間において、通信部72を介して特定回路の負荷に省電力モードで動作させる制御指令を送信してもよい。特定回路の負荷がこの制御指令を受信すると、特定回路の負荷は省電力モードで動作するため、第1期間における特定回路での消費電力は、第2期間における特定回路での消費電力よりも低下する。これにより、給電制御部716は、第1期間に負荷に供給する第1の電力を、第2期間に負荷に供給する第2の電力よりも低減でき、災害発生後の第1期間に特定回路の負荷に供給する電力を低減することで安全性を向上させることができる。
また、変形例1では、複数の回路C1のいずれかでアーク故障が発生していると検知部713が検知すると、出力部717が、第2取得部712が取得した負荷情報に基づいて制御対象負荷を制御する制御指令をコントローラ25に出力してもよい。アーク故障が発生していると検知部713が検知すると、出力部717は、例えば制御対象負荷の消費電力を抑制するための制御指令を通信部72を介してコントローラ25に送信する。ここで、消費電力を抑制するための制御指令は、例えば、負荷の動作モードを省電力モードに設定する制御指令、及び、制御対象負荷を停止させる制御指令のいずれかである。コントローラ25は、監視ユニット7から制御対象負荷の消費電力を抑制するための制御指令を受信すると、この制御指令を制御対象負荷に送信する。制御対象負荷は、コントローラ25から制御指令を受信すると、動作モードを省電力モードに設定するか又は停止することによって、消費電力を抑制した状態となる。なお、制御対象負荷は、停止した状態でもコントローラ25からの制御指令を受信可能であり、コントローラ25から動作モードを通常モードに設定する制御指令を受信すると、通常モードで動作を開始する。
(3.2)その他の変形例
上記の実施形態では、アーク検出システム100の構成要素が監視ユニット7に含まれているので、複数の回路C1でのアーク故障を検出可能であるが、アーク検出システム100の構成要素が個々の開閉器2(例えば主幹ブレーカ3又は分岐ブレーカ4)に含まれていてもよい。この場合、第1取得部711は、当該開閉器2(例えば分岐ブレーカ4)に接続された回路C1に流れる電流の検出結果を取得する。そして、検知部713は、当該開閉器2に接続された回路C1に流れる電流の検出結果と、アーク故障に関連する関連事象の情報とに基づいてアーク故障の有無を検知する。アーク検出システム100の構成要素が個々の開閉器2に含まれているので、回路C1ごとにアーク検出システム100が設けられている。したがって、複数のアーク検出システム100の各々が、個々の回路C1でのアーク故障の有無を検知することができる。また、アーク検出システム100の構成要素(例えば、第1取得部711、第2取得部712、及び検知部713等)の一部が個々の開閉器2(例えば主幹ブレーカ3又は分岐ブレーカ4等)に含まれていてもよく、個々の開閉器2でアーク故障の有無を検知することができる。
上記の実施形態において、アーク検出システム100(監視ユニット7)は、検知部713の検知結果を外部システムに送信してもよい。外部システムは、一例として、クラウド、又はコントローラ25等である。具体的には、監視ユニット7は、通信部72を介してコントローラ25(外部システム)に検知部713の検知結果を送信してもよい。また、監視ユニット7は、通知部73及びネットワーク200を介して、クラウドに検知部713の検知結果を送信してもよい。この態様では、外部システムは、例えば検知部713の検知結果をビッグデータとして収集することで、配線C11でのアーク故障の発生の傾向、又はアーク故障に対処するための措置等を研究するのに役立てることが可能である。
また、アーク検出システム100(監視ユニット7)は、通知部73を備えていなくてもよい。つまり、アーク検出システム100は、インターネット等のネットワーク200を介して管理サーバ300及び情報端末400と通信する通信機能を有していなくてもよい。この態様では、ユーザに対する検知結果の通知は、分電盤1にて行われることになる。
また、各開閉器2は、電流を検出する検出機能を有していてもよい。この態様では、監視ユニット7の第1取得部711は、各開閉器2から電流の検出結果を収集する機能を有していればよい。
また、検知部713は、例えば機械学習された分類器を用いて、配線C11でアーク故障が発生しているか否かを検知する態様であってもよい。分類器は、回路C1ごとに、電流計測装置8で計測された電流を入力データとして、配線C11のアーク故障の有無を出力する。分類器は、アーク検出システム100の使用中において、再学習を実行可能であってもよい。
分類器は、例えばSVM(Support Vector Machine)等の線形分類器の他、ニューラルネットワークを用いた分類器、又は多層ニューラルネットワークを用いた深層学習(ディープラーニング)により生成される分類器を含み得る。分類器が学習済みのニューラルネットワークを用いた分類器である場合、学習済みのニューラルネットワークは、例えばCNN(Convolutional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)、又はBNN(Bayesian Neural Network:ベイズニューラルネットワーク)等を含み得る。この場合、検知部713は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路に、学習済みのニューラルネットワークを実装することで実現される。
また、電流計測装置8はロゴスキコイルを有する態様に限定されず、例えば、変流器(カレントトランス)、ホール素子、GMR(Giant Magnetic Resistances)素子等の磁気抵抗素子、シャント抵抗等のセンサを有する態様でもよい。
また、実施形態では、監視ユニット7の外部にバックアップ電源9が設けられているが、この構成に限らず、監視ユニット7にバックアップ電源9が内蔵されていてもよい。
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様のアーク検出システム(100)は、第1取得部(711)と、第2取得部(712)と、検知部(713)と、を備える。第1取得部(711)は、回路(C1)に流れる電流の検出結果を取得する。第2取得部(712)は、回路(C1)でのアーク故障に関連する、電流以外の関連事象の情報を取得する。検知部(713)は、第1取得部(711)が取得した検出結果と第2取得部(712)が取得した情報とに基づいて回路(C1)でアーク故障が発生しているか否かを検知する。
この態様によれば、アーク故障の発生を確実に検出可能なアーク検出システム(100)を提供できる。
第2の態様のアーク検出システム(100)は、第1の態様において、遮断部(714)を更に備える。遮断部(714)は、回路(C1)でアーク故障が発生していると検知部(713)が検知した場合に回路(C1)を遮断する。
この態様によれば、アーク故障の発生を確実に検出可能なアーク検出システム(100)を提供できる。
第3の態様のアーク検出システム(100)では、第1又は第2の態様において、第2取得部(712)が取得する情報は環境情報と災害情報との少なくとも一方を含む。環境情報は、回路(C1)が存在する環境での温度、臭い、音及び煙の少なくとも1つに関連する情報である。災害情報は、回路(C1)の設置場所で発生する災害に関連する情報である。
この態様によれば、アーク故障の発生を確実に検出可能なアーク検出システム(100)を提供できる。
第4の態様のアーク検出システム(100)では、第1~第3のいずれかの態様において、検知部(713)は、アーク故障の検知感度を、第2取得部(712)が取得する情報に基づいて変更する。
この態様によれば、アーク故障の発生を確実に検出可能なアーク検出システム(100)を提供できる。
第5の態様のアーク検出システム(100)では、第1~第4のいずれかの態様において、検知部(713)は、回路(C1)の設置場所で災害が発生した後の第1期間では、アーク故障の検知感度を第1感度とする。検知部(713)は、第1期間以外の第2期間では、アーク故障の検知感度を、第1感度よりも低い第2感度とする。
この態様によれば、アーク故障の発生を確実に検出可能なアーク検出システム(100)を提供できる。
第6の態様のアーク検出システム(100)では、第1~第5のいずれかの態様において、回路(C1)が複数ある。アーク検出システム(100)は、複数の回路(C1)から特定の種類の負荷(23,24)を含む特定回路を判別する負荷判別部(715)と、特定回路に供給する供給電力を制御する給電制御部(716)と、を更に備える。給電制御部(716)は、回路(C1)の設置場所で災害が発生した後の第1期間では、特定回路に供給する供給電力を第1の電力に制御する。給電制御部(716)は、第1期間以外の第2期間では、特定回路に供給する供給電力を第2の電力に制御する。給電制御部(716)は、第1の電力が第2の電力よりも低くなるように供給電力を制御する。
この態様によれば、アーク故障の発生を確実に検出可能なアーク検出システム(100)を提供できる。
第7の態様のアーク検出システム(100)では、第1~第6のいずれかの態様において、回路(C1)が複数あり、検知部(713)は、複数の回路(C1)の中からアーク故障が発生している回路を更に検知する。
この態様によれば、アーク故障の発生を確実に検出可能なアーク検出システム(100)を提供できる。
第8の態様のアーク検出システム(100)は、第1~第7のいずれかの態様において、アーク故障が発生していると検知部(713)が検知すると、アーク故障の発生を通知する通知部(73)を更に備える。
この態様によれば、アーク故障の発生を確実に検出可能なアーク検出システム(100)を提供できる。
第9の態様のアーク検出システム(100)では、第8の態様において、回路(C1)が複数ある。検知部(713)は、複数の回路(C1)の中からアーク故障が発生している回路を更に検知する。通知部(73)は、アーク故障が発生している回路を更に通知する。
この態様によれば、アーク故障の発生を確実に検出可能なアーク検出システム(100)を提供できる。
第10の態様のアーク検出システム(100)では、第8又は第9の態様において、通知部(73)は、アーク故障に対処するための復旧情報を更に通知する。
この態様によれば、アーク故障の発生を確実に検出可能なアーク検出システム(100)を提供できる。
第11の態様のアーク検出システム(100)では、第1~第10のいずれかの態様において、第2取得部(712)は、エネルギー管理システム(600)のコントローラ(25)から、複数の回路(C1)に含まれる複数の負荷(23,24)のうちコントローラ(25)が制御可能な制御対象負荷に関連する負荷情報を取得する。エネルギー管理システム(600)は、複数の回路(C1)が配置された施設(500)でのエネルギーの使用量を管理する。アーク検出システム(100)は、複数の回路(C1)のいずれかでアーク故障が発生していると検知部(713)が検知すると、負荷情報に基づいて制御対象負荷を制御する制御指令をコントローラ(25)に出力する出力部(717)を更に備える。
この態様によれば、アーク故障の発生を確実に検出可能なアーク検出システム(100)を提供できる。
第12の態様のアーク検出方法は、第1取得処理と、第2取得処理と、検知処理と、を含む。第1取得処理では、回路(C1)に流れる電流の検出結果を取得する。第2取得処理では、回路(C1)でのアーク故障に関連する、電流以外の関連事象の情報を取得する。検知処理では、第1取得処理で取得した検出結果と第2取得処理で取得した情報とに基づいて回路(C1)でアーク故障が発生しているか否かを検知する。
この態様によれば、アーク故障の発生を確実に検出可能なアーク検出方法を提供できる。
第13の態様のプログラムは、第12の態様のアーク検出方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
この態様によれば、アーク故障の発生を確実に検出できる。
第14の態様の分電盤(1)は、第1~第11のいずれかの態様のアーク検出システム(100)と、アーク検出システム(100)を収容する分電盤用キャビネット(10)と、を備える。
この態様によれば、アーク故障の発生を確実に検出可能なアーク検出システム(100)を備えた分電盤(1)を提供できる。
上記態様に限らず、上記実施形態に係るアーク検出システム(100)の種々の構成(変形例を含む)は、アーク検出方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化可能である。
第2~第11の態様に係る構成については、アーク検出システム(100)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。