(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係る開閉器システム2は、図1及び図2に示すように、開閉器21を備えている。開閉器21は、一例として、幹線6(図2参照)と電気的に接続される複数の分岐回路8(図2参照)のうちの1つの分岐回路8と幹線6との間に挿入される開閉器21である。
開閉器21は、少なくとも導通状態と、遮断状態と、の2状態を切替可能に構成されている。つまり、開閉器21が導通状態にあれば、この開閉器21に接続されている分岐回路8が、開閉器21を通して幹線6に電気的に接続される。一方、開閉器21が遮断状態にあれば、この開閉器21に接続されている分岐回路8が、幹線6から電気的に切り離される。これにより、開閉器21では、幹線6から分岐回路8への電力供給を遮断することが可能である。また、分岐回路8に発電設備等が接続されている場合には、開閉器21では、分岐回路8から幹線6への電力供給を遮断することが可能である。
また、開閉器21は、開閉器21を流れる電流の大きさに起因して、導通状態から遮断状態に切り替わる機能を有している。この種の開閉器21としては、例えば、分電盤に用いられる分岐ブレーカ等の配線用遮断器がある。つまり、本実施形態では、開閉器21は、例えば、分岐回路8に過電流又は短絡電流等の異常電流が流れた場合に、分岐回路8を遮断する分岐ブレーカである。ただし、開閉器21が配線用遮断器(ブレーカ)であることは開閉器システム2において必須ではなく、開閉器21は、例えば、スイッチ、リレー又は解列器等であってもよい。
本実施形態に係る分電盤1は、開閉器システム2を少なくとも1つ備えている。分電盤1は、分電盤用キャビネット10(図3参照)を更に備える。分電盤用キャビネット10は、開閉器21を収容する。ここでは、一例として、複数の分岐回路8と一対一に対応するように、分電盤1が複数の開閉器システム2を備える場合について説明する。さらに、1つの開閉器システム2につき1つの開閉器21が設けられている。つまり、1つの開閉器システム2は1つの開閉器21を備えている。そのため、各開閉器システム2の開閉器21は、複数の分岐回路8の各々と幹線6との間に挿入されている。これら複数の開閉器システム2が、分電盤用キャビネット10に収容されている。
また、本実施形態では、分電盤1は、少なくとも1つ(ここでは複数)の開閉器システム2、及び分電盤用キャビネット10に加えて、計測ユニット4(図2参照)を更に備えている。分電盤用キャビネット10は、開閉器システム2及び計測ユニット4を収容する。言い換えれば、開閉器システム2及び計測ユニット4は、分電盤1の構成要素の一部であって、分電盤1の内器として分電盤用キャビネット10に収容されている。
ところで、本実施形態に係る開閉器システム2は、開閉器21と、復帰部91と、を備えている。開閉器21は、ユーザの操作を受け付ける操作部23を有している。開閉器21は、操作部23の操作に従って導通状態と遮断状態とが切り替わるように構成されている。復帰部91は、開閉器21を流れる電流の大きさに起因して開閉器21が導通状態から遮断状態に切り替わった場合に、操作部23の操作によらずに開閉器21を導通状態に復帰させる。
本開示でいう「電流の大きさに起因して」とは、開閉器21が導通状態から遮断状態に切り替わる事象が、開閉器21の操作部23の操作等ではなく、電流の大きさが特定の条件を満たしたことが原因で、発生することを意味する。以下、開閉器21を流れる電流の大きさに起因して開閉器21が導通状態から遮断状態に切り替わることを、「電流起因の遮断」と呼ぶこともある。例えば、開閉器21に過電流等の異常電流が一定時間以上、流れ続けることに起因して、開閉器21が導電状態から遮断状態に切り替わることは、「電流起因の遮断」に該当する。また、例えば、開閉器21に短絡電流等の異常電流が流れたことに起因して、瞬時に、開閉器21が導電状態から遮断状態に切り替わることも、「電流起因の遮断」に該当する。
上述したように、本実施形態に係る開閉器システム2は、開閉器21に加えて、復帰部91を備えている。ここで、復帰部91は、操作部23の操作によらずに、つまり自動的に開閉器21を遮断状態から導通状態に復帰させる。しかも、復帰部91は、単に、開閉器21を導通状態に復帰させるのではなく、開閉器21を流れる電流の大きさに起因して開閉器21が導通状態から遮断状態に切り替わった場合に、導通状態に復帰させる。
例えば、開閉器21が、操作部23の操作に応じて導通状態から遮断状態に切り替わった場合等ではなく、「電流起因の遮断」が生じた場合に、復帰部91は、自動的に開閉器21を遮断状態から導通状態に復帰させる。その結果、例えば、分岐回路8に含まれる複数の負荷82(図2参照)が同時に動作した場合等に、1つの分岐回路8に過電流が流れ、開閉器21にて分岐回路8が遮断されることがあっても、復帰部91により、開閉器21を自動的に復帰させることができる。したがって、このような「電流起因の遮断」が生じた場合に、ユーザは、遮断された分岐回路8を復旧するために、分電盤1の設置場所まで移動して遮断された開閉器21を操作する必要がなく、ユーザにとっての利便性の向上を図ることが可能である。
(2)構成
以下、本実施形態に係る開閉器システム2及び分電盤1の詳細な構成について図1~図6を参照して説明する。分電盤1に含まれる複数の開閉器システム2は、共通の構成を採用しているため、以下、特に断りが無い限り、1つの開閉器システム2の構成についての説明は、他の開閉器システム2にも適用可能である。
(2.1)全体構成
まずは、本実施形態に係る分電盤1の全体構成について、図1~図3を参照して説明する。
本実施形態では、上述した通り、分電盤1は、分電盤用キャビネット10と、複数の開閉器システム2と、計測ユニット4と、を備えている。また、分電盤1は、分電盤用キャビネット10、(複数の)開閉器システム2及び計測ユニット4に加えて、主幹ブレーカ3及び電流計測装置5を更に備えている。本実施形態に係る分電盤1では、一般的な分電盤の分岐ブレーカに代えて開閉器システム2が設けられている。
分電盤用キャビネット10は、本体11を含んでいる。本体11は、開閉器システム2、主幹ブレーカ3、計測ユニット4及び電流計測装置5等を収容する。本体11は、造営材(例えば建物の壁)に取り付けられる。造営材は、分電盤用キャビネット10が設置される建物(戸建て住宅、集合住宅の住戸又はテナントビル等)内の部屋の壁に限らず、例えば、建物内の部屋の天井又は床であってもよい。
分電盤用キャビネット10の本体11は、前面が開口した箱状のボディ12と、ボディ12の前面を覆うカバーと、を備えている。カバーは、閉位置と開位置との間で移動可能な状態でボディ12に取り付けられる。閉位置はボディ12の前面を覆う位置であり、開位置はボディ12の前面の少なくとも一部を覆わない位置である。分電盤用キャビネット10の本体11は、例えば建物の壁に取り付けられている。分電盤用キャビネット10の本体11は、例えば平均的な身長の子供では手が届かないような高さ位置であって、平均的な身長の大人であれば操作が可能なような高さ位置に設けられている。
分電盤用キャビネット10の本体11の内部には、複数の開閉器システム2、主幹ブレーカ3、計測ユニット4及び電流計測装置5が収容されている。本実施形態に係る分電盤1においては、一般的な分電盤の分岐ブレーカに代えて開閉器システム2が設けられている。そのため、複数の開閉器システム2は、分電盤用キャビネット10において、分岐ブレーカが収まるべきところに収容される。複数の開閉器システム2、主幹ブレーカ3、計測ユニット4及び電流計測装置5は、ボディ12に直接的に又は取付用の金具等を介して取り付けられている。図3の例では、本体11の内部において、計測ユニット4、主幹ブレーカ3、複数の開閉器システム2は、左右方向において左からこの順に配置されている。
主幹ブレーカ3は、本体11の内部において、左右方向の中央よりもやや左側の位置に配置されている。本体11内での主幹ブレーカ3の位置は、例えば中央よりも右側等、他の位置であってもよい。主幹ブレーカ3は、一次側端子31と、二次側端子と、を備えている。主幹ブレーカ3は、一次側端子31と二次側端子との間の電路に接続された接点を備える。主幹ブレーカ3は、接点をオン又はオフにするための操作レバー33を前面に備えている。また、主幹ブレーカ3は、例えば接点に漏電電流又は過負荷電流等の過電流が流れる異常状態を検知すると、接点を遮断する主幹遮断部を備えている。
本実施形態の分電盤1では、配電方式として単相三線式を想定しているので、主幹ブレーカ3の一次側端子31には、系統電源(商用電源)の単相三線式の引込線200が電気的に接続される。本実施形態では、ボディ12に配置された接続端子124に引込線200が電気的に接続されており、接続端子124と主幹ブレーカ3の一次側端子31との間は配線部材125を介して電気的に接続されている。分電盤用キャビネット10に接続端子124及び配線部材125が備えられていることは必須ではなく、引込線200が主幹ブレーカ3の一次側端子31に直接接続されていてもよい。
また、主幹ブレーカ3の二次側端子には、第1電圧極(L1相)の導電バー61(図5参照)、第2電圧極(L2相)の導電バー62(図5参照)、及び中性極(N相)の導電バー63(図5参照)が接続されている。各導電バー61,62,63は、導電部材により左右方向に長い長尺板状に形成されており、本体11の内部において、上下方向の中央であって主幹ブレーカ3の右側の位置に配置されている。これら導電バー61,62,63は、幹線6を構成する。言い換えれば、幹線6は導電バー61,62,63を含んでいる。
複数の開閉器システム2は、中性極(N相)の導電バー63の上側と下側とに分かれて、それぞれ複数個ずつ左右方向に並ぶように配置されている。本実施形態では、導電バー63の上側には、12個の開閉器システム2が左右方向に並ぶように配置されている。また、導電バー63の下側には、12個の開閉器システム2が左右方向に並ぶように配置されている。本実施形態では、開閉器システム2は、その開閉器21以外の構成要素(後述の復帰モジュール9)についても、開閉器21と同一の筐体20(図5参照)に収容されている。そのため、本実施形態では、開閉器システム2の外観は、一般的な分岐ブレーカの外観と同様である。
ここで、各開閉器システム2は、図2に示すように、複数の分岐回路8のうちの1つの分岐回路8と幹線6との間に挿入される。言い換えれば、分岐回路8は、開閉器システム2を介して幹線6に電気的に接続されている。本実施形態では、分電盤1は、複数の分岐回路8と一対一に対応するように、複数の開閉器システム2を備えるので、分岐回路8は、対応する開閉器システム2(開閉器21)を介して幹線6に接続される。
本開示でいう「分岐回路」は、幹線6と電気的に接続され、分電盤1にて幹線6から複数に分岐された回路の各々である。本実施形態では、分岐回路8は、配線81及び負荷82を含んでいる。配線81は、開閉器システム2(開閉器21)の二次側端子202(図4参照)に電気的に接続される。負荷82は、例えば、照明器具、空調機器、テレビ受像器、給湯設備等の機器、コンセント(アウトレット)又は壁スイッチ等の配線器具を含む。負荷82は、配線81を介して開閉器システム2に電気的に接続される。
開閉器システム2について詳しくは、「(2.2)開閉器システムの構成」の欄で説明する。
計測ユニット4は、本体11の内部において、主幹ブレーカ3の左側に配置されている。計測ユニット4は、複数の分岐回路8の電流と電力との少なくとも一方を計測する計測機能、及び本体11の外部に配置された機器と通信する通信機能を有している。
より詳しくは、計測ユニット4は、主幹ブレーカ3に流れる電流を計測する主幹電流センサ7(図2参照)、及び電流計測装置5と電気的に接続されている。ここに、主幹電流センサ7は、例えば、カレントトランス(CT)からなる。そして、計測ユニット4は、電流計測装置5及び主幹電流センサ7が計測した電流の値に基づいて電力値を演算する機能(計測機能)を有している。詳しくは後述するが、電流計測装置5は、複数の分岐回路8の各々に流れる電流を計測するので、計測ユニット4では、電流計測装置5が計測した電流値に基づいて、各分岐回路8の電流と電力との少なくとも一方を計測する。
また、計測ユニット4は、HEMS(Home Energy Management System)に対応する機器(以下、HEMS対応機器という)の制御又は監視を行うように構成されたコントローラとの間で通信する機能(通信機能)を有している。コントローラは、本体11の外部に配置された機器である。ここに、HEMS対応機器は、例えばスマートメータ、太陽光発電装置、蓄電装置、燃料電池、電気自動車、エアコン、照明器具、給湯装置、冷蔵庫、又はテレビ受像機等を含む。HEMS対応機器は、これらの機器に限定されない。
計測ユニット4とコントローラとの間の通信方式は、例えば、920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等の通信規格に準拠した、電波を媒体とした無線通信である。計測ユニット4とコントローラとの間の通信方式は、有線LAN(Local Area Network)等の通信規格に準拠した有線通信であってもよい。また、計測ユニット4とコントローラとの間の通信における通信プロトコルは、例えば、Ethernet(登録商標)、ECHONET Lite(登録商標)等である。
本実施形態の分電盤1では、計測ユニット4は、電流計測装置5が計測した複数の分岐回路8の各々に流れる電流値を、電流計測装置5から受け取る。さらに、計測ユニット4は、主幹電流センサ7が計測した電流値を主幹電流センサ7から受け取る。計測ユニット4は、電流計測装置5、及び主幹電流センサ7が計測した電流値のそれぞれを電力値(瞬時電力値)に変換する。計測ユニット4は、収集した瞬時電力のデータを所定時間にわたって積算した電力量のデータを演算する機能を有している。したがって、計測ユニット4と通信するコントローラは、複数の分岐回路8の各々での瞬時電力や電力量に基づいてHEMS対応機器を制御又は監視することができる。
また、計測ユニット4は、太陽光発電装置、蓄電装置、及び電気自動車に電気的に接続される電力変換装置のうちの少なくとも1つとの間で通信する機能(通信機能)を有している。電力変換装置は、分電盤1から電気自動車への単方向充電を行うための電力変換の他、双方向に電力変換を行うことで電気自動車の蓄電池の充電と放電との両方に用いられる構成であってもよい。
また、計測ユニット4は、ガスメータと水道メータとの少なくとも一方との通信機能を有している。計測ユニット4と太陽光発電装置、蓄電装置、及び電力変換装置との間の通信方式は、例えば、RS-485等の通信規格に準拠した有線通信である。計測ユニット4とガスメータ、水道メータとの間の通信方式は、有線通信に限らず、無線通信であってもよい。計測ユニット4は、例えば、貯湯型の給湯装置等と通信可能であってもよい。
また、詳しくは後述するが、計測ユニット4は、表示部41(図3参照)を有している。表示部41は、一例として、2桁の7セグメントLED(Light Emitting Diode)にて実現されている。表示部41は、計測ユニット4の設定情報(分岐回路8の回路番号、及び電圧等)、並びに、後述する復帰情報等の種々の情報を表示可能である。
電流計測装置5は、複数の分岐回路8に流れる電流を計測するように構成されている。電流計測装置5は、図1に示すように、基板50と、複数の電流センサ51と、を有している。また、本実施形態では、電流計測装置5は、図1に示すように、処理部52、コネクタ53及び基板側通信部54を更に有している。
基板50は、左右方向に長い板状である。基板50には、複数の孔501,502(図5参照)が形成されている。複数の孔501,502には、導電バー61,62から延びて開閉器システム2に接続される端子161,162(図5参照)がそれぞれ挿入される。基板50は、複数の電流センサ51と計測ユニット4との間の電気的な接続経路の少なくとも一部に用いられる。厳密には、基板50は、例えば、電気絶縁性を有する樹脂製基板の表面(又は内層)に導電層が形成されたプリント配線板であって、導電層の部分が、複数の電流センサ51と計測ユニット4との間の電気的な接続経路の一部に用いられる。この導電層には、コネクタ53が電気的に接続されている。
電流センサ51は、例えば、コアを用いない(コアレスの)空芯コイルからなり、内側を通過する電流に応じた出力を生じるロゴスキコイルである。電流センサ51は、基板50の孔501の周りに形成されている。ここでは、複数の電流センサ51は、複数の分岐回路8の電流をそれぞれ検出する。これにより、本実施形態では、電流計測装置5は、複数の分岐回路8の各々に流れる電流を計測する。本実施形態では、上述したように、分電盤1には、複数の分岐回路8と一対一に対応するように複数の開閉器システム2が設けられている。そのため、電流計測装置5は、複数の分岐回路8の各々を流れる電流を計測することで、複数の開閉器システム2の各々、厳密には複数の開閉器21の各々を流れる電流を計測することになる。
処理部52は、複数の電流センサ51の出力に関して信号処理を実行する。さらに、処理部52は、コネクタ53を介して計測ユニット4と通信可能に構成されている。そのため、計測ユニット4は、電流計測装置5が計測した複数の分岐回路8の各々に流れる電流値を、電流計測装置5から受け取ることが可能になる。
基板側通信部54は、基板50に実装されており、後述する開閉器システム2の通信部97と通信可能に構成されている。本開示において「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、信号を授受できることを意味する。すなわち、電流計測装置5(基板側通信部54)と開閉器システム2(通信部97)とは、互いに信号を授受することができる。
ところで、図3に示すように、ボディ12の底壁には、底壁を前後方向に貫通する貫通孔121が設けられており、本体11の外部から貫通孔121を通して本体11の内部に導入された電線が開閉器システム2等に電気的に接続される。また、ボディ12の上部の周壁122には、周壁122を上下方向に貫通する貫通孔123が設けられている。換言すると、本体11は、開閉器21に接続される電線を、前後方向と交差する一方向(本実施形態では上下方向)に沿って本体11の外部から内部に導入させるための電線挿入口(貫通孔123)を有している。電線挿入口は、ボディ12の下部の周壁122に設けられてもよいし、ボディ12の右側部又は左側部の周壁122に設けられていてもよいし、周壁122の複数箇所に電線挿入口が設けられていてもよい。
また、本実施形態の分電盤用キャビネット10は、接続端子124と、配線部材125とを更に備えている。接続端子124には、本体11の外部から導入される電線(引込線200)が電気的に接続される。配線部材125は、本体11(具体的にはボディ12)に配置されて、接続端子124と主幹ブレーカ3との間を電気的に接続する。配線部材125は、導電部材により幅寸法が略一定の板状に形成されている。接続端子124と主幹ブレーカ3との間が配線部材125を介して電気的に接続されているので、主幹ブレーカ3に接続される電線を本体11の内部で曲げるためのスペースを確保する必要がない、という利点がある。
本実施形態では、配線部材125は、接続端子124と主幹ブレーカ3との間を電気的に接続しているが、本体11には、接続端子と開閉器システム2との間を電気的に接続する配線部材が配置されてもよい。分電盤用キャビネット10が、接続端子124と配線部材125とを備えることは必須ではなく、本体11の外部から本体11の内部に導入された電線が主幹ブレーカ3又は開閉器システム2に直接的に接続されてもよい。
(2.2)開閉器システムの構成
次に、本実施形態に係る開閉器システム2のより詳細な構成について、図1、図2、図4~図6を参照して説明する。
本実施形態では、開閉器システム2は、図1に示すように、開閉器21と、復帰モジュール9と、を備えている。ここで、上述した復帰部91及び通信部97は、復帰モジュール9に含まれている。開閉器システム2は、これら開閉器21及び復帰モジュール9を収容する、筐体20(図5参照)を更に備えている。
まず、開閉器21について説明する。開閉器21は、図1に示すように、遮断部22、操作部23、熱動式引外し装置24及び電磁式引外し装置25を有している。また、開閉器21は、一対の一次側端子201(図4参照)と、一対の二次側端子202(図4参照)と、を更に有している。一対の一次側端子201は、幹線6(導電バー61,62,63)と電気的に接続される。一対の二次側端子202は、分岐回路8(配線81)と電気的に接続される。
遮断部22は、開閉器21の状態を、導通状態と遮断状態とで切り替える機能を有する。本開示でいう「導通状態」とは、二者(一対の一次側端子201及び一対の二次側端子202)間が電気的に接続されており、二者間での電力の供給が可能な状態を意味する。また、本開示でいう「遮断状態」とは、二者(一対の一次側端子201及び一対の二次側端子202)間が電気的に分離され(切り離され)、二者間での電力の供給が断ち切られた状態を意味する。つまり、分岐回路8と幹線6との間に挿入された開閉器21が遮断状態になると、開閉器21が、分岐回路8と幹線6との間を電気的に遮断することで、幹線6から分岐回路8への(又は分岐回路8から幹線6への)電力供給が遮断される。このような開閉器21が複数の分岐回路8の各々に設けられることで、分岐回路8ごとに電力供給を遮断することが可能となる。
本実施形態では一例として、遮断部22は、図4に示すように、接点部221と、駆動部222と、を含んでいる。
接点部221は、一対の一次側端子201と一対の二次側端子202との間に挿入された一対の接点SW1を有している。一対の接点SW1は、引外しユニット220にて駆動されてオフする機械式の接点である。引外しユニット220は、熱動式引外し装置24及び電磁式引外し装置25からなる。
駆動部222は、励磁コイルを含み、接点部221と共にリレーを構成する。つまり、駆動部222の励磁コイルに励磁電流が流れることにより、接点部221が駆動され、一対の接点SW1のオン/オフが切り替わる。そして、接点部221の一対の接点SW1がオンすることで、開閉器21は、「導通状態」となる。一方、接点部221の一対の接点SW1がオフすることで、開閉器21は、「遮断状態」となる。
ここで、遮断部22は、復帰モジュール9(復帰部91)からの電気信号により、少なくとも遮断状態から導通状態への切替えが可能に構成されている。本実施形態では、遮断部22は、復帰部91からの電気信号により、遮断状態から導通状態への第1の切替えと、導通状態から遮断状態への第2の切替えと、のうち第1の切替えのみが可能である。言い換えれば、復帰部91では、開閉器21の遮断状態から導通状態への第1の切替えと、導通状態から遮断状態への第2の切替えと、のうち第2の切替えを行うことはできない。
操作部23は、一対の接点SW1のオン/オフを手動で操作するための部材である。操作部23は、図5に示すように、開閉器21の筐体20の前面に設けられている。上述したように、復帰部91からの電気信号により、遮断部22は、遮断状態から導通状態への第1の切替えと、導通状態から遮断状態への第2の切替えと、のうち第1の切替えを行うことが可能である。この場合には、操作部23は、ユーザからの操作によらず、接点部221(一対の接点SW1)の動作に追従して、導通状態の位置に復帰する。
熱動式引外し装置24は、例えば、バイメタル又はトリメタル等の熱動素子を含み、熱動素子が作動することにより、一対の接点SW1をオフする熱動式の引外し装置である。熱動素子は、一対の一次側端子201と一対の二次側端子202との間に挿入されており、一対の接点SW1を流れる電流の大きさに応じて発熱する。そのため、熱動式引外し装置24は、例えば、分岐回路8に過電流等の異常電流が一定時間以上、流れ続けた場合に、一対の接点SW1をオフし、遮断部22を遮断状態とする。すなわち、本実施形態に係る開閉器21は、熱動式の引外し装置(熱動式引外し装置24)を備えている。
電磁式引外し装置25は、例えば、電磁石装置を含み、電磁石装置が作動することにより、一対の接点SW1を瞬時にオフする電磁式の引外し装置である。電磁石装置は、一対の一次側端子201と一対の二次側端子202との間に挿入された駆動コイルを有し、一対の接点SW1を流れる電流の大きさに応じて作動する。そのため、電磁式引外し装置25は、例えば、分岐回路8に短絡電流等の異常電流が流れた場合に、瞬時に、一対の接点SW1をオフし、遮断部22を遮断状態とする。すなわち、本実施形態に係る開閉器21は、電磁式の引外し装置(電磁式引外し装置25)を備えている。
開閉器21には、100V用と200V用とがある。100V用の開閉器21が備える一対の一次側端子201は、第1電圧極の導電バー61及び第2電圧極の導電バー62のうちの一方と、中性極の導電バー63とにそれぞれ電気的に接続される。200V用の開閉器21が備える一対の一次側端子201は、第1電圧極の導電バー61と、第2電圧極の導電バー62とにそれぞれ電気的に接続される。また、開閉器21の二次側端子202には、対応する分岐回路8が電気的に接続される。
次に、復帰モジュール9について説明する。復帰モジュール9は、図1に示すように、復帰部91、復帰提示部92、情報提示部93、電源部94、時間設定部95、復帰設定部96及び通信部97を有している。1つの開閉器システム2に含まれる開閉器21と復帰モジュール9とは互いに対応付けられているため、以下、単に「開閉器21」という場合には、復帰モジュール9と同一の開閉器システム2の開閉器21を指すこととする。
本実施形態では一例として、復帰モジュール9は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。プロセッサは、メモリに記録されているプログラムを実行することにより、復帰部91、復帰提示部92、情報提示部93、時間設定部95及び復帰設定部96等の機能を実現する。プログラムは、予めメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような非一時的記録媒体に記録されて提供されたり、電気通信回線を通して提供されたりしてもよい。言い換えれば、上記プログラムは、コンピュータシステムを、復帰モジュール9として機能させるためのプログラムである。
復帰部91は、開閉器21を遮断状態から導通状態に復帰させる機能を有している。特に、復帰部91は、開閉器21の操作部23の操作によらずに、つまり自動的に開閉器21を遮断状態から導通状態に復帰させる機能を有している。しかも、復帰部91は、開閉器21を流れる電流の大きさに起因して、開閉器21が導通状態から遮断状態に切り替わった場合に、導通状態に復帰させる。
本実施形態では、復帰部91は、開閉器21が導通状態から遮断状態に切り替わった場合に、それが開閉器21を流れる電流の大きさに起因する「電流起因の遮断」であるか否かを判定する機能を有している。つまり、復帰部91は、開閉器21が導通状態から遮断状態に切り替わった場合に、その原因が開閉器21を流れる電流の大きさにあるか否かを判定する。そして、開閉器21が導通状態から遮断状態に切り替わった原因が開閉器21を流れる電流の大きさにあると判定した場合に、復帰部91は、開閉器21の操作部23の操作によらずに、開閉器21を遮断状態から導通状態に復帰させる。
ここでは、復帰部91は、少なくとも開閉器21が導通状態から遮断状態に切り替わった際には、通信部97を通して計測ユニット4と通信することにより、開閉器21が遮断状態に切り替わる直前の判定期間に、開閉器21を流れた電流の大きさを確認する。つまり、復帰部91は、開閉器21が遮断状態に切り替わる直前の判定期間に、この開閉器21(厳密には一対の接点SW1)を流れた電流の大きさに基づいて、「電流起因の遮断」であるか否かを判定する。本開示でいう「判定期間」は、「電流起因の遮断」であるか否かの判定の対象となる期間であって、少なくとも開閉器21が遮断状態に切り替わった時点から遡ること所定長さの時間(例えば1分)分の期間を含んでいる。
要するに、本実施形態では、復帰モジュール9の通信部97が計測ユニット4と通信可能に構成されている。そのため、復帰部91は、通信部97が外部機器である計測ユニット4から取得する情報(電流の計測値)に基づいて、「電流起因の遮断」であるか否かを判定することが可能である。すなわち、計測ユニット4は、複数の分岐回路8の電流と電力との少なくとも一方を計測する機能を有するので、復帰部91は、例えば、分岐回路8(開閉器21)を流れる電流の大きさに応じて、「電流起因の遮断」であるか否かを判定できる。つまり、開閉器システム2は、計測ユニット4から、この開閉器システム2に含まれる開閉器21を流れる電流の計測値を取得することができる。
特に、本実施形態では、復帰部91は、開閉器21を流れる電流の時間変化に基づいて、開閉器21が導通状態から遮断状態に切り替わった原因を判定する。具体的には、復帰部91は、開閉器21を流れる電流についての判定期間における時系列データを計測ユニット4から取得し、判定期間における電流の時間変化が、判定条件を満たすか否かによって、「電流起因の遮断」であるか否かを判定する。一例として、開閉器21に過電流等の異常電流が一定時間以上流れ続けた場合には、判定期間において、開閉器21に第1閾値を超える大きさの電流が一定時間にわたって流れ続けることになる。そのため、復帰部91は、判定期間において、開閉器21に第1閾値を超える大きさの電流が一定時間にわたって流れ続けること、を判定条件とし、判定条件を満たすことをもって、過電流等の異常電流に起因した「電流起因の遮断」であると判定する。
他の例として、復帰部91は、開閉器21を流れる電流の瞬時値に基づいて、開閉器21が導通状態から遮断状態に切り替わった原因を判定してもよい。具体的には、復帰部91は、開閉器21を流れる電流についての判定期間における時系列データを計測ユニット4から取得し、判定期間における電流のピーク値が、判定条件を満たすか否かによって、「電流起因の遮断」であるか否かを判定する。一例として、開閉器21に短絡電流等の異常電流が一瞬でも流れた場合には、判定期間において開閉器21を流れる電流のピーク値が第2閾値(>第1閾値)を超えることになる。そのため、復帰部91は、判定期間において、開閉器21を流れる電流のピーク値が第2閾値を超えること、を判定条件とし、判定条件を満たすことをもって、短絡電流等の異常電流に起因した「電流起因の遮断」であると判定する。
「電流起因の遮断」であると判定した場合には、復帰部91は、上述したように、開閉器21を制御するための電気信号により開閉器21を復帰させる。本実施形態では、復帰部91は、遮断部22における駆動部222に対して電気信号を出力することにより、駆動部222を駆動して、開閉器21を復帰させる。具体的には、復帰部91は、駆動部222に電気信号を出力することにより、駆動部222の励磁コイルに励磁電流を流し、駆動部222と共にリレーを構成する接点部221を駆動する。これにより、復帰部91は、電気信号によって、少なくとも開閉器21を遮断状態から導通状態へと復帰させることができる。
復帰提示部92は、復帰部91が開閉器21を復帰させたことを提示する。すなわち、復帰部91が、「電流起因の遮断」であると判定し、開閉器21を遮断状態から導通状態に自動的に復帰させた場合には、その旨(自動的に復帰させた旨)を示す復帰情報を、復帰提示部92がユーザに提示する。本実施形態では、復帰提示部92は、計測ユニット4の表示部41を利用して、復帰情報の提示を行う。つまり、復帰モジュール9と計測ユニット4との通信機能を利用して、復帰提示部92は、復帰情報を計測ユニット4の表示部41に表示させることにより、復帰情報の提示を行う。
情報提示部93は、監視期間内に復帰部91が開閉器21を復帰させた回数に応じた情報を提示する。本開示でいう「監視期間」は、復帰部91が開閉器21を復帰させた回数(以下、「復帰回数」ともいう)のカウント対象となる期間であって、一例として、現時点から遡ること1週間等の期間である。すなわち、監視期間において、復帰部91が、「電流起因の遮断」であると判定し、開閉器21を遮断状態から導通状態に自動的に復帰させる都度、上記の復帰回数が増加する。そして、その復帰回数に応じた回数情報を、情報提示部93がユーザに提示する。本実施形態では、情報提示部93は、計測ユニット4の表示部41を利用して、復帰情報の提示を行う。つまり、復帰モジュール9と計測ユニット4との通信機能を利用して、情報提示部93は、回数情報を計測ユニット4の表示部41に表示させることにより、回数情報の提示を行う。
電源部94は、開閉器21が遮断状態にあるときに復帰部91に電力を供給する。すなわち、開閉器21が遮断状態にあるときには、分岐回路8への電力の供給が停止するため、分岐回路8においては、復帰部91の動作用の電力の確保ができない。そこで、本実施形態では、復帰モジュール9が電源部94を有することにより、復帰部91を含む開閉器システム2の各部の動作用の電力を、電源部94が供給する。電源部94は、一例として、AC/DCコンバータを含み、幹線6から供給される交流電力を直流電力に変換して、開閉器システム2の各部に供給する。
時間設定部95は、開閉器21が遮断状態に切り替わった時点から復帰部91が開閉器21を復帰させるまでの遅延時間を設定する。すなわち、本実施形態では、復帰部91は、「電流起因の遮断」であると判定し、開閉器21を遮断状態から導通状態に自動的に復帰させる場合、開閉器21が遮断状態に切り替わった時点から、遅延時間が経過した時点で、開閉器21を復帰させる。これにより、開閉器21が復帰部91によって自動的に復帰する場合であっても、開閉器21に接続されている分岐回路8に対して、瞬停のように瞬間的に電力の供給が停止するのではなく、ある程度の時間、電力の供給を停止することができる。そして、時間設定部95では、このときの時間の長さ、つまり遅延時間の長さを設定可能である。ここで、時間設定部95は、一例として、0秒以上、数時間以下の範囲で、単位時間(例えば10秒)刻みで遅延時間の長さを調節可能である。本実施形態では、時間設定部95は、計測ユニット4の表示部41及び操作ボタンを利用して、遅延時間のユーザによる設定を実現する。つまり、復帰モジュール9と計測ユニット4との通信機能を利用して、時間設定部95は、計測ユニット4に対する操作に応じた操作信号に従って、遅延時間の長さを設定する。
復帰設定部96は、開閉器21の復帰を復帰部91に実行させるか否かを設定する。すなわち、本実施形態では、復帰部91は常に有効とされるのではなく、復帰設定部96にて、復帰部91の有効/無効の切替えが可能である。そして、復帰設定部96にて復帰部91が有効に設定されている場合に限り、復帰部91は、「電流起因の遮断」であると判定すると、開閉器21を遮断状態から導通状態に自動的に復帰させる。つまり、復帰設定部96にて復帰部91が無効に設定されている場合、復帰部91は、「電流起因の遮断」であると判定しても、開閉器21の復帰を行わない。本実施形態では、復帰設定部96は、計測ユニット4の表示部41及び操作ボタンを利用して、開閉器21の復帰を復帰部91に実行させるか(復帰部91:有効)否か(復帰部91:無効)のユーザによる設定を実現する。つまり、復帰モジュール9と計測ユニット4との通信機能を利用して、復帰設定部96は、計測ユニット4に対する操作に応じた操作信号に従って、復帰部91の有効/無効の切替えを行う。
また、本実施形態では、復帰設定部96は、上述したようなユーザによる復帰部91の有効/無効の設定(手動設定)だけでなく、自動的に、復帰部91の有効/無効を設定する自動設定の機能を有している。
自動設定の一例として、復帰設定部96は、少なくとも開閉器21が導通状態から遮断状態に切り替わった時点の状況に基づいて、開閉器21の復帰を復帰部91に実行させるか否かを決定する。つまり、復帰設定部96は、少なくとも開閉器21が導通状態から遮断状態に切り替わった時点における、種々の状況が有効化条件を満たすか否かによって、復帰部91の有効/無効を自動的に決定する。有効化条件としては、例えば、時間帯が深夜等の特定の時間帯でないこと、建物に人が存在すること等がある。これにより、深夜等の特定の時間帯、又は建物に人が存在しない状況で、開閉器21が導通状態から遮断状態に切り替わった場合には、復帰設定部96は、有効化条件を満たさないと判断して、復帰部91を無効にする。そのため、例えば、深夜等の特定の時間帯、又は建物に人が存在しない状況のように、ユーザが監視できない状況で、復帰部91が開閉器21を勝手に復帰してしまうことを回避できる。さらに、開閉器21が導通状態から遮断状態に切り替わった原因が、短絡電流等の特定の原因でないことも、有効化条件に含んでもよい。これにより、短絡電流等の特定の原因で開閉器21が遮断状態に切り替わった場合には、復帰設定部96は、有効化条件を満たさないと判断して、復帰部91を無効にする。
自動設定の他の例として、復帰設定部96は、予備復帰を行ってみて、予備復帰中に開閉器21を流れる電流の大きさに基づいて、開閉器21の復帰を復帰部91に実行させるか否かを決定してもよい。本開示でいう「予備復帰」は、開閉器21が導通状態から遮断状態に切り替わった後、所定時間に限り開閉器21を導通状態とする動作を意味する。つまり、復帰設定部96は、開閉器21が導通状態から遮断状態に切り替わった後、所定時間(例えば10秒)を限度にして、開閉器21を遮断状態から導通状態に復帰させる予備復帰を行う。そして、そのとき(予備復帰後)の開閉器21を流れる電流が正常か否かによって、復帰部91の有効/無効を自動的に決定する。例えば、予備復帰後に開閉器21を流れる電流が過電流又は短絡電流の異常電流でなければ、復帰設定部96は、電流が正常と判断して、復帰部91を有効にする。一方、予備復帰後に開閉器21を流れる電流が過電流又は短絡電流の異常電流であれば、復帰設定部96は、電流が異常と判断して、復帰部91を無効にする。
通信部97は、計測ユニット4と通信可能に構成されている。通信部97は、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、計測ユニット4との間で信号を授受する。ここでは、複数の開閉器システム2の各々には固有のアドレスが設定されている。つまり、通信部97は、開閉器システム2に設定されたアドレス(メモリ等に記憶されたアドレス)を用いて、計測ユニット4と通信を行う。そのため、計測ユニット4は、特定の開閉器システム2の通信部97との間で、信号を授受することが可能である。
本実施形態では、上述したように、電流計測装置5(基板側通信部54)と開閉器システム2(通信部97)とは、互いに通信可能に構成されている。さらに、電流計測装置5は計測ユニット4とは、互いに通信可能に構成されている。そこで、通信部97は、電流計測装置5の基板50を、計測ユニット4との間の通信経路の少なくとも一部に用いる。つまり、通信部97が電流計測装置5の基板側通信部54と通信し、電流計測装置5が計測ユニット4と通信することで、通信部97は、電流計測装置5の基板50を経由して、計測ユニット4と通信する。言い換えれば、基板50の導電層が、通信部97と計測ユニット4との間の通信経路の一部を構成する。
本実施形態では、通信部97と計測ユニット4とは、互いに双方向に通信可能であって、通信部97から計測ユニット4への信号の送信、及び計測ユニット4から通信部97への信号の送信の両方が可能である。通信部97と基板50(基板側通信部54)との間の通信方式は、非接触通信である。言い換えれば、通信部97は、基板50との通信方式が非接触通信である。本開示でいう「非接触通信」には、電波を通信媒体として用いる無線通信、電磁結合を利用した通信、及び光を通信媒体として用いる光通信を含む。
本実施形態では、通信部97と基板50(基板側通信部54)との間の通信方式が、光通信である場合を例示する。つまり、通信部97は、基板50との通信方式が、赤外光又は可視光等の光を通信媒体として用いる光通信である。
ところで、開閉器システム2は、図5及び図6に示すように、導電バー61,62から延びて開閉器システム2に接続される端子161,162、及び導電バー63が差し込まれる複数(ここでは3つ)の差込口26を、筐体20の一面に有している。一次側端子201は、これら3つの差込口26のうち2つの差込口26内に露出するように設けられている。これにより、開閉器システム2は、本体11に取り付けられた状態で、差込口26に端子161(又は162)及び導電バー63が差し込まれ、幹線6に対して一対の一次側端子201が電気的に接続される。ここで、導電バー61に対応する差込口26には端子161の先端部が差し込まれ、導電バー62に対応する差込口26には端子162の先端部が差し込まれる。
100V用の開閉器システム2(開閉器21)は、一次側端子201が、3つの差込口26のうち、両端の2つの差込口26内に露出するように設けられている。これにより、100V用の開閉器システム2(開閉器21)は、本体11に取り付けられた状態で、導電バー61(又は62)及び導電バー63に電気的に接続される。200V用の開閉器システム2(開閉器21)は、一次側端子201が、3つの差込口26のうち、後側の2つの差込口26内に露出するように設けられている。これにより、200V用の開閉器システム2(開閉器21)は、本体11に取り付けられた状態で、導電バー61及び導電バー62に電気的に接続される。
具体的には、本体11は、金属製の支持板14、及び樹脂製のベース台15を有している。ベース台15は、支持板14の厚み方向の一面である前面に取り付けられている。開閉器システム2は、本体11に取り付けられた状態では、ベース台15に保持される。
一方で、電流計測装置5の基板50は、複数の孔501,502に端子161,162がそれぞれ挿入されるように、本体11に取り付けられる。そのため、開閉器システム2が本体11に取り付けられた状態では、図6に示すように、電流計測装置5の基板50の孔501,502を通して、端子161,162が開閉器システム2の差込口26に差し込まれる。
ここにおいて、本実施形態に係る開閉器システム2の通信部97は、上述したように、電流計測装置5の基板50(基板側通信部54)との間の通信方式が、光通信である。そこで、図6に示すように、通信部97は、開閉器システム2が本体11に取り付けられた状態において、基板50に設けられた基板側通信部54と対向する位置に配置されている。さらに、筐体20において、通信部97に対向する部位は、光透過性を有している。通信部97は、例えば、フォトダイオード等の受光素子、及びLED(Light Emitting Diode)等の発光素子を含んでいる。基板側通信部54も同様に、例えば、フォトダイオード等の受光素子、及びLED等の発光素子を含んでいる。
要するに、開閉器システム2が本体11に取り付けられた状態では、通信部97は基板50の基板側通信部54との間で、光を通信媒体として光通信を行うことが可能である。通信部97は、少なくとも基板側通信部54からの光を受光することで、計測ユニット4からの遮断信号を受信する。
(3)動作
以下、本実施形態に係る開閉器システム2の動作について図7のフローチャートを参照して説明する。ここで説明する開閉器システム2の動作は、主に復帰モジュール9の動作であって、開閉器21の制御方法に相当する。
以下では、時間設定部95により適当な長さ(例えば1分)の遅延時間が予め設定されており、かつ復帰設定部96での手動設定により復帰部91が有効とされている場合を想定する。さらに、復帰設定部96の自動設定の機能として、予備復帰後の開閉器21を流れる電流が正常か否かによって、復帰部91の有効/無効を自動的に決定する機能が、発動している場合を想定する。
開閉器システム2は、まず開閉器21が遮断状態であるか否かを復帰部91にて判断する(S1)。定常時においては、開閉器21は導通状態であるため、復帰部91は、開閉器21が遮断状態でないと判断する(S1:No)。一方、例えば、過電流等の異常電流が原因で開閉器21が導通状態から遮断状態に切り替わると、復帰部91は、開閉器21が遮断状態であると判断し(S1:Yes)、その原因が開閉器21を流れる電流の大きさにあるか否かを判定する(S2)。
復帰部91にて、過電流等の異常電流が原因である、つまり「電流起因の遮断」であると判定されると(S2:Yes)、復帰設定部96は予備復帰を実行する(S3)。要するに、「電流起因の遮断」であった場合には、復帰設定部96は、所定時間に限り開閉器21を導通状態とする予備復帰を行う。その後、復帰設定部96は、予備復帰中に開閉器21を流れる電流が正常か否かを判断する(S4)。
このとき、復帰設定部96は、開閉器21を流れる電流が過電流又は短絡電流の異常電流でなければ、電流が正常と判断して(S4:Yes)、復帰部91を有効にする。これにより、復帰部91は、開閉器21が遮断状態に切り替わった時点から、遅延時間が経過したか否かを判断する(S5)。開閉器21が遮断状態に切り替わった時点から、遅延時間が経過するまでは(S5:No)、復帰部91は、開閉器21の復帰を実行しない。
そして、開閉器21が遮断状態に切り替わった時点から、遅延時間が経過すると(S5:Yes)、復帰部91は、開閉器21を遮断状態から導通状態に復帰させる(S6)。このとき、復帰提示部92は、復帰情報を計測ユニット4の表示部41に表示させることにより、復帰表示(復帰情報の表示)を行う(S7)。さらに、情報提示部93にて提示される復帰回数は、1回分だけ増加する。
一方、復帰部91にて、過電流等の異常電流が原因でないと判定された場合(S2:No)、復帰部91での復帰(S6)を実行することなく、開閉器システム2は上記一連の処理を終了する。同様に、復帰設定部96にて、開閉器21を流れる電流が異常と判断された場合(S4:No)、復帰部91が無効になるため、復帰部91での復帰(S6)を実行することなく、開閉器システム2は上記一連の処理を終了する。
図7のフローチャートは、開閉器システム2の動作の一例に過ぎず、処理を適宜省略又は追加してもよいし、処理の順番が適宜変更されていてもよい。
ところで、復帰部91は、開閉器21が導通状態から遮断状態に切り替わった場合に、ユーザによる承認操作を受け付けてから、開閉器21を復帰させてもよい。この場合、復帰部91は、ユーザによる承認操作を受け付けるまでは、開閉器21を復帰させないことになる。承認操作の受け付けは、一例として、計測ユニット4に接続されるHEMS対応機器、又はユーザが所有する情報端末(スマートフォン又はタブレット端末等)で行われる。
具体的には、例えば、図7のフローチャートにおける処理S5と処理S6との間に、ユーザによる承認操作待ちの処理が追加される。この場合、開閉器21が遮断状態に切り替わった時点から、遅延時間が経過した場合(S5:Yes)、復帰部91は、例えば、HEMS対応機器、又はユーザが所有する情報端末にて、承認操作のための通知を実行する。具体的には、復帰部91は、「子供部屋の開閉器を復帰します。よろしいですか?」等のメッセージを、HEMS対応機器、又はユーザが所有する情報端末に表示させ、このメッセージに対する承認操作を受け付ける。HEMS対応機器、又はユーザが所有する情報端末に対して、ユーザが承認操作を行うと、復帰部91は、承認操作を受け付けたと判断し、開閉器21を遮断状態から導通状態に復帰させる(S6)。このように、ユーザによる承認操作があって初めて、復帰部91は、開閉器21を遮断状態から導通状態に復帰させるので、ユーザが知らぬ間に、勝手に開閉器21が復帰されることを回避できる。
(4)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、実施形態1に係る開閉器システム2と同様の機能は、開閉器21の制御方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る開閉器21の制御方法は、ユーザの操作を受け付ける操作部23を有し、操作部23の操作に従って導通状態と遮断状態とが切り替わる開閉器21の制御方法である。この制御方法は、開閉器21を流れる電流の大きさに起因して開閉器21が導通状態から遮断状態に切り替わった場合に、操作部23の操作によらずに開閉器21を導通状態に復帰させる(図7の「S6」)方法である。一態様に係る(コンピュータ)プログラムは、1以上のプロセッサに、上記の開閉器21の制御方法を実行させるためのプログラムである。
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
本開示における開閉器システム2は、例えば、復帰モジュール9等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における開閉器システム2としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
また、開閉器システム2における複数の機能が、1つの筐体20内に集約されていることは開閉器システム2に必須の構成ではなく、開閉器システム2の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。例えば、開閉器21と復帰モジュール9とは、別々の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、開閉器システム2の少なくとも一部の機能が、クラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。反対に、実施形態1のように、開閉器システム2の構成要素は、1つの筐体20内に集約されていてもよい。
また、通信部97と基板50(基板側通信部54)との間の通信方式は、光通信以外の非接触通信であってもよい。例えば、通信部97と基板50(基板側通信部54)との間の通信方式は、920MHz帯の特定小電力無線局、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等の通信規格に準拠した、電波を媒体とした無線通信であってもよい。また、通信部97と基板50(基板側通信部54)との間の通信方式は、例えば、RS-485、又は有線LAN等の通信規格に準拠した有線通信であってもよい。
また、分電盤1は少なくとも開閉器システム2を分電盤用キャビネット10に収容していればよく、主幹ブレーカ3、計測ユニット4及び電流計測装置5の少なくとも1つは適宜省略可能である。
また、遮断部22が機械式の接点SW1を含むことは、開閉器21に必須の構成ではなく、遮断部22は、導通状態と遮断状態とを切り替える機能を有していればよい。例えば、遮断部22は、接点SW1に代えて、トランジスタ等の半導体スイッチを有し、半導体スイッチにて導通状態と遮断状態とを切り替えてもよい。
また、復帰部91は、電気信号により開閉器21を復帰させる構成に限らず、操作部23を駆動することにより開閉器21を復帰させてもよい。つまり、復帰部91は、遮断状態の位置にある操作部23を導通状態の位置に移動させる(駆動する)ことにより、開閉器21の接点部221(一対の接点SW1)を遮断状態から導通状態に復帰させてもよい。一例として、復帰部91は、電磁式、又は熱動式のアクチュエータを採用可能である。さらに、復帰部91は、アクチュエータの動作に重力を利用することで、操作部23を駆動するために必要なエネルギを節約してもよい。つまり、アクチュエータは、例えば、錘体が落下する際に錘体の自重を利用して、操作部23を駆動してもよい。
また、復帰部91は、開閉器21が遮断状態に切り替わった時点から開閉器21を復帰させるまでの時間(遅延時間)の長さと、開閉器21の復帰を実行するか否かと、の少なくとも一方を、監視期間内に開閉器21を復帰させた回数に応じて決定してもよい。すなわち、復帰部91が開閉器21を復帰させるまでの遅延時間の長さは固定でなく、復帰回数に応じて調節されてもよい。具体的には、復帰回数が多くなる程、遅延時間が長くなることが好ましい。同様に、復帰部91が開閉器21を復帰させるか否か(復帰部91の有効/無効)は、復帰回数に応じて決定されてもよい。具体的には、復帰回数が閾値回数を上回ると、復帰部91が無効とされることが好ましい。
また、電流センサ51はロゴスキコイルに限らず、例えば、変流器(カレントトランス)、ホール素子、GMR(Giant Magnetic Resistances)素子等の磁気抵抗素子、シャント抵抗等のセンサであってもよい。
また、電流センサ51と計測ユニット4との間の電気的な接続は、電流計測装置5の基板50(厳密には基板50の導電層)にて実現される構成に限らない。例えば、電流センサ51が変流器である場合等において、電流センサ51につながるハーネス(ケーブル)及びコネクタ等が、電流センサ51と計測ユニット4との間の電気的な接続を実現してもよい。
また、電流計測装置5の基板50(厳密には基板50の導電層)が、通信部97と計測ユニット4との間の通信経路の一部を構成することも、開閉器システム2に必須の構成ではない。すなわち、開閉器システム2の通信部97は、基板50を介することなく、例えば、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、計測ユニット4と通信してもよい。
また、復帰部91は、開閉器21について少なくとも遮断状態から導通状態への切替えが可能であればよく、導通状態から遮断状態への切替えについても、復帰部91にて実行できてもよい。
また、復帰部91は、計測ユニット4から取得した判定期間における時系列データによらずとも、開閉器21を流れる電流の時間変化に基づいて、開閉器21が導通状態から遮断状態に切り替わった原因を判定することが可能である。例えば、復帰部91は、熱動式引外し装置24における熱動素子の温度変化に基づいて、「電流起因の遮断」であるか否かを判定することが可能である。この場合、復帰部91は、例えば、温度センサを含み、温度センサにて熱動式引外し装置24における熱動素子の温度を検知する。一例として、開閉器21に過電流等の異常電流が一定時間以上流れ続けた場合には、判定期間においては、熱動素子の温度が上昇して熱動素子が作動する。そのため、復帰部91は、判定期間において、熱動素子の温度が上昇すること、を判定条件とし、判定条件を満たすことをもって、過電流等の異常電流に起因した「電流起因の遮断」であると判定する。この場合でも、復帰部91は、熱動素子の温度変化を監視することで、間接的に、開閉器21を流れる電流の時間変化に基づいて、開閉器21が導通状態から遮断状態に切り替わった原因を判定することになる。
また、復帰提示部92及び情報提示部93による情報(復帰情報、回数情報)の提示の態様は、計測ユニット4の表示部41への表示に限らず、他の態様であってもよい。一例として、開閉器システム2又は電流計測装置5に表示部が設けられている場合には、復帰提示部92及び情報提示部93は、これらの表示部に情報を表示させることで提示を行ってもよい。他の例として、復帰提示部92及び情報提示部93は、計測ユニット4に接続されるHEMS対応機器、又はユーザが所有する情報端末(スマートフォン又はタブレット端末等)に情報を送信することで、情報の提示を行ってもよい。あるいは、復帰提示部92及び情報提示部93は、表示以外の態様、例えば、音声出力等により、情報の提示を行ってもよい。
また、開閉器21は、熱動式引外し装置24及び電磁式引外し装置25に代えて又は加えて、漏電検知式の引外し装置を有していてもよい。漏電検知式の引外し装置は、例えば、分岐回路8に漏電電流が流れた場合に、一対の接点SW1をオフし、遮断部22を遮断状態とする。
また、開閉器システム2は、複数の分岐回路8のうちの一部の分岐回路8に対してのみ設けられていてもよい。この場合、他の分岐回路8に対しては、一般的な分岐ブレーカが設けられる。また、開閉器システム2は、分電盤1の主幹ブレーカ3に代えて設けられてもよい。
(実施形態2)
本実施形態に係る開閉器システム2Aは、図8に示すように、計測ユニット4Aに復帰モジュール9Aが内蔵されている点で、実施形態1の開閉器システム2と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態に係る分電盤1Aは、実施形態1の計測ユニット4に代えて、復帰モジュール9Aを内蔵した計測ユニット4Aを備えている。復帰モジュール9Aの構成は、実施形態1の復帰モジュール9と同様であるので、ここでは詳細な説明は省略する。
本実施形態に係る開閉器システム2Aでは、複数の開閉器21に対して1つの復帰モジュール9A(復帰部91)が設けられている。言い換えれば、開閉器システム2Aは、1つの復帰モジュール9Aと、複数の開閉器21と、を備えている。復帰モジュール9Aの通信部97は、これら複数の開閉器21と通信可能に構成されている。ここで、1つの復帰モジュール9Aは、複数の開閉器21について個別に復帰可能に構成されている。例えば、複数の開閉器21が遮断状態にある場合に、復帰モジュール9Aの復帰部91は、これら複数の開閉器21のうちの1つの開閉器21のみを、導通状態に復帰させることが可能である。
要するに、本実施形態では、いずれかの開閉器21で「電流起因の遮断」が生じた場合に、復帰モジュール9Aは、この開閉器21に対して、開閉器21を制御するための電気信号(復帰信号)を送信することにより、この開閉器21を復帰させる。つまり、開閉器21においては、復帰モジュール9Aから復帰信号を受信したことをトリガにして、遮断状態から導通状態に切り替わることになる。
実施形態2の変形例として、復帰モジュール9Aは、計測ユニット4Aとは別に設けられていてもよい。さらに、復帰モジュール9Aは、分電盤1Aにおける分電盤用キャビネット10外に設けられていてもよい。
実施形態2で説明した種々の構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る開閉器システム(2,2A)は、開閉器(21)と、復帰部(91)と、を備える。開閉器(21)は、ユーザの操作を受け付ける操作部(23)を有する。開閉器(21)は、操作部(23)の操作に従って導通状態と遮断状態とが切り替わる。復帰部(91)は、開閉器(21)を流れる電流の大きさに起因して開閉器(21)が導通状態から遮断状態に切り替わった場合に、操作部(23)の操作によらずに開閉器(21)を導通状態に復帰させる。
この態様によれば、復帰部(91)は、操作部(23)の操作によらずに、つまり自動的に開閉器(21)を遮断状態から導通状態に復帰させる。しかも、復帰部(91)は、単に、開閉器(21)を導通状態に復帰させるのではなく、開閉器(21)を流れる電流の大きさに起因して開閉器(21)が導通状態から遮断状態に切り替わった場合に、導通状態に復帰させる。したがって、電流起因の遮断が生じた場合に、ユーザは、遮断された回路を復旧するために、分電盤(1,1A)の設置場所まで移動して遮断された開閉器(21)を操作する必要がなく、ユーザにとっての利便性の向上を図ることが可能である。
第2の態様に係る開閉器システム(2,2A)では、第1の態様において、復帰部(91)は、開閉器(21)を流れる電流の時間変化に基づいて、開閉器(21)が導通状態から遮断状態に切り替わった原因を判定する。
この態様によれば、例えば、過電流のように開閉器(21)を流れる電流が継続的に大きくなる場合と、ノイズにより開閉器(21)を流れる電流が瞬間的に大きくなる場合とを区別でき、原因の判定精度の向上を図ることができる。
第3の態様に係る開閉器システム(2,2A)では、第1又は2の態様において、復帰部(91)は、下記2つの事項の少なくとも一方を、監視期間内に開閉器(21)を復帰させた回数に応じて決定する。前記2つの事項は、開閉器(21)が遮断状態に切り替わった時点から開閉器(21)を復帰させるまでの時間の長さと、開閉器(21)の復帰を実行するか否かと、の2つである。
この態様によれば、開閉器(21)を復帰させるまでの時間の長さと、開閉器(21)の復帰を実行するか否かと、の少なくとも一方が、監視期間内に開閉器(21)を復帰させた回数に応じて、柔軟に決定される。
第4の態様に係る開閉器システム(2,2A)では、第1~3のいずれかの態様において、復帰部(91)は、開閉器(21)を制御するための電気信号により開閉器(21)を復帰させる。
この態様によれば、復帰部(91)は電気信号を出力する構成であればよく、復帰部(91)の構成の簡略化を図ることができる。
第5の態様に係る開閉器システム(2,2A)では、第1~3のいずれかの態様において、復帰部(91)は、操作部(23)を駆動することにより開閉器(21)を復帰させる。
この態様によれば、開閉器(21)自体に改良を加えなくとも、復帰部(91)にて開閉器(21)を復帰させることができる。
第6の態様に係る開閉器システム(2,2A)は、第1~5のいずれかの態様において、復帰提示部(92)を更に備える。復帰提示部(92)は、復帰部(91)が開閉器(21)を復帰させたことを提示する。
この態様によれば、復帰部(91)が開閉器(21)を復帰させたことをユーザに知らせることができる。
第7の態様に係る開閉器システム(2,2A)は、第1~6のいずれかの態様において、情報提示部(93)を更に備える。情報提示部(93)は、監視期間内に復帰部(91)が開閉器(21)を復帰させた回数に応じた情報を提示する。
この態様によれば、復帰部(91)が開閉器(21)を復帰させた回数をユーザに知らせることができる。
第8の態様に係る開閉器システム(2,2A)は、第1~7のいずれかの態様において、電源部(94)を更に備える。電源部(94)は、開閉器(21)が遮断状態にあるときに復帰部(91)に電力を供給する。
この態様によれば、開閉器(21)が遮断状態にあっても、復帰部(91)の動作用の電力を確保できる。
第9の態様に係る開閉器システム(2,2A)は、第1~8のいずれかの態様において、時間設定部(95)を更に備える。時間設定部(95)は、遅延時間を設定する。遅延時間は、開閉器(21)が遮断状態に切り替わった時点から復帰部(91)が開閉器(21)を復帰させるまでの時間である。
この態様によれば、開閉器(21)が遮断状態に切り替わった時点から復帰部(91)が開閉器(21)を復帰させるまでの時間の長さを調節可能である。
第10の態様に係る開閉器システム(2,2A)は、第1~9のいずれかの態様において、復帰設定部(96)を更に備える。復帰設定部(96)は、開閉器(21)の復帰を復帰部(91)に実行させるか否かを設定する。
この態様によれば、復帰部(91)が常に開閉器(21)を復帰させるのではなく、復帰部(91)が開閉器(21)を復帰させない状況も設定することができる。
第11の態様に係る開閉器システム(2,2A)では、第10の態様において、復帰設定部(96)は、下記のように、開閉器(21)の復帰を復帰部(91)に実行させるか否かを決定する。すなわち、復帰設定部(96)は、少なくとも開閉器(21)が導通状態から遮断状態に切り替わった時点の状況に基づいて、開閉器(21)の復帰を復帰部(91)に実行させるか否かを決定する。
この態様によれば、開閉器(21)の復帰を復帰部(91)に実行させるか否かを、開閉器(21)が導通状態から遮断状態に切り替わった時点の状況に基づいて、自動的に、決定できる。
第12の態様に係る開閉器システム(2,2A)では、第10又は11の態様において、復帰設定部(96)は、開閉器(21)が導通状態から遮断状態に切り替わった後、所定時間に限り開閉器(21)を導通状態とする予備復帰を行う。復帰設定部(96)は、予備復帰中に開閉器(21)を流れる電流の大きさに基づいて、開閉器(21)の復帰を復帰部(91)に実行させるか否かを決定する。
この態様によれば、開閉器(21)の復帰を復帰部(91)に実行させるか否かを、予備復帰中の状況に基づいて、自動的に、決定できる。
第13の態様に係る開閉器システム(2,2A)では、第1~12のいずれかの態様において、復帰部(91)は、開閉器(21)が導通状態から遮断状態に切り替わった場合に、ユーザによる承認操作を受け付けてから、開閉器(21)を復帰させる。
この態様によれば、ユーザが知らぬ間に復帰部(91)が開閉器(21)を復帰させることを回避できる。
第14の態様に係る分電盤(1,1A)は、第1~13のいずれかの態様に係る開閉器システム(2,2A)と、開閉器(21)を収容する分電盤用キャビネット(10)と、を備える。
この態様によれば、復帰部(91)は、操作部(23)の操作によらずに、つまり自動的に開閉器(21)を遮断状態から導通状態に復帰させる。しかも、復帰部(91)は、単に、開閉器(21)を導通状態に復帰させるのではなく、開閉器(21)を流れる電流の大きさに起因して開閉器(21)が導通状態から遮断状態に切り替わった場合に、導通状態に復帰させる。したがって、電流起因の遮断が生じた場合に、ユーザは、遮断された回路を復旧するために、分電盤(1,1A)の設置場所まで移動して遮断された開閉器(21)を操作する必要がなく、ユーザにとっての利便性の向上を図ることが可能である。
第15の態様に係る開閉器(21)の制御方法は、ユーザの操作を受け付ける操作部(23)を有し、操作部(23)の操作に従って導通状態と遮断状態とが切り替わる開閉器(21)の制御方法である。制御方法は、開閉器(21)を流れる電流の大きさに起因して開閉器(21)が導通状態から遮断状態に切り替わった場合に、操作部(23)の操作によらずに開閉器(21)を導通状態に復帰させる。
この態様によれば、操作部(23)の操作によらずに、つまり自動的に開閉器(21)を遮断状態から導通状態に復帰させることができる。しかも、単に、開閉器(21)を導通状態に復帰させるのではなく、開閉器(21)を流れる電流の大きさに起因して開閉器(21)が導通状態から遮断状態に切り替わった場合に、導通状態に復帰させる。したがって、電流起因の遮断が生じた場合に、ユーザは、遮断された回路を復旧するために、分電盤(1,1A)の設置場所まで移動して遮断された開閉器(21)を操作する必要がなく、ユーザにとっての利便性の向上を図ることが可能である。
第16の態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、第15の態様に係る開閉器(21)の制御方法を実行させるためのプログラムである。
この態様によれば、操作部(23)の操作によらずに、つまり自動的に開閉器(21)を遮断状態から導通状態に復帰させることができる。しかも、単に、開閉器(21)を導通状態に復帰させるのではなく、開閉器(21)を流れる電流の大きさに起因して開閉器(21)が導通状態から遮断状態に切り替わった場合に、導通状態に復帰させる。したがって、電流起因の遮断が生じた場合に、ユーザは、遮断された回路を復旧するために、分電盤(1,1A)の設置場所まで移動して遮断された開閉器(21)を操作する必要がなく、ユーザにとっての利便性の向上を図ることが可能である。
上記態様に限らず、実施形態1及び実施形態2に係る開閉器システム(2,2A)の種々の構成(変形例を含む)は、開閉器(21)の制御方法又はプログラムにて具現化可能である。
第2~13の態様に係る構成については、開閉器システム(2,2A)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。