(1)概要
本実施形態の回路遮断器駆動システム100は、回路遮断器20を駆動する、より詳細には、接点C1を開極させるシステムである。以下に説明する実施形態では、回路遮断器20が、分電盤1に設けられている主幹ブレーカ2であることを想定する。
図1に示すように、本実施形態の回路遮断器駆動システム100は、検知部11と、駆動部13と、筐体(第1筐体)16と、を備えている。
検知部11は、周囲環境における異常の発生を検知する。ここでは、検知部11は、周囲環境における異常としての地震の発生を検知する。
駆動部13は、検知部11が異常の発生を検知した場合に、回路遮断器20の一部に接触してこの接触した部分を機械的に移動させることで、回路遮断器20の接点C1を開極させる。筐体16は、分電盤1のキャビネット10の外側に配置される。筐体16は、検知部11及び駆動部13のうちの少なくとも一部を収容する。
図2に示すように、本実施形態の分電盤1は、回路遮断器駆動システム100と、回路遮断器20と、回路遮断器20を保持するキャビネット10と、を備えている。
上記のように、本実施形態の回路遮断器駆動システム100は、検知部11及び駆動部13のうちの少なくとも一部が、キャビネット10の外側に配置される筐体16に、収容されている。そのため、回路遮断器駆動システム100のうちでキャビネット10内に配置される部分を少なくでき、結果的に、回路遮断器駆動システム100のうちでキャビネット10内に配置される部分の小型化を図ることが可能となる。
(2)構成
以下、本実施形態の回路遮断器駆動システム100及び分電盤1について、図1~図8を用いて説明する。以下の説明では、特に断りがない限り、図2、図3に示す仮想的な矢印の方向によって、回路遮断器駆動システム100及び分電盤1の上下左右を規定する。また、図2の紙面から奥に向かう向きを「後方」、その逆を「前方」として説明する。ただし、これらの方向の規定は、回路遮断器駆動システム100及び分電盤1の使用態様を限定する趣旨ではない。
(2.1)分電盤
まず、分電盤1について、図2を用いて説明する。図2に示すように、分電盤1は、回路遮断器駆動システム100と、主幹ブレーカ2(回路遮断器20)と、複数の分岐ブレーカ3と、これらを収容するキャビネット10と、を備えている。本実施形態では、分電盤1は、一例として戸建住宅に設置される場合を例示するが、この例に限らない。分電盤1は、設置可能な施設であれば、例えば集合住宅の各住戸、事務所、店舗、工場、及び病院等の施設に設置されてもよい。
(2.1.1)主幹ブレーカ
主幹ブレーカ2は、キャビネット10の内部に配置されている。ここでは、主幹ブレーカ2は、漏電保護機能を備えた、いわゆる漏電遮断器である。もちろん、主幹ブレーカ2は、漏電保護機能を備えていなくてもよいし、漏電保護機能に代えて或いは加えて、中性線欠相保護機能を備えていてもよい。
図1、図3、図4に示すように、主幹ブレーカ2は、ケース200と、一次側端子210と、二次側端子220と、ハンドル21と、開閉機構部22と、接点機構23と、接続線24と、引き外し装置25と、電磁釈放装置26と、を備えている。
ケース200は、合成樹脂から中空の直方体状に形成されている。ケース200は、前面が開口するボディ200a(図4、図5参照)と、後面が開口してボディ200aの開口を覆うようにボディ200aに結合されるカバー200b(図3、図5参照)とで構成されている。ケース200は、その上端部の中央から左端にかけて、左右方向に沿った端子台201を備えており、その上端部の右端に、上方に延びる端子取付け部202を備えている。また、ケース200の前壁(カバー200bの前壁)の中央には、矩形状に開口するハンドル挿通孔203が形成されている。
3つの一次側端子210の各々は、端子板211及び端子ねじ212を備えたねじ付き端子である。3つの一次側端子210は、端子台201の前面に、左右方向に並んで設けられている。本実施形態の分電盤1では配電方式として単相三線式を想定しているので、3つの一次側端子210には、電源P1(系統電源(商用電源))の単相三線式の引き込み線が電気的に接続される。具体的には、左側の一次側端子210に単相三線式の第1電圧線(L1相)が接続され、右側の一次側端子210に第2電圧線(L2相)が接続され、中央の一次側端子210に中性線(N相)が接続される。
3つの二次側端子220は、端子取付け部202の右側面から突出するように配置されている。3つの二次側端子220には、それぞれ母線となる導電バー9が、端子ねじを用いて接続される。具体的には、上側の二次側端子220に第1電圧極(L1相)の導電バー9が接続され、下側の二次側端子220に第2電圧極(L2相)の導電バー9が接続され、中央の二次側端子220に中性極(N相)の導電バー9が接続される。
一次側端子210と二次側端子220とは、1対1に対応している。対応する一次側端子210と二次側端子220とは、接点機構23と接続線24とを介して互いに接続されている。つまり、3つの一次側端子210と3つの二次側端子220とが、3つの接点機構23と3つの接続線24とにより、それぞれ接続されている。
図4~図6に示すように、各接点機構23は、接点保持片231と、可動接触子232と、を備えている。
接点保持片231は、対応する一次側端子210の端子板211の下端縁から延びており、その先端部(下端部)の前面に固定接点233が設けられている。可動接触子232は、上下方向に長い矩形板状であり、その上端部の後面に可動接点234が設けられている。可動接触子232は、可動接点234が固定接点233と接触する閉極位置(図5参照)と可動接点234が固定接点233から離間する開極位置(図6参照)との間で移動可能となるように配置されている。可動接点234と固定接点233とで、主幹ブレーカ2(回路遮断器20)の接点C1が構成される。
各可動接触子232は、接続線24を介して、対応する二次側端子220に接続されている。なお、図1、図4に示すように、第1電圧線(L1相)に対応する可動接触子232と接続線24との間には、引き外し装置25が接続されている。また、第2電圧線(L2相)に対応する可動接触子232と接続線24との間には、別の引き外し装置25が接続されている。
ハンドル21は、合成樹脂の成型品からなる。ハンドル21は、ハンドル挿通孔203を通してケース200から露出する操作部21aを有している。ハンドル21は、操作部21aの下端の後部に、ハンドル軸212を受ける軸受部を有しており、このハンドル軸212の周りで回転可能となっている。ハンドル21は、操作部21aを操作されることで、操作部21aがハンドル挿通孔203の開口面と略面一となる閉位置(図5参照)と、操作部21aがハンドル挿通孔203から突出する開位置(図6参照)との間で回転可能となっている。ハンドル21にはトーションばね213が取り付けられており、ハンドル21はこのトーション213ばねから、閉位置から開位置に向かう向きの力を受けている。
開閉機構部22は、ハンドル21の操作部21aへの操作に応じて、3つの接点C1を開閉させる。開閉機構部22は、複数のリンク222及びばね223を組み合わせて構成される。操作部21aへの操作によって、ハンドル21が開位置から閉位置へ移動すると、開閉機構部22は3個の可動接触子232を開極位置から閉極位置へ移動させて、接点C1を閉じる。開閉機構部22は、接点C1が閉じた状態(可動接触子232が閉極位置にある状態)では、接点C1を開く向きのエネルギー(ばねの弾性力による位置エネルギー)を蓄積して、ラッチされる。開閉機構部22は、ラッチが解除されると、蓄積したエネルギーを解放して可動接触子232を移動させることにより、接点C1を急速に開く。また、操作部21aへの操作によって、ハンドル21が閉位置から開位置へ移動すると、開閉機構部22は3個の可動接触子232を閉極位置から開極位置へ移動させて、接点C1を開く。
図4~図6に示すように、開閉機構部22の下側には、前後方向及び左右方向に長い板状の連動バー27が配置されている。連動バー27は、2つの引き外し装置25及び電磁釈放装置26のいずれかが駆動されると、左右方向に沿った回転軸の周りで回転して、開閉機構部22のラッチを解除する。
引き外し装置25は、電路(幹線)に短絡電流等の異常電流が流れたときに、連動バー27を駆動させて、開閉機構部22のラッチを解除する。電磁釈放装置26は、コイルを含む電磁石装置、及びプランジャを備えており、電路に漏電電流が流れたときに、コイルに励磁電流を流すことでプランジャを動かして連動バー27を駆動させ、開閉機構部22のラッチを解除する。なお、開閉機構部22、引き外し装置25、電磁釈放装置26は、周知の構造で実現されてよいので、詳しい説明は省略する。
ケース200の内部空間の下側の部分には、零相変流器ZCT1と、プリント基板からなる回路基板28と、が収容されている。回路基板28には、漏電電流の発生を検知する漏電保護回路を構成するための回路部品が実装される。零相変流器ZCT1はトロイダルコアを備えており、トロイダルコアの中央孔に、3本の接続線24が一次側電路として貫通している。なお、トロイダルコアの中央孔には、後述のリード線241も一次側電路として貫通している。零相変流器ZCT1の二次側電路は、回路基板28に設けられた漏電保護回路に接続されている。零相変流器ZCT1は、一次側電路を通過する一次側電流に不平衡が生じると、二次側電路から動作信号を出力する。漏電保護回路は、零相変流器ZCT1の動作信号に基づいて一次側電流の不平衡(つまり、漏電電流の発生)を検出すると、電磁釈放装置26を駆動させる。
ここで、電磁釈放装置26の枠体261の前面の下側の部分には、固定接点板と、可動接点板291と、が前後方向に並んで(可動接点板291が手前側)設けられている。可動接点板291は、帯板状であって前後方向に延びる基部及び基部の前端から左方に延びる接触部を有しており、接触部の左端の後面が固定接点板の一端と対向するように、基部が枠体261に固定されている。可動接点板291の基部は、零相変流器ZCT1のトロイダルコアを貫通するリード線241を介して、電圧線(ここでは第1電圧線)が接続されている一次側端子210に接続されている。また、固定接点板の他端は、電圧線(ここでは第2電圧線)が接続されている一次側端子210に接続されている。ここにおいて、固定接点板と可動接点板291(接触部)とで、テストスイッチ290が構成されている。
また、図4に示すように、ケース200のカバー200bには、可動接点板291の接触部と対向する位置に貫通孔が形成されており、この貫通孔に、テスト釦29が前後方向に移動可能に配置されている。操作者等に押されることによってテスト釦29が後方に移動すると、可動接点板291の左端部がテスト釦29によって押されて可動接点板291が撓められ、可動接点板291の接触部が固定接点板と接触導通して、テストスイッチ290がオンする。これにより、リード線241に電流が流れ、零相変流器ZCT1の一次側電路を流れる電流に不平衡が生じて、擬似的に漏電状態を作り出すようになっている。
(2.1.2)分岐ブレーカ
図2に示すように、複数の分岐ブレーカ3は、導電バー9の上側と下側とに分かれて、それぞれ複数個ずつ左右方向に並ぶように配置されている。各分岐ブレーカ3は、一対の一次側端子と、一対の二次側端子とを備えている。分岐ブレーカ3には100V用と200V用がある。100V用の分岐ブレーカ3が備える一対の一次側端子は、第1電圧極(L1相)の導電バー9及び第2電圧極(L2相)の導電バー9のうちの一方と、中性極(N相)の導電バー9とにそれぞれ電気的に接続される。200V用の分岐ブレーカ3が備える一対の一次側端子は、第1電圧極の導電バー9と、第2電圧極の導電バー9とにそれぞれ電気的に接続される。また、分岐ブレーカ3の二次側端子には、対応する配線が電気的に接続される。各分岐ブレーカ3の二次側端子に接続された配線には、例えば照明器具や空調機器、テレビ受像器、給湯設備等の機器、又は壁スイッチ等の配線器具が負荷B1として1つ以上接続可能である。なお、図2では、便宜上、3つの導電バー9を一つに纏めて図示している。
(2.2)回路遮断器駆動システム
次に、回路遮断器駆動システム100について、図1、図7、図8を用いて説明する。
図1、図7に示すように、回路遮断器駆動システム100は、検知部11と、駆動部13と、入力部14と、電源部15と、筐体(第1筐体)16と、取付部17と、筐体(第2筐体)19と、を備えている。
図2に示すように、第1筐体16は、キャビネット10の外側に配置されている。ここでは、第1筐体16は、キャビネット10が取り付けられている施設(建物)の造営面に、キャビネット10と並んで取り付けられている。一方、第2筐体19は、キャビネット10内に配置されている。ここでは、図7に示すように、キャビネット10は、主幹ブレーカ2等を保持し前面が開口し施設の造営面に取り付けられるベース101と、主幹ブレーカ2のハンドル21が露出するようにベース101の前面を覆う内蓋102と、内蓋102の前面を覆う外蓋103と、を備えている。第2筐体19は、内蓋102と外蓋103との間のスペースに配置されており、内蓋102の前面に取り付けられている。第1筐体16と第2筐体19との間には、後述の送信部51と受信部52とを接続する通信線50(図1参照)が、介在している。
図1に示すように、検知部11は、センサ111と、受信部112と、判定部12と、を備えている。検知部11は、第1筐体16内に配置されている。
センサ111は、電力により動作して物理量を計測する。ここでは、センサ111は加速度センサ110を備えている。加速度センサ110は、3軸加速度センサであり、加速度センサ110に規定されており互いに直交する3つの軸方向(X軸、Y軸及びZ軸それぞれの軸方向)の加速度を計測する。加速度センサ110からは、X軸、Y軸及びZ軸それぞれの軸方向の加速度の計測結果が出力信号として出力される。要するに、加速度センサ110の出力信号は、X軸の軸方向の加速度の出力信号と、Y軸の軸方向の加速度の出力信号と、Z軸の軸方向の加速度の出力信号と、の3種類がある。加速度センサ110は、電源部15から供給される電力により、常時動作している。
判定部12は、加速度センサ110の出力信号に基づいて、異常としての地震の発生を検知する。判定部12は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサが適宜のプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが判定部12として機能する。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。判定部12(コンピュータシステム)を構成する回路部品は、筐体16内に配置された回路基板に実装されている。
判定部12は、加速度センサ110が測定した加速度の測定値(加速度センサ110の出力信号)を処理する。判定部12は、加速度センサ110が測定した加速度の測定値に基づいて、所定の感知レベル以上の揺れを検知すると、地震が発生したと判定する。すなわち、判定部12は、加速度センサ110の測定値をもとに、地震による揺れを検知する機能を有している。判定部12は、加速度センサ110の出力信号の波高値、周波数、及び/又は継続時間等に基づいて、地震による揺れを検知する。そして、判定部12は、異常の発生を検知した場合に、回路遮断器20を駆動させる(接点C1を開極させる)と判定する。つまり、判定部12は、センサ111(加速度センサ110)の出力信号(出力信号から得られる情報)が所定の判定条件を満たしたときに、周囲環境における異常(地震)が発生していると判定し、回路遮断器20を駆動させると判定する。判定部12は、回路遮断器20を駆動させると判定すると、駆動部13に駆動信号を送出する。
受信部112は、異常の発生を示す異常発生信号を外部から受け取る。ここでは、異常発生信号は、周囲環境における異常としての地震の発生を示す地震発生信号(例えば、緊急地震速報に基づく信号)である。
受信部112は、無線通信用の通信インタフェースを備えている。受信部112は、外部装置6から信号を受信する機能を有している。受信部112と外部装置6との通信方式は、例えば920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の通信規格に準拠した、電波を媒体とした無線通信であってもよい。また、受信部112と外部装置6との間の通信方式は、有線LAN(Local Area Network)等の通信規格に準拠した有線通信であってもよい。本実施形態では、受信部112と外部装置6との間の通信方式は、例えばインターネット等のネットワークN1を介した無線通信である。
判定部12は、受信部112が受け取った地震発生信号に基づいて、回路遮断器20を駆動させるか否かを判定する。判定部12は、受信部112が受け取った地震発生信号を処理する。地震発生信号は、ここでは、地震の程度に応じて区分けされた複数段階の地震区分情報のうちの少なくとも一つを含む。例えば、地震発生信号は、地震区分情報として、地震の震度(気象庁震度階級)の予測値を示す情報を含む。判定部12は、地震発生信号に含まれる地震の震度の予測値が、ある階級以上である(例えば、震度5弱以上である)場合、回路遮断器20を駆動させる(接点C1を開極させる)と判定する。以下では、判定部12が回路遮断器20を駆動させると判定する震度を、「震度閾値」と呼ぶ。つまり、判定部12は、地震発生信号に含まれる地震の震度の予測値が、震度閾値以上である場合、回路遮断器20を駆動させると判定する。要するに、異常発生信号は、異常の程度に応じて区分けされた複数段階の異常区分情報のうちの少なくとも一つを含む。判定部12は、異常発生信号に、複数段階の異常区分情報のうちのある段階以上の異常区分情報が含まれているとき、回路遮断器20を駆動させると判定する。判定部12は、回路遮断器20を駆動させると判定すると、駆動部13に駆動信号を送出する。
要するに、判定部12は、センサ111の出力信号と異常発生信号とのうちの少なくとも一方に基づいて、周囲環境における異常(地震)の発生を検知する。そして、判定部12は、異常(地震)の発生を検知すると、回路遮断器20を駆動させると判定して、駆動部13に駆動信号を送出する。
駆動部13は、検知部11が異常の発生を検知した場合(判定部12が回路遮断器20を駆動させると判定した場合)に、回路遮断器20の一部に接触してこの部分を機械的に動作させることで、回路遮断器20の接点C1を開極させる。ここでは、回路遮断器20の上記の一部は、回路遮断器20のハンドル21である。つまり、駆動部13は、ハンドル21を移動させることで、回路遮断器20の接点C1を開極させる。
図1に示すように、駆動部13は、送信部51と、受信部52と、動作部53と、を備えている。
図1に示すように、送信部51は、第1筐体16内に配置されている。一方、受信部52及び動作部53は、第2筐体19内に配置されている。すなわち、受信部52及び動作部53は、キャビネット10内に配置されている。送信部51と受信部52とは、通信線50により電気的に接続されている。
送信部51は、検知部11からの駆動信号に応じて、通信線50を介して動作信号を送出する。受信部52は、送信部51から送出された動作信号を、通信線50を介して受け取る。
動作部53は、受信部52で受け取った動作信号に応じて動作して、回路遮断器20のハンドル21に機械的に接触してハンドル21を閉位置から開位置へ移動させることで、回路遮断器20の接点C1を開極させる。図7に示すように、動作部53は、質量体131と、ラッチ部材132と、解除部材133と、を備えている。
質量体131は、回路遮断器20(主幹ブレーカ2)のハンドル21の上側に配置されている。質量体131は、ここでは板材1311、例えば鉄板を備えている。なお、板材1311の材料は特に限定されず、金属であっても非金属であってもよい。板材1311は、上下方向に長さを有し左右方向に幅を有する板状である。ここで、筐体16は、その下壁に貫通孔161を有している。板材1311は、その上側の部分が筐体16の内部に位置し、その下端部がハンドル21の上方に位置するように、貫通孔161に通されている。板材1311の下端部には、斜め後下方へ突出する爪が設けられている。また、板材1311の中央よりも下側の部分には、左右方向に延びる長孔が形成されている。また、板材1311の後面には、板材1311の過度の移動を規制するために突起が設けられている。
ラッチ部材132は、板状のシーソー部材1321と、支持ばね1322と、を有する。シーソー部材1321は、ここでは金属製であり、磁性材料から形成されている。シーソー部材1321は、筐体16に支持された支軸1323によって、左右方向に沿った回転軸(支軸1323)の周りに、図7の時計回り方向及び反時計回り方向に回転可能に支持されている。支持ばね1322は、シーソー部材1321に対して、シーソー部材1321の第1端(下端)が後方に向かい第2端(上端)が前方に向かう向き(図7の時計回り方向)の弾性力を与える。支持ばね1322からの弾性力を受けた状態で、シーソー部材1321の第1端は、板材1311の長孔内に挿入される。これにより、ラッチ部材132は質量体131(板材1311)を所定位置(図7に示す位置)に保持する。
解除部材133は、電磁石装置1331を備えている。電磁石装置1331は、シーソー部材1321の第1端と対向する位置に配置されている。電磁石装置1331は、シーソー部材1321から見て、板材1311とは反対側に配置されている。電磁石装置1331は、送信部51から送出される動作信号により、少なくとも所定の時間(ラッチ部材132を動かすのに必要な時間)だけ通電される。電磁石装置1331の通電は、動作信号が電磁石装置1331のコイルを直接流れることによってなされてもよいし、動作信号に応答して、適宜の駆動回路がコイルに電流を流すことによってなされてもよい。
電磁石装置1331が通電されると、電磁石装置1331のコイルにより磁場が発生し、発生した磁場による磁力によって、シーソー部材1321の第1端が前方へ引かれる。この磁力が支持ばね1322によるばね力を上回ると、シーソー部材1321が回転(図7の反時計回り方向に回転)し、シーソー部材1321の第1端が板材1311の長孔から外れて、ラッチ部材132による質量体131の保持が解除される。ラッチ部材132による保持が解除されると、板材1311は、重力によって鉛直下方へ自然落下し、下端の爪がハンドル21を押し下げて、ハンドル21を閉位置から開位置へと回転させる。すなわち、本実施形態の動作部53(駆動部13)は、質量体131を重力落下させることにより生じる運動エネルギーを用いて、ハンドル21を閉位置から開位置へ移動させる(回路遮断器20の一部を動作させる)。また、板材1311は、重力落下することによりハンドル21に上方から接触することで、ハンドル21を移動させる。質量体131(板材1311)の落下は、板材1311に設けられている突起が、筐体16の内面に設けられている規制部としての突起に接触することで、停止される。
なお、回路遮断器駆動システム100は、動作部53が一度動作した後であっても、動作前の状態に戻すことが可能である。つまり、電磁石装置1331への通電を停止させ、板材1311を上方に持ち上げて、ラッチ部材132(シーソー部材1321)によって板材1311を保持させれば、回路遮断器駆動システム100は動作前の状態に戻る。したがって、回路遮断器駆動システム100は、一度使用されても、再度の使用が可能となっている。
入力部14は、第1筐体16に収容されている。入力部14は、例えば、無線通信用の通信インタフェースを備える。入力部14の通信インタフェースは、受信部112の通信インタフェースと共用されていてもよいし、別体であってもよい。
入力部14は、判定部12が異常の発生を判定(検知)する際(つまり、回路遮断器20を駆動させると判定する際)の判定条件を設定(変更)するための入力情報を受け付ける。入力部14は、外部から、入力情報を含んだ無線信号を受け取ると、受け取った入力情報に基づいて判定条件を設定(変更)する。判定条件が変更されると、判定部12が異常が発生したと判定するための、異常の程度が変更される。例えば、判定部12が地震の発生を検知するための「所定の感知レベル」が変更される。例えば、判定条件が、震度5弱相当の地震の揺れの発生から、震度6弱相当の地震の揺れの発生に変更されたとする。この場合、判定部12は、震度5弱相当の地震の揺れを検知しても駆動部13を動作させず、震度6弱相当以上の地震の揺れを検知したときに初めて駆動部13を動作させることとなる。
また、入力部14は、判定部12が回路遮断器20を駆動させる(接点C1を開極させる)と判定する際の異常区分情報の段階を設定(変更)するための入力情報を受け付ける。つまり、入力部14は、震度閾値を設定(変更)するための入力情報を受け付ける。入力部14は、外部から、入力情報を含んだ無線信号を受け取ると、受け取った入力情報に基づいて、回路遮断器20を駆動させると判定する際の異常区分情報の段階を設定(変更)する。つまり、震度閾値が設定(変更)される。例えば、震度閾値が「震度5弱」に設定されている場合、判定部12は、「震度1」~「震度4」の地震の発生を示す地震発生信号を受け取っても、回路遮断器20を駆動させないと判定する。一方、判定部12は、「震度5弱」~「震度7」の地震の発生を示す地震発生信号を受け取ると、回路遮断器20を駆動させると判定し、駆動部13を動作させる。
電源部15は、検知部11、送信部51、入力部14に、動作用の電力を供給する。電源部15は、ここでは電池151を備えている。電池151は、第1筐体16内の収容スペース162に配置されている。すなわち、筐体(第1筐体)16は、検知部11に電力を供給する電池151が収容される収容スペース162を備えている。
取付部17は、第2筐体19を分電盤1のキャビネット10の内蓋102の前面に取り付けるための部材である。取付部17は、第2筐体19に設けられている。
取付部17は、磁石と磁性体とのうちの少なくとも一方(例えば、永久磁石)を含む。取付部17は、第2筐体19の後壁に固定されている。一方、分電盤1の内蓋102の前面には、磁石と磁性体とのうちの少なくとも一方(例えば、鉄板)を含む固定部171が、接着等の適宜の方法で固定される。取付部17が固定部と171磁力により結合されることで、第2筐体19がキャビネット10に取り付けられる。すなわち、第2筐体19は、磁力によりキャビネット10に取り付けられる。
(3)動作説明
以下、本実施形態の回路遮断器駆動システム100の動作について説明する。
上記のように、本実施形態の回路遮断器駆動システム100は、周囲環境における異常としての地震の発生を、センサ111の出力信号に基づいて検知すると、回路遮断器20のハンドル21を移動させることで、回路遮断器20を駆動させる(接点C1を開極させる)。
地震が発生すると、地震の震動により第1筐体16が振動し、第1筐体16に保持された加速度センサ110に加速度が与えられる。加速度センサ110は、与えられた加速度のX軸、Y軸、Z軸それぞれの軸方向の成分に応じて、X軸、Y軸、Z軸の軸方向の加速度の出力信号を出力する。
判定部12は、加速度センサ110から、所定の計測間隔(例えば10ミリ秒の間隔)で、X軸の軸方向の加速度の測定値、Y軸の軸方向の加速度の測定値、Z軸の軸方向の加速度の測定値を取り込む。判定部12は、例えば、水平面に沿ったX軸方向の測定値とZ軸方向の測定値とをフィルタを用いてフィルタリングし、得られた値の合成加速度を求める。合成加速度は、例えば、X軸方向の測定値とZ軸方向の測定値との二乗和の平方根である。
判定部12は、合成加速度と、第1基準値及び第2基準値との大小をそれぞれ比較する。第1基準値は、地震に伴う揺れを検出する判定対象期間を求めるための閾値である。第2基準値は、判定対象期間に検出される合成加速度が、地震に伴う揺れか否かを判定するための閾値であり、第1基準値よりも大きい値に設定されている。
判定部12は、合成加速度が第1基準値を超えると、判定対象期間の計測を開始する。判定部12は、判定対象期間の計測を開始した後に、合成加速度が第1基準値以下となる時間が所定の時間(例えば数秒)よりも長くなると、判定対象期間の計測を終了する。
判定部12は、判定対象期間の計測を行っている状態で、合成加速度が第2基準値を超えている時間を積算する。そして、判定部12は、判定対象期間が第1判定時間よりも長いという条件と、合成加速度が第2基準値を超えている時間の積算値が第2判定時間よりも長いという条件がともに成立すると、地震が発生したと判定する。
一方、判定部12は、判定対象期間が第1判定時間を超えない場合は、所定の感知レベル以上の揺れを感知しなかった、つまり地震が発生していないと判定する。また、判定部12は、合成加速度が第2基準値を超えている時間の積算値が第2判定時間に達する前に、判定対象期間の計測を終了した場合も、地震が発生していないと判定する。
地震が発生したと判定した場合(地震の発生を検知した場合)、判定部12は、回路遮断器20を駆動させると判定し、駆動部13に駆動信号を送出して、駆動部13を動作させる。
また、本実施形態の回路遮断器駆動システム100は、周囲環境における異常(地震)の発生を示す異常発生信号に基づいて、回路遮断器20のハンドル21を移動させることで、回路遮断器20を駆動させる(接点C1を開極させる)。
地震が発生すると、外部装置6から受信部112に、地震の発生を示す地震発生信号が外部から送信される。判定部12は、地震発生信号に含まれる地震の震度が、震度閾値以上であるか否かを判定する。判定部12は、地震発生信号に含まれる地震の震度が震度閾値未満である場合、大きな地震が発生しておらず回路遮断器20を駆動させる必要がないと判定して、駆動部13を動作させない。一方、判定部12は、地震発生信号に含まれる地震の震度が震度閾値以上である場合、大きな地震が発生し回路遮断器20を駆動させる必要があると判定して、駆動部13を動作させる。
センサ111からの出力信号又は異常発生信号に基づいて回路遮断器20を駆動させると判定した場合、判定部12は、駆動部13に駆動信号を送出して、駆動部13を動作させる。駆動信号を受け取ると、駆動部13では、送信部51から通信線50を介して受信部52に動作信号を送出する。そして駆動部13では、動作信号に応じて動作部53の電磁石装置1331のコイルが通電されて、電磁石装置1331とシーソー部材1321の一端との間に磁気吸引力が発生し、シーソー部材1321が支軸1323を中心として図7の反時計回りに回転する。これにより、ラッチ部材132による質量体131(板材1311)の保持が解除されて質量体131が鉛直下方に自由落下し、主幹ブレーカ2(回路遮断器20)のハンドル21に上方から接触する。質量体131がハンドル21に与える力(エネルギー)が、ハンドル21を移動させるのに必要な力よりも大きければ、質量体131によってハンドル21が下方へ引き下げられる(図8参照)。したがって、回路遮断器20内の電路が遮断されて、電源P1から負荷B1への給電が停止される。
このように、本実施形態の回路遮断器駆動システム100によれば、地震が発生した場合に、回路遮断器20を駆動(オフ)させることが可能となる。したがって、例えば、分電盤1に接続されている負荷B1に対して、地震発生後に給電が継続されることによる不具合の発生(例えば電気火災の発生)を、防ぐことが可能となる。
また、本実施形態の回路遮断器駆動システム100では、検知部11及び駆動部13のうちの少なくとも一部(ここでは、検知部11及び送信部51)が、キャビネット10の外側に配置される筐体(第1筐体)16に、収容されている。そのため、回路遮断器駆動システム100のうちでキャビネット10内に配置される部分を少なくでき、結果的に、キャビネット10内に配置される部分の小型化を図ることが可能となる。
(4)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
(4.1)変形例1
駆動部13は、回路遮断器20のテスト釦29(漏電保護機能の動作を試験するためのテスト釦29)を押すことで、回路遮断器20の接点C1を開極させる動作部53Aを備えていてもよい。すなわち、駆動部13は、テスト釦29を動作させることで、回路遮断器20の接点C1を開極させてもよい。
図9は、変形例1の回路遮断器駆動システム100Aの動作部53Aの概略を示す。
回路遮断器駆動システム100Aでは、動作部53Aが、押圧部材134と、ラッチ部材132Aと、解除部材133Aと、を備えている。
押圧部材134は、棒状部材1341と、付勢部材(ばね)1342と、を備えている。棒状部材1341は、前後方向に長い棒状であって、前後方向に移動可能に第2筐体19内に配置されており、後面(図9の左側の面)が、第2筐体19の後壁に設けられている孔を介して、テスト釦29の前面と対向する。棒状部材1341の左右(図9の紙面手前及び奥)の側面には、突起が設けられている。付勢部材1342は、棒状部材1341に後方へ向かう力を与える。
ラッチ部材132Aは、ストッパ1324と、付勢部材(ばね)1325と、を備えている。ストッパ1324は、上下方向に長い板状であり、第1端(下端)の中央に切り欠きが設けられている。付勢部材(ばね)1325は、ストッパ1324を下方へ付勢する。ストッパ1324は、切り欠かれた部分に棒状部材1341の本体が入り込み、切り欠きの周縁部が棒状部材1341の突起に引っ掛かることで、付勢部材1342による力に抗して棒状部材1341の後方への移動を阻止する。ストッパ1324は、ここでは金属製であり、磁性材料から形成されている。
解除部材133Aは、電磁石装置1332を備えている。電磁石装置1332は、棒状部材1341よりも上方(棒状部材1341の第2端側)に配置されている。
判定部12が、回路遮断器20を駆動させると判定すると、送信部51から送出される動作信号により、電磁石装置1332が通電される。電磁石装置1332が通電されると、電磁石装置1332のコイルにより磁場が発生し、発生した磁場による磁力によって、ストッパ1324が上方へ引かれる。この磁力が付勢部材1325によるばね力を上回ると、ストッパ1324が上方へ移動してストッパ1324が棒状部材1341から外れ、付勢部材1342のばね力によって棒状部材1341が後方(図9の左方)へ移動して、テスト釦29が押される(図10参照)。これにより、回路遮断器20(主幹ブレーカ2)の漏電保護回路によって電磁釈放装置26が駆動されて、接点C1が開極する。
本変形例の回路遮断器駆動システム100Aでも、周囲環境における異常(地震)の発生時に、回路遮断器20の接点C1を開極させることが可能である。
なお、動作部53Aの構造は、図9に示す構造に限られない。動作部53Aは、例えば実施形態の回路遮断器駆動システム100と同様に、質量体131とラッチ部材132と解除部材133とを備え、重力落下させた質量体131によってテスト釦29を押す構成等であってもよい。
(4.2)変形例2
図11、図12は、変形例2の回路遮断器駆動システム100Bを示す。回路遮断器駆動システム100Bでは、駆動部13Bが、アクチュエータ135と、リンク部136と、を備えている。アクチュエータ135は、筐体(第1筐体)16内に収容される。アクチュエータ135は、検知部11による異常の発生の検知に応じて動作する。リンク部136は、アクチュエータ135の動作に応じて移動して、回路遮断器20のハンドルを閉位置から開位置へ移動させる。
ここでは、アクチュエータ135はモータ1351を備えている。モータ1351は、例えばDCモータである。モータ1351は、判定部12からの駆動信号に応じて動作(回転)する。
リンク部136は、接続部1361と、引き紐1362と、を備える。接続部1361は、回路遮断器20のハンドル21に取り付けられる部分である。引き紐1362は、一端がモータ1351のシャフトに連結され、他端が接続部1361に連結されている。ここでは、リンク部136は、電気的な機構を含まず、機械的な機構のみを備えている。
判定部12が、回路遮断器20を駆動させると判定すると、判定部12から送出される駆動信号により、モータ1351が回転する。モータ1351が回転すると、引き紐1362がシャフトに巻き取られて、接続部1361に連結されているハンドル21を引く。これにより、回路遮断器20(主幹ブレーカ2)のハンドル21が閉位置から開位置へ移動して、接点C1が開極する。
本変形例の回路遮断器駆動システム100Bでも、周囲環境における異常(地震)が発生した場合に、回路遮断器20の接点C1を開極させることが可能である。
なお、リンク部136は、ガイド筒を更に備えていてもよい。ガイド筒は、例えば樹脂等の材料から可撓性を有する筒状に形成されている。引き紐1362がガイド筒の内部に通されることで、ガイド筒は、引き紐1362の移動をガイドし、また引き紐1362を保護する。
また、リンク部136は、回路遮断器20のハンドル21を直接引く構成に限られない。例えば、リンク部136は、実施形態における質量体131及びラッチ部材132(図7参照)と、ラッチ部材132のシーソー部材1321に連結された引き紐とを備え、モータ1351により引き紐を引くことでシーソー部材1321を回転させて、間接的にハンドル21を移動させる構成等であってもよい。また、リンク部136は、回路遮断器20のテスト釦29を押す構成であってもよい。
(4.3)変形例3
図13、図14は、変形例3の回路遮断器駆動システム100Cを示す。回路遮断器駆動システム100Cでは、駆動部13Cが、電磁場発生部137と、作動部138と、を備えている。電磁場発生部137は、筐体(第1筐体)16内に収容される。電磁場発生部137は、検知部11による異常の発生の検知に応じて、周囲の電磁場を変化させる。作動部138は、キャビネット10内、ここでは第2筐体19内に配置される。作動部138は、電磁場発生部137による電磁場の変化に応じて動作して、回路遮断器20のハンドル21を移動させる。なお、図14では、第1筐体16内に収容されている検知部11、入力部14及び電源部15の図示を、省略している。
電磁場発生部137は、電磁石装置1371を備えている。電磁石装置1371は、判定部12から送出される駆動信号により、通電される。電磁石装置1331の通電は、駆動信号が電磁石装置1371のコイルを直接流れることによってなされてもよいし、駆動信号に応答して、適宜の駆動回路がコイルに電流を流すことによってなされてもよい。
作動部138は、質量体1381及びラッチ部材1382を備えている。質量体1381及びラッチ部材1382の構成は、実施形態で説明した回路遮断器駆動システム100の動作部53における質量体131及びラッチ部材132(図1参照)と同様なので、詳しい説明は省略する。
電磁場発生部137を収容する第1筐体16は、例えば、分電盤1のキャビネット10の外蓋103の前面に、外蓋103を挟んで第2筐体19と対向するように取り付けられる。より詳細には、第1筐体16は、電磁石装置1371とラッチ部材1382のシーソー部材の第1端(下端)とが前後方向において対向するように、配置される。
判定部12が、回路遮断器20を駆動させると判定すると、判定部12から送出される駆動信号により、電磁石装置1371が通電される。電磁石装置1371が通電されると、電磁石装置1371のコイルにより磁場が発生し、発生した磁場による磁力によって、ラッチ部材1382のシーソー部材の第1端が前方へ引かれる。これにより、シーソー部材が回転(図14の反時計回り方向に回転)し、シーソー部材の第1端が質量体1381の長孔から外れて、ラッチ部材1382による質量体1381の保持が解除される。ラッチ部材1382による保持が解除されると、質量体1381は、重力によって鉛直下方へ自然落下し、下端の爪がハンドル21を押し下げて、ハンドル21を閉位置から開位置へと回転させる。これにより、回路遮断器20(主幹ブレーカ2)の漏電保護回路によって電磁釈放装置26が駆動されて、接点C1が開極する。
本変形例の回路遮断器駆動システム100Cでも、周囲環境における異常(地震)が発生した場合に、回路遮断器20の接点C1を開極させることが可能である。
なお、電磁場発生部137及び作動部138の構成は、上記の構成に限られない。例えば、作動部138は、電磁場発生部137が発生する磁場による磁力によって動作する構成でなくてもよい。例えば、作動部138がアクチュエータを備え、電磁場発生部137が送出する無線信号に応じてアクチュエータが動作することで、回路遮断器20のハンドル21を移動させてもよい。また、本変形例とは逆に、電磁場発生部137が、通常時は磁場を発生させ続け、判定部12による異常の発生の検知に応じて磁場の発生を停止させる構成であってもよい。この場合、作動部138は、電磁場発生部137による磁場の消失に応じて、回路遮断器20のハンドル21を移動させる。また、作動部138は、回路遮断器20のテスト釦29を押す構成であってもよい。
(4.4)その他の変形例
本開示における回路遮断器駆動システム100、100A~100Cは、例えば、判定部12等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における判定部12としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
また、例えば検知部11における複数の機能が、第1筐体16内に集約されていることは回路遮断器駆動システム100に必須の構成ではない。つまり、検知部11の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。例えば、回路遮断器駆動システム100、100A~100Cは、センサ111及び受信部112と判定部12とが、別の筐体に収容されていてもよい。また、検知部11の一部の機能が、第2筐体19に設けられていてもよい。つまり、検知部11と駆動部13、13B、13Cのうちの少なくとも一部が、第1筐体16に収容されていればよい。さらに、例えば判定部12の少なくとも一部の機能は、例えば、サーバ装置及びクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
検知部11により検知され得る周囲環境における異常は、地震に限られず、例えば地震以外の災害であってもよい。地震以外の災害の例としては、分電盤1が設けられている施設への浸水、火災等が挙げられる。また、周囲環境における異常は、災害に限られず、例えば、電源P1から負荷B1への給電経路のどこかに過電流が流れること等であってもよい。
同様に、異常発生信号が示す周囲環境における異常は、地震に限られず、例えば地震以外の災害であってもよい。また、周囲環境における異常は、災害に限られず、例えば、電源P1から負荷B1への給電経路のどこかに過電流が流れること等であってもよい。
検知部11は、センサ111と受信部112との両方を備えている必要はない。
判定部12による地震の発生の判定方法は、実施形態の方法に限られず、周知の地震発生判定方法であってよい。
受信部112は、外部装置6から直接、異常発生信号を受信する構成に限らない。受信部112は、例えば、分電盤1内に設けられており分電盤1内を通過する電力の計測機能及び外部との通信機能を有する装置である計測アダプタを介して、外部装置6から異常発生信号を受信してもよい。
また、駆動部13の構成は、実施形態、変形例1~変形例3の構成に限られない。例えば、解除部材133は、電磁石装置1331に限られない。解除部材133は、例えば、駆動信号に応じて回転するモータと、モータの回転に応じて後方に移動してシーソー部材1321の第2端(上端)を後方へ押すカムと、を備えていてもよい。或いは、解除部材133は、駆動信号に応じて動作してシーソー部材1321の第1端(下端)を前方に吸引する吸引装置を備えていてもよい。なお、支持ばね1322を、電磁石装置1331のコイルとして兼用してもよい。
電源部15は、電池に限られず、例えば、分電盤1内の給電経路から電力を受ける構成であってもよい。
また、回路遮断器駆動システム100、100A~100Cは、操作に応じて駆動部13を動作させる試験スイッチを備えていてもよい。試験スイッチは、使用者により操作されると、判定部12の判定結果とは関係なく、駆動部13に駆動信号を送出する。これにより、判定部12から駆動信号を受け取ったときと同様に、駆動部13が動作する。このような試験スイッチを備えていることで、駆動部13の動作試験を行うことができる。また、試験スイッチに応じて駆動部13が動作した場合に、ハンドル21を移動(或いはテスト釦29を動作)させることができるかを確認することで、回路遮断器20に対する回路遮断器駆動システム100、100A~100C(第2筐体19)の位置決めを容易に行うことができる。
判定部12は、センサ111からの出力信号或いは異常発生信号に基づいて、周囲環境における異常(地震)の発生を検知しても、即座に駆動部13を動作させず、所定の待機時間の経過後に駆動部13を動作させてもよい。この場合、例えば地震が発生しても、待機時間の間は電力の供給が継続されるため、その間に居住者の避難を促すことができる。待機時間は、例えば入力部14を介して適宜変更可能であってもよい。
また、判定部12は、異常発生信号を受け取ると、震度閾値にかかわらず回路遮断器20を駆動させると判定してもよい。
固定部171として用いられる鉄板は、複数種類の厚さの鉄板が準備されていてもよい。そして、筐体16が取り付けられる分電盤1の種類に応じて、いずれかの鉄板が選択的に用いられてもよい。
第2筐体19は、磁力以外の方法によりキャビネット10に取り付けられてもよく、例えばキャビネット10に接着されてもよいし、ねじなどにより取り付けられてもよい。或いは、第2筐体19とキャビネット10との一方に設けられた爪を、他方に設けられた孔に嵌め込むことで、第2筐体19がキャビネット10に取り付けられてもよい。
第2筐体19は、回路遮断器20のケース200に取り付けられてもよい。
第1筐体16の取り付け場所は、施設の造営面に限られず、任意の場所であってよい。
回路遮断器駆動システム100、100A~100Cにより駆動される回路遮断器20は、主幹ブレーカ2に限られず、例えば分岐ブレーカ3であってもよい。
(5)まとめ
以上説明した実施形態及び変形例等から以下の態様が開示されている。
第1の態様の回路遮断器駆動システム(100、100A~100C)は、検知部(11)と、駆動部(13、13B、13C)と、筐体(16)と、を備える。検知部(11)は、周囲環境における異常の発生を検知する。駆動部(13、13B、13C)は、検知部(11)が異常の発生を検知した場合に、回路遮断器(20)の一部に接触してこの一部を機械的に移動させることで、回路遮断器(20)の接点(C1)を開極させる。回路遮断器(20)は、分電盤(1)のキャビネット(10)内に設けられている。筐体(16)は、分電盤(1)のキャビネット(10)の外側に配置される。筐体(16)は、検知部(11)及び駆動部(13、13B、13C)のうちの少なくとも一部を収容する。
この態様によれば、回路遮断器駆動システム(100、100A~100C)のうちでキャビネット(10)内に配置される部分を少なくできる。結果的に、回路遮断器駆動システム(100、100A~100C)のうちでキャビネット(10)内に配置される部分の小型化を図ることが可能となる。
第2の態様の回路遮断器駆動システム(100、100A)は、第1の態様において、駆動部(13)は、送信部(51)と、動作部(53、53A)と、を備える。送信部(51)は、筐体(16)内に収容される。送信部(51)は、検知部(11)による異常の発生の検知に応じて動作信号を送出する。動作部(53、53A)は、キャビネット(10)内に配置される。動作部(53、53A)は、動作信号に応じて動作して、回路遮断器(20)の上記の一部を動作させる。
この態様によれば、駆動部(13)においてキャビネット(10)外に配置される部分(送信部51)とキャビネット(10)内に配置される部分(動作部53、53A)とを、電気的な接続(通信線50)のみで接続することが可能となる。そのため、例えば、動作部(53、53A)を覆い隠すように分電盤(1)の外蓋(103)を閉める場合であっても、この接続部分(通信線50)が邪魔になりにくい。
第3の態様の回路遮断器駆動システム(100B)は、第1又は第2の態様において、駆動部(13B)は、アクチュエータ(135)と、リンク部(136)と、を備える。アクチュエータ(135)は、筐体(16)内に収容される。アクチュエータ(135)は、検知部(11)による異常の発生の検知に応じて動作する。リンク部(136)は、アクチュエータ(135)の動作に応じて移動して、回路遮断器(20)の一部を動作させる。
この態様によれば、簡易な機構で、回路遮断器(20)の接点(C1)を開極させることが可能となる。
第4の態様の回路遮断器駆動システム(100C)は、第1~第3のいずれか1つの態様において、駆動部(13C)は、電磁場発生部(137)と、作動部(138)と、を備える。電磁場発生部(137)は、筐体(16)内に収容される。電磁場発生部(137)は、検知部(11)による異常の発生の検知に応じて周囲の電磁場を変化させる。作動部(138)は、キャビネット(10)内に配置される。作動部(138)は、電磁場発生部(137)による電磁場の変化に応じて動作して、回路遮断器(20)の上記の一部を動作させる。
この態様によれば、駆動部(13C)においてキャビネット(10)内に配置される部分(作動部138)を、キャビネット(10)外に配置される部分(電磁場発生部137)と非接触で動作させることが可能となる。
第5の態様の回路遮断器駆動システム(100、100A~100C)は、第1~第4のいずれか1つの態様において、検知部(11)は、周囲環境における異常として地震の発生を検知する。
この態様によれば、地震の発生時に回路遮断器(20)を駆動させる回路遮断器駆動システム(100、100A~100C)を実現可能となる。
第6の態様の回路遮断器駆動システム(100、100A)は、第1~第5のいずれか1つの態様において、駆動部(13)は、質量体(131)を備える。駆動部(13)は、質量体(131)を重力落下させることにより、回路遮断器(20)の上記の一部を動作させる。
この態様によれば、簡単な構成で、駆動部(13)を実現可能である。
第7の態様の回路遮断器駆動システム(100、100A~100C)は、第1~第6のいずれか1つの態様において、検知部(11)は、筐体(16)に収容される。筐体(16)は、検知部(11)に電力を供給する電池(151)が収容される収容スペース(162)を備える。
この態様によれば、例えば、停電等により電源(P1)から分電盤(1)への給電が停止した場合であっても、回路遮断器駆動システム(100)を動作させることが可能となる。
第8の態様の回路遮断器駆動システム(100、100B、100C)は、第1~第7のいずれか1つの態様において、回路遮断器(20)の上記の一部は、回路遮断器(20)のハンドル(21)である。駆動部(13、13B、13C)は、ハンドル(21)を移動させることで、回路遮断器(20)の接点(C1)を開極させる。
この態様によれば、簡易な機構で、回路遮断器(20)の接点(C1)を開極させることが可能となる。
第9の態様の回路遮断器駆動システム(100A)は、第1~第7のいずれか1つの態様において、回路遮断器(20)は、漏電保護機能を有しており、かつ、漏電保護機能の動作を試験するためのテスト釦(29)を備えている。回路遮断器(20)の上記の一部は、テスト釦(29)である。駆動部(13)は、テスト釦(29)を動作させることで、回路遮断器(20)の接点(C1)を開極させる。
この態様によれば、簡易な機構で、回路遮断器(20)の接点(C1)を開極させることが可能となる。
第10の態様の分電盤(1)は、第1~第9のいずれか1つの態様の回路遮断器駆動システム(100、100A~100C)と、回路遮断器(20)と、回路遮断器(20)を保持するキャビネット(10)と、を備える。
この態様によれば、上記の回路遮断器駆動システム(100、100A~100C)を備えた分電盤(1)を実現可能である。
第2~第9の態様に係る構成は、回路遮断器駆動システム(100、100A~100C)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。